(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】床衝撃音発生装置
(51)【国際特許分類】
G01M 7/08 20060101AFI20240521BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01M7/08 C
G10K15/04 301A
(21)【出願番号】P 2020188145
(22)【出願日】2020-11-11
【審査請求日】2023-08-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第30条第2項適用、2020年10月12日積水ハウス株式会社の関西住まいの夢工場内のSHMラボにおいて公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】大谷 康則
(72)【発明者】
【氏名】濱田 智毅
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-199354(JP,A)
【文献】特開昭58-17338(JP,A)
【文献】特開2001-91431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 7/08
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に載置されるベースと、
基端を前記ベースに回動可能に固定され、先端に落下物を取り付ける取付部を有する長尺部材のアームと、
前記ベースに固定される駆動源と、
前記駆動源から水平方向に延びて形成され当該駆動源の回転駆動を伝達する出力軸と、
前記出力軸に固定され当該出力軸に従って回転する回転体と、
前記出力軸から離れた前記回転体の位置に水平方向に突出するように固定される突起部と、
前記アームの前記駆動源側の垂直面に突出して固定され、前記突起部の上昇回転時に当該突起部と下面が接触する従動部と、を備え、
前記取付部は前記落下物を交換可能に取り付けることを特徴とする床衝撃音発生装置。
【請求項2】
前記落下物は重量落下物と、軽量落下物と、を含み、
前記軽量落下物は前記取付部に吊下げ紐を介して取り付けられるものであり、
前記取付部は前記吊下げ紐の周りに当該吊下げ紐の揺動を抑制するガイド部を有することを特徴とする請求項1に記載の床衝撃音発生装置。
【請求項3】
床に載置されるベースと、
基端を前記ベースに回動可能に固定され、先端に落下物を取り付ける取付部を有する長尺部材のアームと、
前記ベースに固定される駆動源と、
前記駆動源から水平方向に延びて形成され当該駆動源の回転駆動を伝達する出力軸と、
前記出力軸に固定され当該出力軸に従って回転する回転体と、
前記出力軸から離れた前記回転体の位置に水平方向に突出するように固定される突起部と、
前記アームの前記駆動源側の垂直面に突出して固定され、前記突起部の上昇回転時に当該突起部と下面が接触する従動部と、を備え、
前記回転体は前記出力軸を中心とする同一円上に、2個以上の前記突起部を脱着自在に取り付けることを特徴とする床衝撃音発生装置。
【請求項4】
前記従動部の下面は、当該従動部の前記アーム基端側と、当該従動部の前記アーム先端側と、の中間から前記アーム先端側に向かって、下方へと傾斜することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の床衝撃音発生装置。
【請求項5】
前記アームの基端は、回動体を介して前記ベースに回動可能に固定され、前記アームと、前記回動体と、は取り外しが可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の床衝撃音発生装置。
【請求項6】
前記アームが前記床と、前記ベースと、に衝突することを防ぐクッションが前記ベースに設けられ、当該クッションの上端は、前記落下物が前記床に衝突する際の前記アームの回転位置よりも低いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の床衝撃音発生装置。
【請求項7】
前記突起部は、前記出力軸との距離を変更可能に、前記回転体に固定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の床衝撃音発生装置。
【請求項8】
前記アームに固定される前記従動部の位置が、前記アームの軸方向及び垂直方向にスライドできることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の床衝撃音発生装置。
【請求項9】
