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7490996情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法
<図1>
  • -情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法 図1
  • -情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法 図2
  • -情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法 図3
  • -情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法 図4
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  • -情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法 図6
  • -情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法 図7
  • -情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法 図8
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  • -情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法 図10
  • -情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20240521BHJP
【FI】
G06Q10/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020047949
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021149431
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】吉村 耕司
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-077934(JP,A)
【文献】特開2014-211781(JP,A)
【文献】特開2003-271563(JP,A)
【文献】特開2001-155058(JP,A)
【文献】特開2017-215643(JP,A)
【文献】特開2007-251359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを認証する認証手段と、
特定の画像情報と文字列情報との対応情報をユーザごとに記憶する記憶手段と、
画像に含まれる前記特定の画像情報を抽出する抽出手段と、
前記認証手段が認証した前記ユーザの前記対応情報に基づいて、前記抽出手段が抽出した前記特定の画像情報を、当該特定の画像情報に対応する文字列情報に置き換える置換手段と
を含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記置換手段によって文字列情報に置き換えられた画像を出力する出力手段を含む、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記置換手段は、前記抽出手段が抽出した前記特定の画像情報に基づいて決定される書体および文字サイズによって、文字列情報の置き換えを行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記画像に含まれる文字列の方向および前記特定の画像情報の方向を抽出し、
前記置換手段は、前記文字列の方向および前記特定の画像情報の方向がなす角度に基づいて決定される書字方向によって、前記文字列情報の置き換えを行うことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を介して、前記特定の画像情報から前記文字列情報への置換の対象とするか否かを選択する選択手段と
を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記置換手段は、前記選択手段において選択されなかった前記特定の画像情報を、削除することを特徴とする、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザを認証する認証手段と、
特定の画像情報と文字列情報との対応情報をユーザごとに記憶する記憶手段と、
画像に含まれる前記特定の画像情報を抽出する抽出手段と、
