(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】駆動制御装置、シート処理装置、負荷起動方法
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20240521BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240521BHJP
H02P 5/68 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H02P29/00
B65H37/04 D
H02P5/68
(21)【出願番号】P 2020057639
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 陽志
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-278348(JP,A)
【文献】特開2018-186625(JP,A)
【文献】特開2002-136186(JP,A)
【文献】特開2014-169160(JP,A)
【文献】特開2015-154117(JP,A)
【文献】特開2018-207753(JP,A)
【文献】特開2008-167517(JP,A)
【文献】特開2002-044990(JP,A)
【文献】特開2010-284000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
B65H 37/04
H02P 5/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から出力される電流を第1負荷に供給する第1駆動回路と、
前記第1駆動回路に対応して設けられ、前記電源と前記第1駆動回路との間の給電経路に接続される第1容量素子と、
前記電源から出力される電流を第2負荷に供給する第2駆動回路と、
前記第2駆動回路に対応して設けられ、前記電源と前記第2駆動回路との間の給電経路に接続される第2容量素子と、
前記第1負荷への給電が開始される前に、前記電源から電荷を供給させて前記第1容量素子
及び前記第2容量素子を充電させる第1処理部と、
前記第1容量素子
及び前記第2容量素子が充電された後に、前記電源から出力される電流と、前記第1容量素子
及び前記第2容量素子に充電された電荷に応じた電流とを前記第1駆動回路を介して前記第1負荷に供給させる第2処理部と、
前記電源と前記第1容量素子及び前記第2容量素子との間の前記給電経路に接続され、前記給電経路の電流を制御する電流制御素子と、
を備え
、
前記電流制御素子は、前記第1負荷への給電が開始される前に、前記給電経路に流れる最大電流を第1電流値に制御し、前記第1容量素子及び前記第2容量素子が充電された後に、前記給電経路に流れる最大電流を第2電流値に制御する、駆動制御装置。
【請求項2】
前記電流制御素子は、前記第1負荷をオフ状態にする第1制御信号が入力された場合に前記第1電流値に制御し、前記第1負荷をオン状態にする第2制御信号が入力された場合に前記第2電流値に制御する、
請求項
1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記電流制御素子は電界効果トランジスタで構成され、
前記電界効果トランジスタは、ソース端子が前記電源に接続され、ドレイン端子が前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路のそれぞれに接続され、
前記電界効果トランジスタは、前記ソース端子
とゲート端子
との間の電圧が前記第1制御信号に応じた第1電圧である場合に、前記ドレイン端子から流れる最大電流を前記第1電流値に制御し、前記ソース端子
とゲート端子
との間の電圧が前記第2制御信号に応じた第2電圧である場合に、前記ドレイン端子から流れる最大電流を前記第2電流値に制御する、
請求項
2に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
前記ソース端子
と前記ゲート端子
との間には容量素子が設けられており、
前記ソース端子
と前記ゲート端子
との間の電圧は、前記容量素子によって徐々に前記第1電圧に上昇する、
請求項
3に記載の駆動制御装置。
【請求項5】
前記第2処理部は、必要となる電流値と前記第2電流値との差分電流に相当する電荷を前記第1容量素子及び前記第2容量素子から放出させる、
請求項
1~
4のいずれかに記載の駆動制御装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかに記載の駆動制御装置と、
前記第1負荷と、
シート積載部に積載されたシート束に対してステープル処理を実行するステープル部と、
を備え、
前記第1負荷は、前記ステープル部の駆動に用いられるモーターである、
シート処理装置。
【請求項7】
電源から出力される電流を第1負荷に供給する第1駆動回路と、
前記第1駆動回路に対応して設けられ、前記電源と前記第1駆動回路との間の給電経路に接続される第1容量素子と、
前記電源から出力される電流を第2負荷に供給する第2駆動回路と、前記第2駆動回路に対応して設けられ、前記電源と前記第2駆動回路との間の給電経路に接続される第2容量素子と、前記電源と前記第1容量素子及び前記第2容量素子との間の前記給電経路に接続され、前記給電経路の電流を制御する電流制御素子と、を備える駆動制御装置で実行される負荷起動方法であって、
前記第1負荷への給電が開始される前に、前記電源から電荷を供給させて前記第1容量素子
及び前記第2容量素子を充電させることと、
前記第1容量素子
及び前記第2容量素子が充電された後に、前記電源から出力される電流と、前記第1容量素子
及び前記第2容量素子に充電された電荷に応じた電流とを前記第1駆動回路を介して前記第1負荷に供給させることと、
前記第1負荷への給電が開始される前に、前記給電経路に流れる最大電流を第1電流値に制御し、前記第1容量素子及び前記第2容量素子が充電された後に、前記給電経路に流れる最大電流を第2電流値に制御することと、
