(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】機械駆動用途におけるガスタービン及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
F02C 7/36 20060101AFI20240520BHJP
F01D 15/10 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
F02C7/36
F01D15/10 Z
(21)【出願番号】P 2022566078
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2021025154
(87)【国際公開番号】W WO2021223910
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】102020000009721
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンティーニ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】スカルポーニ、マルコ
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-121424(JP,A)
【文献】特開2011-256870(JP,A)
【文献】特開2014-070637(JP,A)
【文献】特表2016-522347(JP,A)
【文献】特開昭62-045941(JP,A)
【文献】特開2012-092653(JP,A)
【文献】特開2013-170524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 15/10
F02C 3/10
F02C 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械を含む負荷を駆動するための駆動システムであって、
動力を発生するように構成されたガスタービンと、
電力グリッドに接続可能な電気モータ/発生器であって、電力グリッドから
電力を吸収するモータとして、かつ前記電力グリッドに
電力を注入する発生器として、動作することができる、電気モータ/発生器と、
前記ガスタービンを接続解除するための、前記ガスタービンと前記電気モータ/発生器との間に接続された第1の接続解除装置と、
前記負荷を接続解除するための、前記負荷と前記電気モータ/発生器との間に接続された第2の接続解除装置と、を備え
、
前記第1の接続解除装置及び前記第2の接続解除装置の各々が、2つの機械的部品で作製されており、
前記電気モータ/発生器が、可変周波数駆動電気モータ(VFD電気モータ)であり、前記2つの機械的部品の機械的係合解除を確実にするために、前記第1の接続解除装置及び前記第2の接続解除装置の各々の一方の機械的部品を他方の機械的部品に対して逆回転させるように動作される、駆動システム。
【請求項2】
前記第1の接続解除装置が、自己同期クラッチ又はオーバーランニングクラッチである、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項3】
前記第2の接続解除装置が、自己同期クラッチ又はオーバーランニングクラッチである、請求項1
又は2に記載の駆動システム。
【請求項4】
プログラムされた電子コントローラを備え、当該電子コントローラによってプログラムを実行することにより、前記第
1の接続解除装置及び
前記第2の接続解除装置
の接続解除又は接続が
行われる、請求項1
から3のいずれか1項に記載の駆動システム。
【請求項5】
前記駆動システムが、前記第1の接続解除装置を閉じて、前記第2の接続解除装置を開き、前記電気モータ/発生器を発生器として動作させることで、前記負荷が接続解除され、前記ガスタービンによって発生した動力を電力として前記電力グリッドに送達する、最大ガスタービンモードで動作し、
前記駆動システムが、前記第1の接続解除装置を閉じて、前記第2の接続解除装置を閉じ、前記電気モータ/発生器をモータとして動作させることで、前記負荷が、前記ガスタービン及び前記電力グリッドの両方からエネルギーを受容するヘルパーモードで動作し、
前記駆動システムが、前記第1の接続解除装置を閉じて、前記第2の接続解除装置を閉じて、前記電気モータ/発生器を発生器として動作させることで、前記ガスタービンによって発生したエネルギーの一部が、前記負荷に送達され、かつ一部が、前記電力グリッドに電力として送達される発生器モードで動作し、
前記駆動システムが、前記第1の接続解除装置を開き、前記第2の接続解除装置を閉じ、前記電気モータ/発生器をモータとして動作させることで、前記ガスタービンが接続解除され、前記負荷が前記電力グリッドから給電された前記電気モータ/発生器によって動力を供給される、最大電気モードで動作する、請求項1から4のいずれか1項に記載の駆動システム。
