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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】筆キャップ
(51)【国際特許分類】
   B43K 23/12 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
B43K23/12 110
B43K23/12 100
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023207542
(22)【出願日】2023-12-08
【審査請求日】2023-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522232868
【氏名又は名称】寺田 嘉枝子
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 嘉枝子
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-010523(JP,U)
【文献】特開2001-240510(JP,A)
【文献】登録実用新案第3030830(JP,U)
【文献】[NijiPico] メイクブラシケース 10本収納 化粧ポーチ 巻き型 PU 旅行 持ち運び (グレー),日本,2023年02月22日,https://www.amazon.co.jp/NijiPico-メイクブラシケース-10本収納-化粧ポーチ-持ち運び/dp/B0BWJNWMBP?th=1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00-40/30
B43K 23/00-23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧ブラシを含む筆における複数の毛が束ねられた穂部に被せられる筆1本用の筆キャップであって、
渦巻き状巻回状態とされたシート状弾性部材と、
シート状に形成されているとともに前記シート状弾性部材における巻回の内側面に貼り付けられて前記シート状弾性部材と一体となって前記巻回状態とされた保湿部材と、
を有し、
前記シート状弾性部材は、外力が印加されていない状態で弾性力のみで前記渦巻き状の周方向の一端部の内側に重なる周方向の他端部を有し、かつ前記筆に被せられた状態で前記筆の前記穂部を前記弾性力のみで保持する、
筆キャップ。
【請求項2】
化粧ブラシを含む筆における複数の毛が束ねられた穂部に被せられる筆1本用の筆キャップであって、
渦巻き状の巻回状態とされたシート状弾性部材と、
袋状に形成されているとともに前記シート状弾性部材を収容して前記シート状弾性部材と一体となって前記巻回状態とされた保湿部材と、
を有し、
前記シート状弾性部材は、外力が印加されていない状態で弾性力のみで前記渦巻き状の周方向の一端部の内側に重なる周方向の他端部を有し、かつ前記筆に被せられた状態で前記筆の前記穂部を前記弾性力のみで保持する、
筆キャップ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の筆キャップであって、
前記筆が、軸部と、前記軸部から前記穂部に向けて徐々に太くなる接続部を有し、
前記筆キャップの軸方向長さは、前記軸部の長さに前記接続部の長さを加えた長さよりも短く、前記穂部の長さよりも長く、
前記筆キャップの内径は、外力が印加されていない状態で前記接続部の最大外径よりも小さい、
筆キャップ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の筆キャップであって、
前記保湿部材は、天然シルク繊維または人工シルク繊維の少なくとも一方を含むシルク含有部材であり、
前記シート状弾性部材は、樹脂製であり、
前記シート状弾性部材と前記保湿部材が一体となって前記巻回状態とされる外側面には、文字、数字、記号、または図柄、の少なくとも一つを用いた装飾が施されている、あるいは、前記装飾が施されたシート状の装飾部材が貼り付けられている、
