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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】作業判定装置および作業判定方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/20 20170101AFI20240521BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240521BHJP
【FI】
G06T7/20 300Z
G06Q50/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020111328
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010646
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北角 一哲
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-200331(JP,A)
【文献】特開2010-211623(JP,A)
【文献】特開2017-147689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/20
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を把持して当該部品を仕掛品に取り付ける作業を作業者が行う様子を撮像した画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された前記画像から部品を検出する部品検出手段と、
前記部品検出手段による検出結果に基づいて、前記作業者が部品を把持したか否かを判定し、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定する把持判定手段と、
前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品でないと前記把持判定手段が判定した場合に、所定の通知を行うように制御する通知制御手段とを有し、
前記把持判定手段は、前記部品検出手段によって検出された部品の移動距離が第1の閾値以上である場合に、当該部品を前記作業者が把持したと判定することを特徴とする作業判定装置。
【請求項2】
前記把持判定手段は、前記部品検出手段によって複数の部品が検出された場合に、前記複数の部品から、移動距離が最大の部品を選択し、選択した部品の移動距離が前記第1の閾値以上である場合に、当該部品を前記作業者が把持したと判定する
ことを特徴とする請求項に記載の作業判定装置。
【請求項3】
前記作業と当該作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品との対応関係を示す情報を取得する情報取得手段をさらに有し、
前記把持判定手段は、前記部品検出手段による検出結果と、前記情報取得手段によって取得された前記情報とに基づいて、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の作業判定装置。
【請求項4】
前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であると前記把持判定手段が判定した場合に、前記部品検出手段による検出結果に基づいて、前記作業が完了したことの所定の条件が満たされたか否かを判定する作業完了判定手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の作業判定装置。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記作業者が把持した部品と前記仕掛品との間の距離が第2の閾値以下となったことを含む
ことを特徴とする請求項に記載の作業判定装置。
【請求項6】
前記所定の条件は、前記仕掛品に対する前記部品の相対的な位置が所定の位置であることを含む
ことを特徴とする請求項またはに記載の作業判定装置。
【請求項7】
前記所定の条件は、前記仕掛品に対する前記部品の相対的な向きが所定の向きであることを含む
ことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の作業判定装置。
【請求項8】
前記画像取得手段は、1つ以上の作業を含み且つ前記1つ以上の作業の全てを終えた後に前記仕掛品を所定の場所に置く工程を前記作業者が行う様子を撮像した前記画像を取得し、
前記部品検出手段は、さらに、前記画像取得手段によって取得された前記画像から前記仕掛品を検出し、
前記作業完了判定手段は、さらに、前記部品検出手段による検出結果に基づいて、前記仕掛品が前記所定の場所に置かれたか否かを判定し、
前記通知制御手段は、さらに、前記1つ以上の作業の全てを終える前に前記仕掛品が前記所定の場所に置かれたと前記作業完了判定手段が判定した場合に、前記所定の通知を行うように制御する
ことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の作業判定装置。
【請求項9】
前記画像取得手段によって取得された前記画像から前記作業者の手を検出する手検出手段をさらに有し、
前記作業完了判定手段は、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であると前記把持判定手段が判定した後、前記作業者が把持した部品が前記部品検出手段によって検出されなくなった場合に、前記手検出手段によって検出された手の位置を、前記作業者が把持した部品の位置として用いる
ことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の作業判定装置。
【請求項10】
部品を把持して当該部品を仕掛品に取り付ける作業を作業者が行う様子を撮像した画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにおいて取得された前記画像から部品を検出する部品検出ステップと、
前記部品検出ステップにおける検出結果に基づいて、前記作業者が部品を把持したか否かを判定し、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定する把持判定ステップと、
