(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】画像形成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240521BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G03G15/00 303
B41J29/393 107
(21)【出願番号】P 2019228652
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】石原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】茂木 佑真
(72)【発明者】
【氏名】梶 裕介
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-014149(JP,A)
【文献】特開2019-002981(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0250037(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 15/01
G03G 15/16
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する回転体を用い、予め定めた画像形成条件で記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記回転体の回転周期に応じた画像の濃度むらを調整する前記画像形成条件の補正量を、前記画像形成部が形成する画像の濃度に基づいて設定し、当該補正量を適用したテスト画像を当該画像形成部によって記録媒体に形成させる補正量設定部と
を備え、
前記補正量設定部は、前記濃度に基づいて、予め定めた差を有する複数の前記補正量を設定し、それぞれの当該補正量を適用した複数の前記テスト画像を記録媒体に形成させ、当該濃度が小さいほど、複数の当該補正量の差を小さく設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補正量設定部は、複数の前記補正量の少なくとも一つに、画像の濃度むらが生じない適正補正量よりも小さいことが明らかな補正量を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正量設定部は、複数の前記補正量の少なくとも一つを0に設定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補正量を適用した前記テスト画像に基づいて、画像の濃度むらが生じない適正補正量を決定する決定部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記補正量を適用した前記テスト画像に生じる濃度むらの位相、または当該テスト画像に生じる濃度むらの大きさに基づいて、前記適正補正量を決定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
コンピュータに、
回転する回転体を用いて画像を形成する画像形成部の
当該回転体の回転周期に応じた画像の濃度むらを調整する画像形成条件の補正量を、当該画像形成部が形成する画像の濃度に基づいて設定する機能と、
前記濃度に基づいて、予め定めた差を有する複数の補正量を設定し、それぞれの当該補正量を適用した複数のテスト画像を記録媒体に形成するように、前記画像形成部を制御する機能と
を実現させ、
前記濃度が小さいほど、複数の前記補正量の差を小さく設定するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、特許文献1には、パッチ画像のトナー濃度が所定の範囲から外れた場合にゲイン値を変更して現像DC電圧を補正することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現像ロール等の回転体を用いて画像を形成する画像形成装置等では、回転体の回転周期に応じた画像の濃度むらを解消するために、画像形成条件の補正を行う場合がある。例えば、このような画像形成装置等では、予め定めた補正量を適用したテスト画像を記録媒体に形成し、このテスト画像に基づいて画像に生じる濃度むらが小さくなる適正補正量を設定する。