前記認証手段が認証した前記ユーザの前記対応情報に基づいて、前記抽出手段が抽出した前記特定の画像情報を、当該特定の画像情報に対応する文字列情報に置き換える置換手段と
を含む、情報処理システム。
【請求項8】
情報処理装置が実行するプログラムであって、前記情報処理装置を、
ユーザを認証する認証手段、
特定の画像情報と文字列情報との対応情報をユーザごとに記憶する記憶手段、
画像に含まれる前記特定の画像情報を抽出する抽出手段、
前記認証手段が認証した前記ユーザの前記対応情報に基づいて、前記抽出手段が抽出した前記特定の画像情報を、当該特定の画像情報に対応する文字列情報に置き換える置換手段
として機能させるプログラム。
【請求項9】
特定の画像情報と文字列情報との対応情報をユーザごとに記憶する記憶手段を含む情報処理装置が実行する方法であって、
ユーザを認証するステップと、
画像に含まれる前記特定の画像情報を抽出するステップと、
前記認証するステップにおいて認証した前記ユーザの前記対応情報に基づいて、前記抽出するステップにおいて抽出した前記特定の画像情報を、当該特定の画像情報に対応する文字列情報に置き換えるステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の一部を特定の文字列に置き換える情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種手続きを行うための提出書類には、氏名、現住所、連絡先などを記入する欄が設けられている。しかしながら、手続きを行う者は、各項目を手書きで記入する必要があり、労力をかける必要がある。また、手書きの場合には、提出を受けた者が文字を読み間違えるなどのヒューマンエラーの原因ともなり得る。
【0003】
この点につき、特開2014-211781号公報(特許文献1)では、個人情報記入領域を有する記入用紙を読み取り、サーバから取得した個人情報を、記入用紙の情報のうち、個人情報記入領域の情報に合成する技術が開示されている。特許文献1によれば、任意の書式の記入用紙に必要な個人情報を自動記入することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1をはじめとする従来技術では、記入用紙のフォーマットをあらかじめ登録する必要があり、任意の位置に文字列を配置することができないことから、手間の軽減という観点では充分なものではなかった。そのため、フォーマットに文字を記入する技術において、ユーザの利便性のさらなる向上が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、画像の一部を特定の文字列に置き換える情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明によれば、
画像に含まれる画像情報を抽出する抽出手段と、
前記画像情報と文字列情報との対応情報に基づいて、前記抽出手段が抽出した前記画像の前記画像情報を、当該画像情報に対応する文字列情報に置き換える置換手段と
を含む、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像の一部を特定の文字列に置き換える情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態において画像形成装置が行う処理の概略を示す図。
図2】本実施形態の画像形成装置に含まれるハードウェア構成を示す図。
図3】本実施形態の画像形成装置に含まれるソフトウェアブロック図。
図4】本実施形態におけるスタンプの構成例を示す図。
図5】本実施形態の置換データ記憶部に格納されるテーブルの例を示す図。
図6】本実施形態において種々の角度で押印されたスタンプを置換して印刷された出力用紙の例を示す図。
図7】本実施形態の画像形成装置によるスタンプの置換を伴う画像形成処理を示すフローチャート。
図8】本実施形態における置換処理を示すフローチャート。
図9】本実施形態の画像形成装置に表示されるUIの例を示す図。
図10】本実施形態の画像形成装置に表示されるUIの例を示す図。
図11】本実施形態の画像形成装置に表示されるUIの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。
【0010】
図1は、本実施形態において画像形成装置100が行う処理の概略を示す図である。まず、ユーザは、所望の文字列に対応するスタンプを、書類に押印する。そして、図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、スタンプが押印された読取原稿をスキャンし、各スタンプに対応付けられた文字列に置換した画像を印刷する。これによって、ユーザは、所望の文字列が印字された出力用紙を得ることができる。
【0011】
