(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/175 20200101AFI20240521BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240521BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240521BHJP
【FI】
H05B47/175
H04Q9/00 301Z
G06F3/0481
(21)【出願番号】P 2020160512
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 真一
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-069895(JP,A)
【文献】特開2016-100095(JP,A)
【文献】特開2015-005368(JP,A)
【文献】特開2007-265766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/175
H04Q 9/00
G06F 3/0481
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元の空間データを取得する取得部と;
照明制御装置が管理する器具の情報に基づいて、前記器具をモデル化した器具画像を生成する生成部と;
前記照明制御装置が管理する前記器具の情報に基づいて、空間内における前記器具の設置位置を特定する特定部と;
前記生成部が生成した前記器具画像を、前記特定部が特定した前記設置位置に基づいて表示部に前記取得部が取得した前記空間データに基づいて生成された空間画像と重畳して表示させる表示制御部と;
前記表示部に表示された前記器具画像の操作に応じて、前記器具画像に対応する前記器具を動作させる操作制御部と;
を具備
し、
前記表示制御部は、前記表示部に表示された前記器具画像の操作に応じて、操作された前記器具画像の向きを変更可能であり、
前記操作制御部は、前記表示制御部が変更した前記器具画像の向きに応じて、前記器具画像に対応する前記器具の向きを変更する制御装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記照明制御装置が管理する前記器具の情報に基づいて、前記器具の向きを特定する
請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記照明制御装置を介して器具の操作が行われた際に、前記操作が行われた前記器具に対応する器具画像を更新する
請求項1
または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記器具を支持するバトンを昇降させる昇降制御装置から取得した、前記バトンの昇降状態を示す昇降情報に基づいて前記器具の高さを特定する
請求項1~
3のいずれか1つに記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタジオや舞台等では、遠隔操作に従って複数の照明機器を制御する制御システムが導入されている。例えば、このような制御システムの制御装置は、DMX512と呼ばれる規格を拡張したRDM(Remote Device Management)と呼ばれる規格に沿って、スタジオや舞台等に設置された照明機器から照明機器の情報を収集し、収集した情報に基づいて、調光や調色を制御し、照明演出を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、ユーザの利便性向上の観点で改善の余地があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザの利便性を向上させることができる制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る制御装置は、取得部と、生成部と、特定部と、表示制御部と、操作制御部とを具備する。取得部は、三次元の空間データを取得する。生成部は、取得部が取得した空間データに基づいて器具をモデル化した器具画像を生成する。特定部は、取得部が取得した空間データに基づいて空間内における器具の設置位置を特定する。表示制御部は、生成部が生成した器具画像を、特定部が特定した設置位置に基づいて表示部に空間画像と重畳して表示させる。操作制御部は、表示部に表示された器具画像の操作に応じて、器具画像に対応する器具を動作させる。