(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】医薬組成物及び調製方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/444 20060101AFI20240520BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240520BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240520BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240520BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240520BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240520BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240520BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
A61K31/444
A61K9/16
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/38
A61P31/14
(21)【出願番号】P 2023502916
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2021094653
(87)【国際公開番号】W WO2022012152
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】202010693600.6
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520072718
【氏名又は名称】ジアンスー カニョン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU KANION PHARMACEUTICAL CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン フゥイ
(72)【発明者】
【氏名】グゥオ チィンミィン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェンジョン
(72)【発明者】
【氏名】グゥ シァシァ
(72)【発明者】
【氏名】フゥ シィアォリィェン
(72)【発明者】
【氏名】ドォン シュエホォン
(72)【発明者】
【氏名】ワン イェンチウ
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-509467(JP,A)
【文献】特表2017-513914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 31/00-31/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、前記医薬組成物が顆粒剤であり、前記顆粒剤は、
2-(2-アミノピリジン-4-イル)-5-(5-((5-(2-エチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-オキシ)-3,3-ジメチルペンチル)-1,2,5-チアジアゾリジン1,1-二酸化物又はその薬学的に許容される塩を含む有効成分と、
賦形剤と懸濁化剤とを含む添加剤と、を含み、
前記懸濁化剤は、ポビドンを含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
前記懸濁化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナンまたはクロスポビドン(CL-M)の1つまたはいくつかの種類をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記薬学的に許容される塩は、塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、
シュウ酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、またはトリフルオロ酢酸塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ポビドンは、ポビドンK30またはポビドンK90を含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物は、可溶化剤をさらに含み
、前記可溶化剤はポロキサマー188および/またはポリソルベート80であり
、前記可溶化剤は、前記医薬組成物の総重量の0.5%~2.0%を占めることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記賦形剤は、スクロース、マンニトール、ソルビトール、キシリトールのうちの1つまたはいくつかの種類を含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記添加剤は、香料をさらに含み、
前記香料は、ミカン香料、イチゴ香料、バナナ香料のうちの1つまたはいくつかの種類を含み
、前記香料は、前記医薬組成物の総重量
の1.0%
