IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図1
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図2
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図3
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図4
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図5
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図6
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図7
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図8
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図9
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図10
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】電極組立体およびこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20240521BHJP
   H01M 4/70 20060101ALI20240521BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20240521BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20240521BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240521BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M4/70 A
H01M10/0585
H01M50/531
H01M50/533
H01M4/02 Z
H01M4/13
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022559384
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 KR2021002913
(87)【国際公開番号】W WO2021251595
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0068992
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コ、ヨハン
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-065331(JP,A)
【文献】特開2014-007108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00- 10/39
H01M 4/00- 4/84
H01M 50/00- 50/598
H01G 11/00- 11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心側を基準に放射状構造体を形成する複数の単位セルを含み、
水平断面を基準として、前記放射状構造体の外側から前記中心側方向へいくほど前記単位セルの厚さが減少し、
前記単位セルに含まれる集電体の上側角、下側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに電極タブが形成され
前記単位セルは、順次に積層された正極、第1分離膜、負極および第2分離膜を含み、
前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体上に形成された正極合剤層とを含み、
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に形成された負極合剤層とを含み、
前記放射状構造体の前記外側から前記中心側方向へいくほど、前記正極合剤層および前記負極合剤層の少なくとも1つの密度が増加する電極組立体。
【請求項2】
前記正極集電体の上側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに正極タブが形成される、請求項に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記負極集電体の下側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに負極タブが形成される、請求項1または2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記放射状構造体の前記外側から前記中心側方向へいくほど、前記正極合剤層および前記負極合剤層の少なくとも1つの厚さが減少する、請求項からのいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記正極集電体、前記正極合剤層、前記第1分離膜、前記負極合剤層、前記負極集電体および前記第2分離膜が順次に積層される、請求項からのいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記集電体に貫通型ホールが形成された、請求項1からのいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記電極タブに接合される電極リードをさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の電極組立体と、
前記電極組立体を収納する電池ケースと、
前記電極組立体上に位置するキャップ組立体とを含み、