表示制御部は、表示部に表示された器具画像の操作に応じて、操作された器具画像の向きを変更可能であり、操作制御部は、表示制御部が変更した器具画像の向きに応じて、器具画像に対応する器具の向きを変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの利便性を向上させることができる制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、制御システムが有する各装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る制御装置が有する制御部の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、昇降制御システムが有する各装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、空間内に設置された器具と表示部に表示された器具画像との一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、表示部の操作に応じた器具の制御の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、器具画像の重畳表示処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係る制御装置を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する制御装置は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。
【0010】
以下に説明する実施形態に係る制御装置(照明制御装置100)は、取得部151と、生成部152と、特定部153と、表示制御部154とを具備する。取得部151は、三次元の空間データ123を取得する。生成部152は、照明制御装置100が管理する器具の情報に基づいて、器具をモデル化した器具画像を生成する。特定部153は、照明制御装置100が管理する器具の情報に基づいて、空間SP内における器具の設置位置を特定する。表示制御部154は、生成部152が生成した器具画像を、特定部153が特定した設置位置に基づいて表示部130に取得部151が取得した空間データ123に基づいて生成された空間画像と重畳して表示させる。
【0011】
以下に説明する実施形態に係る制御装置(照明制御装置100)は、操作制御部155を具備する。操作制御部155は、表示部130に表示された器具画像の操作に応じて、器具画像に対応する器具を動作させる。
【0012】
以下に説明する実施形態に係る特定部153は、照明制御装置100が管理する器具の情報に基づいて、器具の向きを特定する。
【0013】
以下に説明する実施形態に係る表示制御部154は、照明制御装置100を介して器具の操作が行われた際に、操作が行われた器具に対応する器具画像を更新する。
【0014】
以下に説明する実施形態に係る特定部153は、器具を支持するバトンを昇降させる昇降制御装置50から取得した、バトンの昇降状態を示す昇降情報54に基づいて器具の高さを特定する。
【0015】
[実施形態]
(制御システムの構成)
図1は、制御システムの構成の一例を示すブロック図である。実施形態に係る制御システム1は、複数の照明機器10(
図1では、照明機器10-1~照明機器10-nとして示す。個々を区別する必要のない場合、「照明機器10」と総称する)、複数のノード20(
図1では、ノード20-1~ノード20-nとして示す。個々を区別する必要のない場合、「ノード20」と総称する)、ハブ30、昇降制御装置50、照明制御装置100を有する。なお、制御システム1に含まれる照明機器10およびノード20の種別や数などは、任意に変更可能である。
【0016】
制御システム1において、照明機器10は、DMX規格に従った通信プロトコルや、DMXを拡張したRDM規格に沿った通信方式により、ノード20や照明制御装置100と双方向通信が可能な照明機器である。また、照明機器10は、LED(Light Emitting Diodes)等の半導体発光素子を有し、制御信号に従って、明るさ、範囲、色彩等を変化させることで、スタジオや舞台等の照明演出を行う。照明機器10は、スタジオや舞台等の任意の空間SP(
図5参照)に設置される設備であって、照明機器等を吊るなどして支持するバトンに設置される。バトンは、昇降制御装置50の操作に応じて昇降し、バトンに支持された照明機器等の高さを変更することができる。
図1の例では、バトンB1には、照明機器10-1~照明機器10-nが設置されることを示している。なお、照明機器10は、バトンに設置されていないものを含んでよい。
【0017】
