(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】端末装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
G06K7/10 436
(21)【出願番号】P 2020017532
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 浩之
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-091365(JP,A)
【文献】特開2010-277215(JP,A)
【文献】特開2000-315245(JP,A)
【文献】特開平04-100182(JP,A)
【文献】特開平10-049621(JP,A)
【文献】特開2004-326545(JP,A)
【文献】特開2009-001196(JP,A)
【文献】特開2010-152433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的情報を読み取る読取動作を行う読取手段と、
前記読取手段に前記読取動作を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数の操作キーと、
前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記読取手段による前記読取動作を開始させる読取許可状態
であって前記読取手段への電源供給が行われている読取許可状態と、前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記読取手段による前記読取動作を開始させない読取禁止状態
であって前記読取手段への電源供給が行われていない読取禁止状態と、のいずれかの状態に制御する読取制御手段と、を備え、
前記読取制御手段は、前記読取禁止状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取禁止状態から前記読取許可状態へ遷移させるための読取許可制御を実行することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記読取制御手段は、前記読取許可状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取許可状態から前記読取禁止状態へ遷移させるための読取禁止制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
当該端末装置の所定の初期設定の完了後に、前記複数の操作キー以外の操作手段を介して受け付けた入力操作に基づいて前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行するための設定画面を、ユーザからの指示に基づいて表示部に表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記読取制御手段は、前記初期設定の完了前に前記2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行することを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記読取制御手段は、前記初期設定の完了後においても、前記2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行することを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記複数の操作キーには、当該端末装置の短手方向の両端部に設けられた2つの端部操作キーが含まれており、
前記読取制御手段は、前記2つの端部操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行することを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記読取制御手段は、前記2つの操作キーに対する前記入力操作が基準時間以上重複して行われた場合に前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行し、
当該端末装置は、ユーザからの指示に基づいて前記基準時間を設定する基準時間設定手段を備えることを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記2つの操作キーに対する前記入力操作に応じて前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行する機能を、ユーザからの指示に基づいて無効にする無効設定手段を備えることを特徴とする請求項2~6のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項8】
発光部を有し、前記発光部から照射された光の反射光を受光することで光学的情報を読み取る読取動作を行う読取手段と、
前記発光部による発光を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数の操作キーと、
前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記発光部による発光を開始させる発光許可状態
であって前記発光部への電源供給が行われている発光許可状態と、前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記発光部による発光を開始させない発光禁止状態
であって前記発光部への電源供給が行われていない発光禁止状態と、のいずれかの状態に制御する発光制御手段と、
を備え、
前記発光制御手段は、前記発光禁止状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光禁止状態から前記発光許可状態へ遷移させるための発光許可制御を実行することを特徴とする端末装置。
【請求項9】
前記発光制御手段は、前記発光許可状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光許可状態から前記発光禁止状態へ遷移させるための発光禁止制御を実行することを特徴とする請求項8に記載の端末装置。
【請求項10】
当該端末装置の所定の初期設定の完了後に、前記複数の操作キー以外の操作手段を介して受け付けた入力操作に基づいて前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行するための設定画面を、ユーザからの指示に基づいて表示部に表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記発光制御手段は、前記初期設定の完了前に前記2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行することを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項11】
前記発光制御手段は、前記初期設定の完了後においても、前記2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行することを特徴とする請求項10に記載の端末装置。
【請求項12】
前記複数の操作キーには、当該端末装置の短手方向の両端部に設けられた2つの端部操作キーが含まれており、
前記発光制御手段は、前記2つの端部操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行することを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項13】
前記発光制御手段は、前記2つの操作キーに対する前記入力操作が基準時間以上重複して行われた場合に前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行し、
当該端末装置は、ユーザからの指示に基づいて前記基準時間を設定する基準時間設定手段を備えることを特徴とする請求項9~12のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項14】
前記2つの操作キーに対する前記入力操作に応じて前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行する機能を、ユーザからの指示に基づいて無効にする無効設定手段を備えることを特徴とする請求項9~13のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項15】
光学的情報を読み取る読取動作を行う読取手段と、前記読取手段に前記読取動作を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数の操作キーと、を備える端末装置に設けられたコンピュータを、
前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記読取手段による前記読取動作を開始させる読取許可状態
であって前記読取手段への電源供給が行われている読取許可状態と、前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記読取手段による前記読取動作を開始させない読取禁止状態
であって前記読取手段への電源供給が行われていない読取禁止状態と、のいずれかの状態に制御する読取制御手段として機能させ、
前記読取制御手段は、前記読取禁止状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取禁止状態から前記読取許可状態へ遷移させるための読取許可制御を実行することを特徴とするプログラム。
