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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】昇降用ステップ及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/02 20060101AFI20240521BHJP
   B62D 55/10 20060101ALI20240521BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20240521BHJP
   E06C 5/02 20060101ALI20240521BHJP
   B66C 15/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B60R3/02
B62D55/10 Z
E02F9/16 Z
E06C5/02
B66C15/00 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020170155
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061901
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】本山 雄大
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-014544(JP,U)
【文献】特開2016-199355(JP,A)
【文献】特開平07-310334(JP,A)
【文献】特開2010-137687(JP,A)
【文献】特開平07-205725(JP,A)
【文献】実開昭56-136534(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/02
B62D 55/10
E02F 9/16
E06C 5/02
B66C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械に取り付けられている昇降用ステップであって、
上記建設機械に固定されているブラケットと、
その基端部で上記ブラケットに回転可能に接続され、基端側から先端側に向けて水平方向外側に延びる第1位置と、基端側から先端側に向けて下方に垂下される第2位置とに揺動可能なステップ本体と
を備え、
上記ブラケット及び上記ステップ本体の一方が、水平方向に配置される回転軸を有し、
上記ブラケット及び上記ステップ本体の他方が、上記回転軸が回転可能に挿入される一対のガイド孔を有し、
上記一対のガイド孔が、上記ステップ本体が上記第1位置に配置された状態で、上記回転軸を、上記ステップ本体の使用時の配置である使用位置と、この使用位置よりも外側に突出した揺動位置とに移動させるための移動幅を有しており、
上記ステップ本体が、水平方向から傾けずに上記使用位置と上記揺動位置とに移動可能に構成されており、
上記ブラケットが、上記ステップ本体の基端部の幅方向両側に配置されて互いに対向する一対の側板と、上記使用位置に配置された状態の上記ステップ本体に上方から当接する第1回転防止板と、上記使用位置に配置された状態の上記ステップ本体に水平方向内側から当接する第2回転防止板とを有し、
上記ステップ本体及び上記一対の側板が、上記使用位置で互いに重なり合う第1ピン穴を有し、
互いに重なり合った上記第1ピン穴に挿入される固定ピンをさらに備える昇降用ステップ。
【請求項2】
上記ステップ本体及び上記一対の側板が、上記第2位置で互いに重なり合う第2ピン穴を有し、
上記固定ピンが、互いに重なり合った上記第2ピン穴に挿入可能に構成される請求項1に記載の昇降用ステップ。
【請求項3】
上記ステップ本体が、上記使用位置において上記第2回転防止板に上方から当接する上方当接部を有する請求項1又は請求項2に記載の昇降用ステップ。
【請求項4】
上記ステップ本体が、上記第2位置において上記第2回転防止板に側方から当接する側方当接部を有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の昇降用ステップ。
【請求項5】
上記ブラケットが上記建設機械のクローラフレームに固定されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の昇降用ステップ。
【請求項6】
上記ステップ本体が、先端側が上方に突出する第3位置に揺動可能に構成されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の昇降用ステップ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の昇降用ステップを備える建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降用ステップ及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