ノード20は、DMX規格に従った通信プロトコルや、DMXを拡張したRDM規格に沿った通信方式により、照明機器10や照明制御装置100と双方向通信が可能な制御情報を分配する分配器である。ノード20は、照明制御装置100と照明機器10との通信を中継する装置であり、例えば、DMXノードやRDMノードと称される装置により実現される。具体的には、ノード20は、イーサネット(登録商標)等の有線または無線によるネットワークによって、双方向通信が可能な態様でハブ30と接続され、ハブ30を介して、照明制御装置100等と通信する。
【0018】
また、
図1の例において、ノード20は、照明機器10と同様、バトンに設置される。
図1の例では、バトンB1には、ノード20-1が設置され、バトンB2には、ノード20-2が設置され、バトンBnには、ノード20-nが設置される。また、ノード20は、自身が設置されるバトンに関する情報と、自身に接続される照明機器10の情報とを記憶する。言い換えれば、ノード20は、バトンと照明機器10との対応関係を示した、照明機器10の配置情報を記憶する。なお、ノード20は、バトンに設置されなくてもよい。
【0019】
ハブ30は、イーサネット(登録商標)等の有線または無線によるネットワークによって、照明制御装置100と双方向通信が可能な態様で接続され、照明制御装置100と各ノード20-1~20-nとの通信を中継する中継器である。
【0020】
昇降制御装置50は、バトンを昇降させる制御装置である。昇降制御装置50は、操作に応じてバトンを昇降することができる。なお、昇降制御装置50の詳細については後述する。
【0021】
照明制御装置100は、双方向性を有する制御信号(例えば、RDM規格に対応する制御信号)を照明機器10との間で通信可能な制御装置であり、一般に、調光卓や制御卓等と呼ばれる装置である。照明制御装置100は、ユーザ(例えば、照明制御装置100を操作するオペレータ)から照明機器10に対する操作指令を受け付けると、照明機器10-1~10-nに付与された制御アドレスを含む制御信号を生成し、ハブ30を介してノード20-1~20-nに制御信号を送信する。ノード20-1~20-nは、照明制御装置100から受信した制御信号を、例えば、RDM規格に沿った信号(RDM信号)に変換し、制御アドレスが示す照明機器10に対して出力する。これにより、照明機器10-1~10-nの制御が行われる。このように、照明制御装置100は、例えば、RDM対応の制御信号に含まれる制御アドレスを用いて、照明機器10-1~10-nを遠隔制御する。照明制御装置100は、制御装置の一例である。
【0022】
また、照明制御装置100は、ノード20を介して、「型番」、「ポート番号」、「UID」、「DMXアドレス」、「動作モード」、「点灯時間」などの照明機器情報を各照明機器10から収集する。照明制御装置100は、各照明機器10から収集した機器情報を照明機器情報121として記憶部120に格納する。
【0023】
また、制御システム1は、電源装置(不図示)に接続されている。電源装置は、各照明機器10-1~10-nに電力を供給する給電装置であり、例えば、電圧変換の機能、ブレーカー、UPS(Uninterruptible Power Supply)等の機能を有する。なお、電源装置は、例えば、ハブ30を介して、照明機器10等に接続されてもよく、ハブ30を介さずに、照明機器10等に直接接続されてもよい。
【0024】
(照明制御装置100が実行する処理の概要)
実施形態に係る制御装置としての照明制御装置100は、三次元の空間データに基づいて器具をモデル化した器具画像を生成する。生成した器具画像は、空間内における器具の設置位置に基づいて表示部に表示される。
【0025】
このように、実施形態に係る照明制御装置100は、空間内における器具を模擬した器具画像を、空間を模擬した空間画像と重畳させて表示部に表示する。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0026】
(実施形態に係る各装置の機能構成)
上記した照明制御装置100が実行する処理について、
図2を用いて、実施形態に係る各装置の機能構成の説明とともに、詳細に説明する。
図2は、制御システムが有する各装置の機能構成の一例を示すブロック図である。なお、
図1で説明した内容については、適宜説明を省略する。
【0027】
まず、照明機器10の構成について説明する。本実施形態に係る照明機器10は、RDM規格に対応する制御情報から生成される制御信号によって制御される照明機器であり、記憶部13と、制御部14と、光源部15とを有する。
【0028】
記憶部13は、照明機器10が有する不揮発性のメモリであり、照明機器10の機器情報が登録される。機器情報の一例としては、製造会社名、機器型番、UID、制御アドレス、使用するチャンネル数、使用するモード情報、点灯時間、通電時間、質量、パーソナリティー設定といった情報が含まれる。
【0029】
