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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】光分配器および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/30 20060101AFI20240521BHJP
   G02B 6/46 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/46
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020118659
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015657
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 進也
(72)【発明者】
【氏名】兼田 幹也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 啓
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-083363(JP,A)
【文献】特開2003-114357(JP,A)
【文献】特開2003-315606(JP,A)
【文献】特開平11-248963(JP,A)
【文献】国際公開第1997/027505(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0157973(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/30-6/34,6/42,6/43
G02B 6/46-6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光ファイバーと、
互いに並列する第2光ファイバーおよび第3光ファイバーと、
途中で分岐している分岐コア部を有し、前記第1光ファイバーと、前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーと、を接続する光導波路と、
第1溝を有する第1部位と、第2溝を有する第2部位と、前記第1部位と前記第2部位とを連結する連結部位と、を有する支持部材と、
を備え、
前記第1溝は、前記第1部位の側面に開口し、
前記第2溝は、前記第2部位の側面に開口し、
前記第1光ファイバーは、前記第1溝に挿入されて支持され、
前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーは、前記第2溝に挿入されて支持され、
前記光導波路は、前記連結部位から離れた位置に保持されていることを特徴とする光分配器。
【請求項2】
前記第2溝の深さは、前記第1溝の深さより深い請求項に記載の光分配器。
【請求項3】
第1光ファイバーと、
互いに並列する第2光ファイバーおよび第3光ファイバーと、
途中で分岐している分岐コア部を有し、前記第1光ファイバーと、前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーと、を接続する光導波路と、
第1溝を有する第1部位と、前記第1溝より深い第2溝を有する第2部位と、前記第1部位と前記第2部位とを連結する連結部位と、を有する支持部材と、
を備え、
前記第1光ファイバーは、前記第1溝に挿入されて支持され、
前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーは、前記第2溝に挿入されて支持され、
前記光導波路は、前記連結部位から離れた位置に保持されていることを特徴とする光分配器。
【請求項4】
前記第1溝は、前記第1部位の前記連結部位とは反対の面に開口し、
前記第2溝は、前記第2部位の前記連結部位とは反対の面に開口している請求項に記載の光分配器。
【請求項5】
前記第1溝および前記第2溝は、互いに同じ方向に延在している請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光分配器。
【請求項6】
前記第1光ファイバーは、接着剤または前記第1溝を塞ぐ部材により前記第1溝に固定され、
前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーは、接着剤または前記第2溝を塞ぐ部材により前記第2溝に固定されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光分配器。
【請求項7】
前記第1部位と前記第2部位との距離は、前記光導波路の長さより長い請求項1ないしのいずれか1項に記載の光分配器。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の光分配器を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光分配器および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、き線光ケーブルから分岐した分岐ケーブルに装着された光コネクタープラグと、光終端装置から引き回された光ファイバーに装着された光コネクタープラグと、が開示されている。そして、箱本体の内部において、き線光ケーブル側の光コネクタープラグと光終端装置側の光コネクタープラグとが接続されてなる光端子箱が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の箱本体は、直方体状をなしている。そして、箱本体を貫通するように、封止導入金具が装着されている。分岐ケーブルおよび光ファイバーは、それぞれこの封止導入金具を介して箱本体の内部に導入されている。また、特許文献1では、箱本体の内部に導入された分岐ケーブルの余長を巻回状態にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-90524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に記載の光端子箱の小型化を図るためには、箱本体を小型化する必要がある。その場合、箱本体の内部で分岐ケーブルの余長を巻回状態にしたとき、巻回体の直径、つまり分岐ケーブルで形成されたリングの直径を小さくする必要がある。しかしながら、リングの直径を小さくするためには、分岐ケーブルをより小さな半径で曲げる必要があり、分岐ケーブルには大きな応力が発生することになる。そうすると、例えば分岐ケーブルの分岐点や複数のケーブルの接続点等では、伝送効率が低下するという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、光導波路と光ファイバーとの接続部における伝送効率の低下が抑制されている光分配器、および、かかる光分配器を備える電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)~(8)の本発明により達成される。
(1) 第1光ファイバーと、
互いに並列する第2光ファイバーおよび第3光ファイバーと、
途中で分岐している分岐コア部を有し、前記第1光ファイバーと、前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーと、を接続する光導波路と、
第1溝を有する第1部位と、第2溝を有する第2部位と、前記第1部位と前記第2部位とを連結する連結部位と、を有する支持部材と、
を備え、
前記第1溝は、前記第1部位の側面に開口し、
前記第2溝は、前記第2部位の側面に開口し、
前記第1光ファイバーは、前記第1溝に挿入されて支持され、
前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーは、前記第2溝に挿入されて支持され、
前記光導波路は、前記連結部位から離れた位置に保持されていることを特徴とする光分配器。
【0008】
(2) 前記第2溝の深さは、前記第1溝の深さより深い上記(1)に記載の光分配器。
【0009】
(3) 第1光ファイバーと、
互いに並列する第2光ファイバーおよび第3光ファイバーと、
途中で分岐している分岐コア部を有し、前記第1光ファイバーと、前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーと、を接続する光導波路と、
第1溝を有する第1部位と、前記第1溝より深い第2溝を有する第2部位と、前記第1部位と前記第2部位とを連結する連結部位と、を有する支持部材と、
を備え、
前記第1光ファイバーは、前記第1溝に挿入されて支持され、
