(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】車載装置、車載通信システムおよび通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
(21)【出願番号】P 2020175700
(22)【出願日】2020-10-20
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】河野 智哉
【審査官】安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-049704(JP,A)
【文献】特開2017-224891(JP,A)
【文献】国際公開第2011/148925(WO,A1)
【文献】特開2018-160815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周辺車載装置に接続される車載装置であって、
各前記周辺車載装置は、複数の通信ポートを備え、
前記各周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器
の機能との対応関係を示すポート情報を保持する記憶部と、
前記記憶部に保持されている前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポート
と、前記機器の機能とを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信する送信部とを備える、車載装置。
【請求項2】
前記記憶部は、さらに、前記複数の通信ポートと、前記周辺車載装置が前記複数の通信ポートのうちのいずれか1つを介して前記制御情報または前記機器制御情報を前記機器へ送信する際に用いるべき通信方式との対応関係を示す通信方式情報を保持し、
前記送信部は、前記記憶部に保持されている前記通信方式情報に基づいて、前記制御情報または前記機器制御情報を送信する際に用いるべき通信方式を示す設定情報を、前記制御情報とともに前記フレームに含めて前記周辺車載装置へ送信する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
複数の通信ポートを有する車載装置であって、
前記通信ポートに接続される機器を制御するための制御情報、および前記制御情報または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき前記通信ポート
と、前記機器の機能とを示す出力先情報を含むフレームを受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力する出力部とを備える、車載装置。
【請求項4】
前記車載装置は、さらに、
前記複数の通信ポートのうち、前記制御情報の送信元である統合車載装置が接続される通信ポートを示す情報を保持する記憶部を備える、請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
統合車載装置と、
各々が、複数の通信ポートを含み、前記統合車載装置に接続される複数の周辺車載装置とを備え、
前記統合車載装置は、各前記周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器
の機能との対応関係を示すポート情報を保持し、
前記統合車載装置は、前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポート
と、前記機器の機能とを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信し、
前記周辺車載装置は、前記統合車載装置から送信された前記フレーム
であって自己の前記通信ポートに接続される機器の機能を示す前記フレームを受信し、受信した前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力する、車載通信システム。
【請求項6】
前記統合車載装置は、さらに、前記複数の通信ポートと、前記周辺車載装置が前記複数の通信ポートのうちのいずれか1つを介して前記制御情報または前記機器制御情報を前記機器へ送信する際に用いるべき通信方式との対応関係を示す通信方式情報を保持し、
前記統合車載装置は、保持する前記通信方式情報に基づいて、前記制御情報または前記機器制御情報を送信する際に用いるべき通信方式を示す設定情報を、前記制御情報とともに前記フレームに含めて前記周辺車載装置へ送信し、
前記周辺車載装置は、前記統合車載装置から受信した前記フレームに含まれる前記設定情報の示す通信方式に従って、前記制御情報または前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力する、請求項5に記載の車載通信システム。
【請求項7】
複数の周辺車載装置に接続される車載装置における通信制御方法であって、
各前記周辺車載装置は、複数の通信ポートを備え、
前記車載装置は、前記各周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器
の機能との対応関係を示すポート情報を保持し、
保持している前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを特定するステップと、
特定した前記通信ポート
と、前記機器の機能とを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信するステップとを含む、通信制御方法。
【請求項8】
複数の通信ポートを有する車載装置における通信制御方法であって、
前記通信ポートに接続される機器を制御するための制御情報、および前記制御情報または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき前記通信ポート
と、前記機器の機能とを示す出力先情報を含むフレームを受信するステップと、
受信した前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力するステップとを含む、通信制御方法。
【請求項9】
統合車載装置と、各々が、複数の通信ポートを含み、前記統合車載装置に接続される複数の周辺車載装置とを備える車載通信システムにおける通信制御方法であって、
前記統合車載装置は、各前記周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器
の機能との対応関係を示すポート情報を保持し、
前記統合車載装置が、保持している前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを特定するステップと、
前記統合車載装置が、特定した前記通信ポート
と、前記機器の機能とを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信するステップと、
前記周辺車載装置が、前記統合車載装置から送信された前記フレーム
であって自己の前記通信ポートに接続される機器の機能を示す前記フレームを受信するステップと、
前記周辺車載装置が、受信した前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力するステップとを含む、通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、車載通信システムおよび通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載通信システムへの機能追加等に柔軟に対応可能なネットワーク構成に関する技術が開発されている。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開2015-166213号公報)には、以下のようなライト制御システムが開示されている。すなわち、ライト制御システムは、車両の左右前方に搭載されて車両前方を照らす第1の灯火装置と、車両の前方後方の四隅に搭載されて車両の前方後方を照らす第2の灯火装置と、前記第1の灯火装置を左右個別に制御する複数のスレーブ制御装置と、このスレーブ制御装置を制御するとともに、前記第2の灯火装置を制御するマスター制御装置とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-166213号公報
