(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】セルストリングの溶接方法とストリング溶接機
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20240520BHJP
【FI】
H01L31/04 570
(21)【出願番号】P 2023182749
(22)【出願日】2023-10-24
【審査請求日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】202311001256.X
(32)【優先日】2023-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】金浩
(72)【発明者】
【氏名】孫董董
(72)【発明者】
【氏名】秦年年
(72)【発明者】
【氏名】楊敬国
(72)【発明者】
【氏名】王路闖
(72)【発明者】
【氏名】陶武松
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113314637(CN,A)
【文献】国際公開第2017/043518(WO,A1)
【文献】特表2016-525791(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1014750(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを提供し、前記複数の電池セルを配列して電池セルセットを形成することと、
前記電池セルセットを検出し、検出は、前記電池セルセットに対して極性検出を行うことを含み、検出結果が合格である場合、配列を完了し、検出結果が不合格である場合、前記電池セルセットを調整することと、
前記電池セルセットを溶接台に置くことと、
第1方向に沿って間隔をあけて配列された複数の初期PVリボンを提供し、前記初期PVリボンが第2方向に沿って延びていることと、
複数本の前記初期PVリボンを切断して複数本のPVリボンを形成し、複数本の前記初期PVリボンの片側から前記第1方向に沿って数えた奇数本目の前記初期PVリボンの切断位置を第1位置とし、複数本の前記初期PVリボンの同じ側から前記第1方向に沿って数えた偶数本目の前記初期PVリボンの切断位置を第2位置とすることと、
各前記PVリボンを前記第2方向に沿って移動させるように制御し、前記第2方向において隣接する2本の前記PVリボンにピッチを持たせ、PVリボンセットを形成することと、
各前記PVリボンが隣接する前記電池セルに接触し、且つ少なくとも1本の前記PVリボンがエッジに位置する前記電池セルに接触するように、前記PVリボンセットを前記電池セルセットに搬送することと、
セルストリングを形成するように、複数本の前記PVリボンのうちの各前記PVリボンを前記電池セルセットにおける対応する前記電池セルに溶接することと、を含
み、
前記電池セルセットに対して前記極性検出を行うことは、前記電池セルセットのうちの各前記電池セルに対して前記極性検出を行い、任意の隣接する2つの前記電池セルの極性が異なっている場合、前記極性検出の結果は合格であり、隣接する2つの前記電池セルの極性が同じである場合、前記極性検出の結果は不合格であり、隣接する同じ極性の2つの前記電池セルのうちの1つの前記電池セルを除去することを含む、
ことを特徴とするセルストリングの溶接方法。
【請求項2】
前記第1位置は前記第2位置と異なり、前記第2方向において、前記第1位置と前記第2位置における隣接する切断点間の距離は、50mm~110mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のセルストリングの溶接方法。
【請求項3】
各前記PVリボンを前記第2方向に沿って移動させるように制御した後、隣接する2つの前記PVリボンの前記第2方向におけるピッチは、8mm~15mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のセルストリングの溶接方法。
【請求項4】
前記電池セルセットを検出することは、前記電池セルセットに対して外観検出を行い、前記極性検出の結果と前記外観検出の結果がいずれも合格であれば、検出結果が合格になることをさらに含み、
前記電池セルセットに対して外観検出を行うことは、
前記電池セルセットのうちの各前記電池セルに対して前記外観検出を行い、各前記電池セルの前記外観検出の結果が合格であれば、前記電池セルセットの前記外観検出の結果が合格になり、いずれかの前記電池セルの前記外観検出の結果が不合格であれば、前記電池セルセットの前記外観検出の結果は不合格になり、前記外観検出の結果が不合格である前記電池セルを除去し、除去された前記電池セルの箇所に新しい前記電池セルを追加し、追加された前記電池セルの極性と除去された前記電池セルの極性が同じであることと、
前記外観検出の検出結果が合格になるまで、再び前記電池セルセットに対して前記外観検出を行うこととを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のセルストリングの溶接方法。
【請求項5】
前記PVリボンセットを前記電池セルセットに搬送する前に、前記PVリボンセットに押し付け式固定具を配置することをさらに含み、
前記PVリボンセットを前記電池セルセットに搬送する時に、前記押し付け式固定具を一緒に前記電池セルセットに搬送することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のセルストリングの溶接方法。
【請求項6】
提供された複数の前記電池セルは、バックコンタクトセルである、
ことを特徴とする請求項1に記載のセルストリングの溶接方法。
【請求項7】
コンベヤーベルトと、検出装置と、溶接機構と、PVリボン引き出し機構と、切断機構と、PVリボン分け機構と、搬送装置と、を含み、
前記コンベヤーベルトは、複数の電池セルを配列して電池セルセットを形成するために使われ、前記電池セルセットが前記コンベヤーベルトに位置し、
前記検出装置は、前記電池セルセットを検出するために使われ、前記検出装置には極性検出装置が含まれ、前記極性検出装置が前記電池セルセットに対して極性検出を行うために使われ、
前記溶接機構は、溶接台を備え、溶接対象である前記電池セルセットとPVリボンセットとを溶接するために使われ、
前記PVリボン引き出し機構は、第1方向に沿って間隔をあけて配列される複数本の初期PVリボンを提供するために使われ、前記初期PVリボンが第2方向に沿って延びており、
前記切断機構は、複数本の前記初期PVリボンを切断して複数本のPVリボンを形成するために使われ、前記切断機構は、複数本の前記初期PVリボンの片側から前記第1方向に沿って数えた奇数本目の前記初期PVリボンを切断する第1切断装置と、複数本の前記初期PVリボンの同じ側から前記第1方向に沿って数えた偶数本目の前記初期PVリボンを切断する第2切断装置と、を備え、ここで、前記第1切断装置が第1位置で切断し、前記第2切断装置が第2位置で切断し、