前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーは、前記第2溝に挿入されて支持され、
前記光導波路は、前記連結部位から離れた位置に保持されていることを特徴とする光分配器。
【0010】
(4) 前記第1溝は、前記第1部位の前記連結部位とは反対の面に開口し、
前記第2溝は、前記第2部位の前記連結部位とは反対の面に開口している上記(3)に記載の光分配器。
【0011】
(5) 前記第1溝および前記第2溝は、互いに同じ方向に延在している上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光分配器。
【0012】
(6) 前記第1光ファイバーは、接着剤または前記第1溝を塞ぐ部材により前記第1溝に固定され、
前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーは、接着剤または前記第2溝を塞ぐ部材により前記第2溝に固定されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の光分配器。
【0014】
(7) 前記第1部位と前記第2部位との距離は、前記光導波路の長さより長い上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の光分配器。
【0015】
(8) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の光分配器を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光導波路と光ファイバーとの接続部における伝送効率の低下が抑制されている光分配器が得られる。
【0017】
また、本発明によれば、伝送効率の低下が抑制された光分配器を備えた、信頼性の高い電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る光分配器を示す平面図である。
図2図1のA部拡大図である。
図3図2に示す導光部の断面図である。
図4図2に示す導光部の断面図である。
図5図3のB部拡大図である。
図6図1のA部近傍の斜視図である。
図7】第2実施形態に係る光分配器の一部を示す斜視図である。
図8】第3実施形態に係る光分配器の一部を示す斜視図である。
図9】第3実施形態に係る光分配器の一部を示す斜視図である。
図10】第4実施形態に係る光分配器を示す斜視図である。
図11図10に示す光分配器の分解図である。
図12図10に示す光分配器の蓋体を外した状態を示す平面図である。
図13図12に示す光分配器の斜視図である。
図14図12に示す光分配器のC-C線断面図である。
図15図12に示す光分配器のD-D線断面図である。
図16図10に示す光分配器を組み立てるとき、図1に示す導光部および支持部材を容器に取り付ける様子を説明した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の光分配器および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0020】
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係る光分配器について説明する。
【0021】
図1は、第1実施形態に係る光分配器を示す平面図である。図2は、図1のA部拡大図である。図3および図4は、それぞれ図2に示す導光部の断面図である。図5は、図3のB部拡大図である。図6は、図1のA部近傍の斜視図である。
【0022】
なお、図6では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を設定しており、各軸を矢印で示している。なお、矢印の先端側を各軸のプラス側とし、基端側をマイナス側とする。また、以下の説明では、説明の便宜上、Z軸のうち、プラス側を「上」、マイナス側を「下」として説明する。
【0023】
図1に示す光分配器100は、導光部10と、支持部材9と、を備えている。このうち、導光部10は、第1光ファイバー1と、互いに並列する第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と、光を分配する機能を有する光導波路4と、を備えている。光導波路4には、図2に示すコア部44が形成されており、そのコア部44は途中の分岐コア部46で2本に分岐している。このため、例えば外部から第1光ファイバー1に入射した光は、分岐コア部46で2つに分けられ、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3に分配される。
【0024】
また、支持部材9は、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3を支持している。支持部材9は、図6に示すように、第1溝911を有する第1部位91と、第2溝921を有する第2部位92と、第1部位91と第2部位92とを連結する連結部位93と、を有している。これにより、光導波路4は、第1部位91と第2部位92との間で、支持部材9に触れることなく保持されることになる。その結果、例えば、光分配器100が温度変化を伴う環境試験に供された場合でも、光導波路4の接続部における応力の集中が緩和される。支持部材9については、後に詳述する。
【0025】
以下、光分配器100の各部について詳述する。
1.1.第1光ファイバー
第1光ファイバー1は、第1光ファイバー本体11と、第1光ファイバー本体11の端部に装着された第1光コネクター12と、を備えている。
【0026】
第1光ファイバー本体11としては、例えばガラス製光ファイバー、プラスチック製光ファイバー等が挙げられる。
【0027】
第1光ファイバー本体11の導波モードは、シングルモードであっても、マルチモードであってもよいが、マルチモードであるのが好ましい。マルチモードでは、シングルモードに比べて位置合わせの際の軸ずれに対する許容度が大きくなる。このため、マルチモードの第1光ファイバー本体11は、光導波路4との光学的な接続に際し、接続作業を容易にすることができるので、光分配器100の組立容易性を高めるという観点で有用である。
【0028】
図3および図4に示す第1光ファイバー本体11は、横断面形状が円形をなしており、その中央に位置するコア部111と、その側面を覆うクラッド部112と、を有している。第1光ファイバー本体11は、必要に応じて、クラッド部112の側面を覆う被覆部を有していてもよい。被覆部の構成材料としては、例えば、樹脂材料、ガラス材料、金属材料、繊維強化複合材料等が挙げられる。
【0029】
図3は、第1光ファイバー1から光導波路4を経由して第2光ファイバー2に至る線に沿って切断してなる断面図である。図4は、第1光ファイバー1から光導波路4を経由して第3光ファイバー3に至る線に沿って切断してなる断面図である。
【0030】
第1光ファイバー本体11の2つの端面のうち、図3および図4に示す光導波路4側の端面を第1光入出射面113とする。この第1光入出射面113と光導波路4との間が後述する第1接着部81を介して光学的に接続されている。
【0031】
第1光コネクター12は、図示しない挿通孔を有しており、この挿通孔に第1光ファイバー本体11の端部が挿入されることにより、第1光ファイバー本体11が保持されている。
【0032】
第1光コネクター12としては、例えばセラミックス製光コネクター、ガラス製光コネクター、プラスチック製光コネクター等が挙げられる。また、第1光コネクター12は、これらの各種光コネクターを本体とし、その本体に金具が装着されてなるものであってもよい。
【0033】
第1光コネクター12は、フェルールと、このフェルールを挿入可能なハウジングと、の組立体であってもよい。ハウジングは、光接続用の種々の規格に応じた形状を有している。この規格としては、例えばSC、FC、MU、D、DJ、ST、LC、SCF、SCH、MT、MPO、MT-RJ等が挙げられる。
【0034】
1.2.第2光ファイバー
第2光ファイバー2は、第2光ファイバー本体21と、第2光ファイバー本体21の端部に装着された第2光コネクター22と、を備えている。
【0035】
第2光ファイバー本体21としては、例えばガラス製光ファイバー、プラスチック製光ファイバー等が挙げられる。
【0036】
第2光ファイバー本体21の導波モードは、シングルモードであっても、マルチモードであってもよいが、マルチモードであるのが好ましい。マルチモードでは、シングルモードに比べて位置合わせの際の軸ずれに対する許容度が大きくなる。このため、マルチモードの第2光ファイバー本体21は、光導波路4との光学的な接続に際し、接続作業を容易にすることができるので、光分配器100の組立容易性を高めるという観点で有用である。
【0037】