【文献】特開2004-349961号公報
【文献】特開2014-45421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような特許文献1に記載の技術を超えて、車載通信システムにおける機能追加等により柔軟に対応することのできる技術が求められる。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車載通信システムにおける機能追加等に、より柔軟に対応することのできる車載装置、車載通信システムおよび通信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の車載装置は、複数の周辺車載装置に接続される車載装置であって、各前記周辺車載装置は、複数の通信ポートを備え、前記各周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器との対応関係を示すポート情報を保持する記憶部と、前記記憶部に保持されている前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信する送信部とを備える。
【0008】
(3)本開示の車載装置は、複数の通信ポートを有する車載装置であって、前記通信ポートに接続される機器を制御するための制御情報、および前記制御情報または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき前記通信ポートを示す出力先情報を含むフレームを受信する受信部と、前記受信部により受信された前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力する出力部とを備える。
【0009】
(5)本開示の車載通信システムは、統合車載装置と、各々が、複数の通信ポートを含み、前記統合車載装置に接続される複数の周辺車載装置とを備え、前記統合車載装置は、各前記周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器との対応関係を示すポート情報を保持し、前記統合車載装置は、前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信し、前記周辺車載装置は、前記統合車載装置から送信された前記フレームを受信し、受信した前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力する。
【0010】
(7)本開示の通信制御方法は、複数の周辺車載装置に接続される車載装置における通信制御方法であって、各前記周辺車載装置は、複数の通信ポートを備え、前記車載装置は、前記各周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器との対応関係を示すポート情報を保持し、保持している前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを特定するステップと、特定した前記通信ポートを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信するステップとを含む。
【0011】
(8)本開示の通信制御方法は、複数の通信ポートを有する車載装置における通信制御方法であって、前記通信ポートに接続される機器を制御するための制御情報、および前記制御情報または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき前記通信ポートを示す出力先情報を含むフレームを受信するステップと、受信した前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力するステップとを含む。
【0012】
(9)本開示の通信制御方法は、統合車載装置と、各々が、複数の通信ポートを含み、前記統合車載装置に接続される複数の周辺車載装置とを備える車載通信システムにおける通信制御方法であって、前記統合車載装置は、各前記周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器との対応関係を示すポート情報を保持し、前記統合車載装置が、保持している前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを特定するステップと、前記統合車載装置が、特定した前記通信ポートを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信するステップと、前記周辺車載装置が、前記統合車載装置から送信された前記フレームを受信するステップと、前記周辺車載装置が、受信した前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力するステップとを含む。
【0013】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得たり、車載装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0014】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載通信システムとして実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得たり、車載通信システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、車載通信システムにおける機能追加等に、より柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係る個別ECUの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る統合ECUの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る車載通信システムにおける制御情報の流れを説明するための図である。
【
図5】
図5は、比較例に係る統合ECUに保存されているポートテーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、比較例に係る統合ECUに保存されている機能一覧テーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、比較例に係る個別ECUに保存されているポートテーブルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、比較例に係る個別ECUに保存されている機能一覧テーブルの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける制御情報の流れを説明するための図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施の形態に係る統合ECUに保存されているポートテーブルの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施の形態に係る統合ECUに保存されている機能一覧テーブルの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施の形態に係る個別ECUに保存されているポートテーブルの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施の形態に係る個別ECUに保存されている機能一覧テーブルの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施の形態に係る統合ECUが制御情報を格納したフレームを個別ECUへ送信する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【
図15】
図15は、本開示の実施の形態に係る個別ECUが駆動信号を出力する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【
図16】
図16は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける通信処理のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0018】
