(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】感光性組成物、光学フィルタ、指紋認証センサ、および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240521BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20240521BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G02B5/22
G06T1/00 400G
G06T1/00 420D
(21)【出願番号】P 2020161619
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】718000495
【氏名又は名称】東洋ビジュアルソリューションズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河岡 秀平
(72)【発明者】
【氏名】近藤 慶一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛之
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/141860(WO,A1)
【文献】特開2018-013512(JP,A)
【文献】特開2018-163287(JP,A)
【文献】特開2019-008014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G02B 5/22
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、および光重合開始剤(D)を含む、感光性組成物であって、
前記顔料(A)は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と下記一般式(1)で表される顔料(A-2)とを含み、
前記ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と下記一般式(1)で表される顔料(A-2)の合計含有量が、前記顔料(A)100質量%中、95質量%以上である、感光性組成物。
一般式(1)
【化1】
(一般式(1)中のXは、ハロゲン原子を表し、nは、4~16を表す。)
【請求項2】
前記ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と前記一般式(1)で表される顔料(A-2)の質量比が、90:10~10:90である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記重合性化合物(C)が、酸基を有する重合性化合物(C-1)を含む、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
さらに、トリアリールスルホニウム化合物(E)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
指紋認証センサ用フィルタの形成に使用する感光性組成物であって、
顔料(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、および光重合開始剤(D)を含み、
前記顔料(A)は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と下記一般式(1)で表される顔料(A-2)とを含み、
前記ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と下記一般式(1)で表される顔料(A-2)の合計含有量が、前記顔料(A)100質量%中、95質量%以上である、感光性組成物。
一般式(1)
【化2】
(一般式(1)中のXは、ハロゲン原子を表し、nは、4~16を表す。)
【請求項6】
基板、および請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて形成されてなる被膜を備える、光学フィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載の光学フィルタを備える、指紋認証センサ。
【請求項8】
請求項7に記載の指紋認証センサを画像表示ディスプレイ内部に備える、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物に関する。特に、指紋認証センサの製造に好ましく用いられる感光性組成物に関する。さらに、感光性組成物を用いた光学フィルタ、指紋認証センサ、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末を中心に、指紋や顔、虹彩、音声等の生体情報を利用したユーザー認証機能が搭載されている。特に、指紋認証は指を置くだけでロックを解除できるという優れた利便性を持ち、小型で安価にセキュリティを強化できることから、スマートフォンで指紋認証センサの採用が拡大している。
【0003】
従来、スマートフォンでは、ベゼル部分(画像表示ディスプレイの外側)に静電容量タイプの指紋認証センサを配置することが一般的であったが、ディスプレイの大型化のトレンドとともに、ベゼル部分がなくなり全面ディスプレイが主流となってきた。そのため、指紋認証センサは、ディスプレイ内部に設置する必要が出てきた。しかし、静電容量タイプの指紋認証センサは、直接センサ部分に指を置く必要があるため、ディスプレイ内部に静電容量タイプの指紋認証センサを配置しても動作しない。ディスプレイ内部に設置することができる指紋認証センサには、光学式タイプと超音波タイプが挙げられ、特に、安価で配置が容易な光学式タイプが多く検討されている。
【0004】
特許文献1には、波長570nm付近の緑色光や波長570nmより低波長の青色光を照射し、指から反射した光を光学フィルタに透過させ、その透過した光をもとに撮像画像を生成することで指紋認証を行う光学式の指紋認証センサが開示されている。
【0005】
光学式の指紋認証センサに使用される光学フィルタの形成方法としては、染色法、印刷法、電着法、インクジェット法、顔料分散法等が知られている。これらの方法の中で、顔料分散法は、フォトリソグラフィー法によるため高品質、量産性に適した方法として知られている。
【0006】
顔料分散法によるフィルタ形成は、塗工装置(例えば、スピンコートやダイコート)を使用して感光性組成物を基板に塗布し、乾燥により溶剤を除去した後、パターン露光を行い、次いで未露光部を現像工程で除去し、必要に応じて加熱等の処理を加える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スマートフォンなどのディスプレイ内部に光学式タイプの指紋認証センサを設置する場合、外光を遮断するカバー等がないため、身体組織を透過する波長660nm付近の光により、ノイズが発生し正しく撮像画像を生成できず、指紋認証精度が低下するという問題があった。
【0009】
また、光学フィルタの形成するための塗工装置は、使用後有機溶剤等で洗浄されるため、配管等に洗浄溶剤が残留し、次に、感光性組成物を塗工する際に、残留した有機溶剤と混ざる。例えば、洗浄性の高いシクロヘキサノンなどの有機溶剤を使用していると、ショックにより感光性組成物に凝集異物が発生する、いわゆるソルベントショックが起こる。そのため、その感光性組成物を塗工すると、フィルタに異物等が存在し、指紋認証精度が低下するという問題があった。
【0010】
本発明は、波長660nm付近の光の透過を抑制し、波長600nmより低波長側で幅広い波長域の光を透過させることができる指紋認証精度に優れた光学フィルタを形成可能であり、ソルベントショックによる異物の発生が少なく、現像性(現像残渣が少なく、欠けが抑制されたパターン形状)に優れた感光性組成物の提供を目的とする。
【0011】
本発明は、顔料(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、および光重合開始剤(D)を含む、感光性組成物であって、
前記顔料(A)は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と下記一般式(1)で表される顔料(A-2)とを含み、
前記ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と下記一般式(1)で表される顔料(A-2)の合計含有量が、前記顔料(A)100質量%中、95質量%以上である、感光性組成物に関する。
【0012】
【0013】
(一般式(1)中のXは、ハロゲン原子を表し、nは、4~16を表す。)
【発明の効果】
【0014】
上記の本発明によれば、波長660nm付近の光の透過を抑制し、波長600nmより低波長側で幅広い波長域の光を透過させることができる指紋認証精度に優れた光学フィルタを形成可能であり、ソルベントショックによる異物の発生が少なく、現像性(現像残渣が少なく、欠けが抑制されたパターン形状)に優れた感光性組成物、光学フィルタ、指紋認証センサ、および画像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、画像表示装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の感光性組成物を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、課題を解決可能な範囲内で変形して実施できる。
【0017】
本明細書では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタアクリロイル」、「アクリル及び/又はメタアクリル」、「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)を意味する。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合である。
【0018】
<感光性組成物>
本発明は、顔料(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、および光重合開始剤(D)を含む、感光性組成物であって、
前記顔料(A)は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と下記一般式(1)で表される顔料(A-2)とを含み、
前記ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と下記一般式(1)で表される顔料(A-2)の合計含有量が、前記顔料(A)100質量%中、95質量%以上である、感光性組成物である。
一般式(1)
【化2】
【0019】
(一般式(1)中のXは、ハロゲン原子を表し、nは、4~16を表す。)
【0020】
本発明の感光性組成物は、塗工等により被膜を形成することが好ましい。前記被膜は、指紋認証センサを構成する部材として使用することが好ましい。指紋認証センサは、例えば、光学式指紋認証センサ等が挙げられる。
【0021】
[顔料(A)]
本発明の感光性組成物は、顔料(A)を含む。
【0022】
顔料(A)は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と前記一般式(1)で表される顔料(A-2)とを含み、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と一般式(1)で表される顔料(A-2)の合計含有量が、顔料(A)100質量%中、95質量%以上である。
【0023】
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と一般式(1)で表される顔料(A-2)の合計含有量は、指紋認証精度の観点から、顔料(A)100質量%中、99質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
【0024】
(ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)は、中心金属が亜鉛であるフタロシアニン分子1個当たり、ハロゲン原子が、合計で最大16個結合した化合物である。
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)は、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
一般式(2)
【化3】
【0025】
一般式(2)中のYは、ハロゲン原子を表し、mは、4~16を表す。なお、一般式(2)が、Yで表されるハロゲン原子の数が異なる複数の化合物を含む場合、mはそれら複数の化合物の平均値である。
【0026】
一般式(2)中のYで表されるハロゲン原子は、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素が挙げられる。これらの中でも臭素、及び塩素が好ましい。ハロゲン原子は、2種類以上含有できる。
【0027】
一般式(2)中のmは、波長440~590nmにおける透過率の観点から、6~15が好ましく、7~14がより好ましい。
【0028】
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)は、例えば、C.I.ピグメントグリーン58,59、特開2008-19383号公報、特開2007-320986号公報、特開2004-70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料が挙げられる。市販品は、例えば、DIC社製のファストゲングリーンA110,A350,C100等が挙げられる。これらの中でも、波長440~590nmにおける透過率の観点から、C.I.ピグメントグリーン58が好ましい。
【0029】
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0030】
(一般式(1)で表される顔料(A-2))
顔料(A-2)は、下記一般式(1)で表される化合物である。
一般式(1)
【化4】
【0031】
一般式(1)中のXは、ハロゲン原子を表し、nは、4~16を表す。なお、一般式(1)が、Xで表されるハロゲン原子の数が異なる複数の化合物を含む場合、nはそれら複数の化合物の平均値である。
【0032】
一般式(1)中のXで表されるハロゲン原子は、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素が挙げられる。これらの中でも波長440~590nmにおける透過率の観点から臭素、及び塩素が好ましく、臭素がより好ましい。ハロゲン原子は、2種類以上含有できる。
【0033】
一般式(1)中のnは、波長440~590nmにおける透過率、ソルベントショックの抑制の観点から、6~12が好ましく、7~11がより好ましい。
【0034】
顔料(A-2)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0035】
[一般式(1)で表される顔料(A-2)の製造方法]
本発明の一般式(1)で表される顔料(A-2)の製造方法は、特に制限がなく公知の方法で製造できる。例えば、以下の方法が挙げられる。
【0036】
下記化学式(3)で表される化合物をハロゲン化した後、加水分解し下記一般式(4)を得て、リン酸ジフェニルと反応させて、前記一般式(1)で表される顔料(A-2)を製造できる。
【0037】
【0038】
化学式(3)で表される化合物のハロゲン化は、例えば、The Phthalocyanines Volume II Manufacture and Applications(CRC Press, Inc.,1983年)等に記載されているクロロスルフォン酸法、溶解法等の方法で合成できる。
【0039】
クロロスルフォン酸法としては、化学式(3)で表される化合物を、クロロスルフォン酸、硫酸等の硫黄酸化物系の溶媒に溶解させ、これにハロゲン化剤を仕込みハロゲン化するが挙げられる。この際の反応温度は、20~120℃が好ましい、反応時間は1~10時間程度が好ましい。
【0040】
溶解法は、例えば、特開昭51-64534号公報にあるように、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムの様なハロゲン化アルミニウム、四塩化チタンの様なハロゲン化チタン、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム等の様なアルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物〔以下、アルカリ(土類)金属ハロゲン化物という〕、塩化チオニル等、各種ハロゲン化剤の一種または二種以上の混合物からなる10~170℃程度の溶融物中で、フタロシアニン化合物をハロゲン化する方法が挙げられる。
【0041】
ハロゲン化剤は、フッ素化剤、塩素化剤、臭素化剤およびヨウ素化剤を意味する。例えばフッ素化剤としては、フルオロキシトリフルオロメタン、フッ化硫酸セシウム、アセチルハイポフルオライト、N-フルオロスルホンアミド、ジエチルアミノサルファトリフルオリド、N-フルオロピリジニウム塩などが挙げられる。
塩素化剤としては、塩素(Cl2)、N-クロロスクシンイミド、スルフリルクロライド、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、2,3,4,5,6,6-ヘキサクロロ-2,4-シクロヘキサジエノン、2,3,4,4,5,6-ヘキサクロロ-2,5-シクロヘキサジエノン、N-クロロトリエチルアンモニウムクロライド、ベンゼンセレネニルクロライドなどが挙げられる。
