(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】車両用前照灯のランプユニット、車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
F21S 41/50 20180101AFI20240521BHJP
F21S 41/141 20180101ALI20240521BHJP
F21S 41/33 20180101ALI20240521BHJP
F21S 41/37 20180101ALI20240521BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20240521BHJP
F21W 102/20 20180101ALN20240521BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240521BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240521BHJP
【FI】
F21S41/50
F21S41/141
F21S41/33
F21S41/37
F21W102:155
F21W102:20
F21Y115:10
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2019123604
(22)【出願日】2019-07-02
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小川 敏広
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-062901(JP,U)
【文献】特開2002-245811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/50
F21S 41/141
F21S 41/33
F21S 41/37
F21W 102/155
F21W 102/20
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されている車両用前照灯のランプユニットと、
前記灯室内に前記ランプユニットと立壁を介在させて隣り合わせに配置されている他のランプユニットと、
を備え、
前記ランプユニットは、光源と、リフレクタと、前記リフレクタの一側に設けられている
前記立壁と、を
有し、
前記リフレクタは、前記光源からの光を反射光として反射させて所定の配光パターンを形成する反射面を有し、
前記立壁は、前記反射面に対して、
前記ランプユニットを車両に装備した際の前記車両の前後方向に立っていて、
前記光源を通る鉛直断面と交わる前記反射面に近接して位置し、
前記立壁の前記光源および前記反射面に対向する面は、前記反射面と別個の面であり、
前記立壁の前記光源および前記反射面に対向する面には、前記光源からの光を制御する光制御部が、設けられていて、
前記光制御部は、前記光源からの光を前記反射面以外の方向に反射させる面、または、前記光源からの光を吸収する色に着色されている着色部、から構成されてい
て、
前記ランプユニットは、前記所定の配光パターンのうち、高光度領域を形成すると共に、前記所定の配光パターンであって、ロービーム配光パターンの中央部分の高光度帯の配光パターンを前記車両の前方に照射し、
前記他のランプユニットは、前記ロービーム配光パターンの全体部分の配光パターンを前記車両の前方に照射し、
前記ランプユニットの水平方向の幅は、前記他のランプユニットの水平方向の幅、または、前記リフレクタの一側に前記立壁が設けられていないランプユニットの水平方向の幅、の少なくとも一方よりも狭い、
ことを特徴とする
車両用前照灯。
【請求項2】
灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されている少なくとも車両用前照灯のランプユニットおよび他のランプユニットと、
を備え、
前記ランプユニットは、光源と、リフレクタと、前記リフレクタの一側に設けられている立壁と、を
有し、
前記リフレクタは、前記光源からの光を反射光として反射させて所定の配光パターンを形成する反射面を有し、
前記立壁は、前記反射面に対して、
前記ランプユニットを車両に装備した際の前記車両の前後方向に立っていて、
前記光源を通る鉛直断面と交わる前記反射面に近接して位置すると共に、前記リフレクタの一側であって前記車両の内側に設けられていて、
前記立壁の前記光源および前記反射面に対向する面は、前記反射面と別個の面であり、
前記立壁の前記光源および前記反射面に対向する面には、前記光源からの光を制御する光制御部が、設けられていて、
前記光制御部は、前記光源からの光を前記反射面以外の方向に反射させる面、または、前記光源からの光を吸収する色に着色されている着色部、から構成されてい
て、