(1)本開示の実施の形態に係る車載装置は、複数の周辺車載装置に接続される車載装置であって、各前記周辺車載装置は、複数の通信ポートを備え、前記各周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器との対応関係を示すポート情報を保持する記憶部と、前記記憶部に保持されている前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信する送信部とを備える。
【0019】
ここで、車載装置および周辺車載装置の各々が、複数の通信ポートと、当該複数の通信ポートに接続される機器との対応関係を示す情報を保持する場合、新たな機器を増設する際、当該車載装置および周辺車載装置の両方に対して、上記対応関係を示す情報の更新を行う必要がある。
【0020】
これに対して、上記のように、車載装置が、各周辺車載装置の上記対応関係を示す情報を一括して管理する構成により、新たな機器を増設する場合、当該車載装置に保持されている情報を更新すればよく、ユーザの作業時間を減らし、車載通信システムにおける機能追加等を、より容易に行うことができる。したがって、車載通信システムにおける機能追加等に、より柔軟に対応することができる。また、上記のような構成により、周辺車載装置において、制御対象となる機器が接続されている通信ポートの特定などを行う必要がなく、より簡易な処理で機器を駆動することができる。
【0021】
(2)好ましくは、前記記憶部は、さらに、前記複数の通信ポートと、前記周辺車載装置が前記複数の通信ポートのうちのいずれか1つを介して前記制御情報または前記機器制御情報を前記機器へ送信する際に用いるべき通信方式との対応関係を示す通信方式情報を保持し、前記送信部は、前記記憶部に保持されている前記通信方式情報に基づいて、前記制御情報または前記機器制御情報を送信する際に用いるべき通信方式を示す設定情報を、前記制御情報とともに前記フレームに含めて前記周辺車載装置へ送信する。
【0022】
このように、車載装置が、さらに、各周辺車載装置の通信方式に関する情報を一括して管理する構成により、新たな機器を増設する場合、当該車載装置に保持されている上記情報を更新すればよく、車載通信システムにおける機能追加等に、より一層柔軟に対応することができる。また、上記のような構成により、周辺車載装置において、制御対象である機器に対応する通信方式の特定などを行う必要がなく、より簡易な処理で機器を駆動することができる。
【0023】
(3)本開示の実施の形態に係る車載装置は、複数の通信ポートを有する車載装置であって、前記通信ポートに接続される機器を制御するための制御情報、および前記制御情報または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき前記通信ポートを示す出力先情報を含むフレームを受信する受信部と、前記受信部により受信された前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力する出力部とを備える。
【0024】
このような構成により、車載装置において、自己における複数の通信ポートと、当該複数の通信ポートに接続される機器との対応関係を示す情報を保持する必要がない。このため、車載装置に新たな機器を増設する場合であっても、制御情報の送信側において通信ポートに関する情報を更新すればよく、ユーザの作業時間を減らし、車載通信システムにおける機能追加等を、より容易に行うことができる。したがって、車載通信システムにおける機能追加等に、より柔軟に対応することができる。また、上記のような構成により、車載装置において、制御対象である機器に対応する通信ポートの特定などを行う必要がなく、より簡易な処理で機器を駆動することができる。
【0025】
(4)好ましくは、前記車載装置は、さらに、前記複数の通信ポートのうち、前記制御情報の送信元である統合車載装置が接続される通信ポートを示す情報を保持する記憶部を備える。
【0026】
このような構成により、たとえば、車載装置が、制御情報の送信元へ、当該制御情報に対する応答情報を送信する場合、応答情報の出力先とすべき通信ポートを容易に特定することができる。
【0027】
(5)本開示の実施の形態に係る車載通信システムは、統合車載装置と、各々が、複数の通信ポートを含み、前記統合車載装置に接続される複数の周辺車載装置とを備え、前記統合車載装置は、各前記周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器との対応関係を示すポート情報を保持し、前記統合車載装置は、前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信し、前記周辺車載装置は、前記統合車載装置から送信された前記フレームを受信し、受信した前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力する。
【0028】
このように、統合車載装置が、各周辺車載装置の通信ポートに関する情報を一括して管理する構成により、新たな機器を増設する場合、統合車載装置に保持されている上記情報を更新すればよく、ユーザの作業時間を減らし、車載通信システムにおける機能追加等を、より容易に行うことができる。したがって、車載通信システムにおける機能追加等に、より柔軟に対応することができる。また、上記のような構成により、周辺車載装置において、制御対象となる機器が接続されている通信ポートの特定などを行う必要がなく、より簡易な処理で機器を駆動することができる。
【0029】
(6)好ましくは、前記統合車載装置は、さらに、前記複数の通信ポートと、前記周辺車載装置が前記複数の通信ポートのうちのいずれか1つを介して前記制御情報または前記機器制御情報を前記機器へ送信する際に用いるべき通信方式との対応関係を示す通信方式情報を保持し、前記統合車載装置は、保持する前記通信方式情報に基づいて、前記制御情報または前記機器制御情報を送信する際に用いるべき通信方式を示す設定情報を、前記制御情報とともに前記フレームに含めて前記周辺車載装置へ送信し、前記周辺車載装置は、前記統合車載装置から受信した前記フレームに含まれる前記設定情報の示す通信方式に従って、前記制御情報または前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力する。
【0030】
このように、統合車載装置が、さらに、各周辺車載装置の通信方式に関する情報を一括して管理する構成により、新たな機器を増設する場合、統合車載装置に保持されている上記情報を更新すればよく、車載通信システムにおける機能追加等に、より一層柔軟に対応することができる。また、上記のような構成により、周辺車載装置において、制御対象である機器に対応する通信方式の特定などを行う必要がなく、より簡易な処理で機器を駆動することができる。
【0031】
(7)本開示の実施の形態に係る通信制御方法は、複数の周辺車載装置に接続される車載装置における通信制御方法であって、各前記周辺車載装置は、複数の通信ポートを備え、前記車載装置は、前記各周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器との対応関係を示すポート情報を保持し、保持している前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを特定するステップと、特定した前記通信ポートを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信するステップとを含む。
【0032】
このように、車載装置が、各周辺車載装置の通信ポートに関する情報を一括して管理することにより、新たな機器を増設する場合、当該車載装置に保持されている上記情報を更新すればよく、ユーザの作業時間を減らし、車載通信システムにおける機能追加等を、より容易に行うことができる。したがって、車載通信システムにおける機能追加等に、より柔軟に対応することができる。また、上記のような方法により、周辺車載装置において、制御対象となる機器が接続されている通信ポートの特定などを行う必要がなく、より簡易な処理で機器を駆動することができる。
【0033】
