(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】転写具
(51)【国際特許分類】
B43L 19/00 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
B43L19/00 H
(21)【出願番号】P 2020104876
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】嶋 秀人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-001607(JP,A)
【文献】特開2016-124131(JP,A)
【文献】特開2003-054191(JP,A)
【文献】特開2020-062849(JP,A)
【文献】特開2014-054806(JP,A)
【文献】特開2018-079605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰出用リールから繰り出された転写テープを転写ヘッドを経由させて巻取用リールに巻き取らせるようにした転写具であって、
転写操作時において前記繰出用リールの正転を許容し得る正転許容状態を採り得るとともに転写解除時において前記繰出用リールの正転を制限し得る正転制限状態を採り得るクラッチ機構が設けられたものであり、
前記クラッチ機構が、転写操作時において前記転写テープに付与される張力を利用して前記正転許容状態を採り得るものとした
ものであり、
前記クラッチ機構が、前記繰出用リール及び前記巻取用リールを収容し得るケースを備えたものであり、
前記正転許容状態において前記繰出用リールと前記ケースとの係わり合いが解除されるものであり、前記正転制限状態において前記繰出用リールと前記ケースとが係わり合うことにより前記繰出用リールの正転が制限されるものであり、
前記転写ヘッドが、前記ケースに対して相対移動しない構成のものである転写具。
【請求項2】
前記クラッチ機構が、前記巻取用リールを回転可能に支持し得る
前記ケースと、
前記ケースに対して回転可能に支持された繰出用リール支持部材と、この繰出用リール支持部材に対して回転可能に支持された前記繰出用リールとを備えたものである請求項1記載の転写具。
【請求項3】
前記繰出用リール支持部材が、前記繰出用リールと前記ケースとの係わり合いを許容する第一姿勢と、前記繰出用リールと前記ケースとを係合させない第二姿勢との間で前記ケースに対して回転可能に構成されたものであり、
前記繰出用リール支持部材が、弾性部材により常に第一姿勢方向に付勢されている請求項2記載の転写具。
【請求項4】
前記弾性部材が、前記繰出用リール支持部材に一体的に設けられ先端部が前記ケース又は前記転写ヘッドに弾性的に接し得る板バネである請求項3記載の転写具。
【請求項5】
前記繰出用リール及び前記巻取用リールの回転を連動させるリール連動機構を備えたものであり、
前記リール連動機構が、前記繰出用リールとともに回転し得る繰出ギアと、前記巻取用リールとともに回転し得る巻取ギアと、前記繰出ギアと巻取ギアとの間に介設された中間ギアとを備えたものであり、
前記繰出用リール支持部材が、前記中間ギアと軸心を一致させて回転可能に支持されている請求項2、3又は4記載の転写具。
【請求項6】
前記繰出用リールに第一のラチェット爪が設けられたものであり、前記ケースに前記第一のラチェット爪が係合し得る第一のラチェット歯が設けられたものであり、
前記正転許容状態において前記第一のラチェット爪と前記第一のラチェット歯とが係合しないように構成されており、前記正転制限状態において前記第一のラチェット爪と前記第一のラチェット歯とが係合し得るように構成されている請求項2、3、4又は5記載の転写具。
【請求項7】
少なくとも前記正転制限状態において前記巻取用リールの逆転を防止し得る逆転防止用のラチェット機構を備えたものであり、
前記逆転防止用のラチェット機構が、前記繰出用リール支持部材に設けた第二のラチェット爪と、前記巻取用リールに設けられ前記第二のラチェット爪が係合し得る第二のラチェット歯とを備えたものである請求項2、3、4、5又は6記載の転写具。
【請求項8】
前記繰出用リール支持部材が、前記繰出用リールを支持し得る支軸を備えたものである請求項2、3、4、5、6又は7記載の転写具。
【請求項9】
前記繰出用リール支持部材が、前記ケースに対する回転中心よりも下に配設され前記転写ヘッドへの前記転写テープの進入角度をガイドし得るテープガイド部を備えている請求項2、3、4、5、6、7又は8記載の転写具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、修正用のテープ剤や糊等の転写物が添着された転写テープを、転写ヘッドによって転写対象面に押し付けることにより、転写物を転写対象面に転写するようにした種々の転写具が知られている。
