(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】蓄電素子用の負極活物質、蓄電素子用の負極、蓄電素子及び蓄電素子の使用方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/485 20100101AFI20240521BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20240521BHJP
H01M 10/0525 20100101ALI20240521BHJP
H01G 11/30 20130101ALI20240521BHJP
【FI】
H01M4/485
H01M4/131
H01M10/0525
H01G11/30
(21)【出願番号】P 2019186400
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-08-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】村松 弘将
(72)【発明者】
【氏名】星野 哲志
(72)【発明者】
【氏名】澤田 英佑
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-527306(JP,A)
【文献】特開2019-160729(JP,A)
【文献】国際公開第2015/140934(WO,A1)
【文献】特開2004-220801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
H01M10/05-10/0587;10/36-10/39
H01G11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、
上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、
含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満たし、
上記遷移金属複合酸化物のBET比表面積が0.5m
2/g以上
8m
2
/g以下である蓄電素子用の負極活物質。
0<X/(X+Y)≦
0.20 ・・・1
式1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
【請求項2】
正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、
上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、
含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満た
し、
上記遷移金属複合酸化物のBET比表面積が0.5m
2
/g以上8m
2
/g以下である負極活物質を含む蓄電素子用の負極。
0<X/(X+Y)≦
0.20 ・・・1
式1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
【請求項3】
正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、
上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、
含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満た
し、
上記遷移金属複合酸化物のBET比表面積が0.5m
2
/g以上8m
2
/g以下である負極活物質を含む負極を備える蓄電素子。
0<X/(X+Y)≦
0.20 ・・・1
式1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
【請求項4】
正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、
上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、
上記含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満た
し、
上記遷移金属複合酸化物のBET比表面積が0.5m
2
/g以上8m
2
/g以下である負極活物質を含む負極を備える蓄電素子に対し、
上記負極の終止電位が0.35V(vs.Li/Li
+)以上の範囲で充電を行うことを有する蓄電素子の使用方法。
0<X/(X+Y)≦
0.20 ・・・1
式
1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子用の負極活物質、蓄電素子用の負極、蓄電素子及び蓄電素子の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン非水電解質二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極を有する電極体、及び電極間に介在する非水電解質を備え、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
【0003】
近年、電池の高容量化に向けて、負極活物質の体積あたりの高容量化が求められている。しかしながら、市販のリチウムイオン非水電解質二次電池の負極活物質に用いられている黒鉛(グラファイト)は、真密度が2.1gcm-3程度であり、遷移金属酸化物と比較すると小さい。また、負極活物質用のリチウム遷移金属酸化物としてLi4Ti5O12(LTO)やLi4MoO5が提案され、一部実用化されているが、いずれも質量あたりの放電容量が200mAhg-1程度であり、黒鉛と比較すると小さいために、蓄電素子の体積あたりの容量としては十分ではない。
【0004】
さらに、蓄電素子、特に電気自動車用電池においては、急速充電性能が求められている。従来技術としては、黒鉛と比較して高い真密度(4.3gcm-3)と、1V以上の電位領域で比較的高い放電容量(260mAhg-1)を併せ持ち、体積あたりの放電容量が高いチタンニオブ系複合酸化物(TiNb2O7)が開示されている(非特許文献1及び特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Goodenough et al.,Chem.Mater.,23,2027(2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、蓄電素子の高容量化へのニーズが増加している現在にあっては、負極活物質の体積あたりの容量のさらなる向上が求められている。また、黒鉛のように負極の作動電位が卑であると、充電時に金属リチウムの析出を起こすおそれがあり、電池寿命が制限される原因となりやすい。従って、比較的貴な電位領域で十分な容量を発現することのできる負極材料が求められている。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量が大きい蓄電素子用の負極活物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の一側面は、正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満たす蓄電素子用の負極活物質である。