本発明は、テスト画像に基づいて回転体の回転周期に応じた画像の濃度むらを解消する画像形成条件の補正を行う場合に、テスト画像に適用する補正量を画像の濃度によらずに一定とする場合と比べて、適正補正量を効率的に設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、回転する回転体を用い、予め定めた画像形成条件で記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記回転体の回転周期に応じた画像の濃度むらを調整する前記画像形成条件の補正量を、前記画像形成部が形成する画像の濃度に基づいて設定し、当該補正量を適用したテスト画像を当該画像形成部によって記録媒体に形成させる補正量設定部とを備え、前記補正量設定部は、前記濃度に基づいて、予め定めた差を有する複数の前記補正量を設定し、それぞれの当該補正量を適用した複数の前記テスト画像を記録媒体に形成させ、当該濃度が小さいほど、複数の当該補正量の差を小さく設定することを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記補正量設定部は、複数の前記補正量の少なくとも一つに、画像の濃度むらが生じない適正補正量よりも小さいことが明らかな補正量を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記補正量設定部は、複数の前記補正量の少なくとも一つを0に設定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記補正量を適用した前記テスト画像に基づいて、画像の濃度むらが生じない適正補正量を決定する決定部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記決定部は、前記補正量を適用した前記テスト画像に生じる濃度むらの位相、または当該テスト画像に生じる濃度むらの大きさに基づいて、前記適正補正量を決定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、コンピュータに、回転する回転体を用いて画像を形成する画像形成部の当該回転体の回転周期に応じた画像の濃度むらを調整する画像形成条件の補正量を、当該画像形成部が形成する画像の濃度に基づいて設定する機能と、前記濃度に基づいて、予め定めた差を有する複数の補正量を設定し、それぞれの当該補正量を適用した複数のテスト画像を記録媒体に形成するように、前記画像形成部を制御する機能とを実現させ、前記濃度が小さいほど、複数の前記補正量の差を小さく設定するプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、テスト画像に基づいて回転体の回転周期に応じた画像の濃度むらを解消する画像形成条件の補正を行う場合に、テスト画像に適用する補正量を画像の濃度によらずに一定とする場合と比べて、適正補正量を効率的に設定できるようになる。
請求項2の発明によれば、複数の補正量の一つに適正補正量よりも小さいことが明らかな補正量を設定しない場合と比べて、複数の補正量の範囲から適正補正量が外れることが抑制される。
請求項3の発明によれば、複数の補正量の一つを0に設定しない場合と比べて、複数の補正量の範囲から適正補正量が外れることが抑制される。
請求項4~6の発明によれば、テスト画像に基づいて回転体の回転周期に応じた画像の濃度むらを解消する画像形成条件の補正を行う場合に、テスト画像に適用する補正量を画像の濃度によらずに一定とする場合と比べて、適正な補正量を効率的に設定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態が適用される画像形成装置を示す概略構成図である。
【
図2】画像形成条件の補正量の大きさと、テスト画像に表れる回転体の回転周期に応じた濃度むらとの関係を示した模式図である。
【
図3】テスト画像に適用する画像形成条件の補正量と、テスト画像に生じる濃度差との関係の一例を示した図である。
【
図4】本実施の形態が適用される制御装置の機能構成を説明するブロック図である。
【
図5】本実施の形態の制御装置により行われる処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置100は、所謂タンデム型のカラープリンタである。この画像形成装置100は、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成部10と、画像形成装置100全体の動作を制御する制御装置20と、原稿の画像を読み取る画像読取装置30と、画像形成部10に用紙Sを供給する用紙供給部40とを備えている。
【0009】
ここで、画像形成装置100の各構成部材は、筐体50の内部に収容されている。また、画像読取装置30の下方であって筐体50の上部の面には、画像形成部10によって画像が形成された用紙Sが積載される積載部60が設けられている。さらに、画像読取装置30の上方には、画像形成装置100に対するユーザによる操作を受け付ける操作部70が設けられている。
【0010】
画像形成部10には、一定の間隔をおいて並列的に配置される4つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kが備えられている。画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、所謂電子写真方式によってトナー像を形成する。ここで、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、後述する現像器16に収容されるトナーを除いて、同様に構成されている。そして、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。このようなことから、以下の説明においては、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各構成については、互いを区別する必要がないときには、「Y」、「M」、「C」、「K」の符号を省略する。