臭素化剤としては、臭素(Br2)、N-ブロモスクシンイミド、硫酸銀-臭素、テトラメチルアンモニウムトリブロマイド、トリフルオロアセチルハイポブロマイト、ジブロモイソシアヌル酸、2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサ-2,5-ジエンオン、臭化水素-ジメチルスルホキシド、N-ブロモスクシンイミド-ジメチルホルムアミド、2,4-ジアミノー1,3-チアゾールハイドロトリブロマイド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインなどが挙げられる。
ヨウ素化剤としては、ヨウ素(I2)、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン、トリフルオロアセチルハイポヨーダイト、ヨウ素-過ヨウ素酸、エチレンヨードクロライド、N-ヨードスクシンイミドなどが挙げられる。
【0042】
一般式(4)で表される化合物は、顔料としての性質を有すため、リン酸ジフェニルとの反応効率を向上させるために、反応に先だって予めアシッドペースティング法やソルベントソルトミリング法等の方法によって微細化したものを使用することが望ましい。一般式(4)で表される化合物を予め微細化することにより、それから製造される一般式(1)で表される顔料(A-2)も微細なものを得られ易くなるため、これらを感光性組成物として用いた場合、高いコントラストを得られ易くなる。
【0043】
一般式(4)で表される化合物とリン酸ジフェニルとの反応は、例えば、有機溶剤中で混合撹拌することで進行させることができる。次いで、前記有機溶剤を除去することによって一般式(1)で表される顔料(A-2)を得ることができる。
【0044】
一般式(1)で表される顔料(A-2)の製造の際に用いられる前記有機溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノールに代表される一価のアルコール系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、もしくはトリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール系溶剤、1-メチル-2-ピロリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、2-ピロリジノン、ε-カプロラクタム、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、尿素、もしくはテトラメチル尿素等のようなアミド系溶剤、その他、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、もしくはトリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級モノアルキルエーテル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、もしくはトリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)等のポリエーテル系溶剤、スルホラン、ジメチルスルホキシド、もしくは3-スルホレン等の含イオウ系溶剤、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能系溶剤、酢酸、マレイン酸、ドコサヘキサエン酸、トリクロロ酢酸、もしくはトリフルオロ酢酸等のカルボン酸系溶剤、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロスルホン酸等のスルホン酸系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられるが、リン酸ジフェニルの溶解が良好であることから、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の一価のアルコール系溶剤や、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、1-メチル-2-ピロリジノン等の非プロトン性極性溶剤を用いることが好ましい。これらの有機溶剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0045】
反応終了後に前記有機溶剤を除去する方法としては、特に制限がなく、公知の方法を用いることができるが、吸引濾過または加圧濾過を行った後、使用した前記有機溶剤と相溶性があり、かつ低沸点の有機溶剤で洗浄した後、乾燥除去することが望ましい。また、水溶性有機溶剤の場合には、水と混合した後、水洗により除去することが望ましい。
【0046】
本発明の感光性組成物は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(A-1)と一般式(1)で表される顔料(A-2)の質量比が、90:10~10:90であることが好ましい。なお、ソルベントショックの抑制、指紋認証精度の観点から、90:10~40:60がより好ましく、80:20~60:40が特に好ましい。
【0047】
(その他顔料(A-3))
本発明の感光性組成物は、顔料(A)として、その他顔料(A-3)を含有できる。その他顔料(A-3)は、特に制限がなく、公知の顔料を使用できる。
【0048】
その他顔料(A-3)は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,139,147,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,198,199,213,214,218,219,220,221、特開2012-226110号公報、特許第6432077号公報に記載の黄色顔料;
C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された赤色顔料;
C.I.ピグメントグリーン1,2,4,7,8,10,13,14,15,17,18,19,26,36,37,45,48,50,51,54,55,62等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50等の紫色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,64,71,73等の橙色顔料が挙げられる。
【0049】
顔料(A)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、5~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0050】
(顔料(A)の微細化)
顔料(A)は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用できる。これらの中でも湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。微細化顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5~90nmが好ましい。なお、分散性、コントラスト比の観点から、平均一次粒子径は10~70nmがより好ましい。
【0051】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0052】
水溶性無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられ、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩の使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料(A)100質量部に対して、50~2,000質量部が好ましく、300~1,000質量部がより好ましい。
【0053】
水溶性有機溶剤は、顔料および水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対して、5~1,000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。
【0054】
ソルトミリング処理には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。前記樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることが好ましい。樹脂の添加量は、顔料100質量部に対して、2~200質量部が好ましい。
【0055】
(染料)
本発明の感光性組成物は、染料を含有できる。染料は、特に制限がなく、公知の染料を使用できる。
【0056】
染料は、例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、染料の誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料も挙げられる。
【0057】
染料は、造塩化合物として使用することが好ましい。造塩化合物は、酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物との造塩化合物;アミノ基を有する樹脂成分と酸性染料等の造塩化合物;酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物;塩基性染料と、有機酸、過塩素酸、またはこれらの金属塩との造塩化合物等が挙げられる。これらの中でも塩基性染料の造塩化合物は、各種耐性、顔料との相溶性に優れているために好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、側鎖にカチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0058】
染料の化学構造は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノーン系染料(ベンゾキノーン系染料、ナフトキノーン系染料、アントラキノーン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノーンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノーン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造が挙げられる。
【0059】
これらの色素構造の中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノーン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノーン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。
【0060】
[色素誘導体(F)]
本発明の感光性組成物は、必要に応じて色素誘導体(F)を含有できる。
【0061】
色素誘導体(F)は、特に制限はなく、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する色素誘導体が挙げられる。色素誘導体(F)は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物、およびこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノーン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノーン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノーン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。
【0062】
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体としては、特開2001-220520号公報、国際公開第2009/081930号、国際公開第2011/052617号、国際公開第2012/102399号、特開2017-156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体としては、特開2007-226161号公報、国際公開第2016/163351号、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノーン系色素誘導体としては、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、国際公開第2009/025325号、キナクリドン系色素誘導体としては、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体としては、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体としては、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体としては、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体としては、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体としては、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系色素誘導体としては、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体としては、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、酸性置換基としては、特開2004-307854号公報、塩基性置換基としては、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報、などに記載の公知の色素誘導体が挙げられる。なお、これらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
【0063】
色素誘導体(F)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0064】
色素誘導体(F)の含有量は、顔料(A)100質量部に対して、1~15質量部が好ましく、2~10質量部がより好ましい。
【0065】
[分散樹脂(G)]
本発明の感光性組成物は、必要に応じて分散樹脂(G)を含有できる。
分散樹脂(G)は、顔料に親和性が高い吸着基を有している。吸着基は、カチオン性基、およびアニオン性基のうち1種以上が好ましい。
【0066】
カチオン性基を有する樹脂は、例えば、カチオン性基として、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニア塩基、および含窒素複素環など窒素原子を含有する基等が挙げられる。
【0067】
アニオン性基を有する樹脂は、例えば、アニオン性基として、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。なかでも、顔料への吸着性の観点からカルボキシル基、リン酸基であることが好ましい。
【0068】
分散樹脂(G)の樹脂種は、例えば、ウレタン樹脂、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0069】
分散樹脂(G)の構造は、例えば、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造、くし型構造、および星型構造等が挙げられる。これらの中でも、分散安定性の観点から、ブロック構造、またはくし型構造が好ましい。
【0070】
分散樹脂(G)の市販品は、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101, 103, 107, 108, 110,111,116,130,140,154,161,162,163,164,165,166,167,168,170,171,174,180,181,182,183,184,185,190,2000,2001,2009,2010,2020,2025,2050,2070,2095,2150,2155,2163,2164、またはAnti-Terra-U203,204、またはBYK-P104,P104S,220S、またはLactimon、Lactimon-WS、またはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000,9000,13000,13240,13650,13940,16000,17000,18000,20000,21000,24000,26000,27000,28000,31845,32000,32500,32550,33500,32600,34750,35100,36600,38500,41000,41090,53095,55000,56000,76500等、BASFジャパン社製のEFKA-46,47,48,452,4008,4009,4010,4015,4020,4047,4050,4055,4060,4080,4400,4401,4402,4403,4406,4408,4300,4310,4320,4330,4340,450,451,453,4540,4550,4560,4800,5010,5065,5066,5070,7500,7554,1101,120,150,1501,1502,1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスーパーPA111,PB711,PB821,PB822,PB824等、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報等に記載の樹脂が挙げられる。
