(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】ダイス、押出成形装置及び成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/30 20190101AFI20240520BHJP
B29C 48/17 20190101ALI20240520BHJP
B29C 48/21 20190101ALI20240520BHJP
B29C 48/49 20190101ALI20240520BHJP
B29C 48/71 20190101ALI20240520BHJP
【FI】
B29C48/30
B29C48/17
B29C48/21
B29C48/49
B29C48/71
(21)【出願番号】P 2023132573
(22)【出願日】2023-08-16
【審査請求日】2024-03-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】北 英樹
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特公昭50-006859(JP,B1)
【文献】特開昭57-022033(JP,A)
【文献】特表2021-511988(JP,A)
【文献】特開2023-079099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/30
B29C 48/17
B29C 48/21
B29C 48/49
B29C 48/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形装置のダイスであって、
ブレーカープレートの両面間を貫通する複数の第1孔と、前記両面間を貫通するとともに前記複数の第1孔を囲うように配列される複数の第2孔と、を有する前記ブレーカープレートと、
第1溶融樹脂を第1アウトレットポートから押し出す第1押出機と前記ブレーカープレートとの間に取り付けられ、溶融した母材及びその母材よりも溶融しにくい線模様剤を含む第2溶融樹脂を第2アウトレットポートから押し出す第2押出機と前記ブレーカープレートとの間に取り付けられ、前記第1押出機の前記第1アウトレットポート及び前記複数の第1孔に通じる第1流路を有し、前記第2押出機の前記第2アウトレットポート及び前記複数の第2孔に通じる第2流路を有した上流ダイスと、
前記ブレーカープレートに関して前記上流ダイスの反対側において前記ブレーカープレートに取り付けられ、前記複数の第1孔及び前記複数の第2孔に通じる第3流路を有した下流ダイスと、
を備えることを特徴とするダイス。
【請求項2】
請求項1に記載のダイスであって、
前記第3流路の周囲の長さが、前記ブレーカープレートから離れるにつれて漸増する
ことを特徴とするダイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のダイスであって、
前記複数の第2孔が前記第3流路の周に沿って配列されている
ことを特徴とするダイス。
【請求項4】
成形品を押出成形する押出成形装置であって、
熱可塑性樹脂を有する第1原料を溶融させることによって第1溶融樹脂を生成し、前記第1溶融樹脂を第1アウトレットポートから押し出す第1押出機と、
熱可塑性樹脂を有する第2原料を溶融させることによって母材を生成し、着色された熱可塑性樹脂を有するとともに前記第2原料よりも溶融しにくい線模様剤を軟化又は溶融させ、前記母材及び前記線模様剤を混練しながら第2アウトレットポートから押し出す第2押出機と、
ブレーカープレートの両面間を貫通する複数の第1孔と、前記両面間を貫通するとともに前記複数の第1孔を囲うように配列される複数の第2孔と、を有する前記ブレーカープレートと、
前記第1押出機と前記ブレーカープレートとの間に取り付けられ、前記第2押出機と前記ブレーカープレートとの間に取り付けられ、前記第1押出機の前記第1アウトレットポート及び前記複数の第1孔に通じる第1流路を有し、前記第2押出機の前記第2アウトレットポート及び前記複数の第2孔に通じる第2流路を有した上流ダイスと、
前記ブレーカープレートに関して前記上流ダイスの反対側において前記ブレーカープレートに取り付けられ、前記複数の第1孔及び前記複数の第2孔に通じる第3流路を有した下流ダイスと、
を備えることを特徴とする押出成形装置。
【請求項5】
請求項4に記載の押出成形装置であって、
前記第3流路の周囲の長さが、前記ブレーカープレートから離れるにつれて漸増する
ことを特徴とする押出成形装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の押出成形装置であって、
前記複数の第2孔が前記第3流路の周に沿って配列されている
ことを特徴とする押出成形装置。
【請求項7】
熱可塑性樹脂を有する第1原料を第1押出機により溶融させることによって第1溶融樹脂を生成し、前記第1溶融樹脂を前記第1押出機の第1アウトレットポートから押し出すとともに、熱可塑性樹脂を有する第2原料を第2押出機により溶融させることによって母材を生成し、着色された熱可塑性樹脂を有するとともに前記第2原料よりも溶融しにくい線模様剤を軟化又は溶融させ、前記母材及び前記線模様剤を混練しながら前記第2押出機の第2アウトレットポートから押し出す成形方法であって、
ブレーカープレートが前記ブレーカープレートの両面間を貫通する複数の第1孔と、前記両面間を貫通するとともに前記複数の第1孔を囲うように配列される複数の第2孔と、を有し、
上流ダイスが前記第1押出機と前記ブレーカープレートとの間に取り付けられ、前記上流ダイスが前記第2押出機と前記ブレーカープレートとの間に取り付けられ、前記上流ダイスが前記第1押出機の前記第1アウトレットポート及び前記複数の第1孔に通じる第1流路を有し、前記上流ダイスが前記第2押出機の前記第2アウトレットポート及び前記複数の第2孔に通じる第2流路を有し、
下流ダイスが前記ブレーカープレートに関して前記上流ダイスの反対側において前記ブレーカープレートに取り付けられ、前記下流ダイスが前記複数の第1孔及び前記複数の第2孔に通じる第3流路を内側に有する
