(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】超音波画像診断装置および電力供給制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2020070357
(22)【出願日】2020-04-09
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 祐希
(72)【発明者】
【氏名】長田 和也
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭大
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-137545(JP,A)
【文献】特開平5-261096(JP,A)
【文献】特開平6-237542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 ー 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像診断装置の各部への電力供給を行う電源部に電力を供給する電源制御部と、
前記電源制御部に電力を供給するバッテリーと、
前記超音波画像診断装置の外部から供給された電力を前記電源制御部に供給する外部電力供給部と、
前記超音波画像診断装置の稼働状態と、前記外部電力供給部から供給される電力の有無とに基づいて、前記バッテリーおよび前記外部電力供給部から前記電源制御部への電力供給を制御する、前記電源制御部よりも電力消費量が小さい電力供給制御部と、
を備え
、
前記電力供給制御部は、前記稼働状態がシャットダウン状態であり、前記外部電力供給部から供給される電力が無しの場合、前記バッテリーから前記電源制御部に電力を供給させない、
超音波画像診断装置。
【請求項2】
前記電力供給制御部は、前記バッテリーまたは前記外部電力供給部から電力の供給を受けて動作する、
請求項1に記載の超音波画像診断装置。
【請求項3】
前記電力供給制御部は、前記外部電力供給部から供給される電力の有無を判定する、
請求項1または2に記載の超音波画像診断装置。
【請求項4】
前記電力供給制御部は、
前記バッテリーおよび前記外部電力供給部から供給される電力を前記電源制御部に供給するように、前記バッテリーから前記電源制御部への電源供給経路上かつ前記外部電力供給部から前記電源制御部への電力供給経路上に配置される、
請求項1~3の何れか1項に記載の超音波画像診断装置。
【請求項5】
前記電力供給制御部は、前記稼働状態が起動状態であり、かつ、前記外部電力供給部から供給される電力が有りの場合、前記外部電力供給部から前記電源制御部に電力を供給させる、
請求項1~4の何れか1項に記載の超音波画像診断装置。
【請求項6】
前記電力供給制御部は、前記外部電力供給部から供給される電力を前記バッテリーに供給させて前記バッテリーの充電を行う、
請求項5に記載の超音波画像診断装置。
【請求項7】
前記電力供給制御部は、前記稼働状態が起動状態であり、前記外部電力供給部から供給される電力が無しの場合、前記バッテリーから前記電源制御部に電力を供給させる、
請求項1~4の何れか1項に記載の超音波画像診断装置。
【請求項8】
前記電力供給制御部は、前記稼働状態がスタンバイ状態であり、前記外部電力供給部から供給される電力が無しの場合、前記バッテリーから前記電源制御部に電力を供給させる、
請求項1~4の何れか1項に記載の超音波画像診断装置。
【請求項9】
超音波画像診断装置の各部への電力供給を行う電源部に電力を供給する電源制御部と、
前記電源制御部に電力を供給するバッテリーと、
前記超音波画像診断装置の外部から供給された電力を前記電源制御部に供給する外部電力供給部と、
を備える超音波画像診断装置の電力供給制御方法であって、
前記超音波画像診断装置の稼働状態と、前記外部電力供給部から供給される電力の有無とに基づいて、前記バッテリーおよび前記外部電力供給部から前記電源制御部への電力供給を、前記電源制御部よりも電力消費量が小さい電力供給制御部によって制御
し、
前記稼働状態がシャットダウン状態であり、前記外部電力供給部から供給される電力が無しの場合、前記バッテリーから前記電源制御部に電力を供給させない、
電力供給制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像診断装置および電力供給制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波探触子にて生体等の被検体に対して超音波の送受信を行い、受信した超音波から得られた信号に基づいて超音波画像データを生成し、これに基づく超音波画像を画像表示装置に表示する超音波画像診断装置が知られている。超音波画像診断装置による超音波画像診断は、超音波探触子を被検体の体表に当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動き等の様子がリアルタイムで得られ、かつ非侵襲で安全性が高いため、繰り返して実施することができる。