図1の例では、書類には「氏名」、「現住所」、「連絡先」を記入する欄が印字されている。ユーザは、「A山A介」なる文字列に対応するスタンプと、「東京都新宿区」なる文字列に対応するスタンプと、「03-1234-****」なる文字列に対応するスタンプとを、書類の氏名記入欄、現住所記入欄、連絡先記入欄にそれぞれ押印する。画像形成装置100は、このようにして作成された読取原稿をスキャンし、各スタンプについて画像処理を行う。これによって、画像形成装置100は、スキャンした画像内の各スタンプを、それぞれに対応する文字列に置き換えて出力用紙を印刷する。したがって、図1に示すように、氏名記入欄に「A山A介」と印字され、現住所記入欄に「東京都新宿区」と印字され、連絡先記入欄に「03-1234-****」と印字された出力用紙が印刷される。
【0012】
なお、本実施形態の説明において使用される用語「スタンプ」は、一般に印章や判子などとして参照される特定の印影を形成する手段またはその印影を指すものとする。
【0013】
ところで、以下に説明する実施形態では、スタンプが押印された読取原稿をスキャンして、当該スタンプ部分を文字列に置き換える構成の画像形成装置100を例示しているが、特に実施形態を限定するものではない。したがって、例えば、処理対象となる画像(図1の読取原稿に相当)に含まれる特定の画像情報(図1のスタンプの印影に相当。以下、『画像パターン』として参照する)を抽出し、当該画像パターンを文字列、シンボルマーク、記号などの種々の画像などに置き換える構成の情報処理装置としてもよい。また、情報処理装置は、処理対象となる画像を外部の装置から取得する構成であってもよいし、置き換え処理が行われた画像を用紙に印刷せず、データとして出力する構成であってもよい。
【0014】
次に、画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態の画像形成装置100に含まれるハードウェア構成を示す図である。画像形成装置100は、CPU210と、RAM220と、ROM230と、記憶装置240と、プリンタ装置250、スキャナ装置260、通信I/F270と、ディスプレイ280と、入力装置290とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。
【0015】
CPU210は、画像形成装置100の動作を制御するプログラムを実行し、所定の処理を行う装置である。RAM220は、CPU210が実行するプログラムの実行空間を提供するための揮発性の記憶装置であり、プログラムやデータの格納用、展開用として使用される。ROM230は、CPU210が実行するプログラムやファームウェアなどを記憶するための不揮発性の記憶装置である。
【0016】
記憶装置240は、画像形成装置100を機能させるOSや種々のソフトウェア、設定情報、各種データなどを記憶する、読み書き可能な不揮発性の記憶装置である。記憶装置240の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などが挙げられる。
【0017】
プリンタ装置250は、レーザ方式やインクジェット方式などによって、用紙に画像を形成する構成の装置である。スキャナ装置260は、印刷物の画像を読み取り、データ化する構成の装置である。また、例えば画像形成装置100は、スキャナ装置260とプリンタ装置250の協働により、印刷物のコピーを行うことができる。
【0018】
通信I/F270は、画像形成装置100と各種の通信ネットワークとを接続し、ネットワークを介した他の装置との通信を可能にする。ネットワークを介した通信は、有線通信または無線通信のいずれであってもよく、TCP/IPなどの所定の通信プロトコルを使用し、各種データを送受信できる。
【0019】
ディスプレイ280は、各種データや画像形成装置100の設定状態などを、ユーザに対して表示する装置であり、例として、LCD(Liquid Crystal Display)パネルなどが挙げられる。入力装置290は、ユーザが画像形成装置100を操作するための装置であり、一例として、複数のボタンによって構成される。なお、ディスプレイ280と入力装置290は、それぞれ別個の装置であってもよいし、タッチパネルディスプレイのような両方の機能を備えるものであってもよい。
【0020】
以上、本実施形態の画像形成装置100に含まれるハードウェア構成について説明した。次に、本実施形態における各ハードウェアによって実行される機能手段について、図3を以て説明する。図3は、本実施形態の画像形成装置100に含まれるソフトウェアブロック図である。
【0021】
画像形成装置100は、印刷部310、読取部320、通信部330、表示部340、操作部350、ユーザ認証部360、画像解析部370、置換処理部380、置換データ記憶部390の各モジュールを含む。以下では、各機能手段の詳細を説明する。