前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品でないと前記把持判定ステップで判定された場合に、所定の通知を行うように制御する通知制御ステップと
を有し、
前記把持判定ステップでは、前記部品検出ステップによって検出された部品の移動距離が第1の閾値以上である場合に、当該部品を前記作業者が把持したと判定することを特徴とする作業判定方法。
【請求項11】
請求項10に記載の作業判定方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業が正しく行われているか否かを判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製品作りのための作業の間違いや漏れによる製品品質へ影響が問題視されている。特許文献1には、撮像された画像(映像)に基づいて、作業者の体の動き(例えば手や足の動き)が所定の動きと一致するか否かを判定し、その判定結果に基づいて、作業者の動作がどの作業のものであるかを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-003781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業者の体格は様々であるし、或る作業において作業者が常に決まった動きをするとは限らない。このため、特許文献1に記載の技術を用いたとしても、作業が正しく行われているか否かを高精度に判定できず、作業の間違いや漏れが発生することがある。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、作業が正しく行われているか否かを高精度に判定して、作業の間違いや漏れを防ぐことのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第一側面は、部品を把持して当該部品を仕掛品に取り付ける作業を作業者が行う様子を撮像した画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された前記画像から部品を検出する部品検出手段と、前記部品検出手段による検出結果に基づいて、前記作業者が部品を把持したか否かを判定し、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定する把持判定手段と、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品でないと前記把持判定手段が判定した場合に、所定の通知を行うように制御する通知制御手段とを有することを特徴とする作業判定装置を提供する。所定の通知は、例えば、作業が正しく行われていないことなどの警告(アラート)の通知であり、グラフィック(アイコンやメッセージ)の表示、音声の出力、ランプの点灯などにより実現される。所定の通知は、作業者や、作業を管理する管理者(作業監督)などに対して行われる。
【0008】
作業において仕掛品に取り付けるべき部品(部品の種類(形状やサイズなど))は、作業者には依存せず、常に一定である。このため、上述した構成によれば、作業者が把持した部品が作業において仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定することにより、当該作業が正しく行われているか否かを高精度に判定できる。そして、作業者が把持した部品が作業において仕掛品に取り付けるべき部品でないと判定した場合に所定の通知を行うことにより、作業の間違いや漏れを防ぐことができる。
【0009】
作業者は、把持した部品を仕掛品に取り付けるために、当該部品を大きく動かすことが
多い。このため、前記把持判定手段は、前記部品検出手段によって検出された部品の移動距離が第1の閾値以上である場合に、当該部品を前記作業者が把持したと判定するとしてもよい。
【0010】
部品は、作業者に把持されていなくても、作業台の揺れなどにより動くことがあるが、一般的に、把持されている部品は、把持されていない部品よりも大きく動く。このため、前記把持判定手段は、前記部品検出手段によって複数の部品が検出された場合に、前記複数の部品から、移動距離が最大の部品を選択し、選択した部品の移動距離が前記第1の閾値以上である場合に、当該部品を前記作業者が把持したと判定するとしてもよい。こうすることで、複数の部品が検出された場合でも、作業者が把持した部品を高精度に検出(特定)することができる。
【0011】
前記作業と当該作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品との対応関係を示す情報を取得する情報取得手段をさらに有し、前記把持判定手段は、前記部品検出手段による検出結果と、前記情報取得手段によって取得された前記情報とに基づいて、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定するとしてもよい。
【0012】
前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であると前記把持判定手段が判定した場合に、前記部品検出手段による検出結果に基づいて、前記作業が完了したことの所定の条件が満たされたか否かを判定する作業完了判定手段をさらに有するとしてもよい。こうすることで、作業が正しく行われているか否かだけでなく、作業が正しく完了したか否かまで判定することができる。
【0013】
一般的に、部品を仕掛品に取り付ける際に、それらの間の距離は小さくなる。このため、前記所定の条件は、前記作業者が把持した部品と前記仕掛品との間の距離が第2の閾値以下となったことを含むとしてもよい。また、一般的に、仕掛品に部品を取り付ける際の、仕掛品に対する部品の相対的な位置や向きは予め決まっていることが多い。このため、前記所定の条件は、前記仕掛品に対する前記部品の相対的な位置が所定の位置であることを含むとしてもよいし、前記所定の条件は、前記仕掛品に対する前記部品の相対的な向きが所定の向きであることを含むとしてもよい。
【0014】
前記画像取得手段は、1つ以上の作業を含み且つ前記1つ以上の作業の全てを終えた後に前記仕掛品を所定の場所に置く工程を前記作業者が行う様子を撮像した前記画像を取得し、前記部品検出手段は、さらに、前記画像取得手段によって取得された前記画像から前記仕掛品を検出し、前記作業完了判定手段は、さらに、前記部品検出手段による検出結果に基づいて、前記仕掛品が前記所定の場所に置かれたか否かを判定し、前記通知制御手段は、さらに、前記1つ以上の作業の全てを終える前に前記仕掛品が前記所定の場所に置かれたと前記作業完了判定手段が判定した場合に、前記所定の通知を行うように制御するとしてもよい。こうすることで、作業の漏れをより確実に防ぐことができる。