【0003】
ところで、特許文献1に開示された塗膜転写具(1)は、ベース部材(16)がベース部材用支軸(15)に対して回転可能に支持されたものとなっている。この塗膜転写具(1)は、使用時(すなわち転写ヘッド5により転写テープ3を被転写面Sに押し付ける時)において、供給リール(4)の回転ロックが解除される一方で、非使用時(すなわち転写ヘッド5により転写テープ3を被転写面Sに押し付けていない時)において、供給リール(4)の回転がロックされるように構成されている。この塗膜転写具(1)の構成によれば、使用時における供給リール(4)の回転に対する抵抗が低減されるものとなるため、使用者による軽快な転写操作に資することが期待されている。
【0004】
ところが、特許文献1に開示された塗膜転写具(1)は、ベース部材(16)と転写ヘッド(5)とが一体に動作するものであるため、使用時において転写ヘッド(5)が筐体(2)に対して相対移動してしまうものとなっている。その結果、特許文献1に開示された塗膜転写具(1)を使用する場合には、使用者に対して使用時に違和感を与えてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、少なくとも、転写操作時における転写テープに対する抵抗を低減させて、使用者による快適な転写操作に寄与し得る転写具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、繰出用リールから繰り出された転写テープを転写ヘッドを経由させて巻取用リールに巻き取らせるようにした転写具であって、転写操作時において前記繰出用リールの正転を許容し得る正転許容状態を採り得るとともに転写解除時において前記繰出用リールの正転を制限し得る正転制限状態を採り得るクラッチ機構が設けられたものであり、前記クラッチ機構が、転写操作時において前記転写テープに付与される張力を利用して前記正転許容状態を採り得るものとしたものであり、前記クラッチ機構が、前記繰出用リール及び前記巻取用リールを収容し得るケースを備えたものであり、前記正転許容状態において前記繰出用リールと前記ケースとの係わり合いが解除されるものであり、前記正転制限状態において前記繰出用リールと前記ケースとが係わり合うことにより前記繰出用リールの正転が制限されるものであり、前記転写ヘッドが、前記ケースに対して相対移動しない構成のものである転写具である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記クラッチ機構が、前記巻取用リールを回転可能に支持し得る前記ケースと、前記ケースに対して回転可能に支持された繰出用リール支持部材と、この繰出用リール支持部材に対して回転可能に支持された前記繰出用リールとを備えたものである請求項1記載の転写具である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記繰出用リール支持部材が、前記繰出用リールと前記ケースとの係わり合いを許容する第一姿勢と、前記繰出用リールと前記ケースとを係合させない第二姿勢との間で前記ケースに対して回転可能に構成されたものであり、前記繰出用リール支持部材が、弾性部材により常に第一姿勢方向に付勢されている請求項2記載の転写具である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記弾性部材が、前記繰出用リール支持部材に一体的に設けられ先端部が前記ケース又は前記転写ヘッドに弾性的に接し得る板バネである請求項3記載の転写具である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記繰出用リール及び前記巻取用リールの回転を連動させるリール連動機構を備えたものであり、前記リール連動機構が、前記繰出用リールとともに回転し得る繰出ギアと、前記巻取用リールとともに回転し得る巻取ギアと、前記繰出ギアと巻取ギアとの間に介設された中間ギアとを備えたものであり、前記繰出用リール支持部材が、前記中間ギアと軸心を一致させて回転可能に支持されている請求項2、3又は4記載の転写具である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記繰出用リールに第一のラチェット爪が設けられたものであり、前記ケースに前記第一のラチェット爪が係合し得る第一のラチェット歯が設けられたものであり、前記正転許容状態において前記第一のラチェット爪と前記第一のラチェット歯とが係合しないように構成されており、前記正転制限状態において前記第一のラチェット爪と前記第一のラチェット歯とが係合し得るように構成されている請求項2、3、4又は5記載の転写具である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、少なくとも前記正転制限状態において前記巻取用リールの逆転を防止し得る逆転防止用のラチェット機構を備えたものであり、前記逆転防止用のラチェット機構が、前記繰出用リール支持部材に設けた第二のラチェット爪と、前記巻取用リールに設けられ前記第二のラチェット爪が係合し得る第二のラチェット歯とを備えたものである請求項2、3、4、5又は6記載の転写具である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記繰出用リール支持部材が、前記繰出用リールを支持し得る支軸を備えたものである請求項2、3、4、5、6又は7記載の転写具である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記繰出用リール支持部材が、前記ケースに対する回転中心よりも下に配設され前記転写ヘッドへの前記転写テープの進入角度をガイドし得るテープガイド部を備えている請求項2、3、4、5、6、7又は8記載の転写具である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、転写操作時における転写テープに対する抵抗を低減させて、使用者による快適な転写操作に寄与し得る転写具を提供することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図7】同実施形態における部品(繰出用リール支持部材)の右側面図。
【
図8】同実施形態における部品(繰出用リール支持部材)の平面図。
【
図9】同実施形態における部品(第一ケース部材)の説明図。
【
図10】同実施形態における部品(第二ケース部材)の説明図。
【
図11】同実施形態における部品(繰出用リール)の説明図。
【
図12】同実施形態における部品(繰出ギア)の説明図。
【
図13】同実施形態における部品(巻取リール)の説明図。
【
図14】同実施形態における部品(転写ヘッド)の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~15を参照して説明する。なお、
図2~5は、ケースAの内部における要部を説明し易くするために、ケースAを構成する第二ケース部材Kを取り外した状態のものを示している。
【0020】
この実施形態は、本発明を、転写物である修正用テープ剤(図示せず)を用紙等の転写対象面に対して転写するための転写具に適用したものである。転写具は、繰出用リールDから繰り出された転写テープTを、転写ヘッドBを経由させて巻取用リールEに巻き取らせるようにしたものである。
【0021】
転写具は、内部に転写テープTを巻回させた繰出用リールD及び巻取用リールEを収容し得るとともに巻取用リールEを回転可能に支持し得る第一の支軸j2が設けられたケースAと、ケースAの前端部に配された転写ヘッドBと、ケースA内に収容されケースAに設けられた第二の支軸j3に対して回転可能に支持された繰出用リール支持部材Cと、繰出用リール支持部材Cに設けられた支軸c2に対して回転可能に支持され修正用テープ剤を保持した転写テープTが巻装された繰出用リールDと、繰出用リールDから繰り出されるとともに転写ヘッドBの先端部たる先端押圧部b2を経由した転写テープTを巻き取るための巻取用リールEと、繰出用リールD及び巻取用リールEの回転を連動させるリール連動機構Fと、転写操作時において繰出用リールDの正転を許容し得る正転許容状態(P)を採り得るとともに転写解除時において繰出用リールDの正転を制限し得る正転制限状態(R)を採り得るクラッチ機構Gとを備えている。
【0022】
以下、この転写具について詳述する。
【0023】
<ケースA>
ケースAは、内部に収容空間spを形成し得る合成樹脂製のものである。ケースAは、左右の側壁j1、k1と、左右の側壁j1、k1の上端部間に配された上壁k2と、左右の側壁j1、k1の後端部間に配された後壁k3と、左右の側壁j1、k1の下端部間に配された下壁k4とを備えている。ケースAの前側には、転写テープTを転写ヘッドBに導出するとともに転写ヘッドBを経由した転写テープTをケースAの内部に導入するための開口部Hが形成されている。
【0024】
ケースAは、左の側壁j1を有した第一ケース部材Jと、右の側壁k1、上壁k2、後壁k3、及び、下壁k4を有した第二ケース部材Kとによって構成されている。第一ケース部材Jと第二ケース部材Kとを組み合わせることにより、繰出用リールD、巻取用リールE、リール連動機構F、及び、クラッチ機構Gを収容し得る収容空間spが形成されたケースAが構成されている。
【0025】
左の側壁j1には、巻取用リールE及び巻取ギアe4を回転可能に支持する第一の支軸j2が突設されている。なお、巻取ギアe4は巻取用リールEにおける左側部に一体に設けられている。左の側壁j1には、繰出用リール支持部材Cを回転可能に支持し得るとともに中間ギアf2を回転可能に支持し得る第二の支軸j3が突設されている。第一、第二の支軸j2、j3は、左の側壁j1に対して略直交する方向に延びている。第一の支軸j2は、第二の支軸j3よりも前に設けられている。
