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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20240520BHJP
   B66B 1/50 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B66B3/00 U
B66B1/50 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024507977
(86)(22)【出願日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 JP2023035982
【審査請求日】2024-02-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502250178
【氏名又は名称】ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恒爾
(72)【発明者】
【氏名】山下 高
(72)【発明者】
【氏名】内田 雅也
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特許第7231096(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第105858368(CN,A)
【文献】特開2023-21616(JP,A)
【文献】特開2022-77065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00- 3/02
B66B 1/00- 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのカゴ内において利用者がおこなう操作を遠隔操作指示により制御する制御装置であって、
前記カゴ内に設けられた各操作ボタンと、当該カゴ内に設けられ、当該各操作ボタンの操作信号を受信するカゴ中操作盤との間の既設配線に、それぞれ分岐配線を接続し、
前記エレベーターの受信部が外部装置から無線通信によって受信した前記操作ボタンの操作指示に関する情報に基づいて、当該操作指示に該当する分岐配線を用いて前記カゴ中操作盤へ操作信号を送信することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
エレベーターのカゴ内において利用者がおこなう操作を遠隔操作指示により制御する制御装置であって、
前記カゴ内に設けられた各操作ボタンと、当該カゴ内に設けられ、当該各操作ボタンの操作信号を受信するカゴ中操作盤との間に設けられたコネクタを有し、
前記エレベーターの受信部が外部装置から無線通信によって受信した前記操作ボタンの操作指示に関する情報に基づいて、前記コネクタを用いて当該操作指示に該当する操作ボタンの操作信号を前記カゴ中操作盤へ送信することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
前記カゴ中操作盤は、前記カゴ内における当該カゴの内壁面よりも当該カゴの外側であって、前記利用者から認識されない位置に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置
【請求項4】
前記カゴ中操作盤は、前記操作ボタンの裏側に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置
【請求項5】
前記外部装置は、前記エレベーターの遠隔地に設けられたサーバであることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記外部装置は、前記エレベーターの近傍に設けられ、当該エレベーターを監視する監視装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記外部装置は、前記エレベーターを利用する自律走行型のロボットであることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターのカゴ内においてカゴの乗員がおこなう操作を遠隔操作指示により制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターのカゴ内では、利用者(乗員)は、カゴ内に設けられた操作ボタンを操作、すなわち押下あるいは接触などすることによって、カゴの移動や扉の開閉などの操作をおこなうことができる。
【0003】
具体的には、カゴ内において、所望階の番号のボタンを押下あるいは接触することによって、カゴを当該所望階まで移動させることができる。このように、カゴを移動させて所望階へ行くには、乗員がカゴ内に乗り込んで、カゴ内の操作ボタンを操作する必要があった。また、『開』ボタンを押下あるいは接触することによって、扉の開放を延長することができる。また、『閉』ボタンを押下あるいは接触することによって、扉を閉じることができる。
【0004】
昨今、自走式のロボットを用いて荷物などを搬送させるにあたり、当該ロボットを乗客とともにエレベーターに乗り込ませて、建物の階を移動させる技術がある(たとえば、下記特許文献1~4を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-83144号公報
【文献】特開2022-95724号公報
【文献】国際公開第2019/193718号公報
【文献】国際公開第2019/193718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術においては、ロボットが操作ボタンを操作することが難しいことから、ロボットを所望階へ移動させるためには、対象となるエレベーターの制御盤を従来のものからロボット対応の制御盤と交換したりあるいはロボット対応の制御盤に改良して対応する必要があった。そして、交換あるいは改良したロボット対応の制御盤が、ロボットからの移動要求を受信し、カゴの移動を制御するようにするものである。
【0007】
そのため、ロボットが乗り込む対象となるエレベーターごとにおこなう制御盤の交換・改良などの工事に、多くの手間や費用を要するという問題点があった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、より簡易にかつ安価に、自走式のロボットの利用を可能とするエレベーターを実現することができる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる制御装置は、エレベーターのカゴ内において利用者がおこなう操作を遠隔操作指示により制御する制御装置であって、前記カゴ内に設けられた各操作ボタンと、当該各操作ボタンの操作信号を受信する操作盤との間の既設配線に、それぞれ分岐配線を接続し、前記エレベーターの受信部が外部装置から無線通信によって受信した前記操作ボタンの操作指示に関する情報に基づいて、当該操作指示に該当する分岐配線を用いて前記操作盤へ操作信号を送信することを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる制御装置は、エレベーターのカゴ内において利用者がおこなう操作を遠隔操作指示により制御する制御装置であって、前記カゴ内に設けられた各操作ボタンと、当該各操作ボタンの操作信号を受信する操作盤との間に設けられたコネクタを有し、前記エレベーターの受信部が外部装置から無線通信によって受信した前記操作ボタンの操作指示に関する情報に基づいて、前記コネクタを用いて当該操作指示に該当する操作ボタンの操作信号を前記操作盤へ送信することを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる制御装置は、エレベーターのカゴ内において利用者がおこなう操作を遠隔操作指示により制御する制御装置であって、前記カゴ内に設けられた各操作ボタン付近に設けられた当該各操作ボタンを個別に押下する押下機構を有し、前記エレベーターの受信部が外部装置から無線通信によって受信した前記操作ボタンの操作指示に関する情報に基づいて、前記押下機構が当該操作指示に該当する操作ボタンを押下することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる制御装置は、上記発明において、前記外部装置が、前記エレベーターの遠隔地に設けられたサーバであることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる制御装置は、上記発明において、前記外部装置が、前記エレベーターの近傍に設けられ、当該エレベーターを監視する監視装置であることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる制御装置は、上記発明において、前記外部装置が、前記エレベーターを利用する自律走行型のロボットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明にかかる制御装置によれば、既存のエレベーターシステムに対して最小限の改良により、より簡易にかつ安価に、自走式のロボットの利用を可能とするエレベーターを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、エレベーターのカゴの移動制御の概要を示す説明図である。
図2図2は、この発明にかかる実施の形態1のカゴ上制御装置を含むエレベーターのカゴの移動制御システムの構成の一例を示す説明図である。
図3図3は、ロボットの構成の一例を示す説明図である。
図4図4は、ロボットの処理手順を示すフローチャートである。
図5図5は、エレベーターのカゴの移動制御システムにおけるサーバの処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、エレベーターのカゴの移動制御システムにおける監視装置の処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、この発明にかかる実施の形態1のカゴ上制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
図8図8は、この発明にかかる実施の形態2のカゴ上制御装置を含むエレベーターのカゴの移動制御システムの一部の構成の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる制御装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、エレベーターのカゴの移動制御の概要を示す説明図である。図1において、符号101は、乗員が乗り込むエレベーターのカゴ内に設けられる操作ボタンであり、符号102は、カゴに設けられるカゴ中操作盤であり、符号103は、カゴ上に設けられるカゴ制御基板であり、符号104は、エレベーターの機械室などに設けられる制御盤である。
【0019】
操作ボタン101は、通常、たとえば、エレベーターカゴ内のドアの両側面やカゴの壁面であって、カゴの乗員が操作可能な所定の高さに設けられている。操作ボタン101は、移動(昇降)を希望する階(所望階)の番号などを示した各ボタンから構成される。図1においては、5階建ての建物を想定しており、操作ボタン101として、各階(1階~5階)に対応した「1」~「5」の5つのボタンが設けられている。また、図示は省略するが、「1」~「5」の5つのボタンの他に、扉の開閉をおこなう「開」ボタン、「閉」ボタンなどのボタンが設けられていてもよい。
【0020】
そして各ボタン「1」~「5」ごとに、それぞれカゴ中操作盤102に有線にて信号線111~115が接続されており、各ボタンが操作(たとえば接触あるいは押下など)されると、ボタンの操作信号(カゴ呼び信号)は、各ボタンに対応する各信号線111~115のいずれかを介して、パラレルにカゴ中操作盤102に入力される。
【0021】
カゴ中操作盤102は、エレベーターのカゴ中に設けられる。具体的には、たとえば、操作ボタン101の裏側など、カゴの内壁面よりもカゴの外側であって、利用者からは認識されない位置に設けられる。カゴ中操作盤102は、操作ボタン101の各ボタンの操作信号を、信号線111~115を介して受け付ける。
【0022】
カゴ中操作盤102と、カゴ制御基板103とは、有線の信号線116によって接続される。カゴ中操作盤102と、カゴ制御基板103との信号のやりとりは、有線(信号線116)に限らず、無線通信(たとえばWi-Fi(登録商標)など)によるものであってもよい。
【0023】
カゴ中操作盤102は、信号線111~115を介して受け付けた操作信号に基づいて、どの信号線111~115からの操作信号であるかを判断し、判断した結果に基づいて、該当する階の操作信号(カゴ呼び信号)をカゴ制御基板103へ信号線116を介して送信する。
【0024】
カゴ制御基板103は、たとえば、カゴ上に設けられ、カゴ関連機器の制御を集約しておこなう。カゴ制御基板103は、具体的には、たとえば、操作ボタン101のうちのどのボタンが押下されたか、階床や方向の矢印などを示すカゴ中の表示器への表示、戸開閉のモーター制御、安全スイッチの状態把握などのカゴ内における制御をおこなう。
【0025】
