(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】画像検査装置及び位置ずれ測定方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240521BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240521BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20240521BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 386
G03G15/01 Y
B41J29/393 105
(21)【出願番号】P 2020200659
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 庄一
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139026(JP,A)
【文献】特開2019-195211(JP,A)
【文献】特開2017-223902(JP,A)
【文献】特開2008-003286(JP,A)
【文献】特開2014-116676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 15/01
B41J 29/00
B41J 2/00
H04N 1/00
G06T 1/00
G06T 3/00
G06T 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が印刷された用紙の一方の面を背景を含んで読み取って第1読取画像を取得する第1読取部と、
前記第1読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた第1背景部材と、
前記用紙の他方の面を背景を含んで読み取って第2読取画像を取得する第2読取部と、
前記第2読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた第2背景部材と、
前記第1読取画像及び前記第2読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を取得し、取得した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定する測定手段と、
を備え、
前記測定手段は、前記第1背景部材と前記第2背景部材を異なる濃度に構成して前記第1読取画像及び前記第2読取画像を取得し、前記第1読取画像又は前記第2読取画像のいずれか一方の用紙輪郭情報を、他方の用紙輪郭情報に基づいて推測して取得する画像検査装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記第1読取画像又は前記第2読取画像のいずれか一方から用紙輪郭情報が抽出できなかった場合に、前記推測を実施する請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記第1読取画像又は前記第2読取画像のいずれか一方における前記用紙の濃度と前記用紙の背景の濃度との差が所定値より小さい場合に、前記推測を実施する請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記濃度として、前記第1読取画像又は前記第2読取画像の階調値を用いる請求項1~3のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記測定手段は、前記第1背景部材と前記第2背景部材を同一の濃度で構成して前記第1読取部及び前記第2読取部で用紙の両面を読み取ることにより取得された前記第1読取画像及び前記第2読取画像の双方から用紙輪郭情報が抽出できた場合の前記用紙輪郭情報の差分情報に基づいて、前記推測を行う請求項1~4のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記測定手段は、過去に前記第1読取部及び前記第2読取部で用紙の両面を読み取ることにより取得された前記第1読取画像及び前記第2読取画像の双方から用紙輪郭情報が抽出できた場合の、前記用紙輪郭情報の差分情報を累積した累積情報に基づいて、前記推測を行う請求項1~4のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記測定手段は、前記第1読取画像又は前記第2読取画像のいずれか一方の読取画像について取得した前記推測に基づく第一の用紙輪郭情報候補と、前記読取画像から抽出された前記推測に基づかない第二の用紙輪郭情報候補とを比較し、両者の差異が所定の値より小さい場合は前記第二の用紙輪郭情報候補を、前記所定の値以上である場合は前記第一の用紙輪郭情報候補を前記読取画像の用紙輪郭情報として採用する請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記第1背景部材と前記第2背景部材の濃度の構成を制御する制御手段を備える請求項1~7のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項9】
前記第1背景部材と前記第2背景部材の濃度構成を指定可能な入力手段を有し、
前記制御手段は、前記入力手段による指定に基づいて前記第1背景部材及び前記第2背景部材の濃度の構成を制御する請求項8に記載の画像検査装置。
【請求項10】
前記測定手段は、印刷ジョブの実行により画像形成装置により画像が印刷された用紙のそれぞれについて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定するものであり、
前記印刷ジョブと同時または連携して実施される調整機能に応じて、前記第1背景部材及び前記第2背景部材の濃度の構成を制御する制御手段を備える請求項8に記載の画像検査装置。
【請求項11】
前記制御手段は、出力紙濃度調整の実施時は、前記第1背景部材と前記第2背景部材のうち片面印刷時の印刷面を読み取る読取部に対向する背景部材を黒、他方を白で構成するように制御する請求項10に記載の画像検査装置。
【請求項12】
前記制御手段は、測色器によるキャリブレーション併用時は、前記第1背景部材と前記第2背景部材のうち片面印刷時の印刷面を読み取る読取部に対向する背景部材を白、他方を黒で構成するように制御する請求項10又は11に記載の画像検査装置。
【請求項13】
前記測定手段は、印刷ジョブの実行により画像形成装置により画像が印刷された用紙のそれぞれについて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定するものであり、
前記制御手段は、前記画像形成装置において前記印刷ジョブで使用する用紙トレイにセットされた用紙の構成に基づいて、前記第1背景部材と前記第2背景部材の濃度の構成を制御する請求項8に記載の画像検査装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記画像形成装置において前記印刷ジョブで使用する複数の用紙トレイにセットされた用紙の濃度差が予め定められた閾値を超えている場合に、前記第1背景部材と前記第2背景部材が異なる濃度で構成されるように制御する請求項13に記載の画像検査装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記画像形成装置において前記印刷ジョブで使用する複数の用紙トレイにセットされた用紙の濃度差が予め定められた閾値を超えている場合に、前記第1背景部材と前記第2背景部材が異なる濃度で構成されるようオペレーターに促すメッセージを表示手段に表示させる請求項13に記載の画像検査装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記画像形成装置において前記用紙トレイのそれぞれにセットされた用紙の色を測定可能なセンサーによる前記印刷ジョブで使用する用紙トレイにセットされた用紙の色の測定結果に基づいて、前記第1背景部材と前記第2背景部材の濃度構成を制御する請求項13~15のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項17】