0<X/(X+Y)≦0.60 ・・・1
式1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
【0010】
本発明の他の一側面は、正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満たす負極活物質を含む蓄電素子用の負極である。
0<X/(X+Y)≦0.60 ・・・1
式1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
【0011】
本発明の他の一側面は、正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満たす負極活物質を含む負極を備える蓄電素子である。
0<X/(X+Y)≦0.60 ・・・1
式1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
【0012】
本発明の他の一側面は、正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、含有させるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満たす負極活物質を含む負極を備える蓄電素子に対し、上記負極の終止電位が0.35V(vs.Li/Li+)以上の範囲で充電を行うことを有する蓄電素子の使用方法である。
0<X/(X+Y)≦0.60 ・・・1
式2中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量が大きい蓄電素子用の負極活物質を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を示す外観斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る蓄電素子用の負極活物質(以下、単に「負極活物質」ともいう。)は、正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、上記含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満たす。
0<X/(X+Y)≦0.60 ・・・1
式1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
【0016】
当該負極活物質を蓄電素子の負極に用いることで、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量を大きくすることができる。この理由については定かでは無いが、以下の理由が推測される。遷移金属複合酸化物の金属種としてタングステン又はモリブデンを用いることで、タングステン又はモリブデンの価数変化に伴う電気量が発現されるため、蓄電素子の容量が高まる。また、タングステン及びモリブデンは真密度が高く、上記従来技術で提案されているチタンニオブ系複合酸化物に含有されるチタンの真密度よりも高い。従って、当該負極活物質を蓄電素子の負極に用いることで、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量を大きくすることができる。
【0017】
当該蓄電素子用の負極活物質の上記遷移金属複合酸化物のBET比表面積が0.5m2/g以上であり、含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式2を満たすことが好ましい。
0<X/(X+Y)≦0.20 ・・・2
式2中、X及びYは、上記式1と同義である。
上記遷移金属複合酸化物のBET比表面積が0.5m2/g以上であり、含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とがさらに上記式2を満たすことで、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量を大きくすることができるとともに、充放電サイクル後の放電容量維持率を高めることができる。ここで、「BET比表面積」は、液体窒素中に浸し、窒素ガスを供給することにより粒子表面に窒素分子が物理吸着することを基にその時の圧力と吸着量を測定することにより求められる。具体的な測定手法としては、一点法により、試料に対する窒素吸着量(m2)を求める。得られた窒素吸着量を、試料の質量(g)で除した値をBET比表面積(m2/g)とする。
【0018】
本発明の一実施形態に係る蓄電素子用の負極(以下、単に「負極」ともいう。)は、正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満たす。
0<X/(X+Y)≦0.60 ・・・1
式1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
当該負極は、上記負極活物質を含有するので、蓄電素子の比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量を大きくすることができる
【0019】
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満たす負極活物質を含む負極を備える。
0<X/(X+Y)≦0.60 ・・・1
式1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
当該蓄電素子は、上記負極活物質を含む負極を備えるので、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量に優れる。
【0020】
本発明の一実施形態に係る蓄電素子の使用方法は、正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含み、上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満たす負極活物質を含む負極を備える蓄電素子に対し、上記負極の終止電位が0.35V(vs.Li/Li+)以上の範囲で充電を行うことを有する。
0<X/(X+Y)≦0.60 ・・・1
式2中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
