(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20240521BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240521BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20240521BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240521BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20240521BHJP
H01M 10/6569 20140101ALI20240521BHJP
H01M 10/663 20140101ALI20240521BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20240521BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20240521BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240521BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240521BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/651
H01M10/625
H01M10/6554
H01M10/6569
H01M10/663
H01M50/202 501S
H01M50/202 401H
H01M50/242
H01M50/249
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2020194872
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福士 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】田代 広規
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-127087(JP,A)
【文献】国際公開第2020/202893(WO,A1)
【文献】特開2020-100389(JP,A)
【文献】特開平7-47842(JP,A)
【文献】特開2003-45392(JP,A)
【文献】特開2020-9694(JP,A)
【文献】特表2017-534143(JP,A)
【文献】中国実用新案第208674219(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第101340012(CN,A)
【文献】特開2021-34351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6556
H01M 10/613
H01M 10/651
H01M 10/625
H01M 10/6554
H01M 10/6569
H01M 10/663
H01M 50/202
H01M 50/242
H01M 50/249
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールと隣り合うように配置された冷却装置と、
を備え、
前記冷却装置は、前記蓄電モジュールと隣り合う第1冷却層と、前記第1冷却層に対して前記蓄電モジュールと反対側に位置する第2冷却層とを含み、
前記第1冷却層には、配列方向に間隔をあけて配置された複数の第1冷却通路と、前記第1冷却通路間に位置する第1壁部とが形成されており、
前記第2冷却層には、前記配列方向に間隔をあけて配置された複数の第2冷却通路と、
前記第2冷却通路間に位置する第2壁部とが形成されており、
前記複数の第1壁部の少なくとも一部の第1壁部は、前記複数の第2壁部に対して
前記配列方向にオフセットするように配置された、蓄電装置。
【請求項2】
前記冷却装置は、前記配列方向に延びると共に、前記複数の第1冷却通路および前記複数の第2冷却通路に接続された冷媒供給部が形成されており、
前記冷媒供給部は、前記配列方向の中央に位置する中央部と、前記配列方向の一端から前記中央までの間に位置する第1部分と、前記配列方向の他端から前記中央までの間に位置する第2部分とを含み、