画像が印刷された用紙の一方の面を背景を含んで読み取って第1読取画像を取得する第1読取部と、
前記第1読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた第1背景部材と、
前記用紙の他方の面を背景を含んで読み取って第2読取画像を取得する第2読取部と、
前記第2読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた第2背景部材と、
を備え、
前記第1読取画像及び前記第2読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を取得し、取得した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定する画像検査装置における位置ずれ測定方法であって、
前記第1背景部材と前記第2背景部材を異なる濃度に構成して前記第1読取画像及び前記第2読取画像を取得し、前記第1読取画像又は前記第2読取画像のいずれか一方の用紙輪郭情報を、他方の用紙輪郭情報に基づいて推測して取得する工程を含む位置ずれ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置及び位置ずれ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物の付加価値を高める手段として、通常のYMCKの色材(電子写真方式においてはトナー。以下、トナーとする)に加え、5色目のトナーを用いる画像形成装置が知られている。その中で、特に白トナーを用いる印刷が増えており、白トナーの効果を引き出す有効な用紙として黒紙がある。
【0003】
画像形成装置において用紙に対する画像位置のずれを調整するために、用紙のたとえば4隅に、画像コンテンツに影響しない程度の小さなトンボ(位置測定用の画像)を印刷し、用紙輪郭(用紙エッジ)とトンボとの位置を読取装置で読み取ってその距離を測定し、印刷時の用紙に対する画像の位置調整(画像位置調整)を実施する技術が知られている。一般的に、読取装置の背景部材は、白色の用紙が読みやすいよう、黒となっているため、黒紙の用紙輪郭が読みにくい。そこで、印刷に使用する用紙に合わせて、背景部材の濃度を適宜切り替えることができるものが存在する。例えば、特許文献1には、複数の背景色を切り替え可能な背景部材を備え、用紙の色に応じて、背景部材の色を適宜切り替えることが記載されている。また、特許文献2には、背景部材に用紙を識別可能なテクスチャパターンを構成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-57902号公報
【文献】特開平11-266343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像位置調整には、例えばジョブ(印刷ジョブ)中の用紙各々の例えば4隅に(後工程の断裁時に、画像コンテンツから切り離される位置に)トンボを印刷し、用紙輪郭とトンボとの位置を読取装置で読み取ってその距離を測定し、測定結果に基づいて、ジョブ中の画像位置の変動を抑える調整方法(リアルタイム画像位置調整と呼ぶ)も存在する。この場合、1つのジョブ内で、例えばページ毎に違う用紙トレイから用紙を搬送し、印刷することがあり、例えば一方の用紙トレイが白紙、もう一方の用紙トレイが黒紙、というジョブもありうる。この場合、用紙の色がページ毎に頻繁に切り替わると、特許文献1の技術では、背景部材を切り替える制御が困難となるという問題があった。そこで、ジョブ中に白、または黒、どちらかの背景部材に固定して読み取ることになるが、用紙と背景部材の濃度が近似している場合、用紙輪郭の読み取りに誤差等のエラーが生じる可能性が高くなる。その結果、例えば、ジョブ中の突発的な画像位置ずれを検知して当該印刷物を排除したり、画像位置ずれを解消したりするよう、印刷ジョブ中に画像位置の調整値を更新したりする制御を併用した場合、用紙と背景部材の濃度が近似しているページで過剰に画像位置ずれを検知してしまい、その結果、過剰なヤレ紙が発生したり、ジョブ中の調整値がばらつき、結果として、画像位置が不安定となるという問題がある。
【0006】
特許文献2に記載の背景部材では、上述の問題はないが、用紙輪郭の抽出が複雑である。また、読取装置による読取画像をもとに、印刷画像の検品や、画像形成装置の故障診断や予測を実施することも考えられるが、特許文献2に記載の技術では、用紙が薄く背景部材が透けるような場合に背景部材のテクスチャが透けてしまうという問題がある。
【0007】
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、ジョブ中に背景部材を切り替えることなく、容易かつ確実に用紙輪郭の情報を取得できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の画像検査装置は、
画像が印刷された用紙の一方の面を背景を含んで読み取って第1読取画像を取得する第1読取部と、
前記第1読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた第1背景部材と、
前記用紙の他方の面を背景を含んで読み取って第2読取画像を取得する第2読取部と、
前記第2読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた第2背景部材と、
前記第1読取画像及び前記第2読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を取得し、取得した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定する測定手段と、
を備え、
前記測定手段は、前記第1背景部材と前記第2背景部材を異なる濃度に構成して前記第1読取画像及び前記第2読取画像を取得し、前記第1読取画像又は前記第2読取画像のいずれか一方の用紙輪郭情報を、他方の用紙輪郭情報に基づいて推測して取得する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記測定手段は、前記第1読取画像又は前記第2読取画像のいずれか一方から用紙輪郭情報が抽出できなかった場合に、前記推測を実施する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記測定手段は、前記第1読取画像又は前記第2読取画像のいずれか一方における前記用紙の濃度と前記用紙の背景の濃度との差が所定値より小さい場合に、前記推測を実施する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の発明において、
前記濃度として、前記第1読取画像又は前記第2読取画像の階調値を用いる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の発明において、
