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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240520BHJP
   H01Q 1/12 20060101ALI20240520BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20240520BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20240520BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B60R11/02 A
H01Q1/12 E
H01Q1/22 B
H01Q1/32 Z
H01Q21/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023111269
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2022104219の分割
【原出願日】2017-02-08
(65)【公開番号】P2023129452
(43)【公開日】2023-09-14
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】花田 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】石橋 文雄
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-129667(JP,A)
【文献】特開2006-248342(JP,A)
【文献】特開2002-322676(JP,A)
【文献】特開2016-002874(JP,A)
【文献】国際公開第2016/009688(WO,A1)
【文献】米国特許第04931809(US,A)
【文献】中国実用新案第205854029(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
H01Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビンを備えた作業車両であって、
前記キャビンに固定され、前記キャビンの外部の上部に位置する支持部と、
前記支持部に支持される無線通信用アンテナと、
前記支持部に支持される測位用アンテナと、を備え、
前記無線通信用アンテナは、前記支持部に対して、回動枢支軸周りで回動可能に取付けてある、
作業車両。
【請求項2】
前記無線通信用アンテナは、正規使用位置から先端部が前方側へ倒れる向きに回動可能である、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記無線通信用アンテナは、前記支持部の長手方向の片側に偏った位置に配置されている、
請求項1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記測位用アンテナは、前記支持部に対して、前記回動枢支軸周りで回動可能に取付けてある、
請求項1から3の何れか1項に記載の作業車両。
【請求項5】
前記測位用アンテナは、前記支持部の長手方向の中央部に配置されている、
請求項1から4の何れか1項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星測位システム(GNSS)を利用してトラクタ等の作業車両の位置情報を取得しながら、作業車両を目標走行経路に沿って自律走行させる自律走行システム等に用いられるアンテナユニットを備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の自律走行システムを採用した作業車両として、例えば、特許文献1に示すトラクタでは、測位衛星からの衛星測位情報を取得するGPSアンテナ(GNSSアンテナ)が、キャビンルーフの上側面部に設けられている。
具体的には、キャビンルーフの上側面部のうち、車体のトレッド幅の略中心部位置の前後方向線と、ホイルベースの略中心部位置の横方向線との交差する部位に、キャビンルーフの上面よりも高位置で略水平面状の取付け座を有する取付けステーが形成され、この取付けステーの取付け座にGPSアンテナが取付けられている。
また、GPSアンテナとして、ジャイロセンサを有するGPSアンテナを使用した場合には、キャビンルーフの傾斜角度をも検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-2874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主たる課題は、効率良く搭載することのできるアンテナユニットを備えた作業車両を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様に係る作業車両は、キャビンを備えた作業車両であって、支持部と、無線通信用アンテナと、を備える。前記支持部は、前記キャビンに固定され、前記キャビンの外部の上部に位置する。前記無線通信用アンテナは、前記支持部に支持される。前記無線通信用アンテナは、前記支持部に対して、回動枢支軸周りで回動可能に取付けてある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】トラクタの全体側面図