【請求項16】
発光部を有し、前記発光部から照射された光の反射光を受光することで光学的情報を読み取る読取動作を行う読取手段と、前記発光部による発光を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数の操作キーと、を備える端末装置に設けられたコンピュータを、
前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記発光部による発光を開始させる発光許可状態
であって前記発光部への電源供給が行われている発光許可状態と、前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記発光部による発光を開始させない発光禁止状態
であって前記発光部への電源供給が行われていない発光禁止状態と、のいずれかの状態に制御する発光制御手段として機能させ、
前記発光制御手段は、前記発光禁止状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光禁止状態から前記発光許可状態へ遷移させるための発光許可制御を実行することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗や倉庫等における商品管理を始めとする各種の業務において、必要な情報を読み取って管理する端末装置(例えばハンディターミナル)が用いられている。この端末装置は、バーコードスキャナ等の読取手段を備えており、この読取手段によって、管理対象の商品等に付されたシンボル(例えばバーコード及び2次元コード等)や、任意の文字列等の画像を読み取ることができる。端末装置は、出荷時の状態から、無線通信の接続設定やユーザ情報などの項目を含む所定の初期設定を行うことで、読取手段による読取動作を始めとする各種動作が実行可能な状態となる。
【0003】
また、端末装置の中には、読取手段による読取動作の実行可否をユーザが設定できるようになっているものがある(例えば、特許文献1)。これにより、読取手段の動作による電力消費を抑えたり、読取動作が発光を伴う端末装置において意図しないタイミングで発光が行われるのを防止したりすることができる。この読取動作の実行可否の設定は、例えば、上記の初期設定の完了後に、所定の設定画面を呼び出して行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、読取手段の動作設定の切り替えのために毎回設定画面を呼び出すのは手間が掛かる。また、初期設定の完了前には設定画面を呼び出すことができず、読取手段を使用可能な状態とすることができないという問題がある。このため、例えば初期設定における各種情報の入力に読取手段を活用することができず、不便である。
このように、上記従来の技術では、所望のタイミングで簡易に読取手段の動作設定を切り替えることができないという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、所望のタイミングで簡易に読取手段の動作設定を切り替えることができる端末装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の端末装置は、
光学的情報を読み取る読取動作を行う読取手段と、
前記読取手段に前記読取動作を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数の操作キーと、
前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記読取手段による前記読取動作を開始させる読取許可状態であって前記読取手段への電源供給が行われている読取許可状態と、前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記読取手段による前記読取動作を開始させない読取禁止状態であって前記読取手段への電源供給が行われていない読取禁止状態と、のいずれかの状態に制御する読取制御手段と、を備え、
前記読取制御手段は、前記読取禁止状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取禁止状態から前記読取許可状態へ遷移させるための読取許可制御を実行する。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明の端末装置は、
発光部を有し、前記発光部から照射された光の反射光を受光することで光学的情報を読み取る読取動作を行う読取手段と、
前記発光部による発光を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数の操作キーと、
前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記発光部による発光を開始させる発光許可状態であって前記発光部への電源供給が行われている発光許可状態と、前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記発光部による発光を開始させない発光禁止状態であって前記発光部への電源供給が行われていない発光禁止状態と、のいずれかの状態に制御する発光制御手段と、
を備え、
前記発光制御手段は、前記発光禁止状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光禁止状態から前記発光許可状態へ遷移させるための発光許可制御を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所望のタイミングで簡易に読取手段の動作設定を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】ハンディターミナルの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】バーコードスキャナの動作設定を行うための設定画面の例を示す図である。
【
図5】業務アプリの実行時における入力操作の例を説明する図である。
【
図6】簡易切替に係る詳細設定が可能な設定画面の例を示す図である。
【
図8】アクティベート処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図9】トリガーキー操作対応処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図10】変形例1に係る動作設定データの内容例を示す図である。
【
図11】変形例1に係るトリガーキー操作対応処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図12】簡易切替の対象を選択可能な設定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の端末装置及びプログラムに係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、端末管理システム1を示す模式図である。
端末管理システム1は、複数のハンディターミナル10(端末装置)と、アクセスポイント2と、サーバ3と、を備える。
【0013】
ハンディターミナル10は、スーパーマーケット、量販店などの店舗や、商品を格納する倉庫などの導入先に導入され、当該導入先の店員、管理担当者などの操作者により操作される。ハンディターミナル10は、光学的情報をスキャンして読み取る読取動作を行うバーコードスキャナ18(読取手段)(
図2(b)及び
図3参照)を備える。ここで、光学的情報は、光学的な方法によって読み取ることが可能な情報であって、バーコード又は2次元コードといったシンボルや、各種の画像などが含まれる。また、ハンディターミナル10は、アクセスポイント2との間で無線LAN通信を行う通信部17(
図3参照)を備える。ハンディターミナル10は、バーコードスキャナ18により、商品に付されたシンボルや、用紙に印刷された任意の文字列の画像などを読み取り、その読取データを用いて所定の処理を実行したり、アクセスポイント2を介して読取データをサーバ3に送信したりする。
【0014】
アクセスポイント2は、無線LAN通信の中継器である。
サーバ3は、アクセスポイント2にネットワーク接続されており、アクセスポイント2を介して各ハンディターミナル10とデータ通信を行う。サーバ3は、ハンディターミナル10から受信したデータを記憶して管理したり、ハンディターミナル10からの要求に応じて業務アプリ(業務用のアプリケーションプログラム)のデータを送信したりする。
図1では、アクセスポイント2及びサーバ3をそれぞれ1台有する端末管理システム1を例示したが、これに限られず、アクセスポイント2及び/又はサーバ3を複数台有する構成としてもよい。
【0015】
図2は、ハンディターミナル10の外観図である。このうち
図2(a)は、ハンディターミナル10の正面を示す図であり、
図2(b)は、ハンディターミナル10の背面を示す図である。
ハンディターミナル10の背面には、上述したバーコードスキャナ18の読取面が設けられている。また、ハンディターミナル10は、バーコードスキャナ18に読取動作を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける側面トリガーキー151S、前面トリガーキー151F及び背面トリガーキー151Bと、ユーザによる各種情報入力のための入力操作を受け付ける一般入力キー152と、各種情報を表示する表示部16と、を備える。
【0016】