【0011】
また、画像形成部10は、各画像形成ユニット1の感光体ドラム12上に形成された各色トナー像が転写される記録媒体の一例としての中間転写ベルト13を備えている。また、画像形成部10は、各画像形成ユニット1にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト13に順次転写(一次転写)する一次転写ロール17を備えている。さらに、画像形成部10は、中間転写ベルト13上に重畳して形成された各色トナー像を用紙Sに一括転写(二次転写)する二次転写ロール19と、二次転写された各色トナー像を用紙Sに定着させる定着装置21と、用紙Sを排出する排出ロール23とを備えている。さらにまた、画像形成部10は、中間転写ベルト13に形成された各色トナー像を検知する検知部25を備えている。
【0012】
検知部25は、中間転写ベルト13に形成されたトナー像の濃度に関する信号を検知し、検知した信号を制御装置20の後述する適正補正量決定部207(
図4参照)へ出力する。検知部25は、例えば中間転写ベルト13に形成されたトナー像に光を照射し、トナー像からの反射光を受光する光電センサにより構成される。
【0013】
それぞれの画像形成ユニット1は、トナー像を保持する感光体ドラム12と、感光体ドラム12を帯電する帯電装置14と、帯電した感光体ドラム12の表面を露光して静電潜像を形成する露光器15と、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像しトナー像を形成する現像器16とを備えている。
【0014】
現像器16は、感光体ドラム12に対向して回転可能に配置される現像ロール16aを備えている。また、現像器16の内部には、対応する色のトナー(イエローの画像形成ユニット1Yではイエローのトナー)を含む現像剤を収容している。現像ロール16aは磁石を内蔵しており、トナーを含む現像剤を磁力によって現像ロール16aの表面に保持する。そして、現像器16では、不図示の現像電源により現像ロール16aに予め定めた現像バイアスを印加し、現像ロール16aの表面から中間転写ベルト13上に形成された静電潜像の画像部にトナーを転移させる。
【0015】
画像形成装置100は、制御装置20による制御の下で、一連の画像形成処理を実行する。すなわち、PC(不図示)や画像読取装置30から取得した画像データは、画像処理部(不図示)によって画像処理が施され、各色の画像データとなって各画像形成ユニット1の露光器15に送られる。そして、露光器15による露光および現像器16による現像が行われることで、感光体ドラム12上にトナー像が形成される。
【0016】
各画像形成ユニット1の感光体ドラム12上に形成された各色トナー像は、一次転写ロール17により中間転写ベルト13上に順次、一次転写され、中間転写ベルト13上に各色トナーが重畳された重畳トナー像を形成する。そして、この重畳トナー像は、中間転写ベルト13の移動に伴って二次転写ロール19に向けて搬送される。
【0017】
一方、用紙供給部40から供給される用紙Sが、中間転写ベルト13上の重畳トナー像の搬送タイミングに合わせて、二次転写ロール19に搬送される。そして、二次転写ロール19によって、中間転写ベルト13上の重畳トナー像が用紙S上に二次転写される。用紙Sに転写された重畳トナー像は、定着装置21にて用紙Sに定着された後、排出ロール23によって積載部60へと排出される。
【0018】
ところで、画像形成装置100は、それぞれの画像形成ユニット1が、感光体ドラム12や現像器16の現像ロール16a等のように、回転する回転体を有している。そして、画像形成装置100において用紙S上に形成される画像には、この回転体の偏心や回転体の外周面の凹凸等により、回転体の回転周期に応じた濃度むらが生じる場合がある。ここで、回転体の回転周期に応じた濃度むらとは、用紙Sに均一な画像濃度で画像を形成した場合に、用紙Sの副走査方向に生じる画像の濃度のばらつきである。
【0019】
画像形成装置100では、このような回転体の回転周期に応じた濃度むらを低減するために、画像形成条件の補正を行う。詳細ついては後述するが、画像形成装置100では、画像形成条件に対し予め定めた補正を行って中間転写ベルト13にテスト画像を形成し、このテスト画像に基づいて適正な補正量を決定する。付言すると、画像形成装置100では、画像形成条件の補正量が異なる複数のテスト画像を中間転写ベルト13に形成する。そして、形成された補正量が異なる複数のテスト画像を検知部25で検知し、検知結果に基づいて適正な補正量を決定する。