図2】トラクタ、基準局、及び、無線通信端末の制御ブロック図
図3】トラクタのアンテナユニット取付け部の正面図
図4】トラクタのアンテナユニット取付け部の側面図
図5】アンテナユニットの縦断面図
図6】アンテナユニットの横断面図
図7】アンテナユニットの分解斜視図
図8】アンテナユニットのベースプレートの平面図
図9】アンテナユニットの基地局アンテナ側の拡大断面図
図10】別実施形態のアンテナユニットの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1図2に示す自律走行システムは、本発明に係る作業車両用アンテナユニット50を用いたものであり、目標走行経路を生成し、その生成された目標走行経路に沿って作業車両としてのトラクタ1を自律走行可能に構成されている。この自律走行システムでは、自律走行可能なトラクタ1に加えて、トラクタ1に対して各種の指示等を行う無線通信端末30と、トラクタ1の位置情報を取得するための基準局40とが備えられている。
【0008】
まず、図1に基づいてトラクタ1について説明する。
このトラクタ1は、後方側に対地作業機(図示省略)を装着可能な機体部2を備え、機体部2の前部が左右一対の前輪3で支持され、機体部2の後部が左右一対の後輪4で支持されている。機体部2の前部にはボンネット5が配置され、そのボンネット5内に駆動源としてのエンジン6が収容されている。ボンネット5の後方側には、運転者が搭乗するためのキャビン7が備えられ、そのキャビン7内には、運転者が操向操作するためのステアリングハンドル8、運転者の運転座席9等が備えられている。
【0009】
エンジン6は、例えばディーゼルエンジンにより構成することができるが、これに限るものではなく、例えばガソリンエンジンにより構成してもよい。また、駆動源としてエンジン6に加えて、或いはエンジン6に代えて、電気モータを採用してもよい。
【0010】
また、本実施形態では作業車両としてトラクタ1を例に説明するが、作業車両としては、トラクタの他、田植機、コンバイン、土木・建築作業装置、除雪車等、乗用型作業車両等が含まれる。
【0011】
機体部2の後方側には、左右一対のロアリンク10とアッパリンク11とからなる3点リンク機構が備えられ、その3点リンク機構に対地作業機が装着可能に構成されている。機体部2の後方側には、図示は省略するが、昇降シリンダ等の油圧装置を有する昇降装置が備えられ、この昇降装置が、3点リンク機構を昇降させることで、対地作業機を昇降させている。
対地作業機としては、耕耘装置、プラウ、施肥装置等が含まれる。
【0012】
トラクタ1には、図2に示すように、エンジン6の回転速度を調整可能なガバナ装置21、エンジン6からの回転駆動力を変速して駆動輪に伝達する変速装置22、ガバナ装置21及び変速装置22を制御可能な制御部23等が備えられている。変速装置22は、例えば、油圧式無段変速装置からなる主変速装置とギヤ式多段変速装置からなる副変速装置とを組み合わせて構成されている。
【0013】
このトラクタ1は、運転者がキャビン7内に搭乗して走行できるだけでなく、キャビン7内に運転者が搭乗しなくても、無線通信端末30からの指示等に基づいて、トラクタ1を自律走行可能に構成している。
【0014】
トラクタ1は、図2に示すように、操舵装置24、機体の姿勢変化情報を得るための慣性計測装置(IMU)25、衛星測位システム(GNSS)を構成する測位衛星(航法衛星)45から送信される電波信号を受信するGNSSアンテナ26、無線通信端末30等との間で構築される無線通信ネットワークを介して各種の信号を送受信する無線通信ユニット27、基準局40の基準局無線通信装置41からの無線信号(例えば、周波数帯域が920MHzの無線信号)を受信する基地局アンテナ29等を備えており、自己の現在位置情報(機体部2の位置情報)を取得しながら、自律走行可能に構成されている。
【0015】
慣性計測装置25、GNSSアンテナ26、無線通信ユニット27、基地局アンテナ29は、図5図7に示すように、ユニットカバー51を備えたアンテナユニット50に収納されている。このアンテナユニット50は、図3図4に示すように、キャビン7の外部の前面側の上部位置において、キャビン7のキャビンフレーム200に固定された左右幅方向に沿う支持フレーム100に取付けられている。
尚、アンテナユニット50の具体的な内部配置構造及び取付け構造については、自律走行システムの説明後において詳述する。
【0016】
操舵装置24は、例えば、ステアリングハンドル8の回転軸の途中部に備えられ、ステアリングハンドル8の回転角度(操舵角)を調整可能に構成されている。制御部23が操舵装置24を制御することで、直進走行だけでなく、ステアリングハンドル8の回転角度を所望の回転角度に調整して、所望の旋回半径での旋回走行も行える。
【0017】
慣性計測装置25は、3軸のジャイロと3方向の加速度計によって、3次元の角速度と加速度が求められる。当該慣性計測装置25の検出値が制御部23に入力され、制御部23は、姿勢・方位演算手段により演算し、トラクタ1の姿勢情報(機体の方位角(ヨー角)、機体の左右の傾き角(ロール角)、機体の進行方向での前後の傾き角(ピッチ角))を求める。