側面トリガーキー151Sは、ハンディターミナル10の短手方向の両端部(両側面)にそれぞれ1つ、計2つ設けられている。ここで、短手方向とは、ハンディターミナル10を表示部16に正対する方向から見たときに、幅が最も大きい方向である長手方向と直交する方向である。本実施形態では、長手方向は
図2(a)における上下方向であり、短手方向は
図2(a)における左右方向である。前面トリガーキー151Fは、ハンディターミナル10の前面に1つ設けられている。背面トリガーキー151Bは、ハンディターミナル10の背面に1つ設けられている。以下では、側面トリガーキー151S、前面トリガーキー151F及び背面トリガーキー151Bのうち任意の1つを指す場合には「トリガーキー151」と記す。本実施形態のハンディターミナル10は、4つのトリガーキー151を有する。この4つのトリガーキー151が「複数の操作キー」に相当し、このうち側面トリガーキー151Sが「端部操作キー」に相当する。
【0017】
一般入力キー152は、数字や文字などを入力するための文字入力キー、所定の機能を呼び出して実行させるためのファンクションキー、及び表示部16内に表示されたカーソルを移動させたり情報入力の対象領域を遷移させたりするためのカーソルキーなどを含む。これらの一般入力キー152、上記の4つのトリガーキー151、及び表示部16に重ねられたタッチパネルから、操作部15(
図3参照)(操作手段)が構成される。
【0018】
表示部16は、ハンディターミナル10の正面に配置されており、LCD(Liquid Crystal Display)又はEL(Electro Luminescence)ディスプレイなどで構成される。なお、本実施形態では、表示部16の画面に重ねられてタッチパネルが配置されており、ユーザがタッチパネルにタッチすることで入力を行うことができるようになっている。
【0019】
バーコードスキャナ18は、所定の規則に従って生成されたバーコード及び2次元コード等のシンボルを読み取って得られた信号をデコードし、CPU11(Central Processing Unit)(
図3参照)に出力する。シンボルの読取結果のデコード処理の少なくとも一部は、CPU11により実行されてもよい。また、バーコードスキャナ18は、用紙等に印刷された文字列の画像を読み取り、得られた読取データ(撮像データ)をCPU11に出力する。CPU11は、文字列の読取データに対してOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)処理を実行して、文字列に相当するテキストデータを取得する。なお、OCR処理は、バーコードスキャナ18が有する処理部により実行されてもよい。
本実施形態のバーコードスキャナ18は、読取面からレーザー光を射出する発光部181(
図3参照)を備えるレーザースキャナである。バーコードスキャナ18は、発光部181から照射されたレーザー光の読取対象表面での反射光を受光することで、検出された反射光の強度分布に基づいて光学的情報を読み取る。
【0020】
バーコードスキャナ18は、4つのトリガーキー151のうち任意の1つに対する入力操作(トリガーキー151を押下する操作)がなされると、当該入力操作に応じて発光部181からのレーザー光の照射を開始し、読取動作を開始する。このように、4つのトリガーキー151のいずれによってもバーコードスキャナ18の読取動作を開始できる構成とすることで、バーコードスキャナ18の主要機能である画像の読み取りを所望のタイミングで容易かつ確実に実行させることができる。
また、本実施形態のハンディターミナル10では、いずれか1つのトリガーキー151に対する入力操作が行われた場合にバーコードスキャナ18による読取動作を開始させる読取許可状態と、いずれか1つの操作キーに対する入力操作が行われた場合にバーコードスキャナ18による読取動作を開始させない読取禁止状態と、のいずれかの状態に制御することが可能となっている。本実施形態では、読取動作に伴って発光部181による発光が行われるため、上記の読取許可状態は、いずれか1つのトリガーキー151に対する入力操作が行われた場合に発光部181の発光を開始させる発光許可状態でもある。また、上記の読取禁止状態は、いずれか1つのトリガーキー151に対する入力操作が行われた場合に発光部181の発光を開始させない発光禁止状態でもある。読取許可状態(発光許可状態)と読取禁止状態(発光禁止状態)との間の遷移の制御については後に詳述する。
以下では、特に断らない限り、バーコードスキャナ18による読取動作には発光部181の発光動作が含まれるものとする。よって、読取許可状態には発光許可状態が含まれ、読取禁止状態には発光禁止状態が含まれるものとする。
【0021】
図3は、ハンディターミナル10の機能構成を示すブロック図である。
ハンディターミナル10は、CPU11(コンピュータ)と、RAM12(Random Access Memory)と、ROM13(Read Only Memory)と、記憶部14と、操作部15と、表示部16と、通信部17と、バーコードスキャナ18と、電源部19と、バス20などを備える。ハンディターミナル10の各部は、バス20により接続されている。以下では、既に説明した構成についての説明は省略する。
【0022】
CPU11は、記憶部14に記憶されているプログラム141や業務アプリ142に従って各種処理を行うことでハンディターミナル10の各部を制御するプロセッサである。CPU11は、プログラム141を実行して各種処理を行うことで、読取制御手段、発光制御手段、表示制御手段、基準時間設定手段、無効設定手段として機能する。
【0023】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM12は、不揮発性メモリを含んでいてもよい。
【0024】
ROM13は、情報を読み出し可能な不揮発性の記憶部であり、各種設定データ等が格納されている。
【0025】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリといった、データの書き込み及び読み出しが可能な記憶装置を備え、プログラム141、業務アプリ142、及び各種データを記憶する。記憶部14に記憶されるデータとしては、ハンディターミナル10の各種動作設定が記憶されている動作設定データ143が含まれる。
【0026】
通信部17は、アンテナ、変復調回路、信号処理回路などを有する通信モジュールであり、無線LANによる無線通信に係る通信規格に対応した通信制御を行う。通信部17は、CPU11による制御下で、予め通信接続対象として設定されている一のアクセスポイント2との無線通信を行い、アクセスポイント2を介してサーバ3との間でデータの送受信を行う。
【0027】
電源部19は、例えば充電式のバッテリーや乾電池などであり、
図3に示すハンディターミナル10の各部に電源電圧を供給する。
図3では、電源部19から各部への電力供給経路は記載が省略されている。また、電源部19は、CPU11による制御下で、バーコードスキャナ18に対する電源供給のオン/オフを切り替える。これにより、バーコードスキャナ18の動作可否を切り替えることができる。すなわち、読取制御手段及び発光制御手段としてのCPU11は、バーコードスキャナ18に対する電源供給をオンに切り替えることで上述の読取許可状態とすることができ、バーコードスキャナ18に対する電源供給をオフに切り替えることで上述の読取禁止状態とすることができる。バーコードスキャナ18に対する電源供給をオンにする制御が「読取許可制御」及び「発光許可制御」に相当し、バーコードスキャナ18に対する電源供給をオフにする制御が「読取禁止制御」及び「発光禁止制御」に相当する。以下では、読取許可制御及び発光許可制御をまとめて「許可制御」とも記し、読取禁止制御及び発光禁止制御をまとめて「禁止制御」とも記す。ハンディターミナル10は、読取禁止状態において許可制御が行われることで読取許可状態に遷移し、読取許可状態において上述の禁止制御が行われることで読取禁止状態に遷移する。
【0028】
次に、ハンディターミナル10の動作について、バーコードスキャナ18の動作制御を中心に説明する。
【0029】
ハンディターミナル10は、出荷時の状態から、無線LAN通信の接続設定やユーザ情報などの項目を含む所定の初期設定を行うことで、バーコードスキャナ18による読取動作を始めとする各種動作が実行可能な状態とする(すなわち、アクティベートする)ことができる。ハンディターミナル10の初期設定は、キッティングとも呼ばれる。
詳しくは、出荷時の状態では、ハンディターミナル10の本体の電源を投入しても、バーコードスキャナ18に対して電源部19から電源電圧が供給されないようになっており、トリガーキー151を押下してもバーコードスキャナ18による読取動作が開始されない。これは、不要な電力消費を抑えるとともに、意図しないタイミングで発光部181からレーザー光が射出されるのを防止するためである。
【0030】
初期設定が完了すると、ハンディターミナル10の動作設定を行うための設定画面を呼び出して表示部16に表示させることができるようになる。この設定画面においてバーコードスキャナ18の動作設定を行うことで、許可制御を行わせてハンディターミナル10を読取許可状態とすることができる。なお、初期設定の完了時に、自動的に読取許可状態に遷移するようになっていてもよい。
【0031】
図4は、バーコードスキャナ18の動作設定を行うための設定画面30の例を示す図である。
