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特許7490967表示制御プログラム、表示制御方法、及び表示制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】表示制御プログラム、表示制御方法、及び表示制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04883 20220101AFI20240521BHJP
   G06F 3/04845 20220101ALI20240521BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240521BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240521BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20240521BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G06F3/04883
G06F3/04845
G06F3/041 595
G09G5/00 510H
G09G5/38
G09G5/36
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020011006
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021117766
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 健次
(72)【発明者】
【氏名】秋山 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】宇山 政志
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-176120(JP,A)
【文献】特開2014-142707(JP,A)
【文献】特開2008-071280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04883
G06F 3/04845
G06F 3/041
G09G 5/00
G09G 5/38
G09G 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面内の一部の領域である描画領域に対するユーザからの操作位置指示を受け付け、
処理モードが前記描画領域内に前記操作位置指示に応じた描写を行う描画モードである場合に、前記描画領域内で開始された前記操作位置指示が、継続されたまま、前記描画領域を形成する辺を基準とする所定の領域に移動したことに応じて、前記表示画面内における前記描画領域の表示位置を変更する移動モードに前記処理モードを変更する
処理をコンピュータに実行させるための表示制御プログラムであって、
前記変更する処理は、
前記処理モードが前記移動モードに変更されたことに応じて、前記操作位置指示の移動に伴って実行された描画を取り消す
ことを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項2】
前記所定の領域は、前記描画領域の外側の領域である、請求項1に記載の表示制御プログラム。
【請求項3】
前記所定の領域は、前記描画領域の内側の領域であって、前記辺から所定の距離内に規定された領域である、請求項1に記載の表示制御プログラム。
【請求項4】
前記変更する処理は、
前記操作位置指示が前記描画領域を外れた位置から前記操作位置指示が終了された位置までの距離に関する条件、
前記操作位置指示が前記描画領域を外れた位置から前記操作位置指示が終了された位置までの前記操作位置指示の移動の軌跡の長さに関する条件、
前記操作位置指示が前記描画領域を外れた位置から前記操作位置指示が終了された位置まで前記操作位置指示が移動するのに要した時間に関する条件、
前記操作位置指示が前記描画領域を外れた位置から前記操作位置指示が終了された位置までの距離と、前記操作位置指示が開始された位置から前記操作位置指示が前記描画領域を外れた位置までの距離との比の値に関する条件、
前記操作位置指示が前記描画領域を外れた位置から前記操作位置指示が終了された位置までの前記操作位置指示の移動の軌跡の長さと、前記操作位置指示が開始された位置から前記操作位置指示が前記描画領域を外れた位置までの前記操作位置指示の移動の軌跡の長さとの比の値に関する条件、
及び、前記操作位置指示が前記描画領域を外れた位置から前記操作位置指示が終了された位置まで前記操作位置指示が移動するのに要した時間と、前記操作位置指示が開始された位置から前記操作位置指示が前記描画領域を外れた位置まで前記操作位置指示が移動するのに要した時間との比の値に関する条件の少なくとも一つが満たされたことに応じて、前記操作位置指示の位置が前記所定の領域に移動したと判定し、前記処理モードを前記移動モードに変更する、
請求項1からのいずれか一項に記載の表示制御プログラム。
【請求項5】
