(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240521BHJP
H05B 6/80 20060101ALI20240521BHJP
H05B 6/68 20060101ALI20240521BHJP
F26B 3/347 20060101ALI20240521BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20240521BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20240521BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20240521BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 451
B41J2/01 401
H05B6/80 Z
H05B6/68 330C
F26B3/347
B05C5/00 101
B05C9/14
B05C11/00
B05C11/10
(21)【出願番号】P 2020144242
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】相澤 直
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 恒之
(72)【発明者】
【氏名】麻本 克哉
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-50216(JP,A)
【文献】特開2017-219250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
H05B 6/80
H05B 6/68
F26B 1/00-25/22
B05C 5/00
B05C 9/14
B05C 11/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
交流電界を発生させる交流電界発生部と、
前記交流電界発生部の制御を行う制御部と、
前記交流電界発生部から発生する交流電界の変化を検知する検知部と、を備え、
前記交流電界発生部は、互いに隣り合って配置される第1電極及び第2電極と、前記第
1電極及び前記第2電極への高周波電圧を発生させる高周波電圧発生部と、前記第1電極
及び前記第2電極と前記高周波電圧発生部とを電気的に接続する導体とを有し、
前記制御部は、前記検知部によって検知された結果に基づいて、前記高周波電圧発生部
から前記第1電極及び前記第2電極への高周波電圧の発生を停止
し、
前記検知部は、交流電界を検知するアンテナを含み、前記第1電極及び前記第2電極か
ら離間して配置されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
交流電界を発生させる交流電界発生部と、
前記交流電界発生部の制御を行う制御部と、
前記交流電界発生部から発生する交流電界の変化を検知する検知部と、を備え、
前記交流電界発生部は、互いに隣り合って配置される第1電極及び第2電極と、前記第
1電極及び前記第2電極への高周波電圧を発生させる高周波電圧発生部と、前記第1電極
及び前記第2電極と前記高周波電圧発生部とを電気的に接続する導体とを有し、
前記制御部は、前記検知部によって検知された結果に基づいて、前記高周波電圧発生部
から前記第1電極及び前記第2電極への高周波電圧の発生を停止し、
前記検知部は、前記第1電極又は前記第2電極に固定され、前記第1電極又は前記第2
電極の変位に応じて作動するスイッチを含むことを特徴とす
る液滴吐出装置。
【請求項3】
媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
交流電界を発生させる交流電界発生部と、
前記交流電界発生部の制御を行う制御部と、
前記交流電界発生部から発生する交流電界の変化を検知する検知部と、を備え、
前記交流電界発生部は、互いに隣り合って配置される第1電極及び第2電極と、前記第
1電極及び前記第2電極への高周波電圧を発生させる高周波電圧発生部と、前記第1電極
及び前記第2電極と前記高周波電圧発生部とを電気的に接続する導体とを有し、
前記制御部は、前記検知部によって検知された結果に基づいて、前記高周波電圧発生部
から前記第1電極及び前記第2電極への高周波電圧の発生を停止し、
前記検知部は、前記導体、前記第1電極及び前記第2電極のインピーダンスの変化を検
知することを特徴とす
る液滴吐出装置。
【請求項4】
前記高周波電圧発生部は、高周波電圧を発生させる高周波電圧発生回路と、高周波電圧
を増幅する増幅回路とを有し、
前記制御部は、前記増幅回路の電源を停止することによって、前記高周波電圧発生部か
ら前記第1電極及び前記第2電極への高周波電圧の発生を停止することを特徴とする請求
項1
から請求項3のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を用紙等の媒体に吐出する液体吐出ヘッドを備える液体吐出
装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、用紙等の媒体にインク等の液体を吐出して印刷するインクジ
ェットプリンター等の液体吐出装置が開示されている。このような液体吐出装置では、例
えば液体が吐出された媒体が乾燥する度合いによって液体の滲みが発生するなど、印刷品
質の低下を抑制するために、交互に配置された陽極及び陰極への高周波電圧の発生により
交流電界を発生させて媒体に吐出された液体を誘電加熱し、液体が吐出された媒体を乾燥
させる機能が搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の液体吐出装置では、例えば、経年変化や設計者の意
図しない使用状況によって、発生させる交流電界が変化してしまい、媒体に吐出された液
体を加熱する条件が変化する、各電極に熱が過剰に蓄積するなど、異常が発生してしまう
おそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、交流電
界を発生させる交流電界発生部と、前記交流電界発生部の制御を行う制御部と、前記交流
電界発生部から発生する交流電界の変化を検知する検知部と、を備え、前記交流電界発生
部は、互いに隣り合って配置される第1電極及び第2電極と、前記第1電極及び前記第2
電極への高周波電圧を発生させる高周波電圧発生部と、前記第1電極及び前記第2電極と
前記高周波電圧発生部とを電気的に接続する導体とを有し、前記制御部は、前記検知部に
よって検知された結果に基づいて、前記高周波電圧発生部から前記第1電極及び前記第2
電極への高周波電圧の発生を停止する。
【0006】
上記課題を解決する液体吐出装置は、媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、交流電
界を発生させる交流電界発生部と、前記交流電界発生部の制御を行う制御部と、温度を検
知する温度検知部と、を備え、前記交流電界発生部は、互いに隣り合って配置される第1
電極及び第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極への高周波電圧を発生させる高周波
電圧発生部と、前記第1電極及び前記第2電極と前記高周波電圧発生部とを電気的に接続
する導体とを有し、前記温度検知部は、前記導体、前記第1電極及び前記第2電極のうち
少なくとも何れかの温度を検知し、前記制御部は、前記温度検知部によって検知された結
果に基づいて、前記高周波電圧発生部から前記第1電極及び前記第2電極への高周波電圧
の発生を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態における印刷システムを示す模式側断面図。
【
図2】第1実施形態における液体吐出装置を示す模式側断面図。
【
図3】第1実施形態におけるキャリッジを示す模式底面図。
【
図6】液体吐出装置の電気的構成を示すブロック図。
【
図7】液体吐出装置の電気的構成を示すブロック図。
【
図9】第3実施形態における液体吐出装置を示す模式側断面図。
【
図10】第4実施形態における発生器を示す斜視図。
【
図11】第5実施形態における発生器を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、液体吐出装置を備える印刷システムの一実施形態について図を参照しながら説明
する。
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態では、印刷システム11は、保持装置12と、巻取装
置13と、液体吐出装置14とを備える。
【0009】
保持装置12は、媒体99が巻き重ねられたロール体100を保持する装置である。保
持装置12は、ロール体100を保持する保持軸17を有する。保持軸17は、例えば、
回転可能に構成される。保持軸17が回転することに伴い、ロール体100から媒体99
が繰り出される。第1実施形態では、保持軸17は、能動的に回転せず、例えば、ロール
体100から媒体99が引っ張られることによって、ロール体100とともに回転する。
媒体99は、例えば、用紙、布帛などのシートである。保持軸17は、回転しない構成で
もよい。この場合に、ロール体100は、ロール体100から媒体99が引っ張られるこ
とによって、保持軸17に対して回転する。
【0010】
巻取装置13は、保持装置12から繰り出された媒体99を巻き取る装置である。巻取
装置13は、媒体99を巻き取る巻取軸18を有する。巻取軸18は、回転可能に構成さ
れる。巻取軸18は、回転することによって、媒体99を巻き取る。その結果、巻取軸1
8は、媒体99を巻き取ることによって形成されたロール体100を保持する。第1実施
形態では、巻取軸18が回転することによって、保持軸17に保持されたロール体100
から媒体99が繰り出される。
【0011】
媒体99は、巻取装置13に巻き取られることによって搬送される。媒体99は、保持
装置12から巻取装置13に向けて搬送される。第1実施形態では、保持装置12から巻
取装置13に向かう方向が、媒体99の搬送方向Yである。媒体99は、表面99Aと、
表面99Aの反対の面である裏面99Bとを有する。
【0012】
液体吐出装置14は、媒体99に印刷する装置である。液体吐出装置14は、例えば、
媒体99に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真、図形などの画
