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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】車両用導光部材、車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/237 20180101AFI20240521BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20240521BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240521BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240521BHJP
【FI】
F21S43/237
F21S43/249
F21V8/00 330
F21V8/00 320
F21W103:20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020130195
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026631
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 歩実
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-192354(JP,A)
【文献】特開2020-004483(JP,A)
【文献】特開2016-212988(JP,A)
【文献】国際公開第2019/159828(WO,A1)
【文献】特開2020-035714(JP,A)
【文献】特開2018-190548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/237
F21S 43/249
F21V 8/00
F21W 103/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を導光作用により一方向に導く車両用導光部材であって、
本体部分と、
前記本体部分の側面に少なくとも1個設けられていて、光を前記本体部分に合流させる入光部分と、
を備え、
前記本体部分は、
前記入光部分が設けられている側面に対して反対側の側面に設けられていて、内部の光の一部を出射光として外部に出射させる出射面と、
前記入光部分が設けられている側面に、前記出射面に向き合って設けられていて、内部の光を反射光として前記出射面側に反射させる複数個の反射面と、
を有し、
複数個の前記反射面の一部分は、複数個の前記反射面の残りの部分である基準部分に対して、前記出射面に近い位置または前記出射面から遠い位置に変位して形成されている変位部分であり、
前記変位部分は、前記入光部分から導光方向の下流側に設けられていて、
前記変位部分の前記反射面は、前記出射面に近い位置に変位していて、前記反射光を、変位させる前の状態の前記反射面からの前記反射光に比較して、増加させて、前記出射面のうち輝度値が小さい部分の前記出射面側に反射させる
ことを特徴とする車両用導光部材。
【請求項2】
光を導光作用により一方向に導く車両用導光部材であって、
本体部分と、
前記本体部分の側面に少なくとも1個設けられていて、光を前記本体部分に合流させる入光部分と、
を備え、
前記本体部分は、
前記入光部分が設けられている側面に対して反対側の側面に設けられていて、内部の光の一部を出射光として外部に出射させる出射面と、
前記入光部分が設けられている側面に、前記出射面に向き合って設けられていて、内部の光を反射光として前記出射面側に反射させる複数個の反射面と、
を有し、
複数個の前記反射面の一部分は、複数個の前記反射面の残りの部分である基準部分に対して、前記出射面に近い位置または前記出射面から遠い位置に変位して形成されている変位部分であり、
前記変位部分の変位形態は、
導光方向の上流側から下流側に下がるに連れて大きくなるように徐変し、あるいは、導光方向の中流側が大きく、導光方向の上流側に上がるに連れて、かつ、導光方向の下流側に下がるに連れて、小さくなるように徐変している
ことを特徴とする車両用導光部材。
【請求項3】
前記変位部分の前記反射面は、前記反射光を、変位させる前の状態の前記反射面からの前記反射光に比較して、増加または減少させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用導光部材。
【請求項4】
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されている光源および前記の請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用導光部材と、
を備え、
前記光源は、少なくとも、前記車両用導光部材の入光部分に配置されていて、
前記車両用導光部材の出射面は、前記ランプレンズに向き合っている