図3に示す第2光ファイバー本体21は、横断面形状が円形をなしており、その中央に位置するコア部211と、その側面を覆うクラッド部212と、を有している。第2光ファイバー本体21は、必要に応じて、クラッド部212の側面を覆う被覆部を有していてもよい。被覆部の構成材料としては、例えば、樹脂材料、ガラス材料、金属材料、繊維強化複合材料等が挙げられる。
【0038】
第2光ファイバー本体21の2つの端面のうち、図3および図5に示す光導波路4側の端面を第2光入出射面213とする。この第2光入出射面213と光導波路4との間が後述する第2接着部82を介して光学的に接続されている。
【0039】
第2光コネクター22は、図示しない挿通孔を有しており、この挿通孔に第2光ファイバー本体21の端部が挿入されることにより、第2光ファイバー本体21が保持されている。
【0040】
第2光コネクター22としては、例えばセラミックス製光コネクター、ガラス製光コネクター、プラスチック製光コネクター等が挙げられる。また、第2光コネクター22は、これらの各種光コネクターを本体とし、その本体に金具が装着されてなるものであってもよい。
【0041】
第2光コネクター22は、フェルールと、このフェルールを挿入可能なハウジングと、の組立体であってもよい。ハウジングは、光接続用の種々の規格に応じた形状を有している。この規格としては、例えばSC、FC、MU、D、DJ、ST、LC、SCF、SCH、MT、MPO、MT-RJ等が挙げられる。
【0042】
1.3.第3光ファイバー
第3光ファイバー3は、第3光ファイバー本体31と、第3光ファイバー本体31の端部に装着された第3光コネクター32と、を備えている。
【0043】
第3光ファイバー本体31としては、例えばガラス製光ファイバー、プラスチック製光ファイバー等が挙げられる。
【0044】
第3光ファイバー本体31の導波モードは、シングルモードであっても、マルチモードであってもよいが、マルチモードであるのが好ましい。マルチモードでは、シングルモードに比べて位置合わせの際の軸ずれに対する許容度が大きくなる。このため、マルチモードの第3光ファイバー本体31は、光導波路4との光学的な接続に際し、接続作業を容易にすることができるので、光分配器100の組立容易性を高めるという観点で有用である。
【0045】
図4に示す第3光ファイバー本体31は、横断面形状が円形をなしており、その中央に位置するコア部311と、その側面を覆うクラッド部312と、を有している。第3光ファイバー本体31は、必要に応じて、クラッド部312の側面を覆う被覆部を有していてもよい。被覆部の構成材料としては、例えば、樹脂材料、ガラス材料、金属材料、繊維強化複合材料等が挙げられる。
【0046】
第3光ファイバー本体31の2つの端面のうち、図4に示す光導波路4側の端面を第3光入出射面313とする。この第3光入出射面313と光導波路4との間が後述する第3接着部83を介して光学的に接続されている。
【0047】
第3光コネクター32は、図示しない挿通孔を有しており、この挿通孔に第3光ファイバー本体31の端部が挿入されることにより、第3光ファイバー本体31が保持されている。
【0048】
第3光コネクター32としては、例えばセラミックス製光コネクター、ガラス製光コネクター、プラスチック製光コネクター等が挙げられる。また、第3光コネクター32は、これらの各種光コネクターを本体とし、その本体に金具が装着されてなるものであってもよい。
【0049】
第3光コネクター32は、フェルールと、このフェルールを挿入可能なハウジングと、の組立体であってもよい。ハウジングは、光接続用の種々の規格に応じた形状を有している。この規格としては、例えばSC、FC、MU、D、DJ、ST、LC、SCF、SCH、MT、MPO、MT-RJ等が挙げられる。
【0050】
1.4.光導波路
光導波路4は、前述したように、第1光ファイバー1と第2光ファイバー2および第3光ファイバー3との間に設けられ、これらを光学的に接続している。なお、以下の説明では、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3を、「第1光ファイバー1等」ということがある。
【0051】
図5に示す光導波路4は、下側から、下側保護層47、クラッド層41、コア層43、クラッド層42、および上側保護層48がこの順で積層されてなるシート状の積層体を備えている。また、コア層43中には、図2に示すように、線状のコア部44と、コア部44に隣接して設けられた側面クラッド部45と、が形成されている。
【0052】
以下、光導波路4の各部についてさらに詳述する。
1.4.1.コア層
図2に示すコア部44は、その側面が、図2に示す側面クラッド部45および図5に示すクラッド層41、42で囲まれている。そして、コア部44の屈折率は、側面クラッド部45やクラッド層41、42の屈折率よりも高くなっている。これにより、コア部44に光を閉じ込めて伝搬させることができる。
【0053】
コア層43において、光路に直交する面内における屈折率分布は、いかなる分布であってもよく、例えば屈折率が不連続的に変化したいわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。
【0054】
コア部44の光路に直交する面によるコア部44の断面形状は、特に限定されず、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形、その他の異形状であってもよい。
【0055】
コア層43の平均厚さは、特に限定されず、第1光ファイバー本体11、第2光ファイバー本体21、第3光ファイバー本体31のコア部111、211、311の径に応じて結合損失が最小になるように最適化されるが、1~500μm程度であるのが好ましく、10~300μm程度であるのがより好ましく、30~100μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、コア部44に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。
【0056】
コア層43の構成材料(主材料)としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料等が挙げられる。なお、樹脂材料には、異なる組成のものを組み合わせた複合材料が用いられてもよい。
【0057】
図2に示すコア部44は、分岐コア部46を備えている。分岐コア部46では、1本のコア部44が2本に分岐している。これにより、例えば、1本のコア部44に入射した光を分岐コア部46において2本のコア部44に分配することができる。
【0058】
1.4.2.クラッド層
クラッド層41、42の平均厚さは、それぞれ1~200μm程度であるのが好ましく、3~100μm程度であるのがより好ましく、5~60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、クラッド層41、42に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。
【0059】
クラッド層41、42の構成材料としては、例えば、前述したコア層43の構成材料と同様の材料を用いることができる。
【0060】
クラッド層41、42は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。このとき、例えばコア層43が外気(空気)に曝されていれば、その外気がクラッド層41、42として機能する。
【0061】
また、コア層43中の側面クラッド部45と、クラッド層41およびクラッド層42の一方または双方と、が一体になっていてもよい。
【0062】
1.4.3.保護層
下側保護層47および上側保護層48は、コア層43やクラッド層41、42を保護し、外部環境等に起因したコア部44の伝送効率の低下を抑制するとともに、光導波路4の機械的強度を高める。
【0063】
下側保護層47および上側保護層48の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂を含む材料が挙げられる。
【0064】
下側保護層47および上側保護層48の平均厚さは、特に限定されないが、5~500μm程度であるのが好ましく、10~400μm程度であるのがより好ましい。
【0065】
また、下側保護層47および上側保護層48は、互いに同じ構成であっても互いに異なる構成であってもよい。
【0066】
なお、下側保護層47および上側保護層48は、それぞれ必要に応じて設けられればよく、少なくとも一方が省略されていてもよい。
【0067】
1.5.接着部