像を印刷するインクジェット式のプリンターである。液体吐出装置14は、搬送方向Yに
おいて保持装置12と巻取装置13との間に位置する。
【0013】
液体吐出装置14は、支持部21と、印刷部22と、制御部23とを備える。制御部2
3は、少なくとも液体吐出装置14の各種構成を制御する。
支持部21は、例えば、板状の部材であるが、粘着材が塗られたグルーベルト、静電吸
着式のベルトであってもよい。支持部21は、搬送される媒体99を支持する。第1実施
形態では、支持部21は、媒体99を下方から支持する。第1実施形態では、支持部21
は、媒体99の裏面99Bに接触する。
【0014】
第1実施形態では、支持部21は、鉛直方向Zにおいて印刷部22に対向する表面21
Aを有する。第1実施形態では、少なくとも支持部21の表面21Aは、絶縁体で構成さ
れる。具体的な一例をあげると、支持部21の表面21Aは、0.0001S/m以下の
絶縁体が好ましい。支持部21の表面21Aは、アルマイト加工が施されることによりア
ルマイト皮膜が形成されるが、これに限らず、例えば、絶縁材質の塗装等が施されること
により絶縁被覆が形成されてもよい。また、例えば、支持部21自体が絶縁材質であって
もよい。また、支持部21の表面21Aは、印刷部22に対向する領域が絶縁体であれば
好ましく、それ以外の領域が絶縁体であるか否かは問わない。
【0015】
印刷部22は、鉛直方向Zにおいて支持部21と対向する。第1実施形態では、印刷部
22は、支持部21の上方に位置する。印刷部22は、媒体99に印刷するように構成さ
れる。
【0016】
図1及び
図2に示すように、第1実施形態では、印刷部22は、キャリッジ31と、液
体吐出ヘッド32と、乾燥部33と、送風機構34と、光学センサー35とを備える。
キャリッジ31は、液体吐出ヘッド32、乾燥部33、送風機構34及び光学センサー
35を搭載する。キャリッジ31は、鉛直方向Zにおいて支持部21と対向する。第1実
施形態では、キャリッジ31は、支持部21の上方に位置する。キャリッジ31は、搬送
される媒体99に対して走査する。すなわち、キャリッジ31は、支持部21の上方で、
媒体99の幅にわたって往復移動する。このとき、キャリッジ31は、媒体99の幅方向
Xに往復移動する。このように、第1実施形態では、幅方向Xは、キャリッジ31の走査
方向である。第1実施形態では、液体吐出装置14は、液体吐出ヘッド32が媒体99に
対して走査するシリアル式のプリンターである。
【0017】
幅方向Xは、第1幅方向X1と第2幅方向X2とを含む双方向を示す。第1幅方向X1
は、第2幅方向X2とは反対となる方向である。幅方向Xは、搬送方向Y及び鉛直方向Z
と異なり、搬送方向Y及び鉛直方向Zと直交する方向である。
【0018】
第1実施形態では、キャリッジ31は、対向面31Aを有する。キャリッジ31の対向
面31Aは、支持部21に対向する。キャリッジ31は、突出部31Bを有する。突出部
31Bは、キャリッジ31の対向面31Aの外縁部31Cにおいて対向面31Aから下方
に突出する。突出部31Bの先端面31Dから支持部21の表面21Aとの距離D1は、
キャリッジ31の対向面31Aと支持部21の表面21Aとの間にユーザーの指等が入ら
ないように、1mm~20mmが好ましい。
【0019】
液体吐出ヘッド32は、キャリッジ31の対向面31Aに搭載されている。液体吐出ヘ
ッド32は、鉛直方向Zにおいて支持部21と対向する。第1実施形態では、液体吐出ヘ
ッド32は、支持部21の上方に位置する。このように、液体吐出ヘッド32は、支持部
21に面するようにキャリッジ31に搭載される。
【0020】
液体吐出ヘッド32は、液体が吐出されるノズルが形成されたノズルプレートを有する
。液体吐出ヘッド32は、支持部21に支持される媒体99に液体を吐出する。その結果
、媒体99に画像が印刷される。第1実施形態では、液体吐出ヘッド32は、媒体99の
表面99Aに液体を吐出する。液体吐出ヘッド32が吐出する液体は、例えば、水を溶媒
とする水系インクである。
【0021】
液体吐出ヘッド32が媒体99に液体を吐出すると、媒体99が含む水分量が増加する
。すなわち、液体吐出ヘッド32は、媒体99に液体を吐出することによって、媒体99
が含む水分量を増加させる処理を媒体99に施す。
【0022】
乾燥部33は、キャリッジ31の対向面31Aに搭載されている。乾燥部33は、交流
電界発生部41と、カバー42とを有する。交流電界発生部41は、鉛直方向Zにおいて
支持部21と対向する。言い換えると、交流電界発生部41は、鉛直方向Zにおいて支持
部21に支持される媒体99と対向する。第1実施形態では、交流電界発生部41は、支
持部21の上方に位置する。
【0023】
交流電界発生部41は、交流電界を発生させる。第1実施形態では、交流電界発生部4
1は、交流電界を発生させることによって、媒体99が含む水分を加熱し、媒体99が含
む水分量を減少させる処理を媒体99に施す。つまり、交流電界発生部41は、支持部2
1に支持される媒体99に吐出された液体を加熱し、媒体99を乾燥させることができる
。
【0024】
第1実施形態では、交流電界発生部41は、2.4GHzの交流電界を発生させること
により液体を加熱するが、これに限らない。例えば、3MHz~300MHzの交流電界
を発生させることによる高周波誘電加熱及び300M~30GHzの交流電界を発生させ
ることによるマイクロ波加熱を用いてもよく、そのなかでも10MHz~20GHzの交
流電界を発生させることが好ましい。
【0025】
図3に示すように、交流電界発生部41は、交流電界を発生する複数の発生器43を有
する。複数の発生器43は、液体吐出ヘッド32よりも、幅方向Xの両方と媒体99の搬
送方向の下流とを包囲するように複数列にわたって配置される。複数の発生器43は、発
生させる交流電界がキャリッジ31の外部に影響を与えないようにキャリッジ31の外周
よりも内方に配置されている。
【0026】
また、キャリッジ31には、電界検知センサー36が搭載されている。第1実施形態で
は、電界検知センサー36は、交流電界を検知する一対の電界検知アンテナを含むように
構成される。電界検知センサー36は、鉛直方向Zにおいて支持部21と対向する。電界
検知センサー36は、キャリッジ31の端部に配置されている。詳述すると、一対の電界
検知アンテナのうち一方は、キャリッジ31を対向面31Aから見た場合に、キャリッジ
31の角に配置される。一対の電界検知アンテナのうち他方は、キャリッジ31を対向面
31Aから見た場合に、一方の電界検知アンテナが配置されたキャリッジ31の角と対角
となる角に配置される。したがって、一対の電界検知アンテナは、キャリッジ31の対角
線上に位置するが、これに限らない。このように、電界検知センサー36は、電界検知ア
ンテナが発生器43とは離間した位置となるように配置されており、交流電界発生部41
から発生する交流電界の変化を検知する。第1実施形態では、電界検知センサー36が検
知部の一例に相当する。
【0027】
図4に示すように、発生器43は、第1電極51と、第2電極52と、導体53とを有
する。第1電極51は、平面視において矩形状の平板である。第1電極51は、支持部2
1と対向する。第1電極51は、支持部21の上方に位置する。第2電極52は、平面視
において第1電極51を包囲する中抜きの矩形状の平板である。第2電極52は、支持部
21と対向する。第2電極52は、支持部21の上方に位置する。このように、第1電極
51と第2電極52とは、互いに隣り合って配置される。また、第1電極51と第2電極
52とは、支持部21に面するようにキャリッジ31に搭載される。
【0028】
導体53は、第1電極51及び第2電極52と、高周波電圧を発生させる高周波電圧発
生部61とを電気的に接続する。導体53は、同軸ケーブル54と、コイル55とを有す
る。同軸ケーブル54は、内部導体54Aと、外部導体54Bとを有する。内部導体54
Aは、コイル55を介して第1電極51と接続されており、高周波電圧発生部61と第1
電極51とを電気的に接続する。外部導体54Bは、第2電極52と接続されており、高
周波電圧発生部61と第2電極52とを電気的に接続する。巻線の一例としてのコイル5
5は、第1電極51と同軸ケーブル54の内部導体54Aとの間に接続されており、第1
電極51に極力近い位置に配置されることが好ましい。
【0029】
第1電極51と第2電極52との間の最小離間距離は、交流電界発生部41から出力さ
れる交流電界の波長の1/10以下である。これにより、高周波電圧が印加された際に発
生する交流電界のほとんどを第1電極51及び第2電極52の近傍で減衰させることがで
きる。これにより、第1電極51及び第2電極52から遠方に到達する電磁波の強度を小
さくできる。すなわち、交流電界発生部41から発生される交流電界は、第1電極51及
び第2電極52の近傍で非常に強く、遠方では非常に弱くなる。
【0030】
このような発生器43は、発生させる交流電界の周波数帯域が適切に制御されることに
より、第1電極51及び第2電極52の近傍となる範囲、例えば3mm~3cmの範囲に
交流電界を集中的に発生させることができ、その範囲を超えて交流電界の影響を及ぼし難
くしている。
【0031】
図1及び
図2に示すように、第1実施形態では、カバー42は、キャリッジ31に搭載
されている。第1実施形態では、カバー42は、交流電界発生部41の下方に位置する。
第1実施形態では、カバー42は、異物が交流電界発生部41に付着しないように交流電
界発生部41を下方から覆う。特に、液体吐出ヘッド32から吐出された液体が霧状とな
った場合であっても、第1実施形態では、カバー42は、液体が交流電界発生部41に付
着しないように交流電界発生部41を下方から覆う。このように、第1実施形態では、カ
バー42は、交流電界発生部41と支持部21との間において交流電界発生部41の発生
器43を覆うようにキャリッジ31に搭載されている。
【0032】
第1実施形態では、カバー42は、交流電界発生部41から発生される交流電界を透過
する材質で形成されている。具体的な一例をあげると、カバー42は、ガラスで形成され
ていてもよいが、これに限らず、例えば、環状オレフィンコポリマーなど、透過性を有す
る樹脂で形成されていてもよく、誘電加熱の影響を受けにくい材質が好ましい。第1実施
形態では、カバー42は、その表面が凹凸形状であり、交流電界発生部41から発生され
る交流電界を支持部21に支持される媒体99に向けて収束させることができる。
【0033】