【0026】
左の側壁j1には、開口部Hと第一の支軸j2との間に、繰出用リール支持部材Cに設けられた板バネc6が係止し得る第一の係止部j4が収容空間sp側に向かって突設されている。また、左の側壁j1には、第二の支軸j3よりも下の位置に、繰出用リール支持部材Cに設けられた位置決め部c9が係止し得る第二の係止部j5が突設されている。
【0027】
なお、第二の支軸j3に枢支された繰出用リール支持部材Cは、後述するクラッチ機構Gを構成するものであり、繰出用リールDの正転を制限し得る第一姿勢(M)と繰出用リールDの正転を許容し得る第二姿勢(N)との間でケースAに対して回転可能に構成されたものである。そして、繰出用リール支持部材Cに突設された板バネc6は、常にケースAに設けられた第一の係止部j4に係合するようになっている。一方で、繰出用リール支持部材Cに設けられた位置決め部c9は、第一姿勢(M)を採る場合にのみ第二の係止部j5に係合するものである。
【0028】
左の側壁j1には、繰出用リール支持部材Cに突設された姿勢保持突起c4を受けるための受け穴j6が設けられている。繰出用リール支持部材Cの姿勢保持突起c4は、支軸c2と軸心を一致させて外方すなわち左の側壁j1の方向に突設されている。受け穴j6は、姿勢保持突起c4が上下動し得るのを許容できる形状をなしている。すなわち、受け穴j6は、繰出用リール支持部材CがケースAに配された第二の支軸j3に対して回転し得る範囲で姿勢保持突起c4が動作し得るようにした長穴状をなしている。
【0029】
左の側壁j1における前端部には、転写ヘッドBの基端部に形成された左右方向に貫通した取付孔b1に内嵌し得る角柱状をなしたヘッド取付部j7が突設されている。
【0030】
右の側壁k1には、その内面側に、第一の支軸j2の先端部を保持し得る第一のボス部k5が設けられている。また、右の側壁k1には、第一のボス部k5の周囲を円環状に取り囲むようにして巻取用リールEの逆転防止用のための第三のラチェット歯k7が設けられている。第三のラチェット歯k7には、巻取リールに枢支された複数すなわち三つの爪部材Lの先端部が係合し得るものとなっている。爪部材Lは、基端部が巻取用リールEにおける右の鍔部e3に突設されたピンpnに枢支されたものであり、先端部が第三のラチェット歯k7に係合することにより、巻取用リールEの正転は許容しつつ逆転は禁止し得るものとなっている。
【0031】
右の側壁k1には、繰出用リールDに設けられた第一のラチェット爪d3が係合し得る第一のラチェット歯k6が設けられている。第一のラチェット歯k6は、右の側壁k1における後部の上部分に部分円弧状に配設されている。第一のラチェット歯k6は、繰出用リールDに一体に設けられた第一のラチェット爪d3が係合した場合に、第一のラチェット歯k6と第一のラチェット爪d3の協働により、繰出用リールDの正転を制限ないし禁止し得るものとなっている。
【0032】
この実施形態のケースAには、
図1に示すように、転写ヘッドBを保護するための上の保護カバーq1と下の保護カバーq2が設けられている。上の保護カバーq1は、ケースAの上壁k2に対して前後方向にスライド移動し得るスライドタイプのものであり、下の保護カバーq2は、ケースAに対して回転可能に支持された回転タイプのものである。上の保護カバーq1と下の保護カバーq2は、リンク部材q3を使用したカバー連動機構Iにより連動し得るものとなっている。すなわち、カバー連動機構Iは、上の保護カバーq1と下の保護カバーq2とを転写ヘッドBを覆い得る状態と転写ヘッドBを使用可能な状態との間で開閉動作し得るように構成されている。
【0033】
<転写ヘッドB>
転写ヘッドBは、転写テープTを転写対象面に対して押し付ける板状の先端部たる先端押圧部b2と、転写テープTの左右に位置するように配設された左右のガイド壁b3を備えたものである。先端押圧部b2は、転写テープTの裏面側に添接するものであり、使用者による操作によって転写テープTを転写対象面に対して押し付けることができるようになっている。先端押圧部b2は、側面視において湾曲した外面を有している。
【0034】
<繰出用リール支持部材C>
繰出用リール支持部材Cは、合成樹脂により一体に形成されたものである。繰出用リール支持部材Cは、プレート状をなしケースAの側壁たる左の側壁j1に沿う位置に配されたベースc1と、ベースc1に立設された円筒状をなし繰出用リールDを回転可能に支持し得る支軸c2と、ベースc1に立設された円筒状をなしケースAに対する回転中心である軸孔c5よりも下の後部に配設され転写ヘッドBの先端押圧部b2への転写テープTの進入角度をガイドし得るテープガイド部c3とを備えている。
【0035】
