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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】架橋性アクリルゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/04 20060101AFI20240520BHJP
   C08F 8/48 20060101ALI20240520BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20240520BHJP
   C08K 5/46 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
C08L33/04
C08F8/48
C08F220/10
C08K5/46
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023542239
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 JP2022024281
(87)【国際公開番号】W WO2023021832
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2021133264
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502145313
【氏名又は名称】ユニマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114351
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 和子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-111552(JP,A)
【文献】国際公開第2011/093442(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
C08K
C08L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) カルバミン酸エステル基および二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸またはそのモノアルキルエステル由来のカルボキシル基を含有するアクリルゴム100重量部に対し
(B) 下記一般式〔I〕で表されるフェノチアジン系老化防止剤 0.01~5重量部
〔ここで、R3は水素原子、炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数7~20のアラルキル基または下記一般式
で表されるアシル基(ここで、R4は炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基である)であり、R5は炭素数7~20のアラルキル基である〕
および
(C) 架橋促進剤 0.1~5重量部
を含有してなる架橋性アクリルゴム組成物。
【請求項2】
(A)成分が、アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体 90~99.8重量%、二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸またはそのモノアルキルエステルであるα,β-不飽和カルボン酸単量体 0.1~5重量%および一般式
(ここで、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1~10の二価の脂肪族炭化水素基である)で表されるカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体 0.1~5重量%の共単量体割合で共重合されたアクリルゴムである請求項1記載の架橋性アクリルゴム組成物。
【請求項3】
(A)成分が、
アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体 90~99.9重量%と一般式
(ここで、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1~10の二価の脂肪族炭化水素基である)で表されるカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体 0.1~10重量%との共単量体割合で共重合されたアクリルゴム
および
アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体 90~99.9重量%と二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸またはそのモノアルキルエステルであるα,β-不飽和カルボン単量体 0.1~10重量%との共単量体割合で共重合体されたアクリルゴム
の混合物であって、それぞれの成分の重量比が90~10重量%、10~90重量%である請求項1記載の架橋性アクリルゴム組成物。
【請求項4】
アルキル(メタ)アクリレートがアクリル酸エチルまたはそれを含有する単量体混合物である請求項2または3記載の架橋性アクリルゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋性アクリルゴム組成物に関する。さらに詳しくは、熱酸化劣化による架橋物の機械的物性の低下を最小限に抑えることを可能とする架橋性アクリルゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
地球規模の気候変動対策およびエネルギーの効率利用の観点から、自動車エンジンに代表される内燃機関で排出される二酸化炭素およびNOxガス等の排出量規制が一層厳しくなる傾向にある。その対応策として、自動車エンジンには高出力化、高熱効率化および排出ガスの低減と無害化が要求され、このためエンジンルーム内の温度は上昇する傾向にある。それに伴い、その周辺で使用されるゴム、プラスチック等の高分子材料には、さらなる耐熱性の向上が求められている。
【0003】
具体例として、エンジンの燃費改善を目的としたターボチャージャーシステムを搭載した車両の普及が進んでいる。このターボチャージャーからインタークーラーやエンジンに導かれる空気は高温高圧であることから、これを輸送するゴム製ホース材料には高い耐熱性が求められている。
【0004】
このように、自動車のエンジンに使用される高分子材料の使用環境の高温化や長寿命化の要求に伴い、その対策として例えばゴム製品部材の原料ゴム自体の耐熱性を向上させる取り組みや、適切な老化防止剤をゴム製品部材に添加することが行われている。
【0005】
ゴム部材の代表的な老化防止剤としては、フェノール系老化防止剤やアミン系老化防止剤が用いられ、特により高温の使用環境下で用いられるゴム部材ではアミン系老化防止剤が用いられる。
【0006】
例えば、アクリルゴムの場合、老化防止剤として、4,4′-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンに代表されるアミン系老化防止剤が用いられている(特許文献1~4)。
【0007】
また、アクリルゴム自体の耐熱性を向上させる取り組みとして、架橋部位単量体を活性塩素含有不飽和単量体からα,β-不飽和カルボン酸単量体に変えることにより、高温環境下の使用に耐え得る強固な架橋構造を形成させることが行われている。
【0008】
しかしながら、原料ゴム自体の耐熱性向上およびアミン系老化防止剤をもってしても昨今の耐熱要求を十分に満足することはできない。
【0009】
近年ではゴム材料の老化防止剤としてフェノチアジン系老化防止剤が有効であることが、特許文献5に記載されている。
【0010】
特許文献5には、加硫特性、機械的特性および熱老化特性にすぐれ、防振ゴム用途に特に好適なゴム材料として、(A)ジエン系ゴム、(B)ビスマレイミド化合物および(C)下記フェノチアジン化合物を含有するものが記載されている。
R1、R2:水素原子、芳香族環で置換されてもよい
C1~C8のアルキル基、アルコキシ基、
ハロゲン原子、シアノ基
R3:水素原子、C1~C6の鎖状または環状の
アルキル基、ビニル基、芳香族基
m、n:0~2
5位の硫黄原子が-SO2-のフェノチアジン化合物も知られており、例えば特許文献6に記載されている。
【0011】
特許文献6には、下記一般式で示される縮合複素環化合物およびそれを含有する有機材料組成物が記載されており、酸化的、熱的あるいは光誘発性崩壊を受け易いポリマー等の有機材料に対し、高い加工安定性、耐熱性、長寿命を付与することが可能であると述べられている。
Y:化学的な単結合、-S(=O)-、-SO2-
Ra、Rb:置換基を有してもよいC1~C30有機基
Za、Zb:化学的な単結合、-SO2-
X1、X2:水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
シアノ基、ニトロ基、-OR1、-O-CO-R1
-CO-OR1、-O-CO-OR1、-NR2R3、-NR2-CO-R1
-CO-NR2R3、-O-CO-NR2R3
n、m:0~2、ただしいずれか一方は0ではない
【0012】
また、ゴム部材からのアミン系老化防止剤の揮散を防止するため、アミン系老化防止剤の高分子量化および高融点化の検討がなされている。しかしながら、老化防止剤の高分子量化、高融点化に伴い、ゴムに対する分散性およびゴム内部での移行性が低下するなどの問題がある。
【0013】
老化防止剤の揮散を防止し、高温環境下におけるゴム部品の長寿命化を図る目的のため、重合性不飽和基を有する老化防止剤を原料ゴムに共重合する方法も検討されている(特許文献7)。
【0014】
例えば、非特許文献1~2には重合性不飽和基を有する老化防止剤ノクラックG-1(大内新興化学工業製品)やAPMA(精工化学製品)が例示されている。
【0015】
しかしながら、上記老化防止剤では、ジフェニルアミノ基のラジカル重合禁止作用により、重合性不飽和単量体とのラジカル共重合は実用的に困難である。
【0016】
また、エラストマー性重合体の変性反応によりジフェニルアミノ構造を重合体に導入する方法がいくつか開示されている。例えば、オレフィン系不飽和基を有するエラストマーの側鎖をヒドロホルミル化した後、ジフェニルアミノ基を導入する方法(特許文献8)、ジエン系共重合体に遊離基発生剤の存在下で無水マレイン酸を付加させた後、ジフェニルアミノ基を導入する方法(特許文献9)などが知られている。しかしながらこれらの方法は、もととなる共重合体を製造した後にジフェニルアミノ基を導入する変性工程がさらに必要となり、製造コストの面から実用的ではない。
【0017】
さらに、4-アミノジフェニルアミン共存下でアクリルゴムを架橋する方法が知られているが(特許文献10)、この方法では4-アミノジフェニルアミンがポリアミン架橋を幾分阻害することが懸念される。
【0018】
従来技術では、原料ゴム自体の耐熱性向上、各種老化防止剤の性能向上および熱老化防止成分を原料ゴムに化学的に結合させる方法の何れをもってしても、昨今の耐熱要求を十分に満足することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】特開平11-21411号公報
【文献】WO 2011/58918 A1
【文献】特開2010-254579号公報
【文献】WO 2006/001299 A1
【文献】特開2015-227402公報
【文献】WO 2011/093443 A1
【文献】特開2009-209268号公報
【文献】特開平4-264106号公報
【文献】特開平5-230132号公報
【文献】WO 2020/158132 A1
【文献】特開2009-036960公報
【文献】特開2010-235955公報
【文献】特開2020-111552公報
【非特許文献】
【0020】
【文献】Rubber Chem.Technol.,46巻,106頁(1973)
【文献】Rubber Chem.Technol.,52巻,883頁(1979)
【文献】Journal of Photopolymer Science and Technology, 18巻,3号,419頁(2005)
【文献】Material Technology,25巻,6号,285頁(2007)
【0021】
上記の問題に対して本発明者等は、カルバミン酸エルテル基およびカルボキシル基を含有するアクリルゴム、フェノチアジン系老化防止剤および架橋促進剤からなる架橋性アクリルゴム組成物により、アクリルゴムの耐熱性向上を図れないか否かについての検討を行った。特に、エチルアクリレートを主要原料とするアクリルゴムの熱酸化劣化初期にみられる顕著な軟化劣化およびその後期にみられる顕著な硬化劣化を抑制することを目的として検討を行った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、アクリルゴム架橋物の熱酸化劣化初期にみられる顕著な軟化劣化およびその後期にみられる硬化劣化を抑制し、その機械的強度の低下を最小限に抑える架橋性アクリルゴム組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
かかる本発明の目的は、
(A) カルバミン酸エステル基および二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸またはそのモノアルキルエステル由来のカルボキシル基を含有するアクリルゴム100重量部に対し
(B) 下記一般式〔I〕で表されるフェノチアジン系老化防止剤0.01~5重量部
〔ここで、R3は水素原子、炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数7~20のアラルキル基または下記一般式
で表されるアシル基(ここで、R4は炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基である)であり、R5は炭素数7~20のアラルキル基である〕
および
(C) 架橋促進剤0.1~5重量部
を含有してなる架橋性アクリルゴム組成物によって達成される。
【発明の効果】
【0024】
下記図は、本発明に係るアクリルゴム組成物を構成するアクリルゴムの架橋反応の一例を、模式的に表したものである。

Fmoc:9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基

アクリルゴム組成物の架橋に際し、熱および含窒素塩基性有機化合物の作用によりカルバミンエステル基が分解してアミノ基を遊離し、次いでα,β-不飽和カルボン酸単量体に由来する活性部位と反応し、相補的な架橋構造が形成される。かかる固有の架橋構造は、アクリルゴム架橋物の熱酸化劣化初期において顕著な軟化劣化を抑制する効果を奏する。
【0025】
また、本発明の組成物を構成するフェノチアジン系老化防止剤は、上記で示した固有の架橋構造を有するアクリルゴム架橋物の熱酸化劣化後期において、顕著な硬化劣化を抑制する効果を奏する。
【0026】
特に、エチルアクリレートを主要原料とするアクリルゴムの熱酸化劣化初期にみられる顕著な軟化劣化およびその後期にみられる顕著な硬化劣化を抑制するのに有効である。
【0027】
さらに、架橋性組成物の製造に際しては、芳香族または脂肪族ポリアミン架橋剤を添加することなく架橋可能であるため、新たに架橋剤を添加するといった工程が省略できるとともに、アクリルゴムに対する架橋剤の分散不良のリスクをも解消できるなどの付帯的な効果も期待できる。
【0028】
なお、カルバミン酸エステル基を含有する(メタ)アクリレート共重合体は特許文献11および非特許文献3~4に記載されており、さらにジカルバミン酸エステル化合物を用いて、カルボキシル基含有アクリルゴムを架橋できることは特許文献12に記載されている。しかしながら、これらを組み合わせて用いることにより、固有の架橋構造を有するアクリルゴム架橋物が得られることについては何ら教示乃至示唆されていない。
【0029】
さらに、特許文献6記載のフェノチアジン系老化防止剤はアクリルゴム架橋物の熱酸化劣化後期の硬化劣化抑制に関しては非常に有効であるが、熱酸化劣化過程全般を通して軟化劣化が進行し、機械的強度の不足が課題となる場合がある。
また、上記記載の架橋構造を有するアクリルゴム架橋物に対するフェノチアジン系老化防止剤の有効性については、何ら記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】190℃におけるアクリルゴム架橋物の100%モジュラスの経時変化を、図式化(実施例1:-●-、比較例1:--●--、実施例5:-▲-、比較例2:--▲--、比較例3:-◆-、比較例7:--◆--;図1~6共通)したものである。
図2】190℃におけるアクリルゴム架橋物の破断時強度の経時変化を、図式化したものである。
図3】190℃におけるアクリルゴム架橋物の破断時伸びの経時変化を、図式化したものである。
図4】175℃におけるアクリルゴム架橋物の100%モジュラスの経時変化を、図式化したものである。
図5】175℃におけるアクリルゴム架橋物の破断時強度の経時変化を、図式化したものである。
図6】175℃におけるアクリルゴム架橋物の破断時伸びの経時変化を、図式化したものである。
図7】190℃におけるアクリルゴム架橋物の100%モジュラスの経時変化を、図式化(実施例10:-●-、比較例8:--●--、比較例10:-◆-、比較例12:--◆--;図7~12共通)したものである。
図8】190℃におけるアクリルゴム架橋物の破断時強度の経時変化を、図式化したものである。
図9】190℃におけるアクリルゴム架橋物の破断時伸びの経時変化を、図式化したものである。
図10】175℃におけるアクリルゴム架橋物の100%モジュラスの経時変化を、図式化したものである。
図11】175℃におけるアクリルゴム架橋物の破断時強度の経時変化を、図式化したものである。
図12】175℃におけるアクリルゴム架橋物の破断時伸びの経時変化を、図式化したものである。
図13】190℃におけるアクリルゴム架橋物の100%モジュラスの経時変化を、図式化(実施例12:-●-、比較例13:--●--、比較例14:-◆-、比較例15:--◆--;図13~15共通)したものである。
図14】190℃におけるアクリルゴム架橋物の破断時強度の経時変化を、図式化したものである。
図15】190℃におけるアクリルゴム架橋物の破断時伸びの経時変化を、図式化したものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の架橋性アクリルゴム組成物は、
(A) カルバミン酸エステル基および二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸またはそのモノアルキルエステル由来のカルボキシル基を含有するアクリルゴム100重量部に対し
(B) 下記一般式〔I〕で表されるフェノチアジン系老化防止剤0.01~5重量部
〔ここで、R3は水素原子、炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数7~20のアラルキル基または下記一般式
で表されるアシル基(ここで、R4は炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基である)であり、R5は炭素数7~20のアラルキル基である〕
および
(C) 架橋促進剤0.1~5重量部
から構成される。
【0032】
(A)成分としては、
態様(A-1):アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体 90~99.8重量%、二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸またはそのモノアルキルエステルであるα,β-不飽和カルボン酸単量体 0.1~5重量%および一般式
(ここで、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1~10の二価の脂肪族炭化水素基である)で表されるカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体 0.1~5重量%の共単量体割合で共重合されたアクリルゴム
または
態様(A-2):アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体 90~99.9重量%と一般式〔III〕で表されるカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体 0.1~10重量%との共単量体割合で共重合されたアクリルゴム(i)
および
アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体 90~99.9重量%と二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸またはそのモノアルキルエステルであるα,β-不飽和カルボン酸単量体 0.1~10重量%との共単量体割合で共重合体されたアクリルゴム(ii)
の混合物であって、それぞれの成分の重量比が90~10重量%、10~90重量%である
のいずれかが用いられる。ここで、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを指している。
【0033】
単一のアクリルゴムからなる(A-1)は、アルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体99.8~90重量%、好ましくは99~90重量%、α,β-不飽和カルボン酸単量体が0.1~5重量%、好ましくは0.5~5重量%、カルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体0.1~5重量%、好ましくは0.5~5重量%の共単量体割合で共重合されたものが用いられる。
【0034】
態様(A-1)のアクリルゴム中のカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体の重量分率組成およびα,β-不飽和カルボン酸単量体の重量分率組成の比の大凡の目安は、wCA/MCA=wNH2/MNH2で求められる。これらの割合は、架橋速度および架橋物の諸物性等の因子を考慮して適宜調整することもできる。
CA(wt%):アクリルゴムのα,β-不飽和カルボン酸単量体の重量分率
組成
CA(g/mol):α,β-不飽和カルボン酸単量体の分子量
NH2(wt%):アクリルゴムのカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレ
ート単量体の重量分率組成
NH2 (g/mol):カルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体の
分子量
【0035】
上記以外の態様(A-1)のアクリルゴムとしては、例えばエチレン、メチルアクリレート、カルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体およびα,β-不飽和カルボン酸単量体を主要構成要素とするエラストマー性共重合体、あるいはエチレン、酢酸ビニル、カルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体およびα,β-不飽和カルボン酸単量体を主要構成要素とするエラストマー性共重合体等を使用することができる。
【0036】
アクリルゴムの混合物からなる態様(A-2)に用いられるのアクリルゴム(i)は、アルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体99.9~90重量%、好ましくは99.5~95重量%、カルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%の共単量体割合で共重合されたものが用いられる。
【0037】
また、アクリルゴム(ii)は、アルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体99.9~90重量%、好ましくは99.5~95重量%、α,β-不飽和カルボン酸単量体0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%の共単量体割合で共重合されたものが用いられる。アクリルゴム(i)とアクリルゴム(ii)との混合割合は、混合物中に含まれるカルボミン酸エステル基およびα,β-不飽和カルボン酸単量体の活性部位の化学両論量を勘案して、それぞれ90~10重量%、10~90重量%とされる。
【0038】
態様(A-2)のアクリルゴム混合物中のアクリルゴム(i)およびアクリルゴム(ii)の重量比の大凡の目安は、W(i)×w(i)NH2/M(i)NH2=W(ii)×w(ii)CA/M(ii)CAで求められる。これらの割合は、架橋速度および架橋物の諸物性等の因子を考慮して適宜調整することもできる。
(i)(重量部):アクリルゴム(i)の重量
(i)NH2(wt%):アクリルゴム(i)のカルバミン酸エステル基含有(メタ)
アクリレート単量体の重量分率組成
(i)NH2(g/mol):カルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体
の分子量
(ii)(重量部):アクリルゴム(ii)の重量
(ii)CA(wt%):アクリルゴム(ii)のα,β-不飽和カルボン酸単量体の重量
分率組成
(ii)CA(g/mol):α,β-不飽和カルボン酸単量体の分子量
【0039】
アクリルゴム混合物(A-2)は、アクリルゴム(i)およびアクリルゴム(ii)をオープンロール、ニーダ、バンバリーミキサ等を用いて混合することにより容易に調製することができる。
【0040】
また、アクリルゴム(i)の水性ラテックスとアクリルゴム(ii)の水性ラテックスを任意の割合で混合した後、電解質水溶液によって凝析し乾燥することによって所望のアクリルゴム混合物を調製することもできる。
【0041】
上記以外のアクリルゴム(i)としては、例えばエチレン、メチルアクリレートおよびカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体を主要構成要素とするエラストマー性共重合体、あるいはエチレン、酢酸ビニルおよびカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体を主要構成要素とするエラストマー性共重合体等を使用することができる。
【0042】
上記以外のアクリルゴム(ii)としては、例えばエチレン、メチルアクリレートおよびα,β-不飽和カルボン酸単量体を主要構成要素とするエラストマー性共重合体、あるいはエチレン、酢酸ビニルおよびα,β-不飽和カルボン酸単量体を主要構成要素とするエラストマー性共重合体等を使用することができる。
【0043】
態様(A-1)の単一のアクリルゴム、態様(A-2)のアクリルゴム(i)および(ii)を構成する各単量体は次の通りである。
【0044】
態様(A-1)のアクリルゴム、態様(A-2)のアクリルゴム(i)および(ii)の単量体単位であるアルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体としては、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数7~20のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種類の(メタ)アクリレートが用いられる。
【0045】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が用いられる。好ましくは、エチルアクリレートまたはそれを含有する単量体混合物である。
【0046】
アラルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばベンジル(メタ)アクリレートが用いられる。
【0047】
また、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、n-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等が用いられる。
【0048】
また、態様(A-1)のアクリルゴム、態様(A-2)のアクリルゴム(i)および(ii)の主要成分(単量体)以外に、必要に応じて副成分として下記の重合性不飽和単量体を用いることができる。
【0049】
重合性不飽和単量体としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、エチレン、プロピレン、ピペリレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、シクロペンタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
【0050】
態様(A-1)のアクリルゴムおよび態様(A-2)のアクリルゴム(i)の単量体単位である一般式〔III〕で表されるカルバミン酸エステル含有(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、
等が挙げられ、好ましくは製造の容易さから
が用いられる。
【0051】
一般式〔III〕で表されるカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体は、ウレタン化反応触媒存在下で、イソシアナトアルキルアクリレートまたはイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートと9-フルオレニルメタノールを反応させることにより容易に製造することができる。
【0052】
ウレタン化反応触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機ビスマス化合物等を用いることができる。
【0053】
有機スズ化合物としては、ジラウリン酸ジブチルスズ、ビス(2-エチルヘキサン酸)スズ、ジブチルスズ(2,4-ペンタンジオネート)等が挙げられる。
【0054】
有機チタン化合物としては、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
【0055】
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセテート)、ジルコニウムテトラ(アセチルアセテート)等が挙げられる。
【0056】
有機ビスマス化合物としては、ビスマストリス(ネオデカノエート)等が挙げられる。
【0057】
反応はベンゼン、トルエン、ジオキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等の有機溶媒中で40~80℃の温度下で行われる。
【0058】
態様(A-1)のアクリルゴムおよび態様(A-2)のアクリルゴム(ii)の単量体単位であるα,β-不飽和カルボン酸単量体としては、二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸またはそのモノアルキルエステルが挙げられ、好ましくは二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸モノアルキルエステルが用いられる。
【0060】
二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸が挙げられる。
【0061】
二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸モノアルキルエステルとしては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸のモノアルキルエステルが挙げられる。具体例としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノn-プロピル、マレイン酸モノイソプロピル、マレイン酸モノn-ブチル、マレイン酸モノイソブチル、マレイン酸モノn-ヘキシル、マレイン酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノn-プロピル、フマル酸モノイソプロピル、フマル酸モノn-ブチル、フマル酸モノイソブチル、フマル酸モノn-ヘキシル、フマル酸モノシクロヘキシル等が挙げられる。
【0062】
態様(A-1)のアクリルゴム、態様(A-2)のアクリルゴム(i)および(ii)は、一般的なアクリルゴムの重合方法によって製造される。共重合反応は、乳化重合法、けん濁重合法、溶液重合法、塊状重合法など任意の方法で行ない得るが、好ましくは乳化重合法またはけん濁重合法が用いられ、約-10~100℃、好ましくは約5~80℃の温度で反応が行われる。
【0063】
反応の重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、第3ブチルヒドロパーオキサイド、クミルヒドロパーオキサイド、p-メチレンヒドロパーオキサイド等の有機パーオキサイドまたはヒドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルアミジン等のジアゾ化合物、過硫酸アンモニウムによって代表されるアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の過酸化物塩などが単独であるいはレドックス系として用いられる。
【0064】
特に好ましい乳化重合法に用いられる乳化剤としては、アニオン系またはノニオン系の界面活性剤が、必要に応じて酸または塩基によりpH調整され、無機塩で緩衝溶液とした水溶液等として用いられる。
【0065】