テスト画像としては、回転体の回転周期に応じた濃度むらを確認できるものであれば特に限定されないが、例えば、副走査方向に回転体の回転周期以上の長さを有する矩形状または帯形状の画像が挙げられる。
【0020】
図2は、画像形成条件の補正量の大きさと、テスト画像に表れる回転体の回転周期に応じた濃度むらとの関係を示した模式図である。
図2に示すように、テスト画像には、回転体の回転周期に応じて、濃度が高い部分(色が濃い部分)と、濃度が低い部分(色が薄い部分)とが副走査方向に交互に表れる。この濃度の高い部分と濃度の低い部分との濃度差が、画像に生じる回転体の回転周期に応じた濃度むらに対応する。そして、濃度の高い部分と濃度の低い部分との濃度差が小さいほど、画像形成条件の補正量が適正であるといえる。以下の説明では、テスト画像に生じる濃度差が最も小さい画像形成条件の補正量を、適正補正量と表記する場合がある。
【0021】
図2に示すように、画像形成条件の補正量が適正補正量よりも小さい場合(言い換えると、適正補正量に対し補正量が不足する場合)と、画像形成条件の補正量が適正補正量よりも大きい場合(言い換えると、適正補正量に対し補正量が過剰である場合)とでは、回転体の回転周期に応じてテスト画像に表れる濃度が高い部分と濃度が低い部分との位相が逆となる。本実施の形態の制御装置20は、このようなテスト画像における濃度が高い部分と濃度が低い部分との位相の関係、および濃度が高い部分と濃度が低い部分との濃度差に基づいて、適正補正量を決定する。なお、以下の説明において、テスト画像に生じる回転体の回転周期に応じて表れる濃度が高い部分と濃度が低い部分との位相を、濃度むらの位相と表記する場合がある。
【0022】
ここで、画像形成条件の補正量が異なる複数のテスト画像に基づいて適正補正量を決定する場合、テスト画像に適用する画像形成条件の補正量と適正補正量とが近いことが好ましい。すなわち、テスト画像に適用する補正量として適正補正量に近い値を設定することができれば、適正補正量を決定する処理を効率的に行うことができる。一方、テスト画像に適用する補正量の範囲から適正補正量が外れたり、テスト画像に適用する補正量と適正補正量との差が大きくなったりする場合、適正補正量を決定するために、複数のテスト画像を形成し検知する処理を繰り返し行う必要が生じ、適正補正量を決定する処理が煩雑になる場合がある。
【0023】
ところで、テスト画像に適用する画像形成条件の補正量と、テスト画像に生じる濃度差との関係は、テスト画像を形成する際のトナー濃度(以下、単にテスト画像のトナー濃度と表記する。)によって異なる傾向がある。
図3は、テスト画像に適用する画像形成条件の補正量と、テスト画像に生じる濃度差との関係の一例を示した図である。
図3では、テスト画像のトナー濃度を濃度Aとした場合と、テスト画像のトナー濃度を濃度Aよりも大きい濃度Bとした場合の関係を示している。
【0024】
図3に示すように、テスト画像のトナー濃度が濃度Aである場合には、テスト画像のトナー濃度が濃度Aより大きい濃度Bである場合と比べて、補正量の大きさの変化に対するテスト画像に生じる濃度差の変化が急峻であり、画像形成条件の適正補正量が小さい。付言すると、画像形成装置100では、中間転写ベルト13に形成する画像のトナー濃度が小さいほど、画像形成条件の適正補正量が小さくなる傾向がある。
【0025】
ここで、画像形成装置100において、テスト画像のトナー濃度によらずにテスト画像に適用する補正量を一律に設定した場合、テスト画像のトナー濃度やテスト画像に適正する補正量の大きさによっては、テスト画像に適用する補正量の範囲から適正補正量が外れたり、テスト画像に適用する補正量と適正補正量との差が大きくなったりする場合がある。この場合、上述したように、適正補正量を決定する処理が煩雑になる場合がある。
これに対し、本実施の形態の画像形成装置100では、テスト画像のトナー濃度に応じてテスト画像に適用する補正量を設定する。これにより、適正補正量を決定する処理を効率化している。
【0026】
図4は、本実施の形態が適用される制御装置20の機能構成を説明するブロック図である。続いて、
図4および上述した
図3を用いて、本実施の形態の制御装置20について説明する。
図4に示すように、本実施の形態が適用される制御装置20は、テスト画像のトナー濃度を設定する画像濃度設定部201を備えている。また、制御装置20は、画像形成部10による画像形成条件の補正量を設定する補正部203と、画像形成部10を制御し、画像濃度設定部201により設定されたトナー濃度、および補正部203により設定された画像形成条件の補正量を適用して、用紙Sに補正量が異なる複数のテスト画像を形成する画像制御部205とを備えている。さらに、制御装置20は、検知部25によるテスト画像の検知結果に基づいて、適正補正量を決定する適正補正量決定部207を備えている。
ここでは、補正部203が4つの補正量を設定し、画像制御部205が、それぞれの補正量を適用した4つのテスト画像を形成する場合を例に挙げて説明する。
【0027】
