(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】調節可能なペダルフィーリング及び自己検査機能を有するインテグレーテッドブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
B60T 13/138 20060101AFI20240521BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20240521BHJP
B60T 17/22 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B60T13/138 A
B60T8/17 B
B60T17/22 Z
(21)【出願番号】P 2022523293
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(86)【国際出願番号】 CN2020121960
(87)【国際公開番号】W WO2021073645
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】201910987941.1
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522157158
【氏名又は名称】浙江亜太机電股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】NO.1399 Yatai RD Shushan Street, Xiaoshan District Hangzhou, Zhejiang 311203 China
(74)【代理人】
【識別番号】100120019
【氏名又は名称】八木 敏安
(72)【発明者】
【氏名】ハオ ジァンマイ
(72)【発明者】
【氏名】ホァン ヂェン
(72)【発明者】
【氏名】ヂォン リーシュイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シィォン
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110116718(CN,A)
【文献】特開2018-069928(JP,A)
【文献】特開2009-126327(JP,A)
【文献】特開2005-212679(JP,A)
【文献】特開2016-052809(JP,A)
【文献】特開2011-051494(JP,A)
【文献】特開2017-171015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0039585(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-8/96
B60T 13/00-17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタシリンダ制御部と圧力実行部とを含んでおり、
前記マスタシリンダ制御部は、ブレーキマスタシリンダ、ペダルシミュレータ及びブレーキ液オイルカップを含んでおり、
前記圧力実行部は、モータ、サブマスタシリンダ、カップリング弁、線形液体進入弁及びブレーキホイールシリンダを含んでおり、
ブレーキマスタシリンダに、ストローク変位センサが一体として取り付けられており、モータがサブマスタシリンダに接続されており、モータの出力端は、伝動部材を介してサブマスタシリンダにおけるピストンを往復移動させ、圧力形成一方向弁の入力端が、ブレーキ液オイルカップに直接接続されており、
ブレーキマスタシリンダにおける2つの室から2つの油路が出力されており、ブレーキマスタシリンダの前室がペダルシミュレータを介して圧力形成一方向弁の入力端及びブレーキマスタシリンダの前室自身に戻るように接続されており、
ブレーキマスタシリンダの前室及び後室は、
それぞれ1つのカップリング弁を介して、自動車の前輪ブレーキのブレーキホイールシリンダ及び後輪ブレーキのブレーキホイールシリンダにそれぞれ接続されており、
カップリング弁と各ブレーキホイールシリンダとの間の油路には、いずれも線形液体進入弁が接続され、取り付けられており、サブマスタシリンダは、2つの圧力形成ユニット液体供給弁を介して、自動車の前輪ブレーキに対応するカップリング弁及び線形液体進入弁の間、並びに自動車の後輪ブレーキに対応するカップリング弁及び線形液体進入弁の間にそれぞれ接続されており、
圧力形成一方向弁
と各ブレーキホイールシリンダとの間の油路には、いずれも線形液体排出弁が接続され、取り付けられており、
前記ペダルシミュレータは非線形制御ペダルシミュレータであり、ペダルシミュレータシリンダ本体(1)と、ペダルシミュレータピストン(2)と、ピストンリターンスプリング(3)と、フットフィーリング調節弁(4)と、シミュレータ弁(5)と、オイルカップ(6)と、圧力センサ(7)とを含んでおり、ペダルシミュレータピストン(2)は、ペダルシミュレータシリンダ本体(1)の内部に配置されており、これによって、ペダルシミュレータシリンダ本体(1)の内部が、ピストン前室とピストン後室との2つの室
