(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】電磁状態センシングデバイス
(51)【国際特許分類】
G01F 23/284 20060101AFI20240520BHJP
C01B 32/156 20170101ALI20240520BHJP
C01B 32/194 20170101ALI20240520BHJP
G01N 27/02 20060101ALI20240520BHJP
G06K 19/067 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
G01F23/284
C01B32/156
C01B32/194
G01N27/02 Z
G06K19/067 020
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023188368
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2021506646の分割
【原出願日】2019-08-02
【審査請求日】2023-12-04
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519124844
【氏名又は名称】ライテン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LYTEN, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ストーウェル,マイケル ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ラニング,ブルース
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-051438(JP,A)
【文献】国際公開第2018/101379(WO,A1)
【文献】特開2016-165805(JP,A)
【文献】特開2008-285331(JP,A)
【文献】米国特許第08933789(US,B1)
【文献】特表2006-507196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/00
G01F 23/14-23/2965
G01F 23/80
G01N 27/02
C01B 32/156
C01B 32/194
G06K 19/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイテムを格納するように構成された容器であって、
前記容器をカプセル化する表面と、
前記容器の前記表面に印刷された1つ以上の共振部分を含む電磁状態センシングデバイスであって、
各共振部分は、前記容器の前記表面の対応する部分に印刷された三次元炭素含有構造(3D炭素含有構造)のアセンブリを含み、
前記容器からある距離に配置されたユーザーデバイスからから受信される電磁放射ピンに応答して所定の周波数において共振することによって、格納された前記アイテムの情報を伝達するように構成されている、電磁状態センシングデバイスと、
を備える、容器。
【請求項2】
前記1つ以上の共振部分は少なくとも、
格納された前記アイテムの製品識別情報を伝達するように構成された第1共振部分と、
格納された前記アイテムの製品状態情報を伝達するように構成された第2共振部分と、を備える、
請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記第1共振部分は、第1ピン周波数を有する第1電磁放射ピンに応答して、格納された前記アイテムの前記製品識別情報を伝達するように構成されており、
前記第2共振部分は、前記第1ピン周波数と異なる第2ピン周波数を有する第2電磁放射ピンに応答して、格納された前記アイテムの前記製品状態情報を伝達するように構成されている、
請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記第1共振部分は、前記第2電磁放射ピンに応答して、格納された前記アイテムの前記製品識別情報を伝達することを控えるように構成されており、
前記第2共振部分は、前記第1電磁放射ピンに応答して、格納された前記アイテムの前記製品状態情報を伝達することを控えるように構成されており、
請求項3記載の容器。
【請求項5】
前記第1共振部分は、前記容器の前記表面の第1エリアに印刷されており、
前記第2共振部分は、前記容器の前記表面の第1エリアとは異なる前記容器の前記表面の第2エリアに印刷されている、
請求項2記載の容器。
【請求項6】
前記第1エリア及び前記第2エリアは、異なる物理的幾何学的形状を有する、
請求項5記載の容器。
【請求項7】
前記第1共振部分は、前記容器の前記表面に前記第1エリアに印刷された第1カーボン含有インクを含み、第1分子構造を有し、
前記第2共振部分は、前記容器の前記表面に前記第2エリアに印刷された第2カーボン含有インクを含み、前記第1分子構造とは異なる第2分子
構造を有する、
請求項5記載の容器。
【請求項8】
前記第1共振部分は、前記容器の前記表面の第1エリアに印刷された3D炭素含有構造の第1アセンブリを含み、
前記第2共振部分は、前記容器の前記表面の第2エリアに印刷された3D炭素含有構造の第2アセンブリを含み、
3D炭素含有構造の前記第1アセンブリは、3D炭素含有構造の前記第2アセンブリと異なる共振周波数を有する、
請求項2記載の容器。
【請求項9】
3D炭素含有構造の前記第1アセンブリは、第1ピン周波数を有する第1電磁放射ピンに応答して共振するように構成されており、
3D炭素含有構造の前記第2アセンブリは、前記第1ピン周波数と異なる第2ピン周波数を有する第2電磁放射ピンに応答して共振するように構成されている、
請求項8記載の容器。
【請求項10】
3D炭素含有構造の前記第1アセンブリは、前記第1電磁放射ピンに応答して第1電磁放射リターン信号を生成するように構成されている、
請求項9記載の容器。
【請求項11】
前記第1電磁放射リターン信号は、3D炭素含有造の前記第1アセンブリによる前記第1電磁放射ピンの変調に基づいている、
請求項10記載の容器。
【請求項12】
3D炭素含有構造の前記第2アセンブリは、前記第2電磁放射ピンに応答して第2電磁放射リターン信号を生成するように構成されている、
請求項9記載の容器。
【請求項13】
前記第2電磁放射リターン信号は、3D炭素含有造の前記第2アセンブリによる前記第2電磁放射ピンの変調に基づいている、
請求項12記載の容器。
【請求項14】
前記電磁状態センシングデバイスは、格納された前記アイテムの情報を、電磁放射を介して前記ユーザーデバイスに伝達するように構成されている、
請求項1記載の容器。
【請求項15】
前記情報は、格納された前記アイテムの量、格納された前記アイテムの効力、格納された前記アイテムの古さ、又はこれらの任意の組合せを含む、
請求項1記載の容器。
【請求項16】
1つ以上のアイテムを格納するように構成された容器であって、
前記容器をカプセル化する表面と、
前記容器の前記表面に印刷された電磁状態センシングデバイスと、を備え、
前記電磁状態センシングデバイスは、
前記容器の前記表面の第1エリアに印刷され、第1ピン周波数を有する第1電磁放射ピンに応答して、格納された前記1つ以上のアイテムの製品識別情報を示すように構成された第1共振部分と、
前記容器の前記表面の第2エリアに印刷され、前記第1ピン周波数と異なる第2ピン周波数を有する第2電磁放射ピンに応答して、格納された前記1つ以上のアイテムの製品状態情報を示すように構成された第2共振部分と、を備え、
前記容器の前記表面の第2エリアは、前記容器の前記表面の第1エリアとは異なる、
容器。
【請求項17】
前記第1共振部分は、前記第1電磁放射ピンに応答して第1共振周波数で共振するように構成された三次元炭素含有構造(3D炭素含有構造)の第1アセンブリを含み、
前記第2共振部分は、前記第2電磁放射ピンに応答して第2共振周波数で共振するように構成された3D炭素含有構造の第2アセンブリを含み、
前記第2共振周波数は前記第1共振周波数とは異なる、
請求項16記載の容器。
【請求項18】
前記製品識別情報の表示は、3D炭素含有構造の第1アセンブリによる前記第1電磁放射ピンの変調を含み、
前記製品状態情報の表示は、3D炭素含有構造の第2アセンブリによる前記第2電磁放射ピンの変調を含む、
請求項16記載の容器。
【請求項19】
前記第1共振部分は、前記第2電磁放射ピンに応答して、前記製品識別情報を示すことを控えるように構成されており、
前記第2共振部分は、前記第1電磁放射ピンに応答して、前記製品状態情報を示すことを控えるように構成されている、
請求項16記載の容器。
【請求項20】
前記第1電磁放射ピン及び前記第2電磁放射ピンは、前記容器のある距離の範囲内でユーザーデバイスから受信される、
請求項16記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2018年8月9日に出願された米国特許出願第62/716,741号「PRODUCT SENSING(製品センシング)」の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
センサは、店内の在庫を追跡するため及び/又は製造及び注文処理チェーンを通してコンポーネントをエンドツーエンドで監視するためなど、多くの目的に広く使用されている。センシングデバイスは、典型的には、情報を受信及び送信するために電磁信号を利用する。例えば、無線周波数識別(RFID)タグは、RFIDリーダに情報を送信し、パッシブRFIDタグの場合、タグは、問い合わせ信号からのエネルギを利用して、タグに電力を供給し、信号をリーダに送り返す。電磁センシングデバイスの使用のための従来の技術は、多くの欠点を示し、したがって、必要とされるのは、かかる欠点に対処する1つ以上の技術である。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態では、方法は、アプリケーションをダウンロードするための、ユーザーデバイスからのリクエストを受信するステップと、ユーザーデバイスからのリクエストに応答してアプリケーションへのアクセスを提供するステップと、を含む。アプリケーションは、第1電磁放射を伝送し、製品パッケージに取り付けられた第1電磁状態センシングデバイス(EMSSD)から、第1電磁放射リターン信号を受信するように構成される。第1電磁放射リターン信号は、第1電磁放射ピンに応答して、第1電磁放射状態センシングデバイスによって変換され、製品識別コードを含む少なくとも第1情報をエンコードする電磁放射信号を生成する。また、アプリケーションは、少なくとも部分的に製品識別コードに基づいて選択されるルールを適用し、少なくとも部分的にルールに基づいて調整される第2の電磁放射ピンを伝送し、第1電磁状態センシングデバイスから、製品パッケージ内の内容に関する第2情報をエンコードする第2電磁放射リターン信号を受信し、ユーザーデバイスから、第2情報の少なくとも一部をアップストリームコンピューティングデバイスに送信するように構成される。
【0004】
技術的実施形態の態様、目的、及び利点のさらなる詳細は、本明細書、及び、図面並びに特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下に説明する図面は、説明のためのものに過ぎない。
図面は、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【
図1】
図1は、一実施形態による、電磁状態センシングデバイスが展開されることができる環境を示す。
【
図2】
図2は、一実施形態による、電磁状態センシングデバイスが展開されることができる処理フローを示すフローチャートを示す。
【
図3A】
図3Aは、一実施形態による、電磁状態センシングデバイスの概略図である。
【
図3B1】
図3B1は、一実施形態による、流体内容物の第1状態が測定される展開シナリオを示す。
【
図3B2】
図3B2は、一実施形態による、流体内容物の第2状態が測定される展開シナリオを示す。
【
図3B3】
図3B3は、一実施形態による、流体内容物の状態が測定され、表示される展開シナリオを示す。
【
図3B4】
図3B4は、一実施形態による、製品の内容物の状態を示すための印刷されたディスプレイの断面図である。
【
図3C】
図3Cは、一実施形態による、電磁状態センシングデバイスのダイナミックレンジを決定するための選択チャートである。
【
図4A】
図4A1及び
図4A2は、一実施形態による、第1環境及び第2環境における電磁状態センシングデバイスの等価回路モデルである。
【
図4B】
図4Bは、一実施形態による、異なる環境における電磁状態センシングデバイスを較正するために使用されるような経験的データ捕捉技術を示す。
【
図5A】
図5Aは、一実施形態による、電磁状態センシングのために使用されるシグネチャ捕捉技術を示す。
【
図5B】
図5Bは、一実施形態による、電磁状態センシングのために使用されるシグネチャ解析技術を示す。
【
図6】
図6は、一実施形態による、補充システムのハブとして使用される仮想アシスタントを示す。
【
図7A】
図7Aは、一実施形態による、電磁状態センシングデバイスに基づく補充システムで使用されるルールコード化技術を示す。
【
図7B】
図7Bは、一実施形態による、電磁状態センシングデバイスに基づく補充システムで使用されるルール実行技術を示す。
【
図8】
図8は、一実施形態による、電磁状態センシングデバイスに基づく補充システムで使用される例示的なプロトコルを示す。
【
図9】
図9は、システムコンポーネントを、本明細書で開示された実施形態の特定のものを実施するために相互接続された計算モジュールの配置として示す。
【
図10A】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10B】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10C】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10D】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10E】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10F】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10G】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10H】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10I】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10J】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10K】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10L】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10M】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10N】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10O】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10P】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10Q】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10R】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10S】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10T】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10U】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10V】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10W】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10X】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【
図10Y】
図10A~
図10Yは、いくつかの実施形態による、構造化カーボン、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボンベースの凝集体、及び他の材料上に成長される種々の三次元カーボン含有アセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の態様は、どのように状態センサを安価に展開するかに関連する問題を解決する。いくつかの実施形態は、識別情報だけでなく、製品状態情報も発することができるセンシングデバイスを印刷するためのアプローチに関する。
【0007】
概要
パッケージされた製品を識別するための様々な方法が、eコマースの開始以来、使用されている。しかし、特定の場所及び時間における製品の存在の単なる識別は、消費者の居住地、自動車、ボートなど又はその近くにある製品に関する進行中の自動的状態チェックに対する消費者のニーズに対処することができない。
【0008】
残念ながら、従来の無線周波数識別子(RFID)も、従来の近接場ラベルもこの情報を提供することはできない。必要なのは、識別情報だけでなく、モバイルリーダや固定式スキャナによって読み取ることのできる方法で製品の状態情報も発することのできる新しいタイプのセンシングデバイスである。
【0009】
パッケージされた状態で配送される製品が存在する限り、そのパッケージされた製品を識別するための様々な方法が使用されてきた。バーコードの初期の時代には、「マークとスペース」記号がパッケージに印刷された。そして、シンボルリーダ(例えば、バーコードリーダ/スキャナ)を使用することによって、特定の製品を識別することができるようになった。そのようなシンボルをパッケージ上に印刷することは非常に安価であり、シンボルリーダは、例えばキャッシュレジスタと共に展開され(deployed)、統合されるのに十分に安価である。そのようなシンボルリーダ及び対応するキャッシュレジスタが中央コンピュータシステムとさらにインターフェースされる場合、独自に識別された製品のユニットの購入を集計する(tallied)ことができる。在庫勘定、発注、製品補充(replenishment)、及び進行中の取引のその他の機能は、場合によっては人の介入なしに、促進されることができる。
【0010】
しかしながら、場合によっては、そのようなバーコードを製品パッケージ上に印刷することができない及び/又は都合が良くない、及び/又は、場合によっては、リーダを配置することができない及び/又は都合が良くない場合がある。このような場合、無線周波数識別子(RFID) は、製品又はそのパッケージに取り付けられるか、埋め込まれることができる。(RFIDが取り付けられている又は埋め込まれている)製品がRFIDリーダの近位にある場合、存在を集計することができる。与えられたRFIDは、「ピン」によって励起されたときに固有の識別子を発するように製造されることができる。固有の識別子は、任意の数のビットを有することができ、そのため、固有の識別子は、特定の製品に関連付けられることができる。このように、製品補充やその他の取引機能を促進することができる。