光導波路4のうち、図3および図4に示す第1光ファイバー1側の端面を第4光入出射面491とし、図3に示す第2光ファイバー2側の端面および図4に示す第3光ファイバー3側の端面を第5光入出射面492とする。第1光ファイバー1の第1光入出射面113と光導波路4の第4光入出射面491との間が第1接着部81を介して光学的に接続されている。また、第2光ファイバー2の第2光入出射面213と光導波路4の第5光入出射面492との間が第2接着部82を介して光学的に接続されている。さらに、第3光ファイバー3の第3光入出射面313と光導波路4の第5光入出射面492との間が第3接着部83を介して光学的に接続されている。なお、第2接着部82および第3接着部83は、互いに一体化して境界が判別できない状態になっていてもよい。
【0068】
第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83としては、光透過性を有する接着剤であれば、いかなる接着剤も用いられるが、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、オレフィン系接着剤、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)等が挙げられる。
【0069】
また、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83の各硬化原理は、特に限定されず、熱硬化型、硬化剤混合型、溶剤揮散型等であってもよいが、光硬化型であるのが好ましい。すなわち、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83は、それぞれ光硬化型接着剤の硬化物を含んでいるのが好ましい。光硬化型接着剤は、透光性を有する治具等で接着対象物を保持したまま、短時間で硬化可能である。このため、光導波路4と、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と、を位置合わせした状態で、これらを精度よく簡単に固定することができる。その結果、接続部の光結合効率をより高めることができる。なお、光硬化型には紫外線硬化型を含む。
【0070】
また、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83が光硬化型接着剤の硬化物を含んでいる場合、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83の弾性率を比較的大きくすることができる。具体的には、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83の各弾性率は、好ましくは100~20000MPa程度とされ、より好ましくは300~15000MPa程度とされ、さらに好ましくは500~12500MPa程度とされ、特に好ましくは1000~10000MPa程度とされる。第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83の各弾性率を前記範囲内に設定することにより、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83が変形しにくくなるため、光導波路4と、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と、を位置合わせした後、位置ずれが発生しにくくなる。このため、光結合効率を良好に維持することができる。
【0071】
なお、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83の各弾性率は、JIS K 7127に規定された方法で測定され、測定温度は25℃とする。
【0072】
さらに、第1接着部81の屈折率は、特に限定されないが、第1光ファイバー本体11のコア部111の屈折率と光導波路4のコア部44の屈折率との間の値であるのが好ましい。第1接着部81の屈折率を前記範囲内に設定することにより、第1接着部81が屈折率調整機能を有することになる。このため、第1光ファイバー1と光導波路4との間で、屈折率差に伴う結合損失が発生するのを抑制することができ、光結合効率が良好な光分配器100を実現することができる。
【0073】
同様に、第2接着部82の屈折率は、特に限定されないが、第2光ファイバー本体21のコア部211の屈折率と光導波路4のコア部44の屈折率との間の値であるのが好ましい。第2接着部82の屈折率を前記範囲内に設定することにより、第2接着部82が屈折率調整機能を有することになる。このため、第2光ファイバー2と光導波路4との間で、屈折率差に伴う結合損失が発生するのを抑制することができ、光結合効率が良好な光分配器100を実現することができる。
【0074】
同様に、第3接着部83の屈折率は、特に限定されないが、第3光ファイバー本体31のコア部311の屈折率と光導波路4のコア部44の屈折率との間の値であるのが好ましい。第3接着部83の屈折率を前記範囲内に設定することにより、第3接着部83が屈折率調整機能を有することになる。このため、第3光ファイバー3と光導波路4との間で、屈折率差に伴う結合損失が発生するのを抑制することができ、光結合効率が良好な光分配器100を実現することができる。
【0075】
1.6.支持部材
図1および図6には、導光部10と、導光部10に取り付けられた支持部材9と、を図示している。
【0076】
支持部材9は、第1部位91、第2部位92、および、第1部位91と第2部位92とを連結する連結部位93を備えている。
【0077】
図6に示す第1部位91および第2部位92は、それぞれ上下方向に延在する角柱状をなしている。なお、この形状は、特に限定されず、例えば、円柱状、角錐状、円錐状等であってもよい。第1部位91の下端部および第2部位92の下端部は、連結部位93を介して互いに連結されている。
【0078】
第1部位91は、上面910に開口する第1溝911を有している。第2部位92は、上面920に開口する第2溝921を有している。第1溝911は、第1部位91と第2部位92とを結ぶ敷設方向、具体的には図6のX軸方向に延在し、第1部位91を貫通している。第2溝921も、第1溝911と同じ敷設方向、すなわち、図6のX軸方向に延在し、第2部位92を貫通している。
【0079】
第1溝911には、導光部10を構成する第1光ファイバー1の第1光ファイバー本体11が挿入されている。これにより、第1光ファイバー1が支持部材9に支持される。
【0080】
第2溝921には、導光部10を構成する第2光ファイバー2の第2光ファイバー本体21および第3光ファイバー3の第3光ファイバー本体31が挿入されている。これにより、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3が支持部材9に支持される。
【0081】
第1部位91および第2部位92は、互いに離間して設けられている。そして、光導波路4は、第1部位91と第2部位92との間に保持されている。これにより、光導波路4は、支持部材9から離れた位置に保持されることになる。一方、第1部位91は、第1光ファイバー1を支持し、第2部位92は、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3を支持している。このため、光導波路4は支持部材9によって間接的に補強されることになる。その結果、曲げられたり、温度が変化したりして第1光ファイバー1等が伸縮したとしても、その影響が支持部材9によって遮断される。
【0082】
これにより、第1光ファイバー1と光導波路4との接続部である第1接着部81、第2光ファイバー2と光導波路4との接続部である第2接着部82、および、第3光ファイバー3と光導波路4との接続部である第3接着部83では、応力の集中が抑えられる。
【0083】
また、例えば、光分配器100が曲げられた状態で温度変化を伴う環境試験に供された場合でも、第1接着部81等における応力の集中が緩和される。具体的には、温度上昇に伴って第1光ファイバー1等が熱膨張したとしても、その熱膨張の影響が、第1接着部81等に及ぶのを抑制することができる。
【0084】
以上の作用により、第1接着部81等における応力の集中を抑制することができるので、伝送効率の低下を抑制することができる光分配器100を実現することができる。
【0085】
支持部材9の構成材料(主材料)は、その曲げ剛性を第1光ファイバー1等の曲げ剛性よりも大きくし得るものであれば、特に限定されない。
【0086】
支持部材9の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂等、またはこれらを主とするブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0087】