以下を占めることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記有効成分は、前記医薬組成物の総重量の1.0%~3.0%を占め、前記賦形剤は、前記医薬組成物の総重量の60%~98%を占め、前記懸濁化剤は、前記医薬組成物の総重量の0.3~2.0%を占めることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の医薬組成物の調製方法であって、
a)粘着剤を得ることと、
b)前記有効成分と前記添加剤とを比例に従って混合し、前記粘着剤を添加して造粒することと、
c)動的乾燥することと、
d)整粒して最終混合することと、を含むことを特徴とする医薬組成物の調製方法。
【請求項10】
前記医薬組成物が顆粒剤から選ばれる場合、前記方法は、
a)ポロキサマー188 0.4部とポビドンK90 0.3部を80%エタノール溶液に添加して均一に混合し、粘着剤とすることと、
b)2-(2-アミノピリジン-4-イル)-5-(5-((5-(2-エチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-オキシ)-3,3-ジメチルペンチル)-1,2,5-チアジアゾリジン1,1-二酸化物塩酸塩、マンニトール、ソルビトールおよびクロスポビドン(CL-M)を重量比1:26:12:0.4部で秤量し、均一に混合した後、前記粘着剤を添加して練合物を得、20メッシュのふるいにかけて造粒することと、
c)50℃で乾燥することと、
d)20メッシュのふるいにかけて整粒し、整粒後の顆粒に香料を添加して最終混合して包装することと、を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬製剤分野に属し、より具体的には、子供の手足口病を治療する医薬組成物及び調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
手足口病(HFMD)は腸管ウイルスによる世界的な伝染病であり、主な病原ウイルスは腸管ウイルス71型(EV71)、コクサッキーA16型(CoxA16)及びその他の腸管ウイルスを含み、その中でEV71による危害は最も厳しい。手足口病は乳児や児童、特に5歳以下の幼児に多発し、成人層では発症が少ないが、免疫不全の患者も感染する可能性がある。発病時、手、足、口部の水疱を典型的な特徴とし、また、発熱、頭痛、喉の痛み、皮疹などの症状を伴い、重症者は心筋炎、肺水腫、無菌性髄膜炎、ひいては致死性肺塞栓または大出血を合併する可能性があり、個別の重症患児は病状の進行が速く、死亡率が高い。
【0003】
当該化合物は、少なくとも二つの先行技術文献「中国特許出願公開第105085512号明細書と中国特許出願公開第106661009号明細書」に記載されており、両者とも化合物の構造と、エンテロウイルス71型によって引き起こされる手足口病の治療における使用、および調製方法を開示している。具体的には、中国特許出願公開第106661009号明細書の9ページの発明内容に、最後の化学式が化合物の構造を開示し、その実施例75F(100ページ)に、化合物の製造方法と1H NMRスペクトルが開示されている。中国特許出願公開第105085512号明細書の段落0055の最後の化学式が化合物の構造式を開示し、化合物の製造方法および1H NMRスペクトルが段落1168~1171に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、子供の手足口病を治療するための、安定性が良好で、溶解が迅速な医薬組成物及びその調製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には、本発明に係る医薬組成物は、
2-(2-アミノピリジン-4-イル)-5-(5-((5-(2-エチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-オキシ)-3,3-ジメチルペンチル)-1,2,5-チアジアゾリジン1,1-二酸化物又はその薬学的に許容される塩を含む有効成分と、
賦形剤と懸濁化剤とを含む添加剤と、を含み、前記懸濁化剤がポビドンを含む。
【0006】
さらに、前記懸濁化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナンまたはクロスポビドン(CL-M)の1つまたはいくつかの種類をさらに含む。
【0007】
具体的には、前記薬学的に許容される塩は、塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、またはトリフルオロ酢酸塩を含む。
【0008】
オプションとして、前記ポビドンは、ポビドンK30またはポビドンK90を含む。
【0009】
さらに、前記懸濁化剤のポビドンK90の含有量は、組成物の総重量に基づく0.3~2.0%、好ましくは0.5~1.5%から選ばれる。
【0010】
さらに、前記懸濁化剤のクロスポビドン(CL-M)の含有量は、組成物の総重量に基づく0.5~2.0%、好ましくは0.8~1.5%から選ばれる。
【0011】
さらに、前記医薬組成物は、可溶化剤をさらに含む。好ましくは、前記可溶化剤はポロキサマー188及び/又はポリソルベート80及び/又はtween80であり、好ましくは、前記可溶化剤は、前記医薬組成物の総重量の0.5%~2.0%を占め、より好ましくは、0.8~1.5%を占める。
【0012】
さらに、前記賦形剤は、スクロース、マンニトール、ソルビトール、キシリトールのうちの1つまたはいくつかの種類を含む。
【0013】
好ましくは、前記賦形剤は、マンニトールとソルビトールとを含み、好ましくは、前記マンニトールとソルビトールの重量比は1:1~3:1である。
【0014】