ベースc1は、支軸c2よりも前の下部に設けられケースAに設けられた第二の支軸j3に支持される軸孔c5と、軸孔c5よりも下の位置から前方に向かって片持ち梁状に延設され先端部がケースAに設けた第一の係止部j4と弾性的に接し得る弾性部材たる板バネc6と、軸孔c5よりも上の位置に片持ち的に設けられ先端部が巻取用リールEに設けられた第二のラチェット歯e5と係合し得る第二のラチェット爪c7と、後端部における上部に突設されケースAに設けられた溝状の案内部j8に係わり合う位置決め突起c8と、板バネc6の基端部とテープガイド部c3の間に切欠部を形成することにより設けられケースAに形成された第二の係止部j5が係止し得る位置決め部c9とを備えている。
【0036】
支軸c2は、ベースc1に対して直交する方向に突設された円筒状をなしたものである。支軸c2は、繰出用リールDを回転可能に支持し得るものである。なお、支軸c2は、クラッチ部材s1の軸保持孔s12に挿入され当該クラッチ部材s1を枢支するようになっている。そして、繰出用リールDの中心孔d11にクラッチ部材s1が挿入され、当該クラッチ部材s1が繰出用リールDに対して一体的に回転し得るように装着されている。換言すれば、繰出用リールDは、クラッチ部材s1を介して支軸c2に対して回転可能に支持されている。
【0037】
テープガイド部c3は、ベースc1に対して直交する方向に突設された円筒状をなしたものである。テープガイド部c3は、繰出用リールDから繰り出された転写テープTの内面(上面)が摺接し得るようになっている。
【0038】
上記した構成をなす繰出用リール支持部材Cは、ケースAに対して第一姿勢(M)と第二姿勢(N)との間で回転可能に構成されている。より詳しく言えば、繰出用リール支持部材Cは、繰出用リールDに設けられた第一のラチェット爪d3とケースAに設けられた第一のラチェット歯k6との係わり合いを許容する第一姿勢(M)と、繰出用リールDに設けられた第一のラチェット爪d3とケースAに設けられた第一のラチェット歯k6とを係合させない第二姿勢(N)との間でケースAに対して回転可能に構成されたものである。
【0039】
繰出用リール支持部材Cは、弾性部材たる板バネc6により常に第一姿勢(M)方向に付勢されている。繰出用リール支持部材Cは、中間ギアf2と軸心を一致させて回転可能に支持されている。
【0040】
<繰出用リールD>
繰出用リールDは、転写テープTが巻装される左右方向に延びた円筒状をなす繰出用リール本体部d1と、繰出用リール本体部d1における一方の側部たる右側部に設けられた側板部d2と、側板部d2の周縁部に位置し当該側板部d2に対して片持ち的に設けられた複数すなわち四つの第一のラチェット爪d3とを備えたものである。
【0041】
繰出用リール本体部d1には、左右方向に貫通した中心孔d11が設けられている。中心孔d11の内周面には左右方向に延びた複数の溝部d12が設けられている。特定の溝部d12には、クラッチ部材s1の外周部に設けられた複数の突起s11が内嵌し得るようになっている。
【0042】
側板部d2は、繰出用リール本体部d1に対して直交する方向に延出した板状をなしている。側板部d2の外縁部分における第一のラチェット爪d3の基端部が接続される部位は外方すなわち反軸心方向に片状に突出した形態をなしている。
【0043】
第一のラチェット爪d3は、基端部が側板部d2に対して一体に接続したラチェットアームd31と、ラチェットアームd31の先端部に外方すなわち反軸心方向に突出するように設けられた爪部d32とを備えている。爪部d32は、ケースAにおける右の側壁k1の内面に部分円弧状に配設された第一のラチェット歯k6に係合し得るものとなっている。
【0044】
<巻取用リールE>
巻取用リールEは、繰出用リールDから転写ヘッドBを介して送り出された転写テープTを巻き取るものである。巻取用リールEは、転写テープTを巻き取り得る形態をなす巻取用リール本体部e1と、巻取用リール本体部e1の左右両端部に設けられた左右の鍔部e2、e3と、巻取用リール本体部e1と軸心を一致させて左の鍔部e2における外側部に一体に設けられた巻取ギアe4と、巻取ギアe4よりも外側に当該巻取ギアe4と軸心を一致させて設けられた第二のラチェット歯e5とを備えたものである。
【0045】
巻取用リール本体部e1は、全体として左右方向に延びた円筒状をなしたものであり、その中心には、第一の支軸j2に対して回転可能に嵌合する左右方向に貫通した軸孔e11が形成されている。
【0046】
右の鍔部e3には、爪部材Lの基端部に接続するピンpnが複数すなわち三箇所に突設されている。爪部材Lは、先端部が第三のラチェット歯k7に係合することにより、巻取用リールEの逆転を禁止することができるようになっている。換言すれば、巻取用リールEとケースAとの間には、巻取用リールEの逆転を防止する第二の巻取用リール逆転防止ラチェット機構W2が設けられている。
【0047】
<リール連動機構F>