を含む負荷起動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動制御装置、駆動制御装置を備えるシート処理装置、及び負荷起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターのようなシート処理装置では、電源からの給電によりモーターなどの負荷が駆動される。また、モーターで発生する回生電流を利用して、当該モーターの駆動に必要な電力を低減可能なモーター駆動方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記シート処理装置では、前記負荷の大型化などに伴い、電源から供給される電流が大きくなり、特に起動時に流れる電流(起動電流)が最大となる。このように前記負荷に大電流が流れる装置では、定格電流が大きい電源及び部品を選定する必要があり、装置のコストが高くなる問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、負荷起動時に電源から供給される電流を抑制可能な駆動制御装置、シート処理装置、及び負荷起動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る駆動制御装置は、第1駆動回路と、第1容量素子と、第1処理部と、第2処理部とを備える。前記第1駆動回路は、電源から出力される電流を第1負荷に供給する。前記第1容量素子は、前記電源と前記第1駆動回路との間の給電経路に接続される。前記第1処理部は、前記第1負荷への給電が開始される前に、前記電源から電荷を供給させて前記第1容量素子を充電させる。前記第2処理部は、前記第1容量素子が充電された後に、前記電源から出力される電流と、前記第1容量素子に充電された電荷に応じた電流とを前記第1駆動回路を介して前記第1負荷に供給させる。
【0007】
本発明の他の局面に係るシート処理装置は、前記駆動制御装置と、前記第1負荷と、ステープル部とを備える。前記ステープル部は、シート積載部に積載されたシート束に対してステープル処理を実行する。前記第1負荷は、前記ステープル部の駆動に用いられるモーターである。
【0008】
本発明の他の局面に係る負荷起動方法は、電源から出力される電流を第1負荷に供給する第1駆動回路と、前記電源と前記第1駆動回路との間の給電経路に接続される第1容量素子とを備える駆動制御装置で実行される。前記負荷起動方法は、前記第1負荷への給電が開始される前に、前記電源から電荷を供給させて前記第1容量素子を充電させることと、前記第1容量素子が充電された後に、前記電源から出力される電流と、前記第1容量素子に充電された電荷に応じた電流とを前記第1駆動回路を介して前記第1負荷に供給させることと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、負荷起動時に電源から供給される電流を抑制可能な駆動制御装置、シート処理装置、及び負荷起動方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の外観構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一部の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一部の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一部の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の第2駆動回路の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の第3駆動回路の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の第2駆動回路の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の第3駆動回路の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御基板の構成を示す回路図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のFETの電流特性を示すグラフである。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の第1モーターの電流波形を示すグラフである。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御基板の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御基板の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[画像形成装置10の構成]
まず、
図1~
図4を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。
図2は画像形成部3及びシート搬送部4の構成を示す断面図である。また、
図3は後処理装置5の構成を示す断面図である。また、
図4は後処理装置5の一部、電源ユニット8及び制御部9の構成を示す図である。なお、
図4では、制御部9から出力される制御信号が矢印付きの一点鎖線により示されている。
【0013】
画像形成装置10は、原稿から画像を読み取り画像データを取得するスキャン機能、及び画像データに基づいて画像を形成するプリント機能と共に、ファクシミリ機能及びコピー機能などの複数の機能を有する複合機である。画像形成装置10は、本発明のシート処理装置の一例である。なお、画像形成装置10は、プリンター装置、ファクシミリ装置、又はコピー機などであってもよい。
【0014】
図1及び
図4に示されるように、画像形成装置10は、ADF(自動原稿搬送装置)1、画像読取部2、画像形成部3、シート搬送部4、後処理装置5、操作表示部7、電源ユニット8、及び制御部9を備える。
【0015】
ADF1は、原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備え、画像読取部2によって読み取られる原稿を搬送する。画像読取部2は、原稿台、光源、複数のミラー、光学レンズ、及びCCDを備え、原稿から画像データを取得することが可能である。
【0016】
画像形成部3は、画像読取部2で取得された画像データに基づいて、電子写真方式で画像を形成することが可能である。また、画像形成部3は、外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて、画像を形成することも可能である。
図2に示されるように、画像形成部3は、感光体ドラム31、帯電装置32、光走査装置33、現像装置34、転写ローラー35、クリーニング装置36、及び定着部37を備える。
【0017】
シート搬送部4は、画像形成部3による画像形成位置を経由して、シートを後処理装置5に搬送する。