ここで、製造会社名とは、照明機器10の製造会社名である。機器型番とは、製造会社によって定められた照明機器10の型番である。UIDとは、DMX規格で用いられる装置ごとの固有の番号であり、各照明機器10-1~10-nに予め付与される12桁の16進数で表される情報である。また、制御アドレスとは、DMXのデータリンク上におけるアドレス、すなわち、照明制御装置100が照明機器10を制御する際に用いる制御アドレスである。また、チャンネル数とは、照明機器10の制御に用いられる制御アドレスの数である。例えば、チャネル数が「4」の照明機器10は、照度(I)、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)のそれぞれに対して個別の制御アドレスが設定されることで、照度、赤色、青色、緑色のそれぞれを個別に制御することができる。
【0030】
また、点灯時間とは、照明機器10の光源を点灯させた時間の合計を示す情報である。また、通電時間とは、照明機器10に電力が供給された時間の合計を示す情報である。また、質量とは、照明機器10の質量を示す情報である。また、パーソナリティー設定とは、照明機器10の動作のモードを示す情報である。
【0031】
制御部14は、照明の制御を行う。例えば、ノード20-1は、照明制御装置100から制御信号を受信すると、受信した制御信号をRDM信号に変換し、制御アドレスに対応する照明機器10に出力する。そして、制御部14は、ノード20-1から受信したRDM信号に従って、光源部15を制御する。
【0032】
また、制御部14は、照明機器10の姿勢制御を行ってもよい。照明機器10が、例えば姿勢制御可能ないわゆるムービング器具である場合、制御部14は、ノード20-1から受信したRDM信号に従って、照明機器10の姿勢、すなわち照明方向を制御することができる。
【0033】
また、ノード20-1は、機器情報の送信要求を各照明機器10-1~10-nに出力する場合がある。例えば、ノード20-1は、照明制御装置100からの要求に従い、自身に接続されている各照明機器10の機器情報の送信要求を、各照明機器10に出力する。この場合、制御部14は、記憶部13に登録された機器情報を読み出し、読み出した機器情報をノード20-1に出力する。
【0034】
また、ノード20-1は、照明制御装置100から新たな制御アドレスへの割当処理の命令を受信した場合には、照明機器10に新たに割り当てられる制御アドレスの値を示す設定信号を各照明機器10に出力する。この場合、制御部14は、ノード20-1から受信した設定信号が示す制御アドレスを記憶部13に登録する。
【0035】
光源部15は、照明機器10が有する光源である。光源部15は、制御部14の制御に従って、照度、照明する範囲、色彩等を制御可能なLED等の半導体発光素子により実現される。
【0036】
次に、ノード20-1の構成について説明する。本実施形態に係るノード20-1は、通信部23、設定部24、メモリ25、取得部26、複数のポート27-1~27-nを有する(個々を区別する必要のない場合、「ポート27」と総称する)。また、メモリ25には、アドレステーブル25aが登録されている。
【0037】
まず、アドレステーブル25aに格納される情報の一例について説明する。アドレステーブル25aには、ノード20-1に設置された照明機器10-1~10-nを制御するための制御アドレスが、ノード20-1が有する位置情報や、ノード20-1のポート番号と対応付けて登録される。すなわち、本実施形態に係るアドレステーブル25aには、照明機器10の配置情報と、制御アドレスとが対応付けて登録される。
【0038】
通信部23は、受信部23aおよび送信部23bを有し、ハブ30を介して、照明制御装置100との間で情報の送受信を行う通信装置であり、例えば、NIC(Network Interface Card)等の通信装置によって実現される。例えば、通信部23は、後述する取得部26によって取得された照明機器10に関する情報を送信するために照明制御装置100と通信する。言い換えれば、通信部23に係る送信部23bは、取得部26によって取得された照明機器10に関する情報を照明制御装置100に送信する。
【0039】
取得部26は、接続端子であるポート27に接続された照明機器10に関する情報を取得する。例えば、取得部26は、所定の時間間隔で、各ポート27-1~27-nから照明機器情報の送信要求を出力する。そして、取得部26は、照明機器10からの応答として機器情報を受信した場合には、機器情報を受信したポートのポート番号を設定部24に通知する。
【0040】