前記測定手段は、前記第1背景部材と前記第2背景部材を同一の濃度で構成して前記第1読取部及び前記第2読取部で用紙の両面を読み取ることにより取得された前記第1読取画像及び前記第2読取画像の双方から用紙輪郭情報が抽出できた場合の前記用紙輪郭情報の差分情報に基づいて、前記推測を行う。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の発明において、
前記測定手段は、過去に前記第1読取部及び前記第2読取部で用紙の両面を読み取ることにより取得された前記第1読取画像及び前記第2読取画像の双方から用紙輪郭情報が抽出できた場合の、前記用紙輪郭情報の差分情報を累積した累積情報に基づいて、前記推測を行う。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記測定手段は、前記第1読取画像又は前記第2読取画像のいずれか一方の読取画像について取得した前記推測に基づく第一の用紙輪郭情報候補と、前記読取画像から抽出された前記推測に基づかない第二の用紙輪郭情報候補とを比較し、両者の差異が所定の値より小さい場合は前記第二の用紙輪郭情報候補を、前記所定の値以上である場合は前記第一の用紙輪郭情報候補を前記読取画像の用紙輪郭情報として採用する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載の発明において、
前記第1背景部材と前記第2背景部材の濃度の構成を制御する制御手段を備える。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、
前記第1背景部材と前記第2背景部材の濃度構成を指定可能な入力手段を有し、
前記制御手段は、前記入力手段による指定に基づいて前記第1背景部材及び前記第2背景部材の濃度の構成を制御する。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、
前記測定手段は、印刷ジョブの実行により画像形成装置により画像が印刷された用紙のそれぞれについて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定するものであり、
前記印刷ジョブと同時または連携して実施される調整機能に応じて、前記第1背景部材及び前記第2背景部材の濃度の構成を制御する制御手段を備える。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、
前記制御手段は、出力紙濃度調整の実施時は、前記第1背景部材と前記第2背景部材のうち片面印刷時の印刷面を読み取る読取部に対向する背景部材を黒、他方を白で構成するように制御する。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項10又は11に記載の発明において、
前記制御手段は、測色器によるキャリブレーション併用時は、前記第1背景部材と前記第2背景部材のうち片面印刷時の印刷面を読み取る読取部に対向する背景部材を白、他方を黒で構成するように制御する。
【0020】
請求項13に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、
前記測定手段は、印刷ジョブの実行により画像形成装置により画像が印刷された用紙のそれぞれについて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定するものであり、
前記制御手段は、前記画像形成装置において前記印刷ジョブで使用する用紙トレイにセットされた用紙の構成に基づいて、前記第1背景部材と前記第2背景部材の濃度の構成を制御する。
【0021】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の発明において、
前記制御手段は、前記画像形成装置において前記印刷ジョブで使用する複数の用紙トレイにセットされた用紙の濃度差が予め定められた閾値を超えている場合に、前記第1背景部材と前記第2背景部材が異なる濃度で構成されるように制御する。
【0022】
請求項15に記載の発明は、請求項13に記載の発明において、
前記制御手段は、前記画像形成装置において前記印刷ジョブで使用する複数の用紙トレイにセットされた用紙の濃度差が予め定められた閾値を超えている場合に、前記第1背景部材と前記第2背景部材が異なる濃度で構成されるようオペレーターに促すメッセージを表示手段に表示させる。
【0023】
請求項16に記載の発明は、請求項13~15のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御手段は、前記画像形成装置において前記用紙トレイのそれぞれにセットされた用紙の色を測定可能なセンサーによる前記印刷ジョブで使用する用紙トレイにセットされた用紙の色の測定結果に基づいて、前記第1背景部材と前記第2背景部材の濃度構成を制御する。
【0024】
請求項17に記載の発明は、
画像が印刷された用紙の一方の面を背景を含んで読み取って第1読取画像を取得する第1読取部と、
前記第1読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた第1背景部材と、
前記用紙の他方の面を背景を含んで読み取って第2読取画像を取得する第2読取部と、
前記第2読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた第2背景部材と、
を備え、
前記第1読取画像及び前記第2読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を取得し、取得した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定する画像検査装置における位置ずれ測定方法であって、
前記第1背景部材と前記第2背景部材を異なる濃度に構成して前記第1読取画像及び前記第2読取画像を取得し、前記第1読取画像又は前記第2読取画像のいずれか一方の用紙輪郭情報を、他方の用紙輪郭情報に基づいて推測して取得する工程を含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ジョブ中に背景部材を切り替えることなく、容易かつ確実に用紙輪郭の情報を取得できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】(a)は、印刷に用いる用紙として白用紙を用い、背景部材に黒を用いた場合の読取画像の一例を示す図、(b)は、印刷に用いる用紙として白用紙を用い、背景部材に白を用いた場合の読取画像の一例を示す図である。
【
図3】(a)は、印刷に用いる用紙として黒用紙を用い、背景部材に白を用いた場合の読取画像の一例を示す図、(b)は、印刷に用いる用紙として黒用紙を用い、背景部材に黒を用いた場合の読取画像の一例を示す図である。
【
図4】
図1の制御部により実行される読取位置補正処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】読取位置補正処理により算出される補正値を説明するための図である。
【
図6】
図1の制御部により実行される印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】事前調整で使用されるトンボの一例を示す図である。
【
図8A】縦倍率、横倍率、上下画像シフト、左右画像シフトのそれぞれの調整項目における調整値の範囲及び調整イメージを示す図である。
【
図8B】回転、スキュー、たて台形、よこ台形、曲り、曲り位置のそれぞれの調整項目における調整値の範囲及び調整イメージを示す図である。
【
図9】キャリブレーションチャートの一例を示す図である。
【
図10】画像形成装置と画像検査装置を別体して構成した構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0028】