【0021】
当該蓄電素子の使用方法によれば、体積あたりの放電容量を大きくして蓄電素子を使用することができる。一般に、充電終止電圧における負極電位を卑にするほど深く充放電されることになるので、蓄電素子の容量が増加する傾向がある。しかしながら、当該蓄電素子の負極が含む遷移金属複合酸化物においては、後述する実施例(表5等参照)に示すように、充電終止時に負極が到達する電位を比較的貴に設定した方が、逆に大きな放電容量が発現するという特徴を有する。従って、上記負極の終止電位が0.35V(vs.Li/Li+)以上の範囲で充電を行うことで、放電容量を大きくして蓄電素子を使用することができる。
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る蓄電素子用の負極活物質、蓄電素子用の負極、蓄電素子及び蓄電素子の使用方法について、順に詳説する。
【0023】
<蓄電素子用の負極活物質>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子用の負極活物質は、正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物を含む。上記遷移金属複合酸化物がタングステン又はモリブデンと、ニオブとを含有し、含有されるタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数とが下記式1を満たす。
0<X/(X+Y)≦0.60 ・・・1
式1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。また、上記X及びYは、タングステン、モリブデン及びニオブが金属酸化物等の金属化合物として含有される場合、当該化合物中の各金属元素のモル数を意味する。
遷移金属複合酸化物の金属種として真密度及び放電容量向上効果が高いタングステン又はモリブデンを含有する当該負極活物質を蓄電素子の負極に用いることで、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量を大きくすることができる。また、式1を満たすとき、遷移金属複合酸化物が正方晶系の結晶構造を有することで、放電容量維持率を高くすることができる。
なお、本明細書において、遷移金属複合酸化物は負極活物質として作用するものであり、電解質から負極活物質に充放電反応に関与するイオン(リチウムイオン非水電解質二次電池の場合はリチウムイオン)が吸蔵される還元反応を「充電」、負極活物質から充放電反応に関与するイオンが放出される酸化反応を「放電」という。「比較的貴な電位領域」としては、例えば0.35V(vs.Li/Li+)以上が好ましく、0.40V(vs.Li/Li+)以上がより好ましく、0.60V(vs.Li/Li+)以上がさらに好ましい。
【0024】
上記負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数は、下記式1を満たす。
0<X/(X+Y)≦0.60 ・・・1
式1中、Xは、負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数である。Yは、負極活物質中のニオブのモル数である。
上記X/(X+Y)の上限は、0.60であり、0.50が好ましく、0.40がより好ましく、0.30がさらに好ましく、0.20が最も好ましい。上記X/(X+Y)の下限は、0を超え、0.02以上が好ましく、0.04以上がより好ましく、0.06以上がさらに好ましい。負極活物質中のタングステン又はモリブデンのモル数と、ニオブのモル数から求められる上記X/(X+Y)を上記範囲とすることで、真密度向上効果が高いタングステン又はモリブデンを含有する正方晶系の結晶構造の安定性が確保されるので、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量が優れる負極活物質とすることができる遷移金属複合酸化物を提供できる。
【0025】
上記遷移金属複合酸化物のBET比表面積の下限としては、0.5m2/gが好ましく、1.0m2/gがより好ましい。上記遷移金属複合酸化物のBET比表面積が上記下限以上であることで、充放電サイクルに伴う容量維持率を向上できる。上記遷移金属複合酸化物のBET比表面積の上限としては、20m2/gが好ましく、12m2/gが好ましいこともあり、8m2/gが好ましいこともある。特に、上記X/(X+Y)の上限を0.20とし、かつ上記遷移金属複合酸化物のBET比表面積が0.5m2/g以上であることで、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量に加えて、充放電サイクルに伴う容量維持率が特に優れるという効果を得ることができる。
【0026】
上記遷移金属複合酸化物の真密度としては、4.5g/cm3以上が好ましい。このように真密度が高く、閉細孔の少ない粒子を用いることで、エネルギー密度をより高めることができる。一方、上記遷移金属複合酸化物の真密度の上限としては、例えば7g/cm3である。真密度は、ヘリウムガスを用いたピクノメーターによる気体容積法で測定される。なお、真密度は、活物質組成からおよその値が予測可能である。
【0027】
当該負極活物質は、上記遷移金属複合酸化物のみから形成されていてもよいが、上記遷移金属複合酸化物以外の他の負極活物質が含まれていてもよい。他の負極活物質としては、例えば難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、Si等の半金属、Sn等の金属、これら半金属又は金属の酸化物、又は、これら半金属又は金属と炭素材料との複合体等が挙げられる。また、当該負極活物質は、上記遷移金属複合酸化物以外の他の遷移金属複合酸化物を含有していてもよい。
【0028】
当該負極活物質における上記遷移金属複合酸化物の含有率としては、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。上記遷移金属複合酸化物の含有率を高めることで、蓄電素子の比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量をより大きくすることができる。
【0029】
当該負極活物質の製造方法は特に限定されない。タングステン又はモリブデンと、ニオブとを含む遷移金属複合酸化物の製造方法としては、タングステン若しくはモリブデンと、ニオブとを含有する粒子を準備すること(準備工程)、又は、タングステン若しくはモリブデンを含む粒子と、ニオブを含む粒子とを混合すること(混合工程)、及び上記準備により得られる粒子又は混合により得られる混合物を焼成すること(焼成工程)を備える。上記焼成工程は、通常、例えば空気等の酸素を含む雰囲気下にて行われる。上記焼成工程の前に、分散媒を揮発させる乾燥工程又は予備加熱工程が設けられていてもよい。なお、焼成工程後、焼成物を粉砕する粉砕工程等をさらに設けてもよい。