これらの中でも、支持部材9の構成材料としては、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートおよびABS樹脂からなる群から選択される1種が好ましく用いられる。これらは、曲げ強度が比較的大きいことから、構成材料として有用である。
【0088】
図6に示す支持部材9では、第2溝921の幅W2が、第1溝911の幅W1と同じになっている。これは、第1光ファイバー本体11の径φ1が第2光ファイバー本体21の径φ2および第3光ファイバー本体31の径φ3と同じである場合である。したがって、これらが互いに異なる場合には、幅W1、W2が互いに異なっていてもよい。
【0089】
第1溝911の幅W1は、第1光ファイバー本体11の径φ1に応じて設定されるが、一例として、第1光ファイバー本体11の径φ1の100%超150%以下であるのが好ましく、101%以上120%以下であるのがより好ましい。同様に、第2溝921の幅W2は、第2光ファイバー本体21の径φ2および第3光ファイバー本体31の径φ3に応じて設定されるが、一例として、第2光ファイバー本体21の径φ2および第3光ファイバー本体31の径φ3のうち、大きい方の100%超150%以下であるのが好ましく、101%以上120%以下であるのがより好ましい。このような条件にしたがうことにより、第1光ファイバー1等を位置精度よく固定することができる。
【0090】
一方、本実施形態に係る支持部材9では、図6に示すように、第2部位92の第2溝921の深さD2が、第1部位91の第1溝911の深さD1より深くなっている。
【0091】
このような構成によれば、図6に示す第2光ファイバー2および第3光ファイバー3を、1つの第2溝921を用い、良好に支持することができる。すなわち、1つの第2溝921の内面で、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3の双方を挟むことができるので、位置合わせや固定を効率よく行うことができる。これにより、光分配器100の組立作業の効率を高めることができる。
【0092】
また、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3を、第2溝921に対して縦方向に並べた場合、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3をX-Y面内で曲げるとき、双方の曲げ半径を互いに等しくすることができる。このため、曲げ半径が異なった場合に発生する問題、例えば、余長が発生して局所的な曲げ半径が小さくなってしまうという問題を回避することができる。
【0093】
ここで、図1に示すように、第1光ファイバー1の長さをL1とし、第2光ファイバー2の長さをL2とし、第3光ファイバー3の長さをL3とする。
【0094】
長さL2および長さL3は、互いに同じでもよいが、図1に示すように互いに異なっているのが好ましい。これにより、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3のうち、短い方が内側になるようにこれらを湾曲させたとき、第2光コネクター22の位置と第3光コネクター32の位置とを揃えやすくなる。そして、その際、光ファイバーの余長が発生しにくくなる。これにより、余長に伴って第2接着部82または第3接着部83に負荷が及んでしまうのを抑制することができる。
【0095】
また、第1光ファイバー1の長さL1は、第2光ファイバー2の長さL2および第3光ファイバー3の長さL3の双方より長くてもよいが、図1では、双方より短くなっている。つまり、導光部10は、L1<L2を満たし、かつ、L1<L3を満たしているのが好ましい。
【0096】
このような関係を満たす光分配器100では、その全長における長さL2、L3が占める割合が大きくなる。そうすると、光分配器100を曲げる際、例えば製造誤差等によって曲げ半径がばらついたときでも、第2光ファイバー2または第3光ファイバー3には余長がより発生しにくくなる。換言すれば、全長における長さL2、L3が占める割合を大きくすることで、撓みの発生を抑えることができる曲げ半径の範囲を拡大することができる。その結果、第2接着部82または第3接着部83における光結合損失の増大を抑制し得る光分配器100を実現することができる。
【0097】
なお、光導波路4の分岐コア部46におけるコア部44の分岐数は、上記の2つに限定されず、3つ以上であってもよい。その場合、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と並列するように、第4光ファイバー、第5光ファイバー、・・・を追加すればよい。
【0098】
また、コア部44の分岐数が3つ以上の場合、後述する第2光アダプター7は、前述した第4光ファイバー、第5光ファイバー、・・・も接続可能になっていてもよい。その場合、第2溝921の深さD2も、光ファイバーの数に応じて増やすようにすればよい。
【0099】
なお、光導波路4の主面の各辺のうち、最も長い辺を長軸とするとき、図1に示す光導波路4の長軸の長さL4は、分岐数によっても若干異なるものの、5~80mm程度であるのが好ましく、7~50mm程度であるのがより好ましい。
【0100】
また、光導波路4の長軸に直交する短軸の長さを幅とするとき、図2に示す光導波路4の幅Wは、分岐数によっても若干異なるものの、1.0~15mm程度であるのが好ましく、1.5~10mm程度であるのがより好ましい。
【0101】
図3および図4に示す光導波路4の厚さtは、50~500μm程度であるのが好ましく、100~300μm程度であるのがより好ましい。
【0102】
第1光ファイバー本体11の径φ1、第2光ファイバー本体21の径φ2、および第3光ファイバー本体31の径φ3は、それぞれ特に限定されないが、100~1000μm程度であるのが好ましく、200~800μm程度であるのがより好ましい。これにより、第1光ファイバー本体11、第2光ファイバー本体21、第3光ファイバー本体31の機械的特性を最適化することができる。その結果、導光部10が曲げられたとき、折れ曲がらない程度の剛性と、大きすぎない復元力と、を両立させることができる。
【0103】
導光部10の全長は、特に限定されないが、5~200cm程度であるのが好ましく、10~100cm程度であるのがより好ましい。
【0104】
以上のように、本実施形態に係る光分配器100は、第1光ファイバー1と、互いに並列する第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と、光導波路4と、支持部材9と、を備えている。このうち、光導波路4は、途中で分岐している分岐コア部46を有し、第1光ファイバー1と、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と、を接続する。また、支持部材9は、第1溝911を有する第1部位91と、第2溝921を有する第2部位92と、第1部位91と第2部位92とを連結する連結部位93と、を有する。
【0105】
そして、第1光ファイバー1は、第1溝911に挿入されて支持されている。また、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3は、第2溝921に挿入されて支持されている。さらに、光導波路4は、連結部位93から離れた位置に保持されている。
【0106】
このような構成によれば、支持部材9によって光導波路4が補強されているため、第1光ファイバー1等の伸縮の影響が支持部材9によって遮断され、光導波路4と第1光ファイバー1等との接続部における応力の集中を抑制することができる。このため、曲げられた場合でも伝送効率の低下が抑制されている光分配器100を実現することができる。
【0107】
また、光分配器100が温度変化を伴う環境試験に供された場合でも、接続部における応力の集中が緩和される。具体的には、温度上昇に伴って第1光ファイバー1等が熱膨張したとしても、その熱膨張の影響が、光導波路4の接続部に及ぶのを抑制することができる。これにより、耐候性に優れる光分配器100を実現することができる。
【0108】
また、本実施形態では、第1溝911および第2溝921が、互いに同じ方向、具体的にはX軸方向に延在している。これにより、光導波路4を真っ直ぐに延ばした姿勢で保持することができる。その結果、例えば、光分配器100が曲げられた場合でも、光導波路4の姿勢は変化しないため、光導波路4と第1光ファイバー1等との接続部に負荷がかかりにくくなり、接続部における応力の集中を特に抑制することができる。
【0109】
本実施形態では、第1光ファイバー1が第1溝911に挿入されて支持されているが、さらに、接着剤により第1溝911に固定されているのが好ましい。同様に、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3は、第2溝921に挿入されて支持されているが、さらに、接着剤により第2溝921に固定されているのが好ましい。
