(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】レンズユニット、光学レンズ、照明モジュール、車両用ランプおよび車両
(51)【国際特許分類】
F21S 41/265 20180101AFI20240520BHJP
F21V 7/06 20060101ALI20240520BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240520BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20240520BHJP
F21S 41/27 20180101ALI20240520BHJP
F21S 41/147 20180101ALI20240520BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20240520BHJP
F21S 41/32 20180101ALI20240520BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20240520BHJP
F21S 41/36 20180101ALI20240520BHJP
F21V 5/08 20060101ALI20240520BHJP
G02B 3/08 20060101ALN20240520BHJP
G02B 3/06 20060101ALN20240520BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240520BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240520BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20240520BHJP
【FI】
F21S41/265
F21V7/06
F21V5/04 350
F21V5/02 300
F21S41/27
F21S41/147
F21S41/151
F21S41/32
F21S41/663
F21S41/36
F21V5/08
G02B3/08
G02B3/06
F21Y115:10
F21Y115:30
F21W102:155
(21)【出願番号】P 2022561004
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 CN2021089377
(87)【国際公開番号】W WO2021218826
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】202010367179.X
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011589522.1
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011592501.5
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202023252577.1
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202023252420.9
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518211749
【氏名又は名称】ハスコ ビジョン テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張潔
(72)【発明者】
【氏名】陳佳縁
(72)【発明者】
【氏名】周浩
(72)【発明者】
【氏名】董世▲クン▼
(72)【発明者】
【氏名】祝賀
(72)【発明者】
【氏名】桑文慧
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138471(JP,A)
【文献】特開2008-181717(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109681843(CN,A)
【文献】特開2009-238470(JP,A)
【文献】国際公開第2019/177050(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/192963(WO,A1)
【文献】特開2019-186025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21V 7/06
F21V 5/00
G02B 3/08
G02B 3/06
F21Y 115/10
F21Y 115/30
F21W 102/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズと
、複数の光源(6)と
、各前記光源(6)と一対一で対応する複数の一次光学部材(7)とを備え、前記光学レンズがレンズユニットを複数備え、
前記レンズユニットは、縦寸法と横寸法が異なる配光パターンを形成できるように、第1単方向にコリメートする入光部(1)と、第2単方向にコリメートする出光部(2)とを備え、
前記入光部(1)と出光部(2)との間の距離は、前記レンズユニットの両側の焦点距離が異なることを満たし、
各前記レンズユニットが左右方向において配列され、各前記出光部(2)が接続されて出光面(4)として形成され、
前記光源(6)からの光線が対応の前記入光部(1)から前記光学レンズに入射するように、前記光源(6)と前記入光部(1)とが対応して配置
され、
前記一次光学部材(7)が、前記光源(6)から出射される光線を集光して対応の前記入光部(1)に照射して前記光学レンズに入射させるように構成され、
前記一次光学部材(7)にロービームカットオフ構造が設置され、
前記ロービームカットオフ構造は、メインロービームカットオフライン構造(71)と補助ロービームカットオフライン構造(72)とを含み、複数の前記一次光学部材(7)の、対応の前記光源(6)に近接した側の境界に前記メインロービームカットオフライン構造(71)および前記補助ロービームカットオフライン構造(72)の少なくとも一方が設置される
ことを特徴とする照明モジュール。
【請求項2】
前記
縦寸法と横寸法が異なる配光パターンは、矩形配光パターンである
ことを特徴とする
請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項3】
前記入光部(1)は、第1方向における断面形状線を前記第1方向に垂直な方向における断面形状線に沿って移動してできた曲面であり、前記出光部(2)は、第2方向における断面形状線を前記第2方向に垂直な方向における断面形状線に沿って移動してできた曲面であ
り、前記第1単方向と前記第1方向とは同方向であり、前記第2単方向と前記第2方向とは同方向である
ことを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の照明モジュール。
【請求項4】
前記入光部(1)および前記出光部(2)は、いずれも柱面または略柱面である
ことを特徴とする
請求項3に記載の照明モジュール。
【請求項5】
前記入光部(1)および前記出光部(2)は、いずれも円柱面である
ことを特徴とする請求項4に記載の照明モジュール。
【請求項6】
前記入光部(1)は、第1方向における断面形状線を前記第1方向に垂直な方向における断面形状線に沿って移動してできた階段状のフレネル柱面であり、
前記出光部(2)は、第2方向における断面形状線を前記第2方向に垂直な方向における断面形状線に沿って移動してできた階段状のフレネル柱面であり、
前記第1単方向と前記第1方向とは同方向であり、前記第2単方向と前記第2方向とは同方向である
ことを特徴とする
請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項7】
前記入光部(1)および前記出光部(2)は、一方が柱面であり、他方が階段状のフレネル柱面である
ことを特徴とする
請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項8】
前記入光部(1)のコリメート方向および前記出光部(2)のコリメート方向は、一方が鉛直方向であり、他方が水平方向である
ことを特徴とする
請求項3~7のいずれか1項に記載の照明モジュール。
【請求項9】
反射部(3)をさらに備え、前記反射部(3)が、前記入光部(1)から入射される光線を前記出光部(2)に反射するように配置される
ことを特徴とする
請求項3~7のいずれか1項に記載の照明モジュール。
【請求項10】