図2に示されるように、シート搬送部4は、4つの給紙ユニット41、第1搬送路42、複数の搬送ローラー43、及びレジストローラー44を備える。
【0018】
4つの給紙ユニット41は、それぞれ給紙カセット411、ピックアップローラー412、及び給紙ローラー413を備える。給紙カセット411には、画像の形成に用いられるシートが載置される。例えば、給紙カセット411に載置されるシートは、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどを含む。ピックアップローラー412は、給紙カセット411に載置された複数枚のシートのうち、最上位に位置するシートを給紙ローラー413に搬送する。給紙ローラー413は、ピックアップローラー412により搬送されたシートを第1搬送路42に搬送する。
【0019】
第1搬送路42は、給紙カセット411各々と後処理装置5とを接続するシートの移動通路である。第1搬送路42は、画像形成装置10の筐体内部に設けられた一対のガイド部材により形成される。第1搬送路42には、シートの搬送に用いられる複数の搬送ローラー43、及びレジストローラー44が設けられる。シート搬送部4では、シートが複数の搬送ローラー43、及びレジストローラー44により
図2に示される搬送方向D1に搬送される。
【0020】
画像形成部3では、シート搬送部4から搬送されるシートに以下の手順で画像が形成される。
【0021】
まず、帯電装置32により感光体ドラム31の表面が所定の電位に一様に帯電される。次に、光走査装置33により感光体ドラム31の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム31の表面に画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0022】
そして、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像は現像装置34によってトナー像として現像(可視像化)される。現像装置34により現像されたトナー像は、
図2に示される矢印方向に回転する感光体ドラム31により転写ローラー35による転写位置(前記画像形成位置)まで搬送される。なお、現像装置34には、画像形成部3に着脱可能な不図示のトナーコンテナからトナーが補給される。
【0023】
一方、シート搬送部4は、画像形成部3による画像形成動作と並行して、前記画像形成位置にシートを搬送する。例えば、4つの給紙ユニット41のうち、給紙ユニット41A(
図2参照)の給紙カセット411が給紙元に設定されている場合、当該給紙カセット411に載置されている複数枚のシートが当該給紙カセット411の底部に設けられた不図示のリフト板によりピックアップローラー412との接触位置まで持ち上げられる。ピックアップローラー412は、前記リフト板によって持ち上げられた複数枚のシートのうち最上位に位置するシートを取り出す。ピックアップローラー412により取り出されたシートは、給紙ローラー413により第1搬送路42に搬送される。給紙ローラー413により第1搬送路42に搬送されたシートは、搬送ローラー43によりレジストローラー44まで搬送される。
【0024】
レジストローラー44は、感光体ドラム31によるトナー像の前記画像形成位置への搬送タイミングに合わせて、シートを前記画像形成位置に送出する。例えば、第1搬送路42には、シートの通過を検出する不図示のセンサーが、レジストローラー44の配置位置よりも搬送方向D1の上流側に設けられている。制御部9は、前記センサーによるシートの通過の検出タイミングに基づいて、前記搬送タイミングに合致するレジストローラー44によるシートの送出タイミングを設定する。そして、レジストローラー44は、制御部9により設定された前記送出タイミングに基づいて、シートを前記画像形成位置に送出する。これにより、前記送出タイミングで前記画像形成位置に送出されたシートの表面に、前記搬送タイミングで搬送されるトナー像が転写ローラー35により転写される。
【0025】
なお、転写ローラー35によるトナー像の転写後に感光体ドラム31の表面に残存したトナーは、クリーニング装置36により除去される。例えば、クリーニング装置36では、感光体ドラム31の表面に残存したトナーがブレード状のクリーニング部材により除去される。そして、前記クリーニング部材により除去されたトナーは、搬送スクリューにより不図示のトナー収容容器まで搬送されて回収される。
【0026】
前記画像形成位置でトナー像が転写されたシートは、搬送ローラー43により定着部37に搬送される。定着部37では、加熱ローラー及び加圧ローラーによりシートに転写されたトナー像が加熱圧縮される。これにより、トナー像がシートに溶融定着する。定着部37によってトナー像が定着されたシートは、搬送ローラー43により後処理装置5に搬送される。
【0027】
操作表示部7は、制御部9からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザー操作に応じて制御部9に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。
【0028】
後処理装置5は、シート搬送部4から搬送される画像形成後のシートに対して穿孔処理(パンチ処理)及びステープル処理などの後処理を行う。
図3に示されるように、後処理装置5は、第2搬送路51、複数の搬送ローラー52(本発明の搬送ローラーの一例)、パンチ部53、スタックトレイ54(本発明のシート積載部の一例)、ステープル部55、排出ローラー56、及び排出トレイ57を備える。また、後処理装置5は、
図4に示される第1モーター61、第2モーター62、ソレノイド63、及び制御基板65を備える。
【0029】
第2搬送路51は、第1搬送路42と排出トレイ57とを接続するシートの移動通路である。第2搬送路51には、シートの搬送に用いられる複数の搬送ローラー52が設けられる。複数の搬送ローラー52は、スタックトレイ54にシートを搬送する。後処理装置5では、シートが複数の搬送ローラー52により
図3に示される搬送方向D1に搬送される。
【0030】