前記電極タブは、直接または電極リードと接合されて、前記キャップ組立体または前記電池ケースと連結される二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年6月8日付の韓国特許出願第10-2020-0068992号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極組立体およびこれを含む二次電池に関し、より具体的には、放射状構造体を有する電極組立体およびこれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯用電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に増大し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、その駆動電源として用いられる二次電池について多くの研究が行われている。
【0004】
電池ケースに内蔵される前記電極組立体は、正極、分離膜、負極の積層構造からなる充放電可能な発電素子であって、ゼリーロール型、スタック型およびスタック/フォールディング型に分類される。ゼリーロール型は、活物質が塗布された長いシート状の正極と負極との間に分離膜を介在して巻取った形態であり、スタック型は、所定の大きさの多数の正極と負極とを分離膜が介在した状態で順次に積層した形態であり、スタック/フォールディング型は、ゼリーロール型とスタック型との複合構造である。そのうち、ゼリーロール型電極組立体は、製造が容易であり、重量あたりのエネルギー密度が高いというメリットがある。
【0005】
二次電池は、電池ケースの形状に応じて、電極組立体が円筒形金属缶に内蔵されている円筒形電池、電極組立体が角形の金属缶に内蔵されている角型電池、および電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池に分類される。そのうち、円筒形電池は、相対的に容量が大きく、構造的に安定しているというメリットを有する。
【0006】
一方、二次電池には、例えば、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがある。これらのうち、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず充放電が自由であり、自己放電率が非常に低くて作動電圧が高く、単位重量あたりのエネルギー密度が高いというメリットのため、先端電子機器分野で幅広く用いられている。
【0007】
図1は、従来のゼリーロール電極組立体が巻取られる前の様子を示す分解斜視図である。
【0008】
図1を参照すれば、二次電池に挿入される従来のゼリーロール電極組立体10は、正極シート20と、負極シート30と、正極シート20と負極シート30との間に介在した分離膜40とを含む。同時に、ゼリーロール形態に巻取られた時、正極シート20と負極シート30とが互いに接するのを防止するために、負極シート30の下に分離膜40が追加配置されることが好ましい。
【0009】
正極シート20は、正極集電体に正極活物質が塗布されて形成された正極合剤層22と、正極活物質が塗布されず前記正極集電体が露出する部分である正極無地部23とを含むことができる。このような正極無地部23に正極タブ21が溶接などの方法によって接合される。
【0010】
同様に、負極シート30は、負極集電体に負極活物質が塗布されて形成された負極合剤層32と、負極活物質が塗布されず前記負極集電体が露出する部分である負極無地部33とを含むことができる。このような負極無地部33に負極タブ31が溶接などの方法によって接合される。
【0011】
この時、ゼリーロール形態に巻取るために、正極シート20と負極シート30は、長方形シートの形態を有することが普通であるが、長方形シートの形態であるので、正極タブ21や負極タブ31から前記正極集電体や前記負極集電体を介して電子の移動する距離が長くなる。このように電子の移動する距離が長くなる場合、電子伝達抵抗が非常に大きくなる問題を有し、特に、高電流作動条件で、このような問題はさらに深刻になりうる。
【0012】
一方、リチウム二次電池の場合、一般に電解液中のリチウムイオンは、特定の濃度範囲で高いイオン伝導度を示し、これより濃度が薄かったり濃ければイオン伝導度が減少する。リチウム二次電池内部の電解液の濃度あるいはリチウムイオンの濃度は一定でなく、電池の作動条件により正極と負極近傍のリチウムイオンの濃度は互いに反対方向に挙動する。
【0013】
したがって、このような問題点を解消するために、新たな形態の二次電池に対する技術が必要であるのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、伝達抵抗を低減し、構造的安定性を有する新たな形態の電極組立体およびこれを含む二次電池を提供することである。
【0015】
しかし、本発明の実施例が解決しようとする課題は、上述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張可能である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施例による電極組立体は、中心側を基準に放射状構造体を形成する複数の単位セルを含み、水平断面を基準として、前記放射状構造体の外側から前記中心側方向へいくほど前記単位セルの厚さが減少し、前記単位セルに含まれる集電体の上側角、下側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに電極タブが形成される。
【0017】
前記単位セルは、順次に積層された正極、第1分離膜、負極および第2分離膜を含むことができる。
【0018】
前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体上に形成された正極合剤層とを含むことができ、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に形成された負極合剤層とを含むことができる。