特に、第1実施形態では、カバー42は、液体の付着性、液体の洗浄性、強度の観点か
ら材質が選択されることが好ましく、その厚み及び交流電界の透過率に関しては、交流電
界発生部41の周波数及び配置を変更することにより、各種材質を採用することができる
。
【0034】
乾燥部33は、交流電界発生部41の発生器43及びカバー42を鉛直方向Zに移動可
能な調整機構44を備える。この結果、乾燥部33は、交流電界発生部41と媒体99と
の距離を調整可能となる。調整機構44は、例えば、リンク機構でもよいし、ラックアン
ドピニオン機構でもよい。このため、媒体99の種類、液体吐出ヘッド32から吐出され
る液体の種類等に応じて、交流電界発生部41と媒体99との距離を調整することができ
る。このように、第1実施形態では、調整機構44は、発生器43における第1電極51
及び第2電極52の支持部21に対する距離を変更する。第1実施形態では、調整機構4
4が変更部の一例に相当する。
【0035】
図2に示すように、送風機構34は、キャリッジ31に搭載される。送風機構34は、
第1通路34Aと、第2通路34Bと、第1送風ファン34Cと、第2送風ファン34D
とを有する。
【0036】
第1通路34Aは、発生器43とキャリッジ31の外縁部31Cとの間において発生器
43と隣接するように鉛直方向Zに延びる通路である。第2通路34Bは、液体吐出ヘッ
ド32と発生器43との間において発生器43と隣接するように鉛直方向Zに延びる通路
である。第1通路34A及び第2通路34Bは、液体吐出ヘッド32よりも、媒体99の
搬送方向Yの下流だけではなく、媒体99の幅方向Xの両方にも設けられる。
【0037】
第1送風ファン34Cは、第1通路34Aの上端に配置されている。第1送風ファン3
4Cは、キャリッジ31の外部から第1通路34Aに送風するファンである。第2送風フ
ァン34Dは、キャリッジ31の第2通路34Bの上端に配置されている。第2送風ファ
ン34Dは、第2通路34Bからキャリッジ31の外部に送風するファンである。
【0038】
このように、第1送風ファン34Cの駆動によりキャリッジ31の外部から第1通路3
4Aに送風され、第2送風ファン34Dの駆動により第2通路34Bからキャリッジ31
の外部に送風される。これにより、カバー42の下方において、外縁部31Cから液体吐
出ヘッド32に向かうように気体が流れる。液体吐出ヘッド32よりも搬送方向Yの下流
に位置する送風機構34では、カバー42の下方において、媒体99の搬送方向Yの下流
から上流へ気体が流れる。液体吐出ヘッド32よりも幅方向Xの外方に位置する送風機構
34では、カバー42の下方において、幅方向Xの外方から内方に向けて気体が流れる。
このため、液体吐出ヘッド32から吐出された液体が霧状になった場合であっても、霧状
の液体がカバー42に付着することを抑制することができる。
【0039】
このように、第1実施形態では、第1送風ファン34Cは、コイル55、第1電極51
及び第2電極52をはじめとする発生器43に送風する。これにより、発生器43が冷却
される。逆に言えば、第1送風ファン34Cに送られる気体は、発生器43により加熱さ
れる。加熱された気体は、支持部21上の媒体99に吹き付けられる。その結果、媒体9
9に吐出された液体が温められ、媒体99の乾燥を促進させることができる。
【0040】
鉛直方向Zにおいて、支持部21の表面21Aと、第1送風ファン34C及び第2送風
ファン34Dとの間の距離D2は、支持部21の表面21Aと、コイル55、第1電極5
1及び第2電極52をはじめとする発生器43との間の距離D3よりも長くなる。第1実
施形態では、第1送風ファン34C及び第2送風ファン34Dが送風部の一例に相当する
。
【0041】
図1及び
図2に示すように、光学センサー35は、キャリッジ31の外周面に搭載され
ている。第1実施形態では、光学センサー35は、キャリッジ31に対し、搬送方向Yの
上流を向く外周面と、搬送方向Yの下流を向く外周面と、幅方向Xの第1幅方向X1を向
く外周面と、幅方向Xの第2幅方向X2を向く外周面とに取り付けられているが、これに
限らない。
【0042】
光学センサー35は、支持部21と対向する。光学センサー35は、支持部21の上方
に位置する。光学センサー35は、下方に光を照射する。つまり、光学センサー35は、
支持部21に向かって光を照射する。光学センサー35は、反射した光を受光し、受光し
た光の強度を検知する。光学センサー35により検知された光の強度は、光学センサー3
5と支持部21との間にユーザーの指等がある場合とユーザーの指等がない場合とで異な
る。これにより、光学センサー35により検知された結果に基づいて、光学センサー35
と支持部21との間にユーザーの指等が入ったことが検知可能となる。
【0043】
図5に示すように、液体吐出装置14は、払拭機構39を備える。払拭機構39は、液
体吐出ヘッド32及びカバー42に付着する液体などを払拭する。払拭機構39は、キャ
リッジ31のホーム位置HPにおいて、キャリッジ31の対向面31Aと対向するように
配置される。キャリッジ31の対向面31Aには、液体吐出ヘッド32及びカバー42が
配置されている。このため、払拭機構39は、キャリッジ31のホーム位置HPにおいて
、液体吐出ヘッド32及びカバー42と対向するように配置される。キャリッジ31のホ
ーム位置HPは、キャリッジ31の移動範囲のうち一方の端部の位置であり、キャリッジ
31が待機する位置である。
【0044】
払拭機構39は、ワイパー45と、移動機構46とを備える。ワイパー45は、液体吐
出ヘッド32の表面及びカバー42の表面を払拭する。ワイパー45は、ゴム、エラスト
マーなどの樹脂製であるが、これに限らず、例えば、布製であってもよい。移動機構46
は、ワイパー45を往復移動させる。ワイパー45は、移動機構46の駆動により、ホー
ム位置HPにおいて静止する液体吐出ヘッド32の表面及びカバー42の表面を払拭する
ように往復移動し、液体吐出ヘッド32及びカバー42に対して相対移動する。これによ
り、ワイパー45は、液体吐出ヘッド32の表面及びカバー42の表面に付着した液体を
除去することができるとともに、カバー42の表面に撥水膜を形成することができる。
【0045】
次に、液体吐出装置14の電気的構成について説明する。
図6に示すように、液体吐出装置14は制御部23を備える。第1実施形態では、制御
部23は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセ
ッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路な
どの1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路と
して構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含み
、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格
納している。メモリすなわちコンピューター可読媒体は、汎用又は専用のコンピューター
でアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0046】
制御部23には、光学センサー35、電界検知センサー36及び通信部37が電気的に
接続されている。第1実施形態では、制御部23は、光学センサー35からの信号を入力
する。第1実施形態では、制御部23は、電界検知センサー36からの信号を入力する。
【0047】
第1実施形態では、制御部23は、通信部37を介して、図示しない端末装置と通信可
能とされる。制御部23は、必要に応じて、端末装置から信号を受信したり、端末装置に
信号を送信したりする。第1実施形態では、制御部23は、端末装置から印刷ジョブなど
の指示情報を入力すると、指示情報に応じた処理を実行し、その実行結果などの結果情報
を端末装置に出力する。液体吐出装置14は、ユーザーにより操作可能な操作部、及び、
各種情報を表示する表示部を備えてもよい。
【0048】
第1実施形態では、制御部23は、通信部37を介して、保持装置12及び巻取装置1
3と通信可能とされる。制御部23は、必要に応じて、保持装置12及び巻取装置13か
ら信号を受信したり、保持装置12及び巻取装置13に信号を送信したりする。このよう
に、制御部23は、印刷システム11を統括的に制御してもよい。
【0049】
制御部23には、印刷部22、キャリッジモーター38、交流電界発生部41、送風機
構34及び払拭機構39が電気的に接続されている。
第1実施形態では、制御部23は、印刷画像データに基づいて、印刷部22に液体を吐
出させて印刷を行うことを指示する信号を印刷部22に出力する。第1実施形態では、制
御部23は、キャリッジ31を幅方向Xに往復移動させるための信号をキャリッジモータ
ー38に出力する。第1実施形態では、制御部23は、交流電界発生部41の駆動に関す
る信号を交流電界発生部41に出力する。第1実施形態では、制御部23は、交流電界発
生部41からの信号を入力する。第1実施形態では、制御部23は、第1送風ファン34
C及び第2送風ファン34Dを駆動させるための信号を送風機構34に出力する。第1実
施形態では、制御部23は、払拭機構39を駆動させるための信号を払拭機構39に出力
する。
【0050】
制御部23は、監視部23Aと、規制部23Bとを有する。監視部23Aは、光学セン
サー35からの信号、電界検知センサー36からの信号及び交流電界発生部41からの信
号に基づいて、少なくとも交流電界発生部41の駆動を規制する規制条件が成立している
かを監視する。規制部23Bは、監視部23Aにより監視された結果に基づいて、規制条
件が成立したときに、少なくとも交流電界発生部41の駆動を規制する。制御部23は、
ROM及びRAMなどのメモリである記憶部23Cを有する。記憶部23Cは、プログラ
ムPRをはじめとする各種データを記憶する。
【0051】
また、
図7に示すように、交流電界発生部41は、発生器43と、高周波電圧発生部6
1と、監視回路62とを有する。
高周波電圧発生部61は、発生器43と接続されている。詳しくは、高周波電圧発生部
61は、導体53を介して第1電極51及び第2電極52と接続されている。高周波電圧
発生部61は、第1電極51及び第2電極52への高周波電圧を発生させ、第1電極51
及び第2電極52に高周波電圧を出力することにより第1電極51及び第2電極52から
交流電界を発生させる。
【0052】
高周波電圧発生部61は、高周波電圧発生回路63と、増幅回路64とを有する。高周