【0015】
前記画像取得手段によって取得された前記画像から前記作業者の手を検出する手検出手段をさらに有し、前記作業完了判定手段は、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であると前記把持判定手段が判定した後、前記作業者が把持した部品が前記部品検出手段によって検出されなくなった場合に、前記手検出手段によって検出された手の位置を、前記作業者が把持した部品の位置として用いるとしてもよい。こうすることで、作業者が把持した部品が当該作業者の手に隠れて検出されなくなった場合でも、作業が完了したか否かを判定することができる。
【0016】
本発明の第二側面は、部品を把持して当該部品を仕掛品に取り付ける作業を作業者が行
う様子を撮像した画像を取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップにおいて取得された前記画像から部品を検出する部品検出ステップと、前記部品検出ステップにおける検出結果に基づいて、前記作業者が部品を把持したか否かを判定し、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定する把持判定ステップと、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品でないと前記把持判定ステップで判定された場合に、所定の通知を行うように制御する通知制御ステップとを有することを特徴とする作業判定方法を提供する。
【0017】
なお、本発明は、上記構成ないし機能の少なくとも一部を有する作業判定システムとして捉えることができる。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む、作業判定方法又は作業判定システムの制御方法や、これらの方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、又は、そのようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として捉えることもできる。上記構成及び処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、作業が正しく行われているか否かを高精度に判定して、作業の間違いや漏れを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明が適用された作業判定装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2(A)は、第1の実施形態に係る作業判定システムの大まかな構成例を示す模式図であり、図2(B)は、第1の実施形態に係るPC(作業判定装置)の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る作業画像の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る作業情報の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る処理フロー例を示すフローチャートである。
図6図6は、第2の実施形態に係るPC(作業判定装置)の構成例を示すブロック図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る処理フロー例を示すフローチャートである。
図8図8は、第3の実施形態に係る処理フロー例を示すフローチャートである。
図9図9(A)~9(E)は、部品と仕掛品の状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<適用例>
本発明の適用例について説明する。作業者の体格は様々であり、或る作業において作業者が常に決まった動きをするとは限らない。このため、作業者の体の動き(例えば手や足の動き)が所定の動きと一致するか否かを判定する従来技術では、作業が正しく行われているか否かを高精度に判定できず、作業の間違いや漏れが発生することがある。
【0021】
図1は、本発明が適用された作業判定装置100の構成例を示すブロック図である。作業判定装置100は、画像取得部101、部品検出部102、把持判定部103、及び、通知制御部104を有する。画像取得部101は、部品を把持して当該部品を仕掛品に取り付ける作業を作業者が行う様子を撮像した画像を取得する。部品検出部102は、画像取得部101によって取得された画像から部品を検出する。把持判定部103は、部品検出部102による検出結果に基づいて、作業者が部品を把持したか否かを判定し、作業者が把持した部品が作業において仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定する。通知制御部104は、作業者が把持した部品が作業において仕掛品に取り付けるべき部品でないと把持判定部103が判定した場合に、所定の通知を行うように制御する。画像取得
部101は本発明の画像取得手段の一例であり、部品検出部102は本発明の部品検出手段の一例であり、把持判定部103は本発明の把持判定手段の一例であり、通知制御部104は本発明の通知制御手段の一例である。ここで、所定の通知は、例えば、作業が正しく行われていないことなどの警告(アラート)の通知であり、グラフィック(アイコンやメッセージ)の表示、音声の出力、ランプの点灯などにより実現される。所定の通知は、作業者や、作業を管理する管理者(作業監督)などに対して行われる。
【0022】
作業において仕掛品に取り付けるべき部品(部品の種類(形状やサイズなど))は、作業者には依存せず、常に一定である。このため、上述した構成によれば、作業者が把持した部品が作業において仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定することにより、当該作業が正しく行われているか否かを高精度に判定できる。そして、作業者が把持した部品が作業において仕掛品に取り付けるべき部品でないと判定した場合に所定の通知を行うことにより、作業の間違いや漏れを防ぐことができる。
【0023】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について説明する。
【0024】