ことを特徴とする成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイス、押出成形装置及び成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然木のような質感を有した木質様製品は例えば押出成形法により製造されている。木質様製品の質感をより天然木に近いものとするために、各種技術が提案されている。例えば、特許文献1は、2台の押出機及び2体のダイを備える押出成形装置を開示する。2体のダイは直列に接続されており、上流のダイの流路の断面積が下流のダイの流路の断面積よりも小さい。芯材が2体のダイの流路内において上流から下流へ送られ、一方の押出機が上流のダイの流路に接着樹脂を供給することによって接着層が芯材の外表面全体に被覆される。他方の押出機が下流のダイの流路に被覆樹脂を供給することによって被覆層が接着層の外表面全体に被覆される。被覆層は、マトリクス相と、マトリクス相中に分散した分散相からなる。分散相は、成形品の長手方向に延びている。分散相が被覆層の表面において露出することによって、それが筋模様となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成形品が天然木の質感により似寄せるべく、成形品の表面の模様が柾目模様であることが要望されている。特許文献1に記載の押出成形装置によって成形された成形品の表面に表れる模様は柾目模様とは言いがたく、成形品が天然木の質感からほど遠い。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、柾目の模様を表面に有した成形品の製造に貢献することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の括弧書きで示された参照符号は
図1~
図5において参照される。
【0007】
請求項1に係る発明によれば、押出成形装置(1)のダイス(50)であって、
ブレーカープレート(59)の両面間を貫通する複数の第1孔(59a及び59b)と、前記両面間を貫通するとともに前記複数の第1孔(59a及び59b)を囲うように配列される複数の第2孔(59c)と、を有する前記ブレーカープレート(59)と、
第1溶融樹脂を第1アウトレットポート(21)から押し出す第1押出機(20)と前記ブレーカープレート(59)との間に取り付けられ、溶融した母材及びその母材よりも溶融しにくい線模様剤(93)を含む第2溶融樹脂を第2アウトレットポート(41)から押し出す第2押出機(40)と前記ブレーカープレート(59)との間に取り付けられ、前記第1押出機(20)の前記第1アウトレットポート(21)及び前記複数の第1孔(59a及び59b)に通じる第1流路を有し、前記第2押出機(40)の前記第2アウトレットポート(41)及び前記複数の第2孔(59c)に通じる第2流路(53e,53c,54f及び54g)を有した上流ダイス(50a)と、
前記ブレーカープレート(59)に関して前記上流ダイス(50a)の反対側において前記ブレーカープレート(59)に取り付けられ、前記複数の第1孔(59a及び59b)及び前記複数の第2孔(59c)に通じる第3流路を有した下流ダイス(50b)と、
を備えることを特徴とするダイス(50)が提供される。
【0008】
請求項4に係る発明によれば、
成形品を押出成形する押出成形装置(1)であって、
熱可塑性樹脂を有する第1原料(91)を溶融させることによって第1溶融樹脂を生成し、前記第1溶融樹脂を第1アウトレットポート(21)から押し出す第1押出機(20)と、
熱可塑性樹脂を有する第2原料(92)を溶融させることによって母材を生成し、着色された熱可塑性樹脂を有するとともに前記第2原料(92)よりも溶融しにくい線模様剤(93)を軟化又は溶融させ、前記母材及び前記線模様剤(93)を混練しながら第2アウトレットポート(41)から押し出す第2押出機(40)と、
ブレーカープレート(59)の両面間を貫通する複数の第1孔(59a及び59b)と、前記両面間を貫通するとともに前記複数の第1孔(59a及び59b)を囲うように配列される複数の第2孔(59c)と、を有する前記ブレーカープレート(59)と、
前記第1押出機(20)と前記ブレーカープレート(59)との間に取り付けられ、前記第2押出機(40)と前記ブレーカープレート(59)との間に取り付けられ、前記第1押出機(20)の前記第1アウトレットポート(21)及び前記複数の第1孔(59a及び59b)に通じる第1流路を有し、前記第2押出機(40)の前記第2アウトレットポート(41)及び前記複数の第2孔(59c)に通じる第2流路(53e,53c,54f及び54g)を有した上流ダイス(50a)と、
前記ブレーカープレート(59)に関して前記上流ダイス(50a)の反対側において前記ブレーカープレート(59)に取り付けられ、前記複数の第1孔(59a及び59b)及び前記複数の第2孔(59c)に通じる第3流路を有した下流ダイス(50b)と、
を備えることを特徴とする押出成形装置(1)が提供される。
【0009】
請求項7に係る発明によれば、
熱可塑性樹脂を有する第1原料(91)を第1押出機(20)により溶融させることによって第1溶融樹脂を生成し、前記第1溶融樹脂を前記第1押出機(20)の第1アウトレットポート(21)から押し出すとともに、熱可塑性樹脂を有する第2原料(92)を第2押出機(40)により溶融させることによって母材を生成し、着色された熱可塑性樹脂を有するとともに前記第2原料(92)よりも溶融しにくい線模様剤(93)を軟化又は溶融させ、前記母材及び前記線模様剤(93)を混練しながら前記第2押出機(40)の第2アウトレットポート(41)から押し出す成形方法であって、
ブレーカープレート(59)が前記ブレーカープレート(59)の両面間を貫通する複数の第1孔(59a及び59b)と、前記両面間を貫通するとともに前記複数の第1孔(59a及び59b)を囲うように配列される複数の第2孔(59c)と、を有し、
上流ダイス(50a)が前記第1押出機(20)と前記ブレーカープレート(59)との間に取り付けられ、前記上流ダイス(50a)が前記第2押出機(40)と前記ブレーカープレート(59)との間に取り付けられ、前記上流ダイス(50a)が前記第1押出機(20)の前記第1アウトレットポート(21)及び前記複数の第1孔(59a及び59b)に通じる第1流路(51a,52a,53a及び54a)を有し、前記上流ダイス(50a)が前記第2押出機(40)の前記第2アウトレットポート(41)及び前記複数の第2孔(59c)に通じる第2流路(53e,53c,54f及び54g)を有し、
下流ダイス(50b)が前記ブレーカープレート(59)に関して前記上流ダイス(50a)の反対側において前記ブレーカープレート(59)に取り付けられ、前記下流ダイス(50b)が前記複数の第1孔(59a及び59b)及び前記複数の第2孔(59c)に通じる第3流路(55a、60a及び61a)を内側に有する