【0011】
残念ながら、単に製品を特定すること、又は単に特定された製品の特定の存在及び位置を特定することには、限界がある。例えば、キャッシュレジスタ又は出口における製品のセンシングは、(例えば、製品のユニットの購入を検出するため、又は製品のユニットの動きを検出するために)有益な情報であり得るが、時には、製品の特定のユニットに関するより多くの情報(例えば、状態)をセンシングすることは、有益である。
【0012】
製品パッケージ上にセンシングデバイスを印刷し、センシングデバイスを「ピン」して内容物に関する情報を収集することによって、内容物の特徴をセンシングする試みがいくつかなされてきた。しかしながら、このようなセンシングデバイスは、湿度、温度等の環境変数のみを測定することに限定されてきた。したがって、製品の特定のユニットに関するより多くの情報(例えば、状態)をセンシングする必要性は、満たされないままである。
【0013】
例えば、容器がどの程度充填されているか知ることは有用であり得る。あるいは、容器が漏れているかどうか、内容物が変質しているかどうか、腐敗しているかどうか、又はその他の理由でガスが滲出しているかどうかを知ることも有用であろう。この状況は、異なる製品の複数のユニットに関する状態情報(state information)を定期的に更新する必要があるため、さらに複雑である。例えば、家庭の状況においては、消費者がその住居(又は車、ボートなど)を横断する際に遭遇するいくつかの又は全ての製品の状態情報(例えば、量、効力(potency)、古さ(staleness)など)を定期的に更新することが望ましい場合がある。
【0014】
従来のRFIDも、従来の近接場ラベルも、必要な情報を提供することはできない。必要なのは、識別情報だけでなく、製品固有の状態情報も発することができる新しいタイプのセンシングデバイスからの収集を容易にするシステムである。
【0015】
定義及び図面の使用
この説明で使用される用語のいくつかは、簡単な参照のために以下に定義される。提示された用語及びそれぞれの定義は、これらの定義に厳密に限定されるものではなく、用語は、本開示内での用語の使用によってさらに定義され得る。さらに、「例示的(exemplary)」という用語は、本明細書では、例、事例、又は具体例として役立つことを意味するために使用される。本明細書に「例示的」として記載される任意の態様又は設計は、必ずしも、他の態様又は設計よりも好ましく又は有利であると解釈されるものではない。むしろ、例示的の文言の使用は、概念を具体的な方法で提示することを意図している。本願明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。すなわち、「Xは、A又はBを使用する」は、別段の規定がない限り、或いは文脈から明確でない限り、自然な包含的順列のいずれかを意味することを意図している。すなわち、XがAを使用する場合、XがBを使用する場合、または、XがA及びBを使用する場合のいずれかの場合において、「XはA又はBを使用する」は満足される。本明細書において使用される場合、A又はBのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのA、少なくとも1つのB、又は、A及びB両方の少なくとも1つを意味する。換言すれば、このフレーズは、分離性である。本願明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」及び「an」は、別段の規定がない限り、又は文脈から単数形を指すことが明確でない限り、一般に「1つ又は複数」を意味すると解釈されるべきである。
【0016】
ここでは、種々の実施形態が、図面を参照して説明される。図面は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、また、類似の構造又は機能の要素は、時には、図面全体を通じて、同様の参照符号によって表されることに留意されたい。また、図面は、開示された実施形態の説明を容易にすることのみを意図したものであり、それらは、全ての可能な実施形態の網羅的な取扱いを表すものではなく、また、請求の範囲に関するいかなる限定も帰属させることを意図したものではないことに留意されたい。さらに、図示された実施形態は、任意の特定の環境における使用の全ての態様又は利点を示す必要はない。
【0017】
特定の実施形態に関連して説明される態様又は利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、そのように説明されていなくても、任意の他の実施形態において実施することができる。本明細書中の「いくつかの実施形態」又は「他の実施形態」への言及は、少なくとも1つの実施形態に含まれている実施形態に関連して記載された特定のフィーチャ、構造、材料又は特性に関連する。したがって、本明細書全体を通して、様々な箇所における「いくつかの実施形態において」又は「他の実施形態において」というフレーズの出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態を指しているわけではない。開示される実施形態は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0018】
例示的実施形態の説明
図1は、電磁状態センシングデバイスを展開することができる環境100を示す。オプションとして、環境100又はその任意の態様の1つ以上の変形例は、本明細書に記載される実施形態のアーキテクチャ及び機能性の文脈で実装され得る。
【0019】
図1は、識別情報だけでなく、製品状態情報も発することができる印刷されたセンシングデバイスに関連する態様を示す。具体的には、どのように安価に状態センサを展開するかという問題に取り組む上での寄与に関して図を提示している。より具体的には、
図1は、定量値が電磁状態センシングデバイス(EMSSD)によってセンシングされ、データ処理のために計算サイトに中継されることができる環境を示す。「電磁波」とは、比較的低い周波数(例えば、125kHz)又はこれより高い無線周波数(13.6MHz)以上の周波数で伝搬する信号をいう。
【0020】
図示のように、センサ(例えば、センサ1011、センサ1012およびセンサ1013)は、ピンによって刺激される。刺激されたセンサは、その対応する容器内にある製品の一つ以上の態様を特徴づける共振シグネチャを発する。いくつかの異なる容器タイプ及びいくつかの異なる容器態様が表される。
【0021】
ピンは、例えば、スマートフォン(又は他のタイプのモバイルデバイス)によって立ち上げられることができる。具体的には、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン)上のアプリケーション(「アプリ(APP)」、すなわち、ソフトウェアアプリケーション、コンピュータプログラム、コンピュータ可読媒体)は、電磁エミッタデバイスドライバ(例えば、近接場通信(NFC)デバイスドライバ)を制御することができ、これにより、電磁エミッタデバイスは、ピンを立ち上げることができる。このようにして、ピンの周波数、持続時間、及び形状を制御することができる。ピンによって励起されると、近傍のセンサが共振し、コンテナ内の製品の態様に関連する情報をエンコードする特徴を発する。容器内の製品に関連する情報は、再フォーマットされ、さらなる加工のために上流にリレーされる。いくつかの実施形態では、図示のように、再フォーマットされ、上流に中継される情報は、追加のセンサデータ処理のために、インターネット又はイントラネット108を介した通信のために経路指定することができる。
【0022】
EMSSDの多くの異なるタイプ又は構成が、製品のパッケージに適用されることができる。図示のように、タイプ1のEMSSD1011をタイプ1の容器に適用し、タイプ2のEMSSD1012をタイプ2の容器に適用し、タイプ3のEMSSD1013をタイプ3の容器に適用することができる。かかる容器は、流体又は液体(例えば、洗剤、アルコール、燃料、ミルクなど)を保持する管体(vessel)(例えば、プラスチック又はガラス製のジャグ又はボトルのようなタイプ1容器)であることができる。あるいは、容器は、任意の内容物を保持するためのカートン(例えば、プラスチック材料で被覆されていても、されなくてもよい、段ボール又は厚紙の箱等のタイプ2容器)であることができる。さらに、容器は、特殊な容器(例えば、ピルボトル、ヒンジ付きボックス、ドロッパーボトルなどのタイプ3容器)であることができ、これは、医薬品などの一部の特定の製品を収容するように設計されている。前述の容器のいずれも、任意のセッティングで提供することができる。
【0023】
厳密には、一例として、前述の異なるタイプの容器は、家庭的セッティングにおいて見出され得る。したがって、消費者は、その住居を通って歩行する可能性があり、歩行の過程中に、モバイルデバイスは、電磁ピンを発し、電磁リターンを捕捉する。電磁放射を発するように制御されることができる任意の1つ以上のユーザーデバイス117は、ピンを発し、戻された信号を捕捉することができる。
【0024】
図示されるように、ユーザーデバイス117は、タイプ1モバイルデバイス131(例えば、iOSフォン)であることができ、又はユーザーデバイス117は、タイプ2モバイルデバイス132(例えば、アンドロイド(登録商標)フォン)であることができ、又はユーザーデバイス117は、パントリー又は薬箱に配置され得るような、質問デバイス133(例えば、静止RFIDリーダ)の静止インスタンスであることができる。任意のかかるユーザーデバイス又は変形例は、図示されたNFCデバイス(ユーザーデバイス117)等の電磁放射デバイスを、直接的又は間接的に制御する実行可能コード(例えば、アプリ)で構成されることができる。任意の数のユーザーデバイスは、一般に、任意のEMSSDの近位に存在することができ、各ユーザーデバイスは、ピンを発し、応答を捕捉する。もし、複数のピンと複数のリターンが、たまたま、互いに非常に接近した状態で同時に発生するならば、各アプリ(例えば、APP1371、APP1372、及びAPP1373)は、衝突を認識し、ピンを再試行することができ、したがって、衝突検出多元アクセスプロトコルを実装する。
【0025】
本開示において、ピンは、人間の対話を必要とすることなく、システムによって識別される製品のタイプに基づいて、種々の目的のために種々の周波数に調整されることができる。ここに示された例では、ピン1021は、第1RFID周波数に対応する第1周波数で発せられる。EMSD1011の第1部分は、製品及び/又は容器のタイプに対応する値(例えば、1及び0の文字列)をエンコードするリターン1031(すなわち、「PID1」などの電磁信号)で、そのピンに応答する。そのエンコード値が与えられると、APP1371は、後続のピン1022の特性を特定(例えば、調整、調節、カスタマイズ)することができる。リターン1032は、後続のピン1022に応答する。リターン1032は、示された容器タイプ1の内容に関する情報をエンコードする。EMSSDからのリターンは「シグネチャ」と称されることもある。いくつかの実施形態では、リターンは、APPによって捕捉され、モバイルデバイス上でデコードされる。他の実施形態では、リターンはAPPによって捕捉され、ネットワーク通信パケット内にパッケージされ、セルタワー114に転送され、セルタワー114は、その後、インターネットを介してネットワーク通信パケットをデータ処理ファシリティ(例えばセンサデータ処理もジュール110)へと中継する。データ処理ファシリティは、その後、ルールセット121を適用し、(補充、廃棄、修理などの)さらなる動作を特定する。
【0026】
環境100に示されるデバイス及びシステムは、一緒に動作して、注文処理システム(fulfillment system)などの自律モニタリングシステムを形成する。図示のように、センサデータ処理モジュール110は、自律実行パス(autonomous fulfillment path)1291上で配送サービスに通信し、配送サービスは、その後、自律実行パス1292をわたって(traverses)、補充製品をユーザに配達する。
【0027】
上述のように、EMSSDは、特定の製品及び/又は容器タイプに対応するように構成されることができる。
図1は、容器タイプ2として示されるカートンを示しており、その中にカートン製品が位置することができる。厳密に言えば、容器タイプ2は、腐りやすいもの(例えば、果物、野菜など)を保持し得る。対応するEMSSDは、例えば、(1)容器内の製品のレベル又は容積、(2)腐りやすい食品又は食品の傷みに付随するガスの濃度、(3)温度のいずれか又は全てを感知するように構成することができる。
動作において、RFID周波数におけるピン102
3は、EMSD101
2の一部を生じさせ、製品IDをエンコードするリターン103
3(例えば、「PID2」)で応答する。製品IDは、ルールセット121が少なくとも1つのルール122を分離するためのインデックスとして使用され、そのルールの適用は、ダウンストリームメッセージ126
1の形式でアプリに配信される調整データをもたらす。例えば、最初のピンから識別された製品に基づいて、選択されたルールは、製品上のセンサのタイプに対する信号周波数範囲及び/又はピン数をカスタマイズし、後続のピンが製品パッケージ中の内容に関する情報を収集するために送られるときに使用され得る。
【0028】
環境100のいつかのトポロジは、イントラネット108を含む。かかるトポロジのいくつかでは、ダウンストリームメッセージ1261は、アプリケーションにルーティングされる前にハブ106を通過する。このような場合、プロダクトIDに対応するプロダクトの検出の発生は、ログ127に記録され、そのログは、種々の目的のために使用され、そのいくつかについては、以下で論ずる。
【0029】
前述のように、ダウンストリームメッセージ1261は、調整データを含み得る。調整データは、1つ以上のさらなるピン(例えば、ピン1024)を送信するためにアプリによって使用される情報を含む。さらなるピンは、特定の周波数に調整され得、その特定の周波数は、少なくとも部分的にEMSSDの特性に基づいて特定される。より具体的には、プロダクトIDを1つ以上のルールを検索するキーとして使用することができ、これは、特定のピン周波数及びピンのタイミングについてアプリに通知することができる。厳密に1つの例として、ルールは、任意の期間にわたり、種々のタイミングシークエンスにおける、ピンの単純な組み合わせから複雑な組み合わせを含む、種々のピンのうちのいずれかにしたがって、EMSDに質問する(interrogate)ために、アプリによって処理され得る。このように、リターン1034は、種々のピンに応答して、いくつかのシグネチャから構成されてもよく、そのシグネチャのいずれかは、解析のために、メッセージ(例えば、アップストリームメッセージ1251、アップストリームメッセージ1252)として(例えば、インターネットを介して)センサデータ処理モジュール110に送られることができる。解析の結果、例えば(1)容器内の製品のレベル又は容積、(2)腐りやすい食品又は食品の傷みに付随する分析物(例えば、エチレン、アンモニア、その他のガス)の濃度、(3)温度、及び/又は容器中の内容物の状態に関するその他の情報の、一部又は全部が特定され得る。特定は、ダウンストリームメッセージ1262内のフォーマットされた内容としてハブ106に送られることができる。
【0030】
いくつかのトポロジでは、ダウンストリームメッセージ1261は、アプリにルーティングされる前にハブ106を通過する。ハブは、音声起動コマンド105(例えば、音声アシスタント)によって実現することができる。音声アシスタントは、ダウンストリームのメッセージ1261を傍受し、おそらく通知107を発することによって、それを処理することができる。この通知は、自然言語の形式であり得、例えば、「そろそろ、もっとケールを注文する時が来ました。注文しましょうか?」、あるいは、「今日は暖かすぎます。ケールをもっと涼しい場所に移動しなくては。」、または、「ケールが悪くなってきています。コンポストしなくては。」等であり得る。いくつかのトポロジでは、通知107は、テキストメッセージや電子メールメッセージなどの、ただし、これらに限定されない、他の形式をとることができる。通知メッセージは、数量表示、有効期限(expiration date)、再充填日、再充填カウント、ロット番号、化学組成、及び/又は濃度表示などの情報を含み得る。一部のトポロジは、製品パッケージの内容に関する情報の少なくとも一部をログに保持することができる。例えば、ログは、コンテンツに関する情報の少なくとも一部に対応するエントリを含み得る。ログは、ネットワークアクセスポイントによって維持されることができ、ここで、ネットワークアクセスポイントは、音声起動コマンドを受信することによってアクティブ化され得る。
【0031】
いくつかの設定において、前述の通信及びデータ解析技術の全部又は一部を使用して、質問デバイス133は、ピン1025を発し、リターン1035(例えば、製品ID「PID3」)を受信し、次いで、さらなるピン1026を発し、このピンは、特に、容器タイプ3の特性及び/又は容器タイプ3に含まれる製品の特性について調整される。さらなるピン1026を発することは、結果としてリターン1036を発することとなる。
【0032】
上述のように、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン)上のアプリは、電磁エミッタデバイスドライバ(例えば、NFCデバイスドライバ)を制御することができ、その結果、電磁エミッタデバイスは、ピンを立ち上げることができる。1つの例示的な展開シナリオにおける処理フローを、
図2に示す。
【0033】
図2は、電磁状態センシングデバイスを展開することができる処理フロー200を示すフローチャートを示す。オプションとして、処理フロー200又はその任意の態様の1つ以上の変形例は、本明細書に記載の実施形態のアーキテクチャ及び機能のコンテキストで実装され得る。処理フロー200又はその任意の態様は、任意の環境で実装され得る。
【0034】
図示された展開シナリオでは、アプリケーション及びドライバソフトウェアエンジニアによってアプリが開発され、ウェブアクセス可能な位置に格納される(ステップ202)。ウェブアクセス可能な位置254は、アプリ252のダウンロード可能なインスタンスが格納され得る任意の位置であり得る。ダウンロードは、インターネットに接続された要求デバイス256によって要求されることができる。さらに、要求デバイスは、任意のタイプのモバイルデバイスであることができ、デスクトップコンピュータ、ハブ、又はデジタルアシスタントなどの任意のタイプの静止デバイスであることができる。このシナリオでは、要求デバイス256はスマートフォンとして示されているが、例えばスマートウォッチ、タブレット又はラップトップコンピュータであってもよい。
【0035】
要求デバイスは、いつでも要求を発行することができ(例えば、統一リソース識別子(URI)へのインターネット呼び出しを介して)、要求によって、アプリがデバイス上にダウンロードされ、進行中の動作のために構成される(ステップ204)。構成は、ターゲットデバイス(すなわち、要求デバイス)及び/又はターゲットデバイス上でホストされる任意の監視ソフトウェア(例えば、オペレーティングシステム)の特性に固有であり得る。ダウンロード及び構成後のある時点で、アプリは処理ループに入る(ステップ206)。ループ220を介した反復は、任意のスケジュール、おそらく種々の電力節約技術を実施するスケジュールで実行することができる。ある場合には、ループで実行される操作の順序は、その時点に存在する条件に基づいて変化することができる。アプリ動作205は、動作の特定のフローを示すが、ある状況では、代替的順序付けが可能であり、ある場合には、動作の一部は、ループの所与の反復では実行されない。