前記入光部(1)、前記反射部(3)および前記出光部(2)は、順に接続されて折り曲がり構造として形成される
ことを特徴とする
請求項9に記載の照明モジュール。
【請求項11】
少なくとも1つの前記入光部(1)に、ゾーンIII形成構造(5)が設置され、または少なくとも1つの前記入光部(1)と一体に形成するようにゾーンIII形成構造(5)が設けられる
ことを特徴とする
請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項12】
前記ゾーンIII形成構造(5)は、凹溝であり、前記凹溝内に、その長手方向において前記凹溝の幅方向に延在する複数の長尺状突起部および長尺状凹部の少なくとも一方が順に設けられまたは一体に形成される
ことを特徴とする
請求項11に記載の照明モジュール。
【請求項13】
前記一次光学部材(7)は、リフレクタである
ことを特徴とする
請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項14】
前記リフレクタは、放物面リフレクタまたは略放物面リフレクタであり、前記リフレクタの、対応の前記光源(6)に近接した側の境界にロービームカットオフ構造が設置される
ことを特徴とする
請求項13に記載の照明モジュール。
【請求項15】
前記メインロービームカットオフライン構造(71)は、段差を有する直線部および曲線部の少なくとも一方により接続されて形成される折り曲がり線部であり、前記補助ロービームカットオフライン構造(72)は、直線部または曲線部である
ことを特徴とする
請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項16】
前記入光部(1)は、前記メインロービームカットオフライン構造(71)に対応するメインロービーム入光部(11)と、前記補助ロービームカットオフライン構造(72)に対応する補助ロービーム入光部(12)とを含む
ことを特徴とする
請求項3~5のいずれか1項に記載の照明モジュール。
【請求項17】
前記メインロービーム入光部(11)の前記第1方向に垂直な方向における断面形状線と、前記補助ロービーム入光部(12)の前記第1方向に垂直な方向における断面形状線とがなす角が0.2°~1°である
ことを特徴とする
請求項16に記載の照明モジュール。
【請求項18】
各前記入光部(1)は、それぞれ複数の前記リフレクタと対応するように設置される
ことを特徴とする
請求項13に記載の照明モジュール。
【請求項19】
前記光源(6)は、対応の前記一次光学部材(7)の焦点領域に位置する
ことを特徴とする
請求項1~18のいずれか1項に記載の照明モジュール。
【請求項20】
前記光源(6)の発光中心と、対応の前記一次光学部材(7)の焦点との間の距離は、2mm以下である
ことを特徴とする
請求項19に記載の照明モジュール。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載の照明モジュールと回路基板(8)とを備え、前記光源(6)が前記回路基板(8)に取り付けられる
ことを特徴とする車両用ランプ。
【請求項22】
前記回路基板(8)は、前記光源(6)を取り付けるための取付面を含み、前記取付面と水平方向とがなす角が5°以上である
ことを特徴とする
請求項21に記載の車両用ランプ。
【請求項23】
請求項21又は請求項22に記載の車両用ランプを備える
ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用光学素子に関し、具体的に、レンズユニットに関し、また、さらに上記のレンズユニットを備える光学レンズ、上記の光学レンズを備える照明モジュール、上記の照明モジュールを備える車両用ランプおよび上記の車両用ランプを備える車両に関する。
【0002】
(関係出願の相互参照)
本出願は、2020年04月30日に提出された、出願番号が202010367179.Xである中国出願、2020年12月29日に提出された、出願番号が202011589522.1である中国出願、2020年12月29日に提出された、出願番号が202011592501.5である中国出願、2020年12月29日に提出された、出願番号が202023252577.1である中国出願、2020年12月29日に提出された、出願番号が202023252420.9である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本明細書に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
車両用ランプは、車両に設置される灯具のことで、夜間に道路を走行する車両の照明器具であり、さまざまな車両走行情報を伝えるための知らせ用器具でもあり、車両の安全走行を確保のために重要な役割を担っている。社会経済の発展に伴い、自動車業界も発展している。そして、自動車照明技術の発展に伴い、車両用ランプの機能への要求もより高まる。
【0004】
車両用ランプの照明機能を実現する照明モジュールにおいて、通常、略平行な出射光線を得るために例えば双曲面コリメートレンズのようなコリメート光学素子を設置する。双曲面コリメートレンズは、その曲面がレンズ光軸に対する回転曲面であり、その結像特性が等方的である。
【0005】
しかし、車両用ランプの照明の配光パターンには、上下の照明角度が小さく、左右の照明角度が大きいなどの異方性が要求される。そのため、上記のコリメートレンズ、例えば球面レンズを用いる車両用ランプ照明システムの場合、別途の光学系に対する特定の設計により一定幅を持つ基本的な配光パターンを形成し、さらにコリメートレンズにより路面に結像する必要がある。このような車両用ランプ照明システムは、構造が比較的に複雑であり、配光には別途の光学系およびレンズの入光面と出光面などの複数の光学面の形状を総合に考慮する必要があり、配光プロセスが複雑である。
【0006】
このため、上記の技術的問題を克服しまたは改善できる新型のレンズユニットが求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1局面が解決しようとする技術的問題は、車両用ランプの照明配光パターンに対する異方性の要求を満たして非対称配光パターンを形成し、細長い形状設計のニーズを満たすことができるレンズユニットを提供することである。
【0008】
本発明の第2局面が解決しようとする技術的問題は、出光面の上下方向での寸法が比較的小さく、細長い形状設計のニーズを満たすことができ、光学効率が比較的高い光学レンズを提供することである。
【0009】
本発明の第3局面が解決しようとする技術的問題は、上下方向での寸法が比較的小さい光学レンズを有し、車両用ランプの配光パターンおよび車両用ランプの外観の細長い形状設計のニーズを満たすことができ、構造が簡単で、集積度が高く、光学効率が高い照明モジュールを提供することである。
【0010】
本発明の第4局面が解決しようとする技術的問題は、細長い外観形状を有する車両用ランプを提供することである。
【0011】
本発明の第5局面が解決しようとする技術的問題は、細長い形状の車両用ランプを備える車両を提供することである。
【0012】
上記の技術的問題を解決するため、本発明の第1局面は、レンズユニットを提供し、該レンズユニットは、非対称配光パターンを形成できるように、第1単方向にコリメートする入光部と、第2単方向にコリメートする出光部とを備える。
【0013】
好ましくは、前記非対称配光パターンは、矩形配光パターンである。
【0014】
好ましくは、前記入光部は、第1方向における断面形状線を前記第1方向に垂直な方向における断面形状線に沿って移動してできた曲面であり、前記出光部は、第2方向における断面形状線を前記第2方向に垂直な方向における断面形状線に沿って移動してできた曲面である。
【0015】
任意で、前記入光部および前記出光部は、いずれも柱面または略柱面である。
【0016】
任意で、前記入光部および前記出光部は、いずれも円柱面である。
【0017】
任意で、前記入光部および前記出光部は、いずれも階段状のフレネル柱面である。
【0018】
任意で、前記入光部および前記出光部は、一方が柱面であり、他方が階段状のフレネル柱面である。
【0019】
具体的に、前記入光部のコリメート方向および前記出光部のコリメート方向は、一方が鉛直方向であり、他方が水平方向である。
【0020】
さらに、反射部をさらに備え、前記反射部が、前記入光部から入射される光線を前記出光部に反射するように配置される。
【0021】
具体的に、前記入光部、前記反射部および前記出光部は、順に接続されて折り曲がり構造として形成される。
【0022】
本発明の第2局面は、光学レンズを提供し、該光学レンズは、上記の技術案の任意の1つによるレンズユニットを複数備え、各前記レンズユニットが左右方向において配列され、各前記出光部が接続されて出光面として形成される。
