(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】経路設定システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/22 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
E02F9/22 E
(21)【出願番号】P 2020180781
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】秋山 将貴
(72)【発明者】
【氏名】土井 隆行
(72)【発明者】
【氏名】山下 耕治
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-20153(JP,A)
【文献】特開2020-169515(JP,A)
【文献】特開2016-89389(JP,A)
【文献】特開平5-311692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられ、作業を行うアタッチメントと、
前記アタッチメントの周囲の障害物の特定の部位である障害物特定部位の三次元情報を検出する撮像装置と、
前記アタッチメントの特定の部位であるアタッチメント特定部位の目標経路を設定するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記目標経路の開始点と前記目標経路の終了点との間に前記障害物特定部位があると判定した場合、前記目標経路として回避経路を設定し、
前記回避経路は、前記障害物を回避する回避動作を前記アタッチメントが行いながら、前記開始点から前記終了点に前記アタッチメント特定部位が移動する経路であり、
前記コントローラは、前記開始点と前記終了点との間に前記障害物特定部位がないと判定した場合、前記目標経路として非回避経路を設定し、
前記非回避経路は、前記回避動作を前記アタッチメントが行わずに、前記開始点から前記終了点に前記アタッチメント特定部位が移動する経路である、
経路設定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の経路設定システムであって、
前記下部走行体に対する前記上部旋回体の旋回角度であって前記アタッチメント特定部位が前記開始点に配置されるときの前記旋回角度を開始点旋回角度とし、
前記アタッチメント特定部位が前記終了点に配置されるときの前記旋回角度を終了点旋回角度とし、
前記アタッチメント特定部位が前記障害物特定部位の位置に配置されるときの前記旋回角度を障害物旋回角度としたとき、
前記コントローラは、前記開始点旋回角度から前記終了点旋回角度までの間に前記障害物旋回角度があるとき、前記開始点と前記終了点との間に前記障害物特定部位があると判定し、
前記コントローラは、前記開始点旋回角度から前記終了点旋回角度までの間に前記障害物旋回角度がないとき、前記開始点と前記終了点との間に前記障害物特定部位がないと判定する、
経路設定システム。
【請求項3】
請求項1に記載の経路設定システムであって、
前記上部旋回体の前後方向における前記開始点の位置を開始点前後位置とし、
前記上部旋回体の前後方向における前記終了点の位置を終了点前後位置とし、
前記上部旋回体の前後方向における前記障害物特定部位の位置を障害物前後位置としたとき、
前記コントローラは、前記開始点前後位置と前記終了点前後位置との間に前記障害物前後位置があるとき、前記開始点と前記終了点との間に前記障害物特定部位があると判定し、
前記コントローラは、前記開始点前後位置と前記終了点前後位置との間に前記障害物前後位置がないとき、前記開始点と前記終了点との間に前記障害物特定部位がないと判定する、
経路設定システム。
【請求項4】
請求項1に記載の経路設定システムであって、
前記下部走行体に対する前記上部旋回体の旋回角度であって前記アタッチメント特定部位が前記開始点に配置されるときの旋回角度を開始点旋回角度とし、
前記アタッチメント特定部位が前記終了点に配置されるときの前記旋回角度を終了点旋回角度とし、
前記アタッチメント特定部位が前記障害物特定部位の位置に配置されるときの前記旋回角度を障害物旋回角度とし、
前記上部旋回体の前後方向における前記開始点の位置を開始点前後位置とし、
前記上部旋回体の前後方向における前記終了点の位置を終了点前後位置とし、
前記上部旋回体の前後方向における前記障害物特定部位の位置を障害物前後位置としたとき、
前記コントローラは、前記開始点旋回角度から前記終了点旋回角度までの間に前記障害物旋回角度があるとき、および、前記開始点前後位置と前記終了点前後位置との間に前記障害物前後位置があるとき、の少なくともいずれかのとき、前記開始点と前記終了点との間に前記障害物特定部位があると判定し、
前記コントローラは、前記開始点旋回角度から前記終了点旋回角度までの間に前記障害物旋回角度がなく、かつ、前記開始点前後位置と前記終了点前後位置との間に前記障害物前後位置がないとき、前記開始点と前記終了点との間に前記障害物特定部位がないと判定する、
経路設定システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の経路設定システムであって、
前記障害物特定部位は、山形状の前記障害物の頂上である、
経路設定システム。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の経路設定システムであって、
前記障害物特定部位は、地面に形成された穴の縁である、
経路設定システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の経路設定システムであって、
前記回避動作は、前記開始点の上方の位置から前記障害物特定部位の位置を超えるまで、前記障害物特定部位よりも高い位置を前記アタッチメントが移動する動作である、