【0036】
図示のように、ループ220は、EMSDの近位にあるときに第1ピン信号を発し(ステップ208)したがって、少なくともEMSDの識別部分261を刺激する動作を含み(ステップ208)、その後、識別信号から導出された識別コード(例えば、製品ID)に基づいて(ステップ210)、アプリは、適用可能なルールのすべて又は一部を適用する(ステップ212)。かかる識別コード(例えば、製品ID)は、EMSSDルール209及び実行ルール(fulfillment rules)211を識別するために、ルールセット121内へのインデックスとして使用されることができる。特定のEMSSDルール209の適用は、結果として、アプリに配信されるデータの同調をもたらす。実行ルール211の特定の適用は、結果として、液体レベルを読み取ること、異なる分析物の測定値を提供すること、又はその容器内の内容物の量を読み取ることなどの、製品内容物に関連するアクションをもたらす。次に、アプリは、少なくともEMSSDの状態部分262を刺激するように、第2ピン信号を伝送する(ステップ214)。アプリは、第2ピンの時点における製品の状態に基づいて、第2ピン信号に応答して返されるリターン状態信号を受信する(ステップ216)。これらのリターン状態信号は、状態情報を特定するためにデコードされる。例えば、印刷された電磁状態センシングデバイスは、製品パッケージ内の内容物が第1状態にある場合には、第2電磁放射信号の第1変形例(例えば、第1共振周波数)を発することができ、製品パッケージ内の内容物が第2状態にある場合には、第2電磁放射信号の第2変形例(例えば、第2共振周波数)を発することができる。ある場合には、リターン状態信号は、要求デバイスによって(例えば、アプリによって)解析されるが、他の場合には、図示のように、要求デバイスは、アップストリームのネットワークデバイスにリターン状態信号を送信することによって要求側デバイスをオフロードする(ステップ218)。
【0037】
この特定の実施形態では、アップストリームデバイスはハブ106のインスタンスであるが、アップストリームデバイスはイントラネットに接続されるか又はインターネットに接続される任意のデバイスであることができる。
【0038】
前記処理は、少なくとも部分的には、EMSSDの応答特性に依存する。特に、アプリは、EMSSDが識別部分261及び少なくとも1つの状態部分262を含むという態様に依存する。EMSSDを形成するための種々の技術が示され、
図3Aに関連して説明される
【0039】
図3Aは、電磁状態センシングデバイス3A00の概略図である。オプションとして、電磁状態センシングデバイス3A00又はその任意の態様の1つ以上の変形例は、本明細書に記載される実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実装され得る。電磁状態センシングデバイス3A00又はその任意の態様は、任意の環境で実装され得る。
図3Aは、電磁状態センシングデバイス3A00の概略図である。
【0040】
EMSSD 3A00は細長いセンサとして構成される。すなわち、EMSSDは、製品内の内容物が位置する長さにわたって(例えば、垂直方向などの特定の方向に長手方向に)またがる複数の部分を有する。図示のように、第1共振部分301は、RFIDの機能を提供するように構成される。具体的には、所定の周波数においてピンすると、第1共振部分301が通電され、ビットストリングを発するようになり、このビットの一部は、一意の識別コードを形成するように連結される。図はまた、第2共振部分302、第3共振部分303、及び第N番目の共振部分399を示しており、第2~第N共振部分は、製品に関する情報(すなわち、製品パッケージ内の内容物の状態)を伝達するために使用され得る。第N共振部分399の近位に(例えば、図示などの直線アレイで)並置された多くの共振部分が存在し得る。EMSD3A00は、複数の共振部分を有するセンシングデバイスを表し、各共振部分は、インクから印刷され、印刷されたインクの材料特性及び/又は幾何学的形状によって特定される共振閾値を有する。共振部分は、パスに沿って配置されており、互いに隣接することもできるし、しないこともできる。いくつかの実施形態において、共振部分は、異なる炭素含有インクを用いて印刷され得る。いくつかの実施態様において、共振部分は、各々実質的に同一のサイズ及び形状である。いくつかの実施形態では、異なる共振部分は、同じ炭素含有インクを使用して印刷されることがあり、異なる共振部分は、異なる幾何学的形状を有する。識別部分261は、いずれの状態部分とも異なる周波数で共振するように調整されている。
【0041】
前述の部分301~399の全ては、炭素含有インクを用いて種々の幾何学的形状で印刷することができ、その幾何学的形状(例えば、直線/湾曲/螺旋パターン、線幅、形状ファクタ)及び炭素含有インク(例えば、種々の同素体の組成物)は、EMSSD3A00によって検出されるべきセンシング基準に基づいてEMSDの製造者又は設計者によって特定される。場合によっては、センシング基準には、「エチレンが存在するか?」や「EMSSDのこの部分は液体の存在によって変形しているか?」などの環境指標が含まれる。場合によっては、センシング基準及びそれぞれの共振は、「この位置での誘電率はいくつか?」などの環境指標に対応する。そのように、EMSDの一連の共振部分は、容器上に印刷することができ、一連の共振部分は、検出されるべき特定の容器及び内容物に応答するように調整され、及び/又は容器上のその共振部分の特定の位置に基づいて調整され得る。例えば、容器内の液体内容物の量の変化は、EMSSDによってセンシングされる誘電率の変化を引き起こす。したがって、EMSSDは、その時点での(then-current)環境における特定の共振部分の誘電率に敏感であるように設計されることができる。その時点での環境における特定の共振部分の誘電率又は透磁率に対する感度を達成し及び/又は調整する技術は、特定のカーボンインク又はカーボンインクの組み合わせを選択すること、及び電極線の幾何学的形状(例えば、レイアウト及び/又は寸法)を調整することを含む。厳密には、一例として、容器が満充填の場合には、液体を保持する容器は第1誘電率を示すが、容器が例えばほぼ空の場合には、同じ容器が第2誘電率を示す。この現象は、容器内の液体のレベルを特定する際に使用することができる。実際、この現象は、単一の共振部分のみを使用する場合(例えば、特定の精度のアナログ信号として)にも観察され、又は共振部分の細長い線形アレイなどの一連の共振部分を使用する場合(例えば、任意の所望の精度で一連のデジタルビットに構成される)にも観察されることができる。単一共振部分の場合には、環境変化に対する周波数変化はアナログ信号を含むが、複数の共振部分の場合には、各共振部分からの戻りを閾値に対して解析し、「オン」又は「オフ」値を特定する。複数の共振部分の「オン」又は「オフ」値は、一連のデジタルビットから結合されることができる。
【0042】
前述の例は、容器内の液体に特有のものであるが、本明細書に開示されているようなEMSSDの展開は、容器の近位の環境における任意の変化を検出するために使用することができる。環境の変化の例として、EMSSDは、ガルバのスタティック変化(galvanostatic change)及び/又はピエゾスタティック変化(piezo-static change)、及び/又は、ポテンショスタティック変化(potentio-static change)のうちの任意の1つ以上を提示するものを検出することができる。任意のかかる変化又は近位環境における変化は、EMSSDの1つ以上の部分の共振応答又は応答の1つ以上の変化を引き起こす。例えば、ピエゾスタティック変化は、製品内容物の変形(例えば、存在する温度又は内容物の量による膨張)に起因し、EMSSDの共振部分に歪みを生じさせ、その結果、発せられる共振周波数を変化させることができる。異なるタイプの製品内容物は異なる密度を有し、したがって、異なる製品は、異なる程度の歪みを共振部分に生じされることができる。したがって、各製品及び各容器は、固有のEMSSDを有することができ、その特定の製品及び容器の組み合わせに対して較正される。
【0043】
容器内の液体のレベルをセンシングするための技術が示され、
図3B1及び
図3B2の展開シナリオに記載される。
【0044】
図3B1は、液体内容物の第1状態が測定される展開シナリオ3B100を示す。オプションとして、展開シナリオ3B100又はその任意の態様の1つ以上の変形例は、本明細書に記載される実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実装され得る。展開シナリオ3B100又はその任意の態様は、任意の環境で実装可能である。
【0045】
この展開シナリオでは、EMSSDは液体容器の側面(例えば、外面)に印刷される。その他のデプロイメントでは、EMSSDはコンテナの内側に印刷される。その他のデプロイメントでは、EMSSDは、容器に貼り付けられるラベル上に印刷される。
【0046】
(図示のように)液体が容量近くまで容器を満たすとき、共振部分303から共振部分399は、容器内に液体がある領域を覆い、一方、共振部分302は、容器内に液体がない位置にある。これら2つの位置における共振部分の周囲の環境の誘電率及び/又は透過率は、少なくとも容器内の液体のレベルに基づいて異なる。したがって、他のパラメータがEMSDの長さにわたって同じである場合、共振部分302によって放射される共振周波数は、共振部分399とは異なる。前述のパラメータは、内容物又はそのパッケージの密度、内容物又はそのパッケージの比誘電率、包装に貼付されるラベルの透磁率、容器の形状、容器の厚さの変化などの材料及び環境特性を含む。
【0047】
EMSDのいくつかの共振部分からのいくつかのピンリターンが与えられると、いくつかのピンリターンの差は液体レベルに対応する。より具体的には、異なる周波数の複数のピンがユーザーデバイスによって発せられる。これらの異なる周波数は、EMSSDの異なる共振部分からのピンリターンの形態で応答をトリガする。次に、これらのピンリターンを構成する信号を解析し、中心周波数の振幅を識別する。
【0048】
図3B2の展開シナリオにおいて、ほぼ空の液体レベルが示され、説明される。ある状況では、液体の有無が特定の共振部分の共振を支配するが、EMSDの一端における液体の有無は、EMSDの反対端に配置された異なる共振部分の共振周波数に変化を引き起こす可能性がある。この効果は、容器の幾何学的形状によってもたらされる他の効果と同様に、較正手順の間に測定することができる。
【0049】
印刷されたセンサ及び共振コンポーネントに関するさらなる詳細は、
「Antenna with Frequency-Selective Elements(周波数選択素子を有するアンテナ)」と題する米国特許第10,218,073号、2017年2月21日出願の「Energy Harvesting Using 2D/3D Packaging(2D/3Dパッケージングを使用した環境発電)」と題する米国特許仮出願第62/461,693号、2017年8月31日出願の「Printed Electrical Components(印刷された電気コンポーネント)」と題する米国特許仮出願第62/552,522号、及び2017年11月22日出願の「Printed Chemical Sensor(印刷された化学センサ)」と題する米国特許仮出願第62/589,893号、に記載されており、これらは全て、本願の譲受人によって所有され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
図3B2、
図3B3、及び
図3B4は、それぞれ、展開シナリオ3B200、3B300、及び3B400を示し、液体内容物の第2状態が測定され、任意に容器上に表示される。オプションとして、展開シナリオ3B200、3B300、又は3B400、又はその任意の態様の1つ以上の変形例は、本明細書に記載される実施形態のアーキテクチャ及び機能性のインスタンスで実装され得る。展開シナリオ3B200、3B300、又は3B400、又はその任意の態様は、任意の環境で実装され得る。
【0051】
容器内の液体がほとんど空の場合(
図3B2に示すように)、共振部分302から共振部分398は、容器内に液体が存在しない位置にあり、共振部分399は、容器内に液体が存在する位置にある。これら2つの位置における環境の誘電率及び/又は透磁率は、少なくとも製品のレベルに基づいて異なる。したがって、他のパラメータがEMSDの長さにわたって同じである場合、共振部分302によって発せられる共振周波数は、共振部分399とは異なる。EMSDのいくつかの共振部分からのいくつかのピンリターンが与えられると、いくつかのピンリターンの差は液体レベルに対応する。精度(例えば、満充填、1/2充填~±1/4充填、1/4充填~±1/8充填、など)は、共振部分の数、長さ及び/又は間隔によって、EMSSD内に構成することができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、容器の状態は、
図3B3に示されるように、状態ディスプレイ3990上のプリント視覚的状態表示パターンを用いて、容器上に表示され得る。状態ディスプレイは、例えば、炭素含有インクを用いて印刷され得る。この図では、状態ディスプレイ3990は、容器内の液体のレベルが満充填であることを示す「満タン」を表示する。状態ディスプレイ3990は、容器の外面に直接印刷されることがあり、又は基板(例えば、ラベル)に印刷されて、容器に取り付けられることもある。状態ディスプレイ3990は、この図では、EMSDの下端に位置するが、状態ディスプレイ3990は、EMSDの上端など、容器内の他の場所、又はEMSDとは別の場所に位置することもある。状態ディスプレイ3990は、量、鮮度、又は提案された動作(例えば、「再注文の時間」)など、製品内容の種々のタイプの状態を示すために用いられることができ、テキスト及び/又はグラフィックス(例えば、アイコン)を使用することができる。
【0053】
図3B4は、いくつかの展開シナリオによる、印刷された状態ディスプレイ3990の断面図を示す。状態ディスプレイ3990は、いくつかの実施形態による、炭素マトリクス3991(すなわち、電気泳動ディスプレイマトリクス)を使用する電気泳動視覚ディスプレイデバイスである。ディスプレイ3990は、基板3992、基板3992上の第1電極層3993、基板3992上の炭素マトリクス層3991、炭素マトリクス3991内の電気泳動インク3994、及び炭素マトリクス3991上の第2電極層3995を含む。電極層3993及び3995が通電されると、インク3994は、層3995に向かって、又は層3995から離れて移動して、眼のアイコンによって示されるように、層3995から視認されるべき像(例えば、パターン、グラフィックス、テキスト)を形成する。炭素マトリクス3991は、ポリマーによって連結された炭素粒子3996からなり、多孔質ネットワークを形成する。基板3992は、ポリマーフィルム又は紙材料(例えば、ダンボール、紙、ポリマー被覆紙、及びポリマーフィルム)などの可撓性材料であってもよい。
【0054】
炭素マトリクス3991層の厚さは、従来の電気泳動ディスプレイ材料より薄くすることができる(すなわち、電極層3993と3995との間のより短い距離)。マトリクス自体内の電極接続を可能にする、炭素マトリクス3991の導電性の性質のためである。例えば、炭素マトリクス3991の厚さは、10μm~40μm又は10μm~100μmであり得る。炭素マトリクス3991の電気伝導率は、20,000S/m超、又は5,000S/m超、又は500S/m超、又は50S/m超であり得る。より薄い不動相(炭素マトリクス3991)を有することは、インク3994を移動させるのにより少ないエネルギしか必要とせず、ディスプレイ3990を低電力にし、したがって、環境発電方法(energy harvesting methods)のみによって電力供給されやすくする。例えば、状態ディスプレイ3990は、環境発電アンテナ3997によって電力供給されることがあり、アンテナ3997は、ユーザーデバイスによって発せられる電磁信号から環境発電し得る。
【0055】
炭素マトリクス3991は、インク3994が炭素マトリクス3991を通って移動することを可能にする、炭素粒子3996内又は間に孔を有する多孔質導電層である。第2電極層3995に向かって移動するインクは、可視像を生成し、一方、層3995から離れるように移動するインクは、観察される像内に空白スペースを生成する。いくつかの実施形態において、インク3994は、白色の電気泳動インクであり得、炭素マトリクス3991の暗色とコントラストする。
【0056】
炭素マトリクス3991は、重合可能な共有結合を形成するポリマー(例えば、セルロース、セルロースアセテートブチレート、スチレンブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテル-ウレタン)又は架橋可能な樹脂(例えば、アクリレート、エポキシ、ビニル)などの結合剤によって一緒に保持される炭素粒子3996から作られる。結合剤は、炭素粒子3996を互いに連結するが、炭素粒子間の空間の全てを取り囲まず、孔(すなわち、空間、空隙)が炭素マトリクス3991内に存在する。炭素粒子3996は、導電性であり、グラフェン、カーボンナノオニオン(CNO)、カーボンナノチューブ(CNT)、又はこれらの任意の組み合わせなどの同素体を含んでもよい。炭素粒子3996の一部又は全部は、これらの同素体のサブ粒子の凝集体であり得る。いくつかの実施形態において、炭素マトリクス3991の大部分は、グラフェンであり得、例えば、炭素マトリクス3991内の炭素粒子の50%超、80%超、又は90%超であり得る。いくつかの実施形態では、状態ディスプレイ3990は、ポリマーによって互いに架橋された複数の炭素粒子を含む電気泳動ディスプレイマトリクスであり、ここで、マトリクスは、i) 炭素粒子間の平均距離が10μmまでの粒子間空隙率、又はii) 200nmを超える平均空隙率を有する粒子内空隙率、のうちの少なくとも1つを含む空隙率を有する。プリント視覚ディスプレイのさらなる詳細は、2019年6月25日に出願され「Electrophoretic Display(電気泳動ディスプレイ)」と題された米国特許仮出願第62/866,464号に見出すことができ、これは、本願の譲受人によって所有され、その全体が参照により組み込まれる。
【0057】
EMSDの独立したセンサ部分の数に基づいて感度のダイナミックレンジを特定する技術が
図3Cに示されている。
【0058】
図3Cは、電磁状態センシングデバイスのダイナミックレンジを特定するための選択チャート3C00である。オプションとして、選択チャート3C00又はその任意の態様の1つ以上の変形例を、本明細書に記載される実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実装することができる。選択チャート3C00又はその任意の態様は、任意の環境で実装することができる。
【0059】