〔画像形成装置の構成〕
まず、本発明の実施形態における画像形成装置100の構成について説明する。
図1は、画像形成装置100の主要構成を示す図である。
【0029】
図1に示すように、画像形成装置100は、制御部101、通信部102、操作表示部103、記憶部104、給紙部105、搬送部106、画像形成部150、定着部160、読取部170、測色器180、画像解析部190等を備えて構成されている。
【0030】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。制御部101のCPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置100の各部の動作を集中制御する。
【0031】
通信部102は、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信制御カードで構成され、LAN、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部機器との間で各種データの送受信を行う。
【0032】
操作表示部103は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった表示部103aと、各種操作キー、表示部103aの画面に重ねられて配置されたタッチパネル、テンキー等により構成される入力部103bとを備える。操作表示部103は、表示部103aにおいて各種情報を表示させ、また入力部103bに対するユーザーの入力操作を操作信号に変換して制御部101に出力する。
【0033】
記憶部104は、例えば、不揮発性の半導体メモリー(いわゆるフラッシュメモリー)やハードディスクドライブ等により構成される。記憶部104には、画像形成装置100に係る各種設定情報を始めとする各種データや、ジョブ(Job)情報(ジョブの設定情報及びジョブの画像データ)等が記憶されている。ジョブの設定情報には、ジョブで使用されるページごとの用紙トレイ105a~105cの情報や、用紙の色やサイズ、用紙種別、総印刷用紙数、ジョブと同時または連携して実施される調整機能の情報等が含まれる。また、記憶部104には、用紙トレイ105a~105cにセットされている用紙に関する情報(サイズ、色、種別等)が記憶されている。また、記憶部104には、画像位置調整の各調整項目の調整値(表、裏それぞれの調整値)や後述する読取位置補正値等が記憶される。
【0034】
給紙部105は、制御部101からの指示に従って用紙トレイ105a~105cに収容された用紙を給紙する。
搬送部106は、通紙経路及びレジストローラー対等の複数の搬送ローラー対を有し、給紙部105から給紙された用紙を画像形成装置100内で搬送する。また、搬送部106は、反転経路106aを有し、用紙の表裏を反転させて画像形成部150に搬送することが可能である。また、搬送部106は、印刷物を排出する排紙経路106b、及びヤレ紙を排出する排紙経路106cを有する。
【0035】
画像形成部150は、ジョブの設定情報と画像データとに基づいて用紙上に画像を印刷し、印刷物を生成する。本実施形態において、画像形成部150は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)、S(特色。本実施形態では白)の色ごとの画像形成ユニットを有し、通常のY、M、C、Kのトナーを用いた画像の他、白色のトナーを用いた印刷が可能である。
定着部160は、用紙上に印刷されたトナーによる画像を熱と圧力とで用紙に定着させる。
なお、
図1においては、画像形成部150をいわゆる電子写真方式の画像形成部として図示しているが、印刷方式はこれに限定されるものではなく、例えば、インクジェット方式等の他の印刷方式の画像形成部であってもよい。
【0036】
読取部170は、画像形成部150により印刷され、定着部160により定着された印刷物を読み取って読取画像データ(読取画像)を取得して画像解析部190に出力する。読取部170は、例えば、カラースキャナー等により構成される。読取部170は、画像形成部150と定着部160の下流側に配置されており、用紙搬送中に画像を読み取る構成となっている。
【0037】
読取部170は、用紙の一方の面の画像を読み取って読取画像(第1読取画像)を取得する読取部170a(第1読取部)と、用紙の他方の面の画像を読み取って読取画像(第2読取画像)を取得する読取部170b(第2読取部)と、を備えて構成されている。読取部170aと読取部170bのそれぞれには、通紙経路を挟んで対向する位置に、背景部材171a(第1背景部材)、背景部材171b(第2背景部材)が設けられている。背景部材171a、171bは、例えば、
図1に示すように、濃度(色)が異なる2つの面(黒色面1711、白色面1712)を有し、図示しない駆動源により回転させることで、用紙を読み取る際の背景面(対応する読取部に対向する面)を黒又は白に切り替えることができるようになっている。
また、読取部170による読取サイズは、用紙サイズよりも大きくなっており、用紙輪郭と、その近傍の背景部材の範囲を含む、用紙サイズよりも広い範囲を読み取り可能に構成されている。
【0038】
また、読取部170の用紙搬送方向下流側には、測色器180が備えられている。測色器180は、分光測色計等により構成され、高精度の測色が可能である。測色器180には、通紙経路を挟んで背景部材181が配置されている。背景部材181は、例えば、白色により構成されている。
【0039】
画像解析部190は、読取部170により出力された読取画像を解析して、用紙の表面と裏面のそれぞれに印刷された画像(画像コンテンツ)の用紙に対する位置ずれ量、位置ずれの調整値、画像の色の調整値等を算出して制御部101に出力する。画像解析部190は、例えば、制御部101のCPUとROMに記憶されたプログラムとの協働により実現される。
【0040】
なお、制御部101、読取部170、及び画像解析部190は、画像が印刷された用紙を読み取って読取画像を取得し、取得した読取画像から用紙輪郭情報を取得し、取得した用紙輪郭情報に基づいて印刷された画像の位置ずれを測定する、本発明の画像検査装置を構成している。また、制御部101及び画像解析部190は、本発明の測定手段を構成している。
【0041】
〔画像形成装置の動作〕
次に、画像形成装置100における動作について説明する。
上述のように、読取部170aと読取部170bの用紙を読み取る際の背景(背景部材171aと171bの背景面)が双方とも黒色面1711あるいは白色面1712に固定されている場合、印刷に用いる用紙の濃度によっては、用紙輪郭が読み取れない場合がある。一方、ジョブ中に各ページで使用される用紙の濃度に応じて背景部材171aと背景部材171bの背景面を切り替える制御は困難な場合もある。そこで、本実施形態では、ジョブを実行する際、背景部材171aと背景部材171bの濃度(背景面の濃度をさす)が異なる濃度に構成されるように、すなわち、一方の背景部材の背景面が黒色面1711、他方の背景部材の背景面が白色面1712となるように制御部101により制御される。しかし、この場合、用紙の濃度によっては、読取部170aと読取部170bのいずれかの読取部で用紙輪郭が読み取れない場合がある。
【0042】
例えば、印刷に用いる用紙として白用紙を用いた場合、
図2(a)に示すように、背景面が黒色面1711にセットされた読取部の読取画像では用紙輪郭(点線で示す)がはっきりしているが、
図2(b)に示すように、背景面が白色面1712にセットされた読取部の読取画像では、背景と用紙輪郭(点線で示す)との濃度差が小さいため、用紙輪郭がはっきりしない。
一方、印刷に用いる用紙として黒用紙を用いた場合、