(8)本開示の実施の形態に係る通信制御方法は、複数の通信ポートを有する車載装置における通信制御方法であって、前記通信ポートに接続される機器を制御するための制御情報、および前記制御情報または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき前記通信ポートを示す出力先情報を含むフレームを受信するステップと、受信した前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力するステップとを含む。
【0034】
このような方法により、車載装置において、自己における複数の通信ポートと、当該複数の通信ポートに接続される機器との対応関係を示す情報を保持する必要がない。このため、車載装置に新たな機器を増設する場合であっても、制御情報の送信側において通信ポートに関する情報を更新すればよく、ユーザの作業時間を減らし、車載通信システムにおける機能追加等を、より容易に行うことができる。したがって、車載通信システムにおける機能追加等に、より柔軟に対応することができる。また、上記のような方法により、車載装置において、制御対象である機器に対応する通信ポートの特定などを行う必要がなく、より簡易な処理で機器を駆動することができる。
【0035】
(9)本開示の実施の形態に係る通信制御方法は、統合車載装置と、各々が、複数の通信ポートを含み、前記統合車載装置に接続される複数の周辺車載装置とを備える車載通信システムにおける通信制御方法であって、前記統合車載装置は、各前記周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器との対応関係を示すポート情報を保持し、前記統合車載装置が、保持している前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを特定するステップと、前記統合車載装置が、特定した前記通信ポートを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信するステップと、前記周辺車載装置が、前記統合車載装置から送信された前記フレームを受信するステップと、前記周辺車載装置が、受信した前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力するステップとを含む。
【0036】
このように、統合車載装置が、各周辺車載装置の通信ポートに関する情報を一括して管理する構成により、新たな機器を増設する場合、統合車載装置に保持されている上記情報を更新すればよく、ユーザの作業時間を減らし、車載通信システムにおける機能追加等を、より容易に行うことができる。したがって、車載通信システムにおける機能追加等に、より柔軟に対応することができる。また、上記のような構成により、周辺車載装置において、制御対象となる機器が接続されている通信ポートの特定などを行う必要がなく、より簡易な処理で機器を駆動することができる。
【0037】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0038】
[構成および基本動作]
図1は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、車載通信システム301は、統合ECU(Electronic Control Unit)(統合車載装置)201と、個別ECU(周辺車載装置)101A,101B,101Cと、検出機器51A,51B,51Cと、アクチュエータ61A1,61A2,61B1,61B2,61C1,61C2とを備える。車載通信システム301は、車両1に搭載される。
【0039】
以下、検出機器51A,51B,51Cの各々を検出機器51とも称し、アクチュエータ61A1,61A2,61B1,61B2,61C1,61C2の各々をアクチュエータ61とも称し、個別ECU101A,101B,101Cの各々を個別ECU101とも称する。
【0040】
統合ECU201は、個別ECU101A、個別ECU101Bおよび個別ECU101Cとケーブル3を介して接続される。車載通信システム301は、たとえば、統合ECU201が、各個別ECU101によるアクチュエータ61の駆動を制御するネットワーク構成である。このようなネットワーク構成では、統合ECU201のファームウェアを更新する等の簡易な方法により車載通信システム301に新たな機能を追加することができるため、車載通信システム301への機能追加のニーズに柔軟に対応することができる。
【0041】
検出機器51Aおよびアクチュエータ61A,61Bは、それぞれ対応のケーブル5を介して個別ECU101Aと接続される。検出機器51Bおよびアクチュエータ61B1,61B2は、それぞれ対応のケーブル5を介して個別ECU101Bと接続される。検出機器51Cおよびアクチュエータ61C1,61C2は、それぞれ対応のケーブル5を介して個別ECU101Cと接続される。
【0042】
ケーブル3,5は、たとえば、CAN(Controller Area Network)(登録商標)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oriented Systems Transport)(登録商標)、イーサネット(登録商標)、LIN(Local Interconnect Network)、およびCXPI(Clock Extension Peripheral Interface)等の規格に従う伝送線である。なお、ケーブル3,5は、たとえばアナログ信号を伝送可能な信号線であってもよい。
【0043】
検出機器51は、車両1に関する情報を検出する。たとえば、検出機器51は、各種センサまたは各種スイッチである。センサは、たとえば、車両1の周辺の照度を計測する照度センサであり、定期的に計測を行い、計測結果を示すセンサデータをCAN、LINまたはCXPIの規格に従うフレームに格納して、個別ECU101へ送信する。
【0044】
また、スイッチは、たとえば、車両1のドアの開閉に連動してオンおよびオフが切り替わるスイッチであり、自己のオンまたはオフの状態を検出し、検出結果を示すモニタデータをCAN、LINまたはCXPIの規格に従うフレームに格納して、個別ECU101へ送信する。以下、センサデータおよびモニタデータの各々を、検出データとも称する。
【0045】
個別ECU101は、自己に接続された検出機器51から検出データを受信し、受信した検出データを統合ECU201へ送信する。統合ECU201は、たとえば、個別ECU101から受信した検出データに基づいて、アクチュエータ61を駆動するための制御情報を生成し、生成した制御情報を、当該個別ECU101または当該個別ECIとは異なる個別ECU101へ送信する。具体的には、統合ECU201は、車両1の周辺の照度が低いことを示す検出データを受信した場合、車両1におけるランプを点灯させるための制御情報を生成し、生成した制御情報を個別ECU101へ送信する。個別ECU101は、統合ECU201から制御情報を受信し、受信した制御情報に基づいて、自己に接続された、ランプの点灯機能に対応するアクチュエータ61を駆動する。
【0046】
なお、車載通信システム301は、2つ以上の統合ECU201を備える構成であってもよい。また、車載通信システム301は、4つ以上の個別ECU101を備える構成であってもよい。また、各個別ECU101に接続される検出機器51は、2つ以上であってもよい。また、各個別ECU101に接続されるアクチュエータ61は、1つ、または3つ以上であってもよい。
【0047】
[個別ECU]
図2は、本開示の実施の形態に係る個別ECUの構成を示す図である。
図2は、個別ECU101Aの構成を代表的に示している。個別ECU101B,101Cの各々は、個別ECU101Aと同様の構成を有する。
図2を参照して、個別ECU101Aは、情報処理部10と、通信部20と、記憶部30と、駆動部(出力部)40と、通信ポートP1,P2,P3,P4とを備える。通信部20は、送信部21と、受信部22とを含む。情報処理部10、通信部20および駆動部40は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサによって実現される。記憶部30は、たとえば不揮発性メモリである。なお、記憶部30は、個別ECU101Aの外部に設けられてもよい。
【0048】
たとえば、通信ポートP1,P2,P3は、ケーブル5を接続可能な端子であり、通信ポートP4は、ケーブル3を接続可能な端子である。通信ポートP1,P2,P3,P4には、それぞれ、検出機器51、アクチュエータ61A1,61A2および統合ECU201が接続されている。