【0003】
特許文献1には、バッテリーと、AC(Alternating Current)-DC(Direct Current)コンバーターとを備える超音波画像診断装置が記載されている。超音波画像診断装置の各部への電力供給を行う電源部に対しては、AC-DCコンバーターが商用電源など外部から供給された電源電力を変換して供給する。さらにAC-DCコンバーターは、バッテリーにも充電を行う。外部電源の供給が受けられない状況下では、バッテリーが電源部に対して電源を供給する。通常の診療環境では、超音波画像診断装置は商用電源で稼働することが多いが、屋外など診療場所によっては商用電源が使えないこともあるため、その場合はバッテリーにより稼働させることができる。バッテリーでの稼働後は、商用電源に接続することで当該バッテリーを充電する。
【0004】
また、近年の超音波画像診断装置では、外部電源の供給が受けられない状況において、シャットダウン状態であっても次回の起動のために、電源部に電力を供給する電源制御回路(以下、電源制御部と言う)に対してバッテリーから待機電力を供給するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、外部電源の供給が受けられない状況において、超音波画像診断装置のシャットダウン状態が長くなると、電源制御部に供給される待機電力量が大きくなり、ひいてはバッテリーの電力消費量が大きくなるという問題があった。現在普及している超音波画像診断装置では、バッテリーの減りが早く、例えば週末の金曜日の夜から月曜日の朝までの間、電源制御部に待機電力が供給され続けられることによって、バッテリーの電力消費量が大きくなり充電残量が大きく低下する。その結果、月曜日の午前中に超音波画像診断装置を用いた診療を行おうとしても、その診療の途中でバッテリーの電力が足りなくなってしまう場合がある。そこで、超音波画像診断装置のシャットダウン状態において、電源制御部に供給される待機電力量を低減して、バッテリーの電力消費量を低減する技術が要望されている。
【0007】
本発明は、シャットダウン状態においてバッテリーの電力消費量を低減することが可能な超音波画像診断装置および電力供給制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る超音波画像診断装置は、
超音波画像診断装置の各部への電力供給を行う電源部に電力を供給する電源制御部と、
前記電源制御部に電力を供給するバッテリーと、
前記超音波画像診断装置の外部から供給された電力を前記電源制御部に供給する外部電力供給部と、
前記超音波画像診断装置の稼働状態と、前記外部電力供給部から供給される電力の有無とに基づいて、前記バッテリーおよび前記外部電力供給部から前記電源制御部への電力供給を制御する、前記電源制御部よりも電力消費量が小さい電力供給制御部と、
を備え、
前記電力供給制御部は、前記稼働状態がシャットダウン状態であり、前記外部電力供給部から供給される電力が無しの場合、前記バッテリーから前記電源制御部に電力を供給させない。
【0009】
本発明に係る電力供給制御方法は、
超音波画像診断装置の各部への電力供給を行う電源部に電力を供給する電源制御部と、
前記電源制御部に電力を供給するバッテリーと、
前記超音波画像診断装置の外部から供給された電力を前記電源制御部に供給する外部電力供給部と、
を備える超音波画像診断装置の電力供給制御方法であって、
前記超音波画像診断装置の稼働状態と、前記外部電力供給部から供給される電力の有無とに基づいて、前記バッテリーおよび前記外部電力供給部から前記電源制御部への電力供給を、前記電源制御部よりも電力消費量が小さい電力供給制御部によって制御し、
前記稼働状態がシャットダウン状態であり、前記外部電力供給部から供給される電力が無しの場合、前記バッテリーから前記電源制御部に電力を供給させない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シャットダウン状態においてバッテリーの電力消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】超音波画像診断装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】超音波画像診断装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】超音波画像診断装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】超音波画像診断装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】超音波画像診断装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態における超音波画像診断装置100について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、超音波画像診断装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0013】