筆キャップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧ブラシを含む筆における複数の毛が束ねられた穂部に被せられる筆キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の毛が束ねられた穂部を有する種々の筆が、化粧ブラシ(メイクブラシ等の化粧用の筆)、画筆(絵画用の筆)、書筆(書道用の筆)、塗装筆(塗装用の筆)などに利用されている。そして、これらの筆の穂部に被せられる種々の筆キャップが開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、合成樹脂製、かつ、両端に開口部を有する筒状の筆キャップが開示されている。そして当該筆キャップは、筆の軸部よりも柔らかい材質であり、内面の断面形状が多角形状に形成され、筆キャップの内接円は、筆の軸部の外接円よりも0.5[mm]~1.50[mm]だけ小さく形成されて容易に抜けないようにされている。
【0004】
また例えば特許文献2には、両端に開口部を有する円筒状に形成された筆キャップが開示されている。そして当該筆キャップは、筆の軸部に固定される固定部と、穂先(穂部)を収納する穂先収納部とを有しており、固定部の内径よりも穂先収納部の内径のほうが大きく形成されている。そして当該筆キャップは、固定部が蛇腹状に形成されており、筆の軸部の径に応じて蛇腹を伸縮させることで蛇腹の内径が可変とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-208710号公報
【文献】実開平5-41873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の筆キャップは、装着時に筆の軸部から容易に抜けないように、内接円の内径が筆の軸部の外径よりも0.5[mm]~1.5[mm]だけ小さく設定されている必要がある。つまり、装着する筆の軸部の径に制限があり、軸部の径が異なる種々の筆に装着できるものではなく、軸部の径に応じた筆キャップを用意しなければならない。また特許文献2に記載の筆キャップは、筆の軸部に固定される固定部が蛇腹状とされており、蛇腹を伸縮させることで、筆の軸部の径に応じて内径を可変であるが、可変の範囲は小さい。また蛇腹構造は形状が複雑であり、単純な円筒形状と比較して製造に手間がかかる。
【0007】
また筆の穂部に筆キャップを装着した際、穂部の周囲の空間が、湿度が高過ぎる状態であると穂部にカビ等が発生する場合がある。また穂部の周囲の空間が、湿度が低過ぎる状態(乾燥状態)であると穂部の毛がパサついて穂部の劣化を早めてしまう場合がある。従って、穂部の周囲の空間の湿度を、高過ぎず、かつ、低過ぎず、適度な湿度である保湿状態にすることが好ましい。特に、筆の穂部を構成している複数の毛が天然毛または人工毛の少なくとも一方を含んでいる場合、穂部の周囲の空間を、適度な湿度である保湿状態にすることが、より好ましい。
【0008】
特許文献1及び特許文献2に記載の筆キャップは、穂先側の先端が開口しているので、筆キャップ内の湿度が高くなり過ぎず、カビなどの発生を抑制できる。しかし、樹脂等の筆キャップの先端を開口させているだけなので、筆キャップ内が乾燥してしまい、湿度が低過ぎない保湿状態に保持することはできない。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、化粧ブラシを含む筆における複数の毛が束ねられた穂部に被せられる筆キャップにおいて、よりシンプルな構造にて種々の径の筆に装着可能であり、穂部の周囲の空間を、高過ぎない湿度、かつ、低過ぎない湿度である、適度な湿度の保湿状態にすることができる筆キャップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、第1の発明は、化粧ブラシを含む筆における複数の毛が束ねられた穂部に被せられる筆キャップであって、所定の径を有するように筒状に重なる渦巻き状に巻回状態とされたシート状弾性部材と、シート状に形成されているとともに前記シート状弾性部材における巻回の内側面に貼り付けられて前記シート状弾性部材と一体となって前記巻回状態とされた保湿部材、または、袋状に形成されているとともに前記シート状弾性部材を収容して前記シート状弾性部材と一体となって前記巻回状態とされた保湿部材と、を有する、筆キャップである。
【0011】
次に、第2の発明は、上記第1の発明に係る筆キャップであって、前記保湿部材は、天然シルク繊維または人工シルク繊維の少なくとも一方を含むシルク含有部材である、筆キャップである。
【0012】
次に、第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係る筆キャップであって、前記シート状弾性部材は、弾性力を有する樹脂シートである、筆キャップである。
【0013】
