(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】荷電粒子線装置および荷電粒子線装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/04 20060101AFI20240520BHJP
H01J 37/073 20060101ALI20240520BHJP
H01J 37/147 20060101ALI20240520BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
H01J37/04 A
H01J37/073
H01J37/147 B
H01J37/28 C
(21)【出願番号】P 2023005805
(22)【出願日】2023-01-18
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2022039380
(32)【優先日】2022-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100161540
【氏名又は名称】吉田 良伸
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健夫
(72)【発明者】
【氏名】野口 佳那子
(72)【発明者】
【氏名】八木 一樹
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-031205(JP,A)
【文献】特開2016-100153(JP,A)
【文献】特開昭59-000840(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0151696(US,A1)
【文献】特開2017-152366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
H01J 27/00-27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子線で試料を走査して走査像を取得する荷電粒子線装置であって、
前記試料に対して前記荷電粒子線をパルス照射するためのパルス機構、および前記荷電粒子線を偏向させて前記荷電粒子線で前記試料を走査する偏向器を含む光学系と、
前記光学系を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、前記走査像の1画素あたりの前記荷電粒子線の滞在時間をTとし、前記荷電粒子線のパルスの周期をtとした場合に、T=n×t(ただしnは自然数)を満たすように、前記光学系を制御
し、
前記制御部は、
前記試料に対する前記荷電粒子線の照射量の指定を受け付け、
指定された前記照射量に基づいて、前記周期tに対する1周期において前記荷電粒子線を前記試料に照射する時間wの比w/tを決定し、
前記比w/tに基づいて、前記パルス機構を動作させる、荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記パルス機構は、前記荷電粒子線を偏向して遮断するブランキング装置を含む、荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記光学系は、前記荷電粒子線を放出する荷電粒子線源を含み、
前記パルス機構は、前記荷電粒子線源に対して光をパルス照射する光源装置を含み、
前記荷電粒子線源に光がパルス照射されることによって、前記荷電粒子線源から前記荷電粒子線がパルスとして放出される、荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記試料に前記荷電粒子線が照射されることによって前記試料で発生する信号を検出する検出器を含む、荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1ないし
4のいずれか1項において、
前記制御部は、T=n×t(ただしnは2以上の整数)を満たすように、前記光学系を制御する、荷電粒子線装置。
【請求項6】
試料に対して荷電粒子線をパルス照射するためのパルス機構、および前記荷電粒子線を偏向させて前記荷電粒子線で前記試料を走査する偏向器を含む光学系を含み、前記荷電粒子線で前記試料を走査して走査像を取得する荷電粒子線装置の制御方法であって、
前記走査像の1画素あたりの前記荷電粒子線の滞在時間をTとし、前記荷電粒子線のパルスの周期をtとした場合に、T=n×t(ただしnは自然数)を満たすように、前記光学系を制御
し、
前記試料に対する前記荷電粒子線の照射量の指定を受け付け、
指定された前記照射量に基づいて、前記周期tに対する1周期において前記荷電粒子線を前記試料に照射する時間wの比w/tを決定し、