ことを特徴とする車両用灯具
【請求項5】
前記入光部分は、複数個設けられていて、
前記光源は、複数個の前記入光部分にそれぞれ配置されていて、
複数個の前記光源は、複数個の前記光源の点灯消灯をシーケンス制御する制御部に接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用導光部材に関する。また、この発明は、車両用導光部材を備える車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用導光部材、また、車両用導光部材を備える車両用灯具として、たとえば、特許文献1に示すものがある。以下、特許文献1について説明する。
【0003】
特許文献1の棒状導光体は、周面の一部の光出射面と一方の端面の光入射面とを有し、かつ、側枝部を備える。側枝部は、光入射面を有する。一方の端面の光入射面と側枝部の光入射面とには、光源が対向して配置されている。
【0004】
特許文献1の棒状導光体において、光源からの光が一方の端面の光入射面から入射し、入射した光が内部で導かれ、また、光源からの光が側枝部の光入射面から入射し、入射した光が内部に合流して内部で導かれ、内部の光が光出射面から出射する。
【0005】
また、特許文献1の車両用灯具は、灯室を形成するランプボディおよびアウターカバーと、灯室内に配置されている光源および前記の特許文献1の棒状導光体と、を備える。
【0006】
特許文献1の車両用灯具において、棒状導光体の光出射面から出射した光がアウターカバーから灯具前方に出射する。
【0007】
かかる特許文献1の棒状導光体、特許文献1の車両用灯具においては、棒状導光体の光出射面、車両用灯具のアウターカバーが均一に発光することが重要である。
【0008】
すなわち、棒状導光体の光出射面、車両用灯具のアウターカバーにおいて、ダーク部分(暗部分)あるいはライト部分(明部分)が発生して、明暗差が大きく出て、明るさに斑(ムラ)が大きく出ることは、見栄え上好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2019-36529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の棒状導光体、特許文献1の車両用灯具は、側枝部の導光方向(光を導く方向)の下流側において、ダーク部分が発生する場合がある。なお、ダーク部分が発生する原因は、下記に説明する。
【0011】
この発明が解決しようとする課題は、車両用導光部材の出射面、車両用灯具のランプレンズが均一に発光することができる車両用導光部材、車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の車両用導光部材は、光を導光作用により一方向に導く車両用導光部材であって、本体部分と、本体部分の側面に少なくとも1個設けられていて、光を本体部分に合流させる入光部分と、を備え、本体部分が、入光部分が設けられている側面に対して反対側の側面に設けられていて、内部の光の一部を出射光として外部に出射させる出射面と、入光部分が設けられている側面に、出射面に向き合って設けられていて、内部の光を反射光として出射面側に反射させる複数個の反射面と、を有し、複数個の反射面の一部分が、複数個の反射面の残りの部分である基準部分に対して、出射面に近い位置または出射面から遠い位置に変位して形成されている変位部分である、ことを特徴とする。
【0013】
この発明の車両用導光部材において、変位部分の反射面が、反射光を、変位させる前の状態の反射面からの反射光に比較して、増加または減少させる、ことが好ましい。
【0014】
この発明の車両用導光部材において、変位部分が、入光部分から導光方向の下流側に設けられていて、変位部分の反射面が、出射面に近い位置に変位していて、反射光を、変位させる前の状態の反射面からの反射光に比較して、増加させて、出射面のうち輝度値が小さい部分の出射面側に反射させる、ことが好ましい。
【0015】
この発明の車両用導光部材において、変位部分の変位形態が、導光方向の上流側から下流側に下がるに連れて大きくなるように徐変し、あるいは、導光方向の中流側が大きく、導光方向の上流側に上がるに連れて、かつ、導光方向の下流側に下がるに連れて、小さくなるように徐変している、ことが好ましい。
【0016】
この発明の車両用灯具は、灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されている光源およびこの発明の車両用導光部材と、を備え、光源が、少なくとも、車両用導光部材の入光部分に配置されていて、車両用導光部材の出射面が、ランプレンズに向き合っている、ことを特徴とする。
【0017】
この発明の車両用灯具において、入光部分が、複数個設けられていて、光源が、複数個の入光部分にそれぞれ配置されていて、複数個の光源が、複数個の光源の点灯消灯をシーケンス制御する制御部に接続されている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