【0023】
任意で、少なくとも1つの前記入光部に、ゾーンIII形成構造が設置され、または少なくとも1つの前記入光部と一体に形成するようにゾーンIII形成構造が設けられる。
【0024】
具体的に、前記ゾーンIII形成構造は、凹溝であり、前記凹溝内に、その長手方向において前記凹溝の幅方向に延在する複数の長尺状突起部および長尺状凹部の少なくとも一方が順に設けられまたは一体に形成される。
【0025】
本発明の第3局面は、照明モジュールを提供し、該照明モジュールは、上記の技術案の任意の1つによる光学レンズと複数の光源とを備え、前記光源からの光線が対応の前記入光部をから前記光学レンズに入射するように、前記光源と前記入光部とが対応して配置される。
【0026】
任意で、各前記光源と一対一で対応する複数の一次光学部材をさらに備え、前記一次光学部材が、前記光源から出射される光線を集光して対応の前記入光部に照射して前記光学レンズに入射させるように構成される。
【0027】
具体的に、前記一次光学部材は、リフレクタである。
【0028】
任意で、前記リフレクタは、放物面リフレクタまたは略放物面リフレクタであり、前記リフレクタの、対応の前記光源に近接した側の境界にロービームカットオフ構造が設置される。
【0029】
さらに、前記ロービームカットオフ構造は、メインロービームカットオフライン構造と補助ロービームカットオフライン構造とを含み、複数の前記リフレクタの、対応の前記光源に近接した側の境界に前記メインロービームカットオフライン構造および前記補助ロービームカットオフライン構造の少なくとも1方が設置される。
【0030】
任意で、前記メインロービームカットオフライン構造は、段差を有する直線部および曲線部の少なくとも一方により接続されて形成される折り曲がり線部であり、前記補助ロービームカットオフライン構造は、直線部または曲線部である。
【0031】
さらに、前記入光部は、前記メインロービームカットオフライン構造に対応するメインロービーム入光部と、前記補助ロービームカットオフライン構造に対応する補助ロービーム入光部とを含む。
【0032】
具体的に、前記メインロービーム入光部の、前記第1方向に垂直な方向における断面形状線と、前記補助ロービーム入光部の前記第1方向に垂直な方向における断面形状線とがなす角が0.2°~1°である。
【0033】
任意で、各前記入光部は、それぞれ複数の前記リフレクタと対応するように設置される。
【0034】
任意で、前記光源は、対応の前記一次光学部材の焦点領域に位置する。
【0035】
具体的に、前記光源の発光中心と、対応の前記一次光学部材の焦点との間の距離は、2mm以下である。
【0036】
本発明の第4局面は、車両用ランプを提供し、該車両用ランプは、上記の技術案の任意の1つによる照明モジュールと回路基板とを備え、前記光源が前記回路基板に取り付けられる。
【0037】
好ましくは、前記回路基板は、前記光源を取り付けるための取付面を含み、前記取付面と水平方向とがなす角が5°以上である。
【0038】
本発明の第5局面は、車両を提供し、該車両は、上記の技術案の任意の1つによる車両用ランプを備える。
【0039】
上記の技術案によれば、本発明は、下記の有益な効果を有する。
【0040】
本発明によるレンズユニットは、入光部が第1単方向においてコリメートすることができ、出光部が第2単方向においてコリメートすることができ、配光パターン、光学性能および光学効率などの面の要求を満たすことができるとともに、レンズユニットの出光部の上下方向での寸法を抑えることができる。具体的に、入光部が第1単方向にコリメートすることは以下のように解釈される。第1方向の断面において、入光部は、第1方向における断面形状線が凸型曲線であり、集光可能であり、光線を屈折させる程度が比較的大きく、発散光線に対してコリメートすることができる。そして、第1方向に垂直な垂直方向の断面において、入光部は、該方向における断面形状線が直線または略直線であり、したがって、入光部の発散光線を屈折させる能力が、第1方向の断面における入光部の発散光線を屈折させる能力に対してはるかに弱く、コリメートすることができない。つまり、入光部が第1方向の断面の位置範囲において発散光線に対して単一方向にコリメートすることができ、すなわち、入光部は、主に第1方向において光線を屈折させる。出光部が第2単方向にコリメートすることは以下のように解釈される。第2方向の断面において、出光部は、第2方向における断面形状線が凸型曲線であり、集光可能であり、光線を屈折させる程度が比較的大きく、発散光線に対してコリメートすることができる。そして、第2方向に垂直な垂直方向の断面において、出光部は、該方向における断面形状線が直線または略直線であり、したがって、出光部の発散光線を屈折させる能力が、第2方向の断面における出光部の発散光線を屈折させる能力に対してはるかに弱く、コリメートすることができない。つまり、出光部が第2方向の断面の位置範囲において光線に対して単一方向にコリメートすることができ、すなわち、出光部は、主に第2方向において光線を屈折させ出射する光線を第2方向において広げさせ、配光パターン、光学性能などの面の要求を満たすことができる。このような構造設計によれば、入光部の、第1方向における光源からの光に対する結像倍率が、出光部の、第2方向における光源からの光に対する結像倍率よりも大きく、光源からの光が該レンズユニットを通って矩形照明配光パターンを形成することができ、レンズユニットの出光部の上下方向での寸法を20mm以下に抑えることができ、したがって、細長い形状の車両用ランプのニーズを満たすことができる。従来技術による一般的な球面レンズに対して、本発明によるレンズユニットを採用することにより、入光部および出光部の2つの光学面の形状をそれぞれ独立して調整することができ、配光における光調整が簡単になり、同様な配光効果を保証するうえ、レンズユニットの出光部の上下方向での寸法を効果的に小さくすることができる。
【0041】
そして、入光部、反射部および出光部が順に接続されて折り曲がり構造として形成され、レンズユニットの前後方向での寸法を抑えることでき、これによって、レンズユニット全体の寸法を抑えることができ、小型化設計に寄与でき、集積度が高い。
【0042】
さらに、ゾーンIII形成構造が入光部に設置され、ゾーンIII形成構造と他の部品との干渉を避けることができ、車両用ランプの内部の部品のレイアウトの柔軟性を高めることができ、光学性能が安定である。
【0043】
また、リフレクタの、ロービーム源に近接した側の境界にロービームカットオフ構造が設置されるため、従来の遮光プレート構造を省略することができる。全体から見れば、本発明による照明モジュールは、構造がコンパクトで、集積度が高く、モジュールの部品数が少なく、構造が簡単である。
【0044】
本発明の他の特徴および利点は、発明を実施するための形態の部分で詳細に説明する。
【0045】
図面は、本出願の一部として、本発明を理解するためのものである。本発明の例示的な実施形態およびその説明は、本発明を解釈するためのものにすぎず、本発明を限定するものにならない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の第1種の具体的な実施形態によるレンズユニットの光路を示す模式的斜視図である。
【
図2】本発明の具体的な実施形態によるレンズユニットにより形成された配光パターンのスクリーン照度を示す図面である。
【
図3】正方形の発光面からの光が従来のレンズにより結像する配光パターンのスクリーン照度を示す図面である。
【
図6】本発明の第2種の具体的な実施形態によるレンズユニットの光路を示す模式図の一である。
【
図7】本発明の第2種の具体的な実施形態によるレンズユニットの光路を示す模式図の二である。
【
図8】本発明の第3種の具体的な実施形態による照明モジュールの光路を示す模式的斜視図であり、そのレンズユニットが第1種の具体的な実施形態によるものを使用する。
【
図9】本発明の第3種の具体的な実施形態による照明モジュールの配光パターンの効果を示す模式図であり、そのレンズユニットが第1種の具体的な実施形態によるものを使用する。
【
図10】本発明の第4種の具体的な実施形態によるレンズユニットの光路を示す模式的斜視図である。
【
図11】本発明の第5種の具体的な実施形態による照明モジュールの光路を示す模式的斜視図であり、そのレンズユニットが第3種の具体的な実施形態によるものを使用する。
【
図12】本発明の第6種の具体的な実施形態によるレンズユニットの正面図である。
【
図13】本発明の第6種の具体的な実施形態によるレンズユニットの左側面図である。
【