図2(A)は、第1の実施形態に係る作業判定システムの大まかな構成例を示す模式図である。第1の実施形態に係る作業判定システムは、カメラ10、PC200(パーソナルコンピュータ;作業判定装置)、及び、通知部20を有する。カメラ10とPC200は有線または無線で互いに接続されている。同様に、通知部20とPC200も有線または無線で互いに接続されている。
【0025】
カメラ10は、カメラ10に設けられた画像センサを用いて撮像を行い、撮像によって得られた画像をPC200へ出力する。第1の実施形態では、カメラ10は、部品を把持して当該部品を仕掛品に取り付ける作業を作業者が行う様子を撮像した作業画像をPC200へ出力する。PC200は、作業画像に基づいて、作業が正しく行われているか否かを判定し、作業が正しく行われていないと判定した場合に、所定の通知を行うための制御信号を通知部20へ出力する。通知部20は、モニタ、スピーカー、ランプなどの少なくともいずれかを有する。通知部20は、PC200からの制御信号に応じて、モニタでのグラフィック(アイコンやメッセージ)の表示、スピーカーからの音声の出力、ランプの点灯などの少なくともいずれかにより、作業が正しく行われていないことなどの警告(アラート)を通知する。
【0026】
なお、第1の実施形態では、カメラ10、PC200、及び、通知部20が別個の装置であるとするが、そうでなくてもよい。例えば、カメラ10、PC200、及び、通知部20の少なくとも2つ以上が1つの装置に含まれていていてもよい。具体的には、PC200がカメラ10と通知部20の少なくとも一方を有していてもよい。また、PC200と通知部20の設置場所は特に限定されない。例えば、PC200と通知部20はカメラ10と同じ部屋に設置されていてもよいし、そうでなくてもよい。作業者への通知を行う場合には、カメラ10や作業者と同じ部屋に通知部20を設置したり、作業者の携帯端末(スマートフォンやタブレットなど)を通知部20として使用したりすればよい。作業監督への通知を行う場合には、作業監督と同じ部屋に通知部20を設置したり、作業監督の携帯端末を通知部20として使用したりすればよい。PC200はクラウド上のコンピュータであってもよいし、そうでなくてもよい。
【0027】
図2(B)は、PC200の構成例を示すブロック図である。PC200は、入力部210、記憶部220、制御部230、及び、出力部240を有する。
【0028】
入力部210は、作業画像をカメラ10から取得し、制御部230へ出力する。第1の
実施形態では、カメラ10は動画を撮像するとし、入力部210は、動画の1フレームをカメラ10から取得して制御部230へ出力する処理を、順次行うとする。入力部210による画像取得の周期は特に限定されないが、第1の実施形態では、入力部210は、カメラ10による撮像に同期して作業画像(動画の1フレーム)を取得するとする。つまり、入力部210は、作業画像をカメラ10から取得して制御部230へ出力する処理を、カメラ10による撮像のフレームレート(例えば30fps)で行うとする。なお、カメラ10は静止画の撮像を順次行ってもよく、その場合に、入力部210は、静止画をカメラ10から取得して制御部230へ出力する処理を、順次行う。入力部210は、本発明の画像取得手段の一例である。
【0029】
図3は、第1の実施形態に係る作業画像の一例を示す図である。図3の作業画像300には、作業台301、部品ケース302、仕掛品303、及び、作業者304が写っている。部品ケース302には、複数の部品302a~302iが区分けされて収納されている。こうすることで、部品の検出や、部品の移動距離の計算などが、容易かつ高精度に行えるようになる。また、第1の実施形態では、作業画像は、1つ以上の作業を含み且つ当該1つ以上の作業の全てを終えた後に仕掛品を所定の場所に置く工程を作業者が行う様子を撮像した画像でもあるとする。そして、作業台301では、テープなどの目印を用いて、工程の全作業を終えた後に仕掛品303を置く所定の場所である次工程置き場305が示されている。こうすることで、次工程置き場305の検出や、仕掛品303が次工程置き場305に置かれたか否かの判定などが、容易かつ高精度に行えるようになる。
【0030】
なお、作業台301に置かれる部品の数は特に限定されないし、部品は部品ケース302に収納されていなくてもよい。部品の山が作られていてもよいが、部品の検出や部品の移動距離の計算などが容易かつ高精度に行えるように、作業順に部品が区分けされていることが好ましい。また、作業画像の撮像範囲や、作業画像に写る物体なども特に限定されない。作業や工程が行われる様子が撮像されればよく、例えば、部品ケース302(作業台301に置かれた部品)が作業画像に写っていなくてもよい。
【0031】
記憶部220は、制御部230で実行されるプログラムや、制御部230で使用される各種データなどを記憶する。例えば、記憶部220は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、等の補助記憶装置である。第1の実施形態では、作業と当該作業において仕掛品に取り付けるべき部品との対応関係を示す情報(作業情報)が、記憶部220に予め格納されている。作業情報を使用することで、現在の作業、次に行う作業、作業において使用すべき部品などが容易に把握可能となる。なお、PC200が作業情報を取得する情報取得部を有していればよく、作業情報はPC200の外部装置に格納されていてもよい。情報取得部は、本発明の情報取得手段の一例である。
【0032】
図4は、第1の実施形態に係る作業情報の一例を示す図である。図4の作業情報400は、工程順かつ作業順に、作業において仕掛品に取り付けるべき部品を示している。具体的には、製品作りでは工程1~3を順に行い、工程1では作業1-1~1-3を順に行い、工程2では作業2-1~2-3を順に行い、工程3では作業3-1~3-3を順に行うことが示されている。そして、作業1-1では部品302aを使用し、作業1-2では部品302bを使用し、作業1-3では部品302cを使用することが示されている。同様に、作業2-1では部品302dを、作業2-2では部品302eを、作業2-3では部品302fを、作業3-1では部品302gを、作業3-2では部品302hを使用し、作業3-3では部品302iを使用することが示されている。
【0033】
制御部230は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを含み、各構成要素の制御や、各種情報処理などを行う。第1の実施形態