クローラクレーン等の建設機械には昇降用ステップが設けられている。この昇降用ステップは、例えばクローラフレーム外側に突き出した状態で用いられる。一方、この昇降用ステップは、輸送時や不使用時に外側に突出した状態で保持されていると、輸送制限に抵触するおそれや、他の物に接触するおそれがある。そのため、この昇降用ステップは、使用時以外には基端側で折り曲げて格納できるように構成されている(特開2016-137860号公報、特開2010-137687号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-137860号公報
【文献】特開2010-137687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、クローラフレームの側面に固定されるブラケットと、このブラケットに接続されるステップ本体とを備える昇降用ステップが記載されている。特許文献1に記載されている昇降用ステップは、上記ブラケットが、間隔を空けて配置される一対の側面板と、一対の側面板の上面に掛け渡される天板と、一対の側面板に貫通するピンとを有しており、ステップ本体の基端部に上記天面部と上記ピンとの間に差し込まれた状態で保持される差込片が設けられている。特許文献1には、上記差込片の上面を上記天板の下面に当接させることで、上記ステップ本体が基端側から先端側に向けて下方に折れ曲がることを防止できる構成が記載されている。また、特許文献1には、ステップ本体を上記ピンの回りに上方に回転させることで、ステップ本体をブラケットに対して立設させた状態で格納できることが記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている昇降用ステップは、ステップ本体がピンの回りに上方にしか回転できないため、クローラフレームの上側に配置した場合、格納時にステップ本体がクローラと接触する。そのため、この昇降用ステップは、クローラフレームの上側には配置し難い。また、この昇降用ステップは、ステップ本体の回転を円滑に行うためには、ステップ本体の表面を天面部やピンの配置等に対応して高精度に加工することを要する。そのため、この昇降用ステップは、製造が容易でない。
【0006】
特許文献2には、ヒンジ部材を介してキャブのフロア部に回動可能に取り付けられたステップ板と、このステップ板を回動させるための油圧シリンダとを備える乗降用ステップ装置が記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載されている乗降用ステップ装置は、油圧シリンダを配置するためのスペースや油圧シリンダを駆動するための動力が必要となり、装置が大掛かりなものとなる。
【0008】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、簡易な構成で、かつクローラフレームの上側に配置可能な昇降用ステップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る昇降用ステップは、建設機械に取り付けられている昇降用ステップであって、上記建設機械に固定されているブラケットと、その基端部で上記ブラケットに回転可能に接続され、基端側から先端側に向けて水平方向外側に延びる第1位置と、基端側から先端側に向けて下方に垂下される第2位置とに揺動可能なステップ本体とを備え、上記ブラケット及び上記ステップ本体の一方が、水平方向に配置される回転軸を有し、上記ブラケット及び上記ステップ本体の他方が、上記回転軸が回転可能に挿入される一対のガイド孔を有し、上記一対のガイド孔が、上記ステップ本体が上記第1位置に配置された状態で、上記回転軸を、上記ステップ本体の使用時の配置である使用位置と、この使用位置よりも外側に突出した揺動位置とに移動させるための移動幅を有しており、上記ブラケットが、上記ステップ本体の基端部の幅方向両側に配置されて互いに対向する一対の側板と、上記使用位置に配置された状態の上記ステップ本体に上方から当接する第1回転防止板と、上記使用位置に配置された状態の上記ステップ本体に水平方向内側から当接する第2回転防止板とを有し、上記ステップ本体及び上記一対の側板が、上記使用位置で互いに重なり合う第1ピン穴を有し、互いに重なり合った上記第1ピン穴に挿入される固定ピンをさらに備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る昇降用ステップは、簡易な構成で、かつクローラフレームの上側に配置可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る昇降用ステップを備える建設機械を示す模式的部分斜視図である。
図2図2は、図1の昇降用ステップの使用時の状態を示す模式的平面図である。
図3図3は、図2の昇降用ステップの模式的側面図である。
図4図4は、図2の昇降用ステップのステップ本体を揺動位置に移動させた状態を示す模式的側面図である。
図5図5は、図2の昇降用ステップのステップ本体を第2位置に移動させた状態を示す模式的側面図である。