上階に設置される請求項1乃至8のいずれかに記載の床衝撃音発生装置と、下階に形成される前記床衝撃音発生装置を駆動するスイッチと、前記下階に設置され前記床衝撃音発生装置を表示するディスプレイと、を有する床遮音性能体験施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実生活音に即した床衝撃音を発生させ建築物の床遮音性能を体感するための床衝撃音発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床遮音性能を体感する施設では、特許文献1に示されるバングマシンやタッピングマシンなどの床遮音性能値を測定するための床衝撃音発生装置を活用する場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の床遮音性能値を測定するための床衝撃音発生装置は、JIS規格に沿った重量床衝撃音又は軽量床衝撃音を発生させるものであり、前記バングマシンやタッピングマシンで発生する床衝撃音に馴染みの無い体験者は、床遮音性能を評価することが困難である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、実生活で発生する大人の歩行音や、スプーンやおもちゃをテーブルから落としたときの床衝撃音を再現できるように、形質に捉われず落下物を取り付けられ、落下物の落下高度及び落下動作の間隔を変更することができる床衝撃音発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に掛かる床衝撃音発生装置は、床に載置されるベースと、基端を前記ベースに回動可能に固定され、先端に落下物を取り付ける取付部を有する長尺部材のアームと、前記ベースに固定される駆動源と、前記駆動源から水平方向に延びて形成され当該駆動源の回転駆動を伝達する出力軸と、前記出力軸に固定され当該出力軸に従って回転する回転体と、前記出力軸から離れた前記回転体の位置に水平方向に突出するように固定される突起部と、前記アームの前記駆動源側の垂直面に突出して固定され、前記突起部の上昇回転時に当該突起部と下面が接触する従動部と、を備え、前記取付部は前記落下物を交換可能に取り付けることを特徴とする。
【0007】
さらに、前記落下物は重量落下物と、軽量落下物と、を含み、前記軽量落下物は前記取付部に吊下げ紐を介して取り付けられるものであり、前記取付部は前記吊下げ紐の周りに当該吊下げ紐の揺動を抑制するガイド部を有することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために本発明に掛かる床衝撃音発生装置は、床に載置されるベースと、基端を前記ベースに回動可能に固定され、先端に落下物を取り付ける取付部を有する長尺部材のアームと、前記ベースに固定される駆動源と、前記駆動源から水平方向に延びて形成され当該駆動源の回転駆動を伝達する出力軸と、前記出力軸に固定され当該出力軸に従って回転する回転体と、前記出力軸から離れた前記回転体の位置に水平方向に突出するように固定される突起部と、前記アームの前記駆動源側の垂直面に突出して固定され、前記突起部の上昇回転時に当該突起部と下面が接触する従動部と、を備え、前記回転体は前記出力軸を中心とする同一円上に、2個以上の前記突起部を脱着自在に取り付けることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記従動部の下面は、当該従動部の前記アーム基端側と、当該従動部の前記アーム先端側と、の中間から前記アーム先端側に向かって、下方へと傾斜することを特徴とする。
【0010】
さらに、前記アームの基端は、回動体を介して前記ベースに回動可能に固定され、前記アームと、前記回動体と、は取り外しが可能であることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記アームが前記床と、前記ベースと、に衝突することを防ぐクッションが前記ベースに設けられ、当該クッションの上端は、前記落下物が前記床に衝突する際の前記アームの回転位置よりも低いことを特徴とする。
【0012】
さらに、前記突起部は、前記出力軸との距離を変更可能に、前記回転体に固定されることを特徴とする。
【0013】
さらに、前記アームに固定される前記従動部の位置が、前記アームの軸方向及び垂直方向にスライドできることを特徴とする。
【0014】
さらに、上階に設置される請求項1乃至8のいずれかに記載の床衝撃音発生装置と、下階に形成される前記床衝撃音発生装置を駆動するスイッチと、前記下階に設置され前記床衝撃音発生装置を表示するディスプレイと、を有する床遮音性能体験施設であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る床衝撃音発生装置によると、取付部に落下物を形質に捉われず取り付けることができ、ボールやスプーンなどを取付部に取り付けることで、実生活で発生する床衝撃音を再現できる。
【0016】
また、軽量落下物は取付部に吊下げ紐を介して取り付けられることで、ガイド部が吊下げ紐の可動域を制限し、吊下げ紐の過大な横揺れ及び過大な飛び跳ねを抑制し、横揺れにより軽量落下物が本発明の床衝撃音発生装置自体に衝突することと、軽量落下物の跳ね上がりにより吊下げ紐がアームに絡まることと、を防止することができる。