波電圧発生回路63は、制御部23及び増幅回路64と接続されている。高周波電圧発生
回路63は、制御部23からの発生指示信号に基づいて高周波電圧を発生させ、増幅回路
64に出力する回路である。増幅回路64は、制御部23からの発生指示信号に基づいて
高周波電圧発生回路63により発生させた高周波電圧を増幅し、発生器43に出力する回
路である。第1実施形態では、高周波電圧発生部61は、例えば、3KW以下の電力を発
生器43に供給するが、これに限らない。
【0053】
監視回路62は、高周波電圧発生部61及び制御部23と接続されている。監視回路6
2は、高周波電圧発生部61からの高周波電圧を監視し、高周波電圧を監視した結果を制
御部23に出力する。
【0054】
監視回路62は、整流回路65と、比較回路66とを有する。整流回路65は、高周波
電圧発生部61及び比較回路66と接続されている。整流回路65は、高周波電圧発生部
61からの高周波電圧を整流及び平滑することにより直流に変換し、比較回路66に出力
する。
【0055】
比較回路66は、比較回路66及び制御部23と接続されている。比較回路66は、整
流回路65から出力された信号と基準電圧とを比較し、整流回路65から出力された信号
が基準電圧を超えたときに、基準電圧を超えたことを示す信号を制御部23に出力する。
【0056】
第1実施形態では、コイル55の異常発熱によりコイル55の電気抵抗、すなわちイン
ピーダンスが変化する特性を利用して、監視回路62は、発生器43に入力される高周波
電圧を監視し、その高周波電圧が基準電圧を超えたときに、コイル55の温度が上昇した
と推定し、発生器43に関する異常発熱が発生したことを検知する。特に、コイル55の
発熱を起因として発生器43の温度が上昇する場合があり、コイル55の温度変動が把握
できれば発生器43の異常発熱を検知することができる。詳しくは、第1実施形態では、
コイル55は、銅製である。銅は、温度変化に応じて電気抵抗が大きく変化し、50℃程
度の温度上昇であれば簡素な回路でも検知可能である。
【0057】
第1実施形態では、監視回路62において、整流回路65には、整流のためのダイオー
ドと、平滑のためのコンデンサーとが使用され、比較回路66には、基準電圧を発生させ
るためにチェナーダイオードが使用されるが、これに限らない。また、監視回路62は、
経年変化等により発生器43が発生する交流電界の周波数が変化してしまったときであっ
ても、発生器43の電気抵抗、特にコイル55の電気抵抗が変化することから、発生器4
3に関する異常が発生したことを検知することができる。第1実施形態では、監視回路6
2は、導体53、第1電極51及び第2電極52を含む発生器43のインピーダンスの変
化を検知し、検知された変化に基づいて、導体53、第1電極51及び第2電極52のう
ち少なくとも何れかの温度を検知する。第1実施形態では、監視回路62は、検知部及び
温度検知部の一例に相当する。
【0058】
第1実施形態では、制御部23は、印刷を開始させるときに規制条件が成立したときに
印刷の開始を中止させる。制御部23は、印刷が開始された後、印刷中であるときに、規
制条件が成立すると、印刷を中止させる。この規制条件としては、監視回路62からの信
号、及び、光学センサー35及び電界検知センサー36からの信号に基づいて成立する。
【0059】
以下、制御部23が実行する印刷処理について説明する。第1実施形態において、制御
部23は、液体吐出装置14の電源が投入された後において、通信部37を介して印刷ジ
ョブを入力したときに実行される。第1実施形態では、印刷ジョブには、印刷させる印刷
画像データ、画像を印刷させる解像度などが含まれている。
【0060】
印刷処理では、制御部23は、印刷画像データに基づく信号を印刷部22に送信し、液
体吐出ヘッド32から液体を吐出させる。制御部23は、交流電界発生部41に信号を送
信し、交流電界発生部41を駆動させ、交流電界発生部41から交流電界を発生させる。
制御部23は、送風機構34に信号を送信し、第1送風ファン34C及び第2送風ファン
34Dを駆動させる。
【0061】
制御部23は、キャリッジモーター38に送信し、キャリッジ31を幅方向Xに往復移
動させる。制御部23は、通信部37を介して巻取装置13に信号を送信し、解像度に対
応する速度で媒体99を搬送させる。これにより、制御部23は、媒体99に液体を吐出
させた結果、媒体99に画像を印刷させる。また、制御部23は、印刷画像データの印刷
が終了するなど印刷の終了条件が成立したときに印刷処理を終了する。
【0062】
次に、
図8を参照して、制御部23が実行する監視処理について説明する。第1実施形
態において、制御部23は、液体吐出装置14の電源が投入された後、印刷ジョブが入力
されてから印刷の終了条件が成立するまでに所定周期毎に監視処理を実行する。
【0063】
図8に示すように、ステップS11において、制御部23は、規制条件が成立したか否
かを判定する。制御部23は、規制条件が成立していないと判定した場合、ステップS1
2を実行することなく、監視処理を終了する。一方、制御部23は、規制条件が成立した
と判定した場合、ステップS12に移行する。
【0064】
第1実施形態では、規制条件は、光学センサー35からの信号に基づいて、光学センサ
ー35と支持部21との間にユーザーの指等があると判定したときに成立する。第1実施
形態では、規制条件は、電界検知センサー36からの信号に基づいて、検知した交流電界
が規定の強度を超えたときに成立する。第1実施形態では、規制条件は、交流電界発生部
41の監視回路62からの信号に基づいて、発生器43の異常発熱を検知したときに成立
する。
【0065】
ステップS12において、制御部23は、駆動規制処理を実行し、監視処理を終了する
。この処理において、制御部23は、印刷を規制する規制情報を記憶部23Cに記憶する
。第1実施形態では、規制情報は、規制条件が成立しなくなったときに消去される情報で
ある。
【0066】
詳しくは、制御部23は、印刷ジョブが入力されたときに規制条件が成立したときには
、規制情報を記憶部23Cに記憶し、印刷の終了条件が成立し、印刷処理を終了させ、印
刷を開始させない。特に、第1実施形態では、制御部23は、交流電界発生部41の高周
波電圧発生部61に信号を送信せずに、高周波電圧発生部61に高周波電圧の発生を開始
させない。
【0067】
制御部23は、印刷が行われているときに規制条件が成立したときには、規制情報を記
憶部23Cに記憶し、印刷の終了条件が成立し、印刷処理を終了させ、印刷を中止する。
特に、第1実施形態では、制御部23は、交流電界発生部41の高周波電圧発生部61の
増幅回路64に供給される電源電圧を遮断させることにより、高周波電圧を増幅させない
ように制御する。このように、制御部23は、光学センサー35、電界検知センサー36
及び監視回路62によって検知された結果に基づいて、増幅回路64の電源を停止するこ
とによって、高周波電圧発生部61から第1電極51及び第2電極52への高周波電圧の
発生を停止する。そして、制御部23は、交流電界発生部41の高周波電圧発生部61に
信号の送信を終了する。
【0068】
次に、液体吐出装置14の作用について説明する。
液体吐出装置14では、調整機構44の調整により交流電界発生部41の発生器43及
びカバー42と支持部21との距離が調整可能である。これにより、交流電界発生部41
の発生器43及びカバー42と支持部21との距離を媒体99の種類、液体の種類に応じ
た適切な距離に調整することができる。
【0069】
印刷ジョブが入力されると、印刷画像データに基づいて液体吐出ヘッド32から液体が
、支持部21に支持される媒体99に吐出される。キャリッジ31は、幅方向Xに往復移
動する。媒体99は、搬送方向Yに搬送される。このように、搬送される媒体99に画像
の印刷が行われる。
【0070】
媒体99に画像の印刷が行われるときには、制御部23からの信号に基づいて、高周波
電圧発生部61から発生器43に高周波電圧が出力される。発生器43は、高周波電圧が
入力されると、交流電界を発生させ、支持部21に支持される媒体99を乾燥させる。
【0071】
媒体99に画像の印刷が行われるときには、制御部23からの信号に基づいて、第1送
風ファン34Cと第2送風ファン34Dとが駆動する。これにより、キャリッジ31の外
部から、交流電界発生部41の発生器43と隣接する第1通路34Aに送風される。また
、交流電界発生部41の発生器43と隣接する第2通路34Bからキャリッジ31の外部
に送風される。これにより、発生器43を放熱させることができる。発生器43により加
熱された気体が支持部21上の媒体99に吹き付けられる。その結果、媒体99に吐出さ
れた液体が温められ、媒体99の乾燥を促進させることができる。また、カバー42の下
方においては、外縁部31Cから液体吐出ヘッド32に向かうように気体が流れる。この
ため、液体吐出ヘッド32から吐出された液体が霧状となってカバー42に付着すること
を抑制することができる。
【0072】
キャリッジ31は、突出部31Bを有しており、キャリッジ31と支持部21との間に
ユーザーの指等が入ることを防止することができる。また、光学センサー35からの信号
に基づいて、キャリッジ31と支持部21との間にユーザーの指等が入ることが検知可能
である。キャリッジ31と支持部21との間にユーザーの指等が入ることが検知されると
、少なくとも交流電界発生部41から交流電界が発生されないように制御される。
【0073】
キャリッジ31には、発生器43と離間する位置に電界検知センサー36が配置されて
いる。電界検知センサー36からの信号に基づいて、発生器43から発生する交流電界が
規定の強度を超えたことが検知されると、少なくとも交流電界発生部41から交流電界が
発生されないように制御される。交流電界発生部41の監視回路62からの信号に基づい
て、コイル55をはじめとする発生器43の異常発熱が検知されると、少なくとも交流電
界発生部41から交流電界が発生されないように制御される。
【0074】
以上、詳述したように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)媒体99に吐出した液体を乾燥させるために交流電界が用いられており、赤外線
を用いる場合と比較すると、例えば、媒体99において液体が吐出されておらず液体含有
量が極めて低い領域を乾燥させる場合、その領域における温度の過度な上昇を抑制するこ
とができ、媒体99の劣化を抑制することができる。また、媒体99に限らず、各種の周