前記描画領域の表示位置が第1の表示位置にある場合に前記処理モードが前記移動モードに変更され、前記描画領域の表示位置が前記第1の表示位置から第2の表示位置に変更され、前記操作位置指示が継続したまま、前記操作位置指示で指定される位置が、前記第1の表示位置から所定の範囲内に移動した場合、前記描画領域の表示位置を前記第2の表示位置から前記第1の表示位置に戻す、
請求項1からのいずれか一項に記載の表示制御プログラム。
【請求項6】
前記変更する処理は、
前記移動モードでは、前記操作位置指示で指定される位置に基づいて前記描画領域の表
示位置を決定する、
請求項1からのいずれか一項に記載の表示制御プログラム。
【請求項7】
表示画面内の一部の領域である描画領域に対するユーザからの操作位置指示を受け付け、
処理モードが前記描画領域内に前記操作位置指示に応じた描写を行う描画モードである場合に、前記描画領域内で開始された前記操作位置指示が、継続されたまま、前記描画領域を形成する辺を基準とする所定の領域に移動したことに応じて、前記表示画面内における前記描画領域の表示位置を変更する移動モードに前記処理モードを変更する
処理をコンピュータが実行する表示制御方法であって、
前記変更する処理は、
前記処理モードが前記移動モードに変更されたことに応じて、前記操作位置指示の移動に伴って実行された描画を取り消す
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項8】
表示画面内の一部の領域である描画領域に対するユーザからの操作位置指示を受け付ける受付部と、
処理モードが前記描画領域内に前記操作位置指示に応じた描写を行う描画モードである場合に、前記描画領域内で開始された前記操作位置指示が、継続されたまま、前記描画領域を形成する辺を基準とする所定の領域に移動したことに応じて、前記表示画面内における前記描画領域の表示位置を変更する移動モードに前記処理モードを変更する変更部とを有し、
前記変更部は、
前記処理モードが前記移動モードに変更されたことに応じて、前記操作位置指示の移動に伴って実行された描画を取り消す
ことを特徴とする表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御プログラム、表示制御方法、及び表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、仮想的な付箋等の表示オブジェクトに、ユーザがペン型のデバイス等を用いたユーザ操作により文字等を描画したり、また、当該表示オブジェクトの位置を移動させたりすることができるようにする技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
表示オブジェクトは、システムのモード設定が移動モードに設定されている場合はドラッグ等の操作に応答して移動され、当該モード設定が描画モード(編集モード、入力モード)に設定されている場合はドラッグ等の操作に応答して描画される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-198798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、例えば、ユーザが描画モードの表示オブジェクトを移動させる場合、当該表示オブジェクトに設定されているモード設定を移動モードに切り替えるための操作を行ってからドラッグ等の操作を行うという煩雑な操作が必要とされる。
【0006】
一側面では、ユーザが、描画モードと移動モードの切り替えを明示的に行うことなく、表示オブジェクトに対する描画と当該表示オブジェクトの移動との双方を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの案では、表示画面内の一部の領域である描画領域に対するユーザからの操作位置指示を受け付け、処理モードが前記描画領域内に前記操作位置指示に応じた描写を行う描画モードである場合に、前記描画領域内で開始された前記操作位置指示が、継続されたまま、前記描画領域を形成する辺を基準とする所定の領域に移動したことに応じて、前記表示画面内における前記描画領域の表示位置を変更する移動モードに前記処理モードを変更する処理をコンピュータに実行させるための表示制御プログラムであって、前記変更する処理は、前記処理モードが前記移動モードに変更されたことに応じて、前記操作位置指示の移動に伴って実行された描画を取り消すことを特徴とする表示制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
一側面によれば、ユーザが、描画モードと移動モードの切り替えを明示的に行うことなく、表示オブジェクトに対する描画と当該表示オブジェクトの移動との双方を行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る情報処理装置において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図4A】実施形態に係る情報処理装置において実行される処理について説明する図である。
図4B】実施形態に係る情報処理装置において実行される処理について説明する図である。