前記比w/tに基づいて、前記パルス機構を動作させる、荷電粒子線装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線装置および荷電粒子線装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透過電子顕微鏡や、走査透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡、集束イオンビーム装置などの荷電粒子線装置では、電子線やイオンビームなどを試料に照射するための照射光学系を備えている。照射光学系は、例えば、コンデンサーレンズや、絞り、Csコレクターなどの収差補正装置を含む。
【0003】
例えば、特許文献1には、球面収差と色収差を補正する収差補正装置を含む照射光学系を備えた電子顕微鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような荷電粒子線装置では、電子線の照射量を調整できる。例えば、走査透過電子顕微鏡などの電子顕微鏡では、コンデンサーレンズの励磁を変えてスポットサイズを変更することで、電子線の照射量を調整できる。また、照射光学系の絞りの大きさを変更することで、電子線の照射量を調整できる。
【0006】
しかしながら、コンデンサーレンズの励磁が変更されると、軸合わせや収差補正装置の調整が必要となる。また、絞りの大きさが変更されると、絞りの調整が必要となる。また、絞りの大きさが変更されると、電子線の収束角が変化する。このように、電子線の照射量を変更すると、光学系の条件が変わってしまい、光学系の調整を行わなければならない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る荷電粒子線装置の一態様は、
荷電粒子線で試料を走査して走査像を取得する荷電粒子線装置であって、
前記試料に対して前記荷電粒子線をパルス照射するためのパルス機構、および前記荷電粒子線を偏向させて前記荷電粒子線で前記試料を走査する偏向器を含む光学系と、
前記光学系を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、前記走査像の1画素あたりの前記荷電粒子線の滞在時間をTとし、前記荷電粒子線のパルスの周期をtとした場合に、T=n×t(ただしnは自然数)を満たすように、前記光学系を制御し、
前記制御部は、
前記試料に対する前記荷電粒子線の照射量の指定を受け付け、
指定された前記照射量に基づいて、前記周期tに対する1周期において前記荷電粒子線を前記試料に照射する時間wの比w/tを決定し、
前記比w/tに基づいて、前記パルス機構を動作させる。
【0008】
このような荷電粒子線装置では、パルス機構を用いて試料に対して電子線をパルス照射することによって、試料に対する電子線の照射量を制御できる。また、このような荷電粒子線装置では、T=n×tを満たすため、走査像上に、荷電粒子線のオンとオフの切り替えに起因する明暗の縞が生じることを防ぐことができる。
【0009】
本発明に係る荷電粒子線装置の制御方法の一態様は、
試料に対して荷電粒子線をパルス照射するためのパルス機構、および前記荷電粒子線を偏向させて前記荷電粒子線で前記試料を走査する偏向器を含む光学系を含み、前記荷電粒子線で前記試料を走査して走査像を取得する荷電粒子線装置の制御方法であって、
前記走査像の1画素あたりの前記荷電粒子線の滞在時間をTとし、前記荷電粒子線のパルスの周期をtとした場合に、T=n×t(ただしnは自然数)を満たすように、前記光学系を制御し、
前記試料に対する前記荷電粒子線の照射量の指定を受け付け、
指定された前記照射量に基づいて、前記周期tに対する1周期において前記荷電粒子線を前記試料に照射する時間wの比w/tを決定し、
前記比w/tに基づいて、前記パルス機構を動作させる。
【0010】
このような荷電粒子線装置の制御方法では、パルス機構を用いて試料に対して電子線をパルス照射することによって、試料に対する電子線の照射量を制御できる。また、このような荷電粒子線装置の制御方法では、T=n×tを満たすため、走査像上に、荷電粒子線のオンとオフの切り替えに起因する明暗の縞が生じることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。
【
図2】ブランキング信号および電子線の電流量を示す図。
【
図4】ブランキング信号および電子線の電流量を示す図。
【
図6】シリコン[110]のHAADF-STEM像。
【
図7】シリコン[110]のHAADF-STEM像。
【
図8】シリコン[110]のHAADF-STEM像。
【
図9】シリコン[110]のHAADF-STEM像。
【
図10】シリコン[110]のHAADF-STEM像。
【
図11】ブランキング信号および電子線の電流量を示す図。
【
図12】ブランキング信号および電子線の電流量を示す図。
【
図13】制御部の処理の一例を示すフローチャート。
【
図14】制御部の処理の一例を示すフローチャート。
【
図15】第2実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。
【
図17】電子線源と光源装置の変形例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0013】