図示のように、細長いEMSDにおいて使用されるより多くのセンサ部分は、より正確な測定値を得ることができる。図において、3dBのダイナミックレンジは、2の比率に対応し(1ビットは1つのセンサ部分に対応)、6dBは、4の比率に対応し(2ビットは2つのセンサ部分に対応)、9dBは、8の比率に対応する(3ビットは3つのセンサ部分に対応)。例として、独立したセンサが1つのみである場合、読み取り値(reading)は、大きなプラス又はマイナス誤差を有する{空又は満充填}であり得るが、一方、3つのセンサ部分(例えば、製品内容物がどのように減少するかの方向において等しい間隔で配置された3つの部分)がある場合、3つのセンサの各々からの読み取り値の組み合わせは、約1/16のプラス又はマイナス誤差を有する{満充填,7/8,3/4,5/8,1/2,3/8,1/4,1/8,又は空}を示すことができる。すなわち、種々の表示は、製品内容物が種々の共振部分を完全にカバーするか、部分的にカバーするか、又はカバーしないかに対応する環境条件から生じる。
【0060】
これまでに説明された実施形態は、少なくとも部分的には、EMSSD部分からの読み取りに依存しており、ここで、異なる環境で各部分は、異なるそれぞれのリターンシグネチャでピンに応答する。異なるそれぞれのリターンシグネチャは、種々の環境内で測定されることができ、
図4A1及び
図4A2に示されるように、リターンシグネチャの読み取り値を較正点として使用することができる。
【0061】
図4A1及び
図4A2は、それぞれ、第1環境(例えば、粉末がほぼ満充填のカートン)及び第2環境(例えば、ほぼ空のカートン)における電磁状態センシングデバイスの等価回路モデル4A100及び4A200である。オプションとして、等価回路モデル又はその任意の態様の1つ以上の変形例を、本明細書に記載する実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実施し得る。等価回路モデル又はその任意の態様は、任意の環境で実装することができる。
【0062】
例示的実施形態では、EMSDの各部分に使用される各炭素含有材料(すなわち、インク)は、異なる同調周波数(tuned frequencies)で共振するように、別様に調製されている。材料共振の物理的現象は、対応する分子及び/又は形態学的組成に関して説明されることができる。具体的には、第1分子構造を有する材料は、特定の環境中では第1周波数で共振するが、異なる第2分子構造を有する材料は、同じ特定の環境中では異なる第2周波数で共振する。同様に、第1分子構造を有する材料は、特定の環境下では第1周波数で共振するが、同一の分子構造を有する同一の材料は、異なる環境下では異なる第2周波数で共振する。多くの場合、前述の共振周波数は、特定の環境内に位置する場合、組成に固有の特徴を形成する。例えば、第1の炭素含有インクは、主にグラフェンで調製され得る。第2炭素含有インクは、第1インクと類似であってもよいが、分子構造が第1炭素含有インクとは異なり、例えば、異なる組成(例えば、多層球状フラーレン又は他の同素体を添加したもの)又は構造(例えば、第1のインクよりも層数が少ないか、又は層数が多いグラフェン)を有する。
【0063】
この現象は、本明細書に記載の技術を用いて制御可能である。より詳細には、(1)材料を、選択された周波数で自然に共振するように調整することができ、(2)異なる環境における材料の応答を測定し、較正に使用することができる。
【0064】
図4A1及び4A2に示すように、かつ本明細書の中で述べられるように、第1環境における第1共振部分からの第1ピンリターン測定値と、第2環境における同じ共振部分からの第2ピンリターン測定値との間の差は、共振周波数の差に対応する。さらに、他のパラメータが等しい場合、第1環境と第2環境との間の差異は、製品センシング状態(例えば、製品が存在するか、製品が存在しないか)に対応し得る。製品センシング状態(例えば、状態=製品の存在又は状態=製品の非存在)間の共振周波数の差は、その場で(in situ)測定することができる。場合によっては、製品センシング状態間の共振周波数の差を計算することができる。製品センシング状態間の共振周波数の差が経験的に測定される(例えば、較正のため)か、製品センシング状態間の共振周波数の差が計算されるかにかかわらず、この現象は、センサ内の材料の原子構造又は分子構造によって、及び/又は測定時に存在する環境条件によって起こる。以下段落では、この現象を段階的に説明する。
【0065】
当該技術分野で知られているように、原子は、特定の元素に対して固有周波数において電磁放射を発する。すなわち、特定の元素の原子は、その原子の構成の特性に対応する固有振動数を有する。例えば、セシウム原子が刺激されると、価電子はより低いエネルギ状態(例えば基底状態)からより高いエネルギ状態(例えば励起エネルギ状態)へとジャンプする。電子がエネルギの低い状態に戻ると、光子の形で電磁放射を発する。セシウムについては、放出される光子は9.192631770THzのマイクロ波周波数範囲である。
【0066】
複数の原子から形成された分子のように、原子よりも大きい構造体もまた、予測可能な周波数で共振(すなわち、電磁放射)する。例えば、バルク中の液体水は109.6THzで共振する。張力のある(in tension)水(例えば、バルクの表面、表面張力の種々の状態)は、112.6THz又はその付近で共振する。
【0067】
炭素原子と炭素構造はまた、構造に依存する固有振動数を示す。例えば、カーボンナノチューブ(CNT)の固有共振周波数は、CNTのチューブの直径及び長さに依存する。制御された条件下でCNTを成長させる(例えば、チューブの直径と長さを制御する)ことは、構造の固有共振周波数を制御することにつながる。したがって、CNTを成長させることは、所望の共振周波数に同調するための1つの方法である。
【0068】
炭素から形成された他の構造は、制御された条件下で作製することができる。かかる構造には、カーボンナノオニオン(CNO)、炭素格子、グラフェン、グラフェンベースの他の炭素含有材料、工学的ナノスケール構造など、及び/又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。かかる構造は、特定の同調周波数で共振するように形成することができ、及び/又は、かかる構造は、後処理において所望の特性又は性質を得るように変更されることができる。例えば、ポリマーと混合された場合の高い補強値などの所望の特性は、材料の選択及び特定の組み合わせの比率、及び/又は他の材料の添加によってもたらされることができる。
【0069】
さらに、かかる複数の構造のコロケーションは、さらなる共振効果を導入する。例えば、2枚のグラフェンシートは、シートの長さ、幅、間隔、間隔の形状、及び/又は他の物理的特性、及び/又は互いに並置することに依存する周波数で、互いに共振し得る。
【0070】
前記材料は、特定の測定可能な特性を有する。これは、自然界に存在する材料や、工学的に作製された炭素同素体にも当てはまる。こなどの操作された炭素同素体は、物理的特性を示すように調整することができる。例えば、炭素同素体は、(a)構成一次粒子の特定の配置、(b)凝集体の形成、及び(c)凝集体の形成に対応する物理的特性を示すように設計することができる。これらの物理的特性の各々は、対応する特定の炭素同素体を用いて形成される材料の特定の共振周波数に影響を及ぼす。
【0071】
特定の共振周波数に対応する特定の物理的構成に対して特定の炭素ベースの構造を調整することに加えて、炭素含有化合物は、特定の共振周波数又は一組の共振周波数に調整することができる。一組の共振周波数は「共振プロファイル」と呼ばれる。特定の炭素ベースの構造を一組の共振周波数を発するように調整するための1つの可能な技術が、以下のように開示されている。
【0072】
周波数同調材料の形成
炭素含有共振材料は、特定の電気インピーダンスを有するように材料を構成する特定の化合物を調整することによって、特定の共振プロファイルを示すように調整することができる。異なる電気インピーダンスは、したがって、異なる周波数応答プロファイルに対応する。
【0073】
インピーダンスは、交流電流が素子を通って流れることがどれくらい難しいかを記述する。周波数領域では、インピーダンスは、インダクタとして挙動する構造に起因する実数成分と虚数成分を有する複素数である。虚数成分は、特定の構造の周波数f及びインダクタンスLに基づく誘導性リアクタンス成分X
Lである:
【数1】
【0074】
受信周波数が増加するにつれて、リアクタンスも増加し、その結果、ある周波数閾値において、共振応答が減衰する。インダクタンスLは、材料の電気インピーダンスZの影響を受け、ここでZは、次の関係によって、透磁率μ及び誘電率εの材料特性に関係する:
【数2】
【0075】
したがって、材料特性の調整は電気インピーダンスZを変化させ、これはインダクタンスLに影響を及ぼし、結果としてリアクタンスXLに影響を及ぼす。
【0076】
本実施形態は、異なるインダクタンスを有する炭素含有構造が異なる周波数応答を有することを観察する。すなわち、(電気インピーダンスZに基づく)高いインダクタンスLを有する炭素含有構造は、より低いインダクタンスを有する別の炭素含有構造よりも低い周波数である特定のリアクタンスに到達する。
【0077】
さらに、本実施形態は、特定の製品状態センサの要件に従って調整されるべき炭素含有化合物を調製する際に、透磁率、誘電率、及び導電率の材料特性を利用する。
【0078】
第1炭素含有構造は第1周波数で共振するが、同じ構造は、その構造が異なる環境にあるとき(例えば、炭素含有構造が環境の構造と物理的に接触しているとき)、第2周波数で共振することが観察される。
【0079】
図示のように、共振周波数は、コンデンサC
1及びインダクタL
1を含む等価電気回路に相関させることができる。周波数f
1は、次式で与えられる:
【数3】
【0080】
容器内の液体がもはやセンサに接触していない場合、又はセンサが取り付けられている容器の壁に隣接していない場合のように、環境がわずかに変化すると、環境変化によって、構造全体のインダクタンス及び/又はキャパシタンスが変化する。この変化は、コンデンサC
2及びインダクタL
2を含む等価電気回路と相関させることができる。周波数f
2は、次式で与えられる:
【数4】
【0081】
量f1-f2は、2つの読み取り値を比較するとき、又は読み取り値を較正点と比較するときに使用されるので、量f1-f2の大きさが感度を決定する。したがって、EMSDの印刷部分の幾何学的形状(例えば、導線の長さ、導線の幅、曲率など)及び炭素含有インクに使用される炭素の選択は、EMSDの感度を特定する際に、しばしば支配的な要因である。EMSSDの一部の共振周波数は(例えば、前述の方程式を用いて)計算することができるが、多くの展開シナリオは、較正点を形成するために経験的データ捕捉技術に依存する。多くの場合、測定される較正点が多いほど、正確に測定される。種々の較正シナリオでは、容器及び/又は意図された内容の各バリエーションに対して、多くのセットの較正点が取られ、保存される。
【0082】
図4Bは、異なる環境における電磁状態センシングデバイスを較正するために使用されるような経験的データ捕捉技術4B00を示す。オプションとして、経験的データ捕捉テクニック4B00又はその任意の態様の1つ以上の変形例を、本明細書に記載する実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実施し得る。経験的データ捕捉テクニック4B00又はその任意の態様は、任意の環境で実装することができる。
【0083】
この経験的データ捕捉技術の実際的な使用は、複数部分EMSSDの各特定部分の実際の測定値の捕捉をもたらす。例示的な使用シナリオでは、
図4Bに示されるような3列のテーブルが、一連の経験的測定を取得することによって構築される。具体的には、EMSSDの各独立部分について、刺激に対する応答を2つの異なる環境条件下で測定する。EMSSDの特に調整された独立部分の経験的応答は、第1環境(RENV1と称される)で測定され、記録される。次に、EMSSDの特に調整された独立部分の経験的応答が、第2環境(RENV2と称される)で測定され、記録される。厳密に言えば、第1環境は、容器が満充填又はほぼ満充填の場合であり、第2の環境は、容器が空の場合又はほぼ空の場合である。
【0084】
図示のように、
RENV1は、(1)EMSSDの非依存部分を形成する材料の透磁率、及び(2)局所環境の誘電率という2つの主要変数の関数であることが分かる。かかる、その場測定は、各独立部分に対して、第1環境について及び第2環境について取得される。
【0085】
EMSSDが多数の非依存部分(例えば、部分ID#2 302、部分ID#3 303、部分ID#99 399など)で構成されている場合、内容の非常に正確なアセスメントを行うことができる。
図4Bの描写は、経験的測定シナリオ460、すなわち、StateFullシナリオ461、State Near Emptyシナリオ462、及びStateHalfシナリオ463を含む。この例では、環境1は、容器が満杯の場合の一組の条件に対応し、一方、環境2は、容器が空の場合の一組の条件に対応する。したがって、容器が完全に満充填である状況では、EMSDの各独立部分は、RENV1に対応する応答と共振する。比較のために、容器がほぼ空の状態では、「底部」部分(部分ID#99)以外のEMSDの各独立部分は、RENV2に対応する応答と共振する。ただし、「底部」部分(部分ID#99)は、ボトム部分#99の近くに残るコンテンツのため、RENV1に対応する応答と共振する。
【0086】
(1)EMSSDのうち、容器を横切って垂直に積層された4個の独立した部分(例えば、容器内の内容物の量を検出するために、容器の上部から下部にかけて延在する)と、(2)上部の2個の部分がRENV1に対応する応答と共振し、(3)下部の2個の部分がRENV2に対応する応答と共振する場合には、容器の容量は半分であると考えられる。
【0087】
いくつかの実施形態は、周波数領域で広く分離された(widely separated)異なる中心周波数で共振するように、異なる炭素含有インクを調整することを含み得る。そうすることにより、特定の独立部分を刺激するために使用されるピン周波数もまた、広く分離され得ることになる。EMSDの複数の独立した部分は、「チャープ」技術を用いて連続的に刺激することができ、そこでは、異なる周波数における連続したピンが、EMSDの所与の非依存部分からの応答シグネチャが、EMSDの他の部分からの任意の高調波応答よりもはるかに高い振幅であるように、時間スライスにわたって分離される。1つの可能なシグネチャ捕捉技術が示され、
図5Aに関連するように説明される
【0088】
図5Aは、一実施形態による、電磁状態センシングのために使用されるシグネチャ捕捉技術5A00を示す。オプションとして、シグネチャ捕捉技術5A00又はその任意の態様の1つ以上の変形例は、本明細書に記載される実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実装され得る。シグネチャ捕捉技術5A00又はその任意の態様は、任意の環境で実装することができる。
【0089】
図5Aは、炭素含有同調共振材料から形成されたEMSDの独立部分がチャープ信号によって刺激された後に、戻された信号シグネチャを捕捉し、解析するための技術に関して示されている。具体的には、図は、近傍の容器上のEMSSDから取得される測定550を示す。チャープ信号シークエンスでEMSSDを刺激する結果として、EMSSDは応答する(例えば、共振発光を介して)。リターン応答(例えば、リターン信号512
1、リターン信号512
2)は、各EMSSDから捕捉される。より具体的には、容器上の第1EMSSD504
1が、ピン(例えば、チャープ信号5101のチャープシーケンスからのピン)によって刺激されると、リターン信号512
1が受信され、処理される。同様に、容器上の第2EMSSD504
2が、ピン(例えば、チャープ信号510
2のチャープシーケンスからのピン)によって刺激されると、リターン信号512
2が受信され、処理される。
【0090】
図示のように、特定の容器は、複数のEMSSDを含み得、各EMSSDは、それぞれの識別部分及び状態部分、並びに別個のRFIDを有する。一例として、容器は、薬剤(例えば、喘息治療用)をディスペンスするためのディスペンサ(例えば、吸入器)の形態である可能性があり、ディスペンサは、任意のEMSSDとは別個に、それ自身のRFIDを有する可能性がある。RFIDは、例えば、製品識別又は在庫管理の目的で、ディスペンサの製造時にディスペンサに適用されている可能性がある。EMSSDは、特定の患者のための量及び投薬情報を追跡するためのように、処方箋を履行する時に調合者又は薬局によって、おそらく接着剤ラベルを用いて、適用される可能性がある。種々の理由により、EMSSDの識別部分は、異なる周波数で動作するように構成され得る。例えば、第1EMSSDの識別部分は125kHzで動作し、第2EMSSDの識別部分部分は13.6MHzで動作する可能性がある。
【0091】
前述のチャープ/ピン信号は、トランシーバ514によって送信されることができる。また、リターン信号は、同じ(又は異なる)トランシーバ514によって受信することができる。図示されるように、チャープ信号は、チャープの反復シークエンス(例えば、チャープシグナル5101、チャープシグナル5102)で生じ得る。例えば、チャープ信号シーケンスは、1GHzのピン、2GHzのピン、3GHzのピンなどを含むパターンを繰り返すピン制御ユニット516によって管理されることができる。チャープシークエンス全体を連続的に繰り返すことができる。ある場合には、各ピンの間に短い周期があり、共振材料(リターン信号5121、リターン信号5122)からのリターン信号が、ピンの終了の直後に(例えば、シグネチャ解析モジュール554において)解析され得る。他の場合には、ピン刺激に対応する信号とリターン応答のシグナルが同時に存在する。トランシーバ514、ピン制御ユニット516、及びシグネチャ解析モジュール554は、全て、ユーザーデバイス及びソフトウェアアプリケーション(例えば、移動又は固定デバイス)上に存在することができるか、又は、ユーザーデバイス及びサーバなど、ユーザーデバイスと通信する複数のデバイス上に分散してもよい。デジタル信号処理技術を用いて、リターン応答の信号を、ピン信号と区別することができる。例えば、リターン応答が多くの異なる周波数(例えば、上音(overtones)、サイドローブなど)にわたるエネルギを含む状況では、ノッチフィルタが、刺激の周波数をフィルタリングするために用いられることができる。
【0092】
単一の容器が2つ以上のEMSSDをホストする場合、各個々のEMSSDは、異なる環境条件下で異なる共振応答を発するように調整され得る。例えば、いくつかのEMSSDは、容器の内容物の変化に応答するように調整され、一方、他のEMSSDは、環境中の微粒子又はガスの存在に応答するように調整される。
【0093】
ガスの存在を検出するために、EMSSDは、分析物(analyte)にセンシティブである検知材料(例えば、酸化還元メディエータ)を含むように構成され、その結果、EMSSDが分析物に曝露されると、EMSSDの構成要素の1つ又は複数のキャパシタンスが変化する。したがって、分析物の存在下での応答は、分析物の不存在下での応答とは異なる。より具体的には、センシング材料の誘電率及び/又は透磁率は、分析物への曝露に伴って変化し、次に、EMSSDの1つ以上の構成要素(例えば、容量要素)の容量が変化し、これは、分析物の存在を示す。
【0094】
分析物をセンシングするための一般的アプローチに関するさらなる詳細は、2019年1月3日出願の米国特許出願第16/239,423号「RESONANT GAS SENSOR(共振ガスセンサ)」に記載されており、その全体は、参照により本明細書に組み込まれているいる。
【0095】