制御盤104は、カゴ制御基板103と、有線の信号線(たとえばテールコード117)で接続されており、カゴ制御基板103との間で信号の送受信をおこなう。カゴ制御基板103は、信号線116を介して受信した操作信号(カゴ呼び信号)をカゴ中操作盤102から受信し、当該操作信号をテールコード117を介して制御盤104へ送信する。
【0026】
制御盤104は、エレベーターが備える各部を駆動制御する。制御盤104は、たとえば、巻上機を駆動制御し、カゴを移動(昇降)させる。制御盤104は、図示を省略するが、ネットワークを介して、エレベーターの遠隔地に設置された管理サーバコンピュータと接続されていてもよい。この場合、管理サーバコンピュータは、制御盤104との間で無線または有線による通信をおこなうことにより、制御盤104を介して、エレベーターの動作を監視し、また、遠隔制御することができる。
【0027】
テールコード117を介して操作信号(カゴ呼び信号)を受信した制御盤104は、当該操作信号に基づいて、巻上機を駆動制御し、カゴを該当する階へ移動(昇降)させる。このようにして、カゴの乗員が操作ボタン101を操作することによって、カゴを所望の階へ移動させることができる。
【0028】
つぎに、エレベーターのカゴの移動制御の流れをより具体的に説明する。カゴ内において、たとえば、乗員によって操作ボタン101のうちのボタン「5」が押下されると、その信号が信号線115を介してカゴ中操作盤102に入力される。カゴ中操作盤102では、「5」(5階)のカゴ呼び信号を有線の信号線116でカゴ制御基板103へ送る。カゴ制御基板103はテールコード117を介して制御盤104へ5階のカゴ呼び信号を送信する。制御盤104は5階のカゴ呼び信号を受信し、カゴの昇降制御をおこない、それによってカゴを5階へ移動させる。
【0029】
操作ボタン101のうちのボタン「4」が押下された場合は、その信号が信号線114を介してカゴ中操作盤102に入力され、同様に4階へのカゴの昇降制御がおこなわれる。また、ボタン「3」が押下された場合は、その信号が信号線113を介してカゴ中操作盤102に入力され、ボタン「2」が押下された場合は、その信号が信号線112を介してカゴ中操作盤102に入力され、ボタン「1」が押下された場合は、そのカゴ呼び信号が信号線111を介してカゴ中操作盤102に入力され、カゴ制御基板103を介して、制御盤104へ送られ、制御盤104によって、それぞれ3階、2階、1階へのカゴの昇降制御がおこなわれる。
【0030】
このようにして、カゴ内に乗り込んだ乗員による操作ボタン101の操作によって、所望階へのカゴの移動が実行される。操作ボタン101のボタン「1」~「5」とカゴ中操作盤102とは、信号線111~115がパラレルに接続されているので、操作ボタン101のボタン「1」~「5」のうち、複数のボタンが操作された場合、たとえば、「2」と「4」が操作された場合は、信号線112と信号線114からそれぞれ操作信号がカゴ中操作盤102に入力され、カゴ中操作盤102は、「2」(2階)のカゴ呼び信号と「4」(4階)のカゴ呼び信号を信号線116を介してカゴ制御基板103へ送ることになる。
【0031】
(実施の形態1)
図2は、この発明にかかる実施の形態1のカゴ上制御装置を含むエレベーターのカゴの移動制御システムの構成の一例を示す説明図である。なお、図1において示した構成部と同じ構成部については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0032】
図2において、符号201は、エレベーターに乗り込み可能なロボットであり、符号202は、複数のエレベーターの制御・管理を遠隔地からおこなうサーバであり、符号203は、エレベーターの付近に設けられた、当該エレベーターを監視する監視装置であり、符号204は、カゴ上に設けられたカゴ上制御装置であり、符号205は、カゴ上制御装置204が備える通信部であり、符号206は、カゴ上装置204が備える制御部である。
【0033】
ロボット201は、たとえば自走式の自立搬送ロボットであって、人手に頼ることなく、自走して実際にエレベーターのカゴに乗り込み、建物の各階を移動することができる。ロボット201の詳細な説明については、図3を用いて後述する。
【0034】
サーバ202は、通常、エレベーターが設置される建物から離れた遠隔地に設けられ、エレベーターの運行を遠隔から監視したり、各種情報の配信、収集をおこなう情報処理装置である。サーバ202は、上述した管理サーバコンピュータであってもよく、あるいは、別の情報処理装置であってもよい。
【0035】
また、サーバ202は、このようなエレベーターの運行の遠隔監視用のサーバとは別に設けられ、ロボット201を制御・管理したり、ロボット201とエレベーターとの間の情報などのやりとりをおこなうロボット管理用のサーバであってもよい。
【0036】
サーバ202は、ロボット201とLTE(Long Term Evolution)などの無線通信方式によって接続され、ロボット201との間で各種情報の送受信をおこなうことができる。サーバ202とロボット201との無線通信方式は、LTEには限定されず、その他の通信方式による無線通信であってもよい。
【0037】
監視装置203は、エレベーター付近、たとえば、エレベーターの制御盤104を収容する筐体や、昇降路の壁などに取り付けられる、いわゆる遠隔監視装置などによって実現することができる。
【0038】
図2に示すように、監視装置203は、制御盤104と接続され、制御盤104からエレベーターが備える各部に対して出力された信号(制御用の信号)を取得し、取得した制御用の信号に基づいて通知情報(エレベーターの状態に関する情報や、当該通知情報の送信元となるエレベーターの識別情報などを含む)を生成し、生成した通知情報を、図示を省略する管理サーバコンピュータ(管理サーバコンピュータは、サーバ202であってもよい)へ送信することができる。
【0039】
このように、比較的新しいエレベーターの場合は、監視装置203が制御盤104から情報が取得できるので、取得した情報に基づいてカゴ位置、すなわちカゴが昇降路におけるどの位置にあるかを監視装置203が把握することができる。
【0040】
しかしながら、比較的古いエレベーターなどの場合は、制御盤104から情報が取得できない場合があるため、監視装置203が確実にカゴ位置を把握することができない。その場合は、たとえば、UWB(Ultra-Wide Band)無線通信を用いてカゴ位置を特定することができる。具体的には、昇降路内の上側に、図示を省略する通信機を設置し、超広帯域の周波数帯域幅を利用することによって、当該通信機からカゴまでの距離を測定し、測定した距離に基づいて、カゴ位置を特定する。
【0041】