【0022】
印刷部310は、画像データに基づいてプリンタ装置250の動作を制御し、紙面上に画像を形成して出力することで印刷を行う手段である。
【0023】
読取部320は、スキャナ装置260の動作を制御してスキャンを実行し、紙面上の画像を読み取る手段である。読取部320は、スキャンした画像を画像データとして出力することができる。
【0024】
通信部330は、通信I/F270の動作を制御し、他の装置とのデータの送受信を行う手段である。通信部330は、例えば、各種情報処理装置から印刷処理の対象となる画像データを取得することができる。
【0025】
表示部340は、ディスプレイ280の動作を制御し、ディスプレイ280上に種々の情報を表示する手段である。表示部340によって表示される情報は、特に限定されないが、例えば、各種書誌情報、印刷対象となる画像データのプレビュー画像、画像形成装置100の設定画面などが挙げられる。
【0026】
操作部350は、入力装置290の動作を制御し、ユーザからの各種操作を受け付ける手段である。操作部350は、例えば、設定情報の変更などを受け付けることができる。
【0027】
ユーザ認証部360は、ユーザが入力したログイン情報などに基づいて、当該ユーザの認証を行う手段である。なお、ユーザの認証は、各ユーザが所有するICカードなどによって行われてもよい。
【0028】
画像解析部370は、読取部320や通信部330によって取得された画像を解析する手段である。画像解析部370は、画像に含まれるスタンプを抽出することができる。また、画像解析部370は、抽出したスタンプのパターン構成、位置、角度などを識別することができる。
【0029】
置換処理部380は、画像に含まれるスタンプの画像を文字列に置き換える手段である。置換処理部380は、画像解析部370が抽出したスタンプの画像パターンに基づいて置換データ記憶部390を参照し、各スタンプに対応する文字列を特定する。そして、画像パターンを文字列に置き換えた画像を生成し、画像データとして出力する。置換処理部380が処理した画像データは、印刷部310に出力され、用紙に印刷されてもよいし、表示部340に出力され、ディスプレイ280に表示されてもよい。また、ユーザの操作によって、各スタンプについて置換処理を行うか否かを選択できる構成としてもよい。
【0030】
置換データ記憶部390は、記憶装置240の動作を制御し、スタンプを文字列に置換するための対応情報を記憶する手段である。なお、置換データ記憶部390に記憶される対応情報は、例えば、スタンプの画像パターンと文字列情報とを対応付けて構成することができる。また、置換データ記憶部390は、ユーザごとの対応情報を記憶することができる。これによって、ログインしたユーザに係る文字列に置換することができ、個人情報の漏洩などのリスクを低減することができる。
【0031】
なお、上述したソフトウェアブロックは、CPU210が本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
【0032】
さらに、上述した各機能手段は、必ずしも全てが図3に示すような構成で画像形成装置100に含まれていなくてもよい。例えば、他の好ましい実施形態では、置換データ記憶部390が外部の装置に含まれる情報処理システムなどとして構成されてもよい。置換データ記憶部390が外部の装置に含まれる情報処理システムの例として、置換データ記憶部390が、サーバ装置などに含まれる構成としてもよい。また、例えば、置換データ記憶部390がネットワーク上の記憶領域に含まれる、いわゆるクラウドシステムとして構成されてもよい。また、画像形成装置100以外の情報処理装置が各機能手段を備える構成であってもよく、例えば、入力された画像内のパターンを特定の文字列に置き換える情報処理装置として構成されてもよい。さらに、各機能手段は、複数の情報処理装置の協働によって実現されてもよい。
【0033】
次に、本実施形態のスタンプについて説明する。図4は、本実施形態におけるスタンプの構成例を示す図である。図4(a)は、本実施形態のスタンプの形態の一例を示している。図4(a)に示すスタンプは、3行×6列からなるドットの組み合わせを押印することができ、いわゆるスタンプ台から供給されるインクによって、所定のパターンを形成することができる。図4(a)のスタンプの例では、3行×6列からなるドットの組み合わせによって、最大で18ビットの2値情報を格納することができる。説明する実施形態では、図4(a)~(c)に示す形態のスタンプを共通して例示するものとするが、特に実施形態を限定する意図はない。また、本実施形態では、列方向を横方向とし、長手となるようにドットが配置された、横長のスタンプを例示して説明するが、特に実施形態を限定するものではない。
【0034】