1. 第1実施形態
1.1. 電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成を示す図である。
【0014】
電子顕微鏡100は、電子線(荷電粒子線の一例)で試料Sを走査し、試料Sを透過した電子を検出して走査像を取得する走査透過電子顕微鏡(STEM)である。
【0015】
走査像は、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を走査して得られた画像である。走査像は、明視野STEM像や、暗視野STEM像、エネルギー分散型X線検出器(EDS)を用いた元素マップ、電子エネルギー損失分光器(EELS)を用いた元素マップなどを含む。
【0016】
電子顕微鏡100は、
図1に示すように、電子線源10と、ブランキング装置20と、照射レンズ系30と、走査偏向器40と、電子検出器50と、X線検出器60と、制御回
路70と、制御部80と、入力部90と、を含む。
【0017】
電子線源10は、電子線を放出する。電子線源10は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線を放出する電子銃である。
【0018】
ブランキング装置20は、電子線源10と照射レンズ系30との間に配置されている。ブランキング装置20は、試料Sに照射される電子線のオンとオフを制御する。すなわち、ブランキング装置20は、試料Sに電子線が照射される状態(オン)と試料Sに電子線が照射されない状態(オフ)を切り替える。
【0019】
ブランキング装置20は、静電偏向器22と、絞り24と、を含む。静電偏向器22は、静電場を発生させて、電子線を偏向させる。絞り24は、電子線を通過させる絞り孔を有している。静電偏向器22が電子線を偏向させない状態では、電子線が絞り孔を通過する。したがって、電子線が試料Sに照射される。静電偏向器22が電子線を偏向させることによって、電子線が絞り24によって遮断される。これにより、電子線が試料Sに照射されない。
【0020】
ブランキング装置20は、静電偏向器22で電子線を偏向させるため、磁場コイルで電子線を偏向させる場合と比べて、高速に電子線を偏向できる。例えば、静電偏向器22は、ナノ秒オーダーで電子線を偏向させることができる。したがって、ブランキング装置20では、高速で電子線のオンとオフを切り替えることができる。ブランキング装置20でオンとオフを周期的に切り替えることによって、試料Sに対して電子線をパルス照射できる。
【0021】
なお、図示はしないが、ブランキング装置20は、静電偏向器22の前段に配置されたアダプタレンズを含んでいてもよい。アダプタレンズは、静電偏向器22の主面上にクロスオーバーを形成する。静電偏向器22の主面上にクロスオーバーを形成することによって、静電偏向器22によって電子線が偏向されても、試料S上における電子線の照射位置が移動しない。
【0022】
照射レンズ系30は、電子線源10で発生した電子線を試料Sに照射する。照射レンズ系30は、電子線を集束させて電子プローブを形成する。照射レンズ系30は、例えば、コンデンサーレンズや、対物レンズの前方磁界を含む。
【0023】
走査偏向器40は、試料Sに照射される電子線を二次元的に偏向させる。走査偏向器40で電子線を偏向させることによって、電子線(電子プローブ)で試料Sを走査できる。走査偏向器40は、例えば、磁場を発生させて電子線を偏向させる磁場コイルである。
【0024】
電子顕微鏡100では、電子線源10、ブランキング装置20、照射レンズ系30、および走査偏向器40は、電子線で試料Sを走査するための照射光学系2を構成している。図示はしないが、照射光学系2は、その他のレンズや、絞りなどを備えていてもよい。
【0025】
図示はしないが、電子顕微鏡100は、試料ステージを備えている。電子顕微鏡100の試料室において、試料Sは試料ステージによって位置決めされる。
【0026】
また、図示はしないが、電子顕微鏡100は、試料Sを透過した電子を電子検出器50に導く結像光学系を有している。結像光学系は、対物レンズや、中間レンズ、投影レンズなどを含む。
【0027】
電子検出器50は、試料Sを透過した電子を検出する。電子検出器50は、円環状の検
出領域を有する暗視野STEM検出器である。電子検出器50では、例えば、試料Sで高角度に非弾性散乱された電子を検出する。電子検出器50で電子を検出することによって、高角散乱環状暗視野像(以下、HAADF-STEM像ともいう)を取得できる。
【0028】
なお、電子検出器50は、透過波と低角度に散乱した電子を検出する明視野STEM検出器であってもよい。また、電子顕微鏡100は、明視野STEM検出器と暗視野STEM検出器の両方を備えていてもよい。
【0029】
X線検出器60は、試料Sに電子線が照射されることによって試料Sで発生したX線を検出する。X線検出器60は、例えば、エネルギー分散型X線検出器(EDS検出器)である。X線検出器60でX線を検出することによって、X線スペクトルや元素マップを取得できる。