【請求項6】
前記ガスタービンが、
ガス発生器であって、
ガス発生器圧縮機と、
高圧タービンと、
燃焼器と、を備える、ガス発生器と、
動力タービン又は低圧タービンと、
前記動力タービン又は低圧タービンを前記第1の接続解除装置に接続する、連結シャフトと、を備える、請求項1
から5のいずれか1項に記載の駆動システム。
【請求項7】
前記ガスタービンが、ヘビーデューティ又は航空転用ガスタービンである、請求項1
から6のいずれか1項に記載の駆動システム。
【請求項8】
負荷を駆動するための駆動システムを動作させるための方法であって、前記駆動システムが、
動力供給を発生させるように構成されたガスタービンと、
電力グリッドに接続可能な電気モータ/発生器であって、電力グリッドから
電力を吸収するモータとして、かつ前記電力グリッドに
電力を注入する発生器として、動作することができる、電気モータ/発生器と、
前記ガスタービンと前記電気モータ/発生器との間に接続された第1の接続解除装置と、
負荷と前記電気モータ/発生器との間に接続された第2の接続解除装置と、を備え、
前記第1の接続解除装置及び前記第2の接続解除装置の各々が、2つの機械的部品で作製されており、
前記電気モータ/発生器が、可変周波数駆動電気モータであり、前記2つの機械的部品の機械的係合解除を確実にするために、前記第1の接続解除装置及び前記第2の接続解除装置の各々の一方の機械的部品を他方の機械的部品に対して逆回転させるように動作され、
前記方法が、
前記第1の接続解除装置を閉じるステップと、
前記第2の接続解除装置を開くステップと、
前記電気モータ/発生器を発生器として動作させるステップと、を含み、
よって、前記駆動システムを最大ガスタービンモードとして動作させ、前記負荷が、接続解除され、前記ガスタービンによって発生した動力を
電力として前記電力グリッドに
送達することができる、方法。
【請求項9】
前記第1の接続解除装置を閉じるステップと、
前記第2の接続解除装置を閉じるステップと、
前記電気モータ/発生器をモータとして動作させるステップと、を含み、
よって、前記駆動システムをヘルパー
モードとして動作させ、前記負荷が、前記ガスタービン及び前
記電力グリッドの両方からエネルギーを受容する、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の接続解除装置を閉じるステップと、
前記第2の接続解除装置を閉じるステップと、
前記電気モータ/発生器を発生器として動作させるステップと、を含み、
よって、前記駆動システムを発生器モードとして動作させ、前記ガスタービンによって発生した動力の一部が、前記負荷に送達され、かつ一部が、前記電力グリッドに
電力として送達される、請求項
8又は9に記載の方
法。
【請求項11】
前記第1の接続解除装置を開くステップと、
前記第2の接続解除装置を閉じるステップと、
前記電気モータ/発生器をモータとして動作させるステップと、を含み、
よって、前記駆動システムを最大電気モードとして動作させ、前記ガスタービンが、
接続解除され、前記負荷が、前記電力グリッドから導出された
電力によって
駆動される前記電気モータ/発生器によって
動力を供給される、請求項
8から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記駆動システムが、プログラムされた電子コントローラを備え、当該電子コントローラによってプログラムを実行することにより、前記第1の接続解除装置及び前記第2の接続解除装置の接続解除又は接続が行われる、請求項8から11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、最大動力発生モードが必要とされるときに効率を高めることができる機械駆動用途で使用されるガスタービンシステムの改善に関する。具体的には、排他的ではないが、本開示は、負荷、例えば、液化天然ガス施設における冷媒流体用の圧縮機、パイプライン輸送においてガスを圧縮するための圧縮機、ポンプ、又は任意の他の回転機械を駆動するためのハイブリッドガスタービンシステムに関する。
【0002】
本開示は、ガスタービンシステムを動作させるための方法の改善に更に関する。
【背景技術】
【0003】
液化天然ガス(Liquefied Natural Gas、LNG)は、液化プロセスから生じ、液化プロセスでは、カスケード配置の1つ以上の冷凍サイクルを使用して、天然ガスが液体になるまで冷却される。天然ガスは、しばしば、特にパイプライン輸送ができないときに、貯蔵又は輸送の目的で液化される。
【0004】