では、制御部230は、入力部210から作業画像を取得し、記憶部220から作業情報を取得し、作業画像と作業情報に基づいて、現在の作業が正しく行われているか否かを判定する。そして、制御部230は、現在の作業が正しく行われていないと判定した場合に、所定の通知を行うための制御信号を出力部240へ出力する。
【0034】
出力部240は、制御部230から出力された制御信号を、通知部20へ出力する。
【0035】
制御部230について、より詳細に説明する。制御部230は、部品検出部231、把持判定部232、作業完了判定部233、及び、通知制御部234を有する。
【0036】
部品検出部231は、入力部210から作業画像を取得し、取得した作業画像から部品を検出し、部品の検出結果(部品の種類や位置、向きなど)を把持判定部232と作業完了判定部233へ出力する。さらに、部品検出部231は、取得した作業画像から仕掛品を検出し、仕掛品の検出結果(仕掛品の位置や向きなど)を作業完了判定部233へ出力する。部品検出部231は本発明の部品検出手段の一例である。
【0037】
なお、部品検出部231による部品検出や仕掛品検出にはどのようなアルゴリズムを用いてもよい。例えば、既存の物体検出により部品や仕掛品を検出してもよく、具体的にはHoGやHaar-likeなどの画像特徴とブースティングを組み合わせた検出器(識別器)を用いて部品や仕掛品を検出してもよい。既存の機械学習により生成された学習済みモデルを用いて部品や仕掛品を検出してもよく、具体的にはディープラーニング(例えば、R-CNN、Fast R-CNN、YOLO、SSDなど)により生成された学習済みモデルを用いて部品や仕掛品を検出してもよい。
【0038】
把持判定部232は、部品検出部231による検出結果(部品の検出結果)に基づいて、作業者が部品を把持したか否かを判定し、作業者が把持した部品が現在の作業において仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定する。具体的には、把持判定部232は、記憶部220から作業情報を取得し、部品の検出結果と、作業情報とに基づいて、作業者が把持した部品が現在の作業において仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定する。作業情報は、現在の作業において仕掛品に取り付けるべき部品を把握するために使用される。そして、把持判定部232は、作業者が把持した部品が現在の作業において仕掛品に取り付けるべき部品であると判定した場合に、そのことを作業完了判定部233へ通知する。さらに、把持判定部232は、作業者が把持した部品が現在の作業において仕掛品に取り付けるべき部品でないと判定した場合に、そのことを通知制御部234へ通知する。把持判定部232は本発明の把持判定手段の一例である。第1の実施形態では、把持判定部232は記憶部220から作業情報を取得するため、把持判定部232は本発明の情報取得手段を兼ねているとも言える。
【0039】
作業完了判定部233は、作業者が把持した部品が現在の作業において仕掛品に取り付けるべき部品であると把持判定部232が判定した場合に、現在の作業が完了したことの所定の条件が満たされたか否かを判定する。所定の条件が満たされたか否かは、部品検出部231による検出結果(部品の検出結果や、仕掛品の検出結果)に基づいて判定される。さらに、作業完了判定部233は、部品検出部231による検出結果(仕掛品の検出結果)に基づいて、仕掛品が次工程置き場に置かれたか否かを判定する。例えば、部品検出部231は、作業画像から次工程置き場(次工程置き場の目印)を検出でき、作業完了判定部233は、検出された次工程置き場で仕掛品が検出された場合に、次工程置き場に仕掛品が置かれたと判定できる。なお、作業完了判定部233が次工程置き場を予め把握している場合には、部品検出部231による次工程置き場の検出は不要である。第1の実施形態では、作業完了判定部233は、記憶部220から作業情報を取得し、取得した作業情報から各工程や各作業を把握する。そのうえで、上記2つの判定を行うことで、現在の
工程の全作業を終える前に仕掛品が次工程置き場に置かれたか否かを判定できる。そして、作業完了判定部233は、現在の工程の全作業を終える前に仕掛品が次工程置き場に置かれたと判定した場合に、そのことを通知制御部234へ通知する。作業完了判定部233は本発明の作業完了判定手段の一例である。第1の実施形態では、作業完了判定部233は記憶部220から作業情報を取得するため、作業完了判定部233は本発明の情報取得手段を兼ねているとも言える。
【0040】
通知制御部234は、把持判定部232や作業完了判定部233からの通知に応じて、所定の通知を行うための制御信号を出力部240へ出力する。つまり、作業者が把持した部品が現在の作業において仕掛品に取り付けるべき部品でないと把持判定部232が判定した場合に、通知制御部234は、所定の通知を行うように制御する。また、現在の工程の全作業を終える前に仕掛品が次工程置き場に置かれたと作業完了判定部233が判定した場合にも、通知制御部234は、所定の通知を行うように制御する。通知制御部234は本発明の通知制御手段の一例である。
【0041】
図5は、第1の実施形態に係る処理フロー例を示すフローチャートである。PC200は、図5の処理フローを繰り返し実行する。図5の処理フローの繰り返し周期は特に限定されないが、カメラ10による撮像のフレームレート(例えば30fps)で図5の処理フローが繰り返されるとする。
【0042】
図5の処理フローでは、現在の作業(および工程)を把握するための現作業フラグが使用される。現作業フラグは、作業情報によって示されたいずれかの作業に対応する。例えば、現作業フラグ=1は工程1の作業1-1に対応し、現作業フラグ=2は工程1の作業1-2に対応し、現作業フラグ=3は工程1の作業1-3に対応する。現作業フラグ=4は工程2の作業2-1に対応し、現作業フラグ=5は工程2の作業2-2に対応し、現作業フラグ=6は工程2の作業2-3に対応する。現作業フラグ=7は工程3の作業3-1に対応し、現作業フラグ=8は工程3の作業3-2に対応し、現作業フラグ=9は工程3の作業3-3に対応する。初期状態では、現作業フラグは1に設定されている。
【0043】
まず、入力部210は、カメラ10から作業画像を取得する(ステップS500)。
【0044】
次に、部品検出部231は、入力部210から作業画像を取得し、取得した作業画像から部品と仕掛品を検出する(ステップS501)。図3の作業画像300が取得された場合には、部品302a~302iと仕掛品303が検出される。
【0045】