超音波画像診断装置100は、病院などの商用電源のある医療機関や、商用電源のない屋外などで使用され、ユーザー(例えば、医者、技師などの検査者)が携行可能な診断装置である。
図1に示すように、超音波画像診断装置100は、筐体10と、超音波探触子20と、表示部30と、操作部40と、ACアダプター50とを備える。
【0014】
超音波探触子20は、患者の生体などの被検体(図示せず)に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体で反射した反射超音波、散乱超音波を含む受信超音波を受信する。筐体10は、ケーブル21を介して、超音波探触子20と接続され、超音波探触子20に駆動信号(電気信号)を送信することによって、超音波探触子20に被検体に対して送信超音波を送信させる。また、筐体10は、超音波探触子20にて受信した被検体内からの受信超音波に応じて超音波探触子20で生成された受信信号(電気信号)に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する。
【0015】
超音波探触子20の振動子(図示せず)は、例えば、方位方向に一次元アレイ状に複数配列されている。本実施の形態では、例えば、192個の振動子を備えた超音波探触子20を用いている。なお、振動子は、二次元アレイ状に配列されたものであってもよい。また、振動子の個数は、任意に設定することができる。また、超音波探触子20は、電子走査方式あるいは機械走査方式の何れを採用してもよく、また、リニア走査方式、セクター走査方式またはコンベックス走査方式の何れの方式を採用することもできる。
【0016】
図1に示すように、筐体10は、システム制御部11と、電源制御部12と、電源部13と、電源ボタン14と、電力供給制御部15と、バッテリー16と、DC入力コネクター17(本発明の「外部電力供給部」として機能)と、超音波信号処理部18とを備える。システム制御部11は、揮発性のメモリー11Aを有する。
【0017】
超音波信号処理部18は、送受信部18Aと、ビームフォーミング部18Bと、信号処理部18Cと、表示処理部18Dとを備える。
【0018】
操作部40は、例えば、被検体の検査を開始する指示などの各種コマンドや、測定条件、被検体情報などのデータの入力などを行うための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボードなどを備えており、操作入力に応じた操作情報をシステム制御部11に出力する。特に操作部40は、超音波画像診断装置100を終了する際に、ユーザーからの終了の実行および終了方法の選択情報(シャットダウンまたはスタンバイ)の入力を受け付ける。
【0019】
送受信部18Aは、システム制御部11からの駆動電圧(駆動電圧値)に従って、当該駆動電圧に対応する駆動信号(電気信号)を生成して超音波探触子20にケーブル21を介して供給し、送信超音波を発生させる送信部として機能する。
【0020】
送受信部18Aは、送信部として例えば、クロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路を備えている。クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、駆動信号の送信タイミングを振動子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束を行うための回路である。パルス発生回路は、所定の周波数で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。
【0021】
上述のように構成された送受信部18Aは、例えば、超音波探触子20に配列された複数(例えば、192個)の振動子のうちの連続する一部(例えば、64個)を駆動して送信超音波を発生させる。そして、送受信部18Aは、送信超音波を発生させる毎に駆動する振動子を方位方向にずらすことで走査(スキャン)を行う。これにより、超音波探触子20は、送受信部18Aからの駆動信号に応じて、超音波送受信の動作を行う。
【0022】
また、送受信部18Aは、システム制御部11の制御に従って、超音波探触子20からケーブル21を介して受信信号(電気信号)を受信する受信部として機能する。送受信部18Aは、超音波探触子20の各振動子の受信信号を出力する。
【0023】