設定画面30には、バーコードスキャナ18による読取動作の実行可否を切り替えるためのトグルボタン31と、設定ボタン32とが表示されている。トグルボタン31を選択する接触操作を行うことで(以下、接触操作を行うことを「タップする」とも記す)、トグルボタン31の表示が「ON」と「OFF」との間で切り替えられ、これにより読取動作の実行可否の設定を切り替えることができる。トグルボタン31を「ON」に切り替えた状態で設定ボタン32をタップすることで許可制御が実行され、ハンディターミナル10を読取許可状態とすることができる。また、トグルボタン31を「OFF」に切り替えた状態で設定ボタン32をタップすることで禁止制御が実行され、ハンディターミナル10を読取禁止状態とすることができる。このように、設定画面30は、タッチパネルを介して受け付けた入力操作に基づいて読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行するための画面である。設定画面30の表示は、表示制御手段としてのCPU11により実行される。
【0032】
また、許可制御及び禁止制御は、初期設定後に実行された業務アプリ142において所定の使用可否切替関数を呼び出すことによっても行われ得る。
【0033】
ところで、ハンディターミナル10の初期設定では、接続するアクセスポイント2のSSID及び認証コード、サーバ3のIPアドレス及び接続先のフォルダ名、ユーザのメールアドレスといった種々の情報を順番に入力していく必要がある。これらの情報を一般入力キー152で入力するのは煩雑であり手間が掛かるため、バーコードスキャナ18を利用することで入力操作を簡略化させたいという要求がある。すなわち、入力する情報(文字列)を予め用紙に印刷しておき、これらの文字列の画像をバーコードスキャナ18によって読み取ることで情報の入力ができるようにすれば、ユーザの手間を大幅に省くことが可能となる。
しかしながら、上述したアクティベートの方法では、初期設定が完了する前にはハンディターミナル10を読取許可状態とすることができないため、初期設定にバーコードスキャナ18を利用することができない。
【0034】
そこで、本実施形態のハンディターミナル10では、設定画面30における設定変更とは別の方法によっても、ハンディターミナル10の状態を読取許可状態と読取禁止状態との間で遷移させることができるようになっている。
【0035】
具体的には、読取禁止状態において、4つのトリガーキー151のうち2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に、許可制御が実行されて読取許可状態に遷移するようになっている。
また、読取許可状態において、4つのトリガーキー151のうち2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に、禁止制御が実行されて読取禁止状態に遷移するようになっている。
換言すれば、初期設定が完了しているか否かに関わらず、2つのトリガーキー151に対する重複するタイミングでの入力操作が行われた場合には、ハンディターミナル10の状態が読取許可状態及び読取禁止状態の間で切り替えられるようになっている。ハンディターミナル10を読取許可状態とした後にいずれかのトリガーキー151を押下することで、バーコードスキャナ18による読取動作が開始される。この方法を用いることで、初期設定における情報の入力にバーコードスキャナ18を利用することができる。
【0036】
以下では、2つのトリガーキー151に対して一部重複するタイミングで入力操作を行うことを、トリガーキー151の「同時押下」とも記す。ここで、同時押下は、1つのトリガーキー151の押下期間と、他の1つのトリガーキー151の押下期間とが少なくとも一部重複することをいい、各押下期間の開始タイミングが異なっていてもよいし、終了タイミングが異なっていてもよい。
また、2つのトリガーキー151の同時押下によりハンディターミナル10の状態を読取許可状態及び読取禁止状態の間で切り替えることを、以下では「簡易切替」と記す。
【0037】
簡易切替の実行のために同時押下する2つのトリガーキー151の組み合わせは、任意である。ただし、特定の2つのトリガーキー151が同時押下された場合にのみ簡易切替が行われるようにしてもよい。この場合の特定の2つのトリガーキー151は、例えば左右の2つの側面トリガーキー151Sとすることができる。あるいは、前面トリガーキー151F及び背面トリガーキー151Bの組み合わせを、上記の特定の2つのトリガーキー151としてもよい。特定の2つのトリガーキー151の組み合わせを対面に設けられたもの同士にすることで、ユーザはハンディターミナル10の本体を二本の指で挟み込むようにして同時押下を行うことができ、ハンディターミナル10を落としてしまうことを防げる。また、同時押下を片手でも実行できるように、特定の2つのトリガーキー151はハンディターミナル10の短手方向の両端に設けられる2つの側面トリガーキー151Sとしてもよい。
【0038】
また、2つの操作キーに対する入力操作が基準時間以上重複して行われた場合(換言すれば、同時押下における2つのトリガーキー151の押下期間が基準時間以上重複した場合)に簡易切替を実行するようにしてもよい。これにより、意図せずに2つのトリガーキー151を押下してしまった場合でも、直ちに手を離すことで簡易切替が実行されないようにすることができる。基準時間の長さは、特には限られないが、例えば1秒~3秒程度とすることができる。
【0039】
簡易切替機能は、初期設定の完了後においても有効とされる。これにより、所望のタイミングで簡易に、ハンディターミナル10の状態を読取許可状態と読取禁止状態との間で切り替えることができる。このようにすることで、例えば業務アプリ142の実行時における情報の入力方法を柔軟に切り替えることができる。
【0040】
図5は、業務アプリ142の実行時における入力操作の例を説明する図である。
図5では、商品の棚卸業務に係る業務アプリ142の業務アプリ画面40が表示部16に表示されている。この業務アプリ画面40では、商品のバーコード情報を入力するためのバーコード情報入力ボックス41と、在庫数量を入力するための数量入力ボックス42と、確認者サインを入力するためのサイン入力ボックス43と、が表示されている。
【0041】
バーコード情報入力ボックス41を選択した状態でバーコードスキャナ18による商品のバーコードの読取動作を行うことで、バーコードが読み取られてバーコード情報が取得され、当該バーコード情報がバーコード情報入力ボックス41に入力される。
また、数量入力ボックス42を選択した状態で一般入力キー152により数値入力を行うことで、数量入力ボックス42に在庫数量の情報を入力することができる。
また、サイン入力ボックス43を選択した状態で当該サイン入力ボックス43内を指又はスタイラス等でなぞることで、サイン入力ボックス43にサインを入力することができる。
【0042】
ここで、バーコード情報入力ボックス41に対する情報入力にはバーコードスキャナ18の読取動作が必要である一方、数量入力ボックス42及びサイン入力ボックス43に対する情報入力にはバーコードスキャナ18の読取動作が不要である。バーコード情報入力ボックス41に対する情報入力を行う際には、2つのトリガーキー151の同時押下を行うことで、ハンディターミナル10を簡易に読取許可状態とすることができる。また、数量入力ボックス42及びサイン入力ボックス43に対する情報入力を行う際に、2つのトリガーキー151の同時押下を行ってハンディターミナル10を読取禁止状態とすることで、電力消費量を抑えることができるとともに、数量入力ボックス42及びサイン入力ボックス43に対してバーコードスキャナ18の読取結果に係る意図しない内容の情報入力がなされるのを抑えることができる。
【0043】
簡易切替については、次のような詳細設定がさらに可能とされていてもよい。
すなわち、第1の詳細設定として、簡易切替を行うための2つのトリガーキー151の同時押下に係る上述の基準時間は、ユーザが設定できるようにしてもよい。この第1の詳細設定を有効にする場合には、2つのトリガーキー151の同時押下が、設定した基準時間以上継続した場合に簡易切替が実行される。
また、第2の詳細設定として、簡易切替機能を有効にし、又は無効にする設定をユーザが行えるようにしてもよい。簡易切替機能が無効に設定されている場合には、2つのトリガーキー151を同時押下しても許可制御及び禁止制御は実行されず、簡易切替は行われない。
【0044】
図6は、簡易切替に係る上述の詳細設定が可能な設定画面30の例を示す図である。
この設定画面30には、トグルボタン31、33と、入力ボックス34と、設定ボタン32とが表示されている。設定画面30の表示は、表示制御手段としてのCPU11により実行される。
【0045】
トグルボタン31をタップして「ON」と「OFF」との間で切り替えることで、
図4と同様に、バーコードスキャナ18の読取動作及び発光の実行可否の設定を切り替えることができる。トグルボタン31は、簡易切替機能を用いずにバーコードスキャナ18の動作可否を切り替える場合に用いられる。
また、トグルボタン33をタップして「ON」と「OFF」との間で切り替えることで、簡易切替機能を有効又は無効に設定することができる。
入力ボックス34には、基準時間の指定秒数を入力することができる。
【0046】
設定ボタン32を選択すると、その時点におけるトグルボタン31、33、及び入力ボックス34の設定内容が確定し、動作設定データ143に反映される。すなわち、CPU11が、設定画面30の内容に応じて動作設定データ143を書き換えることで、簡易切替に係る各種設定内容が更新される。すなわち、無効設定手段としてのCPU11は、トグルボタン33を介してなされたユーザからの指示に基づいて、簡易切替機能を有効にし、又は無効にする設定を行う。また、基準時間設定手段としてのCPU11は、入力ボックス34を介してなされたユーザからの指示に基づいて、簡易切替に係る基準時間を設定する。
【0047】
図7は、
図6の設定画面30における設定内容が記憶された動作設定データ143の内容例を示す図である。