この発明の車両用導光部材、車両用灯具は、車両用導光部材の出射面、車両用灯具のランプレンズが均一に発光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、この発明にかかる車両用導光部材、車両用灯具の実施形態を示す非点灯状態の正面図(車両の前側から後側を見た図)である。
図2図2は、5個の光源が全部点灯している状態を示す正面図である。
図3図3は、5個の光源が制御部のシーケンス制御により点灯消灯している状態を示すランプレンズの正面説明図である。(A)は、1個の光源が点灯している状態を示すランプレンズの正面説明図である。(B)は、2個の光源が点灯している状態を示すランプレンズの正面説明図である。(C)は、3個の光源が点灯している状態を示すランプレンズの正面説明図である。(D)は、4個の光源が点灯している状態を示すランプレンズの正面説明図である。(E)は、5個の光源が全部点灯している状態を示すランプレンズの正面説明図である。
図4図4は、5個の光源および車両用導光部材を示す平面図(ランプハウジングおよびランプレンズを除いた状態の車両用灯具の平面図であって、図1におけるIV矢視図)である。
図5図5は、光路解析によりダーク部分(暗部分)が発生するエリアを示す車両用導光部材の一部拡大平面図である。
図6図6は、第1入光部分から合流する光の光路を示す説明図(図4におけるVI部分の拡大図)である。
図7図7は、ダーク部分が発生する原因を示す拡大説明図である。
図8図8は、第2ダーク部分発生エリアに形成した変位部分を示す拡大説明図(図7中の第2ダーク部分発生エリアの一部拡大説明図)である。
図9図9は、第2ダーク部分発生エリアに形成した変位部分を示す拡大断面説明図(図8におけるIX-IX線拡大断面説明図)である。
図10図10は、変位部分の反射面における光路とこの発明を実施しなかった反射面における光路とを示す拡大説明図(変位部分の反射面とこの発明を実施しなかった反射面とを合成した状態で示す光路の拡大説明図)である。
図11図11は、変位部分の反射面における光路とこの発明を実施しなかった反射面における光路とを示す拡大断面説明図(図7におけるXI-XI線拡大断面説明図)である。
図12図12は、第4ダーク部分発生エリアに形成した変位部分を示す拡大説明図(図9に対応する拡大説明図)である。
図13図13は、変位部分の反射面による出射面の輝度値とこの発明を実施しなかった反射面による出射面の輝度値とを示したグラフ(説明図)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明にかかる車両用導光部材、車両用灯具の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
なお、この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用導光部材、車両用灯具を車両(図示せず)に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
【0022】
なお、図面は、この発明にかかる車両用導光部材、車両用灯具を示す概略図であるから、この発明にかかる車両用導光部材、車両用灯具の詳細な部分は、図面においては省略されている。また、図4から図7においては、反射面および繋面の図示が省略されている。さらに、断面図においては、ハッチングが省略されている。さらにまた、図2および図3において、斜線が施されている部分は、ランプレンズの発光部分を示す。
【0023】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる車両用導光部材、車両用灯具の構成について説明する。
【0024】
(車両用灯具1の説明)
図1図2および図4中、符号1は、この実施形態にかかる車両用灯具(以下、「車両用灯具」と称する)である。この例の車両用灯具1は、車両の前部の左右両側にそれぞれ装備されるフロントターンシグナルランプである。なお、車両用灯具1の周辺には、ヘッドランプやデイタイムランニングランプなどが隣接して配置される。
【0025】
以下、車両の前部の右側に装備される車両用灯具1について説明する。なお、車両の前部の左側に装備される車両用灯具は、車両の前部の右側に装備される車両用灯具1と左右対称でありかつほぼ同様の構成をなすものであるから、説明を省略する。図1から図10図12において、紙面右側は、車両の内側であり、紙面左側は、車両の外側である。
【0026】
車両用灯具1は、ランプハウジング10と、ランプレンズ11と、複数個、この例では、5個の光源21、22、23、24、25(以下、「21~25」と表示する)と、この実施形態にかかる車両用導光部材(以下、「車両用導光部材」と称する)3と、を備える。
【0027】