ビームフォーミング部18Bは、システム制御部11の制御に従って、送受信部18Aから入力された各振動子の受信信号を強め合い、音線データを生成する。ビームフォーミング部18Bは、例えば、増幅器、A/D(Analog to Digital)変換回路、整相加算回路を備える。増幅器は、受信信号を、振動子毎に対応した個別経路毎に、予め設定された増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をA/D変換するための回路である。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。
【0024】
信号処理部18Cは、システム制御部11の制御に従って、ビームフォーミング部18Bから入力された音線データに対して包絡線検波処理や対数増幅などを実施し、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することにより、B(Brightness)モード画像データを生成する。Bモード画像データは、受信信号の強さを輝度によって表したものである。信号処理部18Cは、診断モードがBモードのBモード画像データの他、A(Amplitude)モード、M(Motion)モード、パルスドプラー法、カラードプラー法など、他の診断モードの超音波画像データが生成可能である。
【0025】
また、信号処理部18Cは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーによって構成された画像メモリー部(図示せず)を備える。信号処理部18Cは、システム制御部11の制御に従って、生成したBモード画像データをフレーム単位で画像メモリー部に記憶し、フレーム毎の画像データとして出力する。
【0026】
表示処理部18Dは、システム制御部11の制御に従って、信号処理部18Cから入力されたフレームの画像データに座標変換などを施して画像信号に変換し、表示部30に出力する。
【0027】
表示部30は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELティスプレイおよびプラズマディスプレイなどの表示装置が適用可能である。表示部30は、超音波信号処理部18を介したシステム制御部11の制御に従って、表示処理部18Dから入力された画像信号に従って表示画面上に超音波画像などの表示を行う。特に表示部30は、超音波画像診断装置100を終了する際に、ユーザーからの終了の実行および終了方法の選択(シャットダウンまたはスタンバイ)の入力を受け付ける表示画面情報を表示する。
【0028】
システム制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、メモリー11Aを備え、ROMに記憶されているシステムプログラムなどの各種処理プログラムを読み出してメモリー11Aに展開し、展開したプログラムに従って超音波画像診断装置100の各部を制御する。ROMは、半導体などの不揮発メモリーなどにより構成され、超音波画像診断装置100に対応するシステムプログラムおよび当該システムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、ガンマテーブルなどの各種データなどを記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。メモリー11Aは、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶部であり、CPUにより実行される各種プログラムおよびこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0029】
システム制御部11は、超音波画像診断装置100の稼働状態が起動状態からスタンバイ状態またはシャットダウン状態に遷移する場合、遷移後の稼働状態(スタンバイ状態またはシャットダウン状態)を示す稼働状態信号を電力供給制御部15に出力する。
【0030】
電力供給制御部15は、超音波画像診断装置100の稼働状態(例えば、起動状態、スタンバイ状態またはシャットダウン状態)と、DC入力コネクター17から供給される電力の有無とに基づいて、バッテリー16およびDC入力コネクター17から電源制御部12への電力供給を制御する。
【0031】
電力供給制御部15は、DC入力コネクター17から供給される電力の有無を判定する。例えば、電力供給制御部15は、DC入力コネクター17から供給される電力量が所定値以上である場合、DC入力コネクター17から供給される電力が有ると判定する一方、上記電力量が所定値未満である場合、DC入力コネクター17から供給される電力が無いと判定する。
【0032】
電力供給制御部15は、バッテリー16またはDC入力コネクター17から電力の供給を受けて動作する。本実施の形態では、電力供給制御部15は、論理回路、トランジスタおよび抵抗などのみで構成された簡素な電気回路である。