経路設定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のアタッチメントの目標経路を設定する経路設定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、アタッチメントの目標経路を設定する技術が記載されている。同文献に記載の技術では、アタッチメントの特定部位(同文献では「作業機の刃先」)が障害物(同文献では「現在の地形」)に接触しないように、アタッチメントの目標経路が設定される(同文献の[0072]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に記載の技術では、アタッチメントが障害物を回避する動作を行うような目標経路が設定される。具体的には、アタッチメントが、開始位置(同文献における現在位置)から、途中点を通り、終了位置(同文献における掘削開始位置)に至るように、目標経路が設定される。しかし、アタッチメントの位置や障害物の状態によっては、必ずしも障害物を回避する動作をアタッチメントが行う必要はない。そのため、アタッチメントが無駄な動作を行うおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、アタッチメントの障害物への接触を抑制できるとともに、アタッチメントの無駄な動作を抑制することができる、経路設定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
経路設定システムは、下部走行体と、上部旋回体と、アタッチメントと、撮像装置と、コントローラと、を備える。前記上部旋回体は、前記下部走行体に旋回可能に搭載される。前記アタッチメントは、前記上部旋回体に取り付けられ、作業を行う。前記撮像装置は、前記アタッチメントの周囲の障害物の特定の部位である障害物特定部位の三次元情報を検出する。前記コントローラは、前記アタッチメントの特定の部位であるアタッチメント特定部位の目標経路を設定する。前記コントローラは、前記目標経路の開始点と前記目標経路の終了点との間に前記障害物特定部位があると判定した場合、前記目標経路として回避経路を設定する。前記回避経路は、前記障害物を回避する回避動作を前記アタッチメントが行いながら、前記開始点から前記終了点に前記アタッチメント特定部位が移動する経路である。前記コントローラは、前記開始点と前記終了点との間に前記障害物特定部位がないと判定した場合、前記目標経路として非回避経路を設定する。前記非回避経路は、前記回避動作を前記アタッチメントが行わずに、前記開始点から前記終了点に前記アタッチメント特定部位が移動する経路である。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、アタッチメントの障害物への接触を抑制できるとともに、アタッチメントの無駄な動作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】経路設定システム1を横方向Yから見た図である。
【
図2】
図1に示す経路設定システム1を上側Z1から見た図である。
【
図3】
図1に示す経路設定システム1のブロック図である。
【
図4】
図1に示す経路設定システム1の作動を示すフローチャートである。
【
図5】
図1に示す経路設定システム1および回避経路R1を上側Z1から見た図である。
【
図6】
図5に示す回避経路R1などを横方向Yから見た図である。
【
図7】
図5に示す回避経路R1などを後側X2から見た図である。
【
図8】
図1に示す経路設定システム1および非回避経路R2を上側Z1から見た図である。
【
図9】
図8に示す非回避経路R2を後側X2から見た図である。
【
図10】変形例1の経路設定システム1の作動を示すフローチャートである。
【
図11】変形例2の経路設定システム1の作動を示すフローチャートである。
【
図12】変形例4の経路設定システム1および目標経路Rなどを上側Z1から見た図である。
【
図13】
図12に示す目標経路Rなどを後側X2から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図13を参照して、経路設定システム1について説明する。
【0010】
経路設定システム1は、
図1に示す作業機械10のアタッチメント15の目標経路Rを設定するシステムである。経路設定システム1は、作業機械10と、撮像装置21と、コントローラ30と、を備える。
【0011】
作業機械10は、アタッチメント15を用いた作業を行う機械であり、例えば建設作業を行う建設機械であり、例えばショベルなどである。例えば、作業機械10は、作業対象物の捕捉(例えば土砂の掘削)、および、捕捉した作業対象物の解放(例えば排土)を行うことが可能である。上記の作業対象物は、土砂でもよく、石でもよく、廃棄物などでもよい。作業機械10は、例えば自動運転可能である。作業機械10は、下部走行体11と、上部旋回体13と、アタッチメント15と、駆動制御部17(
図2参照)と、姿勢検出部19(
図2参照)と、を備える。
【0012】
下部走行体11は、上部旋回体13を旋回可能に支持する。下部走行体11は、作業機械10を走行させる。上部旋回体13は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回の中心軸を、旋回中心13a(
図2参照)とする。
【0013】
アタッチメント15は、上部旋回体13に取り付けられ、作業を行う。アタッチメント15は、ブーム15aと、アーム15bと、先端アタッチメント15cと、を備える。ブーム15aは、上部旋回体13に起伏可能(上下に回転可能)に取り付けられる。アーム15bは、ブーム15aに回転可能(押し引き可能)に取り付けられる。先端アタッチメント15cは、アタッチメント15の先端部に設けられ、アーム15bに回転可能に取り付けられる。先端アタッチメント15cは、例えば、作業対象物をすくうバケットでもよく、作業対象物を挟む装置(グラップルなど)でもよい。アタッチメント15の特定の部位を、アタッチメント特定部位15sとする(後述)。
図5に示すように、アタッチメント15の中心軸であって前後方向X(方向については後述)に延びる中心軸を、中心軸15lとする。なお、
図5に示す例では、上下方向Zから見たとき、旋回中心13aは中心軸15l上にあるが、旋回中心13aは中心軸15lから横方向Yにずれた位置にあってもよい。
【0014】
(作業機械10に関する方向など)
図1に示すように、下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回の中心軸(旋回中心13a)が延びる方向を、上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、下部走行体11から上部旋回体13に向かう側を上側Z1とし、その逆側を下側Z2とする。上下方向Zに直交する方向であって、上部旋回体13に対してアタッチメント15が突出する側を前後方向Xの前側X1とし、その逆側を前後方向Xの後側X2とする。上下方向Zおよび前後方向Xのそれぞれに直交する方向を、横方向Yとする。