重合反応は、単量体混合物の転化率が90%以上に達する迄継続される。得られた水性ラテックスは、塩-酸凝固法、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムの如き塩を用いる方法、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物を用いる方法、熱による凝固法、凍結凝固法などによって凝固させ、得られた共重合体は十分に水洗、乾燥される。このアクリルゴムは、約5~100、好ましくは約20~80のムーニー粘度 PML1+4(100℃)を有する。
【0066】
本発明の組成物の構成成分である(B)成分としては、一般式〔I〕で表されるフェノチアジン系老化防止剤が用いられる。
ここで、R3は水素原子、炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数7~20のアラルキル基または一般式
で表されるアシル基(ここで、R4は炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基である)であり、R5は炭素数7~20のアラルキル基である。
【0067】
R3が炭素数1~20の脂肪族炭化水素基である場合の具体例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-ウンデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘプタデシル基、イソプロピル基、2-ブチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、4-ヘプチル基、2-オクチル基、3-オクチル基、4-オクチル基、第3ブチル基、1,1-ジメチル-1-プロピル基、1,1-ジメチル-1-ブチル基、1,1-ジメチル-1-ペンチル基、1,1-ジメチル-1-ヘキシル基、3-メチル-3-ペンチル基、3-エチル-3-ペンチル基、3-メチル-3-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、1-メチル-1-シクロペンチル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基、1-アダマンチル基等が挙げられる。
【0068】
R3が炭素数7~20のアラルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、α-メチルベンジル基、9-フルオレニルメチル基等が挙げられる。
【0069】
R4は、炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基である。炭素数1~20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、R3と同じものが挙げられる。
【0070】
特に炭素数が4~20であり、カルボニル基に対してα位の炭素が3級炭素である一価の脂肪族炭化水素基が好ましく、例えば第3ブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチル-1-ブチル基、1,1-ジメチル-1-ペンチル基、1,1-ジメチル-1-ヘキシル基、3-メチル-3-ペンチル基、3-エチル-3-ペンチル基、3-メチル-3-ヘキシル基、1-メチル-1-シクロペンチル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基、1-アダマンチル基等が好ましい基として挙げられる。
【0071】
R5で表されるアラルキル基としては、ベンジル基、α-メチルベンジル基、α,α-ジメチルベンジル基が挙げられ、特にα,α-ジメチルベンジル基が好ましい。
【0072】
R3が水素原子であるフェノチアジン系老化防止剤は、特許文献6記載の方法によって製造することができる。例えば、フェノチアジンに酸性触媒存在下でα-メチルスチレンを作用させ、3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン(以下CD-Sと略称する)とした後、酸化剤により硫黄原子を酸化することにより、3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキサイド(以下CD-SO2と略称する)を製造することができる。
【0073】
R3が炭素数1~20の脂肪族炭化水素基であるフェノチアジン系老化防止剤の場合、CD-Sに塩基を作用させ、次いで炭素数1~20の脂肪族炭化水素のハロゲン化物によりN-アルキル化した後、硫黄原子を酸化することにより所望のフェノチアジン老化防止剤を製造することができる。また、特許文献6で得られるCD-SO2に塩基を作用させ、次いで炭素数1~20の脂肪族炭化水素のハロゲン化物を反応させてもよい。
【0074】
R3が一般式〔II〕で表されるアシル基の場合、特許文献13記載の方法により製造することができる。具体的には、塩基性有機化合物または塩基性無機化合物存在下で、CD-Sをアシルハロゲン化物によりN-アシル化した後、硫黄原子を酸化することにより所望のフェノチアジン老化防止剤を製造することができる。
【0075】
また、CD-SO2から同様の方法により、N-アシル化して製造することもできる。
【0076】
一般式〔I〕で表されるフェノチアジン系老化防止剤の具体例としては、
3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキサイド
10-メチル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキサイド
10-n-プロピル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキサイド
10-イソプロピル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキサイド
10-ベンジル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキサイド
10-ピバロイル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキサイド
10-(2,2-ジメチル-ブタノイル)-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキサイド
10-(1-アダマンタンカルボニル)-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキサイド
等が挙げられる。
【0077】
(B)成分フェノチアジン系老化防止剤は、(A)成分アクリルゴム100重量部に対して約0.01~5重量部、好ましくは約0.1~5重量部用いられる。老化防止剤がこれより少ないと、架橋後のアクリルゴムが熱酸化劣化により著しい機械的物性の低下を招くようになる。特に、熱酸化劣化後期における著しい硬化劣化を抑制することは困難である。一方、これより多く用いられても、熱酸化劣化初期の軟化劣化を助長する恐れがあるばかりでなく、さらなる熱酸化劣化後期における硬化劣化抑制効果は見込まれず、不経済である。
【0078】
(C)成分架橋促進剤としては、グアニジン化合物、ジアザビシクロアルケン化合物またはその有機酸塩等の架橋促進剤が挙げられる。
【0079】
グアニジン化合物としては、テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン等が挙げられる。好ましくは1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジンまたはそれらの組み合わせである。
【0080】
ジアザビシクロアルケン化合物としては、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンが好ましい。
【0081】
ジアザビシクロアルケン化合物の有機酸塩としては、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンの有機酸塩が好ましい。
【0082】
1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンの有機酸塩に用いられる有機酸としては、有機一塩基酸または有機二塩基酸が挙げられる。
【0083】
有機一塩基酸としては、n-ヘキサン酸、n-ヘプタン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、n-カプリン酸、n-ラウリン酸、p-トルエンスルホン酸、フェノール等が挙げられる。有機二塩基酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸等が挙げられ、炭素数6~18のモノカルボン酸またはジカルボン酸が好ましい。
【0084】
(C)成分架橋促進剤は、(A)成分アクリルゴム100重量部に対して約0.1~5重量部、好ましくは約0.3~3重量部用いられる。架橋促進剤がこれより少ないと、架橋速度の著しい低下、架橋後のアクリルゴムの機械的物性の低下および熱老化後の機械的物性の低下を招くことがある。一方、これより多く用いられると、アクリルゴムの耐熱酸化劣化の悪化または耐圧縮永久歪特性の悪化を招く恐れがある。
【0085】
本発明の架橋性アクリルゴム組成物には、必要に応じて、例えば、充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、粘着付与剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐油性向上剤、スコーチ防止剤、滑剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0086】
充填剤としては、塩基性シリカ、酸性シリカ等のシリカ、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅等の金属硫化物;合成ハイドロタルサイト、ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック(MTカーボンブラック、SRFカーボンブラック、FEFカーボンブラック等)、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ウォラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤等が挙げられる。
【0087】
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミン等の高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックス等の石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等のポリグリコール;ワセリン、パラフィン等の脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤等が挙げられる。
【0088】
可塑剤としては、例えばエポキシ樹脂、フタル酸誘導体、セバシン酸誘導体等が、軟化剤としては、例えば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム等が、老化防止剤としては、例えばフェニレンジアミン類、フォスフェート類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルバメート金属塩等が挙げられる。