に分けられており、ピストンリターンスプリング(3)は、ペダルシミュレータシリンダ本体(1)のピストン後室の中に配置されており、ペダルシミュレータシリンダ本体(1)のピストン後室は、フットフィーリング調節弁(4)を介して、ブレーキ液オイルカップに接続されており、それと同時に、ペダルシミュレータシリンダ本体(1)のピストン後室は、ブレーキマスタシリンダのロッド配置室に接続されており、ペダルシミュレータシリンダ本体(1)のピストン前室は、シミュレータ弁(5)を介して、ブレーキマスタシリンダのロッド配置室に接続され連通している、ことを特徴とする調節可能なペダルフィーリング及び自己検査機能を有するインテグレーテッドブレーキシステム。
【請求項2】
前記圧力形成ユニット液体供給弁及び前記カップリング弁はいずれも開閉弁である、ことを特徴とする請求項1に記載の調節可能なペダルフィーリング及び自己検査機能を有するインテグレーテッドブレーキシステム。
【請求項3】
前記線形液体進入弁及び前記線形液体排出弁はいずれも調節弁である、ことを特徴とする請求項1に記載の調節可能なペダルフィーリング及び自己検査機能を有するインテグレーテッドブレーキシステム。
【請求項4】
前記圧力形成一方向弁は、両端の油圧の大小によって制御される、ブレーキ液オイルカップからサブマスタシリンダへの方向のみ流れる弁である、ことを特徴とする請求項1に記載の調節可能なペダルフィーリング及び自己検査機能を有するインテグレーテッドブレーキシステム。
【請求項5】
前記シミュレータ弁(5)とブレーキマスタシリンダとの間の油管路に、圧力センサ(7)が配置されている、ことを特徴とする請求項
1に記載の調節可能なペダルフィーリング及び自己検査機能を有するインテグレーテッドブレーキシステム。
【請求項6】
前記フットフィーリング調節弁(4)は、線形制御電磁弁であり、流量を線形的に調節でき、後ブレーキ液がオイルカップ(6)からフットフィーリング調節弁(4)を経てピストン後室へ流れ込み、前記シミュレータ弁(5)は開閉弁であり、圧力ブレーキ液が、ピストン前室からシミュレータ弁(5)を経て、流量を調節されずにブレーキマスタシリンダへ流れ込む、ことを特徴とする請求項
1に記載の調節可能なペダルフィーリング及び自己検査機能を有するインテグレーテッドブレーキシステム。
【請求項7】
前記シミュレータ弁(5)に、ブレーキ液の還流のための前部一方向弁が並列接続されており、前部一方向弁では、所定の油圧の制御によってピストン前室からブレーキマスタシリンダへブレーキ液が流れ、前記フットフィーリング調節弁(4)に、ブレーキ液の還流のための後部一方向弁が並列接続されており、後部一方向弁では、所定の油圧の制御によってオイルカップ(6)からピストン後室へブレーキ液が流れる、ことを特徴とする請求項
1に記載の調節可能なペダルフィーリング及び自己検査機能を有するインテグレーテッドブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車スマート運転ブレーキ制御システムの分野に属し、特に、自動車ブレーキシステムにおける調節可能なペダルフィーリング及び自己検査機能を有するインテグレーテッドブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー車が大きく発展する環境下において、自動車は従来の内燃機関動力からハイブリッド動力及び純電気駆動へ発展している。従来の内燃機関動力がない自動車は、ブレーキ過程においてブレーキマスタシリンダに真空補助を提供する真空源がなくなる。これを解決するために、現在の電気自動車又はハイブリッド車は、真空源として、従来のブースタに真空ポンプを追加している。この方法により、コストが高くなると同時に、真空ポンプによる回避できない作動騒音が発生する。また、従来のブレーキマスタシリンダは、制動力を提供する作用のみを有し、新エネルギー車のエネルギー回収機能を満たすことができない。エネルギー回収を実現するために、エネルギー回収装置を追加する必要があり、コストがかかる。
【発明の概要】
【0003】
背景技術における課題を解決するために、本発明では調節可能なペダルフィーリング及び自己検査機能を有するインテグレーテッドブレーキシステムを提供する。インテグレーテッドブレーキマスタシリンダにより、各ホイールシリンダの制動力を精確に制御でき、所定の時間内で迅速に加圧する効果を達し、ホイールシリンダの圧力を迅速かつ精確に制御する機能を実現できる。
【0004】
以上の技術的課題を解決するために、本発明では以下の技術的解決手段を用いる。
【0005】
本発明は、マスタシリンダ制御部と圧力実行部とを含んでいる。前記マスタシリンダ制御部は、ブレーキマスタシリンダ、ペダルシミュレータ及びブレーキ液オイルカップを含んでいる。前記圧力実行部は、モータ、サブマスタシリンダ、カップリング弁、線形液体進入弁及びブレーキホイールシリンダを含んでいる。ブレーキマスタシリンダに、ストロ