図14】本発明の第6種の具体的な実施形態によるレンズユニットの底面図である。
【
図15】本発明の第7種の具体的な実施形態によるレンズユニットの光路を示す模式的斜視図である。
【
図16】本発明の第8種の具体的な実施形態による照明モジュールの構成を示す模式的斜視図の一である。
【
図17】本発明の第8種の具体的な実施形態による照明モジュールの構成を示す模式的斜視図の二である。
【
図18】本発明の第8種の具体的な実施形態によるリフレクタの構成を示す模式的斜視図である。
【
図19】本発明の第8種の具体的な実施形態によるリフレクタの模式的背面図である。
【
図20】本発明の第8種の具体的な実施形態による照明モジュールの模式的構成図である。
【
図22】本発明の第8種の具体的な実施形態によるメインロービームの光線の振る舞いの模式図である。
【
図23】本発明の第8種の具体的な実施形態によるメインロービーム配光パターンの模式図である。
【
図24】本発明の第8種の具体的な実施形態による補助ロービームの光線の振る舞いの模式図である。
【
図25】本発明の第8種の具体的な実施形態による補助ロービーム配光パターンの模式図である。
【
図26】本発明の第8種の具体的な実施形態による完全なロービーム配光パターンの模式図である。
【
図27】本発明の第9種の具体的な実施形態による車両用ランプの模式的構成図である。
【
図29】本発明の第10種の具体的な実施形態による光学レンズの模式的構成図である。
【
図32】本発明の第11種の具体的な実施形態による光学レンズの模式的構成図である。
【
図33】本発明の第12種の具体的な実施形態による照明モジュールの構成を示す模式的斜視図である。
【
図34】本発明の第12種の具体的な実施形態による照明モジュールの模式的構成図の一である。
【
図35】本発明の第12種の具体的な実施形態による照明モジュールの模式的構成図の二である。
【
図37】本発明の第12種の具体的な実施形態によるハイビーム配光パターンの模式図の一である。
【
図38】本発明の第12種の具体的な実施形態によるハイビーム配光パターンの模式図の二である。
【
図39】本発明の第13種の具体的な実施形態による光学レンズの構成を示す模式的斜視図である。
【
図41】本発明の第13種の具体的な実施形態による光学レンズの模式的構成図である。
【
図44】本発明の第14種の具体的な実施形態によるレンズユニットの構成を示す模式的斜視図である。
【
図45】本発明の第15種の具体的な実施形態による照明モジュールの構成を示す模式的斜視図である。
【
図46】本発明の第15種の具体的な実施形態による照明モジュールの模式的構成図である。
【
図48】本発明の第16種の具体的な実施形態による照明モジュールの構成を示す模式的斜視図である。
【
図49】本発明の第17種の具体的な実施形態による光学レンズの構成を示す模式的斜視図である。
【
図50】本発明の第17種の具体的な実施形態による光学レンズの模式的構成図である。
【
図53】本発明の第18種の具体的な実施形態による照明モジュールの構成を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。なお、説明される具体的な実施形態は、本発明を説明、解釈するためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。
【0048】
本発明の説明において、明確な定義や限定がない限り、用語の「取付」、「設置」、「接続」を広義に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。直接接続してもよいし、中間物を介して間接的に接続してもよいし、2つの要素の内部が連通しまたは2つの要素が相互に作用してもよい。当業者は、本発明における上記用語の具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0049】
なお、本発明を簡単および簡略に説明するため、用語の「前」、「後」は、レンズユニットの出光方向に沿う前後のことを指すものであり、例えば、入光部1が後方に位置し、対応に、出光部2が前方に位置し、通常、車両の前後方向とほぼ一致である。用語の「左」、「右」は、レンズユニット自体の左右方向を指すものであり、通常、車両の左右方向とほぼ一致である。用語の「上」、「下」は、レンズユニット自体の上下方向を指すものであり、通常、車両の上下方向とほぼ一致である。例えば、
図28に示すように、一次光学部材7が上方に位置し、対応に、放熱装置9が下方に位置する。用語で表された方向または位置関係は、図面に基づくものであり、該当装置または素子が、必ずしも特定の方向を有したり、特定の方向に構成、操作されたり、することを明示または暗示するものではないため、本発明を限定するものではない。なお、本発明によるレンズユニットに対する方向用語を、実際の取付状態に基づいて理解すべきである。
【0050】
図1、
図4、
図5、
図10、
図12~
図14、
図44に示すように、本発明の基本的な実施形態によるレンズユニットは、非対称配光パターンを形成できるように、第1単方向にコリメートする入光部1と、第2単方向にコリメートする出光部2とを備える。
【0051】
入光部1の、第1単方向にコリメートすることは以下のように解釈される。第1方向の断面において、入光部1は、第1方向における断面形状線が凸型曲線であり、集光可能であり、光線を屈折させる程度が比較的大きく、発散光線に対してコリメートすることができる。そして、第1方向に垂直な垂直方向の断面において、入光部1は、該方向における断面形状線が直線または略直線であり、したがって、入光部1の発散光線を屈折させる能力が、第1方向の断面における入光部1の発散光線を屈折させる能力に対してはるかに弱く、コリメートすることができない。つまり、入光部1が第1方向の断面の位置範囲において発散光線に対して単一方向にコリメートすることができ、すなわち、入光部1は、主に第1方向において光線を屈折させる。出光部2が第2単方向にコリメートすることは以下のように解釈される。第2方向の断面において、出光部2は、第2方向における断面形状線が凸型曲線であり、集光可能であり、光線を屈折させる程度が比較的大きく、発散光線に対してコリメートすることができる。そして、第2方向に垂直な垂直方向の断面において、出光部2は、該方向における断面形状線が直線または略直線であり、したがって、出光部2の発散光線を屈折させる能力が、第2方向の断面における出光部の発散光線を屈折させる能力に対してはるかに弱く、コリメートすることができない。つまり、出光部2が第2方向の断面の位置範囲において光線に対して単一方向にコリメートすることができ、すなわち、出光部2は、主に第2方向において光線を屈折させ、出射する光線を第2方向において広げさせ、配光パターン、光学性能などの面の要求を満たすことができる。このような構造設計によれば、入光部1の、第1方向における光源からの光に対する結像倍率が、出光部2の、第2方向における光源からの光に対する結像倍率よりも大きく、光源からの光が該レンズユニットを通って非対称配光パターンを形成することができ、レンズユニットの出光部の上下方向での寸法を20mm以下に抑えることができ、したがって、細長い形状の車両用ランプのニーズを満たすことができる。ここで、「非対称配光パターン」とは、主に、矩形配光パターンのような、縦横の寸法差が比較的大きい配光パターンを意味する。従来技術による一般的な球面レンズの場合、その結像特性が等方的であるため、
図3に示す正方形配光パターンが形成される。これに対して、本発明によるレンズユニットは、その構造的特徴によれば、異方性の結像特性を備え、
図2に示す矩形配光パターンを形成することができ、顕著な非対称性を有し、そして、入光部1および出光部2の2つの光学面の形状をそれぞれ独立して調整することができ、配光における光調整が簡単になり、同様な配光効果を保証するうえ、レンズユニットの出光部の上下方向での寸法をより小さくすることができる。
【0052】
具体的な一実施例において、
図1、
図4および
図5に示すように、レンズユニットの入光部1および出光部2は前後方向に沿って配置され、この場合、入光部1のコリメート方向が水平方向または鉛直方向に設定され、対応に、出光部2のコリメート方向が鉛直方向または水平方向に設定される。本発明の技術思想を容易に理解し、説明を簡単にするため、以下、主に、入光部1のコリメート方向を水平方向に設定し、出光部2のコリメート方向を鉛直方向に設定する例を用いて、本発明によるレンズユニットを説明する。
【0053】
図6に示すように、水平方向の断面において、入光部1は、水平方向における断面形状線が凸型曲線であり、集光可能であり、光線を屈折させる程度が比較的大きく、発散光線に対してコリメートすることができる。