パンチ部53は、第2搬送路51に設けられ、第2搬送路51を搬送されるシートにパンチ穴をあけるパンチ処理を実行する。スタックトレイ54は、第2搬送路51におけるパンチ部53よりも搬送方向D1の下流側に設けられる。スタックトレイ54には、給紙カセット411から搬送される複数枚のシートが積載される。ステープル部55は、スタックトレイ54に積載された複数枚のシートに対して当該複数枚のシートをステープルで綴じるステープル処理を実行する。排出ローラー56は、ステープル部55によって前記ステープル処理が実行されたシート束を搬送して、当該シート束をスタックトレイ54から排出トレイ57に排出する。排出ローラー56は、アーム56Aにより従動ローラー56Bから離間する方向へ移動可能に支持されている。
【0031】
第1モーター61は、ステープル部55の駆動に用いられる。例えば、第1モーター61はDCブラシモーターである。
【0032】
図4に示されるように、第1モーター61は、第1駆動回路641を介して電源ユニット8に接続される。第1モーター61は、電源ユニット8から給電を受ける複数の負荷のなかで、起動電流が最も大きい負荷である。第1モーター61は、本発明の第1負荷の一例である。なお、第1モーター61は、電源ユニット8から給電を受ける複数の負荷のなかで、起動電流が最も大きい負荷でなくてもよい。
【0033】
第2モーター62は、複数の搬送ローラー52のような後処理装置5の構成部材の駆動に用いられる。例えば、第2モーター62はステッピングモーターである。第2モーター62は、
図5に示されるコイル621を含む。なお、第2モーター62は、DCブラシモーターなどの他の種類のモーターであってもよい。
【0034】
図4に示されるように、第2モーター62は、第2駆動回路642、及び電源ユニット8から第1モーター61への給電経路上の合流位置P1を介して電源ユニット8に接続される。第2モーター62は、第1モーター61よりも小さい起動電流で起動する。第2モーター62は、本発明の第2負荷の一例である。なお、後処理装置5は、第2モーター62を複数備えていてもよい。
【0035】
ソレノイド63は、アーム56Aのような後処理装置5の構成部材の駆動に用いられる。ソレノイド63は、
図6に示されるコイル631を含む。
【0036】
図4に示されるように、ソレノイド63は、第3駆動回路643、及び電源ユニット8から第2モーター62への給電経路上の合流位置P2を介して電源ユニット8に接続される。ソレノイド63は、第1モーター61よりも小さい起動電流で起動する。ソレノイド63は、本発明における第2負荷の他の一例である。なお、後処理装置5は、ソレノイド63を複数備えていてもよい。
【0037】
制御基板65には、第1モーター61、第2モーター62、及びソレノイド63の駆動を制御する電子回路が実装される。
図4に示されるように、制御基板65は、第1駆動回路641、第2駆動回路642、及び第3駆動回路643を備える。
【0038】
第2駆動回路642は、電源ユニット8から第2モーター62への給電の有無を切り替え可能である。具体的に、第2駆動回路642は、第2モーター62に含まれるコイル621への給電の有無を切り替え可能である。また、第2駆動回路642は、コイル621(
図5参照)への給電停止後に発生する回生電流を、第1駆動回路641を介して第1モーター61に供給可能である。例えば、第2駆動回路642は、
図5に示されるように、Nチャネル型のMOSFET642A、642B、642E、及び642Dを含むHブリッジ回路である。
【0039】
MOSFET642Aは、合流位置P1、及びコイル621の一端621Aの間の電流路に設けられるスイッチング素子である。具体的に、MOSFET642Aは、ドレイン端子が合流位置P1、及びMOSFET642Dのドレイン端子に、ゲート端子が制御部9に、ソース端子がコイル621の一端621A、及びMOSFET642Eのドレイン端子に、それぞれ接続される。MOSFET642Aは、コイル621の一端621A側から合流位置P1側への一方向に電流を流す寄生ダイオードを含む。ここに、MOSFET642Aが、本発明における第1スイッチング素子の一例である。
【0040】
MOSFET642Bは、コイル621の他端621B、及び電源ユニット8のグランドG1の間の電流路に設けられるスイッチング素子である。具体的に、MOSFET642Bは、ドレイン端子がコイル621の他端621B、及びMOSFET642Dのソース端子に、ゲート端子が制御部9に、ソース端子がグランドG1、及びMOSFET642Eのソース端子に、それぞれ接続される。MOSFET642Bは、グランドG1側からコイル621の他端621B側への一方向に電流を流す寄生ダイオードを含む。
【0041】
MOSFET642Eは、グランドG1、及びコイル621の一端621Aの間の電流路に設けられるスイッチング素子である。具体的に、MOSFET642Eは、ドレイン端子がコイル621の一端621A、及びMOSFET642Aのソース端子に、ゲート端子が制御部9に、ソース端子がグランドG1、及びMOSFET642Bのソース端子に、それぞれ接続される。MOSFET642Eは、グランドG1側からコイル621の一端621A側への一方向に電流を流す寄生ダイオードを含む。即ち、MOSFET642Eは、グランドG1側からコイル621の一端621A側への一方向に電流を流す整流素子としても機能する。
【0042】
MOSFET642Dは、コイル621の他端621B、及び合流位置P1の間の電流路に設けられるスイッチング素子である。具体的に、MOSFET642Dは、ドレイン端子が合流位置P1、及びMOSFET642Aのドレイン端子に、ゲート端子が制御部9に、ソース端子がコイル621の他端621B、及びMOSFET642Bのドレイン端子に、それぞれ接続される。MOSFET642Dは、コイル621の他端621B側から合流位置P1側への一方向に電流を流す寄生ダイオードを含む。即ち、MOSFET642Dは、コイル621の他端621B側から合流位置P1側への一方向に電流を流す整流素子としても機能する。
【0043】
第3駆動回路643は、電源ユニット8からソレノイド63への給電の有無を切り替え可能である。具体的に、第3駆動回路643は、ソレノイド63に含まれるコイル631への給電の有無を切り替え可能である。また、第3駆動回路643は、コイル631への給電停止後に発生する回生電流を、第1駆動回路641を介して第1モーター61に供給可能である。例えば、第3駆動回路643は、
図6に示されるように、Nチャネル型のMOSFET643A、及び643B、並びにダイオード643E、及び643Dを含む。第3駆動回路643は、本発明の第2駆動回路の他の一例である。
【0044】