次に、照明制御装置100の構成について説明する。本実施形態に係る照明制御装置100は、通信部110、記憶部120、表示部130、操作部140、制御部150を有する。通信部110は、ハブ30及びノード20を介して、照明機器10との間で制御信号の送受信を行う。通信部110は、例えば、NIC等の通信装置によって実現される。
【0041】
記憶部120は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置により実現される。
図2に示すように、記憶部120には、照明機器情報121と、制御情報122と、空間データ123とが記憶されている。
【0042】
照明機器情報121は、照明機器10の送信部23bから送信された照明機器10に関する機器情報である。
【0043】
照明機器情報121には、例えば、「制御アドレス」、「照明機器UID」、「照明機器情報」、「機能」、「ノード番号」、「設置位置情報」といった項目が含まれる。
【0044】
「制御アドレス」は、制御アドレスの数値を示す。「照明機器UID」は、照明機器を識別する識別情報、すなわちUIDを示す。なお、照明機器UIDは、実際には照明機器に予め付与される12桁の16進数で表される情報であるが、実施形態では、参照符号(10a-1等)で示している。「照明機器情報」は、照明機器に関する情報を示す。例えば、照明機器情報には、「スポットライト」や「ベースライト」といった照明機器の種別や、「1kW(キロワット)」といった照明機器の消費電力を示す情報が含まれる。
【0045】
「機能」は、制御アドレスに対応する機能を示す。例えば、4chを使用する照明機器であって、それぞれのチャンネルにR(Red)、G(Green)、B(Blue)のように色調整を行う機能と、総合的な明かりの強さを示す情報であるI(Intensity)を調整する機能を有する照明機器の場合には、それぞれの制御アドレスに対応する機能が、照明機器情報121に登録される。なお、機能には、レンズの焦点位置を定めるZ(Zoom)や、操作情報であるS(Strobe)やC(Curve)等の情報が登録されてもよい。さらに、照明機器の姿勢に関する情報であるパン(Pan)やチルト(Tilt)等の情報が機能として登録されてもよい。
【0046】
「ノード番号」は、照明機器情報の送信元となるノード20、すなわち、照明機器10が接続されたノード20を識別するための番号である。「設置位置情報」は、照明機器10がノード20のどのポートに接続されているかを示す情報であり、例えば、ポート番号である。なお、設置位置情報には、ノードを識別する情報等がさらに記憶されてもよい。
【0047】
また、照明機器情報121には、バトンの設置位置に関する情報が含まれてもよい。
【0048】
制御情報122は、各照明機器10を制御するための情報であり、例えば、調光制御や操作部140が有する複数のフェーダの操作に関する情報を含む。具体的には、制御情報122は、例えばフェーダやサブマスタ(SM)等のレベル値、照度や色彩等を照明機器10ごとに対応付けた情報や各種シーンの情報を含む。また、制御情報122は、例えば照射方向に関するパン(Pan)やチルト(Tilt)のレベル値を照明機器10ごとに対応付けた情報を含んでもよい。
【0049】
空間データ123は、例えば3Dスキャナによって作成された空間SP(
図5参照)および空間SPに位置する構造物の点群データである。点群データは、例えば、物体の表面の色彩をRGBで表現して、各点(ドット)のデータ形式を、X座標(緯度)、Y座標(経度)、Z座標(標高)、R(赤成分)、G(緑成分)、B(青成分)のように表すことができる。色彩データは、例えばレーザの照射方向にカメラを向け、得られた画像の相当位置の色彩のデータである。
【0050】
なお、空間データ123は、点群データに限られない。空間データ123は、例えば、3D-CADソフトで作成された3Dデータであってもよい。また、空間データ123は、3Dスキャナで取得した点群データを、制御装置とは別の装置で3D-CADソフトを使用して3Dデータに変換し、記憶媒体などを介して取得したものであってもよい。
【0051】
表示部130は、後述する制御部150による制御に従い、空間データ123に基づいて生成した照明機器10の画像を、空間SP(
図5参照)における照明機器10の設置位置に基づいて空間画像と重畳して表示する。照明機器10の画像は、例えば、GUI(Graphical User Interface)である。空間画像は、空間データ123に基づいて生成した画像であってもよく、空間を撮像したカメラ画像であってもよい。なお、表示部130は、情報を表示(出力)するのみならず、入力装置としてのインターフェース機能を備えていてもよい。例えば、表示部130がタッチパネルディスプレイにより実現される場合、表示部130は、入力操作を受け付けるインターフェースとしても機能する。
【0052】