なお、以下の実施形態の説明では、図4(a)などに示すスタンプにおいて、各ドットの位置を、以下のようにして、行および列によって表現することがある。すなわち、例えば、第1行目の第3列目のドットを(1,3)として表現し、第3行目の第5列目のドットを(3,5)として表現する点に留意されたい。また、以下の例において、スタンプを押印した際にドットが形成される場合には、2値情報における「1」を示し、ドットが形成されない場合には、2値情報における「0」を示すものとする。但し、ドットの形成の有無と2値情報の対応は一例であり、上述したものに限定されない。
【0035】
図4(b)は、本実施形態のスタンプの各ビットの構成の例を示している。本実施形態のスタンプでは、デフォルトで(1,1)、(1,6)、(2,1)、(2,2)、(2,3)、(2,4)、(2,5)、(2,6)、(3,6)の9箇所に、ドットのパターンが形成されるように構成される。また、(1,3)にはドットのパターンが形成されないように構成される。このように、スタンプのパターンの四隅のうち1箇所にドットが形成されない構成とすることで、スタンプを抽出した際にスタンプの角度を求めることができる。
【0036】
本実施形態のスタンプは、図4(b)に示すように、(1,2)、(1,3)、(1,4)、(1,5)の4つのドットから構成される4ビット(bit0~bit3)の2値情報によって、置き換える文字列を特定することができる。また、(3,4)、(3,5)の2つのドットから構成される2ビット(bit4~bit5)の2値情報によって、置き換える文字列の書体を特定することができる。また、(3,2)、(3,3)の2つのドットから構成される2ビット(bit6~bit7)の2値情報によって、置き換える文字列の文字サイズを特定することができる。なお、スタンプの構成は一例であって、特に実施形態を限定するものではない。したがって、書体や文字サイズ以外の情報を特定する構成のスタンプとしてもよい。
【0037】
図4(c)は、押印されたスタンプの具体的な例を示している。図4(c)に示すスタンプの例では、文字列を特定する2値情報(bit3 bit2 bit1 bit0)として「0100」が押印され、書体を特定する2値情報(bit5 bit4)として「01」が押印され、文字サイズを特定する2値情報(bit7 bit6)として「10」が押印される。画像解析部370は、このようにして置換する文字列情報を特定でき、これによって、スタンプを所望の文字列に置き換えることができる。
【0038】
次に、図4に示したようなスタンプに基づくデータと、置換されるデータとの対応について、図5を以て説明する。図5は、本実施形態の置換データ記憶部390に格納されるテーブルの例を示す図である。図5(a)は、スタンプの2値情報によって特定される文字列の項目、書体、文字サイズ示すテーブルである。
【0039】
図5(a)に示すように、スタンプのbit0~bit3に対応するドットによって、文字列として複数の項目を定義することができる。例えば、図5(a)のように、本人や家族の名前、住所、電話番号などを2値情報と対応付けることができる。図5(a)の例では、スタンプによって、文字列を特定する2値情報として「0000」が押印された場合には、当該スタンプを本人の名前の文字列と置換する。また、スタンプによって、文字列を特定する2値情報として「0100」が押印された場合には、当該スタンプを住所の文字列と置換する。
【0040】
また、図5(a)に示すように、スタンプのbit4およびbit5に対応するドットによって、置換される文字列の書体を定義することができる。図5(a)の例では、スタンプによって、文字列の書体を特定する2値情報として「00」が押印された場合には、当該スタンプは、メイリオの書体の文字列に置換される。
【0041】
また、図5(a)に示すように、スタンプのbit6およびbit7に対応するドットによって、置換される文字列の文字サイズを定義することができる。図5(a)の例では、スタンプによって、文字列の文字サイズを特定する2値情報として「00」が押印された場合には、当該スタンプは、9ptの文字サイズの文字列に置換される。
【0042】
なお、置換される文字列の各項目の具体的な内容は、図5(b)に示すように、ユーザを識別するIDごとに対応情報を格納する構成としてもよい。図5(b)は、ユーザごとの文字列を定義したテーブルの例を示している。例えば、図5(b)の例では、ユーザIDが「user001」のユーザには、本人の名前として「A山A介」という文字列が対応付けられ、住所として「東京都新宿区」という文字列が対応付けられている。このようにして、ユーザごとに文字列を定義することで、同一のスタンプを使用しても、ログインしたユーザによって異なる文字列に置換することができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0043】