図7に示すように、鉛直方向の断面において、入光部1は、鉛直方向における断面形状線が直線または略直線であり、したがって、入光部1の発散光線を屈折させる能力が、水平方向の断面における入光部1の発散光線を屈折させる能力に対してはるかに弱く、コリメートすることができなく、つまり、入光部1は、主に水平方向において光線を屈折させる。同様に、
図7に示すように、鉛直方向の断面において、出光部2は、鉛直方向における断面形状線が凸型曲線であり、集光可能であり、光線を屈折させる程度が比較的大きく、発散光線に対してコリメートすることができる。そして、水平方向の断面において、出光部2の水平方向は、断面形状線が直線または略直線であり、したがって、出光部2の発散光線を屈折させる能力が、鉛直方向の断面における出光部の発散光線を屈折させる能力に対してはるかに弱く、コリメートすることができなく、出光部2は、主に鉛直方向において光線を屈折させ、出射する光線を鉛直方向において広げさせることができる。このような構造設計によれば、入光部1の、水平方向における光源からの光に対する結像倍率が、出光部2の、鉛直方向における光源からの光に対する結像倍率よりも大きく、光源からの光が該レンズユニットを通って矩形配光パターンのような非対称配光パターンを形成することができ、レンズユニットの出光部の上下方向での寸法を20mm以下に抑えることができ、したがって、細長い形状の車両用ランプのニーズを満たすことができる。
【0054】
また、上記の技術案により形成される非対称配光パターンの非対称性は、レンズユニットの両側の焦点距離の違いによるものである。ここで、非対称配光パターンは、主に矩形配光パターンを指し、入光部1の、配光パターンに対する拡大倍率と出光部2の、配光パターンに対する拡大倍率との比に関係し、そして、拡大倍率の比が入光部1と出光部2との間の距離により決まるものであり、距離が大きいほど、比が大きくなり、非対称性がより顕著になる。
図1と
図10との比較から分かるように、比を小さくするとき、レンズユニットの厚さを小さくすることができる。
【0055】
具体的に、入光部1は、その水平方向における断面形状線をその鉛直方向における断面形状線に沿って移動してできた曲面とみなすことができる。例えば、
図6に示すように、入光部1は、水平方向における断面形状線が後ろに凸の曲線であり、鉛直方向における断面形状線が直線であり、該後ろに凸の曲線を該直線に沿って移動することにより入光部1を形成することができる。同様に、出光部2は、その鉛直方向における断面形状線をその水平方向における断面形状線に沿って移動してできた曲面とみなすことができる。例えば、
図7に示すように、出光部2は、鉛直方向における断面形状線が前に凸の曲線であり、水平方向における断面形状線が直線であり、該前に凸の曲線を該直線に沿って移動することにより出光部2を形成することができる。上記の前に凸、後ろに凸とは、レンズに対する曲線の凹、凸を意味する。
【0056】
さらに、入光部1および出光部2のうち、一方が柱面であり、他方が略柱面であり、または、両方のいずれも柱面または略柱面である。柱面を下記のような光学曲面として理解することができる。入光部1で例示すると、
図6に示すように、水平断面において、入光部1は、水平方向における断面形状線が凸型曲線であり、集光可能であり、光線を屈折させる程度が比較的大きく、発散光線に対してコリメートすることができる。
図7に示すように、鉛直断面において、入光部1は、鉛直方向における断面形状線が直線または略直線であり、したがって、入光部1の発散光線を屈折させる能力が、水平断面における入光部1の発散光線を屈折させる能力に対してはるかに弱く、コリメートすることができない。つまり、入光部1が水平断面の位置範囲において発散光線に対して単一方向にコリメートすることができ、すなわち、入光部1は、主に水平方向において光線を屈折させる。入光部1に形成する柱面の水平方向における断面形状線は、円弧状であることが好ましい。無論、入光部1は、水平方向における断面形状線が円弧状であるものと限らなく、例えば略柱面として形成してもよい。上記の「略柱面」は、柱面に近い形状の曲面を意味し、上記の柱面とほぼ同様な技術効果を有する。同様に、出光部2も、柱面構造または略柱面構造として形成することができる。
図7に示すように、鉛直断面において、出光部2は、上下方向における断面形状線が凸型曲線であり、集光可能であり、光線を屈折させる程度が比較的大きく、発散光線に対してコリメートすることができる。
図6に示すように、水平断面において、出光部2は、水平方向における断面形状線が直線または略直線であり、したがって、出光部2の発散光線を屈折させる能力が、鉛直断面における出光部2の発散光線を屈折させる能力に対してはるかに弱く、コリメートすることができない。つまり、出光部2が鉛直断面の位置範囲内において光線に対して単一方向にコリメートすることができ、すなわち、出光部2は、主に鉛直方向において光線を屈折させる。出光部2により形成される柱面の鉛直方向における断面形状線は、円弧状であることが好ましい。無論、出光部2は、鉛直方向における断面形状線が円弧状であるものと限らない。
【0057】
図12~
図14に示すように、入光部1および出光部2は、階段状のフレネル柱面であってもよい。上記の「階段状のフレネル柱面」とは、フレネル式曲線を移動することにより実現されたものを意味し、光線を単一方向にコリメートする特性を有する。上記の「フレネル式曲線」とは、フレネルレンズの光軸を通る平面と、複数の同心円形状をもつフレネルレンズの表面との交線の形状と同一または類似する形状の曲線を意味する。階段状のフレネル柱面構造は、上記の柱面構造と同様に、光線をコリメートすることができる。入光部1に形成する階段状のフレネル柱面および出光部2に形成する階段状のフレネル柱面は、互いに垂直をなすように配置され、同様に非対称配光パターンを形成することができる。
【0058】
上記のように、入光部1および出光部2が柱面または階段状のフレネル柱面を使用する2種の技術案をそれぞれ説明したが、入光部1および出光部2に対しては、簡単な変形を行ってもよい。例えば、入光部1が柱面で出光部2が階段状のフレネル柱面であるようにしてもよく、または、入光部1が階段状のフレネル柱面で出光部2が柱面であるようにしてもよく、両者のコリメート方向が互いに垂直であればよい。
【0059】
上記は、入光部1のコリメート方向を水平方向に設定し、出光部2のコリメート方向を鉛直方向に設定する例で本発明による光学レンズを説明したが、各具体的な実施形態は、入光部1のコリメート方向を鉛直方向に設定し、出光部2のコリメート方向を水平方向に設定する態様にも適用できる。例えば、
図1に示す実施例において、
図1に示す光学レンズの配置方向は、入光部1における柱面のコリメート方向が鉛直方向であり、出光部2における柱面のコリメート方向が水平方向がである。無論、車両用ランプを細長い外観形状にするには、実際の応用において、出光部2のコリメート方向を鉛直方向に設定することが一般的である。
【0060】
また、
図44に示すように、レンズユニットに反射部3を設置してもよく、したがって、入光部1および出光部2の前後方向での配置方式を変更して、入光部1から入射された光線を反射部3により出光部2に反射する。これによれば、本発明によるレンズユニットの前後方向での寸法を抑えることができる。
【0061】
実際の応用において、本実施例によるレンズユニットの出光部2の出光方向が前方に向く方向であり、すなわち「第2方向」が鉛直方向とほぼ同じであり、出光部2が、鉛直方向において発散光線を単一方向にコリメートする光学特性を有する。本実施例によるレンズユニットの入光部1の入光方向は、上に向く方向または下に向く方向である。なお、本実施例によるレンズユニットの入光部1の入光方向は、鉛直方向と限らなく、配光のニーズに応じて鉛直方向に対して一定の夾角をなしてもよく、反射部3を調整することにより、入光部1から入射された光線を反射部3により出光部2に反射する。そして、本実施例によるレンズユニットの入光部1は、
図6および
図7に示すレンズユニットの入光部1に対して、入光方向が相違している以外、同様な光学効果を奏することができる。つまり、本実施例によるレンズユニットの入光部1は、
図6および