【0110】
このような構成によれば、第1光ファイバー1を第1溝911に挿入することに伴う摩擦抵抗だけでなく、接着剤の硬化に伴う接着力によって、第1光ファイバー1を第1溝911に固定することができる。同様に、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3を第2溝921に固定することができる。これにより、第1光ファイバー1等の固定状態が解除されにくくなり、信頼性の高い光分配器100を実現することができる。
【0111】
なお、接着剤に代えて、または、接着剤とともに、第1溝911を塞ぐ部材または第2溝921を塞ぐ部材を用いるようにしてもよい。このような部材を用いた場合も、第1光ファイバー1等を第1溝911または第2溝921に固定することができる。
【0112】
別の部材としては、例えば、粘着テープ、接着テープ、第1溝911または第2溝921に嵌合する部材等が挙げられる。
【0113】
また、前述したように、第1溝911は、第1部位91の上面910に開口している。上面910とは、第1部位91の連結部位93とは反対の面である。同様に、第2溝921は、第2部位92の上面920に開口している。上面920とは、第2部位92の連結部位93とは反対の面である。
【0114】
このような構成によれば、光導波路4と連結部位93との距離を最大限に大きくとることができる。このため、光導波路4と連結部位93とが接触する確率をより下げることができる。その結果、接触に伴う光導波路4の伝送効率の低下を抑制することができる。
【0115】
さらに、図1に示すように、第1部位91と第2部位92との距離S4は、光導波路4の長軸の長さL4より長いことが好ましい。これにより、光導波路4は、連結部位93だけでなく、第1部位91および第2部位92にも接触しない状態で保持されることが可能になる。その結果、接触に伴う光導波路4の伝送効率の低下をより確実に抑制することができる。
【0116】
以上、第1実施形態に係る光分配器100について説明したが、光導波路4は、分配機能を有する光ファイバー等の別部材で代替されていてもよい。
【0117】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る光分配器について説明する。
図7は、第2実施形態に係る光分配器の一部を示す斜視図である。
【0118】
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態と異なる事項について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図7において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0119】
図7に示す支持部材9Aは、第2溝921Aの幅W2が広くなっている以外、図6に示す支持部材9と同様である。
【0120】
具体的には、図7に示す支持部材9Aでは、第2溝921Aの幅W2が、第2光ファイバー本体21の径φ2と第3光ファイバー本体31の径φ3との和より広くなっている。より具体的には、第2溝921Aの幅W2は、第2光ファイバー本体21の径φ2と第3光ファイバー本体31の径φ3との和の100%超150%以下であるのが好ましく、101%以上120%以下であるのがより好ましい。
【0121】
この結果、本実施形態では、第2溝921Aの幅W2が、第1溝911の幅W1よりも広くなる。これにより、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3を横に並べた状態、つまりY軸に沿って並べた状態でも、1つの第2溝921Aに挿入することができる。なお、コア部44の分岐数を3つ以上に増やした場合には、光ファイバーの数も増えるため、それに応じて第2溝921Aの幅W2を広げるようにすればよい。また、光導波路4と連結部位93とが接触する確率をより下げることができる。
【0122】
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第2溝921Aは、互いに並列する複数の溝の集合体であってもよい。つまり、第2溝921Aは、互いに独立する2本の溝で構成されていてもよい。これら2本の溝には、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3をそれぞれ挿入することができる。
【0123】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係る光分配器について説明する。
【0124】
図8および図9は、それぞれ、第3実施形態に係る光分配器の一部を示す斜視図である。
【0125】
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第2実施形態と異なる事項について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図8および図9において、第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0126】
前述した第2実施形態では、支持部材9Aの第1部位91のうち、上面910に第1溝911が開口している。これに対し、本実施形態では、図8に示すように、支持部材9Bの第1部位91のうち、側面912に第1溝911が開口している。側面912とは、上面910に隣り合う面のことをいう。
【0127】
同様に、前述した第2実施形態では、支持部材9Aの第2部位92のうち、上面920に第2溝921が開口している。これに対し、本実施形態では、図8に示すように、支持部材9Bの第2部位92のうち、側面922に第2溝921が開口している。側面922とは、上面920に隣り合う面のことをいう。
【0128】
このような構成によれば、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3をY軸に沿って並べた場合でも、第2溝921の内面を、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3にそれぞれ接触させることができる。これにより、連結部位93の光導波路4側の面に対して、シート状の光導波路4が広がる面をほぼ平行に保持した状態でも、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3をより確実に固定することができる。その結果、光導波路4と連結部位93とが接触する確率をさらに下げつつ、光分配器100の信頼性を高めることができる。
【0129】
一方、図9に示す支持部材9Cは、第1部位91と第2部位92とが2つの連結部位93で連結されている。具体的には、第1部位91のZ軸方向の両端部と、第2部位92のZ軸方向の両端部とが、それぞれ連結部位93で連結されている。これにより、支持部材9Cは、閉じた枠状をなすものとなる。その結果、意図せず光導波路4に触れてしまう確率を下げることができる。
以上のような第3実施形態においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0130】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係る光分配器について説明する。
【0131】
図10は、第4実施形態に係る光分配器を示す斜視図である。図11は、図10に示す光分配器の分解図である。図12は、図10に示す光分配器の蓋体を外した状態を示す平面図である。図13は、図12に示す光分配器の斜視図である。図14は、図12に示す光分配器のC-C線断面図である。図15は、図12に示す光分配器のD-D線断面図である。なお、各図では、導光部の一部または光アダプターの図示を簡略化している場合がある。
【0132】
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態と異なる事項について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0133】
本実施形態に係る光分配器100は、第1~第3実施形態が備える導光部10および支持部材9に加え、これらを収容する筐体5を備えている。具体的には、図10ないし図12に示す光分配器100は、導光部10と、支持部材9と、筐体5と、を備えている。このうち、導光部10は、図2に示すように、X-Y面内において湾曲するように曲げられており、その状態で筐体5の内部に収容されている。これにより、導光部10を小さくまとめることができるので、光分配器100の小型化を図ることができる。なお、導光部10は、曲げられたとしても、支持部材9で支持されているため、光分配器100における伝送効率の低下を抑制することができる。