監視装置203は、無線通信機能を備え、サーバ202とLTEなどの無線通信方式によって接続され、サーバ202との間で、操作信号や、カゴ位置情報などの各種情報の送受信をおこなうことができる。監視装置203とサーバ202との無線通信方式は、LTEには限定されず、その他の通信方式による無線通信であってもよい。
【0042】
カゴ上制御装置204は、カゴ上であって、たとえばカゴ制御基板103の近傍に設けられる。あるいは、カゴ上制御装置204は、カゴ制御基板103と一体として設けられていてもよい。カゴ上制御装置204は、通信部205と制御部206を有する。
【0043】
カゴ上制御装置204は、通信部205を用いて、監視装置203とWi-Fiなどの近距離無線通信方式によって、監視装置203との間で各種情報送受信をおこなうことができる。通信部205と監視装置203との通信は、Wi-Fiには限定されず、その他の無線通信方式を用いてもよく、また有線によって通信をおこなうようにしてもよい。
【0044】
制御部206は、カゴ上制御装置204において通信部204と、有線による信号線などによって接続され、通信部205が受信した信号が当該通信線を介して入力される。制御部206と通信部205とはカゴ上制御装置204として一体の装置(一つの筐体)として形成されていてもよく、あるいは、通信部205が通信装置としてカゴ上制御装置204とは別体として設けられていてもよい。
【0045】
制御部206は、操作ボタン101とカゴ中操作盤102との間の信号線111~115の途中にそれぞれ個別に信号線211~215を、たとえば圧着端子などで接続している。このようにして、各操作ボタンの操作信号を受信する操作盤との間の既設配線(信号線111~115)に対して、それぞれ分岐配線(信号線211~215)を接続する。そして制御部206は、操作ボタン101の各ボタンが操作された際に送信されるボタンの操作信号(カゴ呼び信号)と同様の信号を各信号線211~215を介して各信号線111~115へ送信することができる。
【0046】
このようにすることで、たとえば、制御部206から、信号線211に操作信号が送出(出力)されると、当該操作信号は、信号線211と信号線111の接点から信号線111を介してカゴ中操作盤102に入力される。カゴ中操作盤102は、当該信号が入力されると、1階のカゴ呼びの操作があったと判断して、その旨の信号を通信線116を介してカゴ制御基板103へ送り、信号を受け取ったカゴ制御基板103は、テールコード117を介して1階のカゴ呼び操作に関する信号を制御盤104へ送る。それにより、制御盤104は、カゴを1階へ移動させる動作をおこなうことができる。
【0047】
したがって、カゴ上制御装置204の制御部206が信号線211に操作信号が送出するだけで、カゴ内で乗員が操作ボタン101のボタン「1」を操作しなくても、カゴ内で乗員が操作ボタン101のボタン「1」を操作した場合と同様に、カゴを1階へ移動させることができる。制御部206が信号線212~215に操作信号が送出した場合も、同様にカゴを各階(2階~5階)へ移動させることができる。
【0048】
つぎに、ロボット201の動作の流れについて説明する。1階にいるロボット201が、所望階である4階へ移動することを想定する。まずロボット201が現在いる階、すなわち乗り込みを希望する階(1階)に関する情報が、ロボット201に入力される。ロボット201に対する乗り込みを希望する階に関する情報の入力は、操作者が直接ロボットに後述するタッチパネルなどを用いて手動でおこなってもよく、遠隔からの無線通信によっておこなわれてもよい。また、ロボット201が現在いる階についての情報は、あらかじめ当該情報がロボット201に入力されていてもよく、またロボット201自体が、現在いる階についての情報を取得してもよい。
【0049】
乗り込みを希望する階(1階)に関する情報が入力されると、ロボット201は、当該階(1階)へのカゴの移動を要求する要求情報をサーバ202へ送信する。この要求情報には、乗り込み希望階(1階)に関する情報のほか、自ロボット201のID情報や、乗り込みを希望するエレベーター(カゴ)のID情報などを含む。
【0050】
サーバ202は、ロボット201から要求情報を受信すると、当該要求情報に基づいて、該当するエレベーターを特定し、特定したエレベーターの付近に設けられた監視装置203へ乗り込み希望階(1階)に関する情報およびロボット201のID情報などを含む運行指令情報を送信する。
【0051】
監視装置203は、運行指令情報を受信すると、カゴ上制御装置204の通信部205へ、乗り込み希望階(1階)に関する情報を送信する。この乗り込み希望階(1階)に関する情報を受信した通信部205は、制御部206へこの乗り込み希望階(1階)に関する情報を渡す。そして制御部206は、この乗り込み希望階(1階)に関する情報に基づいて、信号線211に操作信号を送出する。
【0052】
これにより、カゴを1階へ移動させることができるので、人手によって、カゴ内の操作ボタン101のボタン「1」を操作をすることなく、あるいは、1階の乗り場で呼びボタンを操作することなく、ロボット201は、1階でカゴに乗り込むことができる。
【0053】
つぎに、エレベーターのカゴに乗り込んだ後、ロボット201は、所望階(4階)への移動を要求する要求情報をサーバ202へ送信する。この要求情報には、所望階(4階)に関する情報のほか、ロボット201のID情報や、カゴを移動させるエレベーターのID情報などを含む。
【0054】
サーバ202は、ロボット201から要求情報を受信すると、当該要求情報に基づいて、該当するエレベーターを特定し、特定したエレベーターの付近に設けられた監視装置203へ所望階(4階)に関する情報およびロボット201のID情報などを含む運行指令情報を送信する。
【0055】
監視装置203は、運行指令情報を受信すると、カゴ上制御装置204の通信部205へ、所望階(4階)に関する情報を送信する。この所望階(4階)に関する情報を受信した通信部205は、制御部206へこの所望階(4階)に関する情報を渡す。そして制御部206は、この所望階(4階)に関する情報に基づいて、信号線214に操作信号を送出する。
【0056】
これにより、1階でカゴに乗り込んだロボット201は、乗り込んだカゴで4階まで移動し、その後、4階でカゴを降りることができるので、人手によって操作ボタンの操作をすることなく、1階から4階へ移動することができる。
【0057】
(ロボット201の構成)
つぎに、ロボット201の構成について説明する。図3は、ロボットの構成の一例を示す説明図である。図3において、符号301は、ロボット本体(筐体)であり、符号302は、荷物載置スペースであり、符号303は、車輪であり、符号304は、表示画面(タッチパネル)である。