前記ランプユニットは、前記所定の配光パターンのうち、高光度領域を形成すると共に、前記所定の配光パターンであって、ロービーム配光パターンの中央部分の高光度帯の配光パターンを前記車両の前方に照射し、
前記他のランプユニットは、前記立壁を介在させて前記ランプユニットの前記車両の内側に隣り合わせに配置されていると共に、前記ロービーム配光パターンの全体部分の配光パターンを前記車両の前方に照射する、
ことを特徴とする
車両用前照灯。
【請求項3】
前記光制御部は、前記光源に近い部分であって、少なくとも前記立壁の所定の位置から後方側の部分に設けられていて、
前記立壁の所定の位置は、前記光源を通り、かつ、前記反射面の光軸に対して垂直な直線が交わる位置である、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の
車両用前照灯。
【請求項4】
前記立壁には、前記光源からの光を発散光として発散反射させるシリンドリカル凸曲面が、前後方向を長手方向として、上下に複数条設けられていて、
前記光制御部は、複数条の前記シリンドリカル凸曲面のうち、前記光源から近い少なくとも1条の前記シリンドリカル凸曲面に設けられている、
ことを特徴とする請求項1
から3のいずれか1項に記載の
車両用前照灯。
【請求項5】
前記光制御部は、前記光源からの光を前記反射面以外の方向に反射させる三角柱の平面から構成されている、
ことを特徴とする請求項
4に記載の
車両用前照灯。
【請求項6】
前記光制御部は、前記光源からの光を吸収する黒色に着色されている着色部から構成されている、
ことを特徴とする請求項
3または
4に記載の
車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、立壁が設けられている車両用前照灯のランプユニットに関する。また、この発明は、複数のランプユニットが配置されている車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用前照灯のランプユニット、車両用前照灯としては、たとえば、特許文献1に示すものがある。特許文献1の車輌用灯具は、発光素子と、発光素子からの光を所定の方向に向かうように反射させる反射部と、を備えるものである。
【0003】
ここで、特許文献1の車輌用灯具は、反射部に仕切部を設け、仕切部に拡散部を設け、発光素子からの光を仕切部の拡散部で拡散光として拡散させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の車輌用灯具は、仕切部に拡散部をただ単に設けたものであるから、拡散部からの拡散光の一部が反射部に入射してかつ反射部で制御されずに所定の方向と異なった方向に向かって不制御光として反射される。この不制御光は、反射部から所定の方向に向かうように反射される光(所定の配光パターン)に対して、好ましくない。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、所定の配光パターンに対して好ましくない不制御光の発生を抑制することができる車両用前照灯のランプユニット、車両用前照灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の車両用前照灯のランプユニットは、光源と、リフレクタと、リフレクタの一側に設けられている立壁と、を備え、リフレクタが、光源からの光を反射光として反射させて所定の配光パターンを形成する反射面を有し、立壁には、光源からの光を制御する光制御部が、設けられていて、光制御部が、光源からの光を反射面以外の方向に反射させる面、または、光源からの光を吸収する色に着色されている着色部、から構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明の車両用前照灯のランプユニットにおいて、光制御部が、光源に近い部分であって、少なくとも立壁の所定の位置から後方側の部分に設けられていて、立壁の所定の位置が、光源を通り、かつ、反射面の光軸に対して垂直な直線が交わる位置である、ことが好ましい。
【0009】
この発明の車両用前照灯のランプユニットにおいて、立壁には、光源からの光を発散光として発散反射させるシリンドリカル凸曲面が、前後方向を長手方向として、上下に複数条設けられていて、光制御部が、複数条のシリンドリカル凸曲面のうち、光源から近い少なくとも1条のシリンドリカル凸曲面に設けられている、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用前照灯のランプユニットにおいて、光制御部が、光源からの光を反射面以外の方向に反射させる三角柱の平面から構成されている、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用前照灯のランプユニットにおいて、光制御部が、光源からの光を吸収する黒色に着色されている着色部から構成されている、ことが好ましい。
【0012】