MOSFET643Aは、合流位置P2、及びコイル631の一端631Aの間の電流路に設けられるスイッチング素子である。具体的に、MOSFET643Aは、ドレイン端子が合流位置P2、及びダイオード643Dのカソード端子に、ゲート端子が制御部9に、ソース端子がコイル631の一端631A、及びダイオード643Eのカソード端子に、それぞれ接続される。MOSFET643Aは、コイル631の一端631A側から合流位置P2側への一方向に電流を流す寄生ダイオードを含む。
【0045】
MOSFET643Bは、コイル631の他端631B、及びグランドG1の間の電流路に設けられるスイッチング素子である。具体的に、MOSFET643Bは、ドレイン端子がコイル631の他端631B、及びダイオード643Dのアノード端子に、ゲート端子が制御部9に、ソース端子がグランドG1、及びダイオード643Eのアノード端子に、それぞれ接続される。MOSFET643Bは、グランドG1側からコイル631の他端631B側への一方向に電流を流す寄生ダイオードを含む。
【0046】
ダイオード643Eは、グランドG1、及びコイル631の一端631Aの間の電流路に設けられ、グランドG1からコイル631の一端631Aへの一方向に電流を流す整流素子である。具体的に、ダイオード643Eは、アノード端子がグランドG1、及びMOSFET643Bのソース端子に、カソード端子がコイル631の一端631A、及びMOSFET643Aのソース端子に、それぞれ接続される。
【0047】
ダイオード643Dは、コイル631の他端631B、及び合流位置P2の間の電流路に設けられ、コイル631の他端631Bから合流位置P2への一方向に電流を流す整流素子である。具体的に、ダイオード643Dは、アノード端子がコイル631の他端631B、及びMOSFET643Bのドレイン端子に、カソード端子が合流位置P2、及びMOSFET643Aのドレイン端子に、それぞれ接続される。
【0048】
第1駆動回路641は、電源ユニット8から第1モーター61への給電の有無を切り替え可能である。具体的に、第1駆動回路641は、第1モーター61に含まれるコイルへの給電の有無を切り替え可能である。例えば、第1駆動回路641は、第2駆動回路642と同様のHブリッジ回路である。なお、第1駆動回路641の構成は、第2駆動回路642と同様であるため、その説明を省略する。
【0049】
電源ユニット8は、第1モーター61、第2モーター62、及びソレノイド63に電力を供給する。例えば、電源ユニット8は、外部電源から供給される100Vの交流電圧を予め定められた電圧値の直流電圧に変換するAC-DCコンバーターを含む。電源ユニット8は、本発明の電源の一例である。
【0050】
図4に示すように、電源ユニット8と、第1駆動回路641、第2駆動回路642、及び第3駆動回路643との間の給電経路上には、前記給電経路の電流を制御するFET640(電界効果トランジスタ)が設けられている。FET640は、本発明の電流制御素子の一例である。また、FET640と第1駆動回路641との間にはコンデンサ641Cが設けられており、FET640と第2駆動回路642との間にはコンデンサ642Cが設けられており、FET640と第3駆動回路643との間にはコンデンサ643Cが設けられている。FET640及びコンデンサ641C,642C,643Cの詳細は後述する。コンデンサ641C,642C,643Cのそれぞれは、対応する駆動回路へ供給される電力の安定化のために設けられる。
【0051】
制御部9は、CPU9A、ROM9B、及びRAM9Cなどの制御機器を備える。CPU9Aは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM9Bは、CPU9Aに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶装置である。RAM9Cは、CPU9Aが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶装置である。制御部9では、CPU9AによりROM9Bに予め記憶された各種の制御プログラムが実行される。これにより、画像形成装置10が制御部9により統括的に制御される。なお、制御部9は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよく、画像形成装置10を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0052】
制御部9は、第1モーター61、第2モーター62、及びソレノイド63の駆動を制御することが可能である。
【0053】
具体的に、制御部9は、第1駆動回路641に制御信号を入力して当該第1駆動回路641の回路状態を切り替えることで、第1モーター61の駆動を制御する。
【0054】
また、制御部9は、第2駆動回路642に制御信号を入力して当該第2駆動回路642の回路状態を切り替えることで、第2モーター62の駆動を制御する。ここで、第2駆動回路642に入力される制御信号とは、第2駆動回路642に含まれるMOSFETのゲート端子に入力される信号のことである。
【0055】
また、制御部9は、第3駆動回路643に制御信号を入力して当該第3駆動回路643の回路状態を切り替えることで、ソレノイド63の駆動を制御する。ここで、第3駆動回路643に入力される制御信号とは、第3駆動回路643に含まれるMOSFETのゲート端子に入力される信号のことである。
【0056】
ところで、画像形成装置10では、第1モーター61の起動時に電源ユニット8に流れる電流(起動電流)が最大になる(
図11参照)。この第1モーター61の起動時に電源ユニット8に流れる電流により、電源ユニット8において発熱、及び内部部品の故障などの不具合が生じることがある。なお、当該不具合を回避するために定格電流の大きい部品で構成された前記電源を用いる場合には、一時的な大電流のためだけに装置の部品のコストが高くなる。
【0057】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置10では、以下に説明するように、第1モーター61の起動時に電源ユニット8から流れる電流(起動電流)を抑制することが可能である。以下では、画像形成装置10の実施例1及び実施例2について説明する。なお、本発明は、実施例1及び実施例2のいずれか一方を適用してもよいし、実施例1及び実施例2の両方を組み合わせて適用してもよい。
【0058】
[実施例1]
具体的に、制御部9は、
図4に示されるように、第1処理部91、及び第2処理部92を含む。制御部9は、CPU9Aを用いてROM9Bに記憶されている前記制御プログラムを実行する。これにより、制御部9は、第1処理部91、及び第2処理部92として機能する。制御基板65及び制御部9を備える装置は、本発明の駆動制御装置の一例である。
