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特許7491220免疫チェックポイント阻害薬およびFOLFIRINOX療法との併用によるがん治療
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  • 特許-免疫チェックポイント阻害薬およびFOLFIRINOX療法との併用によるがん治療 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】免疫チェックポイント阻害薬およびFOLFIRINOX療法との併用によるがん治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240521BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A61K39/395 D
A61K39/395 U
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P35/04
A61P1/18
A61K9/08
A61K9/10
A61K31/282
A61K31/519
A61K31/4745
A61K31/513
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020557713
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2019046048
(87)【国際公開番号】W WO2020111018
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2018220866
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000185983
【氏名又は名称】小野薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 恵介
(72)【発明者】
【氏名】黒田 将任
(72)【発明者】
【氏名】岩田 剛幸
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】ClinicalTrials.gov archive NCT03563248,2018年09月,https://clinicaltrials.gov/ct2/history/NCT03563248?V=View [retrieved on 2019-12-25]
【文献】カンプト点滴静注40mg/100mg適正使用ガイド,2014年,pp.69-70
【文献】PATEL, R.K. et al.,A phase 2, multicenter study of FOLFIRINOX followed by ipilimumab in combination with allogenic GM-C,Journal of Clinical Oncology,2017年,Vol.32, No.15_suppl,Abstract No.TPS4160
【文献】POL, J. et al.,Trial Watch: Immunogenic cell death inducers for anticancer chemotherapy,OncoImmunology,2015年,Vol.4, No.4, e1008866,pp.1-13
【文献】FUMET, J-D. et al.,Phase 1b/II trial evaluating the safety, tolerability and immunological activity of durvalumab (MEDI,ESMO Open,2018年06月,Vol.3, No.4, e000375,pp.1-9
【文献】DOSSET, M. et al.,PD-1/PD-L1 pathway: an adaptive immune resistance mechanism to immunogenic chemotherapy in colorecta,ONCOIMMUNOLOGY,2018年03月,Vol.7, No.6, e1433981,pp.1-14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FOLFIRINOX療法またはその減量レジメンと併用して投与されることを特徴とし、術前療法として処方されない、抗PD-1抗体を有効成分として含む、膵臓がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
【請求項2】
当該抗PD-1抗体として1回1~10mg/kg(体重)あるいは1回200~1200mgを2~4週間間隔で投与されることを特徴とする、請求項1記載の剤。
【請求項3】
当該抗PD-1抗体として1回1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kgまたは10mg/kg(体重)を投与されることを特徴とする、請求項2記載の剤。
【請求項4】
当該抗PD-1抗体として1回200mg、240mg、250mg、280mg、300mg、320mg、350mg、360mg、400mg、420mg、450mg、480mg、500mg、540mg、560mg、600mg、640mg、700mg、720mg、750mg、800mg、840mg、900mg、1000mg、1080mg、1100mg、1120mgまたは1200mgを投与されることを特徴とする、請求項2記載の剤。
【請求項5】
当該抗PD-1抗体が2週間、3週間または4週間間隔で投与される、請求項1~4の何れか一項記載の剤。
【請求項6】
抗PD-1抗体が30分間ないし60分間あるいは60分間以上かけて静脈内投与される、請求項1~5の何れか一項記載の剤。
【請求項7】
当該抗PD-1抗体が、Nivolumab、Cemiplimab、Pembrolizumab、Spartalizumab、Tislelizumab、AMP-514、Dostarlimab、Toripalimab、Camrelizumab、Genolimzumab、Sintilimab、STI-A1110、ENUM 388D4、ENUM 244C8、GLS010、MGA012、AGEN2034、CS1003、HLX10、BAT-1306、AK105、AK103、BI 754091、LZM009、CMAB819、Sym021、GB226、SSI-361、JY034、HX008、ISU106、ABBV181、BCD-100、PF-06801591、CX-188、JNJ-63723283またはAB122である、請求項1~6の何れか一項記載の剤。
【請求項8】
当該PD-1抗体がNivolumabである、請求項1~6の何れか一項記載の剤。
【請求項9】
Nivolumabとして1回3mg/kg(体重)もしくは1回240mgを2週間間隔で、1回360mgを3週間間隔で、または1回480mgを4週間間隔で投与されることを特徴とする、請求項8記載の剤。
【請求項10】
Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で投与されることを特徴とする、請求項8または9記載の剤。
【請求項11】
Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で30分間かけて静脈内投与されることを特徴とする、請求項10記載の剤。
【請求項12】
FOLFIRINOX療法と併用して投与されることを特徴とし、当該FOLFIRINOX療法が、オキサリプラチン 85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、レボホリナートカルシウム 200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、当該レボホリナートカルシウムの投与開始30分後からイリノテカン塩酸塩水和物 180mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらに当該レボホリナートカルシウムの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/mを急速静脈内投与して、さらにフルオロウラシル 2400mg/mを46時間かけて持続静脈内投与し、当該一連の投与を2週間間隔で実施する療法である、請求項1~11の何れか一項記載の剤。
【請求項13】
当該FOLFIRINOX療法の2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、以下の(1)~(4)の何れか一以上を実施する、請求項12記載の剤:
(1)フルオロウラシルの急速静脈内投与を中止する;
(2)オキサリプラチンの投与量を減量または投与を中止する;
(3)イリノテカン塩酸塩水和物の投与量を減量または投与を中止する;
(4)持続静脈内投与されるフルオロウラシルの投与量を減量する。
【請求項14】
当該FOLFIRINOX療法において、フルオロウラシルの急速静脈内投与を実施しない、請求項12記載の剤。
【請求項15】
(1)当該FOLFIRINOX療法におけるオキサリプラチンの投与量、あるいは当該療法の2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量されるオキサリプラチンの投与量が、65mg/m、50mg/mまたは85~50mg/mの間の任意の投与量であり、