【0030】
上記混合工程に供する粒子としては、タングステンを含む粒子として、例えばタングステン単体、タングステン化合物等からなる粒子が挙げられる。タングステン化合物としては、例えばタングステン酸化物、塩化タングステン、臭化タングステン、フッ化タングステン、硫化タングステン等が挙げられる。タングステン酸化物は、例えば、WOx(0<x≦3)で表されるものを用いることができる。また、モリブデンを含む粒子として、例えばモリブデン単体、モリブデン化合物等からなる粒子が挙げられる。モリブデン化合物としては、例えばモリブデン酸化物、硫化モリブデン等が挙げられる。モリブデン酸化物は、例えば、MoOx(0<x≦3)で表されるものを用いることができる。また、ニオブを含む粒子として、ニオブ単体、ニオブ化合物等からなる粒子が挙げられる。ニオブ化合物としては、例えば酸化ニオブ(NbOx(0<x≦2.5)、フッ化ニオブ、塩化ニオブ、窒化ニオブ、ヨウ化ニオブ等が挙げられる。
【0031】
上記混合工程においては、タングステン又はモリブデンを含有する粒子と、ニオブを含有する粒子とを公知の手段により混合する。
【0032】
上記焼成工程における焼成温度としては、タングステンとニオブとを含有する遷移金属複合酸化物の場合、800℃以上1100℃以下が好ましい。また、モリブデンとニオブとを含有する遷移金属複合酸化物の場合、600℃以上800℃以下が好ましい。
【0033】
<蓄電素子用の負極>
本発明の一実施形態に係る負極は、上記負極活物質を含有する。当該負極は、上記負極活物質を含有するため、蓄電素子の比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量を大きくすることができる。
【0034】
負極は、負極基材と、上記負極基材の少なくとも一方の面に直接又は間接に積層される負極活物質層とを備える。負極は、負極基材と負極活物質層との間に配される中間層を備えていてもよい。
【0035】
(負極基材)
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金が用いられる。本発明の一実施形態に係る負極活物質は、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量を大きくすることができ、金属リチウムが電気化学的に析出する可能性のある卑な電位に至って使用する必要が無いことから、負極基材としてアルミニウムを用いることができる。従って、これらの中でも、重量およびコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H4000(2014)に規定されるA1085、A3003等が例示できる。負極基材としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。なお、「導電性」を有するとは、JIS-H0505(1975)に準拠して測定される体積抵抗率が1×107Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が1×107Ω・cm超であることを意味する。
【0036】
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上25μm以下がより好ましく、4μm以上20μm以下がさらに好ましく、5μm以上15μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、蓄電素子の体積あたりのエネルギー密度を高めることができる。「基材の平均厚さ」とは、所定の面積の基材を打ち抜いた際の打ち抜き質量を、基材の真密度及び打ち抜き面積で除した値をいう。
【0037】
上記負極活物質層は、負極活物質を含むいわゆる負極合剤から形成される。また、負極活物質層を形成する負極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
【0038】
上記負極活物質として、上述した遷移金属複合酸化物を含有する負極活物質が用いられる。上記負極活物質層における負極活物質の含有量としては、例えば50質量%以上95質量%以下とすることができる。この含有量の下限は60質量%であってよく、この含有量の上限は80質量%又は70質量%であってもよい。
【0039】
導電剤としては、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛化炭素、非黒鉛化炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛化炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電材の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。負極活物質層において導電剤を使用する場合、負極活物質層全体に占める導電剤の割合は、およそ10.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。
【0040】
バインダーとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
【0041】
負極活物質層におけるバインダーの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダーの含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質粒子を安定して保持することができる。
【0042】
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
【0043】
フィラーは、特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。負極活物質層においてフィラーを使用する場合、負極活物質層全体に占めるフィラーの割合は、およそ8.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。
【0044】
(中間層)
上記中間層は、負極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで負極基材と負極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。
【0045】
<蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極と、負極と、電解質とを備える。正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回された電極体を形成する。この電極体は容器に収納され、この容器内に電解質が充填される。電解質は、正極と負極との間に介在する。当該蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池について説明する。
【0046】
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、上記負極が、上述した蓄電素子用の負極である。当該蓄電素子は、上記負極活物質を含有する負極を備えるため、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量に優れる。
【0047】
[正極]
正極は、正極基材と、正極活物質層とを有する。上記正極活物質層は、正極活物質を含有する。上記正極活物質層は、上記正極基材の少なくとも一方の面に沿って直接又は中間層を介して積層される。
【0048】
上記正極基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H4000(2014)に規定されるA1085、A3003等が例示できる。
【0049】
正極活物質層は、正極活物質を含むいわゆる正極合剤から形成される。また、正極活物質層を形成する正極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
【0050】
上記正極活物質としては、例えば、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン非水電解質二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LixNi1-x]O2(0≦x<0.5)、Li[LixNiγCo(1-x-γ)]O2(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LixCo(1-x)]O2(0≦x<0.5)、Li[LixNiγMn(1-x-γ)]O2(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LixNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O2(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LixNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O2(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物として、LixMn2O4、LixNiγMn(2-γ)O4等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO4、LiMnPO4、LiNiPO4、LiCoPO4、Li3V2(PO4)3、Li2MnSiO4、Li2CoPO4F等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。正極活物質層においては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。正極活物質層中の正極活物質の含有量は特に限定されないが、その下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、99質量%が好ましく、98質量%がより好ましい。
【0051】
上記導電剤としては、導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、上記負極で例示した材料から選択できる。導電剤を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電剤の割合は、およそ1.0質量%から20質量%とすることができ、通常はおよそ2.0質量%から15質量%(例えば3.0質量%から6.0質量%)とすることが好ましい。
【0052】
上記バインダーとしては、上記負極で例示した材料から選択できる。バインダーを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダーの割合は、およそ0.50質量%から15質量%とすることができ、通常はおよそ1.0質量%から10質量%(例えば1.5質量%から3.0質量%)とすることが好ましい。
【0053】
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。増粘剤を使用する場合、正極活物質層全体に占める増粘剤の割合は、およそ8質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、正極活物質層が上記増粘剤を含まない態様で好ましく実施され得る。
【0054】
上記フィラーとしては、上記負極で例示した材料から選択できる。フィラーを使用する場合、正極活物質層全体に占めるフィラーの割合は、およそ8.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、正極活物質層が上記フィラーを含まない態様で好ましく実施され得る。
【0055】
上記中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。負極と同様、中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。ここで開示される技術は、上記中間層を有さない態様で好ましく実施され得る。
【0056】
[負極]
上記負極は、上述したように、本発明の一実施形態に係る上記蓄電素子用の負極が用いられる。負極の詳細は上述した通りである。
【0057】
[セパレータ]
上記セパレータとしては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。
【0058】
なお、セパレータと電極(通常、正極)との間に、無機層が積層されていてもよい。この無機層は、耐熱層等とも呼ばれる多孔質の層である。また、多孔質樹脂フィルムの一方の面又は両面に無機層が形成されたセパレータを用いることもできる。上記無機層は、通常、無機粒子及びバインダーとで構成され、その他の成分が含有されていてもよい。
【0059】
[非水電解質]
上記非水電解質としては、一般的な非水電解質二次電池(蓄電素子)に通常用いられる公知の非水電解質が使用できる。上記非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩を含む。なお、上記非水電解質は、固体電解質等であってもよい。
【0060】