動作設定データ143は、読取動作の可否の設定に係るデータ行143aと、簡易切替機能の有効及び無効の設定に係るデータ行143bと、簡易切替の基準時間の設定に係るデータ行143cと、を含む。データ行143aは、
図6のトグルボタン31の設定内容に対応し、データ行143bは、トグルボタン33の設定内容に対応し、データ行143cは、入力ボックス34の入力内容に対応する。
【0048】
次に、ハンディターミナル10のアクティベート処理について説明する。アクティベート処理は、ハンディターミナル10が出荷時の状態から通常動作に移行するまでに実行される処理である。
【0049】
図8は、アクティベート処理のCPU11による制御手順を示すフローチャートである。
アクティベート処理は、出荷時の状態において本体の電源が投入された場合に開始される。ここでは、出荷時の動作設定データ143において、読取動作は「不可」、簡易切替機能は「有効」に設定されているものとする。
【0050】
アクティベート処理が開始されると、CPU11は、トリガーキー151の押下を検知したか否かを判別し(ステップS101)、トリガーキー151の押下を検知したと判別された場合には(ステップS101で“YES”)、トリガーキー操作対応処理を実行する(ステップS102)。
【0051】
図9は、トリガーキー操作対応処理のCPU11による制御手順を示すフローチャートである。
トリガーキー操作対応処理が呼び出されると、CPU11は、2つのトリガーキー151の同時押下を検知したか否か、すなわち、
図8のステップS101で検知したトリガーキー151の押下が、2つのトリガーキー151の同時押下であるか否かを判別する(ステップS201)。
【0052】
2つのトリガーキー151の同時押下を検知したと判別された場合には(ステップS201で“YES”)、CPU11は、動作設定データ143のデータ行143bを参照し、トリガーキー151による簡易切替機能が「有効」となっているか否かを判別する(ステップS202)。
【0053】
簡易切替機能が「有効」となっていると判別された場合には(ステップS202で“YES”)、CPU11は、動作設定データ143のデータ行143cを参照し、検知した同時押下時間が基準時間以上であるか否かを判別する(ステップS203)。
【0054】
検知した同時押下時間が基準時間以上であると判別された場合には(ステップS203で“YES”)、CPU11は、動作設定データ143のデータ行143aを参照し、バーコードスキャナ18の読取動作の設定が「可」となっているか否か、すなわちハンディターミナル10が読取許可状態であるか否かを判別する(ステップS204)。
【0055】
読取許可状態であると判別された場合には(ステップS204で“YES”)、CPU11は、動作設定データ143のデータ行143aにおける読取動作の設定を「不可」に変更する(ステップS205)。これに応じて、CPU11は、禁止制御を実行する。すなわち、CPU11は、電源部19からバーコードスキャナ18への電源供給を遮断させ、読取禁止状態に遷移させる。
【0056】
ステップS204の処理において読取禁止状態であると判別された場合には(ステップS204で“NO”)、CPU11は、動作設定データ143のデータ行143aにおける読取動作の設定を「可」に変更する(ステップS206)。これに応じて、CPU11は、許可制御を実行する。すなわち、CPU11は、電源部19からバーコードスキャナ18への電源供給を開始させ、読取可能状態に遷移させる。
【0057】
ステップS201の処理において2つのトリガーキー151の同時押下を検知していないと判別された場合(ステップS201で“NO”)、ステップS202の処理において簡易切替機能が「無効」となっていると判別された場合(ステップS202で“NO”)、又はステップS203の処理において同時押下時間が基準時間未満であると判別された場合(ステップS203で“NO”)には、CPU11は、ハンディターミナル10が読取許可状態であるか否かを判別する(ステップS207)。読取許可状態であると判別された場合には(ステップS207で“YES”)、CPU11は、バーコードスキャナ18による読取動作を実行させる(ステップS208)。
【0058】
ステップS205、S206及びS208のいずれかの処理が終了した場合、又はステップS207の処理において読取禁止状態であると判別された場合には(ステップS207で“NO”)、CPU11は、トリガーキー操作対応処理を終了させて、処理をアクティベート処理に戻す。
【0059】
図8に戻り、ステップS102のトリガーキー操作対応処理が終了した場合、又はステップS101でトリガーキー151の押下を検知していないと判別された場合には(ステップS101で“NO”)、CPU11は、上述した初期設定の処理を実行する(ステップS103)。すなわち、初期設定に係る各種情報を入力するための所定の初期設定画面を表示部16に表示させ、ユーザからの情報の入力を受け付け、入力された情報に基づいてハンディターミナル10の初期設定を行う。ここで、簡易切替機能によってハンディターミナルが既に読取許可状態とされている場合には、CPU11は、トリガーキー151の押下に応じて読取動作を行わせて、読取結果を情報入力に用いる。
【0060】
初期設定の処理が終了すると、CPU11は、ハンディターミナル10の通常動作を開始させる(ステップS104)。この段階でハンディターミナル10が読取禁止状態となっている場合には、CPU11は、許可制御を実行して読取許可状態に切り替えてもよい。
以降、CPU11は、ユーザから設定画面30の表示指示がなされた場合には、設定画面30を表示部16に表示させて、設定のための入力操作を受け付ける。また、トリガーキー151が押下されたか否かの判別を常時行い、押下が検出された場合には、上述のトリガーキー操作対応処理を実行して、簡易切替や読取動作を実行する。
【0061】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。本変形例は、読取動作のうち発光部181による発光動作のみを対象として簡易切替を行う点で上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
【0062】
上記実施形態の簡易切替では、バーコードスキャナ18への電源供給のオン/オフを切り替える許可制御又は禁止制御を行うことで、発光部181の発光動作を含むバーコードスキャナ18の読取動作全体の実行可否を切り替えたが、これに代えて、簡易切替により発光部181の発光動作の可否のみを切り替えてもよい。
換言すれば、上記実施形態では、読取許可状態においてはこれに付随して発光許可状態となり、読取禁止状態においてはこれに付随して発光禁止状態となる例で説明したが、これに代えて、発光に係る状態遷移(発光許可状態と発光禁止状態との間の遷移)を、読み取りに係る状態遷移(読取許可状態と読取禁止状態との間の遷移)とは独立に行ってもよい。
【0063】
読み取りに係る状態遷移を行わずに、発光許可状態と発光禁止状態との間の遷移のみを行う方法は、特には限られないが、例えばバーコードスキャナ18への電源供給は維持しつつ、CPU11から発光部181への制御信号の送信が可能な状態と、当該制御信号が遮断される状態(送信不能な状態)とを切り替えればよい。この場合には、発光部181への制御信号の送信が遮断される状態とする制御が発光禁止制御に相当し、発光部181への制御信号の送信が可能な状態とする制御が発光許可制御に相当する。この切り替えを行うためには、
図10に示すように、動作設定データ143において発光動作の可否の設定に係るデータ行143dを追加し、2つのトリガーキー151の同時押下がなされた場合に当該データ行143dの設定を切り替え、CPU11が当該設定に従って発光許可制御又は発光禁止制御を行うようにすればよい。
あるいは、バーコードスキャナ18への電源供給のうち発光部181への電源供給のみを遮断する制御を発光禁止制御とし、発光部181への電源供給のみを開始する制御を発光許可制御としてもよい。
本変形例の方法によっても、発光部181からレーザー光が意図しないタイミングで照射されるのを抑えることができる。
【0064】
図11は、変形例1に係るトリガーキー操作対応処理のCPU11による制御手順を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、
図9のフローチャートにおけるステップS204、S205及びS206を、それぞれステップS204a、S205a及びS206aに変更したものに相当する。以下では、
図9のフローチャートとの相違点について説明する。
【0065】
図11のステップS203の処理において同時押下時間が基準時間以上であると判別された場合には(ステップS203で“YES”)、CPU11は、動作設定データ143のデータ行143dを参照し、発光部の発光動作の設定が「可」となっているか否か、すなわちハンディターミナル10が発光可能状態であるか否かを判別する(ステップS204a)。
【0066】
発光可能状態であると判別された場合には(ステップS204aで“YES”)、CPU11は、動作設定データ143のデータ行143dにおける発光動作の設定を「不可」に変更する(ステップS205a)。これに応じて、CPU11は、発光禁止制御を実行する。すなわち、CPU11は、発光部181への制御信号が遮断される状態とし、以降、トリガーキー151の押下を検知しても発光部181に発光動作を行わせない。
【0067】
ステップS204aの処理において発光禁止状態であると判別された場合には(ステップS204aで“NO”)、CPU11は、動作設定データ143のデータ行143dにおける発光動作の設定を「可」に変更する(ステップS206a)。これに応じて、CPU11は、発光許可制御を実行する。すなわち、CPU11は、発光部181への制御信号の送信が可能な状態とし、以降、トリガーキー151の押下を検知して読取動作を行わせる場合に、発光部181の発光も併せて行わせる。