ことを特徴とする成形方法が提供される。
【0010】
以上のような請求項1、4又は7に係る発明によれば、第2溶融樹脂の線模様剤(93)が第2溶融樹脂の母材よりも溶融しにくいことは、第2押出機(40)による第2溶融樹脂の混練の際に線模様剤(93)の変形及び分断を伴った線模様剤(93)の分散に寄与する。
上流ダイス(50a)が第1押出機(20)の第1アウトレットポート(21)及びブレーカープレート(59)の複数の第1孔(59a及び59b)に通じる第1流路(51a,52a,53a及び54a)を内側に有するため、第1押出機(20)が第1溶融樹脂を第1アウトレットポート(21)から上流ダイス(50a)の第1流路(51a,52a,53a及び54a)に押し出すと、その第1溶融樹脂が第1孔(59a及び59b)に押し込まれる。
上流ダイス(50a)が第2押出機(40)の第2アウトレットポート(41)及びブレーカープレート(59)の複数の第2孔(59c)に通じる第2流路(53e,53c,54f及び54g)を内側に有するため、第2押出機(40)が第2溶融樹脂を第2アウトレットポート(41)から上流ダイス(50a)の第2流路(53e,53c,54f及び54g)に押し出すと、その第2溶融樹脂が第2孔(59c)に押し込まれる。第2溶融樹脂が第2孔(59c)の通過の際には、線模様剤(93)が変形及び分断されながら母材に分散される。
ブレーカープレート(59)の複数の第2孔(59c)がブレーカープレート(59)の複数の第1孔(59a及び59b)を囲うように配列されているため、ブレーカープレート(59)の複数の第2孔(59c)から下流ダイス(50b)の第3流路(55a、60a及び61a)に出た第2溶融樹脂は、ブレーカープレート(59)の複数の第1孔(59a及び59b)から下流ダイス(50b)の第3流路(55a、60a及び61a)に出た第1溶融樹脂の外周に積層される。
第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂が下流ダイス(50b)の第3流路(55a、60a及び61a)を流動する際に、第2溶融樹脂が下流ダイス(50b)から壁面摩擦抵抗を受けるため、第2溶融樹脂中の線模様剤(93)が線状に延びる。線状の線模様剤(93)が成形品の表面における柾目模様の線を成す。上述のような線模様剤(93)の変形及び分断は、成形品の表面の柾目模様の形成に貢献する。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載のダイス(50)であって、
前記第3流路(55a、60a及び61a)の周囲の長さが、前記ブレーカープレート(59)から離れるにつれて漸増する
ことを特徴とするダイス(50)が提供される。
【0012】
請求項5に係る発明によれば、請求項4に記載の押出成形装置(1)であって、
前記第3流路(55a、60a及び61a)の周囲の長さが、前記ブレーカープレート(59)から離れるにつれて漸増する
ことを特徴とする押出成形装置(1)が提供される。
【0013】
以上のような請求項2又は5に係る発明によれば、第3流路(55a、60a及び61a)の周囲の長さがブレーカープレート(59)から離れるにつれて漸増することは、第2溶融樹脂中の線模様剤(93)の周方向の分断を引き起こす。第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂が下流ダイス(50b)の第3流路(55a、60a及び61a)を流動する際に、第2溶融樹脂中の線模様剤(93)が細い線状に延びる。細い線状の線模様剤(93)が成形品の表面における柾目模様の線を成す。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は2に記載のダイス(50)であって、
前記複数の第2孔(59c)が前記第3流路(55a、60a及び61a)の周に沿って配列されている
ことを特徴とするダイス(50)が提供される。
【0015】
請求項6に係る発明によれば、請求項4又は5に記載の押出成形装置(1)であって、
前記複数の第2孔(59c)が前記第3流路(55a、60a及び61a)の周に沿って配列されている
ことを特徴とする押出成形装置(1)が提供される。
【0016】
以上のような請求項3又は6に係る発明によれば、複数の第2孔(59c)が第3流路(55a、60a及び61a)の周に沿って配列されているため、ブレーカープレート(59)の複数の第2孔(59c)から下流ダイス(50b)の第3流路(55a、60a及び61a)に出た第2溶融樹脂は、ブレーカープレート(59)の複数の第1孔(59a及び59b)から下流ダイス(50b)の第3流路(55a、60a及び61a)に出た第1溶融樹脂の外周の全体に積層される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第2溶融樹脂が下流ダイスの第3流路において第1溶融樹脂の外周に積層されるとともに第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂が下流ダイスの第3流路を流動することは、第2溶融樹脂中の線模様剤が線状に延びることに貢献する。線状に延びた線模様剤は成形品の表面における柾目模様の線である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】
図5は、ダイスのブレーカープレートを押出方向に見て示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。実施形態の特徴及び技術的な効果は、以下の詳細な説明及び図面から理解される。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0020】
<1. 押出成形装置の概要>
図1は、押出成形装置1の側面図である。
図2は、成形品99の断面図である。押出成形装置1は、溶融された樹脂を押し出すことによって成形品99を製造する。押出方向に垂直な断面において、成形品99の表層部99aが成形品99の内部99bの外周面の全体に亘ってその外周面に積層されている。成形品99の表層部99aは、木材のような柾目模様を有する。柾目模様とは、押出方向に延びた様々な長さ且つ幅の多数の線が成形品99の表面に無作為に分布した模様をいう。なお、成形品99の断面形状は様々なバリエーションを取り得て、
図2に示す断面形状は一例である。例えば、成形品99の断面形状は中空であってもよい。