【0033】
電源制御部12は、電力供給制御部15を介してバッテリー16またはDC入力コネクター17からの電力が供給され、電源部13への電源電力の供給、電源ボタン14の押下の待機、システム制御部11への電源ボタン14の押下の情報の通知、システム制御部11に従った超音波画像診断装置100の終了(スタンバイ、シャットダウン)、起動の処理などを行う。本実施の形態では、電源制御部12は、電源制御専用のICを含んで構成された大規模集積回路である。すなわち、電源制御部12の電力消費量は、電力供給制御部15の電力消費量より大きい。
【0034】
電源部13は、システム制御部11、超音波信号処理部18(超音波探触子20、表示部30、操作部40)への電力供給を行う電源である。特に、電源部13は、超音波画像診断装置100の稼働状態がスタンバイ状態である場合、電源制御部12の指示に従って、メモリー11Aへの電力(スタンバイ電源)の供給を行う。電源部13は、レギュレーター(DC-DCコンバーター、シリーズレギュレーター)によって構成することができる。レギュレーターは、ディスクリート部品で構成された回路でも良いし、ICや回路モジュールで構成されても良い。
【0035】
電源ボタン14は、筐体10の表面に設けられ、ユーザーからの電源オン/オフ操作としての押下操作入力を受け付け、その操作信号を電源制御部12および電力供給制御部15に出力する。電源ボタン14が受け付ける操作内容は、超音波画像診断装置100の終了(スタンバイ、シャットダウン)後における起動操作、超音波画像診断装置100の起動中における終了(シャットダウン)操作である。
【0036】
ACアダプター50は、商用電源に電気的に接続され、入力された商用電源の交流を直流に変換し、変換後の直流を電源電力として接続先のDC入力コネクター17に供給する。
【0037】
DC入力コネクター17は、筐体10の表面に設けられ、ACアダプター50を電気的に接続するための入力コネクターである。DC入力コネクター17は、電気的に接続されたACアダプター50から入力された直流の電力(電源電力)を電力供給制御部15に出力する。
【0038】
バッテリー16は、筐体10に内蔵されたリチウムイオン電池などの2次電池であり、ACアダプター50からの電力の充電、および、電力供給制御部15への電力の出力(放電)が可能である。
【0039】
超音波画像診断装置100が備える各部について、各々の機能ブロックの一部または全部の機能は、集積回路などのハードウェア回路として実現することができる。集積回路とは、例えばLSI(Large Scale Integration)であり、LSIは集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)やLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。また、各々の機能ブロックの一部または全部の機能をソフトウェアにより実行するようにしてもよい。この場合、このソフトウェアは一つまたはそれ以上のROMなどの記憶媒体、光ディスク、またはハードディスクなどに記憶されており、このソフトウェアが演算処理器により実行される。
【0040】
次に、
図2~
図5を参照して、電力供給制御部15による電力供給の制御について説明する。
図2は、電源ボタン14の押下操作によって超音波画像診断装置100の稼働状態がシャットダウン状態から起動状態に遷移した場合における超音波画像診断装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0041】
図2に示すように、電力供給制御部15は、電源ボタン14から出力された操作信号を入力し、超音波画像診断装置100の稼働状態がシャットダウン状態から起動状態に遷移したと判定する。また、DC入力コネクター17にACアダプター50が電気的に接続されているため(すなわちDC入力コネクター17から供給される電力量が所定値以上であるため)、電力供給制御部15は、DC入力コネクター17から供給される電力が有ると判定する。以上の判定結果に基づいて、電力供給制御部15は、DC入力コネクター17から電源制御部12に電力を供給させる。
【0042】
具体的には、電力供給制御部15は、DC入力コネクター17から供給される電力を入力し、その入力した電力を電源制御部12に出力する。また、電力供給制御部15は、電力供給制御部15から出力された電力を電源部13に供給するよう電源制御部12を制御する。電源部13は、電源制御部12から供給された電力をシステム制御部11、超音波信号処理部18等へ供給する。その後、システム制御部11に従った超音波画像診断装置100の起動の処理などが行われる。
【0043】