前記第1部分には、前記冷媒供給部に冷媒を供給する供給口が形成されており、
前記第1部分側に位置する第1冷却通路の断面積は、前記第2部分側に位置する第1冷却通路の断面積よりも大きい、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記冷却装置は、前記配列方向に延びると共に、前記複数の第1冷却通路および前記複数の第2冷却通路に接続された冷媒供給部を含み、
前記冷媒供給部は、前記配列方向の中央に位置する中央部と、前記配列方向の一端から前記中央までの間に位置する第1部分と、前記配列方向の他端から前記中央までの間に位置する第2部分とを含み、
前記第1部分には、前記冷媒供給部に冷媒を供給する供給口が形成されており、
前記第1部分側に位置する第2冷却通路の断面積は、前記第2部分側に位置する第2冷却通路の断面積よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記冷却装置は、前記第1冷却層および前記第2冷却層に対して前記配列方向に隣り合う位置に形成された第3冷却層と、前記配列方向に延びる冷媒供給部とを含み、
前記第3冷却層には、第3冷却通路が形成されており、
前記冷媒供給部は、前記複数の第1冷却通路と、前記複数の第2冷却通路と、前記第3冷却通路とを接続するように形成されており、
前記冷媒供給部は、前記配列方向の中央に位置する中央部と、前記配列方向の一端から前記中央までの間に位置する第1部分と、前記配列方向の他端から前記中央までの間に位置する第2部分とを含み、
前記第1部分には、前記冷媒供給部に冷媒を供給する供給口が形成されており、
前記第3冷却通路の断面積は、前記第1冷却通路の断面積よりも大きい、請求項1に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電池モジュールと、電池モジュールを冷却する冷却装置とを備えた蓄電装置について各種提案されている。
【0003】
たとえば、特開2020-9694号公報に記載された蓄電装置は、電池モジュールと、電池モジュールの下面に配置された冷却装置とを備えている。
【0004】
冷却装置は、第1面状部材と、第1面状部材よりも下方に間隔をあけて配置された第2面状部材と、第1面状部材および第2面状部材の間に配置された複数の壁部とを含む。
【0005】
第1面状部材の上面には、電池モジュールが配置されている。各壁部は、第1面状部材および第2面状部材を接続するように形成されている。複数の壁部は、Y方向に間隔をあけて配置されており、各壁部の間には、冷却液通路が形成されている。冷却液通路はX方向に延びるように形成されており、X方向はY方向と直交する方向である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように構成された蓄電装置をたとえば、車両の底面などに配置したとする。そして、車両が凹凸路面を走行した際に、車両底面と路面とが干渉する場合がある。
【0008】
この場合、蓄電装置の下方から蓄電装置に衝撃力が加えられ、第2面状部材に衝撃力が加えられる。
【0009】
この際、各壁部は、第1面状部材および第2面状部材を接続しているため、第2面状部材に加えられた衝撃力は、各壁部を通して、第1面状部材に伝達される。
【0010】
第1面状部材の上面には電池モジュールが配置されているため、第1面状部材に伝達された衝撃力が電池モジュールにも伝達されることになる。その結果、電池モジュールが損傷するなどの弊害が生じるおそれがある。
【0011】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、蓄電装置の下方から衝撃力が加えられたとしても、蓄電モジュールに衝撃力が伝達されることを抑制することができる蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
蓄電装置は、蓄電モジュールと、蓄電モジュールと隣り合うように配置された冷却装置とを備える。上記冷却装置は、蓄電モジュールと隣り合う第1冷却層と、第1冷却層に対して蓄電モジュールと反対側に位置する第2冷却層とを含む。上記第1冷却層には、配列方向に間隔をあけて配置された複数の第1冷却通路と、第1冷却通路間に位置する第1壁部とが形成されている。上記第2冷却層には、配列方向に間隔をあけて配置された複数の第2冷却通路と、第2冷却通路間に位置する第2壁部とが形成されている。上記複数の第1壁部の少なくとも一部の第1壁部は、複数の第2壁部に対してオフセットするように配置されている。