【0049】
情報処理部10は、検出機器51から送信された検出データを通信ポートP1経由で受信し、当該検出データを通信部20へ出力する。通信部20における送信部21は、情報処理部10から出力された検出データを受けて、当該検出データを通信ポートP4経由で統合ECU201へ送信する。
【0050】
受信部22は、統合ECU201から送信された制御情報を通信ポートP4経由で受信し、当該制御情報を駆動部40へ出力する。駆動部40は、受信部22から受けた制御情報、または当該制御情報に基づく機器制御情報を含む駆動信号を生成し、生成した駆動信号を、通信ポートP2または通信ポートP3経由で対応のアクチュエータ61へ送信することにより、当該アクチュエータ61を駆動する。機器制御情報は、たとえば、制御情報の示す制御値等の値を所定の規則に従って変換した情報である。なお、個別ECU101は、駆動信号を送信する構成に限らず、他の種類の信号を送信する構成であってもよい。
【0051】
アクチュエータ61は、車両1におけるランプの点灯機能に対応する機器、または車両1におけるドアの開閉機能に対応する機器などである。アクチュエータ61は、個別ECU101から送信された駆動信号を受信し、当該駆動信号に従って動作する。また、アクチュエータ61は、たとえば、個別ECU101からの駆動信号に対する応答信号を、通信ポートP2または通信ポートP3経由で個別ECU101における駆動部40へ送信する。
【0052】
[統合ECU]
図3は、本開示の実施の形態に係る統合ECUの構成を示す図である。
図3を参照して、統合ECU201は、通信部110と、記憶部120と、情報処理部130と、通信ポートP11とを備える。通信部110は、受信部111と、送信部112とを含む。情報処理部130は、制御部131と、取得部132とを含む。通信部110および情報処理部130は、たとえば、CPUおよびDSP等のプロセッサによって実現される。記憶部120は、たとえば不揮発性メモリである。なお、記憶部120は、統合ECU201の外部に設けられてもよい。
【0053】
たとえば、通信ポートP11は、ケーブル3を接続可能な端子である。通信ポートP11には、個別ECU101A,101B,101Cが接続されている。受信部111は、個別ECU101から送信された検出データを通信ポートP11経由で受信し、当該検出データを記憶部120に保存する。情報処理部130における制御部131は、たとえば、記憶部120に保存されている検出データを参照して、アクチュエータ61を駆動するための制御情報を生成し、生成した制御情報を送信部112へ出力する。送信部112は、たとえば、制御部131から出力された制御情報を受けて、当該制御情報をCANフレームに格納し、当該CANフレームを通信ポート11経由で個別ECU101へ送信する。
【0054】
[比較例]
(統合ECUおよび個別ECUの各々に保存されているテーブル)
図4は、比較例に係る車載通信システムにおける制御情報の流れを説明するための図である。
図4を参照して、比較例に係る車載通信システム901は、統合ECU501と、個別ECU401A,401B,401Cとを備える。個別ECU401A,401B,401Cの各々を個別ECU401とも称する。統合ECU501は、
図3に示す統合ECU201と同様の構成を有している。個別ECU401は、
図2に示す個別ECU101と同様の構成を有している。
【0055】
図4では、制御情報の流れを簡潔に説明するため、統合ECU501の構成の一部である記憶部720および通信ポートP71、ならびに各個別ECU401の構成の一部である記憶部630および通信ポートP61,P62,P63,P64を示している。以下、通信ポートP61,P62,P63,P64,P71の各々を、通信ポートPとも称する。ここでは、各個別ECU401における通信ポートP62には現在、機器が接続されていないとする。
【0056】
統合ECU501における記憶部720には、通信ポートP71と、通信ポートP71に接続される機器との対応関係を示すポートテーブルT61が保存されている。また、記憶部720には、たとえば、車載通信システム901における各アクチュエータ61の機能の一覧を示す機能一覧テーブルT62が保存されている。
【0057】
図5は、比較例に係る統合ECUに保存されているポートテーブルの一例を示す図である。
図5を参照して、具体的には、ポートテーブルT61には、通信ポートP71の接続先が個別ECU401であり、個別ECU401との間における通信方式がCANであることを示す情報として、「Port」の項目に「P71」、「機能」の項目に「個別接続」、「接続先」の項目に「出力」、および「通信」の項目に「CAN」が登録されている。
【0058】
図6は、比較例に係る統合ECUに保存されている機能一覧テーブルの一例を示す図である。
図6の左側を参照して、機能一覧テーブルT62は、たとえば、車載通信システム901における各アクチュエータ61の機能に対するID(Identification)を示す。具体的には、機能一覧テーブルT62は、たとえば、ドアの開閉機能に対応するIDが「301」であることを示す。
【0059】
再び
図4を参照して、個別ECU401における記憶部630には、当該個別ECU401における複数の通信ポートPと、各通信ポートPに接続される機器との対応関係を示すポートテーブルT51が保存されている。また、記憶部630には、当該個別ECU401における機能の一覧を示す機能一覧テーブルT52が保存されている。
【0060】
図7は、比較例に係る個別ECUに保存されているポートテーブルの一例を示す図である。
図7は、個別ECU401Bに保存されているポートテーブルT51を代表的に示している。
図7の左側を参照して、具体的には、ポートテーブルT51は、たとえば、通信ポートP61の接続先が、ランプのオンまたはオフの状態を計測する検出機器51であり、当該検出機器51との間における通信方式がCXPIであることを示す。また、ポートテーブルT51は、たとえば、通信ポートP62が、新たに機器を増設する場合に用いられる通信ポート(以下、増設用ポートとも称する。)であることを示す。
【0061】
図8は、比較例に係る個別ECUに保存されている機能一覧テーブルの一例を示す図である。
図8は、個別ECU401Bに保存されている機能一覧テーブルT52を代表的に示している。
図8の左側を参照して、機能一覧テーブルT52は、たとえば、ID「301」に対応する機能を有する機器に対して、duty比「100」の数値を示す制御情報が送信または受信され、当該制御情報または当該制御情報に基づく機器制御情報を出力すべき通信ポートPが通信ポートP63であることを示す。
【0062】
(駆動信号の送信)
再び
図4を参照して、ここでは、統合ECU501が、車両1における左右のドアの開閉状態を変更するための制御情報を生成するとする。個別ECU401Bにおける通信ポートP63に接続されたアクチュエータ61B2が、車両1における左側のドアの開閉機能に対応する機器であるとする。また、個別ECU401Cにおける通信ポートP63に接続されたアクチュエータ61C2が、車両1における右側のドアの開閉機能に対応する機器であるとする。
【0063】
この場合、統合ECU501は、たとえば、
図6の左側に示す機能一覧テーブルT62を参照して、ドアの開閉機能に対応するID「301」を示すID情報を、ドアの開閉状態を変更する際のduty比を示す制御情報とともにCANフレームに格納する。そして、統合ECU501は、当該CANフレームを、通信ポートP71経由で複数の個別EUC401へ送信する。
【0064】
各個別ECU401は、統合ECU501から送信されたCANフレームを通信ポートP64経由で受信し、受信したCANフレームに格納されているID情報の示すIDを確認する。そして、個別ECU401は、たとえば、当該IDが
図8に示す機能一覧テーブルT52に含まれていない場合、当該CANフレームを破棄する。一方、個別ECU401は、たとえば、当該IDが機能一覧テーブルT52に含まれている場合、当該CANフレームに格納された制御情報を取得し、当該制御情報または当該制御情報に基づく機器制御情報を含む駆動信号を生成する。
【0065】