前記PVリボン分け機構は、PVリボンセットを形成するように各前記PVリボンを前記第2方向Yに沿って移動させるように制御するために使われ、
前記
搬送装置は、各前記PVリボンが隣接する前記電池セルに接触し、且つ少なくとも1本の前記PVリボンがエッジに位置する前記電池セルに接触するように前記PVリボンセットを前記電池セルセットに搬送するために使われる、
ことを特徴とするストリング溶接機。
【請求項8】
前記搬送装置は、複数のマイクロクランプを含み、前記第2方向において同じ直線に沿って並べられた複数の前記マイクロクランプが1つのマイクロクランプセットであり、前記搬送装置が前記PVリボンセットを前記電池セルセットに移動させる時、複数の前記マイクロクランプが複数の前記PVリボンを挟んで搬送する、
ことを特徴とする請求項
7に記載のストリング溶接機。
【請求項9】
前記搬送装置が前記PVリボンセットを前記電池セルセットに搬送する時、1つの前記マイクロクランプセット内の少なくとも隣接する2つの前記マイクロクランプは、同じ前記PVリボンを挟んで前記PVリボンを伸ばす、
ことを特徴とする請求項
8に記載のストリング溶接機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、光起電力の分野に関し、特に、セルストリングの溶接方法とストリング溶接機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターディジティテッドバックコンタクト(Interdigitated back contact、IBC)太陽電池とは、正負金属電極が電池のバックライト面にくし形に配列された裏面接合型の太陽電池構造を指し、そのPN接合と電極が電池の裏面に位置し、即ち、IBC電池のエミッタ領域とベース領域の電極がいずれも裏面にあり、前面にグリッド線の遮蔽がなく、電池の光電変換性能を高めることができる。
【0003】
IBCセルストリングを直列に溶接する方式は、電池セルの裏面を上向きにして順次置き、隣接する電池セルの極性を逆にすることである。交互に配列されたPVリボンセットを複数の電池セルと溶接して、セルストリングを得る。しかしながら、交互に配列されたPVリボンセットにおけるPVリボンは、曲げられる可能性が極めて高く、PVリボンが非常に変形しやすく、最終的に溶接ずれを招いてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施例には、少なくとも、PVリボンが曲げられ、溶接ずれが発生するという問題を解決することに有利であるセルストリングの溶接方法とストリング溶接機が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの実施例によれば、本開示の実施例の一形態には、セルストリングの溶接方法が提供され、このセルストリングの溶接方法は、複数の電池セルを提供し、前記複数の電池セルを配列して電池セルセットを形成することと、前記電池セルセットを検出し、検出は、前記電池セルセットに対して極性検出を行うことを含み、検出結果が合格である場合、配列を完了し、検出結果が不合格である場合、前記電池セルセットを調整することと、前記電池セルセットを溶接台に置くことと、第1方向に沿って間隔をあけて配列された複数の初期PVリボンを提供し、前記初期PVリボンが第2方向に沿って延びていることと、複数本の前記初期PVリボンを切断して複数本のPVリボンを形成し、複数本の前記初期PVリボンの片側から前記第1方向に沿って数えた奇数本目の前記初期PVリボンの切断位置を第1位置とし、複数本の前記初期PVリボンの同じ側から前記第1方向に沿って数えた偶数本目の前記初期PVリボンの切断位置を第2位置とすることと、各前記PVリボンを前記第2方向に沿って移動させるように制御し、前記第2方向において隣接する2本の前記PVリボンにピッチを持たせ、PVリボンセットを形成することと、各前記PVリボンが隣接する前記電池セルに接触し、且つ少なくとも1本の前記PVリボンがエッジに位置する前記電池セルに接触するように、前記PVリボンセットを前記電池セルセットに搬送することと、セルストリングを形成するように、複数本の前記PVリボンのうちの各前記PVリボンを前記電池セルセットにおける対応する前記電池セルに溶接することと、を含む。
【0006】
いくつかの実施例では、前記第1位置は前記第2位置と異なり、前記第2方向において、前記第1位置と前記第2位置における隣接する切断点間の距離は、50mm~110mmである。
【0007】
いくつかの実施例では、各前記PVリボンを前記第2方向に沿って移動させるように制御した後、隣接する2つの前記PVリボンの前記第2方向におけるピッチは、8mm~15mmである。
【0008】
いくつかの実施例では、前記電池セルセットを検出することは、前記電池セルセットに対して外観検出を行い、前記極性検出の結果と前記外観検出の結果がいずれも合格であれば、検出結果が合格になることをさらに含み、前記電池セルセットに対して外観検出を行うことは、前記電池セルセットのうちの各前記電池セルに対して外観検出を行い、各前記電池セルの前記外観検出の結果が合格であれば、前記電池セルセットの前記外観検出の結果が合格になり、いずれかの前記電池セルの前記外観検出の結果が不合格であれば、前記電池セルセットの前記外観検出の結果は不合格になり、前記外観検出の結果が不合格である前記電池セルを除去し、除去された前記電池セルの箇所に新しい前記電池セルを追加し、追加された前記電池セルの極性と除去された前記電池セルの極性が同じであることと、前記外観検出の検出結果が合格になるまで、再び前記電池セルセットに対して前記外観検出を行うこととを含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記電池セルセットに対して前記極性検出を行うことは、前記電池セルセットのうちの各前記電池セルに対して前記極性検出を行い、任意の隣接する2つの前記電池セルの極性が異なっている場合、前記極性検出の結果は合格であり、隣接する2つの前記電池セルの極性が同じである場合、前記極性検出の結果は不合格であり、隣接する同じ極性の2つの前記電池セルのうちの1つの前記電池セルを除去することを含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記PVリボンセットを前記電池セルセットに搬送する前に、前記PVリボンセットに押し付け式固定具を配置することをさらに含み、前記PVリボンセットを前記電池セルセットに搬送する時に、前記押し付け式固定具を一緒に前記電池セルセットに搬送することをさらに含む。
【0011】
いくつかの実施例では、提供された複数の前記電池セルは、バックコンタクトセルである。
【0012】