ーク変位センサが一体として取り付けられている。モータがサブマスタシリンダに接続されている。モータの出力端は、伝動部材を介してサブマスタシリンダにおけるピストンを往復移動させる。圧力形成一方向弁の入力端が、ブレーキ液オイルカップに直接接続されている。ブレーキマスタシリンダにおける2つの室から2つの油路が出力されている。ブレーキマスタシリンダの前室がペダルシミュレータを介して圧力形成一方向弁の入力端及びブレーキマスタシリンダの前室自身に戻るように接続されている。ブレーキマスタシリンダの前室及び後室は、それぞれ1つのカップリング弁を介して、自動車の前輪ブレーキのブレーキホイールシリンダ及び後輪ブレーキのブレーキホイールシリンダにそれぞれ接続されている。カップリング弁と各ブレーキホイールシリンダとの間の油路には、いずれも線形液体進入弁が接続され、取り付けられている。サブマスタシリンダは、2つの圧力形成ユニット液体供給弁を介して、自動車の前輪ブレーキに対応するカップリング弁及び線形液体進入弁の間、並びに自動車の後輪ブレーキに対応するカップリング弁及び線形液体進入弁の間にそれぞれ接続されている。圧力形成一方向弁と各ブレーキホイールシリンダとの間の油路には、いずれも線形液体排出弁が接続され、取り付けられている。
【0006】
本発明のマスタシリンダ制御部は、電液協働の制御方法によって、ブレーキフットフィ
ーリングのシミュレーションの非線形調節を実現でき、非線形のブレーキフットフィーリングを実現する。圧力実行部は、ホイールシリンダの圧力を迅速かつ精確に制御し調節する。
【0007】
前記圧力形成ユニット液体供給弁及び前記カップリング弁はいずれも開閉弁である。
【0008】
前記線形液体進入弁及び前記線形液体排出弁はいずれも調節弁である。
【0009】
前記圧力形成一方向弁は、両端の油圧の大小によって制御される、ブレーキ液オイルカップからサブマスタシリンダへの方向のみ流れる弁である。
【0010】
前記ペダルシミュレータは非線形制御ペダルシミュレータであり、ペダルシミュレータシリンダ本体と、ペダルシミュレータピストンと、ピストンリターンスプリングと、フットフィーリング調節弁と、シミュレータ弁と、オイルカップと、圧力センサとを含んでいる。ペダルシミュレータピストンは、ペダルシミュレータシリンダ本体の内部に配置されており、これによって、ペダルシミュレータシリンダ本体の内部が、ピストン前室とピストン後室との2つの室に分けられている。ピストンリターンスプリングは、ペダルシミュレータシリンダ本体のピストン後室に配置されている。ペダルシミュレータシリンダ本体のピストン後室は、フットフィーリング調節弁を介して、ブレーキ液オイルカップに連通している。それと同時に、ペダルシミュレータシリンダ本体のピストン後室は、ブレーキマスタシリンダのロッド配置室に接続されている。ペダルシミュレータシリンダ本体のピストン前室は、シミュレータ弁を介してブレーキマスタシリンダのロッド配置室に接続され連通している。
【0011】
前記シミュレータ弁とブレーキマスタシリンダとの間の油管路に、圧力センサが配置されている。
【0012】
前記フットフィーリング調節弁は、線形制御電磁弁であり、流量を線形的に調節できる。後ブレーキ液がオイルカップからフットフィーリング調節弁を経てピストン後室へ流れ込む。前記シミュレータ弁は開閉弁であり、圧力ブレーキ液が、ピストン前室からシミュレータ弁を経て、流量を調節されずにブレーキマスタシリンダへ流れ込む。
【0013】
前記シミュレータ弁に、ブレーキ液の還流のための前部一方向弁が並列接続されている。前部一方向弁では、所定の油圧の制御によってピストン前室からブレーキマスタシリンダへブレーキ液が流れる。前記フットフィーリング調節弁に、ブレーキ液の還流のための後部一方向弁が並列接続されている。後部一方向弁では、所定の油圧の制御によってオイルカップからピストン後室へブレーキ液が流れる。
【0014】
前記ペダルシミュレータは、従来のブレーキペダルのフットフィーリングをシミュレートでき、そして、ペダルシミュレータに、異なる状態におけるブレーキフットフィーリングをシミュレートするためのペダルシミュレータフットフィーリング調節弁が配置されており、電液協働によってブレーキペダルシミュレーションの非線形制御を実現できる。
【0015】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0016】
本発明で用いられる技術的解決手段において、圧力実行部がホイールシリンダの圧力を迅速かつ精確に制御する。
【0017】
さらに、ブレーキホイールのホイールシリンダにおける圧力が、線形液体進入弁によって具体的な圧力まで制御し、エネルギー回収状態における制動力の補充を実現できる。そ
して、エネルギー回収過程において、ホイールシリンダの圧力をリアルタイムで変化させることを実現し、エネルギー回収効率を向上させる。さらに本発明を踏まえて、アンチロック・ブレーキシステム及び横滑り防止システムを実現でき、スマート運転の拡張機能に良好な拡張プラットフォームを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、図面と具体的な実施形態と併せて本発明をさらに説明する。
【
図1】
図1はインテグレーテッドブレーキシステムの作動状態図である。
【
図4】
図4は自発独立加圧状態の作動状態図である。
【
図5】
図5は自発独立減圧状態の作動状態図である。
【
図6】
図6は無効ブレーキ状態におけるブレーキの作動状態図である。
【
図7】
図7は製品油路漏洩検出の第1種の作動状態図である。
【