【0019】
前記正極集電体の上側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに正極タブが形成される。
【0020】
前記負極集電体の下側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに負極タブが形成される。
【0021】
前記放射状構造体の前記外側から前記中心側方向へいくほど、前記正極合剤層および前記負極合剤層の少なくとも1つの厚さが減少できる。
【0022】
前記放射状構造体の前記外側から前記中心側方向へいくほど、前記正極合剤層および前記負極合剤層の少なくとも1つの密度が増加できる。
【0023】
前記正極集電体、前記正極合剤層、前記第1分離膜、前記負極合剤層、前記負極集電体および前記第2分離膜が順次に積層される。
【0024】
前記集電体に貫通型ホールが形成される。
【0025】
前記電極組立体は、前記電極タブに接合される電極リードをさらに含むことができる。
【0026】
本発明の一実施例による二次電池は、前記電極組立体と、前記電極組立体を収納する電池ケースと、前記電極組立体上に位置するキャップ組立体とを含み、前記電極タブは、直接または電極リードと接合されて、前記キャップ組立体または前記電池ケースと連結される。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施例は、放射状構造体を形成する複数の単位セル構造を提示して伝達抵抗を低減することができ、貫通型ホールが形成された集電体を適用して二次電池内の電解液の濃度変化幅を減少させて二次電池の性能向上を図ることができる。
【0028】
また、集電体の一側角に形成された電極タブ構造により組立体の構造的安定性を向上させることができ、重量増加を最小化することができる。
【0029】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来のゼリーロール電極組立体が巻取られる前の様子を示す分解斜視図である。
図2】本発明の一実施例による電極組立体を示す斜視図である。
図3図2の切断線A-A'に沿った断面の一部を示す部分断面図である。
図4図2の切断線B-B'に沿った断面の一部を示す部分断面図である。
図5図5(a)~図5(c)は、本発明の多様な実施例による正極集電体および正極タブを示す図である。
図6図6(a)~図6(c)は、本発明の多様な実施例による負極集電体および負極タブを示す図である。
図7図7(a)~図7(c)は、本発明の変形された実施例による正極タブおよび正極リードの接合構造を示す図である。
図8図8(a)~図8(c)は、本発明の変形された実施例による負極タブおよび負極リードの接合構造を示す図である。
図9】本発明の一実施例による二次電池に対する分解斜視図である。
図10】本発明の一実施例による二次電池の充電と放電時の電圧変化を比較評価した結果を示すグラフである。
図11】本発明の一実施例による二次電池の充電と放電時の温度変化を比較評価した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して、本発明の様々な実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0032】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0033】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のところに限定されない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0034】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。さらに、基準となる部分の「上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の反対方向に向かって「上に」位置することを意味するわけではない。
【0035】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0036】
さらに、明細書全体において、「平面上」とする時、これは、対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは、対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0037】
図2は、本発明の一実施例による電極組立体を示す斜視図である。図3は、図2の切断線A-A'に沿った断面の一部を示す部分断面図である。図4は、図2の切断線B-B'に沿った断面の一部を示す部分断面図である。より具体的には、切断線A-A'に沿った図3の断面図は、図2の電極組立体を水平方向に切断した断面に相当し、切断線B-B'に沿った図4の断面図は、図2の電極組立体を垂直方向に切断した断面に相当する。
【0038】
図2図4を参照すれば、本発明の一実施例による電極組立体100は、中心側を基準に放射状構造体を形成する複数の単位セル100Uを含む。水平断面を基準として、前記放射状構造体の外側から前記中心側方向へいくほど単位セル100Uの厚さが減少し、単位セル100Uに含まれる集電体210、310の上側角、下側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに電極タブ211a、311aが形成される。ここで、水平断面とは、図2に示されているように、電極組立体100をxy平面で切断した断面を意味し、先に説明した切断線A-A'に沿った断面に相当する。
【0039】
本実施例による電極組立体100は、円筒形の形状を有することができ、ここで、中心側とは、水平断面を基準として電極組立体100の内側中心領域を意味し、外側とは、水平断面を基準として電極組立体100の外周面の外側領域を意味する。電極組立体100の中心側には垂直方向(z軸方向)に貫通する中空が形成される。