【0071】
分散樹脂(G)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0072】
分散樹脂(G)の含有量は、分散安定性の観点から、顔料(A)100質量部に対して、3~200質量部が好ましく、5~100質量部がより好ましい。
【0073】
[アルカリ可溶性樹脂(B)]
本発明の感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(B)を含む。
【0074】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、アルカリ現像液に溶解する樹脂であり、厚さ2μmの被膜形成時に400~700nmの全波長領域において透過率が80%以上の樹脂が好ましい。なお、透過率は、95%以上が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(B)は、非感光性アルカリ可溶性樹脂、感光性アルカリ可溶性樹脂に分類できる。アルカリ可溶性基は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、フェノール性ヒドロキシル基などが挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基が好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂(B)は、エポキシ基やオキセタニル基等の熱硬化性基を含有できる。
【0075】
(非感光性アルカリ可溶性樹脂)
非感光性アルカリ可溶性樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。
【0076】
(感光性アルカリ可溶性樹脂)
感光性アルカリ可溶性樹脂は、重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂である。感光性アルカリ可溶性樹脂は、例えば、以下に示す(i)または(ii)の方法で合成する樹脂が好ましい。活性エネルギー線による硬化で樹脂は、3次元架橋して架橋密度が向上し薬品耐性が向上する。
【0077】
[方法(i)]
方法(i)は、例えば、まず、エポキシ基含有単量体、およびその他単量体の重合体を合成する。次いで、前記重合体のエポキシ基に、モノカルボキシル基含有単量体を付加し、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させて感光性アルカリ可溶性樹脂を得る方法が挙げられる。
【0078】
エポキシ基含有単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0079】
その他単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのEO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;
スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエ-ト、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナ-ト、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラ-ト、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノア-ト、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、後述する水酸基含有単量体の水酸基に、たとえば5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応させた化合物等のリン酸エステル基含有単量体が挙げられる。
【0080】
モノカルボキシル基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられる。
【0081】
多塩基酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。また、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解することもできる。
【0082】
また、方法(i)に似た方法として、例えば、カルボキシル基含有単量体、およびその他単量体の重合体を合成する。次いで、前記重合体のカルボキシル基の一部にエポキシ基含有単量体を付加し、感光性アルカリ可溶性樹脂を得る方法が挙げられる。
【0083】
[方法(ii)]
方法(ii)は、例えば、水酸基含有単量体、モノカルボキシル基含有単量体、およびその他単量体の重合体を合成する。次いで、前記重合体の水酸基に、イソシアネート基含有単量体のイソシアネート基を反応させる方法が挙げられる。
【0084】
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタクリレート類が挙げられる。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも挙げられる。これらの中でも被膜中に異物が生じ難い面で2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。また、光感度の面でグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0085】
イソシアネート基含有単量体は、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0086】
モノカルボキシル基含有単量体、およびその他単量体は、上述したものを使用できる。
【0087】
アルカリ可溶性樹脂(B)の合成に使用する原料は、それぞれ単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0088】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0089】
アルカリ可溶性樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、現像性の観点から、2,000~40,000が好ましく、3,000~300,00がより好ましく、4,000~20,000が特に好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下が好ましい。適度な重量平均分子量(Mw)により基板に対する密着性、およびアルカリ現像溶解性が向上する。
【0090】
アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価は、50~200mgKOH/gが好ましく、70~180mgKOH/gがより好ましく、90~170mgKOH/gがさらに好ましい。適度な酸価により基板に対する密着性、およびアルカリ現像溶解性が向上する。
【0091】
アルカリ可溶性樹脂(B)の含有量は、顔料(A)100質量部に対して、20~400質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましい。
【0092】
[重合性化合物(C)]
本発明の感光性組成物は、重合性化合物(C)を含む。重合性化合物(C)は、重合性不飽和基を含有するモノマー(単量体)、2量体、3量体、およびオリゴマーである。重合性不飽和基は、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。重合性化合物(C)は、例えば、酸基を有する重合性化合物(C-1)、ウレタン結合および酸基を有する重合性化合物(C-2)(ただし、(C-1)を除く)、その他重合性化合物(C-3)が挙げられる。
【0093】
(酸基を有する重合性化合物(C-1))
本発明の感光性組成物は、酸基を有する重合性化合物(C-1)を含むことが好ましい。これにより、フォトリソグラフィー法でパターン形成する際に現像残渣を抑制できるため指紋認証精度が向上する。酸基を有する重合性化合物(C-1)の酸基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。なかでも、カルボキシル基が好ましい。
【0094】
酸基を有する重合性化合物(C-1)は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げられる。
多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
ジカルボン酸類は、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、フタル酸イタコン酸等が挙げられる。
多価カルボン酸は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0095】
酸基を有する重合性化合物(C-1)の市販品は、例えば、大阪有機社製のビスコート#2500P、東亜合成社製アロニックスM-5300,M-5400,M-5700,M-510,M-520,M-521等が挙げられる。
【0096】
酸基を有する重合性化合物(C-1)の含有量は、パターン形成時の現像残渣の観点から、前記重合性化合物(C)100質量%中、5~100質量%が好ましく、25~100質量部%がより好ましい。パターン形成性が向上することで、指紋認証精度も向上する。
【0097】
(ウレタン結合および酸基を有する重合性化合物(C-2))
本発明の感光性組成物は、ウレタン結合および酸基を有する重合性化合物(C-2)を含むことがより好ましい。前記重合性化合物(C-2)は、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
一般式(5)(H2C=C(R1)COO)m-X-(OCOCH(R1)CH2S(R2)COOH)n
一般式(5)中、R1は、水素原子又はメチル基、R2は、炭素数1~12の炭化水素基、Xは、(m+n)価の炭素数3~60のウレタン結合を有する有機基、mは2~18の整数、nは1~3の整数を示す。
【0098】
一般式(5)で表される化合物は、例えば、まず、多官能イソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させる。次いで、生成物にカルボキシル基を有するメルカプト化合物を付加させる方法で合成できる。
【0099】
前記多官能イソシアネートは、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0100】
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロ-ルアクリレートメタクリレート、グリセロ-ルジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオ-ルポリアクリレート等が挙げられる。
【0101】
前記カルボキシル基を有するメルカプト化合物は、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、o-メルカプト安息香酸、2-メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸等が挙げられる。
【0102】
ウレタン結合および酸基を有する重合性化合物(C-2)の含有量は、パターン形成時の現像残渣の観点から、重合性化合物(C)100質量%中、5~100質量%が好ましく、25~100質量%がより好ましい。
【0103】
(その他重合性化合物(C-3))
その他重合性化合物(C-3)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロ-ルプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロ-ル化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0104】
その他重合性化合物(C-3)の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD R-128H、R526、PEG400DA、MAND、NPGDA、R-167、HX-220、R-551、R712、R-604、R-684、GPO-303、TMPTA、DPHA、DPEA-12、DPHA-2C、D-310、D-330、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120、及び東亜合成社製のアロニックスM-303、M-305、M-306、M-309、M-310、M-321、M-325、M-350、M-360、M-313、M-315、M-400、M-402、M-403、M-404、M-405、M-406、M-450、M-452、M-408、M-211B、M-101A、大阪有機社製のビスコート#310HP、#335HP、#700、#295、#330、#360、#GPT、#400、#405、UV-4108F、UV-4117F、新中村化学社製のNKエステルA-9300、UA-160TM、共栄社化学社製のAH-600、AT-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、DAUA-167等が挙げられる。
【0105】
重合性化合物(C)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0106】
重合性化合物(C)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、1~60質量%が好ましく、2~50質量%がより好ましい。
【0107】
[光重合開始剤(D)]
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤(D)を含む。光重合開始剤(D)を含むことで、感光性組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法により光学フィルタを形成することができる。
【0108】
光重合開始剤(D)は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノーン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノーン、ジエトキシアセトフェノーン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノーン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノーン等のアセトフェノーン系化合物;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタ-ル等のベンゾイン系化合物;
ベンゾフェノーン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノーン、ヒドロキシベンゾフェノーン、アクリル化ベンゾフェノーン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノーン等のベンゾフェノーン系化合物;
チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノーン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;
9,10-フェナンスレンキノーン、カンファ-キノーン、エチルアントラキノーン等のキノーン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
【0109】
市販品では、アセトフェノーン系化合物として、IGM Resins社製で「Omnirad 907」(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン)、「Omnirad 369E」(2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノーン)、「Omnirad 379EG」(2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノーン)、ホスフィン系化合物として、IGM Resins社製で「Omnirad 819」(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド)、「Omnirad TPO」(ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド)、オキシム系化合物として、BASFジャパン社製の1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE-01)、エタノーン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE 02)、IRGACURE OXE 04)、ADEKA社製のN-1919、NCI-730、NCI-831、NCI-930、常州強力新材料社製のTRONLY TR-PBG-304、TRONLY TR-PBG-305、TRONLY TR-PBG-309、TRONLY TR-PBG-3054等が挙げられる。また、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報等に記載のオキシムエステル系光重合開始剤も挙げられる。
【0110】
光重合開始剤(D)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0111】
光重合開始剤(D)の含有量は、顔料(A)100質量部に対して、光硬化性、現像性の観点から、2~50質量部が好ましく、2~30質量部がより好ましい。