【0017】
本発明に係る床衝撃音発生装置によると、回転体は出力軸を中心とする同一円上に、2個以上の突起部を脱着自在に取り付けることができ、重量落下物取付方法では、突起部を回転体に2個以上取り付けることで、アームが落下してから、次に突起部がアームを支持するまでの時間が早くなり、重量落下物が床に衝突した後の不要な弾み音を抑制することが出来る。また、回転体に取り付けた突起部の数によって、出力軸1回転当りのアームを持ち上げる回数を変更できるため、歩行音や子供の飛び跳ねる音などのリズムを再現することができる。
【0018】
また、従動部のアーム先端側下面が下方へと傾斜していることで、従動部のアーム先端側下面が下方へと傾斜していない場合に比べて、従動部が上昇回転する突起部に接触するタイミングが早くなり、重量落下物が床に衝突した後の不要な弾み音を抑制することができる。
【0019】
また、アームは回動体を介してベースに回動可能に固定されるため、アームの脱着自在となっており、長さの異なる別のアームに取り替えることで、落下物の落下高度を変更することが可能である。また、アームが損傷したときは、アームだけを交換することで復旧できる。
【0020】
また、ベースに回転落下するアームを受け止めるクッションを設けたことによりアームが他の部材と衝突して音を発生することを防止する。
【0021】
また、回転体に固定する突起部と出力軸との距離を変更することで突起部の回転半径が変わり、落下物の落下高度を変更することができる。
【0022】
また、従動部をアームの軸方向及び垂直方向にスライドして固定できることで、突起部と従動部の接触する位置を調整することが可能となり、従動部のアーム先端側を上方にスライドし、従動部のアーム基端側をアーム下方にスライドし、アームに対して従動部を傾斜させ固定することで、従動部と、上昇回転する突起部と、の接触タイミングを遅らせることができ、回転体に突起部を2個以上取り付けているときに、従動部と、突起部と、の接触が解放されアームが落下する途中で、次に上昇回転してくる突起部が従動部と接触しアームを持ち上げ、落下物が床に衝突する前にアームが持ち上がり衝撃音が発生しないことを回避できる。
【0023】
また、下階に設置されたディスプレイに上階に設置した本発明に係る床衝撃音発生装置を映し出し、その映像を見ながら床遮音性能を体験することで、体験者の満足度を向上させる。そして、上階に設置された本発明に係る床衝撃音発生装置の駆動スイッチを下階に設けることで起動停止の度に上下階の行き来が不要となり、案内人は体験者の接客対応に集中できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置の一例を示す等角投影図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置のアームと回動体との固定する様子を示す一部断面図である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る床衝撃音発生装置の長さの異なるアームによる落下高度の違いを示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置の軽量落下物取付の様子を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置の重量落下物取付の様子を示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置のアームと従動部の固定及び従動部本体と下垂部の固定の様子を示す一部断面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る床衝撃音発生装置のアームと従動部の固定及び従動部本体と下垂部の固定の様子を示す一部断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置の回転体の様子及び本発明の他の実施形態に係る床衝撃音発生装置の回転体を示す等角投影図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置の回転体と突起部との固定する様子を示す断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置のクッションの高さを示す平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る床遮音性能体験施設での床衝撃音発生装置の運用方法を示した一部断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置の動作原理を示す平面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置の突起部の取付数による、従動部と突起部との接触タイミングを示す平面図である。
【