【0030】
制御回路70は、制御部80からの制御信号を受け付けて、照射光学系2を制御する。
【0031】
制御部80(情報処理装置)は、照射光学系2を制御する。制御部80は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などの記憶装置を含む。記憶装置には、制御部80としてコンピューターを機能させるためのプログラムが記憶されている。制御部80の機能は、プロセッサでプログラムを実行することにより実現できる。なお、制御部80の機能の一部を、ASIC(ゲートアレイ等)などの専用回路により実現してもよい。
【0032】
入力部90は、ユーザーが情報を入力するためのものであり、入力された情報を制御部80に送る。入力部90は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどの入力機器である。
【0033】
1.2. 動作
1.2.1. 原理
電子顕微鏡100では、電子線源10から放出された電子線は、照射レンズ系30で集束されて電子プローブを形成し、走査偏向器40で電子線を偏向させることによって電子プローブで試料Sを走査する。電子顕微鏡100では、電子プローブで試料Sをラスタースキャンする。このとき、ブランキング装置20で電子線のオンとオフを周期的に切り替えることによって、試料Sに対して電子線がパルス照射される。このように電子顕微鏡100では、パルス電子線を用いて、試料Sを走査する。
【0034】
試料Sを透過した電子は、電子検出器50で検出される。また、電子線が照射されることによって試料Sから放出されたX線は、X線検出器60で検出される。例えば、電子プローブの走査と同期して電子検出器50で電子を検出することによって透過電子顕微鏡像(HAADF-STEM像)を得ることができる。また、電子プローブの走査と同期してX線検出器60でX線を検出することによって元素マップを得ることができる。
【0035】
電子顕微鏡100では、試料Sに対する電子線の照射量を、ブランキング装置20を用いて制御することができる。なお、電子線の照射量は、電子線の電流量(プローブ電流)ともいえる。
【0036】
静電偏向器22は、高速で電子線のオンとオフを切り替えることができる。例えば、静電偏向器22は、ナノ秒オーダーで、電子線のオンとオフを切り替えることができる。静電偏向器22を動作させることで、電子線の照射量を制御できる。
【0037】
図2は、静電偏向器22を制御するためのブランキング信号S
Bおよび試料Sに照射さ
れる電子線の電流量(強度)I
Bを示す図である。
図3は、
図2に示すブランキング信号S
Bで静電偏向器22を動作させたときに、試料Sに照射される電子線を模式的に示す図である。
【0038】
静電偏向器22は、ブランキング信号S
BがLowレベルのときに、電子線を偏向しない。この結果、電子線がオンとなり、試料Sに強度Isの電子線が照射される。静電偏向器22は、ブランキング信号S
BがHighレベルのときに、電子線を偏向させる。この結果、電子線が遮断され、電子線がオフとなる。ブランキング信号S
Bは、HighレベルとLowレベルが一定の周期tで繰り返される信号である。ブランキング信号S
Bで静電偏向器22を動作させることによって、
図3に示すように電子線がパルス照射される。
【0039】
電子線の照射量は、周期tに対するブランキング装置20で電子線を遮断しない時間w(ただし、t≠w、w≠0)の比w/tを変更することによって、制御できる。時間wは、1周期において電子線を照射する時間、すなわち、1周期において電子線がオンの時間ともいえる。
【0040】
図4は、静電偏向器22を制御するためのブランキング信号S
Bおよび試料Sに照射される電子線の電流量I
Bを示す図である。
図5は、
図4に示すブランキング信号S
Bで静電偏向器22を動作させたときに、試料Sに照射される電子線を模式的に示す図である。なお、
図4に示すブランキング信号S
Bにおける比w/tは、
図2に示すブランキング信号S
Bの比w/tよりも大きい。
【0041】
図2~
図5に示すように、比w/tを変えることで、電子線の照射量を制御できる。具体的には、比w/tを大きくするほど、電子線の照射量が多くなる。
【0042】
ここで、電子線で試料Sを走査して走査像を取得する際の、1画素あたりの電子線の滞在時間をTとすると、制御部80は、T=n×t(ただし係数nは自然数)を満たすように、ブランキング装置20を制御する。滞在時間Tは、電子線の走査速度によって決まる。具体的には、走査速度を速くすることで滞在時間Tは短くなり、走査速度を遅くすることで滞在時間Tは長くなる。滞在時間T、周期t、および係数nは、独立して設定できる。
【0043】
T=n×tの関係を満たすことで、走査像の各画素における電子線の照射量を一定にできる。したがって、電子線のオンとオフの切り替えに起因する走査像上の明暗の縞をなくすことができる。
【0044】
図6および
図7は、シリコン[110]のHAADF-STEM像である。
【0045】