図3(a)に示すように、背景面が白色面1712にセットされた読取部の読取画像では用紙輪郭(点線で示す)がはっきりしているが、
図3(b)に示すように、背景面が黒色面1711にセットされた読取部170aの読取画像では背景と用紙輪郭(点線で示す)との濃度差が小さいため、用紙輪郭がはっきりしない。
そこで、本実施形態においては、一方の読取部による用紙輪郭の読取結果を、他方の読取部の用紙輪郭の読取結果に基づいて推測して取得する。
【0043】
ここで、読取部170aと読取部170bの間隔は狭く、通紙経路もシンプルであるため、読取部170aを通過した用紙は、その状態を維持して読取部170bを一定時間後に通紙すると予測できる。また、読取部170aと読取部170bで読み取られる用紙輪郭は、同一用紙をほぼ間隔を置かず読み取ったものであるから、同一の用紙輪郭を読み取ったものとみなすことができる(実際には読取部170aの用紙輪郭と読取部170bの用紙輪郭は鏡像の関係になっている)。
【0044】
そこで、読取部170aと読取部170bのうち一方の読取部で読み取った読取画像から用紙輪郭情報が抽出しにくい(抽出できない)場合、他方の読取部で読み取った用紙が、一定の間隔を置いて、一方の読取部を通過したとみなし、他方の読取部の読取画像から得られた用紙輪郭情報の各頂点の座標を鏡像の位置に変換し、変換した頂点を結んだ輪郭を、読取部170aと読取部170bの用紙の読取位置の差異に基づいてシフトさせたものを一方の読取部で読み取った用紙輪郭情報と推測する。
【0045】
この場合、読取部170aと読取部170bの読取領域に対する用紙輪郭の位置の差異について、正確に知っておく必要がある。具体的には、読取部170aと読取部170bの読取画像における用紙輪郭の通紙方向のずれ量Δy及び通紙交差方向のずれ量Δxを把握しておく必要がある。これは、読取部170aと読取部170bの双方の読取画像から用紙輪郭情報を正しく測定した結果から定めることができる。さらに、両読取部の倍率差も、同様に把握し、換算するのが望ましい。通紙特性は用紙の特性によって変化するから、用紙種別ごとに、上述のΔx、Δyを取得して記憶部104に記憶しておくことが望ましい。
【0046】
図4は、読取部170aと読取部170bで同一の用紙を読み取ることにより取得された読取画像における用紙輪郭の通紙方向のずれ量Δyと通紙交差方向のずれ量Δxを補正値として算出するための読取位置補正処理の流れを示すフローチャートである。読取位置補正処理は、制御部101のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0047】
まず、制御部101は、給紙部105から、読取部170aと読取部170bの双方で用紙輪郭を読取容易な用紙を通紙する(ステップS1)。
ステップS1では、読取部170aと読取部170bの双方で用紙輪郭が読み取りやすいよう、黒色面1711及び白色面1712の双方と濃度差のあるグレー色の用紙を給紙部105から通紙させればよい。または、読取部170aと読取部170bの双方の背景面を黒色面1711にセットし、白用紙を通紙させてもよい。または、読取部170aと読取部170bの双方の背景面を白色面1712にセットし、黒用紙を通紙させてもよい。
【0048】
次いで、制御部101は、読取部170aと読取部170bの双方に通紙した用紙を読み取らせて読取画像を取得する(ステップS2)。
【0049】
次いで、制御部101は、読取部170aと読取部170bのそれぞれの読取画像から用紙輪郭情報を抽出する(ステップS3)。
例えば、読取画像の端部から探索を行い、端部との濃度差が所定値以上となったエッジを用紙輪郭情報として抽出する。
【0050】
そして、制御部101は、読取部170aと読取部170bの読取画像における用紙輪郭情報の通紙方向のずれ量Δyと通紙交差方向のずれ量Δxを補正値として算出して記憶部104に記憶させ(ステップS4)、読取位置補正処理を終了する。
【0051】
ステップS4においては、例えば、
図5に示すように、一方の読取部により取得された読取画像の通紙方向の端部E1とその読取画像から抽出された用紙輪郭情報の通紙方向の端部E2との距離Δ1と、他方の読取部により取得された読取画像に鏡像処理を施したものの通紙方向の端部E3とその鏡像処理した読取画像から抽出された用紙輪郭情報の通紙方向の端部E4との距離Δ2と、を算出する。そして、Δ1-Δ2を通紙方向のずれ量Δyとして算出する。また、一方の読取部により取得された読取画像から抽出された用紙輪郭情報と他方の読取部により取得された読取画像に鏡像処理を施した画像から抽出された用紙輪郭情報との通紙交差方向のずれ量Δxを算出する。
なお、上記説明では鏡像処理を行うこととして説明しているが、2つの読取画像において対応する用紙輪郭の辺の位置関係がわかればよく、必ずしも鏡像処理を実施する必要はない。また、ステップS4においては、ずれ量Δx及びΔyを算出しているが、同様に倍率や傾きの補正値を算出してもよい。
【0052】
読取部170aと読取部170bの間隔は短いので、補正値は1つの用紙で求めたらその補正値を他の用紙に流用することができるが、用紙サイズや種別(上質紙、コート紙等)ごとに測定し、記憶部104に保存しておくことが好ましい。
【0053】
なお、制御部101は、画像解析部190によりジョブ中に読取部170a、読取部170b双方から取得された読取画像(すなわち、両面の読取画像)から背景と用紙の濃度を実測し、双方の読取画像における背景と用紙の濃度差が所定値より大きい場合(すなわち、読取部170a、読取部170b双方の読取画像から用紙輪郭情報が抽出できた場合)に、自動的に上記ずれ量Δx、Δyを算出し、すでに算出され、記憶部104に記憶されている補正値を更新するようにしてもよい。また、過去に算出されたずれ量Δx、Δyを記憶部104又はRAMに累積記憶しておき、この累積したずれ量Δx、Δyの平均値を補正値として記憶部104に記憶しておくこととしてもよい。
【0054】
次に、実際にジョブに基づく印刷を行う際の画像形成装置100の動作について説明する。
図6は、制御部101により実行される印刷処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示す印刷処理は、ジョブが選択され、印刷開始が指示された際に、制御部101のCPUとRAMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0055】
まず、制御部101は、表裏それぞれの画像位置の事前調整を実施する(ステップS11)。
【0056】
事前調整は、印刷の最初から用紙の正しい位置に画像が印刷された印刷物が得られるよう、ジョブに基づく印刷に先立って行う画像位置調整である。なお、このジョブに基づく印刷に先立って行う画像位置調整は、少なくとも用紙トレイ105a~105cの用紙を交換した直後のジョブの実行前に、用紙を交換したトレイについて行えばよく、毎回のジョブの実行前に実施する必要はない。
【0057】
事前調整では、まず、画像形成部150により
図7に示す位置調整用マーク(トンボと呼ぶ)T1~T4を、ジョブの印刷に用いる種別の用紙の4辺のエッジから予め設定された距離(例えば、用紙エッジから10mm)だけ内側に付与して画像形成部150用紙の表裏に印刷し、その印刷物を読取部170a及び読取部170bにより読み取り、得られた読取画像を画像解析部190により解析して用紙輪郭を抽出し、用紙エッジとトンボT1~T4との位置関係(距離)を取得する。そして、画像解析部190は、表裏のそれぞれについて、用紙エッジとトンボT1~T4(各用紙エッジに対向するトンボ)との距離が所定の距離となるように複数の調整項目の調整値を算出し、記憶部104に記憶させる。