ランプハウジング10は、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。ランプレンズ11は、光透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。ランプレンズ11から出射される光の色は、黄色もしくはアンバー色である。このため、光源21~25からの光の色が白色であれば、ランプレンズ11は、黄色などをなす。一方、光源21~25からの光の色が黄色などであれば、ランプレンズ11は、黄色である必要が無く、無色透明であっても良い。ランプレンズ11の外面の意匠面は、車両の前部から側部にかけての意匠面に沿う。
【0028】
ランプハウジング10とランプレンズ11とは、灯室12を形成する。灯室12内には、図4に示すように、5個の光源21~25および車両用導光部材(ライトガイド、導光体、導光棒)3が配置されている。5個の光源21~25、すなわち、第1光源21、第2光源22、第3光源23、第4光源24および第5光源25は、車両の内側(図4中の右側)から車両の外側(図4中の左側)にかけて、配置されている。
【0029】
5個の光源21~25および車両用導光部材3は、ブラケットなどの取付部材を介してランプハウジング10に取り付けられている。なお、灯室12内には、図示されていないが、インナーパネル(インナーハウジング)やインナーレンズなどが配置されている。
【0030】
5個の光源21~25は、スイッチおよび制御部を介して電源(バッテリ)に接続されている。制御部は、5個の光源21~25の点灯消灯をシーケンス制御する。すなわち、図3(A)(B)(C)(D)(E)に示すように、ランプレンズ11が車両の内側(図3中の右側)から車両の外側(図3中の左側)に流れるように発光する。以下、シーケンス制御について説明する。
【0031】
スイッチをオンにすると、まず、第1光源21が点灯する(図3(A)参照)。つぎに、第2光源22が点灯する(図3(B)参照)。この時、第1光源21は、点灯状態にある。つづいて、第3光源23が点灯する(図3(C)参照)。この時、第1光源21および第2光源22は、点灯状態にある。それから、第4光源24が点灯する(図3(D)参照)。この時、第1光源21、第2光源22および第3光源23は、点灯状態にある。そして、第5光源25が点灯する(図2および図3(E)参照)。この時、5個の光源21~25が全部点灯状態にある。5個の光源21~25の全部点灯状態が所定時間続き、所定時間が経過すると、5個の光源21~25が全部消灯する(図1を参照)。以下、前記の点灯消灯の状態を1サイクル(1周期)として、このサイクルがスイッチをオフするまで繰り返される。
【0032】
(車両用導光部材3の説明)
車両用導光部材(以下、「導光部材」と称する)3は、この例では、アクリル樹脂やPC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル樹脂)などの無色透明樹脂材からなる。
【0033】
導光部材3は、図4から図7に示すように、本体部分30と、少なくとも1個この例では4個(4本)の入光部分31、32、33、34(以下、「31~34」と表示する)と、を備える。
【0034】
(入光部分31~34の説明)
4個の入光部分31~34、すなわち、第1入光部分31、第2入光部分32、第3入光部分33および第4入光部分34は、車両の内側(図4および図5中の右側)から車両の外側(図4および図5中の左側)にかけて、配置されている。
【0035】
4個の入光部分31~34は、それぞれ、断面形状が円形をなす丸棒形状をなす。4個の入光部分31~34の直径は、それぞれ、同等である。4個の入光部分31~34は、それぞれ、一端から他端にかけて平面視(上から見て)湾曲形状をなしている。
【0036】
4個の入光部分31~34の一端面には、それぞれ、入射面310、320、330、340(以下、「310~340」と表示する)が、設けられている。入射面310~340には、それぞれ、第1光源21、第2光源22、第3光源23、第4光源24が、向き合って配置されている。4個の入光部分31~34の他端部分は、それぞれ、本体部分30の側面に一体に接続されている。
【0037】
4個の入光部分31~34は、4個の光源21~24からの光を、入射面310~340から内部に入射させ、その入射させた光L1(図6および図7中の実線矢印を参照)を、本体部分30の内部に合流させる。すなわち、4個の入光部分31~34は、入射面310~340から入射した光L1を、導光作用(全反射作用)により、実線矢印方向(入射合流方向)B1、B2、B3、B4(以下、「B1~B4」と表示する)に、本体部分30側に導く(進める)。入射合流方向B1~B4とは、入射面310~340から入光部分31~34の内部に入射した光源21~24からの光L1を、入光部分31~34の内部から本体部分30の内部に合流させる方向である。
【0038】
(本体部分30の説明)
本体部分30は、4個の入光部分31~34と同様に、断面形状が円形をなす丸棒形状をなす。本体部分30の直径は、4個の入光部分31~34の直径よりも大きい。本体部分30は、図4に示すように、ランプレンズ11の外面の意匠面および車両の前部から側部にかけての意匠面に沿って、一端から他端にかけて平面視(上から見て)湾曲形状をなしている。