図6は、静電偏向器22を、周期tを1ミリ秒、電子線のオンの時間wを0.5ミリ秒で動作させたときのHAADF-STEM像である。
図7は、静電偏向器22を、周期tを0.1ミリ秒、電子線のオンの時間wを50マイクロ秒で動作させたときのHAADF-STEM像である。
【0046】
図6および
図7に示すHAADF-STEM像では、比w/t=1/2(50%)である。また、
図6および
図7に示すHAADF-STEM像の1画素あたりの滞在時間Tは、38マイクロ秒である。
【0047】
図6に示すHAADF-STEM像および
図7に示すHAADF-STEM像を撮影したときの周期tは、滞在時間Tよりも長い。そのため、
図6に示すHAADF-STEM像および
図7に示すHAADF-STEM像において、電子線が照射されない画素が生じ
てしまい、電子線のオンとオフの切り替えに起因する明暗の縞が生じる。
【0048】
図8は、シリコン[110]のHAADF-STEM像である。
図9は、
図8の四角で囲んだ領域を拡大した図である。
【0049】
図8に示すHAADF-STEM像を撮影したときの周期tは滞在時間Tよりも短いが、T=n×tを満たしていない。そのため、各画素における電子線の照射量が一定ではない。
図8および
図9に示すように、周期tは滞在時間Tよりも短いため電子線が照射されない画素は存在しないが、T=n×tを満たしていないため各画素における電子線の照射量が一定ではない。したがって、電子線のオンとオフの切り替えに起因する明暗の縞が生じる。
【0050】
図10は、シリコン[110]のHAADF-STEM像である。
【0051】
図10に示すHAADF-STEM像は、T=n×tを満たすようにブランキング装置20を動作させて撮影されている。そのため、各画素における電子線の照射量が一定となり、
図10に示すHAADF-STEM像では、電子線のオンとオフの切り替えに起因する明暗の縞が生じていない。
【0052】
図11および
図12は、静電偏向器22を制御するためのブランキング信号S
Bおよび試料Sに照射される電子線の電流量(強度)I
Bを示す図である。
図11に示すブランキング信号S
Bは、T=n×tを満たしており、
図12に示すブランキング信号S
BはT=n×tを満たしていない。
【0053】
ブランキング信号S
Bが、T=n×tを満たしていない場合には、
図12に示すように、1画素あたりの電子線の照射量が一定とならない。これに対して、ブランキング信号S
Bが、T=n×tを満たしている場合には、
図11に示すように、1画素あたりの電子線の照射量が一定となる。
【0054】
例えば、
図12に示す例では、1画素分の滞在時間Tの間に、約2.4周期分のパルスが存在する。そのため、各画素における電子線の照射量が一定とならない。例えば、
図12に示す1つ目の画素の電子線の照射量は、2.7×w×Isであり、2つ目の画素の電子線の照射量は、2.3×w×Isである。このように、
図12に示す例では、1画素あたりの電子線の照射量が一定とならない。
【0055】
これに対して、
図11に示す例では、1画素分の滞在時間Tの間に、2周期分のパルスが存在する(T=2×t)。そのため、各画素における電子線の照射量が2×w×Isで一定となる。
【0056】
このように、T=n×tを満たすように、ブランキング装置20を動作させることによって、各画素における電子線の照射量が一定となり、走査像上に電子線のオンとオフの切り替えに起因する明暗の縞が生じない。
【0057】
1.2.2. 照射量を変更するときの動作
電子顕微鏡100では、ユーザーが電子線の照射量を指定すると、制御部80は、指定された照射量となるように、ブランキング装置20を動作させる。
【0058】
図13は、制御部80の処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
制御部80は、まず、電子線の照射量の指定を受け付ける(S100)。例えば、ユー
ザーが入力部90を介して照射量を入力すると、入力部90が入力された照射量の情報を出力する。制御部80は、入力部90が出力した照射量の情報を受け付ける。電子線の照射量は、1画素あたりの電子線の照射量であってもよいし、1つの走査像(1回の走査)あたりの電子線の照射量であってもよい。
【0060】
なお、ここでは、制御部80は、照射量の指定を受け付けたが、画像の明るさの指定を受け付けてもよい。画像の明るさは、電子線の照射量に対応する。
【0061】
制御部80は、指定された照射量に基づいて、比w/tを決定する(S102)。
【0062】
制御部80は、照射量を多くする場合、すなわち画像を明るくする場合には、比w/tを大きくする。制御部80は、照射量を少なくする場合、すなわち画像を暗くする場合には、比w/tを小さくする。
【0063】
例えば、制御部80の記憶装置には、あらかじめ、電子線の照射量と比w/tの関係を示すテーブルが記憶されており、制御部80は、このテーブルを参照して、電子線の照射量が指定された照射量となる比w/tを決定してもよい。また、制御部80は、電子線の照射量と比w/tの関係を示す式を用いて、電子線の照射量が指定された照射量となる比w/tを決定してもよい。このとき、制御部80は、T=n×tを満たすように、比w/tを決定する。