図8】
図8は製品油路漏洩検出の第2種の作動状態図である。
【
図9】
図9は非線形制御ペダルシミュレータの全体構造概略図である。
【
図10】
図10は非線形制御ペダルシミュレータのシミュレーションフットフィーリングPV特性図である。
【
図11】
図11は非線形制御ペダルシミュレータのペダルシミュレータフットフィーリング調節弁の流量制御線形特性図である。
【
図12】
図12は非線形制御ペダルシミュレータの全体制御フローチャートである。
【
図13】
図13は、運転者がブレーキを踏んだ過程において、非線形制御ペダルシミュレータの各部材の作動概略図である。
【
図14】
図14は、運転者がブレーキを離し、又はブレーキを保持している過程において、非線形制御ペダルシミュレータの各部材の作動概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面と実施形態と併せて、本発明をさらに説明する。
【0020】
図1に示すように、マスタシリンダ制御部と圧力実行部とを含んでいる。マスタシリンダ制御部は、ブレーキマスタシリンダ、ペダルシミュレータ及びブレーキ液オイルカップを含んでいる。圧力実行部は、モータ、サブマスタシリンダ、カップリング弁、線形液体進入弁及びブレーキホイールシリンダを含んでいる。モータは、ブラシレスモータである。ブレーキマスタシリンダに、ストローク変位センサが一体として取り付けられている。ストローク変位センサは、ブレーキマスタシリンダにおけるピストンペダルが移動する深さと速度を測るために用いられる。圧力形成ユニットは、ブラシレスモータ及びサブマスタシリンダによって構成されており、モータがサブマスタシリンダに接続している。モータの出力端は、伝動部材を介してサブマスタシリンダにおけるピストンを往復移動させる。サブマスタシリンダの後室は、圧力形成一方向弁の入力端に接続されている。圧力形成一方向弁の入力端は、ブレーキ液オイルカップに直接接続されている。ブレーキマスタシリンダにおける2つの室から2つの油路が出力されている。ブレーキマスタシリンダの前室がペダルシミュレータを介して圧力形成一方向弁の入力端及びブレーキマスタシリンダの前室自身へ戻るように接続されている。ブレーキマスタシリンダの後室に、圧力センサが配置されている。ブレーキマスタシリンダの前室及び後室は、
それぞれ1つのカップリング弁を介して、自動車の前輪ブレーキのブレーキホイールシリンダ及び後輪ブレーキのブレーキホイールシリンダにそれぞれ接続されている。カップリング弁と各ブレーキホイールシリンダとの間の油路には、いずれも線形液体進入弁が接続され取り付けられている。各線形液体進入弁は、いずれも油戻しに用いられる一方向弁が並列接続されている。圧力形成ユニット液体供給弁の出力端は、カップリング弁と線形液体進入弁との間に接続されている。サブマスタシリンダの後室は、2つの圧力形成ユニット液体供給弁を介して、自動車の前輪ブレーキに対応するカップリング弁及び線形液体進入弁の間、並びに自動車の後輪ブレーキに対応するカップリング弁及び線形液体進入弁の間にそれぞれ接続されている。圧力形成一方向弁
と各ブレーキホイールシリンダとの間の油路には、いずれも線形液体排出弁が接続され、取り付けられている。ブレーキマスタシリンダの前室は、ロッドが配置された一側により近く、後室は、ロッドがない一側により近い。前室と後室は、いずれも圧力形成室である。
【0021】
圧力形成ユニット液体供給弁及びカップリング弁はいずれも開閉弁である。線形液体進入弁及び線形液体排出弁はいずれも調節弁である。圧力形成一方向弁は、両端の油圧の大小によって制御される、ブレーキ液オイルカップからサブマスタシリンダへの方向のみ流れる弁である。
【0022】
具体的な実施形態において、自動車の2つの前輪のそれぞれに1つのブレーキが配置されており、2つの後輪のそれぞれに1つのブレーキが配置されている。
【0023】
具体的な実施形態において、サブマスタシリンダの後室とブレーキホイールシリンダには、いずれも圧力センサが配置されている。
【0024】
ブレーキマスタシリンダの前室の1つの油路がさらに2つに分けられ、その一方の油路が常閉電磁弁のシミュレータ弁を経てペダルシミュレータに接続され、他方はカップリング弁を経て出力されて圧力実行部(2)に接続されている。ブレーキマスタシリンダにおける2つの室から2つの油路が出力されており、さらにそれぞれ2つに分けられることで連続した4つの油路に分けられ、4つの油路にそれぞれが線形液体進入弁を経て2つに分けられ、その一方がホイールシリンダまで出力され、他方は液体排出弁を経てオイルカップへ戻る。
【0025】
具体的な実施形態において、ブレーキマスタシリンダの側壁に、オイルカップに連通する2つの油口を設けることができ、2つの油口は、それぞれ前室と後室の傍に位置している。非圧力形成作動過程において、
図1、
図3~
図5及び
図7~
図8に示すように、2つの油口によって、前室と後室はオイルカップにおいて連通している。圧力形成作動過程において、
図2及び
図6に示すように、ピストンが拡張し、2つの油口を塞ぎ、前室と後室はオイルカップにおいて連通していない。
【0026】
本発明は、ペダルが調節できると同時に、自己検査機能を有する。具体的な実施形態において、少なくとも2種の検査方法がある。