【0059】
第1処理部91は、第1モーター61の起動前に、第2駆動回路642、及び第3駆動回路643を制御して、電源ユニット8からコイル621、及びコイル631への給電を開始させる。
【0060】
具体的に、第1処理部91は、第2駆動回路642に含まれるMOSFET642A、642B、642C、及び642Dを制御して、電源ユニット8からコイル621への給電を開始させる。
【0061】
より具体的に、第1処理部91は、第2駆動回路642のMOSFET642A、及び642Bをオン状態にするとともに、MOSFET642E、及び642Dをオフ状態にする。これにより、電源ユニット8から、合流位置P1、MOSFET642A、コイル621、及びMOSFET642Bを経由してグランドG1に電流が流れる(
図5の矢印付きの破線参照)。
【0062】
ここで、コイル621を含む負荷がステッピングモーターである場合には、当該負荷がDCブラシモーターなどの他の種類のモーターである場合と比較して、駆動軸を回転させることなく、コイル621に電力を蓄積することが可能である。即ち、当該負荷を構成する部材を摩耗させることなく、コイル621に電力を蓄積することが可能である。
【0063】
また、第1処理部91は、第3駆動回路643に含まれるMOSFET643A、及び643Bを制御して、電源ユニット8からコイル631への給電を開始させる。
【0064】
より具体的に、第1処理部91は、第3駆動回路643のMOSFET643A、及び643Bをオン状態にする。これにより、電源ユニット8から、合流位置P2、MOSFET643A、コイル631、及びMOSFET643Bを経由してグランドG1に電流が流れる(
図6の矢印付きの破線参照)。
【0065】
第2処理部92は、電源ユニット8からコイル621、及びコイル631への給電開始後、第2駆動回路642、及び第3駆動回路643を制御して、コイル621、及びコイル631で発生する回生電流を第1モーター61に供給させるとともに、第1駆動回路641を制御して電源ユニット8から第1モーター61への給電を開始させて、第1モーター61を起動させる。
【0066】
具体的に、第2処理部92は、第2駆動回路642のMOSFET642Aを制御して電源ユニット8からコイル621への給電を停止させるとともに、MOSFET642Bを制御してコイル621で発生する回生電流を第1モーター61に供給させる。
【0067】
より具体的に、第2処理部92は、第2駆動回路642のMOSFET642A、642B、642C、及び642Dをオフ状態にする。これにより、電源ユニット8からコイル621への給電が停止されて当該コイル621に逆起電力が発生し、グランドG1から、MOSFET642Eの寄生ダイオード、コイル621、及びMOSFET642Dの寄生ダイオードを経由して合流位置P1に回生電流が流れる(
図7の矢印付きの破線参照)。そのため、第1モーター61にコイル621で発生する回生電流が流れる。
【0068】
また、第2処理部92は、第3駆動回路643のMOSFET643Aを制御して電源ユニット8からコイル631への給電を停止させるとともに、MOSFET643Bを制御してコイル631で発生する回生電流を第1モーター61に供給させる。
【0069】
より具体的に、第2処理部92は、第3駆動回路643のMOSFET643A、及び643Bをオフ状態にする。これにより、電源ユニット8からコイル631への給電が停止されて当該コイル631に逆起電力が発生し、グランドG1から、ダイオード643E、コイル631、及びダイオード643Dを経由して合流位置P2に回生電流が流れる(
図8の矢印付きの破線参照)。そのため、第1モーター61にコイル631で発生する回生電流が流れる。
【0070】
例えば、第2処理部92は、コイル621、及びコイル631で発生する二つの回生電流を順次第1モーター61に供給させる。例えば、第2処理部92は、電源ユニット8から第1モーター61への給電を開始させるとともに、コイル621で発生する回生電流を第1モーター61に供給させる。そして、第2処理部92は、電源ユニット8から第1モーター61への給電開始時より後に到来する予め定められたタイミングで、コイル631で発生する回生電流を第1モーター61に供給させる。例えば、前記タイミングは、コイル621で発生する回生電流が予め定められた基準値を下回ったタイミングである。
【0071】
なお、第2処理部92は、コイル621、及びコイル631で発生する二つの回生電流を同時に第1モーター61に供給させてもよい。
【0072】
また、第1処理部91は、第2駆動回路642、及び第3駆動回路643のいずれか一方のみを制御して、電源ユニット8から制御対象の駆動回路に含まれるコイルへの給電を開始させてもよい。この場合、第2処理部92は、当該コイルで発生する回生電流を第1モーター61に供給させるとともに、第1駆動回路641を制御して電源ユニット8から第1モーター61への給電を開始させて、第1モーター61を起動させてよい。また、制御部9は、予め定められた切替タイミングが到来するごとに、第1処理部91によって給電が開始されるコイルを、コイル621及びコイル631の間で切り替えてもよい。また、制御部9は、複数のコイルから第1処理部91によって給電が開始される一又は複数のコイルを選択する場合に、複数の第2負荷の使用状況に基づいて、第1処理部91によって給電が開始される一又は複数のコイルを選択してもよい。例えば、制御部9は、複数の第2負荷に対応する複数のコイルのうち、使用されていない第2負荷に対応するコイルから所定数を満たすまで第1処理部91によって給電が開始されるコイルを選択して、使用されていない第2負荷に対応するコイルの全てが選択された場合に、使用中の第2負荷に対応するコイルから当該所定数を満たすまで第1処理部91によって給電が開始されるコイルを選択してもよい。
【0073】
このように、実施例1に係る画像形成装置10では、第1モーター61に電源ユニット8の電流、並びに第2モーター62のコイル621、及びソレノイド63のコイル631で発生する二つの回生電流を供給して、第1モーター61を起動させる。これにより、第1モーター61の起動時に流れる大電流(起動電流)を抑制することが可能である。
【0074】
なお、第1モーター61、第2モーター62、及びソレノイド63は、画像形成部3又はシート搬送部4の構成部材を駆動する負荷であってもよい。
【0075】
[実施例2]
実施例1の画像形成装置10と同様に、