【0089】
必要に応じて使用される上記の配合剤は、アクリルゴム、フェノチアジン系老化防止剤および架橋促進剤からなる本発明の架橋性アクリルゴム組成物に配合され、バンバリーミキサや加圧ニーダ、オープンロール等を用いて混和される。得られた架橋性混和物の架橋は、約120~250℃、約1~60分間の一次架橋および必要に応じて約120~200℃、約1~20時間のオーブン架橋(二次架橋)が行われる。
【実施例
【0090】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0091】
参考例1
3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキサイド〔CD-SO2〕の製造
マグネット攪拌子、温度計、窒素ガス導入口と排出口および還流冷却管を備えた容量500mlの四口フラスコに、フェノチアジン 24.9g(0.125モル)、p-トルエンスルホン酸 0.6gおよびトルエン 115mlを投入し、80℃に昇温した後、α-メチルスチレン 29.5g(0.25モル)を加え、窒素ガス雰囲気下で1時間反応させた。
【0092】
次に、反応混合物に酢酸30gを加えた後、30%過酸化水素水42.5gを5回に分けて加え、さらに80℃で2時間反応させた。内容物を室温まで冷却し、静置した後、上層のトルエン層を500mlのメタノール中に注いだ。室温で一夜放置後、淡黄色の結晶として粗製CD-SO2 42.5g(収率72%)を得た。これをエタノールで再結晶し、淡黄色の針状結晶としてCD-SO2 38g(収率65%)を得た。
【0093】
参考例2
10-ピバロイル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキサイド〔CD-SO2-PIV〕の製造

マグネット攪拌子、温度計、窒素ガス導入口と排出口および還流冷却管を備えた容量1000mlの四口フラスコに、フェノチアジン 119.6g(0.6モル)、p-トルエンスルホン酸 2.88gおよびトルエン 480mlを投入し、80℃に昇温した後、α-メチルスチレン 141.9g(1.2モル)を加え、窒素ガス雰囲気下で1時間反応させた。
【0094】
反応混合物を室温まで冷却した後、減圧下でトルエンを留去し、紫色固体状の反応生成物265.5gを得た。これを1500mlのエタノールで再結晶することにより、薄赤紫色の結晶として粗製3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン〔CD-S〕179g(収率68%)を得た。さらに、この粗製CD-S をエタノールで再度再結晶し、無色鱗片状の結晶として精製CD-S 161gを得た。
【0095】
マグネット攪拌子、温度計および還流冷却管を備えた容量500mlの三口フラスコに、粗製CD-S 68.7g(158ミリモル)、ピバロイルクロリド 24.8g(206ミリモル)およびピリジン 60gを順次投入し、120℃で1.5時間反応させた。得られた反応混合物から減圧下でピリジンを留去し、次いで残留物をジクロロメタン 300mlに溶解した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液300mlで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液から揮発性成分を減圧留去し、赤色の高粘性液体81.7gを得た。
【0096】
この高粘性液体をトルエン250mlに溶解し、マグネット攪拌子、温度計および還流冷却管を備えた容量1000mlの三口フラスコ中に投入した。次いで、酢酸80gおよび30%過酸化水素水107gを順次投入し、90℃で2時間反応させた。
【0097】
内容物を室温まで冷却した後、上層のトルエン層を取出し、減圧下で揮発性物質を留去した。得られた淡赤色固体89gを、エタノール/トルエン(容積比9:1)混合溶媒で再結晶し、無色の針状結晶としてCD-SO2-PIV 70.3g(収率81%)を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl3、δ ppm):1.22 (s、9H、-C(CH 3)3)
1.71 (s、12H、-C(CH 3)2-)
7.19~7.30 (m、12H)
7.42 (d、J=9.0Hz、2H)
8.03 (d、J=1.8Hz、2H)
【0098】
参考例3
10-ベンジル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキシド〔CD-SO2-Bn〕の製造
マグネット攪拌子、温度計、ガス導入管および還流冷却管を備えた容量1000mlの四口フラスコに、精製CD-S 43.6g (100ミリモル)およびN,N-ジメチルホルムアミド250mlを投入し、窒素雰囲気下5℃以下に冷却した。系内の温度を10℃以下に保ちながら水素化ナトリウム 3.6g(150ミリモル)を加え、1時間反応させた。塩化ベンジル16.4g(130ミリモル)を加えた後、70℃で1時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、飽和塩化ナトリウム水溶液に注いだ。生成物をジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別した後、ろ液から揮発性成分を減圧留去し、僅かに黄色みをおびた固体として粗製10-ベンジル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン〔CD-S-Bn〕を55.1g得た。
【0099】
粗製CD-S-Bn 55.1gをトルエン500mlに溶解し、マグネット攪拌子、温度計および還流冷却管を備えた容量1000mlの四口フラスコ中に投入した。次いで、酢酸60gおよび60%過酸化水素水68gを順次投入し、90℃で2時間反応させた。
【0100】
内容物を室温まで冷却した後、上層のトルエン層を取出し、減圧下で揮発性物質を留去した。得られた赤色の生成物をトルエンで再結晶し、無色の結晶としてCD-SO2-Bn を48.1g(CD-Sからの収率86%)得た。
1H NMR(400MHz、Acetone d6、δ ppm):
1.74 (s、12H、-C(CH 3)2-)
5.56 (s、2H、N-CH 2-Ar)
7.15~7.37 (m、17H、Ar)
7.42(dd、J=8.8Hz、2.8Hz、2H、Ar)
7.92 (d、J=2.8Hz、2H、Ar)
【0101】
参考例4
10-プロピル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキシド〔CD-SO2-Pr〕の製造
マグネット攪拌子、温度計、ガス導入管および還流冷却管を備えた容量500mlの四口フラスコに、精製CD-S 21.8g (50ミリモル)およびN,N-ジメチルホルムアミド160mlを投入し、窒素雰囲気下5℃以下に冷却した。系内の温度を10℃以下に保ちながら水素化ナトリウム 1.8g(75ミリモル)を加え、1時間反応させた。次いで臭化プロピル8.0g(65ミリモル)を加えた後、70℃で1時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、飽和塩化ナトリウム水溶液に注いだ。生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。不溶物をろ別した後、ろ液から揮発性成分を減圧留去し、僅かに黄色みを帯びた固体として粗製10-プロピル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン〔CD-S-Pr〕を24.9g得た。
【0102】
粗製CD-S-Pr 24.9gをトルエン250mlに溶解し、マグネット攪拌子、温度計および還流冷却管を備えた容量500mlの四口フラスコ中に投入した。次いで、酢酸40gおよび60%過酸化水素水34gを順次投入し、90℃で2時間反応させた。
【0103】
内容物を室温まで冷却した後、上層のトルエン層を取出し、減圧下で揮発性物質を留去した。得られた生成物をトルエン/エタノール混合溶媒(容積比5:1)で再結晶し、無色の結晶としてCD-SO2-Pr を21.7g(CD-Sからの収率85%)得た。
1H NMR(400MHz、Chloroform-d)、δ ppm(TMS):
1.01 (t、J=7.2Hz、3H、-CH2CH2CH 3)
1.73 (s、12H、-C(CH 3)2-)
1.89 (sext、J=7.6Hz、2H、-CH2CH 2CH3)
4.03 (t、J=8.0Hz、2H、-CH 2CH2CH3)
7.14~7.32 (m、14H、Ar)
8.13 (d、J=2.4Hz、2H、Ar)
【0104】
参考例5
9FMMの製造
マグネット攪拌子、温度計、窒素ガス導入口と排出口および還流冷却管を備えた容量1000mlの四口フラスコに、9-フルオレニルメタノール 16.4g(135ミリモル)、2-イソシアナトエチルメタクリレート 25.1g(162ミリモル)、ジラウリン酸ジブチルスズ1.1gおよびベンゼン 440mlを投入し、窒素ガス雰囲気下80℃で2時間反応させた。
【0105】
反応混合物を室温まで冷却した後パラメトキシフェノールを60mg加え、次いで減圧下でベンゼンを留去し粗反応生成物67.2gを得た。これを600mlのエタノールで再結晶することにより、無色の結晶として9FMMを41.1g(収率87%)得た。
1H-NMR(400MHz、Acetone d6、δ ppm):
1.91 (s, 3H, CH2=C(CH 3)-C(=O)-O-)
3.47 (q, J=5.6Hz, 2H, -O-CH2CH 2-NH-C(C=O)-)
4.21 (t, J=5.6Hz, 2H, -O-CH 2CH2-NH-C(C=O)-)
4.23 (t, J=7.2Hz, 1H, -C(=O)-OCH2-CH-Ar2)
4.35 (d, J=7.2Hz, 2H, -C(=O)-OCH 2-CH-Ar2)
5.62 (s, 1H, カルボニル基に対して
trans-CH 2=C(CH3)-C(=O)-O-)
6.10 (s, 1H,カルボニル基に対して
cis-CH 2=C(CH3)-C(=O)-O-)
6.73 (brs, 1H, -O-CH2CH2-NH-C(C=O)-
7.32 (t, J=7.6Hz, 2H, Ar)
7.41 (t, J=7.6Hz, 2H, Ar)
7.68 (d, J=7.6Hz, 2H, Ar)
7.86 (d, J=7.6Hz, 2H, Ar)
【0106】
参考例6
〔アクリルゴム(a)の製造〕
温度計、撹拌機、窒素ガス導入管およびジムロート冷却管を備えたセパラブルフラスコ内に、
水 187重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 2 〃
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 2 〃
仕込み単量体混合物
アクリル酸エチル〔EA〕 97.8 〃
フマル酸モノn-ブチル〔MBF〕 0.8 〃
9FMM 1.4 〃
を仕込み、窒素ガス置換を行って系内の酸素を十分に除去した後、
ナトリウムホルムアルデヒド 0.008重量部
スルホキシレート
(富士フィルム和光純薬工業製品ロンガリット)