【0058】
また、符号305は、表示制御部であり、符号306は、情報入力部であり、符号307は、通信部であり、符号308は、撮像部であり、符号309は、走行制御部であり、符号310は、車輪駆動部である。また、符号311は、蓄電池である。
【0059】
ロボット本体(筐体)301には、荷物載置スペース302が設けられており、荷物や料理などを当該スペースに載置して運搬することができる。このロボット201は、具体的には、たとえばホテルにおいて運用することが考えられ、ロボット201が宿泊客の荷物を各階に設けられた客室まで運搬したり、ルームサービスによる食事などを運搬したりすることができる。その他、ホテル以外の建物で会っても、建物の異なる階への物品の運搬などに活用することができる。
【0060】
そのために、ロボット本体(筐体)301には複数個の車輪303が設けられており、この車輪303によって、方向転換を含め、360度に渡り、所望する方向へ自走することができる。
【0061】
また、荷物載置スペース302には、蓋部材が設けられていてもよい。この蓋部材は、荷物などの盗難やいたずらを防止するため、ロック機構が備えられ、荷物の所有者のみが暗証番号などでロックを解除することができるようにしてもよい。
【0062】
またロボット本体(筐体)301には、表示画面304が設けられている。またロボット本体(筐体)301には、図示を省略するが、ロボット201の周囲を撮影するカメラやロボット201の周囲の状況を把握するための各種センサー、音声を出力するスピーカー、などが設けられている。
【0063】
ロボット201の寸法は、特に限定しないが、エレベーターの扉が開いた状態で、カゴの入り口を通過できるサイズである必要がある。また、乗員と一緒に乗り込むため、乗り込んだ際に、乗員の乗り込みを妨げないサイズであることが望ましい。ロボット201の寸法は、運搬する荷物の種類や大きさに応じて、最適なものとすることができる。また、荷物載置スペース302を荷物の種類や大きさに合わせて可変とすることもできる。
【0064】
ロボット201は、CPU、メモリ、通信インタフェース、入出力インタフェースなどのハードウエアを備え、表示制御部305、情報入力部306、通信部307、撮像部308、走行制御部309などの各種機能を実現する。
【0065】
表示制御部305は、表示画面304を用いて、各種情報を表示することができる。また情報入力部306は、入出力インタフェースによってその機能を実現し、たとえば表示画面304が有するタッチパネルの機能を用いて、操作者が表示画面304の表面に接触することによって、移動指令に関する情報や、各種情報の入力を受け付けることができる。
【0066】
通信部307は、通信インタフェースによってその機能を実現し、外部装置へエレベーターの移動階に関する情報を送信することができる。また、外部装置から無線通信によって送信されるロボット201の移動指令に関する情報や、ロボット201が乗り込む対象となるエレベーターのカゴの位置情報などを受信することができる。
【0067】
撮像部308は、図示を省略するカメラを制御して、周囲を撮影し、撮影した情報を通信部307から外部へ送信したり、また、走行制御部309へ伝えることができる。走行制御部309は、情報入力部306や通信部307が受け付けた移動指令に基づいて、車輪駆動部310を制御してロボット本体301を移動(走行)させることができる。その際、撮像部308や図示を省略する各種センサーからの情報に基づいて、障害物を回避したりして、安全にロボット201を走行させることができる。
【0068】
車輪駆動部310は、モーターなどによってその機能を実現する。車輪駆動部310は、走行制御部309からの制御信号に基づいて、モーターを回転させ、その回転を車輪303に伝えることができる。それにより、ロボット301を移動させることができる。
【0069】
また蓄電池311は、リチウム電池などの充電可能な電池であり、ロボット201の各構成部へ電力を供給する。図示を省略するが、充電ステーションを設け、ロボット201をそこへ移動させることによって、蓄電池311に充電することができる。蓄電池311は、リチウム電池以外にも、水素を用いて発電する燃料電池などであってもよい。
【0070】
図3に示すように、ロボット201は、車輪303を用いて自走するものとしたが、自走可能であれば、これには限定されない。具体的には、たとえば、二足歩行の人型ロボットであってもよく、四足歩行による歩行型の動物型ロボットであってもよい。
【0071】
(ロボット201の処理手順)
つぎに、ロボット201の処理の手順について説明する。図4は、ロボットの処理手順を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、ロボット201は、別の階への移動指示の入力があったか否かを判断する(ステップS401)。ここで、ロボット201は、移動指示の入力を待って(ステップS401:No)、移動指示の入力があった場合(ステップS401:Yes)は、乗り込み希望階、すなわち、現在、自装置が存在する階、に関する情報(現在階情報)をサーバ202へ送信する(ステップS402)。
【0072】
現在階情報には、自装置の識別情報(自装置ID)、移動の対象となるエレベーター(カゴ)の識別情報(エレベーターID)が含まれる。また、現在階への移動であることを示す情報が含まれていてもよい。また、乗り込み希望時刻(希望時刻=現在時刻、希望時刻=yymmdd、hhmmss(年月日時分秒)、あるいは、「現時点から7分30秒後」など)に関する情報も含まれていてもよい。
【0073】
つぎに、ロボット201は、乗り込むエレベーターのカゴがどの階にいるかに関する情報(カゴ位置情報)をサーバ202から受信し(ステップS403)、受信したカゴ位置情報に基づいて、カゴが現在階(自装置が存在する階)に到着したか否かを判断する(ステップS404)。
【0074】
ここで、カゴが現在階に到着するのを待って(ステップS404:No)、現在階に到着したと判断した場合(ステップS404:Yes)は、自走して、カゴへの乗込動作をおこなう(ステップS405)とともに、移動を所望する階に関する情報(所望階情報)をサーバ202へ送信する(ステップS406)。これにより、カゴの扉が閉まり、ロボット201を乗せたカゴが移動を開始する。
【0075】
所望階情報には、自装置の識別情報(自装置ID)、移動の対象となるエレベーターの識別情報(エレベーターID)が含まれる。また、所望階への移動(カゴの呼び)であることを示す情報が含まれていてもよい。
【0076】