【0015】
駆動制御部17(
図3参照)は、作業機械10を駆動させるアクチュエータを制御する。駆動制御部17は、下部走行体11に対して上部旋回体13を旋回させるモータ(図示なし)を制御する。駆動制御部17は、上部旋回体13に対してブーム15aを起伏させるシリンダ(図示なし)を制御する。駆動制御部17は、ブーム15aに対してアーム15bを回転させるシリンダを制御する。駆動制御部17は、アーム15bに対して先端アタッチメント15cを回転させるシリンダ(図示なし)を制御する。
【0016】
姿勢検出部19(
図3参照)は、作業機械10の姿勢を検出するセンサである。姿勢検出部19は、例えば角度センサを備える。具体的には、
図3に示すように、姿勢検出部19は、旋回角度検出部19aと、ブーム角度検出部19bと、アーム角度検出部19cと、先端アタッチメント角度検出部19dと、を備える。旋回角度検出部19aは、
図5に示す下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回角度θ(相対角度)を検出する。ブーム角度検出部19b(
図3参照)は、
図1に示す上部旋回体13に対するブーム15aの回転角度(起伏角度)を検出する。アーム角度検出部19c(
図3参照)は、ブーム15aに対するアーム15bの回転角度を検出する。先端アタッチメント角度検出部19d(
図3参照)は、アーム15bに対する先端アタッチメント15cの回転角度を検出する。
【0017】
撮像装置21は、撮像対象物の三次元情報を検出し、さらに詳しくは、撮像対象物の位置および形状の三次元の情報を検出する。撮像装置21の撮像対象物は、アタッチメント15の周囲の障害物Oの障害物特定部位Oa(
図5参照、後述)を含む。撮像装置21の撮像対象物は、例えばアタッチメント15の作業対象物(例えば土砂など)でもよく、作業対象物以外の物でもよい。撮像装置21の撮像対象物は、アタッチメント15の周囲の地形を含んでもよい。撮像装置21は、距離の情報(奥行きの情報)を有する画像(距離画像)を取得する。撮像装置21は、距離画像と二次元画像とに基づいて、撮像対象物の三次元情報を検出してもよい。
【0018】
この撮像装置21は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。撮像装置21は、作業機械10に搭載されてもよく、作業機械10の外部(例えば作業現場)に配置されてもよい(コントローラ30についても同様)。撮像装置21が作業機械10の外部に配置される場合(図示なし)は、撮像装置21が作業機械10のみに搭載された場合には検出できない位置(例えばアタッチメント15の陰になる部分など)を検出できる場合がある。また、撮像装置21が作業機械10の外部に配置される場合は、作業機械10が撮像装置21を備えていなくても、本実施形態の経路設定システム1を適用することができる。
【0019】
この撮像装置21は、レーザー光を用いて三次元の情報を検出する装置を備えてもよく、例えばLiDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)を備えてもよく、TOF(Time Of Flight)センサを備えてもよい。撮像装置21は、電波を用いて三次元の情報を検出する装置(例えばミリ波レーダなど)を備えてもよい。撮像装置21は、ステレオカメラを備えてもよい。撮像装置21が三次元の情報と二次元の情報とに基づいて、アタッチメント15の周囲の三次元情報を検出する場合などには、撮像装置21は、二次元の画像を検出可能なカメラを備えてもよい。
【0020】
コントローラ30は、信号の入出力、判定や算出などの演算、情報の記憶などを行う。コントローラ30には、姿勢検出部19(
図3参照)の検出結果が入力される。コントローラ30は、アタッチメント特定部位15sの目標経路Rを設定(例えば生成)する。コントローラ30は、目標経路R以外のアタッチメント15の経路(例えばアタッチメント特定部位15sの経路)を設定してもよい。コントローラ30は、駆動制御部17(
図3参照)を制御することで、作業機械10を自動的に動作させる。
【0021】
(作業機械10による作業の例)
作業機械10は、アタッチメント15の移動を伴う作業を行う。アタッチメント15は、アタッチメント特定部位15sを含む。アタッチメント特定部位15sは、例えば、先端アタッチメント15cの先端部などである。アタッチメント特定部位15sは、点でもよく、範囲でもよい。アタッチメント特定部位15sの移動は、上部旋回体13の旋回、ブーム15aの起伏、ブーム15aに対するアーム15bの回転、およびアーム15bに対する先端アタッチメント15cの回転、の少なくともいずれかの作動により行われる。
【0022】
アタッチメント特定部位15sの移動経路の具体例は、次の通りである。[例1A]アタッチメント15は、捕捉した作業対象物を持ち上げて旋回させる作動(持ち上げ旋回)を行う。このとき、
図2に示すように、アタッチメント特定部位15sは、位置P1から、位置P2を経由して、位置P3に移動する。位置P1は、アタッチメント15が作業対象物を捕捉した位置(例えば土砂を掘削した位置)である。位置P2については後述する。位置P3は、アタッチメント15が作業対象物の解放を開始する位置(例えば排土開始位置)である。[例1B]アタッチメント15は、作業対象物を解放(例えば排土)し、例えば、作業対象物を輸送車Tに積み込む。このとき、
図1に示す先端アタッチメント15cが、アーム15bに対して回転する。その結果、アタッチメント特定部位15sは、位置P3から位置P4に移動する。位置P4は、アタッチメント15が作業対象物の解放を完了する位置(例えば排土完了位置)である。
【0023】
[例1C]アタッチメント15は、作業対象物を解放した位置から、作業対象物を捕捉する位置に戻る作動(復帰旋回)を行う。このとき、
図2に示すように、アタッチメント特定部位15sは、位置P4から、位置P5を経由して、位置P6に移動する。位置P5については後述する。位置P6は、アタッチメント15が作業対象物の捕捉を開始する位置(例えば土砂の掘削開始位置)である。[例1D]アタッチメント15は、作業対象物を捕捉(例えば土砂を掘削)する。このとき、
図1に示す先端アタッチメント15cがアーム15bに対して回転する。その結果、アタッチメント特定部位15sは、位置P6から位置P1に移動する。
【0024】