【0064】
制御部80は、設定された比w/tに基づいてブランキング装置20を動作させる(S104)。制御部80は、設定された比w/tに基づいて、ブランキング信号SBを生成し、制御回路70に送る。これにより、静電偏向器22は、ブランキング信号SBに基づいて動作する。この結果、電子線の照射量が指定された照射量となる。すなわち、走査像の明るさが指定された明るさになる。
【0065】
以上の処理により、電子線の照射量、すなわち、画像の明るさを変更できる。
【0066】
1.2.3. 走査像の取得時間を変更するときの動作
電子顕微鏡100では、ユーザーが像取得時間を指定すると、制御部80は、指定された像取得時間となるように電子線の走査速度を変更する。像取得時間は、1枚の走査像を取得するためにかかる時間である。
【0067】
図14は、制御部80の処理の一例を示すフローチャートである。
【0068】
制御部80は、まず、像取得時間の指定を受け付ける(S110)。例えば、ユーザーが入力部90を介して像取得時間を入力すると、入力部90が入力された像取得時間の情報を出力する。制御部80は、入力部90から出力された像取得時間の情報を受け付ける。
【0069】
制御部80は、指定された像取得時間に基づいて、走査速度を決定し(S112)、決定された走査速度に基づいて走査偏向器40を動作させる(S114)。これにより、走査速度が変更され、指定された像取得時間で走査像を取得できる。
【0070】
ここで、走査速度が変更されると、1画素あたりの滞在時間Tが変わる。そのため、制御部80は、決定された走査速度での滞在時間Tを求め、T=n×tを満たすように、ブランキング装置20を動作させる(S116)。
【0071】
例えば、係数nを変更することで、T=n×tを満たしてもよいし、周期tを変更する
ことでT=n×tを満たしてもよい。ここで、周期tを変更した場合、比w/tが変わるため、照射量が変わってしまう。したがって、周期tを変更しても比w/tが一定になるように電子線のオンの時間wを変更してもよい。これにより、周期tを変更したことによる照射量の変化が生じない。
【0072】
以上の処理により、像取得時間を変更できる。
【0073】
なお、上記では、処理S110においてユーザーが像取得時間を指定する場合について説明したが、ユーザーが走査速度を指定してもよい。処理S110において走査速度が指定された場合には、像取得時間に基づいて走査速度を決定する処理S112が実行されない点を除いて、上述したユーザーが像取得時間を指定する場合と同様の処理が行われる。
【0074】
1.3. 効果
電子顕微鏡100は、試料Sに対して電子線をパルス照射するためのブランキング装置20、および電子線を偏向させて電子線で試料Sを走査する走査偏向器40を含む照射光学系2と、照射光学系2を制御する制御部80と、を含む。また、制御部80は、走査像の1画素あたりの電子線の滞在時間をTとし、電子線のパルスの周期をtとした場合に、T=n×t(ただしnは自然数)を満たすように、照射光学系2を制御する。
【0075】
電子顕微鏡100では、ブランキング装置20を用いて試料Sに対して電子線をパルス照射することによって、試料Sに対する電子線の照射量を制御できる。
【0076】
例えば、従来の電子顕微鏡では、コンデンサーレンズの励磁を変えたり、絞りの大きさを変えたりすることで、電子線の照射量を調整していた。しかしながら、コンデンサーレンズの励磁を変えると、軸合わせや収差補正装置の調整が必要となる。また、絞りの大きさを変更すると、絞りの調整が必要となる。また、絞りの大きさを変更すると、電子線の収束角が変わってしまう。
【0077】
これに対して、電子顕微鏡100では、ブランキング装置20によって電子線の照射量を制御できるため、このような問題が生じない。すなわち、電子顕微鏡100では、コンデンサーレンズの励磁や、照射光学系2の絞りの大きさなどを変えることなく、電子線の照射量を変更できる。
【0078】
ここで、ブランキング装置20において、例えば磁場コイルで電子線を偏向させる場合、磁気ヒステリシスの影響があるため、照射量を正確に制御することが難しい。電子顕微鏡100では、静電偏向器22で電子線を偏向させるため、照射量を正確に制御できる。また、上述したように、静電偏向器22で電子線を偏向させることによって、磁場コイルで電子線を偏向させる場合と比べて、高速に電子線を偏向できる。
【0079】
このように、電子顕微鏡100では、電子線の照射量を、高速かつ正確に制御できる。
【0080】
電子顕微鏡100では、走査像の1画素あたりの電子線の滞在時間をTとし、電子線のパルスの周期をtとした場合に、T=n×t(ただしnは自然数)を満たすように、照射光学系2を制御する。そのため、電子顕微鏡100では、電子線のオンとオフの切り替えによって生じる走査像上の明暗の縞をなくすことができる。
【0081】