【0039】
本体部分30の一端は、車両の外側(図4中の左側)であって、車両の後側に位置する。本体部分30の他端は、車両の内側(図4中の右側)であって、車両の前側に位置する。本体部分30の一端面には、入射面300が、設けられている。入射面300には、第5光源25が、向き合って配置されている。
【0040】
本体部分30は、第5光源25からの光を、入射面300から内部に入射させ、その入射させた光を、4個の入光部分31~34から合流した光L1と共に、導光作用(全反射作用)により、実線矢印方向(導光方向)Bに、本体部分30の一端側から他端側に導く(進める)。導光方向Bとは、本体部分30の内部において、内部の光L1(入射面300からの入射光、および、4個の入光部分31~34から合流した光L1)を、導く方向である。
【0041】
(出射面40、反射面41、繋面42の説明)
本体部分30は、出射面40と、複数個の反射面41と、複数個の繋面42と、を有する。
【0042】
出射面40は、本体部分30の4個の入光部分31~34が設けられている側面に対して反対側の側面、すなわち、本体部分30のランプレンズ11に向き合っている側面(図10の2本の二点鎖線の間の側面)に設けられている。出射面40は、図6および図7に示すように、本体部分30の内部の光の一部を外部に出射光L2として出射させる。
【0043】
複数個の反射面41と複数個の繋面42とは、本体部分30の4個の入光部分31~34が設けられている側面に、出射面40に向き合って設けられている。複数個の反射面41と複数個の繋面42とは、図8から図10および図12に示すように、交互に連続して設けられている。1個の反射面41と1個の繋面42とは、1個のプリズムを構成する。
【0044】
複数個の反射面41は、図10に示すように、本体部分30の内部の光を反射光L3として出射面40側に反射させる。複数個の反射面41は、出射面40に対して傾斜していて、かつ、導光方向Bに向き合っている。複数個の繋面42は、出射面40に対してほぼ垂直をなし、かつ、金型の抜き勾配を有する。
【0045】
(ダーク部分が発生する原因の説明)
以下、ダーク部分が発生する原因について、図5図7図10図11および図13を参照して、説明する。なお、図における内部の光L1、出射光L2および反射光L3の光路は、コンピュータシミュレーションに基づいた解析により、作図されている。
【0046】
また、図13は、出射面における輝度値を示したグラフであって、縦軸が輝度値(cd/m 2 )、横軸が測定ポイント(count)である。図13中の実線で示されている曲線は、車両用導光部材3の出射面40における輝度を示す。また、図13中の破線で示されている曲線は、この発明を実施しなかった出射面における輝度を示す。
【0047】
図13に示す測定ポイントP0、P5、P10、P15、P20、P25、P30、P35(以下、「P0~P35」と称する)は、図2に示す正面視のランプレンズ11における測定ポイントP0~P35に対応している。測定ポイントP5、P10、P15、P20、P25、P30、P35は、測定ポイントP0から車両の外側(図2中の左側)に5cm、10cm、15cm、20cm、25cm、30cm、35cmの位置を示す。
【0048】
ダーク部分は、図13中の実線曲線および破線曲線における谷部分であり、この谷部分の輝度値は、谷部分の両側の部分の輝度値と比較して小さい(低い)。このダーク部分は、前記の通り、入光部分31~34の導光方向Bの下流側のエリアA1、A2、A3、A4(以下、「A1~A4」と表示する)において発生する。このダーク部分発生エリアA1~A4を、図5および図13に示すように、車両の内側(図5および図13中の右側)から車両の外側(図5および図13中の左側)にかけて、第1ダーク部分発生エリアA1、第2ダーク部分発生エリアA2、第3ダーク部分発生エリアA3、第4ダーク部分発生エリアA4とする。
【0049】
図13中の実線曲線および破線曲線において、谷部分と谷部分との間の山部分は、輝度値が谷部分の輝度値より大きい(高い)ライト部分である。このライト部分は、図13に示すように、ダーク部分発生エリアA1~A4の間のエリアH1、H2、H3(以下、「H1~H3」と表示する)において発生する。このライト部分発生エリアH1~H3を、図13に示すように、車両の内側(図13中の右側)から車両の外側(図13中の左側)にかけて、第1ライト部分発生エリアH1、第2ライト部分発生エリアH2、第3ライト部分発生エリアH3とする。
【0050】
第1ライト部分発生エリアH1は、第1ダーク部分発生エリアA1と第2ダーク部分発生エリアA2との間に位置する。第2ライト部分発生エリアH2は、第2ダーク部分発生エリアA2と第3ダーク部分発生エリアA3との間に位置する。第3ライト部分発生エリアH3は、第3ダーク部分発生エリアA3と第4ダーク部分発生エリアA4との間に位置する。ダーク部分発生エリアA1~A4とライト部分発生エリアH1~H3とは、交互に位置する。