【0013】
上記冷却装置は、配列方向に延びると共に、複数の第1冷却通路および複数の第2冷却通路に接続された冷媒供給部が形成されている。冷媒供給部は、配列方向の中央に位置する中央部と、配列方向の一端から中央までの間に位置する第1部分と、配列方向の他端から中央までの間に位置する第2部分とを含む。上記第1部分には、冷媒供給部に冷媒を供給する供給口が形成されており、第1部分側に位置する第1冷却通路の断面積は、第2部分側に位置する第1冷却通路の断面積よりも大きい。
【0014】
上記冷却装置は、配列方向に延びると共に、複数の第1冷却通路および複数の第2冷却通路に接続された冷媒供給部を含む。冷媒供給部は、配列方向の中央に位置する中央部と、配列方向の一端から中央までの間に位置する第1部分と、配列方向の他端から中央までの間に位置する第2部分とを含む。第1部分には、冷媒供給部に冷媒を供給する供給口が形成されており、第1部分側に位置する第2冷却通路の断面積は、第2部分側に位置する第2冷却通路の断面積よりも大きい。
【0015】
上記冷却装置は、第1冷却層および第2冷却層に対して配列方向に隣り合う位置に形成された第3冷却層と、配列方向に延びる冷媒供給部とを含む。第3冷却層には、第3冷却通路が形成されている。上記冷媒供給部は、複数の第1冷却通路と、複数の第2冷却通路と、第3冷却通路とを接続するように形成されている。上記冷媒供給部は、配列方向の中央に位置する中央部と、配列方向の一端から中央までの間に位置する第1部分と、配列方向の他端から中央までの間に位置する第2部分とを含む。上記第1部分には、冷媒供給部に冷媒を供給する供給口が形成されている。上記第3冷却通路の断面積は、第1冷却通路の断面積よりも大きい。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る蓄電装置によれば、蓄電装置の下方から衝撃力が加えられたとしても、蓄電モジュールに衝撃力が伝達されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態に係る蓄電装置1が搭載された車両2を模式的に示す模式図である。
【
図2】蓄電装置1を模式的に示す分解斜視図である。
【
図5】蓄電装置の第1変形例である蓄電装置1Aを示す断面図である。
【
図6】蓄電装置の第2変形例に係る蓄電装置1A1を示す断面図である。
【
図7】蓄電装置の第3変形例に係る蓄電装置1Bを示す断面図である。
【
図8】蓄電装置の第4変形例に係る蓄電装置1Cを示す断面図である。
【
図9】蓄電装置の第5変形例に係る蓄電装置1Dを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から
図9を用いて、本実施の形態に係る蓄電装置について説明する。
図1から
図9に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置1が搭載された車両2を模式的に示す模式図である。
【0020】
車両2は、車両2の底面を形成するフロアパネル3を備える。フロアパネル3は、板状の金属部材である。蓄電装置1は、フロアパネル3の下面に配置されている。
【0021】
図2は、蓄電装置1を模式的に示す分解斜視図である。蓄電装置1は、蓄電モジュール10と、収容ケース11と、冷却装置14とを含む。蓄電モジュール10は、車両前後方向(配列方向)D1に間隔をあけて配置された複数の蓄電ユニット12を含む。各蓄電ユニット12は、車幅方向Wに配列する複数の蓄電セル13を含む。蓄電セル13は、たとえば、リチウムイオン電池などの二次電池である。
【0022】
収容ケース11は、内部に蓄電モジュール10を収容する。収容ケース11は、ロアーケース15と、アッパーケース16とを含む。ロアーケース15は、底板20と、周壁21とを含む。周壁21は、底板20の外周から上方に延びるように形成されている。なお、ロアーケース15には、上方に向けて開口する開口部22が形成されている。アッパーケース16は、開口部22を閉塞するように設けられている。なお、ロアーケース15およびアッパーケース16は、アルミニウムなどの金属材料などによって形成されている。
【0023】
図3は、冷却装置14を示す分解斜視図である。冷却装置14は、複数の冷却通路23,24が形成された底板20と、冷媒供給部26と、冷媒排出部27とを含む。
【0024】