(2)当該FOLFIRINOX療法におけるイリノテカン塩酸塩水和物の投与量、あるいは当該療法の2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量されるイリノテカン塩酸塩水和物の投与量が、150mg/m、120mg/m、90mg/mまたは180~90mg/mの間の任意の投与量であり、
(3)当該FOLFIRINOX療法において持続静脈内投与されるフルオロウラシルの投与量、あるいは当該療法の2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量され、持続静脈内投与されるフルオロウラシルの投与量が、1800mg/m、1200mg/mまたは2400~1200mg/mの間の任意の投与量である、請求項12または13記載の剤。
【請求項16】
FOLFIRINOX療法の減量レジメンと併用して投与されることを特徴とし、当該FOLFIRINOX療法の減量レジメンが、オキサリプラチン 85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、レボホリナートカルシウム 200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、当該レボホリナートカルシウム投与開始30分後からイリノテカン塩酸塩水和物 150mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらに当該レボホリナートカルシウムの投与終了後に、フルオロウラシル 2400mg/mを46時間かけて持続静脈内投与し、当該一連の投与を2週間間隔で実施する療法である、請求項1~11の何れか一項記載の剤。
【請求項17】
当該FOLFIRINOX療法の減量レジメンの2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、以下の(1)~(3)の何れか一以上を実施する、請求項12記載の剤:
(1)オキサリプラチンの投与量を減量または投与を中止する;
(2)イリノテカン塩酸塩水和物の投与量を減量または投与を中止する;
(3)持続静脈内投与されるフルオロウラシルの投与量を減量する。
【請求項18】
(1)当該FOLFIRINOX療法の減量レジメンにおけるオキサリプラチンの投与量、あるいは当該減量レジメンの2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量されるオキサリプラチンの投与量が、65mg/m、50mg/mまたは85~50mg/mの間の任意の投与量であり、
(2)当該FOLFIRINOX療法の減量レジメンにおけるイリノテカン塩酸塩水和物の投与量、あるいは当該減量レジメンの2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量されるイリノテカン塩酸塩水和物の投与量が、120mg/m、90mg/mまたは150~90mg/mの間の任意の投与量であり、
(3)当該FOLFIRINOX療法の減量レジメンにおいて持続静脈内投与されるフルオロウラシルの投与量、あるいは当該減量レジメンの2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量され、持続静脈内投与されるフルオロウラシルの投与量が、1800mg/m、1200mg/mまたは2400~1200mg/mの間の任意の投与量である、請求項16または17記載の剤。
【請求項19】
当該抗PD-1抗体の投与と当該FOLFIRINOX療法またはその減量レジメンを同日に実施する場合、当該抗PD-1抗体を最初に投与し、当該抗PD-1抗体の投与終了後少なくとも30分経過した後に、FOLFIRINOX療法またはその減量レジメンを開始する、請求項1~18の何れか一項記載の剤。
【請求項20】
最初に、当該抗PD-1抗体の投与および当該FOLFIRINOX療法またはその減量レジメンを同日に実施して開始する、請求項1~19の何れか一項記載の剤。
【請求項21】
膵臓がんが、膵管がん、インスリノーマまたは膵管内乳頭粘液性腫瘍である、請求項1~20の何れか一項記載の剤。
【請求項22】
抗がん薬による治療歴のない膵臓がん患者を対象とする、請求項1~21の何れか一項記載の剤。
【請求項23】
遠隔転移を有する膵臓がん患者を対象とする、請求項1~22の何れか一項記載の剤。
【請求項24】
抗がん薬による治療歴のない遠隔転移を有する膵臓がん患者を対象とする、請求項1~23の何れか一項記載の剤。
【請求項25】
FOLFIRINOX療法の減量レジメンと併用して投与されることを特徴とし、術前療法として処方されない、Nivolumabを有効成分として含む、抗がん薬による治療歴のない遠隔転移を有する膵臓がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、
(1)当該Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で、30分間かけて静脈内投与され、
(2)当該減量レジメンは、オキサリプラチン 85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、レボホリナートカルシウム 200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、当該レボホリナートカルシウム投与開始30分後からイリノテカン塩酸塩水和物 150mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらに当該レボホリナートカルシウムの投与終了後に、フルオロウラシル 2400mg/mを46時間かけて持続静脈内投与し、当該一連の投与を2週間間隔で実施する療法である、当該剤。
【請求項26】
FOLFIRINOX療法またはその減量レジメンのみと併用して投与される、請求項1~25記載の何れか一項記載の剤。
【請求項27】
FOLFIRINOX療法の減量レジメンのみと併用して投与されることを特徴とし、術前療法として処方されない、Nivolumabを有効成分として含む、抗がん薬による治療歴のない遠隔転移を有する膵臓がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、
(1)当該Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で、30分間かけて静脈内投与され、
(2)当該減量レジメンは、オキサリプラチン 85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、レボホリナートカルシウム 200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、当該レボホリナートカルシウム投与開始30分後からイリノテカン塩酸塩水和物 150mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらに当該レボホリナートカルシウムの投与終了後に、フルオロウラシル 2400mg/mを46時間かけて持続静脈内投与し、当該一連の投与を2週間間隔で実施する療法である、当該剤。
【請求項28】
当該Nivolumab投与と当該減量レジメンを同日に実施する場合、当該Nivolumabを最初に投与し、当該Nivolumabの投与終了後少なくとも30分経過した後に、当該減量レジメンを開始する、請求項27記載の剤。
【請求項29】
最初に、当該Nivolumab投与および当該減量レジメンを同日に実施して開始する、請求項27または28記載の剤。
【請求項30】
さらに、放射線療法と併用されない、請求項1~29の何れか一項記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫チェックポイント阻害薬およびFOLFIRINOX療法との併用によるがん治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
FOLFIRINOX療法(以下、「FFX療法」と略記することがある。)とは、治癒切除不能な膵臓がん患者に対して行われている標準治療の一つである。しかしながら、骨髄抑制、悪心や嘔吐等の有害事象が高頻度に起こることが知られており、その軽減のため、その投与量を減量したmodified FOLFIRINOX療法(以下、「mFFX療法」と略記することがある。)も行われている。
【0003】
化学療法などの従来の治療法と異なり、がん患者自身に元来備わっている免疫監視機構に作用して、がんに対する免疫力を強化することによって、その進行を抑制ないし治療するがん免疫療法が近年注目を集めている。特に、PD-1(Programmed Cell Death-1)あるいはそのリガンドであるPD-L1(Programmed Cell Death Ligand-1)などの免疫チェックポイント分子群に対する阻害薬、所謂、免疫チェックポイント阻害薬(以下、「免疫CP阻害薬」と略記することがある。)が臨床において一定の成果を上げている。
【0004】