次に、第4の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係る筆キャップであって、前記シート状弾性部材と前記保湿部材が一体となって前記巻回状態とされる外側面には、文字、数字、記号、または図柄、の少なくとも一つを用いた装飾が施されている、あるいは、前記シート状弾性部材と前記保湿部材が一体となって前記巻回状態とされる外側面には、文字、数字、記号、または図柄、の少なくとも一つを用いた装飾が施されたシート状の装飾部材が貼り付けられており、前記装飾部材と前記シート状弾性部材と前記保湿部材が一体となって前記巻回状態とされている、筆キャップである。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、筆キャップは、シート状弾性部材の巻回の内側面に、シート状に形成された保湿部材が貼り付けられており、シート状弾性部材と保湿部材が一体となって、筒状に重なる渦巻き状に巻回状態とされている。または、袋状に形成された保湿部材にシート状弾性部材が収容されて、シート状弾性部材と保湿部材が一体となって、筒状に重なる渦巻き状に巻回状態とされている。従って、筒状の筆キャップの径はシート状弾性部材によって可変であり、種々の径の筆の穂部に装着可能である。そして筆キャップは、上記のとおり構造は非常にシンプルである。また、筒状に渦巻き状に巻回状態とされた筆キャップは上面及び底面が無く開口しており、かつ、筆キャップが装着された穂部は保湿部材に囲まれる。このため、筆キャップが装着された穂部の周囲の空間は、開口によって高過ぎない湿度となり、かつ、保湿部材によって低過ぎない湿度となる。つまり、筆キャップは、穂部の周囲の空間を、高過ぎない湿度、かつ、低過ぎない湿度である、適度な湿度の保湿状態にすることができる。
【0015】
第2の発明によれば、保湿部材を適切、かつ、比較的容易に実現することができる。
【0016】
第3の発明によれば、シート状弾性部材を適切、かつ、比較的容易に実現することができる。
【0017】
第4の発明によれば、筆の種類に対応させて異なる装飾の筆キャップを装着することで、筆キャップによって穂部が隠されて筆の種類がわからない場合であっても、装飾にて筆の種類を特定できるので、ユーザにとって便利である。また、装飾によって見栄えをよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施の形態の筆キャップを構成するシート状弾性部材とシート状に形成された保湿部材の外観の例を説明する図である。
図2】シート状弾性部材と保湿部材が一体となって筒状に重なる渦巻き状に巻回状態とされた筆キャップ(外力が印加されていない状態の筆キャップ)の外観の例を説明する図である。
図3図2に示す筆キャップに外力Fを印加して拡径した状態の筆キャップの外観の例を説明する図である。
図4】筆キャップを筆に装着する手順の例を説明する図である。
図5図4に示す状態から筆キャップの装着を進めていった例を説明する図である。
図6図5に示す状態からさらに筆キャップの装着を進め、穂部への装着が完了した状態の例を説明する図である。
図7図6に示す筆キャップの装着完了状態から筆キャップを取り外す手順の例を説明する図である。
図8図6に示す筆キャップの装着完了状態における断面図である。
図9】筆キャップを装着する前の筆の写真であって、乾燥等により穂部の毛がパサついた状態の筆の写真である。
図10図9に示す筆に、筆キャップを約1[日]装着した後の筆の写真である。
図11】筆キャップを装着する前の穂部の毛の光学顕微鏡写真であって、乾燥等によりキューティクルが傷んだ状態の穂部の毛の光学顕微鏡写真である。
図12図11の毛を、筆キャップを模したシルク布に10[分]包んだ後の光学顕微鏡写真であって、筆キャップを模したシルク布によってキューティクルが整った状態の穂部の毛の光学顕微鏡写真である。
図13】軸部の径が異なる種々の筆に、筆キャップを装着できる例を説明する図である。
図14図1に対して、装飾を施したシート状の装飾部材を、シート状弾性部材の外周側の面に取り付ける例を説明する図である。
図15】第2の実施の形態の筆キャップを構成するシート状弾性部材と袋状に形成された保湿部材の外観の例を説明する図である。
図16】第2の実施の形態の筆キャップを筆に装着する様子を説明する図である。
図17図16に対して、筆キャップが、軸部よりも径が大きくなる接続部の個所を移動する際、袋状の保持部材がシート状弾性部材のまわりを回転する様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施の形態の筆キャップ1の構造と外観(図1図3)>