図6図6は、図2の昇降用ステップとは異なる実施形態に係る昇降用ステップの使用時の状態を示す模式的側面図である。
図7図7は、図2及び図6の昇降用ステップとは異なる実施形態に係る昇降用ステップのステップ本体を第3位置に移動させた状態を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0013】
本発明の一態様に係る昇降用ステップは、建設機械に取り付けられている昇降用ステップであって、上記建設機械に固定されているブラケットと、その基端部で上記ブラケットに回転可能に接続され、基端側から先端側に向けて水平方向外側に延びる第1位置と、基端側から先端側に向けて下方に垂下される第2位置とに揺動可能なステップ本体とを備え、上記ブラケット及び上記ステップ本体の一方が、水平方向に配置される回転軸を有し、上記ブラケット及び上記ステップ本体の他方が、上記回転軸が回転可能に挿入される一対のガイド孔を有し、上記一対のガイド孔が、上記ステップ本体が上記第1位置に配置された状態で、上記回転軸を、上記ステップ本体の使用時の配置である使用位置と、この使用位置よりも外側に突出した揺動位置とに移動させるための移動幅を有しており、上記ブラケットが、上記ステップ本体の基端部の幅方向両側に配置されて互いに対向する一対の側板と、上記使用位置に配置された状態の上記ステップ本体に上方から当接する第1回転防止板と、上記使用位置に配置された状態の上記ステップ本体に水平方向内側から当接する第2回転防止板とを有し、上記ステップ本体及び上記一対の側板が、上記使用位置で互いに重なり合う第1ピン穴を有し、互いに重なり合った上記第1ピン穴に挿入される固定ピンをさらに備える。
【0014】
当該昇降用ステップは、上記使用位置に配置された状態で、上記ステップ本体が上記第1回転防止板に上方から支持され、かつ上記第2回転防止板に水平方向内側から支持されるので、この使用位置で上記ステップ本体と上記一対の側板とを上記固定ピンによって固定しやすい。また、当該昇降用ステップは、上記固定ピンを抜き出して上記ステップ本体と上記一対の側板との固定を解除し、かつ上記ステップ本体を上記揺動位置に移動したうえで、このステップ本体を上記第2位置に揺動することができる。これにより、当該昇降用ステップは、上記ステップ本体を基端側から先端側に向けて下方に垂下した状態で格納することができる。従って、当該昇降用ステップは、簡易な構成で、かつクローラフレームの上側に配置可能である。
【0015】
上記ステップ本体及び上記一対の側板が、上記第2位置で互いに重なり合う第2ピン穴を有し、上記固定ピンが、互いに重なり合った上記第2ピン穴に挿入可能に構成されるとよい。このように、上記ステップ本体及び上記一対の側板が、上記第2位置で互いに重なり合う第2ピン穴を有し、上記固定ピンが、互いに重なり合った上記第2ピン穴に挿入可能に構成されることによって、上記ステップ本体を上記第2位置で上記一対の側板に容易かつ確実に固定することができる。
【0016】
上記ステップ本体が、上記使用位置において上記第2回転防止板に上方から当接する上方当接部を有するとよい。このように、上記ステップ本体が、上記使用位置において上記第2回転防止板に上方から当接する上方当接部を有することで、上記使用位置において上記ステップ本体を上記第1回転防止板と上記第2回転防止板とによって上下方向から挟み込むことができる。これにより、上記ステップ本体を上記使用位置でより確実に固定することができる。
【0017】
上記ステップ本体が、上記第2位置において上記第2回転防止板に側方から当接する側方当接部を有するとよい。このように、上記ステップ本体が、上記第2位置において上記第2回転防止板に側方から当接する側方当接部を有することによって、上記ステップ本体を上記第2位置で容易に静止することができる。
【0018】
上記ブラケットが上記建設機械のクローラフレームに固定されているとよい。当該昇降用ステップは、上記ステップ本体を上記第2位置に容易に揺動することができるので、建設機械のクローラフレームに取り付けられるのに適している。
【0019】
上記ステップ本体が、先端側が上方に突出する第3位置に揺動可能に構成されているとよい。このように、上記ステップ本体が、先端側が上方に突出する第3位置に揺動可能に構成されていることによって、取り付け位置に応じて上記ステップ本体を適切な方向に揺動して格納することができる。
【0020】
本発明の他の一態様に係る建設機械は、当該昇降用ステップを備える。当該建設機械は、当該昇降用ステップを用いて容易に昇降可能である。
【0021】
なお、本発明において、「水平方向」とは、建設機械を水平面に接地した状態における水平方向を意味する。また、「上」とは、建設機械を水平面に接地した状態における上を意味し、「下」とは、建設機械を水平面に接地した状態における下を意味する。
【0022】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0023】
[第一実施形態]
<建設機械>