がん治療におけるこれら治療法の組合せとして、FFX療法、抗PD-1抗体Nivolumabおよび放射線治療を併用する術前療法が、転移のない膵臓がん患者を対象に臨床において試験されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】ClinicalTrials.gov、“Losartan and Nivolumab in Combination With FOLFIRINOX and SBRT in Localized Pancreatic Cancer”、インターネット〈URL:https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03563248〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、がんの新たな治療法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者らは鋭意検討した結果、免疫チェックポイント阻害薬およびFOLFIRINOX療法またはその減量レジメンを組み合わせて処方する治療法が有効ながん治療法となり得ることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] FFX療法またはその減量レジメンと組み合わせて投与されることを特徴とする、免疫チェックポイント阻害物質(以下、「免疫CP阻害物質」と略記することがある。)を有効成分として含む、がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤;
[2] 当該免疫CP阻害物質として1回約1~10mg/kg(体重)あるいは1回約200~1200mgを約2~4週間間隔で投与されることを特徴とする、前項[1]記載の剤;
[3] 当該免疫CP阻害物質として1回1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kgまたは10mg/kg(体重)を投与されることを特徴とする、前項[1]または[2]記載の剤;
[4] 当該免疫CP阻害物質として1回200mg、240mg、250mg、280mg、300mg、320mg、350mg、360mg、400mg、420mg、450mg、480mg、500mg、540mg、560mg、600mg、640mg、700mg、720mg、750mg、800mg、840mg、900mg、1000mg、1080mg、1100mg、1120mgまたは1200mgを投与されることを特徴とする、前項[1]または[2]記載の剤;
[5] 当該免疫CP阻害物質を2週間、3週間または4週間間隔で投与されることを特徴とする、前項[1]~[4]の何れか一項記載の剤;
[6] 免疫CP阻害物質が、約30分間ないし約60分間あるいは60分間以上かけて静脈内投与される、前項[1]~[5]の何れか一項記載の剤;
[7] 当該免疫CP阻害物質が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体または抗CTLA-4抗体である、前項[1]~[6]の何れか一項記載の剤;
[8] 当該免疫CP阻害物質が、抗PD-1抗体である、前項[1]~[6]の何れか一項記載の剤;
[9] 当該抗PD-1抗体が、Nivolumab、Cemiplimab、Pembrolizumab、Spartalizumab、Tislelizumab、AMP-514、Dostarlimab、Toripalimab、Camrelizumab、Genolimzumab、Sintilimab、STI-A1110、ENUM 388D4、ENUM 244C8、GLS010、MGA012、AGEN2034、CS1003、HLX10、BAT-1306、AK105、AK103、BI 754091、LZM009、CMAB819、Sym021、GB226、SSI-361、JY034、HX008、ISU106、ABBV181、BCD-100、PF-06801591、CX-188、JNJ-63723283またはAB122である、前項[8]記載の剤;
[10] 当該免疫CP阻害物質が抗PD-L1抗体であって、当該抗PD-L1抗体が、Atezolizumab、Avelumab、Durvalumab、BMS-936559、STI-1014、KN035、LY3300054、HLX20、SHR-1316、CS1001、MSB2311、BGB-A333、KL-A167、CK-301、AK106、AK104、ZKAB001、FAZ053、CBT-502、JS003またはCX-072である、前項[7]記載の剤;
[11] 当該免疫CP阻害物質が抗CTLA-4抗体であって、当該抗CTLA-4抗体が、Ipilimumab、AGEN1884またはTremelimumabである、前項[7]記載の剤;
[12] 当該抗PD-1抗体が、Nivolumabである前項[8]記載の剤;
[13] 当該抗PD-1抗体が、Pembrolizumabである前項[8]記載の剤;
[14] 当該抗PD-1抗体が、Cemiplimabである前項[8]記載の剤;
[15] 当該抗PD-L1抗体が、Avelumabである前項[10]記載の剤;
[16] 当該抗PD-L1抗体が、Atezolizumabである前項[10]記載の剤;
[17] 当該抗PD-L1抗体が、Durvalumabである前項[10]記載の剤;
[18] 当該抗CTLA-4抗体が、Ipilimumabである前項[11]記載の剤;
[19] Nivolumabとして1回3mg/kg(体重)もしくは1回240mgを2週間間隔で、または1回480mgを4週間間隔で投与されることを特徴とする、前項[12]記載の剤;
[20] Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で投与されることを特徴とする、前項[12]記載の剤;
[21] Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で約30分間かけて静脈内投与されることを特徴とする、前項[12]記載の剤;
[22] Pembrolizumabとして1回2mg/kg(体重)または1回200mgを3週間間隔で投与されることを特徴とする、前項[13]記載の剤;
[23] Cemiplimabとして1回350mgを3週間間隔で投与されることを特徴とする、前項[14]記載の剤;
[24] Avelumabとして1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で投与されることを特徴とする、前項[15]記載の剤;
[25] Atezolizumabとして1回1200mgを3週間間隔で投与されることを特徴とする、前項[16]記載の剤;
[26] Durvalumabとして1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で投与されることを特徴とする、前項[17]記載の剤;
[27] Ipilimumabとして1回3mg/kg(体重)または1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回静脈内投与されることを特徴とする、前項[18]記載の剤;
[28] FFX療法と組み合わせて投与されることを特徴とし、当該FFX療法において、オキサリプラチン(以下、「L-OHP」と略記する。)85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、レボホリナートカルシウム(以下、「l-LV」と略記する。)200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、l-LVの投与開始30分後からイリノテカン塩酸塩水和物(以下、「CPT-11」と略記する。)180mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらにl-LVの投与終了後に、5-FU 400mg/mを急速静脈内投与して、さらに5-FU 2400mg/mを46時間かけて持続静脈内投与し、当該一連の投与(以下、「一連の投与」の2回目以降の何れかの投与を「2サイクル目以降の何れかの投与」と記載することがある。)を2週間間隔で実施する、前項[1]~[27]の何れか一項記載の剤;
[29] 当該FFX療法の2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、5-FUの急速静脈内投与を中止する、前項[28]記載の剤;
[30] 当該FFX療法の2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、L-OHPの投与量を減量または投与を中止する、前項[28]または[29]記載の剤;
[31] 当該FFX療法の2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、CPT-11の投与量を減量または投与を中止する、前項[28]~[30]の何れか一項記載の剤;
[32] 当該FFX療法の2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、持続静脈内投与される5-FUの投与量を減量する、前項[28]~[31]の何れか一項記載の剤;
[33] 当該FFX療法において、5-FUの急速静脈内投与を実施しない、前項[28]記載の剤;
[34] 当該FFX療法おけるL-OHPの投与量、あるいは当該FFX療法の2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量されるL-OHPの投与量が、約65mg/m、約50mg/mまたは約85~約50mg/mの間の任意の投与量である、前項[28]、[30]または[33]記載の剤;
[35] 当該FFX療法おけるCPT-11の投与量、あるいは当該FFX療法の2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量されるCPT-11の投与量が、約150mg/m、約120mg/m、約90mg/mまたは約180~約90mg/mの間の任意の投与量である、前項[28]、[31]、[33]または[34]記載の剤;