より具体的な例として、図4(c)に示す形態のスタンプが書類に押印された場合について考える。かかる場合において、ユーザIDが「user001」のユーザがログインし、読取原稿についての置換処理を実行すると、以下のような処理となる。すなわち、画像解析部370は、当該スタンプが押印された読取原稿の画像を解析し、文字列を特定する2値情報「0100」と、書体を特定する2値情報「01」と、文字サイズを特定する2値情報「10」とを抽出する。画像解析部370が解析した抽出結果を受けて、置換処理部380は、図5(a)および(b)のような対応情報を格納する置換データ記憶部390を参照する。これによって、置換データ記憶部390は、図5(a)に示すテーブルより、「住所」についての文字列を、「ゴシック体」の書体で、「9pt」の文字サイズで置換することを特定することができる。ここで、置換処理部380は、ログインしているユーザのID(user001)と併せて、置換データ記憶部390を参照することで、「住所」として「東京都新宿区」という文字列を特定することができる。したがって、スタンプが9ptのゴシック体による「東京都新宿区」という文字列と置換された画像を出力することができる。
【0044】
ところで、本実施形態におけるスタンプは、図4において説明したように、スタンプの押印方向を特定できる構成とすることができる。このような構成の場合、画像解析部370は、読取原稿内の文字列の書字方向を識別できる構成とすることが好ましい。これによって、スタンプが押印された角度に基づいて文字列を置換することができる。図6は、本実施形態において種々の角度で押印されたスタンプを置換して印刷された出力用紙の例を示す図である。
【0045】
図6(a)は、読取原稿内の文字列が横書きであり、長手方向が横向きになるようにスタンプが押印された例を示している。このような読取原稿のスタンプについて、文字列への置換処理を行うと、図6(a)のように、「東京都新宿区」という文字列が横書きとなって置換される。
【0046】
また、図6(b)は、読取原稿内の文字列が横書きであり、斜めになるようにスタンプが押印された例を示している。このような読取原稿のスタンプについて、文字列への置換処理を行うと、図6(b)のように、「東京都新宿区」という文字列が横書きで、スタンプの押印された角度に対応して、斜めの文字列となって置換される。
【0047】
また、図6(c)は、読取原稿内の文字列が横書きであり、長手方向が縦向きになるようにスタンプが押印された例を示している。このような読取原稿のスタンプについて、文字列への置換処理を行うと、図6(c)のように、「東京都新宿区」という文字列が縦書きとなって置換される。このようにして、読取原稿内の文字列の書字方向と、スタンプが押印された方向との差分が、所定の閾値よりも大きい場合には、スタンプから置換される文字列の書字方向を、読取原稿内の文字列の書字方向と異なる書字方向で置換することができる。これによって、文字列の視認性を向上した置換処理を行うことができる。
【0048】
以下では、本実施形態の画像形成装置100が実行する処理について説明する。図7は、本実施形態の画像形成装置100によるスタンプの置換を伴う画像形成処理を示すフローチャートである。画像形成装置100は、ステップS1000から処理を開始する。
【0049】
ステップS1001において、ユーザ認証部360は、ユーザのログインを受け付け、認証処理を行う。ユーザの認証は、IDおよびパスワードの組み合わせによって行われてもよいし、ICカードを読み取ることで行われてもよい。
【0050】
次に、ステップS1002では、読取部320は、読取原稿をスキャンする。読取部320は、読取原稿の画像データを画像解析部370に出力する。なお、読取原稿が複数のページから構成される場合には、画像データをページごとに出力する。
【0051】
ステップS1003では、画像解析部370は、画像データを解析し、画像内に含まれるスタンプの画像パターンを抽出する。なお、画像の解析処理は、ページごとに行う。
【0052】
次に、ステップS1004では、画像にスタンプの画像パターンが含まれていたか否かによって処理を分岐する。ステップS1003における抽出処理の結果、画像にスタンプが含まれていない場合には(NO)、ステップS1006に進む。一方で、画像にスタンプが含まれていた場合には(YES)、ステップS1005に進む。ステップS1005では、スタンプの画像パターンを文字列に置き換える置換処理を行う。ステップS1005の置換処理の詳細は、後述する。
【0053】