図7に示すレンズユニットの入光部1が反射部3に対して鏡像化したものであり、発散光線が入光部1を通って第1方向においてコリメートされたあと反射部3により反射されて水平方向に沿って出射する。本実施例によるレンズユニットの入光部1の第1方向における断面形状線が凸型曲線であり、集光可能であり、光線を屈折させる程度が比較的大きく、発散光線に対してコリメートすることができる。そして、第1方向に垂直な垂直方向の断面において、入光部1は、該垂直方向における断面形状線が直線または略直線であり、したがって、入光部1の発散光線を屈折させる能力が、第1方向の断面における入光部1の発散光線を屈折させる能力に対してはるかに弱く、コリメートすることができない。つまり、入光部1が第1方向の断面の位置範囲において発散光線に対して単一方向にコリメートすることができ、すなわち、入光部1は、主に第1方向において光線を屈折させる。このようにして、本発明によるレンズユニットを車両用ランプに適用するとき、入光部1は、第1方向の断面の位置範囲において発散光線に対して単一方向にコリメートすることができ、出光部2は、第2方向の断面の位置範囲において光線に対して単一方向にコリメートすることができ、入光部1の、光源からの光に対する第1方向における結像倍率が、出光部2の、第2方向における光源からの光に対する結像倍率より大きいため、光源からの光が該レンズユニットを通って矩形の照明配光パターンを形成することができるとともに、レンズユニットの出光部2の上下方向での寸法を比較的小さくすることができ、例えば、レンズユニットの出光部2は、上下方向での寸法が15mmであり、左右方向での寸法が60mmである。
【0062】
具体的に、レンズユニットは、折り曲がり構造であることが好ましい。
図44に示すように、入光部1、反射部3および出光部2は、順に接続して折り曲がり構造として形成される。反射部3が傾斜して設置され、入光部1と出光部2とが反射部3を介して接続されて折り曲がり状を呈し、このようにして、レンズユニットの前後方向での寸法を抑えることができ、小型化設計に寄与でき、車両用ランプ内での配置に有利である。なお、反射部3と入光部1との接続および反射部3と出光部2との接続は、必ずしも
図44に示すように直接接続されると限らなく、入光部1から入射される光線を反射部3により出光部2へ反射でき、かつ入光部1、反射部3および出光部2の配置が折り曲がり形状を呈することができればよい。
【0063】
入光部1は、その第1方向における断面形状線をその前記第1方向に垂直な方向における断面形状線に沿って移動してできた曲面とみなすことができる。例えば、
図44に示すように、入光部1は、第1方向における断面形状線が外側に凸の曲線であり、第1方向に垂直な方向(図面における前後方向)における断面形状線が直線である。同様に、出光部2は、その第2方向における断面形状線をその前記第2方向に垂直な方向における断面形状線に沿って移動してできた曲面とみなすことができ、つまり、左右方向に沿って移動してできた曲面とみなすことができる。例えば、
図44に示すように、出光部2は、第2方向における断面形状線が前に凸の曲線であり、出光部2の左右方向における断面形状線が直線である。
【0064】
さらに、
図16、
図17、
図32、
図39および
図49に示すように、各レンズユニットを左右方向に沿って直線状に配列して光学レンズを形成し、各出光部2を接続して出光面4を形成する。無論、各レンズユニットの配列が直線状に限定されなく、例えば、前後方向において、各レンズユニットを互いにずらして配置して湾曲構造を形成し、中間に位置するレンズユニットが両側に位置するレンズユニットに対してより前またはより後に配置されて、前または後ろに向かって凸出した非直線状配列をなし、出光面4を曲面として形成し、滑らかな曲面が好ましい。
【0065】
具体的な実施例において、入光部1にゾーンIII形成構造5を設置することができ、ゾーンIII形成構造5の個数が必要に応じて設計することができ、例えば、1つ、2つまたはより多くすることができる。1つの入光部1または複数の入光部1にゾーンIII形成構造5を設置し、または1つの入光部1または複数の入光部1と一体に形成するようにゾーンIII形成構造5を設ける。ゾーンIII形成構造5は、ロービーム配光パターンにおける「ゾーンIII」と呼ばれる重要な構成部分を形成するためのものである。ゾーンIIIは、ロービームカットオフラインの上方に位置し、該領域に投光された光線が、運転手が標識などの情報を取得できるように標識などの路面の上方に位置する物体を照明するためである。
【0066】
図40に示すように、ゾーンIII形成構造5は、光学レンズの内部に凹んで形成された凹溝であり、凹溝の長手方向を水平方向にするように設定され、凹溝の前後方向における断面形状線が弧形を呈し、このようにして、該ゾーンIII形成構造5に照射された光線が車体の高さ方向において拡散することができる。また、ロービームゾーンIII配光パターンを形成する該レンズは、構造が簡単であるとともに光学レンズ以外の空間を占めないため、ロービームゾーンIII配光パターンを形成する光学レンズによれば、車両用ランプ内の各部品の位置および個数が変化しても、ゾーンIII形成構造5と他の部品との干渉を防止することができ、車両用ランプの内部の部品のレイアウトの柔軟性および光学的安定性を向上させることができる。好ましくは、具体的な実施において、入光部1に一体に成形する方法でゾーンIII形成構造5を設置し、該方法によれば、構造全体がより強固であり、損壊しにくく、使用寿命がより長い。
【0067】
図41~
図43に示すように、ゾーンIII形成構造5の具体的な実施構造として、凹溝内に、凹溝の幅方向(上下方向)に延在する複数の長尺状突起部および長尺状凹部の少なくとも一方が、凹溝の長手方向において順に設けられまたは一体に形成され、光学レンズの内部に向かう方が凹であり、光学レンズの外部に向かう方が凸である。長尺状突起部および長尺状凹部により、光線を車体の幅方向に拡散することができ、これによって、形成されたロービームゾーンIII配光パターンの幅がより大きく、配光パターンがより均一であり、配光パターンの照度を法的規制要求の範囲内まで抑えることができ、運転手により広い照明範囲を提供し、運転手が路面両側の標識をより容易に確認することができる。また、一体成形の設計により、ゾーンIII形成構造5は、他の製造方法によるものに対して壊れにくく、使用寿命がより長い。
【0068】
図1、
図10および
図15に示すように、本発明による光学レンズと光源6とを組み合わせて照明モジュールを形成することができ、この場合、光学レンズを直接一次光学部材とし、各光源6と各入光部1とを対応して配置することができる。具体的に、光源6を光学レンズの焦点付近またはフォーカス領域に設置する。または、
図16および
図53に示すように、本発明による光学レンズを二次光学素子とし、一次光学部材7により光源6から出射される光線を光学レンズの焦点またはフォーカス領域に集光し、そして光学レンズに入射させるようにしてもよい。
【0069】
なお、本発明による光学レンズは1つのレンズユニットにより構成されることができ、したがって、
図1、
図8、
図10、
図11、
図15、
図45または
図48に示す照明モジュールを形成する。例えば、
図8に示す実施例において、一次光学部材7にロービームカットオフ構造が設置され、これによって、
図9に示すロービーム配光パターンを形成することができる。
【0070】
照明モジュールの具体的な一実施例として、
図16および
図17に示すように、各光源6と各一次光学部材7とが一対一で対応するように設置され、光源6が対応の一次光学部材7の焦点または焦点付近の領域に配置される。一次光学部材7により光源6から出射される光線を集光して対応の入光部1に照射し、光線を光学レンズに入射させるように、各一次光学部材7が各入光部1と一対一で対応して設置される。一次光学部材7は、リフレクタ、集光器または集光カップなどの光学素子であり得る。
【0071】
好ましくは、一次光学部材7はリフレクタである。
図20および
図21に示すように、リフレクタは、放物面リフレクタまたは略放物面リフレクタであり、対応の光源6に近接した側の境界にロービームカットオフ構造が設置される。
【0072】
図18および
図19に示すように、ロービームカットオフ構造は、メインロービームカットオフライン構造71と補助ロービームカットオフライン構造72とを含む。メインロービームカットオフライン構造71は、
図23に示すロービーム配光パターンにおける、エルボー点をもつカットオフラインを有する部分を形成するためのものであり、説明を簡単にするため、この部分の配光パターンがメインロービーム配光パターンと略称され、ロービーム配光パターンの中心領域配光パターンである。補助ロービームカットオフライン構造72は、
図25に示すロービーム配光パターンにおける、水平カットオフラインを有する部分を形成するためのものであり、説明を簡単にするため、この部分の配光パターンが補助ロービーム配光パターンと略称され、ロービーム配光パターンの横幅を拡張することができる。説明を簡単にするため、2つのリフレクタを用いるもので例示し、1つのリフレクタ4の、対応の光源6に近接した側の境界にメインロービームカットオフライン構造71が形成され、他のリフレクタの、対応の光源6に近接した側の境界に補助ロービームカットオフライン構造72が形成される。