冷媒供給部26は底板20の右側面に設けられており、冷媒排出部27は底板20の左側面に設けられている。
【0025】
冷媒供給部26は車両前後方向D1に延びるように形成されている。ここで、冷媒供給部26は、中央部P1と、前側部分(第1部分)P2と、後側部分(第2部分)P3とを含む。中央部P1は、車両前後方向D1において、冷媒供給部26の中央に位置している。前側部分P2は、中央部P1から冷媒供給部26の前端の間に位置している。後側部分P3は、中央部P1から冷媒供給部26の後端の間に位置している。
【0026】
冷媒供給部26には、冷媒Cが供給される供給口40が形成されており、供給口40は、前側部分P2に形成されている。具体的には、冷媒供給部26の前端部には供給口40が形成されている。供給口40には、図示されていない供給管が接続されており、供給口40を通して、冷媒供給部26内に冷媒Cが供給される。
【0027】
冷媒排出部27も車両前後方向D1に延びるように形成されており、冷媒排出部27の前端には排出口41が形成されている。排出口41には図示されていない排出管が接続されている。なお、排出管および供給管は、図示されていなラジエータなどに接続されている。
【0028】
図4は、
図3のIV-IV線における断面図である。底板20には、複数の冷却通路(第1冷却通路)23が位置する冷却層(第1冷却層)28と、複数の冷却通路24が位置する冷却層(第2冷却層)29とが形成されている。
【0029】
底板20の上面には、蓄電モジュール10が配置されている。冷却層28は蓄電モジュール10と隣り合っており、冷却層28は蓄電モジュール10の下方に位置している。
【0030】
冷却層29は、冷却層28に対して蓄電モジュール10と反対側に位置しており、冷却層29は冷却層28の下方に位置している。
【0031】
冷却層28には、車両前後方向D1に間隔をあけて配置された冷却通路(第1冷却通路)23と、冷却通路23間に位置する壁部(第1隔壁)30が形成されている。冷却通路23は車幅方向Wに延びるように形成されており、壁部30も車幅方向Wに延びるように形成されている。
【0032】
冷却層29には、車両前後方向D1に間隔をあけて配置された冷却通路(第2冷却通路)24と、冷却通路24間に位置する壁部(第2壁部)31とが形成されている。冷却通路24は車幅方向Wに延びるように形成されており、壁部31も車幅方向Wに延びるように形成されている。
【0033】
底板20は、天板32と、底板33と、中間壁34と、前壁35と、後壁36とを含む。天板32は底板20の上面を形成しており、底板33は底板20の底面を形成している。天板32および底板33は上下方向に間隔をあけて配置されており、中間壁34は天板32および底板33の間に配置されている。
【0034】
壁部30は、天板32および中間壁34を接続するように形成されており、壁部31は底板33および中間壁34を接続するように形成されている。
【0035】
壁部30および壁部31は、車両前後方向D1に互いにオフセットするように配置されている。このため、壁部31の上端側には壁部30が位置しておらず、壁部31の上端側には、冷却通路23が位置している。
【0036】
前壁35は、天板32の前側辺および底板33の前側辺を接続しており、中間壁34の前側辺も前壁35に接続されている。後壁36は、天板32の後側辺および底板33の後側辺を接続しており、中間壁34の後側辺も前壁35に接続されている。
【0037】
そして、複数の冷却通路23は、天板32と中間壁34の間に車両前後方向D1に間隔をあけて形成されており、複数の冷却通路24は、底板33および中間壁34の間に間隔をあけて形成されている。
【0038】
ここで、
図3に示す冷媒供給部26および冷媒排出部27は、前壁35および後壁36に亘って延びている。
【0039】
上記のように構成された蓄電装置1において、冷却装置14によって蓄電モジュール10が冷却される。具体的には、
図3に示す供給口40を通して冷媒供給部26内に供給された冷媒Cは、
図4に示す各冷却通路23および各冷却通路24に供給される。そして、各冷却通路23および各冷却通路24を流れた冷媒Cは、
図3に示す冷媒排出部27に入り込み、排出口41から排出管に排出される。排出管から排出された冷媒Cは、図示されないラジエータなどにおいて冷却され、冷媒供給部26に供給される。このように、冷却通路23,24内を冷媒Cが流通することで、蓄電モジュール10が冷却される。
【0040】