さらに、前記添加剤は香料をさらに含み、前記香料はミカン香料、イチゴ香料、バナナ香料のうちの1つまたはいくつかの種類を含み、好ましくは、前記香料は前記医薬組成物の総重量の0%~1.0%を占め、より好ましくは、0.1~0.5%を占める。
【0015】
さらに、前記有効成分は前記医薬組成物の総重量の1.0%~3.0%を占め、前記賦形剤が前記医薬組成物の総重量の60%~98%を占め、前記懸濁化剤は前記医薬組成物の総重量の0.3~2.0%を占める。前記医薬組成物が顆粒剤である場合、1袋当たりの有効成分含有量は、具体的には0.1~200mgであり、好ましくは1~100mgであり、より好ましくは10~100mgであり、さらに好ましくは50mgである。
【0016】
さらに、前記賦形剤は組成物の総重量の80%~95%を占める。
【0017】
さらに、本発明に係る医薬組成物は、化合物A1部、マンニトール26部、ソルビトール12部、ポビドンK30またはポビドンK90 0.2~0.3部を含む。
【0018】
さらに、前記医薬組成物は、ポロキサマー188 0.4部を含む。
【0019】
さらに、前記医薬組成物は、クロスポビドン(CL-M)0.4部を含む。
【0020】
さらに、上記医薬組成物は、イチゴ香料0.08部を含む。
【0021】
具体的には、前記医薬組成物は、前記有効成分と前記添加剤とを混合、造粒、乾燥、整粒、最終混合、包装した顆粒剤である。
【0022】
また、本発明は子供の手足口病の治療における医薬組成物の用途を提案する。
【0023】
また、本発明は、前記のいずれかに記載の医薬組成物の調製方法であって、
a)粘着剤を得ることと、
b)有効成分と添加剤とを比例に従って混合し、前記粘着剤を添加して造粒することと、
c)動的乾燥することと、
d)整粒して最終混合することと、を含む。
【0024】
さらに、前記医薬組成物が顆粒剤から選ばれる場合、前記方法は、
a)ポロキサマー188 0.4部とポビドンK90 0.3部を80%エタノール溶液に添加して均一に混合し、粘着剤とすることと、
b)2-(2-アミノピリジン-4-イル)-5-(5-((5-(2-エチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-オキシ)-3,3-ジメチルペンチル)-1,2,5-チアジアゾリジン1,1-二酸化物塩酸塩、マンニトール、ソルビトールおよびクロスポビドン(CL-M)を重量比1:26:12:0.4部で秤量し、均一に混合した後、前記粘着剤を添加して練合物を得て、20メッシュのふるいにかけて造粒することと、
c)50℃で乾燥することと、
d)20メッシュのふるいにかけて整粒し、整粒後の顆粒に香料を添加して最終混合して包装することと、を含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明は各添加剤の種類と使用量の配合比をスクリーニングし、最終的に溶解が迅速で、安定性が良好な医薬組成物を得て、しかも該医薬組成物の調製工程が簡単であり、更に大規模なプロセス生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の有効物質(化合物A:2-(2-アミノピリジン-4-イル)-5-(5-((5-(2-エチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-オキシ)-3,3-ジメチルペンチル)-1,2,5-チアジアゾリジン1,1-二酸化物塩酸塩)は、EV71ウイルスのヌクレオカプシドのポケットに侵入し、ウイルスをロックし、ウイルスのカプシドが分解してウイルスRNAを放出することを阻止することにより、ウイルスのさらなる複製を抑制することができる。構造式は次のとおりである。
【0027】
【化1】
分子式:C
22H
31N
9O
3S.HCl
分子量:538.07
【0028】
難溶性薬物の溶解度を増加させるために、従来技術では界面活性剤、PH調整剤などを添加することが多い。本発明は予備試験の過程で、化合物Aと酸性調節剤(クエン酸または酒石酸)で化合物Aを完全に溶解することができることを発見した。さらなる研究により、酸の添加量が化合物Aの0.2~1.0であると、熱湯中の化合物Aの溶解度を高めることができることが分かった。しかし、予備研究の過程で得られた顆粒は溶解性の問題を解決することができるが、その安定性は不足していた。したがって、本発明の有効物質の溶解性をどのように向上させるか、そして同時にその安定性を保証することは薬物形成技術上の課題である。
【0029】
この点に鑑みて、本発明は子供の手足口病を治療する医薬組成物の他の製剤方法を提供し、そして適切な添加剤の選択によって、化合物の溶解性と安定性の問題を解決する。
【0030】
本発明を以下の実施例及び試験例によりさらに詳細に説明する。これらの実施例及び試験例は、説明的目的のみに使用され、本発明の範囲を限定するために使用されるものではない。
【0031】
当業者が本願発明をより明確に理解できるようにするために、以下に、具体的な実施形態に関連して本願の発明を詳細に説明する。
【0032】
本発明の実施例で使用される試験材料はすべて本技術分野の通常の試験材料であり、いずれも商業ルートにより購入することができ、または従来技術の方法により調製することができる。
【0033】
実施例1:化合物A 1部、マンニトール 26部、ソルビトール 12部、カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2部、イチゴ香料 0.08部。
【0034】
実施例2:化合物A 1部、マンニトール 26部、ソルビトール 12部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2部、イチゴ香料 0.08部。
【0035】