図4C】実施形態に係る情報処理装置において実行される処理について説明する図である。
図4D】実施形態に係る情報処理装置において実行される処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
<ハードウェア構成>
図1は、実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。情報処理装置10は、例えば、タブレット(スレートPC)、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、及びサーバ等のコンピュータである。情報処理装置10がサーバである場合、情報処理装置10は、例えば、インターネット、5G等のキャリア網、無線LAN(Local Area Network)、及びLAN等の通信網を介して、表示装置106、及び入力装置107等を有する端末と接続されてもよい。
【0012】
図1の情報処理装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、インタフェース装置105、表示装置106、及び入力装置107等を有する。
【0013】
情報処理装置10での処理を実現するプログラム(描画プログラム)は、記録媒体101によって提供される。プログラムを記録した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0014】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って情報処理装置10に係る機能を実現する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0015】
表示装置106はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示するディスプレイである。表示装置106は、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ、及びプロジェクタ等でもよい。
【0016】
入力装置107は様々な操作指示の入力を受け付ける。入力装置107は、例えば、ユーザに指定された位置(画面上の座標)の入力を受け付けるポインティングデバイスを含む。この場合、入力装置107は、例えば、ユーザの指またはスタイラスペン等が触れた位置を検知する静電容量方式等のタッチパネル、及びタッチパッドでもよい。または、入力装置107は、例えば、マウス、及びトラックボール等でもよい。また、入力装置107は、例えば、ペンの形状をしたデバイスが、プロジェクタにより表示画面が投影された壁面等に接触された場合に赤外線等を発光し、赤外線センサ等で接触された位置を検出する入力システムでもよい。
【0017】
なお、記録媒体101の一例としては、CD-ROM、DVDディスク、又はUSBメモリ等の可搬型の記録媒体が挙げられる。また、補助記憶装置102の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)又はフラッシュメモリ等が挙げられる。記録媒体101及び補助記憶装置102のいずれについても、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に相当する。
【0018】
<機能構成>
次に、図2を参照し、実施形態に係る情報処理装置10の機能構成について説明する。図2は、実施形態に係る情報処理装置10の機能構成の一例を示す図である。
【0019】
情報処理装置10は、受付部11、描画部12、変更部13、及び制御部14を有する。これら各部の機能は、情報処理装置10にインストールされた1以上のプログラムと、情報処理装置10のCPU104等との協働により実現されてもよい。
【0020】
受付部11は、各種の情報の入力をユーザから受け付ける。受付部11は、例えば、表示オブジェクトに対する操作位置指示(例えば、手書き入力操作)をユーザから受け付ける。
【0021】
描画部12は、受付部11により受け付けられた表示オブジェクトに対するユーザの操作位置指示に応答して、表示オブジェクトへの描画を行う。
【0022】
変更部13は、受付部11により受け付けられた表示オブジェクトに対するユーザの移動操作に応答して、表示オブジェクトの表示位置を変更させる。また、変更部13は、処理モードが描画モードである場合に、描画領域内で開始された操作位置指示が、継続されたまま、描画領域を形成する辺を基準とする所定の領域に移動したことに応じて、描画領域を移動する移動モードに処理モードを変更する。なお、変更部13は、継続されていた操作位置指示が終了した際に、処理モードが描画モードに戻してもよい。
【0023】
当該所定の領域は、例えば、当該描画領域の外側の領域でもよい。また、当該所定の領域は、当該描画領域の内側の領域であって、当該辺から所定の距離内に規定された領域でもよい。制御部14は、情報処理装置10の各種の処理を実行する。
【0024】
<処理>