操作部140は、各照明機器10-1~10-nに対する操作を受け付けるものであり、例えば、複数のフェーダF01~Fnを有する。各フェーダF01~Fnには、それぞれ個別のフェーダ番号が付与される。フェーダF01~Fnは、例えば、各照明機器10-1~10-nの照度を変更する操作を受け付けるスライダである。なお、操作部140は、タッチパネル等を利用して実現されてもよい。また、操作部140は、物理的なボタンを有してもよい。
【0053】
制御部150は、各種の情報処理を実行する演算装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を採用できる。制御部150は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部150は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。
【0054】
図3は、実施形態に係る制御装置が有する制御部の構成を示すブロック図である。制御部150は、取得部151と、生成部152と、特定部153と、表示制御部154と、操作制御部155とを有する。
【0055】
取得部151は、三次元の空間データを取得する。取得部151は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の持ち運び可能な記憶媒体に予め記憶された空間データを取得してもよい。また、取得部151は、有線または無線で接続された外部装置に予め記憶された空間データを取得してもよい。
【0056】
取得部151は、例えば、点群データまたは3D-CADデータを取得する。取得部151は、例えば、取得した点群データまたは3D-CADデータを空間データ123として記憶部120に記憶させる。さらに、取得部151は、記憶部120に予め記憶された空間データ123を取得してもよい。
【0057】
生成部152は、器具画像を生成する。生成部152は、照明制御装置100が管理する器具の情報、例えば、照明機器情報121に基づいて器具をモデル化した器具画像を生成する。生成部152は、例えば、取得部151が取得した空間データ123に基づいて器具画像を生成してもよい。また、生成部152は、空間データ123および照明機器情報121に基づいて器具画像を生成してもよい。さらに、生成部152は、記憶部120に予め記憶された器具画像を読み出して器具画像を生成することとしてもよい。
【0058】
器具は、例えば、照明機器10である。器具は、例えば、バトンであってもよい。また、器具は、例えばカメラなどを含んでもよい。また、器具画像は、例えば、GUIである。GUIは、例えば、3Dモデルを含んでもよい。
【0059】
特定部153は、空間SP(
図5参照)内における器具の設置位置を特定する。特定部153は、照明制御装置100が管理する器具の情報、例えば、照明機器情報121に基づいて空間SP内における器具の設置位置を特定する。また、特定部153は、例えば、取得部151が取得した空間データ123に基づいて空間SP内における器具の設置位置を特定してもよい。
【0060】
特定部153は、照明制御装置100が管理する器具の情報、例えば照明機器情報121に基づいて、照明機器10を含む器具の設置位置を特定してもよい。また、特定部153は、照明制御装置100が管理する器具の情報、例えば照明機器情報121に基づいて、照明機器10を含む器具の向きを特定してもよい。
【0061】
また、特定部153は、昇降制御装置50から取得した情報に基づいて器具の高さを特定してもよい。
【0062】
図4は、昇降制御システムが有する各装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、昇降制御システムは、昇降制御装置50と、バトン装置60と、バトンB1とを有する。
【0063】
バトン装置60は、昇降制御装置50からの制御信号に応じて、バトンB1に繋がれたワイヤWの巻き上げ量を制御することにより、バトンB1を上昇させ、あるいは降下させる。
図4に示す例では、バトンB1は、ノード20-1を支持するように図示されているが、照明機器10-1~10-nを支持してもよく、照明機器10-1~10-nのうち、いくつかの照明機器10を支持してもよい。また、バトンB1は、例えばカメラやスピーカなどの器具を支持してもよい。
【0064】
昇降制御装置50は、操作部51と、操作制御部52と、記憶部53とを備える。操作制御部52は、操作部51の操作に応じた制御信号をバトン装置60に送信し、バトンB1の昇降を制御する。バトンB1の昇降状態を示す情報は、昇降情報54として記憶部53に記憶される。昇降情報54は、例えば、ワイヤWの巻き上げ量に関する情報であってもよく、バトンB1の高さに関する情報であってもよい。なお、操作制御部52は、表示部130に表示されたバトンB1の画像の巻き上げ動作に対応してバトンB1を昇降させてもよい。