【0040】
上述のとおり、本実施例による単位セル100Uは、放射状構造体を形成し、水平断面を基準として前記放射状構造体の外側から前記中心側方向へいくほど単位セル100Uの厚さが減少する。このような単位セル100Uが複数構成されて円筒形の電極組立体100を形成することができる。より具体的には、n個(nは5以上の整数)の単位セル100Uが集まって電極組立体100を形成することができ、このような電極組立体100の形状は、水平断面を基準として、外周面が円形またはそれに近い形態であるか、n角形であってもよく、または扇形形態であってもよい。言い換えれば、電極組立体100の水平断面上の形態は単位セル100Uの個数によって決定され、その個数が少なければn角形であり、その個数が多くなれば円形をなすことができる。例えば、電極組立体100の断面形状がn角形であるが、nが5以上の場合、あるいは10以上の場合は、円形の範疇に含まれると解釈できる。
【0041】
本実施例による集電体210、310は、正極集電体210および負極集電体310を含むことができ、電極タブ211a、311aは、正極タブ211aおよび負極タブ311aを含むことができる。具体的には、本実施例による単位セル100Uは、順次に積層された正極200、第1分離膜400、負極300、第2分離膜500を含むことができる。
【0042】
正極200は、正極集電体210と、正極集電体210上に形成された正極合剤層220とを含むことができる。正極合剤層220は、正極集電体210上に正極活物質などを塗布して形成される。
【0043】
負極300は、負極集電体310と、負極集電体310上に形成された負極合剤層320とを含むことができる。負極合剤層320は、負極集電体310上に負極活物質などを塗布して形成される。
【0044】
図3を参照すれば、前記放射状構造体の前記外側から前記中心側方向へいくほど、正極合剤層220および負極合剤層320の少なくとも1つの厚さが減少できる。特に、正極合剤層220および負極合剤層320とも、前記放射状構造体の前記外側から前記中心側方向へいくほど厚さが減少することが好ましい。
【0045】
つまり、本実施例によれば、集電体210、310にローディングされる合剤層220、320の厚さを、前記放射状構造体の前記外側から前記中心側方向へいくほど減少するように設計することによって、単位セル100Uに厚さ配向性を付与し、放射状構造体を形成することができる。
【0046】
一方、前記放射状構造体の前記外側から前記中心側方向へいくほど、正極合剤層220および負極合剤層320の少なくとも1つの密度が増加できる。特に、正極合剤層220および負極合剤層320とも、前記放射状構造体の前記外側から前記中心側方向へいくほど密度が増加することが好ましい。
【0047】
先に説明したように、本実施例により、集電体210、310にローディングされる合剤層220、320の厚さを、前記放射状構造体の前記外側から前記中心側方向へいくほど減少するように設計する場合、単位セル100Uの位置あるいは方向性によって容量不均一が発生しうる。そこで、本実施例では、集電体210、310にローディングされる合剤層220、320の密度を、前記放射状構造体の前記外側から前記中心側方向へいくほど増加するように設計することによって、単位セル100Uの厚さ配向性による容量不均一を補償することができる。例えば、集電体210、310にローディングされた合剤層220、320の厚さの薄い領域は、合剤層220、320の密度を高く設定することができる。このような合剤層220、320の密度配向性は、集電体210、310上に合剤層220、320を均一にローディングした状態でローラを用いて圧力を加える時、一方向に加圧あるいは減圧することによって実現可能である。
【0048】
一方、単位セル100Uにおいて、正極集電体210、正極合剤層220、第1分離膜400、負極合剤層320、負極集電体310および第2分離膜500が順次に積層される。これによって、単位セル100Uが複数集まって電極組立体100を形成する時、いずれか1つの単位セル100Uの第2分離膜500が、隣接した他の単位セル100Uの正極集電体210と対面することができる。つまり、本実施例による電極組立体100において、第1分離膜400は、正極合剤層220と負極合剤層320との間に位置することができ、第2分離膜500は、正極集電体210と負極集電体310との間に位置することができる。
【0049】
先に説明したように、単位セル100Uに含まれる集電体210、310の上側角、下側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに電極タブが形成されるが、以下、図5の(a)~(c)および図6の(a)~(c)を参照して、正極タブと負極タブとを分けて説明する。
【0050】
図5の(a)~(c)は、本発明の多様な実施例による正極集電体および正極タブを示す図であり、図6の(a)~(c)は、本発明の多様な実施例による負極集電体および負極タブを示す図である。
【0051】
まず、図5の(a)~(c)を参照すれば、正極集電体210の上側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに正極タブ211a、211b、211cが形成される。具体的には、図5の(a)は、正極集電体210の上側角に形成された正極タブ211aを示し、図5の(b)は、正極集電体210の外側角に形成された正極タブ211bを示し、図5の(c)は、正極集電体210の中心側角に形成された正極タブ211cを示す。ここで、前記上側角は、図2にてz軸方向に位置した角であり、前記外側角は、図2にて電極組立体100の外側に位置した角であり、前記中心側角は、図2にて電極組立体100の中心側に位置した角である。
【0052】
各正極タブ211a、211b、211cは、上側に向かって延びた構造であってもよい。上側角に形成された正極タブ211aは、上側方向に一直線に延びた構造であってもよく、外側角や中心側角に形成された正極タブ211b、211cは、上側方向に1回曲がって延びた構造であってもよい。