天然ガスの冷却は、閉じた又は開いた冷凍サイクルを使用して行われる。冷媒は、1台又は複数台の圧縮機で処理、凝縮、及び膨張される。膨張して冷えた冷媒は、熱交換器内を流れている天然ガスから熱を除去するために使用される。
【0005】
可能な場合、又は経済的に適当である場合、一般に、ガスを輸送するためにパイプライン輸送が使用される。パイプライン内のガスを加圧状態に維持するために、1台以上の圧縮機がパイプラインに沿って配置される。
【0006】
LNGの冷媒圧縮機、パイプライン用途の圧縮機、又は石油及びガス産業における用途の他の回転装置は、しばしば、ガスタービンによって駆動される。ガスタービンの動力可用性は、周囲条件、すなわち、気温並びに他の特定の因子に依存する。タービンの動力可用性は、周囲温度に反比例する。これは、一日の又は季節による温度の変動のため、動力可用性を変化させる。
【0007】
電気機械又はより具体的には電気モータ/発生器が、1つ以上の圧縮機又はポンプなどの負荷を駆動するために、ガスタービンと組み合わせて関連付けられる、いわゆるハイブリッドガスタービンが市場で入手可能である。電気モータ/発生器は、当初は、負荷への機械力を補うために、タービンの動力可用性が減少したときの負荷シャフト上の全体的な機械力を一定に保つために、及び/又は負荷を駆動するために使用される総機械力を増加させるために使用されていた。電気モータ/発生器のこの機能は、ヘルパーデューティと称される。別の電気モータ、又は代替的に、空気圧モータ/発生器はまた、通常、ガスタービンをゼロから定格速度まで加速するためのスタータモータとしても使用される。
【0008】
代わりに、余剰の機械力がタービンによって発生したときに、例えば、周囲温度が設計温度よりも低下し、その結果、タービンの動力可用性が増加した場合、又は圧縮機によって必要とされる機械的負荷が低下した場合、ガスタービンによって発生した余剰の機械力は、電気ヘルパーモータ/発生器を発生器として使用して電力に変換される。
【0009】
今日では、必要な場合に、例えば、電力グリッドの消費ピークの場合に動力を供給することが可能なシステムに対する要求が増加している。
【0010】
この目的のために、トレイン構成システムとも呼ばれる上述のシステム構成が採用される。より具体的には、このシステムは、通常、前述のように、ガスタービンと、圧縮機、ポンプ、又は同様のものなどの負荷と、シャフトを通して負荷に接続された電気モータ/発生器と、ガスタービンと負荷の間に介在される自己同期クラッチと、を備える。また、電気モータ/発生器が電力グリッドに接続される。したがって、電気モータ/発生器は、負荷を駆動する(又は駆動に寄与する)ように電力グリッドから電力を吸収するモータとして、又は余剰の電力を電力グリッドに供給する発生器として動作することができる。
【0011】
ハイブリッドガスタービンシステムは、4つのモード、すなわち、ヘルパーモード、発生器モード、最大電気モード、及び最大ガスタービンモード(全電力発生モードとも称される)で動作することができる。
【0012】
ヘルパーモードでは、ガスタービン及び電気モータ/発生器の両方が負荷に供給する。この場合、クラッチが接続され、電気モータ/発生器は、電力グリッドからエネルギーを吸収するモータとして動作し、更に、ガスタービンが負荷にエネルギーを供給する。したがって、負荷が受容する動力は、ガスタービンによって発生した動力と電気モータ/発生器によって発生した動力の合計である。
【0013】
発生器モードでは、クラッチが接続され、ガスタービンがエネルギーを負荷に供給し、電気モータ/発生器が発生器として動作し、したがって、生じ得る余剰のエネルギーを電力グリッドに送給する。かかる動作モードでは、ガスタービンによって発生した動力は、実際には、負荷への送給と、電力グリッドへのエネルギーの導入と、に分けられる。
【0014】
最大電気モードでは、クラッチが接続解除され、すなわち、クラッチが開かれ、よって、ガスタービンが、更にはシャットダウンされ得、したがって、全く機能しない場合があり、一方で、電気モータ/発生器が負荷を駆動し、したがって、電力グリッドからエネルギーを吸収し、よって、電気モータ/発生器がモータとして動作する。この構成では、クラッチは、トレインシステムをゼロエミッション動作に変換するために使用される。
【0015】
最後に、最大動力発生モード、すなわち、第4の動作モードでは、クラッチが接続され、圧縮機又はポンプなどの負荷が、最低動作速度に保たれるので、最小トルクを吸収し、電気モータ/発生器が発生器として動作し、ガスタービンが動力を発生する。この動作モードは、通常、電力グリッドによって要求される動力吸収ピークが存在するたびに動作され、したがって、タービンによって発生した動力は、電気エネルギーに変換されて、電力グリッドに注入されなければならない。
【0016】