以下に本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。まず図1図14を用いて第1の実施の形態の筆キャップ1について説明する。第1の実施の形態の筆キャップ1は、図1に示すように保湿部材3がシート状であり、当該保湿部材3がシート状弾性部材2の内側面に貼り付けられている。図1及び図2に示すように、第1の実施の形態の筆キャップ1は、シート状弾性部材2と、シート状に形成された保湿部材3と、を有している。
【0020】
シート状弾性部材2は、図1に示すように、例えば矩形の樹脂シートであり、弾性力を有するシート状の部材である。なお長さL2及び幅W2は、図6に示すように筆10の穂部13に装着可能な適切な寸法に設定され、それぞれ約数[cm]~10数[cm]程度である。なお、形状は矩形に限定されるものではない。またシート状弾性部材2の厚さは、図2に示す形状を維持可能な適切な厚さ、かつ、図3に示すように外力Fの印加(ユーザが手で外力Fを印加)により径を容易に変更可能な適切な厚さに設定されている。
【0021】
保湿部材3は、図1に示すように、例えば矩形のシルク含有部材であり、保湿機能を有するシート状の部材である。シルク含有部材は、天然シルク繊維または人工シルク繊維の少なくとも一方を含む布(織物、不織布など)または軟らかい紙等であり、シルクによって適度な吸湿性と適度な放湿性を有することで保湿機能を有している。また長さL3はシート状弾性部材2の長さL2以下(L3≦L2)に設定され、幅W3はシート状弾性部材2の幅W2以下(W3≦W2)に設定されている。なお、形状は矩形に限定されるものではない。
【0022】
そして保湿部材3は、シート状弾性部材2における巻回の内側面(図2図3参照)に接着剤や両面テープ等にて貼り付けられて、シート状弾性部材2と一体とされている。なお、上記のように(L3≦L2)、(W3≦W2)と設定され、保湿部材3はシート状弾性部材2からはみ出さないように貼り付けられている。
【0023】
保湿部材3が巻回の内側面に貼り付けられたシート状弾性部材2は、図2に示すように、所定の径D1(例えば約数[mm]程度の径)を有するように、筒状に重なるように保湿部材3と一体となって渦巻き状(または螺旋状)に巻回状態とされて筆キャップ1とされている。筆キャップ1は、図2に示すように、外力が印加されていない状態では、中心軸線1z回りに重なる渦巻き状(または螺旋状)に巻回状態とされた筒状となる。また筆キャップ1は、図3に示すように外力Fを印加することで、拡径状態(径D2≧径D1)にすることができる。これにより、異なる径の種々の筆に装着が可能となる。
【0024】
<筆キャップ1を筆10に装着する手順の例と、取り外す手順の例(図4図7)>
次に図4図6を用いて、図2に示す筆キャップ1を、筆10に装着する手順の例について説明する。なお筆10は、複数の毛が束ねられた穂部13、ユーザが把持する軸部11、軸部11と穂部13を接続する接続部12等を有している。なお筆10は、接続部12が省略されて軸部11の先端に穂部13が取り付けられた筆であってもよい。
【0025】
筆には、化粧ブラシ(メイクブラシ)、画筆、書筆、塗装筆などの種々の筆があるが、本実施の形態の説明では、筆10が化粧ブラシである例を説明する。また本実施の形態の説明において筆キャップ1を装着する筆10は、天然毛または人工毛の少なくとも一方を含む複数の毛が束ねられた穂部を有する筆である。なお、天然毛は、例えば灰リスやイタチ等の動物の毛であり、人工毛は、例えばキューティクルを模した表面を有する人工的な毛である。
【0026】
図4に示すように、筆キャップ1を筆10に装着する場合、軸部11の後端部が先細り形状や半球面状となっている場合は、筆キャップ1を拡径する必要は無く、ユーザが先細り形状や半球面状の軸部11の後端部を筆キャップ1の渦巻き状の中央部の孔の個所に押し込んでいけば自動的に筆キャップ1が拡径されていく。
【0027】
なお、軸部11の後端部が先細り形状や半球面状でない場合(例えば平面状の場合)、ユーザは、筆キャップ1の渦巻き状の中央部の孔の個所に、軸部11を筆キャップ1に対して傾斜させて軸部11の後端部の円弧状の縁部を押し当てることで、筆キャップ1を拡径させることができる。筆キャップ1が拡径したら、筆キャップ1に対して傾斜させた軸部11の傾斜角度を徐々に小さくしながら押し込んでいけばよい。もちろん、筆キャップ1の内径D4が筆10の軸部11の外径D3よりも大きくなるように、ユーザ自身の手で外力Fを印加(図3参照)して筆キャップ1を拡径して軸部11の後端部を差し込んでもよい。