次に、図3から図4Dを参照し、実施形態に係る情報処理装置10において実行される処理の一例について説明する。図3は、実施形態に係る情報処理装置10において実行される処理の一例を示すフローチャートである。図4Aから図4Dは、実施形態に係る情報処理装置10において実行される処理について説明する図である。
【0025】
ステップS1において、受付部11は、表示オブジェクトへの操作位置指示をユーザから受け付ける。ここで、受付部11は、例えば、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイスにより、表示画面上の表示オブジェクトへの操作位置指示をユーザから受け付ける。
【0026】
続いて、描画部12は、ユーザの操作位置指示に応答して、表示オブジェクトへの描画を行う(ステップS2)。ここで、描画部12は、例えば、表示オブジェクトにおける操作位置指示を受け付けた位置の画素の色を、ユーザにより予め指定されている所定の色で表示させてもよい。これにより、例えば、付箋、キャンバス、及びウインドウ等の表示オブジェクト上を指またはペンでユーザになぞられると、なぞられた軌跡が所定の色で表示されるため、ユーザは文字や図形等を手書きで入力することができる。
【0027】
続いて、変更部13は、操作位置指示が継続されたまま、ユーザによる操作位置指示の位置(操作位置指示で指定される位置)が、表示オブジェクトの領域内から表示オブジェクトの領域外に移動したことを検出する(ステップS3)。ここで、変更部13は、受付部11がタッチパネルにより操作位置指示を受け付ける場合、例えば、ユーザの指、またはペン等による画面への接触を継続したまま(なぞりながら)接触位置が表示オブジェクト内から表示オブジェクト外へ移動されたことを検出してもよい。
【0028】
また、変更部13は、受付部11がマウスにより操作位置指示を受け付ける場合、例えば、左クリック等を継続したままカーソルの位置が表示オブジェクト内から表示オブジェクト外へ移動されたことを検出してもよい。
【0029】
続いて、変更部13は、当該操作位置指示による表示オブジェクトへの描画を取り消す(ステップS4)。ここで、変更部13は、指等が画面に接触されてから、接触が継続されたまま(画面をなぞられながら)接触位置が移動され、指等が画面から離されるまでの操作(以下で、「一連の操作位置指示」と称する。)において、指等の接触位置が表示オブジェクト内から表示オブジェクト外に移動した場合、当該一連の操作位置指示による描画を取り消す。接触位置が表示オブジェクト外に移動したということは、ユーザの継続された操作位置指示が描画を目的としたものではなく、表示オブジェクトの移動を目的としたものであるとみなすことができる。このとき、それまでに描画された軌跡はユーザにとって不要であるため、このタイミングで、もしくは操作位置指示が終了した(指等がタッチパネルから離れたり、マウスの左クリックが終了した)タイミングで取り消すものとする。また、これにより、例えば、表示オブジェクト内の領域に描画を行うことができる描画モードに表示オブジェクトが設定されている際に、移動モードに設定されていると誤認したユーザによる移動操作に応じた描画を取り消すこともできる。
【0030】
この場合、変更部13は、例えば、一連の操作位置指示が開始された際の表示オブジェクトに表示されている情報を画像等として記録しておいてもよい。そして、当該一連の操作位置指示による描画を取り消す場合、変更部13は、表示オブジェクトの領域内に、一連の操作位置指示が開始された際に記録しておいた画像等を表示させることにより、当該一連の操作位置指示が行われる前の表示内容に戻してもよい。
【0031】
または、描画部12は、表示オブジェクト上に重畳される透明なオブジェクト上で、一連の操作位置指示による描画を行い、当該一連の操作位置指示が完了した場合に、当該透明なオブジェクト上の描画を、表示オブジェクト上に合成することにより描画をするようにしてもよい。そして、変更部13は、当該一連の操作位置指示による描画を取り消す場合、当該透明なオブジェクト上の描画を表示オブジェクト上に合成させずに、当該透明なオブジェクトを消去するようにしてもよい。
【0032】
続いて、変更部13は、表示オブジェクトの表示位置を変更(移動)させ(ステップS5)、処理を終了する。
【0033】
図4Aの例では、制御部14は、表示画面401において、第2表示オブジェクト402と、第1表示オブジェクト403を表示させている。図4Aの例では、第2表示オブジェクト402は、所定の移動操作により表示位置を移動させることができる移動モードに設定されている表示オブジェクトである。なお、所定の移動操作は、例えば、画面に触れた状態で指を滑らせる操作であるスワイプ、画面を弾くように指を滑らせてから指を画面から離す操作であるフリック、マウスのボタンを押したままカーソルを移動させる操作であるドラッグ等でもよい。
【0034】
また、第1表示オブジェクト403は、ユーザが所定の操作位置指示を行うことにより、描画モードに設定されている表示オブジェクトである。図4Aの例では、第1表示オブジェクト403の描画可能な領域404において、手書き入力による線406が描画されている。
【0035】