本開示のいくつかの実施例によれば、本開示の実施例の別の形態には、ストリング溶接機が提供され、このストリング溶接機は、コンベヤーベルトと、検出装置と、溶接機構と、PVリボン引き出し機構と、切断機構と、PVリボン分け機構と、搬送装置と、を含み、前記コンベヤーベルトは、複数の電池セルを配列して電池セルセットを形成するために使われ、前記電池セルセットが前記コンベヤーベルトに位置し、前記検出装置は、前記電池セルセットを検出するために使われ、前記検出装置には極性検出装置が含まれ、前記極性検出装置が前記電池セルセットに対して極性検出を行うために使われ、前記溶接機構は、溶接台を備え、溶接対象である前記電池セルセットとPVリボンセットとを溶接するために使われ、前記PVリボン引き出し機構は、第1方向に沿って間隔をあけて配列される複数本の初期PVリボンを提供するために使われ、前記初期PVリボンが第2方向に沿って延びており、前記切断機構は、複数本の前記初期PVリボンを切断して複数本のPVリボンを形成するために使われ、前記切断機構は、複数本の前記初期PVリボンの片側から前記第1方向に沿って数えた奇数本目の前記初期PVリボンを切断する第1切断装置と、複数本の前記初期PVリボンの同じ側から前記第1方向に沿って数えた偶数本目の前記初期PVリボンを切断する第2切断装置と、を備え、ここで、前記第1切断装置が第1位置で切断し、前記第2切断装置が第2位置で切断し、前記PVリボン分け機構は、PVリボンセットを形成するように各前記PVリボンを前記第2方向Yに沿って移動させるように制御するために使われ、前記搬送機構は、各前記PVリボンが隣接する前記電池セルに接触し、且つ少なくとも1本の前記PVリボンがエッジに位置する前記電池セルに接触するように前記PVリボンセットを前記電池セルセットに搬送するために使われる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記搬送装置は、複数のマイクロクランプを含み、前記第2方向において同じ直線に沿って並べられた複数の前記マイクロクランプが1つのマイクロクランプセットであり、前記搬送装置が前記PVリボンセットを前記電池セルセットに移動させる時、複数の前記マイクロクランプが複数の前記PVリボンを挟んで搬送する。
【0014】
いくつかの実施例では、前記搬送装置が前記PVリボンセットを前記電池セルセットに搬送する時、1つの前記マイクロクランプセット内の少なくとも隣接する2つの前記マイクロクランプは、同じ前記PVリボンを挟んで前記PVリボンを伸ばす。
【発明の効果】
【0015】
本開示の実施例に係る技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0016】
本開示の実施例に係るセルストリングの溶接方法では、複数の電池セルを提供し、複数の電池セルを配列して電池セルセットを形成することと、電池セルセットを検出し、検出は、極性検出を含み、検出結果が合格である場合、配列を完了し、検出結果が不合格である場合、電池セルセットを調整することと、電池セルセットを溶接台に置くことと、第1方向に沿って間隔をあけて配列された複数の初期PVリボンを提供し、初期PVリボンが第2方向に沿って延びていることと、複数本の初期PVリボンを切断して複数本のPVリボンを形成し、複数本の初期PVリボンの片側から第1方向に沿って数えた奇数本目の初期PVリボンの切断位置を第1位置とし、第1方向に沿って数えた偶数本目の前記初期PVリボンの切断位置を第2位置とすることと、各PVリボンを第2方向に沿って移動させるように制御し、第2方向において隣接する2本のPVリボンにピッチを持たせ、PVリボンセットを形成することと、各PVリボンが隣接する電池セルに接触し、且つ少なくとも1本のPVリボンがエッジに位置する電池セルに接触するように、PVリボンセットを電池セルセットに搬送することと、セルストリングを形成するように、複数本のPVリボンのうちの各PVリボンを電池セルセットにおける対応する電池セルに溶接することと、を含む。従来技術では、PVリボンを配列する過程において、PVリボン牽引装置を使用して、複数のPVリボンに対して位置ずれ変換牽引を行う必要があり、具体的に、まず、間隔をあけた複数のPVリボンを対応する位置に配列した後に、これらのPVリボンを電池セルに敷設し、そして、残りの複数のPVリボンを牽引して対応する位置に配列した後に、これらPVリボンを電池セルに敷設し、最後にPVリボンセットを電池セルセットとずらして配列するように溶接してセルストリングを形成する。PVリボン牽引装置によってPVリボンを牽引してずらして配列する過程において、PVリボン自体の幅が狭くて硬度が低いため、曲げられることが非常に容易であり、最終的に溶接されたセルストリングにはPVリボンの溶接ずれが発生してしまう。これに対し、本開示の実施例では、まず、全体としてのPVリボンセットを形成するように、初期PVリボンをそれぞれ処理する必要がなく、全ての初期PVリボンを同時に切断かつ配列することができ、生産効率を高めることができる。そして、複数の初期PVリボンを切断する際に、奇数本目の初期PVリボンの切断位置が偶数本目の初期PVリボンの切断位置と異なり、即ち隣接する初期PVリボンの切断位置が異なり、切断位置は、当該PVリボンの後続の配列ステップに配列必要な位置に適合することができ、適切な位置で切断することでPVリボンが後続のステップで移動する距離を短縮でき、PVリボン分けのストロークを減らし、PVリボンが曲げられるリスクを低減し、最終的に溶接ずれが起こる可能性を減らすことができる。また、本開示の実施例では、電池セルを配列する際に電池セルを検出することで、電池セルに問題が発生するリスクを低減し、製品の歩留まりを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。本開示の実施例または従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例に使用する必要がある図面を簡単に紹介するが、明らかに、以下に記載される図面は本開示のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】
図1は、本開示の実施例に係るセルストリングの溶接方法に対応するフローチャートである。
【
図2】
図2は、本願の実施例に係るセルストリングの溶接方法の1つのステップに対応する構造を示す図である。
【
図3】
図3は、本願の実施例に係るセルストリングの溶接方法の1つのステップに対応する構造を示す図である。
【
図4】
図4は、本願の実施例に係るセルストリングの溶接方法の1つのステップに対応する構造を示す図である。
【
図5】
図5は、本願の実施例に係るセルストリングの溶接方法の1つのステップに対応する構造を示す図である。
【
図6】
図6は、本願の実施例に係るセルストリングの溶接方法の1つのステップに対応する構造を示す図である。
【
図7】
図7は、本願の実施例に係るセルストリングの溶接方法の1つのステップに対応する構造を示す図である。
【
図8】
図8は、本願の実施例に係るセルストリングの溶接方法の1つのステップに対応する構造を示す図である。
【
図9】
図9は、本願の一実施例に係るストリング溶接機のコンベヤーベルトの構造を示す図である。
【
図10】
図10は、本願の一実施例に係るストリング溶接機のPVリボン引き出し機構、切断機構及び搬送機構の構造を示す図である。