実施例3:化合物A 1部、マンニトール 26部、ソルビトール 12部、ポビドンK30 0.2部、イチゴ香料 0.08部。
【0036】
実施例4:化合物A 1部、マンニトール 26部、ソルビトール 12部、ポビドンK90 0.2部、イチゴ香料 0.08部。
【0037】
実施例5:化合物A 1部、マンニトール 26部、ソルビトール 12部、ポビドンK90 0.2部、ポロキサマー188 0.4部、イチゴ香料 0.08部。
【0038】
実施例6:化合物A 1部、マンニトール 26部、ソルビトール 12部、ポビドンK90 0.3部、ポロキサマー188 0.4部、イチゴ香料 0.08部。
【0039】
実施例7:化合物A 1部、マンニトール 26部、ソルビトール 12部、ポビドンK90 0.3部、ポロキサマー188 0.4部、クロスポビドン(CL-M) 0.4部、イチゴ香料 0.08部。
【0040】
実施例8:化合物A 1部、マンニトール 26部、ソルビトール 12部、ポビドンK90 0.2部、カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1部、イチゴ香料 0.08部。
【0041】
実施例9:化合物A 1部、マンニトール 26部、ソルビトール 12部、ポビドンK90 0.2部、クロスポビドン(CL-M) 0.3部、ポリソルベート80 0.4部、イチゴ香料 0.08部。
【0042】
実施例1~9の調製工程:
(1)処方に従ってカルボキシメチルセルロースナトリウム/ヒドロキシプロピルメチルセルロース/ポビドンK30/ポビドンK90/ポロキサマー188/ポリソルベート80を秤量し、80%エタノールに溶解して粘着剤を製造する。
(2)化合物Aと添加剤のマンニトール/ソルビトール/クロスポビドン(CL-M)を均一に混合し、粘着剤を添加して練合物を製造する。
(3)20メッシュのふるいにかけて造粒する。
(4)50℃で乾燥し、水分を2.0%未満に制御する。
(5)20メッシュのふるいにかけて整粒し、80メッシュのふるいにかけて細粉を除去する。
(6)香料を添加して最終混合する。
(7)最終混合後の顆粒を収集する。
(8)内包装する。
【0043】
比較例1:化合物A 1部、スクロース 38部、酒石酸 0.2部、イチゴ香料 0.08部;
【0044】
比較例1の調製工程:
(1)酒石酸を秤量し、80%エタノールに溶解して粘着剤を製造する。
(2)化合物Aとその他の添加剤(酒石酸と香料を除く)を均一に混合し、粘着剤を添加して練合物を製造する。
(3)20メッシュのふるいにかけて造粒する。
(4)50℃で乾燥し、水分を2.0%未満に制御する。
(5)20メッシュBのふるいにかけて整粒し、80メッシュのふるいにかけて細粉を除去する。
(6)香料を添加して最終混合する。
(7)最終混合後の顆粒を収集する。
(8)内包装する。
【0045】
比較例2:化合物A 1部、スクロース 38部、酒石酸 0.6部、イチゴ香料 0.08部;
【0046】
比較例2の調製方法は比較例1と同じである。
【0047】
比較例3:化合物A 1部、スクロース 38部、酒石酸 0.6部、ポリソルベート80 0.4部、イチゴ香料 0.08部;
【0048】
比較例3の調製方法は比較例1と同じである。
【0049】
1.溶解性の考察
各実施例及び比較例で調製した顆粒剤を熱湯に添加して溶解性を考察した結果を表1に示す。
【0050】
【0051】
溶化性の考察結果に基づいて、実施例1と2はすべて綿状沈殿があり、他のポビドンを添加した実施例または比較例はすべて混合乳状液を呈することができ、その中で、実施例6と実施例7はいずれも均一に分散した半透明乳状液であり、実施例7が沈降した後、振動によって急速に均一に分散でき、実施例9にポリソルベート80を添加すると微臭があり、においを考慮すると最終的に実施例7が好ましい。
【0052】
2.安定性の考察
「中国薬局方」2015年版2部付録XIXC原薬と薬物製剤の安定性試験ガイドラインに基づき、本発明の実施例6と7の懸濁性顆粒剤と比較例2と3の可溶性顆粒に対する加速安定性試験と長期安定性試験の考察を行った(以下、実施例7と比較例3のみを挙げる)。
【0053】
加速安定性試験の条件:上記実施例7及び比較例3で得た医薬組成物をそれぞれポリエステル/アルミニウム/ポリエチレン医薬品包装用複合膜で包装し、温度40℃、相対湿度75%の条件で6ヶ月放置し、試験期間0、1、3、6ヶ月目ごとに1回サンプリングし、安定性考察項目で検査した。「類縁物質」の加速試験検査結果を表2に示す。その結果、比較例3の不純物は実施例7より高く、比較例処方は溶解性が要求を満たしたが、安定性が不足していたことを示した。同様に、実施例6の懸濁顆粒類縁物質の変化も比較例2及び3よりはるかに小さかった。
【0054】
【0055】
長期安定性試験条件:上記実施例7及び比較例3で得た医薬組成物をそれぞれポリエステル/アルミニウム/ポリエチレン医薬品包装用複合膜で包装し、温度25℃、相対湿度60%の条件下で24ヶ月放置し、試験期間第0、1、3、6、12、18、24ヶ月ごとに1回サンプリングし、現在12ヶ月の安定性試験を完成し、安定性考察項目に従って検査し、そのうち、「類縁物質」の長期試験検査結果を表3に示す。
【0056】
【0057】
長期及び加速試験の安定性に関する考察結果:実施例7は比較例3より安定性が良い。本品の類縁物質は温度湿度の影響を受ける可能性があるので、本品の貯蔵条件は日陰で保存することである。
【0058】
上記は本願の好適な実施形態にすぎず、本願を制限するためには使用されず、当業者にとっては、本願は種々の変更及び変化が可能である。本願の趣旨と原則内で行ういかなる補正、均等置換、改良などは、本願の保護範囲に含まれるべきである。