[36] 当該FFX療法おいて持続静脈内投与される5-FUの投与量、あるいは当該FFX療法の2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量される持続静脈内投与される5-FUの投与量が、約1800mg/m、約1200mg/mまたは約2400~約1200mg/mの間の任意の投与量である、前項[28]および[32]~[35]の何れか一項記載の剤;
[37] FFX療法の減量レジメンと組み合わせて投与されることを特徴とし、当該FFX療法の減量レジメンが、L-OHP 85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、l-LV 200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、l-LV投与開始30分後からCPT-11 150mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらにl-LVの投与終了後に、5-FU 2400mg/mを46時間かけて静脈内投与し、当該一連の投与を2週間間隔で実施する療法(当該減量レジメンが、「mFFX療法」に相当する。)である、前項[1]~[27]の何れか一項記載の剤;
[38] 前項[37]記載のFFX療法の減量レジメンの2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、L-OHPの投与量を減量または投与を中止する、前項[37]記載の剤;
[39] 前項[37]記載のFFX療法の減量レジメンの2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、CPT-11の投与量を減量または投与を中止する、前項[37]または[38]記載の剤;
[40] 前項[37]記載のFFX療法の減量レジメンの2サイクル目以降の何れかの投与において、持続静脈内投与される5-FUの投与量を、患者の副作用発現の程度に応じて減量する、前項[37]~[39]の何れか一項記載の剤;
[41] 前項[37]記載のFFX療法の減量レジメンにおけるL-OHPの投与量、あるいは同減量レジメンの2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量されるL-OHPの投与量が、約65mg/m、約50mg/mまたは約85~約50mg/mの間の任意の投与量である、前項[37]または[38]記載の剤;
[42] 前項[37]記載のFFX療法の減量レジメンにおけるCPT-11の投与量、あるいは同減量レジメンの2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量されるCPT-11の投与量が、約120mg/m、約90mg/mまたは約150~約90mg/mの間の任意の投与量である、前項[37]、[39]または[41]記載の剤;
[43] 前項[37]記載のFFX療法の減量レジメンにおいて持続静脈内投与される5-FUの投与量、あるいは同減量レジメンの2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて減量される持続静脈内投与される5-FUの投与量が、約1800mg/m、約1200mg/mまたは約2400~約1200mg/mの間の任意の投与量である、前項[37]および[40]~[42]の何れか一項記載の剤;
[44] 免疫CP阻害物質投与およびFFX療法またはその減量レジメンを同日に実施する場合、当該免疫CP阻害物質を最初に投与し、当該免疫CP阻害物質の投与終了後少なくとも約30分経過した後に、FFX療法またはその減量レジメンを開始する、前項[1]~[43]の何れか一項記載の剤;
[45] 最初に、免疫CP阻害物質投与およびFFX療法またはその減量レジメンを同日に実施する、前項[1]~[44]の何れか一項記載の剤;
[46] 当該FFX療法またはその減量レジメンが処方された患者の副作用発現の程度に応じて、2サイクル目以降の何れかの当該一連の投与を、一時的もしくは継続的に、3週間間隔または4週間間隔で実施する前項[28]~[45]の何れか一項記載の剤;
[47] がんが、固形がんまたは血液がんである、前項[1]~[46]の何れか一項記載の剤;
[48] がんが固形がんであって、当該固形がんが、悪性黒色腫(例えば、皮膚、口腔粘膜上皮または眼窩内等における悪性黒色腫)、非小細胞肺がん(例えば、扁平非小細胞肺がんおよび非扁平非小細胞肺がん)、小細胞肺がん、頭頸部がん(例えば、口腔がん、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん、鼻咽頭がん、唾液腺がんおよび舌がん)、腎細胞がん(例えば、淡明細胞型腎細胞がん)、乳がん、卵巣がん(例えば、漿液性卵巣がんおよび卵巣明細胞腺がん)、子宮がん(例えば、子宮頸がんおよび子宮体がん)、肛門がん(例えば、肛門管がん)、大腸がん、直腸がん、結腸がん、肝細胞がん、食道がん、胃がん、食道胃接合部がん、膵臓がん(例えば、膵管がん、インスリノーマおよび膵管内乳頭粘液性腫瘍)、尿路上皮がん(例えば、膀胱がん、上部尿路がん、尿管がん、腎盂がんおよび尿道がん)、前立腺がん、卵管がん、原発性腹膜がん、悪性胸膜中皮腫、胆道がん(例えば、胆嚢がん、胆管がんおよび乳頭部がん)、皮膚がん(例えば、ブドウ膜悪性黒色腫およびメルケル細胞がん)、精巣がん(胚細胞腫瘍)、膣がん、外陰部がん、陰茎がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、脊椎腫瘍、神経芽細胞腫、髄芽腫、眼網膜芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、脳腫瘍(例えば、神経膠腫(例えば、神経膠芽腫および神経膠肉腫)および髄膜腫)および扁平上皮がんから選択される1以上のがんである、前項[47]記載の剤;
[49] がんが固形がんであって、当該固形がんが、骨・軟部肉腫(例えば、ユーイング肉腫、小児横紋筋肉腫、子宮体部平滑筋肉腫、軟骨肉腫、肺肉腫、骨肉腫および先天性繊維肉腫)またはカポジ肉腫である、前項[47]記載の剤;
[50] がんが血液がんであって、当該血液がんが、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、菌状息肉症、セザリー症候群、慢性もしくは急性リンパ球性白血病、末梢性T細胞リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病、B細胞リンパ芽球性白血病、T細胞リンパ芽球性白血病およびリンパ形質細胞性リンパ腫)およびホジキンリンパ腫(例えば、古典的ホジキンリンパ腫および結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫))、白血病(例えば、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病)、中枢神経系原発悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群および骨髄増殖症候群から選択される1以上のがんである、前項[47]記載の剤;
[51] がんが、小児がんまたは原発不明がんである、前項[1]~[46]の何れか一項記載の剤;
[52] がんが固形がんであって、当該固形がんが、膵臓がんまたは胆道がんである、前項[47]記載の剤;
[53] がんが固形がんであって、当該固形がんが、膵臓がん(以下、「膵臓がん」を「膵がん」と記載することがある。)である、前項[47]記載の剤;
[54] 膵臓がんが、膵管がん、インスリノーマまたは膵管内乳頭粘液性腫瘍である、前項[53]記載の剤;
[55] 抗がん薬による治療効果が不十分あるいは十分ではないがんを対象とする、前項[1]~[54]の何れか一項記載の剤;
[56] 抗がん薬による治療後に増悪したがんを対象とする、前項[1]~[55]の何れか一項記載の剤;
[57] 抗がん薬による治療歴のないがん患者を対象とする、前項[1]~[54]の何れか一項記載の剤;
[58] 根治もしくは切除不能、転移性、再発性、難治性および/または遠隔転移性であるがんを対象とする、前項[1]~[57]の何れか一項記載の剤;
[59] 抗がん薬による治療歴のない遠隔転移を有する膵臓がん患者を対象とする、前項[1]~[46]の何れか一項記載の剤;
[60] 前項[55]~[57]および[59]記載の抗がん薬が、アルキル化薬、白金製剤、代謝拮抗剤(例えば、葉酸代謝拮抗薬、ピリジン代謝阻害薬、プリン代謝阻害薬)、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害薬、ヌクレオチドアナログ、トポイソメラーゼ阻害薬、微小管重合阻害薬、微小管脱重合阻害薬、抗腫瘍性抗生物質、サイトカイン製剤、抗ホルモン薬、分子標的薬およびがん免疫治療薬から選択される一以上の薬剤である前項[55]~[57]および[59]の何れか一項記載の剤;
[61] 腫瘍組織内の腫瘍細胞のうちPD-L1を発現した腫瘍細胞が占める割合(「Tumor Proportion Score」:以下、「TPS」と略記する。)が50%以上、25%以上、10%以上、5%以上または1%以上であるがんを対象とする、前項[1]~[60]の何れか一項記載の剤;
[62] TPSが50%未満、25%未満、10%未満、5%未満または1%未満であるがんを対象とする、前項[1]~[60]の何れか一項記載の剤;
[63] 腫瘍組織内における、各々、腫瘍細胞、リンパ球およびマクロファージのうちのPD-L1陽性細胞数の合計を、当該腫瘍組織における総腫瘍細胞数で除し、100を乗じた数値(「Combined Positive Score」:以下、「CPS」と略記する。)が、20%以上、10%以上、5%以上または1%以上であるがんを対象とする、前項[1]~[60]の何れか一項記載の剤;