図14】本発明の他の実施形態に係る床衝撃音発生装置の突起部の取付位置を変更することで、落下物の落下高度が変わることを示す平面図である。
【
図15】本発明の他の実施形態に係る床衝撃音発生装置の駆動台の高さを変更することで、落下物の落下高度が変わることを示す平面図である。
【
図16】本発明の他の実施形態に係る床衝撃音発生装置のアーム台の高さを変更することで、落下物の落下高度が変わることを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る床衝撃音発生装置の一実施形態について、以下、図面を参照しつつ説明する。本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1は、落下物9を床101に衝突させて床衝撃音を発生させる装置であって、
図1に示すように、ベース2と、アーム台20と、アーム3と、駆動台210と、駆動源5と、回転体6と、クッション台220と、クッション7と、を備える。
【0026】
ベース2は床101に載置される板状部材であり、アーム台20と、駆動台210と、クッション台220を有する。
【0027】
図1に示すように、アーム台20はベース2上に図示しないボルトで固定された直方体であり、アーム台20はアーム台20上面に回動部200を有する。
【0028】
図1に示すように、回動部200は2台のベアリング201と、アーム回動軸202と、回動体203から構成されており、2台のベアリング201は回転軸が一直線上になるように並び、2台のベアリング201の間に回動体203が入る間隔を空けて図示しないボルトでアーム台20は上面に固定されている。
【0029】
図1に示すように、アーム回動軸202は、2台のベアリング201の回転軸に挿入され回動可能に固定される軸部材である。
【0030】
図2に示すように、回動体203は、直方体であり、一面がアーム3と嵌合するように突出しており、アーム3と嵌合しボルト204でアーム3と固定され、2台のベアリング201にアーム回動軸202を介して回動可能に固定されている。
【0031】
図1に示すように、アーム3は、角パイプの長尺部材であり、
図2に示すように、基端を回動体203と嵌合しボルト204で固定することで、アーム回動軸202を中心として回動可能とされ、ボルト204を外すことで回動部200からアーム3を取り外すことが可能となっている。そのため、
図3に示すように、長さの異なるアーム3aに交換することで落下物9の落下高度を変更することができる。
【0032】
また、アーム3が破損したときに他のアーム3と交換することで復旧ができる。アーム3は、アーム3先端に取付部30と、アーム3先端とアーム3基端の中間に従動部4と、を有する。
【0033】
図4及び
図5に示すように、取付部30には、縦穴31と、横穴32と、を設け、ガイド部33を有しており、縦穴31は、アーム3先端の上面と、アーム3先端の下面と、を貫通する穴であって、アーム3先端からアーム3基端に向かって同じ間隔で3つ設けられている。横穴32は、アーム3先端の両側面を貫通する穴である。ガイド部33は縦穴31の内径より外径が小さい長尺のバネ33aであり、その一端には縦穴31の内径より大きい外形で、バネ33aの内径と同じ内径のナット33bが取り付けられている。
【0034】
図6に示すように、従動部4は、アーム3の駆動源5側側面にボルト36でアーム3と固定されている部材であって、立方体状の従動部本体4aと、従動部本体4aの下面にボルト41で固定され、アーム3先端側に向かって、肉厚となる三角形状の下垂部4bと、を有する。
【0035】
従動部本体4aの下面は、アーム3基端側が露出し、アーム3先端側が下垂部4bに覆われる。従動部4の下面はアーム3基端側がアーム3の下面と平行となり、アーム3先端側が先端に行くにしたがって下がるように傾斜している。
【0036】
従動部4の下面は、アーム3の下面と平行な基端側と、アーム3先端側に向かって下がる傾斜の先端側と、の全面にスポンジ部材の緩衝部4cを有する。緩衝材部4cは突起部と従動部64が接触するときの衝突音を発生させないためのものである。
【0037】
アーム3に取り付ける従動部4の位置について説明する。以降、従動部4のアーム3基端側の端を従動部4基端と、従動部4のアーム3先端側の端を従動部4先端と記述する。
図12に示すように、本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1のアーム3が落下した状態で、アーム回動軸202の軸方向である真横から観たとき、従動部4先端は、突起部64が描く回転軌道のアーム3先端側よりも、アーム3先端側に位置し、且つ従動部4基端は、突起部64が描く回転軌道のアーム3基端側よりも、アーム3先端側に位置するように取り付ける。
【0038】
図1に示すように、駆動台210は、ベース2上のアーム台20よりアーム3先端側且つアームの3回動域からアーム回動軸202の軸方向にずれた位置に図示しないボルトで固定された、アーム台20より低い直方体であり、駆動台210は駆動台210上面にモーター固定台212と、スペーサー211と、を有する。