上記非水溶媒としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の非水溶媒として通常用いられる公知の非水溶媒を用いることができる。上記非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを少なくとも用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、特に限定されないが、例えば5:95から50:50とすることが好ましい。
【0061】
上記環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもECが好ましい。
【0062】
上記鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもEMCが好ましい。
【0063】
上記電解質塩としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の電解質塩として通常用いられる公知の電解質塩を用いることができる。上記電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。
【0064】
上記リチウム塩としては、LiPF6、LiPO2F2、LiBF4、LiClO4、LiN(SO2F)2等の無機リチウム塩、LiSO3CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、LiC(SO2CF3)3、LiC(SO2C2F5)3等の水素がフッ素で置換された炭化水素基を有するリチウム塩などを挙げることができる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPF6がより好ましい。
【0065】
上記非水電解質における上記電解質塩の濃度の下限としては、0.1mol/dm3が好ましく、0.3mol/dm3がより好ましく、0.5mol/dm3がさらに好ましく、0.7mol/dm3が特に好ましい。一方、この上限としては、特に限定されないが、2.5mol/dm3が好ましく、2.0mol/dm3がより好ましく、1.5mol/dm3がさらに好ましい。
【0066】
上記非水電解質には、その他の添加剤が添加されていてもよい。また、上記非水電解質として、常温溶融塩、イオン液体などを用いることもできる。
【0067】
[蓄電素子の具体的構成]
本実施形態の蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、パウチフィルム型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
【0068】
図1に蓄電素子の一例としての角型の非水電解質二次電池1を示す。なお、同図は、電池容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の電池容器3に収納される。正極は正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。
【0069】
[蓄電素子の製造方法]
当該非水電解質二次電池(蓄電素子)は、負極として当該負極を用いること以外は、公知の方法により製造することができる。当該蓄電素子の製造方法は、例えば、正極を作製すること、負極を作製すること、非水電解質を調製すること、正極及び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成すること、正極及び負極(電極体)を電池容器に収容すること、並びに上記電池容器に上記非水電解質を注入することを備えることができる。上記注入は、公知の方法により行うことができる。注入後、注入口を封止することにより非水電解質二次電池(蓄電素子)を得ることができる。
【0070】
<蓄電素子の使用方法>
当該蓄電素子の使用方法は、上記負極の終止電位が0.35V(vs.Li/Li+)以上の範囲で充電を行うことを有する。当該蓄電素子の使用方法によれば、体積あたりの放電容量を大きくして蓄電素子を使用することができる。当該蓄電素子の負極が含む遷移金属複合酸化物は、真密度及び放電容量の高いタングステン又はモリブデンと、ニオブとを上記特定の割合で含有する正方晶系の結晶構造を有しており、充電終止時における負極の終止電位を比較的貴に設定することによって、大きな放電容量を発現する。従って、上記負極の終止電位が0.35V(vs.Li/Li+)以上の範囲で充電を行うことで、放電容量を大きくして蓄電素子を使用することができる。
【0071】
<その他の実施形態>
なお、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
【0072】
上記実施の形態においては、蓄電素子が非水電解質二次電池である形態を中心に説明したが、その他の蓄電素子であってもよい。その他の蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。非水電解質二次電池としては、リチウムイオン非水電解質二次電池が挙げられる。
【0073】
本発明は、上記の蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。また、本発明の蓄電素子(セル)を単数又は複数個用いることにより組電池を構成することができ、さらにこの組電池を用いて蓄電装置を構成することができる。上記蓄電装置は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として用いることができる。さらに、上記蓄電装置は、エンジン始動用電源装置、補機用電源装置、無停電電源装置(UPS)等の種々の電源装置に用いることができる。
【0074】
図2に、電気的に接続された二以上の蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合させた蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
【0075】
(真密度)
本願明細書において、負極活物質の真密度は、以下の方法で測定する。カンタクローム社製ピクノメーター(商品名:ULTRAPYCNOMETER 1000)を用いて、活物質の体積(cm3)を求める。得られた体積を、試料の質量(g)で除した値を真密度(cm3/g)をとする。測定に当たっては、ヘリウムガスを用いる。測定試料の投入量は、0.2g±0.1gとする。
【0076】
(BET比表面積)
本願明細書において、負極活物質のBET比表面積は、以下の方法で測定する。ユアサアイオニクス社製比表面積測定装置(商品名:MONOSORB)を用いて、一点法により、試料に対する窒素吸着量(m2)を求める。得られた吸着量を、試料の質量(g)で除した値をBET比表面積(m2/g)をとする。測定に当たって、液体窒素を用いた冷却によるガス吸着を行う。また、冷却前に120℃、15分の予備加熱を行う。測定試料の投入量は、0.5g±0.1gとする。