動力の需要が高い場合は、最大エネルギーを供給することが必要である。したがって、電気機械によって発生する動力を増加させることが必要である。この状況において、電力グリッドの抵抗トルクが増加されると想定すれば、高エネルギーの需要のため、ガスタービンは、必然的に全電力-低速モードで動作する。これは、1分当たりのガスタービンの回転数が非常に低いことを意味し、特に、以下の式が成り立つことを意味する。
【0017】
【0018】
【数2】
は、電気モータによって吸収された動力であり、cは、抵抗トルクであり、nは、電気モータ/発生器の回転数である。
【0019】
しかしながら、圧縮機又はポンプなどの負荷は、発生器として動作している間、ガスタービンから動力を吸収し、これは、電気モータ/発生器によって吸収される動力の低減を生じさせる。
【0020】
特に、例えば、圧縮機(更にはポンプ又は同様のものなどの任意の機械的負荷)は、主に安定性/動作性のために、回転数nの閾値よりも低く回転させることができないと考えられる。そのため、発生した動力の一部が必然的に失われる。
【0021】
負荷の正しい動作のために必要とされる最低動作速度の課題は、一般に、2つの主な態様に起因する。第1の態様は、流体力学的性質を有するが、他方は、回転力学的性質を有する。第1の態様に関しては、圧縮機の場合のサージ若しくはチョッキング、又はポンプの場合のキャビテーションと考えることができる。回転力学的問題に関して、一般に、特定の回転閾値の下には、圧縮機タービンシャフトの臨界速度が存在し得、これは、シャフトを実質的に振動させ、様々な動作上の問題、更にはシャフト破断を生じさせる。
【0022】
換言すれば、上で説明した構成による、先行技術によるハイブリッドガスタービンシステムは、圧縮機/ポンプが、常に回転モードにあり、吸収される動力(損失とみなされる)が、ガスタービンによって発生した動力の約数パーセントポイントの大きさ(約7~12%)であるので、最大動力発生モード中に動力損失を有する。
【0023】
したがって、本分野では、必要な場合に負荷に伝送される動力を最大にすることができる、改善されたハイブリッドガスタービンシステムが歓迎される。より具体的には、最大動力発生モードが必要とされる場合に効率を高める、ハイブリッドガスタービンを備えるトレインシステムが歓迎される。
【発明の概要】
【0024】
一態様では、本明細書に開示される主題は、ポンプ、圧縮機、又は同様のものなどの負荷を駆動するための駆動システムを対象とする。駆動システムは、動力を発生させるためのガスタービンと、電力グリッドに接続可能な可変周波数駆動電気モータ(variable frequency drive、VFD電気モータ)などの電気モータ/発生器と、を備える。電気モータ/発生器は、電力グリッドから動力を吸収するモータとして、及び電力グリッドに動力を注入する発生器として動作することができる。
【0025】
駆動システムはまた、ガスタービンを接続解除するための、ガスタービンとVFD電気モータとの間に接続された第1の自己同期クラッチ又はオーバーランニングクラッチと、負荷を接続解除するための、負荷とVFD電気モータとの間に接続された第2の自己同期クラッチ又はオーバーランニングクラッチと、を備える。
【0026】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、第1及び第2の自己同期クラッチが、操作者によって手動で、又はアクチュエータによって自動的に動作される駆動システムに関する。
【0027】
別の態様では、負荷を駆動するための駆動システムを動作させるための方法であって、第1の接続解除装置を閉じるステップと、第2の接続解除装置を開くステップと、電気モータ/発生器を発生器として動作させるステップと、を含み、よって、駆動システムを最大ガスタービンモードとして動作させ、負荷が、接続解除され、ガスタービンによって発生した動力を電力グリッドに伝達することができる、方法が本明細書に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の開示の実施形態とそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面に関連して考えながら以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より容易に得られるであろう。
【
図1】本開示による、駆動システム配置のスキームを例示する。
【
図2】本開示による、駆動システムを動作させるための方法のフローチャートを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