なお、制御部14は、第1表示オブジェクト403の領域405(バー、ハンドル)に対してユーザが所定の移動操作を行うことにより、描画モードに設定されている第1表示オブジェクト403の位置を移動させてもよい。なお、第1表示オブジェクト403の領域405は必須ではないため、領域405を表示しないようにしてもよい。
【0036】
制御部14は、移動モードに設定されている表示オブジェクトに対して、タップまたはダブルクリック等の所定の操作がユーザにより行われると、当該表示オブジェクトを拡大表示し、描画モードに変更してもよい。これにより、例えば、表示オブジェクトに描画する際の手書き入力操作をより容易に行わせることができる。
【0037】
また、制御部14は、描画モードに設定されている表示オブジェクトに対して、タップまたはダブルクリック等の所定の操作がユーザにより行われると、当該表示オブジェクトを縮小表示し、移動モードに変更してもよい。これにより、例えば、手書き入力が終わった付箋等を、より見易く並べる等ができる。
【0038】
図4Bの表示画面411の例では、図4Aの表示画面401において、第1表示オブジェクト403の領域内の位置413で、ペン型デバイス412による操作位置指示が開始され、操作位置指示が継続されたまま、ペン型デバイス412による操作位置指示の位置が第1表示オブジェクト403の端部の位置414に移動されたことが示されている。そのため、位置413から位置414までのペン型デバイス412による操作位置指示の位置の軌跡(筆跡)が、線415により描画されている。
【0039】
図4Cの表示画面421の例では、図4Bの表示画面411において、操作位置指示の位置が、第1表示オブジェクト403の領域を位置414(「領域を外れた際の位置」の一例。)で外れた後、操作位置指示が継続されたまま、軌跡425を通って第1表示オブジェクト403の領域外の位置422に移動されている。
【0040】
そのため、図3のステップS4の処理により、操作位置指示により描画された線415が取り消されている。また、図3のステップS5の処理により、第1表示オブジェクト403の表示位置が変更されている。
【0041】
図4Dの表示画面431の例では、図4Cの表示画面421の位置422でペン型デバイス412による操作位置指示が終了された場合の表示画面の例が示されている。
【0042】
図4C、及び図4Dの例では、変更部13は、第1表示オブジェクト403の領域を外れた位置414が、ペン型デバイス412による操作位置指示の位置422となるように、第1表示オブジェクト403を移動させている。そのため、第1表示オブジェクト403の左上の端部は位置423から位置424に移動されている。なお、位置423から位置424までの距離と方向(ベクトル)は、位置414から位置422までの距離と方向とそれぞれ同じである。これにより、ユーザは、操作位置指示により表示オブジェクトを引っ張って行くような操作感で、表示オブジェクトを移動させることができる。
【0043】
なお、変更部13は、第1表示オブジェクト403における操作位置指示が開始された位置413が、ペン型デバイス412による操作位置指示の位置422となるように、第1表示オブジェクト403を移動させてもよい。これにより、例えば、ユーザが表示オブジェクトに対して移動操作を行った場合に、表示オブジェクトが描画モードの場合であっても、表示オブジェクトが移動モードであった場合と同様の位置に表示オブジェクトを移動させることができる。
【0044】
また、変更部13は、第1表示オブジェクト403の領域内の所定の位置が、ペン型デバイス412による操作位置指示の位置422となるように、第1表示オブジェクト403を移動させてもよい。これにより、例えば、描画モードである表示オブジェクトを移動させていることをユーザに認識させることができる。この場合、当該所定の位置は、例えば、第1表示オブジェクト403の中央部(中心位置)、または第1表示オブジェクト403の左上の角の位置等でもよい。
【0045】
≪表示位置の変更可否の判定≫
図3のステップS3の処理で、変更部13は、操作位置指示が継続したまま、ユーザによる操作位置指示の位置が、表示オブジェクトの領域内から表示オブジェクトの領域外に移動し、所定の条件を満たした場合にのみ、ステップS4以降の処理を実行してもよい。これにより、例えば、操作位置指示中に、操作位置指示の位置が表示オブジェクトの領域からわずかにずれた等の誤操作により、描画の取り消し等が行われないようにすることができる。
【0046】
この場合、変更部13は、第1表示オブジェクト403の領域を外れた位置414から操作位置指示が終了された位置422までの距離(直線距離)が閾値(例えば、画面上で5cmに相当する画素の座標上の長さ)以上の場合に、操作位置指示の位置が第1表示オブジェクト403の領域外に移動したと判定してもよい。
【0047】
また、変更部13は、位置414から位置422までに操作位置指示の位置が移動した軌跡425の長さが閾値(例えば、画面上で10cmに相当する画素の座標上の長さ)以上の場合に、操作位置指示の位置が第1表示オブジェクト403の領域外に移動したと判定してもよい。
【0048】