第3ブチルハイドロパーオキサイド 0.0047 〃
(日油製品パーブチルH69)
を加えて、室温条件下で重合反応を開始させ、重合転化率が90%以上になる迄反応を継続した。得られた水性ラテックスを、10重量%硫酸ナトリウム水溶液で凝析させた後、水洗、乾燥してアクリルゴム(a)を得た。
【0107】
得られたアクリルゴム(a)のムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、46であった。モル分率組成を1H-NMR(400MHz、CD3C(=O)CD3、δ ppm)より下記式を用いて求めたところ、9FMMは0.40モル%、EA+MBFは99.60モル%であった。
α:6.4-8.1ppmのシグナルの積分値
β:3.2-5.0ppmのシグナルの積分値
9FMM(mol%)=200×α/(9β-5α)
EA+MBF(mol%)=100-9FMM(mol%)
また、近似的な重量分率組成を下式より求めたところ、9FMMは1.4重量%、EA+MBFは98.6重量%であった。
9FMM(wt%)=(9FMM(mol%)×351.4×100)/
〔9FMM(mol%)×351.4+(EA+MBF(mol%))×100.5)〕
EA+MBF(wt%)=100-9FMM(wt%)
さらに、アクリルゴム(a)の酸価測定することにより、MBF(wt%)を求めたところ、0.6重量%であった。
【0108】
参考例7
〔アクリルゴム(b)の製造〕
-アクリルゴム(b-1)の製造-
参考例6のアクリルゴム(a)の製造において、仕込み単量体混合物として
アクリル酸エチル〔EA〕 97.2重量部
9FMM 2.8 〃
を用い、重合反応の開始剤として
ナトリウムホルムアルデヒド 0.008重量部
スルホキシレート(ロンガリット)
第3ブチルハイドロパーオキサイド 0.0047 〃
(パーブチルH69)
酢酸 0.67 〃
が用いられ、水性ラテックス(b-1)(ゴム固形分32重量%)およびアクリルゴムb-1を得た。得られたアクリルゴム(b-1)のムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、47であった。
【0109】
アクリルゴム(b-1)のモル分率組成をアクリルゴム(a)と同様に求めたところ、9FMM:0.80モル%、EA:99.20モル%であった。重量分率組成を下記式より求めたところ、9FMM:2.7重量%、EA:97.3重量%であった。
9FMM(wt%)=(9FMM(mol%)×351.4×100)/
〔9FMM(mol%)×351.4+(EA(mol%))×100.1)〕
EA(wt%)=100-9FMM(wt%)
【0110】
-アクリルゴム(b-2)の製造-
参考例6のアクリルゴム(a)の製造において、仕込み単量体混合物として
アクリル酸エチル〔EA〕 98.4重量部
フマル酸モノn-ブチル〔MBF〕 1.6 〃
を用い、アクリルゴム(a)の製造と同様に行い、水性ラテックス(b-2)(ゴム固形分32重量%)およびアクリルゴム(b-2)を得た。得られたアクリルゴム(b-2)のムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、36であった。また、アクリルゴム(b-2)の酸価を測定することにより、MBF含量(wt%)を求めたところ1.2重量%であった。
【0111】
次に、同重量の水性ラテックス(b-1)と水性ラテックス(b-2)とを混合し、10重量%硫酸ナトリウム水溶液で凝析させた後、水洗、乾燥してアクリルゴム(b-1)および(b-2)がともに50重量%からなるアクリルゴム(b)を得た。得られたアクリルゴム混合物のムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、39であった。
【0112】
参考例8
〔アクリルゴム(c)の製造〕
参考例6のアクリルゴム(a)の製造において、仕込み単量体混合物として
アクリル酸エチル〔EA〕 57.8重量部
アクリル酸n-ブチル〔BA〕 40.0 〃
フマル酸モノn-ブチル〔MBF〕 0.8 〃
9FMM 1.4 〃
を用い、アクリルゴム(c)を得た。得られたアクリルゴム(c)のムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、33であった。また、アクリルゴム(c)の酸価を測定することにより、MBF含量(wt%)を求めたところ0.6重量%であった。
また、モル分率組成を1H-NMR(400MHz、CD3C(=O)CD3、δ ppm)より下記式を用いて求めたところ、9FMMは0.43モル%、EA+BA+MBFは99.57モル%であった。
α:6.4-8.1ppmのシグナルの積分値
β:3.2-5.0ppmのシグナルの積分値
9FMM(mol%)=200×α/(9β-5α)
EA+BA+MBF(mol%)=100-9FMM(mol%)
また、近似的な重量分率組成を下記式より求めたところ、9FMMは1.4重量%、EA+BA+MBFは98.6重量%であった。
9FMM(wt%)=(9FMM(mol%)×351.4×100)/
〔9FMM(mol%)×351.4+(EA+BA+MBF(mol%))×110.3)〕
EA+BA+MBF(wt%)=100-9FMM(wt%)
【0113】
参考例9
〔アクリルゴム(d)の製造〕
参考例6のアクリルゴム(a)の製造において、仕込み単量体混合物として
アクリル酸エチル〔EA〕 58.4重量部
アクリル酸n-ブチル〔BA〕 40.0 〃
フマル酸モノn-ブチル〔MBF〕 1.6 〃
を用い、アクリルゴム(d)を得た。得られたアクリルゴム(d)のムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、24であった。また、アクリルゴム(d)の酸価を測定することにより、MBF含量(wt%)を求めたところ1.2重量%であった。
【0114】
参考例10
〔アクリルゴム(e)の製造〕
参考例6のアクリルゴム(a)の製造において、仕込み単量体混合物として
アクリル酸エチル〔EA〕 52.8重量部
アクリル酸n-ブチル〔BA〕 40.0 〃
メタクリル酸メチル〔MMA〕 5.0 〃
フマル酸モノn-ブチル〔MBF〕 0.8 〃
9FMM 1.4 〃
を用い、アクリルゴム(e)を得た。得られたアクリルゴム(e)のムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、40であった。また、アクリルゴム(e)の酸価を測定することにより、MBF含量(wt%)を求めたところ0.6重量%であった。
また、モル分率組成を1H-NMR(400MHz、CD3C(=O)CD3、δ ppm)より下記式を用いて求めたところ、9FMMは0.44モル%、EA+BA+MMA+MBFは99.56モル%であった。
α:6.4-8.1ppmのシグナルの積分値
β:3.2-5.0ppmのシグナルの積分値からγを引いた値
γ:3.4-3.6ppmのシグナルの積分値
9FMM(mol%)=600×α/(27β-13α+18γ)
EA+BA+MMA+MBF(mol%)=100-9FMM(mol%)
また、近似的な重量分率組成を下式より求めたところ、9FMMは1.4重量%、EA+BA+MMA+MBFは98.6重量%であった。
9FMM(wt%)=(9FMM(mol%)×351.4×100)/
〔9FMM(mol%)×351.4+(EA+BA+MMA+MBF(mol%))×110.3)〕
EA+BA+MMA+MBF(wt%)=100-9FMM(wt%)
【0115】
参考例11
〔アクリルゴム(f)の製造〕
参考例6のアクリルゴム(a)の製造において、仕込み単量体混合物として
アクリル酸エチル〔EA〕 53.4重量部
アクリル酸n-ブチル〔BA〕 40.0 〃
メタクリル酸メチル〔MMA〕 5.0 〃
フマル酸モノn-ブチル〔MBF〕 1.6 〃
を用い、アクリルゴム(f)を得た。得られたアクリルゴム(f)のムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、31であった。また、アクリルゴム(f)の酸価を測定することにより、MBF含量(wt%)を求めたところ1.2重量%であった。
【0116】
実施例1
アクリルゴム(a) 100重量部
FEFカーボンブラック(東海カーボン製品シーストGSO) 60 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品TST) 1 〃
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸 0.5 〃
(東邦化学工業製品フォスファノールRL-210)
架橋促進剤(Safic-Alcan社製品Vulcofac ACT55) 1 〃
CD-SO2 2 〃
以上の各成分の内、アクリルゴム(a)、FEFカーボンブラック、ステアリン酸およびポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸を、バンバリーミキサで混和した。得られた混和物と残りの各成分とをオープンロールを用いて混和し、架橋性アクリルゴム組成物を得た。
【0117】
これを、100トンプレス成形機により180℃で8分間の一次架橋を行い、さらに175℃で4時間のオーブン架橋を行い、厚さ約2mmのシート状架橋物(ポストキュアシート)を得た。
【0118】
アクリルエラストマー組成物の架橋特性およびその架橋物の物性を、次のようにして測定した。
ムーニースコーチ試験:ISO 289-1に対応するJIS K6300-1準拠(125℃)
東洋精機製作所製ムーニービスコメーターAM-3を用い、最
小ムーニー粘度(ML min)とスコーチ時間(t5)の値を測定
架橋試験:ISO 6502に対応するJIS K6300-2準拠(180℃、12分間)
東洋精機製作所製ロータレス・レオメータRLR-3使を用い、
ML、MH、tc(10)およびtc(90)の値を測定
ML:最小トルク
MH:最大トルク
tc(10):架橋トルクがML+(MH-ML)×0.1に達するまでに要
する時間
tc(90):架橋トルクがML+(MH-ML)×0.9に達するまでに要
する時間
常態物性:ISO 37に対応するJIS K6251、ISO 7619-1に対応する
JIS K6253準拠し、ポストキュアシートについて測定
空気加熱老化試験:ISO 188に対応するJIS K6257準拠し、ポストキュ
アシートについて測定
(190℃:100時間、200時間、300時間、400時間、
500時間)
(175℃:250時間、500時間、750時間、1000時間)
【0119】
実施例2
実施例1において、CD-SO2の代わりにCD-SO2-PIVが2重量部用いられた。
【0120】
実施例3
実施例1において、CD-SO2の代わりにCD-SO2-Bnが2重量部用いられた。
【0121】
実施例4
実施例1において、CD-SO2の代わりにCD-SO2-Prが2重量部用いられた。
【0122】
比較例1
実施例1において、CD-SO2の代わりに4,4′-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業製品ノクラックCD)が2重量部用いられた。
【0123】
実施例5
実施例1において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(b)が用いられた。