図1の建設機械1は、下部走行体2と、下部走行体2上に水平回転可能に搭載される上部旋回体(不図示)とを備える。下部走行体2は、車幅方向の両側にそれぞれクローラフレーム3及びクローラフレーム3に装着されるクローラ4を有する。クローラフレーム3の外側の側面には複数の昇降用ステップ10が配置されている。複数の昇降用ステップ10は、作業者が上部旋回体に昇降できるように全体として階段状に設けられている。建設機械1の種類としては、特に限定されるものではなく、例えばクローラクレーンが挙げられる。
【0024】
<昇降用ステップ>
当該昇降用ステップ10は、建設機械1に取り付けられており、より詳しくはクローラフレーム3に取り付けられている。図2及び図3に詳しく示すように、当該昇降用ステップ10は、建設機械1に固定されているブラケット11と、ブラケット11に接続されているステップ本体12とを有する。ステップ本体12は、基端部でブラケット11に回転可能に接続されている。ステップ本体12は、図3及び図4に示すように基端側から先端側に向けて水平方向外側に延びる第1位置P1(使用位置P1及び揺動位置P1)と、図5に示すように基端側から先端側に向けて下方に垂下される第2位置P2とに揺動可能に構成されている。当該昇降用ステップ10は、手動によってステップ本体12を揺動可能である。そのため、当該昇降用ステップ10は、油圧シリンダ等の駆動機構を要しない。
【0025】
(ブラケット)
ブラケット11は、建設機械1のクローラフレーム3に固定されている。ブラケット11は、ステップ本体12の基端部の幅方向両側に配置されて互いに対向する一対の側板13と、一対の側板13の間に掛け渡される回転軸14とを有する。回転軸14は水平方向に配置されている。
【0026】
ブラケット11は、後述する使用位置P1に配置された状態のステップ本体12に上方から当接する第1回転防止板15aと、使用位置P1に配置された状態のステップ本体12に水平方向内側から当接する第2回転防止板15bとを有する。
【0027】
(ステップ本体)
ステップ本体12は、作業者の足場を構成する踏み板12aと、踏み板12aの幅方向の両側に固定される一対の固定板12bとを有する。一対の固定板12bは、踏み板12aの基端縁よりも基端側に突出して設けられている。一対の固定板12bは、回転軸14が回転可能に挿入される一対のガイド孔12cを有する。一対のガイド孔12cは、踏み板12aの基端縁よりも基端側に突出して設けられている。
【0028】
一対のガイド孔12cは、ステップ本体12が第1位置P1に配置された状態で、回転軸14を、ステップ本体12の使用時の配置(作業者が昇降する際の配置)である使用位置P1と、使用位置P1よりも外側に突出した揺動位置P1とに移動させるための移動幅Wを有している。
【0029】
以下、図3図5を参照して、ステップ本体12の移動手順及び揺動手順と併せて、当該昇降用ステップ10の構成の詳細について説明する。まず、図3及び図4を参照して、当該昇降用ステップ10の具体的構成を、ステップ本体12が第1位置P1に配置された状態に基づいて説明する。
【0030】
側板13は板状であり、上述の回転軸14が厚さ方向に貫通している。第1回転防止板15aは、一対の側板13の上縁間に掛け渡されている。第2回転防止板15bは、一対の側板13の内面同士の間に掛け渡されている。なお、第1回転防止板15a及び/又は第2回転防止板15bは、一対の側板13間に掛け渡されていない構成とすることも可能である。すなわち、第1回転防止板15a及び/又は第2回転防止板15bは、一方の側板13に配置される第1分断片と、他方の側板13に配置される第2分断片とに分断されていてもよい。
【0031】
第1回転防止板15aは、回転軸14よりも水平方向内側(クローラフレーム3側)に配置されている。また、第1回転防止板15aは、ステップ本体12が揺動位置P1に移動した状態でステップ本体12の揺動を防止しない位置に配置されている。すなわち、第1回転防止板15aは、使用位置P1に配置された状態のステップ本体12(より詳しくは固定板12b)に上方から当接する一方、揺動位置P1に配置された状態のステップ本体12を第2位置P2に揺動する際にはステップ本体12と接触しない位置に配置されている。かかる構成を有することで、第1回転防止板15aは、使用位置P1に配置された状態のステップ本体12に作業者が乗った場合のステップ本体12の意図しない揺動を抑制すると共に、ステップ本体12の格納の容易化を図る。
【0032】
第2回転防止板15bは、回転軸14よりも水平方向内側に配置されている。また、第2回転防止板15bは、ステップ本体12が揺動位置P1に移動した状態でステップ本体12の揺動を防止しない位置に配置されている。第2回転防止板15bは、ステップ本体12が使用位置P1よりも内側に移動しないよう、使用位置P1に配置されているステップ本体12(より詳しくは固定板12b)を内側から支持する。また、第2回転防止板15bは、ステップ本体12を、回転軸14よりも水平方向内側で第1回転防止板15aと上下方向から挟み込む。かかる構成を有することによって、第2回転防止板15bは、第1回転防止板15aと併用されることで、ステップ本体12を使用位置P1に容易に位置決めし、かつ使用位置P1に配置された状態のステップ本体12に作業者が乗った場合のステップ本体12の意図しない揺動を抑制すると共に、ステップ本体12の格納の容易化を図る。