【0021】
<2. 押出成形装置の構成要素>
押出成形装置1は、第1ホッパー11、第1フィーダー12、第1押出機20、第2ホッパー32、第3ホッパー33、第4ホッパー34、第2フィーダー37、第3フィーダー38、第4フィーダー39、第1計量器81、第2計量器82、第1開閉器83、第2開閉器84、ブレンダー85、第2押出機40及びダイス50を備える。
【0022】
(1) 第1ホッパー及び第1原料
第1ホッパー11は、第1フィーダー12の上部に連結されている。第1ホッパー11の上面が開口しており、ペレット状又は顆粒状の第1原料91が第1ホッパー11の開口を通じて第1ホッパー11に自動的又は手動的に投入される。第1ホッパー11は、それに投入された第1原料91を貯留する。
【0023】
第1原料91は成形品99の内部の原料である。第1原料91は熱可塑性樹脂を含有する。その熱可塑性樹脂は顔料又は染料によって着色されてもよいし、非着色であってもよい。第1原料91は、熱可塑性樹脂に加えて、木粉を有してもよい。この場合、熱可塑性樹脂が母材であり、木粉が母材に分散している。
【0024】
(2) 第1フィーダー
第1フィーダー12は、第1ホッパー11の下端と第1押出機20の後部との間に連結されている。第1フィーダー12は、第1ホッパー11内の第1原料91を第1ホッパー11の下端から取り出して、その第1原料91を第1押出機20に供給する。第1フィーダー12は、第1原料91の供給速度を調整する。第1フィーダー12は、例えばスクリューフィーダーである。
【0025】
(3) 第1押出機
第1押出機20は、第1フィーダー12に連結されている。第1押出機20は、第1フィーダー12から第1原料91の供給を受ける。第1押出機20は、それに供給された第1原料91を加熱することによって第1原料91を溶融させる。第1押出機20は、第1原料91が溶融した第1溶融樹脂を混練しながら、その第1溶解樹脂をダイス50へ押し出す。
【0026】
第1押出機20は、シリンダー、スクリュー、モーター、ヒーター及び恒温ケース等を有する。シリンダーは、その中心軸が前後方向に延びるように恒温ケース内に設置されている。ヒーターは、恒温ケース内においてシリンダーの外周に取り付けられている。ヒーターは、シリンダー及びその内側の第1原料91を加熱して、第1原料91を溶融させる。スクリューは、シリンダーの中心軸に沿ってシリンダー内に収容されている。スクリューはモーターに連結されている。モーターがシリンダーの後部に取り付けられている。モーターがスクリューを回転駆動すると、第1溶融樹脂がスクリューによって混練されながらシリンダーの前端の方へ送られる。これにより、第1溶融樹脂がシリンダーの前端からダイス50へ押し出される。
【0027】
(4) 第2ホッパー及び第2原料
第2ホッパー32は、第2フィーダー37の上部に連結されている。第2ホッパー32の上面が開口しており、ペレット状又は顆粒状の第2原料92が第2ホッパー32の開口を通じて第2ホッパー32に自動的又は手動的に投入される。第2ホッパー32は、それに投入された第2原料92を貯留する。
【0028】
第2原料92は成形品99の表層部、特にその表層部の母材の原料である。第2原料92は熱可塑性樹脂を含有する。その熱可塑性樹脂は顔料又は染料によって着色されてもよいし、非着色であってもよい。第2原料92は、熱可塑性樹脂に加えて、木粉を含有してもよい。この場合、熱可塑性樹脂が母材であり、木粉が母材に分散している。第2原料92は木分を含有しなくてもよい。
【0029】
(5) 第2フィーダー、第1計量器及び第1開閉器
第2フィーダー37は、例えばスクリューフィーダーである。第2フィーダー37は、第2ホッパー32の下端と第1計量器81の投入口の間に設けられている。第1開閉器83は、第1計量器81の排出口に設けられている。第1計量器81及び第1開閉器83は、ブレンダー85の上方に設けられている。第1開閉器83が第1計量器81の排出口を定期的又は周期的に開閉する。
【0030】
まず、第1開閉器83が第1計量器81の排出口を閉じる。その後、第2フィーダー37が、第2ホッパー32内の第2原料92を第2ホッパー32の下端から取り出して、その第2原料92を第1計量器81に供給する。第2フィーダー37の供給動作中、第1計量器81は、第2フィーダー37から供給される第2原料92を計量する。第1計量器81の計量値が設定値に到達したら、第2フィーダー37が第1計量器81から信号を受けて供給動作を停止する。その後、第1開閉器83が第1計量器81の排出口を開放することによって、第2原料92が重力により第1計量器81からブレンダー85に投入される。その後、第1計量器81が計量値をリセットする。以後、第2フィーダー37、第1開閉器83及び第1計量器81が同様の動作を繰り返す。
【0031】
(6) 第3ホッパー及び線模様剤
第3ホッパー33は、第3フィーダー38の上部に連結されている。第3ホッパー33の上面が開口しており、ペレット状又は顆粒状の線模様剤93が第3ホッパー33の開口を通じて第3ホッパー33に自動的又は手動的に投入される。第3ホッパー33は、それに投入された線模様剤93を貯留する。
【0032】
線模様剤93は成形品99の表層部、特にその表層部の柾目模様の線のための原料である。線模様剤93は熱可塑性樹脂を含有する。その熱可塑性樹脂は顔料又は染料によって着色されている。線模様剤93は第1原料91、第2原料92及び着色剤94よりも溶融しにくい。つまり、線模様剤93の融点は第1原料91、第2原料92及び着色剤94の融点よりも高く、線模様剤93のガラス転移温度は第1原料91、第2原料92及び着色剤94のガラス転移温度よりも高い。なお、線模様剤93はマスターパッチともいう。
【0033】
(7) 第4ホッパー及び着色剤
第4ホッパー34は、第4フィーダー39の上部に連結されている。第4ホッパー34の上面が開口しており、ペレット状又は顆粒状の着色剤94が第4ホッパー34の開口を通じて第4ホッパー34に自動的又は手動的に投入される。第4ホッパー34は、それに投入された着色剤94を貯留する。
【0034】
着色剤94は成形品99の表層部、特にその表層部の母材を着色する原料である。着色剤94は、母材としてのその熱可塑性樹脂と、その熱可塑性樹脂に分散した顔料又は染料とを含有する。着色剤94は第2原料92と同程度の溶融性を有する。着色剤94は線模様剤93よりも溶融しやすい。つまり、着色剤94の融点は線模様剤93の融点よりも低く、着色剤94のガラス転移温度は線模様剤93のガラス転移温度よりも低い。なお、着色剤94はマスターパッチともいう。