図22に示すように、1つの光源6からの光線が、メインロービームカットオフライン構造71を有するリフレクタにより反射されたあと、対応の入光部1から光学レンズに入射され、そして出光部2から車両の前方に投光され、ロービーム配光パターンにおける、
図23に示すようなエルボー点をもつカットオフラインを有するメインロービーム配光パターンが形成される。また、
図24に示すように、もう1つの光源6からの光線が、補助ロービームカットオフライン構造72を有するリフレクタにより反射されたあと、対応の入光部1から光学レンズに入射され、そして出光部2から車両の前方に投光され、ロービーム配光パターンにおける、
図25に示すような水平カットオフラインを有する補助ロービーム配光パターンが形成される。補助ロービームカットオフライン構造72に対応する入光部1の曲率がメインロービームカットオフライン構造71に対応する入光部1の曲率より大きく、これによって、出光部2から出射される光線がより大きい左右角度で拡散し、配光パターンの横幅が拡張することができる。2種の配光パターンが重ねて
図26に示すような完全なロービーム配光パターンを形成することができる。メインロービームカットオフライン構造71を有するリフレクタおよび補助ロービームカットオフライン構造72を有するリフレクタのそれぞれの個数は、必要に応じて設定することができる。無論、メインロービームカットオフライン構造71を有するリフレクタだけを設置し、従来の車両用ランプモジュールと組み合わせて、従来の車両用ランプモジュールによりロービーム配光パターンにおける補助ロービーム配光パターンを形成し、ロービーム配光パターンの横幅を拡張するようにしてもよい。または、補助ロービームカットオフライン構造72を有するリフレクタだけを設置し、従来の車両用ランプモジュールと組み合わせて、従来の車両用ランプモジュールによりロービーム配光パターンにおけるメインロービーム配光パターンを形成し、完整なロービーム配光パターンを得るようにしてもよい。
【0073】
対応に、入光部1は、メインロービーム入光部11および補助ロービーム入光部12に分けられ、メインロービーム入光部11とメインロービームカットオフライン構造71とが対応して設置され、補助ロービーム入光部12と補助ロービームカットオフライン構造72とが対応して設置される。さらに、メインロービーム入光部11の、前記第1方向に垂直な方向における断面形状線と、補助ロービーム入光部12の、前記第1方向に垂直な方向における断面形状線とがなす角が0.2°~1°である。
【0074】
具体的に、
図29~
図31に示す実施例において、第1方向が水平方向であり、メインロービーム入光部11の鉛直方向における断面形状線と補助ロービーム入光部12の鉛直方向における断面形状線とが0.2°~1°の夾角をなしており、これによって、メインロービーム入光部11の入射光線が出光部2による屈折により上へ屈折し、メインロービームの光線がエルボー点をもつカットオフラインにより近く、エルボー点をもつカットオフライン付近の光線量が増加し、ロービーム照明効果が向上し、ロービームでの視認性がよりよい。例えば、補助ロービーム入光部12の鉛直方向における断面形状線が鉛直方向に沿って延在し、メインロービーム入光部11の鉛直方向における断面形状線が、鉛直方向に対して0.2°~1°傾斜する。
【0075】
具体的な実施形態において、メインロービームカットオフライン構造71は、段差を有する直線部および曲線部の少なくとも一方により接続されて形成される折り曲がり線部である。すなわち、該折り曲がり線部は、段差を有する2つの直線部を含んでもよく、段差を有する2つの曲線部を含んでもよく、段差を有する1つの直線部および1つの曲線部を含んでもよい。補助ロービームカットオフライン構造72は、直線部または曲線部であり、すなわち、段差のない直線部または曲線部である。
【0076】
なお、本発明による照明モジュールは、ハイビーム照明モジュールに適用してもよく、リフレクタにカットオフ構造の設置が不要であり、光学レンズの焦点がリフレクタの反射面に設けられ、光源6からの光線が、リフレクタにより光学レンズの入光部1へ反射されて、出光部2から出射され、細長いハイビーム配光パターンを形成することがきできる。また、本発明による照明モジュールは、ハイビーム機能およびロービーム機能をともに有してもよく、すなわち、ハイビームとロービームが一体にされた照明モジュールを形成する。本発明による光学レンズの一部の入光部1に対応する光源6およびリフレクタの相対的な位置を
図21に示すように設置し、リフレクタの下境界にロービームカットオフ構造を設置し、本発明による光学レンズの他の部分の入光部1に対応するリフレクタにカットオフ構造の設置が不要で、相応の光源6のオンオフを制御することにより、ハイビーム機能およびロービーム機能を実現する。
【0077】
具体的な一実施例において、
図33~
図36に示すように、各入光部1をそれぞれ複数のリフレクタと対応するように設置することによりハイビーム照明モジュールを形成する。このような構造設計によれば、車両用ランプがアダプティブドライビングハイビーム(ADB)機能を実現することができる。例えば、本発明によるハイビーム照明モジュールが具体的な車両に適用し、各リフレクタが左右方向において接続して配置され、各入光部1も左右方向において接続して配置され、各光源6をオン、オフすることにより制御を行う。夜間走行のとき、すべての光源6がオン状態になるとき、
図37に示すハイビーム配光パターンを形成することができ、対向車線に他の道路利用者が存在すると検出されたとき、
図38に示すように、対応の各光源6をオフにするように制御することにより、検出された他の道路利用者の対応する位置のハイビーム配光パターン領域を暗い領域にし、これによって、道路の他の利用者を眩惑させることを避けて、安全事故を防止することができる。各入光部1のそれぞれが複数のリフレクタと対応する設置方式によれば、各リフレクタがそれぞれ1つの領域の配光パターンに対応し、各光源6に対する制御することにより、各リフレクタに対応する領域を暗い領域にすることができ、アダプティブドライビングハイビーム(ADB)機能を実現することができる。そして、入光部1が主に水平方向において光線を屈折させ、出光部2が主に鉛直方向において光線を屈折させ、これによって、入光部1の、光源6からの光に対する水平方向における結像倍率が、出光部2の、光源6からの光に対する鉛直方向における結像倍率より大きく、光源6からの光が該光学レンズを通って矩形の照明配光パターンを形成することができる。そして、上記の従来技術による一般的な球面レンズに対して、本発明は、同じ配光効果を保証するうえ、光学レンズの上下方向での寸法を抑えることができ、出光部2の上下方向での寸法を20mm以下の範囲にすることができ、したがって、細長いハイビーム照明モジュールを得ることができ、上下寸法が抑えられても、比較的高い光学効率を得ることができる。例えば、出光部2の上下方向での寸法を15mmにする場合、光学効率が44~50%(車両用ランプカバーなどの外部部品による損失を含む)に達することができ、この光学効率が、従来技術によるレンズの開口が30mm以上(特に40mm以上)にされた場合の光学効率に相当する。
【0078】
具体的な実施例において、
図45~
図47、
図49~
図52に示すように、本実施例による照明モジュールは、ロービーム照明に用いられ、一次光学部材7と光学レンズとを備える。光学レンズは、左右方向において接続される複数のレンズユニットを含み、レンズユニットが、第1単方向にコリメートする入光部1と、反射部3と、第2単方向にコリメートする出光部2とを含み、各出光部2が接続されて出光面4を形成し、各反射部3が接続されて反射面30を形成する。光源6からの光線が、対応の一次光学部材7により反射されたあと、略平行な光束で光学レンズの入光部1に照射し、反射面30が傾斜して配置されるため、光学レンズが折り曲がり形状を呈し、したがって、照明モジュールの前後方向での寸法を抑えることができる。
図47に示すように、一次光学部材7の前部の境界(一次光学部材7のロービーム源6に近接した側の境界)にロービームカットオフ構造を設置し、または、一次光学部材7と光学レンズの入光部1との間に、ロービームカットオフ構造を有する遮光プレートまたは他の遮光部材を設置して、ロービーム照明機能を実現することができる。ロービームゾーンIII配光パターンを形成するように、1つまたは複数の入光部1にゾーンIII形成構造5を設けてもよく、または、フォグライトまたはコーナリングランプなどの車両照明装置に適用することもできる。一次光学部材7は、放物面リフレクタまたは略放物面リフレクタであることが好ましい。
【0079】