【
図11】
図11は、本願の一実施例に係るストリング溶接機の搬送機構の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
背景技術から分かるように、従来のセルストリングの溶接方法には、PVリボンが曲げられやすくなることによって溶接ずれを招く問題がある。
【0019】
本願の実施例に提供されたセルストリングの溶接方法では、まず、複数の電池セルを配列して電池セルセットとして配列し、電池セルセットを検出し、検出が合格であれば、配列が完了し、そして、電池セルセットを溶接台に置き、次に、複数本の初期PVリボンを提供し、複数本の初期PVリボンを切断し、奇数本目の初期PVリボンを第1位置で切断し、偶数本目の初期PVリボンを第2位置で切断し、切断後に各PVリボンの移動を制御して、PVリボンセットを形成し、最後に、PVリボンセットを電池セルセットに搬送し、PVリボンセットを電池セルセットを溶接して、セルストリングを形成する。このように、ずらして配列されたPVリボンに対して切断及び配列処理を同時に行うことができ、生産効率を向上させることができ、異なるPVリボンを異なる位置で切断することで、PVリボン分けのストロークを減らし、PVリボンが曲げられるリスクを低減し、最終的に溶接ずれが起こる可能性を減らすことができ、電池セルセットを検出することで、電池セルに問題が発生するリスクを低減し、製品の歩留まりを高めることができる。
【0020】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本開示をよりよく理解させるために、本開示の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更と修正がなくても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0021】
図1~
図2を参照し、S1では、複数の電池セル100を提供し、複数の電池セル100を配列して電池セルセット101を形成する。
【0022】
いくつかの実施例では、提供された複数の電池セル100は、バックコンタクトセルであってもよい。提供された複数の電池セル100は、インターディジティテッドバックコンタクト(IBC,Interdigitated Back Contact)セルであってもよい。IBCセルは、P/N接合、基板およびエミッタ領域の接触電極をくし形で電池の裏面に作っている。電池の裏面にホウ素を含んだくし形の拡散マスク層を印刷することにより、マスク層上のホウ素が拡散されてからN型基板に入ってp+領域を形成し、マスク層を印刷していない領域は、リンが拡散してからn+領域を形成する。IBCセルのグリッド線は、いずれも電池セルの裏面に設けられており、電池の前面にグリッド線の遮蔽がないため、金属電極の遮光電流損失をなくし、最大限に入射光子を利用でき、通常の太陽電池と比べて、IBCセルの短絡電流は、7%程度高めることができる。IBCセルがバックコンタクト構造であり、グリッド線遮蔽の問題を考慮する必要がないため、グリッド線の比率を適切に増やすことができ、直列抵抗を下げることができ、また、表面パッシベーションおよび表面光トラッピング構造を最適化して設計することができ、低い前面の再結合速度と表面反射を得ることができる。また、IBC電池セルの外形が美しく、特に光起電力建築の一体化に適している。
【0023】
以上から、バックコンタクトセルでセルストリングを製造する時に、電池セル100を接続するためのPVリボンは、いずれも電池セル100の裏面に溶接接続されていることがわかる。また、複数の電池セル100を配列して電池セルセット101を形成する時、電池セルセット101の中の任意の隣接する電池セル100の極性が逆になるように、同じ極性の電池セル100を間隔をあけて配列する必要がある。
【0024】
なお、
図2は、電池セルセット101における3つの電池セル100のみを示しているが、電池セルセット101における実際の電池セル100の数量を限定するものではない。実際の生産過程において、電池セルセット101における電池セル100の数量は、複数であってもよい。
【0025】
図1~
図2を引き続き参照し、S2では、電池セルセット101を検出する。検出は、電池セルセット101に対して極性検出を行うことを含む。検出結果が合格であれば、配列を完成させる。検出結果が不合格である場合、電池セルセット101を調整する。
【0026】
いくつかの実施例では、電池セルセット101に対して極性検出を行うことは、電池セルセット101のうちの各電池セル100に対して極性検出を行い、任意の隣接する2つの電池セル100の極性が異なっている場合、極性検出の結果は合格であり、隣接する2つの電池セル100の極性が同じである場合、極性検出の結果は不合格であり、隣接する同じ極性の2つの電池セル100のうちの1つの電池セル100を除去することを含むことができる。極性検出された電池セルセット101のうちの任意の隣接する2つの電池セル100の極性は、いずれも逆である。これにより、電池セルセット101に同じ極性の隣接する電池セル100の存在ことによるセルストリングの歩留まりの低下を避けることができる。極性検出過程において検出結果が不合格である現象が発生した場合、隣接する電池セル100の極性が同じであることを示している。この場合、電池セルセット101の配列を調整する必要があり、調整方法として、隣接する同じ極性の2つの電池セル100のいずれかを除去することである。
【0027】
具体的には、極性検出のステップは、配列する電池セルセット101中の1番目の電池セル100を検出し、1番目の電池セル100の極性を取得するステップ1と、配列する2番目の電池セル100を検出し、2番目の電池セル100の極性を取得し、1番目の電池セル100の極性と2番目の電池セル100の極性を比較し、1番目の電池セル100の極性が2番目の電池セル100の極性とが同じであれば、2番目の電池セル100を除去し、3番目の電池セル100を2番目の電池セル100とし、さらに、このステップの検出を繰り返して行い、1番目の電池セル100の極性が2番目の電池セル100の極性と異なれば、次の検出ステップに入るステップ2と、3番目の電池セル100の極性を検出し、3番目の電池セル100の極性を取得し、3番目の電池セル100の極性と2番目の電池セル100の極性を比較し、比較ステップがステップ2と同じであり、電池セルセット101のうちの全ての電池セル100を検出して比較したら、極性検出を完了させるステップ3と、を含む。極性検出が終了した後に、電池セルセット101のうちの任意の隣接する2つの電池セル100の極性は、いずれも逆になる。
【0028】