リール連動機構Fは、繰出用リール支持部材Cの支軸c2に回転可能に支持され繰出用リールDとともに一体的に回転し得る繰出ギアf1と、第一の支軸j2に回転可能に支持され巻取用リールEと一体に設けられた巻取ギアe4と、第二の支軸j3に支持され繰出ギアf1と巻取ギアe4との間に介在してこれら繰出ギアf1及び巻取ギアe4に噛合する中間ギアf2とを備えたものである。
【0048】
繰出ギアf1は、外周縁に中間ギアf2と噛合する複数の歯が設けられた円盤状をなしている。繰出ギアf1の中央部には軸孔f11が設けられている。繰出ギアf1の軸孔f11には、クラッチ部材s1の一端部が挿入される。そして、クラッチ部材s1の一端部に設けられた抜け止め爪s13により、繰出ギアf1がクラッチ部材s1から抜け出さないようになっている。繰出ギアf1は、軸孔f11に挿入されたクラッチ部材s1を介して繰出用リールDとともに繰出用リール支持部材Cの支軸c2に対して回転可能に支持されたものとなっている。
【0049】
なお、繰出用リールDと繰出ギアf1との間には、一定以上のトルクが作用した場合に繰出用リールDと繰出ギアf1との相対回転を許容するすべり機構Sが設けられている。すべり機構Sは、繰出用リールDの中心孔d11に挿入され突起s11が中心孔d11に設けられた溝部d12に係合することにより繰出用リールDと支軸c2周りに一体に回転し得るクラッチ部材s1と、クラッチ部材s1を繰出ギアf1に対して所定の押圧力により圧接させるコイルばねs2とを主体に構成されたものである。コイルばねs2は、クラッチ部材s1に設けられた鍔部s14と繰出ギアf1における軸孔f11の周縁部との間に介設されている。
【0050】
巻取ギアe4は、巻取用リールEにおける左の鍔部e2の外面側に配設されており、中間ギアf2と噛合する複数の歯が設けられたものである。巻取ギアe4は、巻取用リールEと軸心を一致させて当該巻取用リールEの左側部に一体に設けられている。
【0051】
中間ギアf2は、左の側壁j1に設けられた第二の支軸j3に対して抜け止めされた状態で回転可能に支持されている。
【0052】
<クラッチ機構G>
クラッチ機構Gは、
図4及び
図5に示される転写操作時において繰出用リールDの正転を許容し得る正転許容状態(P)を採り得るとともに
図1~3に示される転写解除時において繰出用リールDの正転を制限し得る正転制限状態(R)を採り得るものである。
【0053】
なお、「転写操作時」とは、転写ヘッドBにより転写物を添着させた転写テープTを転写対象面に押圧しつつ当該転写テープTを動作させている時(転写対象面上を走行させている時)をいう。「転写解除時」とは、転写操作時以外の時をいう。
【0054】
しかして、この実施形態におけるクラッチ機構Gは、転写操作時に転写テープTに付与される張力pwを利用して正転許容状態(P)を採り得るものとしている。
【0055】
クラッチ機構Gは、繰出用リールD及び巻取用リールEを収容し得るとともに巻取用リールEを回転可能に支持し得るケースAと、ケースAに対して回転可能に支持された繰出用リール支持部材Cと、繰出用リール支持部材Cに対して回転可能に支持された繰出用リールDとを備えたものである。
【0056】
そして、クラッチ機構Gは、
図4及び
図5に示す正転許容状態(P)において繰出用リールDとケースAとの係わり合いが解除されるものであり、
図1~3に示す正転制限状態(R)において繰出用リールDとケースAとが係わり合うことにより繰出用リールDの正転が制限されるものとなっている。
【0057】
すなわち、正転許容状態(P)において第一のラチェット爪d3と第一のラチェット歯k6とが係合しないように構成されており、正転制限状態(R)において第一のラチェット爪d3と第一のラチェット歯k6とが係合し得るように構成されている。
【0058】
なお、クラッチ機構Gを構成する繰出用リール支持部材Cと巻取用リールEとの間には、正転制限状態(R)である第一姿勢(M)において巻取用リールEの逆転を防止し得るラチェット機構である第一の巻取用リール逆転防止ラチェット機構W1を備えている。第一の巻取用リール逆転防止用ラチェット機構W1は、繰出用リール支持部材Cに設けた第二のラチェット爪c7と、巻取用リールEに設けられ第二のラチェット爪c7が係合し得る第二のラチェット歯e5とを備えたものである。
【0059】
続いて、この実施形態におけるクラッチ機構Gの作動について説明する。
【0060】
転写解除時において、ケースAに枢支された繰出用リール支持部材Cは板バネc6により付勢され第一姿勢(M)を採るようになっている。このとき、繰出用リール支持部材Cに支持された繰出用リールDにおける第一のラチェット爪d3とケースAに設けられた第一のラチェット歯k6が噛合しており、繰出用リールDの正転は制限されている。
【0061】
次に、使用者により、本実施形態の転写具を使用して転写対象面に修正テープ剤を塗布するための転写操作を開始する時の作動を概説する。
【0062】