【0112】
[トリアリールスルホニウム化合物(E)]
本発明の感光性組成物は、トリアリールスルホニウム化合物(E)を含有することが好ましい。トリアリールスルホニウム化合物(E)を使用することで、波長700~730nmにおける透過率を効果的に抑制できる。
【0113】
トリアリールスルホニウム化合物(E)は、下記一般式(6)で表される化合物を含む。
一般式(6)
【化6】
【0114】
一般式(6)中、R1~R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、置換基を有してよいアルキル基、置換基を有してよいアルコキシル基、置換基を有してよいアリール基を示す。X-は、一価の対アニオンを示す。
【0115】
一般式(6)におけるにR1~R3、及びX-ついて説明する。
【0116】
一般式(6)中、R1~R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、置換基を有してよいアルキル基、置換基を有してよいアルコキシル基、置換基を有してよいアリール基を示す。
【0117】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0118】
置換基を有してよいアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖アルキル基、又は分岐アルキル基、及びシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基の他、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基等の置換基を有するアルキル基が挙げられる。
【0119】
置換基を有してもよいアルコキシル基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペントキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖アルコキシル基、又は分岐アルコキシル基、及びシクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の環状アルコキシル基の他、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルオキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等の置換基を有するアルコキシル基が挙げられる。
【0120】
置換基を有してもよいアリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等のアリール基の他、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等の置換基を有するアリール基が挙げられる。
【0121】
なかでも、波長700~730nmにおける透過率の抑制の観点から、R1~R3のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。
【0122】
一般式(6)中、X-は、一価の対アニオンを示す。X-は、例えば、F-、Cl-、Br-、I-、下記一般式(7)~(12)で表される化合物等が挙げられる。
【0123】
一般式(7) MYa
-
一般式(7)中、Mはリン原子、ホウ素原子、又はアンチモン原子を表す。Yはハロゲン原子を表し、aは4~6の整数を表す。
【0124】
一般式(7)で表される化合物は、例えばPF6
-、BF6
-、SbF6
-が挙げられる。なかでも、PF6が好ましい。
【0125】
一般式(8) (Rf)bPF6-b
-
一般式(8)中、Rfは水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換された炭素数1~8のアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。bは1~5の整数を表す。
【0126】
一般式(8)で表される化合物は、例えば(CF3CF2)2PF-
4、(CF3CF2)3PF3
-、(CF3CF2CF2)2PF4
-、((CF3)2CF)3PF3
-、(CF3CF2CF2)2PF4
-等が挙げられる。
【0127】
一般式(9) R4
cLYc
-
一般式(9)中、R4は少なくとも水素原子の1個がハロゲン原子で置換されたフェニル基を表す。Lはホウ素原子、ガリウム原子を表し、cは1~4の整数を表す。
【0128】
一般式(9)で表される化合物は、例えば(C6F5)B-、((CF3)2C6H3)B-、(CF3C6H4)4B-、(C6F5)4Ga-、(C6H3F2)4Ga-などが挙げられる。
【0129】
一般式(10) R5SO3
-
一般式(10)中、R5は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~20のパーフルオルアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基を表し、アルキル基及びパーフルオルアルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、アリール基は無置換であっても、置換基を有してもよい。
【0130】
一般式(10)で表される化合物は、例えばトリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸アニオン、ナノフルオルブタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロフェニルスルホン酸アニオン、p-トルエンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、ブタンスルホン酸アニオン等が挙げられる。
【0131】
一般式(11) (R6SO2)3C-
一般式(11)中、R6は炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のパーフルオロアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基を表し、アルキル基及びパーフルオルアルキル基は直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、アリール基は無置換であっても、置換基を有してもよい。
【0132】
一般式(11)で表される化合物は、例えば(CF3SO2)3C-、(C2F5SO2)3C-、(C3F7SO2)3C-、(C4F9SO2)3C-等が挙げられる。
【0133】
一般式(12) (R7SO2)2N-
一般式(12)中、R7は炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のパーフルオロアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基を表し、アルキル基及びパーフルオルアルキル基は直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、アリール基は置換基を有してもよい。
【0134】
一般式(12)で表される化合物は、例えば(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、(C3F7SO2)2N-、(C4F9SO2)2N-等が挙げられる。
【0135】
また、上記アニオン以外に、過ハロゲン酸イオン(Cl04
-、BrO4
-等)、ハロゲン化スルホン酸イオン(FSO3
-、ClSO3
-等)、硫酸イオン(CH3SO4
-、CF3SO4
-、HSO4
-等)、炭酸イオン(HCO3
-、CH3CO3
-等)、アルミン酸イオン(AlCl4
-、AlF4
-等)、カルボン酸イオン(CHCOO-、CF3COO-、C6H5COO-、CH3C6H4COO-、C6F5COO-等)、アリールホウ酸イオン(B(C6H5)4
-等)、特開2013-092657号公報、特開2013-080245号公報、特開2013-080240号公報、特開2013-047211号公報、特開2013-033161号公報等に記載のアニオンが挙げられる。
【0136】
なかでも、波長700~730nmにおける透過率の抑制の観点から、X-は、Cl-、Br-、PF6
-、BF6
-、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオンが好ましい。
【0137】
一般式(6)で表されるトリアリールスルホニウム化合物(E)は、例えば、下記の化合物が挙げられる。
【0138】
【0139】
トリアリールスルホニウム化合物(E)の市販品は、例えば、富士フィルム和光純薬社製のWPAG-336,367,370,469,638、ADEKA社製のSP-056,066、三和ケミカル社製のTS-91、東京化成工業社製のT1608,1609等が挙げられる。
【0140】
トリアリールスルホニウム化合物(E)は、単独又は2種以上を併用して使用できる。
【0141】
トリアリールスルホニウム化合物(E)の含有量は、波長700~730nmにおける透過率の抑制の観点から、一般式(1)で表される顔料(A-2)100質量部に対して、0.1~15質量部が好ましく、0.2~10質量部がより好ましく、0.5~5質量%がさらに好ましい。
【0142】
[近赤外線吸収剤(H)]
本発明の感光性組成物は、近赤外線吸収剤(H)を含有できる。これにより、身体組織に対して、透過性が高い近赤外光を遮断できるため指紋認証の精度が向上する。近赤外線吸収剤(H)は、波長750~1,200nmの光を吸収する化合物である。
【0143】
近赤外線吸収剤(H)は、例えば、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、インモニウム化合物、ピロロピロ-ル化合物、スクアリリウム化合物、クロコニウム化合物等が挙げられる。これらの中でも、シアニン化合物、ピロロピロ-ル化合物、スクアリリウム化合物が好ましい。
【0144】
近赤外線吸収剤(H)の中でシアニン化合物は、国際公開第WO2006/006573号、国際公開第WO2010/073857号、特開2013-241598号公報、特開2016-113501号公報、特開2016-113504号公報;フタロシアニン化合物は、特開平4-23868号公報、特開平06-192584号公報、特開2000-63691号公報、国際公開第WO2014/208514号;ナフタロシアニン化合物は、特開平11-152414号公報、特開2000-86919号公報、特開2009-29955号公報、国際公開第WO2018/186490号;インモニウム化合物は、特開2005-336150号公報、特開2007-197492号公報、特開2008-88426号公報;ピロロピロ-ル化合物は、特開2009-263614号公報、特開2010-90313号公報、特開2011-068731号公報;スクアリリウム化合物は、特開2011-132361号公報、特開2016-142891号公報、国際公開第WO2017/135359号、国際公開第WO2018/225837号、特開2019-001987号公報、国際公開第WO2020/054718号;クロコニウム化合物は、国際公開第WO2019/021767号などに記載の化合物が挙げられる。
【0145】
近赤外線吸収剤(H)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0146】
[増感剤(I)]
本発明の感光性組成物は、増感剤(I)を含有できる。
【0147】
増感剤(I)は、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファ-キノーン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノーン誘導体、アントラキノーン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノール誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリ-ルメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレ-ン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラ-ケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノーン、カンファ-キノーン、エチルアンスラキノーン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノーン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノーン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノーン等が挙げられる。
【0148】
増感剤(I)の中で、チオキサントン誘導体、ミヒラ-ケトン誘導体、カルバゾール誘導体が好ましい。具体的な化合物は、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノーン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノーン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノーン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が好ましい。
【0149】
増感剤(I)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0150】
増感剤(I)の含有量は、光重合開始剤(D)100質量部に対し、3~60質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましい。適量含有すると光硬化性、現像性が向上する。
【0151】
[熱硬化性化合物(J)]
本発明の感光性組成物は、熱硬化性化合物(J)を含有できる。これにより被膜形成後の加熱工程で熱硬化性化合物(J)反応し架橋密度が高まるため耐熱性が向上する。
【0152】
熱硬化性化合物(J)は、低分子化合物や、樹脂のような高分子量化合物でもよい。熱硬化性化合物(J)は、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、およびフェノール化合物が挙げられる。これらの中でもエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましい。
【0153】
(エポキシ化合物(J-1))
エポキシ化合物(J-1)は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノールボルナジエン、ビニルノールボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノーン、ベンゾフェノーン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0154】
市販品は、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート807,815,825,827,828,190P,191P、三井化学社製のTECHMORE VG3101L、日本化薬社製のEPPN-201,501H,502H、EOCN-102S,103S,104S,1020ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1004,1256、JER1032H60,157S65,157S70,152,154、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、EHPE-3150、ナガセケムテックス社製のデナコールEX-211,212,252,313,314,321,411,421,512,521,611,612,614,614B,622,711,721、日産化学工業社製のTEPIC-L,H,S等が挙げられる。
【0155】
エポキシ化合物(J-1)の含有量は、被膜の耐熱性の観点から、顔料(A)100質量部に対して、0.5~300質量部が好ましく、1.0~50質量部がより好ましい。
【0156】
(オキセタン化合物(J-2))
オキセタン化合物(J-2)は、オキセタン基を有する公知の化合物である。オキセタン化合物は、1官能オキセタン化合物、2官能オキセタン化合物、3官能以上のオキセタン化合物が挙げられる。
【0157】
1官能オキセタン化合物は、例えば、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、 (3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-メタクリロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
【0158】
市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のOXE-10,30、東亞合成社製のOXT-101,212等が挙げられる。
【0159】
2官能オキセタン化合物は、例えば、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-フェノキシメチル)オキセタン、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコ-スビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0160】