この発明の車両用前照灯は、灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されているこの発明の車両用前照灯のランプユニットと、を備え、ランプユニットが、所定の配光パターンのうち、高光度領域を形成し、立壁が、光源を通る鉛直断面と交わる反射面に近接して位置する、ことを特徴とする。
【0013】
この発明の車両用前照灯において、灯室内にランプユニットと立壁を介在させて隣り合わせに配置されている他のランプユニットを備え、ランプユニットが、所定の配光パターンであって、ロービーム配光パターンの中央部分の高光度帯の配光パターンを車両の前方に照射し、他のランプユニットが、ロービーム配光パターンの全体部分の配光パターンを車両の前方に照射し、ランプユニットの水平方向の幅が、他のランプユニットの水平方向の幅、または、リフレクタの一側に立壁が設けられていないランプユニットの水平方向の幅、の少なくとも一方よりも狭い、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明の車両用前照灯のランプユニット、車両用前照灯は、所定の配光パターンに対して好ましくない不制御光の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、この発明にかかる車両用前照灯のランプユニット、車両用前照灯の実施形態を示す要部の説明図である。
図1(A)は、要部(立壁、シリンドリカル凸曲面および光制御部の三角柱平面)を示す一部拡大縦断面説明図(
図4におけるI-I線断面図)である。
図1(B)は、光制御部の三角柱の平面において制御反射された制御反射光の光路、および、シリンドリカル凸曲面において発散反射された発散反射光の光路を示す一部拡大縦断面説明図である。
【
図2】
図2は、車両用前照灯のランプユニット、車両用前照灯を示す正面図(車両の前側から後側を見た図)である。
【
図3】
図3は、車両用前照灯のランプユニットを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、要部(立壁、シリンドリカル凸曲面および光制御部の三角柱平面)を示す一部拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、ランプユニットの水平方向の幅を示す説明図である。
図5(A)は、立壁が設けられているランプユニットの水平方向の幅を示す説明図である。
図5(B)は、立壁が設けられていないランプユニットの水平方向の幅を示す説明図である。
【
図6】
図6は、ロービーム配光パターンを示す説明図である。
図6(A)は、ロービーム配光パターンのうち、中央部分の高光度帯の配光パターンを示す説明図である。
図6(B)は、ロービーム配光パターンのうち、全体部分の配光パターンを示す説明図である。
図6(C)は、中央部分の高光度帯の配光パターンと全体部分の配光パターンとを重畳したロービーム配光パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明にかかる車両用前照灯のランプユニット、車両用前照灯の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。この明細書および別紙の特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用前照灯のランプユニット、車両用前照灯を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。図面において、符号「F」は「前」、「B」は「後」、「U」は上、「D」は「下」、「L」は「左」、「R」は「右」である。
【0017】
また、
図6において、符号「VU-VD」は、スクリーンの上下垂直線を示す。符号「HL-HR」は、スクリーンの左右水平線を示す。
【0018】
なお、図面は、この発明にかかる車両用前照灯のランプユニット、車両用前照灯を示す概略図であるから、この発明にかかる車両用前照灯のランプユニット、車両用前照灯の詳細な部分は、図面においては省略されている。また、
図1においては、ハッチングが省略されている。
【0019】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる車両用前照灯のランプユニット、車両用前照灯の構成について説明する。
図1中、符号1は、この実施形態にかかる車両用前照灯(以下、単に「車両用前照灯」と称する)である。また、図中、符号2は、この実施形態にかかる車両用前照灯のランプユニット(以下、単に「第1ランプユニット」あるいは「ランプユニット」と称する)である。
【0020】
(車両用前照灯1の説明)
車両用前照灯1は、車両(図示せず)の前部の左右両側にそれぞれ装備される。以下、車両の左側に装備される車両用前照灯1について説明する。ここで、車両の左側に装備される車両用前照灯1において、車両の外側は、左側となり、一方、車両の内側は、右側となる。なお、車両の右側に装備される車両用前照灯は、車両の左側に装備される車両用前照灯1の構成とほぼ左右対称である。このために、車両の右側に装備される車両用前照灯の説明を省略する。