辺部材に対しても同じように、温度の過度な上昇を抑制することができ、各種の周辺部材
の劣化を抑制することができるとともに、各種の周辺部材に対して断熱材や反射板などの
放熱部材を過度に配置する必要もなくなる。
【0075】
(2)交流電界を用いる場合には、赤外線を用いる場合よりも、媒体99に吐出した液
体を乾燥させない状態から乾燥させる状態となるまでの時間、及び、媒体99に吐出した
液体を乾燥させる状態から乾燥させない状態となるまでの時間を短縮することができる。
【0076】
(3)交流電界を用いる場合には、ハロゲンランプ等を用いる場合と比べて、視認性を
確保するための部材を用いることがない。また、ハロゲンランプ等においては、石英ガラ
ス等の部材が用いられており、熱効率が低減してしまうが、交流電界においては、それら
のような部材を用いておらず、熱効率の低減を抑制することができる。
【0077】
(4)交流電界発生部41は、互いに隣り合って配置される第1電極51及び第2電極
52と、第1電極51及び第2電極52への高周波電圧を発生させる高周波電圧発生部6
1と、第1電極及び第2電極と高周波電圧発生部61とを電気的に接続する導体53とを
有するように構成される。これにより、第1電極51及び第2電極52の近傍に交流電界
を集中させることができ、支持部21に支持される媒体99に吐出された液体への加熱効
率を向上させることができ、媒体99の乾燥効率を向上させることができ、印刷品質を向
上させることができる。その一方で、第1電極51及び第2電極52から離間している位
置に交流電界を発生させ難くすることができ、交流電界を抑制するための部材を過度に配
置する必要がなく、液体吐出装置14における作業性の悪化及び液体吐出装置14の大型
化を抑制することができるとともに、ユーザーの安全性を高めることができる。
【0078】
(5)また、従来において、媒体99に吐出された液体を誘電加熱しているものの、例
えば印刷品質の低下の抑制や更なる高品質印刷の実現などのためにも、媒体99に吐出さ
れた液体に対して、発生させた交流電界を効率よく伝達することにより、媒体99に吐出
された液体への加熱効率を更に向上させることが望まれている。そこで、第1電極51及
び第2電極52に面する支持部21の表面21Aが、導体で構成される場合よりも、絶縁
体で構成されるほうが、支持部21の表面21Aに平行な向きに近づけるように電界を発
生させることができる。したがって、支持部21に支持される媒体99に吐出された液体
への加熱効率を向上させることができ、媒体99の乾燥効率を向上させることができ、印
刷品質を向上させることができる。
【0079】
(6)第1電極51及び第2電極52の支持部21に対する距離を変更することによっ
て、その距離に応じて、媒体99に吐出された液体の厚み方向への加熱深度を変化させる
ことができる。したがって、例えば媒体99の厚さや材質、液体の浸透しやすさ、媒体9
9への液体の吐出量や材質に応じてその距離を変えるなど、媒体99の状態に応じて液体
を加熱することにより媒体を乾燥させることができ、印刷品質を向上させることができる
。
【0080】
具体的な一例をあげると、例えば、媒体99の種類に応じて、発生器43と支持部21
との距離を変更させることができ、印刷品質の低下を抑制することができる。媒体99の
種類としては、例えば、紙、生地、複数種類の繊維を混ぜて紡績した媒体、銀などの機能
性素材を含む媒体などが含まれ、各種の媒体に応じて柔軟に対応することができる。また
、媒体99に液体が浸透してから乾燥させるなど、媒体99への液体の浸透度合いに応じ
て媒体99の乾燥を行うことができる。特に、従来においては、例えば、媒体99が薄紙
である場合、媒体99を急激かつ過剰に乾燥させると、媒体99が液体を吸収することに
より媒体99に皺が発生することがあった。そこで、媒体99を急激かつ過剰に乾燥させ
ないように発生器43と支持部21との距離を変更させることができ、媒体99に皺が発
生することを抑制することができる。また、従来においては、例えば、熱膨張率の異なる
複数種類の金属板を接着することなどにより多層に構成された媒体99が採用された場合
、媒体99において液体が多層にわたって浸透した後に媒体99を乾燥させることにより
、熱膨張率が異なることから、媒体99に皺が発生することがあった。そこで、媒体99
において液体が多層にわたって浸透する前に媒体99を乾燥させるように発生器43と支
持部21との距離を変更させることができ、媒体99に皺が発生することを抑制すること
ができる。
【0081】
(7)第1電極51及び第2電極52を覆うカバー42を備えることにより、第1電極
51及び第2電極52と媒体99との接触を抑制することができるとともに、液体吐出ヘ
ッド32から吐出された液体が霧状となっても、霧状となった液体が第1電極51及び第
2電極52に付着することを抑制することができる。したがって、第1電極51及び第2
電極52への霧状の液体の付着による液体への加熱効率の低下を抑制することができ、媒
体99の乾燥効率の低下を抑制することができ、印刷品質の低下を抑制することができる
。
【0082】
(8)カバー42の表面を払拭するワイパー45を備えることにより、液体吐出ヘッド
32から吐出された液体が霧状となり、霧状となった液体がカバー42の表面に付着した
場合であってもカバー42の表面に付着した液体を払拭することができる。また、これに
加えて、カバー42の表面に撥水膜が形成されてカバー42の表面に霧状となった液体を
付着しにくくすることができる。したがって、カバー42への霧状の液体の付着による液
体への加熱効率の低下を抑制することができ、媒体99の乾燥効率の低下を抑制すること
ができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0083】
(9)従来において、例えば媒体99において液体含有量が極めて低い領域を乾燥させ
る場合には第1電極51及び第2電極52に熱が蓄積しやすいなど、第1電極51及び第
2電極52に過剰な熱が蓄積することがあった。そこで、第1電極51及び第2電極52
に送風することにより、第1電極51及び第2電極52に熱が蓄積されたときでも第1電
極51及び第2電極52を放熱することができる。したがって、熱による第1電極51及
び第2電極52の劣化を抑制することができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0084】
(10)また、鉛直方向Zすなわち垂直な方向において、支持部21の表面21Aと送
風機構34の第1送風ファン34C及び第2送風ファン34Dとの間の距離D2は、支持
部21の表面21Aと第1電極51及び第2電極52との間の距離D3よりも長い。この
ため、鉛直方向Zにおいて第1電極51及び第2電極52から支持部21に向かって送風
することにより、第1電極51及び第2電極52の放熱に伴って熱を帯びた気体が、支持
部21に支持される媒体99に送風される。したがって、支持部21に支持される媒体9
9に吐出された液体への加熱効率を向上させることができ、媒体99の乾燥効率を向上さ
せることができ、印刷品質を向上させることができる。
【0085】
(11)また、液体吐出ヘッド32により吐出された液体が霧状となったとしても、鉛
直方向Zにおいて第1電極51及び第2電極52から支持部21に向かって送風すること
により、その霧状となった液体が第1電極51及び第2電極52に付着することを抑制す
ることができる。したがって、第1電極51及び第2電極52への霧状となった液体の付
着による液体への加熱効率の低下を抑制することができ、媒体99の乾燥効率の低下を抑
制することができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0086】
(12)従来において、例えば媒体において液体含有量が極めて低い領域を乾燥させる
場合には、導体53に含まれるコイル55に熱が蓄積しやすいなど、コイル55に過剰な
熱が蓄積することがあった。そこで、導体53に含まれるコイル55に送風する送風機構
34を備えることにより、コイル55に熱が蓄積されたときでもコイル55を放熱するこ
とができる。したがって、熱によるコイル55の劣化を抑制することができ、印刷品質の
低下を抑制することができる。
【0087】
(13)導体53、第1電極51及び第2電極52のうち少なくとも何れかの温度を検
知する監視回路62を備え、監視回路62によって検知された結果に基づいて、高周波電
圧発生部61から第1電極51及び第2電極52への高周波電圧の発生が停止する。これ
により、例えば導体53、第1電極51及び第2電極52のうち少なくとも何れかの温度
が過剰に上昇するときなど、検知した温度に基づいて高周波電圧の発生を停止させること
ができる。したがって、導体53、第1電極51及び第2電極52のうち少なくとも何れ
かに熱が蓄積されたときに、熱による劣化を抑制することができ、印刷品質の低下を抑制
することができる。
【0088】
(14)高周波電圧発生部61は、10MHz~20GHzの高周波電圧を発生させ、
突出部31Bの先端面31Dと支持部21の表面21Aとの間の距離は、1mm~20m
mである。このため、第1電極51及び第2電極52と支持部21の表面21Aとの間に
ユーザーの指等が入らないように、突出部31Bの先端面31Dと支持部21の表面21
Aとの間の距離が設定される。したがって、高周波電圧を発生させる場合であっても安全
性を高めることができる。
【0089】
(15)また、従来において、例えば、経年変化や設計者の意図しない使用状況によっ
て、発生させる交流電界が変化してしまい、媒体99に吐出された液体を加熱する条件が
変化する、第1電極51及び第2電極52に熱が過度に蓄積するなど、異常が発生してし
まうおそれがあった。そこで、交流電界発生部41から発生する交流電界の変化が検知さ
れた結果に基づいて、高周波電圧発生部61から第1電極51及び第2電極52への高周
波電圧の発生が停止する。これにより、例えば経年変化や設計者の意図しない使用状況に
より第1電極51及び第2電極52が変形し、交流電界発生部41から発生する交流電界
が過剰に変化するなどの異常が発生した場合であっても、検知した交流電界の変化に基づ
いて高周波電圧の発生を停止させることができ、異常の発生に対する安全性を高めること
ができる。
【0090】
(16)導体53、第1電極51及び第2電極52のうち少なくとも何れかの温度が検
知された結果に基づいて、高周波電圧発生部61から第1電極51及び第2電極52への