【0018】
衛星測位システム(GNSS)では、測位衛星として、GPS(米国)に加えて準天頂衛星(日本)やグロナス衛星(ロシア)等の衛星測位システムを利用することができる。
【0019】
無線通信ユニット27は、本実施形態においては周波数帯域が2.4GHzのワイファイ(Wifi)ユニットから構成されているが、無線通信ユニット27はWifi以外のブルートゥース(登録商標)等にすることができる。この無線通信ユニット27の無線通信用アンテナ28にて受信した信号は、図2に示すように、制御部23に入力可能であり、制御部23からの信号は、無線通信用アンテナ28にて無線通信端末30の無線通信装置31等に送信可能に構成されている。
【0020】
ここで、衛星測位システムを用いた測位方法として、予め定められた基準点に設置された基準局40を備え、その基準局40からの補正情報によりトラクタ1(移動局)の衛星測位情報を補正して、トラクタ1の現在位置を求める測位方法を適用可能としている。例えば、DGPS(ディファレンシャルGPS測位)、RTK測位(リアルタイムキネマティック測位)等の各種の測位方法を適用することができる。
【0021】
この実施形態では、例えば、RTK測位を適用しており、図1及び図2に示すように、移動局側となるトラクタ1にGNSSアンテナ26を備えるのに加えて、基準局測位用アンテナ42を備えた基準局40が設けられている。基準局40は、例えば、圃場の周囲等、トラクタ1の走行の邪魔にならない位置(基準点)に配置されている。基準局40の設置位置となる基準点の位置情報は予め把握されている。基準局40には、トラクタ1の基地局アンテナ29との間で各種の信号を送受信可能な基準局無線通信装置41が備えられ、基準局40とトラクタ1との間や基準局40と無線通信端末30との間で各種の情報が送受信可能に構成されている。
【0022】
RTK測位では、基準点に設置された基準局40の基準局測位用アンテナ42と、位置情報を求める対象の移動局側となるトラクタ1のGNSSアンテナ26との両方で測位衛星45からの搬送波位相(衛星測位情報)を測定している。基準局40では、測位衛星45から衛星測位情報を測定する毎に又は設定周期が経過する毎に、測定した衛星測位情報と基準点の位置情報等を含む補正情報を生成して、基準局無線通信装置41からトラクタ1の基地局アンテナ29に補正情報を送信している。トラクタ1の制御部23は、GNSSアンテナ26にて測定した衛星測位情報を、基準局40から送信される補正情報を用いて補正して、トラクタ1の現在位置情報を求めている。制御部23は、トラクタ1の現在位置情報として、例えば、緯度情報・経度情報を求めている。
【0023】
自律走行システムでは、トラクタ1及び基準局40に加えて、トラクタ1の制御部23にトラクタ1の自律走行を指示可能な無線通信端末30が備えられている。無線通信端末30は、例えば、タッチパネルを有するタブレット型のパーソナルコンピュータ等から構成され、各種情報をタッチパネルに表示可能であり、タッチパネルを操作することで、各種の情報も入力可能となっている。無線通信端末30には、無線通信装置31と、目標走行経路を生成する経路生成部32とが備えられ、経路生成部32が、タッチパネルにて入力される各種の情報に基づいて、トラクタ1を自律走行させる目標走行経路を生成している。
【0024】
トラクタ1に備えられた制御部23は、無線通信装置31等による無線通信ネットワークを介して、無線通信端末30との間で各種の情報を送受信可能に構成されている。無線通信端末30は、目標走行経路等、トラクタ1を自律走行させるための各種の情報をトラクタ1の制御部23に送信することで、トラクタ1の自律走行を指示可能に構成されている。トラクタ1の制御部23は、経路生成部32にて生成された目標走行経路に沿ってトラクタ1が自律走行するように、GNSSアンテナ26の受信信号から取得するトラクタ1の現在位置情報を求め、慣性計測装置25から機体の変位情報及び方位情報を求め、これらの現在位置情報と変位情報と方位情報に基づいて変速装置22や操舵装置24等を制御可能に構成されている。
【0025】
次に、アンテナユニット50の内部配置構造について説明する。
アンテナユニット50のユニットカバー51は、図5図7に示すように、上方に開口する平面視略長方形状の樹脂製の下側カバー体52と、下方に開口する平面視略長方形状の樹脂製の上側カバー体53とを有する。ここで、図5は、アンテナユニット50を後方側から見たときの縦断面図を示しており、図3図7に対して、機体部2における左右方向が逆方向となっている。上側カバー体53の開口接合部は、下側カバー体52の開口接合部に対して脱着自在に水密状態で外嵌接合されている。上側カバー体53の開口接合部と下側カバー体52の開口接合部とは、前面側及び後面側における左右方向の複数個所でネジ54にて固定連結されている。
【0026】