【0058】
ここで、制御部101は、調整対象とする用紙の色によって、読取部170a、読取部170bのそれぞれに対向させる背景部材171a、171bの背景面を黒色面1711又は白色面1712にセットしてから読み取りを行わせる。例えば、白い用紙の場合は黒色面1711を、黒い用紙の場合は白色面1712を背景面としてセットし、その他の用紙色の場合は、黒色面1711又は白色面1712のうち、読み取りやすい、あるいは読み取り可能な方(例えば、用紙との濃度差が大きい方)を適宜選択して背景面としてセットする。なお、黒い用紙の場合、用紙に印刷するトンボの色調も、用紙と容易に識別できる色材、例えば白トナーや白インク、で形成することが好ましい。また、ステップS11では、背景部材171a、171bに同じ色の背景面がセットされてもよい。
【0059】
なお、測定精度や安定性を向上するために、事前調整は複数回繰り返しても構わない。また、複数枚の前記トンボT1~T4を付与した印刷物を印刷して各々調整値を算出し、その平均値を用いるようにしてもよい。
【0060】
事前調整を含む画像位置調整において算出される調整項目としては、縦横それぞれの倍率、上下、左右それぞれの画像シフト、回転、スキュー、たて台形、よこ台形、曲り、曲り位置、が挙げられる。これらの調整項目は、それぞれ独立して調整値を求めることが可能である。上記の調整項目のうち、倍率、画像シフト、回転、スキュー、たて台形、よこ台形の調整項目の調整により、四隅の画像位置を調整することができる。また、曲り、曲り位置は、画像の歪みを調整するためのもので、これらを併用することで、さらに高度な画像位置調整が可能である。
【0061】
図8Aに、縦倍率、横倍率、上下画像シフト、左右画像シフトのそれぞれの調整項目における調整値の範囲及び調整イメージを示す。
図8Bに、回転、スキュー、たて台形、よこ台形、曲り、曲り位置のそれぞれの調整項目における調整値の範囲及び調整イメージを示す。なお、
図8A、
図8Bにおける太矢印Aは、用紙搬送方向を示すものであり、実線は用紙を、点線は目標とする画像位置を、ハッチングは現状の画像位置を、細矢印は調整により画像が動く方向を示している。なお、
図8Aの画像シフトについては、現状の画像位置と目標の画像位置の双方を示すと見にくくなるため、両者を同一として表し、調整により画像が動く方向のみを示す図としている。また、
図8Bについては、用紙を示す実線は省略している。
【0062】
なお、本実施形態において、事前調整は、トンボT1~T4が印刷された用紙を読取部170で読み取って、得られた読取画像を画像解析部190で解析することにより
図8A、
図8Bに示す各調整項目の調整値を自動的に取得することとして説明しているが、トンボT1~T4が印刷された用紙をユーザーが目視で観察して決定した各調整項目の調整値の入力を操作表示部103から受け付けて、各調整値の値を取得することとしてもよい。
【0063】
また、ステップS11の事前調整では、画像位置だけでなく色調整(キャリブレーションや出力紙濃度調整)を行うこととしてもよい。
【0064】
印刷時のキャリブレーションは、例えばオフセット印刷のインキで印刷するために作成された画像データに基づいて電子写真方式のトナーで印刷を行う際、仕上がりの色調をインキによるオフセット印刷と同等に調整するために実施するものである。例えば、
図9に示すような、あらかじめ階調値の組み合わせが定められた複数のパッチからなるキャリブレーションチャート(片面のチャート)を用紙に印刷し、この印刷結果を測定することで、印刷画像の色調を調整するための、いわゆるカラープロファイルを作成する。ジョブに基づく印刷時には、作成したカラープロファイルを適用することで印刷画像の色調を管理する。この色調管理方法は既存の手法が多く存在するが、いずれもキャリブレーションチャートのパッチを正しく読み取ることが前提となっている。そのため、正しい読み取り値が得られる専用の測色器180を、読取部170(ここでは読取部170b)の近傍に配置し、測色器180と片面印刷時の印刷面を読み取る読取部170bでパッチP1を読み取り、読取部170bの読み取り値を測色器180の読み取り値に変換するための変換式を算出する。さらに、より様々な階調値が含まれるパッチP2を読取部170bで読み取り、これらの測定値及び上述の変換式をもとに、キャリブレーションを実施し、カラープロファイルを生成し、記憶部104に記憶する。
このキャリブレーションの場合、背景部材181の測色器180と対向する面と、背景部材171bの背景面は白で一致していることが重要となる。そこで、制御部101は、背景部材171bの背景面の色を白にセットして上記キャリブレーションを行う。
【0065】
また、通常、電子写真方式の印刷物の色管理は、中間転写ベルトに対向して設けられたイメージセンサにより検出される、中間転写ベルト上に転写されたトナー像のトナー量により制御されるが、この場合、用紙にトナー像を転写する際の転写効率や、用紙上のトナーと発色の良否によって、実際の印刷物上の印刷結果が変化することになる。そこで、より精度よく色管理を行うために、用紙に印刷された画像を読取部170で読み取り、その階調値をもとに、印刷物の色管理をする手法がある。これを、出力紙濃度調整と呼ぶ。
【0066】
出力紙濃度調整は、以下の3ステップで実施される。
<ステップA>
まず、前出のキャリブレーション同様、キャリブレーションチャートの同一のカラーパッチ(パッチP1)を測色器180と読取部170bで読み取って読み取り値を比較し、読取部170bの読み取り値を、測色器180の読み取り値に変換するための変換式を生成する。
<ステップB>
ステップAの変換式を用いて、キャリブレーションチャートのパッチP2の読取部170bによる読み取り結果を変換し、得られた測定結果をもとに、階調変換テーブル(あるいは同様の効果を持った空間LUT(ルックアップテーブル))を作成する。これがジョブ開始前の色管理状態となる。
<ステップC>
ジョブ実行中において、用紙上の画像周辺部(裁ち落とし部)に検査用のカラーパッチを印刷し、または、ジョブにより印刷される画像(画像コンテンツ)において色検査に利用可能な領域を指定して、検査用のカラーパッチや指定した領域を読取部170bで読み取り、その読み取り結果の変動を軽減するよう、印刷時のプロセス条件や、印刷画像の階調変換特性を変換(階調変換テーブル又は空間LUTを変更)し、色調管理する。
図6のステップS11においては、出力紙濃度調整を行う場合ステップA~ステップBを実施し、ステップCについては、ジョブ中に実施する。
【0067】
出力紙濃度調整は、今の色調の如何にかかわらず、現在の色調を維持する(例えばジョブ中の色調変化を押さえる)ことを目標としている。そのため、背景部材171bの背景面は白でも黒でもよいが、ステップA~ステップCまで常に同じものを使うことが必要条件である。ステップCでは、両面印刷のジョブ中に、画像コンテンツの領域を指定して読取結果の変動を算出する場合があり、背景部材171bの背景色が白の場合、裏面の画像が写ってノイズになる可能性がある。また、一般的に、白用紙が使用されることが多いため、片面、両面の双方で使用される(片面印刷の印刷面(表面)を読み取る)読取部170bの背景部材171bを、白用紙の輪郭を読み取りやすい黒にすることが好ましい。そこで、出力紙濃度調整を実施する場合には、背景部材171bの背景面を黒、背景部材171aの背景面を白にセットすることが好ましい。
【0068】
次いで、制御部101は、背景部材171a、171bの濃度構成を制御し、一方の背景面を黒色面1711に、他方を白色面1712にセットする(ステップS12)。
例えば、ステップS12においては、背景部材171aの背景面を黒、背景部材171bの背景面を白にセットしてもよいし、その逆にセットしてもよい。