高周波電圧の発生が停止する。これにより、例えば経年変化や設計者の意図しない使用状
況により導体53、第1電極51及び第2電極52のうち少なくとも何れかの温度が過剰
に上昇するときなどの異常が発生した場合であっても、検知した温度に基づいて高周波電
圧の発生を停止させることができ、異常の発生に対する安全性を高めることができる。
【0091】
(17)電界検知センサー36は、交流電界の強度を検知する電界検知アンテナを含み
、電界検知アンテナは、第1電極51及び第2電極52から離間して配置される。このた
め、例えば媒体99に吐出した液体を乾燥させる領域など、第1電極51及び第2電極5
2から離間しない近傍の位置ではなく、例えば媒体99に吐出した液体を乾燥させる領域
外など、第1電極51及び第2電極52から離間した位置において交流電界の変化を検知
することができる。したがって、交流電界発生部41から発生する交流電界の変化を検知
する可能性を高めることができる。
【0092】
(18)高周波電圧発生部61から第1電極51及び第2電極52への高周波電圧の発
生を停止させる際に、増幅回路64の電源を停止させることによって、高周波電圧発生部
61を保護することができる。
【0093】
(19)導体53、第1電極51及び第2電極52のインピーダンスの変化を検知する
ことにより、交流電界発生部41から発生する交流電界が過剰に変化する前に、交流電界
発生部41から発生する交流電界の変化を事前に検知することができる。したがって、交
流電界発生部41から発生する交流電界の変化を検知する可能性を高めることができる。
【0094】
[第2実施形態]
次に、本発明を具体化した第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、1種類の周波数帯域の交流電界を発生させるように構成されたが、
第2実施形態では、複数種類の周波数帯域の交流電界のうち何れかの周波数帯域の交流電
界を選択的に発生させるように構成される。以下の説明では、既に説明した実施形態と同
じ構成及び同じ制御内容について同一符号を付し、その重複する説明を省略又は簡略する
。
【0095】
第2実施形態において、交流電界発生部41は、周波数が異なる複数種類の高周波電圧
のうち何れかを選択的に発生させる。具体的な一例をあげると、交流電界発生部41は、
例えば915MHなどの第1の周波数帯域の交流電界と、例えば2.4GHzなどの第2
の周波数帯域の交流電界とのうち何れかを選択的に発生させる。
【0096】
この場合、交流電界発生部41は、第1の周波数帯域の交流電界を発生させるための第
1系統の発生器及び高周波電圧発生部と、第2の周波数帯域の交流電界を発生させるため
の第2系統の発生器及び高周波電圧発生部とを備える。第1系統の発生器と第2系統の発
生器とは、隣り合うように交互に配置される。これにより、媒体99の単位面積に対する
交流電界の強度のばらつきを抑制することができる。
【0097】
制御部23は、第1の周波数帯域の交流電界を発生させる場合、第1系統の高周波電圧
発生部を制御し、第1系統の発生器から第1の周波数帯域の交流電界を発生させる。制御
部23は、第2の周波数帯域の交流電界を発生させる場合、第2系統の高周波電圧発生部
を制御し、第2系統の発生器から第2の周波数帯域の交流電界を発生させる。
【0098】
以上、詳述したように、本実施形態によれば、第1実施形態における(1)~(19)
に加えて、以下の効果を得ることができる。
(20)交流電界発生部41は、周波数が異なる複数種類の交流電界のうち何れかを選
択的に発生させることによって、その周波数に応じて、媒体99に吐出された液体の厚み
方向への加熱深度を変化させることができる。したがって、例えば媒体99の厚さや材質
、液体の浸透しやすさ、媒体99に吐出された液体の吐出量や材質に応じて周波数を変え
るなど、媒体99の状態に応じて液体を加熱することにより媒体99を乾燥させることが
でき、印刷品質を向上させることができる。
【0099】
[第3実施形態]
次に、本発明を具体化した第3実施形態について説明する。
第1実施形態では、発生器43を覆うカバー42がキャリッジ31に固定されていたが
、第3実施形態では、発生器43を覆う第1の位置と発生器43を覆わない第2の位置と
にカバー42が移動可能である。
【0100】
図9に示すように、第3実施形態において、カバー42は、移動可能なようにキャリッ
ジ31に搭載されている。カバー42は、発生器43を覆わない第2の位置に配置されて
いる。このように、カバー42が第1の位置と第2の位置とに移動可能に構成される。こ
れにより、カバー42を第2の位置に移動させることにより、発生器43から発生させた
交流電界により媒体99を乾燥させることができる。この場合、カバー42が交流電界を
透過し難い材質で構成された場合であってもよい。
【0101】
カバー42は、液体吐出ヘッド32における媒体99の搬送方向Yの下流に限らず、媒
体99の幅方向Xの両方においても配置されてもよい。例えば、キャリッジ31が幅方向
Xに移動するときに、カバー42は、支持部21などにおける係止部と係止することによ
り幅方向Xに移動し、開閉するように構成してもよい。また、例えば、カバー42を移動
させるモーターを有し、制御部23がモーターを駆動させることによりカバー42を移動
させ、カバー42を開閉させてもよい。特に、キャリッジ31が第1幅方向X1に移動す
るときと第2幅方向X2に移動するときとの両方で液体吐出ヘッド32から液体を吐出さ
せるときに、キャリッジ31が移動する方向に配置されるカバー42が開放し、キャリッ
ジ31が移動する方向の逆方向に配置されるカバー42を閉鎖するようにしてもよい。こ
の場合、例えば、支持部21は、幅方向Xの両端に係止部を有する。キャリッジ31の幅
方向Xへの移動に連動して、カバー42が支持部21の係止部と係止し、キャリッジ31
が移動する方向に配置されるカバー42が開放し、キャリッジ31が移動する方向の逆方
向に配置されるカバー42を閉鎖するように構成してもよい。また、印刷ジョブに含まれ
る解像度など、画像を印刷する印刷モードに対応するように、制御部23は、選択的にカ
バー42を開閉させるように制御してもよい。
【0102】
[第4実施形態]
次に、本発明を具体化した第4実施形態について説明する。
第4実施形態では、コイル55が熱膨張によって変形する特性を利用して、発生器43
の異常発熱が発生したときに、コイル55が膨張して接点切れが生じるように構成される
。
【0103】
図10に示すように、第4実施形態において、発生器43は、コイル55を支持するコ
イル支持部56を有する。コイル支持部56は、第1電極51の上面に配置されている。
コイル支持部56は、第1電極51とは逆方向に開口56Aを有する。
【0104】
コイル55は、開口56Aを貫通するように配置される。これにより、コイル55は、
コイル支持部56に支持される。コイル55は、接点部材57の接触部57Aと接触する
接触部55Aを有する。
【0105】
導体53は、接点部材57を有する。接点部材57は、コイル55の接触部55Aと接
触する接触部57Aを有する。接点部材57は、同軸ケーブル54の内部導体54Aと接
続されている。
【0106】
コイル55の異常発熱が発生していないときには、コイル55の接触部55Aと接点部
材57の接触部57Aとが接触しており、コイル55と接点部材57とが電気的に接続さ
れている。コイル55の異常発熱が発生したときには、コイル55の熱膨張により、コイ
ル55がコイル支持部56により支持された状態で長くなる。これにより、コイル55の
接触部55Aと接点部材57の接触部57Aとが接触せずに、コイル55と接点部材57
とが電気的に接続されない。このように、発生器43には、高周波電圧が入力されずに、
交流電界を発生させないようにすることができる。
【0107】
また、高周波電圧発生部61の増幅回路64と発生器43との間には、保護回路が接続
されている。この保護回路は、クランプ回路を含む。このような保護回路を配置すること
により、コイル55と接点部材57とが電気的に接続された状態から接続されない状態と
なり、増幅回路64が無負荷の状態となった場合であっても、増幅回路64を保護するこ
とができる。
【0108】
[第5実施形態]
次に、本発明を具体化した第5実施形態について説明する。
第5実施形態では、交流電界発生部41を構成する複数の発生器43を、例えば、糸、
針金、樹脂の棒等、柔軟性を持つ部材で連結させ、連結させた部材の張力を検知するよう
に構成される。
【0109】
図11に示すように、第5実施形態において、発生器43は、第2電極52から鉛直方
向Zに延びる連結部58を有する。連結部58は、その先端に開口58Aを有する。例え
ば、開口58Aは、幅方向Xに開放する。
【0110】
開口58Aには、連結部材59が固定される。連結部材59は、幅方向Xに配置される
複数の発生器43を連結させるための部材である。連結部材59は、幅方向Xに配置され
る複数の発生器43のそれぞれに固定される。
【0111】
液体吐出装置14は、連結部材59の張力を検知する検知センサー60を備える。制御
部23は、検知センサー60からの信号に基づいて、連結部材の張力が規定の張力以上と
なったときに、複数の発生器43のうち少なくとも何れかが変位したと判定し、規制条件
が成立したと判定する。例えば、媒体99として布が採用される場合、捺染にて布から糸
が飛び出し、糸が発生器43と接触するなど、発生器43に外力が加わることにより発生
器43が物理的に変位してしまうことがある。このような場合であっても、発生器43の
物理的な変位が検知され、規制条件が成立する。
【0112】
連結部材59は、例えば、搬送方向Yに配置される複数の発生器43のそれぞれに固定
されてもよく、例えば、搬送方向Yに配置される複数の発生器43のそれぞれに固定され
るとともに、搬送方向Yに配置される複数の発生器43のそれぞれに固定されてもよい。
また、例えば、第1電極51が連結部58を有してもよい。このように、連結部材59及
び検知センサー60は、第1電極51又は第2電極52に固定され、第1電極51又は第
2電極52の変位に応じて作動するスイッチである。このような連結部材59及び検知セ
ンサー60が検知部の一例に相当する。
【0113】
このように構成することにより、例えば媒体99との接触により第1電極51又は第2
電極52が変形し、交流電界発生部41から発生する交流電界が過剰に変化するなど、第
1電極51又は第2電極52の変位を物理的に検知することができる。したがって、交流