下側カバー体52の底板部52Aの上面には、図5図7に示すように、トラクタ1に取付け可能なユニットベースの一例である金属製のベースプレート55が取付けられている。このベースプレート55と下側カバー体52の底板部52Aとの間には、図5に示すように、両者間の間隔を設定間隔に保持する複数個(本実施形態では4個)の円筒状の第1ボス56が配置され、各第1ボス56に挿通される第1ボルト57により、ベースプレート55と下側カバー体52の底板部52Aとが固定連結されている。
【0027】
ベースプレート55の長手方向中央部には、図5図8に示すように、機体の左右幅方向の中心位置又は略中心位置に共に配置される慣性計測装置25とGNSSアンテナ26とが上下に重合する状態で設けられている。そのうち、GNSSアンテナ26は慣性計測装置25の上方位置に配置されている。
詳しくは、慣性計測装置25のハウジング25Aは、図5図8に示すように、それの左右方向中心位置がベースプレート55の長手方向中央位置に位置する状態でベースプレート55に第2ボルト58にて固定連結されている。
他方、GNSSアンテナ26のハウジング26Aは、図5図7に示すように、それの左右方向中心位置がベースプレート55の長手方向中央位置に位置する状態で、金属製のハット形のブラケット60を介してベースプレート55に取付けられている。ブラケット60は、慣性計測装置25のハウジング25Aの上方をベースプレート55の長手方向に沿って迂回するハット形に形成されている。このハット形のブラケット60の両脚部60aは、ベースプレート55に第3ボルト61にて固定連結されているとともに、ハット形のブラケット60の前後方向(機体の前後方向でもある)の幅は、慣性計測装置25のハウジング25Aの前後方向幅よりも少し小なる寸法に構成され、ブラケット60の一部が後述する無線通信ユニット27との間を遮蔽する遮蔽壁部に構成されている。
【0028】
上述の慣性計測装置25及びGNSSアンテナ26の配置構成により、トラクタ1への取付け状態では、図3に示すように、慣性計測装置25及びGNSSアンテナ26が共に機体の左右幅方向の中心位置又は略中心位置において上下に配置されるため、GNSSアンテナ26の受信信号から取得するトラクタ1の現在位置情報の検出精度と、慣性計測装置25から取得する機体の変位情報及び方位情報の検出精度を共に向上することができる。しかも、ユニットカバー51の前後方向での幅が小さくなり、アンテナユニット50のコンパクト化を図ることができる。
さらに、上述の配置構成により、図5図7に示すように、GNSSアンテナ26の上方には樹脂製の上側カバー体53のみが存在するだけであるため、例えば、GNSSアンテナ26の上方に慣性計測装置25を配置する場合のように、慣性計測装置25がGNSSアンテナ26の受信障害物になることがなく、所定数の測位衛星45からの搬送波位相(衛星測位情報)を確実に受信することができる。
【0029】
ベースプレート55の長手方向一端部(前進方向に対して機体部2の左右方向の右側端部、図5中右側端部、図8中左側端部)には、図5図7図8に示すように、前後方向で一対の無線通信用アンテナ28を備えた無線通信ユニット27のハウジング27Aが第4ボルト62にて固定連結されている。この無線通信ユニット27の無線通信用アンテナ28は、慣性計測装置25及びGNSSアンテナ26とは反対側で、且つ、ベースプレート55の長手方向一端側に配置されている。
図5に示すように、無線通信ユニット27の無線通信用アンテナ28と慣性計測装置25の中心部との間の第1所定距離L1は250mm以上に設定されている。
【0030】
そして、上述の無線通信ユニット27の配設位置及び向き姿勢の工夫により、アンテナユニット50の長手方向でのコンパクト化を図りながら、無線通信ユニット27の無線通信用アンテナ28から慣性計測装置25の中心部までの第1所定距離L1を十分確保することができる。これにより、無線通信ユニット27と慣性計測装置25との間での電波干渉を抑制して、無線通信ユニット27と無線通信端末30の無線通信装置31との間での通信障害を抑制することができる。
特に、上述したように、無線通信ユニット27の無線通信用アンテナ28と慣性計測装置25の中心部との間の第1所定距離L1が250mm以上に設定されている場合には、無線通信ユニット27と慣性計測装置25との間での電波干渉をより効果的に抑制することができる。
さらに、慣性計測装置25の外周は、コネクタ等を除く多くの部分が金属製のハウジング25Aで遮蔽され、且つ、無線通信ユニット27と慣性計測装置25との間に位置する金属製のハット形のブラケット60の一部が遮蔽壁部として機能するから、無線通信ユニット27と慣性計測装置25との間での電波干渉をより一層抑制することができる。
【0031】
ベースプレート55の長手方向他端部(前進方向に対して機体部2の左右方向の左側端部、図5中左側端部、図8中右側端部)には、図5図7図8に示すように、基準局40からの情報を受信する基地局アンテナ29が配置されている。このようにして、ベースプレート55には、前進方向に対して機体部2の左右方向の右側から、無線通信ユニット27、GNSSアンテナ26(慣性計測装置25)、基地局アンテナ29の順に機体部2の左右方向に並ぶ状態で配置されている。この基地局アンテナ29は、図5図9に示すように、マグネット65を備えた基部29Aと、当該基部29Aから上方に延伸する丸棒状のアンテナバー29Bから構成されている。さらに、基部29Aは、マグネット65を内蔵する円柱状の下側基体29aと、当該下側基体29aの上面中央部に一体形成される截頭円錐台形状の上側基体29bとからなる。そのため、基地局アンテナ29は、マグネット65の磁力で金属製のベースプレート55に取付けられている。