【0068】
ステップS205a、S206a及びS208のいずれかの処理が終了した場合、又はステップS207の処理においてハンディターミナル10が読取禁止状態であると判別された場合には(ステップS207で“NO”)、CPU11は、トリガーキー操作対応処理を終了させて、処理をアクティベート処理に戻す。
【0069】
なお、本変形例ではさらに、簡易切替機能による切り替えの対象を、発光を含む読取動作の全体と、発光部181の発光動作のみと、から選択できるようにしてもよい。
【0070】
図12は、簡易切替の対象を選択可能な設定画面30の例を示す図である。この設定画面30は、
図6の設定画面30にラジオボタン35を追加したものに相当する。
ラジオボタン35により「読取動作」又は「発光」を選択して設定ボタン32を押下することで、簡易切替の対象を指定することができる。すなわち、ラジオボタン35により「読取動作」を選択した設定状態で2つのトリガーキー151の同時押下を行うと、発光を含む読取動作の全体の実行可否を切り替えることができる。他方で、ラジオボタン35により「発光」を選択した設定状態で2つのトリガーキー151の同時押下を行うと、発光部181の発光可否のみを切り替えることができる。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る端末装置としてのハンディターミナル10は、光学的情報を読み取る読取動作を行うバーコードスキャナ18と、バーコードスキャナ18に読取動作を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数のトリガーキー151と、CPU11と、を備え、CPU11は、複数のトリガーキー151のいずれか1つのトリガーキー151に対する入力操作が行われた場合にバーコードスキャナ18による読取動作を開始させる読取許可状態と、複数のトリガーキー151のいずれか1つのトリガーキー151に対する入力操作が行われた場合にバーコードスキャナ18による読取動作を開始させない読取禁止状態と、のいずれかの状態に制御し、読取禁止状態で複数のトリガーキー151のうち2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に読取禁止状態から読取許可状態へ遷移させるための読取許可制御を実行する(読取制御手段)。これによれば、2つのトリガーキー151を同時押下する簡易な操作により、バーコードスキャナ18を所望のタイミングで読取可能状態に遷移させることができる。よって、設定画面30を用いてバーコードスキャナ18の使用可否を切り替える方法と比較して、ユーザ利便性を向上させることができる。
【0072】
また、CPU11は、読取許可状態で複数のトリガーキー151のうち2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に読取許可状態から読取禁止状態へ遷移させるための読取禁止制御を実行する(読取制御手段)。これによれば、2つのトリガーキー151を同時押下する簡易な操作により、バーコードスキャナ18を所望のタイミングで読取禁止状態に遷移させることができる。よって、バーコードスキャナ18による画像の読み取りが不要な場面において簡易に読取禁止状態に遷移させることができ、ハンディターミナル10の電力消費量を効果的に抑えることができる。
【0073】
また、CPU11は、初期設定の完了後に、複数のトリガーキー151以外の操作手段を介して受け付けた入力操作に基づいて読取許可制御又は読取禁止制御を実行するための設定画面30を、ユーザからの指示に基づいて表示部16に表示させ(表示制御手段)、初期設定の完了前に2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に読取許可制御又は読取禁止制御を実行する(読取制御手段)。これにより、設定画面30を呼び出すことのできない初期設定の完了前においても、ハンディターミナル10を読取許可状態に遷移させることができる。よって、初期設定における情報入力にバーコードスキャナ18を用いることができる。これにより、初期設定で入力する情報(文字列等)を予め用紙に印刷しておき、これらの文字列の画像をバーコードスキャナ18によって読み取ることで情報の入力を行うことができ、ユーザの手間を大幅に省くことが可能となる。よって、多数のハンディターミナル10で初期設定を行うような場合においても、御入力の発生を抑え、操作時間を短縮することができる。
【0074】
また、CPU11は、初期設定の完了後においても、2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に読取許可制御又は読取禁止制御を実行する(読取制御手段)。これにより、初期設定が完了した後のハンディターミナル10の通常の使用時においても所望のタイミングで簡易にバーコードスキャナ18の使用可否を切り替えることができる。よって、例えば業務アプリ142の実行時における情報の入力方法を柔軟に切り替えることができる。
【0075】
また、複数のトリガーキー151には、ハンディターミナル10の短手方向の両端部に設けられた2つの側面トリガーキー151Sが含まれており、CPU11は、2つの側面トリガーキー151Sに対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に読取許可制御又は読取禁止制御を実行する(読取制御手段)。これによれば、簡易切替を行わせるトリガーキー151の組み合わせが限られるため、2つのトリガーキー151の意図しない同時押下によって簡易切替が行われてしまう不具合の発生を抑制することができる。特に、短手方向両端の側面トリガーキー151Sは、通常、ユーザが意図して押下しない限り同時押下されることがないため、意図しない簡易切替の実行をより確実に抑えることができる。また、このように対面に設けられた一対の側面トリガーキー151Sの同時押下のみによって簡易切替を実行可能とすることで、ユーザはハンディターミナル10の本体を二本の指で挟み込むようにして同時押下を行うことができ、ハンディターミナル10を落としてしまうことを防げる。また、短手方向両端の側面トリガーキー151Sを同時押下の対象とすることで、片手でも簡易切替を実行することができる。
【0076】
また、CPU11は、2つのトリガーキー151に対する入力操作が基準時間以上重複して行われた場合に読取許可制御又は読取禁止制御を実行し(読取制御手段)、ユーザからの指示に基づいて上記基準時間を設定する(基準時間設定手段)。ハンディターミナル10をポケットやかばんに入れている場合などでは、2つのトリガーキー151が意図せずに同時押下されてしまう場合がある。また、ユーザのハンディターミナル10の持ち方によっては、2つのトリガーキー151を意図せずに一時的に同時押下してしまう場合がある。これに対し、上記のように基準時間を設定可能な構成によれば、基準時間を長くしておくことで、これらの意図しない同時押下によって簡易切替が行われないようにすることができる。
【0077】
また、CPU11は、2つのトリガーキー151に対する入力操作に応じて読取許可制御又は読取禁止制御を実行する機能を、ユーザからの指示に基づいて無効にする(無効設定手段)。これにより、トリガーキー151が意図せずに同時押下された場合であっても簡易切替が行われないようにすることができる。
【0078】
また、本実施形態に係る端末装置としてのハンディターミナル10は、発光部181を有し、発光部181から照射された光の反射光を受光することで光学的情報を読み取る読取動作を行うバーコードスキャナ18と、発光部181による発光を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数のトリガーキー151と、CPU11と、を備え、CPU11は、複数のトリガーキー151のいずれか1つのトリガーキー151に対する入力操作が行われた場合に発光部181による発光を開始させる発光許可状態と、複数のトリガーキー151のいずれか1つのトリガーキー151に対する入力操作が行われた場合に発光部181による発光を開始させない発光禁止状態と、のいずれかの状態に制御し、発光禁止状態で複数のトリガーキー151のうち2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に発光禁止状態から発光許可状態へ遷移させるための発光許可制御を実行する(発光制御手段)。これによれば、2つのトリガーキー151を同時押下する簡易な操作により、ハンディターミナル10を所望のタイミングで発光可能状態に遷移させることができる。よって、設定画面30を用いてバーコードスキャナ18の発光可否を切り替える方法と比較して、ユーザ利便性を向上させることができる。
【0079】
また、CPU11は、発光許可状態で複数のトリガーキー151のうち2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に発光許可状態から発光禁止状態へ遷移させるための発光禁止制御を実行する(発光制御手段)。これによれば、2つのトリガーキー151を同時押下する簡易な操作により、バーコードスキャナ18を所望のタイミングで発光不能状態に遷移させることができる。よって、バーコードスキャナ18による画像の読み取りが不要な場面において簡易に発光不能状態に遷移させることで、ハンディターミナル10の電力消費量を効果的に抑えることができる。
【0080】