【0134】
4.1.筐体
筐体5は、図11に示すように、容器5aおよび蓋体5bを備えている。
【0135】
容器5aの開口には、蓋体5bが被さるようになっている。これにより、筐体5の内部に空間が形成され、その空間に導光部10および支持部材9が収容される。
【0136】
容器5aは、図11に示すように、上方に開口する開口部を有する有底の箱状をなしている。
【0137】
容器5aは、図11または図12に示すように、底部501と、壁部500と、3つの固定部509と、を備えている。このうち、底部501は、図15に示すように、互いに表裏の関係を有する底面502および裏面503を備える。底面502は、底部501の上面であり、裏面503は、底部501の下面である。
【0138】
壁部500は、底面502の縁部から上方に突出して設けられ、内側が空間となる枠状をなしている。また、壁部500は、側壁51、52、53、54を備えている。このうち、側壁51は、図11に示すように、内側と外側とを貫通する貫通部511、512を備えている。そして、貫通部511には、図11に示すように、第1光アダプター6が装着されている。また、貫通部512には、図11に示すように、第2光アダプター7が装着されている。第1光アダプター6は、壁部500の内側および外側にそれぞれはみ出す形状を有している。同様に、第2光アダプター7は、壁部500の内側および外側にそれぞれはみ出す形状を有している。なお、壁部500は、閉じた枠状である必要はなく、一部が途切れていてもよい。
【0139】
固定部509は、壁部500の外面から外側に向かって突出するとともに、上下方向に貫通するねじ孔を備えている。ねじ孔にねじを通し、被固定部材にねじ止めすることにより、筐体5を被固定部材に固定することができる。
【0140】
第1光アダプター6には、図12に示すように第1光ファイバー1が挿入されており、第2光アダプター7には、図12に示すように第2光ファイバー2および第3光ファイバー3が挿入されている。
【0141】
壁部500には、環状に巻き取られた状態の導光部10が接している。換言すれば、巻回状態の導光部10が壁部500に接することにより、導光部10の展開が防止され、導光部10の巻回状態を維持することができる。ただし、壁部500に導光部10が接することは必須ではない。また、導光部10が環状に巻き取られていることも必須ではなく、真っ直ぐに延ばした状態で収容されていてもよい。その場合、例えば、貫通部511を側壁51に設け、貫通部512を側壁52に設けるようにすればよい。
【0142】
容器5aは、さらに、Y-Z面に平行な2つの側壁53、54を備えている。側壁53は、底面502よりもX軸プラス側に位置し、側壁54は、底面502よりもX軸マイナス側に位置している。
【0143】
蓋体5bは、容器5aの開口部を覆うことができる板状をなしており、Z軸に沿った方向から見た平面視形状は、容器5aと同様である。また、蓋体5bは、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
【0144】
なお、上述した筐体5の形状は一例であり、これに限定されない。例えば、容器5aと蓋体5bとがつながっていてもよい。また、容器5aは、複数の部品を組み立ててなる組立体であってもよい。
【0145】
また、容器5aは、図11等に示すように、底面502から突出する柱状をなすポール部551、552を備えている。ポール部551は、円柱状をなしており、側壁52と側壁53との接続部近傍であって、かつ、側壁52、53から離間した位置に設けられている。ポール部552は、円柱状をなしており、側壁52と側壁54との接続部近傍であって、かつ、側壁52、54から離間した位置に設けられている。なお、ポール部551、552は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
【0146】
ポール部551、552は、それぞれ、底面502に対して交差する方向に延在している。ただし、ポール部551、552の延在方向は、図13に示すZ軸方向に限定されず、Z軸に対して傾いた方向であってもよい。
【0147】
ポール部551、552と壁部500(図11参照)との間には、図12に示すように、導光部10を挿通可能な隙間553、554が設けられている。これらの隙間553、554に導光部10を挿通することにより、導光部10をポール部551、552の側面に沿って曲げることができるので、曲げ半径が小さくなりすぎるのを防止することができる。また、巻回状態にある導光部10が展開しようとする力を利用し、筐体5に対して導光部10を固定することができる。
【0148】
また、容器5aは、底面502から突出する台状をなす台座部504、505を備えている。台座部504は、貫通部511に対応する位置に設けられている。また、台座部505は、貫通部512に対応する位置に設けられている。
【0149】
台座部504の上面には、図11に示すように、第1光アダプター6が載置されている。また、台座部505の上面には、図11に示すように、第2光アダプター7が載置されている。
【0150】
そして、第1光アダプター6には、前述したように、導光部10の第1光ファイバー1が挿入されている。また、第2光アダプター7には、前述したように、導光部10の第2光ファイバー2および第3光ファイバー3が挿入されている。さらに、導光部10の一部は、図12に示すように、環状に巻き取られた状態で、ポール部551、552と台座部504、505との間のスペースに収容されている。
【0151】
また、容器5aには、図11に示すように、底面502に開口する凹部56が設けられている。そして、凹部56には、支持部材9の連結部位93が挿入されている。このような構成によれば、連結部位93を凹部56に挿入するだけで、第1部位91を底面502に位置合わせしつつ固定することができる。
【0152】
4.2.光アダプター
第1光アダプター6のY軸に交差する2つの面のうち、Y軸マイナス側の面には、図12に示すように、第1光ファイバー1を挿入可能な挿入部61が1つ設けられている。一方、Y軸プラス側の面には、図11および図12に示すように、第1光ファイバー1と光学的に接続される接続相手の光ファイバーを挿入可能な挿入部62が1つ設けられている。したがって、第1光アダプター6を介して、第1光ファイバー1と図示しない接続相手の光ファイバーとが光学的に接続される。
【0153】
第1光アダプター6は、光コネクターハウジングに関する種々の規格に準拠していてもよい。この規格としては、例えばSC、FC、MU、D、DJ、ST、LC、SCF、SCH、MT、MPO、MT-RJ等が挙げられる。
【0154】
第2光アダプター7のY軸に交差する2つの面のうち、Y軸マイナス側の面には、図12に示すように、第2光ファイバー2を挿入可能な挿入部71aおよび第3光ファイバー3を挿入可能な挿入部71bが設けられている。2つの挿入部71a、71bは、X軸に沿って並んでいる。一方、Y軸プラス側の面には、第2光ファイバー2または第3光ファイバー3と光学的に接続される接続相手の光ファイバーが挿入される挿入部72a、72bが設けられている。したがって、第2光アダプター7を介して、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と図示しない接続相手の2本の光ファイバーとが光学的に接続される。2つの挿入部72a、72bは、X軸に沿って並んでいる。
【0155】
第2光アダプター7は、光コネクターハウジングに関する種々の規格に準拠していてもよい。この規格としては、例えばSC、FC、MU、D、DJ、ST、LC、SCF、SCH、MT、MPO、MT-RJ等が挙げられる。
【0156】
なお、第2光アダプター7は、挿入部71a、72aを有する部位と、挿入部71b、72bを有する部位と、に分かれていてもよい。
【0157】
4.3.筐体への導光部の収容
ポール部551、552と壁部500との隙間553、554に挿通された第1光ファイバー1等は、隙間553、554に嵌ることにより、拘束される。したがって、第1光ファイバー1等を隙間553、554に差し込むだけで、第1光ファイバー1等を固定することができる。
【0158】
このとき、隙間553には第1光ファイバー1が湾曲した状態で挿通され、隙間554には第2光ファイバー2および第3光ファイバー3がそれぞれ湾曲した状態で挿通されている。具体的には、隙間553は、側壁53とポール部551との間の部分と、側壁52とポール部551との間の部分と、を含んでいる。このため、隙間553に挿通された第1光ファイバー1は、延在方向を約90°変えながら湾曲している。同様に、隙間554は、側壁54とポール部552との間の部分と、側壁52とポール部552との間の部分と、を含んでいる。このため、隙間554に挿通された第2光ファイバー2および第3光ファイバー3は、延在方向を約90°変えながら湾曲している。このように湾曲した第1光ファイバー1等には、それぞれ、湾曲した状態から元に戻ろうとする復元力が発生する。これにより、第1光ファイバー1等は、この復元力によって壁部500やポール部551、552に押し付けられ、隙間553、554に固定される。