【0032】
また、ベースプレート55には、図5図7図9に示すように、基地局アンテナ29の基部29Aにおける上側基体29bの円錐状外周面の上下中間位置に上方から当接又は近接して、当該基地局アンテナ29の基部29Aの移動を規制する板金製の移動規制部材66が第5ボルト67で固定連結されている。この移動規制部材66に折り曲げ形成されている上側の規制板片66aには、図7図8に示すように、基部29Aの上側基体29bに外嵌される円形の移動規制孔66bと、アンテナバー29Bの通過を許す幅寸法の脱着用切欠き66cとが連通形成されている。
【0033】
上述の基地局アンテナ29の配置構成により、基地局アンテナ29のアンテナバー29Bと無線通信ユニット27の無線通信用アンテナ28との離間距離が大きくなり、基地局アンテナ29のアンテナバー29Bと無線通信ユニット27の無線通信用アンテナ28との間での電波干渉を抑制することができる。
しかも、基地局アンテナ29は、基部29Aに設けたマグネット65の磁力で金属製のベースプレート55に簡単に取付けることができる。それでいて、振動等による基地局アンテナ29の位置ずれは、ベースプレート55にボルト固定される簡素な形状の移動規制部材66で確実に防止することができる。この基地局アンテナ29の取付け構造の簡素化、小型化により、アンテナユニット50のコンパクト化を図ることができる。
【0034】
次に、アンテナユニット50のユニットカバー51について説明する。
図5図7に示すように、ユニットカバー51の上側カバー体53の長手方向一端側(前進方向に対して機体部2の左右方向の右側)には、当該上側カバー体53の長手方向中央部の上面位置及び無線通信ユニット27の無線通信用アンテナ28の上端位置よりも上方に突出する第1膨出部53Aが形成されている。そして、図5に示すように、第1膨出部53Aの内面53aと無線通信用アンテナ28の上端との間の第2所定距離L2は30mm以上に設定されている。
無線通信用アンテナ28の上端と上側カバー体53の第1膨出部53Aの内面53aとの間に形成される第2所定距離L2により、無線通信ユニット27と無線通信端末30の無線通信装置31との間での通信精度の向上を図ることができる。
尚、第1所定距離L1と第2所定距離L2との関係は、
第1所定距離L1>第2所定距離L2に設定してある。
【0035】
また、図5図7に示すように、ユニットカバー51の上側カバー体53の長手方向他端側(前進方向に対して機体部2の左右方向の左側)には、長手方向一端側(前進方向に対して機体部2の左右方向の右側)に形成されている第1膨出部53Aと同一形状の第2膨出部53Bが形成され、ユニットカバー51が左右対称形に構成されている。これは、トラクタ1のキャビン7の前面側の上部位置にアンテナユニット50を取付けたときのデザイン性を考慮したものであるが、この第2膨出部53Bの形成によって新たな技術的な価値が発生する。
つまり、上側カバー体53の第2膨出部53Bは、図5図7図9に示すように、基地局アンテナ29に対応した部位に形成されることになり、基地局アンテナ29の全高は、ベースプレート55の上面から第2膨出部53Bの上面までの高さよりも十分大きい。そのため、第2膨出部53Bの上面には、図7図9に示すように、基地局アンテナ29のアンテナバー29Bが貫通して外部の上方に突出する貫通孔70が形成されている。この貫通孔70の開口周縁には、基地局アンテナ29のアンテナバー29Bの貫通部位の外周面に接触する筒状ゴム等の防振用弾性体71が装着されている。防振用弾性体71としては、アンテナバー29Bの全周に接触して水密性をも発揮するグロメットが用いられている。
【0036】
そして、防振用弾性体71が存在しない場合には、第2膨出部53Bの貫通孔70の開口周縁とアンテナバー29Bの貫通部位の外周面との間に環状の空隙が発生する。トラクタ1の走行振動等が基地局アンテナ29に作用すると、アンテナバー29Bが環状の空隙の範囲で揺れ動くことになり、アンテナバー29Bが根元で折損する可能性がある。しかし、本実施形態では、上述のように、第2膨出部53Bの貫通孔70の開口周縁に設けた防振用弾性体71でアンテナバー29Bの上下中間部を支持し、基地局アンテナ29の支持構造が全体で二点支持構造となるため、走行振動等に起因するアンテナバー29Bの折損を抑制することができる。
特に、第2膨出部53Bの存在によって、ベースプレート55の上面から第2膨出部53Bの上面までの高さが高くなる分だけ、防振用弾性体71で支持されるアンテナバー29Bの支持位置が高くなり、アンテナバー29Bの折損をより一層抑制することができる。
【0037】
尚、当該実施形態では、第2膨出部53Bの貫通孔70の開口周縁に防振用弾性体71を装着したが、この防振用弾性体71は、第2膨出部53Bの上面又は内面53aに取付けてもよく、さらに、ベースプレート55に設けたブラケット等に取付けてもよい。
【0038】