【0035】
着色剤94が用いられなくてもよい。特に第2原料92が着色されている場合、着色剤94が用いられなくてもよい。
【0036】
(8) 第3フィーダー、第4フィーダー、第2計量器及び第2開閉器
第3フィーダー38及び第4フィーダー39は、例えばスクリューフィーダーである。第3フィーダー38は、第3ホッパー33の下端と第2計量器82の投入口の間に設けられている。第4フィーダー39は、第4ホッパー34の下端と第2計量器82の投入口との間に設けられている。第2開閉器84は、第2計量器82の排出口に設けられている。第2計量器82及び第2開閉器84は、ブレンダー85の上方に設けられている。第2開閉器84は、第2開閉器84の開閉動作と同期して、第2計量器82の排出口を定期的又は周期的に開閉する。
【0037】
まず、第2開閉器84が第2計量器82の排出口を閉じる。その後、第3フィーダー38は、第3ホッパー33内の線模様剤93を第3ホッパー33の下端から取り出して、その線模様剤93を第2計量器82に供給する。第4フィーダー39も、第4ホッパー34内の着色剤94を第4ホッパー34の下端から取り出して、その着色剤94を第2計量器82に供給する。第3フィーダー38及び第4フィーダー39の供給動作中、第2計量器82は、フィーダー38,39から供給される線模様剤93及び着色剤94を計量する。第2計量器82の計量値が設定値に到達したら、フィーダー38,39が第2計量器82から信号を受けて供給動作を停止する。その後、第2開閉器84が第2計量器82の排出口を開放することによって、線模様剤93及び着色剤94が重力により第2計量器82からブレンダー85に投入される。その後、第2計量器82が計量値をリセットする。以後、第3フィーダー38、第4フィーダー39、第2開閉器84及び第2計量器82が同様の動作を繰り返す。
【0038】
なお、色の異なる複数種の着色剤94が用いられてもよい。その場合、第4ホッパー34及び第4フィーダー39の数が複数であり、着色剤94が種類ごとに分けられて第4ホッパー34に投入される。
【0039】
(9) ブレンダー
ブレンダー85は、第1計量器81及び第2計量器82と第2押出機40との間に設けられている。
【0040】
第1開閉器83及び第2開閉器84が互いに同期して、定期的又は周期的に開閉するため、計量された第2原料92、線模様剤93及び着色剤94が定期的又は周期的にブレンダー85に供給される。ブレンダー85は、供給された第2原料92、線模様剤93及び着色剤94を混合して、その混合物を第2押出機40に供給する。
【0041】
(10) 第2押出機
第2押出機40は、ブレンダー85に連結されている。第2押出機40は、ブレンダー85から第2原料92、線模様剤93及び着色剤94の混合物の供給を受ける。第2押出機40は、第3フィーダー38から線模様剤93の供給を受ける。第2押出機40は、それに供給された第2原料92、線模様剤93及び着色剤94を加熱する。加熱温度は、第2原料92及び着色剤94の融点よりも高い。加熱温度は、線模様剤93の融点よりも低く、線模様剤93のガラス転移温度よりも低い。そのため、第2押出機40は、加熱により第2原料92及び着色剤94を溶融させるとともに、線模様剤93をゴム状に軟化させる。第2押出機40は、第2溶融樹脂を混練しながらダイス50へ押し出す。第2溶融樹脂は、第2原料92が溶融した溶融樹脂と、着色剤94が溶融した溶融樹脂と、軟化された線模様剤93との混合物をいう。第2溶融樹脂が第2押出機40により混練されることによって、第2溶融樹脂の母材の色が均一され、線模様剤93が変形且つ分断されながら母材に分散される。母材とは、第2原料92が溶融した溶融樹脂と、着色剤94が溶融した溶融樹脂との混合物をいう。なお、第2押出機40が線模様剤93を溶融させてもよい。この場合、溶融した線模様剤93の粘度は、溶融した第2原料92及び着色剤94の粘度よりも高い。溶融した線模様剤93は、第2溶融樹脂の母材、つまり溶融した第2原料92及び着色剤94に混合されにくく、溶融した線模様剤93が変形且つ分断されながら母材に分散される。
【0042】
第2押出機40は、シリンダー、スクリュー、モーター、ヒーター及び恒温ケース等を有する。シリンダーは、その中心軸が前後方向に延びるように恒温ケース内に設置されている。ヒーターは、恒温ケース内においてシリンダーの外周に取り付けられている。ヒーターは、シリンダー及びその内側の第2原料92、線模様剤93及び着色剤94を加熱して、第2原料92、線模様剤93及び着色剤94から第2溶融樹脂を生成する。スクリューは、シリンダーの中心軸に沿ってシリンダー内に収容されている。スクリューはモーターに連結されている。モーターがシリンダーの後部に取り付けられている。モーターがスクリューを回転駆動すると、第2溶融樹脂がスクリューによって混練されながらシリンダーの前端の方へ送られる。これにより、第2溶融樹脂がシリンダーの前端からダイス50へ押し出される。
【0043】
(11) ダイス
図3はダイス50の断面図である。
図4は
図3の一部の拡大図である。
図5はダイス50のブレーカープレート59を押出方向に見て示した平面図である。
【0044】
ダイス50は、第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂を押出方向に誘導して、押出方向に垂直な断面において第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂を所定の形状に形作る。
【0045】
ダイス50はコア57,58、ブレーカープレート59、上流ダイス50a及び下流ダイス50bを備え、上流ダイス50aはジョイントリング51、シリンダー52及びインサートプレート53,54を有し、下流ダイス50bはシリンダー55、ジョイントリング60及びアウトレットダイス61を有する。上流ダイス50aは、第1溶融樹脂が流動するための流路51a,52a,53a,54aからなる第1流路を内側に有する。上流ダイス50aは、第2溶融樹脂が流動するための流路53e,53c、孔54f及び溝54gからなる第2流路を内側に有する。下流ダイス50bは、ブレーカープレート59を通過後の第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂が流動するための流路55a,60a,61aからなる第3流路を内側に有する。
【0046】