例えば、片面印刷時の印刷面に対向する読取部(本実施形態では読取部170b)に対向する背景部材(本実施形態では背景部材171b)に対し、より多くの印刷枚数を占める用紙色(例えば白)と大きな濃度差を有する色の面(例えば、黒色面1711)をセットすればよい。
【0069】
また、例えば、画像位置ずれをジョブ時の用紙各々で測定するものであって、ジョブと同時または連携して実施される調整機能に応じて、背景部材171aと背景部材171bの用紙の背景面の濃度を制御してもよい。
例えば、出力紙濃度調整の実施時は、上述のように、片面印刷時の印刷面を読み取る読取部170bに対向する背景部材171bの背景面を黒に、他方の背景面を白にセットする。
また、測色器180によるキャリブレーション併用時は、キャリブレーション実施時に合わせて、片面印刷時の印刷面を読み取る読取部170bに対向する背景部材171bの背景面を白に、他方を黒に設定する。
【0070】
また、例えば、用紙トレイ105a~105cにセットされている用紙のうち、ジョブで使用される用紙トレイにセットされた用紙の構成に基づいて、背景部材171a、171bの背景面の濃度を制御することとしてもよい。
例えば、画像形成装置100内(例えば、各用紙トレイ内)に用紙色を測定するセンサーを具備し、ジョブで使用する用紙トレイにおけるセンサーの測定結果をもとに、背景部材171a、171bの背景面の濃度を制御してもよい。なお、上記センサーの代わりに読取部170a、170bの読取画像の階調値を用いて用紙色(例えばRGB各々の階調値から換算した濃度)を測定してもよい。また、入力部103bからのユーザーによる背景部材171a、171bの濃度構成の指定に基づいて背景部材171a、171bの背景面の濃度構成を制御することとしてもよい。
【0071】
なお、用紙トレイ105a~105cにセットされている用紙がすべて同じ場合もあるため、制御部101は、用紙トレイ105a~105cのうちジョブで使用する複数の用紙トレイにセットされている用紙間の濃度差が大きい(所定の閾値より大きい)場合に、背景部材171aと背景部材171bの背景面が互いに異なる濃度(白又は黒)となるように制御してもよい。一方、例えば、用紙トレイ105a~105cにセットされている用紙がすべて白のような場合は、背景部材171aと背景部材171bの双方を黒にセットすればよい。また、制御部101は、用紙トレイ105a~105cのうちジョブで使用する複数の用紙トレイにセットされている用紙の間の濃度差が大きい(所定の閾値より大きい)場合に、表示部103aに、背景部材171aと背景部材171bの背景面の濃度を異なる濃度に設定するようユーザーに促すメッセージを表示させることとしてもよい。
【0072】
次いで、制御部101は、読取部170aと読取部170bとの間の読取位置補正値を記憶部104から取得する(ステップS13)。
【0073】
次いで、制御部101は、ジョブに基づく印刷を開始し(ステップS14)、1シート(用紙)分の印刷を実施する(ステップS15)。
ステップS15において、制御部101は、まず、印刷対象の画像データに画像処理(例えば、ラスタライズ処理や、記憶部104に記憶されているカラープロファイルを用いた色変換や階調変換テーブルに基づく処理等)を施す。次いで、制御部101は、画像形成部150及び搬送部106等を制御して画像データに基づく画像コンテンツが用紙上の印刷領域に、トンボT11~T14(
図2参照)が用紙の余白部(用紙エッジから所定の距離)に付与された画像を用紙上に印刷させ、定着部160により定着させる。このとき、記憶部104に記憶されている各調整項目の調整値に基づいて、用紙に印刷される画像の位置を調整する。なお、両面印刷を行う場合、制御部101は、搬送部106及び画像形成部150を制御して、両面印刷を行わせる。
【0074】
次いで、制御部101は、読取部170により印刷済み用紙(印刷物)を読み取らせ、用紙輪郭及び背景部材を含む読取画像を取得する(ステップS16)。
ここで、読取画像は、R、G、Bの階調値で得られる。読取部170aからの読取画像と読取部170bからの読取画像が取得される。
【0075】
次いで、制御部101は、画像解析部190に解析を行わせ、取得された2つの読取画像のいずれか一方における用紙の濃度と背景(背景部材)の濃度との濃度差が所定値より小さいか否かを判断する(ステップS17)。
例えば、読取画像の端部では背景部材が読み取られているはずであるため、読取画像の端部の階調値(端部周辺の階調値の平均値)を背景の濃度として取得する。また、例えば、読取位置補正値の算出時等に、読取画像の端部から用紙輪郭までの距離等を取得しておき、端部からの距離が取得した距離より若干離れた箇所の階調値(平均値)を用紙の濃度として取得する。そして、取得した階調値を比較することにより、用紙の濃度と背景の濃度との濃度差を算出する。ステップS17で用いる所定値は、その値より濃度差が小さいと用紙輪郭情報の抽出が失敗することがあるものとして実験的又は経験的に求めた値である。
なお、背景部材171aと背景部材171bの背景面の一方が黒、一方が白にセットされているため、2つの読取画像の双方における用紙の濃度と背景の濃度との濃度差が所定値より小さくなったり、用紙輪郭情報が抽出できなかったりすることはない。
【0076】
ここで、濃度としては、反射率に基づく光学濃度を用いてもよいが、本実施形態では、読取部170から出力される階調値(読取画像の階調値)を濃度として用いる。具体的には、読取画像のR、G、Bの3つのチャンネルの階調値のうち、背景(背景部材)の階調値と用紙の階調値の差が最も大きいチャンネルの階調値を濃度として用いる。
【0077】
2つの読取画像の双方における用紙の濃度と背景部材の濃度との濃度差が所定値以上であると判断した場合(ステップS17;NO)、制御部101は、画像解析部190により、2つの読取画像から用紙輪郭情報を抽出する処理を行わせる(ステップS18)。
例えば、読取画像の4辺の端部から探索を行い、端部との濃度差が所定値以上のエッジがそれぞれ検出された場合に、検出されたエッジの情報を用紙輪郭情報として抽出する。なお、用紙の濃度と背景の濃度との濃度差が所定値以上と判定された場合であっても、例えば、背景との濃度差を誤って画像コンテンツ内から算出してしまった場合等、濃度差の算出に失敗した場合も考えられ、この場合には、用紙輪郭情報が抽出されない場合もある。
【0078】
次いで、制御部101は、2つの読取画像から用紙輪郭情報が抽出されたか否かを判断する(ステップS19)。
2つの読取画像から用紙輪郭情報が抽出されたと判断した場合(ステップS19;YES)、制御部101は、ステップS21に移行する。
【0079】
一方、ステップS17において、一方の読取画像における用紙の濃度と背景の濃度との濃度差が所定値より小さいと判断した場合(ステップS17;YES)、又は、ステップS19において、一方の読取画像の用紙輪郭情報が抽出されなかったと判断した場合(ステップS19;NO)、制御部101は、画像解析部190により、用紙の濃度と背景の濃度との濃度差が小さい方又は用紙輪郭情報が抽出されなかった方の読取画像の用紙輪郭情報を、他方の読取画像の用紙輪郭情報に基づいて推測して取得し(ステップS20)、ステップS21へ移行する。
ステップS20においては、例えば、他方の読取画像の用紙輪郭情報の各頂点の座標を鏡像の位置に変換して、さらにΔx、Δyだけシフトすることにより、一方の読取画像の用紙輪郭情報(用紙の濃度と背景部材の濃度との濃度差が小さい方又は用紙輪郭情報が抽出されなかった方の読取画像の用紙輪郭情報)を推定する。なお、補正値Δx、Δyは、用紙サイズや種別に応じたものを用いる。
【0080】