画像濃度設定部201は、例えばユーザによる操作等に基づいて、テスト画像のトナー濃度を設定する。具体的には、画像濃度設定部201は、ユーザによる操作部70に対する操作等を介して、テスト画像のトナー濃度を設定する。この例では、画像濃度設定部201は、濃度Aおよび濃度Aよりも大きい濃度Bの中から選択を受け付けて、濃度Aまたは濃度Bをテスト画像のトナー濃度として設定する。
【0028】
補正部203は、中間転写ベルト13に複数のテスト画像を形成する場合に、それぞれのテスト画像に適用する複数の補正量を設定する。補正部203は、画像濃度設定部201により設定されたテスト画像のトナー濃度に基づいて、それぞれのテスト画像に適用する複数の補正量を設定する。
例えば、補正部203は、テスト画像に適用するトナー濃度と、テスト画像に適用する複数の補正量との関係に関する情報を予め記憶し、この情報に基づいてテスト画像に適用する複数の補正量を決定する。
【0029】
この例では、補正部203は、画像濃度設定部201によりテスト画像のトナー濃度として濃度Aが設定された場合、テスト画像に適用する複数の補正量として、第1補正量a1、第2補正量a2、第3補正量a3および第4補正量a4(a1<a2<a3<a4)を設定する。また、補正部203は、画像濃度設定部201によりテスト画像のトナー濃度として濃度Bが設定された場合、テスト画像に適用する複数の補正量として、第1補正量b1、第2補正量b2、第3補正量b3および第4補正量b4(b1<b2<b3<b4)を設定する。
また、第1補正量a1、第2補正量a2、第3補正量a3および第4補正量a4は、等間隔に設定される。同様に、第1補正量b1、第2補正量b2、第3補正量b3および第4補正量b4は、等間隔に設定される。
【0030】
本実施の形態では、補正部203は、画像濃度設定部201により設定されるテスト画像のトナー濃度が小さいほど補正量同士の間隔が小さくなるように、テスト画像に適用する複数の補正量を設定する。
この例では、補正部203は、テスト画像のトナー濃度として濃度Aが設定された場合には、
図3に示すように、第1補正量a1~第4補正量a4の間隔が、テスト画像のトナー濃度として濃度Bが設定された場合に設定する第1補正量b1~第4補正量b4の間隔と比較して小さくなるように、第1補正量a1~第4補正量a4を設定する。
また、補正部203は、テスト画像のトナー濃度として濃度Bが設定された場合には、
図3に示すように、第1補正量b1~第4補正量b4の間隔が、テスト画像のトナー濃度として濃度Aが設定された場合に設定する第1補正量a1~第4補正量a4の間隔と比較して小さくなるように、第1補正量b1~第4補正量b4を設定する。
【0031】
補正部203は、テスト画像に適用する補正量のうち最も小さい補正量(この例では、第1補正量a1または第1補正量b1)が、適正補正量よりも小さいことが明らかとなるように、補正量を設定することが好ましい。テスト画像に適用する補正量のうち最も小さい補正量を適正補正量よりも小さく設定することで、補正部203により設定される複数の補正量(第1補正量a1~第4補正量a4、または第1補正量b1~第4補正量b4)の範囲から適正補正量が外れることが抑制される。
本実施の形態では、補正部203は、第1補正量a1、b1が適正補正量よりも小さいことが明らかであるように、第1補正量a1、b1の大きさを0(補正なし)と設定している。
【0032】
画像制御部205は、画像形成部10を制御し、画像濃度設定部201にて設定されたトナー濃度、および補正部203が設定した補正量を適用し、予め定めた色のトナーを用いて、複数のテスト画像を中間転写ベルト13に形成する。画像制御部205は、例えば、中間転写ベルト13に対して、複数のテスト画像を副走査方向に並べて形成する。
【0033】
適正補正量決定部207は、中間転写ベルト13に形成された複数のテスト画像の検知部25による検知結果に基づいて、適正補正量を決定する。具体的には、適正補正量決定部207は、検知部25が検知したそれぞれのテスト画像の信号を取得する。次いで、適正補正量決定部207は、取得した信号に基づいて、それぞれのテスト画像における濃度むらの位相、およびそれぞれのテスト画像における濃度むらの大きさ(濃度が高い部分と濃度が低い部分との濃度差)を検出する。そして、適正補正量決定部207は、検出結果に基づいて、適正補正量を決定する。
【0034】
例えば、
図3においてテスト画像のトナー濃度として濃度Aが設定されている場合には、第1補正量a1および第2補正量a2が適用されたテスト画像の濃度むらの位相は互いに等しい。また、第3補正量a3および第4補正量a4が適用されたテスト画像の濃度むらの位相は、第1補正量a1および第2補正量a2が適用されたテスト画像の濃度むらの位相とは逆である。このことから、適正補正量は、第2補正量a2と第3補正量a3との間にあることが推測される。
また、第2補正量a2と第3補正量a3とでは、第3補正量a3のほうが濃度むらの大きさが小さい。したがって、適正補正量は、第3補正量a3に近い値であることが推測される。
【0035】