図5Bは、一実施形態による、電磁状態センシングのために使用されるシグネチャ解析技術5B00を示す。オプションとして、シグネチャ解析技術5B00又はその任意の態様の1つ以上の変形例を、本明細書に記載する実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実施し得る。シグネチャ解析技術5B00又はその任意の態様は、任意の環境で実装することができる。
【0096】
図5Bは、識別情報だけでなく、製品状態情報も発することができるセンシングデバイスに関連する態様を示す。
図5Bに図示されるとともに記載された状況を含む多くの状況において、製品状態情報は、所定の較正点と比較される測定に基づいて特定される。
【0097】
図示のように、システムフローはステップ570で開始する。選択されたピン周波数のピン信号は、ピン制御ユニット516によって伝送される。ピン信号生成機構及びピン信号伝送機構は、任意の公知の技術を使用することができる。厳密には、一例として、送信器モジュールは、選択された周波数(例えば、3GHz)を生成することができ、アンテナ又は複数のアンテナを使用してその信号を放射することができる。同調アンテナの設計及び位置は、ピンの強度が近傍のEMSDに通電し及び/又は近傍のEMSSDにおいて共振を誘起するのに十分であるように、任意の同調アンテナの幾何学的形状及び/又は材料及び/又は位置に対応することができる。いくつかの実施形態では、複数の同調アンテナが、対応するEMSSDに近接する構造部材の上又は内部に配置される。そのようにして、EMSSDがピンによって刺激されると、それはシグネチャと再び共振する(resonates back)。そのシグネチャは、受信され得(ステップ574)、受信されたシグネチャ576を含むデータセットに記憶され得る。ピンの伝送シーケンスと、その後のシグネチャの受信は、ループ内で繰り返されることができる。
【0098】
例えば、図示されるように、反復パスの過程で、ピン周波数が変更される(ステップ572)(すなわち、判断580の「はい」分岐を参照)。ステップ574が実行され、受信シグネチャ576が処理されると、第1シグネチャ5781、第2シグネチャ5782、第Nシグネチャ578Nなどが記憶される。反復の数は、判断580によって制御することができる。判断580の「いいえ」分岐が取られると(例えば、伝送すべき追加のピンがない場合)、受信されたシグネチャは、シグネチャ解析モジュール554内のデジタル信号処理モジュールに提供され得る(ステップ582)。デジタル信号処理モジュールは、シグネチャを一組の較正点586に対して分類する(ステップ584)。較正点は、特定のピン周波数に対応し、及び/又は較正点は、その場環境(in situ environment)内で測定された特定のシグネチャに対応し得る。例えば、第1較正点588_1は、ディスペンサ内の薬剤の「満充填」状態を示すものとして分類される第1リターンシグネチャを特徴付けることができ、第2較正点5882は、ディスペンサ内の薬剤の「半充填」状態を示すものとして分類される第2リターンシグネチャを特徴付けることができ、同様に、第N較正点についても同様である。
【0099】
ステップ590において、分類された信号は、アップストリームのネットワークデバイスに送信される。いくつかの実施形態では、分類された信号は、次に、機械学習データベースをホストするアップストリームリポジトリに分類された信号を伝送するネットワークハブによって中継される。かかる機械学習データベースは、所与のセットのセンシングされた測定値が特定の製品状態と相関するように訓練され得る。
【0100】
図6は、補充システムのハブ106として使用される仮想アシスタント600を示す。オプションとして、仮想アシスタント600又はその任意の態様の1つ以上の変形例を、本明細書に記載する実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実施し得る。仮想アシスタント600又はその任意の態様は、任意の環境で実装することができる。
【0101】
再び
図1を参照すると、ハブ106は、ネットワーク通信を実施する任意のデバイスであり得る。場合によっては、ハブは、人間のユーザと自然言語通信する能力を含む。図示の例では、ハブ106は仮想アシスタントによって実装されている。仮想アシスタントは、「アマゾンECHOR(R)」、「GOOGLE HOMER(R)」、「NEST HUBTM」などのデバイスに例示されるような任意のデバイスであることができます。本明細書で使用される仮想アシスタントは、(1)ネットワーク接続され、(2)音声入力トランスデューサ(例えば、マイクロホン)及び音声出力トランスデューサ(例えば、スピーカ)を使用して、人間のユーザと自然言語通信を行うことができる、任意のデバイスである。
【0102】
図1に示されるような環境内で使用される場合、仮想アシスタントは、自然言語会話の結果と組み合わされたEMSD読み取りに基づく補充を容易にすることができる。あるシナリオでは、EMSSD値は腐りやすい製品がその有効期限に達したことを示す。デジタルアシスタントは、「ケールが悪くなっています。今、もう一度注文したいですか?」という音対話を話す可能性がある。かかるシナリオでは、ユーザは、可聴の「はい」で応答することができ、それは、仮想アシスタントに1つ以上のアップストリームメッセージ125(例えば、ユーザの信用証明書を含む可能性がある)を伝送させる可能性があり、アップストリームメッセージは補充オーダー620を含み得る。その後、デジタルアシスタントから上流にある動作要素(例えば、サーバ)は、ダウンストリームメッセージ126を伝送し、ダウンストリームメッセージは補充状態622を含み得る。
【0103】
場合によっては、例えば、
図1に示されるような環境内で使用される場合には、仮想アシスタントは、EMSSDによって発せられた信号の処理を容易にすることができる。特に、仮想アシスタントは、タイプ1モバイルデバイス131及び/又はタイプ2モバイルデバイス132及び/又は質問デバイス133との通信を実行することができる。かかる通信は、仮想アシスタントのNFCユニット602(
図6)、仮想アシスタントのBluetooth(R)低エネルギユニット(BLE)604、又は仮想アシスタントのWi-Fiユニット606を使用して実行することができる。さらに、種々のプロトコルのいずれかを実装することができ、その結果、製品識別、及び/又は製品状態センシング、及び/又はルールの適用のために必要な任意の動作は、モバイルデバイス、及び/又は質問デバイス、及び/又は仮想アシスタント、及び/又は任意の他のネットワーク接続デバイスによる、任意の組み合わせで実行されることができる。
【0104】
以下の図は、ルールを形成し実行するための技術に関するものであり、論理的な動作の流れを示すのに役立つ。上述のように、任意のルール若しくはその一部の適用に対応する処理、及び/又は任意の個々の動作の実行に対応する処理は、任意の動作要素で実行可能である。
【0105】
図7Aは、一実施形態による、電磁状態センシングデバイスに基づく補充システムで使用されるルールコード化技術(rule codification technique)を示す。オプションとして、ルールコード化技術7A00又はその任意の態様の1つ以上の変形例を、本明細書に記載する実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実施し得る。ルールコード化技術7A00又はその任意の態様は、任意の環境で実装することができる。
【0106】
前記に基づいて容易に理解されるように、所与の設定(例えば、住居、自動車、船舶等)に位置し得る多くの製品が存在し、故に、前記のEMSSDが、多くの異なるタイプの状態を有する多くの異なるタイプの製品、及び特定の状態タイプの多くの異なる状態に適用され得るので、したがって、特定の製品の1つ以上状態の特定は、製品識別に基づく特定の処理によって容易にされ得る。例えば、EMSDの識別部分へのピンの結果として、製品が特定のブランドの64オンスの洗剤ボトルとして識別され得る場合、EMSSDの残りの部分の特定の構成は、データベースのルックアップによって知ることができる。例えば、データベース内のルックアップから戻されたデータは、その製品及びその特定の容器(すなわち、64オンスの洗剤ボトル)に対するEMSSD構成が、8つの異なる刺激周波数に応答する8つの異なる共振部分を含むことを示し得る。
【0107】
さらに、データベース内のルックアップから戻されたデータは、その製品及びその特定の容器(すなわち、64オンスの洗剤ボトル)に対するEMSSD構成が32の異なる較正点を含むことを示し得る。このように、製品が特定されると、EMSSD構成に関する多くの情報を既知とすることができる。さらに、製品が特定されると、製品状態のために実行すべきさらなるステップが特定される。
図7Aに示されているようなフローは、任意のルールを実行するために任意のデバイスに送ることができるように、ルールコード化技術を実装する。
【0108】
図に示すように、フローはイベント701によって開始され、このイベントはスマートフォンなどのユーザーデバイス上のアプリから発生する可能性があります。ユーザーデバイスは、ピン周波数を発することによって、イベントに応答する(ステップ702)。ピンの特定の周波数は、最初に、ピン周波数テーブル720から既知であり得、このテーブルは、ユーザーデバイスにアクセス可能なデータ構造として実装される。出力ピン又はピンの結果として、少なくとも1つの識別信号703が、RFID又はEMSDの識別部分から発せられる。識別信号703は、受信され(ステップ704)、その識別信号は、任意の既知の信号処理技術を使用してバイナリ表現に変換される(ステップ706)。このバイナリ表現は、1つ以上のルールセット121から1つ以上のルールをルックアップするために使用される(ステップ708)。1つ以上のルールは、任意の位置の任意の記憶デバイスを使用して記憶されることができ、デバイス間通信のための任意の既知の方法を使用することによって検索することができる。多くの場合、1つ以上のルールは、(1)対応するEMSSDタイプ、(2)較正点の位置、(3)閾値、及び(4)追加のピン命令、に関する情報を含む。
【0109】
各ルールは、ルールのオペランドに対応するデータをルックアップすることによって(ステップ710)、及びルールのオペランドに適用するための動作をルックアップすることによって(ステップ712)、コード化(codified)されることができる。厳密には、一例として、ルールは、「エラーの場合、再試行>T(Retry if error >T)」を示すことができ、ステップ710は、例えば50%の数値を決定するために「T」をルックアップすることができ、ステップ712は、「再試行」の動作に関連する詳細をルックアップすることができ、これは、例えば、再試行の前に待機する時間を含むことができる。場合によっては、ルールが実行される特定のプラットフォームでオペランドの数値が特定される。
【0110】
ルールがステップ710及びステップ712を通して処理されると、フローはプラットフォームに依存しないルール表示715を発し、それがその後実行のためにデバイス(例えば、ハブ又はスマートフォン)に伝送される。
【0111】
図7Bは、電磁状態センシングデバイスに基づく補充システムで使用されるルール実行技術7B00を示す。
オプションとして、ルール実行技術7B00又はその任意の態様の1つ以上の変形例を、本明細書に記載する実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実施し得る。
ルール実行技術7B00又はその任意の態様は、任意の環境で実装することができる。
【0112】
図示のように、ルール実行技術7B00は、デバイス(例えば、ハブ又はスマートフォン)がプラットフォームに依存しないルール表現を受信したときに開始される(ステップ752)。プラットフォームに依存しないルール表現の各々は、デコードされ(ステップ754)、デバイス上の対応するエントリポイントを特定する。また、各プラットフォームに依存しないルール表現は、オペランドを識別するためにデコードされる(ステップ756)。フォーマットテーブル757は、特定のプラットフォームに依存しないオペランド表現をプラットフォーム固有のオペランド表現に変換するために使用され得る。その後、各エントリポイントに対して、オペランドは、プラットフォームのコンピュータハードウェア及びソフトウェアアーキテクチャに対応するようにフォーマットされ(ステップ758)、プラットフォームに依存しないルールがデバイス上で実行される(ステップ760)。場合によっては、オペランドが数値表現にデコードされないことがあるが、むしろ、オペランドはさらにエントリポイント又はサブルーチンにデコードされる。一例として、フォーマットテーブル757に示されるオペランド「スイープ」は、周波数スイープ動作における多くの範囲をカバーするサブルーチンを参照することができる。
【0113】
図8は、一実施形態による、電磁状態センシングデバイスに基づく補充システム(replenishment system)で使用される例示的なプロトコル800を示す。オプションとして、プロトコル800又はその任意の態様の1つ以上の変形例を、本明細書に記載する実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実施し得る。プロトコル800又はその任意の態様は、任意の環境で実装することができる。
【0114】
図示されたプロトコルは、
(1)近位EMSD801、(2)ユーザーデバイス802、(3)ネットワークハブ803、及び(4)アップストリーム処理ユニット804の4つのデバイスを含む。図示のように、プロトコルは、ユーザーデバイスによって開始される。具体的には、ユーザーデバイス802は、第1ピン(放射806)を発する。第1ピンからのエネルギにより、近位EMSD801は、信号(放射807)を発し、この信号は、識別信号(放射808)として解釈される部分を含む。識別信号は、製品IDにデコードされ(動作810)、識別信号は、ネットワークハブに送信される(メッセージ812)。
【0115】
ネットワークハブ803は、放射807の全部又は一部を処理するための第1ローカル処理を実行し(動作814)、その後、放射807の全部又は一部をアップストリーム処理ユニット804に送信する(ペイロードメッセージ816)。アップストリーム処理ユニット804(すなわち、例えば、RFIDリーダを有する質問デバイスを含み得るアップストリームコンピューティングデバイス)は、ルールセット121からEMSSDルールにアクセスし、第1アップストリーム処理818を実行する。EMSSDルールは、プラットフォームに依存しないルールとして符号化され、ネットワークハブに送信され(メッセージ820)、ネットワークハブは、その後、プラットフォームに依存しないルールの全部又は一部をユーザーデバイスに中継する(メッセージ822)。
【0116】
プロトコルのこの時点で、ユーザーデバイスは、近位EMSDの特性に関する十分な情報(例えば、第2~第Nピン信号特性824を特定することによってメッセージの処理から生じる)を有し、したがって近位EMSDの任意の1つ以上の共振部分をピンすることによってEMSSDの状態部分を質問することができる。このプロトコルでは、第2ピン(放射826)しか示されていないが、大抵の場合、近位EMSDの多くの共振部分が存在し、これらの部分の一部又は全部が、ユーザーデバイスによって(例えば、連続して)質問される。
【0117】
第2ピンに応答して、近位EMSDの共振部分は、状態信号(放射830)を発する方法で共振(放射828)する。状態信号は、1つ以上のルールを適用することによって、ユーザーデバイスで処理される(動作832)。この実施形態では、状態信号及び/又は状態信号の処理からの任意の派生物(derivatives)の全て又は一部が、ネットワークハブに送信され(メッセージ834)、ネットワークハブは第2ローカル処理を実行する(動作836)。第2ローカル処理は、アップストリーム処理ユニットに送られるメッセージのペイロードを形成することを含む(メッセージ838)。アップストリーム処理ユニットは、順に、第2アップストリーム処理842を実行する。
【0118】
プロトコルのこの時点で、少なくともアップストリーム処理ユニットは、特定の製品の特定のユニットの特定の状態に関する情報を有する。このようにして、アップストリーム処理ユニットは、注文処理(fulfillment)に関連する追加のルールを利用することができる。例えば、注文処理ルールは、「この製品の別のユニットが今注文されるべきかどうかをユーザに尋ねる」という意味(semantics)を持つことがある。かかる追加ルールは、さらなる処理のためにネットワークハブに中継される(メッセージ844)。場合によっては、図示のように、ネットワークハブは、追加ルールの全部又は一部をユーザーデバイスに中継する(メッセージ846)。
【0119】
ユーザーデバイスにおけるかかる追加のルールは、ユーザーデバイスのユーザインターフェース内に確認質問(confirmation question)を形成し、提示することを含み得る。場合によっては、ユーザーデバイスにおいて適用されるいくつかの追加ルールがある(動作847)。ユーザ応答、例えば「はい、今注文してください。」は、さらなる処理のため及び/又は応答又はその一部を中継するために、ネットワークハブに送信され(メッセージ848)、アップストリーム処理ユニットに送信されることがある(メッセージ850)。次いで、アップストリーム処理ユニットは、ステップを完了して(動作852)、ユーザが確認した注文処理要求を達成することができる。
【0120】
EMSSDを用いた製品状態特定の結果、隠れた補充の必要性がユーザに通知された。ユーザの補充の要望を確認し、補充を開始した。場合によっては、明示的なユーザの確認がなくても、実行ルールによって実行開始が許可された。
【0121】
追加の実用的な適用実施例
図9は、システム900を、本明細書で開示された実施形態のうち特定のものを実施するために協働的に動作するように相互接続されたコンピューティングモジュールのアレンジメントとして示す。この実施形態及び他の実施形態は、個別に又は組み合わせて、状態センサを安価に展開する方法に対処する改善された技術プロセスを形成するのに役立つ要素の特定のアレンジメントを提示する。システム900の分割は、単に例示的なものであり、他の分割が可能である。オプションとして、システム900は、本明細書に記載される実施形態のアーキテクチャ及び機能性のコンテキストで実装されてもよい。しかしながら、当然のことながら、システム900又はその中の任意の動作は、任意の所望の環境で実行され得る。
【0122】
システム900は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのメモリとを含み、メモリは、システムの動作に対応するプログラム命令を格納するように機能する。図示のように、モジュールによってアクセス可能なプログラム命令を使用して、操作の全体又は一部を実施することができる。モジュールは通信パス905に接続され、任意の動作は通信パス905を介して任意の他の動作と接続されることができる。システムのモジュールは、個々に又は組み合わせて、システム900内で方法動作を実行することができる。システム900内で実行される任意の動作は、請求項に明記されない限り、任意の順序で実行され得る。
【0123】