電界発生部41から発生する交流電界の変化を検知する可能性を高めることができる。
【0114】
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに
、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とするこ
ともできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすること
もできる。
【0115】
・制御部23は、液体吐出装置14の電源が投入された後において印刷を行うときに、
所定周期毎に監視処理を実行したが、これに限らない。例えば、制御部23は、液体吐出
装置14の電源が投入された直後に監視処理を実行してもよく、その後に監視処理を実行
しても実行しなくてもよい。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0116】
・監視回路62は、例えば、制御部23に信号を出力することなく、高周波電圧発生部
61の増幅回路64に信号を出力することにより、増幅回路64に供給される電源電圧を
遮断させてもよい。
【0117】
・異常が検知されたときに、増幅回路64に供給される電源電圧が遮断されたが、これ
に限らず、例えば、高周波電圧発生部61自体に供給される電源電圧が遮断されてもよい
。また、例えば、液体吐出装置14の印刷自体が中止されても中止されなくてもよい。
【0118】
・支持部21は、吸引孔を有し、液体吐出装置14は、吸引ファンを有してもよい。支
持部21の吸引孔は、媒体99を支持する支持面と支持面の裏面とを貫通する孔である。
吸引ファンは、吸引孔を通じて支持面から裏面に空気を吸引する。制御部23は、吸引フ
ァンを駆動させる制御を行う。この場合、例えば、制御部23は、発生器43の異常発熱
を検知したときに、吸引孔を通じて支持面から裏面に空気を吸引する吸引力を強くするよ
うに吸引ファンを制御してもよい。これにより、支持部21の表面21Aに配置されてい
る発生器43の放熱を促進することができるとともに、媒体99の乾燥効率を高めること
ができる。
【0119】
・媒体99に液体がない場合、発生器43の共振周波数が変化し、発生器43から高周
波電圧発生部61への反射波が増大する特性を利用して、監視回路62は、その反射波を
検出するサーキュレーターを有し、媒体99に液体があるか液体がないかを検知してもよ
い。
【0120】
・サーミスター、サーモスタットなどの温度センサーが発生器43に配置され、温度セ
ンサーからの信号に基づいて、発生器43の温度異常が検知されてもよい。つまり、この
ような温度センサーは、導体53、第1電極51及び第2電極52のうち少なくとも何れ
かの温度を検知する温度検知部の一例に相当する。
【0121】
・発生器43から離間するものの発生器43の近傍となる位置に赤外線センサーが配置
され、赤外線センサーからの信号に基づいて、発生器43の温度異常が検知されてもよい
。このような赤外線センサーは、導体53、第1電極51及び第2電極52のうち少なく
とも何れかの温度を検知する温度検知部の一例に相当する。
【0122】
・制御部23は、交流電界発生部41に対向する領域に、液体が吐出された媒体99が
あると判定したときに、交流電界発生部41から交流電界を発生させる一方で、交流電界
発生部41に対向する領域に、液体が吐出された媒体99がないと判定したときに、交流
電界発生部41から交流電界を発生させないように制御してもよい。例えば、制御部23
は、印刷画像データから、交流電界発生部41に対向する領域に液体が吐出されたか否か
を参照し、交流電界発生部41に対向する領域に、液体が吐出された媒体99があると判
定してもよい。また、例えば、制御部23は、印刷画像データに基づいて印刷部22に出
力する駆動信号を監視し、その駆動信号から、交流電界発生部41に対向する領域に液体
が吐出されたか否かを参照し、交流電界発生部41に対向する領域に、液体が吐出された
媒体99があると判定してもよい。
【0123】
・光学センサー35により検知された結果に基づいて、光学センサー35と支持部21
との間にユーザーの指等が入ったことが検知可能となるように構成されたが、これに限ら
ない。例えば、光学センサー35と支持部21との間において、媒体99の詰まりなどに
よる媒体99の変形が検知可能となるように構成されてもよい。光学センサー35により
検知された光の強度は、光学センサー35と支持部21との間にユーザーの指等がある場
合と、媒体99が変形した場合と、何れでもない場合とで異なる。このため、光学センサ
ー35により検知された結果に基づいて、光学センサー35と支持部21との間において
、ユーザーの指等が入ったこと、媒体99の変形とが検知可能となる。
【0124】
・キャリッジ31の外周面に光学センサー35が搭載されたが、これに限らない。例え
ば、キャリッジ31は、キャリッジ31の対向面31Aなどに光学センサー35が搭載さ
れてもよく、例えば、光学センサー35が搭載されていなくてもよい。具体的な一例をあ
げると、薄紙やビニール等が媒体99として採用される場合、媒体99の厚みが大きくな
らず、突出部31Bを有する構成であってもよく、その場合には、光学センサー35が搭
載されなくても問題ない。
【0125】
・キャリッジ31は、対向面31Aから下方に突出する突出部31Bを有するが、これ
に限らない。例えば、キャリッジ31は、突出部31Bを有しない構成であってもよい。
具体的な一例をあげると、絨毯やボード等が媒体99として採用される場合、媒体99の
厚みが大きくなり、突出部31Bを有しない構成のほうが好ましく、光学センサー35が
搭載されることが好ましい。
【0126】
・光学センサー35が搭載されない構成である場合と、突出部31Bを有しない構成で
ある場合とにおいては、第1電極51及び第2電極52と、支持部21との距離は、ユー
ザーの指等が入らない1mm~20mmであることが好ましい。
【0127】
・液体吐出ヘッド32は、キャリッジ31の対向面31Aと同じ面に配置されたが、こ
れに限らず、例えば、キャリッジ31の対向面31Aから突出するようにキャリッジ31
の対向面31Aよりも下方に配置されてもよく、キャリッジ31の対向面31Aよりも上
方に配置されてもよい。
【0128】
・カバー42は、キャリッジ31の対向面31Aと同じ面に配置されたが、これに限ら
ず、例えば、キャリッジ31の対向面31Aから突出するようにキャリッジ31の対向面
31Aよりも下方に配置されてもよく、キャリッジ31の対向面31Aよりも上方に配置
されてもよい。
【0129】
・第1送風ファン34Cと第2送風ファン34Dとの少なくとも何れかについて、逆方
向に送風してもよい。第1送風ファン34Cと第2送風ファン34Dとについて、鉛直方
向Zに対して送風したが、これに限らず、例えば、媒体99の搬送方向Yの下流から上流
に送風してもよい。第1送風ファン34Cと第2送風ファン34Dとのうち何れかが配置
されなくてもよい。
【0130】
・第1電極51は、平面視において正方形状の平板であってもよい。第2電極52は、
平面視において第1電極51を包囲しなくてもよい。第2電極52は、正方形状の平板で
あってもよい。つまり、第1電極51と第2電極52とは、互いに隣り合って配置されれ
ばよい。
【0131】
・交流電界発生部41の発生器43は、第1電極51と第2電極52との両方を鉛直方
向Zに調整可能となるように構成されたが、これに限らない。例えば、第1電極51及び
第2電極52の角度を調整可能となるように構成されてもよい。第1電極51及び第2電
極52の角度を調整する場合、第1電極51及び第2電極52の何れか一方を移動させず
に何れか他方を上方又は下方に移動させる構成であっても、第1電極51及び第2電極5
2の何れか一方を上方に移動させ、何れか他方を下方に移動させる構成であってもよい。
特に、第1電極51及び第2電極52の角度を液体吐出ヘッド32が配置されている方向
に変更することにより、第1電極51及び第2電極52に対向する媒体99の位置を液体
吐出ヘッド32が配置されている方向に近づけ、第1電極51及び第2電極52に対向す
る媒体99までの距離が長くなるように調整可能となる。その一方で、第1電極51及び
第2電極52の角度を液体吐出ヘッド32が配置されている方向とは逆方向に変更するこ
とにより、第1電極51及び第2電極52に対向する媒体99の位置を液体吐出ヘッド3
2が配置されている方向から遠ざけ、第1電極51及び第2電極52に対向する媒体99
までの距離が長くなるように調整可能となる。このように、第1電極51及び第2電極5
2の角度を調整可能となるように構成することにより、第1電極51及び第2電極52に
対向する媒体99の位置と、第1電極51及び第2電極52に対向する媒体99までの距
離とが調整可能となる。
【0132】
・交流電界発生部41は、液体吐出ヘッド32とは別で鉛直方向Zに調整可能であった
が、これに限らず、例えば、液体吐出ヘッド32と連動して鉛直方向Zに調整可能であっ
てもよい。
【0133】
・交流電界発生部41は、複数種類の周波数帯域の交流電界を選択的に発生させる場合
、コイル55等の発生器43、高周波電圧発生部61の高周波電圧発生回路63及び増幅
回路64の少なくとも何れかを変更することにより、複数種類の周波数帯域の交流電界の
何れかを発生させてもよい。
【0134】
・交流電界発生部41は、複数系統の発生器43及び高周波電圧発生部61を備えたが
、これに限らず、例えば、複数系統の発生器43と、複数系統の発生器43に高周波電圧
を出力する1系統の高周波電圧発生部61とを備えてもよい。また、例えば、複数系統の
発生器43と、複数系統の増幅回路64と、複数系統の増幅回路64に電圧を出力する1
系統の高周波電圧発生回路63とを備えてもよい。
【0135】
・高周波電圧発生部61は、キャリッジ31に搭載されるが、これに限らず、例えば、
キャリッジ31に搭載されていなくてもよい。高周波電圧発生部61がキャリッジ31に
搭載されないように構成した場合、キャリッジ31の軽量化を図ることができる。その一
方で、高周波電圧発生部61がキャリッジ31に搭載されるように構成した場合、高周波
電圧の伝送距離を短縮することができ、高周波電圧の減衰を抑制することができ、消費電
力を低減することができる。
【0136】
・交流電界発生部41は、キャリッジ31に搭載されず、キャリッジ31とは別で配置
してもよい。この場合、キャリッジ31の軽量化を図ることができる。また、例えば、交
流電界発生部41は、キャリッジ31に搭載されず、キャリッジ31とは別で配置する場