【0051】
ここで、入光部分31~34の内部から本体部分30の内部に合流する光L1の一部が、図6および図7に示すように、本体部分30の内部を、導光方向Bに導かれる時に、入光部分31~34の導光方向Bの下流側のエリアの反射面41に当たらずに(入射せずに)、導かれる。この内部の光L1が当たらない反射面41のエリアは、周囲のエリアと比較して暗い(輝度値が低い)。この結果、内部の光L1が当たらない反射面41のエリアにおいて、ダーク部分が発生する。
【0052】
このように、ダーク部分は、入光部分31~34の導光方向Bの下流側のエリアにおいて、発生する。この入光部分31~34の導光方向Bの下流側のエリアが、ダーク部分発生エリアA1~A4である。
【0053】
一方、ダーク部分発生エリアA1~A4に当たらなかった内部の光L1の大部分は、図6および図7に示すように、ダーク部分発生エリアA1~A4に対応する出射面40側において全反射して、ダーク部分発生エリアA1~A4の導光方向Bの下流側のエリアの反射面41側に当たる。この内部の光L1が当たった反射面41のエリアは、周囲のエリアと比較して明るい(輝度値が高い)。この結果、内部の光L1が当たった反射面41のエリアにおいて、ライト部分が発生する。
【0054】
また、入光部分31~34の内部から本体部分30の内部に合流する光L1の残りの一部が、図6および図7に示すように、出射光L2として入光部分31~34に対応するエリアの出射面40から外部に出射する。この合流する光L1が出射光L2として出射した出射面40のエリアは、周囲のエリアと比較して明るい(輝度値が高い)。この結果、合流する光L1が出射光L2として出射した出射面40のエリアにおいて、ライト部分が発生する。
【0055】
このように、ライト部分は、ダーク部分発生エリアA1~A4の間のエリアにおいて、発生する。このダーク部分発生エリアA1~A4の間のエリアが、ライト部分発生エリアH1~H3である。
【0056】
(基準部分43、変位部分44の説明)
複数個の反射面41の一部分は、図8および図9に示すように、複数個の反射面41の残りの部分である基準部分43に対して、出射面40に近い位置に変位して形成されている変位部分44である。
【0057】
変位部分44は、入光部分31~34から導光方向Bの下流側であって、ダーク部分発生エリアA1~A4に設けられている。変位部分44の反射面41は、図10に示すように、反射光L3を、変位させる前の状態の反射面410(すなわち、変位させなかった状態の反射面410であって、この発明を実施しなかった反射面410)からの反射光L30に比較して、増加させて、出射面40のうちダーク部分発生エリアA1~A4に対応する出射面40側に反射させる。
【0058】
第2ダーク部分発生エリアA2における変位部分44の変位形態は、図8および図9に示すように、導光方向Bの上流側(図8および図9中の左上側)から下流側(図8および図9中の右下側)に下がるに連れて大きくなるように徐変している(図8および図9中の実線直線矢印参照)。
【0059】
なお、第2ダーク部分発生エリアA2における変位部分44の反射面41の個数は、この例では、10個である。また、変位部分44の下流側と基準部分43の上流側との間の段差面45の寸法T(高さ、深さ)は、この例では、約1mmである。さらに、第1ダーク部分発生エリアA1および第3ダーク部分発生エリアA3における変位部分44の変位形態は、第2ダーク部分発生エリアA2における変位部分44の変位形態とほぼ同様である。
【0060】
第4ダーク部分発生エリアA4における変位部分44の変位形態は、図12に示すように、導光方向Bの中流側が大きく、導光方向Bの上流側(図12中の左上側)に上がるに連れて、かつ、導光方向Bの下流側(図12中の右下側)に下がるに連れて、小さくなるように徐変している。なお、第4ダーク部分発生エリアA4における変位部分44の反射面41の個数や変位量(高さ、深さ)は、前記の第1、2、3ダーク部分発生エリアA1、A2、A3における変位部分44の反射面41の個数や変位量に準ずる。
【0061】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0062】
車両用灯具1において、スイッチをオンすると、制御部のシーケンス制御により、まず、第1光源21が点灯して車両用導光部材3を介して車両用灯具1のランプレンズ11の車両の内側の部分が発光する(図3(A)参照)。
【0063】
つぎに、第2光源22が点灯して車両用導光部材3を介して車両用灯具1のランプレンズ11の車両の内側の部分から車両の外側の部分にかけての部分(第1光源21のみが点灯して発光している部分よりも広い部分)が発光する(図3(B)参照)。
【0064】
つづいて、第3光源23が点灯して車両用導光部材3を介して車両用灯具1のランプレンズ11の車両の内側の部分から車両の外側の部分にかけての部分(第1光源21および第2光源22が点灯して発光している部分よりも広い部分)が発光する(図3(C)参照)。