【0053】
次に、図6の(a)~(c)を参照すれば、負極集電体310の下側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに負極タブ311a、311b、311cが形成される。具体的には、図6の(a)は、負極集電体310の下側角に形成された負極タブ311aを示し、図6の(b)は、負極集電体310の外側角に形成された負極タブ311bを示し、図6の(c)は、負極集電体310の中心側角に形成された負極タブ311cを示す。前記下側角は、図2にて-z軸方向に位置した角であり、前記外側角は、図2にて電極組立体100の外側に位置した角であり、前記中心側角は、図2にて電極組立体100の中心側に位置した角である。
【0054】
各負極タブ311a、311b、311cは、下側に向かって延びた構造であってもよい。下側角に形成された負極タブ311aは、下側方向に一直線に延びた構造であってもよく、外側角や中心側角に形成された負極タブ311b、311cは、下側方向に1回曲がって延びた構造であってもよい。
【0055】
一方、正極タブ211a、211b、211cは、正極集電体210と一体に構成される。つまり、板材形状の正極集電体210の一部が突出して正極タブ211a、211b、211cを形成することができる。同様に、負極タブ311a、311b、311cは、負極集電体310と一体に構成される。つまり、板材形状の負極集電体310の一部が突出して負極タブ311a、311b、311cを形成することができる。
【0056】
本実施例による電極組立体100は、先に説明した正極タブ211a、211b、211cの1つと負極タブ311a、311b、311cの1つとが組み合わされて構成される。具体的には、例えば、上側角に形成された正極タブ211aと下側角に形成された負極タブ311aとが組み合わされ、外側角に形成された正極タブ211bと外側角に形成された負極タブ311bとが組み合わされ、中心側角に形成された正極タブ211cと中心側角に形成された負極タブ311cとが組み合わされる。また、外側角に形成された正極タブ211bと中心側角に形成された負極タブ311cとが組み合わされる。各組み合わせに対する特別な制限はなく、多様な組み合わせが可能である。
【0057】
一つの例として、図2に示された電極組立体100は、正極タブ211aが正極集電体の上側角に形成され、負極タブ311aが負極集電体の下側角に形成された場合に相当する様子である。
【0058】
一方、図示とは異なり、本実施例の一つとして、正極タブが下側角に形成されて下側方向に延び、負極タブが上側角に形成されて上側方向に延びることができる。
【0059】
図1に示された従来のゼリーロール電極組立体10は、正極シート20と負極シート30が巻取のために長方形シートで構成されて、正極集電体や負極集電体を介して電子の移動する距離が長くなり、電子伝達抵抗が大きくなる問題があった。例えば、従来のゼリーロール電極組立体10の場合、正極または負極の集電体は、厚さが数~数十マイクロメートルであるのに対し、長さは数百ミリメートル~1メートルである。このような集電体に対して電極タブが真ん中に位置する場合、集電体の長さの半分つまり、数百ミリメートルだけ電子が移動しなければならない。
【0060】
これに対し、本実施例による電極組立体100は、外形的にのみ円筒形構造を形成することが従来のゼリーロール電極組立体10と類似しているだけで、放射状構造体を形成する複数の単位セル100Uを含み、単位セル100Uごとに、先に説明した正極タブ211a、211b、211cと負極タブ311a、311b、311cが形成される。つまり、本実施例による電極組立体100は、新規な構造を形成することによって、正極集電体210や負極集電体310を介して電子の移動する距離を縮小することができる。例えば、本実施例による電極組立体の場合、正極または負極の集電体は、厚さが数マイクロメートルであり、長さが60ミリメートル前後である。従来のゼリーロール電極組立体10と比較して類似の大きさおよび形状の電極組立体を形成しても、電子の移動する経路をはるかに短縮することができる。したがって、本実施例による電極組立体100は、従来のゼリーロール電極組立体10が有する電子伝達抵抗の上昇の問題を解決することができる。
【0061】
図3および図4を再度参照すれば、本発明の一実施例による集電体210、310に貫通型ホール212、312が形成され、このような貫通型ホール212、312は、集電体210、310の厚さ方向に形成され、複数構成される。具体的には、第1分離膜400を挟んで正極合剤層220と負極合剤層320との間のイオン伝達が行われることが普通である。この時、先に説明したように、第2分離膜500が正極集電体210と負極集電体310との間に位置するが、正極集電体210と負極集電体310にそれぞれ貫通型ホール212、312が形成されるので、貫通型ホール212、312を介して正極合剤層220と負極合剤層320が第2分離膜500と接することができる。したがって、第2分離膜500を挟んで正極合剤層220と負極合剤層320との間のイオン伝達が行われる。つまり、第2分離膜500と複数の貫通型ホール212、312が形成された多孔性集電体210、310によって、二次電池の充放電時、イオン伝達が両方向で行われて、二次電池の性能が改善できる。
【0062】
また、貫通型ホール212、312が形成された集電体210、310を単位セル100Uに適用することによって、二次電池内の電解液またはリチウムイオンの濃度変化幅を減少させて電池の性能向上を図ることができる。さらに、厚さ方向に貫通型ホール212、312が形成された集電体210、310を単位セル100Uに適用することによって、電解液中のリチウムイオンの濃度を一定範囲で均一に維持できる。これによって、二次電池の過電圧要素の中で、電解液に関連する過電圧要因を減少させて電池の性能を高めることができる。
【0063】