[64] CPSが、20%未満、10%未満、5%未満または1%未満であるがんを対象とする、前項[1]~[60]の何れか一項記載の剤;
[65] 高頻度マイクロサテライト不安定性(以下、「MSI-H」と略記する。)および/またはミスマッチ修復欠損(以下、「dMMR」と略記する。)を有するがんを対象とする、前項[1]~[64]の何れか一項記載の剤;
[66] MSI-Hおよび/またはdMMRを有しない、もしくは低頻度マイクロサテライト不安定性(以下、「MSI-L」と略記する。)を有するがんを対象とする、前項[1]~[64]の何れか一項記載の剤;
[67] 腫瘍変異負荷(以下、「TMB」と略記する。)が高頻度(106塩基当たりの変異数が10個以上)であるがんを対象とする、前項[1]~[66]の何れか一項記載の剤;
[68] TMBが低頻度(106塩基当たりの変異数が10個未満)であるがんを対象とする、前項[1]~[66]の何れか一項記載の剤;
[69] FFX療法またはその減量レジメンのみと組み合わせて投与される、前項[1]~[68]の何れか一項記載の剤;
[70] さらに、放射線療法と併用されない前項[1]~[68]の何れか一項記載の剤;
[71] 術前療法として処方されない前項[1]~[68]の何れか一項記載の剤;
[72] さらに、他の抗がん薬と併用される前項[1]~[68]の何れか一項記載の剤;
[73] 他の抗がん薬が、アルキル化薬、白金製剤、代謝拮抗剤(例えば、葉酸代謝拮抗薬、ピリジン代謝阻害薬、プリン代謝阻害薬)、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害薬、ヌクレオチドアナログ、トポイソメラーゼ阻害薬、微小管重合阻害薬、微小管脱重合阻害薬、抗腫瘍性抗生物質、サイトカイン製剤、抗ホルモン薬、分子標的薬およびがん免疫治療薬から選択される一以上の薬剤である前項[72]記載の剤;
[74] FFX療法の減量レジメンのみと組み合わせて投与されることを特徴とする、Nivolumabを有効成分として含む膵臓がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、当該Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で、30分間かけて静脈内投与し、当該減量レジメンにおいて、L-OHP 85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、l-LV 200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、l-LV投与開始30分後からCPT-11 150mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらにl-LVの投与終了後に、5-FU 2400mg/mを46時間かけて静脈内投与し、当該一連の投与を2週間間隔で実施する、当該剤;
[75] 当該膵臓がんが、抗がん薬による治療歴のない遠隔転移を有する膵臓がんである、前項[74]記載の剤;
[76] 当該Nivolumab投与と前項[74]記載の減量レジメンを同日に実施する場合、当該Nivolumabを最初に投与し、当該Nivolumabの投与終了後少なくとも約30分経過した後に、当該減量レジメンを開始する、前項[74]または[75]記載の剤;
[77] 最初に、免疫CP阻害物質投与および前項[74]記載の減量レジメンを同日に実施する、前項[74]~[76]の何れか一項記載の剤;
[1-1] FFX療法またはその減量レジメンと組み合わせて投与される、がんの進行抑制、再発抑制および/または治療に使用される、免疫CP阻害物質または免疫CP阻害薬;
[2-1] FFX療法またはその減量レジメンと組み合わせて投与される、がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤の製造における、免疫CP阻害物質の使用;ならびに
[3-1] FFX療法またはその減量レジメンと、免疫CP阻害物質または免疫CP阻害薬を患者に投与することを含む、がんの進行抑制、再発抑制および/または治療方法。
【0009】
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2018-220866号の開示内容を包含する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、特に既存療法では治療が困難ながんに対する新たな治療法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】膵がん患者を対象に、NivolumabとmFFX療法との併用時の有効性および安全性を評価する多施設共同非盲検試験の治験スケージュールの概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書における「免疫チェックポイント阻害薬」とは、例えば、抗PD-1抗体(例えば、Nivolumab、Cemiplimab(REGN-2810)、Pembrolizumab(MK-3475)、Spartalizumab(PDR-001)、Tislelizumab(BGB-A317)、AMP-514(MEDI0680)、Dostarlimab(ANB011/TSR-042)、Toripalimab(JS001)、Camrelizumab(SHR-1210)、Genolimzumab(CBT-501)、Sintilimab(IBI308)、STI-A1110、ENUM 388D4、ENUM 244C8、GLS010、MGA012、AGEN2034、CS1003、HLX10、BAT-1306、AK105、AK103、BI 754091、LZM009、CMAB819、Sym021、GB226、SSI-361、JY034、HX008、ISU106、ABBV181、BCD-100、PF-06801591、CX-188、JNJ-63723283およびAB122等)、抗PD-L1抗体(例えば、Atezolizumab(RG7446/MPDL3280A)、Avelumab(PF-06834635/MSB0010718C)、Durvalumab(MEDI4736)、BMS-936559、STI-1014、KN035、LY3300054、HLX20、SHR-1316、CS1001(WBP3155)、MSB2311、BGB-A333、KL-A167、CK-301、AK106、AK104、ZKAB001、FAZ053、CBT-502(TQB2450)、JS003およびCX-072など)または抗CTLA-4抗体(例えば、Ipilimumab(MDX-010)、AGEN1884およびTremelimumabなど)などの免疫チェックポイント阻害物質を有効成分として含む薬剤である。
【0013】
Nivolumabは、WO2006/121168に記載された方法に準じて製造することができ、Pembrolizumabは、WO2008/156712に記載された方法に準じて製造することができ、BMS-936559は、WO2007/005874に記載された方法に準じて製造することができ、Ipilimumabは、WO2001/014424に記載された方法に準じて製造することができる。
【0014】
本発明の治療法において、好ましい免疫CP阻害物質としては、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体および抗CTLA-4抗体であり、抗PD-1抗体として好ましくは、Nivolumab、Cemiplimab、Pembrolizumab、Spartalizumab、Tislelizumab、Toripalimab、SintilimabおよびCamrelizumabであり、抗PD-L1抗体として好ましくは、Atezolizumab、Avelumab、DurvalumabおよびBMS-936559であり、抗CTLA-4抗体として好ましくは、IpilimumabおよびTremelimumabである。さらに、抗PD-1抗体としてより好ましくは、Nivolumab、CemiplimabおよびPembrolizumabであり、さらに好ましくはNivolumabである。
【0015】
本発明における「FFX療法」とは、オキサリプラチン(L-OHP)、イリノテカン塩酸塩水和物(CPT-11)、レボホリナートカルシウム(l-LV)およびフルオロウラシル(5-FU)の4剤併用によるがん治療法であり、L-OHP 85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、l-LV 200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、l-LVの投与開始30分後からCPT-11 180mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらにl-LVの投与終了後に、5-FU 400mg/mを急速静脈内投与して、さらに5-FU 2400mg/mを46時間かけて静脈内投与し、当該一連の投与を2週間間隔で実施する治療法である。
【0016】
当該FFX療法の「減量レジメン」とは、当該FFX療法において投与される4剤の何れかの投与量を最初の投与から減量もしくはその投与自体を中止する、または1サイクル目以降の何れかの投与により認められる副作用発現の程度に応じて、その後の2サイクル目以降の何れかの投与において減量する、あるいは4剤の何れかの投与を中止する処方である。その態様として、例えば、最初の投与から、5-FUの急速静脈内投与を実施しなくてもよく、L-OHPの投与量が、約65mg/m、約50mg/mまたは約85~約50mg/mの間の任意の投与量であってもよく、CPT-11の投与量が、約150mg/m、約120mg/m、約90mg/mまたは約180~約90mg/mの間の任意の投与量であってもよく、持続静脈内投与される5-FUの投与量が、約1800mg/m、約1200mg/mまたは約2400~約1200mg/mの間の任意の投与量であってもよい。