【0021】
車両用前照灯1は、
図2に示すように、ランプハウジング10およびランプレンズ11と、複数個のランプユニット2、3、4と、を備える。
【0022】
ランプハウジング10は、たとえば、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。ランプレンズ11は、たとえば、光透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。ランプレンズ11の閉塞部分は、意匠面を形成する。ランプレンズ11の意匠面は、車両の前部の意匠面に沿う。
【0023】
ランプハウジング10の開口縁とランプレンズ11の開口縁とは、固定されている。これにより、灯室12が形成されている。灯室12内には、複数個のランプユニット2、3、4が配置されている。
【0024】
(複数個のランプユニット2、3、4の説明)
複数個のランプユニット2、3、4は、第1ランプユニット2、第2ランプユニット3および第3ランプユニット4である。
【0025】
第1ランプユニット2は、この実施形態にかかる車両用前照灯のランプユニットである。第1ランプユニット2は、
図6(A)に示すように、所定の配光パターンであって、ロービーム配光パターンLPのうち、中央部分の高光度帯の配光パターン(集光の配光パターン)の第1配光パターンLP1を車両の前方に照射する。
【0026】
第1配光パターンLP1は、上縁の斜めカットオフラインCL1と、上縁の水平カットオフラインCL2と、エルボー点Eと、を有する。エルボー点Eは、斜めカットオフラインCL1と水平カットオフラインCL2との交点であって、上下垂直線VU-VDと左右水平線HL-HRとの交点でもある。
【0027】
第2ランプユニット3は、第1ランプユニット2と立壁7を介在させて隣り合わせに配置されている。なお、この例においては、第2ランプユニット3は、第1ランプユニット2の右側に配置されている。
【0028】
第2ランプユニット3は、
図6(B)に示すように、ロービーム配光パターンLPのうち、全体部分の配光パターン(拡散の配光パターン)の第2配光パターンLP2を車両の前方に照射する。第2配光パターンLP2は、上縁の水平カットオフラインCL3を有する。
【0029】
第1ランプユニット2の水平方向の幅W2は、第2ランプユニット3の水平方向の幅W3よりも狭い。
【0030】
第3ランプユニット4は、第2ランプユニット3と立壁8を介在させて隣り合わせに配置されている。なお、この例においては、第3ランプユニット4は、第2ランプユニット3の右側に配置されている。
【0031】
第3ランプユニット4は、図示されていないハイビーム配光パターンを車両の前方に照射する。ハイビーム配光パターンは、中央部分のホットゾーン(最高光度を含む高光度帯)を有する。
【0032】
(その他のランプユニットおよびその他の部材の説明)
灯室12内には、複数個のランプユニット2、3、4以外のその他のランプユニット(図示せず)およびその他の部材(図示せず)が配置されている。
【0033】
その他のランプユニットは、たとえば、ポジションランプユニット、デイタイムランニングランプユニット、ターンシグナルランプユニットなどである。また、その他の部材は、たとえば、インナーパネル、インナーハウジング、インナーレンズ、カバー部材などである。
【0034】
(第1ランプユニット2の説明)
第1ランプユニット2は、
図3に示すように、光源5と、リフレクタ6と、立壁7と、を備える。
【0035】
光源5は、この例では、LED、OELまたはOLED(有機EL)などの自発光半導体型発光素子(半導体発光素子)タイプの光源である。なお、
図3、
図5において、光源5は、発光面の中心を示す。
【0036】
光源5には、遮蔽部材(シェード部材)50が設けられている。遮蔽部材50は、光源5からの直射光(図示せず)が直接車両前方に照射されたり、リフレクタ6以外の部品に入射したりするのを防止するものである。
【0037】
リフレクタ6は、光源5からの光L1(
図1(B)、
図3、
図5(A)、(B)中の実線矢印を参照)を反射光L2(
図3、
図5(A)、(B)中の実線矢印を参照)として反射させる反射面60を有する。反射面60は、回転放物面を基本とする自由曲面から構成されている。回転放物面の回転軸は、反射面60の光軸Zである。
【0038】
反射面60は、複数個のセグメントに分割されている。反射面60の複数個のセグメントは、それぞれ、光源5からの光L1を反射光L2として制御させて車両の前方に反射させる。反射面60の複数個のセグメントは、反射光L2により、第1配光パターンLP1を形成する。
【0039】
リフレクタ6の一側、この例では、右側には、立壁7が設けられている。立壁7の光源5および反射面60に対向する面には、シリンドリカル凸曲面70が設けられている。シリンドリカル凸曲面70は、前後方向を長手方向として、上下に複数条設けられている。シリンドリカル凸曲面70は、光源5からの光L1を発散光L3(