転写操作時、すなわち、転写ヘッドBにより修正テープ剤を添着させた転写テープTを転写対象面に押圧しつつ当該転写テープTを動作させている時は、転写ヘッドBの先端押圧部b2と転写対象面との間に位置している転写テープTが上流側(繰出用リールD側)の転写テープTを下流側に引っ張ることになる。このとき、繰出用リール支持部材Cのテープガイド部c3や繰出用リールDを枢支する支軸c2は転写操作時の転写テープTの張力pwにより下方(
図4及び
図5では第二の支軸j3を中心にした時計回り方向)に付勢され、繰出用リール支持部材Cを板バネc6の付勢力に抗して第二姿勢(N)方向に回転させることになる。
【0063】
つまり、クラッチ機構Gは、転写操作時において転写テープTに付与される張力pwを利用して繰出用リール支持部材Cを第一姿勢(M)から第二姿勢(N)に回動させることにより正転許容状態(P)を採り得るものとしている。
【0064】
なお、使用者が転写操作を止めると、板バネc6の付勢力により繰出用リール支持部材Cが第二姿勢(N)から第一姿勢(M)に復帰することになるため、繰出用リールDの正転は制限された状態に戻ることになる。
【0065】
以上に詳述した通り、本実施形態に示す転写具は、繰出用リールDから繰り出された転写テープTを転写ヘッドBを経由させて巻取用リールEに巻き取らせるようにしたものである。そして、転写具は、転写操作時において繰出用リールDの正転を許容し得る正転許容状態(P)を採り得るとともに転写解除時において繰出用リールDの正転を制限し得る正転制限状態(R)を採り得るクラッチ機構Gが設けられたものである。クラッチ機構Gは、転写操作時において転写テープTに付与される張力pwを利用して正転許容状態(P)を採り得るものとしている。
【0066】
このため、本実施形態の転写具であれば、転写操作時における転写テープTに対する抵抗を低減させて、使用者による快適な転写操作に寄与し得る転写具を提供することができるものとなる。換言すれば、本実施形態の転写具であれば、転写操作時における繰出用リールDの回転に対する抵抗を低減させることができるため、使用者に対する好適な使用感の提供に資するものとなっている。
【0067】
つまり、クラッチ機構Gが、転写操作時において転写テープTに付与される張力pwを利用して正転許容状態(P)を採り得るものとなっているため、従来技術のような転写ヘッドがケースに対して相対移動してしまうような不安定な構成を採用することなく、使用時における繰出用リールDの回転に対する抵抗を好適に低減させ得る構成を実現することができるものとなっている。
【0068】
したがって、本実施形態の転写具であれば、従来技術のような転写ヘッドがケースに対して相対移動してしまうことに起因する違和感を使用者に与えることがなく、逆に、転写ヘッドBがケースAに対して相対移動し難い構成に基づいて使用者に対して好適な使用感を与え得るものとなっている。
【0069】
クラッチ機構Gが、繰出用リールD及び巻取用リールEを収容し得るとともに巻取用リールEを回転可能に支持し得るケースAと、ケースAに対して回転可能に支持された繰出用リール支持部材Cと、繰出用リール支持部材Cに対して回転可能に支持された繰出用リールDとを備えたものである。そして、クラッチ機構Gは、正転許容状態(P)において繰出用リールDとケースAとの係わり合いが解除されるものであり、正転制限状態(R)において繰出用リールDとケースAとが係わり合うことにより繰出用リールDの正転が制限されるものとなっている。
【0070】
このため、ケースAに対して回転可能に支持された繰出用リール支持部材Cを設け、繰出用リール支持部材Cに対して繰出用リールDを支持させることにより、繰出用リールDとケースAとの係わり合いの有無(係わり合いのON/OFF)を好適に設定し得るものとなっている。
【0071】
繰出用リール支持部材Cが、繰出用リールDとケースAとの係わり合いを許容する第一姿勢(M)と、繰出用リールDとケースAとを係合させない第二姿勢(N)との間でケースAに対して回転可能に構成されたものである。そして、繰出用リール支持部材Cが、弾性部材たる板バネc6により常に第一姿勢(M)方向に付勢されている。
【0072】
このためクラッチ機構Gは、転写解除時において繰出用リール支持部材Cを第一姿勢(M)に安定的に位置させることができるものとなる。そのため、転写具は、転写操作時において転写テープTに付与される張力pwを利用して繰出用リール支持部材Cを第一姿勢(M)から第二姿勢(N)に遷移させ得る設計を実現し易いものとなっている。
【0073】
つまり、この転写具であれば、転写操作時において転写テープTに付与される張力pwに基づいて、弾性部材たる板バネc6の付勢力に抗して繰出用リール支持部材Cを第一姿勢(M)から第二姿勢(N)に遷移させ得るように、適切な設計を行うことができるものとなっている。
【0074】
弾性部材たる板バネc6が、繰出用リール支持部材Cに一体的に設けられ先端部がケースAに弾性的に接し得るものである。
【0075】