また、電力供給制御部15は、DC入力コネクター17から供給される電力をバッテリー16に供給させてバッテリー16の充電を行う。具体的には、電力供給制御部15は、バッテリー16の充電を行うことが可能な状態である場合、電力供給制御部15から出力された電力を、電力供給制御部15を介してバッテリー16に供給するよう電源制御部12を制御する。本実施の形態では、電源制御部12は、バッテリー16の充電制御機能を有しており、バッテリー16の充電残量や状態の監視を行うことができる。そして、電源制御部12は、バッテリー16の充電残量が100%(満充電)でない場合、バッテリー16の充電を行うことが可能な状態であると判定する。
【0044】
図3は、電源ボタン14の押下操作によって超音波画像診断装置100の稼働状態がシャットダウン状態から起動状態に遷移した場合における超音波画像診断装置100の機能構成を示すブロック図である。ただし、
図2と異なり、DC入力コネクター17にACアダプター50は電気的に接続されていない。
【0045】
図3に示すように、電力供給制御部15は、電源ボタン14から出力された操作信号を入力し、超音波画像診断装置100の稼働状態がシャットダウン状態から起動状態に遷移したと判定する。また、DC入力コネクター17にACアダプター50が接続されていないため(すなわちDC入力コネクター17から供給される電力量が所定値未満であるため)、電力供給制御部15は、DC入力コネクター17から供給される電力が無いと判定する。以上の判定結果に基づいて、電力供給制御部15は、バッテリー16から電源制御部12に電力を供給させる。
【0046】
具体的には、電力供給制御部15は、バッテリー16から供給される電力を入力し、その入力した電力を電源制御部12に出力する。また、電力供給制御部15は、電力供給制御部15から出力された電力を電源部13に供給するよう電源制御部12を制御する。電源部13は、電源制御部12から供給された電力をシステム制御部11、超音波信号処理部18等へ供給する。その後、システム制御部11に従った超音波画像診断装置100の起動の処理などが行われる。
【0047】
図4は、超音波画像診断装置100の稼働状態が起動状態からスタンバイ状態に遷移した場合における超音波画像診断装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0048】
起動状態の超音波画像診断装置100において、システム制御部11は、操作部40を介してユーザーから超音波画像診断装置100の終了指示の入力を受け付けると、超音波画像診断装置100の終了方法の選択の表示画面情報を表示部30に表示する。そして、システム制御部11は、操作部40を介してユーザーから、超音波画像診断装置100の終了方法としてスタンバイの選択入力を受け付ける。
【0049】
上記のように超音波画像診断装置100の稼働中に終了方法の選択の表示画面情報が表示部30に表示され、例えば超音波画像診断装置100を任意の短時間経過後に再度稼働するために一時的に停止するため、スタンバイが選択入力された場合に、システム制御部11は、電源制御部12をスタンバイの状態にさせる。また、システム制御部11は、超音波画像診断装置100の稼働状態としてスタンバイ状態を示す稼働状態信号を電力供給制御部15に出力する。
【0050】
電力供給制御部15は、システム制御部11から出力された稼働状態信号を入力し、超音波画像診断装置100の稼働状態が起動状態からスタンバイ状態に遷移したと判定する。また、DC入力コネクター17にACアダプター50が接続されていないため(すなわちDC入力コネクター17から供給される電力量が所定値未満であるため)、電力供給制御部15は、DC入力コネクター17から供給される電力が無いと判定する。以上の判定結果に基づいて、電力供給制御部15は、バッテリー16から電源制御部12に電力を供給させる。
【0051】
具体的には、電力供給制御部15は、バッテリー16から供給される電力を入力し、その入力した電力を電源制御部12に出力するとともに、当該電力により電源ボタン14の操作を受け付け可能な待機の状態にする。また、電力供給制御部15は、電力供給制御部15から出力された電力を電源部13に供給するよう電源制御部12を制御する。電源部13は、電源制御部12から供給された電力をメモリー11Aに供給し、メモリー11Aに記憶されているデータの記憶状態を保つ。スタンバイで終了することで、メモリー11Aに記憶されたデータを保持でき、超音波画像診断装置100の再起動後に、当該データを用いて超音波画像診断装置100を速やかに復旧することができる。その後、システム制御部11に従った超音波画像診断装置100の終了(スタンバイ)の処理などが行われる。
【0052】
図5は、超音波画像診断装置100の稼働状態が起動状態からシャットダウン状態に遷移した場合における超音波画像診断装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0053】