合、幅方向Xに往復移動しても移動しなくてもよい。交流電界発生部41がキャリッジ3
1に搭載されず、幅方向Xに往復移動するように構成されることにより、交流電界発生部
41として構成する発生器43の個数を削減することができる。
【0137】
・
図12に示すように、例えば、交流電界発生部41の発生器43は、液体吐出ヘッド
32に対して適切な位置に配置されればよい。具体的な一例としては、媒体99に吐出さ
れた液体に対して段階的に乾燥させるように、液体吐出ヘッド32に対して適切な位置に
発生器43が配置されてもよい。
【0138】
・交流電界発生部41の発生器43は、液体吐出ヘッド32に対して複数列にわたらず
、1列で配置されてもよい。例えば、交流電界発生部41の発生器43は、液体吐出ヘッ
ド32よりも幅方向Xの一方に配置されて、幅方向Xの他方に配置されなくてもよい。例
えば、交流電界発生部41の発生器43は、液体吐出ヘッド32よりも幅方向Xの両方に
配置されなくてもよい。例えば、交流電界発生部41の発生器43は、液体吐出ヘッド3
2よりも媒体99の搬送方向の下流に配置されなくてもよい。
【0139】
・交流電界発生部41の発生器43は、液体吐出ヘッド32よりも媒体99の搬送方向
の上流に配置されてもよい。従来において、搬送される媒体99の水分含有量など、液体
を吐出する前における媒体99の状態によっては、例えば液体の滲みが発生するなど、印
刷品質が低下してしまうおそれがあった。そこで、第1電極51及び第2電極52は、液
体吐出ヘッド32よりも媒体99の搬送方向の上流に配置されることにより、媒体99を
加熱して乾燥させた後に、その媒体が搬送されて、搬送された媒体に液体吐出ヘッドか3
2ら液体を吐出させることができる。したがって、液体吐出ヘッド32から媒体に液体が
吐出される前に媒体を乾燥させることができ、印刷品質を向上させることができる。
【0140】
・印刷部22の媒体99の搬送方向の上流に、印刷する媒体についての前処理を行う前
処理部が配置されていてもよい。具体的な一例としては、媒体99に処理液を塗布する前
処理部が配置されていてもよい。この前処理部は、液体吐出装置14として搭載されてい
ても液体吐出装置14以外の印刷システム11として搭載されていてもよい。
【0141】
従来において、搬送される媒体99の水分含有量など、液体を吐出する前における媒体
99の状態によっては、例えば液体の滲みが発生するなど、印刷品質が低下してしまうお
それがあった。そこで、液体吐出ヘッド32から媒体99に液体が吐出される前に、媒体
99に塗布された処理液を加熱し、媒体99を乾燥させることができ、印刷品質を向上さ
せることができる。
【0142】
・媒体99は、用紙に限定されず、合成樹脂製のフィルムやシート、布、不織布、ラミ
ネートシートなどでもよい。また、媒体99は、ロール紙などの長尺状の媒体に限らず、
単票紙でもよく、印刷不良が発生すると皺が発生するような媒体に限らず、カールが発生
するような媒体であってもよい。
【0143】
・媒体99を搬送する経路は、水平に延びる経路に限らず、例えば、側面視で台形状の
経路、及び、一方の搬送方向から折り返して他方の搬送方向に搬送する経路など、どのよ
うな経路形状であってもよい。
【0144】
・液体吐出装置14は、保持装置12及び巻取装置13の少なくとも何れかを有しても
よい。
・液体吐出装置14は、乾燥部33とは別で、印刷した媒体99を更に乾燥させるよう
に構成してもよい。
【0145】
・キャリッジ31は、媒体99の幅方向Xにわたってライン状に配置されてもよい。つ
まり、液体吐出装置14は、媒体99の幅にわたって配置された液体吐出ヘッド32が一
斉に液体を吐出するライン式のプリンターであってもよい。
【0146】
以下、前記実施形態及び変更例から把握される技術思想を効果と共に記載する。
液体吐出装置は、媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、交流電界を発生させる交流
電界発生部と、前記交流電界発生部の制御を行う制御部と、前記交流電界発生部から発生
する交流電界の変化を検知する検知部と、を備え、前記交流電界発生部は、互いに隣り合
って配置される第1電極及び第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極への高周波電圧
を発生させる高周波電圧発生部と、前記第1電極及び前記第2電極と前記高周波電圧発生
部とを電気的に接続する導体とを有し、前記制御部は、前記検知部によって検知された結
果に基づいて、前記高周波電圧発生部から前記第1電極及び前記第2電極への高周波電圧
の発生を停止する。
【0147】
この構成によれば、交流電界発生部から発生する交流電界の変化を検知する検知部を備
え、検知部によって検知された結果に基づいて、高周波電圧発生部から第1電極及び第2
電極への高周波電圧の発生が停止する。これにより、例えば経年変化や設計者の意図しな
い使用状況により第1電極及び第2電極が変形し、交流電界発生部から発生する交流電界
が過剰に変化するなどの異常が発生した場合であっても、検知した交流電界の変化に基づ
いて高周波電圧の発生を停止させることができ、異常の発生に対する安全性を高めること
ができる。
【0148】
上記液体吐出装置において、前記高周波電圧発生部は、高周波電圧を発生させる高周波
電圧発生回路と、高周波電圧を増幅する増幅回路とを有し、前記制御部は、前記増幅回路
の電源を停止することによって、前記高周波電圧発生部から前記第1電極及び前記第2電
極への高周波電圧の発生を停止してもよい。
【0149】
この構成によれば、高周波電圧発生部から第1電極及び第2電極への高周波電圧の発生
を停止させる際に、増幅回路の電源を停止させることによって、高周波電圧発生部を保護
することができる。
【0150】
上記液体吐出装置において、前記検知部は、交流電界を検知するアンテナを含み、前記
第1電極及び前記第2電極から離間して配置されてもよい。
この構成によれば、検知部は、交流電界を検知するアンテナを含み、第1電極及び第2
電極から離間して配置される。このため、例えば媒体に吐出した液体を乾燥させる領域な
ど、第1電極及び第2電極から離間しない近傍の位置ではなく、例えば媒体に吐出した液
体を乾燥させる領域外など、第1電極及び第2電極から離間した位置において交流電界の
変化を検知することができる。したがって、交流電界発生部から発生する交流電界の変化
を検知する可能性を高めることができる。
【0151】
上記液体吐出装置において、前記検知部は、前記第1電極又は前記第2電極に固定され
、前記第1電極又は前記第2電極の変位に応じて作動するスイッチを含んでもよい。
この構成によれば、検知部は、第1電極又は第2電極に固定され、第1電極又は第2電
極の変位に応じて作動するスイッチを含む。このため、例えば媒体との接触により第1電
極及び第2電極が変形し、交流電界発生部から発生する交流電界が過剰に変化するなど、
第1電極又は第2電極の変位を物理的に検知することができる。したがって、交流電界発
生部から発生する交流電界の変化を検知する可能性を高めることができる。
【0152】
上記液体吐出装置において、前記検知部は、前記導体、前記第1電極及び前記第2電極
のインピーダンスの変化を検知してもよい。
この構成によれば、検知部は、導体、第1電極及び第2電極のインピーダンスの変化を
検知することにより、交流電界発生部から発生する交流電界が過剰に変化する前に、交流
電界発生部から発生する交流電界の変化を事前に検知することができる。したがって、交
流電界発生部から発生する交流電界の変化を検知する可能性を高めることができる。
【0153】
液体吐出装置は、媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、交流電界を発生させる交流
電界発生部と、前記交流電界発生部の制御を行う制御部と、温度を検知する温度検知部と
、を備え、前記交流電界発生部は、互いに隣り合って配置される第1電極及び第2電極と
、前記第1電極及び前記第2電極への高周波電圧を発生させる高周波電圧発生部と、前記
第1電極及び前記第2電極と前記高周波電圧発生部とを電気的に接続する導体とを有し、
前記温度検知部は、前記導体、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくとも何れかの
温度を検知し、前記制御部は、前記温度検知部によって検知された結果に基づいて、前記
高周波電圧発生部から前記第1電極及び前記第2電極への高周波電圧の発生を停止する。
【0154】
この構成によれば、導体、第1電極及び第2電極のうち少なくとも何れかの温度を検知
する温度検知部を備え、温度検知部によって検知された結果に基づいて、高周波電圧発生
部から第1電極及び第2電極への高周波電圧の発生が停止する。これにより、例えば経年
変化や設計者の意図しない使用状況により導体、第1電極及び第2電極のうち少なくとも
何れかの温度が過剰に上昇するときなどの異常が発生した場合であっても、検知した温度
に基づいて高周波電圧の発生を停止させることができ、異常の発生に対する安全性を高め
ることができる。
【符号の説明】
【0155】
D1~D3…距離、HP…ホーム位置、PR…プログラム、X…幅方向、X1…第1幅
方向、X2…第2幅方向、Y…搬送方向、Z…鉛直方向、11…印刷システム、12…保
持装置、13…巻取装置、14…液体吐出装置、17…保持軸、18…巻取軸、21…支
持部、21A…表面、22…印刷部、23…制御部、23A…監視部、23B…規制部、
23C…記憶部、31…キャリッジ、31A…対向面、31B…突出部、31C…外縁部
、31D…先端面、32…液体吐出ヘッド、33…乾燥部、34…送風機構、34A…第
1通路、34B…第2通路、34C…第1送風ファン、34D…第2送風ファン、35…
光学センサー、36…電界検知センサー、37…通信部、38…キャリッジモーター、3
9…払拭機構、41…交流電界発生部、42…カバー、43…発生器、44…調整機構、
45…ワイパー、46…移動機構、51…第1電極、52…第2電極、53…導体、54
…軸ケーブル、54A…内部導体、54B…外部導体、55…コイル、55A…接触部、
56…コイル支持部、56A…開口、57…接点部材、57A…接触部、58…連結部、
58A…開口、59…連結部材、60…検知センサー、61…高周波電圧発生部、62…
監視回路、63…高周波電圧発生回路、64…増幅回路、65…整流回路、66…比較回
路、99…媒体、99A…表面、99B…裏面、100…ロール体。