いくつかの実施例では、電池セルセット101を検出することは、さらに、電池セルセットに対して外観検出を行い、極性検出の結果と外観検出の結果がいずれも合格であれば、検出結果が合格になることを含むことができる。外観検出によって、電池セル100が不良品であるか否か、引っ掻き傷や欠けなどの状況があるか否かを検出することができる。外観検出を行うことで、電池セルセット101のうちの各電池セル100は、いずれも高い品質を持つことを確保し、電池セルセット101に不合格の電池セル100が存在することを防止し、最終的に形成されたセルストリングの歩留まりを効果的に高めることができる。また、電池セルセット101を検出することは、さらに他の種類の検出を含んでもよく、各検出結果がいずれも合格であれば、電池セルセット101に対する検出が合格となり、いずれかの検出項目の検出結果が不合格であれば、それに応じて電池セルセット101を調整する必要がある。
【0029】
具体的には、電池セルセット101に対して外観検出を行うことは、電池セルセット101のうちの各電池セル100に対して外観検出を行い、各電池セル100の外観検出の結果が合格であれば、電池セルセット101の外観検出の結果が合格になり、いずれかの電池セル100の外観検出の結果が不合格であれば、電池セルセット101の外観検出の結果は不合格になり、外観検出の結果が不合格である電池セル100を除去し、除去された電池セル100の箇所に新しい電池セル100を追加し、追加された電池セル100の極性と除去された電池セル100の極性が同じであることと、外観検出の検出結果が合格になるまで、再び電池セルセット101に対して外観検出を行うこととを含むことができる。これにより、電池セルセット101のうちの各電池セル100のいずれに対しても外観検出を行うことを実現し、電池セルセット101のうちの各電池セル100がいずれも品質基準を満たしている電池セル100になり、セルストリングの歩留まりを効果的に高めることができる。外観検出の結果が不合格である電池セル100を除去した後、除去された電池セル100の箇所に除去された電池セル100と同じ極性の電池セル100を追加する必要があり、これは、電池セルセット101のうちの任意の2つの電池セル100の極性が依然として逆になるためのものである。
【0030】
図1及び
図3を参照し、S3では、電池セルセット101を溶接台210に置く。溶接台210は、電池セルセット101とPVリボンを溶接するための装置であり、配列及び検出が完了した電池セルセット101は、溶接台210の上に置かれて溶接を待つことができる。
【0031】
電池セルセット101の配列及び載置が完了した後、あるいは電池セルセット101の配列および載置を行うと同時に、セルストリングを溶接するためのPVリボンを製造することができる。電池セルセット101の配列および載置を行うと同時に、PVリボンを製造することで、生産時間を短縮し、生産効率を高めることができる。
【0032】
図1及び
図4を参照し、S4では、第1方向Xに沿って間隔をあけて配列された複数の初期PVリボン111を提供し、初期PVリボン111が第2方向Yに沿って延びている。1本の初期PVリボン111は、処理された後、セルストリングのうち第2方向Yに沿って同じ直線上にある複数本のPVリボン110とすることができる。第1方向Xにおいて、初期PVリボン111の幅は、セルストリングにおけるPVリボン110の幅と同じである。また、第1方向Xにおいて、隣接する初期PVリボン111間のピッチは、セルストリングにおいて隣接するPVリボン110間のピッチであり、初期PVリボン111をPVリボン110として作る過程では、PVリボン110を第1方向Xに沿って移動させる必要がなく、PVリボン110の移動によるPVリボン110の曲がりを低減することができる。
【0033】
図1および
図5を参照し、S5では、複数本の初期PVリボン111を切断して複数本のPVリボン110を形成し、複数本の初期PVリボン111の片側から第1方向Xに沿って数えた奇数本目の初期PVリボン111の切断位置を第1位置112とし、複数本の初期PVリボン111の同じ側から第1方向Xに沿って数えた偶数本目の初期PVリボン111の切断位置を第2位置113とする。
【0034】
セルストリングでは、電池セル100を接続してセルストリングを形成するための複数本のPVリボン110が交差して配列され、即ち、第1方向Xにおいて隣接する直線上に位置する複数本のPVリボン110の配列位置が異なり、第1方向Xにおいて互いに間隔をあけた直線上に位置する複数本のPVリボン110の配列位置が同じである。複数本の初期PVリボン111の片側から、第1方向Xに沿って数えた奇数本目の初期PVリボン111の配列位置は同じであり、第1方向Xに沿って数えた偶数本目の初期PVリボン111の配列位置は同じである。したがって、複数本の初期PVリボン111を切断して複数本のPVリボン110を得る時に、奇数本目の初期PVリボン111と偶数本目の初期PVリボン111は、異なる切断位置を設定でき、切断位置は、セルストリング内のPVリボン110の配列位置に応じて設定されることができる。これにより、切断後にPVリボン110を配列する過程において、PVリボンの移動ストロークを効果的に減らすことができ、PVリボン分け過程におけるPVリボン110の曲がりを軽減し、最終的にセルストリングに溶接ずれが発生するリスクを低減することができる。
【0035】
いくつかの実施例では、第1位置112と第2位置113は、同じであってもよい。第1位置112と第2位置113を同じようにすることにより、初期PVリボン111を切断する装置をある程度で簡素化し、生産コストを下げることができる。
【0036】
図5を引き続き参照し、いくつかの実施例では、第1位置112は第2位置113と異なり、第2方向Yにおいて、第1位置112と第2位置113における隣接する切断点間の距離は、50mm~110mmであってもよい。たとえば、第2方向Yにおいて、第2位置113と第1位置112の隣接する切断点間の距離は、50mm、70mm、90mm、100mm、110mmなどであってもよい。隣接する切断点間の距離は、図に示されている。第2方向Yにおいて、第2位置113と第1位置112の隣接する切断点間の距離が小さすぎると、奇数本目の初期PVリボン11から切断されたPVリボン110と偶数本目の初期PVリボン111から切断されたPVリボン110との間に、少なくとも1セットのPVリボン110が長い距離を移動してから、はじめてPVリボン110の位置ずれ配列を完成させることができ、PVリボン分けの距離が大きくなり、PVリボン分け中にPVリボン110が曲げられるリスクも高くなり、最終的に形成されたセルストリングに溶接ずれが発生するリスクも高くなる。第2方向Yにおいて、第2位置113と第1位置112の隣接する切断点間の距離が大きすぎると、依然としてPVリボン110が長い距離を移動してから、はじめてPVリボン110の位置ずれ配列を完成させることができ、PVリボン分けの距離が大きくなり、PVリボン分け中にPVリボン110が曲げられるリスクも高くなり、最終的に形成されたセルストリングに溶接ずれが発生するリスクも高くなる。したがって、第2方向Yにおいて、第1位置112と第2位置113との隣接する切断点間の距離は、適切な範囲を選択する必要があり、隣接する切断点間の距離は、セルストリングにおけるPVリボン110の配列に応じて選択されることができ、第1位置112と第2位置113との隣接する切断点間の距離が50mm~110mmである場合、PVリボン110の移動ストロークを効果的に減らし、PVリボン分け過程におけるPVリボン110の曲がりのリスクを低減し、最終的に形成されたセルストリングに溶接ずれが発生するリスクを低減することができる。