起動状態の超音波画像診断装置100において、システム制御部11は、操作部40を介してユーザーから超音波画像診断装置100の終了指示の入力を受け付けると、超音波画像診断装置100の終了方法の選択の表示画面情報を表示部30に表示する。そして、システム制御部11は、操作部40を介してユーザーから、超音波画像診断装置100の終了方法としてシャットダウンの選択入力を受け付ける。
【0054】
上記のように超音波画像診断装置100の稼働中に終了方法の選択の表示画面情報が表示部30に表示され、例えば超音波画像診断装置100を長時間稼働停止するため、シャットダウンが選択入力された場合に、システム制御部11は、電源制御部12をシャットダウンの状態にさせる。また、システム制御部11は、超音波画像診断装置100の稼働状態としてシャットダウン状態を示す稼働状態信号を電力供給制御部15に出力する。
【0055】
電力供給制御部15は、システム制御部11から出力された稼働状態信号を入力し、超音波画像診断装置100の稼働状態が起動状態からシャットダウン状態に遷移したと判定する。また、DC入力コネクター17にACアダプター50が接続されていないため(すなわちDC入力コネクター17から供給される電力量が所定値未満であるため)、電力供給制御部15は、DC入力コネクター17から供給される電力が無いと判定する。以上の判定結果に基づいて、電力供給制御部15は、バッテリー16から電源制御部12に電力を供給させない。
【0056】
具体的には、電力供給制御部15は、バッテリー16から供給される電力を入力するとともに、当該電力により電源ボタン14の操作を受け付け可能な待機の状態にする。その後、システム制御部11に従った超音波画像診断装置100の終了(シャットダウン)の処理などが行われる。
【0057】
上述したように、電源制御部12の電力消費量は、電力供給制御部15の電力消費量より大きい。言い換えると、電力供給制御部15の電力消費量は、電源制御部12の電力消費量より小さい。したがって、超音波画像診断装置100のシャットダウン状態においてバッテリー16からの電力供給を電力供給制御部15で止めて電源制御部12に電力を供給させないことにより、バッテリーから電源制御部に電力を供給させる従来技術と比べて、電源制御部12に供給される待機電力量を低減して、バッテリー16の電力消費量を低減することができる。これにより、例えば週末の金曜日の夜から月曜日の朝までの間、超音波画像診断装置100のシャットダウン状態において電力供給制御部15に待機電力が供給され続けられても、バッテリーの電力消費量は小さく充電残量の低下量は小さい。その結果、月曜日の午前中に超音波画像診断装置100を用いた診療を行う場合、その診療の途中でバッテリー16の電力が足りなくなってしまうことを防止することができる。
【0058】
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、超音波画像診断装置100は、超音波画像診断装置100の各部への電力供給を行う電源部13に電力を供給する電源制御部12と、電源制御部12に電力を供給するバッテリー16と、超音波画像診断装置100の外部から供給された電力を電源制御部12に供給するDC入力コネクター17(外部電力供給部)と、超音波画像診断装置100の稼働状態と、DC入力コネクター17から供給される電力の有無とに基づいて、バッテリー16およびDC入力コネクター17から電源制御部12への電力供給を制御する電力供給制御部15とを備える。
【0059】
このように構成した本実施の形態によれば、超音波画像診断装置100の稼働状態と、DC入力コネクター17から供給される電力の有無とに基づいて、バッテリー16およびDC入力コネクター17から電源制御部12への電力供給を制御される。特に、電力供給制御部15は、超音波画像診断装置100の稼働状態がシャットダウン状態であり、DC入力コネクター17から供給される電力が無しの場合、バッテリー16から電源制御部12に電力を供給させない。つまり、超音波画像診断装置100のシャットダウン状態においてバッテリー16からの電力供給を、電源制御部12より電力消費量が小さい電力供給制御部15で止めて電源制御部12に電力を供給させない。これにより、バッテリーから電源制御部に電力を供給させる従来技術と比べて、電源制御部12に供給される待機電力量を低減して、バッテリー16の電力消費量を低減することができる。
【0060】
なお、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
10 筐体
11 システム制御部
11A メモリー
12 電源制御部
13 電源部
14 電源ボタン
15 電力供給制御部
16 バッテリー
17 DC入力コネクター
18 超音波信号処理部
18A 送受信部
18B ビームフォーミング部
18C 信号処理部
18D 表示処理部
20 超音波探触子
21 ケーブル
30 表示部
40 操作部
50 ACアダプター
100 超音波画像診断装置