市販品は、例えば、宇部興産社製のOXBP、OXTP、東亞合成社製OXT-121,221等が挙げられる。
【0161】
3官能以上のオキセタン化合物は、例えば、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロ-ルプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や前述のOXE-30のような(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0162】
オキセタン化合物(J-2)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~50質量%が好ましく、1~40質量%がより好ましい。
【0163】
メラミン化合物は、メラミン環構造を有する化合物である。メラミン化合物は、メチロ-ル型やエーテル型の化合物が好ましく、メラミン環1個当たりのメチロ-ル基および/またはエーテル基数が平均5.0以上のメラミン化合物がより好ましい。適度にメチロ-ル基やエーテル基数を有すると過不足ない耐熱性が得やすい。
【0164】
市販品は、例えば、三和ケミカル社製の二カラックMW-30HM,MW-390,MW-100LM,MX-750LM,MW-30M,MW-30,MW-22,MS-21,MS-11,MW-24X,MS-001,MX-002,MX-730,MX-750,MX-708,MX-706,MX-042,MX-45,MX-500,MX-520,MX-43,MX-417,MX-410、日本サイテックインダストリーズ社製のサイメル232,235,236,238,285,300,301,303,350,370等が挙げられる。
【0165】
これらの中でもメラミン環1個当たりのメチロ-ル基および/またはエーテル基数が平均5.0以上である、二カラックMW-30HM、MW-390、MW-100LM、MX-750LM、MW-30M、MW-30、MW-22、MS-21、MS-11、MW-24X、MX-45(いずれも三和ケミカル社製)、サイメル232,235,236,238,300,301,303,350(いずれも日本サイテックインダストリ-ズ社製)等は、架橋密度を高められる面で好ましい。
【0166】
熱硬化性化合物(J)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0167】
本発明の感光性組成物は、熱硬化性化合物の硬化を補助するため、硬化剤(硬化促進剤)を併用できる。硬化剤は、例えば、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。硬化剤は、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
【0168】
硬化剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0169】
硬化剤の含有量は、熱硬化性化合物(J)100質量部に対して、0.01~15質量部が好ましい。
【0170】
[チオール系連鎖移動剤(K)]
本発明の感光性組成物は、チオール系連鎖移動剤(K)を含有できる。チオール系連鎖移動剤(K)は、光重合開始剤(D)と併用すると光照射後のラジカル重合の際、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し、感光性組成物の光感度が向上する。
【0171】
チオール系連鎖移動剤(K)は、チオール基(SH基)2以上有る多官能チオールが好ましい。なお、チオール系連鎖移動剤は、SH基を4以上有することがより好ましい。官能基数が増えると被膜の表面から最深部まで光硬化し易くなる。
【0172】
多官能チオールは、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオ-ルビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオ-ルビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオグリコレート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられる。
【0173】
チオール系連鎖移動剤(K)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0174】
チオール系連鎖移動剤(K)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量部に対して、1~10質量部が好ましく、2~8質量部がより好ましい。適量含有すると光感度が向上し、被膜表面にシワが発生し難くなる。
【0175】
[重合禁止剤(L)]
本発明の感光性組成物は、重合禁止剤(L)を含有できる。
【0176】
重合禁止剤(L)は、例えば、カテコール、レゾールシノール、1,4-ヒドロキノーン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-t-ブチルカテコール、3-t-ブチルカテコール、4-t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾールシノール、4-メチルレゾールシノール、2-エチルレゾールシノール、4-エチルレゾールシノール、2-プロピルレゾールシノール、4-プロピルレゾールシノール、2-n-ブチルレゾールシノール、4-n-ブチルレゾールシノール、2-t-ブチルレゾールシノール、4-t-ブチルレゾールシノール等のアルキルレゾールシノール系化合物、メチルヒドロキノーン、エチルヒドロキノーン、プロピルヒドロキノーン、t-ブチルヒドロキノーン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノーン等のアルキルヒドロキノーン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロ-ル、フロログルシン等が挙げられる。
【0177】
重合禁止剤(L)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.01~0.4質量中が好ましい。
【0178】
[紫外線吸収剤(M)]
本発明の感光性組成物は、紫外線吸収剤(M)を含有できる。
【0179】
紫外線吸収剤(M)は、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、ベンゾフェノーン系有機化合物、サリチル酸エステル系有機化合物、シアノアクリレート系有機化合物、及びサリシレート系有機化合物等が挙げられる。
【0180】
ベンゾトリアゾール系化合物は、例えば、2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル 3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネートが挙げられる。
【0181】
市販品は、例えば、BASFジャパン社製のTINUVIN P,PS,234,326,329,384-2,900,928,99-2,1130、ADEKA社製のアデカスタブLA-29,LA-31RG,LA-32,LA-36、ケミプロ化成社製のKEMISORB71,73,74,79,279、大塚化学社製のRUVA-93等が挙げられる。
【0182】
トリアジン系化合物は、例えば、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0183】
市販品は、例えば、ケミプロ化成社製のKEMISORB 102、BASFジャパン社製のTINUVIN 400,405,460,477,479,1577ED、ADEKA社のアデカスタブLA-46,LA-F70、サンケミカル社製のCYASORB UV-1164等が挙げられる。
【0184】
ベンゾフェノーン系化合物は、例えば、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノーン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノーン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノーン5-スルホン酸-3水温、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノーン、2,2’-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノーン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノーン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノーン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノーン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノーン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノーン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノーン等が挙げられる。
【0185】
市販品は、例えば、ケミプロ化成社製のKEMISORB 10,11,11S,12,111、シプロ化成社製のSEESORB 101,107、ADEKA社製のアデカスタブ1413、サンケミカル社製のUV-12等が挙げられる。
【0186】
サリチル酸エステル系化合物は、例えば、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。
【0187】
紫外線吸収剤(M)の含有量は、光重合開始剤(D)と紫外線吸収剤(M)との合計100質量%中、5~70質量%が好ましい。
【0188】
[酸化防止剤(N)]
本発明の感光性組成物は、酸化防止剤(N)を含有できる。酸化防止剤(N)は、感光性組成物に含まれる光重合開始剤(D)や熱硬化性化合物(J)が、熱硬化やITOアニ-ル時の熱工程によって酸化による黄変を防ぎ、被膜の透過率の低下を抑制できる。特に、感光性組成物の顔料濃度が高い場合、相対的に光重合性化合物の含有量が減少するため、光重合開始剤の増量や、熱硬化性化合物の配合で対応すると被膜が黄変し易い。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、被膜の透過率の低下を抑制できる。
【0189】
酸化防止剤(N)は、例えば、ヒンダ-ドフェノール系、ヒンダ-ドアミン系、リン系、イオウ系、およびヒドロキシルアミン系の化合物が挙げられる。なお、本明細書で酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
【0190】
これらの中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、ヒンダ-ドフェノール系酸化防止剤、ヒンダ-ドアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましい。
【0191】
ヒンダ-ドフェノール系酸化防止剤は、例えば、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,1,3-トリス-(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-ブタン、4,4’-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-4-t-ブチル-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、2,2’-メチレンビス(6-t-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-チオジエチルビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、i-オクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステルのカルシウム塩、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、ビス[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン、1,6-ヘキサンジオ-ルビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,2’-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-アミル-ヒドロキノーン、2,6-ジ-t-ブチル-4-ノニルフェノール、2,2’-イソブチリデン-ビス-(4,6-ジメチル-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-(1-メチル-シクロヘキシル)-p-クレゾール)、2,4-ジメチル-6-(1-メチル-シクロヘキシル)-フェノール等が挙げられる。
【0192】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-20,AO-30,AO-40,AO-50,AO-60,AO-80,AO-330、ケミプロ社製のKEMINOX101,179,76,9425、BASFジャパン社製のIRGANOX1010,1035,1076,1098,1135,1330,1726,1425WL,1520L,245,259,3114,5057,565、サンケミカル社製のサイアノックスCY-1790,CY-2777等が挙げられる。
【0193】
ヒンダ-ドアミン系酸化防止剤は、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールと3,5,5-トリメチルヘキサン酸のエステル、N,N’-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル,1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジル)[[3,5-ビス(1,1ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジルセバケート、ポリ[[6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-C12-21およびC18不飽和脂肪酸エステル、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。
【0194】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブLA-52,LA-57,LA-63P,LA-68,LA-72,LA-77Y,LA-77G,LA-81,LA-82,LA-87,LA-402F,LA-502XP、ケミプロ化成社製のKAMISTAB29,62,77,94、BASFジャパン社製のTinuvin111FDL,123,144,249,292,5100、サンケミカル社製のサイアソ-ブUV-3346,UV-3529,UV-3853等が挙げられる。
【0195】
リン系酸化防止剤は、例えば、ジ(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニルジフォスホニト、トリス(トリデシル)ホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールアルキルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリスジノニルフェニルホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、ジ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラトリデシル4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ソジウム-2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスファイト、1,3-ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)-ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジt-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。
【0196】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブPEP-36,PEP-8,HP-10,2112,1178,1500,C,135A,3010,TPP、BASFジャパン社製のIRGAFOS168、クラリアントケミカルズ社製のHostanoxP-EPQ等が挙げられる。
【0197】
イオウ系酸化防止剤は、例えば、2,2-ビス{〔3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ〕メチル}プロパン-1,3-ジイルビス〔3-(ドデシルチオ)プロピオネート〕、3,3’-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。
【0198】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-412S,AO-503、ケミプロ化成社製のKEMINOXPLS等が挙げられる。
【0199】
酸化防止剤(N)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0200】