また、電子顕微鏡100において、nを2以上の整数とした場合、1画素に対して電子線が複数回照射されるため、例えば、1画素に対して電子線が1回照射される場合と比べて、電子線の照射による試料Sの損傷を低減できる。
【0082】
電子顕微鏡100では、制御部80は、試料Sに対する電子線の照射量の指定を受け付け、指定された照射量に基づいて周期tに対するパルスを照射する時間wの比w/tを決定し、比w/tに基づいてブランキング装置20を動作させる。そのため、電子顕微鏡100では、コンデンサーレンズの励磁や、照射光学系の絞りの大きさなどを変えることなく、電子線の照射量を指定された照射量に変更できる。
【0083】
2. 第2実施形態
2.1. 電子顕微鏡
次に、第2実施形態に係る電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。
図15は、第2実施形態に係る電子顕微鏡200の構成を示す図である。以下、第2実施形態に係る電子顕微鏡200において、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0084】
上述した
図1に示す電子顕微鏡100では、ブランキング装置20が試料Sに対して電子線をパルス照射するためのパルス機構として機能した。
【0085】
これに対して、電子顕微鏡200は、
図15に示すように、電子線源10に光をパルス照射する光源装置210を含み、光源装置210が試料Sに対して電子線をパルス照射するためのパルス機構として機能する。具体的には、光源装置210が電子線源10に対して光をパルス照射することによって、電子線源10から電子線がパルスとして放出される。
【0086】
図16は、電子線源10と光源装置210を模式的に示す図である。
【0087】
電子線源10は、
図16に示すように、エミッタ102と、第1アノード電極104と、第2アノード電極106と、加速電極108と、を含む。
【0088】
エミッタ102は、電子の放出源、すなわち陰極である。エミッタ102は、光電子放出(photoemission)によって電子を放出する。光電子放出は、物質に光をあてたときに励起された物質内の電子が外部に放出される現象をいう。
【0089】
第1アノード電極104は、エミッタ102から電子を引き出すための引出電極である。第1アノード電極104がつくる強電界によってエミッタ102から電子が引き出される。
【0090】
第2アノード電極106は、エミッタ102から引き出された電子に作用する静電レンズを形成する。具体的には、第1アノード電極104と第2アノード電極106とは所定の電位差を有しているため、第1アノード電極104と第2アノード電極106によって、1つの静電レンズが形成される。第1アノード電極104と第2アノード電極106が形成する静電レンズによって、電子線が集束される。
【0091】
加速電極108は、エミッタ102から引き出された電子を加速させるための電極である。エミッタ102から引き出された電子は、加速電極108によって加速されて電子線源10から放出される。
【0092】
エミッタ102、第1アノード電極104、第2アノード電極106、および加速電極108は、チャンバー101内に配置されている。チャンバー101には、外部からパルスレーザー光を導入するための窓109が設けられている。
【0093】
光源装置210は、電子線源10(エミッタ102)に対して励起光としてのレーザー
光をパルス照射する。光源装置210は、例えば、タイミング信号発生装置212と、パルスレーザー発生装置214と、レーザー光学系216と、を含む。
【0094】
タイミング信号発生装置212は、タイミング信号を発生させる。パルスレーザー発生装置214は、レーザー光がパルスとして発振されるレーザーである。レーザー光学系216は、レーザー光を集束する。
【0095】
光源装置210では、タイミング信号発生装置212で生成されたタイミング信号をトリガーとしてパルスレーザー発生装置214がパルスレーザー光を発生させる。パルスレーザー発生装置214から射出されたパルスレーザー光は、レーザー光学系216を通り、チャンバー101の窓109からチャンバー101内に導入される。
【0096】
なお、ここでは、パルスレーザー発生装置214を用いてパルスレーザー光を出力する場合について説明したが、レーザー光を連続発振するレーザーを用いて、外部の処理によって連続発振のレーザー光をパルス化して出力してもよい。
【0097】
電子顕微鏡200は、
図16に示すように、ミラー220を含む。ミラー220は、窓109から導入されたパルスレーザー光を反射する。この結果、パルスレーザー光がエミッタ102に照射される。このように、試料Sに対して電子線をパルス照射するためのパルス機構は、ミラー220を含んでいてもよい。
【0098】