一方、本発明の一実施例によれば、貫通型ホール212、312が形成された面積分率は、10%~80%の範囲であってもよい。より具体的には、貫通型ホール212、312が形成された面積分率は、10%~80%、10%~70%、10%~50%、20%~90%、30%~90%または30%~60%の範囲であってもよい。ここで、貫通型ホール212、312が形成された面積分率は、集電体210、310の面積に対する、貫通型ホール212、312が形成された面積の比率を意味することができる。
【0064】
一方、本発明の一実施例によれば、貫通型ホール212、312は、10cm×10cmの単位面積あたり10個~500個形成される。より具体的には、貫通型ホール212、312は、前記単位面積あたり10個~300個、10個~200個、10個~100個、10個~70個、30個~50個、50個~500個、100個~200個、50個~300個、100個~500個、30個~200個または10個~200個形成される。例えば、前記集電体210、310は、メッシュ形態であってもよい。
【0065】
貫通型ホール212、312の単位面積あたりの数または面積分率を前記範囲に制御することによって、機械的強度の大きな低下なく集電体の変形の程度を低減し、二次電池内の電解液の濃度またはリチウムイオンの濃度変化幅を低くすることができる。
【0066】
以下、図7および図8を参照して、本発明の変形された実施例として、電極タブと接合された電極リードについて詳しく説明する。
【0067】
図7の(a)~(c)は、本発明の変形された実施例による正極タブおよび正極リードの接合構造を示す図であり、図8の(a)~(c)は、本発明の変形された実施例による負極タブおよび負極リードの接合構造を示す図である。
【0068】
まず、図7の(a)~(c)を参照すれば、正極集電体210の上側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに正極タブ211a、211b、211cが形成される。具体的には、図7の(a)は、正極集電体210の上側角に形成された正極タブ211aを示し、図7の(b)は、正極集電体210の外側角に形成された正極タブ211bを示し、図7の(c)は、正極集電体210の中心側角に形成された正極タブ211cを示す。各正極タブ211a、211b、211cには正極リード213が接合される。また、各正極リード213は、上側に向かって延びた構造であってもよい。
【0069】
次に、図8の(a)~(c)を参照すれば、負極集電体310の下側角、外側角および中心側角の少なくとも1つに負極タブ311a、311b、311cが形成される。具体的には、図8の(a)は、負極集電体310の下側角に形成された負極タブ311aを示し、図8の(b)は、負極集電体310の外側角に形成された負極タブ311bを示し、図8の(c)は、負極集電体310の中心側角に形成された負極タブ311cを示す。各負極タブ311a、311b、311cには負極リード313が接合される。また、各負極リード313は、下側に向かって延びた構造であってもよい。
【0070】
本実施例による電極組立体は、先に説明した正極タブ211a、211b、211cおよび正極リード213の接合構造の1つと、負極タブ311a、311b、311cおよび負極リード313の接合構造の1つとが組み合わされて構成される。
【0071】
一つの実施例として、上側角に形成された正極タブ211aに接合された正極リード213と、下側角に形成された負極タブ311aに接合された負極リード313とが組み合わされる。このように構成された電極組立体は、正極リード213と負極リード313が電極組立体100の上側と下側にそれぞれ位置するが、製造工程が比較的簡単であるというメリットがある。
【0072】
他の実施例として、外側角に形成された正極タブ211bに接合された正極リード213と、中心側角に形成された負極タブ311cに接合された負極リード313とが組み合わされる。また、中心側角に形成された正極タブ211cに接合された正極リード213と、外側角に形成された負極タブ311bに接合された負極リード313とが組み合わされる。このように構成された電極組立体は、電極リード213、313が電極組立体を外側と中心側で支えて電極変形に対する構造的安定性を確保できるというメリットがある。
【0073】
さらに他の実施例として、外側角に形成された正極タブ211bに接合された正極リード213と、外側角に形成された負極タブ311bに接合された負極リード313とが組み合わされる。このように構成された電極組立体は、電極リード213、313が電極組立体を外側で二重に支えて電極変形、特に外側方向への膨張に対する構造的安定性を確保できるというメリットがある。
【0074】
さらに他の例として、中心側角に形成された正極タブ211cに接合された正極リード213と、中心側角に形成された負極タブ311cに接合された負極リード313とが組み合わされる。このように構成された電極組立体は、追加的な重量増加を最小化できるというメリットがある。
【0075】
一方、正極タブ211a、211b、211cと正極リード213との接合や負極タブ311a、311b、311cと負極リード313との接合の方法に特別な制限はなく、一つの例として、溶接接合が行われる。
【0076】
図9は、本発明の一実施例による二次電池に対する分解斜視図である。
【0077】
図9を参照すれば、本発明の一実施例による二次電池は、中心側を基準に放射状構造体を形成する複数の単位セルを含む電極組立体100と、電極組立体100を収納する電池ケース600と、電極組立体100上に位置するキャップ組立体700とを含む。
【0078】
電池ケース600は、電解液が含浸された電極組立体100を収納する構造物であって、円筒形形状であってもよい。
【0079】
キャップ組立体700は、上端キャップ710と安全ベント720とを含むことができる。上端キャップ710は、安全ベント720上に位置し、安全ベント720と相互密着した構造を形成して電気的に連結される。上端キャップ710は、中央が上向突出し、正極タブ211aなどを介して電極組立体100の正極200と間接的に連結されて、外部回路との接続による正極端子としての機能を果たすことができる。
【0080】