酸化防止剤(N)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~5.0質量%が好ましい。適量含有すると透過率、分光特性、および感度が向上する。
【0201】
[レベリング剤(O)]
本発明の感光性組成物は、レベリング剤(O)を含有できる。これにより、被膜形成時の基板に対する濡れ性および被膜の乾燥性がより向上する。レベリング剤(O)は、例えば、シリコ-ン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0202】
シリコ-ン系界面活性剤は、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0203】
市販品は、例えば、ビックケミー社製のBYK-300,306,310,313,315N,320,322,323,330,331,333,342,345,346,347,348,349,370,377,378,3455,UV3510,3570、東レ・ダウコ-ニング社製のFZ-7002,2110,2122,2123,2191,5609、信越化学工業社製のX-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0204】
フッ素系界面活性剤は、例えば、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレベリング剤が挙げられる。
【0205】
市販品は、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-242,243,420,611,651,386、DIC社製のメガファックF-253,477,551,552,555,558,560,570,575,576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製のFC-4430,4432、三菱マテリアル電子化成社製のEF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェントの602A等が挙げられる。
【0206】
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテ-ト、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ-ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロ-ルモノステアレート、グリセロ-ルモノオレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0207】
市販品は、例えば、花王社製のエマルゲン103,104P,106,108,109P,120,123P,130K,147,150,210P,220,306P,320P,350,404,408,409PV,420,430,705,707,709,1108,1118S-70,1135S-70,1150S-60,2020G-HA,2025G,LS-106,LS-110,LS-114,MS-110,A-60,A-90,B-66,PP-290、ラテムルPD-420,PD-430,PD-430S,PD-450、レオドールSP-L10,SP-P10,SP-S10V,SP-S20,SP-S30V,SP-O10V,SP-O30V、スーパーSP-L10,AS-10V,AO-10V,AO-15V,TW-L120,TW-L106,TW-P120,TW-S120V,TW-S320V,TW-O120V,TW-O106V,TW-IS399C、スーパーTW-L120,430V,440V,460V,MS-50,MS-60,MO-60,MS-165V、エマノーン1112,3199V,3299V,3299RV,4110,CH-25,CH-40,CH-60(K),アミ-ト102,105,105A,302,320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、ADEKA社製のアデカプルロニック(登録商標)L-23,31,44,61,62,64,71,72,101,121、TR-701,702,704,913R、共栄社化学社製の(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフロ-No.75,No.90,No.95等が挙げられる。
【0208】
カチオン性界面活性剤は、例えばアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0209】
市販品は、例えば、花王社製のアセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0210】
アニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0211】
市販品は、例えば、ネオス社製のフタージェント100,150、ADEKA社製のアデカホープYES-25、アデカコールTS-230E,PS-440E,EC-8600等が挙げられる。
【0212】
両性界面活性剤は、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0213】
市販品は、花王社製のアンヒトール20AB,20BS,24B,55AB,86B,20Y-B,20N等が挙げられる。
【0214】
レベリング剤(O)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0215】
レベリング剤(O)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2.0質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。この範囲内であることで、感光性組成物の塗布性とパターン密着性、透過率のバランスがより向上する。
【0216】
[貯蔵安定剤(P)]
本発明の感光性組成物は、貯蔵安定剤(P)を含有できる。これにより、感光性組成物の経時粘度が安定化する。貯蔵安定剤(P)は、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0217】
貯蔵安定剤(P)の含有量は、顔料(A)100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。
【0218】
[密着向上剤(Q)]
本発明の感光性組成物は、密着向上剤(Q)を含有できる。これにより被膜と基材の密着性が向上する。また、フォトリソグラフィー法で幅が狭いパターンを形成し易くなる。
【0219】
密着向上剤(Q)は、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類などのシランカップリング剤が挙げられる。
【0220】
密着向上剤(Q)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0221】
密着向上剤(Q)の含有量は、顔料(A)100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.05~5質量部がより好ましい。
【0222】
[有機溶剤(R)]
本発明の感光性組成物は、有機溶剤(R)を含有できる。
【0223】
有機溶剤(R)は、例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、1,3-ブタンジオ-ル、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノーン、2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオ-ル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノーン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、o-クロロトールエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトールエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、顔料の分散性、アルカリ可溶樹脂の溶解性の観点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類が好ましい。
【0224】
有機溶剤(R)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0225】
<感光性組成物の製造方法>
本発明の感光性組成物は、例えば、顔料(A)、アルカリ可溶樹脂(B)、および必要に応じて色素誘導体(F)、分散樹脂(G)、有機溶剤(R)等を加えて分散処理を行うことで、分散体を製造する。その後、前記分散体に、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)を配合し混合することで製造できる。なお、各材料を配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。
【0226】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロ-ルミル、3本ロールミル、ボ-ルミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビ-ズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0227】
分散体中の顔料(A)の平均分散粒子径(二次粒子径)は、30~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましい。適度な粒子径を有すると分散安定性が高い感光性組成物が得やすい。
【0228】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワ-スペクトール法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モ-ド、粒子形状を非球形とし、D50粒子径を平均径とする。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0229】
感光性組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、および混入した塵の除去を行うことが好ましい。本発明の紋認証センサ用感光性組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0230】
<光学フィルタ>
本発明の光学フィルタは、基板、および感光性組成物を用いて形成されてなる被膜を備える。前記被膜は、フォトリソグラフィー法でパターンを形成することが好ましい。
【0231】
[光学フィルタの製造方法]
光学フィルタは、例えば、基板上に感光性組成物を塗布し被膜を形成する工程(1)、前記被膜に、マスクを介してパターン状に露光する工程(2)、未露光部分を現像除去しパターンを形成する工程(3)、前記パターンを加熱処理する工程(4)を行い作製できる。
【0232】
以下、光学フィルタの製造方法を詳細に説明する。
(工程(1))
被膜を形成する工程(1)は、感光性組成物を基板上に、例えば、回転塗布、ロ-ル塗布、スリット塗布、流延塗布、またはインクジェット塗布等の方法で塗布し、必要に応じてオーブン、ホットプレート等を用いて、50~120℃の温度で10~120秒乾燥(プリベーク)する。
前記基板は、例えば、ガラス基板、シリコン基板等が挙げられる。シリコン基板は、例えば、表面にCCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基板上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
被膜厚さは、乾燥後0.05~2.0μmになるように塗布することが好ましい。
【0233】
(工程(2))
露光工程は、工程(1)で得られた被膜を、例えば、ステッパ-等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより硬化した被膜が得られる。
露光に用いる放射線は、例えば、g線、h線、i線等の紫外線が挙げられる。
【0234】
(工程(3))
工程(2)で得られた硬化被膜は、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の被膜がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残る。
現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム, 硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロ-ル、ピペリジン、1 ,8-ジアザビシクロ-〔5 .4 .0 〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。
アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
【0235】
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドール法等が挙げられる。現像温度は15~40℃ が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0236】
(工程(4))
加熱処理は、工程(3)で得られたパターンを加熱処理(ポストベーク)により被膜を十分に硬化させる。ポストベークの加熱温度は、100~300℃が好ましく、150~250℃がより好ましい。また、加熱時間は、2分間~1時間程度が好ましく、3分間~30分間程度がより好ましい。
【0237】
次に、本発明の感光性組成物により形成される被膜の各波長領域における透過率について説明する。
【0238】
[波長440~590nmの透過率]
本発明の感光性組成物は、膜厚1.0μmの被膜を形成した際に、指紋認証精度の観点から、波長440~590nmにおける透過率が50%以上であることが好ましい。なお、波長435~600nmにおける透過率は50%以上がより好ましく、波長430~600nmにおける透過率は50%以上が特に好ましい。波長600nmより低波長側で幅広い波長域の光を透過させることで、指紋認証精度が向上する。
【0239】
前記被膜の分光特性、膜厚の測定方法を以下に示す。
【0240】
(膜厚の測定)
本発明の感光性組成物をスピンコート法により、乾燥後の膜厚が1.0μmとなるようにガラス基板上に塗布し、90℃2分間ホットプレートで乾燥後、超高圧水銀ランプを用い、100μm角の正方形パターンのフォトマスクを介して50mJ/cm2の露光量の違う基板をそれぞれ作成した。その後、この基板を23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱(ポストベーク)して基板上に正方形のパターンを形成した。スプレー現像は、それぞれの感光性組成物での被膜について、スプレー現像は、現像残りがなくなるパターン形成可能な最短時間で行った。その後、Dektak 3030(日本真空技術社製)を用いて、任意の場所5点を測定しその平均値を膜厚とした。
なお、上記膜厚1.0μmとは、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。具体的には、膜厚1.0μm±0.1μmの範囲であることを意味する。
【0241】
(透過率の測定)
膜厚を測定した被膜を、OSP-SP100(オリンパス社製)を用いて、各波長における被膜の厚み方向の透過率を測定した。
【0242】
[波長630~690nmの透過率]
本発明の感光性組成物は、膜厚1.0μmの被膜を形成した際に、指紋認証精度の観点から、波長630~690nmにおける透過率が20%以下であることが好ましい。
より好ましくは、波長620~700nmにおける透過率が20%以下である。身体組織に対して、透過性がある程度高い波長660nm付近の光の透過を抑制することで、指紋認証の精度が向上する。
【0243】
[波長700~730nmの透過率]
本発明の感光性組成物は、膜厚1.0μmの被膜を形成した際に、指紋認証精度の観点から、波長700~730nmの透過率が50%以下であることが好ましい。
より好ましくは、波長700~730nmの透過率が40%以下である。
【0244】
<指紋認証センサ>
本発明の指紋認証センサは、本発明の光学フィルタを備えることが好ましい。
本発明の指紋認証センサの構成としては、本発明の光学フィルタを備えられた構成であり、指紋認証センサとして機能する構成であれば特に限定されない。例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0245】
基板上に、CCDイメ-ジセンサ、CMOSイメ-ジセンサ、または有機CMOSイメ-ジセンサ等の受光エリアを構成する複数のフォトダイオ-ド、およびポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオ-ド、及び前記転送電極上にフォトダイオ-ドの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオ-ド受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の光学フィルタを有する構成である。