【0027】
第1種の具体的な検査過程では、2つの油路における圧力形成ユニット液体供給弁を通電オンにし、4つの油路における線形液体進入弁を通電オフにし、下方油路のカップリング弁(概略図において、後室に接続されているマスタシリンダの前室)を通電オフにし、フットフィーリング調節弁を通電オフにする。このとき、サブマスタシリンダが圧力形成をする。サブマスタシリンダの油圧センサを観測し、油圧センサに明らかな圧力下降を確認できたら、油路の漏洩が検出されたことを意味し、不合格と製品が警告する。
【0028】
第2種の具体的な検査過程では、2つの油路における圧力形成ユニット液体供給弁を通電オンにし、下方油路のカップリング弁(概略図において、後室に接続されているマスタシリンダの前室)を通電オフにし、フットフィーリング調節弁を通電オフにする。このとき、サブマスタシリンダが圧力形成をする。サブマスタシリンダの油圧センサを観測し、油圧センサに明らかな圧力下降を確認できたら、油路の漏洩が検出されたことを意味し、不合格と製品が警告する。
【0029】
図9に示すように、具体的な実施形態では、ペダルシミュレータシリンダ本体1と、ペダルシミュレータピストン2と、ピストンリターンスプリング3と、フットフィーリング調節弁4と、シミュレータ弁5と、オイルカップ6と、圧力センサ7とを含んでいる。ペダルシミュレータピストン2は、ペダルシミュレータシリンダ本体1の内部に配置されており、これによって、ペダルシミュレータシリンダ本体1の内部が、ピストン前室とピストン後室との2つの室に分けられている。ピストンリターンスプリング3は、ペダルシミュレータシリンダ本体1のピストン後室に配置されている。ピストンリターンスプリング3は、ペダルシミュレータピストン2とペダルシミュレータシリンダ本体1のピストン後室の内壁との間に接続されている。ペダルシミュレータシリンダ本体1のピストン後室は、フットフィーリング調節弁4を介して、ブレーキ液オイルカップに接続されており、それと同時に、ペダルシミュレータシリンダ本体1のピストン後室は、ブレーキマスタシリンダのロッド配置室に接続されており、ペダルシミュレータシリンダ本体1のピストン前室は、シミュレータ弁5を介して、ブレーキマスタシリンダのロッド配置室に接続され連通している。
【0030】
シミュレータ弁5とブレーキマスタシリンダとの間の油管路に、圧力センサ7が配置されている。フットフィーリング調節弁4は、線形制御電磁弁であり、後ブレーキ液がオイルカップ6からフットフィーリング調節弁4を経てピストン後室へ流れる。シミュレータ弁5は開閉弁であり、圧力ブレーキ液がピストン前室からシミュレータ弁5を経てブレーキマスタシリンダへ流れ込む。
【0031】
シミュレータ弁5に、ブレーキ液の還流のための前部一方向弁が並列接続されており、フットフィーリング調節弁4に、ブレーキ液の還流のための後部一方向弁が並列接続されている。シミュレータ弁5及びフットフィーリング調節弁4に並列接続されている一方向弁は、いずれも油圧力によって制御され、一方向へ流れる。進入端の油圧が出口端の油圧より大きい場合のみ、開放される。進入端の油圧が出口端の油圧より小さいとき、出口端のより高い油圧によりバルブコアが塞がれ、開放できない。
【0032】
ピストン前室は、運転者がブレーキをかけるとき、ブレーキマスタシリンダから押し出された圧力を有するブレーキ液を収集するためのものである。ピストン後室の、ピストンリターンスプリング3を有する端は、オイルカップブレーキ液で充満されている密封室であり、フットフィーリング調節弁4を介してブレーキ液オイルカップ6に接続されている。圧力センサ7は、ペダルシミュレータ全体が作動するときのピストン前室内の圧力を監視するために配置されている。
【0033】
図10の折れ線に示すように、現在のペダルシミュレータの多くは、図における複数段折れ線型線形フィッティング図における非線形曲線を用いて、運転者のペダルフィーリングを満たしている。
【0034】
図11は、本発明のフットフィーリング調節弁の流量制御の特性曲線を示している。当該電磁弁の制御によって、ペダルシミュレータ後室から流出するブレーキ液の量を制御し、圧力の変化を形成させ、変化するフットフィーリングをシミュレーションする。
【0035】
図12は、ペダルシミュレータがブレーキシステム全体における制御の流れを示している。
【0036】
本発明の作動実施過程は以下の通りである。
【0037】
運転者が点火した後、ブレーキシステムが初期化し、故障について自己検査する。
【0038】
ブレーキシステムが自己検査し、故障が検出された場合、ペダルシミュレータが作動に介入しない。
【0039】
ブレーキシステムが自己検査し、故障がない場合、ペダルシミュレータが介入し、作動する。具体的には、以下の通りである。
【0040】
運転者がブレーキペダルを踏んだとき、