適正補正量決定部207は、例えば、第2補正量a2および第3補正量a3の濃度むらの大きさに基づいて、適正補正量を決定する。または、適正補正量決定部207は、補正部203により第2補正量a2と第3補正量a3との間に新たな複数の補正量(第1補正量a1´~第4補正量a4´)を設定させ、新たに設定された補正量を用いて画像制御部205によりテスト画像を形成させてもよい。
【0036】
続いて、本実施の形態の制御装置20により行われる画像形成条件の適正補正量を決定する処理の手順について説明する。
図5は、本実施の形態の制御装置20により行われる処理の手順の一例を示したフローチャートである。
画像形成装置100において、複数のテスト画像を形成して画像形成条件の適正補正量を決定する場合、制御装置20は、画像濃度設定部201が、テスト画像に適用するトナー濃度を設定する(S101)。
【0037】
次いで、制御装置20は、補正部203が、ステップ101において画像濃度設定部201により設定されたテスト画像のトナー濃度に基づいて、テスト画像に適用する複数の補正量を設定する(S102)。ここでは、補正部203は、上述したように、テスト画像のトナー濃度が小さいほど補正量同士の間隔が小さくなるように、テスト画像に適用する複数の補正量を設定する。
【0038】
次いで、制御装置20は、画像制御部205が、画像形成部10を制御して、中間転写ベルト13に複数のテスト画像を形成する(S103)。
画像形成部10では、中間転写ベルト13に形成された複数のテスト画像が、検知部25によって検知される。そして、検知部25が検知したそれぞれのテスト画像の信号が制御装置20の適正補正量決定部207へ出力される。
【0039】
次いで、制御装置20は、適正補正量決定部207が、検知部25から出力された信号に基づいて、それぞれのテスト画像における濃度むらの位相、およびそれぞれのテスト画像における濃度むらの大きさ(濃度が高い部分と濃度が低い部分との濃度差)を検出する(ステップ104)。
次いで、適正補正量決定部207は、検出したそれぞれのテスト画像における濃度むらの位相、およびそれぞれのテスト画像における濃度むらの大きさに基づいて、適正補正量を決定し(ステップ105)、一連の処理を終了する。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置では、テスト画像を形成する際に適用するトナー濃度の大きさに応じて、テスト画像に適用する画像形成条件の補正量を設定している。これにより、テスト画像に適用する補正量をトナー濃度によらずに一定とする場合と比べて、適正補正量を効率的に決定することができる。
【0041】
なお、本実施の形態の画像形成装置100では、補正部203が画像形成条件の補正量を複数設定し、画像制御部205により補正量が異なる複数のテスト画像を形成する構成としたが、これに限られるものではない。補正部203が、テスト画像を形成する際に適用するトナー濃度の大きさに応じて、テスト画像に適用する画像形成条件の補正量を1つ設定するものとしてもよい。上述したようにテスト画像のトナー濃度が小さいほど適正補正量が小さい傾向があるため、補正部203は、例えば、テスト画像のトナー濃度が小さいほどテスト画像に適用する画像形成条件の補正量を小さく設定する。
【0042】
また、複数の補正量を設定する場合、補正部203は、上述した例では、テスト画像のトナー濃度が小さいほど補正量同士の間隔が小さくなるように複数の補正量を設定したが、これに限られるものではない。例えば、補正部203は、テスト画像に適用するトナー濃度に応じて、設定する補正量の数を異ならせてもよい。例えば、補正部203は、テスト画像のトナー濃度が小さいほど設定する補正量の数を少なくすることができる。言い換えると、補正部203は、テスト画像のトナー濃度が大きいほど設定する補正量の数を多くすることができる。上述したように、テスト画像のトナー濃度が大きいほど適正補正量が大きい傾向があるため、設定する補正量の数を多くすることで、テスト画像に適用する補正量の範囲から適正補正量が外れることが抑制される。
【0043】
さらに、本実施の形態の画像形成装置100では、中間転写ベルト13に形成されたテスト画像の検知結果に基づいて適正補正量を決定したが、これに限られるものではない。例えば、テスト画像を記録媒体の他の一例としての用紙Sに形成してもよい。この場合、二次転写ロール19により用紙Sにトナー像が転写される転写位置と、用紙Sが排出され積載される積載部60との間に、テスト画像を検知する検知部を設ければよい。
【0044】
その他、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。上述した実施の形態は、本発明の趣旨に反しない限りにおいては、様々な変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0045】
1…画像形成ユニット、10…画像形成部、12…感光体ドラム、13…中間転写ベルト、14…帯電装置、15…露光器、16…現像器、16a…現像ロール、20…制御装置、25…検知部、100…画像形成装置、201…画像濃度設定部、203…補正部、205…画像制御部、207…適正補正量決定部