図1において、蓄電装置1は車両2の下面に設けられている。たとえば、車両2が凹凸路面を走行すると、蓄電装置1の底面が路面と干渉する場合がある。
【0041】
図4において、蓄電装置1の底面が路面と干渉すると、底板33に衝撃力が加えられることになる。底板33に加えられた衝撃力は、各壁部31に伝達される。
【0042】
壁部31の上端側には冷却通路23が位置しており、壁部31の上端側には壁部30は位置していない。このため、壁部31に伝達された衝撃力が直接的に壁部30に伝達されることが抑制され、壁部30を通して、天板32に衝撃力が伝達されることが抑制されている。これにより、天板32から蓄電モジュール10に衝撃力が加えられることが抑制されている。
【0043】
ここで、壁部31に伝達された衝撃力によって、中間壁34が変形する。壁部31の上端側には冷却通路23が位置しており、冷却通路23の断面積が小さくなるように中間壁34は、上方に膨らむように変形する。この際、天板32は、中間壁34の上方に間隔をあけて配置されているため、変形した中間壁34が天板32に接触することが抑制されている。これにより、天板32から蓄電モジュール10に衝撃力が加えられることが抑制されている。
【0044】
なお、上記の実施の形態においては、全ての壁部30および壁部31が互いに車両前後方向D1にオフセットするように配置されているが、一部の壁部30および一部の壁部31が車両前後方向D1にオフセットするようにしてもよい。
(変形例1)
図5は、蓄電装置の第1変形例である蓄電装置1Aを示す断面図である。蓄電装置1Aは、冷却装置14Aを備える。冷却装置14Aにおいて、底板20には、複数の冷却通路23A~23Eと、複数の冷却通路24A~24Eとが形成されている。
【0045】
冷却通路23A,23B,23C,23D,23Eは、車両前方側から車両後方に向けって順次配列している。同様に、冷却通路24A,24B,24C,24D,24Eも、車両前方から後方に向けて配列している。
【0046】
ここで、冷却通路23A~23Eが延びる方向に垂直な断面において、各冷却通路23A,23B,23C,23D,23Eの断面積を断面積S23A,S23B,S23C,S23D,S23Eとすると、各断面積の関係は、下記の式(1)となる。
S23A<S23B<S23C<S23D<S23E・・・(1)
冷却通路24A~24Dが延びる方向に垂直な断面において、各冷却通路24A,24B,24C,24Dの断面積を断面積S24A,S24B,S24C,S24Dとすると、各断面積の関係は、下記の式(2)となる。
S24A<S24B<S24C<S24D・・・(2)
各冷却通路23A~23Eの間には、壁部30A~30Dが配置されており、各冷却通路24A~24Eの間には、壁部31A~31Dが配置されている。
【0047】
この冷却装置14Aにおいても、各壁部30A~30Dと、壁部31A~31Dとは、車両前後方向D1に互いにオフセットするように形成されている。そして、各壁部31A~31Dの上端側には、冷却通路23A,23B,23C,23D,23Eが位置している。なお、冷却装置14Aにおいても、
図3に示す冷媒供給部26および冷媒排出部27が設けられている。
【0048】
上記のように構成された冷却装置14Aにおいても、冷媒供給部26を通して、冷却通路23A~23Eと、冷却通路24A~24Eとに冷媒Cが供給される。
【0049】
ここで、供給口40は冷媒供給部26の前側部分P2に形成されており、具体的には
冷媒供給部26の前端部に形成されている。このため、冷媒Cは、冷媒供給部26内を流れた後に、順次冷却通路23A,23B,23C,23D,23Eおよび冷却通路24A,24B,24C,24D,24E内に入り込む。
【0050】
この際、各冷却通路23A,23B,23C,23D,23Eの断面積は、上記式(1)の関係にあるため、冷却通路23A,23B,23C,23D,23E内に入り込む冷媒Cの流入量が均一化されやすい。
【0051】
同様に、冷却通路24A,24B,24C,24Dの断面積は、上記式(2)の関係にあるため、冷却通路24A,24B,24C,24D内に入り込む冷媒Cの流入量が均一化されやすい。
【0052】
なお、冷却装置14Aにおいても、各壁部30A~30Dと、壁部31A~31Dとは、車両前後方向D1に互いにオフセットするように配置されている。このため、冷却装置14Aの下面側から衝撃力が加えられたとしても、蓄電モジュール10に衝撃力が伝達されることが抑制されている。
(変形例2)