【0028】
図5に示すように、次にユーザは、軸部11が差し込まれた筆キャップ1を、軸部11に沿って穂部13の方向に移動させる。筆キャップ1の内壁側の保湿部材3(図4図6参照)がシルク含有部材である場合、滑りが良く、移動は容易である。
【0029】
図6に示すように、次にユーザは、軸部11に沿って穂部13の方向に移動させた筆キャップ1が穂部13の全体を覆う位置まで移動させ、筆キャップ1の装着を完了させる。穂部13の複数の毛が延びる方向に沿って筆キャップ1を移動させているので、穂部13の毛が乱れることは無い。また、穂部13及び接続部12の径に応じて筆キャップ1が自動的に拡径し、筆キャップ1の縮径する弾性力にて筆キャップ1は穂部13に保持される。なお図6に示す状態は、穂部13に筆キャップ1が被せられて(穂部13の全体と接続部12の少なくとも一部に筆キャップ1が被せられて)、筆10の穂部13への筆キャップ1の装着が完了した状態を示している。
【0030】
図7に示すように、筆10に装着されている筆キャップ1(図6参照)を取り外す場合、ユーザは、筆キャップ1を穂部13の複数の毛が延びる方向に沿って引き抜く。穂部13の複数の毛が延びる方向に沿って筆キャップ1を移動させているので、穂部13の毛が乱れることは無い。
【0031】
上記の通り、筆キャップ1を筆10の穂部13に装着する際の筆キャップ1の移動方向、及び穂部13に装着された筆キャップ1を取り外す際の筆キャップ1の移動方向は、どちらも穂部13の毛が延びる方向であるので、穂部13の毛が乱れることは無い。また、筆キャップ1の内壁側の保湿部材3がシルク含有部材である場合、摩擦が少なく滑りが良く、かつ、静電気も発生しにくい。
【0032】
<筆キャップ1の装着状態(図8)と、筆キャップ1の装着前と装着後の筆の状態の例(図9図12)>
図8は、穂部13への筆キャップ1の装着が完了した状態(図6参照)において、筆キャップ1を軸部11の長手方向に沿って切断した断面を示している。
【0033】
筒状の筆キャップ1の内壁面には保湿部材3が貼り付けられているので、穂部13の周囲は保湿部材3にて囲まれた保湿空間20となっている。また筆キャップ1は、図2に示すように筒状であり上面及び底面を有していないので、筆キャップ1内の保湿空間20は、穂部13の先端の側の開口にて、筆キャップ1の外側空間と連通している。
【0034】
一般的にシルクは吸湿性が高いので、保湿部材3がシルク含有部材である場合、上記の筆キャップ1の開口もあることで、保湿空間20内の湿度は高過ぎる状態にはならない。また一般的にシルクは放湿性も高いので、保湿部材3がシルク含有部材である場合、保湿空間20内の湿度は低すぎる状態(乾燥状態)にはならない。保湿空間20内の湿度は、高過ぎず、かつ、低過ぎず、適度な湿度が保持される(保湿状態とされる)。また一般的にシルクは静電気が発生しにくいので、保湿部材3がシルク含有部材である場合、穂部13の毛が静電気で広がることが抑制される。
【0035】
また筆10は保管されている際、種々の埃が穂部13に付着する。筆キャップ1を装着することなく筆10を保管した場合、穂部13に付着した埃が穂部13から吸湿して穂部13が乾燥しやすいので好ましくない。しかし、筆キャップ1を装着して筆10を保管した場合、穂部13に付着した埃が穂部13から吸湿しても、上述したように、保湿部材3によって形成された保湿空間20内は乾燥状態にならない適度な湿度が保持される。つまり保湿部材3は、保管されている筆10の周囲空間が乾燥している場合における穂部13の乾燥を防ぐだけでなく、穂部13に付着した埃の吸湿による穂部13の乾燥も防ぐことができる。なおシルクは、保湿だけではなく最も動物の毛に似た性質を有している。例えば動物の髪や毛を有する穂部をシルク布で覆った場合、髪や毛の細胞に安心感を与える。生命体の一部であった髪や毛を有する穂部の細胞は、人工物とは異なり、宿主の動物から離れても以前のままの性質がつづく。その為、例えば髪や毛を有する穂部は、変化の激しい環境にさらされるよりも、自身と似た性質のものに包まれると、自ら以前の正常かつ美しい状態に戻る。
【0036】
図9は、筆キャップ1を装着する前の2本の筆(この例は2本のメイクブラシ)の写真である。どちらの筆も、乾燥等により穂部の毛(この例では天然毛)が傷んでパサついた状態であり、接続部に近い側の穂部の幅よりも接続部から遠い側の穂部の幅が広がっている。
【0037】
図10は、図9に示す2本の筆のそれぞれに筆キャップ1を約1[日]装着した後、筆キャップ1を取り外した状態の写真である。穂部の毛が傷んで先端が広がっていた図9の写真と比較して、図10では穂部の先端の広がりがほぼ無くなり、穂部の毛がしっとりとまとまった状態へと改善されている。