ステップS1005の置換処理の後、または、ステップS1004において画像にスタンプが含まれていない場合に分岐した後、ステップS1006を行う。ステップS1006では、全てのページに係る画像を処理したか否かによって、処理を分岐する。全ての画像を処理していない場合(NO)、すなわち処理されていない画像がある場合には、ステップS1003に戻り、上記の処理を繰り返す。全ての画像を処理した場合には(YES)、ステップS1007に進む。
【0054】
ステップS1007では、表示部340は、置換処理が行われた画像の出力プレビューを含むUI(User Interface)を表示する。また、ステップS1008では、表示部340および操作部350は、ステップS1007において表示されるUIにおいて、どのスタンプを置換するかの選択を受け付ける。出力プレビューを表示することで、どのような画像が印刷されるかをユーザが認識することができる。また、置換するスタンプを選択することで、ユーザは、意図した画像が形成された出力用紙を得ることができる。なお、本実施形態において表示されるUIについての詳細は後述する。
【0055】
次に、ステップS1009では、印刷部310は、画像を紙面上に形成する印刷処理を行う。その後、ステップS1010において、画像形成装置100は、画像形成処理を終了する。
【0056】
ここで、ステップS1005において行われる置換処理について、図8を以て説明する。図8は、本実施形態における置換処理を示すフローチャートである。置換処理は、ステップS2000から開始される。
【0057】
画像解析部370は、ステップS2001において、スタンプの押印されている方向を判定する。また、画像解析部370は、併せて読取原稿内の文字列の書字方向を判定する。置換処理部380は、スタンプの押印方向と読取原稿の書字方向とに基づいて、置換される文字列の書字方向を決定することができる。
【0058】
次に、置換処理部380は、ステップS2002では、画像解析部370が抽出したスタンプの画像パターンに基づいて置換データ記憶部390を参照し、当該スタンプに対応する文字列を特定する。なお、置換処理部380は、ログインしているユーザのIDを参照して、置換するべき文字列を特定することとしてもよい。なお、この段階で、図7におけるステップS1007およびS1008のような出力プレビュー表示および選択の受け付けなどを行ってもよい。
【0059】
ステップS2003では、スタンプの置き換えを行うか否かによって処理を分岐する。スタンプの置き換えを行わない場合には(NO)、ステップS2007に進み、置換処理を終了する。置換処理が終了すると、図7のステップS1006を行う。
【0060】
ステップS2003においてスタンプの置き換えを行う場合には(YES)、ステップS2004に進む。置換処理部380は、ステップS2004では、画像内におけるスタンプ部分の画像パターンを削除する。このようにしてスタンプの画像パターンを削除することで、当該スタンプ部分を所望の画像や文字列などに置き換えることができる。
【0061】
次に、ステップS2005では、スタンプの画像パターンを削除した領域に文字列を描画するか否かによって処理を分岐する。文字列を描画しない場合には(NO)、ステップS2007に進み、処理を終了する。なお、また、文字列を描画しない場合には、当該スタンプ部分を削除した画像を出力することができる。すなわち、スタンプ部分が空白(ブランク)となった画像を出力することができる。
【0062】
文字列を描画する場合には(YES)、ステップS2006に進む。置換処理部380は、ステップS2006において、ステップS2004においてスタンプが削除された領域に、ステップS2002において特定された文字列を描画する。ステップS2006では、置換処理部380は、文字列を描画した画像を出力する。その後、ステップS2007に進む。
【0063】
なお、ステップS2003における置き換えを行うか否かの選択や、ステップS2005における文字列を描画するか否かの選択は、後述するUIによって行うことができる。
【0064】
以上、図7および図8において説明した処理によって、読み取った画像の一部を所望の文字列に置き換えることができる。
【0065】
以下では、本実施形態におけるUIについて、図9図11を以て説明する。図9図11は、本実施形態の画像形成装置100に表示されるUIの例を示す図である。図9(a)は、読取原稿の例を示しており、一例として、「氏名」、「現住所」、「連絡先」の3項目を記入する記入欄を含むフォーマットの用紙において、各項目にそれぞれスタンプが押印されている読取原稿を示している。以下のUIの説明においては、図9(a)に示す読取原稿のスタンプを置換する例を以て説明する。
【0066】