【0037】
図1および
図6を参照し、S6では、各PVリボン110を第2方向Yに沿って移動させるように制御し、第2方向Yにおいて隣接する2本のPVリボン110にピッチを持たせ、PVリボンセット114を形成する。PVリボンセット114の配列は、即ち、セルストリング102における複数本のPVリボン110の配列である。まず、セルストリングに必要な複数本のPVリボン110を配列し、そして、配列されたPVリボンセット114を電池セルセット101に移動させることで、変位配列のPVリボン分け過程における各PVリボン110の移動距離を低減し、PVリボン110が曲げられるリスクを減らすことができる。
【0038】
上記のステップで形成された複数本の初期PVリボン111の第1方向Xにおける距離がセルストリングの第1方向Xにおける隣接するPVリボン110間の距離と同じであるため、PVリボン110を移動させる時に、PVリボン110を第1方向Xに沿って移動させる必要はなく、第2方向Yに沿って移動させるだけで、移動中にPVリボン110が曲げられるリスクを低減することができる。また、PVリボン110を切断する過程において、第1方向Xに間隔をあけてかつセルストリングに異なる配列を持ったPVリボン110に対して、異なる切断位置を設定することで、PVリボン110の第2方向Yでの移動距離を減らすことができ、さらに移動過程にPVリボン110が曲げられるリスクを低減し、最終的に形成されるセルストリングに溶接ずれが起こるリスクを低減することができる。
【0039】
図6を引き続き参照し、いくつかの実施例では、各PVリボン110を第2方向Yに沿って移動させるように制御した後、隣接する2つのPVリボン110の第2方向Yにおけるピッチは、8mm~15mmであってもよい。隣接する2つのPVリボン110の第2方向Yにおけるピッチは、
図6に示されている。例えば、移動後、隣接する2つのPVリボン110の第2方向Yにおけるピッチは、5mm、9mm、10mm、12mm、15mmなどであってもよい。移動後、隣接する2つのPVリボン110の第2方向Yにおけるピッチは、セルストリングの配列に応じて設定されることができる。隣接する2つのPVリボン110の第2方向Yにおけるピッチが小さすぎると、この後のステップで溶接されて形成されたセルストリングにおいて、隣接する電池セル100間の距離が小さくなり、隣接する電池セル100間に短絡するリスクがあり、セルストリングの安定性がある程度低下してしまう。隣接する2つのPVリボン110の第2方向Yにおけるピッチが大きすぎると、この後のステップで溶接されて形成されるセルストリングにおいて、隣接する電池セル100間の距離が大きくなり、セルストリング全体のサイズも大きくなり、最終的にセルストリングから製造される光起電力モジュールのサイズも大きすぎ、製品の使用に影響するとともに、材料の浪費をもたらしてしまう。したがって、移動後、隣接する2つのPVリボン110の第2方向Yにおけるピッチは、適切な範囲を選択する必要があり、隣接する2つのPVリボン110の第2方向Yにおけるピッチが8mm~15mmである場合、セルストリングに大きな短絡リスクを持たせず、セルストリングのサイズも大きすぎることによって製品の使用に影響することはない。
【0040】
いくつかの実施例では、PVリボンセット114を電池セルセット101に搬送する前に、さらに、PVリボンセット114に押し付け式固定具(図示せず)を配置することを含んでもよい。押し付け式固定具は、工具装置の1つであり、上記のステップで配列されたPVリボンセット114を押し付けるために使われる。PVリボンセット114に押し付け式固定具を配置することで、PVリボンセット114におけるすべてのPVリボン110を同じ平面に押し付けることができ、PVリボンセット114を電池セルセット101に移動させる時、PVリボンセット114におけるPVリボン110が電池セルセット101における電池セル100の表面とよりよく接触することができ、この後の溶接プロセスの順調な遂行に役立つ。
【0041】
PVリボンセット114を電池セルセット101に搬送する時に、さらに、押し付け式固定具を一緒に電池セルセット101に搬送することを含んでもよい。押し付け式固定具は、PVリボンセット114におけるすべてのPVリボン110を押し付け、押し付け式固定具をPVリボンセット114と一緒に電池セルセット101に搬送することで、PVリボンセット114におけるPVリボン110が電池セルセット101における電池セル100の表面によりよく接触するとともに、PVリボンセット114を搬送する過程でPVリボンセット114におけるPVリボン110の配列に変位が生じることを避けることができる。
【0042】
図1および
図7に示すように、S7では、各PVリボン110が隣接する電池セル100に接触し、且つ少なくとも1本のPVリボン110がエッジに位置する電池セル100に接触するように、PVリボンセット114を電池セルセット101に搬送する。PVリボンセット114を電池セルセット101に搬送する過程において、PVリボンセット114のうちの各PVリボン110の相対位置関係は、変化せず、上記のPVリボン分けステップのみによってPVリボンセット114のうちの各PVリボン110が、位置がずれて配列された相対位置関係を形成する。搬送過程でPVリボンセット114の相対位置関係を変化せることなく、水平面でPVリボン110を移動させることによってPVリボン110が曲げられてしまうこともない。このように、まずPVリボンセット114の相対位置関係を設定し、そして、配列されたPVリボンセット114全体を電池セルセット101に搬送する方法を採用することで、PVリボン110が水平面で位置がずれて配列される時の移動距離を効果的に減少し、PVリボン110が曲げられるリスクを低減することができる。
【0043】
PVリボンセット114を搬送する前に、電池セルセット101は、溶接台210に位置してもよい。このため、PVリボンセット210を電池セルセット101に搬送することは、即ちPVリボンセット114を溶接台210に搬送することであり、この後のステップで電池セルセット101とPVリボンセット114を溶接してセルストリングを形成することに役立つ。PVリボンセット114を電池セルセット101に搬送した後、第2方向Yにおいてエッジに位置しないPVリボン110は、隣接する2つの電池セル100を接続することができ、且つPVリボンセット114の片側において、第1方向Xに沿って数えた奇数本目のPVリボン110と偶数本目のPVリボン110とは、異なる2つの隣接電池セル100を接続し、第2方向Yにおいて、エッジに位置するPVリボン110は、エッジに位置する電池セル100のみを接続してもよく、且つエッジに位置する電池セル100のみに接続されたPVリボン110は、その一端が電池セル100に接続され、他端が他の機構と電気的に接続されるために電池セル100の外に延びてもよい。