ベースプレート55の長手方向他端側で、且つ、慣性計測装置25及びGNSSアンテナ26と基地局アンテナ29との間には、図7図8図10に示すように、他のユニット72の取付けスペース73が形成されている。ここで、図7図8は、取付けスペース73に他のユニット72を取り付けず、取付けスペース73が中空空間となっている状態を示しており、図10は、取付けスペース73に他のユニット72を取り付けた状態を示している。
【0039】
他のユニット72としては、例えば、自律走行制御の一部を司る後付けの液晶モニタ用のコントローラ等を挙げることができる。本実施形態の自律走行仕様のトラクタ1では、キャビン7内に液晶モニタが設けられ、この液晶モニタには、自律走行制御の一部を司るコントローラが装備されている。しかし、普通仕様の田植機等の他の作業車両を自律走行仕様に変更する場合には、後付けされる液晶モニタ用として自律走行制御を司るコントローラが必要になる。この場合に、ベースプレート55の確保されている取付けスペース73を使用してコントローラを容易に取付けることができる。
【0040】
また、図5図6に示すように、下側カバー体52の底板部52Aの下面側における長手方向の両側部位には、機体前面視では逆「L」字状(図5参照)に折り曲げ形成され、且つ、機体側面視では略半円弧状(図6参照)に形成されたステー75が配設されている。この左右一対のステー75の各々は、下側カバー体52の底板部52Aを貫通する第2ボス76を介してベースプレート55に第6ボルト77で固定連結されている。
【0041】
さらに、図5図7に示すように、下側カバー体52の底板部52Aの下面における長手方向中央位置には、機体前方を撮影するカメラ78が取付けられ、カメラ78で撮影された映像は、トラクタ1の無線通信ユニット27と無線通信端末30の無線通信装置31との無線通信を介して、無線通信端末30のタッチパネルに表示可能に構成されている。
【0042】
尚、図5図10においては、ベースプレート55に組付けられた慣性計測装置25、GNSSアンテナ26、無線通信ユニット27、基地局アンテナ29の各々に接続された電線は省略されており、それらの電線をユニットカバー51内で集合して構成した1本のハーネス80の一部が図7に記載されている。このハーネス80は、図3図7に示すように、下側カバー体52の長手方向一端に形成されたハーネス導出孔(図示省略)から外部に導出される。ハーネス導出孔にはグロメット81が装着されている。
【0043】
次に、アンテナユニット50の取付け構造について説明する。
図3図4に示すように、アンテナユニット50の支持フレーム100の両端部は、キャビンフレーム200を構成する左右の前支柱201に設けられたミラー取付け部150に亘って固定連結されている。
左右のミラー取付け部150の各々は、図3図4に示すように、前支柱201の上側部に、平面視略「コ」の字状に構成された取付け基材151が溶接等で固着され、この取付け基材151に、バックミラー110の支持アーム111を回動自在に支持するヒンジ部152を備えた板状のミラー取付け部材153がボルト等で固定連結されている。左右のミラー取付け部材153の上端部の各々には、水平面に沿う取付け上面を備えた取付け片153Aが折り曲げ形成されている。
【0044】
支持フレーム100は、図3図4に示すように、機体前面視において左右幅方向の両端部が下方に屈曲する略門の字に折り曲げ形成された断面円形のパイプ状支持材101を備え、パイプ状支持材101の両端部には、水平面に沿う取付け下面を有する取付け板102が固着されている。支持フレーム100の両取付け板102は、左右のミラー取付け部材153の取付け片153Aの取付け上面にボルト103等で固定連結されている。
【0045】
上述のように、左右のミラー取付け部150は、堅牢なキャビンフレーム200の前支柱201の上部に取付けられ、且つ、キャビン7のルーフ190に近い高さ位置に配置されている。そのため、頑丈で且つ地上高もある両ミラー取付け部150を利用して、アンテナユニット50の支持フレーム100を適切な高さ位置に強固に取付けることができる。
しかも、左右のミラー取付け部材153における取付け片153Aの取付け上面と、支持フレーム100の両取付け板102の取付け下面が共に水平面に形成されているため、パイプ状支持材101の中間部を水平方向に沿って配置することが容易となり、当該パイプ状支持材101の水平中間部に取付けられるアンテナユニット50の取付け誤差を抑制することができる。
【0046】
また、図3図4に示すように、支持フレーム100が左右のミラー取付け部150に亘って架設された状態では、支持フレーム100のパイプ状支持材101の水平中間部は、キャビンフレーム200のルーフ190の前端近傍位置を機体の左右幅方向に沿って水平に配置される。
パイプ状支持材101の水平中間部には、図3図4図6に示すように、アンテナユニット50の左右一対のステー75を支持する左右一対のブラケット120が固着されている。機体の左右幅方向で近接して対面する二組のアンテナユニット50側のステー75と支持フレーム100側のブラケット120とは、機体の左右幅方向に沿う水平な回動枢支軸となる第7ボルト121で枢支連結されている。