図示された実施形態は、システム900として表されるコンピュータシステムの一部を実装し、システムは、一組のプログラムコード命令を実行する1つ以上のコンピュータプロセッサ(モジュール910)と、プログラムコード命令を保持するメモリにアクセスするモジュールとを備え、以下のステップを実行する:アプリをダウンロードするためのユーザーデバイスからの要求に応答するステップであって、応答するステップは、ユーザーデバイスからの要求を受信するステップ、及び、要求に応答してアプリへのアクセスを提供するステップを含み、アプリケーションは、ユーザーデバイスにステップシークエンスを行わせるように構成されている、ステップ(モジュール920);ユーザーデバイスから第1電磁放射ピンを伝送するステップ(モジュール930);製品パッケージに取り付けられた電磁状態センシングデバイス(EMSSD)から第1電磁放射リターン信号を受信するステップであって、第1電磁放射リターン信号は、第1電磁放射ピンに応答して電磁状態センシングデバイスによって変換され、製品識別コードを含む少なくとも第1情報をエンコードする電磁放射信号を生成する、ステップ(モジュール940);少なくとも部分的に製品識別コードに基づいて選択されたルールを適用するステップ(モジュール950);ルールの適用に応答して第2電磁放射ピンを伝送するステップであって、したがって、第2電磁放射ピンはルールに基づいて調整される(モジュール960);電磁状態センシングデバイスから、製品パッケージ内の内容物に関係する第2情報をエンコードする第2電磁放射リターン信号を受信するステップ(モジュール970);及び、ユーザーデバイスからアップストリームコンピューティングデバイスへ、第2情報の少なくとも一部を送信するステップ(モジュール980)。ユーザーデバイスは、例えば、スマートフォンであり得、任意で、静止RFIDリーダを含み得る。
【0124】
いくつかの実施形態において、電磁的状態センシングデバイスは、印刷された電磁的状態センシングデバイスであり、これは、第1炭素含有インク及び任意に第2炭素含有インクを含み得る。例えば、印刷された電磁状態センシングデバイスは、製品パッケージ内の内容物が第1状態にある場合には、第2電磁放射信号の第1変形例(例えば、第1リターン信号)を発することができ、製品パッケージ内の内容物が第2状態にある場合には、第2電磁放射信号の第2変形例(例えば、第2リターン信号)を発することができる。いくつかの実施形態において、印刷された電磁状態センシングデバイスは、製品パッケージング上に長手方向に印刷され得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、電磁放射リターン信号は、複数の周波数にわたって分布されたエネルギを有し、ユーザーデバイスによって放射され、ユーザーデバイスは、モバイルデバイスである。電磁放射リターン信号は、移動デバイスの電磁放射デバイスによって、又は不動デバイスの電磁放射デバイスによって放射されることができる。厳密には、一例として、電磁放射デバイスは近接場通信デバイスであり得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、アプリケーションは、製品パッケージ内の内容物に関する第2情報に応答して補充オーダーを発注するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、アプリケーションは、製品パッケージ内の内容物に関する第2の情報に応答して通知メッセージを送信するようにさらに構成される。通知メッセージは、数量表示、有効期限、再充填日、再充填カウント、ロット番号、化学組成、及び/又は濃度表示のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、アプリケーションは、製品パッケージ内の内容物に関する第2情報の少なくとも一部のログを維持するようにさらに構成される。ログは、ネットワークアクセスポイントによって維持されることができ、ここで、ネットワークアクセスポイントは、音声起動コマンドを受信し得る。ログは、第2情報の少なくとも一部に対応するエントリを含み得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、アプリケーションは、製品パッケージングに取り付けられた第2電磁気状態センシングデバイス(EMSD)から、電磁放射リレー信号を受信するようにさらに構成され、電磁放射リレー信号は、第2電磁状態センシングデバイスによって変換される。
【0129】
前述の変形例は、より多くの又はより少ない図示されたモジュールを含み得る。特定の変形例は、より多く又はより少ない(又は異なる)ステップを実行し得るか、及び/又は特定の変形例はより多くの又はより少ない又は異なる同祭でデータ要素を使用し得る。
【0130】
さらに、いくつかの実施形態は、実行される動作の変形例を含み、いくつかの実施形態は、動作で使用されるデータ要素の態様の変形例を含む。
【0131】
図10A~
図10Yは、本発明のいくつかの実施形態による、他の材料上に成長する、構造化炭素、種々のカーボンナノ粒子、種々のカーボン含有凝集体、及び種々の三次元カーボン含有構造を示す。
【0132】
EMSSDのいくつかの実施形態では、特定の構成でカーボンナノ粒子及び凝集体を使用する。いくつかの実施形態では、カーボンナノ粒子及び凝集体は、従来のシステム及び方法で達成可能な低均一性、低規則性、低純度の粒子とは対照的に、高い「均一性(uniformity)」(すなわち、高い所望の炭素同素体の質量分率)、高度の「規則性(orde)」(すなわち、低い欠陥濃度)、及び/又は高度の「純度」(すなわち、低い元素不純物濃度)によって特徴づけられる。これは、EMSSDの共振部分の高度の同調性をもたらす。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法を用いて製造されるナノ粒子は、多層球状フラーレン(MWSF)又は連結されたMWSFを含み、高い均一性(例えば、MWSFに対するグラフェンの比が20%~80%)、高度の規則性(例えば、0.95~1.05のID/IG比を有するラマンシグネチャ)、及び高度の純度(例えば、(水素以外の)他の元素に対する炭素の比が99.9%を超える)を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法を用いて製造されるナノ粒子は、MWSF又は連結されたMWSFを含み、MWSFは、炭素以外の不純物元素からなるコアを含まない。場合によっては、本明細書に記載された方法を用いて製造される粒子は、大きな直径(例えば、直径10μmを超える)を有する上記のナノ粒子を含有する凝集体である。
【0134】
従来の方法は、高度の規則性を有する(with a high degree of order)多層球状フラーレンを含有する粒子を製造するために使用されてきたが、従来の方法は、種々の欠点を有する炭素生成物をもたらす。例えば、高温合成技術は、多くの炭素同素体の混合物を有する粒子をもたらし、したがって、均一性が低く(例えば、他の炭素同素体に対して20%未満のフラーレン)及び/又は粒径が小さい(例えば、1μm未満、又は場合によっては100nm未満)をもたらす。触媒を使用する方法は、触媒要素を含む生成物をもたらし、従って、低い純度(例えば、他の元素に対して95%未満の炭素)を有する。これらの望ましくない特性はまた、しばしば、得られた炭素粒子の望ましくない電気特性(例えば、1000S/m未満の導電率)をもたらす。
【0135】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体は、構造の高度の規則性及び均一性を示すラマン分光法によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される均一、規則的(ordered)及び/又は純粋なカーボンナノ粒子及び凝集体は、以下に記載されるように、比較的高速、低コストの改良された熱リアクタ及び方法を用いて製造される。さらなる利点及び/又は改善も、以下の開示から明らかになる。
【0136】
本開示において、用語「グラフェン」は、1つの原子が各頂点を形成する二次元原子スケールの六方晶格子の形態の炭素の同素体を指す。グラフェン中の炭素原子はsp2結合している。さらに、グラフェンは、(532nmの励起レーザーを使用した場合、)約1580cm-1におけるGモードと、約1350cm-1におけるDモードの2つの主ピークを有するラマンスペクトルを有する。
【0137】
本開示において、「フラーレン」という用語は、中空球体、楕円体、チューブ、又は他の形状の炭素の分子を指す。球状フラーレンは、バックミンスターフラーレン又はバッキーボールとも呼ばれる。円筒状フラーレンは、カーボンナノチューブとも称される。フラーレンの構造は積層されたグラファイトに似ており、六角形の環が結合した、積層されたグラフェンシートで構成されている。ラーレンはまた、五角形(又はときに七角形)の環を含むこともある。
【0138】
本開示において、「多層フラーレン」という用語は、複数の同心層を有するフラーレンを意味する。例えば、多層ナノチューブ(MWNT)は、グラフェンの複数の圧延層(rolled layers)(同心管)を含む。多層球状フラーレン(MWSFs)はフラーレンの多重同心球を含む。
【0139】
本開示において、用語「ナノ粒子」とは、1nm~989nmの大きさの粒子を指す。ナノ粒子は、1つ以上の構造特性(例えば、結晶構造、欠陥濃度など)、及び1つ以上のタイプの原子を含むことができる。ナノ粒子は、球状、回転楕円体形状、ダンベル形状、円筒形状、細長い円筒形状、矩形プリズム形状、ディスク形状、ワイヤ形状、不規則的な形状、密な形状(すなわち、ボイドが少ない)、多孔質形(すなわち、多数のボイドを有する)などを含むが、これらに限定されない任意の形であり得る。
【0140】
本開示において、「凝集体」という用語は、ファンデルワールス力、共有結合、イオン結合、金属結合、又は他の物理的若しくは化学的相互作用によって互いに連結される複数のナノ粒子を指す。凝集体のサイズはかなり変化し得るが、一般に約500nmより大きい。
【0141】
いくつかの実施態様において、カーボンナノ粒子は、本明細書に記載されるように、2つ以上の連結された多層球状フラーレン(MWSF)と、連結されたMWSFをコーティングするグラフェンの層とを含む。いくつかの実施態様において、カーボンナノ粒子は、本明細書に記載されるように、2つ以上の連結された多層球状フラーレン(MWSF)と、連結されたMWSFをコーティングするグラフェンの層とを含み、ここで、MWSFは、炭素以外の不純物元素からなるコアを含まない。いくつかの実施形態において、カーボンナノ粒子は、本明細書に記載されるように、2つ以上の連結された多層球状フラーレン(MWSF)と、連結されたMWSFをコーティングするグラフェンの層とを含み、ここで、MWSFは、中心にボイド(すなわち、約0.5nmを超える、又は約1nmを超える炭素原子を含まない空間)を含まない。いくつかの実施態様において、連結されたMWSFは、不規則で不均一な非晶質炭素粒子の球とは対照的に、sp2混成炭素原子の同心で良好にルール化された球から形成される。
【0142】
いくつかの実施態様において、連結されたMWSFを含有するナノ粒子は、5nm~500nm、又は5nm~250nm、又は5nm~100nm、又は5nm~50nm、又は10nm~500nm、又は10nm~250nm、又は10nm~100nm、又は10nm~50nm、又は40nm~500nm、又は40nm~250nm、又は40nm~100nm、又は50nm~500nm、又は50nm~250nm、又は50nm~100nmの範囲の平均直径を有する。
【0143】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子は、凝集体を形成し、ここで、多くのナノ粒子は、より大きな単位を形成するために一緒に凝集する。ある態様において、炭素凝集体は、複数のカーボンナノ粒子を含む。炭素凝集体の直径は、10~500μm、50~500μm、100~500μm、250~500mμm、10~250μm、10~100μm、10~50μmの範囲である。いくつかの態様において、凝集体は、上記で定義されるように、複数のカーボンナノ粒子から形成される。いくつかの実施態様において、凝集体は、連結されたMWSFを含む。いくつかの実施態様において、凝集体は、高い均一性メトリック(例えば、20%~80%のグラフェン対MWSFの比)、高度の規則性の程度(例えば、0.95~1.05のID/IG比を有するラマンシグネチャ)、及び高度の純度(例えば、99.9%超の炭素)を有する連結されたMWSFを含む。
【0144】
カーボンナノ粒子の凝集体を作製することの利点の1つは、特に上記の範囲で直径が10μmを超える粒子の凝集体は、500nm未満の粒子の粒子又は凝集体よりも回収が容易であることである。収集の容易さは、カーボンナノ粒子の製造に使用される製造デバイスのコストを低減し、カーボンナノ粒子の収率を増加させる。さらに、サイズが10μmを超える粒子は、より小さなナノ粒子を取り扱うリスクと比較して、より小さなナノ粒子の吸入による潜在的な健康及び安全性のリスクなど、安全性に関する懸念が少ない。健康・安全リスクが低いため、製造コストがさらに低下する。
【0145】
いくつかの実施態様において、カーボンナノ粒子は、グラフェンとMWSFとの比率が、10%~90%、又は10%~80%、又は10%~60%、又は10%~40%、又は10%~20%、又は20%~40%、又は20%~90%、又は40%~90%、又は60%~90%、又は80%~90%である。いくつかの実施態様において、炭素凝集体は、グラフェン対MWSFの比率が、10%から90%、又は10%から80%、又は10%から60%、又は10%から40%、又は10%から20%、又は20%から40%、又は20%から40%、又は40%から90%、又は40%から90%、又は60%から90%、又は80%から90%である。いくつかの実施態様において、カーボンナノ粒子は、10%~90%、10%~80%、又は10%~60%、又は10%~40%、又は10%~20%、又は20%~40%、又は20%~90%、又は40%~90%、又は60%~90%、又は80%~90%のグラフェン対連結されたMWSFの比を有する。いくつかの実施態様において、炭素凝集体は、グラフェンと連結されたMWSFとの比率が、10%~90%、10%~80%、又は10%~60%、又は10%~40%、又は10%~20%、又は20%~40%、又は20%~90%、又は40%~90%、又は60%~90%、又は80%~90%である。
【0146】
いくつかの態様において、ラマン分光法は、それらの分子構造を識別するために炭素同素体を特徴付けるために使用される。例えば、ラマン分光法を用いてグラフェンを特性化し、規則的/非規則的、端部及び粒界、厚さ、層数、ドーピング、歪み、及び熱伝導率などの情報を特定することができる。MWSFsの規則性の程度を特定するために、ラマン分光法を用いてMWSFsを特徴付けた。
【0147】
いくつかの態様において、ラマン分光法は、MWSF又は連結されたMWSFの構造を特徴付けるために使用される。ラマンスペクトルの主なピークはGモードとDモードである。Gモードはsp2混成炭素ネットワーク中の炭素原子の振動に起因し、Dモードは欠陥を有する六方晶炭素環のブリージングに関連する。場合によっては、欠陥が存在しても、ラマンスペクトルでは検出できないことがある。例えば、提示された結晶構造が基底面に対して直交する場合、D-ピークは増加を示す。他方、基底面に対して平行である完全に平坦な表面を有する場合、D-ピークはゼロである。
【0148】
532nm入射光を使用する場合、ラマンGモードは、通常、平面グラファイトに対しては1582cm-1であるが、MWSF又は連結されたMWSFに対しては下方シフトすることができる(例えば、1565cm-1まで下方シフトするか、又は1580cm-1まで下方シフトする)。DモードはMWSF又は連結したMWSFのRamanスペクトルで、約1350cm-1で観察された。DモードピークのGモードピークに対する強度の比(すなわち、ID/IG)はMWSFの次数に関係し、より低いID/IGはより高い次数を示す。1付近又はそれ以下のID/IGは比較的規則性の程度が高く、1.1より大きいID/IGは規則性の程度低いことを示す。
【0149】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるように、MWSF又は連結されたMWSFを含有するカーボンナノ粒子又は炭素凝集体は、532nm入射光を使用する場合、約1350cm-1に第1ラマンピーク及び約1580cm-1に第2ラマンピークを有するラマンスペクトルを有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるナノ粒子又は凝集体についての第2ラマンピーク(すなわち、ID/IG)の強度に対する第1のラマンピークの強度の比は、0.95~1.05、0.9~1.1、0.8~1.2、0.9~1.2、0.8~1.1、0.5~1.5、1.5未満、1.2未満、1.1未満、1未満、0.95未満、0.9未満、0.8未満の範囲である。
【0150】
いくつかの実施態様において、上記で定義されるように、MWSF又は連結されたMWSFを含有する炭素凝集体は、高純度である。いくつかの実施態様において、MWSF又は連結されたMWSFを含有する炭素凝集体は、99.99%超、99.95%超、又は99.9%超、又は99.8%超、又は99.5%超、又は99%超の、炭素と金属との比率を有する。いくつかの実施態様において、炭素凝集体は、99.99%超、99.95%超、99.9%超、99.5%超、99%超、90%超、80%超、70%超、60%超の、他の元素に対する炭素の比率を有する。いくつかの実施態様では、炭素凝集体は、99.99%超、99.95%超、99.9%超、99.8%超、99.5%超、99%超、90%超、80%超、70%超、60%超の、炭素と他の元素(水素を除く)との比率を有する。
【0151】
いくつかの実施態様において、上記で定義されるように、MWSF又は連結されたMWSFを含有する炭素凝集体は、高い比表面積を有する。いくつかの実施態様において、炭素凝集体は、Brunauer-Emmett-Teller(BET)比表面積が10~200m2/g、10~100m2/g、10~50m2/g、50~200m2/g、50~100m2/g、又は10~1000m2/gである。
【0152】
いくつかの実施態様において、上記で定義されるように、MWSF又は連結されたMWSFを含有する炭素凝集体は、高い電気伝導率を有する。いくつかの実施態様では、MWSF又は連結されたMWSFを含む炭素凝集体は、上述のように、ペレットに圧縮され、ペレットは、500S/m超又は1000S/m/m超又は、2000S/m/m超又は、3000S/m/m超又は、4000S/m/m超又は、5000S/m/m超又は、10000S/m/m超又は、20000S/m/m超又は、30000S/m/m超又は、40000S/m/m超又は、50000S/m/m超又は、60000S/m/m超又は、70000S/m/m超又は、500S/m~100000S/m、500S/m~1000S/m、500S/m~10000S/m、500S/m~20000S/m、500S/m~100000S/m、1000S/m~10000S/m、1000S/m~20000S/m、10000~100000S/m、10000S/m~80000S/m、500S/m~10000S/mの電気伝導率を有する。場合によっては、ペレットの密度は、約1g/cm3、約1.2g/cm3、約1.5g/cm3、約2g/cm3、約2.2g/cm3、約2.5g/cm3、又は約3g/cm3である。さらに、炭素凝集体材料の圧縮ペレットが、2000psi及び12000psiの圧縮、及び800℃及び1000℃のアニール温度で形成される試験が実施されている。より高い圧縮及び/又はより高いアニール温度は、一般に、12410.0S/m~13173.3S/mの範囲を含む、より高い電気伝導度を有するペレットを生じさせる。