【0044】
いくつかの実施例では、PVリボンセット114を搬送する過程において、PVリボンセット114のうちのPVリボン110を伸ばすことができる。これにより、この前の位置ずれ配列の移動過程において、PVリボン110の発生可能な変形を低減し、PVリボン110が曲げられるリスクをさらに低減し、セルストリングにPVリボン110の溶接ずれが発生する可能性を低下させることができる。
【0045】
図1および
図8に示すように、S8では、セルストリング102を形成するように、複数本のPVリボン110のうちの各PVリボン110を電池セルセット101における対応する電池セル100に溶接する。電池セルセット101が完全なセルストリング102を形成できるように、PVリボン110は配列された電池セルセット101を電気的に接続することができる。単一の電池セル100と比べて、セルストリング102は、より優れた電力供給能力を実現でき、より高い性能を持っている。PVリボンセット114と電池セルセット101がいずれも溶接台210に位置しているため、溶接台210を直接利用して電池セルセット101およびPVリボンセット114に対して溶接処理を行うことができる。
【0046】
なお、図面では、3つの電池セル100を持ったセルストリング102のみを示しているが、セルストリング102に実際にある電池セル100の数量を表しているわけではない。実際のセルストリング102では、複数の電池セル100を持つことができる。
【0047】
図8に示すように、溶接してセルストリング102を形成した後、複数のセルストリング102を接続して電池セルセット103を形成することもできる。複数のセルストリング102を接続する構造は、バスバーであってもよい。なお、図面では、2つのセルストリング102を接続した電池セルセット103のみを示しているが、電池セルセット103に実際にあるセルストリング102の数量を表しているわけではなく、実際の電池セルセット103では、複数のセルストリング102を持ってもよい。
【0048】
いくつかの実施例では、複数のセルストリング102を電池セルセット103として接続することは、ABストリングの接続方法を含んでもよく、ここで、Aがセルストリング102の正極、Bがセルストリング102の負極を示し、ABストリングは、すなわち正極と負極を接続することであり、ABストリングの接続方法によって、電池セルセット103の出力電圧と電力を高めることができるとともに、電流損失を低減することができる。
【0049】
本願の実施例に提供されたセルストリングの溶接方法では、まず、複数の電池セルを提供して、複数の電池セルを電池セルセットとして配列し、電池セルセットを検出し、検出が合格であれば、配列が完了し、そして、電池セルセットを溶接台に置き、次に、複数本の初期PVリボンを提供し、複数本の初期PVリボンを切断して複数本のPVリボンを形成し、奇数本目の初期PVリボンを第1位置で切断し、偶数本目の初期PVリボンを第2位置で切断し、各PVリボンの移動を制御して、PVリボンセットを形成し、最後に、PVリボンセットを電池セルセットに搬送して溶接し、セルストリングを形成する。このように、すべてのPVリボンを同時に処理することで、生産効率を向上させ、異なるPVリボンを異なる位置で切断することで、PVリボン分けのストロークを減らし、PVリボンが曲げられるリスクを低減し、最終的に溶接ずれが起こる可能性を減らすことができ、電池セルセットを検出することで、製品の歩留まりを高めることができる。
【0050】
相応的に、本願の別の実施例では、さらに、上記の実施例におけるセルストリングの溶接方法を実現するために使えるストリング溶接機を提供する。以下、本願の別の実施例におけるストリング溶接機について図面を参照しながら詳しく説明するが、上記の実施例と同じ部分または類似した部分について、上記の実施例の対応する説明を参照することができるため、ここで、繰り返して説明しない。
【0051】
図9は、本願の一実施例に係るストリング溶接機におけるセルストリングセットがコンベヤーベルトに配列された時の構造を示す図であり、
図10は、本願の一実施例に係るストリング溶接機のPVリボン引き出し機構、切断機構及び搬送機構の構造を示す図であり、なお、
図11は、完全な切断機構を示しておらず、切断構造には図示されていない複数のマイクロクランプも含まれている。
【0052】
図9~
図10に示すように、ストリング溶接機は、コンベヤーベルト220と、検出装置(図示せず)と、溶接機構と、PVリボン引き出し機構230と、切断機構240と、PVリボン分け機構と、搬送装置と、を含み、コンベヤーベルト220は、複数の電池セル100を配列して電池セルセット101を形成するために使われ、電池セルセット101がコンベヤーベルト220に位置し、検出装置は、電池セルセット101を検出するために使われ、検出装置には極性検出装置が含まれ、極性検出装置が電池セルセット103に対して極性検出を行うために使われ、溶接機構は、溶接台210(
図3を参照)を備え、溶接対象である電池セルセット101とPVリボンセット114とを溶接するために使われ、PVリボン引き出し機構230は、第1方向Xに沿って間隔をあけて配列される複数本の初期PVリボン111を提供するために使われ、初期PVリボン111が第2方向Yに沿って延びており、切断機構240は、複数本の初期PVリボン111を切断して複数本のPVリボン110を形成するために使われ、切断機構240は、複数本の初期PVリボン111の片側から第1方向Xに沿って数えた奇数本目の初期PVリボン111を切断する第1切断装置241と、複数本の初期PVリボン111の同じ側から第1方向Xに沿って数えた偶数本目の初期PVリボン111を切断する第2切断装置242と、を備え、ここで、第1切断装置241が第1位置で切断し、第2切断装置242が第2位置で切断し、PVリボン分け機構(図示せず)は、PVリボンセット114を形成するように各PVリボン110を第2方向Yに沿って移動させるように制御するために使われ、搬送機構は、各PVリボン110が隣接する電池セル100に接触し、且つ少なくとも1本のPVリボン110がエッジに位置する電池セル100に接触するようにPVリボンセット114を電池セルセット101に搬送するために使われる。
【0053】
図9に示すように、電池セルセット101は、電池セルセット101を形成するようにコンベヤーベルト220に配列されてることができる。また、検出装置は、コンベヤーベルト220に配置されることができ、配列すると同時に、検出装置を利用して電池セルセット101を検出することができ、検出装置は、極性検出装置と、外観検出装置と、を含むことができ、極性検出装置と外観検出装置の極性検出及び外観検出がいずれも合格である場合、検出結果が合格になり、電池セルセット101の配列を完成させることができる。
【0054】