【0065】
図3に示す取得部151は、昇降情報54を取得し、特定部153は、取得部151が取得した昇降情報54に基づいて器具の高さを特定してもよい。
【0066】
表示制御部154は、表示部130に表示される画像を制御する。表示制御部154は、例えば、空間SPをモデル化した、あるいは空間SPを撮像した空間画像を表示部130に表示させる。
【0067】
また、表示制御部154は、例えば、生成部152が生成した器具画像を、特定部153が特定した器具の設置位置や高さに基づく位置関係となるように空間画像と重畳させて表示部130に表示させる。表示制御部154は、例えば、生成部152が記憶部120から読み出したバトンB1の画像を、昇降制御装置50の記憶部53に記憶されているバトンB1の長さ情報および位置情報(X,Y座標)と、バトン装置60または昇降制御装置50から取得したバトンB1の高さ情報に基づいて空間画像と重畳させて表示させてもよい。
【0068】
図5は、空間内に設置された器具と表示部に表示された器具画像との一例を示す説明図である。
【0069】
図5に示すように、スタジオや舞台といった空間SPには、複数のセットOBやバトンB1~B3が配されており、バトンB1~B3にはそれぞれ、複数の照明機器10が支持されている。
【0070】
一方、表示部130には、器具としてのバトンB1~B3および照明機器10をモデル化した器具画像としてのバトン画像BG1~BG3および照明機器画像10Gが、セット画像OBGを含む空間画像SPGと重畳して表示されている。
【0071】
表示制御部154は、照明制御装置100を介して器具の操作が行われた際に、操作が行われた器具に対応する器具画像を更新する。具体的には、例えば、照明機器10-3の姿勢変更の操作が行われると、表示制御部154は、姿勢変更の操作に応じて照明機器画像10G-3を更新する。なお、器具の姿勢変更に応じた器具画像の更新は、例えばGDTF(General Device Type Format)に含まれる器具の3Dデータなどを利用して行うことができる。また、予めバトンB1~B3に器具を吊り込む際の取り付け方向のルールやパン/チルトの姿勢レベルから照射方向を判別し、3D画面上に実際に向いている方向で表示を行うことができる。
【0072】
操作制御部155は、照明機器10その他の器具を動作させる。具体的には、操作制御部155は、操作部140の操作に応じて制御信号を送信し、制御信号に対応付けられた器具を動作させる。また、操作制御部155は、表示部130に表示された器具画像の操作に応じて、器具画像に対応する器具を動作させる。
【0073】
図6は、表示部の操作に応じた器具の制御の一例を示す説明図である。
図6に示すように、表示部130に表示された照明機器画像10G-3を操作して照明機器画像10G-3の向きを変更すると、操作制御部155は、照明機器画像10G-3の操作に応じた制御信号を送信し、ノード20-1(
図1参照)を介して照明機器10-3の向きを変更する。また、表示部130に表示された器具画像を操作すると、操作制御部155が、器具画像の操作に応じて器具(照明機器10)が照明する明るさを変更できる調光機能を有してもよい。例えば、表示部130に表示された照明機器画像10G-3のタップ操作により、照明機器10-3が照明する調光度を調整するボリュームアイコンが表示部130の所定の位置(例えば、照明機器画像10G-3の隣など)に表示され、ボリュームアイコンを操作することで、照明機器10-3が照明する明るさを変化させることができることとしてもよい。
【0074】
このように、セット画像OBGを含む空間画像SPGを作成し、器具画像と重畳して表示することで、例えば、ユーザが舞台やスタジオを直接見なくても、照明機器10やバトンなどの器具とセットとの位置関係を把握することができる。また、バトンの昇降によるセットと器具との接触を未然に防止することができる。
【0075】
次に、
図7を用いて、実施形態に係る制御システム1における器具画像の重畳表示処理の手順について説明する。
図7は、器具画像の重畳表示処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0076】
制御装置は、自装置である制御装置に器具の情報を記憶させる(ステップS11)。制御装置(照明制御装置100)の制御部150(取得部151)は、例えば、照明機器10、ノード20、昇降制御装置50およびバトン装置60から照明機器10やバトンの設置位置などに関する情報を取得し、記憶部120に記憶させる。
【0077】