無論、上記の実施例による光学レンズは、ハイビーム照明に使用してもよく、
図48によりハイビーム照明に使用される実施例が示され、ロービーム照明に使用される光学モジュールに対して、主に、カットオフ構造およびゾーンIII形成構造5を設けないことにおいて相違している。または、本発明による光学レンズをハイビームとロービームが一体にされた照明モジュールに使用してもよく、この場合、本発明による光学レンズの一部の入光部1に対応する一次光学部材7および光源6の相対的な位置を
図45に示すように設置し、一次光学部材7の前部の境界にロービームカットオフ構造を設置し、本発明による光学レンズの他の部分の入光部1に対応する一次光学部材7にカットオフ構造の設置が不要で、光源6との相対的な位置を
図48に示すように設置し、相応の光源6のオンオフを制御することにより、ハイビーム機能およびロービーム機能を実現する。
【0080】
なお、光学レンズが折り曲がり形状を呈し、具体的な照明モジュールに取り付けられるとき、
図44~
図49に示すような上へ折り曲がる配置方式であってもよく、
図53に示すような下へ折り曲がる配置方式であってもよく、実際の取付状況に応じて具体的に選択することができる。
【0081】
図49および
図50は、光学レンズの1種の具体的な構造形式を示しており、ここで、各反射部3が接続されて反射面30を形成し、各入光部1が左右方向において順に接続される。無論、光学レンズは、他の具体的な構成形式のものであってもよく、例えば、各レンズユニットの間に隙間を設け、すなわち、各入光部1が左右方向において間隔をあけて配置され、各反射部3の間にくさび状隙間を設け、くさび状隙間が入光部1から出光面4の方向へ漸次小さく、これによって、各入光部1による光が互いに影響しなく、各入光部1に対応する照明領域の独立性および各照明領域の配光効果を保証することができる。
【0082】
本発明により光学レンズに対して特別な設計を行うことにより、入光部1が第1方向において光線を単一方向にコリメートする光学特性を有するとともに、出光部2が第2方向において光線を単一方向にコリメートする光学特性を有する。なお、上記の「第1単方向にコリメートする」を、下記のように理解することができる。第1方向の断面において、入光部1は、第1方向における断面形状線が凸型曲線であり、集光可能であり、光線を屈折させる程度が比較的大きく、発散光線に対してコリメートすることができる。そして、第1方向に垂直な垂直方向の断面において、入光部1は、該垂直方向における断面形状線が直線または略直線であり、したがって、入光部1の発散光線を屈折させる能力が、第1方向の断面における入光部1の発散光線を屈折させる能力に対していはるかに弱く、コリメートすることができない。つまり、入光部1が第1方向の断面の位置範囲において発散光線に対して単一方向にコリメートすることができ、すなわち、入光部1は、主に第1方向において光線を屈折させる。同様に、上記「第2単方向にコリメートする」を、下記のように理解することができる。第2方向の断面において、出光部2は、第2方向における断面形状線が凸型曲線であり、集光可能であり、光線を屈折させる程度が比較的大きく、発散光線に対してコリメートすることができる。そして、第2方向に垂直な垂直方向の断面において、出光部2は、該垂直方向における断面形状線が直線または略直線であり、したがって、出光部2の発散光線を屈折させる能力が、第2方向の断面における出光部2の発散光線を屈折させる能力に対してはるかに弱く、コリメートすることができない。つまり、出光部2が第2方向の断面の位置範囲において光線に対して単一方向にコリメートすることができ、すなわち、出光部2は、主に第2方向において光線を屈折させる。このようにして、本発明による光学レンズを車両用ランプに適用するとき(実際の応用において、出光部2の上下方向と車両用ランプの上下方向とはほぼ同じである)、入光部1が第1方向の断面の位置範囲において発散光線に対して単一方向にコリメートすることができ、出光部2が第2方向の断面の位置範囲において光線に対して単一方向にコリメートすることができるため、入光部1の、光源からの光に対する第1方向における結像倍率が、出光部2の、光源からの光に対する第2方向における結像倍率より大きく、光源6からの光が該光学レンズを通って矩形の照明配光パターンを形成することができ、そして、光学レンズは、出光部2の上下方向における寸法が比較的小さく、例えば、出光面2の上下方向での寸法が15mmであり、左右方向での寸法が60mmである。本発明による光学レンズを具体的な車両に適用するとき、車両の前照灯などの車両用ランプの上下方向での外観的開口の寸法が比較的小さく、細長い形状の車両用ランプに対する市場のニーズに応えることができる。
【0083】
一次光学部材7は、集光器などの他の一次光学部材であってもよい。光源6は、半導体光源であってもよく、例えば、LED光源および半導体レーザー光源が挙げられる。LED光源は、新エネルギーのものとして、従来の光源の代りとして使用されており、省エネかつ環境にやさしいだけでなく、使用寿命が長く、輝度が高く、性能が安定であり、発光純度が高いため、LED光源を用いる車両照明装置は、応用に見込みがある。半導体レーザー光源は、指向性が強く、発散しにくいため、光線が、光線を干渉する部品をより容易に避けることができる。
【0084】
一般的に、光源6の発光中心を対応の一次光学部材7の焦点領域に設け、焦点領域が、焦点を含む焦点付近の領域である。具体的に、光源6の発光中心を一次光学部材7の焦点に設けてもよく、配光の要求に応じて、光源6の発光中心を上記の焦点から一定距離でずらして設けてもよく、例えば、光源6の発光中心と一次光学部材7の焦点との間の距離を2mm以下にする。一次光学部材7は、リフレクタであることが好ましく、リフレクタは、放物面リフレクタまたは略放物面リフレクタであり得る。
【0085】
また、本発明による照明モジュールを車両用ランプに取り付けることができ、車両用ランプの外観的開口の上下方向での寸法を20mm以下にし、例えば、出光面2の上下方向での寸法を15mmにする場合、光学効率が44~50%(車両用ランプカバーなどの外部部品による損失を含む)に達することができ、この光学効率が、従来技術によるレンズの開口が30mm以上(特に40mm以上)にされた場合の光学効率に相当する。さらに、上記の車両用ランプを具体的車両に適用すれば、細長い形状の車両用ランプを有する車両に対する市場のニーズを満たすことができるとともに、配光パターン、光学性能および光学効率などに影響を与えない。そして、本発明による光学レンズの折り曲がり構造の設計によれば、照明モジュールの前後方向での寸法を抑えることができ、車両用ランプの小型化、車両用ランプの車両における配置、設計に寄与できる。
【0086】
本発明による照明モジュールを車両用ランプに取り付ける場合、一般的に、
図27および
図28に示すように、光源6が回路基板8に取り付けられる。具体的に、光源6が回路基板8の取付面に取り付けられ、より多くの光線を光学レンズに通すように、光源6が水平方向に対して
図28に示すように規定角度で傾斜し、その角度が5°以上であることが好ましく、
図28に示す実施例が20°であり、つまり、回路基板7における光源1を取り付ける取付面と水平方向とがなす夾角が5°以上である。また、回路基板7が生じた熱を放熱するように、回路基板7がさらに放熱装置8と接続される。
【0087】
本発明による車両用ランプは上記の照明モジュールを採用するため、相応の車両用ランプの設計により、車両用ランプを平らでかつ広い外観形状にすることができ、例えば、車両の前照灯を細長い形状にすることができる。
【0088】
本発明による車両は、上記の車両用ランプを採用するため、上記の車両用ランプに関する実施例による技術案が奏するすべての有益な効果を少なくとも有し、ここで説明を省略する。
【0089】
上記は、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明がこれらに限定されない。本発明の技術的思想の範囲内で、本発明の技術案に対して各具体的な技術的特徴を任意の適切な方式で組み合わせることを含む多種の簡単な変形を行うことができる。必要以上の重複を避けるため、本発明の各種の組合せ可能な態様の説明を省略する。これらの簡単な変形や組合せも、本発明に開示されたものとみなすべきであり、本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0090】
1 入光部
11 メインロービーム入光部
12 補助ロービーム入光部
2 出光部
4 出光面
3 反射部
30 反射面
5 ゾーンIII形成構造
6 光源
7 一次光学部材
71 メインロービームカットオフライン構造
72 補助ロービームカットオフライン構造
8 回路基板
9 放熱装置