一方、電池ケース600とキャップ組立体700との間に密封のためのガスケット800が位置することができる。具体的には、電池ケース600とキャップ組立体700との間にガスケット800を位置させ、電池ケース600の端部を曲げることによってクリンピング部を形成することができる。これによって、キャップ組立体700の装着および二次電池の密封が行われる。
【0081】
本実施例による電極タブ211a、311aは、直接キャップ組立体700または電池ケース600に連結される。具体的には、上側方向に延びた正極タブ211aがキャップ組立体700と連結されて、キャップ組立体700の上端キャップ710が正極端子として機能することができる。また、下側方向に延びた負極タブ311aが電池ケース600の底部と連結されて、電池ケース600の底部が負極端子として機能することができる。この時、電極タブ211a、311aそれぞれをキャップ組立体700や電池ケース600に連結することができ、他の方法として、電極タブ211a、311a同士で先に接合した後、これをキャップ組立体700や電池ケース600に連結することができる。
【0082】
一方、具体的に示さないが、本発明の変形された実施例として、電極タブが電極リードと接合されてキャップ組立体700または電池ケース600に連結される。具体的には、正極タブと接合され上側方向に延びた正極リードがキャップ組立体700と連結されて、キャップ組立体700の上端キャップ710が正極端子として機能することができる。また、負極タブと接合され下側方向に延びた負極リードが電池ケース600の底部と連結されて、電池ケース600の底部が負極端子として機能することができる。この時、前記電極リードそれぞれをキャップ組立体700や電池ケース600に連結することができ、他の方法として、前記電極リード同士で先に接合した後、これをキャップ組立体700や電池ケース600に連結することができる。
【0083】
一方、図2を再度参照すれば、水平断面を基準として、電極組立体100の中心側には垂直方向(z軸方向)に貫通する中空が形成されるが、内径と外径との直径比率は、1:1.1~100の範囲であってもよい。電極組立体100の内径と外径との直径比率は、それぞれ内径と外径との平均値を基準として算出する。具体的な実施例において、電極組立体100の内径と外径との直径比率は、1:1.1~100の範囲、1:1.5~80の範囲、1:2~50の範囲、1:10~100の範囲または1:30~100の範囲であってもよい。
【0084】
一方、単位セル100Uは、水平断面を基準として、内周面を形成する中心側方向の内側端部の厚さ(Din)と、外周面を形成する外側端部の厚さ(Dout)との比率(Dout:Din)が、1:1.5~10の範囲であってもよい。具体的な実施例において、前記比率(Dout:Din)は、1:1.1~100の範囲、1:1.5~80の範囲、1:2~50の範囲、1:10~100の範囲または1:30~100の範囲であってもよい。
【0085】
上述のとおり、本実施例による単位セル100Uは、一方向へいくほど厚さが減少する放射状構造体を形成する。これは、既存の角型電池、パウチ型電池または円筒形電池とは差別化される形態である。既存の二次電池は、外部形状の差があるが、各電池を構成する単位セルは、全体的な厚さを均一に製造しかつ、積層形態あるいは巻取形態を異ならせたに過ぎない。これに対し、本実施例による単位セル100Uにおいて、電極200、300は、水平断面を基準として、放射状構造体の外側から中心側へいくほど電極と電極との間の間隔が減少する構造である。
【0086】
正極活物質は、リチウム含有酸化物を含むことができる。前記リチウム含有酸化物としては、リチウム含有遷移金属酸化物が使用できる。一つの例において、正極合剤層220は、正極活物質のほかに、導電材およびバインダー高分子などを含むことができ、必要に応じて、当業界にて通常使用される正極添加剤をさらに含むことができる。
【0087】
正極集電体210は、導電性の高い金属で正極活物質スラリーが容易に接着できる金属でかつ、二次電池の電圧範囲で反応性がないものであれば素材に特別な制限はない。具体的には、正極集電体210は、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組み合わせによって製造される箔であってもよい。
【0088】
負極活物質として炭素材が使用される場合、低結晶性炭素および高結晶性炭素などがすべて使用できる。低結晶性炭素としては、軟化炭素(soft carbon)および硬化炭素(hard carbon)が代表的である。高結晶性炭素としては、天然黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、炭素微小球体(mesocarbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)および石油と石炭系コークス(petroleum orcoal tar pitchderived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。
【0089】
負極集電体310は、銅、金、ニッケルまたは銅合金またはこれらの組み合わせによって製造される箔であってもよい。また、負極集電体310は、前記物質からなる基材を積層して使用してもよい。
【0090】
第1分離膜400および第2分離膜500は、リチウム二次電池で用いられる多孔性基材であればすべて使用可能であり、例えば、ポリオレフィン系多孔性膜(membrane)または不織布を使用することができるが、これに特に限定はない。前記ポリオレフィン系多孔性膜の例としては、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子をそれぞれ単独またはこれらを混合した高分子で形成した膜(membrane)が挙げられる。
【0091】