さらに、上記デバイス保護層上であって光学フィルタの下(基板上に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、光学フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、特開2015-196465号公報、特開2017-194676号公報、特表2019-512762号公報に記載されている。
【0246】
なお、前記有機CMOSイメ-ジセンサは、光電変換層として薄膜のパンクロ感光性有機光電変換膜とCMOS信号読み出し基板を含んで構成され、光を捕捉しそれを電気信号に変換する役割を有機材料が担い、電気信号を外部に取り出す役割を無機材料が担う2層構成のハイブリット構造であり、原理的には入射光に対して開口率を100%にすることができる。有機光電変換膜は、構造フリ-の連続膜でCMOS信号読み出し基板上に敷設できるため、高価な微細加工を必要とせず、画素の微細化に適している。
【0247】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の指紋認証センサを画像表示ディスプレイ内部に備えることが好ましい。
本発明の画像表示装置の構成は、画像表示ディスプレイ上で指紋認証を行うことができればよく、特に限定されない。例えば、特開2015-196465号公報、特開2020-35327号公報、特開2020-92080号公報に記載されている。
図1は、画像表示装置の模式的断面図であり、本発明の指紋認証センサを画像表示ディスプレイ内部に備えている。ディスプレイパネル100は、基板11、駆動層10、指紋認証センサ層20、OLED(有機発光ダイオード)発光層30、カバーガラス層40を含む。
【0248】
基板11は、ガラス、またはプラスチック等が挙げられる。
【0249】
駆動層10は、OLED発光層30および指紋認証センサ層20の発光および受光の機能を損なわないように基板11と指紋認証センサ層20との間に設けられ、指紋認証センサ層20およびOLED発光層30の電気信号を入出力するための多用なトランジスタアレイ及び多層配線が設けられた層間絶縁膜を含む。
【0250】
OLED発光層30は、光33を発光するひとつ以上のOLED31を含み、画像を表示するための領域であると同時に指紋認証のための光を発光する領域である。OLED31は、有機発光部とその上下部にそれぞれ電極を有している。
【0251】
指紋認証センサ層20は、少なくともひとつ以上の指紋認証センサ21を含み、指紋認証センサ21が、OLED31で発光された光33の少なくとも一部のうち認証ターゲットである指によって反射された光23の少なくとも一部を感知する。
【0252】
OLED発光層30の上面には、カバーガラス層40が配置され下部構造を保護し、ディスプレイ表面を形成する。
【0253】
本発明の画像表示装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC等指紋認証を必要とする機器に制限無く使用できる。
【実施例】
【0254】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
【0255】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
【0256】
(顔料(A-2)の同定)
本発明における顔料(A-2)の同定は、飛行時間型質量分析装置(autoflexIII(TOF-MS)、ブルカー・ダルトニクス社製)を用いて得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致、並びに、元素分析装置(2400CHN元素分析装置、パーキン・エルマー社製)を用いて得られる炭素、水素および窒素の比率と、理論値との一致により行った。また、ハロゲン原子の置換数は、顔料を酸素燃焼フラスコ法にて燃焼させ、該燃焼物を水に吸収させた液体を、イオンクロマトグラフ(ICS-2000イオンクロマトグラフィー、DIONEX社製)によりハロゲン量を定量し、ハロゲン原子の置換数に換算することで得た。
【0257】
樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、酸価(mgKOH/g)は、以下の通りである。
【0258】
(アルカリ可溶性樹脂、および分散樹脂の平均分子量)
アルカリ可溶性樹脂、および分散樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットール注入した。分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0259】
(アルカリ可溶性樹脂、および分散樹脂の酸価)
アルカリ可溶性樹脂、および分散樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0260】
(分散樹脂のアミン価)
分散樹脂のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
【0261】
<ハロゲン化フタロシアニン顔料(A-1)の製造>
(微細化した顔料(A-1-1))
C.I.Pigment Green58(DIC社製「FASTGEN GREEN A110」)100部、塩化ナトリウム1,200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3,000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した微細化した顔料(A-1-1)を得た。
【0262】
(微細化した顔料(A-1-2))
C.I.Pigment Green59(DIC社製「FASTGEN GREEN C100」)100部、塩化ナトリウム1,200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3,000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した微細化した顔料(A-1-2)を得た。
【0263】
<一般式(1)で表される顔料(A-2)の製造>
(微細化した顔料(A-2-1))
反応容器中で、濃硫酸1,500部にクロロアルミニウムフタロシアニン100部を氷浴下にて加えた。その後、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン296部を徐々に加え、20℃で8時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、159部の一般式(4)で表される化合物(a-2-1)を得た。
次に、反応容器に、1-メチル-2-ピロリジノン1,000部、一般式(4)で表される化合物(a-2-1)100部、リン酸ジフェニル32部を加えた。85℃で、3時間反応させた後、水8,000部中にこの溶液を注入した。反応生成物をろ過し、水16,000部で洗浄後、減圧下60℃にて一昼夜乾燥させて、112部の生成物を得た。次いで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート600部に得られた生成物を加え、120℃で2時間加熱した。生成物をろ過し、減圧下にて60℃で一昼夜乾燥させて、顔料(A-2-1)を得た。得られた顔料(A-2-1)は、X=臭素、n=10であった。
その後、顔料(A-2-1)100部、粉砕した塩化ナトリウム1,000部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化した顔料(A-2-1)を得た。
【0264】
(微細化した顔料(A-2-2))
前記顔料(A-2-1)の合成において、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン296部を、175部に変更した以外は、前記顔料(A-2-1)の合成と同様にして、顔料(A-2-2)を得た。得られた顔料(A-2-2)は、X=臭素、n=6であった。その後、微細化した顔料(A-2-1)と同様の方法で、微細化した顔料(A-2-2)を得た。
【0265】
(微細化した顔料(A-2-3)
前記顔料(A-2-1)の合成において、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン296部を、215部に変更した以外は、前記顔料(A-2-1)の合成と同様にして、顔料(A-2-3)を得た。得られた顔料(A-2-3)は、X=臭素、n=8であった。その後、微細化した顔料(A-2-1)と同様の方法で、微細化した顔料(A-2-3)を得た。
【0266】
(微細化した顔料(A-2-4)
前記顔料(A-2-1)の合成において、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン296部を、358部に変更した以外は、前記顔料(A-2-1)の合成と同様にして、顔料(A-2-4)を得た。得られた顔料(A-2-4)は、X=臭素、n=12であった。その後、微細化した顔料(A-2-1)と同様の方法で、微細化した顔料(A-2-4)を得た。
【0267】
(微細化した顔料(A-2-5)
前記顔料(A-2-1)の合成において、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン296部を、トリクロロイソシアヌル酸152部に変更した以外は、前記顔料(A-2-1)の合成と同様にして、顔料(A-2-5)を得た。得られた顔料(A-2-5)は、X=塩素、n=10であった。その後、微細化した顔料(A-2-1)と同様の方法で、微細化した顔料(A-2-5)を得た。
【0268】
(微細化した顔料(A-2-6)
反応容器中で、濃硫酸1,500部にクロロアルミニウムフタロシアニン100部を氷浴下にて加えた。その後、トリクロロイソシアヌル酸75部を徐々に加え、20℃で3時間撹拌を行った。続いて、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン170部を徐々に加え、25℃で4時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、159部の一般式(4)で表される化合物(a-2-6)を得た。
次に、反応容器に、1-メチル-2-ピロリジノン1,000部、一般式(4)で表される化合物(a-2-6)100部、リン酸ジフェニル32部を加えた。85℃で、3時間反応させた後、水8,000部中にこの溶液を注入した。反応生成物をろ過し、水16,000部で洗浄後、減圧下60℃にて一昼夜乾燥させて、112部の生成物を得た。次いで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート600部に得られた生成物を加え、120℃で2時間加熱した。生成物をろ過し、減圧下にて60℃で一昼夜乾燥させて、顔料(A-2-6)を得た。得られた顔料(A-2-6)は、X=臭素、及び塩素、n=10(臭素が5、塩素が5)であった。
その後、微細化した顔料(A-2-1)と同様の方法で、微細化した顔料(A-2-6)を得た。
【0269】
<その他顔料(A-3)の製造>
(微細化した顔料(A-3-1))
C.I.Pigment Green7(トーヨーカラー社製「リオノールグリーン8390」)100部、粉砕した塩化ナトリウム1,000部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化した顔料(A-3-1)を得た。
【0270】
(微細化した顔料(A-3-2))
C.I.Pigment Green36(トーヨーカラー社製「リオノールグリーン6YK」)100部、粉砕した塩化ナトリウム1,000部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化した顔料(A-3-2)を得た。
【0271】
(微細化した顔料(A-3-3))
反応容器中で、濃硫酸1,500部にクロロアルミニウムフタロシアニン100部を氷浴下にて加えた。その後、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン225部を徐々に加え、20℃で8時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、159部の顔料(A-3-3)を得た。
顔料(A-3-3)100部、塩化ナトリウム1,200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3,000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した顔料(A-3-3)を作製した。
【0272】
(微細化した顔料(A-3-4))
C.I.Pigment Yellow150(ランクセス社製「Yellow Pigment E4GN」)100部、粉砕した塩化ナトリウム1,000部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化した顔料(A-3-4)を得た。
【0273】
<アルカリ可溶性樹脂(B)の製造例>
(アルカリ可溶性樹脂(B-1)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n-ブチルメタクリレート37.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAc)を添加してアルカリ可溶性樹脂(B-1)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
【0274】
(アルカリ可溶性樹脂(B-2)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにシクロヘキサノンを添加してアルカリ可溶性樹脂(B-2)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は18,000であった。
【0275】
(アルカリ可溶性樹脂(B-3)溶液)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替エアークリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノーン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け不揮発分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してアルカリ可溶性樹脂(B-3)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は19,000であった。
【0276】
(アルカリ可溶性樹脂(B-4)溶液)
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート40部、メタクリル酸40部、メタクリル酸メチル120部、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)4部、PGMAc40部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n-ドデカンチオール8部、PGMAc32部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMAc395部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(体積比)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル70部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部を仕込み、そのまま110℃で12時間反応させた。その後、PGMAc150部を加えて室温まで冷却し、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してアルカリ可溶性樹脂(B-4)溶液を得た。樹脂の重量平均分子量は18,000、不揮発分当たりの酸価は2mgKOH/gであった。
【0277】
(アルカリ可溶性樹脂(B-5)溶液)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロ-トおよび窒素導入管を備えたフラスコに、PGMAc333部を導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート70.5部(0.40モル)、グリシジルメタクリレート71.1部(0.50モル)、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成社製FA-513M)22.0部(0.10モル)および、PGMAc164部からなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6部を添加した溶液を滴下ロ-トから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、メタクリル酸43.0部[0.5モル、(本反応に用いたグリシジルメタクリレートのグリシジル基に対して100モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9部およびハイドロキノーン0.145部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け不揮発分酸価が1mgKOH/gとなったところで反応を終了した。次に、テトラヒドロフタル無水フタル酸60.9部(0.40モル)、トリエチルアミン0.8部を加え、120℃で3.5時間反応させ酸価80mgKOH/gの感光性透明樹脂溶液を得た。室温まで冷却した後、感光性透明樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した感光性透明樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してアルカリ可溶性樹脂(B-5)溶液を調製した。質量平均分子量(Mw)は12,000であった。