【0077】
(エックス線回折測定)
本願明細書において、エックス線回折測定は、以下の条件にて行う。エックス線回折装置(Rigaku社製「miniFlex II」)を用いて粉末エックス線回折測定を行う。線源はCuKα線、管電圧は30kV、管電流は15mAとし、回折エックス線は厚さ30μmのKβフィルターを通し高速一次元検出器(型番:D/teX Ultra2)にて検出する。サンプリング幅は0.01°、スキャンスピードは5°/分、発散スリット幅は0.625°、受光スリット幅は13mm(OPEN)、散乱スリット幅は8mmとする。
【0078】
<実施例>
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0079】
[実施例1]
酸化ニオブ(Nb2O5)2.601gに、酸化タングステン(VI)(WO3)0.400gを加え、瑪瑙(めのう)製乳鉢を用いてよく混合し、タングステンのモル数とニオブのモル数とがW:Nb=8:92である混合粉体を調製した。ペレット成型機を用いて、40MPaの圧力で成型し、直径25mmのペレットとした。ペレット成型に供した混合粉体の量は、想定する最終生成物の質量が3.0gとなるように換算して決定した。上記ペレット1個を直径約50mmのアルミナ製の皿の上に置き、箱型電気炉(型番:AMF20)に設置し、空気雰囲気中、常圧下、常温から1000℃まで10時間かけて昇温し、1000℃で14時間焼成した。上記箱型電気炉の内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cmであり、幅方向20cm間隔に電熱線が入っていた。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製の皿を炉内に置いたまま自然放冷した。この結果、炉の温度は5時間後には約200℃程度にまで低下したが、その後の降温速度はやや緩やかであった。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、実施例1に係る遷移金属複合酸化物を作製した。
【0080】
[実施例2から実施例6及び比較例1から比較例3]
上記実施例1の金属種、配合量、遷移金属複合酸化物の組成比及び焼成温度を表1に記載の通りとしたこと以外は実施例1と同様の手順を採用して、実施例2から実施例6及び比較例1から比較例3に係る遷移金属複合酸化物を作製した。
【0081】
[実施例7]
酸化ニオブ(Nb2O5)2.739gに、酸化モリブデン(VI)(MoO3)0.261gを加え、瑪瑙(めのう)製乳鉢を用いてよく混合し、モリブデンのモル数とニオブのモル数とがMo:Nb=8:92である混合粉体を調製した。ペレット成型機を用いて、40MPaの圧力で成型し、直径25mmのペレットとした。ペレット成型に供した混合粉体の量は、想定する最終生成物の質量が3.0gとなるように換算して決定した。上記ペレット1個を全長約100mmのアルミナ製のボートの上に置き、タナカテック製環状電気炉に設置し、100ml/分の空気フロー中、常圧下、常温から600℃まで5℃/分の速度で昇温し、600℃で24時間焼成した。その後650℃まで5℃/分の速度で昇温し、650℃で24時間焼成した。さらに700℃まで5℃/分の速度で昇温し、700℃で8h焼成した。上記環状電気炉の内部寸法は、直径42mm、奥行き300mmである。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製のボートを炉内に置いたまま自然放冷した。炉の温度が60℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、実施例7に係る遷移金属複合酸化物を作製した。
【0082】
[実施例7から実施例11]
上記実施例7の金属種、配合量、遷移金属複合酸化物の組成比及び焼成温度を表2に記載の通りとしたこと以外は実施例7と同様の操作をして、遷移金属複合酸化物である実施例7から実施例11に係る遷移金属複合酸化物を作製した。
【0083】
【0084】
【0085】
(エックス線回折測定)
上記実施例及び比較例に係るそれぞれの遷移金属複合酸化物について、上記の方法でエックス線回折測定を行った。
図3から
図5に、実施例1、実施例7及び実施例11の2θ=10°から80°の範囲におけるエックス線回折(XRD)図を示す。
【0086】
(負極の作製)
実施例1から実施例11及び比較例1から比較例3に係る遷移金属複合酸化物を負極活物質として用い、次の手順で負極を作製した。導電助剤としてアセチレンブラックを用いた。バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。上記負極活物質、上記導電助剤、及び上記バインダーを80:10:10の質量比で含有し、N-メチルピロリドンを分散媒とする負極合剤ペーストを作製した。負極基材として厚さ20μmのアルミニウム箔上に、負極合剤ペーストを塗布、乾燥、プレスし、負極基材上に負極合剤が配された蓄電素子用負極を作製した。
【0087】
(セル(蓄電素子)の作製)
上記蓄電素子用負極の性能を評価するため、上記蓄電素子用負極を作用極として、評価試験用のセル(蓄電素子)を作製した。対極には負極単独での挙動を把握するために、作用極である蓄電素子用負極の負極合剤が配された部分よりも広い面積の金属リチウムを用いた。セパレータにはポリエチレン製の微多孔膜を用いた。非水電解質としては、エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC):ジメチルカーボネート(DMC)が体積比30:35:35である混合溶媒に濃度が1mol/dm3となるようにLiPF6を溶解させた溶液を用いた。セパレータを介して、上記作用極と対極を対向させ、金属樹脂複合フィルム製の袋に収納し、上記非水電解質を注入後、開口部を溶着することにより気密封止した。これにより実施例1から実施例11及び比較例1から比較例6のセル(蓄電素子)を得た。
【0088】
以下、負極(作用極)が電気化学的に還元される方向に通電する操作を充電といい、負極(作用極)が電気化学的に酸化される方向に通電する操作を放電という。対極が金属リチウムの場合、対極における金属リチウムの溶解・析出反応抵抗が極めて低いことから、充放電中の作用極と対極との間の電圧は、金属リチウムを用いた参照極に対する作用極の電位とほぼ等しいとみなすことができる。
【0089】
(1)初期放電容量確認試験