図4は実施例2の画像形成装置10の構成に対応する。実施例2の画像形成装置10では、第1処理部91は、第1モーター61の起動前に、電源ユニット8からコンデンサ641C,642C,643Cへの給電を開始させる。コンデンサ641Cは、電源ユニット8と第1駆動回路641との間の給電経路に接続され、コンデンサ642Cは、電源ユニット8と第2駆動回路642との間の給電経路に接続され、コンデンサ643Cは、電源ユニット8と第3駆動回路643との間の給電経路に接続される。コンデンサ641Cは第1駆動回路641に対応して設けられ、コンデンサ642Cは第2駆動回路642に対応して設けられ、コンデンサ643Cは第3駆動回路643に対応して設けられる。コンデンサ641Cは本発明の第1容量素子の一例であり、コンデンサ642C,643Cは本発明の第2容量素子の一例である。
【0076】
具体的に、第1処理部91は、FET640を制御して、電源ユニット8からコンデンサ641C,642C,643Cへの給電を開始させる。すなわち、第1処理部91は、第1モーター61への給電が開始される前に、FET640を制御して、電源ユニット8から電流を供給させてコンデンサ641C,642C,643Cを充電させる。
【0077】
図9は、制御基板65の回路図を示す。
図9に示すように、FET640は、給電経路において、電源ユニット8の下流及び第1駆動回路641、第2駆動回路642、及び第3駆動回路643の上流に接続されている。FET640のソース端子は電源ユニット8に接続されており、FET640のゲート端子は抵抗R1を介して電源ユニット8に接続されている。抵抗R1はFET640のゲート端子及びソース端子の間に設けられており、抵抗R1の一端が電源ユニット8及びFET640のソース端子に接続され、抵抗R1の他端がFET640のゲート端子に接続されている。またFET640のゲート端子及びソース端子の間にはコンデンサC1(本発明の容量素子の一例)が設けられている。FET640のゲート端子及びソース端子間には電源ユニット8から所定の電圧が印加される。
【0078】
また、FET640のゲート端子及び抵抗R1の他端には、抵抗R2,R3のそれぞれの一端が接続されている。抵抗R2の他端はグランドに接続されており、抵抗R3の他端はトランジスタTRのコレクタ端子が接続されている。トランジスタTRのエミッタ端子は抵抗R2の他端及びグランドに接続されており、トランジスタTRのベース端子には第1モーター61を起動させる駆動信号ENが入力される。駆動信号EN(イネーブル信号)は、例えばローレベルの信号で第1モーターが駆動するローアクティブ信号である。
【0079】
抵抗R1,R2は直列接続されており、抵抗R1,R3は直列接続されており、抵抗R2,R3は並列接続されている。このため、FET640のゲート端子には、電源ユニット8から出力される電圧が抵抗R1,R2,R3により分圧されて入力される。例えば、トランジスタTRがオン状態の場合、抵抗R1と抵抗R2,R3の合成抵抗とにより分圧された電圧V1がFET640のゲート端子及びソース端子間に印加される。またトランジスタTRがオフ状態の場合、抵抗R1と抵抗R2とにより分圧された電圧V2(但し、V2<V1)がFET640のゲート端子及びソース端子間に印加される。
【0080】
FET640のドレイン端子は、第1駆動回路641の入力端子、第2駆動回路642の入力端子、及び第3駆動回路643の入力端子のそれぞれに接続される。また、FET640のドレイン端子と第1駆動回路641の入力端子との間にはコンデンサ641Cの一端が接続されており、コンデンサ641Cの他端はグランドに接続されている。また、FET640のドレイン端子と第2駆動回路642の入力端子との間にはコンデンサ642Cの一端が接続されており、コンデンサ642Cの他端はグランドに接続されている。また、FET640のドレイン端子と第3駆動回路643の入力端子との間にはコンデンサ643Cの一端が接続されており、コンデンサ643Cの他端はグランドに接続されている。
【0081】
FET640は、第1モーター61への給電が開始される前に、前記給電経路に流れる最大電流を第1電流値に制御し、コンデンサ641C,642C,643Cが充電された後に、前記給電経路に流れる最大電流を第2電流値に制御する。
【0082】
第2処理部92は、コンデンサ641C,642C,643Cが充電された後に、電源ユニット8が出力する電流と、コンデンサ641C,642C,643Cに充電された電荷に応じた電流とを第1駆動回路641を介して第1モーター61に供給させる。
【0083】
ここで、具体例を挙げて制御基板65の動作について説明する。
【0084】
まず、第1処理部91は、電源ユニット8から制御基板65への給電を開始させる。例えば、電源ユニット8は24Vの電圧を出力する。また第2処理部92は、ハイレベルの駆動信号EN(H)(本発明の第1制御信号の一例)を制御基板65へ入力させる。駆動信号EN(H)がトランジスタTRのベース端子に入力されると、トランジスタTRはオン状態になり抵抗R2,R3が並列接続される。これにより、電源ユニット8の電圧(24V)が抵抗R1と抵抗R2,R3の合成抵抗とにより分圧された電圧(本発明の第1電圧の一例)が、FET640のゲート端子及びソース端子間に印加される。抵抗R1の抵抗値を20kΩ、抵抗R2の抵抗値を200kΩ、抵抗R3の抵抗値を200kΩとすると、ゲート端子及びソース端子間の電圧は約4Vになる。ここで、ゲート端子及びソース端子間にはコンデンサC1が設けられているため、ゲート端子及びソース端子間の電圧は、コンデンサC1の時定数に応じて徐々に約4Vになるまで上昇する。すなわち、電源ユニット8が給電を開始すると、FET640が徐々にON状態に移行していき、徐々に電流が下流側へ流れる。これにより、コンデンサ641C,642C,643Cへの突入電流が防止され、コンデンサ641C,642C,643Cが緩やかに充電される。
【0085】
ここで、
図10のFET640の電流特性に示すように、ゲート端子及びソース端子間の電圧が大きい程、ドレイン電流は大きくなり、ゲート端子及びソース端子間の電圧がある値以下になるとドレイン電流はほぼゼロになる。
【0086】
コンデンサ641C,642C,643Cが充電されると、第2処理部92は、ローレベルの駆動信号EN(L)(本発明の第2制御信号の一例)を制御基板65へ入力させる。駆動信号EN(L)が制御基板65へ入力されると、第1モーター61の駆動が開始されるとともに、トランジスタTRがオフ状態になる。これにより、抵抗R3に電流が流れなくなり、電源ユニット8の電圧(24V)が抵抗R1と抵抗R2とにより分圧された電圧(本発明の第2電圧の一例)が、FET640のゲート端子及びソース端子間に印加される。上記の例では、ゲート端子及びソース端子間の電圧は約2.2Vに低下する。ゲート端子及びソース端子間の電圧が約2.2Vの場合、