次に、作業完了判定部233は、ステップS501の検出結果(仕掛品の検出結果)に基づいて、仕掛品が次工程置き場に置かれたか否かを判定する(ステップS502)。仕掛品が次工程置き場に置かれたと判定された場合(ステップS502:YES)にはステップS503へ処理が進められ、仕掛品が次工程置き場に置かれていないと判定された場合(ステップS502:NO)にはステップS505へ処理が進められる。
【0046】
ステップS503では、作業完了判定部233は、現在の工程の全作業が完了しているか否かを判定する。現在の工程の全作業が完了していると判定された場合(ステップS503:YES)には図5の処理フローが終了し、現在の工程に未完了の作業があると判定された場合(ステップS503:NO)にはステップS504へ処理が進められる。
【0047】
図5の処理フローでは、作業が完了したと判定される度に、現作業フラグを更新する(1インクリメントする)ことにより、現在の作業として扱う作業が次の作業に更新される。このため、作業完了判定部233は、現作業フラグと作業情報から、現在の工程の全作業が完了しているか否かを判定できる。
【0048】
例えば、現作業フラグが1~3であれば、現在の工程は工程1であり、工程1の作業1-1~1-3の少なくともいずれかが完了していないと判定できる。現作業フラグが4となってから初めて仕掛品が次工程置き場に置かれたのであれば、現在の工程は工程1であり、工程1の作業1-1~1-3の全てが完了したと判定できる。現作業フラグが4であっても、現作業フラグが4の状態で過去に仕掛品が次工程置き場に置かれたことがあるのであれば、現在の工程は工程2であり、工程2の作業2-1が完了していないと判定できる。
【0049】
同様に、現作業フラグが5または6であれば、現在の工程は工程2であり、工程2の作業2-2と作業2-3の少なくともいずれかが完了していないと判定できる。現作業フラグが7となってから初めて仕掛品が次工程置き場に置かれたのであれば、現在の工程は工程2であり、工程2の作業2-1~2-3の全てが完了したと判定できる。現作業フラグが7であっても、現作業フラグが7の状態で過去に仕掛品が次工程置き場に置かれたことがあるのであれば、現在の工程は工程3であり、工程3の作業3-1が完了していないと判定できる。現作業フラグが8または9であれば、現在の工程は工程3であり、工程3の作業3-2と作業3-3の少なくともいずれかが完了していないと判定できる。現作業フラグが10であれば、現在の工程は工程3であり、工程3の作業3-1~3-3の全てが完了したと判定できる。
【0050】
ステップS504では、通知制御部234は、所定の通知を行うための制御信号を出力部240へ出力する。その結果、出力部240から通知部20へ制御信号が送られ、通知部20により所定の通知が行われる。
【0051】
ステップS505では、作業完了判定部233は、把持状態設定(現在の作業において仕掛品に取り付けるべき部品を作業者が把持した状態であることの設定)が有効であるか否かを判定する。把持状態設定が有効であると判定された場合(ステップS505:YES)にはステップS511へ処理が進められ、把持状態設定が有効でないと判定された場合(ステップS505:NO)にはステップS506へ処理が進められる。
【0052】
ステップS506では、把持判定部232は、ステップS501で検出された部品の移動距離D1を算出する。ステップS501で複数の部品が検出された場合には、当該複数の部品のそれぞれの移動距離D1が算出される。移動距離D1の算出方法は特に限定されないが、例えば、現在の作業の開始時における部品の検出位置と、当該部品の現在の検出位置との間の距離が、移動距離D1として算出される。所定時間前における部品の検出位置と、当該部品の現在の検出位置との間の距離、つまり所定期間における部品の移動距離を、移動距離D1として算出してもよい。
【0053】
ステップS507では、把持判定部232は、ステップS501で複数の部品が検出された場合に、当該複数の部品のうち、ステップS506で算出された移動距離D1が最大の部品を選択する。ステップS501で1つの部品が検出された場合には、当該部品が選択される。部品は、作業者に把持されていなくても、作業台の揺れなどにより動くことがあるが、一般的に、把持されている部品は、把持されていない部品よりも大きく動く。このため、ステップS507の処理により、複数の部品のうち、作業者に把持されている可能性の高い部品を選択することができる。
【0054】
次に、把持判定部232は、ステップS507で選択した部品の移動距離D1が閾値Th1以上であるか否かを判定する(ステップS508)。作業者は、把持した部品を仕掛品に取り付けるために、当該部品を大きく動かすことが多い。このため、ステップS508の処理により、作業者が部品を把持したか否かを判定することができる。選択された部
品の移動距離D1が閾値Th1以上であると判定された場合(ステップS508:YES)、つまり作業者が部品を把持したと判定された場合には、ステップS509へ処理が進められる。選択された部品の移動距離D1が閾値Th1未満であると判定された場合(ステップS508:NO)、つまり作業者が部品を把持していないと判定された場合には、図5の処理フローが終了する。
【0055】
ステップS509では、把持判定部232は、作業者が把持した部品(ステップS507で選択した部品)が正しい部品(現在の作業において仕掛品に取り付けるべき部品)であるか否かを判定する。作業者が把持した部品が正しい部品であると判定された場合(ステップS509:YES)には、ステップS510へ処理が進められる。作業者が把持した部品が正しい部品でないと判定された場合(ステップS509:NO)には、ステップS504へ処理が進められ、所定の通知が行われる。正しい部品は、現作業フラグと作業情報から判断される。具体的には、把持判定部232は、作業情報において、現作業フラグに対応する作業に関連付けられている部品を、正しい部品として判断する。現作業フラグが1であれば、作業1-1に関連付けられている部品302aが、正しい部品として判断される。
【0056】
ステップS510では、把持判定部232は、把持状態設定を有効にする。
【0057】
ステップS511では、作業完了判定部233は、作業者が把持した部品と仕掛品との間の距離D2を算出する。距離D2の算出方法は特に限定されないが、例えば、部品の検出位置(中心位置など)と仕掛品の検出位置との間の距離が、距離D2として算出される。検出矩形のIoU(部品の検出矩形と仕掛品の検出矩形との和集合に対する、部品の検出矩形と仕掛品の検出矩形との共通部分の割合(サイズ比))を、距離D2として算出してもよい。部品と仕掛品の一方の検出矩形に対する、部品の検出矩形と仕掛品の検出矩形との共通部分の割合(サイズ比)を、距離D2として算出してもよい。仕掛品が固定されている(位置や向きが変わらない)という前提があれば、仕掛品を検出せずに、作業者が把持した部品の位置などから距離D2を算出してもよい。