【0033】
ステップ本体12は、使用位置P1において第2回転防止板15bに水平方向外側から当接する側方当接部(第1側方当接部12d)を有する。第1側方当接部12dは、例えば固定板12bの下縁に形成された突片である。第1側方当接部12dは、ステップ本体12を揺動位置P1から水平方向内側にスライドさせることで第2回転防止板15bに当接するよう構成されている。すなわち、当該昇降用ステップ10は、ステップ本体12を使用位置P1と揺動位置P1との間で移動させる際に、ステップ本体12を水平方向から傾けることを要しない。
【0034】
また、ステップ本体12は、使用位置P1において第2回転防止板15bに上方から当接する上方当接部12eを有する。当該昇降用ステップ10は、ステップ本体12が上方当接部12eを有することで、使用位置P1においてステップ本体12を第1回転防止板15aと第2回転防止板15bとによって上下方向から挟み込むことができる。その結果、使用位置P1に配置された状態のステップ本体12に作業者が乗った場合のステップ本体12の意図しない揺動を容易かつ確実に抑制することができる。
【0035】
一対のガイド孔12cは、ステップ本体12が第1位置P1に配置された状態で水平方向を長軸とする長円状である。一対のガイド孔12cは、上記長軸に沿って回転軸14を移動可能に構成されている。すなわち、一対のガイド孔12cは、回転軸14を水平方向に直線状に移動させることで、ステップ本体12を使用位置P1と揺動位置P1とに移動可能に構成されている。
【0036】
図3に示すように、ステップ本体12及び一対の側板13は、使用位置P1で互いに重なり合う第1ピン穴16を有する。また、当該昇降用ステップ10は、互いに重なり合った第1ピン穴16に挿入される固定ピン17を備える。当該昇降用ステップ10は、第1ピン穴16に固定ピン17が挿入されることで、ステップ本体12を使用位置P1で容易かつ確実に固定することができる。当該昇降用ステップ10は、第2回転防止板15bがステップ本体12を内側から支持した状態で、ステップ本体12及び一対の側板13に設けられた第1ピン穴16同士が同軸上に重なり合うよう構成されている。なお、固定ピン17は、ステップ本体12を使用位置P1から揺動位置P1に移動させる際には第1ピン穴16から抜き出される。
【0037】
次に、図5を参照して、当該昇降用ステップ10の具体的構成を、ステップ本体12が第2位置P2に配置された状態に基づいて説明する。
【0038】
ステップ本体12は、揺動位置P1に移動した状態から下方に略90°回転することで、第2位置P2に配置される。
【0039】
ステップ本体12は、第2位置P2において第2回転防止板15bに側方から当接する側方当接部(第2側方当接部12f)を有する。当該昇降用ステップ10は、ステップ本体12が第2側方当接部12fを有することによって、ステップ本体12を第2位置P2で容易に静止することができる。
【0040】
ステップ本体12及び一対の側板13は、第2位置P2で互いに重なり合う第2ピン穴18を有する。互いに重なり合った第2ピン穴18には、ステップ本体12を第1位置P1から第2位置P2に揺動する際に第1ピン穴16から抜き出された固定ピン17が挿入される。当該昇降用ステップ10は、固定ピン17が、第2位置P2において互いに重なり合った第2ピン穴18に挿入可能に構成されることによって、ステップ本体12を第2位置P2で一対の側板13に容易かつ確実に固定することができる。
【0041】
ステップ本体12に設けられる第2ピン穴18は、第1ピン穴16とは別個のピン穴であってもよい。但し、この第1ピン穴16及び第2ピン穴18は、共通の1つのピン穴によって兼用されることが好ましい。また、当該昇降用ステップ10は、第1ピン穴16から抜き出した固定ピン17以外の固定ピンを第2ピン穴18に挿入可能に構成されていてもよい。
【0042】
当該昇降用ステップ10は、第2回転防止板15bと第2側方当接部12fとが当接した状態で、ステップ本体12及び一対の側板13に設けられた第2ピン穴18同士が同軸上に重なり合うよう構成されている。この構成によると、ステップ本体12及び一対の側板13に設けられた第2ピン穴18同士の位置合わせを容易かつ確実に行うことができる。
【0043】
<利点>
当該昇降用ステップ10は、ステップ本体12と一対の側板13とに使用位置P1で互いに重なり合う第1ピン穴16が形成されている。当該昇降用ステップ10は、使用位置P1に配置された状態で、ステップ本体12が第1回転防止板15aに上方から支持され、かつ第2回転防止板15bに水平方向内側から支持されるので、この使用位置P1でステップ本体12と一対の側板13とを固定ピン17によって固定しやすい。また、当該昇降用ステップ10は、固定ピン17を抜き出してステップ本体12と一対の側板13との固定を解除し、かつステップ本体12を揺動位置P1に移動したうえで、このステップ本体12を第2位置P2に揺動することができる。これにより、当該昇降用ステップ10は、ステップ本体12を基端側から先端側に向けて下方に垂下した状態で格納することができる。従って、当該昇降用ステップ10は、簡易な構成で、かつクローラフレーム3の上側に配置可能である。