図16に示す例では、ミラー220は、第1アノード電極104と第2アノード電極106との間に配置されている。なお、ミラー220の位置は特に限定されず、窓109から導入されたパルスレーザー光をエミッタ102に導くことができればミラー220の位置は特に限定されない。また、ミラー220を設けずに、窓109から導入されたパルスレーザー光を直接エミッタ102に照射してもよいし、複数のミラーやその他の光学素子を用いて窓109から導入されたパルスレーザー光をエミッタ102に導いてもよい。
【0099】
エミッタ102にパルスレーザー光を照射すると、エミッタ102では光電子放出によってパルス状の電子線が得られる。このようにして得られた電子線のパルスの周期tは、電子顕微鏡100と同様に、T=n×tを満たすように制御される。
【0100】
電子顕微鏡200の電子線源10以降の光学系は、電子顕微鏡100と同様である。
【0101】
2.2. 動作
電子顕微鏡200の動作は、電子線源10にレーザー光がパルス照射されることによって、電子線源10から電子線がパルスとして放出される点を除いて、上述した電子顕微鏡100の動作と同様でありその説明を省略する。
【0102】
2.3. 効果
電子顕微鏡200では、電子線をパルス照射するためのパルス機構として、電子線源10に対して光をパルス照射する光源装置210を含み、電子線源10(エミッタ102)に光がパルス照射されることによって、電子線源10から電子線がパルスとして放出される。そのため、電子顕微鏡200では、試料Sに対して電子線をパルス照射できるため、電子顕微鏡100と同様の作用効果を奏することができる。
【0103】
2.4. 変形例
図17は、電子線源10と光源装置210の変形例を模式的に示す図である。上述した
図16に示す例では、ミラー220は、第1アノード電極104と第2アノード電極106との間に配置されており、パルスレーザー光は第1アノード電極104と第2アノード
電極106との間を通ってエミッタ102に照射された。
【0104】
これに対して、
図17に示す例では、ミラー220は、第1アノード電極104と同じ高さに配置されており、ミラー220で反射したパルスレーザー光は第1アノード電極104の上方を通ってエミッタ102に照射される。例えば、窓109から導入されたパルスレーザー光は、ミラー220で反射し、エミッタ102と第1アノード電極104との間を通ってエミッタ102に照射される。パルスレーザー光は、第1アノード電極104と第2アノード電極106の間を通過しない。
【0105】
なお、パルスレーザー光が第1アノード電極104の上方を通ってエミッタ102に照射されれば、ミラー220の配置は特に限定されない。また、ミラー220を設けずに、窓109から導入されたパルスレーザー光を、第1アノード電極104の上方を通過させて、直接エミッタ102に照射してもよい。
【0106】
3. 変形例
上述した第1実施形態および第2実施形態では、本発明に係る荷電粒子線装置が走査透過電子顕微鏡(STEM)の場合について説明したが、本発明に係る荷電粒子線装置は、これに限定されない。例えば、本発明に係る荷電粒子線装置は、イオンビームで試料を走査して走査像を取得する集束イオンビーム装置であってもよい。また、例えば、本発明に係る荷電粒子線装置は、走査電子顕微鏡(SEM)、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)、オージェマイクロプローブ装置(Auger)などであってもよい。
【0107】
また、例えば、上述した第1実施形態では、試料に対して電子線をパルス照射し、試料を透過した電子を検出してSTEM像を得る場合について説明したが、本発明に係る荷電粒子線装置はこれに限定されない。例えば、試料に対して電子線をパルス照射し、試料から放出されたX線を検出して元素マップを取得してもよい。この場合でも、比w/tを変更することによって電子線の照射量を変更でき、T=n×tを満たすことで各画素の電子線の照射量を一定にできる。
【0108】
このように、本発明は、荷電粒子線源が電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を放出し、パルス機構によって試料に対して荷電粒子線をパルス照射し、検出器によって試料で発生する信号を検出して走査像を得る様々な装置に適用可能である。試料で発生する信号としては、二次電子、反射電子、後方散乱電子、連続X線、オージェ電子、カソードルミネッセンス発光、可視光発光、非弾性散乱電子、弾性散乱電子、透過電子、制動X線などが挙げられる。
【0109】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0110】
2…照射光学系、10…電子線源、20…ブランキング装置、22…静電偏向器、24…絞り、30…照射レンズ系、40…走査偏向器、50…電子検出器、60…X線検出器、70…制御回路、80…制御部、90…入力部、100…電子顕微鏡、101…チャンバー、102…エミッタ、104…第1アノード電極、106…第2アノード電極、108…加速電極、109…窓、200…電子顕微鏡、210…光源装置、212…タイミング
信号発生装置、214…パルスレーザー発生装置、216…レーザー光学系、220…ミラー