図1(B)、
図3、
図5(A)中の破線矢印を参照)として発散反射させる。
【0040】
リフレクタ6の底壁71には、同様に、シリンドリカル凸曲面72が設けられている。
【0041】
なお、
図5(A)、(B)に示すように、立壁7を設けたリフレクタ6の水平方向の幅W2(すなわち、第1ランプユニット2の水平方向の幅W2)は、立壁7を設けていないリフレクタ600の水平方向の幅W1(すなわち、ランプユニット200の水平方向の幅W1)よりも狭い。
【0042】
第1ランプユニット2のリフレクタ6の水平方向の幅W2は、リフレクタ6の他側の端61から立壁7の端(一側の端)75までの間である。一方、ランプユニット200のリフレクタ600の水平方向の幅W1は、リフレクタ600の他側の端61から一側の端62までの間である。
【0043】
第1ランプユニット2のリフレクタ6において、光源5からの光L1は、リフレクタ6の一側に設けられた立壁7において、発散光L3として発散反射し、あるいは、制御光L4として制御反射する。一方、ランプユニット200のリフレクタ600において、光源5からの光L1は、立壁7が設けられていないリフレクタ600の一側の反射面60において反射光L2として反射する。
【0044】
(光制御部9の説明)
立壁7には、光制御部9が設けられている。光制御部9は、光源5からの光L1を制御する。すなわち、光制御部9は、光源5からの光L1を制御光L4(
図1(B)、
図3、
図5(A)中の実線矢印を参照)として反射面60以外の方向に制御反射させる面から構成されている。
【0045】
光制御部9は、
図5(A)に示すように、光源5に近い部分であって、少なくとも立壁7の所定の位置73、730から後方側の部分に設けられている。立壁7の所定の位置73、730のうち前側の所定の位置73は、反射面60の他側の端61から、水平方向(左右の水平方向)に、かつ、反射面60の光軸Zに対して垂直に交差する方向に、引いた直線74が交わる位置である。また、立壁7の所定の位置73、730のうち後側の所定の位置730は、前記の直線74と平行であって、光源5を通り、かつ、光軸Zに対して垂直な直線740が交わる位置である。光制御部9は、少なくとも、立壁7の所定の位置73、730のうち後側の所定の位置730から後方側の部分に設けられている。
【0046】
特に、立壁7の後側の所定の位置730から後方側の部分は、
図5(A)に示すように、光源5から後側に放射された光L1が反射し、その反射光(
図3、
図5(A)中の破線矢印の発散光L3を参照)が反射面60(光源5よりも前方側の部分の反射面60、すなわち、他側の端61と直線740との間の部分の反射面60)に入射して反射面60で制御されずに不制御光L5(
図3、
図5(A)中の破線矢印を参照)として反射される部分である。このため、少なくとも後側の所定の位置730から後方側の部分に光制御部9を設けることが好ましい。なお、光制御部9を設ける部分は、少なくとも後側の所定の位置730から後方側の部分であるから、後側の所定の位置730の近傍部分、すなわち、後側の所定の位置730から前方側の部分が若干含まれていても良い。
【0047】
光制御部9は、
図1(A)、(B)、
図3、
図4に示すように、光源5からの光L1を反射面60以外の方向に反射させる三角柱の平面から構成されている。三角柱は、頂角と、頂角からシリンドリカル凸曲面70を挟み込む2つの平面と、からなる。なお、三角柱の頂角は、金型成形上、半径がシリンドリカル凸曲面70よりも小さい曲面からなる。
【0048】
三角柱の2つの平面のうち、光源5に対向していて、光源5からの光L1が直接入射する1つの平面が、光制御部9であれば良い。また、光制御部9は、
図4に示すように、複数条のシリンドリカル凸曲面70のうち、光源5に近い最上位から4条のシリンドリカル凸曲面70に設けられている。
【0049】
このように、光制御部9は、立壁7のシリンドリカル凸曲面70のうち、光源5に近い範囲に、設けられている。すなわち、光制御部9は、シリンドリカル凸曲面70のうち、所定の位置73、730から後方側の部分であって、最上位から4条にかけて、設けられている。
【0050】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0051】
第1ランプユニット2の光源5を点灯発光させる。すると、光源5から放射された光L1の大部分は、反射面60の複数個のセグメントにおいて反射光L2として制御されて車両の前方に反射される。これにより、第1ランプユニット2は、所定の配光パターン、すなわち、
図6(A)に示す第1配光パターンLP1を車両の前方に照射する。
【0052】
第1ランプユニット2の光源5の点灯発光と同時に、第2ランプユニット3の光源(図示せず)を点灯発光させる。すると、第2ランプユニット3は、所定の配光パターン、すなわち、