そのため、アンテナユニット50は、支持フレーム100に対する第7ボルト121の回動枢支軸芯周りでの回動により、図3図4に示すように、基地局アンテナ29が鉛直方向の上方に突出する正規使用位置(正規使用姿勢)と、図示は省略するが、前方の低位側の非使用位置(非使用姿勢)とに位置変更可能に構成されている。
本実施形態においては、アンテナユニット50の非使用位置は、正規使用位置から90度前方側に回動した位置であり、この非使用位置では、基地局アンテナ29が水平方向の前方に突出する姿勢にある。
【0047】
また、二組のアンテナユニット50側のステー75と支持フレーム100側のブラケット120とは、図4図6に示すように、第7ボルト121から回動半径方向に偏倚した位置に設けられた第8ボルト122の差し替えにより、アンテナユニット50を正規使用位置と非使用位置とに択一的に固定可能に構成されている。
詳しくは、図6に示すように、支持フレーム100側のブラケット120には、第8ボルト122が挿通される一つのボルト挿入孔123が形成され、アンテナユニット50側のステー75には、正規使用位置及び非使用位置にあるときにブラケット120側のボルト挿入孔123と合致する二箇所にボルト挿入孔124が形成されている。
【0048】
図4に示すように、アンテナユニット50が正規使用位置にある状態では、基地局アンテナ29が鉛直方向の上方に向く姿勢にあり、基地局アンテナ29の上端は、図1に示すように、キャビン7のルーフ190よりも上方に突出する。しかし、トラクタ1の輸送時等において、キャビン7のルーフ190よりも上方に突出する基地局アンテナ29が邪魔になる場合には、アンテナユニット50を正規使用位置から非使用位置に変更する。非使用位置では、基地局アンテナ29が水平方向の前方に突出する姿勢となり、ユニットカバー51を含むアンテナユニット50の上方への突出高さを、キャビン7のルーフ190の最高部位よりも低くすることができる。
【0049】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、無線通信ユニット27の無線通信用アンテナ28をアンテナユニット50のユニットカバー51内に収めたが、必要に応じて、無線通信用アンテナ28を、上側カバー体53に形成される貫通孔から外部の上方に突出させてもよい。
【0050】
(2)上述の実施形態では、無線通信ユニット27の無線通信用アンテナ28と慣性計測装置25の中心部との間の第1所定距離L1を250mm以上に設定したが、この第1所定距離L1は、無線通信ユニット27と慣性計測装置25との間での電波干渉条件に応じて任意に設定することができる。
【0051】
(3)上述の実施形態では、第1膨出部53Aの内面53aと無線通信用アンテナ28の上端との間の第2所定距離L2を30mm以上に設定したが、この第2所定距離L2は、無線通信ユニット27と無線通信端末30の無線通信装置31との間での通信状態に応じて任意に設定することができる。
【0052】
(4)上述の実施形態では、ユニットカバー51の下面側に左右一対のステー75を取付けたが、この取付け構造に限定されるものではなく、作業車両側の取付け条件に応じて任意の取付け構造を採用することができる。
【0053】
〔発明の付記〕
本発明は、キャビンを備えた作業車両であって、前記キャビンの外部の上部に位置する支持フレームに取付けたアンテナユニット内のユニットベースの長手方向中央部に、GNSSアンテナと慣性計測装置とを配置し、前記ユニットベースの長手方向一端側に無線通信ユニットを配置するとともに、前記無線通信ユニットの無線通信用アンテナを、前記ユニットベースの長手方向一端側に配置し、前記アンテナユニットは、前記支持フレームに対して前記キャビンのルーフよりも上方に突出する正規使用位置から前記ルーフの最高部位よりも低い低位側の非使用位置に位置変更可能に取付けてあると好適である。
【0054】
上記構成によれば、作業車両に取付け可能なユニットベースの長手方向中央部に、GNSSアンテナと慣性計測装置とを配置してあるので、例えば、作業車両の前後方向又は横幅方向の中央側にユニットベースを配置することで、GNSSアンテナと慣性計測装置とを作業車両の前後方向又は横幅方向の中央部に配置させることができ、GNSSアンテナの受信信号から取得する作業車両の現在位置情報の検出精度と、慣性計測装置から取得する機体の姿勢変化情報の検出精度を共に向上することができる。
また、ユニットベースの長手方向一端側に配置した無線通信ユニットにより、例えば、無線通信端末等の外部装置との間で各種の信号を無線通信することが可能となる。
しかも、無線通信ユニットの無線通信用アンテナを、慣性計測装置とは反対側で、且つ、ユニットベースの長手方向一端側に配置してあるので、無線通信ユニットの無線通信用アンテナから慣性計測装置の中心部までの距離を十分確保することができる。これにより、無線通信ユニットと慣性計測装置との間での電波干渉を抑制して、無線通信ユニットと無線通信端末等との間での通信障害を抑制することができる。
【0055】
したがって、ユニットベースに対するGNSSアンテナ、慣性計測装置、無線通信ユニットの配設位置及び向き姿勢を上述の如く合理的に工夫することにより、アンテナユニット自体のコンパクト化を図りながら、慣性計測装置及びGNSSアンテナの検出精度を共に向上し、且つ、無線通信ユニットの通信状態を良好に維持した状態で作業車両に効率良く搭載することができる。