【0039】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1は、駆動源5に電動式のモーター5を用いており、モーター固定台212は、モーター5の下面と、モーター5のアーム3側側面と、の2面を覆うようにしてモーター5を駆動台210に図示しないボルトで固定するための部材であって、モーター5側面を覆う面には、モーター5の回転駆動を出力できるようにモーター固定台横穴213が水平方向に設けられている。
【0040】
図1に示すように、スペーサー211は、モーター5の設置する高さを調整するための長尺の直方体部材であって、モーター5と、駆動台210と、を固定する図示しないボルトでモーター5及び駆動台210に固定される。
【0041】
図1に示すように、モーター5は、本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1の駆動源5であって、モーター固定台212を用いることで駆動台210に図示しないボルトで固定されており出力軸50を有する。
【0042】
図1に示すように、出力軸50は、モーター5からモーター固定台212に設けたモーター固定台横穴213を通ってアーム回動軸202と平行にアーム3側に向けて突出する軸部材であって、モーター5の回転駆動を回転体6に伝達する。
【0043】
図8に示すように、回転体6は、円盤状で円盤の中心設けた出力軸固定穴60を用いて出力軸50に固定され、出力軸50の横断面に平行な放射方向に突出する腕を180度対象の位置に2本設けた部材であって、腕の先端には突起部取付穴61を設けており、出力軸50の回転に従って回転する。
【0044】
図8及び
図9に示すように、突起部64は、円柱状の部材であって、底辺がアーム側水平方向に突出するように、回転体6の2本の腕の先端に設けられた突起部取付穴61にボルト62と、ナット63と、で脱着可能に固定され、回転体6の回転に従って回転する。
【0045】
図1に示すように、クッション台220は、ベース2上の駆動台210よりアーム3先端側且つアーム3の回動で衝突する位置に図示しないボルトで固定された、駆動台210より低い直方体であり、クッション台220は、クッション台220の上面にクッション立て221を有する。
【0046】
図1に示すように、クッション立て221は、クッション台220の上面に図示しないボルトで固定され、本立てのようにクッション7を挟み込み支持する部材であって、直方体であるクッション7を固定する。
【0047】
図10に示すように、クッション7は、スポンジ部材であって、その高さは、落下物9が床101に衝突してから、クッション7と、アーム3と、が衝突する高さに調整されており、アーム3先端が床101及び床衝撃音発生装置1自体に衝突することを防止し、床衝撃音発生装置1の破損及び不要な衝突音の発生を回避する。
【0048】
図11に示すように、本発明に係る床衝撃音発生装置を利用した床遮音性能体験施設100は、本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1と、床衝撃音発生装置1を撮影するカメラ102と、を床遮音性能体験施設100の2階の床101上に設置し、床衝撃音発生装置1の駆動スイッチ103と、カメラ102の映像を映し出すディスプレイ104と、を1階に設けている。
【0049】
これから、本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1の動作原理について説明する。
図1及び
図12に示すように、回転体6を介して、モーター5の回転駆動によって一方向に回転する突起部64が、上昇回転中に従動部4の従動部4先端側下面と接触する。
【0050】
従動部4先端側下面と接触した突起部64は、回転運動を続けることで従動部4との接触点を従動部4先端側下面から従動部4基端側下面へと向かってスライドしながら、従動部4を支持し持ち上げる。
【0051】
これにより、従動部4が固定されたアーム3が持ち上がる。回転運動を続ける突起部64と従動部4の接触点が従動部4基端の下面までスライドすると、突起部64と従動部4の接触が開放され、持ち上がったアーム3は自重により、アーム回動軸202を支点として自由落下する。
【0052】
このとき、アーム3先端の取付部30に取り付けた落下物9が床101に衝突することで、床衝撃音を発生させる。
【0053】
そして、次に上昇回転してくる突起部64が、従動部4の従動部4先端側下面に接触し、同じ動作を繰り返すことで、アーム3の持ち上げ、落下させることを自動で連続して行う。
【0054】
取付部30は、重量落下物9aと、軽量落下物9bと、を変換可能に取り付けることができる。これから、軽量落下物9bを取り付ける状態を説明する。