図6(B)に示す第2配光パターンLP2を車両の前方に照射する。第1ランプユニット2からの第1配光パターンLP1と第2ランプユニット3からの第2配光パターンLP2とが重畳されて、
図6(C)に示すロービーム配光パターンLPが車両の前方に照射される。
【0053】
第3ランプユニット4の光源(図示せず)を点灯発光させると、第3ランプユニット4は、所定の配光パターン、すなわち、図示しないハイビーム配光パターンを車両の前方に照射する。
【0054】
ランプユニット2において、光源5からの光L1であって、反射面60に入射せずに立壁7に向かった光L1の一部は、
図1(B)、
図3、
図5(A)に示すように、光制御部9において制御されて、制御光L4として、反射面60以外の方向に反射する。なお、立壁7に向かった光L1の残りは、シリンドリカル凸曲面70において、発散光L3(
図1(B)、
図3、
図5(A)中の破線矢印を参照)として発散反射する。
【0055】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0056】
この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、立壁7の光源5および反射面60に対向する面に光制御部9を設けたものであるから、光制御部9により、光源5から立壁7に向かった光L1の一部を、制御光L4として、反射面60以外の方向に制御反射させることができる。この結果、この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、シリンドリカル凸曲面70において発散反射した発散光L3の一部が反射面60に入射して反射面60で制御されずに所定の方向と異なった方向に向かって不制御光L5(
図3、
図5(A)中の破線矢印を参照)として反射されるのを抑制することができる。すなわち、この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、所定の配光パターン(第1配光パターンLP1)に対して好ましくない不制御光L5の発生を抑制することができる。
【0057】
ちなみに、この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、所定の配光パターン(第1配光パターンLP1)のシミュレーションにおいて、配光パターン上の不制御光L5による所定のゾーンの光度値が約70%減少することを確認できた。
【0058】
この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、光制御部9を、光源5に近い部分であって、立壁7の所定の位置73、730から後方側の部分に、設けたものであるから、所定の配光パターン(第1配光パターンLP1)に対して好ましくない不制御光L5の発生を効率良く抑制することができる。すなわち、光源5に近いシリンドリカル凸曲面70から発散反射された発散光L3は、強い光(高光度の光)であり、不制御光L5も、強い光(高光度の光)となる。しかしながら、この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、光制御部9を光源5の近くに設けたので、強い光の不制御光L5の発生を抑制することができ、所定の配光パターン(第1配光パターンLP1)に対して好ましくない不制御光L5の発生を効率良く抑制することができる。
【0059】
この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、光制御部9を、複素条のシリンドリカル凸曲面70のうち、光源5から近い少なくとも1条この例では最上位から4条のシリンドリカル凸曲面70に、設けたものであるから、前記の通り、所定の配光パターン(第1配光パターンLP1)に対して好ましくない不制御光L5の発生を効率良く抑制することができる。
【0060】
しかも、この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、光制御部9を、光源5から近い少なくとも1条この例では最上位から4条、すなわち、最低限必要範囲のシリンドリカル凸曲面70に、設けたものであるから、光制御部9とシリンドリカル凸曲面70とが混在する見栄えと、シリンドリカル凸曲面70のみの見栄えとの間には、大差がない。すなわち、この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、光制御部9を設けていないランプユニット、車両用前照灯と、見栄え上大差がない。
【0061】
この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、立壁7の光源5に対向する面にシリンドリカル凸曲面70を設けたものであるから、光源5から立壁7に向かった光L1を、シリンドリカル凸曲面70において発散光L3として発散反射させることができる。この結果、この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、立壁7にシリンドリカル凸曲面70を設けないランプユニット、車両用前照灯と比較して、不制御光L5の光度を減少させることができる。すなわち、この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、所定の配光パターン(第1配光パターンLP1)に対して好ましくない不制御光L5の発生を抑制することができる。