【0044】
当該昇降用ステップ10は、ステップ本体12を第2位置P2に容易に揺動することができるので、建設機械1のクローラフレーム3に取り付けられるのに適しており、より詳しくは、クローラクレーム3の上側に取り付けられるのに適している。当該昇降用ステップ10は、ステップ本体12を第2位置P2に配置することで、ステップ本体12をクローラ4の外側の端部よりも内側に格納することができる。
【0045】
当該建設機械1は、当該昇降用ステップ10を用いて容易に昇降可能である。
【0046】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0047】
例えば上記実施形態では、使用位置においてステップ本体が第2回転防止板に側方及び上方から当接する構成について説明した。一方、図6に示すように、当該昇降用ステップ20は、ステップ本体22が第2回転防止板25bに水平方向外側からのみ当接するよう構成されていてもよい。この場合、第2回転防止板25bは、水平方向に間隔を空けてガイド孔22cの内側に配置されていてもよい。かかる構成を有する場合、ステップ本体22(より詳しくは、ステップ本体22の一対の固定部22b)の水平方向内側の端縁を第1側方当接部として構成することができる。この構成によると、ステップ本体22には、第2回転防止板25bに水平方向外側から当接するための上述の突片を設けることを要しない。そのため、より簡易な構成で、かつステップ本体22と第2回転防止板25bとの当接面積を大きくすることができる。
【0048】
図7に示すように、当該昇降用ステップ30は、上述の第1位置及び第2位置に加え、ステップ本体32が、先端側が上方に突出する第3位置P3に揺動可能に構成されていてもよい。この構成によると、建設機械への取り付け位置に応じてステップ本体32を適切な方向に揺動して格納することができる。換言すると、複数の当該昇降用ステップ30をクローラフレームの側面に階段状に容易に配置することができる。ステップ本体32及び一対の側板33は、第3位置P3で互いに重なり合う第3ピン穴35を有することが好ましい。また、当該昇降用ステップ30は、互いに重なり合った第3ピン穴35に挿入される固定ピン37を備えることが好ましい。この構成によると、ステップ本体32を第3位置P3で一対の側板33に容易かつ確実に固定することができる。さらに、当該昇降用ステップ30は、一対の側板33に、第3位置P3においてステップ本体32に水平方向内側から当接する回転防止板(第3回転防止板)(不図示)が配置されていてもよい。
【0049】
上記実施形態では、ブラケットが、水平方向に配置される回転軸を有し、ステップ本体が、上記回転軸が回転可能に挿入される一対のガイド孔を有する構成について説明した。但し、当該昇降用ステップは、ステップ本体が、水平方向に配置される回転軸を有し、ブラケットが、上記回転軸が回転可能に挿入される一対のガイド孔を有していてもよい。
【0050】
上記ステップ本体は、上記第2位置に配置されている状態では自重によって基端側から先端側に向けて下方に垂下された状態で保持される。そのため、当該昇降用ステップは、上記ステップ本体を上記第2位置で安定的に維持できるような場合であれば、上記第2位置で互いに重なり合う第2ピン穴を有しない構成とすることも可能である。また、当該昇降用ステップは、上記ステップ本体を自重によって第2位置で保持できるような場合であれば、上記ステップ本体は上記第2位置で第2回転防止板に側方から当接する側方当接部を有しない構成とすることも可能である。さらに、当該昇降用ステップは、上記第2回転防止板とは別個の部材として、上記第2位置において上記ステップ本体に水平方向内側から当接する回転防止板(第4回転防止板)を備えていてもよい。
【0051】
当該昇降用ステップは、上記ステップ本体を少なくとも上記第2位置に揺動して保持することができるので、建設機械のクローラフレーム以外の部位に取り付けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の一態様に係る昇降用ステップは、建設機械のクローラフレームに取り付けられるのに適している。
【符号の説明】
【0053】
1 建設機械
2 下部走行体
3 クローラフレーム
4 クローラ
10、20、30 昇降用ステップ
11 ブラケット
12、22、32 ステップ本体
12a 踏み板
12b、22b 固定板
12c、22c ガイド孔
12d 第1側方当接部
12e 上方当接部
12f 第2側方当接部
13、33 側板
14 回転軸
15a 第1回転防止板
15b、25b 第2回転防止板
16 第1ピン穴
17、37 固定ピン
18 第2ピン穴
35 第3ピン穴
P1 使用位置
P1 揺動位置
P2 第2位置
P3 第3位置
W 移動幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7