【0124】
実施例6
実施例2において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(b)が用いられた。
【0125】
実施例7
実施例3において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(b)が用いられた。
【0126】
実施例8
実施例4において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(b)が用いられた。
【0127】
比較例2
比較例1において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(b)が用いられた。
【0128】
比較例3
実施例1において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(b-2)が用いられ、さらにヘキサメチレンジアミンカーバメート(ユニマテック製品ケミノックスAC6F)が0.6重量部添加された。
【0129】
比較例4
実施例2において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(b-2)が用いられ、さらにヘキサメチレンジアミンカーバメート(ケミノックスAC6F)が0.6重量部添加された。
【0130】
比較例5
実施例3において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(b-2)が用いられ、さらにヘキサメチレンジアミンカーバメート(ケミノックスAC6F)が0.6重量部添加された。
【0131】
比較例6
実施例4において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(b-2)が用いられ、さらにヘキサメチレンジアミンカーバメート(ケミノックスAC6F)が0.6重量部添加された。
【0132】
比較例7
比較例1において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(b-2)が用いられ、さらにヘキサメチレンジアミンカーバメート(ケミノックスAC6F)が0.6重量部添加された。
【0133】
実施例9
実施例1において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(c)が用いられた。
【0134】
実施例10
実施例2において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(c)が用いられた。
【0135】
実施例11
実施例3において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(c)が用いられた。
【0136】
比較例8
比較例1において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(c)が用いられた。
【0137】
比較例9
比較例3において、アクリルゴム(b-2)の代わりにアクリルゴム(d)が用いられた。
【0138】
比較例10
比較例4において、アクリルゴム(b-2)の代わりにアクリルゴム(d)が用いられた。
【0139】
比較例11
比較例5において、アクリルゴム(b-2)の代わりにアクリルゴム(d)が用いられた。
【0140】
比較例12
比較例7において、アクリルゴム(b-2)の代わりにアクリルゴム(d)が用いられた。
【0141】
実施例12
実施例2において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(e)が用いられた。
【0142】
比較例13
比較例1において、アクリルゴム(a)の代わりにアクリルゴム(e)が用いられた。
【0143】
比較例14
比較例4において、アクリルゴム(b-2)の代わりにアクリルゴム(f)が用いられた。
【0144】
比較例15
比較例7において、アクリルゴム(b-2)の代わりにアクリルゴム(f)が用いられた。
【0145】
以上の実施例1~12および比較例1~15で得られた結果は、次の表1~6、図1~15に示される。

表1
測定結果 実1 実2 実3 実4 比1
ムーニースコーチ試験(125℃)
ML min (pts) 72 76 78 76 72
t5 (分) 3.8 3.3 3.3 3.4 3.1
架橋試験(180℃)
tc(10) (分) 0.60 0.54 0.56 0.56 0.53
tc(90) (分) 6.41 5.85 5.97 5.93 5.91
ML (N・m) 0.26 0.26 0.26 0.26 0.25
MH (N・m) 0.89 0.90 0.91 0.89 0.91
常態物性(ポストキュア)
硬度 (Duro A) 63 65 64 68 64
100%モジュラス (MPa) 6.7 6.7 6.9 7.1 6.6
破断時強度 (MPa) 16.8 17.5 17.8 18.2 17.1
破断時伸び (%) 210 210 210 220 220
熱老化試験(190℃、100時間)
硬度 (Duro A) 73 73 73 74 73
100%モジュラス (MPa) 6.1 6.3 6.7 6.6 5.5
破断時強度 (MPa) 12.9 13.3 14.0 14.0 12.5
破断時伸び (%) 210 200 200 210 230
熱老化試験(190℃、200時間)
硬度 (Duro A) 76 76 77 76 77
100%モジュラス (MPa) 4.7 4.7 5.1 5.3 4.6
破断時強度 (MPa) 9.5 9.9 10.2 10.4 9.0
破断時伸び (%) 230 230 220 220 230
熱老化試験(190℃、300時間)
硬度 (Duro A) 81 82 83 81 83
100%モジュラス (MPa) 3.8 3.9 4.0 4.5 4.7
破断時強度 (MPa) 6.7 7.0 7.0 7.6 7.0
破断時伸び (%) 240 250 240 230 200
熱老化試験(190℃、400時間)
硬度変化 (Duro A) 89 88 89 89 90
100%モジュラス (MPa) 4.2 4.6 4.7 5.0
破断時強度 (MPa) 4.7 5.3 5.2 5.7 6.8
破断時伸び (%) 180 190 170 160 70
熱老化試験(190℃、500時間)
硬度変化 (Duro A) 93 94 95 96 95
100%モジュラス (MPa)
破断時強度 (MPa) 6.6 6.5 6.6 7.2 12.2
破断時伸び (%) 70 60 60 60 20
熱老化試験(175℃、500時間)
硬度変化 (Duro A) 76 76 76 75 73
100%モジュラス (MPa) 4.8 4.9 5.4 5.6 4.8
破断時強度 (MPa) 9.9 10.3 10.5 10.7 9.6
破断時伸び (%) 230 230 220 220 240
熱老化試験(175℃、1000時間)
硬度変化 (Duro A) 89 90 90 91 91
100%モジュラス (MPa) 5.5 5.3 5.4 5.8 6.2
破断時強度 (MPa) 6.7 6.7 6.8 7.3 7.2
破断時伸び (%) 180 220 200 200 170

表2
測定結果 実5 実6 実7 実8 比2
ムーニースコーチ試験(125℃)
ML min (pts) 68 69 69 68 67
t5 (分) 3.0 3.0 3.2 3.4 2.5
架橋試験(180℃)
tc(10) (分) 0.62 0.55 0.58 0.57 0.57
tc(90) (分) 6.35 5.87 5.95 5.94 5.91
ML (N・m) 0.26 0.26 0.27 0.27 0.25
MH (N・m) 0.82 0.80 0.84 0.84 0.82
常態物性(ポストキュア)
硬度 (Duro A) 66 66 67 70 66
100%モジュラス (MPa) 7.0 8.1 7.5 7.9 6.9
破断時強度 (MPa) 15.0 16.3 16.2 17.0 16.0
破断時伸び (%) 200 200 200 210 230
熱老化試験(190℃、100時間)
硬度 (Duro A) 74 76 75 72 72
100%モジュラス (MPa) 6.2 6.6 6.5 6.6 5.4
破断時強度 (MPa) 11.9 12.1 11.8 12.4 10.8
破断時伸び (%) 210 210 200 210 220
熱老化試験(190℃、200時間)
硬度 (Duro A) 75 76 78 77 76
100%モジュラス (MPa) 4.4 4.7 5.0 5.3 4.3
破断時強度 (MPa) 7.9 8.5 8.7 8.7 7.0
破断時伸び (%) 220 220 210 210 220
熱老化試験(190℃、300時間)
硬度 (Duro A) 82 84 82 82 83
100%モジュラス (MPa) 3.7 3.8 4.0 4.6 4.4
破断時強度 (MPa) 5.6 5.9 6.1 6.5 5.8
破断時伸び (%) 230 240 230 210 200
熱老化試験(190℃、400時間)
硬度 (Duro A) 87 88 89 91 92
100%モジュラス (MPa) 4.1 4.1 4.2 4.8
破断時強度 (MPa) 4.3 4.3 4.4 5.1 6.7
破断時伸び (%) 190 180 170 130 50
熱老化試験(190℃、500時間)
硬度 (Duro A) 93 93 93 96 95
100%モジュラス (MPa)
破断時強度 (MPa) 6.3 6.1 6.5 7.4 12.0
破断時伸び (%) 70 70 70 60 10
熱老化試験(175℃、500時間)
硬度変化 (Duro A) 78 76 76 78 76
100%モジュラス (MPa) 4.6 4.7 5.0 5.3 4.1
破断時強度 (MPa) 8.5 8.7 9.0 9.4 7.5
破断時伸び (%) 220 220 220 220 240
熱老化試験(175℃、1000時間)
硬度変化 (Duro A) 89 89 89 90 91
100%モジュラス (MPa) 4.9 4.7 5.2 5.6 6.0
破断時強度 (MPa) 5.6 5.7 5.9 6.2 6.3
破断時伸び (%) 190 210 180 190 160

表3
測定結果 比3 比4 比5 比6 比7
ムーニースコーチ試験(125℃)
ML min (pts) 63 67 67 66 65
t5 (分) 3.1 3.3 3.2 3.2 2.8
架橋試験(180℃)
tc(10) (分) 0.53 0.51 0.51 0.51 0.51
tc(90) (分) 5.45 5.15 5.30 5.22 4.84
ML (N・m) 0.28 0.27 0.28 0.29 0.26
MH (N・m) 1.02 1.00 1.01 1.03 1.01
常態物性(ポストキュア)
硬度 (Duro A) 67 67 66 70 65
100%モジュラス (MPa) 4.9 4.8 5.9 6.0 5.5
破断時強度 (MPa) 15.7 16.6 16.8 16.8 16.6
破断時伸び (%) 220 230 230 240 250
熱老化試験(190℃、100時間)