このため、部品点数を増やすことなく繰出用リール支持部材Cが所定の姿勢すなわち転写解除時における第一姿勢(M)を安定的に採り得るものとなっている。
【0076】
繰出用リールD及び巻取用リールEの回転を連動させるリール連動機構Fを備えたものである。そして、リール連動機構Fが、繰出用リールDとともに回転し得る繰出ギアf1と、巻取用リールEとともに回転し得る巻取ギアe4と、繰出ギアf1と巻取ギアe4との間に介設された中間ギアf2とを備えたものである。そして、繰出用リール支持部材Cが、中間ギアf2と軸心を一致させて回転可能に支持されている。
【0077】
このため、繰出用リール支持部材Cに支持されている繰出ギアf1が、繰出用リール支持部材CとともにケースAに対して相対移動するものであっても、中間ギアf2に対して無理なく噛合し得るものとなっている。
【0078】
繰出用リールDに第一のラチェット爪d3が設けられたものであり、ケースAに第一のラチェット爪d3が係合し得る第一のラチェット歯k6が設けられたものである。そして、クラッチ機構Gは、正転許容状態(P)において第一のラチェット爪d3と第一のラチェット歯k6とが係合しないように構成されており、正転制限状態(R)において第一のラチェット爪d3と第一のラチェット歯k6とが係合し得るように構成されている。
【0079】
このため、第一のラチェット爪d3と、当該第一のラチェット爪d3が係合し得る第一のラチェット歯k6とを適用することにより、所期の動作を好適に実現し得るものとなっている。
【0080】
転写具は、正転制限状態(R)において巻取用リールEの逆転を防止し得る逆転防止用のラチェット機構たる第一の巻取用リール逆転防止ラチェット機構W1を備えたものである。そして、第一の巻取用リール逆転防止ラチェット機構W1が、繰出用リール支持部材Cに設けた第二のラチェット爪c7と、巻取用リールEに設けられ第二のラチェット爪c7が係合し得る第二のラチェット歯e5とを備えたものである。
【0081】
このため、繰出用リール支持部材Cが、ケースAに対して回転動作し得る構成を使用して、正転制限状態(R)において巻取用リールEの逆転を防止し得るものとなっている。
【0082】
繰出用リール支持部材Cが、繰出用リールDを支持し得る支軸c2を備えたものである。
【0083】
このため、繰出用リールDは、繰出用リール支持部材Cの支軸c2回りに回転し得るものであるとともに、ケースAに対しても繰出用リール支持部材Cとともに相対移動し得るものとなっている。
【0084】
繰出用リール支持部材Cが、ケースAに対する回転中心よりも下に配設され転写ヘッドBへの転写テープTの進入角度をガイドし得るテープガイド部c3を備えている。
【0085】
このため、繰出用リールDから繰り出された転写テープTを転写ヘッドBに対して好適に導くことができるものとなっている。
【0086】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0087】
転写具は、転写物を転写対象物に転写するものであればどのようなものであってもよい。換言すれば、転写物は、本実施形態に示された修正テープ剤(薄膜状の修正剤)に限られるものではなく、例えば、糊や装飾用の装飾剤(装飾テープ)であってもよい。
【0088】
また、転写具は、転写テープが無くなった場合に以後使用できなくなるいわゆるディスポーザブルタイプのものであってもよいし、転写テープを保持したリフィルをケースに対して付け替え可能に構成されたいわゆるリフィル交換タイプのものであってもよい。
【0089】
繰出用リール支持部材は、巻取用リールのラチェット歯に係合し得るラチェット爪を設けないものであってもよい。
【0090】
巻取用リールのラチェット歯に係合し得るように設けられた繰出用リール支持部材のラチェット爪は、正転許容状態(第二姿勢)において必ずしもラチェット歯に対して完全に離れたものとする必要はない。換言すれば、繰出用リール支持部材のラチェット爪は、正転許容状態(第二姿勢)においても、巻取用リールのラチェット歯と係合し得るものであってもよい。
【0091】
繰出用リール支持部材を第一姿勢の方向に付勢する弾性部材は、板バネに限られるものではなく、例えば、ねじりコイルバネやゴム等であってもよい。
【0092】
繰出用リール支持部材に一体的に設けられた板バネの先端部は、転写ヘッドに弾性的に接し得るものであってもよい。
【0093】
リール連動機構を構成する中間ギアは単一のものに限られず複数のものであってもよい。
【0094】
繰出用リールに設けられた複数のラチェット爪は、適宜の数に設定可能であることはいうまでもない。
【0095】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0096】
A…ケース
B…転写ヘッド
C…繰出用リール支持部材
D…繰出用リール
E…巻取用リール
F…リール連動機構
G…クラッチ機構