実施例1から実施例11及び比較例1から比較例6の蓄電素子に対して、以下の条件にて初期放電容量確認試験を行った。25℃にて、充電は、電流0.1C(負極活物質の質量あたり25mA/g)、電圧1.0Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が0.02Cに減衰した時点とした。放電は、電流0.1C、終止電圧3.0Vの定電流放電とした。この充放電を3サイクル行った。なお、充電後及び放電後にそれぞれ10分の休止過程を設けた。この試験で得られた3サイクル目のセル(蓄電素子)の放電容量を負極に含有される負極活物質の質量で除して初期放電容量(mAh/g)として記録した。
【0090】
(2)充放電サイクル試験
続いて、以下の条件にて充放電サイクル試験を行った。25℃にて、充電は、電流0.5C(負極活物質の質量あたり125mA/g)、電圧1.0Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が0.02Cに減衰した時点とした。放電は、電流0.5C、終止電圧3.0Vの定電流放電とした。この充放電を15サイクル行った。なお、充電後及び放電後にそれぞれ10分の休止過程を設けた。
続いて、上記初期放電容量確認試験と同じ条件を採用して、1サイクルの充放電を行った。このときのセル(蓄電素子)の放電容量を負極に含有される負極活物質の質量で除して充放電サイクル試験後の放電容量(mAh/g)として記録した。上記初期放電容量に対する百分率を容量維持率(%)として表1に示す。
【0091】
(充電終止電圧における電位に対する放電容量)
負極の作動電位範囲の下限を変更した場合の挙動を調べるため、充電終止電圧における負極電位に対する放電容量について、以下の条件にて容量確認試験を行って求めた。
実施例3、及び実施例9に係る遷移金属複合酸化物を負極活物質として用い、上記の手順で蓄電素子用負極を作製した。25℃にて、上記の手順で3サイクルの初期放電容量確認試験を行った。
続いて、充電電圧を0.80Vに変更したことを除いては、上記初期放電容量確認試験と同じ条件で1サイクルの充放電を行い、セル(蓄電素子)の放電容量を負極に含有される負極活物質の質量で除した放電容量(mAh/g)を記録した。
続いて、充電電圧を0.60Vに変更したことを除いては、上記初期放電容量確認試験と同じ条件で1サイクルの充放電を行い、セル(蓄電素子)の放電容量を負極に含有される負極活物質の質量で除した放電容量(mAh/g)を記録した。
続いて、充電電圧を0.40Vに変更したことを除いては、上記初期放電容量確認試験と同じ条件で1サイクルの充放電を行い、セル(蓄電素子)の放電容量を負極に含有される負極活物質の質量で除した放電容量(mAh/g)を記録した。
続いて、充電電圧を0.35Vに変更したことを除いては、上記初期放電容量確認試験と同じ条件で1サイクルの充放電を行い、セル(蓄電素子)の放電容量を負極に含有される負極活物質の質量で除した放電容量(mAh/g)を記録した。
【0092】
負極活物質のBET比表面積及び真密度、並びに各実施例及び比較例の負極を作用極とした蓄電素子の体積あたりの放電容量及び充放電サイクル後の放電容量維持率を、以下の表3及び表4に示す。また、種々の充電終止電圧における負極電位に対する放電容量を表5に示す。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
表3に示されるように、正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物におけるタングステン及びニオブの合計モル数に対するタングステンのモル数X/(X+Y)が0.60以下となる割合でタングステンを含有する実施例1から実施例6は、比較例1から比較例3と比べて体積あたりの放電容量が高かった。
また、同様に、表4に示されるように、正方晶系の結晶構造を有する遷移金属複合酸化物におけるモリブデン及びニオブの合計モル数に対するモリブデンのモル数X/(X+Y)が0.60以下となる割合でモリブデンを含有する実施例7から実施例11は、比較例1から比較例3と比べて体積あたりの放電容量が高かった。
【0097】
また、上記遷移金属複合酸化物のBET比表面積が0.5m2/g以上であり、遷移金属複合酸化物におけるタングステン及びニオブの合計モル数に対するタングステンのモル数X/(X+Y)が0.20以下となる割合でタングステンを含有する実施例1から実施例4は、体積あたりの放電容量に加えて、充放電サイクルに伴う容量維持率が特に優れていた。
【0098】
さらに、
図3から
図5の実施例1、実施例7及び実施例11におけるエックス線回折(XRD)図に示されるように、BET比表面積が0.5m
2/g以上、かつ遷移金属複合酸化物におけるタングステン及びニオブの合計モル数に対するタングステンのモル数又はモリブデン及びニオブの合計モル数に対するモリブデンのモル数X/(X+Y)が0.20以下の実施例1及び実施例7は、充放電試験前と充放電サイクル試験後とでピークの位置の変化が見られなかった。一方、モリブデン及びニオブの合計モル数に対するモリブデンのモル数X/(X+Y)が0.60である実施例11は、充放電試験前と充放電サイクル試験後とでピークの位置が異なっていた。この結果から、BET比表面積が0.5m
2/g以上、かつ遷移金属複合酸化物におけるタングステン及びニオブの合計モル数に対するタングステンのモル数又はモリブデン及びニオブの合計モル数に対するモリブデンのモル数X/(X+Y)が0.20以下の場合、当該負極活物質の遷移金属複合酸化物の結晶構造が充放電サイクル後においてもより安定であることから、当該蓄電素子が充放電サイクル後においても放電容量維持率が特に優れると考えられる。
【0099】
また、表5の結果から、当該蓄電素子の負極が含む遷移金属複合酸化物は、充電終止電圧における負極電位が卑になるにつれて、放電容量が小さくなる傾向にあることがわかる。これは、充電終止電圧における負極電位が卑になるにつれて、遷移金属複合酸化物の結晶構造の変化が生じることが原因と考えられる。以上のことから、当該蓄電素子は、比較的貴な電位領域において良好な放電特性が得られることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される蓄電素子、及びこれに備わる電極、負極活物質などに適用できる。
また、本発明の一実施形態に係る負極活物質は、比較的貴な電位領域における体積あたりの放電容量を大きくすることができ、金属リチウムが電気化学的に析出する可能性のある卑な電位に至って使用する必要が無いことから、負極基材としてアルミニウムを用いることができる。従って、軽量で安価な蓄電素子を提供できる。
また、本発明の一実施形態に係る負極活物質は、固体電解質電池の負極に用い、かつ、バイポーラー電池の構成を採用した場合、負極基材としてのアルミニウムを正極基材と兼用できることから、簡略化した電池構造を備えた、高エネルギー密度の蓄電素子を提供できる。
【符号の説明】
【0101】
1 非水電解質二次電池
2 電極体
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置