【0065】
それから、第4光源24が点灯して車両用導光部材3を介して車両用灯具1のランプレンズ11の車両の内側の部分から車両の外側の部分にかけての部分(第1光源21、第2光源22および第3光源23が点灯して発光している部分よりも広い部分)が発光する(図3(D)参照)。
【0066】
そして、第5光源25が点灯して車両用導光部材3を介して車両用灯具1のランプレンズ11のほぼ全部分(第1光源21、第2光源22、第3光源23および第4光源24が点灯して発光している部分よりも広い部分)が発光する(図2および図3(E)参照)。
【0067】
5個の光源21~25の全部点灯状態が所定時間続き、所定時間が経過すると、5個の光源21~25が全部消灯する(図1を参照)。以下、前記の点灯消灯の状態を1サイクル(1周期)として、このサイクルがスイッチをオフするまで繰り返される。
【0068】
車両用導光部材3において、第1光源21~第4光源24からの光は、入光部分31~34の入射面310~340から入光部分31~34の内部に入射して、かつ、本体部分30の内部に合流する。一方、第5光源25からの光は、本体部分30の入射面300から本体部分30の内部に入射する。
【0069】
本体部分30の内部の光L1の大部分は、車両用導光部材3の導光作用により、一方向Bに導かれ、反射面41において反射光L3として出射面40側に反射され、かつ、出射面40から出射光として出射する。また、本体部分30の内部に合流した入光部分31~34からの光L1の一部は、出射面40から出射光L2として出射する。
【0070】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0071】
この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、複数個の反射面41の一部分を、複数個の反射面41の残りの部分の基準部分43に対して、出射面40に近い位置に変位して形成されている変位部分44とする、ものである。すなわち、この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、図10および図11に示すように、変位部分44の反射面41が、変位させる前の状態の反射面410に対して、出射面40に近い位置に変位する、ものである。
【0072】
この結果、この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、図11に示すように、変位部分44の反射面41が内部の光L1を出射面40側に近い位置で迎い入れるものであるから、変位部分44の反射面41に当たる(入射する)内部の光L1の量(図11中の中心角θ1)を、変位させる前の状態の反射面410に当たる(入射する)内部の光L10の量(図11中の中心角θ10)に対して、多く(大きく)することができる。
【0073】
また、この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、図10に示すように、変位部分44の反射面41が内部の光L1を導光方向Bの上流側に迎いに行って反射光L3として反射させるものであるから、変位させる前の状態の反射面410が内部の光L10を反射させた反射光L30に比較して、反射光L3を導光方向Bの上流側において増加させることができる。
【0074】
これにより、この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、増加させた反射光L3を、出射面40のうち輝度値が小さい部分の出射面40側に反射させることにより、車両用導光部材3の出射面40、車両用灯具1のランプレンズ11を均一に発光させることができる。なお、変位させる前の状態の反射面410は、この発明を実施しなかった反射面410であって、変位させなかった状態の反射面410である。図10および図11中において、符号420は、反射面410と反射面410とを繋ぐ繋面である。
【0075】
この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、変位部分44を入光部分31~34から導光方向Bの下流側に設けたものである。この結果、この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、本体部分30のうち入光部分31~34から導光方向Bの下流側で発生するダーク部分において、内部の光L1を効率良くかつ大量に反射させることができる。これにより、この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、車両用導光部材3の出射面40、車両用灯具1のランプレンズ11をさらに均一に発光させることができる。
【0076】