また、変更部13は、位置414から位置422までに操作位置指示の位置が移動するまでの時間が閾値(例えば、1秒)以上の場合に、操作位置指示の位置が第1表示オブジェクト403の領域外に移動したと判定してもよい。
【0049】
また、変更部13は、位置414から位置422までの距離(直線距離)と、第1表示オブジェクト403の領域内で操作位置指示が開始された位置413から位置414までの距離(直線距離)との比の値が閾値(例えば、1)以上の場合に、操作位置指示の位置が第1表示オブジェクト403の領域外に移動したと判定してもよい。これは、例えば、継続された操作位置指示により指定された位置の、描画領域外等での移動量が、描画領域内等での移動量に対して一定以上である場合、ユーザが第1表示オブジェクト403を移動させることを意図していると考えられるためである。
【0050】
また、変更部13は、位置414から位置422までに操作位置指示の位置が移動した軌跡425の長さと、位置413から位置414までに操作位置指示の位置の軌跡(線415)の長さとの比の値が閾値(例えば、1)以上の場合に、操作位置指示の位置が第1表示オブジェクト403の領域外に移動したと判定してもよい。
【0051】
また、変更部13は、位置414から位置422までに操作位置指示の位置が移動するまでの時間と、位置413から位置414までに操作位置指示の位置が移動するまでの時間との値が閾値(例えば、1)以上の場合に、操作位置指示の位置が第1表示オブジェクト403の領域外に移動したと判定してもよい。
【0052】
≪表示位置の変更の取り消し≫
変更部13は、図3のステップS3からステップS5の処理により、表示オブジェクトの位置を変更した後、ユーザからの所定の操作に応答して、表示オブジェクトの位置を元に戻してもよい。これにより、例えば、ユーザの誤操作により描画位置が表示オブジェクトの領域から外れた場合に、表示オブジェクトの位置を元(変更前の位置)に戻すことができる。
【0053】
この場合、変更部13は、例えば、操作位置指示が継続したまま、操作位置指示で指定される位置が所定時間(例えば、3秒)以上、図4Cに示すように位置422に止まる場合、図4Bの第1表示オブジェクト403の位置に戻してもよい。
【0054】
また、変更部13は、例えば、図4Cに示すように操作位置指示が継続したまま、位置422から位置413に応じた方向に、操作位置指示で指定される位置が移動した場合、図4Bの第1表示オブジェクト403の位置に戻してもよい。この場合、変更部13は、例えば、表示オブジェクトの元の位置の方向に、ユーザにより第1表示オブジェクト403がフリックされた場合、第1表示オブジェクト403を元の位置に戻してもよい。また、変更部13は、例えば、元の表示位置から所定の範囲内(例えば、元の位置との距離が閾値以内)に、ユーザにより第1表示オブジェクト403がスワイプまたはドラッグされた場合、第1表示オブジェクト403を元の位置に戻してもよい。これにより、例えば、ユーザは、元の位置に概ね近い位置に戻す操作により、第1表示オブジェクト403を元の位置に戻すことができる。
【0055】
また、変更部13は、表示オブジェクトの位置を元に戻す場合、図3のステップS4の処理で取り消した描画を復元することにより、図4Bの線415を再度表示してもよい。
【0056】
また、変更部13は、表示オブジェクトの位置を元に戻す際、確認用のダイヤログを表示し、ユーザにより元に戻すことへ承認する承認操作(例えば、当該ダイヤログ上の「はい」ボタンの押下)を受け付けた場合にのみ、表示オブジェクトの位置を元に戻すようにしてもよい。また、変更部13は、当該承認操作を所定時間(例えば、3秒)以上受け付けない場合、当該ダイヤログを消去し、表示オブジェクトの位置を元に戻さないようにしてもよい。
【0057】
<実施形態の効果>
開示の技術によれば、操作位置指示で指定される位置が、表示オブジェクトの領域内から領域外に移動したことに応じて、当該表示オブジェクトの表示位置を変更する。これにより、ユーザが、描画モードと移動モードの切り替えを明示的に行うことなく、表示オブジェクトに対する描画と当該表示オブジェクトの移動との双方を行うことができる。
【0058】
なお、描画モードに設定されている第1表示オブジェクトの所定部分(例えば、バー等)にスワイプ等の移動操作をすることにより、当該第1表示オブジェクトを移動可能とすることも考えられる。この場合、当該第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトが同時に表示されており、当該第1表示オブジェクトのバー等の上に第2表示オブジェクトが表示されている場合には、ユーザは第1表示オブジェクトが描画モードであることを認識できない。そのため、ユーザは、第1表示オブジェクトが移動モードに設定されていると誤認し、第1表示オブジェクトを移動させるために、第1表示オブジェクトにおける描画可能な領域に対してドラッグ等の操作を行ってしまうことが考えられる。この場合、第1表示オブジェクトは移動されず、また、第1表示オブジェクトに描画が誤入力される。
【0059】
また、描画モードに設定されている第1表示オブジェクトのバー等に対するスワイプ等の操作位置を誤り、当該第1表示オブジェクトにおける当該バー等の付近の描画可能な領域を指定してスワイプ等を行ってしまうことも考えられる。この場合も、第1表示オブジェクトは移動されず、また、第1表示オブジェクトに描画が誤入力される。