時には、電力グリッドにストレスを生じさせる消費ピークが存在する。追加のエネルギーを供給するために、機械的負荷を駆動するために使用されるガスタービンが、ポンプ又は圧縮機として使用される。ガスタービンによって生成された機械的エネルギーは、電気モータ/発生器装置によって電気エネルギーに変換される。ガスタービンから電力式グリッドへのエネルギー伝達効率を最適にするために、接続解除装置の提供とともに、新しいレイアウトが使用される。このようにして、負荷を機械的に排除して、負荷をガスタービンから係合解除し、よって、後者の全てのエネルギーを、モータ/発生器装置によって電力グリッドに注入することができる。
【0030】
より具体的には、一態様によれば、本主題は、ガスタービン及び電気モータ/発生器を備える機械駆動用途で使用される、ハイブリッドガスタービン駆動システムを対象とする。本駆動システムは、任意の動作又は必要性において柔軟であるように、通常モード、すなわち、ヘルパーモード、発生器モード、全電気モード、及び最大動力発生モードとして動作することができる。本システムのレイアウトは、システムが最大動力発生モードで動作するときに、ガスタービンが駆動するように適合される負荷を動力発生回路から排除して、ガスタービンによって発生した動力の一部を負荷が吸収することを防止し、したがって、必要な場合に、負荷に伝送される動力を最大にすることができるものである。
【0031】
負荷の排除は、必要性に応じて選択的に開閉することができる接続解除装置によって達成される。この解決方法は、最大動力発生モードのガスタービンとともに動作して、機械的に駆動される機器(負荷)を接続解除することを可能にする。このようにして、ガスタービンの全ての動力が電力に入る。これは、機械的に駆動される機器(ポンプ又は遠心圧縮機など)が常に接続されたままになることを防止し、したがって、最大動力発生モードが必要とされるときに、後者が動力を吸収することも防止する。
【0032】
電力の高い需要が必要とされるときに、接続解除装置(負荷に接続される)が開き、よって、ガスタービン及び電気モータ/発生器は、最大動力を発生して電力グリッドに伝達し、エネルギーを供給して、要求されたエネルギーのピークに対処することができる。
【0033】
以下、図面を参照すると、
図1は、本明細書に開示される主題の一実施形態を例示する。具体的には、ガスタービン2と、第1の接続解除装置3と、電気モータ/発生器4と、第2の接続解除装置5と、負荷6と、を備える、機械的駆動システム1が例示される。
【0034】
ガスタービン2は、例えば、ヘビーデューティ又は航空転用ガスタービンであり、ガス発生器21と、動力タービン又は低圧タービン22と、を備える。ガス発生器21はまた、ガス発生器圧縮機211と、高圧タービン212と、を備える。ガス発生器圧縮機211は、環境からの空気を圧縮し、この空気が燃焼器213に送達される。燃焼器213では、燃料が空気流に加えられ、燃料/空気混合気が形成されて、点火される。燃焼器内で発生した燃焼ガスは、高圧タービン212に送達され、その中で部分的に膨張して、機械力を発生する。高圧タービン212によって発生した機械力は、ガス発生器圧縮機213を駆動するために使用される。部分的に膨張した燃焼ガスは、動力タービン22を通って流れて、そこで更に膨張して、追加的な機械力を発生する。動力タービン22は、通常、動力タービンシャフト(図示せず)上に動力タービンロータ(図示せず)を備える。
【0035】
ガスタービン2、又はより具体的には、動力タービン22は、結合シャフト23を通して第1の接続解除装置3に接続され、これが次に電気モータ/発生器4に接続される。
【0036】
電気モータ/発生器4は、可変周波数駆動電気モータ(VFD電気モータとしても知られている)である。この種類の電気モータ/発生器4は、排気物の削減、顕著な柔軟性及び動作信頼性、並びにメンテナンスコストの削減を達成することを可能にする技術に基づいている。
【0037】
VFD電気モータ4は、動力を電力グリッドNに注入し、したがって、発生器のように動作させること、又は電力グリッドNによって供給され、よって、モータとして動作させること、のいずれかを行うことができるような方式で、電力グリッドNに接続される。VFD電気モータ4の使用は、最終圧力が、前述のように、例えば、圧縮機又はポンプであり得る負荷の速度に依存するので、例えば、パイプラインなどで、プロセスを満たすために、その回転数を変化させることを必要とする、機械的負荷の速度に従うことができるので好都合である。
【0038】
電力グリッドNは、太陽又は風力エネルギー発生器プラントのような、再生可能動力生成プラントに接続することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、発生器又は電気モータのいずれかとして動作することができる他のタイプの電気モータ/発生器を設置することもできる。
【0040】