【0058】
次に、作業完了判定部233は、ステップS511で算出した距離D2が閾値Th2以下であるか否かを判定する(ステップS512)。一般的に、部品を仕掛品に取り付ける際に、それらの間の距離は小さくなる。このため、ステップS512の処理により、現在の作業が完了したか否かを判定することができる。距離D2が閾値Th2以下であると判定された場合(ステップS512:YES)、つまり現在の作業が完了したと判定された場合には、ステップS513へ処理が進められる。距離D2が閾値Th2よりも大きいと判定された場合(ステップS512:NO)、つまり現在の作業が完了していないと判定された場合には、図5の処理フローが終了する。距離D2が閾値Th2以下であることは、上述した所定の条件の一例である。
【0059】
ステップS513では、作業完了判定部233は、現作業フラグを更新する(1インクリメントする)ことにより、現在の作業として扱う作業を次の作業に更新する。
【0060】
次に、作業完了判定部233は、把持状態設定を無効にする(ステップS514)。
【0061】
作業において仕掛品に取り付けるべき部品(部品の種類(形状やサイズなど))は、作業者には依存せず、常に一定である。このため、第1の実施形態によれば、作業者が把持した部品が作業において仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定することにより、当該作業が正しく行われているか否かを高精度に判定できる。そして、作業者が把持した部品が作業において仕掛品に取り付けるべき部品でないと判定した場合に所定の通知を行うことにより、作業の間違いや漏れを防ぐことができる。
【0062】
さらに、作業完了判定部233を用いたことにより、作業が正しく行われているか否かだけでなく、作業が正しく完了したか否かまで判定することができる。そして、工程の全作業を終える前に仕掛品が所定の場所に置かれたと判定した場合にも、所定の通知を行うことにより、作業の漏れをより確実に防ぐことができる。
【0063】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について説明する。
【0064】
第2の実施形態に係る作業判定システムの構成は、第1の実施形態と同様である。図6は、第2の実施形態に係るPC200の構成例を示すブロック図である。第2の実施形態に係るPC200も、第1の実施形態と同様に、入力部210、記憶部220、制御部230、及び、出力部240を有する。そして、第2の実施形態に係る制御部230も、第1の実施形態と同様に、部品検出部231、把持判定部232、作業完了判定部233、及び、通知制御部234を有する。但し、第2の実施形態に係る制御部230は、手検出部235をさらに有する。第2の実施形態において、後述する処理以外の処理については、第1の実施形態と同様である。
【0065】
手検出部235は、入力部210から作業画像を取得し、取得した作業画像から作業者の手を検出し、手の検出結果(手の位置など)を作業完了判定部233へ出力する。手検出部235は本発明の手検出手段の一例である。
【0066】
図7は、第2の実施形態に係る処理フロー例を示すフローチャートである。PC200は、図7の処理フローを繰り返し実行する。図7の処理フローの繰り返し周期は特に限定されないが、カメラ10による撮像のフレームレート(例えば30fps)で図7の処理フローが繰り返されるとする。
【0067】
図7において、図5(第1の実施形態)と同じ処理には、図5と同じ符号が付されている。図7のフローチャートでは、ステップS505で把持状態設定が有効であると判定された場合(ステップS505:YES)に、ステップS511ではなくステップS701へ処理が進められる。
【0068】
ステップS701では、作業完了判定部233は、作業者が把持した部品が部品検出部231によって検出されているか否か(作業者が把持した部品がステップS501で検出されているか否か)を判定する。作業者が把持した部品が部品検出部231によって検出されていると判定された場合(ステップS701:YES)には、ステップS505へ処理が進められる。作業者が把持した部品が部品検出部231によって検出されなくなったと判定された場合(ステップS701:NO)には、ステップS702へ処理が進められる。
【0069】
ステップS702では、手検出部235は、入力部210から作業画像を取得し、取得した作業画像から作業者の手を検出する。次に、作業完了判定部233は、ステップS702で検出された手の位置を、作業者が把持した部品の位置として設定する(ステップS703)。
【0070】
以上述べたように、第2の実施形態によれば、作業者が把持した部品が検出されなくなった場合に、検出された手の位置が、作業者が把持した部品の位置として用いられる。これにより、作業者が把持した部品が当該作業者の手に隠れて検出されなくなった場合でも、作業が完了したか否かを判定することができる。
【0071】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る作業判定システムの構成や、第3の実施形態に係るPC200の構成などは、第1の実施形態と同様である。
【0072】
図8は、第3の実施形態に係る処理フロー例を示すフローチャートである。PC200は、図8の処理フローを繰り返し実行する。図8の処理フローの繰り返し周期は特に限定されないが、カメラ10による撮像のフレームレート(例えば30fps)で図8の処理フローが繰り返されるとする。
【0073】
図8において、図5(第1の実施形態)と同じ処理には、図5と同じ符号が付されている。図8のフローチャートでは、ステップS512で距離D2が閾値Th2以下であると判定された場合(ステップS512:YES)に、ステップS513ではなくステップS801へ処理が進められる。
【0074】