この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、第1、第2、第3ダーク部分発生エリアA1、A2、A3における変位部分44の変位形態を、導光方向Bの上流側から下流側に下がるに連れて大きくなるように徐変させて、なるものである。この結果、この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、内部の光L1および反射光L3の光量が減少する導光方向Bの下流側において、内部の光L1および反射光L3の光量を増加させることができる。これにより、この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、車両用導光部材3の出射面40、車両用灯具1のランプレンズ11をさらに確実に均一に発光させることができる。
【0077】
また、この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、第4ダーク部分発生エリアA4における変位部分44の変位形態を、導光方向Bの中流側が大きく、導光方向Bの上流側に上がるに連れて、かつ、導光方向Bの下流側に下がるに連れて、小さくなるように徐変させて、なるものである。この結果、この実施形態にかかる車両用導光部材3、車両用灯具1は、本体部分30および第4入光部分34の相対関係により、変位部分44の下流側と基準部分43の上流側との間の段差面45(あるいは、変位部分44の上流側と基準部分43の下流側との間の段差面)の寸法が大きくなって、金型を抜くことが不可能となる場合において、変位部分44の下流側と基準部分43の上流側との間の段差面45(あるいは、変位部分44の上流側と基準部分43の下流側との間の段差面)の寸法を小さくして、金型を抜くことができる。
【0078】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、車両用導光部材3、車両用灯具1をフロントターンシグナルランプに使用した例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、車両用導光部材3、車両用灯具1を、フロントターンシグナルランプ以外のランプに、使用しても良い。
【0079】
また、前記の実施形態においては、5個の光源21~25の点灯消灯を制御部によりシーケンス制御する例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、複数個の光源を、シーケンス制御以外の点灯消灯制御により点灯消灯しても良い。
【0080】
さらに、前記の実施形態においては、入光部分31~34を4個設けた例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、入光部分を1個設けるものであっても良い。この場合においては、光源は、少なくとも1個必要である。すなわち、本体部分30の内部に光を入射させる光源(前記の実施形態における第5光源25)は、必ずしも必要ない。
【0081】
さらにまた、前記の実施形態においては、変位部分44が、基準部分43に対して、出射面40に近い位置に変位して形成されている例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、変位部分が、基準部分43に対して、出射面40から遠い位置に変位して形成されている、ものであっても良い。この場合において、この変位部分の反射面は、反射光を、変位させる前の状態の反射面からの反射光に比較して、減少させて、出射面40のうち輝度値が大きい部分(点光部分)の出射面40側に反射させる。これにより、出射面40を均一に発光させることができる。
【0082】
さらにまた、前記の実施形態においては、本体部分30の一側面(入光部分31~34を設けた側面)に複数個の反射面41と抜き勾配を有する複数個の繋面42とを設けた例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、複数個の反射面41と抜き勾配を有する複数個の繋面42との間に、出射面40と平行な面を介在させても良い。
【0083】
なお、この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0084】
1 車両用灯具
10 ランプハウジング
11 ランプレンズ
12 灯室
21、22、23、24、25 光源
3 車両用導光部材
30 本体部分
300 入射面
31、32、33、34 入光部分
310、320、330、340 入射面
40 出射面
41、410 反射面
42、420 繋面
43 基準部分
44 変位部分
45 段差面
A1、A2、A3、A4 ダーク部分発生エリア
B 導光方向
B1、B2、B3、B4 入射合流方向
H1、H2、H3 ライト部分発生エリア
L1、L10 光(内部の光)
L2 出射光
L3、L30 反射光
P0、P0、P5、P10、P15、P20、P25、P30、P35 測定ポイント
T 寸法
θ1、θ10 中心角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13