【0038】
図11は、乾燥等によって傷んだ穂部の毛(この例では天然毛)の光学顕微鏡写真である。傷んだ穂部の毛は、いわゆるキューティクルが傷んで開いてしまっているため表面に比較的大きな凹凸が有り、見た目もザラザラとしており、様々な角度の面から、様々な色の光が乱反射され、当該乱反射によって模様のように見える。図11に示す写真では、複数の白点が乱反射の反射光である(実際のカラー写真では、白色の点だけでなく種々の色の点が写っている)。上記の凹凸により、略円柱状の毛における様々な角度の位置から様々な色の光が乱反射しており、いわゆるパサパサ状態の傷んだ毛であることがわかる。
【0039】
図12の毛は、図11の毛と同じ毛である。図12は、図11の毛を、筆キャップ1を模したシルク布で10[分]包んだ後の光学顕微鏡写真である。図12の写真からわかるように、筆キャップ1を模したシルク布の保湿効果等によりいわゆるキューティクルが整って表面の凹凸がほとんど無くなり、見た目もツルツルとしてほぼ一色に写っており、光の乱反射が格段に少なくなっている。図12に示す写真では、毛の表面に凹凸がほとんど無いので、図11の写真と比較して、略円柱状の毛における様々な角度の位置からの光の乱反射が無く、一本の鋼線のように見えており、いわゆるツヤツヤの健康状態の毛であることがわかる。
【0040】
<穂部の径が異なる種々の筆に筆キャップを装着した例(図13)>
図13は、穂部の径(穂部及び接続部の径)が異なる種々の筆に筆キャップを装着した例を示している。図13は、穂部の径が異なる筆10a、筆10b、筆10cに対して同じ筆キャップ1aを装着し、筆10dに対して筆キャップ1bを装着し、穂部の径が異なる筆10e、筆10fに対して同じ筆キャップ1cを装着した例を示している。
【0041】
筆10a、筆10b、筆10cは、例えば一般的なメイクブラシであり、穂部13a、13b、13cの径が異なっている。筆キャップ1aは、シート状弾性部材2(図2図3参照)にて径が可変であるので、筆キャップ1aを、穂部の径が異なる筆10a、筆10b、筆10cに装着可能であり、それぞれの穂部の毛を保湿状態に保持できる。
【0042】
また筆10d(いわゆるハケ)は穂部13dの径(または穂部13d及び接続部12dの幅)が非常に大きい例であり、筆10a~筆10cに装着した筆キャップ1aを装着できないので、この場合は穂部13dの径(または幅)に応じた筆キャップ1bを用意すればよい。筆がハケ状であっても、筆キャップを装着可能であり、穂部の毛を保湿状態に保持できる。この場合、ユーザは、例えば筆キャップ1bを自身の手で拡径して一方端を穂部13d及び接続部12dに引っ掛けて他方端の側をぐるりと巻回するように装着すればよい。
【0043】
また筆10eは書筆(書道用の筆)に筆キャップ1cを装着した例であり、筆10fは画筆(絵画用の筆)に筆キャップ1cを装着した例である。筆10e、筆10fは筆の種類が異なり穂部の径も異なるが、筆キャップは径が可変であるので、どちらの筆にも筆キャップ1cを装着可能であり、穂部の毛を保湿状態に保持できる。
【0044】
<筆キャップ1への装飾(図13図14)>
なお、図13に示すように、筆キャップ1a~1cを装着した場合、各筆の穂部は筆キャップによって隠されてしまう。このため、例えば軸部のサイズや色が同じであるが穂部の形状やサイズが異なるメイクブラシA、B、Cのそれぞれに筆キャップを装着した場合、ユーザは、どの筆がメイクブラシAであるか、わからなくなる可能性がある。そこで、筆キャップにおける渦巻き状に巻回状態とされるシート状弾性部材2(図2参照)の外側面に、文字、数字、記号、または図柄、の少なくとも一つを用いた装飾を施しておく。筆キャップごとに異なる装飾としておけば、ユーザは、筆キャップにて穂部が隠れていても、筆キャップの装飾を見て、メイクブラシA、B、Cを区別できる。また、美しい装飾が施された筆キャップは見栄えも良い。
【0045】
あるいは、シート状弾性部材2と保湿部材3が一体となって渦巻き状に巻回状態とされる外側面に、図14に示すように、文字、数字、記号、または図柄、の少なくとも一つを用いた装飾が施されたシート状の装飾部材4を貼り付けた筆キャップ1xとしてもよい。この場合、装飾部材4とシート状弾性部材2と保湿部材3とが一体となって巻回状態とされる。
【0046】
<第2の実施の形態の筆キャップ1y(図15)>