【0017】
また、当該減量レジメンのもう一つの態様として、当該FFX療法における2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、5-FUの急速静脈内投与を中止してもよく、患者の副作用発現の程度に応じて、L-OHPの投与量を、約65mg/m、約50mg/mまたは約85~約50mg/mの間の任意の投与量に減量またはL-OHPの投与を中止してもよく、患者の副作用発現の程度に応じて、CPT-11の投与量を、約150mg/m、約120mg/m、約90mg/mまたは約180~約90mg/mの間の任意の投与量に減量またはCPT-11の投与を中止してもよく、持続静脈内投与される5-FUの投与量を、患者の副作用発現の程度に応じて、約1800mg/m、約1200mg/mまたは約2400~約1200mg/mの間の任意の投与量に減量または当該5-FUの投与を中止してもよい。
【0018】
なお、本明細書の実施例において、イリノテカン塩酸塩水和物を単に「イリノテカン」と略記することがあり、また同様に、レボホリナートカルシウムを単に「レボホリナート」と略記することがある。
【0019】
また、当該減量レジメンの別の態様として、L-OHP 85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、l-LV 200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、l-LV投与開始30分後からCPT-11 150mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらにl-LVの投与終了後に、5-FU 2400mg/mを46時間かけて静脈内投与し、当該一連の投与を2週間間隔で実施してもよく、特に、当該減量レジメンは、modified FOLFIRINOX療法(mFFX療法)として認知されている。
【0020】
当該mFFX療法のさらなる減量レジメンとして、例えば、最初の投与から、L-OHPの投与量が、約65mg/m、約50mg/mまたは約85~約50mg/mの間の任意の投与量であってもよく、CPT-11の投与量が、約120mg/m、約90mg/mまたは約150~約90mg/mの間の任意の投与量であってもよく、持続静脈内投与される5-FUの投与量が、約1800mg/m、約1200mg/mまたは約2400~約1200mg/mの間の任意の投与量であってもよい。
【0021】
また、当該mFFX療法における2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、L-OHPの投与量を、約65mg/m、約50mg/mまたは約85~約50mg/mの間の任意の投与量に減量またはL-OHPの投与を中止してもよく、患者の副作用発現の程度に応じて、CPT-11の投与量を、約120mg/m、約90mg/mまたは約150~約90mg/mの間の任意の投与量に減量またはCPT-11の投与を中止してもよく、持続静脈内投与される5-FUの投与量を、患者の副作用発現の程度に応じて、約1800mg/m、約1200mg/mまたは約2400~約1200mg/mの間の任意の投与量に減量または当該5-FUの投与を中止してもよい。
【0022】
また、当該FFX療法、当該mFFX療法またはそれらの減量レジメンの一連の投与の間隔を、患者の副作用発現の程度に応じて、一時的にもしくは継続的に、3週間間隔または4週間間隔と設定してもよい。
【0023】
本明細書において、「放射線療法」とは、放射線を照射して、がん細胞を死滅させる治療法であり、例えば、強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線治療(IGRT)、定位放射線治療(SRT)、体幹部定位放射線治療(SBRT)、定位手術的照射(SRS)、陽子線治療および重粒子線治療および密封小線源治療などが挙げられる。
【0024】
本発明細書において、「術前療法」とは、術前に抗がん薬等による治療を先行することを言い、主に、浸潤がんの手術後の微小転移をなくし、再発を予防することを目的として行われる。
【0025】
本明細書における「本発明における薬剤」あるいは「本発明の薬剤」には、免疫CP阻害薬のほか、FFX療法、mFFX療法またはそれらの減量レジメンにおいて用いられるオキサリプラチン、イリノテカン塩酸塩水和物、レボホリナートカルシウムおよびフルオロウラシルの各有効成分を含む薬剤が含まれる。また、本明細書における「本発明における治療法」あるいは「本発明の治療法」とは、がん患者に対する、免疫CP阻害薬とFFX療法、mFFX療法またはそれらの減量レジメンの併用療法を意味する。
【0026】
本発明書において、「約」とは、表記される数値を10%以内の範囲内で下回って、または上回って変化してよいことを意味する。
[適用疾患および患者]
本発明における薬剤あるいは治療法が適用されるがんには、何れの固形がんおよび血液がんも含まれ、固形がんとしては、例えば、悪性黒色腫(例えば、皮膚、口腔粘膜上皮または眼窩内等における悪性黒色腫)、非小細胞肺がん(例えば、扁平非小細胞肺がんおよび非扁平非小細胞肺がん)、小細胞肺がん、頭頸部がん(例えば、口腔がん、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん、鼻咽頭がん、唾液腺がんおよび舌がん)、腎細胞がん(例えば、淡明細胞型腎細胞がん)、乳がん、卵巣がん(例えば、漿液性卵巣がんおよび卵巣明細胞腺がん)、子宮がん(例えば、子宮頸がんおよび子宮体がん)、肛門がん(例えば、肛門管がん)、大腸がん、直腸がん、結腸がん、肝細胞がん、食道がん、胃がん、食道胃接合部がん、膵臓がん(例えば、膵管がん、インスリノーマおよび膵管内乳頭粘液性腫瘍)、尿路上皮がん(例えば、膀胱がん、上部尿路がん、尿管がん、腎盂がんおよび尿道がん)、前立腺がん、卵管がん、原発性腹膜がん、悪性胸膜中皮腫、胆道がん(例えば、胆嚢がん、胆管がんおよび乳頭部がん)、皮膚がん(例えば、ブドウ膜悪性黒色腫およびメルケル細胞がん)、精巣がん(胚細胞腫瘍)、膣がん、外陰部がん、陰茎がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、脊椎腫瘍、神経芽細胞腫、髄芽腫、眼網膜芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、脳腫瘍(例えば、神経膠腫(例えば、神経膠芽腫および神経膠肉腫)および髄膜腫)および扁平上皮がん等が挙げられる。
【0027】
また、固形がんのうち、肉腫としては、骨・軟部肉腫(例えば、ユーイング肉腫、小児横紋筋肉腫、子宮体部平滑筋肉腫、軟骨肉腫、肺肉腫、骨肉腫、先天性繊維肉腫)およびカポジ肉腫等が挙げられる。
【0028】
また、血液がんとしては、例えば、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、菌状息肉症、セザリー症候群、慢性または急性リンパ球性白血病、末梢性T細胞リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病、B細胞リンパ芽球性白血病、T細胞リンパ芽球性白血病およびリンパ形質細胞性リンパ腫)およびホジキンリンパ腫(例えば、古典的ホジキンリンパ腫および結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫))および白血病(例えば、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病)、中枢神経系原発悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群および骨髄増殖症候群等が挙げられる。
【0029】
さらに、本発明における薬剤あるいは治療法が適用されるがんには、小児がんおよび原発不明がんも含まれる。
【0030】
本発明における薬剤あるいは治療法が適用されるがんとして好ましくは、膵臓がんおよび胆道がんであり、膵臓がんとして好ましくは、膵管がん、神経内分泌腫瘍であるインスリノーマおよび膵管内乳頭粘液性腫瘍である。
【0031】
本明細書においてがんの「治療」とは、例えば、(i)腫瘍細胞の増殖を減少させる、(ii)がんに起因する症状を低減させる、(iii)がん患者の生活の質を向上させる、(iv)既に投与されている他の抗がん薬またはがん治療補助薬の用量を低減させる、および/または(v)がん患者の生存を延長させるために行われる治療を含み、がんの「進行抑制」とは、がんの進行を遅延、がんに関連する症状を安定化および症状の進行を後退させることを意味する。また、がんの「再発抑制」とは、がん治療あるいは切除手術によってそのがん病変が完全にあるいは実質的に消滅あるいは取り除かれた患者におけるがんの再発を予防的に抑止することを意味する。
【0032】