次に、空間データを作成する(ステップS12)。空間データの作成には、例えば、3Dスキャナが用いられる。作成される空間データは、例えば、点群データまたは3D-CADデータである。制御装置は、ステップS12において作成された空間データを取得する(ステップS13)。
【0078】
そして、制御装置は、ステップS11において制御装置が記憶している器具の情報を読み出し、空間データに器具画像を重畳して表示する。制御装置(照明制御装置100)の制御部150は、例えば、バトンの位置および高さ、器具の設置位置、器具の種類といった情報を記憶部120から読み出し、ステップS13で取得した空間データに照明機器10およびバトンのGUIを重畳して表示部130に表示させる。
【0079】
以上説明したように、実施形態に係る制御システム1は、表示部130に表示された器具画像を操作すると、操作された器具画像に対応する器具が実際に動作する。また、照明制御装置100を用いて器具を動作させると、動作させた器具に対応する表示画面上の器具画像が更新される。このため、制御システム1をより直感的に操作することが可能となり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0080】
[変形例]
上記した実施形態では、照明制御装置100が制御装置の一例であるとして説明したが、例えば、照明制御装置100とは別の端末装置を制御装置としてもよい。また、照明制御装置100は、昇降制御装置50と一体であってもよい。
【0081】
また、上記した実施形態では、制御装置(照明制御装置100)は3次元画像を表示する表示部130を有するとして説明したが、表示部130とは別に、第2表示部としての2次元画像を表示するタッチパネルを有してもよい。例えば、照明機器10の明るさや向きを制御する場合、空間画像を表示する表示部130や操作部140のフェーダF01~Fnの他、2次元画像を表示する第2表示部の操作によっても制御することが可能となり、利便性が向上する。なお、表示部130および第2表示部のうち、一方または両方を照明制御装置100とは別の端末装置が有してもよい。
【0082】
また、上記した実施形態では、空間データ123は照明制御装置100の記憶部120が記憶するとして説明したが、例えば、空間データ123の少なくとも一部を、サーバが有していてもよい。また、USBメモリ等の持ち運び可能な記憶媒体に記憶された空間データ123を利用してもよい。
【0083】
このように、実施形態に係る制御装置(照明制御装置100)は、取得部151と、生成部152と、特定部153と、表示制御部154とを具備する。取得部151は、三次元の空間データ123を取得する。生成部152は、照明制御装置100が管理する器具の情報に基づいて、器具をモデル化した器具画像を生成する。特定部153は、照明制御装置100が管理する器具の情報に基づいて、空間SP内における器具の設置位置を特定する。表示制御部154は、生成部152が生成した器具画像を、特定部153が特定した設置位置に基づいて表示部130に取得部151が取得した空間データ123に基づいて生成された空間画像と重畳して表示させる。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0084】
また、実施形態に係る制御装置(照明制御装置100)は、操作制御部155を具備する。操作制御部155は、表示部130に表示された器具画像の操作に応じて、器具画像に対応する器具を動作させる。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0085】
また、実施形態に係る特定部153は、照明制御装置100が管理する器具の情報に基づいて、器具の向きを特定する。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0086】
また、実施形態に係る表示制御部154は、照明制御装置100を介して器具の操作が行われた際に、操作が行われた器具に対応する器具画像を更新する。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0087】
また、実施形態に係る特定部153は、器具を支持するバトンを昇降させる昇降制御装置50から取得した、バトンの昇降状態を示す昇降情報54に基づいて器具の高さを特定する。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0088】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1 制御システム
10 照明機器
20 ノード
30 ハブ
50 昇降制御装置
100 照明制御装置
140 操作部
150 制御部
151 取得部
152 生成部
153 特定部
154 表示制御部
155 操作制御部