次に図15を用いて、第2の実施の形態の筆キャップ1yについて説明する。図15に示すように、第2の実施の形態の筆キャップ1yは、開口部5aを有して袋状に形成された保湿部材5と、当該保湿部材5に収容されるシート状弾性部材2と、を有している。なおシート状弾性部材2は第1の実施の形態のものと同じであり、保湿部材5は形状が袋状であるが、材質などの形状以外のものは第1の実施の形態の保湿部材3と同じである。またシート状弾性部材2と、袋状の保湿部材5とは、接着されていてもよいが、接着されていなくてもよい。
【0047】
図15の例に示す保湿部材5は、紙面の右側及び左側の双方に開口部5aを有する内縫い式の袋状とされた例を示しているが、紙面の右側のみに開口部5aを有する袋状(内縫い式または外縫い式)であってもよい。なお、図15の例に示すように保湿部材5が紙面の左右の双方に開口部5aを有する場合、かつ、シート状弾性部材2と保湿部材5とが接着されていない場合では、図16に示すように、ユーザが筆キャップ1yを方向Faに沿って移動させていくと、軸部11よりも径が大きくなる接続部12の個所を移動させるとき、摩擦抵抗の増加によって図17の方向Fbに示すように袋状の保湿部材5がシート状弾性部材2のまわりを回転する。この回転によって、保湿部材5の新しい面(外側であった面)が内側に移動して装着された穂部13の周囲を囲むので、より好ましい。
【0048】
また、シート状弾性部材2と保湿部材5が一体となって渦巻き状に巻回状態とされる保湿部材5の外側面に、文字、数字、記号、または図柄、の少なくとも一つを用いた装飾を施してもよい。
【0049】
また、シート状弾性部材2と保湿部材5が一体となって渦巻き状に巻回状態とされる外側面に、文字、数字、記号、または図柄、の少なくとも一つを用いた装飾が施されたシート状の装飾部材4(図14参照)を貼り付けてもよい。この場合、装飾部材4とシート状弾性部材2と保湿部材5とが一体となって巻回状態とされる。
【0050】
<筆キャップの効果など>
以上、本実施の形態にて説明した第1の実施の形態の筆キャップ1、1a~1c、1xは、周方向に重なるように筒状(渦巻き状)に巻回されるシート状弾性部材2と、シート状の形状とされて当該シート状弾性部材2における巻回の内側面に貼り付けられてシート状弾性部材2と一体となって巻回される保湿部材3と、を有する非常にシンプルな構造である。また第2の実施の形態の筆キャップ1yは、周方向に重なるように筒状(渦巻き状)に巻回されるシート状弾性部材2と、袋状に形成されて当該シート状弾性部材2を収容してシート状弾性部材2と一体となって巻回される保湿部材5と、を有する非常にシンプルな構造である。そして筆キャップ1、1a~1c、1x、1yは、このシンプルな構造にて渦巻き状に巻回状態とされた筒状の径(内径、外径)が可変であるので、異なる径の種々の筆に装着可能である。なお、筒状の形状は、略円筒状であってもよいし、多角形の筒状であってもよい。
【0051】
また筆キャップ1、1a~1c、1x、1yは、筆の穂部に装着された際、保湿部材3、5によって穂部の周囲を、高過ぎない湿度、かつ、低過ぎない湿度(乾燥状態とならない適切な湿度)である保湿状態にする。穂部の周囲の湿度が高過ぎるとカビ等が発生する場合があるので好ましくなく、穂部の周囲の湿度が低過ぎると穂部の毛がパサパサ状態となってキューティクルが傷むので好ましくない。筆キャップ1、1a~1c、1x、1yは、穂部の毛(天然毛または人工毛の少なくとも一方を含む毛)を、キューティクルが整って潤ったサラサラのツヤのある健康状態へと戻し、当該健康状態を保持できる。なお、穂部の毛が天然毛または人工毛のどちらも含まない化学繊維等である場合であっても、穂部の周囲を保湿状態にすることで、カビの発生やパサつきを抑制できる。
【0052】
また保湿部材3、5がシルク含有部材である場合、静電気の発生も抑制され、穂部の毛が静電気でパサつくことも抑制される。また保湿部材3、5がシルク含有部材である場合、紫外線も抑制されるので、穂部の毛が紫外線で傷むことも抑制される。また保湿部材3、5がシルク含有部材である場合、シルクには生体の肌を整えるタンパク質やアミノ酸もバランスよく含まれているので、穂部の毛(天然毛または人工毛の少なくとも一方を含む毛)を健康状態へと戻し、当該健康状態を保持できる。
【0053】
また、筆キャップ1、1a~1c、1x、1yを筆に装着する場合、及び装着された筆キャップ1、1a~1c、1x、1yを筆から取り外す場合、どちらの場合も穂部の毛の延びる方向に沿って筆キャップ1、1a~1c、1x、1yを移動させるので、穂部の毛が乱れることがない。また保湿部材3、5がシルク含有部材である場合、滑らかで摩擦も少なく、かつ、静電気も発生しにくいので、装着及び取り外しの際に穂部の毛が傷むことが抑制される。