ジョイントリング51がシリンダー52と第1押出機20の間に挟まれていて、シリンダー52が留め具等によって第1押出機20に固定されている。ジョイントリング51が第1押出機20の第1アウトレットポート21に嵌め込まれ、これによりジョイントリング51が第1押出機20に連結されている。ジョイントリング51は、その内側に円錐台型の流路51aを有する。その流路51aは、第1アウトレットポート21に通じている。流路51aは、第1アウトレットポート21と同軸状である。
【0047】
シリンダー52は、その内側に円柱状の流路52aを有する。流路52aのうち第1押出機20寄りの部分がジョイントリング51を銜え込み、これによりシリンダー52がジョイントリング51に連結されている。流路52aは、ジョイントリング51の流路51aに通じている。流路52aは、流路51aと同軸状である。
【0048】
インサートプレート53がインサートプレート54に重ねられて、これらインサートプレート53,54がシリンダー52とシリンダー55の間に挟まれている。インサートプレート53,54は、それぞれの中央部に流路53a,54aをそれぞれ有する。流路53a,54aが互いに通じており、流路53aがシリンダー52の流路52aに通じている。流路53a,54aは流路52aと同軸状である。
【0049】
インサートプレート53は、インサートプレート53の両面のうちインサートプレート54に接する面に溝53bを有する。溝53bは、流路53aを囲うようにリング状に成している。一方、インサートプレート54は、インサートプレート54の両面のうちインサートプレート53に接する面に溝54bを有する。溝54bは、流路54aを囲うようにリング状に成している。溝53bと溝54bが互いに向き合って重なり、これによりリング状の流路53cがインサートプレート53,54の突き当て面に形成されている。流路53cはインサートプレート53,54の流路53a,54aを囲うようなリング状の中空である。
【0050】
インサートプレート53は、インサートプレート53の両面のうちインサートプレート54に接する面に溝53dを有する。溝53dは、溝53bと第2押出機40をつなぐ流路となっている。インサートプレート54は、インサートプレート54の両面のうちインサートプレート53に接する面に溝54dを有する。溝54dは溝53dと同様、溝54bと第2押出機40をつなぐ流路となっている。溝53dと溝54dが互いに向き合って重なり、第2押出機40とつなぐ流路53eがインサートプレート53,54の突き当て面に形成されている。流路53eは、インサートプレート53,54の外周において開口する。インサートプレート53,54の外周が第2押出機40に接続され、流路53eが第2押出機40の第2アウトレットポート41に通じている。流路53eは、その開口から流路53cまで設けられて、流路53cに通じている。
【0051】
インサートプレート54は、溝54bの底に複数の孔54fを有する。これら孔54fは、一定間隔で周方向に並んでいる。これら孔54fは、溝54bの底から裏側まで貫通している。
【0052】
インサートプレート54は、インサートプレート54の両面のうちブレーカープレート59及びシリンダー55に接する面に溝54gを有する。溝54gは、流路54aを囲うようにリング状に成している。孔54fは、溝54gの底において開口している。
【0053】
シリンダー55は、その内側に円柱状の流路55aを有する。流路55aは、シリンダー52及びインサートプレート53,54の流路52a,53a,54aと同軸状である。
【0054】
シリンダー55はインサートプレート54に接した端面に円形状の凹部を有し、その凹部が流路55aと一体となっており、その凹部が流路55aの径よりも大きな径を有する。ブレーカープレート59がその凹部に嵌め込まれているとともに、溝54gを覆ってインサートプレート54に重なっている。
【0055】
ブレーカープレート59は、ブレーカープレート59の両面間に貫通した複数の孔59a,59b,59cを有する。孔59a及び孔59bは第1孔であり、孔59cは第2孔である。孔59aは一定間隔で周方向に配列されている。孔59bは、孔59aの列の外側において一定間隔で周方向に配列されている。孔59cは、孔59bの列の外側において一定間隔で周方向に配列されている。孔59aの列、孔59bの列及び孔59cの列は同軸状に配置されている。孔59aの列及び孔59bの列は、インサートプレート54の流路54aの周縁よりも内側に配置されている。そのため、これら孔59a,59bは、流路54aに通じている。孔59cの列は、インサートプレート54の流路54aの周縁よりも外側に配置されている。そのため、これら孔59cは、流路54aに通じていない。孔59cの列は、インサートプレート54の溝54gの内周縁と外周縁の間に配置されている。そのため、これら孔59cは溝54gに通じている。孔59aの列、孔59bの列及び孔59cの列はシリンダー55の流路55aの周縁よりも内側に配置されている。そのため、これら孔59a,59b,59cは流路55aに通じている。
【0056】
コア57は、円錐台状に形作られて。コア57は、ブレーカープレート59の中央部に固定されている。コア57は、シリンダー52及びインサートプレート53,54の流路52a,53a,54aの内側において、ブレーカープレート59から第1押出機20の方へ突出している。コア57は、半球状に丸められた先端を有する。コア57は、シリンダー52及びインサートプレート53,54の流路52a,53a,54aと同軸状に配置されているとともに、シリンダー52及びインサートプレート53,54の内周から内側へ離間している。コア57の径は、コア57の先端からブレーカープレート59の方に向かって、漸増する。
【0057】
コア58は、ブレーカープレート59の中央部に固定されている。コア58は、シリンダー55の流路55aの内側において、ブレーカープレート59から押出方向に突出している。コア58は、半球状に丸められた先端を有する。コア58は、シリンダー55の流路55aと同軸状に配置されているとともに、シリンダー55の内周から内側へ離間している。コア58の径は、コア58の先端からブレーカープレート59の方に向かって、漸増する。
【0058】
ジョイントリング60がシリンダー55とアウトレットダイス61の間に挟まれていて、アウトレットダイス61が留め具等によってシリンダー55に固定されている。ジョイントリング60は、その内側に円柱状の流路60aを有する。ジョイントリング60の流路60aは、シリンダー55の流路55aに通じている。ジョイントリング60の流路60aはシリンダー55の流路55aと同軸状である。ジョイントリング60の流路60aは、シリンダー55の流路55aの径と等しい径を有する。