図13に示すように、シミュレータ弁5とフットフィーリング調節弁4が通電され、ブレーキペダルがブレーキマスタシリンダ内のピストンを往復移動させる。これにより、ブレーキマスタシリンダ内の前ブレーキ液の圧力が増大し、圧力ブレーキ液が形成され、そしてシミュレータ弁5を経てペダルシミュレータのペダルシミュレータシリンダ本体1のピストン前室に入る。ピストンリターンスプリング3がピストン2に圧縮されたことにより、ペダルシミュレータシリンダ本体1のピストン後室の油圧が増大する。ペダルシミュレータシリンダ本体1のピストン後室の後ブレーキ液がフットフィーリング調節弁4を経てオイルカップ6へ排出される。フットフィーリング調節弁4によって、ペダルシミュレータシリンダ本体1のピストン後室の後ブレーキ液が排出されるときの流量が調節され、流量の調節により、抵抗力が形成される。この抵抗力及びピストンリターンスプリング3自身の弾性力の共同作用によって、運転者へ伝わるブレーキの抵抗力感が形成され、すなわち、ブレーキフットフィーリングである。
【0041】
運転者が、ペダルを変化しないように保持するとき、又はペダルを離したとき、シミュレータ弁5とフットフィーリング調節弁4が電源オフになる。圧力センサ7によって、圧力変化量を収集し処理して、ブレーキ液の圧力を保持し(具体的には、圧力センサ7によって収集された圧力が小さくなったとき、シミュレータ弁5とフットフィーリング調節弁4が閉鎖され、流れない。2つの一方向弁によって油を戻し、前室と後室の圧力を平衡に保つ)、圧力を維持し、運転者のブレーキフットフィーリングを保証する。
【0042】
形成されたブレーキ抵抗感をFとする。Fは、F=F
L+F
Sのように表される。F
Lはブレーキ液が流れるときに形成された減衰力であり、F
Sはピストン後室におけるスプリングの弾性力である。F
L=P
L×Sである。ここで、P
Lはピストン後室の瞬時圧力で、Sはピストン後室の液圧が作用する面積である。F
S=K
S×Lである。ここで、K
Sはピストンリターンスプリング3のばね剛性で、Lはピストンリターンスプリング3の圧縮長さである。
図10の連続した曲線は、シミュレートした目標ブレーキ圧力とブレーキ液体積とのPV特性曲線関係であり、必要とするVブレーキ液体積で、現段階の目標圧力Pのときの圧縮長さを計算することにより、F
Sを得て、既知数となる。
【0043】
具体的な実施形態において、F
Lブレーキ液が流れるときに形成された減衰力を制御することにより、フットフィーリングの非線形制御を行う。圧力差の作用により液体が流動するため、液体流動公式
【数1】
が成り立つ。P
Lはペダルシミュレータの後室の瞬時圧力である。シミュレータのフットフィーリング調節弁の後端はオイルカップに直接接続されている。P
0は大気圧P
0であり、γは液体固有パラメータの液体容積重量であり、uは現段階の状況下における液体流速である。
【0044】
図11に示されるフットフィーリング調節弁の流量制御の特性は、流量を流速uへ変換し、さらに、フットフィーリング調節弁4を制御することによって、液体流動の流速uの
設定を制御する。さらに、
【数2】
によってF
Lの数値を得て、さらに、抵抗感Fの数値を制御することによって、ペダルシミュレータ全体の非線形連続フットフィーリング調節を実現する。
図10の連続した曲線に示される非線形の過程を実現する。
【0045】
運転者が変化しないように保持するとき、フットフィーリング調節弁4が直ちに電源オフになり、シミュレータのピストン後室の圧力を維持する。
【0046】
運転者がブレーキペダルを離したとき、
図14に示すように、すべてのフットフィーリング調節弁4及びシミュレータ弁5が電源オフになり、ピストン2が前へ移動する。前ブレーキ液がピストン2によって押圧され、シミュレータ弁5に並列接続されている前部一方向弁を経てブレーキマスタシリンダに戻る。後室のブレーキ液に負圧が形成されることによって、次回のブレーキシミュレーションに備え、オイルカップの後ブレーキ液がフットフィーリング電磁弁4に並列接続されている後部一方向弁を経て、ピストン後室へ戻るように吸引される。
【0047】
本発明の具体的な実施作動形態の作動モードは、以下の通りである。
【0048】
A)
図2に示されているのは、通常加圧状態における作動状態である。
【0049】
運転者がブレーキペダルを踏んだとき、カップリング弁はいずれも通電されていることにより、マスタシリンダ制御部と圧力実行部が離隔し導通しない。ペダルシミュレータにおけるシミュレータ弁が開放され、フットフィーリング調節弁が開放される。圧力形成液体供給弁と線形液体進入弁はいずれも開放され、線形液体排出弁は閉鎖される。
【0050】
マスタシリンダ制御部において、運転者がブレーキペダルを踏み、ブレーキペダルがブレーキマスタシリンダのピストンを押圧し、ピストンに押圧された室内のブレーキ液がシミュレータ弁を経てペダルシミュレータのピストン前室に入り、ペダルシミュレータの他端のピストン後室(スプリング室)の油液がフットフィーリング調節弁を経て流出し、オイルカップに流れ込む。このように、ペダルシミュレータの構造によって、電液協働の制御方法によって、ブレーキフットフィーリングシミュレーションを調節し、ブレーキペダルシミュレーションの非線形制御を実現できる。
【0051】
圧力実行部において、ブラシレスモータの作動によりサブマスタシリンダが押圧され、サブマスタシリンダの後室の油液が高圧油に形成される。高圧油が圧力形成一方向弁の出口に到達することにより、圧力形成一方向弁が開放できずに、導通しない。高圧油が圧力形成ユニット液体供給弁及び線形液体進入弁を経て、前後輪のブレーキのブレーキホイールシリンダまで運ばれ、液体を供給する。これにより、ホイールシリンダに高圧ブレーキ液を提供し、ブレーキがかかり、迅速な加圧によるホイールシリンダの圧力の制御を実現する。