図2に示すように、アタッチメント15の周囲には、経路設定対象エリアAと、それ以外の領域と、がある。経路設定対象エリアAは、経路設定システム1により、アタッチメント特定部位15sの目標経路Rが設定される領域(演算対象エリア)である。経路設定対象エリアAの外部でのアタッチメント特定部位15sの経路(エリア外経路)は、どのように設定されてもよい。エリア外経路は、例えば、コントローラ30に予め記憶された経路でもよい。エリア外経路は、例えば、オペレータが作業機械10を操作してアタッチメント15を移動させたときの、アタッチメント15の移動経路をコントローラ30などに記憶させた経路(ティーチング経路)でもよい。
【0025】
アタッチメント15の周囲に障害物Oが存在する場合がある。障害物Oは、アタッチメント15が移動する際に、アタッチメント15に接触する可能性のある物である。障害物Oは、地形(山形状の部分、穴形状の部分など)でもよい。障害物Oは、作業対象物(例えば土砂、廃棄物など)でもよい。障害物Oは、地形かつ作業対象物でもよく、例えば土砂山でもよく、地面に対して凹むように掘られた穴(深堀り)でもよい(
図12および
図13参照)。障害物Oは、地形でも作業対象物でもない物でもよい。
【0026】
(目標経路Rの設定の概要)
図5に示すように、目標経路Rは、アタッチメント特定部位15sの目標とする移動経路である。目標経路Rの開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあるか否かに応じて、開始点Rsと終了点Reとの間の目標経路Rの設定方法が変えられる。開始点Rsは、目標経路Rに沿ってアタッチメント特定部位15sを移動させる際の移動の始点である。終了点Reは、目標経路Rに沿ってアタッチメント特定部位15sを移動させる際の移動の終点である。開始点Rsおよび終了点Reのそれぞれは、三次元情報であり、三次元の位置を示す座標である。
【0027】
目標経路Rは、作業機械10が作業を行う際のアタッチメント特定部位15sの移動経路の一部でも全体でもよい。[例2A]例えば、
図2に示すように、目標経路Rは、持ち上げ旋回(上記[例1A]参照)の経路の一部でもよく、具体的には、位置P1から位置P2までの経路でもよい。[例2B]例えば、目標経路Rは、復帰旋回(上記[例1C]参照)の経路の一部でもよく、具体的には、位置P5から位置P6までの経路でもよい。[例2C]目標経路Rは、持ち上げ旋回の経路の全体(位置P1から位置P3までの経路)でもよい。[例2D]目標経路Rは、復帰旋回の経路の全体(位置P4からP6までの経路)でもよい。
【0028】
(目標経路Rの設定の詳細)
目標経路Rの設定について、
図4に示すフローチャートなどに基づいて説明する。フローチャートの各ステップ(ステップS11~S23)については、
図4を参照して説明する。同図に記載の一連の処理(スタートからエンドまでの処理)は、例えば、
図5に示すアタッチメント特定部位15sが開始点Rsに配置されるサイクル毎(例えば土砂の掘削サイクル毎)に行われる。
【0029】
ステップS11(
図4参照)では、
図1に示す撮像装置21が、アタッチメント15の周囲の三次元情報を検出する。撮像装置21が検出した三次元情報は、コントローラ30に入力される。
【0030】
ステップS12(
図4参照)では、
図5に示すコントローラ30が、アタッチメント15の周囲の三次元情報から、障害物Oを検出(抽出、算出)する。コントローラ30は、障害物特定部位Oaの三次元情報を算出する。障害物特定部位Oaは、障害物Oの一部でもよく、障害物Oの全体でもよい。[例3A]
図6に示すように、障害物特定部位Oaは、障害物Oの一部の点でもよい。例えば、障害物特定部位Oaは、山形状の障害物Oの頂上(最も高い位置、頂点)でもよく、具体的には例えば、土砂山の頂上でもよい。[例3B]障害物特定部位Oaは、障害物Oの一部の線状の部分でもよい。例えば、障害物特定部位Oaは、地面に形成された穴の縁でもよい(後述する変形例4を参照)(
図12および
図13参照)。[例3C]障害物特定部位Oaは、障害物Oの面でもよい。具体的には例えば、障害物特定部位Oaは、土砂山を構成する面でもよく、穴を構成する面(内面)でもよい。[例3D]障害物特定部位Oaは、1か所(例えば1点)にのみ存在してもよく、複数か所に存在してもよい。以下では、主に、障害物特定部位Oaが土砂山の頂上の点である場合について説明する。
【0031】
(障害物Oの有無の判定方法)
後述するように、
図5に示す目標経路Rの開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあるか否かが判定される(後述するステップS21(
図4参照))。以下、この判定を「障害物Oの有無の判定」という。障害物Oの有無の判定は、旋回角度θに基づいて行われてもよく、前後方向Xにおける位置(前後位置、上部旋回体13から見て奥行方向における位置)に基づいて行われてもよい(後述する変形例1を参照)。ここでは、障害物Oの有無の判定が旋回角度θに基づいて行われる場合について説明する。
【0032】
ステップS13(
図4参照)では、コントローラ30が、開始点旋回角度θsと、終了点旋回角度θeと、障害物旋回角度θoと、を取得する。
【0033】
開始点旋回角度θsは、アタッチメント特定部位15sが開始点Rsに配置されるときの旋回角度θである。さらに詳しくは、開始点旋回角度θsは、上下方向Zから見たときに、アタッチメント15の中心軸15l上に開始点Rsが配置されるときの旋回角度θである。
【0034】
具体的には例えば、開始点旋回角度θsは、次のように取得される。[例4A]開始点Rsに対応する位置(例えば点P1)にアタッチメント特定部位15sが実際に配置されたときに、旋回角度検出部19a(
図3参照)に検出された旋回角度θが、開始点旋回角度θsとされてもよい。この場合の具体例は、次の通りである。アタッチメント15による作業対象物を捕捉する作業が完了したとき、アタッチメント特定部位15sが、点P1に配置される。コントローラ30は、このときのアタッチメント特定部位15sの位置を、開始点Rsとする。そして、アタッチメント特定部位15sが点P1に配置されているときの旋回角度θが、旋回角度検出部19a(
図3参照)に検出される。コントローラ30は、検出された旋回角度θを、開始点旋回角度θsとする。[例4B]開始点Rsに対応する位置(例えば点P1)にアタッチメント特定部位15sが実際に配置されることなく、開始点旋回角度θsが取得されてもよい。具体的には、コントローラ30は、予め設定された開始点Rsの三次元情報に基づいて、アタッチメント特定部位15sが開始点Rsに配置されたと仮定したときの旋回角度θを算出し、算出された旋回角度θを開始点旋回角度θsとしてもよい。