【0059】
アウトレットダイス61は、その内側に流路61aを有する。流路61aは、シリンダー52、インサートプレート53,54、シリンダー55及びジョイントリング60の流路52a,53a,54a,55a、60aと同軸状である。アウトレットダイス61の流路61aの断面積は、ジョイントリング60からアウトレットダイス61のアウトレットポート61bの方に向かって、漸増する。アウトレットダイス61の流路61aの周長は、ジョイントリング60からアウトレットダイス61のアウトレットポート61bの方に向かって、漸増する。アウトレットポート61bの断面形状が扁平であり、押出方向に垂直な第1方向に沿ったアウトレットポート61bのサイズは、押出方向及び第2方向に垂直な第2方向に沿ったアウトレットポート61bのサイズよりも小さい。アウトレットポート61bの断面形状は、成形品99の断面形状に合わせて様々なバリエーションを取り得る。なお、成形品99の断面形状が中空となるように、マンドレルが流路61aに設けられてもよい。
【0060】
<3. 押出成形装置の動作方及び成形品の成形方法>
第1押出機20及び第1フィーダー12が制御されることによって、第1原料91からなる第1溶融樹脂が第1押出機20によってダイス50に押し出される。それと並行して、第2押出機40、第2フィーダー37、第3フィーダー38、第4フィーダー39、計量器81,82、開閉器83,84及びブレンダー85が制御されることによって、第2原料92、線模様剤93及び着色剤94からなる第2溶融樹脂が第2押出機40によってダイス50に押し出される。具体的には第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂が以下のようにして押し出される。
【0061】
第1押出機20のヒーターが制御装置によって定温制御され、第1押出機20のヒーターの温度が第1原料91の融点を超えるまで上昇する。
第1押出機20のモーターの回転速度が制御装置によって制御され、第1押出機20のスクリューがモーターによって回転駆動される。
第1原料91が第1ホッパー11に自動的又は手動的に投入される。
第1フィーダー12の供給速度が制御装置によって制御され、第1ホッパー11内の第1原料91が第1フィーダー12によって第1押出機20に供給される。
【0062】
第1押出機20のヒーターの熱及び温度は、第1押出機20に供給された第1原料91を溶融させる。
第1押出機20のスクリューの回転は、第1原料91からなる第1溶融樹脂を混練しつつ、第1押出機20のシリンダー内にて第1溶融樹脂を押出方向に送る。
【0063】
第2押出機40のヒーターが制御装置によって定温制御され、第2押出機40のヒーターの温度が第2原料92及び着色剤94の融点を超えるまで上昇する。第2押出機40のヒーターの温度は、線模様剤93のガラス転移温度よりも高く、線模様剤93の融点よりも低い。或いは、第2押出機40のヒーターの温度は、線模様剤93の融点よりも高い。なお、線模様剤93の融点は第1原料91、第2原料92及び着色剤94の融点よりも高く、線模様剤93のガラス転移温度は第1原料91、第2原料92及び着色剤94のガラス転移温度よりも高い。線模様剤93のガラス転移温度は、第1原料91、第2原料92及び着色剤94の融点よりも高くてもよいし、低くてもよい。
第2押出機40のモーターの回転速度が制御装置によって制御され、第2押出機40のスクリューがモーターによって回転駆動される。
第2原料92、線模様剤93及び着色剤94がそれぞれ第2ホッパー32、第3ホッパー33に自動的又は手動的に投入される。
フィーダー37,38,39、計量器81,82、開閉器83,84及びブレンダー85の動作により、第2原料92、線模様剤93及び着色剤94の混合物が第2押出機40に供給される。
【0064】
第2押出機40のヒーターの熱及び温度は、第2押出機40に供給された第2原料92及び着色剤94を溶融させる。第2押出機40のヒーターの熱及び温度は、第2押出機40に供給された線模様剤93を軟化させるか、線模様剤93を溶融させる。なお、線模様剤93は第1原料91、第2原料92及び着色剤94よりも溶融しにくい。
第2押出機40のスクリューの回転は、第2原料92、線模様剤93及び着色剤94からなる第2溶融樹脂を混練しつつ、第2押出機40のシリンダー内にて第2溶融樹脂を送る。第2溶融樹脂が混練されると、第2原料92及び着色剤94が均一に混合され、第2原料92及び着色剤94が第2溶融樹脂の母材となる。そのため、第2溶融樹脂の母材はムラのない均一な色になる。第2溶融樹脂が混練されると、線模様剤93が変形且つ分断されながら第2溶融樹脂の母材に分散される。
【0065】
第1溶融樹脂は、第1押出機20の第1アウトレットポート21からダイス50内に送られる。第1溶融樹脂は、順に流路51a、流路52a、流路53a及び流路54aを通ってブレーカープレート59まで送られる。第1溶融樹脂の流れがブレーカープレート59によって妨げられるため、流路51a,52a,53a,54a内における第1溶融樹脂の背圧が高まる。第1溶融樹脂の背圧は、第1溶融樹脂をブレーカープレート59の孔59a,59bに押し込んで、第1溶融樹脂を流路55aへ通過させる。
【0066】
一方、第2溶融樹脂は、第2押出機40の第2アウトレットポート41からダイス50内に送られる。第2溶融樹脂は、順に流路53e、流路53c、孔54f及び溝54gを通ってブレーカープレート59まで送られる。第2溶融樹脂の流れがブレーカープレート59によって妨げられるため、流路53e、流路53c、孔54f及び溝54g内における第2溶融樹脂の背圧が高まる。第2溶融樹脂の背圧は、第2溶融樹脂をブレーカープレート59の孔59cに押し込んで、第2溶融樹脂を流路55aへ通過させる。第2溶融樹脂がブレーカープレート59の孔59cを通る際には、線模様剤93が変形且つ分断されながら第2溶融樹脂の母材に分散される。そのため、線模様剤93は、第2溶融樹脂の中の粒子であり、第2溶融樹脂の色ムラの要因である。
【0067】
孔59cから流路55aに出た第2溶融樹脂は、孔59a,59bから流路55aに出た第1溶融樹脂の外周の全体に亘ってその外周に積層される。第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂は、流路55a内にてアウトレットダイス61の方へ送られる。この際、第2溶融樹脂がシリンダー55から壁面摩擦抵抗を受けるため、第2溶融樹脂中の線模様剤93が押出方向に延びるよう変形する。