【0054】
また筆を保管している際、筆の穂部に種々の埃が付着する場合が有り、本実施の形態にて説明した筆キャップを装着しなかった場合では当該埃が穂部から吸湿して穂部が乾燥するので好ましくない。しかし、本実施の形態にて説明した筆キャップを装着した場合では穂部に埃が付着していても保湿部材3(または保湿部材5)による保湿空間20(図8参照)にて穂部の周囲が適度な湿度(保湿状態)に保持されるので、穂部の毛(天然毛または人工毛の少なくとも一方を含む毛)を健康状態にすることができる。また、図7に示すように筆キャップを取り外す際には、筆キャップが弾性力で縮径して穂部の表面に保湿部材3(または保湿部材5)が接触しながら穂部の表面の埃を穂部の毛先方向に沿って拭き取るので便利である。
【0055】
また筆を保管する際、筆キャップを装着していなかった従来は、筆を横にして机上や皿上などに保管すると穂部の毛が机や皿に触れて傷む場合があった。このため従来は、穂部の毛が周囲に触れないように筆立てなどに入れて立てかけて保管していた。しかし本実施の形態にて説明した筆キャップを装着した場合、筆を横にして机上や皿上などに保管しても、穂部の毛が机や皿に触れて傷むことは無く、穂部の毛が乾燥等にてパサつくことも抑制される。
【0056】
また旅行などで筆を持ち出す際、筆キャップを装着していなかった従来は、筆入れなどに筆を入れて持ち出すと、穂部の毛が傷む場合があった。しかし本実施の形態にて説明した筆キャップを装着した場合、筆入れなどに複数の筆を入れて持ち出しても、穂部の毛が傷むことは無い。
【0057】
<その他>
本発明の、筆キャップ1、1a~1c、1x、1yは、本実施の形態で説明した構成、構造、形状、外観等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0058】
本実施の形態の説明では、シート状弾性部材2を樹脂シートで形成した例を説明したが、シート状の形状を有し、かつ、弾性力を有する部材で渦巻き状に巻回状態とされた筒状形状の径(内径、外径)が可変であればよく、シート状の金属などであってもよい。
【0059】
本実施の形態の説明では、保湿部材3、5を、天然シルク繊維または人工シルク繊維の少なくとも一方を含むシルク含有部材とした例を説明したが、シート状の形状または袋状の形状を有し、かつ、保湿機能を有する部材(適度な吸湿性と適度な放湿性を有する部材)であればよい。例えば天然や人工の綿繊維や、天然や人工のウール繊維を含む布(織物、不織布など)または柔らかい紙等であってもよい。
【0060】
本実施の形態の説明では、穂部の毛が天然毛または人工毛の少なくとも一方を含む筆の例を説明したが、穂部の毛が天然毛も人工毛も含まない化学繊維等の筆であっても、筆キャップ1、1a~1c、1x、1yを装着可能である。そして穂部の毛が天然毛も人工毛も含まない化学繊維等の筆であっても、筆キャップ1、1a~1c、1x、1yは、種々の径の筆に装着可能であり、穂部の周囲を高過ぎない湿度、かつ、低過ぎない湿度(乾燥状態とならない湿度)である保湿状態にして、穂部へのカビの発生や穂部がパサつくことを抑制できる。
【符号の説明】
【0061】
1、1a、1b、1c、1x、1y 筆キャップ
1z 中心軸線
2、2a、2b、2c シート状弾性部材
3、3a、3b、3c 保湿部材
4 装飾部材
5 保湿部材
5a 開口部
10、10a、10b、10c 筆
11、11a、11b、11c 軸部
12、12a、12b、12c 接続部
13、13a、13b、13c 穂部
20 保湿空間
【要約】
【課題】化粧ブラシを含む筆における複数の毛が束ねられた穂部に被せられる筆キャップにおいて、よりシンプルな構造にて種々の径の筆に装着可能であり、穂部の周囲の空間を、高過ぎない湿度、かつ、低過ぎない湿度である、適度な湿度の保湿状態にすることができる筆キャップを提供する。
【解決手段】化粧ブラシを含む筆10における複数の毛が束ねられた穂部13に被せられる筆キャップ1であって、所定の径を有するように筒状に重なる渦巻き状に巻回状態とされたシート状弾性部材2と、シート状に形成されてシート状弾性部材2における巻回の内側面に貼り付けられてシート状弾性部材2と一体となって巻回状態とされた保湿部材3、または、袋状に形成されてシート状弾性部材を収容してシート状弾性部材と一体となって巻回状態とされた保湿部材と、を有する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17