【0035】
終了点旋回角度θeは、アタッチメント特定部位15sが終了点Reに配置されるときの旋回角度θである。さらに詳しくは、終了点旋回角度θeは、上下方向Zから見たときに、アタッチメント15の中心軸15l上に終了点Reが配置されるときの旋回角度θである。終了点Reに対応する位置(例えば点P2)にアタッチメント特定部位15sが実際に配置されたときに、旋回角度検出部19a(
図3参照)に検出された旋回角度θが、終了点旋回角度θeとされてもよい(上記[例4A]を参照)。終了点Reに対応する位置(例えば点P2)にアタッチメント特定部位15sが実際に配置されることなく、コントローラ30の演算により、終了点旋回角度θeが取得されてもよい(上記[例4B]を参照)。
【0036】
障害物旋回角度θoは、アタッチメント特定部位15sが障害物特定部位Oaの位置に配置されるときの旋回角度θである。さらに詳しくは、障害物旋回角度θoは、上下方向Zから見たときに、アタッチメント15の中心軸15l上に障害物特定部位Oaが配置されるときの旋回角度θである。障害物特定部位Oaに対応する位置にアタッチメント特定部位15sが実際に配置されたときに、旋回角度検出部19a(
図3参照)に検出された旋回角度θが、障害物旋回角度θoとされてもよい(上記[例4A]を参照)。障害物特定部位Oaに対応する位置にアタッチメント特定部位15sが実際に配置されることなく、コントローラ30の演算により、障害物旋回角度θoが取得されてもよい(上記[例4B]を参照)。
【0037】
ステップS21(
図4参照)では、コントローラ30が、障害物Oの有無の判定を行う。コントローラ30は、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあると判定した場合(ステップS21でYESの場合)、目標経路Rとして回避経路R1を設定する(ステップS22)。この例では、コントローラ30は、開始点旋回角度θsから終了点旋回角度θeまでの間(角度範囲B内)に障害物旋回角度θoがあるとき、「開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがある」と判定する。
【0038】
図8に示すように、コントローラ30は、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがないと判定した場合(ステップS21でNOの場合)、目標経路Rとして非回避経路R2を設定する(ステップS23)。この例では、コントローラ30は、開始点旋回角度θsから終了点旋回角度θeまでの間(角度範囲B内)に障害物旋回角度θoがないとき、「開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがない」と判定し、目標経路Rとして非回避経路R2を設定する。
【0039】
なお、開始点旋回角度θsから終了点旋回角度θeまで、旋回中心13aを中心にアタッチメント特定部位15sを旋回させる際の旋回方向を、「目標旋回方向」とする。上記「開始点旋回角度θsから終了点旋回角度θeまでの間」は、アタッチメント特定部位15sを目標旋回方向に回転させたときの、開始点旋回角度θsから終了点旋回角度θeまでの間である。上記「開始点旋回角度θsから終了点旋回角度θeまでの間」は、アタッチメント特定部位15sを目標旋回方向とは逆向きに回転させたときの、開始点旋回角度θsから終了点旋回角度θeまでの間ではない。角度範囲Bは、例えば180°以下である。
【0040】
ステップS22(
図4参照)では、
図5に示すように、コントローラ30は、目標経路Rとして回避経路R1を設定する。回避経路R1は、障害物Oを回避する回避動作をアタッチメント15が行いながら(
図5~
図7参照)、開始点Rsから終了点Reにアタッチメント特定部位15sが移動する経路である。回避経路R1は、回避動作経路R1aと、回避位置R1bと、回避後経路R1cと、を備える。
【0041】
回避動作経路R1aは、回避経路R1のうち、アタッチメント15による回避動作が行われる部分であり、開始点Rsから回避位置R1bまでアタッチメント特定部位15sが移動する経路である。アタッチメント15の回避動作は、様々に行われ得る。
【0042】
[例6A]回避動作は、障害物特定部位Oa(例えば点)を回避する動作でもよく、障害物特定部位Oaよりも広い範囲(例えば障害物特定部位Oaの周辺部を含む範囲)を回避する動作でもよく、障害物O全体を回避する動作でもよい。
【0043】
[例6B]回避動作では、アタッチメント特定部位15sが障害物Oを回避してもよく、アタッチメント15のうちアタッチメント特定部位15sよりも広い範囲が障害物Oを回避してもよい。[例6B1]回避動作では、アタッチメント15の全体が障害物Oを回避してもよい。なお、コントローラ30は、アタッチメント15の姿勢とアタッチメント15の形状情報とに基づいて、アタッチメント15が移動するときのアタッチメント15の軌跡を算出可能である。例えば、コントローラ30は、このアタッチメント15の軌跡に基づいて、アタッチメント15の全体が障害物Oを回避するような回避経路R1を算出する。
【0044】
[例6C]回避動作は、開始点Rsの上方の位置から、障害物特定部位Oaの位置を超えるまで(回避位置R1bまで)、障害物特定部位Oaよりも高い位置をアタッチメント15が移動する動作でもよい(
図7参照)。[例6C1]例えば、回避動作は、
図5に示す開始点旋回角度θsから障害物旋回角度θoを超えるまで、障害物特定部位Oaよりも高い位置をアタッチメント15が移動する動作でもよい。具体的には例えば、アタッチメント特定部位15sが、開始点Rsから上側Z1に移動し、障害物特定部位Oaよりも高い位置まで移動する(
図7参照)。そして、アタッチメント特定部位15sが、開始点旋回角度θsの位置から、障害物旋回角度θoを超えるまで(回避位置R1bまで)、横方向Yに移動する。[例6C2]例えば、回避動作は、開始点前後位置Xs(後述)から障害物前後位置Xo(後述)を超えるまで、障害物特定部位Oaよりも高い位置をアタッチメント15が移動する動作でもよい。
【0045】
[例6D]なお、回避動作は、アタッチメント15が障害物Oを回避できれば、どのような動作でもよい。例えば、回避動作は、障害物Oの面に沿うようにアタッチメント15が移動する動作でもよい。
【0046】