【0052】
線形液体進入弁から流出するブレーキ液は、ブレーキホイールシリンダへのみ流れ、線形液体排出弁を経てオイルカップへ直接還流できない。
【0053】
B)
図3に示されているのは、通常減圧状態における作動状態である。
【0054】
運転者がブレーキペダルを離したとき、カップリング弁はいずれも継続して通電されていることにより、マスタシリンダ制御部と圧力実行部が離隔したまま、互いに導通しない。ペダルシミュレータにおけるシミュレータ弁が閉鎖され、フットフィーリング調節弁が閉鎖される。圧力形成液体供給弁と線形液体進入弁はいずれも開放され、線形液体排出弁は閉鎖される。ペダルシミュレータのブレーキ液がブレーキマスタシリンダに入る。ホイーシリンダルのブレーキ液の圧力を下げるために、圧力実行部のモータがサブマスタシリンダを引き戻す。
【0055】
マスタシリンダ制御部において、オイルカップにおけるブレーキ液が後部一方向弁を経てペダルシミュレータのピストン後室(スプリング室)に入り、ペダルシミュレータの他端のピストン前室の油液が前部一方向弁を経て流出し、ブレーキマスタシリンダの前室に流れ込む。
【0056】
圧力実行部において、ブラシレスモータの作動によりサブマスタシリンダが引き戻され、サブマスタシリンダの後室の油液が低圧油に形成される。低圧油が圧力形成一方向弁の出口に到達することにより、圧力形成一方向弁が開放され、導通する。前後輪のブレーキのブレーキホイールシリンダのブレーキ液が、線形液体進入弁及び圧力形成ユニット液体供給弁を経て、サブマスタシリンダの後室へ流れる。これにより、ブレーキが緩み、ホイールシリンダのブレーキ液の圧力が下降し、迅速な減圧によるホイールシリンダの圧力の制御を実現する。
【0057】
ブレーキホイールシリンダから流出するブレーキ液は、線形液体進入弁へのみ流れ、線形液体排出弁を経てオイルカップへ直接還流できない。
【0058】
C)
図4に示されているのは、自発独立加圧状態における作動状態である。
【0059】
運転者がブレーキをかけていない過程において、増圧ブレーキが必要であると自動車が識別したとき、ブレーキを必要とするホイールシリンダに対しブレーキをかける。このとき、ブレーキを必要としない車輪に対しブレーキをかけない。対応する液体進入及び排出弁は閉鎖状態である。
【0060】
このとき、カップリング弁はいずれも通電されていることにより、マスタシリンダ制御部と圧力実行部が離隔し導通しない。ペダルシミュレータにおけるシミュレータ弁とフットフィーリング調節弁は、いずれも閉鎖される。圧力形成ユニット液体供給弁はいずれも開放される。ブレーキを必要とする車輪の線形液体進入弁が開放され、ブレーキを必要としない車輪の線形液体進入弁が閉鎖され、線形液体排出弁はいずれも閉鎖される。
【0061】
マスタシリンダ制御部において、シミュレータ弁とフットフィーリング調節弁はいずれも閉鎖され、ブレーキペダルの押圧によるブレーキマスタシリンダの作動もないため、マスタシリンダ制御部が作動せず、油液が流れない。
【0062】
圧力実行部において、ブラシレスモータの作動によりサブマスタシリンダが押圧され、サブマスタシリンダの後室の油液が高圧油に形成される。高圧油が圧力形成一方向弁の出口に到達することにより、圧力形成一方向弁が開放できずに、導通しない。高圧油が圧力形成ユニット液体供給弁及び線形液体進入弁を経て、ブレーキを必要とする車輪のブレーキのブレーキホイールシリンダまで運ばれ、液体を供給する。これにより、ブレーキを必要とする車輪のホイールシリンダに高圧ブレーキ液を提供し、ブレーキがかかり、迅速かつ精確な加圧によるホイールシリンダの圧力の制御を実現する。
【0063】
ブレーキを必要としない車輪は、ブレーキをかけていない。
図4に示すように、最初の
3つの車輪はブレーキをかけておらず、最後の1つの車輪はブレーキをかけている。
【0064】
線形液体進入弁から流出するブレーキ液は、ブレーキホイールシリンダへのみ流れ、線形液体排出弁を経てオイルカップへ直接還流できない。
【0065】
D)
図5に示されているのは、自発独立減圧状態における作動状態である。
【0066】
運転者がブレーキをかけておらず、減圧ブレーキが必要であると自動車が識別したとき、ホイールシリンダに対しブレーキを選択的にかける。ブレーキが外されたときに、液体排出弁を介してオイルカップへ戻る。
【0067】
このとき、カップリング弁はいずれも通電されていることにより、マスタシリンダ制御部と圧力実行部が離隔し導通しない。ペダルシミュレータにおけるシミュレータ弁とフットフィーリング調節弁は、いずれも閉鎖される。圧力形成ユニット液体供給弁はいずれも開放され、ブレーキを外す必要がある車輪の線形液体進入弁と線形液体排出弁が開放され、ブレーキを外す必要がない車輪の線形液体進入弁と線形液体排出弁が閉鎖される。
【0068】
マスタシリンダ制御部において、シミュレータ弁とフットフィーリング調節弁はいずれも閉鎖され、ブレーキペダルの押圧によるブレーキマスタシリンダの作動もないため、マスタシリンダ制御部が作動せず、油液が流れない。