また、CPU11は、初期設定の完了後に、複数のトリガーキー151以外の操作手段を介して受け付けた入力操作に基づいて発光許可制御又は発光禁止制御を実行するための設定画面30を、ユーザからの指示に基づいて表示部16に表示させ(表示制御手段)、初期設定の完了前に2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に発光許可制御又は発光禁止制御を実行する(発光制御手段)。これにより、設定画面30を呼び出すことのできない初期設定の完了前においても、ハンディターミナル10を発光可能状態に遷移させることができる。よって、初期設定における情報入力にバーコードスキャナ18を用いることができる。これにより、初期設定で入力する情報(文字列等)を予め用紙に印刷しておき、これらの文字列の画像をバーコードスキャナ18によって読み取ることで情報の入力を行うことができ、ユーザの手間を大幅に省くことが可能となる。よって、多数のハンディターミナル10で初期設定を行うような場合においても、御入力の発生を抑え、操作時間を短縮することができる。
【0081】
また、CPU11は、初期設定の完了後においても、2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に発光許可制御又は発光禁止制御を実行する(発光制御手段)。これにより、初期設定が完了した後のハンディターミナル10の通常の使用時においても所望のタイミングで簡易にバーコードスキャナ18の使用可否を切り替えることができる。よって、例えば業務アプリ142の実行時における情報の入力方法を柔軟に切り替えることができる。
【0082】
また、複数のトリガーキー151には、ハンディターミナル10の短手方向の両端部に設けられた2つの側面トリガーキー151Sが含まれており、CPU11は、2つの側面トリガーキー151Sに対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に発光許可制御又は発光禁止制御を実行する(発光制御手段)。これによれば、簡易切替を行わせるトリガーキー151の組み合わせが限られるため、2つのトリガーキー151の意図しない同時押下によって簡易切替が行われてしまう不具合の発生を抑制することができる。特に、短手方向両端の側面トリガーキー151Sは、通常、ユーザが意図して押下しない限り同時押下されることがないため、意図しない簡易切替の実行をより確実に抑えることができる。また、このように対面に設けられた一対の側面トリガーキー151Sの同時押下のみによって簡易切替を実行可能とすることで、ユーザはハンディターミナル10の本体を二本の指で挟み込むようにして同時押下を行うことができ、ハンディターミナル10を落としてしまうことを防げる。また、短手方向両端の側面トリガーキー151Sを同時押下の対象とすることで、片手でも簡易切替を実行することができる。
【0083】
また、CPU11は、2つのトリガーキー151に対する入力操作が基準時間以上重複して行われた場合に発光許可制御又は発光禁止制御を実行し(発光制御手段)、ユーザからの指示に基づいて上記の基準時間を設定する(基準時間設定手段)。これにより、基準時間を長くしておくことで、トリガーキー151の意図しない同時押下によって簡易切替が行われないようにすることができる。
【0084】
また、CPU11は、2つのトリガーキー151に対する入力操作に応じて発光許可制御又は発光禁止制御を実行する機能を、ユーザからの指示に基づいて無効にする(無効設定手段)。これにより、トリガーキー151が意図せずに同時押下された場合であっても簡易切替が行われないようにすることができる。
【0085】
また、本実施形態に係るプログラム141は、ハンディターミナル10に設けられたコンピュータとしてのCPU11を、複数のトリガーキー151のいずれか1つのトリガーキー151に対する入力操作が行われた場合にバーコードスキャナ18による読取動作の開始を開始させる読取許可状態と、複数のトリガーキー151のいずれか1つのトリガーキー151に対する入力操作が行われた場合にバーコードスキャナ18による読取動作を開始させない読取禁止状態と、のいずれかの状態に制御する読取制御手段として機能させ、読取制御手段は、読取禁止状態で複数のトリガーキー151のうち2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に読取禁止状態から読取許可状態へ遷移させるための読取許可制御を実行する。このようなプログラム141によりハンディターミナル10を動作させることで、2つのトリガーキー151を同時押下する簡易な操作により、ハンディターミナル10を所望のタイミングで読取可能状態に遷移させることができる。よって、設定画面30を用いてバーコードスキャナ18の使用可否を切り替える方法と比較して、ユーザ利便性を向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態に係るプログラム141は、ハンディターミナル10に設けられたコンピュータとしてのCPU11を、複数のトリガーキー151のいずれか1つのトリガーキー151に対する入力操作が行われた場合に発光部181による発光を開始させる発光許可状態と、複数のトリガーキー151のいずれか1つのトリガーキー151に対する入力操作が行われた場合に発光部181による発光を開始させない発光禁止状態と、のいずれかの状態に制御する発光制御手段として機能させ、発光制御手段は、発光禁止状態で複数のトリガーキー151のうち2つのトリガーキー151に対する入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に発光禁止状態から発光許可状態へ遷移させるための発光許可制御を実行する。このようなプログラム141によりハンディターミナル10を動作させることで、2つのトリガーキー151を同時押下する簡易な操作により、ハンディターミナル10を所望のタイミングで発光可能状態に遷移させることができる。よって、設定画面30を用いてバーコードスキャナ18の発光可否を切り替える方法と比較して、ユーザ利便性を向上させることができる。
【0087】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部14のHDD、SSDを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリや、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0088】
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る端末装置及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、バーコードスキャナ18は、レーザースキャナに限られず、光学系及び撮像素子を有するカメラ等の撮像装置であってもよい。よって、バーコードスキャナ18は、発光部181を有しないものであってもよい。
また、バーコードスキャナ18は、レーザースキャナ及び撮像装置の双方を有するものであってもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、ハンディターミナル10が有するトリガーキー151の数が4つである例を用いて説明したが、これに限定する趣旨ではなく、トリガーキー151の数は、2つ、3つ、又は5つ以上であってもよい。また、いずれの場合においても、ハンディターミナル10の短手方向両側面にそれぞれトリガーキー151(側面トリガーキー151S)を設けることが好ましい。ただし、これに限られず、側面トリガーキー151Sを1つにしてもよいし、側面トリガーキー151Sを設けない構成としてもよい。
【0090】
また、許可制御及び禁止制御は、バーコードスキャナ18への電源供給を開始し、又は遮断する制御に限られない。例えば、許可制御及び禁止制御は、バーコードスキャナ18への電源供給は維持しつつ、CPU11からバーコードスキャナ18への制御信号の送信が可能な状態と、制御信号が遮断される状態とを切り替える制御としてもよい。
【0091】
また、ハンディターミナル10を読取禁止状態から読取許可状態に切り替える場合に簡易切替機能を適用し、読取許可状態から読取禁止状態への切り替えは簡易切替機能を用いないこととしてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、初期設定の完了後も簡易切替機能が有効である例を用いて説明したが、これに限られず、初期設定の完了前のみ簡易切替機能が有効となるようにしてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、設定画面30を用いてバーコードスキャナ18の動作可否を切り替える場合において、発光部181の発光を含むバーコードスキャナ18の読取動作全体の実行可否をトグルボタン31により切替可能とする例を用いて説明したが、これに限られない。すなわち、トグルボタン31に代えて、又はトグルボタン31に加えて、発光部181の発光可否のみを切り替えるためのトグルボタンを設け、設定画面30を用いて発光部181の発光可否を切り替えられるようにしてもよい。
【0094】
また、上記実施形態における端末装置としてのハンディターミナル10の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0095】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
光学的情報を読み取る読取動作を行う読取手段と、
前記読取手段に前記読取動作を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数の操作キーと、