【0153】
熱処理システムを使用して製造された高純度炭素同素体
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体は、任意の適切な熱リアクタ及び/又は方法などの熱リアクタ及び方法を使用して製造される。熱リアクタ及び/又は使用方法に関するさらなる詳細は、2018年1月9日に発行された米国特許第9,862,602号「CRACKING OF A PROCESS GAS(プロセスガスの分解)」に見出すことができ、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。さらに、前駆体(例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、及び天然ガスを含む)を、熱リアクタと共に使用して、本明細書に記載のカーボンナノ粒子及び炭素凝集体を製造することができる。
【0154】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体は、1slm~10slm、0.1slm~20slm、1slm~5slm、5slm~10slm、1slmを超える、又は5slmを超えるガス流量の熱リアクタを使用して製造される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体は、ガス共振時間が、0.1秒から30秒、又は0.1秒から10秒、又は1秒から10秒、又は1秒から5秒、5秒から10秒、又は0.1秒を超える、又は1秒を超える、又は5秒を超える、又は30秒未満の熱リアクタを使用して生成される。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体は、生成速度が10g/hr~200g/hr、30g/hr~200g/hr、30g/hr~100g/hr、30g/hr~60g/hr、10g/hr~100g/hr、10g/hr~100g/hr、10g/hr以上、30g/hr以上、100g/hr以上の熱リアクタを使用して生成される。
【0156】
いくつかの実施形態では、熱リアクタ又は他の分解装置、熱リアクタ方法、又は他の分解方法は、原料プロセスガスをその成分へと、精製(refining)、熱分解(pyrolizing)、分離(dissociating)、又は分解(cracking)して、本明細書に記載のカーボンナノ粒子及び炭素凝集体、ならびに他の固体及び/又は気体生成物(例えば、水素ガス及び/又は低次炭化水素ガス)を生成するために使用されることができる。原料プロセスガスは、一般に、例えば、水素ガス(H2)、二酸化炭素(CO2)、C1~C10炭化水素、芳香族炭化水素、及び/又は、天然ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、飽和/不飽和炭化水素ガス、エテン、プロペンなどの他の炭化水素ガス、及びそれらの混合物を含む。カーボンナノ粒子及びカーボン凝集体は、例えば、多層球状フラーレン(MWSF)、連結されたMWSF、カーボンナノスフェア、グラフェン、グラファイト、高度に秩序化された熱分解グラファイト、単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、他の固体カーボン生成物、及び/又は本明細書に記載のカーボンナノ粒子及び炭素凝集体を含むことができる。
【0157】
本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及びカーボン凝集体を製造するためのいくつかの実施形態は、例えば、熱分解装置の細長いケーシング、ハウジング又は本体内に任意で封入された長手方向の細長い加熱要素を使用する熱分解方法を含む。本体は、一般に、例えば、ステンレススチール、チタン、グラファイト、石英などで作られた1つ以上のチューブ又は他の適切なエンクロージャを含む。いくつかの実施形態では、熱分解装置の本体は、ほぼ円筒形であり、中心の細長い長手軸が垂直に配置され、本体の頂部又はその近くに供給原料プロセスガス注入口が配置される。原料プロセスガスは、長手方向に、本体又はその一部を通って流れる。垂直配置では、ガス流と重力の両方が、熱分解装置の本体から固体生成物を除去することを補助する。
【0158】
加熱要素は、一般に、例えば、加熱ランプ、1つ以上の抵抗性ワイヤ又はフィラメント(又は撚りワイヤ)、金属フィラメント、金属ストリップ又はロッド、及び/又は他の適切な熱ラジカル発生器、又は原料プロセスガスの分子を熱的に分解するのに十分な特定の温度(すなわち、分子クラック温度)に加熱することができる要素を含む。加熱要素は、一般に、その中心長手軸に沿って熱分解装置の本体内の中心に延在するように配置、位置決め、又はアレンジされる。例えば、1つの加熱エレメントのみが存在する場合には、それは、中心長手軸に配置されるか、又は中心長手軸と同心状に配置され、複数の加熱エレメントが存在する場合には、それらは、中心長手軸に近接し、その周りの、平行な位置で、一般的に対称的に又は同心的に間隔を置かれるか又はオフセットされる。
【0159】
本願明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体を生成する熱分解は、一般に、原料プロセスガスを、加熱要素からの加熱によって生成され、熱分解装置の本体によって画定されて本体内に収容された長手方向に長細い反応ゾーン内で、加熱要素にわたって、又は加熱要素に接触させて、又は加熱要素の近傍で通過させて、原料プロセスガスを、特定の分子分解温度まで又は特定の分子分解温度で加熱することによって達成される。反応ゾーンは、加熱要素を取り囲む領域であって、その分子を熱的に分解するのに十分な熱を受け取るのに十分に加熱要素に近い領域と考えられる。
【0160】
かくして、反応ゾーンは、一般に、本体の中心長手軸と軸方向に整列するか、又は同心状である。いくつかの実施形態では、熱分解は、特定の圧力下で行われる。いくつかの実施形態では、原料プロセスガスを反応ゾーンに流す前に、容器又はチャンバを冷却し、原料プロセスガスを予熱するために、原料プロセスガスを、反応ゾーン又は加熱チャンバの容器の外表面の周囲又は外表面にわたって循環させる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体、及び/又は水素ガスは、触媒を使用せずに生成される。換言すると、このプロセスは触媒を含まない。
【0161】
熱分解装置及び方法を用いて本明細書に記載のカーボンナノ粒子及び凝集体を製造するいくつかの実施形態では、所望のように、異なる製造レベルに対して迅速にスケールアップ又はスケールダウンすることができるスタンドアロンシステムを提供する。例えば、いくつかの実施形態は、スタンドアロンの水素及び/又はカーボンナノ粒子生成ステーション、炭化水素源、又は燃料電池ステーションを提供するようにスケーラブルである。いくつかの実施形態は、例えば精製所(refinery)等のためにより高い容量のシステムを提供するようにスケールアップすることができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体を製造するために原料プロセスガスを分解するための熱分解装置(thermal cracking apparatus)は、本体、原料プロセスガス注入口、及び細長い加熱要素を含む。本体は、長手軸を有する内部容積を有する。内部容積は、長手軸と同心状の反応ゾーンを有する。原料プロセスガスは、熱分解動作の間、原料プロセスガス注入口を通して内部容積に流入する。細長い加熱要素は、長手軸に沿って内部容積内に配置され、反応ゾーンによって取り囲まれている。熱分解動作の間、細長い加熱エレメントは電力によって分子分解温度まで加熱され、反応ゾーンを生成し、原料ガスは細長い加熱要素からの熱によって加熱され、熱は、反応ゾーン内の原料プロセスガスの分子を分子の成分へと熱分解する。
【0163】
いくつかの実施形態では、本願明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体を製造するために原料プロセスガスを分解する(cracking)方法は、(1)長手軸を有する内部容積と、長手軸に沿って内部容積内に配置された長細い加熱要素と、を備える熱分解装置を提供するステップと、(2)長細い加熱要素を電力によって分子分解温度まで加熱し、内部容積内に長手方向に長細い反応ゾーンを生成する、ステップと、(3)原料プロセスガスを長手方向に長細い反応ゾーンを通って内部容積内に流すステップ(例えば、原料ガスは長細い加熱要素からの熱によって加熱されている)と、(4)原料プロセスガスが長手方向に細長い反応ゾーンを通って流れるにつれて、長手方向に細長い反応ゾーン内において原料プロセスガスの分子をその成分(例えば、水素ガス及び1つ以上の固体生成物)へと熱分解するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体を製造するための原料プロセスガスは、炭化水素ガスを含む。クラッキングの結果は、水素(例えば、H2)及び本明細書に記載される種々の形態のカーボンナノ粒子及び凝集体を含む。いくつかの実施態様において、カーボンナノ粒子及び凝集体は、2つ以上のMWSF及びMWSFをコーティングするグラフェン層、並びに/又は連結されたMWSF及び連結されたMWSFをコーティングするグラフェン層を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、原料プロセスガスは、原料プロセスガスを内部容積に流す前に、加熱チャンバと熱分解装置のシェルとの間のガス予熱領域を通って原料プロセスガスを流すことによって、予熱(例えば、100℃から500℃まで)される。いくつかの実施形態では、内部にナノ粒子を有するガスが、長手方向に細長い反応ゾーンを通って内部容積に流入し、原料プロセスガスと混合し、固体生成物(例えば、グラフェンの層)のコーティングがナノ粒子の周囲に形成される。
【0165】
高純度構造化炭素の後処理
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される多層球状フラーレン(MWSF)又は連結されたMWSFを含有するカーボンナノ粒子及び凝集体を生産及び収集し、後処理は行わない。他の実施形態では、本明細書に記載される多層球状フラーレン(MWSF)又は連結されたMWSFを含有するカーボンナノ粒子及び凝集体が、生産及び収集され、いくつかの後処理が行われる。電磁状態センシングデバイスに含まれる後処理のいくつかの例は、ボールミリング、研削、摩擦ミリング、マイクロ流動化、及びMWSFを損傷することなく粒子サイズを低減するための他の技術などの機械的処理を含む。後処理のさらなる例には、とりわけ、シーア混合、化学エッチング、酸化(例えば、ハマー法)、熱アニーリング、アニーリング中に元素を添加することによるドーピング(例えば、硫黄、窒素)、蒸気、濾過、及びリポリシングなどの剥離プロセスが含まれる。後処理のいくつかの例は、不活性ガス中で高圧及び温度で行うことができる、スパークプラズマ焼結(SPS)、直流焼結、マイクロ波焼結、及び紫外線(UV)焼結などの焼結プロセスを含む。いくつかの実施形態において、複数の後処理方法を、一緒に又は連続的に使用することができる。いくつかの実施態様において、後処理は、多層球状フラーレン(MWSF)又は連結されたMWSFを含有する機能化されたカーボンナノ粒子又は凝集体を生成する。
【0166】
いくつかの実施態様において、材料は異なる組み合わせで混合されている。いくつかの態様において、本明細書に記載されるMWSF又は連結されたMWSFを含有する異なるカーボンナノ粒子及び凝集体は、後処理の前に一緒に混合される。例えば、異なる特性(例えば、異なるサイズ、異なる組成、異なる純度、異なる処理工程など)を有するMWSF又は連結されたMWSFを含有する異なるカーボンナノ粒子及び凝集体を一緒に混合することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるMWSF又は連結されたMWSFを含むカーボンナノ粒子及び凝集体は、混合物中のグラフェンに対する連結されたMWSFの比率を変化させるためにグラフェンと混合されることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるMWSF又は連結されたMWSFを含む異なるカーボンナノ粒子及び凝集体は、後処理後に一緒に混合することができる。例えば、異なる特性及び/又は異なる後処理方法(例えば、異なるサイズ、異なる組成、異なる機能性、異なる表面特性、異なる表面積)を有する、MWSF又は連結されたMWSFを含む異なるカーボンナノ粒子及び凝集体を一緒に混合されることができる。
【0167】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体は、生成及び収集され、その後、機械的研削、粉砕、及び/又は剥離によって処理される。いくつかの実施態様において、(例えば、機械的研削、粉砕、剥離などによる)処理は、粒子の平均サイズを減少させる。いくつかの態様において、(例えば、機械的研削、粉砕、剥離などによる)処理は、粒子の平均表面積を増加させる。いくつかの実施形態では、機械的研削、粉砕及び/又は剥離による処理は、炭素層の一部の破片を剪断し、カーボンナノ粒子と混合されたグラファイトのシートを生成する。
【0168】
いくつかの実施態様において、機械的研削又は粉砕は、ボールミル、プラネタリミル、ロッドミル、剪断ミキサ、高剪断造粒機、自家粉砕機、又は、研削(grinding)、破砕(crushing)又は切断(cutting)によって固体材料をより小さな片に破壊するために使用される他のタイプの機械加工を使用して実施される。いくつかの実施態様において、機械的研磨、粉砕(milling)及び/又は剥離(exfoliating)は、湿式又は乾式で行われる。いくつかの実施形態では、機械的研削は、ある期間研削を実行し、その後、ある期間アイドリングし、研削及びアイドリングを数サイクル繰り返すことによって行われる。いくつかの実施形態では、粉砕期間は、1分から20分、1分から10分、3分から8分、約3分、又は約8分である。いくつかの実施形態では、アイドリング期間は1分~10分、約5分、又は約6分である。いくつかの実施態様において、研削及びアイドリングのサイクルの数は、1分から100分、又は5分から100分、又は10分から100分、又は5分から10分、又は5分から20分である。いくつかの実施形態では、研削及びアイドリングの全時間は、10分~1200分、10分~600分、10分~240分、10分~120分、10分~90分、10分~60分、約90分、又は約120分である。
【0169】
いくつかの実施形態では、サイクルにおける研削工程は、第1サイクルのためにミルを一方向に(例えば時計回りに)回転させ、次のサイクルのために反対方向に(例えば反時計回りに)ミルを回転させることによって行われる。いくつかの実施形態では、機械的研削又は粉砕は、ボールミルを使用して行われ、研削工程は、100~1000rpm、100~500rpm、又は約400rpmの回転速度を使用して行われる。いくつかの実施態様において、機械的研削又は粉砕は、直径が0.1mmから20mm、又は0.1mmから10mm、又は1mmから10mm、又は約0.1mm、又は約1mm、又は約10mmの粉砕媒体を使用するボールミルを使用して行われる。いくつかの実施態様において、機械的研削又は粉砕は、鋼などの金属、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、イットリア安定化酸化ジルコニウム、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウムなどの酸化物、又は炭化ケイ素若しくは炭化タングステンなどの他の硬質材料で構成される粉砕媒体を使用するボールミルを使用して行われる。
【0170】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体は、生成及び収集され、その後、熱アニーリング又は焼結などの昇温を用いて処理される。いくつかの実施形態では、昇温を使用する処理は、窒素又はアルゴンなどの不活性環境で行われる。いくつかの実施形態では、昇温を使用する処理は、大気圧、真空下、又は低圧で行われる。いくつかの実施形態では、昇温を使用する処理は、500℃~2500℃、500℃~1500℃、800℃~1500℃、800℃~1200℃、800℃~1000℃、800℃~1000℃、2000℃~2400℃、約800℃、約1000℃、約1500℃、約2000℃、約2400℃の温度で行われる。
【0171】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体は、生成及び収集され、その後、後処理工程において、追加の元素又は化合物がカーボンナノ粒子に添加され、それにより、カーボンナノ粒子及び凝集体の固有の特性が、材料の他の混合物に組み込まれる。
【0172】
いくつかの態様において、後処理の前又は後のいずれかで、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体は、他の元素又は化合物の固体、液体又はスラリーに添加され、カーボンナノ粒子及び凝集体の固有の特性を組み込む材料の追加の混合物を形成する。いくつかの態様において、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体は、他の固体粒子、ポリマー又は他の材料と混合される。
【0173】
いくつかの実施形態では、後処理の前又は後のいずれかで、本明細書に記載されるカーボンナノ粒子及び凝集体は、電磁状態センシングデバイスに関する用途以外の種々の用途で使用される。かかる用途には、輸送用途(例えば、自動車及びトラックのタイヤ、カップリング、マウント、エラストマーO-リング、ホース、シーラント、グロメットなど)及び工業用途(例えば、ゴム添加剤、ポリマー材料のための官能化添加剤、エポキシのための添加剤など)が含まれるが、これらに限定されない。
【0174】
図10A及び10Bは、合成されたままのカーボンナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)像を示す。
図10A(第1倍率)及び
図10B(第2倍率)のカーボンナノ粒子は、連結されたMWSFをコーティングするグラフェン層1004を有する連結された多層球状フラーレン1002(MWSF)を含む。この例におけるグラフェン同素体に対するMWSFの比は、比較的短い共振時間のために約80%である。
図10AにおけるMWSFは、直径が約5nm~10nmであり、直径は、上述の条件を使用すると、5nm~500nmであることができる。いくつかの実施態様において、複数のMWSFにわたる平均直径は、5nmから500nm、5nmから250nm、又は5nmから100nm、又は5nmから50nm、又は5nmから50nm、又は10nmから500nm、又は10nmから250nm、又は10nmから100nm、又は10nmから50nm、又は10nmから50nm、又は40nmから500nm、又は40nmから250nm、又は40nmから100nm、又は50nmから500nm、又は50nmから250nm、又は50nmから100nmの範囲である。このプロセスでは触媒が使用されていないため、汚染物質を含む中央シードは存在しない。この実施例で製造された凝集体粒子は、約10μm~100μm、又は約10μm~500μmの粒子サイズを有した。
【0175】