そして、ロボット201は、乗り込んだエレベーターのカゴがどの階にいるかに関する情報(カゴ位置情報)をサーバ202から受信し(ステップS407)、受信したカゴ位置情報に基づいて、カゴが所望階(自装置が移動を所望する階)に到着したか否かを判断する(ステップS408)。
【0077】
ここで、カゴが所望階に到着するのを待って(ステップS408:No)、所望階に到着したと判断した場合(ステップS408:Yes)は、ロボット201は、(カメラや各種センサーなどによって)扉が開いたことを確認し、自走して、カゴからの降り動作をおこない(ステップS409)、これにより、ロボット201の一連の処理を終了する。
【0078】
(サーバ202の処理手順)
つぎに、サーバ202の処理の手順について説明する。図5は、エレベーターのカゴの移動制御システムにおけるサーバの処理手順を示すフローチャートである。図5のフローチャートにおいて、サーバ202は、ロボット201からの移動階情報を受信したか否かを判断する(ステップS501)。
【0079】
移動階情報は、図4のフローチャートに示した、ステップS402で送信された現在階情報またはステップS406で送信された所望階情報のいずれかである。ステップS501では、サーバ202は、ロボット201から送信された現在階情報と所望階情報を、いずれも移動階情報として区別せずに扱っているが、送信された情報が、現在階情報か、所望階情報かを区別して扱うようにしてもよい。両者を区別して扱うことができるように、ロボット201が送信する情報には、現在階情報か、所望階情報かを識別できるための情報を含めるようにしてもよい。
【0080】
ステップS501において、サーバ202は、移動階情報を受信するのを待って(ステップS501:No)、受信した場合(ステップS501:Yes)は、対象となるエレベーターを特定する(ステップS502)。対象となるエレベーターは、受信した情報に含まれるエレベーターIDに基づいて、特定することができる。
【0081】
そして、サーバ202は、特定したエレベーターの監視装置203へ移動階情報(現在階情報または所望階情報)を送信する(ステップS503)。
【0082】
その後、監視装置203からカゴの位置情報を受信したか否かを判断する(ステップS504)。ここで、カゴの位置情報を受信するのを待って(ステップS504:No)、受信した場合(ステップS504:Yes)は、サーバ202は、受信したカゴの位置情報をロボット201へ送信する(ステップS505)。これにより、サーバ202の一連の処理を終了する。
【0083】
(監視装置203の処理手順)
つぎに、監視装置203の処理の手順について説明する。図6は、エレベーターのカゴの移動制御システムにおける監視装置の処理手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、監視装置203は、サーバ202からの移動階情報を受信したか否かを判断する(ステップS601)。移動階情報は、図5のフローチャートのステップS503において、サーバ202が監視装置203へ送信した情報である。
【0084】
ステップS601において、監視装置203は、移動階情報を受信するのを待って(ステップS601:No)、受信した場合(ステップS601:Yes)は、カゴ上制御装置204へ移動階情報を送信する(ステップS602)。
【0085】
その後、監視装置203は、カゴの位置情報を取得する(ステップS603)。具体的には、たとえば、エレベーターの制御盤104からカゴ位置に関する情報(カゴがどの位置にあるかに関する情報)を取得することができる。
【0086】
また、監視装置203は、エレベーターの機種などによっては、エレベーターの制御盤104からカゴ位置情報を取得できない場合がある。その場合は、監視装置203は、上述したように、UWB無線通信を用いてカゴ位置を特定する。
【0087】
そして、監視装置203は、取得したカゴの位置情報をサーバ202へ送信する(ステップS604)。カゴの位置情報は、たとえば、現在のカゴ位置に関する情報であってもよく、移動階に到着した(あるいはもうすぐ移動階に到着する)という内容の情報であってもよい。カゴの位置情報は、ロボット201が受信した際に、移動階にカゴが到着したことが認識できるものであればよい。これにより、監視装置203の一連の処理を終了する。
【0088】
(カゴ上制御装置204の処理手順)
つぎに、カゴ上制御装置204の処理の手順について説明する。図7は、この発明にかかる実施の形態1のカゴ上制御装置の処理手順を示すフローチャートである。図7のフローチャートにおいて、カゴ上制御装置204は、通信部205が、監視装置203からの移動階情報を受信したか否かを判断する(ステップS701)。移動階情報は、図6のフローチャートのステップS602において、監視装置203がカゴ上制御装置204へ送信した情報である。
【0089】
ステップS701において、カゴ上制御装置204は、移動階情報を受信するのを待って(ステップS701:No)、受信した場合(ステップS701:Yes)は、受信した移動階情報に基づいて、信号線211~215のうち、制御部206が操作信号を送信する信号線を特定し(ステップS702)、特定した信号線から操作信号を送信する(ステップS703)。これにより、カゴ上制御装置204の一連の処理を終了する。
【0090】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態1の制御装置(カゴ上制御装置204)は、エレベーターのカゴ内において利用者がおこなう操作を遠隔操作指示により制御する制御装置204であって、カゴ内に設けられた各操作ボタン101と、当該各操作ボタン101の操作信号を受信する操作盤(カゴ中操作盤102)との間の既設配線(信号線111~115)に、それぞれ分岐配線(信号線211~215)を接続し、エレベーターの受信部(通信部205)が外部装置(監視装置203、サーバ202、ロボット201、その他の通信端末装置など)から無線通信によって受信した操作ボタン101の操作指示に関する情報に基づいて、当該操作指示に該当する分岐配線(信号線211~215)を用いて操作盤(カゴ中操作盤102)へ操作信号を送信することを特徴としている。
【0091】
この発明にかかる実施の形態1の制御装置(カゴ上制御装置204)によれば、エレベーターの構成(操作ボタン101、カゴ中操作盤102、カゴ制御基板103、制御盤104など)については何らの変更を加えることなく、ロボット201による呼び操作をおこなうことができ、ロボット201をカゴに乗り込ませて、所望階にカゴを移動させることができる。
【0092】
これにより、既存のエレベーターシステムに対して最小限の改良により、より簡易にかつ安価に自走式のロボットの利用を可能とするエレベーターを実現することができる。