【0069】
圧力実行部において、ブラシレスモータの作動によりサブマスタシリンダが引き戻され、サブマスタシリンダの後室の油液が低圧油に形成される。低圧油が圧力形成一方向弁の出口に到達することにより、圧力形成一方向弁が開放され、導通する。ブレーキを必要とする車輪のブレーキのブレーキホイールシリンダのブレーキ液が、線形液体排出弁を経てオイルカップへ直接戻ることができ、迅速かつ精確な減圧によるホイールシリンダの圧力の制御を実現する。独立減圧の過程において、ホイールシリンダのブレーキ液がオイルカップへ直接戻る。
【0070】
ブレーキを必要としない車輪はブレーキを外していない。
図5に示すように、最初の3つの車輪はブレーキを外しておらず、最後の1つの車輪はブレーキを外している。
【0071】
それと同時に、ブレーキホイールシリンダから流出するブレーキ液は、線形液体進入弁へ流れてサブマスタシリンダに戻ることができない。余ったブレーキ液は線形液体排出弁を介して、オイルカップに直接戻ることができる。
【0072】
E)
図6に示されているのは、無効ブレーキ状態におけるブレーキの作動状態である。
【0073】
運転者がブレーキをかける過程において、製品が失効し、モータ及びずべての電磁弁(シミュレータ弁及びフットフィーリング調節弁)が作動できない状態において、ペダルシミュレータ及びサブマスタシリンダが作動に介入できなくなる。運転者がブレーキペダルを踏んだとき、マスタシリンダのブレーキ液がホイールシリンダに直接入る。
【0074】
このとき、カップリング弁はいずれも通電していないことにより、マスタシリンダ制御部と圧力実行部との間は互いに導通する。ペダルシミュレータにおけるシミュレータ弁とフットフィーリング調節弁は、いずれも作動できずに閉鎖される。圧力形成ユニット液体供給弁はいずれも作動できずに閉鎖される。線形液体排出弁はいずれも閉鎖され、線形液体進入弁は開放される。
【0075】
マスタシリンダ制御部と圧力実行部は互いに導通する。シミュレータ弁とフットフィー
リング調節弁がいずれも閉鎖されていることにより、ブレーキペダルがブレーキマスタシリンダを押圧し、高圧油が形成される。前室の内部の高圧ブレーキ液が、シミュレータ弁又は前部一方向弁を経てペダルシミュレータのピストン前室に入ることができないため、1つのカップリング弁を経て前輪/後輪の2つのブレーキホイールシリンダの油路に入る。高圧油が圧力形成ユニット液体供給弁及び線形液体進入弁を経て、2つのブレーキ車輪のブレーキのブレーキホイールシリンダまで運ばれ、液体を供給する。後室内の高圧ブレーキ液が別の1つのカップリング弁を経て後輪/前輪の2つのブレーキホイールシリンダの油路に直接入る。高圧油が圧力形成ユニット液体供給弁及び線形液体進入弁を経て、別の2つのブレーキ車輪のブレーキのブレーキホイールシリンダまで運ばれ、液体を供給する。
【0076】
線形液体排出弁が閉鎖されていることにより、線形液体進入弁からブレーキホイールシリンダへ流れるブレーキ液は、線形液体排出弁を経てオイルカップへ戻ることができない。
【0077】
F)
図7と
図8に示されているのは、油路検査の1種の作動状態である。
【0078】
自動車が点火された後、システムが油路自己検査モードに入る。油圧センサは、ブレーキマスタシリンダの後室の中に配置されている。異なる弁の作動形式及び油路における油圧センサの数値を通して、各弁の漏洩状況を検査し、製品のシステムの起動時の自己検査に用いられる。
【0079】
図7に示すように、第1種の具体的な検査過程は下記の通りである。2つの油路における圧力形成ユニット液体供給弁を通電オンにし、4つの油路における線形液体進入弁を通電オフにし、下方油路のカップリング弁(概略図において、後室に接続されているマスタシリンダの前室)を通電オフにし、フットフィーリング調節弁を通電オフにする。このとき、サブマスタシリンダが圧力形成をする。サブマスタシリンダの油圧センサを観測し、油圧センサに明らかな圧力下降を確認できたら、油路の漏洩が検出されたことを意味し、不合格と製品が警告する。
【0080】
図8に示すように、第2種の具体的な検査過程は下記の通りである。2つの油路における圧力形成ユニット液体供給弁を通電オンにし、下方油路のカップリング弁(概略図において、後室に接続されているマスタシリンダの前室)を通電オフにし、フットフィーリング調節弁を通電オフにする。このとき、サブマスタシリンダが圧力形成をする。サブマスタシリンダの油圧センサを観測し、油圧センサに明らかな圧力下降を確認できたら、油路の漏洩が検出されたことを意味し、不合格と製品が警告する。
【0081】
以上の実施形態からわかるように、本発明のペダルシミュレータを有するインテグレーテッドブレーキ構造は、複数種類のブレーキ作動状態を同時に実現でき、そして、 電液協働によってブレーキフットフィーリングシミュレーションの非線形調節を実現でき、ブレーキ過程において、ペダルフットフィーリングの調節可能を同時に実現する。
【符号の説明】
【0082】
1 ペダルシミュレータシリンダ本体
2 ペダルシミュレータピストン
3 ピストンリターンスプリング
4 フットフィーリング調節弁
5 シミュレータ弁
6 オイルカップ
7 圧力センサ