より詳細には、個別ECU401は、再び機能一覧テーブルT52を参照して、駆動信号を出力すべき通信ポートPとして、たとえば、ID「301」に対応する通信ポートP63を特定する。また、個別ECU401は、
図7の左側に示すポートテーブルT51を参照して、駆動信号を出力する際に用いるべき通信方式として、通信ポートP63に対応する「LIN」を特定する。そして、個別ECU401は、たとえば、LINの規格に従ったフレームのフォーマットに制御情報または機器制御情報を格納し、当該フレームを含み、かつLINの規格に従った変調方式の駆動信号を生成する。そして、個別ECU401は、生成した駆動信号を通信ポートP63へ出力する。
【0066】
ここでは、個別ECU401Aに保存されている機能一覧テーブルT52にID「301」が含まれず、一方で、個別ECU401B,401Cに保存されている機能一覧テーブルT52にID「301」が含まれているとする。この場合、個別ECU401Bは、アクチュエータ61B2へ通信ポートP63経由で駆動信号を送信する。これより、車両1における左側のドアの開閉状態が変更される。また、個別ECU401Cは、アクチュエータ61C2へ通信ポートP63経由で駆動信号を送信する。これより、車両1における右側のドアの開閉状態が変更される。
【0067】
(機器が増設された場合におけるテーブルの更新)
比較例に係る車載通信システム901に対して、ユーザが、たとえば、個別ECU401Bにおける増設用ポートである通信ポートP62に新たなアクチュエータ61を接続したとする。新たなアクチュエータ61は、たとえば、窓の開閉機能に対応する機器である。この場合、ユーザは、
図6の右側に示すように、統合ECU501に保存されている機能一覧テーブルT62に対して、たとえば、新たなアクチュエータ61に対応するIDおよび機能を追加することにより、機能一覧テーブルT62を更新する。
【0068】
また、この場合、ユーザは、
図7の右側に示すように、個別ECU401Bに保存されているポートテーブルT51における通信ポートP62に対応する箇所に、窓の開閉機能に対応するアクチュエータ61が接続され、当該アクチュエータ61との間における通信方式が「LIN」であること等を追加することにより、ポートテーブルT51を更新する。
【0069】
また、この場合、ユーザは、
図8の右側に示すように、個別ECU401Bに保存されている機能一覧テーブルT52に対して、たとえば、新たなアクチュエータ61の機能に対応するID「300」、送信または受信されるデータの内容、および当該アクチュエータ61が接続される通信ポートP62を追加することにより、機能一覧テーブルT52を更新する。
【0070】
このように、比較例に係る車載通信システム901では、統合ECU501および個別ECU401の両方が、複数の通信ポートと、当該複数の通信ポートに接続される機器との対応関係を示すテーブルを保持している。このため、新たなアクチュエータ61を増設する場合、統合ECU501および個別ECU401の両方に対してテーブルの更新を行う必要があり、ユーザの作業時間が長くなってしまう。
【0071】
そこで、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、統合ECU201が、各個別ECU101における複数の通信ポートと、当該複数の通信ポートに接続される機器との対応関係を示す情報を保持する。これにより、車載通信システム301における機能追加等がより容易となり、当該機能追加に、より柔軟に対応することができる。以下、詳細な構成について説明する。
【0072】
[本開示の実施の形態に係る車載通信システムの詳細]
(統合ECUおよび個別ECUの各々に保存されているテーブル)
図9は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける制御情報の流れを説明するための図である。
図9では、制御情報の流れを簡潔に説明するため、統合ECU201の構成の一部である記憶部120および通信ポートP11、ならびに各個別ECU101の構成の一部である記憶部30および通信ポートP1,P2,P3,P4を示している。以下、通信ポートP1,P2,P3,P4,P11の各々を、通信ポートPとも称する。ここでは、各個別ECU101における通信ポートP2には現在機器が接続されていないとする。
【0073】
図9を参照して、統合ECU201における記憶部120には、車載通信システム301における複数の通信ポートPに関する情報を示すポートテーブルT21が保存されている。ポートテーブルT21は、各個別ECU101における複数の通信ポートPと、当該複数の通信ポートPに接続される機器との対応関係を示すポート情報を含む。また、ポートテーブルT21は、さらに、各個別ECU101における複数の通信ポートPと、各個別ECU101が当該複数の通信ポートPのうちのいずれか1つを介して、制御情報または機器制御情報を機器へ出力する際に用いるべき通信方式との対応関係を示す通信方式情報を含む。
【0074】
図10は、本開示の実施の形態に係る統合ECUに保存されているポートテーブルの一例を示す図である。
図10の左側を参照して、より詳細には、ポートテーブルT21は、
図5に示すポートテーブルT61と同様に、たとえば、統合ECU201における通信ポートP11と、通信ポートP11に接続される機器の機能と、通信ポートP11の接続先との間における通信方式との対応関係を示す。
【0075】
また、ポートテーブルT21は、さらに、
図7の左側に示すポートテーブルT51と同様に、個別ECU101ごとに、複数の通信ポートPと、当該複数の通信ポートPに接続される機器の機能と、当該複数の通信ポートPの接続先との間における通信方式との対応関係を示す。
図10では、代表的に、個別ECU101Bにおける複数の通信ポートPに関する情報を詳細に示している。
【0076】
また、統合ECU201における記憶部120には、車載通信システム301における各アクチュエータ61の機能の一覧を示す機能一覧テーブルT22が保存されている。
図11は、本開示の実施の形態に係る統合ECUに保存されている機能一覧テーブルの一例を示す図である。
図11の左側を参照して、機能一覧テーブルT22は、
図6の左側に示す機能一覧テーブルT62と同様であるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
【0077】
再び
図9を参照して、各個別ECU101における記憶部30には、たとえば、当該個別ECU101における複数の通信ポートPのうち、統合ECU201が接続される通信ポートP4を示すポートテーブルT11が保存されている。また、記憶部30には、当該個別ECU101、および当該個別ECU101における機能の一覧を示す機能一覧テーブルT12が保存されている。
【0078】
図12は、本開示の実施の形態に係る個別ECUに保存されているポートテーブルの一例を示す図である。
図12は、個別ECU101Bに保存されているポートテーブルT11を代表的に示している。
図12を参照して、具体的には、ポートテーブルT11は、たとえば、通信ポートP4に統合ECU201が接続され、統合ECU201との間における通信方式がCANであることを示す。
【0079】
図13は、本開示の実施の形態に係る個別ECUに保存されている機能一覧テーブルの一例を示す図である。
図13は、個別ECU101Bに保存されている機能一覧テーブルT12を代表的に示している。
図13を参照して、機能一覧テーブルT12は、たとえば、個別ECU101Bにおける機能の一覧を示す。
【0080】
なお、各個別ECU101は、ポートテーブルT11および機能一覧テーブルT12の両方を保持する構成に限定されず、ポートテーブルT11および機能一覧テーブルT12の少なくともいずれか一方を保持しない構成であってもよい。
【0081】
(駆動信号の送信)
再び
図3および
図9を参照して、ここでは、統合ECU201における制御部131が、車両1における左右のドアの開閉状態を変更するための制御情報を生成するとする。個別ECU101Bにおける通信ポートP3に接続されたアクチュエータ61B2が、車両1における左側のドアの開閉機能に対応する機器であるとする。また、個別ECU101Cにおける通信ポートP3に接続されたアクチュエータ61C2が、車両1における右側のドアの開閉機能に対応する機器であるとする。
【0082】