図1を更に参照すると、第2の接続解除装置5は、駆動システム1に接続されたVFD電気モータ4と負荷6との間に介在され、かつ下でより良好に説明するように、特定の動作構成のために、負荷6からシステム1の電力発生部分全体を結合解除するように動作される。
【0041】
第1の接続解除装置3は、VFD電気モータ4を通してガスタービン2から負荷6に伝送されるトルクを可逆的に接続解除することができる。代わりに、第2の接続解除装置5は、負荷6からVFD電気モータ4を可逆的に接続解除するように動作される。
【0042】
一実施形態として、第1の接続解除装置3は、動力タービンシャフト23とVFD電気モータ4との間に配置される。接続解除装置3は、2つの動作モード、すなわち、ガスタービン2からの動力(トルク)が電気モータ/発生器4に伝送される接続動作モードと、ガスタービン2がVFD電気モータ4から接続解除される接続解除動作モードと、を有する。
【0043】
同様に、前述のようにVFD電気モータ4と負荷6との間に配置される第2の接続解除装置5は、2つの動作モード、すなわち、VFD電気モータ4からの動力(トルク)が負荷6に伝送される接続動作モードと、ガスタービン2及びVFD電気モータ4からの動力(トルク)を伝送することができない接続解除動作モードと、を有する。
【0044】
第1の接続解除装置3及び/又は第2接続解除装置5は、操作者によって手動で動作させることができ、又はアクチュエータ又は自己同期クラッチによって自動的に動作させることができる。
図1の実施形態では、第1の接続解除装置3及び/又は第2接続解除装置5は、自己同期クラッチである。
【0045】
また、一般に、クラッチは、自己同期クラッチ又はオーバーランニングタイプであり、ロックイン及びロックアウト装置として知られている装置を備えており、この装置は、作動させたときに、クラッチを係合位置又は係合解除位置に固定する機能を有する。
【0046】
第2の接続解除装置5を特に参照すると、これは、課題となっている技術分野で主に使用されるという事実のため、通常、自己同期クラッチである。この特定の種類のクラッチについては、電気モータ/発生器4、すなわち、VFD電気モータと、負荷6との間の係合解除は、2つの動作モードによって実現され得る。予め、クラッチの2つの部品間の係合は、フッキング接続機構によって接続することができる、適切に成形された歯付きギアによって実現されると考えらなければならない。したがって、自己同期クラッチを係合解除する前に、機械的部品間の安全な接続解除を実行しなければならない。第1の係合解除モードは、典型的には一方のクラッチの部品を他方に対して半回転/1回転だけ逆回転させて、上述した機械的部品の機械的係合解除を確実にするために、VFD電気モータ4が動作されるものと規定する。この逆回転の機能は、この特定の機能のための電気的機械に通電することによって得ることができる。
【0047】
代替として、負荷6は、負荷6の駆動シャフト62を逆回転させて、第2の接続解除装置5を係合解除するように動作可能なターニングギア装置61を備えることができる。
【0048】
また、第1の接続解除装置3及び/又は第2接続解除装置5は、操作者によって自動的に、又は一定の条件下でガスタービン2を電気モータ/発生器4及び負荷6から接続解除/に接続するようにプログラムされた電子コントローラによって動作させることができる。他の実施形態では、上述したように、第1の接続解除装置3及び/又は第2接続解除装置5を制御するためのアクチュエータは、操作者によって手動で動作させることができる。
【0049】
電気作動クラッチに代わるものとして、液圧クラッチを設置することができるが、機械的損失が存在し得る。
【0050】
他の実施形態では、接続解除装置3及び5は、液圧トルクコンバータを備えることができる。また、他の実施形態では、接続解除装置3及び5は、オーバーランニングクラッチ又は磁気タイプのものとすることができる。
【0051】
負荷6又はガスタービン2のような機械的に駆動される部品を機械的に切断することができる、他の接続解除装置を適用することができる。
【0052】
本実施形態の負荷6はポンプであるが、上述のように、圧縮機のような異なる負荷を適用することができる。
【0053】
駆動システム1は、以下のように動作する。
【0054】
上述したように、駆動システム1は、異なるモードに従って動作することができ、特に、下でより良好に説明されるように、4つのモード、すなわち、ヘルパーモード、発生器モード、最大電気モード、及び最大電力発生モードが利用可能である。
【0055】
特に、
図1の参照を続け、かつ
図2も参照すると、機械駆動用途で使用される駆動システム1のいくつかの構成又は動作ステップを想定することができる方法200が例示されている。
【0056】