硬度変化 (Duro A) 74 73 74 72 69
100%モジュラス (MPa) 3.4 3.7 4.1 3.7 2.9
破断時強度 (MPa) 10.2 10.8 11.1 11.2 9.2
破断時伸び (%) 320 300 290 310 360
熱老化試験(190℃、200時間)
硬度 (Duro A) 79 77 78 76 73
100%モジュラス (MPa) 2.8 2.9 3.2 3.5 2.7
破断時強度 (MPa) 6.4 7.1 7.0 7.4 5.4
破断時伸び (%) 350 340 320 310 350
熱老化試験(190℃、300時間)
硬度 (Duro A) 84 83 84 85 80
100%モジュラス (MPa) 2.6 2.7 2.9 3.4 3.5
破断時強度 (MPa) 3.8 4.3 4.4 5.0 4.5
破断時伸び (%) 380 380 330 320 250
熱老化試験(190℃、400時間)
硬度 (Duro A) 89 89 88 91 93
100%モジュラス変化 (MPa) 3.4 3.5 3.7 4.4
破断時強度 (MPa) 3.2 3.5 3.9 4.5 6.5
破断時伸び (%) 210 180 170 130 50
熱老化試験(190℃、500時間)
硬度 (Duro A) 93 93 95 96 97
100%モジュラス (MPa)
破断時強度 (MPa) 6.4 6.0 6.7 8.2 12.6
破断時伸び (%) 60 80 50 40 20
熱老化試験(175℃、500時間)
硬度変化 (Duro A) 80 79 77 80 75
100%モジュラス (MPa) 2.9 3.0 3.4 3.4 2.7
破断時強度 (MPa) 6.9 7.4 7.8 7.7 5.9
破断時伸び (%) 370 350 320 320 380
熱老化試験(175℃、1000時間)
硬度変化 (Duro A) 89 90 92 88 89
100%モジュラス (MPa) 4.1 4.4 4.5 5.0 5.7
破断時強度 (MPa) 4.2 4.8 4.7 5.1 5.8
破断時伸び (%) 200 290 240 230 160

表4
測定結果 実9 実10 実11 比8
ムーニースコーチ試験(125℃)
ML min (pts) 58 61 60 57
t5 (分) 3.6 3.0 3.1 3.3
架橋試験(180℃)
tc(10) (分) 0.62 0.56 0.56 0.58
tc(90) (分) 6.56 6.09 6.14 6.18
ML (N・m) 0.21 0.22 0.21 0.21
MH (N・m) 0.79 0.82 0.80 0.78
常態物性(ポストキュア)
硬度 (Duro A) 63 62 62 62
100%モジュラス (MPa) 7.3 7.6 7.2 7.4
破断時強度 (MPa) 13.8 14.1 14.3 13.0
破断時伸び (%) 160 160 170 160
熱老化試験(190℃、100時間)
硬度 (Duro A) 69 68 70 67
100%モジュラス (MPa) 6.4 6.9 7.1 6.0
破断時強度 (MPa) 11.3 11.9 11.9 11.1
破断時伸び (%) 160 160 160 180
熱老化試験(190℃、200時間)
硬度 (Duro A) 70 70 72 69
100%モジュラス (MPa) 5.5 6.1 5.7 5.3
破断時強度 (MPa) 9.1 9.9 9.9 9.3
破断時伸び (%) 160 160 170 170
熱老化試験(190℃、300時間)
硬度 (Duro A) 73 75 75 74
100%モジュラス (MPa) 4.7 4.9 5.4 5.5
破断時強度 (MPa) 7.6 8.3 8.6 8.6
破断時伸び (%) 160 170 170 160
熱老化試験(190℃、400時間)
硬度変化 (Duro A) 78 78 79 81
100%モジュラス (MPa) 4.5 5.0 5.1 7.4
破断時強度 (MPa) 6.7 7.5 7.4 8.6
破断時伸び (%) 170 160 160 120
熱老化試験(190℃、500時間)
硬度変化 (Duro A) 85 83 84 87
100%モジュラス (MPa) 5.0 5.3 5.8
破断時強度 (MPa) 5.9 6.4 6.6 8.7
破断時伸び (%) 130 130 120 80
熱老化試験(175℃、250時間)
硬度変化 (Duro A) 69 69 69 68
100%モジュラス (MPa) 6.9 7.2 7.6 5.8
破断時強度 (MPa) 11.5 12.2 12.4 10.9
破断時伸び (%) 160 160 150 180
熱老化試験(175℃、500時間)
硬度変化 (Duro A) 67 72 71 64
100%モジュラス (MPa) 5.2 5.5 5.8 4.9
破断時強度 (MPa) 8.9 9.0 10.0 9.0
破断時伸び (%) 170 160 170 180
熱老化試験(175℃、750時間)
硬度変化 (Duro A) 74 74 74 74
100%モジュラス (MPa) 5.2 5.5 5.9 5.5
破断時強度 (MPa) 8.6 8.9 9.1 8.8
破断時伸び (%) 180 170 160 170
熱老化試験(175℃、1000時間)
硬度変化 (Duro A) 79 82 82 84
100%モジュラス (MPa) 5.5 5.7 6.0 7.8
破断時強度 (MPa) 7.7 7.9 8.2 9.2
破断時伸び (%) 160 160 150 130

表5
測定結果 比9 比10 比11 比12
ムーニースコーチ試験(125℃)
ML min (pts) 51 51 52 50
t5 (分) 3.6 3.6 3.5 3.0
架橋試験(180℃)
tc(10) (分) 0.53 0.50 0.51 0.51
tc(90) (分) 6.00 5.70 5.73 5.98
ML (N・m) 0.24 0.24 0.24 0.23
MH (N・m) 0.90 0.89 0.90 0.89
常態物性(ポストキュア)
硬度 (Duro A) 63 62 62 62
100%モジュラス (MPa) 5.2 5.4 5.3 4.8
破断時強度 (MPa) 13.2 13.9 13.5 13.6
破断時伸び (%) 200 200 190 210
熱老化試験(190℃、100時間)
硬度 (Duro A) 65 65 65 63
100%モジュラス (MPa) 3.3 3.6 3.9 2.6
破断時強度 (MPa) 9.2 10.2 10.5 8.4
破断時伸び (%) 240 240 240 290
熱老化試験(190℃、200時間)
硬度 (Duro A) 68 68 69 68
100%モジュラス (MPa) 2.8 3.0 3.2 2.4
破断時強度 (MPa) 7.0 7.4 7.7 6.2
破断時伸び (%) 250 250 240 280
熱老化試験(190℃、300時間)
硬度 (Duro A) 73 72 72 75
100%モジュラス (MPa) 2.5 2.6 2.8 3.0
破断時強度 (MPa) 5.6 5.9 6.2 5.8
破断時伸び (%) 240 260 240 220
熱老化試験(190℃、400時間)
硬度変化 (Duro A) 76 77 80 79
100%モジュラス (MPa) 2.5 2.7 2.9 5.1
破断時強度 (MPa) 4.0 4.3 4.5 6.2
破断時伸び (%) 230 220 210 130
熱老化試験(190℃、500時間)
硬度変化 (Duro A) 81 81 82 85
100%モジュラス (MPa) 3.0 3.1 3.6
破断時強度 (MPa) 3.7 4.0 4.3 7.7
破断時伸び (%) 160 170 150 80
熱老化試験(175℃、250時間)
硬度変化 (Duro A) 64 64 65 59
100%モジュラス (MPa) 3.5 3.7 4.0 2.6
破断時強度 (MPa) 9.4 9.9 10.6 8.3
破断時伸び (%) 230 230 230 270
熱老化試験(175℃、500時間)
硬度変化 (Duro A) 63 65 63 62
100%モジュラス (MPa) 2.8 2.8 3.2 2.5
破断時強度 (MPa) 7.2 7.2 8.1 6.3
破断時伸び (%) 240 260 240 250
熱老化試験(175℃、750時間)
硬度変化 (Duro A) 69 69 71 72
100%モジュラス (MPa) 2.7 2.9 3.3 3.0
破断時強度 (MPa) 5.8 6.5 6.8 6.2
破断時伸び (%) 270 250 250 240
熱老化試験(175℃、1000時間)
硬度変化 (Duro A) 78 80 79 83
100%モジュラス (MPa) 3.1 3.3 3.6 5.5
破断時強度 (MPa) 4.9 5.3 5.6 6.5
破断時伸び (%) 210 210 220 130

表6
測定結果 実12 比13 比14 比15
ムーニースコーチ試験(125℃)
ML min (pts) 60 57 57 56
t5 (分) 2.9 3.0 3.4 3.2
架橋試験(180℃)
tc(10) (分) 0.59 0.58 0.54 0.53
tc(90) (分) 6.39 6.40 5.90 6.02
ML (N・m) 0.21 0.21 0.23 0.23
MH (N・m) 0.80 0.80 0.87 0.87
常態物性(ポストキュア)
硬度 (Duro A) 64 63 65 65
100%モジュラス (MPa) 7.6 7.5 5.3 4.4
破断時強度 (MPa) 14.3 14.3 14.3 13.1
破断時伸び (%) 170 180 210 230
熱老化試験(190℃、100時間)
硬度 (Duro A) 73 69 70 66
100%モジュラス (MPa) 6.6 6.0 3.9 2.7
破断時強度 (MPa) 11.7 11.2 10.7 8.3
破断時伸び (%) 180 180 250 300
熱老化試験(190℃、200時間)
硬度 (Duro A) 73 72 67 63
100%モジュラス (MPa) 5.7 5.1 2.9 2.4
破断時強度 (MPa) 9.9 9.4 7.8 6.1
破断時伸び (%) 180 190 270 300
熱老化試験(190℃、300時間)
硬度 (Duro A) 75 77 73 76
100%モジュラス (MPa) 4.9 4.9 2.3 2.6
破断時強度 (MPa) 7.9 7.9 5.2 4.7
破断時伸び (%) 170 180 290 280
熱老化試験(190℃、400時間)
硬度変化 (Duro A) 80 79 77 79
100%モジュラス (MPa) 4.7 5.8 2.4 3.4
破断時強度 (MPa) 7.3 7.9 4.4 5.3
破断時伸び (%) 180 150 280 210
熱老化試験(190℃、500時間)
硬度変化 (Duro A) 85 85 80 85
100%モジュラス (MPa) 4.8 7.7 2.6 5.3
破断時強度 (MPa) 6.1 8.3 3.7 6.1
破断時伸び (%) 150 110 240 140
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15