図10の電流特性により、FET640のドレイン電流は約5Aとなる。すなわち、第1モーター61の駆動後は、ドレイン電流は約5Aに制限される。
【0087】
このように、FET640は、第1モーター61をオフ状態にする駆動信号EN(H)が入力された場合に前記給電経路に流れる最大電流を第1電流値に制御し、第1モーター61をオン状態にする駆動信号EN(L)が入力された場合に前記給電経路に流れる最大電流を第2電流値(約5A)に制御する。具体的には、FET640は、ソース端子及びゲート端子間の電圧が駆動信号EN(H)に応じた第1電圧(約4V)である場合に、ドレイン端子から前記給電経路に流れる最大電流を第1電流値に制御し、ソース端子及びゲート端子間の電圧が駆動信号EN(L)に応じた第2電圧(約2.2V)である場合に、ドレイン端子から前記給電経路に流れる最大電流を第2電流値(約5A)に制御する。
【0088】
ここで、
図11の第1モーター61の電流波形に示すように、第1モーター61の起動時の起動電流は5Aを超える。このため、上記の例のように、FET640から供給される電流が約5Aに制限されると、第1モーター61の起動時の電流が不足する。そこで、本実施例では、5Aを超える不足分の電流を、第1モーター61の起動前にコンデンサ641C,642C,643Cに充電された電荷により補充する(
図9の点線矢印参照)。なお、前記不足分の電流に対応する電荷量は、
図11に示す点線枠内の三角波形の面積(ここでは約20mC(ミリクーロン))に相当する。
【0089】
なお、第1モーター61が5Vの電圧降下を許容、すなわち19Vで動作可能な場合には、コンデンサ641C,642C,643Cの容量の総和が4000μF(=20mC÷5V)を満たせば、コンデンサ641C,642C,643Cから放出可能な電荷量が20mCとなるため、第1モーター61は問題なく動作可能となる。
【0090】
このように、実施例2に係る画像形成装置10では、第1モーター61の起動時に電源ユニット8から供給される電流を所定電流値に制限し、第1駆動回路641、第2駆動回路642、及び第3駆動回路643に設けられたコンデンサ641C,642C,643Cに充電された電荷を放出することにより、第1モーター61を起動させる。具体的には、第2処理部92は、必要となる電流値と前記第2電流値との差分電流に相当する電荷をコンデンサ641C,642C,643Cから放出させて、第1モーター61に供給する。これにより、電源ユニット8から第1モーター61の起動時に流れる大電流(起動電流)を抑制することが可能である。よって、定格電流が大きい電源ユニット8及び部品を選定する必要がないため、画像形成装置10のコストアップを抑制することができる。なお、前記不足分の電流を補うコンデンサは少なくとも1個あればよいが、複数個あることが望ましい。
【0091】
ここで、上述の構成では、制御基板65に設けられた各駆動回路のコンデンサに充電された電荷が第1モーター61の起動時に第1モーター61に供給される構成であるが、本発明は当該構成に限定されない。例えば、
図12に示すように、画像形成装置10は、制御基板65に設けられた全ての駆動回路のうち少なくとも2個以上の駆動回路のコンデンサに充電された電荷が第1モーター61の起動時に第1モーター61に供給されてもよい。
【0092】
具体的には、
図12に示すように、制御基板65に設けられた6個の駆動回路641~646のうち3個の駆動回路641~643のコンデンサ641C~643Cに充電された電荷が第1モーター61の起動時に第1モーター61に供給される。
【0093】
また、画像形成装置10は、大電流の起動電流が生じる負荷(モーター等)が複数存在する場合には、
図13に示すように、前記負荷ごとに、FET640により電流を制限してコンデンサの電荷を供給してもよい。例えば、第1モーター61及び第4モーター64のそれぞれに大電流の前記起動電流が生じる場合には、
図13に示すように、2個のFET640A,640Bを設ける。第1駆動回路641、第2駆動回路642、及び第3駆動回路643と、コンデンサ641C,642C,643CとはFET640Aに接続され、第4駆動回路644、第5駆動回路645、及び第6駆動回路646と、コンデンサ644C,645C,646CとはFET640Bに接続される。
【0094】
そして、第1モーター61の起動時に電源ユニット8から供給される電流をFET640Aにより所定電流値に制限し、第1駆動回路641、第2駆動回路642、及び第3駆動回路643に設けられたコンデンサ641C,642C,643Cに充電された電荷を放出することにより、第1モーター61を起動させる。また、第4モーター64の起動時に電源ユニット8から供給される電流をFET640Bにより所定電流値に制限し、第4駆動回路644、第5駆動回路645、及び第6駆動回路646に設けられたコンデンサ644C,645C,646Cに充電された電荷を放出することにより、第4モーター64を起動させる。
【0095】
本発明の画像形成装置は、上述の実施例1及び実施例2を組み合わせてもよい。これにより、例えば第1モーター61には、実施例1の構成により駆動回路から発生する回生電流と、実施例2の構成によりコンデンサから放出される電荷とが第1モーター61に供給される。実施例1及び実施例2を組み合わせた画像形成装置10では、前記回生電流の電流量及び前記電荷の電荷量を、第1モーター61の起動時に必要な電流量に応じて調整してもよい。これにより、例えば、前記回生電流を大きくすることによりコンデンサから補う必要がある前記電荷を小さくすることができるため、コンデンサの容量を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0096】
4 :シート搬送部
5 :後処理装置
8 :電源ユニット
9 :制御部
10 :画像形成装置
65 :制御基板
91 :第1処理部
92 :第2処理部
640 :FET
641 :第1駆動回路
641C :コンデンサ
642 :第2駆動回路
642C :コンデンサ
643 :第3駆動回路
643C :コンデンサ
644 :第4駆動回路
644C :コンデンサ
645 :第5駆動回路
645C :コンデンサ
646 :第6駆動回路
646C :コンデンサ