この場合、統合ECU201における取得部132は、
図10の左側に示すポートテーブルT21を参照して、たとえば、ドアの開閉状態を変更するための制御情報、または当該制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートPとして、ドアの開閉機能に対応する通信ポートP3を特定する。また、取得部132は、ポートテーブルT21を参照して、個別ECU101が制御情報または機器制御情報を機器へ送信する際に用いるべき通信方式として「LIN」を特定する。
【0083】
また、取得部132は、
図11に示す機能一覧テーブルT22を参照して、ドアの開閉機能に対応するIDとして「301」を特定する。そして、取得部132は、特定したIDを示すID情報、特定した通信ポートP3を示す出力先情報、および特定した通信方式「LIN」を示す設定情報を、制御部131へ出力する。
【0084】
制御部131は、生成した制御情報、ならびに取得部132から受けたID情報、出力先情報および設定情報を送信部112へ出力する。送信部112は、たとえば、制御部131から受けたID情報、出力先情報および設定情報を、制御部131から受けた制御情報とともにCANフレームのデータ領域に格納する。そして、送信部112は、当該CANフレームを通信ポート11経由で複数の個別ECU101へ送信する。
【0085】
再び
図2および
図9を参照して、各個別ECU101における受信部22は、統合ECU201から送信されたCANフレームを通信ポートP4経由で受信し、受信したCANフレームに格納されているID情報の示すIDを確認する。そして、受信部22は、たとえば、当該IDが、
図13に示す機能一覧テーブルT12に含まれていない場合、当該CANフレームを破棄する。一方、受信部22は、当該IDが機能一覧テーブルT12に含まれている場合、当該CANフレームに格納されている制御情報、出力先情報および設定情報を取得し、取得したこれらの情報を駆動部40へ出力する。
【0086】
駆動部40は、受信部22から制御情報を受けて、当該制御情報または当該制御情報に基づく機器制御情報を含む駆動信号を生成する。より詳細には、駆動部40は、たとえば、受信部22から受けた設定情報の示す通信方式の規格に従ったフレームのフォーマットに制御情報または機器制御情報を格納する。そして、駆動部40は、当該フレームを含み、かつ当該通信方式の規格に従った変調方式の駆動信号を生成し、生成した駆動信号を、受信部22から受けた出力先情報の示す通信ポートP3へ出力する。通信ポートP3に接続されたアクチュエータ61は、駆動部40から送信された駆動信号を通信ポートP3経由で受信し、当該駆動信号に従って動作する。
【0087】
(機器が増設された場合におけるテーブルの更新)
本開示の実施の形態に係る車載通信システム301において、ユーザが、たとえば、個別ECU101Bにおける増設用ポートである通信ポートP2に新たなアクチュエータ61を接続したとする。新たなアクチュエータ61は、たとえば、窓の開閉機能に対応する機器である。この場合、ユーザは、
図10の右側に示すように、統合ECU201に保存されているポートテーブルT21おける、個別ECU101Bにおける通信ポートP2に対応する箇所に、新たなアクチュエータ61の機能、および当該アクチュエータ61との間における通信方式等を追加することにより、ポートテーブルT21を更新する。
【0088】
この場合、統合ECU201は、たとえば、
図11の右側に示すように、機能一覧テーブルT22に対して、新たなアクチュエータ61の機能および任意のIDを追加し、さらに、当該IDを個別ECU101Bに通知する。個別ECU101Bは、たとえば、統合ECU201からの通知を受けて、
図13に示す機能一覧テーブルT12に当該IDを新たに登録する。
【0089】
このように、車載通信システム301では、統合ECU201が、各個別EUC101に含まれる複数の通信ポートPと、当該複数の通信ポートPに接続される機器との対応関係を示すポート情報を一括して管理する。このため、新たにアクチュエータ61を増設する場合、統合ECU201に保存されているテーブルを更新すればよく、比較例に係る車載通信システム901のように、統合ECU501および個別ECU401の両方に対してテーブルの更新を行う必要がない。
【0090】
なお、テーブルの更新は、たとえばOTA(Over The Air)により行うことが可能である。すなわち、ユーザが端末等の操作を行うことにより、無線通信を用いてテーブルの内容を更新することができる。統合ECU201は、高い性能を有していることが多く、このようなOTAによるテーブル更新が可能である場合が多い。一方、個別ECU101は、統合ECU201に対して性能が低いことが多く、OTAによるテーブル更新ができない場合が多い。
【0091】
これに対して、上記のように、新たにアクチュエータ61を増設する場合、統合ECU201に保存されているテーブルを更新することで足りるため、たとえば、OTAを用いて、より容易にテーブルの更新を行うことができる。また、統合ECU201に保存されているテーブルの更新は、OTA以外の方法により行われてもよい。たとえば、ユーザが、装置の診断等を行うためのダイアグツールを統合ECU201に有線接続し、当該ダイアグツールを操作することにより、統合ECU201に保存されているテーブルの更新を行ってもよい。
【0092】
なお、統合ECU201に保存されているポートテーブルT21は、
図10に示すものに限定されない。たとえば、統合ECU201における記憶部120には、ポートテーブルT21の代わりに、上述したポート情報を含むテーブルと、上述した通信方式情報を含むテーブルとが別々に保存されていてもよい。
【0093】
また、ポートテーブルT21は、通信方式情報を含まなくてもよい。この場合、統合ECU201における送信部112は、たとえば、制御情報、ID情報および出力先情報を格納したCANフレームを、個別ECU101へ送信する。個別ECU101における記憶部30には、たとえば、
図7に示すポートテーブルT51、および
図8に示す機能一覧テーブルT52が保存されている。個別ECU101における駆動部40は、機能一覧テーブルT52を参照して、統合ECU201から受信したCANフレームに格納されたID情報、の示すIDに対応する通信ポートPを特定する。また、駆動部40は、ポートテーブルT51を参照して、特定した通信ポートPに対応する通信方式を特定する。そして、駆動部40は、特定した通信方式に従って駆動信号を生成し、生成した駆動信号を当該通信ポートPへ出力する。
【0094】
[動作の流れ]
本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0095】
(統合ECUによる制御情報の送信)
図14は、本開示の実施の形態に係る統合ECUが制御情報を格納したフレームを個別ECUへ送信する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0096】
図14を参照して、まず、統合ECU201は、たとえば、個別ECU101から送信された検出データを受信すると(ステップS11)、受信した検出データに基づいて、当該個別ECU101に接続された機器を制御するための制御情報を生成する(ステップS12)。
【0097】
次に、統合ECU201は、
図10に示すポートテーブルT21を参照して、当該制御情報または当該制御情報に基づく機器制御情報を含む駆動信号の出力先とすべき通信ポートP、および当該駆動信号を機器へ送信する際に用いるべき通信方式を特定する。また、統合ECU201は、
図11に示す機能一覧テーブルT22を参照して、制御対象である機器の機能に対応するIDを特定する(ステップS13)。
【0098】
次に、統合ECU201は、生成した制御情報とともに、特定した通信ポートPを示す出力先情報、特定した通信方式を示す設定情報、および特定したIDを示すID情報を含めたCANフレームを生成する(ステップS14)。そして、統合ECU201は、生成したCANフレームを複数の個別ECU101へ送信する(ステップS15)。
【0099】
(個別ECUによる駆動信号の出力)
図15は、本開示の実施の形態に係る個別ECUが駆動信号を出力する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0100】