図10Cは、この実施例において、532nmの入射光で取られた合成されたままの凝集体のラマンスペクトルを示す。この例で生成された凝集体のID/IGは約0.99~1.03であり、凝集体は高次の炭素同素体で構成されていることを示している。
【0176】
図10D及び
図10Eは、ボールミルでの粉砕によるサイズ縮小後のカーボンナノ粒子の例示的なTEM画像を示す。ボールミル粉砕は、3分間の反時計回り研削工程、続いて6分間のアイドル工程、続いて3分間の時計回り研削工程、続いて6分間のアイドル工程を伴うサイクルで行った。研削工程は、400rpmの回転速度を用いて行った。粉砕媒体はジルコニアであり、サイズは0.1mm~10mmの範囲であった。総サイズ縮小処理時間は60分から120分であった。サイズ縮小後、この実施例で製造された凝集体粒子は、約1μm~5μmの粒子サイズを有した。サイズ縮小後のカーボンナノ粒子は、連結されたMWSFと、連結されたMWSFをコーティングするグラフェンの層で連結される。
【0177】
図10Fは、532nmの入射光で取られたサイズ縮小後のこれらの凝集体からのラマンスペクトルを示す。この実施例におけるサイズ縮小後の凝集体粒子のID/IGは、約1.04である。さらに、サイズ縮小後の粒子は、Brunauer、Emmett及びTeller(BET)比表面積が約40m2/g~50m2/gであった。
【0178】
この試料中で生成された凝集体の純度を質量分析及びX線蛍光(XRF)分光法を用いて測定した。16の異なるバッチで測定した、水素を除く他の元素に対する炭素の比率は99.86%から99.98%であり、平均99.94%炭素であった。
【0179】
この実施例では、カーボンナノ粒子は、熱ホットワイヤ処理システムを用いて生成された。前駆体材料はメタンで、1slmから5slmで流された。これらの流速及び工具形状により、反応チャンバ内のガスの共振時間は約20秒~30秒であり、炭素粒子の生成速度は約20g/hrであった。
【0180】
かかる処理システムに関するさらなる詳細は、前述の、「CRACKING OF A PROCESS GAS(プロセスガスのクラッキング)」と題する米国特許第9,862,602号に見出すことができる。
【0181】
図10G、
図10H及び
図10Iは、この実施例の合成されたままのカーボンナノ粒子のTEM像を示す。カーボンナノ粒子は、連結MWSFのグラフェン層コーティングを有する連結多層球状フラーレン(MWSF)を含む。この実施例では、グラフェン同素体に対する多層フラーレンの比率は、より厚い又はより多くのグラフェン層がMWSFをコーティングすることができる比較的長い共振時間のために、約30%である。このプロセスでは触媒が使用されていないため、汚染物質を含む中央シードは存在しない。この実施例で製造した合成したままの凝集体粒子は、約10μm~500μmの粒径を有した。
図10Jは、この実施例の凝集体からのラマンスペクトルを示す。この例における合成したままの粒子のラマンシグネチャは、合成したままの材料中のMWSFをコーティングするより厚いグラフェン層を示している。さらに、合成したままの粒子は、Brunauer、Emmett及びTeller (BET)比表面積が約90m
2/g~100m
2/gであった
【0182】
図10K及び
図10Lは、この実施例のカーボンナノ粒子のTEM像を示す。具体的には、像はボールミルでの粉砕によってサイズの縮小を行った後のカーボンナノ粒子を示す。サイズ縮小処理条件は、
図10Gから
図10Jに関連して説明したものと同じであった。サイズ縮小後、この実施例で製造された凝集体粒子は、約1μm~5μmの粒子サイズを有した。TEM画像は、グラフェンコーティングに埋め込まれた連結されたMWSFが、サイズ縮小後に観察できることを示している。
図10Mは、サイズ縮小後のこの実施例の凝集体から、532nmの入射光で取られたラマンスペクトルを示す。この例におけるサイズ縮小後の凝集体粒子のID/IGは約1であり、合成されたままのグラフェンコーティングに埋め込まれた連結されたMWSFが、サイズ縮小後のラマンで検出可能となり、良好に秩序付けられたことを示した。サイズ縮小後の粒子は、Brunauer、Emmett及びTeller(BET)比表面積が約90m
2/g~100m
2/gであった。
【0183】
図10Nは、グラファイト及びグラフェンの同素体を第1倍率で示す炭素凝集体の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
図10Oは、グラファイト及びグラフェンの同素体を第2倍率で示す炭素凝集体のSEM像である。層状グラフェンは、炭素の歪み(しわ)内に明確に示されている。炭素同素体の3D構造も見える。
【0184】
図10N及び
図10Oの炭素粒子の粒度分布を
図10Pに示す。質量ベース累積粒度分布1006は、グラフの左Y軸(Q
3(x)[%])に対応する。質量粒子サイズ分布1008のヒストグラムは、グラフの右軸(dQ
3(x)[%])に対応する。粒子径の中央値は約33μmである。10パーセンタイル粒子サイズは約9μmであり、90パーセンタイル粒子サイズは約103μmである。
粒子の質量密度は約10g/Lである。
【0185】
多段リアクタから捕獲された炭素粒子の粒度分布を
図10Qに示す。質量ベース累積粒子サイズ分布1014は、グラフの左y軸(Q
3(x)[%])に対応する。質量粒子サイズ分布1016のヒストグラムは、グラフの右軸(dQ
3(x)[%])に対応する。捕獲された粒子サイズの中央値は約11μmである。10パーセンタイル粒子サイズは約3.5μmであり、90パーセンタイル粒子サイズは約21μmである。また、
図10Qのグラフは、グラフの左y軸に対応する数ベース累積粒度分布1018(Q
0(x)[%])を示す。個数基準による粒子サイズの中央値は、約0.1μm~約0.2μmである。収集された粒子の質量密度は約22g/Lである。
【0186】
図10Pの議論に戻ると、グラフはまた、例示的な結果の第2のセットを示す。具体的には、この実施例では、粒子を機械的に粉砕することによってサイズを小さくし、次に、サイズを小さくした粒子を、サイクロンセパレータを用いて処理した。この実施例で捕獲されたサイズ還元型炭素粒子の質量基底累積粒子サイズ分布1010は、グラフ(Q
3(x)[%])の左y軸に対応する。質量基準粒子サイズ分布1012のヒストグラムは、グラフ(dQ
3(x)[%])の右軸に対応する。
この実施例で捕獲されたサイズ還元型炭素粒子の粒子サイズの中央値は約6μmである。10パーセンタイル粒子サイズは1μm~2μmであり、90パーセンタイル粒子サイズは10μm~20μmである。
【0187】
サイクロンセパレータの製造及び使用に関するさらなる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている「MICROWAVE REACTOR SYSTEM WITH GAS-SOLIDS SEPARATION」と題する2017年10月5日出願の米国特許出願第15/725,928号に見出すことができる。
【0188】
マイクロ波リアクタシステムを使用して製造された高純度炭素同素体
場合によっては、グラファイト、グラフェン及び非晶質炭素を含有する炭素粒子及び凝集体は、メタンを含有する、イソプロピルアルコール(IPA)を含有する、又はエタノールを含有する、又は濃縮された炭化水素(例えば、ヘキサン)を含有する前駆体材料を使用するマイクロ波プラズマリアクタシステムを用いて生成され得る。いくつかの他の例において、炭素含有前駆体は、任意に供給ガス(例えば、アルゴン)と混合される。この実施例で製造された粒子は、グラファイト、グラフェン、非晶質炭素を含有し、シード粒子を含有しなかった。この実施例の粒子は、他の元素(水素以外)に対する炭素の比が約99.5%以上であった。
【0189】
1つの特定の例では、炭化水素がマイクロ波プラズマリアクタの入力材料であり、分離されたリアクタ出力は、水素ガスと、グラファイト、グラフェン及び非晶質炭素を含む炭素粒子とを含んでいた。多段気体‐固体分離システムで炭素粒子を水素ガスから分離した。分離されたリアクタからの出力の固体装填量は0.001g/Lから2.5g/Lであった。
【0190】
図10S、及び、
図10T、合成されたままのカーボンナノ粒子のTEM像である。像はグラファイト、グラフェン及びアモルファス炭素同素体の例を示す。グラフェンや他の炭素材料の層が画像ではっきり見える。
【0191】
炭素粒子の粒子サイズ分布は
図10Uに示される。質量ベース累積粒度分布1020の質量は、グラフの左Y軸(Q
3(x)[%])に対応する。質量粒子サイズ分布1022のヒストグラムは、グラフの右軸(dQ
3(x)[%])に対応する。この実施例では、サイクロンセパレータに捕捉された粒子サイズの中央値は約14μmであった。10パーセンタイル粒子サイズは約5μm、90パーセンタイル粒子サイズは約28μmであった。また、
図10Uのグラフは、グラフの左Y軸(Q
0(x)[%])に対応する個数ベース累積粒度分布1024を示す。この実施例における個数ベースの粒子サイズの中央値は、約0.1μmから約0.2μmであった。
【0192】
図10V、
図10W、及び
図10X、及び
図10Yは、他の三次元構造上に成長した三次元炭素含有構造を示す画像である。
図10Vは、炭素ファイバ上に成長させた三次元炭素構造の100倍の倍率であり、
図10Wは、炭素ファイバ上に成長させた三次元炭素構造の200倍の倍率である。
図10Xは、炭素ファイバ上に成長させた三次元炭素構造の1601倍の倍率である。ファイバ表面上の三次元炭素成長を示した。
図10Yは、炭素ファイバ上に成長させた三次元炭素構造の10000倍の倍率である。画像は、基底面及び端面上の成長を描く。
【0193】
より具体的には、
図10Vから
図10Yは、マイクロ波プラズマリアクタからのプラズマエネルギ及び熱リアクタからの熱エネルギを使用してファイバ上に成長させた3D炭素材料の例示的なSEM画像を示す。
図10Vは、ファイバの表面上に成長した3D炭素材料1030を有する交差するファイバ1031及び1032のSEM画像を示す。
図10Wは、ファイバ1032上の3D炭素成長1030を示す、より高い倍率の画像である(スケールバーは、
図10Vのための500μmに対して、300μmである)。
図10Xは、ファイバ表面1035上の3D炭素成長1030を示す、さらなる拡大図(スケールバーは40μm)であり、ここで、炭素成長1030の3Dの性質が明確に分かる。
図10Yは、炭素単独の拡大図(スケールバーは500nm)を示し、ファイバ上に成長させた3D炭素材料の多数のサブ粒子の基底面1036と端面1034との間の相互接続を示す。
図10Vから
図10Yは、3D炭素ファイバ上に成長させた3D炭素成長など、いくつかの実施形態による、3Dファイバ構造上に3D炭素を成長させる能力を示す。
【0194】
いくつかの実施形態において、ファイバ上の3D炭素成長は、複数のファイバをマイクロ波プラズマリアクタに導入し、マイクロ波リアクタ内のプラズマを用いてファイバをエッチングすることによって達成することができる。エッチングは、核形成部位を生成する。そうすると、リアクタ中で炭化水素分離(disassociation)によって炭素粒子及びサブ粒子が生成される場合、これらの核形成部位で3D炭素構造の成長が開始される。ファイバ上の3D炭素構造の直接成長は、それ自体が本質的に三次元であり、樹脂が浸透できる孔を有する高度に統合された3D構造を提供する。樹脂化合物用のこの3D強化マトリクス(高アスペクト比強化繊維と統合された3D炭素構造を含む)は、結果として、滑らかな表面を有し、通常その滑らかな表面が樹脂マトリクスから剥離する、従来のファイバと比較して、引張強さ及び剪断などの材料特性を拡張させる。
【0195】
炭素の機能化
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される3D炭素材料などの炭素材料は、接着を促進し、及び/又は酸素、窒素、炭素、シリコン、又は硬化剤などの元素を添加するために機能化されることができる。いくつかの実施形態において、炭素材料は、その場で、すなわち、炭素材料が製造される同じリアクタ内で機能化され得る。いくつかの実施形態において、炭素材料は、後処理において機能化され得る。例えば、フラーレン又はグラフェンの表面は、樹脂マトリクスのポリマーと結合を形成する酸素又は窒素含有種で機能化することができ、したがって、複合材料の強度を高めるために、接着性を改善し、強力な結合を提供する。
【0196】
実施形態は、本明細書に記載されるプラズマリアクタ(例えば、マイクロ波プラズマリアクタ)を利用する炭素(例えば、CNT、CNO、グラフェン、3Dグラフェンなどの3D炭素材料)のための機能化表面処理を含む。種々の実施形態は、複合材料中のバインダー又はポリマーと組み合わせることができる炭素材料の生成中のその場表面処理を含むことができる。種々の実施形態は、炭素材料がまだリアクタ内にある間に、炭素材料の生成後の表面処理を含むことができる。
【0197】
上述の明細書において、本開示は、その特定の例示的な実施形態を参照して述べられた。しかしながら、本開示のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされ得ることは明らかであろう。例えば、上述のプロセスフローは、プロセス動作の特定の順序を参照して説明される。しかしながら、記載されたプロセス動作の多くの順序は、本開示の範囲または動作に影響を及ぼすことなく変更することができる。明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味とみなされる。
【0198】
[付記1]
アイテムを格納するように構成された容器であって、
前記容器の容積を画定する表面と、
前記容器の前記表面に印刷された1つ以上の共振部分を含む電磁状態センシングデバイスであり、各共振部分は、ユーザーデバイスから発せられる電磁放射ピン検出し、電磁放射ピンに応答して電磁放射リターン信号を生成し、前記電磁放射リターン信号は、印刷された前記共振部分の近位にある前記容器の対応する部分における前記アイテムの状態を示すように構成された三次元炭素含有構造(3D炭素含有構造)のアセンブリを含む、電磁状態センシングデバイスと、
を備える容器。
[付記2]
前記共振部分は、前記アイテムが第1状態にある場合に、前記電磁放射ピンに応答して第1周波数において共振するように構成されているとともに、前記アイテムが第2状態にある場合に、前記電磁放射ピンに応答して第2周波数において共振するように構成されている、
付記1記載の容器。
[付記3]
3D炭素含有構造の前記アセンブリの共振周波数は、少なくとも部分的に、前記アイテムの1つ以上の物理的特性に基づく、
付記1記載の容器。
[付記4]
3D炭素含有構造の前記アセンブリの共振周波数は、少なくとも部分的に、前記容器の透磁率に基づく、
付記1記載の容器。
[付記5]
前記アイテムの状態は、前記容器の前記対応する部分における前記アイテムの存在を含む、
付記1記載の容器。
[付記6]
前記共振部分は、前記電磁放射ピンに応答して第1電磁放射リターン信号を生成することによって、前記容器の前記対応する部分における前記アイテムの存在を示すように構成されているとともに、前記電磁放射ピンに応答して第2電磁放射リターン信号を生成することによって、前記容器の前記対応する部分における前記アイテムの不在を示すように構成されている、
付記5記載の容器。
[付記7]
前記第1電磁放射リターン信号は、第1周波数を有し、前記第2電磁リターン信号は、前記第1周波数と異なる第2周波数を有する、
付記6記載の容器。
[付記8]
前記アイテムの状態は、前記容器の前記対応する部分における前記アイテムの変形を含む、
付記1記載の容器。
[付記9]
前記共振部分は、前記電磁放射ピンに応答して第1電磁放射リターン信号を生成することによって、前記容器の前記対応する部分における前記アイテムの変形を示すように構成されているとともに、前記電磁放射ピンに応答して第2電磁放射リターン信号を生成することによって、前記容器の前記対応する部分における前記アイテムの変形の不在を示すように構成されている、
付記8記載の容器。
[付記10]
前記第1電磁放射リターン信号は、第1周波数を有し、前記第2電磁放射リターン信号は、前記第1周波数と異なる第2周波数を有する、
付記9記載の容器。
[付記11]
前記アイテムは、流体を含み、3D炭素含有構造の前記アセンブリは、前記容器内の前記流体の閾値充填レベルと関連して前記容器の前記表面のエリアに印刷されている、
付記1記載の容器。
[付記12]
前記電磁放射リターン信号は、前記容器内の前記流体の量が前記閾値充填レベルを超えるかどうかを示す、
付記11記載の容器。
[付記13]
前記共振部分は、前記閾値充填レベルを超える前記容器内の前記流体の量に基づいて、第1共振周波数において前記電磁放射リターン信号を生成するように構成されているとともに、前記閾値充填レベルを超えない前記容器内の前記流体の前記量に基づいて、前記第1共振周波数とは異なる第2共振周波数において前記電磁放射リターン信号を生成するように構成されている、
付記11記載の容器。
[付記14]
前記ユーザーデバイスはスマートフォン、無線周波数識別(RFID)リーダ、又は近距離無線通信(NFC)デバイスである、
付記1記載の容器。
[付記15]
前記アイテムの前記状態を表示するように構成された電気泳動インクディスプレイをさらに備える、
付記1記載の容器。
[付記16]
アイテムを格納するように構成された容器であって、
前記容器の容積を画定する表面と、
前記容器の前記表面に印刷された三次元炭素含有構造(3D炭素含有構造)のアセンブリを含む電磁状態センシングデバイスであり、前記電磁状態センシングデバイスは、前記容器の第1表面エリアに第1共振部分を有し、ユーザーデバイスから発せられる電磁放射ピンに応答して、第1電磁放射リターン信号を生成するように構成されており、前記第1電磁放射リターン信号は、前記第1表面エリアの近位にある前記容器の第1部分における前記アイテムの存在を示し、前記容器の第2表面エリアに第2共振部分を有し、前記ユーザーデバイスから発せられる前記電磁放射ピンに応答して、第2電磁放射リターン信号を生成するように構成されており、前記第2電磁放射リターン信号は、前記第2表面エリアの近位にある前記容器の第2部分における前記アイテムの存在を示す、電磁状態センシングデバイスと、
を備える容器。
[付記17]
前記アイテムは流体であって、前記第1共振部分及び前記第2共振部分は、前記電磁放射ピンに応答して前記容器内の前記流体の量を示すように構成されている、
付記16記載の容器。
[付記18]
前記第1共振部分は、前記容器の前記流体の充填レベルが前記容器の前記第1部分の上方にある場合に、前記電磁放射ピンに応答して第1周波数において共振するように構成されているとともに、前記容器の前記流体の充填レベルが前記容器の前記第1部分の下方にある場合に、前記電磁放射ピンに応答して第2周波数において共振するように構成されている
前記第2共振部分は、前記容器の前記流体の前記充填レベルが前記容器の前記第2部分の上方にある場合に、前記電磁放射ピンに応答して第1周波数において共振するように構成されているとともに、前記容器の前記流体の充填レベルが前記容器の前記第2部分の下方にある場合に、前記電磁放射ピンに応答して前記第2周波数において共振するように構成されている、
付記17記載の容器。
[付記19]
3D炭素含有構造の前記アセンブリの共振周波数は、少なくとも部分的に、前記アイテムの1つ以上の物理的特性に基づく、
付記16記載の容器。
[付記20]
3D炭素含有構造の前記アセンブリの共振周波数は、少なくとも部分的に、前記容器の透磁率に基づく、
付記16記載の容器。