【0093】
なお、図2および図4図7に示したフローチャートにおいては、カゴ上制御装置204は、監視装置203に接続され、監視装置203はサーバ202に接続され、サーバ202はロボットに接続され、それぞれ通信をおこなう構成としたが、このような構成には限定されない。
【0094】
具体的には、たとえば、カゴ上制御装置204は、監視装置203に接続される代わりに、サーバ202あるいはロボット201に直接、接続されるような構成としてもよい。通信方式については、LTEなどの無線通信方式であってもよく、それ以外の通信方式であってもよい。このように構成することにより、より迅速にロボット201からの移動階情報をカゴ上制御装置204に送信することができる。
【0095】
また、図2および図4図7に示したフローチャートにおいて、監視装置203が取得したカゴの位置情報は、サーバ202へ送信するようにしたが、これには限定されない。具体的には、監視装置203は、取得したカゴ位置情報を、サーバ202を介することなく、直接、ロボット201へ送信することができる。これにより、ロボット201がより迅速に、カゴの位置情報を取得することができる。
【0096】
また、図2および図4図7に示したフローチャートにおいては、ロボット201が移動階情報を送信するようにしたが、ロボット201に限らず、ロボット201に代えて通信機能付きのパーソナルコンピュータやスマートフォンなどを用いてもよい。
【0097】
具体的には、コンピュータやスマートフォンを用いて移動階情報を送信すると、カゴ上制御装置204は、サーバ202、監視装置203を経由して、あるいは直接、移動階情報を受信し、制御部206が操作信号を所定の信号線211~215へ出力し、カゴを所望の階へ移動させることができる。これにより、利用者が多い階など、時間によってエレベーターを目的階に、遠隔地から制御して移動させることができる。
【0098】
またサーバなどを用いて移動階情報を送信することによって、製造メーカーなどが異なる多種類のエレベーターであっても、カゴ上制御装置204などを取り付けることによって、エレベーターのカゴの移動に関する群管理をより容易におこなうことも可能となる。
【0099】
(実施の形態2)
図8は、この発明にかかる実施の形態2のカゴ上制御装置を含むエレベーターのカゴの移動制御システムの一部の構成の一例を示す説明図である。なお、図1図2において示した構成部と同じ構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。また図8において、図2と同様の構成部(符号201~205)を備えているが、その図示を省略する。
【0100】
図8において、符号801~805は、コネクタであり、符号811~815は、制御部206とコネクタ801~805との間の信号線であり、符号821~825は、コネクタ801~805とカゴ中操作盤102との間の信号線である。
【0101】
操作ボタンの各ボタン「1」~「5」ごとに、それぞれコネクタ801~805との間に有線にて信号線(既存配線)111~115を接続し、各信号線111~115に対応する信号線821~825をコネクタ801~805とカゴ中操作盤102との間に接続する。したがって、各ボタンが操作(たとえば接触あるいは押下など)されると、ボタンの操作信号(カゴ呼び信号)は、各ボタンに対応する各信号線111~115→コネクタ801~805→各信号線821~825を通って、パラレルにカゴ中操作盤102に入力される。
【0102】
また、カゴ上制御装置204(図8では記載を省略)の制御部206と各コネクタ801~805との間に有線にて信号線811~815を接続する。したがって、制御部206から各信号線811~815に操作信号が出力されると、当該操作信号は、各信号線811~815→コネクタ801~805→各信号線821~825を通って、パラレルにカゴ中操作盤102に入力される。
【0103】
このように、実施の形態1で、制御部206が、操作ボタン101とカゴ中操作盤102との間の信号線111~115の途中にそれぞれ個別に信号線211~215を圧着端子などで接続する代わりに、コネクタ801~805を用い、信号線211~215と同様の信号線811~815を用いて、制御部206からの操作信号をカゴ中操作盤102へ送出することができる。なお、コネクタ801~805については、たとえば分岐ハーネスなどを用いるようにしてもよい。
【0104】
このようにすることで、たとえば、制御部206から、信号線811に操作信号が送出(出力)されると、当該操作信号は、コネクタ801から信号線821を介してカゴ中操作盤102に入力される。カゴ中操作盤102は、当該信号が入力されると、1階のカゴ呼びの操作があったと判断して、その旨の信号を通信線116を介してカゴ制御基板103へ送り、カゴ制御基板103は、テールコード117を介して1階のカゴ呼び操作に関する信号を制御盤104へ送る。それにより、制御盤104は、カゴを1階へ移動させる動作をおこなうことができる。
【0105】
したがって、カゴ上制御装置204の制御部206が信号線811に操作信号が送出するだけで、カゴ内で乗員が操作ボタン101のボタン「1」を操作しなくても、カゴ内で乗員が操作ボタン101のボタン「1」を操作した場合と同様に、カゴを1階へ移動させることができる。制御部206が信号線812~815に操作信号が送出した場合も同様に、カゴを各階(2階~5階)へ移動させることができる。
【0106】
その他の構成については、上述した実施の形態1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0107】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態2の制御装置204は、エレベーターのカゴ内において利用者がおこなう操作を遠隔操作指示により制御する制御装置204であって、カゴ内に設けられた各操作ボタン101と、当該各操作ボタン101の操作信号を受信する操作盤との間に設けられたコネクタ801~805を有し、エレベーターの受信部(通信部205)が外部装置(監視装置203、サーバ202、ロボット201、その他の通信端末装置など)から無線通信によって受信した操作ボタン101の操作指示に関する情報に基づいて、コネクタ801~805を用いて当該操作指示に該当する操作ボタンの操作信号を操作盤(カゴ中操作盤102)へ送信することを特徴としている。
【0108】