図9(b)は、読取原稿をスキャンした後に表示されるUIの例を示している。図9(b)の例では、「スタンプ置換機能」のオン/オフを切り替えるラジオボックスにおいて「ON」が選択され、各スタンプは「置換する」のラジオボックスが選択されている。また、出力プレビューとして、「氏名」記入欄に押印されたスタンプと、「現住所」に押印されたスタンプと、「連絡先」に押印されたスタンプとが、それぞれ「A山A介」、「東京都新宿区」、「03-1234-****」という文字列に置換された画像が表示されている。ユーザは、図9(b)に示すUIにおいて、置換の実行の有無を選択し、出力プレビューを確認することで、スタンプを所望の文字列に置換した画像を印刷することができる。
【0067】
図10(a)では、スタンプ置換機能の各スタンプにおいて、名前と住所のスタンプは「置換する」が選択され、「TEL」のスタンプは「空白にする」が選択された例を示している。かかる場合には、出力プレビューにおいて、「氏名」記入欄に押印されたスタンプと、「現住所」記入欄に押印されたスタンプとが、それぞれ「A山A介」、「東京都新宿区」という文字列に置換されている。また、「連絡先」記入欄に押印されたスタンプは、削除されている。このようにスタンプを削除することで、例えばユーザにとって所望の文字列に置換されない場合などに、当該スタンプを排除した画像を出力することができる。
【0068】
図10(b)は、スタンプ置換機能において、文字列に置換するスタンプと、削除するスタンプと、置換しないスタンプとが混在する例を示している。すなわち、「氏名」記入欄に押印されたスタンプについては「置換しない」が選択されていることから、UIの出力プレビューには当該スタンプの画像が表示される。「現住所」記入欄に押印されたスタンプについては、「置換する」が選択されていることから、UIの出力プレビューには当該スタンプに対応する文字列(「東京都新宿区」)が置換された画像が表示される。「連絡先」記入欄に押印されたスタンプについては、「空白にする」が選択されていることから、UIの出力プレビューには当該スタンプ部分の画像が削除された画像が表示される。
【0069】
図11(a)は、スタンプ置換機能において、削除するスタンプと、置換しないスタンプとが混在する例を示している。すなわち、「氏名」記入欄に押印されたスタンプと「連絡先」記入欄に押印されたスタンプについては「置換しない」が選択されていることから、UIの出力プレビューには当該スタンプの画像が表示される。「現住所」記入欄に押印されたスタンプについては、「空白にする」が選択されていることから、UIの出力プレビューには当該スタンプ部分の画像が削除された画像が表示される。
【0070】
図10(b)や図11(a)のように、ユーザは、置換の有無などを任意に選択して画像を出力できる。これによって、スタンプの押印間違いなどによって発生する不適切な画像の出力などを防止することができる。
【0071】
図11(b)は、スタンプ置換機能のオン/オフを切り替えるラジオボックスにおいて「OFF」が選択された場合の例を示している。かかる場合には、読取原稿に押印されたスタンプは置換されず、出力プレビューには、スタンプの画像を含む画像が表示される。このような画像を印刷することで、ユーザは、出力された用紙を新たな読取原稿とすることができる。なお、スタンプ置換機能を「ON」としたうえで、全てのスタンプについて「置換しない」を選択することで、同様の画像を出力することができる。
【0072】
以上、説明した本発明の実施形態によれば、画像の一部を特定の文字列に置き換える情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび方法を提供することができる。
【0073】
上述した本発明の実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD-ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM(登録商標)、EPROM等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0074】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0075】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
100…画像形成装置、210…CPU、220…RAM、230…ROM、240…記憶装置、250…プリンタ装置、260…スキャナ装置、270…通信I/F、280…ディスプレイ、290…入力装置、310…印刷部、320…読取部、330…通信部、340…表示部、350…操作部、360…ユーザ認証部、370…画像解析部、380…置換処理部、390…置換データ記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【文献】特開2014-211781号公報
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