より具体的には、機械的駆動システム1をヘルパーモード201で動作するときに、第1の接続解除装置3が閉じられ、第2の接続解除装置5が閉じられ、VFD電気モータ4がモータとして動作することが分かる(ステップ202を参照されたい)。したがって、この場合、負荷6は、ガスタービン2並びに電気的電力グリッドNの両方からエネルギーを受容する。
【0057】
機械的駆動システム1が発生器モード23で動作するときに、駆動システム1の構成は、第1の接続解除装置3が閉じられ、第2の接続解除装置5が閉じられ、電気モータ/発生器が発生器として動作する(ステップ204を参照されたい)。この構成では、ガスタービン2によって発生した動力の一部が負荷6に送達され、一部が電力グリッドNに送達される。
【0058】
最大電気モードでは、
図2の動作方法200のステップ205を参照すると、第1の接続解除装置3が開かれ、第2の接続解除装置5が閉じられ、VFD電気モータ4がモータとして動作する。この場合、通常通り、ガスタービン2は、機械的駆動システム1から接続解除され、負荷6は、電力式グリッドNから得られた動力によって、VFD電気モータ4によって給電される(ステップ206を参照されたい)。
【0059】
最後に、機械的駆動システム1が最大電力発生モード(最大ガスタービンモード)で動作するときには、第1の接続解除装置3が閉じられ、第2の接続解除装置5が開かれ、VFD電気モータ4が発生器として動作する(ステップ208)。
【0060】
この構成は、電力グリッドNが最大動力を必要とするとき、例えば、エネルギーのピークが必要とされるときに使用される。この場合、第2の接続解除装置5が接続解除されるか、又は開かれ、第1の接続解除装置3が閉じられるか、又は接続され、ガスタービン2は、最大動力をVFD電気モータ4に伝達して、それを発生器として動作させて、ガスタービン2によって生成された動力を電力グリッドNに伝達することができる。駆動システム1の負荷6への接続による損失は全く生じず、この損失は、実際には、(接続解除された)第2の接続解除装置5によって排除される。
【0061】
この構成では、実際には、第2の接続解除装置5が開いているので、負荷、すなわち、ポンプ6は、VFD電気モータ4から機械的に分離される。
【0062】
理解することができるように、それぞれ参照番号3及び5によって示される2つの接続解除装置又はクラッチは、負荷6の選択/接続において最大の柔軟性を提供する。実際には、機械的駆動機能が必要とされる場合は、クラッチ上のロックアウト装置が通電されるので、駆動シャフトが回転するときに、駆動シャフトが係合しない代わりに、自己同期クラッチタイプが係合する。この特定の状態は、一般に、機械的駆動負荷6又は機器(ポンプ、圧縮機、...)によるいかなる機械的損失も伴うことなく、純粋な発生モードでガスタービン2が動作することを可能にする。
【0063】
完全な電気モードでポンプ6を動作させるために、同じ概念が、第1の接続解除装置3に適用可能である。
【0064】
前述のように、第2の接続解除装置5を係合解除するために、ガスタービン2の速度がゼロであるときに、いかなるアクチュエータも伴わない係合解除を確実にするために、電気機械、すなわち、VFD電気モータ4が、約半回転又は1~2回転逆回転するように通電される。代替として、他の実施形態では、第2の接続解除装置5の係合解除を達成するために、ターニングギア装置61は、逆回転で動作する。
【0065】
本発明は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法ステップの順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0066】
本開示の実施形態に対して詳細な参照がなされており、これらの1つ以上の例は、図面に例示されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「ある実施形態」又は「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、一実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「ある実施形態では」又は「一実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れると、それは、必ずしも同じ実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0067】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「ある(a)」、「ある(an)」、「その(the)」、及び「当該(said)」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。