図4に示すように、ガイド部33のナット33bを取り付けた端を上にして、縦穴31の上から縦穴31にバネ33aを挿入されたガイド部33に、吊下げ紐8bを挿入する。ガイド部33に挿入した吊下げ紐8bの上端に結び目を作り、結び目がナット33bに引っ掛かることで吊下げ紐8bを吊り下げる。吊下げ紐8bの下端に軽量落下物9bを括り付けることで軽量落下物9bを取付部30に取り付ける。以降、この落下物取付方法を軽量落下物取付方法と記述する。
【0055】
軽量落下物取付方法では、吊下げ紐8bに軽量落下物9bを括り付けるため、軽量落下物9bの形質に捉われず取り付けることができ、軽量落下物9bが床101に衝突した勢いで吊下げ紐8bが跳ね上がり、再度落下することで軽量落下物9bが床101に衝突した後の弾み音及び転がり音が再現できる。
【0056】
また、ガイド部33が吊下げ紐8bの可動域を制限し、吊下げ紐8bの過大な横揺れ及び過大な飛び跳ねを抑制することで、横揺れにより軽量落下物9bが本発明の床衝撃音発生装置自体に衝突することと、軽量落下物9bの跳ね上がりにより吊下げ紐8bがアーム3に絡まることと、を防止することができる。
【0057】
また、3つの縦穴31はそれぞれアーム回動軸202との距離が異なるため、軽量落下物取付方法に使用する縦穴31を使い分けることで、軽量落下物9bの落下高度を変更することができる。
【0058】
次に、重量落下物9aを取り付ける状態を説明する。
図5に示すように、重量落下物9aにネット8aを被せ、そのネット8aの端を横穴32に括り付けて重量落下物9aを取付部30に取り付ける。以降、この落下物取付方法を重量落下物取付方法と記述する。
【0059】
重量落下物取付方法では、重量落下物9aがネットを用いて取付部30に括り付けて固定されるため、重量落下物9aの形質に捉われず取り付けることができ、床101に衝突した後の弾み音及び転がり音の再現が必要のない大人の歩行音や子供の飛び跳ねる音を再現できる。
【0060】
本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1の回転体6は、脱着可能な突起部64を最大で2個取り付けることができる。回転体6に取り付ける突起部64の数が1個であることが好ましい場合と、回転体6に取り付ける突起部64の数が2個であることが好ましい場合と、を説明する。軽量落下物取付方法は、軽量落下物9bが床101に衝突した勢いで吊下げ紐8bが跳ね上がり、再度落下することで軽量落下物9bが床101に衝突した後の弾み音及び転がり音を再現するため、軽量落下物9bが床101に衝突した後に、吊下げ紐8bが跳ね上がり、軽量落下物9bが床101に弾み転がる時間が必要である。そこで、
図13に示すように、回転体6に取り付ける突起部64を1個にすることで、出力軸50が1回転する間に突起部64が従動部4と接触しアーム3を持ち上げる回数が1回になり、アーム3の落下後から次に突起部64が従動部4と接触し、アーム3が持ち上がるまでの時間を、軽量落下物9bが床101に衝突した後に、吊下げ紐8bが跳ね上がり、軽量落下物9bが床101に弾み転がる時間に充てることができる。
【0061】
次に、重量落下物取付方法は、ネット8aを用いて重量落下物9aを固定し、歩行音や子供の飛び跳ね音を再現するため、一定の間隔で連続した床衝撃音を発生させる必要がある。また、重量落下物9aの弾み音が不要となる。そこで、
図13に示すように、回転体6に取り付ける突起部64を2個にすることで、出力軸50が1回転する間に突起部64がアーム3の持ち上げる回数が2回になり、アーム3の落下後から次に突起部64が従動部4と接触し、アーム3が持ち上がるまでの時間を短くし、軽量落下物9bが床101に連続して衝突する間隔を短くする。また、アーム3の落下後から次に突起部64が従動部4と接触し、アーム3を支持するまでの時間が短くなることで、重量落下物9aの不要な弾みを防止することができる。
【0062】
本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1の回転体6は、突起部64を最大で2個取り付けることが可能であるが、
図8に示す、回転体6aと、回転体6bと、の形状でも運用が可能である。回転体6aは、円盤状で円盤の中心に出力軸50に固定するための出力軸固定穴60を設け、円盤の中心から出力軸50の横断面に平行な放射方向に突出する腕を120度の間隔で3本備えた部材であって、腕の先端には突起部取付穴61を設け、最大で3個の突起部64を取り付けることができる。回転体6bは、円盤状で円盤の中心に出力軸50に固定するための出力軸固定穴60と、円盤の中心から出力軸50の横断面に平行な放射方向に向かって伸びる突起部取長穴61aと、を設け、突起部取付長穴61aは90度の間隔で4本備え、最大で4個の突起部64を取り付けることができる。このように形状が異なる回転体を用いることで、突起部64の最大取付個数を変えることができ、連続する床衝撃音の発生タイミングを変更することができる。
【0063】
本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1の突起部64は、