回避後経路R1cは、アタッチメント15が、障害物Oを超えた位置(回避位置R1b)から、終了点Reに向かって移動する経路である。例えば、回避後経路R1cは、回避位置R1bから終了点Reにアタッチメント特定部位15sが直行する経路(後述する非回避経路R2の説明を参照)でもよい。回避後経路R1cは、予めコントローラ30に設定された通過点を通ってアタッチメント特定部位15sが移動する経路でもよい。回避後経路R1cは、予めコントローラ30に設定された経路に沿ってアタッチメント特定部位15sが移動する経路などでもよい。
【0047】
ステップS23(
図4参照)では、コントローラ30は、
図8に示すように、目標経路Rとして非回避経路R2を設定する。非回避経路R2は、回避動作をアタッチメント15が行わずに、開始点Rsから終了点Reにアタッチメント特定部位15sが移動する経路である。[例7A]非回避経路R2は、例えば、開始点Rsから終了点Reまでアタッチメント特定部位15sが直行する経路である。例えば、非回避経路R2は、開始点Rsから終了点Reまでの最短経路でもよく(
図9参照)、具体的には直線的な経路でもよい。[例7B]例えば、非回避経路R2は、開始点Rsから終了点Reまでアタッチメント特定部位15sを移動させる際に、作業機械10の作動の効率が最も高くなる経路(具体的には消費エネルギーが最も小さくなる経路)でもよい。[例7C]非回避経路R2は、予め設定された経路に沿ってアタッチメント特定部位15sが移動する経路でもよい。この場合、回避経路R1は、予め設定された経路(すなわち非回避経路R2)を修正した経路でもよい。
【0048】
コントローラ30は、設定した目標経路Rに沿ってアタッチメント特定部位15sを移動させるように、駆動制御部17(
図3参照)に指令を出力する。その結果、アタッチメント特定部位15sが目標経路Rに沿って移動するように、作業機械10が制御される。
【0049】
(第1の発明の効果)
図1に示す経路設定システム1による効果は、次の通りである。経路設定システム1は、下部走行体11と、上部旋回体13と、アタッチメント15と、撮像装置21と、コントローラ30と、を備える。上部旋回体13は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。アタッチメント15は、上部旋回体13に取り付けられ、作業を行う。撮像装置21は、
図5に示すアタッチメント15の周囲の障害物Oの特定の部位である障害物特定部位Oaの三次元情報を検出する。コントローラ30は、アタッチメント15の特定の部位であるアタッチメント特定部位15sの目標経路Rを設定する。
【0050】
[構成1-1]コントローラ30は、目標経路Rの開始点Rsと目標経路Rの終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあると判定した場合、目標経路Rとして回避経路R1を設定する。回避経路R1は、障害物Oを回避する回避動作をアタッチメント15が行いながら、開始点Rsから終了点Reにアタッチメント特定部位15sが移動する経路である。
【0051】
[構成1-2]
図8に示すように、コントローラ30は、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがないと判定した場合、目標経路Rとして非回避経路R2を設定する。非回避経路R2は、回避動作をアタッチメント15が行わずに、開始点Rsから終了点Reにアタッチメント特定部位15sが移動する経路である。
【0052】
上記[構成1-1]および[構成1-2]では、
図5に示す開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあるか否かが判定される。上記[構成1-1]では、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがある場合、アタッチメント15が回避動作を行う回避経路R1が、目標経路Rとして設定される。よって、アタッチメント15に障害物Oを回避させながら、開始点Rsから終了点Reにアタッチメント特定部位15s移動させることができる。上記[構成1-2]では、
図8に示すように、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがない場合、アタッチメント15が回避動作を行わない非回避経路R2が、目標経路Rとして設定される。よって、アタッチメント15に無駄な回避動作をさせることなく、開始点Rsから終了点Reにアタッチメント特定部位15sを移動させることができる。したがって、上記[構成1-1]および[構成1-2]により、アタッチメント15の障害物Oへの接触を抑制できるとともに、アタッチメント15の無駄な動作を抑制することができる。
【0053】
(第2の発明の効果)
図5に示すように、下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回角度θであって、アタッチメント特定部位15sが開始点Rsに配置されるときの旋回角度θを、開始点旋回角度θsとする。アタッチメント特定部位15sが終了点Reに配置されるときの旋回角度θを、終了点旋回角度θeとする。アタッチメント特定部位15sが障害物特定部位Oaの位置に配置されるときの旋回角度θを、障害物旋回角度θoとする。
【0054】
[構成2]コントローラ30は、開始点旋回角度θsから終了点旋回角度θeまでの間(角度範囲B)に障害物旋回角度θoがあるとき、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあると判定する。
図8に示すように、コントローラ30は、開始点旋回角度θsから終了点旋回角度θeまでの間(角度範囲B)に障害物旋回角度θoがないとき、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがないと判定する。
【0055】
上記[構成2]では、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあるか否かの判定(障害物Oの有無の判定)が、旋回角度θに基づいて行われる。よって、例えば、三次元空間における開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあるか否かに基づいて、障害物Oの有無の判定が行われる場合などに比べ、コントローラ30の計算負荷を抑制することができる。
【0056】
(第5の発明の効果)
[構成5]