前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記読取手段による前記読取動作を開始させる読取許可状態と、前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記読取手段による前記読取動作を開始させない読取禁止状態と、のいずれかの状態に制御する読取制御手段と、
を備え、
前記読取制御手段は、前記読取禁止状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取禁止状態から前記読取許可状態へ遷移させるための読取許可制御を実行することを特徴とする端末装置。
<請求項2>
前記読取制御手段は、前記読取許可状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取許可状態から前記読取禁止状態へ遷移させるための読取禁止制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
<請求項3>
当該端末装置の所定の初期設定の完了後に、前記複数の操作キー以外の操作手段を介して受け付けた入力操作に基づいて前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行するための設定画面を、ユーザからの指示に基づいて表示部に表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記読取制御手段は、前記初期設定の完了前に前記2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行することを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
<請求項4>
前記読取制御手段は、前記初期設定の完了後においても、前記2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行することを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
<請求項5>
前記複数の操作キーには、当該端末装置の短手方向の両端部に設けられた2つの端部操作キーが含まれており、
前記読取制御手段は、前記2つの端部操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行することを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の端末装置。
<請求項6>
前記読取制御手段は、前記2つの操作キーに対する前記入力操作が基準時間以上重複して行われた場合に前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行し、
当該端末装置は、ユーザからの指示に基づいて前記基準時間を設定する基準時間設定手段を備えることを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の端末装置。
<請求項7>
前記2つの操作キーに対する前記入力操作に応じて前記読取許可制御又は前記読取禁止制御を実行する機能を、ユーザからの指示に基づいて無効にする無効設定手段を備えることを特徴とする請求項2~6のいずれか一項に記載の端末装置。
<請求項8>
発光部を有し、前記発光部から照射された光の反射光を受光することで光学的情報を読み取る読取動作を行う読取手段と、
前記発光部による発光を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数の操作キーと、
前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記発光部による発光を開始させる発光許可状態と、前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記発光部による発光を開始させない発光禁止状態と、のいずれかの状態に制御する発光制御手段と、
を備え、
前記発光制御手段は、前記発光禁止状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光禁止状態から前記発光許可状態へ遷移させるための発光許可制御を実行することを特徴とする端末装置。
<請求項9>
前記発光制御手段は、前記発光許可状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光許可状態から前記発光禁止状態へ遷移させるための発光禁止制御を実行することを特徴とする請求項8に記載の端末装置。
<請求項10>
当該端末装置の所定の初期設定の完了後に、前記複数の操作キー以外の操作手段を介して受け付けた入力操作に基づいて前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行するための設定画面を、ユーザからの指示に基づいて表示部に表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記発光制御手段は、前記初期設定の完了前に前記2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行することを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
<請求項11>
前記発光制御手段は、前記初期設定の完了後においても、前記2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行することを特徴とする請求項10に記載の端末装置。
<請求項12>
前記複数の操作キーには、当該端末装置の短手方向の両端部に設けられた2つの端部操作キーが含まれており、
前記発光制御手段は、前記2つの端部操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行することを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の端末装置。
<請求項13>
前記発光制御手段は、前記2つの操作キーに対する前記入力操作が基準時間以上重複して行われた場合に前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行し、
当該端末装置は、ユーザからの指示に基づいて前記基準時間を設定する基準時間設定手段を備えることを特徴とする請求項9~12のいずれか一項に記載の端末装置。
<請求項14>
前記2つの操作キーに対する前記入力操作に応じて前記発光許可制御又は前記発光禁止制御を実行する機能を、ユーザからの指示に基づいて無効にする無効設定手段を備えることを特徴とする請求項9~13のいずれか一項に記載の端末装置。
<請求項15>
光学的情報を読み取る読取動作を行う読取手段と、前記読取手段に前記読取動作を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数の操作キーと、を備える端末装置に設けられたコンピュータを、
前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記読取手段による前記読取動作を開始させる読取許可状態と、前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記読取手段による前記読取動作を開始させない読取禁止状態と、のいずれかの状態に制御する読取制御手段として機能させ、
前記読取制御手段は、前記読取禁止状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記読取禁止状態から前記読取許可状態へ遷移させるための読取許可制御を実行することを特徴とするプログラム。
<請求項16>
発光部を有し、前記発光部から照射された光の反射光を受光することで光学的情報を読み取る読取動作を行う読取手段と、前記発光部による発光を開始させるための入力操作をそれぞれ受け付ける複数の操作キーと、を備える端末装置に設けられたコンピュータを、
前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記発光部による発光を開始させる発光許可状態と、前記複数の操作キーのいずれか1つの操作キーに対する前記入力操作が行われた場合に前記発光部による発光を開始させない発光禁止状態と、のいずれかの状態に制御する発光制御手段として機能させ、
前記発光制御手段は、前記発光禁止状態で前記複数の操作キーのうち2つの操作キーに対する前記入力操作が少なくとも一部重複するタイミングで行われた場合に前記発光禁止状態から前記発光許可状態へ遷移させるための発光許可制御を実行することを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0096】
1 端末管理システム
2 アクセスポイント
3 サーバ
10 ハンディターミナル(端末装置)
11 CPU(読取制御手段、発光制御手段、表示制御手段、基準時間設定手段、無効設定手段、コンピュータ)
12 RAM
13 ROM
14 記憶部
141 プログラム
142 業務アプリ
143 動作設定データ
15 操作部(操作手段)
151 トリガーキー(操作キー)
151B 背面トリガーキー
151F 前面トリガーキー
151S 側面トリガーキー(端部操作キー)
152 一般入力キー
16 表示部
17 通信部
18 バーコードスキャナ(読取手段)
181 発光部
19 電源部
20 バス
30 設定画面
31、33 トグルボタン
32 設定ボタン
34 入力ボックス
35 ラジオボタン
40 業務アプリ画面
41 バーコード情報入力ボックス
42 数量入力ボックス
43 サイン入力ボックス