いくつかの実施例では、コンベヤーベルト220は、溶接機構に接続されることができ、コンベヤーベルト220に配列された電池セルセット103がコンベヤーベルト220を介して溶接機構内の溶接台210に輸送され、この後の工程で溶接されるために使われることができる。
【0055】
図10に示すように、PVリボン引き出し機構230は、第1方向Xに沿って間隔をあけて配列され、且つ第2方向Yに沿って延びる複数本の初期PVリボン111を同時に形成することができる。PVリボン引き出し機構230で複数の初期PVリボン111を形成する過程において、PVリボン引き出し機構230は、第2方向Yに沿って移動することができ、移動過程において第2方向Yに沿って延びる複数本の初期PVリボン111を形成する。
【0056】
切断機構240は、異なる位置にある複数のカッターで構成されることができる。理解できるように、セルストリング102における複数のPVリボン110は、位置をずらして配列されており、つまり、第1方向Xに沿った奇数本目の位置におけるPVリボン110と偶数本目の位置におけるPVリボン110との配列が異なっている。したがって、奇数本目の初期PVリボン111を切断する第1切断装置241と、偶数本目の初期PVリボン111を切断する第2切断装置242を設置することができ、第1切断装置241の切断位置を第1位置112とし、第2切断装置242の切断位置を第2位置112とする。第1位置112と第2位置113は、セルストリング102におけるPVリボンの配列に応じて設定されることができ、合理的に第1位置112と第2位置113を設定することで、切断後にPVリボン110を移動させて配列する時のPVリボン110の移動距離を減らすことができ、PVリボン110が曲げられるリスクを低減し、最終的に形成されるセルストリング102におけるPVリボン110の溶接ずれのリスクを低減することができる。
【0057】
PVリボン分け機構は、切断後のPVリボン110を第2方向Yに沿って移動させることができる。PVリボン引き出し機構230で複数本の初期PVリボン111を形成する時、複数本の初期PVリボン111の第1方向Xにおける距離は、即ちセルストリング102におけるPVリボン110の第1方向Xにおける距離である。このゆえに、PVリボン110は、切断後に第1方向Xに沿って移動する必要がなく、PVリボン110が曲げられるリスクを減らすことができる。また、初期PVリボン111を切断する時に、奇数本目の初期PVリボン111と偶数本目の初期PVリボン111が、PVリボン110のセルストリング102における配列位置に応じて異なる切断位置を設定されることができるため、PVリボン分け中のPVリボン110の移動ストロークを低減することができ、PVリボン110が曲げられるリスクをさらに低減し、セルストリング102にPVリボン110の溶接ずれが起こる可能性を低減することができる。
【0058】
図11は、本願の一実施例に係るストリング溶接機においてマイクロクランプがPVリボンを挟んで搬送する構造を示す図である。
【0059】
図10および
図11に示すように、いくつかの実施例では、搬送装置は、複数のマイクロクランプ251をさらに含んでもよく、第2方向Yにおいて同じ直線に沿って並べられた複数のマイクロクランプ251が1つのマイクロクランプセット250であり、搬送装置がPVリボンセット114を電池セルセット101に移動させる時、複数のマイクロクランプ251が複数のPVリボン110を挟んで搬送する。搬送装置は、PVリボンセット114を電池セル100に搬送する時、PVリボンセット114のうちの複数のPVリボン110の相対位置関係を変えなくてもよい。複数のマイクロクランプ251が複数のPVリボン110を挟んで搬送する時、複数のマイクロクランプ251のうちの各マイクロクランプ251の移動軌跡は同じであってもよい。
【0060】
図11に示すように、いくつかの実施例では、搬送装置がPVリボンセット114を電池セルセット101に搬送する時、1つのマイクロクランプセット250内の少なくとも隣接する2つのマイクロクランプ251は、同じPVリボン110を挟んでPVリボン110を伸ばすことができる。2つのマイクロクランプ251が同じPVリボン110を挟んだ時、2つのマイクロクランプ251は、第2方向Yに同じ直線に位置し、第2方向Yに沿ってPVリボン110を伸ばすことができる。これにより、PVリボン110がこの前のPVリボン分け移動中に発生する可能性のある変形を低減し、PVリボン110が曲げられるリスクをさらに減らし、セルストリングにPVリボン110の溶接ずれが起こる可能性をさらに低減することができる。
【0061】
本願の実施例では、セルストリングセットを配列するためのコンベヤーベルトと、電池セルセットを検出するための検出装置と、PVリボンと電池セルを溶接する溶接機構と、初期PVリボンを形成するためのPVリボン引き出し機構と、初期PVリボンを切断してPVリボンを形成するために使われ、かつ、第1位置で切断する第1切断装置と第2位置で切断する第2切断装置とを含む切断機構と、PVリボンの移動を制御するためのPVリボン分け機構と、PVリボンセットを電池セルセットに搬送するための搬送機構と、を含むストリング溶接機が提供される。これにより、全てのPVリボンを同時に処理し、生産効率を高めることができ、異なるPVリボンに対して異なる位置で切断する切断装置を使用することができ、PVリボン分けのストロークを減らし、PVリボンが曲げられるリスクを低減し、最終的な溶接ずれの可能性を減らすことができ、検出装置によって電池セルセットを検出することで、製品の歩留まりを高めることができる。
【0062】
当業者であれば、上記の各実施形態は本開示を実現する具体的な実施例であるが、実際の応用において、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、形式及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者も、本発明の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本発明の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準とすべきである。
【要約】 (修正有)
【課題】光起電力の分野に関し、PVリボン溶接ずれを抑制するセルストリングの溶接方法を提供する。
【解決手段】セルストリングの溶接方法は、複数の電池セルを配列した電池セルセットを検出し、不合格なら調整することと、初期PVリボンを切断してPVリボンを形成し、片側から第1方向に沿って数えた奇数本目の初期PVリボンの切断位置を第1位置とし、初期PVリボンの片側から第1方向に沿って数えた偶数本目の初期PVリボンの切断位置を第2位置とすることと、各PVリボンを第2方向に沿って移動させるように制御し、第2方向において隣接する2本のPVリボンにピッチを持たせ、PVリボンセットを形成することと、PVリボンセットを電池セルセットに搬送することと、セルストリングを形成するように、PVリボンを電池セルセットにおける対応する電池セルに溶接することと、を含む。
【選択図】
図1