図8に示すように、回転体6の突起部取付穴61にボルト62とナット63で取り付けるため、突起部64の固定位置は不変で、突起部64の回転半径を変えることはできないが、
図8に示す、回転体6bは、円盤の中心から出力軸50の横断面に平行な放射方向に向かって伸びる突起部取長穴61aを設けており、突起部64を突起部取長穴61aの長手方向にスライドして固定することができ、回転体6bの出力軸固定穴60に近づくほど突起部の回転半径は短くなっていく。
図14に示すように、突起部64の回転半径を変えることで、アームの持ち上げる高さが変わり、落下物9の落下高度を変更することが可能となる。
【0064】
本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1では、
図6に示すように、従動部4の長手方向をアーム3の軸方向に平行になるようにアーム3に設けた従動部取付穴34にボルト36を挿入し、アーム3に従動部4を取り付けているが、
図7に示すアーム3aは、
アーム3aの垂直方向に伸びる従動部取付長穴35を、従動部4に設けられたボルト穴のピッチと等間隔でアーム3aの軸方向に8個並んで設けており、従動部取付長穴35の短手方向の内径は、従動部4を取り付けるためのボルト36のボルト径より大きい。そこで、従動部取付長穴35の短手方向の内径より外径が大きいワッシャー37を介してボルト36で従動部4をアーム3aに取り付けることが可能である。これにより、従動部4は従動部取付長穴35の長手方向のアーム3a垂直方向にスライドして取り付けることが可能となり、アーム3a軸方向に並ぶ8個の従動部取付長穴35を使い分けることで、従動部4をアーム3a軸方向にスライドして取り付けることが可能となり、アーム台20及びモーター5台の高さを変更することや、突起部64の回転半径を変更するときに、突起部64が従動部4にうまく接触するように、従動部4の取り付け位置を変更できるようになっている。
【0065】
また、
図7に示すように、従動部4先端をアーム3aの上方側にスライドさせ、従動部4基端をアーム3aの下方側にスライドさせて、アーム3aに取り付けることで従動部46を傾斜させることができる。従動部4基端が下がり傾斜になっていることで、上昇回転する突起部64と、従動部4と、の接触タイミングを遅らせることができる。これにより、突起部64が2個以上取り付けられ場合であって、突起部64による従動部4の支持が解放され、アーム3aが落下する途中で、次に上昇回転する突起部64と従動部4が接触して、アーム3aを持ち上げることで、落下物9が床101に衝突しない状況を解消できる。
【0066】
本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1ではない他の実施形態において、
図15に示すように、高さが高い駆動台210aを用いることで、駆動源5の位置が高くなり、突起部64の回転位置が高くなる。これにより、従動部4と突起部64の接触位置が高くなり、落下物9の落下高度を高くすることができる。また、高さが低い駆動台210bを用いることで、駆動源5の位置が低くなり、突起部64の回転位置が低くなる。これにより、従動部4と突起部64の接触位置が低くなり、落下物9の落下高度を低くすることができる。
【0067】
本発明の一実施形態に係る床衝撃音発生装置1ではない他の実施形態において、
図16に示すように、高さが高いアーム台20aを用いることで、従動部4と、突起部64と、が接触する位置が低くなり、落下物9の落下高度を低くすることができる。また、高さが低いアーム台20bを用いることで、従動部4と、突起部64と、が接触する位置が高くなり、落下物9の落下高度を高くすることができる。このとき、アーム3の回動域が変わるため、クッション7については、既述であるクッションの位置に基づいた高さになるように、高さの異なるクッション7a及びクッション7bを用いる。
【0068】
図11に示すように、床衝撃音発生装置1が上階に設置された床遮音性能体験施設100の下階に、案内人は体験者を案内し、ディスプレイ104に映る床衝撃音発生装置1の説明を行い、駆動スイッチを押す。体験者は、ディスプレイ104に映る床衝撃音発生装置1の映像と、下階に響く床衝撃音と、同時に見て聞くことで満足度が向上する。
【0069】
また、案内人は上階下階を行き来せずに体験者の案内に注力でき、体験者の満足度に向上を図ることが出来る。
【0070】
上記はあくまで本発明に係る床衝撃音発生装置の一実施形態を示したものであるため、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 床衝撃音発生装置
2 ベース
203 回動体
3 アーム
30 取付部
33 ガイド部
4 従動部
4b 下垂部
5 駆動源(モーター)
50 出力軸
6 回転体
64 突起部
7 クッション
8b 吊下げ紐
9 落下物
100 床遮音性能体験施設
101 床
103 駆動スイッチ
104 ディスプレイ