図15を参照して、まず、個別ECU101は、当該個別ECU101に接続された検出機器51から送信された検出データを受信すると(ステップS21)、受信した検出データを、通信ポートP4経由で統合ECU201へ送信する(ステップS22)。
【0101】
次に、個別ECU101は、統合ECU201から送信された、制御情報を含むCANフレームを受信すると(ステップS23)、受信したCANフレームに含まれるID情報の示すIDが、
図13に示す機能一覧テーブルT12に含まれているか否かを確認する(ステップS24)。
【0102】
次に、個別ECU101は、当該IDが機能一覧テーブルT12に含まれていない場合(ステップS24において「NO」)、たとえば、当該CANフレームを破棄する。一方、個別ECU101は、当該IDが機能一覧テーブルT12に含まれている場合(ステップS24において「YES」)、当該CANフレームに含まれている制御情報、出力先情報および設定情報を取得する(ステップS25)。
【0103】
次に、個別ECU101は、取得した制御情報または当該制御情報に基づく機器制御情報を含む駆動信号を生成し(ステップS26)、生成した駆動信号を、設定情報の示す通信方式に従って、出力先情報の示す通信ポートPへ出力する(ステップS27)。
【0104】
(車載通信システムにおける通信処理)
図16は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける通信処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0105】
図16を参照して、まず、たとえば、個別ECU101B,101Cの各々は、自己に接続された検出機器51から送信された検出データを受信すると(ステップS31)、受信した検出データを、通信ポートP4経由で統合ECU201へ送信する(ステップS32)。
【0106】
次に、統合ECU201は、個別ECU101B,101Cの各々から送信された検出データを受信すると、たとえば、受信した複数の検出データに基づいて、個別ECU101Bに接続された機器、および個別ECU101Cに接続された機器を制御するための制御情報を生成する(ステップS33)。
【0107】
次に、統合ECU201は、
図10に示すポートテーブルT21を参照して、当該制御情報または当該制御情報に基づく機器制御情報を含む駆動信号の出力先とすべき通信ポートP、および当該駆動信号を機器へ送信する際に用いるべき通信方式を特定する。また、統合ECU201は、
図11に示す機能一覧テーブルT22を参照して、制御対象である機器の機能に対応するIDを特定する(ステップS343)。
【0108】
次に、統合ECU201は、生成した制御情報とともに、特定した通信ポートPを示す出力先情報、特定した通信方式を示す設定情報、および特定したIDを示すID情報を含めたCANフレームを生成する(ステップS35)。そして、統合ECU201は、生成したCANフレームを個別ECU101A,101B,101Cへ送信する(ステップS36)。
【0109】
次に、個別ECU101A,101B,101Cは、統合ECU201から送信された、制御情報を含むCANフレームを受信すると、受信したCANフレームに含まれるID情報の示すIDが、
図13に示す機能一覧テーブルT12に含まれているか否かを確認する(ステップS37)。
【0110】
ここでは、個別ECU101Aに保存されている機能一覧テーブルT52に当該IDが含まれていないとする。この場合、個別ECU101Aは、たとえば、受信したCANフレームを破棄する(ステップS38)。
【0111】
一方、個別ECU101B,101Cに保存されている機能一覧テーブルT52に当該IDが含まれているとする。この場合、個別ECU101B,101Cの各々は、受信したCANフレームに含まれている制御情報、出力先情報および設定情報を取得する(ステップS39)。
【0112】
次に、個別ECU101B,101Cの各々は、取得した制御情報、または当該制御情報に基づく機器制御情報を含む駆動信号を生成し(ステップS39)、生成した駆動信号を、設定情報の示す通信方式に従って、出力先情報の示す通信ポートPへ出力する(ステップS40)。
【0113】
ところで、車載通信システムへの機能追加等に柔軟に対応可能なネットワーク構成として、たとえば、統合車載装置と、当該統合車載装置に接続された複数の周辺車載装置とを備え、当該統合車載装置が、各周辺車載装置による機器の駆動を制御するようなネットワーク構成が開発されている。このようなネットワーク構成では、たとえば、統合車載装置および周辺車載装置の各々が、周辺車載装置における複数の通信ポートと、当該複数の通信ポートに接続される機器との対応関係を示すテーブルを保持する。
【0114】
しかしながら、この場合、周辺車載装置に新たな機器を増設する際、統合車載装置および周辺車載装置の両方に対してテーブルの更新を行う必要があり、ユーザの作業時間が長くなってしまうという問題があり、車載通信システムにおける機能追加等により柔軟に対応することのできる技術が求められる。
【0115】
これに対して、本開示の実施の形態に係る統合ECU201、個別ECU101、車載通信システム301および通信制御方法は、上記のような構成および方法により、車載通信システム301における機能追加等に、より柔軟に対応することができる。
【0116】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0117】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
複数の周辺車載装置に接続される車載装置であって、
各前記周辺車載装置は、複数の通信ポートを備え、
前記各周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器との対応関係を示すポート情報を保持する記憶部と、
前記記憶部に保持されている前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信する送信部とを備え、
前記ポート情報は、さらに、前記各通信ポートに接続される前記機器の機能を示し、OTA(Over The Air)により更新可能である、車載装置。
【0118】
[付記2]
複数の通信ポートを有する車載装置であって、
前記通信ポートに接続される機器を制御するための制御情報、および前記制御情報または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき前記通信ポートを示す出力先情報を含むフレームを受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力する出力部とを備え、
前記車載装置は、さらに、
前記車載装置における機能の一覧を示す情報を保持する記憶部を備える、車載装置。
【0119】
[付記3]
統合車載装置と、
各々が、複数の通信ポートを含み、前記統合車載装置に接続される複数の周辺車載装置とを備え、
前記統合車載装置は、各前記周辺車載装置における前記複数の通信ポートと、各前記通信ポートに接続される機器との対応関係を示すポート情報を保持し、
前記統合車載装置は、前記ポート情報に基づいて、前記複数の通信ポートのうち、前記機器を制御するための制御情報、または前記制御情報に基づく機器制御情報の出力先とすべき通信ポートを示す出力先情報を、前記制御情報とともにフレームに含めて前記周辺車載装置へ送信し、
前記周辺車載装置は、前記統合車載装置から送信された前記フレームを受信し、受信した前記フレームに含まれる前記制御情報、または前記制御情報に基づく前記機器制御情報を、前記出力先情報の示す前記通信ポートへ出力し、
前記ポート情報は、さらに、前記各通信ポートに接続される前記機器の機能を示し、OTA(Over The Air)により更新可能であり、
前記各周辺車載装置は、自己の機能の一覧を示す情報を保持する、車載通信システム。
【符号の説明】
【0120】
1 車両
3,5 ケーブル
10,130 情報処理部
20,110 通信部
21,112 送信部
22,111 受信部
30,120,630,720 記憶部
40 駆動部
51 検出機器
61 アクチュエータ
101,401 個別ECU(周辺車載装置)
131 制御部
132 取得部
201,501 統合ECU(統合車載装置)
301,901 車載通信システム