本発明の薬剤あるいは治療法は、次のがん患者、すなわち、(a)抗がん薬による治療効果が不十分あるいは十分ではない患者もしくは抗がん薬による治療後に増悪した患者、(b)根治もしくは切除不能、転移性、再発性、難治性および/または遠隔転移性のがんの患者、(c)TPSが50%以上、25%以上、10%以上、5%以上もしくは1%以上であるがんの患者、(d)CPSが20%以上、10%以上、5%以上もしくは1%以上であるがんの患者、(e)MSI-Hおよび/またはdMMRを有するがんの患者、(f)TMBが高頻度であるがんの患者に処方することがある。また、一方で、本発明の薬剤あるいは治療法は、次のがん患者、すなわち、(g)抗がん薬による治療歴のない患者、(h)TPSが50%未満、25%未満、10%未満、5%未満もしくは1%未満であるがんの患者、(i)CPSが20%未満、10%未満、5%未満もしくは1%未満であるがんの患者、(j)MSI-Hおよび/またはdMMRを有しない、もしくはMSI-Lを有するがんの患者、または(k)TMBが低頻度であるがんの患者への処方がより求められる場合もある。特に、本発明の薬剤あるいは治療法の処方が求められるがん患者としては、抗がん薬による治療歴のないおよび/または遠隔転移を有するがん患者、特に、膵臓がんの患者が挙げられる。ここで、「抗がん薬」としては、例えば、アルキル化薬、白金製剤、代謝拮抗剤(例えば、葉酸代謝拮抗薬、ピリジン代謝阻害薬、プリン代謝阻害薬)、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害薬、ヌクレオチドアナログ、トポイソメラーゼ阻害薬、微小管重合阻害薬、微小管脱重合阻害薬、抗腫瘍性抗生物質、サイトカイン製剤、抗ホルモン薬、分子標的薬およびがん免疫治療薬ならびにそれらに各々分類される薬剤が挙げられる。例えば、後述の[併用]の項目に挙げられる各薬剤ならびにオキサリプラチン、イリノテカン塩酸塩水和物、レボホリナートカルシウム、フルオロウラシルおよび免疫CP阻害薬に分類される薬剤が含まれる。なお、一般的に、「抗がん薬」は「化学療法薬」と同義として用いられる。
[処方]
本発明における免疫CP阻害薬は、FFX療法、mFFX療法またはそれらの減量レジメンとの併用において、以下の用法・用量にて投与することができる。
【0033】
例えば、免疫CP阻害薬の有効成分として1回約1~10mg/kg(体重)あるいは1回約200~1200mgを2~4週間間隔で、約30分間ないし約60分間あるいは約60分間以上かけて静脈内投与(例えば、点滴静注)することができる。ここで、投与1回当たりの体重換算における投与量として、例えば、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kgまたは10mg/kgが挙げられ、一方、投与1回当たりの投与量としては、例えば、200mg、240mg、250mg、280mg、300mg、320mg、350mg、360mg、400mg、420mg、450mg、480mg、500mg、540mg、560mg、600mg、640mg、700mg、720mg、750mg、800mg、840mg、900mg、1000mg、1080mg、1100mg、1120mgまたは1200mgが挙げられる。また、投与間隔としては、例えば、2週間、3週間または4週間が挙げられ、1回の投与時間としては、例えば、約30分間、約60分間または約60分間以上が挙げられる。
【0034】
その有効成分が抗PD-1抗体であるNivolumabの場合には、次の用法・用量にて投与されている。すなわち、悪性黒色腫患者には、Nivolumabとして1回3mg/kg(体重)を2週間間隔または1回2mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静注投与され、非小細胞肺癌、腎細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、頭頸部癌、胃癌および悪性胸膜中皮腫の各患者には、Nivolumabとして1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注投与される。また、別の用法・用量として、例えば、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、MSI-HまたはdMMR陽性大腸癌(12歳以上の小児の患者も含む。)、胃癌、肝細胞癌、小細胞肺癌および悪性胸膜中皮腫の各患者には、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔で、あるいは1回480mgを4週間間隔で点滴静注投与される。さらに、別の用法・用量として、例えば、悪性黒色腫患者に対して、Ipilimumabとの併用において、Nivolumabとして1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注され、その後、Nivolumabとして1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注されるか、あるいはNivolumabとして1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注され、その後、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔で点滴静注される場合がある。また、例えば、腎細胞癌患者に対して、Ipilimumabとの併用において、Nivolumabとして1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注され、その後、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔で点滴静注される場合もある。また、同じ抗PD-1抗体であるPembrolizumabの場合には、次の用法・用量で投与されている。すなわち、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、古典的ホジキンリンパ腫、頭頚部癌、MSI-HもしくはdMMR陽性固形癌または大腸癌、尿路上皮癌、子宮頸癌、原発性縦隔B細胞リンパ腫、肝細胞癌、胃癌およびメルケル細胞癌の各患者には、Pembrolizumabとして1回200mgを3週間間隔で点滴静注投与される。また、別の用法・用量として、例えば、2歳以上の小児の古典的ホジキンリンパ腫、MSI-HもしくはdMMR陽性固形癌または大腸癌および原発性縦隔B細胞リンパ腫の各患者には、Pembrolizumabとして1回2mg/kg(体重)(1回200mgまで)を3週間間隔で点滴静注投与される。
【0035】
また、その有効成分が抗PD-L1抗体であるAvelumabの場合には、メルケル細胞癌および尿路上皮癌の各患者には、Avelumabとして1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注投与される。同じPD-L1抗体であるAtezolizumabは、非小細胞肺癌および尿路上皮癌の各患者には、Atezolizumabとして1回1200mgを3週間間隔で点滴静注投与され、トリプルネガティブ乳癌患者には、パクリタキセルとの併用において、Atezolizumabとして1回840mgを2週間間隔で点滴静注投与される。さらに、同じPD-L1抗体であるDurvalumabは、非小細胞肺癌および尿路上皮癌の各患者には、Durvalumabとして1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注投与される。
【0036】
また、抗CTLA-4抗体であるIpilimumabの場合には、悪性黒色腫患者に対して、単独もしくはNivolumabとの併用において、Ipilimumabとして1日1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注され、腎細胞癌およびMSI-HまたはdMMR陽性大腸癌の各患者には、Nivolumabとの併用において、Ipilimumabとして1日1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注される。
【0037】
なお、これら免疫CP阻害薬の静脈内投与の投与形態としては、点滴静注が好ましい。
【0038】
一方、FFX療法は、上記に例示する免疫CP阻害薬との併用において、L-OHP 85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、l-LV 200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、l-LVの投与開始30分後からCPT-11 180mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらにl-LVの投与終了後に、5-FU 400mg/mを急速静脈内投与して、さらに5-FU 2400mg/mを46時間かけて持続静脈内投与し、当該一連の投与を2週間間隔で処方することができる。また、最初の投与から、5-FUの急速静脈内投与を行わず、さらに、L-OHP、CPT-11および/または持続静脈内投与される5-FUの投与量を上記記載のように設定してもよく、また、当該2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、5-FU急速静脈内投与を中止してもよく、患者の副作用発現の程度に応じて、L-OHP、CPT-11および/または持続静脈内投与される5-FUの投与量を上記記載のように減量するか、または各々の投与自体を中止してもよい。
【0039】