ステップS801では、作業完了判定部233は、仕掛品に対する把持部品(作業者が把持した部品)の相対的な位置が所定の位置であるか否かを判定する。一般的に、仕掛品に部品を取り付ける際の、仕掛品に対する部品の相対的な位置は予め決まっていることが多い。このため、ステップS801の処理をさらに行うことにより、現在の作業が完了したか否かをより高精度に判定することができる。仕掛品に対する把持部品の相対的な位置が所定の位置であると判定された場合(ステップS801:YES)、つまり現在の作業が完了したと判定された場合には、ステップS513へ処理が進められる。仕掛品に対する把持部品の相対的な位置が所定の位置でないと判定された場合(ステップS801:NO)、つまり現在の作業が完了していないと判定された場合には、図8の処理フローが終了する。仕掛品に対する把持部品の相対的な位置が所定の位置であることは、第1の実施形態で述べた所定の条件の一例である。
【0075】
なお、一般的に、仕掛品に部品を取り付ける際の、仕掛品に対する部品の相対的な向きも予め決まっていることが多い。このため、作業完了判定部233は、仕掛品に対する把持部品の相対的な向きが所定の向きであるか否かを判定してもよい(第3の判定)。仕掛品に対する把持部品の相対的な位置が所定の位置であることも、第1の実施形態で述べた所定の条件の一例である。
【0076】
以下の3つの判定の少なくともいずれかを行えば、現在の作業が完了したか否か判定することができる。このため、3つの判定のうちの1つを行ってもよいし、3つ判定のうちの2つを行ってもよいし、3つの判定の全てを行ってもよい。2つの判定を行えば、1つの判定を行う場合よりも、現在の作業が完了したか否かの高精度な判定が期待できる。3つの判定を行えば、1つの判定を行う場合や、2つの判定を行う場合よりも、現在の作業が完了したか否かを高精度に判定することができる。
・距離D2が閾値Th2以下であるか否かの判定
・把持部品の相対的な位置が所定の位置であるか否かの判定
・把持部品の相対的な向きが所定の向きであるか否かの判定
【0077】
なお、把持部品の相対的な位置が所定の位置であるか否かの判定と、把持部品の相対的な向きが所定の向きであるか否かの判定とには、マージンを用いてもよい。つまり、把持部品の相対的な位置と所定の位置の差が閾値以下の場合に把持部品の相対的な位置が所定の位置であると判定し、当該差が閾値よりも大きい場合に把持部品の相対的な位置が所定の位置でないと判定してもよい。同様に、把持部品の相対的な向きと所定の向きの差(角度差など)が閾値以下の場合に把持部品の相対的な向きが所定の向きであると判定し、当該差が閾値よりも大きい場合に把持部品の相対的な向きが所定の向きでないと判定してもよい。
【0078】
ここで、上記3つの判定の全てを行う場合の具体例を説明する。図9(A)~9(E)は、部品と仕掛品の状態の一例を示す。図9(A)~9(E)の間で、仕掛品の位置や向きは同じである。図9(A)は、部品が仕掛品に正しく取り付けられた状態を示す。図9(B)では、部品の向きが図9(A)の向きである(部品の相対的な向きが所定の向きである)。しかし、距離D2が閾値Th2以下でないし、部品の位置が図9(A)の位置でもない(部品の相対的な位置が所定の位置でない)から、作業が完了していないと判定される。図9(C)では、距離D2が閾値Th2以下であり、且つ、部品の向きが図9(A)の向きであるが、部品の位置が図9(A)の位置でないため、作業が完了していないと判定される。図9(D)では、距離D2が閾値Th2以下であり、且つ、部品の位置が図9(A)の位置であるが、部品の向きが図9(A)の向きでないため、作業が完了していないと判定される。図9(E)では、距離D2が閾値Th2以下であり、且つ、部品の位置が図9(A)の位置であり、且つ、部品の向きが図9(A)の向きあるため、作業が完了したと判定される。
【0079】
以上述べたように、第3の実施形態によれば、作業が完了したことの所定の条件として第1の実施形態と異なる条件を用いて、第1の実施形態に準じた効果を得ることができる。また、所定の条件に複数の条件を含めることにより、作業が完了したか否かをより高精度に判定することができる。
【0080】
<その他>
上記実施形態は、本発明の構成例を例示的に説明するものに過ぎない。本発明は上記の具体的な形態には限定されることはなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。第1~第3の実施形態に係る処理を適宜組み合わせることも可能である。
【0081】
<付記1>
部品を把持して当該部品を仕掛品に取り付ける作業を作業者が行う様子を撮像した画像を取得する画像取得手段(101,210)と、
前記画像取得手段によって取得された前記画像から部品を検出する部品検出手段(102,231)と、
前記部品検出手段による検出結果に基づいて、前記作業者が部品を把持したか否かを判定し、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定する把持判定手段(103,232)と、
前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品でないと前記把持判定手段が判定した場合に、所定の通知を行うように制御する通知制御手段(104,234)と
を有することを特徴とする作業判定装置(100,200)。
【0082】
<付記2>
部品を把持して当該部品を仕掛品に取り付ける作業を作業者が行う様子を撮像した画像を取得する画像取得ステップ(S500)と、
前記画像取得ステップにおいて取得された前記画像から部品を検出する部品検出ステップ(S501)と、
前記部品検出ステップにおける検出結果に基づいて、前記作業者が部品を把持したか否かを判定し、前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品であるか否かを判定する把持判定ステップ(S506~S509)と、
前記作業者が把持した部品が前記作業において前記仕掛品に取り付けるべき部品でないと前記把持判定ステップで判定された場合に、所定の通知を行うように制御する通知制御ステップ(S504)と
を有することを特徴とする作業判定方法。
【符号の説明】
【0083】
100:作業判定装置
101:画像取得部 102:部品検出部 103:把持判定部 104:通知制御部
10:カメラ 20:通知部
200:PC(作業判定装置)
210:入力部 220:記憶部 230:制御部 240:出力部
231:部品検出部 232:把持判定部 233:作業完了判定部
234:通知制御部 235:手検出部
300:作業画像
301:作業台 302:部品ケース 302a~302i:部品
303:仕掛品 304:作業者 305:次工程置き場
400:作業情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9