【0278】
(アルカリ可溶性樹脂(B-6)溶液)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロ-トおよび窒素導入管を備えたフラスコに、PGMAc182部を導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート70.5部(0.40モル)、メタクリル酸43.0部(0.5モル)、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成社製FA-513M)22.0部(0.10モル)およびPGMAc136部からなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6部を添加した溶液を滴下ロ-トから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート35.5部[0.25モル、(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して50モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9部およびハイドロキノーン0.145部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、酸価が79mgKOH/gの感光性透明樹脂溶液を得た。室温まで冷却した後、感光性透明樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した感光性透明樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してアルカリ可溶性樹脂(B-6)溶液を調製した。質量平均分子量(Mw)は13,000であった。
【0279】
<ウレタン結合および酸基を有する重合性化合物(C-2)の製造例>
(重合性化合物(C-2-1))
四つ口フラスコ内に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート210部、ヘキサメチレンジイソシアネート34部、N,N-ジメチルベンジルアミン0.5部を仕込み、50~70℃の温度で8時間反応させ、IRにより2180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。ついで、メルカプトプロピオン酸21部、4-メトキシフェノール0.6部を仕込み、50~60℃の温度で6時間反応を行い、一般式(5)で表される化合物として、下記化学式(13)で表される重合性化合物(C-2-1)を得た。
【0280】
【0281】
<分散樹脂(G)の製造例>
(分散樹脂(G-1)溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、無水トリメリット酸3部、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール1部、PGMAc50部、ジメチルベンジルアミン0.1部を仕込んだ。窒素ガスで置換した後、反応容器内を120℃に加熱し4時間反応させ、次いで80℃で2時間反応させた。さらにターシャリーブチルアクリレート30部、ETERNACOLL OXMA(メタクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル、宇部興産社製)20部、メタクリル酸5部、エチルアクリレート40部、PGMAc10部を仕込み、反応容器内を80℃に保ちながら2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部を15回に分けて30分ごとに添加した。最終添加から1時間後に不揮発分測定を行い、モノマーの95%が反応したことを確認した。不揮発分測定で不揮発分30%となるようPGMAcを加えて希釈し、不揮発分当たりの酸価51mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)24,000の分散樹脂(G-1)溶液を得た。
【0282】
(分散樹脂(G-2)溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート30部、nーブチルメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート20部(日立化成工業社製、ファンクリルFA-711MM)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。不揮発分測定で不揮発分30%となるようPGMAcを加えて希釈し、不揮発分当たりのアミン価が57mgKOH/g、数平均分子量4,500(Mn)のピペリジル骨格を有する分散樹脂(G-2)溶液を得た。
【0283】
<分散体の製造>
(分散体1)
下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビ-ズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、分散体1を作製した。有機溶剤(R-1)は、PGMAcである。
微細化した顔料(A-1-1) :12.0部
分散樹脂(G-1)溶液 :13.3部
分散樹脂(G-2)溶液 :6.7部
アルカリ可溶樹脂(B-1)溶液 :10.0部
有機溶剤(R-1) :58.0部
【0284】
(分散体2~18)
表1に記載した原料、量を変えた以外は、分散体1と同様にして分散体2~15を作製した。
【0285】
【0286】
なお、表1に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0287】
[トリアリールスルホニウム化合物(E)]
E-1:SP-066(ADEKA社製:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート)
E-2:SP-056(ADEKA社製:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホナート)
E-3:TS-91(三和ケミカル社:トリス(4-メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロフォスファート)
【0288】
<感光性組成物の製造>
[実施例1]
(感光性組成物1)
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して感光性組成物1を得た。
分散体1 :17.5部
分散体3 :7.5部
アルカリ可溶性樹脂(B)溶液 :12.5部
重合性化合物(C-2-1) :2.5部
重合性化合物(C-3-1) :2.5部
光重合開始剤(D-1) :0.5部
光重合開始剤(D-2) :0.5部
増感剤(I) :0.17部
エポキシ化合物(J-1) :1.0部
チオール系連鎖移動剤(K) :0.1部
重合性禁止剤(L) :0.01部
紫外線吸収剤(M) :0.1部
酸化防止剤(N) :0.1部
レベリング剤(O) :1.0部
貯蔵安定剤(P) :0.2部
有機溶剤(R) :53.82部
【0289】
[実施例2~24、比較例1~9]
(感光性組成物2~33)
実施例1の感光性組成物1を、表2-1および表2-2に記載した原料、量に変えた以外は、実施例1と同様にして感光性組成物2~33を作製した。
【0290】
【0291】
【0292】
表に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0293】
[アルカリ可溶性樹脂(B)溶液]
アルカリ可溶性樹脂(B-2)~(B-6)溶液をそれぞれ同量にて混合し、アルカリ可溶性樹脂(B)溶液とした。
【0294】
[重合性化合物(C)]
(酸基を有する重合性化合物(C-1))
C-1-1:アロニックスM-510(東亞合成社製)
C-1-2:アロニックスM-520(東亞合成社製)
C-1-3:アロニックスM-521(東亞合成社製)
(ウレタン結合および酸基を有する重合性化合物(C-2))
C-2-1:化学式(13)で表される重合性化合物
(その他重合性化合物(C-3))
C-3-1:アロニックスM-402(東亞合成社製)
【0295】
[光重合開始剤(D)]
D-1:イルガキュア907(BASFジャパン社製)
D-2:イルガキュア379(BASFジャパン社製)
D-3:イルガキュアOXE02(BASFジャパン社製)
D-4:イルガキュアOXE04(BASFジャパン社製)
【0296】
[増感剤(I)]
I-1:カヤキュアDETX-S(日本化薬社製)
I-2:4,4CHEMARK DEABP(Chemark Chemical社製)
以上、(I-1)、(I-2)をそれぞれ同量にて混合し、増感剤(I)とした。
【0297】
[エポキシ化合物(J-1)]
J-1-1:EHPE-3150(ダイセル社製)
J-1-2: デナコールEX611(ナガセケムテックス社製)
J-1-3:イソシアヌル酸トリグリシジル
以上、(J-1-1)~(J-1-3)をそれぞれ同量混合し、エポキシ化合物(J-1)とした。
【0298】
[チオール系連鎖移動剤(K)]
K-1:トリメチロ-ルエタントリス(3-メルカプトブチレート)
K-2:トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトブチレート)
K-3:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
K-4:トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
K-5:トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート
以上、(K-1)~(K-5)をそれぞれ同量にて混合し、チオール系連鎖移動剤(K)とした。
【0299】
[重合禁止剤(L)]
L-1:4-メチルカテコール
L-2:メチルヒドロキノン
L-3:t-ブチルヒドロキノン
以上、(L-1)~(L-3)をそれぞれ同量にて混合し、重合禁止剤(L)とした。
【0300】
[紫外線吸収剤(M)]
M-1:TINUVIN400(BASFジャパン社製)
M-2: TINUVIN900(BASFジャパン社製)
以上、(M-1)、(M-2)をそれぞれ同量にて混合し、紫外線吸収剤(M)とした。
【0301】
[酸化防止剤(N)]
N-1:ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート
N-2:3,3'-チオジプロパン酸ジオクタデシル
N-3:トリス[2,4-ジ-(t)-ブチルフェニル]ホスフィン
N-4:ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート
N-5:サリチル酸p-オクチルフェニル
以上、(N-1)~(N-5)をそれぞれ同量にて混合し、酸化防止剤(N)とした。
【0302】
[レベリング剤(O)]
O-1:BYK-330(ビックケミー社製)
O-2:メガファックF-551(DIC社製)
以上、(O-1)、(O-2)をそれぞれ1部混合し、PGMAc98部に溶解させた混合溶液をレベリング剤(O)とした。
【0303】
[貯蔵安定剤(P)]
P-1:2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール
P-2:トリフェニルホスフィン
以上、(P-1)、(P-2)をそれぞれ同量にて混合し、貯蔵安定剤(P)とした。
【0304】
[有機溶剤(R) ]
R-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 30部
R-2:シクロヘキサノン 30部
R-3:3-エトキシプロピオン酸エチル 10部
R-4:プロピレングリコールモノメチルエーテル 10部
R-5:シクロヘキサノールアセテート 10部
R-6:ジプロプレングリコールメチルエーテルアセテート 10部
以上、(R-1)~(R-6)をそれぞれ上記質量部にて混合し、有機溶剤(R)とした。
【0305】
<感光性組成物の評価>
得られた感光性組成物について、ソルベントショック、現像残渣、分光特性、および指紋認証評価を下記の方法で行った。評価結果を表3に示す。
【0306】
[ソルベントショック評価]
得られた感光性組成物とシクロヘキサノンを1:100の割合で混合し、室温で24時間静置した。その後、0.8μmのメンブレンフィルタでろ過し、メンブレンフィルタ上に捕捉された凝集異物を光学顕微鏡(250倍)に観察し、凝集異物の個数をカウントした。3以上が実用可である。
5:凝集異物の数が5個未満
4:凝集異物の数が5個以上、10個未満
3:凝集異物の数が10個以上、50個未満
2:凝集異物の数が50個以上、100個未満
1:凝集異物の数が100個以上
【0307】
[現像性評価]
得られた感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のTFT方式液晶駆動用基板上に、スピンコータを用いて乾燥膜厚が2.0μmとなるように塗工し、90℃で120秒間プリベークを行った。次いで、超高圧水銀ランプを用い、積算光量30mJ/cm2で紫外線露光を行い、100μm幅ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。さらに、この基板を室温に冷却後、23℃の0.04%水酸化カリウム水溶液を用いて現像時間2水準(40秒、70秒)でスプレー現像し、イオン交換水で洗浄して風乾した。得られた基板をクリーンオーブン中で、230℃で30分間ポストベークを行い、基板上にストライプ状のパターンを形成した。パターンを光学顕微鏡にて観察し、未露光部の現像残渣、および欠けの有無を評価した。以下の通りであり、2以上が実用可能である。
3:現像時間70秒において、未露光部の現像残渣が無く、パターン欠けがなかった。
2:現像時間70秒において、未露光部に現像残渣が発生またはパターン欠けが発生した。
1:現像時間40秒において、未露光部に現像残渣が発生またはパターン欠けが発生した。
【0308】
<指紋認証評価用光学フィルタの作成>
6インチシリコンウェハ上に、平坦化膜用レジスト液(新日鉄化学社製「HL-18s」をスピンコート法により塗布し、100℃のホットプレートで6分加熱後、230℃のオーブンにて1時間加熱して、塗膜を硬化させ平坦膜付きシリコンウェハを得た。
次に、得られた感光性組成物を、平坦化膜上に乾燥後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコート法により塗布し、100℃のホットプレートで1分間プリベークし、i線ステッパ-露光装置FPA-3000i5+(Canon社製)を使用して、365nmの波長で1.0μm四方のパターンを形成するためのフォトマスクを通して露光量150mJ/cm2にてパターン露光を行った。露光後の塗膜を有機アルカリ現像液でパドール現像を行った。パドール現像後、20秒スピンシャワ-にて純水で洗浄を行い、ウェハ上に残った水滴を高圧のエアーで飛ばした。
さらに、200℃のホットプレートで5分間加熱処理(ポストベーク)を行い、光学フィルタとしてのパターンを有するシリコンウェハを得た。
【0309】
[指紋認証評価]
得られた光学フィルタを、特開2020-92080号公報に従い指紋認証センサに組み込んだ。得られた指紋認証センサにて、発光波長470nmの光を照射し指紋画像の取り込みを行い、画像性能を評価した。評価基準は、以下の通りであり、2以上が実用可能である。
3:指紋がはっきりと認識できる。
2:指紋が認識できる。
1:指紋が認識できない。
【0310】
<分光特性評価用基板の作製>
得られた感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コ-ニング社製イ-グル2000)上に、スピンコート法により、ポストベーク後の膜厚が1.0μmとなるように塗布した。次に、90℃2分間ホットプレートで乾燥後、超高圧水銀ランプを用い、100μm角の正方形パターンのフォトマスクを介して50mJ/cm2の露光量でパターン露光を行った。その後、この基板を23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱した。スプレー現像は、現像残りがなくなるパターン形成可能な最短時間で行った。
【0311】
[透過率が50%以上である波長域の測定]
得られた分光特性評価用基板を、OSP-SP100(オリンパス社製)を用いて、被膜の厚み方向で、透過率が50%以上である波長を測定した。評価基準は、以下の通りである。
4:波長430~600nmで透過率が50%以上である。
3:波長435~600nmで透過率が50%以上である。
2:波長440~590nmで透過率が50%以上である。
1:波長440~590nmで透過率が50%未満の部分がある。
【0312】
[透過率が20%以下である波長域の測定]
得られた分光特性評価用基板を、OSP-SP100(オリンパス社製)を用いて、被膜の厚み方向で、透過率が20%以下である波長を測定した。評価基準は、以下の通りである。
3:波長620~700nmで透過率が20%以下である。
2:波長630~690nmで透過率が20%以下である。
1:波長630~690nmで透過率が20%を超える部分がある。
【0313】
[波長700~730nmの最大透過率の測定]
得られた分光特性評価用基板を、OSP-SP100(オリンパス社製)を用いて、被膜の厚み方向で、波長700~730nmの最大透過率を測定した。
【0314】
【符号の説明】
【0315】
10 駆動層
11 基板
20 指紋認証センサ層
21 指紋認証センサ
23 反射された光
30 OLED発光層
31 OLED
33 光
40 カバーガラス層
50 指
100 ディスプレイパネル