図6に示すように、障害物特定部位Oaは、山形状の障害物Oの頂上である。
【0057】
上記[構成5]では、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあるか否かの判定(障害物O有無の判定)が、障害物Oの頂上の三次元情報、すなわち点の三次元情報に基づいて行われる。よって、障害物O全体の三次元情報に基づいて障害物O有無の判定が行われる場合に比べ、コントローラ30の計算負荷を抑制することができる。
【0058】
(第7の発明の効果)
[構成7]
図7に示すように、回避動作は、開始点Rsの上方の位置から障害物特定部位Oaの位置を超えるまで(回避位置R1bまで)、障害物特定部位Oaよりも高い位置をアタッチメント15(
図5参照)が移動する動作である。
【0059】
上記[構成7]により、アタッチメント15(
図5参照)が、障害物特定部位Oaを確実に回避しながら、開始点Rsから終了点Reに向かって移動することができる。
【0060】
(変形例1)
図5に示す障害物Oの有無の判定は、様々に行われてもよい。例えば、上記実施形態では、障害物Oの有無の判定は、旋回角度θに基づいて行われた。一方、変形例1では、障害物Oの有無の判定は、前後方向Xにおける位置(前後位置)に基づいて行われる。以下、変形例1について、上記実施形態との相違点を説明する。
【0061】
図4に示すステップS13に変えて、変形例1では、
図10に示すステップS113が行われる。ステップS113では、
図5に示すコントローラ30は、開始点前後位置Xsと、終了点前後位置Xeと、障害物前後位置Xoと、を取得する。開始点前後位置Xsは、開始点Rsの前後方向Xにおける位置(上部旋回体13の前後方向Xにおける位置)である。終了点前後位置Xeは、終了点Reの前後方向Xにおける位置である。障害物前後位置Xoは、障害物特定部位Oaの前後方向Xにおける位置である。
【0062】
図4に示すステップS21に変えて、変形例1では、
図10に示すステップS121が行われる。ステップS121では、
図5に示すように、開始点前後位置Xsと終了点前後位置Xeとの間(前後範囲C)に障害物前後位置Xoがあるとき、コントローラ30は、「開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがある」と判定する。この場合(ステップS121(
図10参照)でYESの場合)、コントローラ30は、目標経路Rとして、回避経路R1を設定する(ステップS22(
図10参照))。
図8に示すように、開始点前後位置Xsと終了点前後位置Xeとの間(前後範囲C)に障害物前後位置Xoがないとき、コントローラ30は、「開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがない」と判定する。この場合(ステップS121(
図10参照)でNOの場合)、コントローラ30は、目標経路Rとして、非回避経路R2を設定する(ステップS23(
図10参照))。
【0063】
(第3の発明の効果)
変形例1による効果は、次の通りである。
図5に示すように、上部旋回体13の前後方向Xにおける開始点Rsの位置を、開始点前後位置Xsとする。上部旋回体13の前後方向Xにおける終了点Reの位置を、終了点前後位置Xeとする。上部旋回体13の前後方向Xにおける障害物特定部位Oaの位置を、障害物前後位置Xoとする。
【0064】
[構成3]コントローラ30は、開始点前後位置Xsと終了点前後位置Xeとの間(前後範囲C)に障害物前後位置Xoがあるとき、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあると判定する。
図8に示すように、コントローラ30は、開始点前後位置Xsと終了点前後位置Xeとの間(前後範囲C)に障害物前後位置Xoがないとき、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがないと判定する。
【0065】
上記[構成3]では、開始点Rsと終了点Reとの間(前後範囲C)に障害物特定部位Oaがあるか否かの判定(障害物Oの有無の判定)が、前後方向Xにおける位置(前後位置)に基づいて行われる。よって、例えば、三次元空間における開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあるか否かに基づいて、障害物Oの有無の判定が行われる場合などに比べ、コントローラ30の計算負荷を抑制することができる。
【0066】
(変形例2)
図5に示す障害物Oの有無の判定は、上記実施形態では旋回角度θに基づいて行われ、上記変形例1では前後方向Xにおける位置に基づいて行われた。一方、変形例2では、障害物Oの有無の判定は、旋回角度θおよび前後方向Xにおける位置のそれぞれに基づいて行われる。以下、変形例2について、上記実施形態との相違点を説明する。
【0067】
コントローラ30は、
図11に示すように、ステップS13(
図4参照)と、ステップS113(
図10参照)と、を行う。
【0068】
ステップS221aでは、
図5に示すコントローラ30は、開始点旋回角度θsから終了点旋回角度θeまでの間(角度範囲B)に障害物旋回角度θoがあるか否かを判定する。また、ステップS221b(
図11参照)では、コントローラ30は、開始点前後位置Xsと終了点前後位置Xeとの間(前後範囲C)に障害物前後位置Xoが有るか否かを判定する。
【0069】
コントローラ30は、角度範囲Bに障害物旋回角度θoがあるとき、および、前後範囲Cに障害物前後位置Xoがあるとき、の少なくともいずれかのとき、「開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがある」と判定する。具体的には、
図11に示すように、ステップS221aでYES、および、ステップS221bでYES、の少なくともいずれかの場合、
図5に示すコントローラ30は、「開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがある」と判定する。この場合、コントローラ30は、目標経路Rとして回避経路R1を設定する(ステップS22(
図11参照))。
【0070】
図8に示すように、コントローラ30は、角度範囲Bに障害物旋回角度θoがないとき、かつ、前後範囲Cに障害物前後位置Xoがないとき、「開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがない」と判定する。具体的には、