【0062】
この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、光制御部9が三角柱の平面から構成されているので、構造が簡単であり、製造コストを安価にすることができ、しかも、見栄え上大差がない。
【0063】
ここで、
図3、
図5(A)に示すように、反射面60のうち、光源5を通る鉛直断面と交わる反射面60すなわち光源5に近い反射面60は、強い光(高光度の光)を反射させて所定の配光パターン(第1配光パターンLP1)のうち、高光度帯の配光パターンを形成する。そして、立壁7は、光源5に近い反射面60に近接して位置し、かつ、光源5に近接する部分(後側の所定の位置730から後方側の部分)を有する。この結果、立壁7の光源5に近接する部分に、光源5からの強い光(高光度の光)が入射して、強い光(高光度の光)の不制御光L5(
図3、
図5(A)中の破線矢印を参照)が反射される。そこで、この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、立壁7の光源5に近接する部分に光制御部9を設けるので、強い光(高光度の光)の不制御光L5(
図3、
図5(A)中の破線矢印を参照)の反射を抑制することができる。
【0064】
この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、リフレクタ6の一側に立壁7を設けたものであるから、
図5(A)、(B)に示すように、リフレクタ6の水平方向の幅W2(すなわち、第1ランプユニット2の水平方向の幅W2)が、立壁7を設けていないリフレクタ600の水平方向の幅W1(すなわち、ランプユニット200の水平方向の幅W1)よりも狭い。この実施形態にかかるランプユニット2、車両用前照灯1は、立壁7を設けて幅W2を狭くした第1ランプユニット2が、立壁7を設けずに幅W1を広いままにしたランプユニット200と比較して、ロービーム配光パターンLPのうち、中央部分の高光度帯の配光パターン(集光の配光パターン)、すなわち、第1配光パターンLP1を車両の前方に照射するのに適しているものである。
【0065】
(実施形態以外の例の説明)
なお、この実施形態においては、光制御部9を、光源5からの光L1を反射面60以外の方向に反射させる面であって、三角柱の1つの平面から構成されているものである。しかしながら、この発明においては、光制御部9の面を、三角柱の1つの平面ではなく、三角柱の2つの平面、あるいは、単なる平面、あるいは、曲面であっても良い。
【0066】
また、この発明においては、光制御部9を、光源5からの光L1を反射面60以外の方向に反射させる面ではなく、光源5からの光L1を吸収する色たとえば黒色に着色されている着色部から構成されているものであっても良い。なお、黒色以外の色が着色されている着色部であっても良い。
【0067】
さらに、この発明においては、着色部を、立壁7に一体に設けたものであっても良いし、また、立壁7と別部材(別ピース)に設けたものであっても良い。
【0068】
さらにまた、この発明においては、光制御部9として、立壁7に光源5からの光L1が通過する透孔を設け、立壁7の裏面(光源5および反射面60に対向する面に対して反対側の面)に前記の面または着色部を設けても良い。
【0069】
なお、この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 車両用前照灯
10 ランプハウジング
11 ランプレンズ
12 灯室
2 第1ランプユニット(車両用前照灯のランプユニット、ランプユニット)
200 ランプユニット(立壁が設けられていないランプユニット)
3 第2ランプユニット(他のランプユニット)
4 第3ランプユニット
5 光源
50 遮蔽部材
6 リフレクタ
60 反射面
61 他側の端
62 一側の端
7 立壁
70 シリンドリカル凸曲面
71 底壁
72 シリンドリカル凸曲面
73、730 所定の位置
74、740 直線
75 立壁の端(一側の端)
8 立壁
9 光制御部
B 後
CL1 斜めカットオフライン
CL2 水平カットオフライン
CL3 水平カットオフライン
D 下
E エルボー点
F 前
HL-HR 左右水平線
L 左
L1 光(光源5からの光)
L2 反射光
L3 発散光
L4 制御光
L5 不制御光
LP ロービーム配光パターン
LP1 第1配光パターン(中央部分の高光度帯の配光パターン)
PP2 第2配光パターン(全体部分の配光パターン)
R 右
U 上
VU-VD 上下垂直線
W1 幅
W2 幅
W3 幅
Z 光軸