この発明にかかる実施の形態2の制御装置204によれば、実施の形態1の制御装置と同様に、エレベーターの構成(操作ボタン101、カゴ中操作盤102、カゴ制御基板103、制御盤104など)については何らの変更を加えることなく、ロボット201による呼び操作をおこなうことができ、ロボット201をカゴに乗り込ませて、所望階にかごを移動させることができる。これにより、既存のエレベーターシステムに対して最小限の改良により、より簡易にかつ安価に自走式のロボットの利用を可能とするエレベーターを実現することができる。さらに、コネクタ801~805を用いることによって、抜き差しだけで簡単に設置が可能となる。
【0109】
(実施の形態3)
図示は省略するが、制御部206に、カゴ内に設けられた各操作ボタン101付近に設けられた当該各操作ボタン101を個別に押下する押下機構を設けるようにしてもよい。
【0110】
この押下機構は、具体的には、たとえば、電磁ソレノイドアームを備え、制御部206からの操作信号に応じて、電磁ソレノイドアームを駆動させ、当該アームの先端によって当該各操作ボタン101を押下することで、カゴ呼び信号を発生させる。
【0111】
電磁ソレノイドアームは、操作ボタン101の各ボタンごとにそれぞれ複数個(ボタンと同数)設けてもよく、また、1つまたは複数個の電磁ソレノイドアームを移動させる移動機構を更に設け、電磁ソレノイドアームを所望のボタンの位置まで移動させたのちに、当該アームの先端により当該ボタンを押下させるようにしてもよい。
【0112】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態3の制御装置204は、エレベーターのカゴ内において利用者がおこなう操作を遠隔操作指示により制御する制御装置204であって、カゴ内に設けられた各操作ボタン101付近に設けられた当該各操作ボタン101を個別に押下する押下機構を有し、エレベーターの受信部(通信部205)が外部装置(監視装置203、サーバ202、ロボット201、その他の通信端末装置など)から無線通信によって受信した操作ボタン101の操作指示に関する情報に基づいて、押下機構が当該操作指示に該当する操作ボタン101を押下することを特徴としている。
【0113】
これにより、押下機構を操作ボタン101の近傍に設置するだけで、実施の形態1のように分岐配線をおこなう必要がない。また実施の形態2のようにコネクタを用いる必要もない。そのためそのような工事は不要となる。また、電磁ソレノイドアームの先端で、各ボタンを物理的に押下あるいは接触することができるので、より確実にカゴ呼び信号を発生させることができる。
【0114】
(実施の形態4)
図示は省略するが、制御部206に、カゴ内に設けられた各操作ボタン101付近に設けられた当該各操作ボタン101の個別の静電容量を変化させる静電容量スイッチを設けるようにしてもよい。
【0115】
この静電容量スイッチは、具体的には、たとえば、各操作ボタン101が静電タッチスイッチの場合に、静電スイッチが反応する様に調整した回路を静電タッチボタン上に貼り付けたものであってもよく、当該回路へ信号を送信することによって静電容量を変化させ、各操作ボタン101を操作することができる。
【0116】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態4の制御装置204は、エレベーターのカゴ内において利用者がおこなう操作を遠隔操作指示により制御する制御装置204であって、カゴ内に設けられた各操作ボタン101に取り付けられた静電容量スイッチを有し、エレベーターの受信部(通信部205)が外部装置(監視装置203、サーバ202、ロボット201、その他の通信端末装置など)から無線通信によって受信した操作ボタン101の操作指示に関する情報に基づいて、当該操作指示に該当する操作ボタン101に取り付けられた静電容量スイッチの静電容量を変化させることを特徴としている。
【0117】
これにより、実施の形態1のように分岐配線をおこなう必要がない。また実施の形態2のようにコネクタを用いる必要もない。また、静電容量スイッチで、各ボタンを押下あるいは接触と同様の作用をおこなうことができるので、各操作ボタン101が静電タッチスイッチの場合に、より確実にカゴ呼び信号を発生させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上のように、この発明にかかる制御装置は、エレベーターのカゴ内において利用者がおこなう操作を遠隔操作指示により制御する制御装置に有用であり、自走式のロボットが利用するエレベーターにおいてカゴの移動制御をおこなう制御装置に適している。
【符号の説明】
【0119】
101 操作ボタン
102 カゴ中操作盤
103 カゴ制御基板
104 制御盤
111 信号線(操作ボタン「1」(1階)の呼び信号線)
112 信号線(操作ボタン「2」(2階)の呼び信号線)
113 信号線(操作ボタン「3」(3階)の呼び信号線)
114 信号線(操作ボタン「4」(4階)の呼び信号線)
115 信号線(操作ボタン「5」(5階)の呼び信号線)
116 信号線(カゴ中操作盤とカゴ制御基板との間の信号線)
117 信号線(カゴ制御基板と制御盤との間のテールコード)
201 ロボット
202 サーバ
203 監視装置(遠隔監視装置)
204 カゴ上制御装置
205 通信部
206 制御部
211 信号線(信号線111の分岐配線)
212 信号線(信号線112の分岐配線)
213 信号線(信号線113の分岐配線)
214 信号線(信号線114の分岐配線)
215 信号線(信号線115の分岐配線)
301 ロボット本体(筐体)
302 荷物載置スペース
303 車輪
304 表示画面(タッチパネル)
305 表示制御部
306 情報入力部
307 通信部
308 撮像部
309 走行制御部
310 車輪駆動部
311 蓄電池
801~805 コネクタ
811~815 信号線(制御部とコネクタとの間の信号線)
821~825 信号線(コネクタとカゴ中操作盤との間の信号線)
【要約】
カゴ内に設けられた各操作ボタン(101)と、各操作ボタン(101)の操作信号を受信するカゴ中操作盤(102)との間の既設配線(111~115)に、それぞれ分岐配線(211~215)を圧着端子などで接続し、カゴ上制御装置(204)の通信部(205)が無線通信によって受信した操作ボタンの操作指示に関する情報に基づいて、カゴ上制御装置(204)の制御部(206)が操作指示に該当する分岐配線(211~215)を用いてカゴ中操作盤(102)へ操作信号を送信する。したがって既存のエレベーターシステムに対して最小限の改良により、より簡易にかつ安価に自走式のロボットの利用を可能とするエレベーターを実現することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8