【0068】
第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂は、アウトレットダイス61の流路61a内にてアウトレットダイス61のアウトレットポート61bの方へ送られる。この際、流路61aの周長がジョイントリング60からアウトレットポート61bの方に向かって漸増するため、第2溶融樹脂中の線模様剤93が周方向に分断される。第2溶融樹脂がアウトレットダイス61から壁面摩擦抵抗を受けるため、第2溶融樹脂中の線模様剤93が押出方向に延びるよう変形する。
【0069】
第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂がアウトレットポート61bから排出される。それが成形品99であり、第1溶融樹脂が成形品99の内部99bを構成し、第2溶融樹脂が成形品99の表層部99aを構成する。線模様剤93は、表層部99aの柾目模様における線を成す。
【0070】
<4. まとめ>
線模様剤93が第2原料92及び着色剤94よりも溶融しにくいため、第2押出機40による第2溶融樹脂の混練の際に線模様剤93が変形且つ分断されるため、線模様剤93が第2溶融樹脂の母材に分散される。
【0071】
上流ダイス50aがジョイントリング51、シリンダー52及びインサートプレート53,54から組み立てられる。上流ダイス50aが組み立てられると、流路51a,52a,53a及び54aからなる第1流路が上流ダイス50aに形成され、流路53e,53c,孔54f及び溝54gからなる第2流路が上流ダイス50aに形成される。第1流路が第1押出機20の第1アウトレットポート21からブレーカープレート59の複数の孔59a,59bまで通じるため、第1押出機20が第1溶融樹脂を第1アウトレットポート21から上流ダイス50aの第1流路に押し出すと、その第1溶融樹脂がブレーカープレート59の孔59a,59bに押し込まれる。第2流路が第2押出機40の第2アウトレットポート41からブレーカープレート59の複数の孔59cまで通じているため、第2押出機40が第2溶融樹脂を第2アウトレットポート41から上流ダイス50aの第2流路に押し出すと、その第2溶融樹脂がブレーカープレート59の孔59cに押し込まれる。上流ダイス50aの第2流路が上流ダイス50aの第1流路を囲んでおり、ブレーカープレート59の複数の孔59cがブレーカープレート59の複数の孔59a,59bを囲んでおり、複数の孔59cがシリンダー55の流路55aの周に沿って配列されているため、ブレーカープレート59の孔59cを通過した第2溶融樹脂がシリンダー55の流路55a内において、ブレーカープレート59の孔59a,59bを通過した第1溶融樹脂の外周に積層される。第2溶融樹脂が成形品99の表層部99aになり、第1溶融樹脂が成形品99の内部99bになる。
【0072】
第2溶融樹脂がブレーカープレート59の孔59cを通過する際に線模様剤93が変形且つ分断されるため、線模様剤93が第2溶融樹脂の母材に分散される。
【0073】
下流ダイス50bがシリンダー55、ジョイントリング60及びアウトレットダイス61から組み立てられる。下流ダイス50bが組み立てられると、流路55a,60a及び61aからなる第3流路が下流ダイス50bに形成される。第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂が下流ダイス50bの第3流路を流動する際に、第2溶融樹脂が下流ダイス50bから壁面摩擦抵抗を受けるため、第2溶融樹脂中の線模様剤93が線状に延びる。線状の線模様剤93が成形品99の表面における柾目模様の線を成す。上述のような線模様剤93の変形及び分断は、成形品99の表面の柾目模様の形成に貢献する。
【0074】
アウトレットダイス61の流路61aの周囲の長さがブレーカープレート59から離れるにつれて漸増するため、第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂が流路61a内でアウトレットダイス61のアウトレットポート61bへ流動する際に、第2溶融樹脂中の線模様剤93が周方向に分断される。そのため、第2溶融樹脂中の線模様剤93が細い線状に延びる。細い線状の線模様剤93が成形品99の表面における柾目模様の線を成す。
【0075】
コア57は第1溶融樹脂の適度な背圧に貢献する。コア58は第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂の適度な背圧に貢献する。第1溶融樹脂及び第2溶融樹脂の背圧が適度であるため、第2溶融樹脂が下流ダイス50bから受ける壁面摩擦抵抗が適切になる。
【0076】
木粉が成形品99の原料として用いられていれば、樹脂の使用量の削減が図れる上、材木工場にて発生した木粉が有効利用される。木粉の利用は、省エネルギー社会の実現、二酸化炭素排出量の削減、脱炭素社会の実現、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の実現に貢献する。
【符号の説明】
【0077】
1 押出成形装置
20 第1押出機
40 第2押出機
50 ダイス
51 ジョイントリング
51a 流路
52 シリンダー
52a 流路
53 インサートプレート
53a 流路
53c 流路
53e 流路
54 インサートプレート
54a 流路
54f 孔
54g 溝
59 ブレーカープレート
59a 孔
59b 孔
59c 孔
99 成形品
99a 表層部
99b 内部
【要約】
【課題】本発明の目的は柾目の模様を表面に有した成形品の製造に貢献することである。
【解決手段】ダイス50は、ブレーカープレート59、上流ダイス50a及び下流ダイス50bを備える。ブレーカープレート59は、第1孔59a,59bと、第1孔59a,59bを囲うように配列される第2孔59cと、を有する。上流ダイス50aは、押出機20,40とブレーカープレート59との間に取り付けられ、第1押出機20の第1アウトレットポート21及び第1孔59a,59bに通じる第1流路を有し、第2押出機40の第2アウトレットポート41及び第2孔59cに通じる第2流路を内側に有する。下流ダイス50bは、ブレーカープレート59に関して上流ダイス50aの反対側においてブレーカープレート59に取り付けられ、第1孔59a,59b及び第2孔59cに通じる第3流路を内側に有する。
【選択図】
図3