ステップS21において、制御部101は、抽出した又は推測した用紙輪郭情報を用いて、用紙に対する画像の位置ずれ量を測定する(ステップS21)。
例えば、制御部101は、画像解析部190により、用紙輪郭の4辺の用紙エッジと対応するトンボT11~T14との距離を取得させる。そして、取得した距離に基づいて、用紙に対する画像の位置ずれ量を測定する。
【0081】
次いで、制御部101は、位置ずれ量に基づく処理を実施する(ステップS22)。
例えば、位置ずれ量が所定の閾値を超えていた場合、ステップS16で読み取った用紙をヤレ紙として、ヤレ紙の排紙経路106cから出力する。位置ずれ量が所定の閾値以下である場合、ステップS16で読み取った用紙を印刷物の排紙経路106bから排出する。
また、算出された位置ずれ量に基づいて、取得すべき画像位置の各調整項目の調整値を算出して更新することとしてもよい。
また、出力紙濃度調整を行っている場合は、例えば、読取画像の所定の領域の色に基づいて、印刷時のプロセス条件や、階調変換カーブの変更等を行う。
【0082】
次いで、制御部101は、全シート(用紙)の印刷が終了したか否かを判断し、全シートの印刷が終了していないと判断した場合(ステップS23;NO)、ステップS15に戻り、次のシートに対して、ステップS15~ステップS22の処理を実行する。
全シートの印刷が終了したと判断した場合(ステップS23;YES)、制御部101は、印刷処理を終了する。
【0083】
なお、上記印刷処理においては、読取画像における用紙と背景の濃度差が所定値より小さい場合に用紙輪郭情報を推測することとしたが、例えば、用紙輪郭情報の推測は常に実施し、推測に基づく第一の用紙輪郭情報候補と、読取画像から抽出された実測に基づく第二用紙輪郭情報候補とを比較し、この差分が所定の値より小さい場合は、第二の用紙輪郭情報候補を用紙輪郭情報として採用し、差分が大きい場合は(実測が間違っていると判断して)、第一の用紙輪郭情報候補を用紙輪郭情報として採用するように構成されてもよい。
【0084】
また、上記印刷処理においては、トンボを印刷して、トンボと用紙輪郭との距離に基づいて用紙に対する画像の位置ずれ量を測定する場合を例にとり説明したが、位置ずれ量の測定手法はこれに限定されない。例えば、制御部101は、ジョブの画像データに基づいて、印刷に用いる用紙に当該画像データに基づく画像を印刷した場合の印刷結果を予測してその印刷イメージを表す画像を比較画像情報として生成し、生成した比較画像情報における用紙輪郭と画像コンテンツとの位置関係と、実際に用紙にジョブの画像データに基づく画像を印刷した場合の印刷結果を読取部170で読み取ることにより得られた読取画像における用紙輪郭と画像コンテンツとの位置関係に基づいて、位置ずれ量を算出することとしてもよい。
【0085】
以上説明したように、画像形成装置100によれば、制御部101は、背景部材171aと背景部材171bを異なる濃度に構成して2つの読取画像を取得し、取得した読取画像のうちいずれか一方の用紙輪郭情報を、他方の用紙輪郭情報に基づいて推測して取得する。
したがって、少なくとも読取部170a又は読取部170bのいずれか一方から読み取った読取画像から用紙輪郭情報を抽出できなくても、背景部材171aと背景部材171bを異なる濃度に構成しているため、他方からは抽出することができ、他方から読み取った読取画像から抽出された用紙輪郭情報から一方の用紙輪郭情報を推測するので、ジョブ中に背景部材を切り替えることなく、容易かつ確実に用紙輪郭の情報を取得することが可能となる。
【0086】
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の好適な例であり、これに限定されるものではない。
【0087】
例えば、上記実施形態では、画像が印刷された用紙を読み取ることにより取得された読取画像から用紙輪郭情報を取得し、取得した用紙輪郭情報に基づいて印刷された画像の位置ずれを測定する、本発明の画像検査装置が、画像形成装置100と一体的に構成されている(画像形成装置100に組み込まれている)場合を例にとり説明したが、本発明の画像検査装置は、画像形成装置とは別体に構成されていてもよい。
【0088】
図10は、画像形成装置(画像形成装置1)と画像検査装置(画像検査装置2)を別体に構成した場合の構成例を示す図である。
図10に示すように、画像検査装置2は
図1に示した読取部170、測色器180、画像解析部190の他、制御部201、通信部202、表示部203a、入力部203b、記憶部204、搬送部206等を備えて構成されている。
【0089】
図10に示すように、画像検査装置2は、画像形成装置1で画像が印刷された用紙(印刷物)の用紙束Pから、用紙を1枚ずつ読取部170に搬送し、画像が印刷された用紙の読み取りを実施する。その際、制御部201は、画像形成装置1で印刷する際に用いられたジョブ情報(ジョブの設定情報)のうち必要な情報を、読取画像に基づく位置ずれの測定の実施に先立ち、または位置ずれ測定中に、画像解析部190による読取画像の解析に間に合うよう、通信部202を介して画像形成装置1から受け取り、記憶部204に記憶させる。制御部201は、受け取ったジョブ情報に基づいて、画像解析部190により読取部170により取得された読取画像の画像解析を行い、上記実施形態と同様の手法(
図6のステップS17~S22で説明した手法)により、位置ずれ量を測定する。ジョブ情報には、画像形成装置1のジョブで使用された用紙トレイ105a~105cの情報や、用紙トレイの各々にセットされた用紙の色やサイズ、用紙種別等の属性、総印刷用紙数、ジョブと同時または連携して実施される調整機能の情報等、位置ずれの測定に必要な複数の情報が含まれる。画像読み取り時の背景部材171a、171bの濃度構成の制御や解析制御は、上記実施形態で説明した画像形成装置100に組み込まれた画像検査装置と同様であるが、印刷はすでに終了しているから、ここでは、測定した位置ずれ量に基づいて印刷結果の良否を判断し、不良印刷をヤレとして排紙経路206cに排紙する制御を行う。また、ヤレとして排紙した印刷結果を再印刷する必要があるため、再印刷のための再印刷ジョブ情報を生成する。再印刷ジョブ情報には、不良印刷の要因に基づいて、例えば画像位置ずれを補正するための調整量が含まれてもよい。
【0090】
なお、
図10においては、画像検査装置2は、画像形成装置1で画像が印刷された用紙(印刷物)の用紙束Pから、用紙を1枚ずつ読取部170に搬送し、画像が印刷された用紙の読み取りや読取画像の解析等を実施することとしたが、画像形成装置1で画像が印刷された用紙をそのまま順次読取部170に搬送して画像が印刷された用紙の読み取りや読取画像の解析等を実施することとしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態で濃度を用いた部分については、濃度の代わりに色を使用してもよい。
【0092】
また、上記の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体として不揮発性の半導体メモリーやハードディスクを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【0093】
その他、画像検査装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0094】
100 画像形成装置
101 制御部
102 通信部
103 操作表示部
104 記憶部
105 給紙部
106 搬送部
150 画像形成部
160 定着部
170 読取部
170a 読取部
170b 読取部
171a 背景部材
171b 背景部材
180 測色器
190 画像解析部
1 画像形成装置
2 画像検査装置