【0060】
開示の技術によれば、当該第1表示オブジェクトのバー等の上に第2表示オブジェクトが表示されている場合、及びバー等に対するスワイプ等の操作位置を誤った等の場合であっても、ユーザが、描画モードと移動モードの切り替えを明示的に行うことなく、表示オブジェクトに対する描画と当該表示オブジェクトの移動との双方を行うことができる。
【0061】
<変形例>
情報処理装置10の各機能部は、例えば1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。
【0062】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0063】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
コンピュータに、処理モードが描画モードである場合に、描画領域に対するユーザからの操作位置指示を受け付け、前記操作位置指示に応じた描画を行う処理を実行させるための表示制御プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記処理モードが前記描画モードである場合に、前記描画領域内で開始された前記操作位置指示が、継続されたまま、前記描画領域を形成する辺を基準とする所定の領域に移動したことに応じて、前記描画領域を移動する移動モードに前記処理モードを変更する処理を実行させるための表示制御プログラム。
(付記2)
前記所定の領域は、前記描画領域の外側の領域である、付記1に記載の表示制御プログラム。
(付記3)
前記所定の領域は、前記描画領域の内側の領域であって、前記辺から所定の距離内に規定された領域である、付記1に記載の表示制御プログラム。
(付記4)
前記変更する処理は、
前記処理モードが前記移動モードに変更されたことに応じて、前記操作位置指示の移動に伴って実行された描画を取り消す、
付記1から3のいずれか一項に記載の表示制御プログラム。
(付記5)
前記変更する処理は、
前記処理モードが前記移動モードに変更されたあとの、前記操作位置指示が移動した距離に関する条件、
前記処理モードが前記移動モードに変更されたあとの、前記操作位置指示が移動した軌跡の長さに関する条件、
前記処理モードが前記移動モードに変更されたあとの、経過時間に関する条件
前記処理モードが前記移動モードに変更されたあとの、前記操作位置指示が移動した距離と、前記操作位置指示が開始されてから前記処理モードが前記移動モードに変更されるまでに移動した距離との比の値に関する条件、
前記処理モードが前記移動モードに変更されたあとの、前記操作位置指示が移動した軌跡の長さと、前記操作位置指示が開始されてから前記処理モードが前記移動モードに変更されるまでに移動した軌跡の長さとの比の値に関する条件、
及び、前記処理モードが前記移動モードに変更されたあとの、経過時間と、前記操作位置指示が開始されてから前記処理モードが前記移動モードに変更されるまでの経過時間との比の値に関する条件の少なくとも一つが満たされたことに応じて、前記処理モードを前記移動モードに変更する、
付記1から4のいずれか一項に記載の表示制御プログラム。
(付記6)
前記変更する処理は、
前記処理モードが前記移動モードに変更された後、
前記操作位置指示が継続したまま、前記描画領域の位置が、前記処理モードが変更される前の前記描画領域の表示位置から所定の範囲内に移動した場合、
前記描画領域の表示位置を前記処理モードの変更前の位置に戻す、
付記1から5のいずれか一項に記載の表示制御プログラム。
(付記7)
前記変更する処理は、
前記移動モードでは、前記操作位置指示で指定される位置に基づいて前記描画領域の表示位置を決定する、
付記1から6のいずれか一項に記載の表示制御プログラム。
(付記8)
処理モードが描画モードである場合に、描画領域に対するユーザからの操作位置指示を受け付け、前記操作位置指示に応じた描画を行うコンピュータによる表示制御方法であって、
前記コンピュータが、
前記処理モードが前記描画モードである場合に、前記描画領域内で開始された前記操作位置指示が、継続されたまま、前記描画領域を形成する辺を基準とする所定の領域に移動したことに応じて、前記描画領域を移動する移動モードに前記処理モードを変更する処理を実行する、
表示制御方法。
(付記9)
処理モードが描画モードである場合に、描画領域に対するユーザからの操作位置指示を受け付け、前記操作位置指示に応じた描画を行う表示制御装置であって、
前記処理モードが前記描画モードである場合に、前記描画領域内で開始された前記操作位置指示が、継続されたまま、前記描画領域を形成する辺を基準とする所定の領域に移動したことに応じて、前記描画領域を移動する移動モードに前記処理モードを変更する変更部を有する表示制御装置。
【符号の説明】
【0064】
10 情報処理装置
11 受付部
12 描画部
13 変更部
14 制御部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D