【0159】
なお、ポール部551、552が底面502に設けられることは必須ではなく、例えば壁部500に設けられていてもよいし、蓋体5bに設けられていてもよい。また、ポール部551、552の本数は、特に限定されず、1本であっても、3本以上であってもよい。
【0160】
ポール部551、552が底面502と平行な平面で切断されたときの断面形状としては、特に限定されないが、例えば、真円、楕円、長円のような円形、四角形、六角形、八角形のような多角形、その他の形状等が挙げられる。図12では、ポール部551、552の断面形状が円形である。これにより、隙間553、554に導光部10を差し込んだとき、導光部10が損傷を受けにくくなる。
【0161】
ポール部551の形状とポール部552の形状とは異なっていてもよいが、図11および図12では、両者が同じになっている。また、ポール部551、552の形状や大きさは、Z軸に沿って一定であってもよいし、変化していてもよい。例えば、ポール部551、552の径は、先端に向かって漸減または漸増していてもよい。
【0162】
また、筐体5は、底面502に開口し、連結部位93が挿入される凹部56を有する。
このような構成によれば、光分配器100を組み立てるとき、凹部56に連結部位93を挿入することによって、容器5aに対する支持部材9の位置合わせを容易かつ正確に行うことができる。これにより、ポール部551、552と第1光ファイバー1等との位置合わせを精度よく行うことができる。その結果、第1光ファイバー1とポール部551、552との位置ずれに伴う、導光部10の伝送効率の低下を抑制することができる。また、光分配器100の組立作業効率を高めることができる。
【0163】
ここで、図10に示す光分配器100の製造方法の一例について説明する。
図16は、図10に示す光分配器100を組み立てるとき、図1に示す導光部10および支持部材9を容器5aに取り付ける様子を説明した断面図である。
【0164】
図10に示す光分配器100を組み立てるときには、まず、一例として、あらかじめ図1に示す構造体を作製する。次に、得られた構造体を容器5aに取り付ける。このとき、図16に示すように、まず、支持部材9を凹部56に挿入する。次いで、第1光ファイバー1等を巻回状態にして、容器5a内に収める。
【0165】
支持部材9からは第1光ファイバー1等が延出しているので、支持部材9を凹部56に挿入するときには、延出している第1光ファイバー1等を壁部500の内側に収まる大きさになるまで曲げる必要がある。このため、誤って小さな曲げ半径で曲げてしまうと、第1光ファイバー1等に損傷を与えてしまうおそれがある。
【0166】
そこで、図11ないし図13に示す筐体5では、壁部500に窓部57、58を設けている。具体的には、筐体5は、第1溝911の延長線と重なる位置で側壁53を貫通する窓部57を有している。また、筐体5は、第2溝921の延長線と重なる位置で側壁54を貫通する窓部58を有している。
【0167】
このような構成によれば、支持部材9を凹部56に挿入した後、窓部57、58を介して第1光ファイバー1等を壁部500の外側にはみ出させることができる。これにより、第1光ファイバー1等を小さな曲げ半径で曲げることなく、支持部材9を凹部56に挿入することができる。
【0168】
なお、窓部57、58は、いずれか一方のみが設けられていてもよいが、双方設けられているのが好ましい。また、図11に示す窓部57、58には、蓋体5bの一部59が嵌合することによって塞がれるようになっている。なお、窓部57、58は、開放されていてもよいし、別の部材で塞がれていてもよい。
【0169】
また、窓部57、58のZ軸方向の長さおよびY軸方向の長さは、特に限定されず、作業性を考慮して適宜設定される。
【0170】
さらに、図13に示す窓部57、58は、それぞれY軸プラス側が斜めに切り欠かれている。このような切り欠き571、581が設けられることにより、図16に示すように窓部57、58を介して外側にはみ出させた第1光ファイバー1等を曲げながら壁部500の内側に収めるとき、第1光ファイバー1等が壁部500に引っ掛かりにくくなる。具体的には、図16に示すように、下に凸のU字状に導光部10を吊り下げた状態から、支持部材9を凹部56に挿入した後、第1光ファイバー1等を巻回させながら、壁部500の内側に収める作業を行うが、そのとき、切り欠き571、581が設けられていることで、その作業を効率よく行うことができる。これにより、組立作業に伴って第1光ファイバー1等に損傷が発生する確率を下げることができる。
【0171】
なお、導光部10を筐体5に固定するための部材が追加されていてもよい。かかる部材としては、例えば、粘着テープ、接着テープ、接着剤、粘着剤等が挙げられる。
【0172】
また、容器5a内にポッティング剤のような樹脂材料を収容し、好ましくは充填することによって、導光部10の保持性および耐候性を高めるようにしてもよい。
【0173】
5.電子機器
上述したような実施形態に係る光分配器100によれば、曲げられても損失が少ない光分配器100を実現することができる。したがって、このような光分配器100を備える電子機器は、光分配器100を収納するためのスペースの省スペース化が可能で、かつ、光分配器100における損失が少ないため、信頼性の高いものとなる。
【0174】
本発明の電子機器は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、スマートウォッチ、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、サーバー、スーパーコンピューター等の情報通信機器類や、医療用機器、センサー機器の他、車両、航空機、船舶の計器類、自動車制御機器、航空機制御機器、鉄道車両制御機器、船舶制御機器、宇宙船制御機器、ロケット制御機器のような移動体制御機器類、発電所、製油所、製鉄所、化学コンビナートのようなプラントを制御するプラント制御機器類等に適用される。
【0175】
以上、本発明の光分配器および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0176】
例えば、本発明の光分配器は、前記実施形態の各部の構成が、同様の機能を有する任意の構成に置換されたものであってもよく、前記実施形態に任意の構成が追加されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0177】
1 第1光ファイバー
2 第2光ファイバー
3 第3光ファイバー
4 光導波路
5 筐体
5a 容器
5b 蓋体
6 第1光アダプター
7 第2光アダプター
9 支持部材
9A 支持部材
9B 支持部材
9C 支持部材
10 導光部
11 第1光ファイバー本体
12 第1光コネクター
21 第2光ファイバー本体
22 第2光コネクター
31 第3光ファイバー本体
32 第3光コネクター
41 クラッド層
42 クラッド層
43 コア層
44 コア部
45 側面クラッド部
46 分岐コア部
47 下側保護層
48 上側保護層
51 側壁
52 側壁
53 側壁
54 側壁
56 凹部
57 窓部
58 窓部
59 一部
61 挿入部
62 挿入部
71a 挿入部
71b 挿入部
72a 挿入部
72b 挿入部
81 第1接着部
82 第2接着部
83 第3接着部
91 第1部位
92 第2部位
93 連結部位
100 光分配器
111 コア部
112 クラッド部
113 第1光入出射面
211 コア部
212 クラッド部
213 第2光入出射面
311 コア部
312 クラッド部
313 第3光入出射面
491 第4光入出射面
492 第5光入出射面
500 壁部
501 底部
502 底面
503 裏面
504 台座部
505 台座部
509 固定部
511 貫通部
512 貫通部
551 ポール部
552 ポール部
553 隙間
554 隙間
571 切り欠き
581 切り欠き
910 上面
911 第1溝
912 側面
920 上面
921 第2溝
921A 第2溝
922 側面
D1 深さ
D2 深さ
L1 長さ
L2 長さ
L3 長さ
L4 長さ
S4 距離
t 厚さ
W 幅
W1 幅
W2 幅
φ1 径
φ2 径
φ3 径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16