図5に示す蓄電装置1Aにおいては、冷媒供給部26の前端側(前側部分P2)から冷媒Cが冷媒供給部26に供給されている例について説明したが、後側部分P3側から冷媒Cを冷媒供給部26に供給するようにしてもよい。
【0053】
図6は、蓄電装置の第2変形例に係る蓄電装置1A1を示す断面図である。この蓄電装置1A1においては、冷媒供給部26の後端部側から冷媒Cが供給されている。そして、各冷却通路23A,23B,23C,23D,23Eの断面積の関係は、下記式(3)である。
S23A>S23B>S23C>S23D>S23E・・・(3)
同様に、各冷却通路24A,24B,24C,24D,24Eの断面積を断面積S24A,S24B,S24C,S24Dの関係は、下記式(4)である。
S24A>S24B>S24C>S24D・・・(4)
これにより、各冷却通路23A,23B,23C,23D,23Eおよび冷却通路24A,24B,24C,24D内に入り込む冷媒Cの流入量が均一化される。
【0054】
蓄電装置1A1は、底板20の下面に設けられたプロテクタ37を備えている。プロテクタ37は、底板20の下面のうち、前方側に設けられている。プロテクタ37は、車幅方向Wに延びるように形成されている。蓄電装置1A1において、底板20に形成された壁部30A~30Dの間隔は、前方側の方が後方側よりも広い。同様に、壁部31A~31Dの間隔は、前方側の方が後方側よりも広い。
【0055】
そのため、底板20の前方側の剛性は、底板20の後方側の剛性よりも低い。その一方で、底板20の前方側には、プロテクタ37が設けられているため、底板20の前方側の剛性が補強されている。
【0056】
このため、車両2が走行中において、障害物が路面に置かれているときに、前方から蓄電装置1A1に障害物が衝突することがある。この際、底板20の前方側の剛性が補強されているため、底板20が大きく変形することを抑制することができる。
(変形例3)
図7は、蓄電装置の第3変形例に係る蓄電装置1Bを示す断面図である。蓄電装置1Bは、冷却装置14Bを備える。冷却装置14Bの底板20Bは、上段部45と、下段部46とが形成されている。車両前後方向D1において、上段部45の長さは、下段部46の長さよりも短い。
【0057】
上段部45の前端部は、下段部46の前端部よりも後方に位置しており、上段部45の後端部は、下段部46の後端部よりも前方に位置している。
【0058】
このため、底板20Bの前側には、下段部46によって突出部47が形成されており、底板20Bの後側には、下段部46によって突出部48が形成されている。
【0059】
上段部45の上面に蓄電モジュール10が配置されている。上段部45には、冷却層28が位置しており、上段部45には、複数の冷却通路23F,23G,23Hが形成されている。各冷却通路23F,23G,23Hの間には、壁部30F,30Gが形成されている。
【0060】
下段部46には、冷却層29が位置しており、下段部46には複数の冷却通路24F,24G,24H,24Iが形成されている。各冷却通路24F,24G,24H,24Iの間には、壁部31F,31G,31Hが形成されている。この冷却装置14Bにおいても、壁部31F,31G,31Hと、壁部30F,30Gとは、車両前後方向D1にオフセットするように配置されている。
【0061】
このように構成された蓄電装置1Bが搭載された車両が走行しているときに、路面に落下物などの障害物が置かれている場合がある。この際、蓄電装置1Bの前方側から障害物が蓄電装置1Bに衝突する場合がある。
【0062】
この際、障害物は、底板20Bの突出部47と接触する。突出部47は、上段部45よりも前方側に突出しているため、障害物が上段部45と接触することを抑制することができる。このため、上段部45の上面に設けられた蓄電モジュール10に衝撃力が伝達されることを抑制することができる。
【0063】
また、車両が後進しているとにおいて、路面に障害物がある場合には、突出部48が障害物に衝突する。この際、突出部48は上段部45よりも後方に突出しているため、障害物が上段部45に衝突することを抑制することができる。これにより、上段部45を通して、蓄電モジュール10に衝撃力が伝達されることを抑制することができる。
(変形例4)
図8は、蓄電装置の第4変形例に係る蓄電装置1Cを示す断面図である。蓄電装置1Cは、冷却装置14Cを備え、冷却装置14Cは底板20Cを含む。
【0064】