【0056】
前記GNSSアンテナは前記慣性計測装置の上部に配置されている。
【0057】
上記構成によれば、例えば、GNSSアンテナの上方に慣性計測装置を配置する場合のように、慣性計測装置がGNSSアンテナの受信障害物になることがなく、測位衛星からの衛星測位情報を確実に受信することができる。しかも、慣性計測装置とGNSSアンテナとの上下配置によってアンテナユニットの幅方向でのコンパクト化を促進することができる。
本発明は、前記支持フレームは、前記キャビンの前面側の上部位置に左右幅方向に沿って配置した状態でキャビンフレームに固定されていると好適である。
【0058】
本発明は、前記慣性計測装置の中心部と前記無線通信ユニットの無線通信用アンテナとの間の所定距離が250mm以上に設定されていると好適である。
【0059】
上記構成によれば、無線通信ユニットと慣性計測装置との間での電波干渉を一層抑制して、無線通信ユニットと無線通信端末等の外部装置との間での通信障害をより良好に抑制することができる。
【0060】
本発明は、前記ユニットベースの長手方向他端側には、基準局からの情報を受信する基地局アンテナが配置されていると好適である。
【0061】
上記構成によれば、基地局アンテナと無線通信ユニットの無線通信用アンテナとの間の離間距離が大きくなり、基地局アンテナと無線通信ユニットの無線通信用アンテナとの間での電波干渉を抑制することができる。しかも、GNSSアンテナ、慣性計測装置、無線通信ユニットに加えて、基準局アンテナを備える場合でも、それらをアンテナユニットに効率よくコンパクトに収納させることができる。
【0062】
本発明は、前記基地局アンテナは、前記ユニットベースを覆うユニットカバーの貫通孔から外部に突出し、前記ユニットカバーには、前記基地局アンテナと接触する防振用弾性体が設けられていると好適である。
【0063】
上記構成によれば、防振用弾性体が存在しない場合には、ユニットカバーの貫通孔の開口周縁と基地局アンテナの貫通部位の外周面との間に環状の空隙が発生する。作業車両の走行振動等が基地局アンテナに作用すると、基地局アンテナが環状の空隙の範囲で揺れ動くことになり、基地局アンテナが根元側で折損する可能性がある。しかし、本発明では、上述のように、ユニットカバーに設けられた防振用弾性体で基地局アンテナの上下中間部が支持されているので、基地局アンテナの支持構造が全体で二点支持構造となり、走行振動等に起因する基地局アンテナの折損を抑制することができる。
【0064】
本発明は、前記基地局アンテナは、前記ユニットベースに磁力で取付けられ、前記基地局アンテナの基部の移動を規制する移動規制部材が前記ユニットベースに取付けられていると好適である。
【0065】
上記構成によれば、基地局アンテナを磁力でユニットベースに簡単に取付けることができる。それでいて、振動等による基地局アンテナの位置ずれは、ベースプレートに取付けられる簡素な移動規制部材で確実に防止することができる。この基地局アンテナの取付け構造の簡素化、小型化により、アンテナユニットのコンパクト化を促進することができる。
【0066】
本発明は、前記ユニットベースの長手方向他端側には、他のユニットの取付けスペースが形成されていると好適である。
【0067】
上記構成によれば、例えば、自律走行制御の一部を司る後付けのコントローラ等の他のユニットを、ユニットベースの長手方向他端側に確保されている取付けスペースを使用して容易に取付けることができる。しかも、このような後付けの他のユニットについても、アンテナユニットに効率よくコンパクトに収納させることができる。
本発明の第1特徴構成は、キャビンを備えた作業車両であって、
前記キャビンの外部の前面側の上部位置に左右幅方向に沿って支持フレームを配置し、
前記支持フレームは、キャビンフレームに固定して設けられ、
前記支持フレームに対してアンテナユニットが設けられ、
前記アンテナユニットは、前記キャビンのルーフよりも上方に突出する状態で配設されていることを特徴とする点にある。
本発明の第2特徴構成は、前記アンテナユニットは、前記ルーフの最高部位よりも低い位置に位置変更可能に設けられていることを特徴とする点にある。
本発明の第3特徴構成は、前記支持フレームの両端部は、前記キャビンフレームを構成する左右の前支柱に設けられたミラー取り付け部に連結されていることを特徴とする点にある。
【0068】
さらに、一態様に係る作業車両は、キャビンを備えた作業車両であって、支持部と、アンテナユニットと、を備える。前記支持部は、前記キャビンに固定され、前記キャビンの外部の上部に位置する。前記アンテナユニットは、前記支持部に支持される。前記アンテナユニットは、前記支持部に対して、前記キャビンのルーフよりも上方に突出する正規使用位置から前記ルーフの最高部位よりも低い低位側の非使用位置に位置変更可能に取付けてある。
【符号の説明】
【0069】
1 トラクタ(作業車両)
7 キャビン
50 アンテナユニット
100 支持フレーム
150 ミラー取付け部
190 ルーフ
200 キャビンフレーム
201 前支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10