図11に示すように、ステップS221aでNO、かつ、ステップS221bでNOの場合、
図8に示すコントローラ30は、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがないと判定する。この場合、コントローラ30は、目標経路Rとして非回避経路R2を設定する(ステップS23(
図11参照))。
【0071】
(第4の発明の効果)
変形例2による効果は、次の通りである。
図5に示すように、下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回角度θであって、アタッチメント特定部位15sが開始点Rsに配置されるときの旋回角度θを、開始点旋回角度θsとする。アタッチメント特定部位15sが終了点Reに配置されるときの旋回角度θを、終了点旋回角度θeとする。アタッチメント特定部位15sが障害物特定部位Oaの位置に配置されるときの旋回角度θを、障害物旋回角度θoとする。上部旋回体13の前後方向Xにおける開始点Rsの位置を、開始点前後位置Xsとする。上部旋回体13の前後方向Xにおける終了点Reの位置を、終了点前後位置Xeとする。上部旋回体13の前後方向Xにおける障害物特定部位Oaの位置を、障害物前後位置Xoとする。
【0072】
[構成4]コントローラ30は、角度範囲Bに障害物旋回角度θoがあるとき、および、前後範囲Cに障害物前後位置Xoがあるとき、の少なくともいずれかのとき、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあると判定する。コントローラ30は、角度範囲Bに障害物旋回角度θoがなく、かつ、前後範囲Cに障害物前後位置Xoがないとき、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがないと判定する。角度範囲Bは、開始点旋回角度θsから終了点旋回角度θeまでの間である。前後範囲Cは、開始点前後位置Xsと終了点前後位置Xeとの間である。
【0073】
上記[構成4]により、角度範囲Bに障害物旋回角度θoがあるとき、および、前後範囲Cに障害物前後位置Xoがあるとき、の少なくともいずれかのとき、目標経路Rとして回避経路R1が設定される(上記[構成1-1]参照)。よって、旋回角度θおよび前後方向Xの一方のみに基づいて、障害物Oの有無の判定が行われる場合に比べ、目標経路Rとして回避経路R1が設定されやすい。よって、アタッチメント15の障害物Oへの接触をより抑制することができる。
【0074】
(変形例3)
図5に示すように、コントローラ30は、角度範囲Bに障害物旋回角度θoがあるとき、かつ、前後範囲Cに障害物前後位置Xoがあるとき、「開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがある」と判定してもよい。
図8に示すように、コントローラ30は、角度範囲Bに障害物旋回角度θoがないとき、および、前後範囲Cに障害物前後位置Xoがないとき、の少なくともいずれかのとき、「開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがない」と判定してもよい。この場合、旋回角度θおよび前後方向Xの一方のみに基づいて、障害物Oの有無の判定が行われる場合に比べ、目標経路Rとして非回避経路R2が設定されやすい。よって、アタッチメント15が無駄な回避動作を行うことを、より抑制することができる。
【0075】
(変形例4)
図5に示す例では、障害物特定部位Oaは、山形状の障害物Oの頂上(点)であった。変形例4では、
図12に示す障害物Oは、地面に形成された穴である(
図13参照)。障害物特定部位Oaは、穴の縁(地面と穴との境界の線状部分)である。障害物特定部位Oaが線状部分の場合、障害物旋回角度θoは、範囲を有する(障害物前後位置Xo(
図5参照)も同様)。また、ステップS21(
図4参照)では、範囲を有する障害物旋回角度θoの少なくとも一部が角度範囲B内にあるか否かが判定される。ステップS121(
図10参照)では、範囲を有する障害物前後位置Xo(
図5参照)の少なくとも一部が前後範囲C内にあるか否かが判定される。
【0076】
(第6の発明の効果)
[構成6]
図12に示すように、障害物特定部位Oaは、地面に形成された穴の縁である(
図13参照)。
【0077】
上記[構成6]では、開始点Rsと終了点Reとの間に障害物特定部位Oaがあるか否かの判定(障害物O有無の判定)が、穴である障害物Oの縁の三次元情報、すなわち線状部分の三次元情報に基づいて行われる。よって、障害物O全体の三次元情報に基づいて障害物O有無の判定が行われる場合などに比べ、コントローラ30の計算負荷を低減することができる。
【0078】
(他の変形例)
上記実施形態および変形例は、さらに様々に変形されてもよい。例えば、互いに異なる実施形態や変形例の構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、
図3に示す各構成要素の接続は変更されてもよい。例えば、
図4、
図10、
図11に示すフローチャートのステップの順序が変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【0079】
例えば、上記実施形態では、
図5などに示す障害物Oの頂点や縁が、障害物特定部位Oaとされた(
図5、
図12参照)。一方、障害物Oの形状の全体または略全体が、障害物特定部位Oaとされてもよい。上記実施形態では、障害物Oの有無の判定が、旋回角度θや前後方向Xにおける位置に基づいて行われた。一方、障害物Oの有無の判定が、三次元の位置に基づいて行われてもよい。具体的には例えば、開始点Rsと終了点Reとを結ぶ線分の三次元の位置情報と、障害物Oの三次元の位置および形状と、が重なるか否かに基づいて、障害物Oの有無の判定が行われてもよい。また、開始点Rsから終了点Reまで非回避経路R2(
図8参照)で移動したと仮定したときのアタッチメント15の三次元の軌跡と、障害物Oの三次元の位置および形状と、が重なるか否かに基づいて、障害物Oの有無の判定が行われてもよい。
【符号の説明】
【0080】
11 下部走行体
13 上部旋回体
15 アタッチメント
15s アタッチメント特定部位
21 撮像装置
30 コントローラ
R 目標経路
R1 回避経路
R2 非回避経路
Re 終了点
Rs 開始点
θ 旋回角度
θe 終了点旋回角度
θo 障害物旋回角度
θs 開始点旋回角度
Xe 終了点前後位置
Xo 障害物前後位置
Xs 開始点前後位置