底板20Cは、上段部45Cおよび下段部46Cを含む。車両前後方向D1において、上段部45Cの長さは、下段部46Cよりも短い。
【0065】
下段部46Cの前端部は、上段部45Cの前端部よりも、後方側に位置している。下段部46Cの後端部は、上段部45Cの後端部よりも前方側に位置している。
【0066】
そして、上段部45Cの上面に蓄電モジュール10が配置されている。上段部45には、冷却層28が位置しており、上段部45には複数の冷却通路23が形成されている。下段部46Cには、冷却層29が位置しており、下段部46Cには、複数の冷却通路24が形成されている。
【0067】
蓄電装置1Cが搭載された車両が段差を乗り越える場合がある。ここで、車両2の前輪が段差上に乗り上げる前には、路面の段差部分が蓄電装置1Cに近づく。
【0068】
下段部46Cの前端は、上段部45Cよりも後方に位置している。このため、車両2の前輪が路面の段差上に乗り上げる前に、路面の段差部分が下段部46Cに接触することが抑制されている。そして、前輪が段差上に乗りあがると、下段部46Cも上方に移動するため、下段部46Cが路面の段差部分と接触しない。
【0069】
また、車両2が後進しながら、路面の段差を乗り越える場合がある。この場合においても、下段部46Cの後端は、上段部45Cの後端よりも前方に位置しているため、下段部46Cが路面の段差と干渉することが抑制されている。
(変形例5)
図9は、蓄電装置の第5変形例に係る蓄電装置1Dを示す断面図である。蓄電装置1Dは、冷却装置14Dを含み、冷却装置14Dは底板20Dを有する。
【0070】
底板20Dには、冷却層(第1冷却層)28Dと、冷却層(第2冷却層)29Dと、冷却層(第3冷却層)50とが形成されている。
【0071】
車両前後方向D1において、冷却層28Dおよび冷却層29Dは、底板20Dの中央よりも前方側に位置している。冷却層29Dは冷却層28Dの下方に位置している。冷却層50は、車両前後方向D1において、冷却層28Dおよび冷却層29Dと隣り合う位置に形成されている。具体的には、冷却層50は、冷却層28Dおよび冷却層29Dに対して後方に位置している。
【0072】
冷却層28Dには、複数の冷却通路23と、壁部30とが形成されており、壁部30は、冷却通路23の間に位置している。冷却層29Dには、複数の冷却通路24と、壁部30とが形成されており、壁部30は冷却通路24の間に位置している。
【0073】
冷却層50には、複数の冷却通路51と、壁部52と、隔壁53とが形成されている。壁部52は、冷却通路51の間に位置している。隔壁53は、冷却通路51と、冷却通路23,24との間に位置している。各冷却通路51は、上下方向において、天板32から底板33の間に亘って形成されている。
【0074】
なお、底板20Dにおいては、中間壁34の後端辺は隔壁53に接続されており、中間壁34は後壁36に達していない。
【0075】
そして、各冷却通路51の断面積は、冷却通路23の断面積よりも大きく、同様に、冷却通路51の断面積は、冷却通路24の断面積よりも大きい。
【0076】
このため、
図3に示すように、冷媒供給部26の前方側から冷媒Cが供給されたとしても、各冷却通路23,24,51内に流入する冷媒Cの流入量を均一化することができる。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1,1A,1A1,1B,1C,1D 蓄電装置、2 車両、3 フロアパネル、10 蓄電モジュール、11 収容ケース、12 蓄電ユニット、13 蓄電セル、14,14A,14B,14C,14D 冷却装置、15 ロアーケース、16 アッパーケース、20,20B,20C,20D,33 底板、21 周壁、22 開口部、23,23A,23B,23C,23D,23E,23F,23G,23H,24,24A,24B,24C,24D,24E,24F,24G,24H,24I,51 冷却通路、26 冷媒供給部、27 冷媒排出部、28,28D,29,29D,50 冷却層、30,30A,30D,30F,30G,31,31A,31D,31F,31G,31H,52 壁部、32 天板、34 中間壁、35 前壁、36 後壁、37 プロテクタ、40 供給口、41 排出口、45,45C 上段部、46,46C 下段部、47,48 突出部、53 隔壁、C 冷媒、D1 車両前後方向、P1 中央部、P2 前側部分、P3 後側部分、S23A,S23E,S23C,S23D,S23B,S24D,S24C,S24B,S24A 断面積、W 車幅方向。