一方、本発明の他の実施例による電極組立体は、全固体電池に適用可能である。具体的に示さないが、正極と負極との間に、分離膜の代わりに、固体電解質層が位置することができる。つまり、第1分離膜および第2分離膜の代わりに、当該位置に固体電解質が満たされた固体電解質層が位置することによって、全固体電池用電極組立体を形成することができる。
【0092】
本発明の一実施例によれば、前記電解液は、非水電解液を含む非水系電解質を使用することができる。前記非水電解液としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用できる。しかし、特にこれに限定されるものではなく、通常、リチウム二次電池分野にて使用される多数の電解液成分が適切な範囲内で加減できる。
【0093】
以下、具体的な実施例を通じて本記載による電極組立体について説明する。
【0094】
実施例1
正極活物質としてNCM(LiNi0.8Co0.1Mn0.1)100重量部、導電材としてカーボンブラック(FX35、Denka)1.5重量部およびバインダー高分子としてポリビニリデンフルオライド(KF9700、Kureha)2.3重量部を、溶剤のNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)に添加して、正極合剤層スラリーを製造した。前記正極合剤層スラリーを640mg/25cmのローディング量で貫通型ホールが形成されたアルミニウム集電体の一面にコーティングした後、真空乾燥して、正極を得た。前記アルミニウム集電体において、貫通型ホールが面積分率約40%水準に形成され、10cm×10cmの単位面積あたり約50個形成された構造である。また、前記正極合剤層は、一方向に厚さ約40%水準まで順次に減少するように加圧した。
【0095】
負極は、負極活物質として人造黒鉛(GT、Zichen(China))100重量部、導電材としてカーボンブラック(Super-P)1.1重量部、スチレン-ブタジエンゴム2.2重量部、カルボキシメチルセルロース0.7重量部を、溶剤の水に添加して負極活物質スラリーを製造した後、貫通型ホールが形成された銅集電体の一面にコーティング、乾燥および圧着して製造した。前記銅集電体において、貫通型ホールが面積分率約40%水準に形成され、10cm×10cmの単位面積あたり約50個形成された構造である。また、前記正極合剤層は、一方向に厚さ約40%水準まで順次に減少するように加圧した。
【0096】
一方、ポリプロピレンを乾式方法を用いて一軸延伸して、融点が165℃であり、一側の幅が200mmである微細多孔性構造の分離膜を製造した。第1分離膜を正極と負極との間に介在し、正極と負極の外側には第2分離膜が位置する構造の単位セルが繰り返されるように集合して電極組立体を製造した。前記電極組立体は、水平断面を基準として、中心側を中心に50個の単位セルが放射状に集合された構造である。
【0097】
前記電極組立体を円筒形電池ケースに内蔵した後、1M LiPF6カーボネート系溶液電解液を注入して二次電池を完成した。
【0098】
実施例2
アルミニウムおよび銅集電体をそれぞれメッシュ構造の集電体を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0099】
比較例1
正極および負極集電体にそれぞれ厚さ方向に貫通型ホールを形成せず、正極および負極合剤層の厚さ勾配を形成しなかったことを除けば、実施例1と同様の方法で正極および負極を製造した。
【0100】
実験例1:二次電池の物性評価
実施例1および比較例1で製造した各二次電池について物性を評価した。具体的には、各二次電池に対する充電と放電を行い、充電および放電時の電圧と温度変化をそれぞれ測定した。二次電池に対する充電と放電は20℃、1Cの条件で行った。
【0101】
二次電池の充電と放電時の電圧変化を評価した結果は図10に示し、二次電池の充電と放電時の温度変化を評価した結果は図11に示した。
【0102】
まず、図10を参照すれば、実施例1による二次電池は、比較例1に比べて、放電電圧が高く、充電電圧が低いことが分かる。これによって、実施例1による二次電池は、製品への適用時により高いパワーを提供し、充電時にはより低い充電パワーを要求することが分かる。
【0103】
図11を参照すれば、実施例1による二次電池は、比較例1に比べて、充放電時の温度が低く、その変化幅が顕著に小さいことが分かる。したがって、実施例1による二次電池は、要求される冷却性能がより低く、よりコンパクトな設計が可能である。
【0104】
したがって、各種モバイル電子機器(mobile device)、ウェアラブル電子機器(wearable device)などへの適用が可能であり、特に、無線イヤホンやスマートウォッチのような小型機器、特に、二次電池の重量および体積に制約を受けながらも長期間使用を要するデバイスに特に適する。
【0105】
また、出力に優れて電池ベースのモータによって動力を受けて動くパワーツール(power tool)にも使用可能であり、ドローン(drone)、電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグ-インハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などを含む電気車、電気自転車(E-bike)、電気スクーター(E-scooter)を含む電気二輪車、電気ゴルフカート(electric golf cart)など高出力の電気を利用する輸送手段だけでなく、電気貯蔵システムへの適用にも適する。
【0106】
本実施例において、前、後、左、右、上、下のような方向を示す用語が使用されたが、これらの用語は説明の便宜のためのものに過ぎず、対象となる事物の位置や観測者の位置などに応じて異なる。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0108】
100:電極組立体
100U:単位セル
200:正極
210:正極集電体
211a、211b、211c:正極タブ
300:負極
310:負極集電体
311a、311b、311c:負極タブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11