また、mFFX療法は、上記に例示する免疫CP阻害薬との併用において、L-OHP 85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、l-LV 200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、l-LV投与開始30分後からCPT-11 150mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらにl-LVの投与終了後に、5-FU 2400mg/mを46時間かけて持続静脈内投与し、当該一連の投与を2週間間隔で実施することもできる。また、最初の投与から、L-OHP、CPT-11および/または持続静脈内投与される5-FUの投与量を上記記載のように設定してもよく、また、当該2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、L-OHP、CPT-11および/または持続静脈内投与される5-FUの投与量を上記記載のように減量するか、または各々の投与自体を中止してもよい。
【0040】
当該FFX療法、当該mFFX療法またはそれらの減量レジメンの一連の投与の間隔を、患者の副作用発現の程度に応じて、一時的にもしくは継続的に、3週間間隔または4週間間隔に設定してもよい。
【0041】
有効成分がNivolumabである免疫CP阻害薬とmFFX療法との併用処方においては、Nivolumabとして1回3mg/kg(体重)もしくは1回240mgを2週間間隔で、または1回480mgを4週間間隔で、30分間または60分間かけて静脈内投与(例えば、点滴静注)し、一方、mFFX療法においては、L-OHP 85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、l-LV 200mg/mを2時間かけて静脈内投与し、l-LV投与開始30 分後からCPT-11 150mg/mを1.5時間かけて静脈内投与し、さらにl-LVの投与終了後に、5-FU 2400mg/mを46時間かけて静脈内投与して、当該一連の投与を2週間間隔で行うことができる。さらに、当該併用におけるNivolumabの処方としては、Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で、30分間かけて静脈内投与(例えば、点滴静注)する方法が好ましい。
【0042】
なお、上記に例示した免疫CP阻害薬投与およびFFX療法、mFFX療法またはそれらの減量レジメンを同日に実施する場合、当該免疫CP阻害薬を最初に投与し、当該免疫CP阻害薬の投与終了後少なくとも約30分経過した後に、FFX療法、mFFX療法またはそれらの減量レジメンを開始する方が好ましい。また、本発明の治療法は、当該併用において最初に、免疫CP阻害薬投与およびFFX療法、mFFX療法またはそれらの減量レジメンを同日に実施して開始する方が好ましい。
[併用]
本発明における薬剤または治療法は、(1)がんの進行抑制および/または治療効果の増強のために、(2)組み合わせて使用される他の薬剤の投与量の低減および/または(3)組み合わせて使用される他の薬剤の副作用の軽減のために、がんの治療目的に使用される一種以上の他の薬剤(例えば、抗がん薬、制吐薬)とともに組み合わせて使用してもよい。本発明において、他の薬剤とともに組み合わせて処方する場合の投与形態には、他の薬剤を本発明における薬剤の何れか1つの製剤中に配合した配合剤の形態であっても、また別々の製剤としての投与形態であってもよい。ここで、他の薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、他の薬剤は任意の2種以上を適宜の割合で組み合わせて投与してもよい。また、前記他の薬剤には、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
【0043】
他の薬剤の主な一例として挙げられる「他の抗がん薬」としては、オキサリプラチン、イリノテカン塩酸塩水和物、レボホリナートカルシウムおよびフルオロウラシルを除く抗がん薬であり、例えば、アルキル化薬(例えば、Dacarbazine、Nimustine、Temozolomide、Fotemustine、bendamustine、Cyclophosphamide、Ifosfamide、Carmustine、ChlorambucilおよびProcarbazineなど)、白金製剤(例えば、Cisplatin、Carboplatin、NedaplatinおよびOxaliplatinなど)、代謝拮抗剤(例えば、葉酸代謝拮抗薬(例えば、Pemetrexed、LeucovorinおよびMethotrexateなど)、ピリジン代謝阻害薬(例えば、TS-1(登録商標)、5-fluorouracil、UFT、Carmofur、Doxifluridine、FdUrd、CytarabineおよびCapecitabineなど)、プリン代謝阻害薬(例えば、Fludarabine、CladribineおよびNelarabineなど))、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害薬、ヌクレオチドアナログ(例えば、Gemcitabineなど))、トポイソメラーゼ阻害薬(例えば、Irinotecan、NogitecanおよびEtoposideなど)、微小管重合阻害薬(例えば、Vinblastine、Vincristine、Vindesine、VinorelbineおよびEribulinなど)、微小管脱重合阻害薬(例えば、DocetaxelおよびPaclitaxel)、抗腫瘍性抗生物質(例えば、Bleomycin、Mitomycin C、Doxorubicin、Daunorubicin、Idarubicin、Etoposide、Mitoxantrone、Vinblastine、Vincristine、Peplomycin、Amrubicin、AclarubicinおよびEpirubicinなど)、サイトカイン製剤(例えば、IFN-α2a、IFN-α2b、ペグIFN-α2b、天然型IFN-βおよびInterleukin-2など)、抗ホルモン薬(例えば、Tamoxifen、Fulvestrant、Goserelin、Leuprorelin、Anastrozole、LetrozoleおよびExemestaneなど)、分子標的薬、がん免疫治療薬およびその他の抗体医薬などが挙げられる。
【0044】
ここで、他の抗がん薬として挙げられる分子標的薬としては、例えば、ALK阻害剤(例えば、Crizotinib、Ceritinib、Ensartinib、AlectinibおよびLorlatinib)、BCR-ABL阻害剤(例えば、ImatinibおよびDasatinib)、EGFR阻害剤(例えば、Erlotinib、EGF816、Afatinib、Osimertinib mesilate、GefitinibおよびRociletinib)、B-Raf阻害剤(例えば、Sorafenib、Vemurafenib、TAK-580、Dabrafenib、Encorafenib、LXH254、EmurafenibおよびBGB-3111)、VEGFR阻害剤(例えば、Bevacizumab、Apatinib、Lenvatinib、AfliberceptおよびAxitinib)、FGFR阻害剤(例えば、AZD4547、B-701、FGF401およびINCB054828)、c-Met阻害剤(例えば、Savolitinib、merestinib、Capmatinib、INC280およびGlesatinib)、Axl阻害剤(例えば、ONO-7475およびBGB324)、Mek阻害剤(例えば、Cobimetinib、Binimetinib、SelumetinibおよびTrametinib)、CDK阻害剤(例えば、Dinaciclib、Abemaciclib、Palbociclibおよびtrilaciclib)、Btk阻害剤(例えば、ONO-4059、IbrutinibおよびAcalabrutinib)、PI3K-δ/γ阻害剤(例えば、TGR-1202、INCB050465およびIPI-549)、JAK-1/2阻害剤(例えば、ItacitinibおよびRuxolitinib)、ERK阻害剤(例えば、SCH 900353)、TGFbR1阻害剤(例えば、Galunisertib)、Cancer cell stemness キナーゼ阻害剤(例えば、Amcasertib)、FAK阻害剤(例えば、Defactinib)、Syk/FLT3 dual阻害剤(例えば、TAK-659)、ATR阻害剤(例えば、AZD6738)、Wee1キナーゼ阻害剤(例えば、AZD1775)、マルチチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、Sunitinib、Pazopanib、Cabozantinib、Regorafenib、Nintedanib、SitravatinibおよびMidostaurin)、mTOR阻害剤(例えば、Temsirolimus、Everolimus、VistusertibおよびIrinotecan)、HDAC阻害剤(例えば、Vorinostat、Romidepsin、Entinostat、Chidamide、Mocetinostat、Citarinostat、PanobinostatおよびValproate)、PARP阻害剤(例えば、Niraparib、Olaparib、Veliparib、RucaparibおよびBeigene-290)、アロマターゼ阻害剤(例えば、ExemestaneおよびLetrozole)、EZH2阻害剤(例えば、tazemetostat)、ガレクチン-3阻害剤(例えば、GR-MD-02)、STAT3阻害剤(例えば、Napabucasin)、DNMT阻害剤(例えば、Azacitidine)、SMO阻害剤(例えば、Vismodegib)、Hsp90阻害剤(例えば、XL888)、γ-チューブリン特異的阻害剤(例えば、Glaziovianin AおよびPlinabulin)、HIF2α阻害剤(例えば、PT2385)、グルタミナーゼ阻害剤(例えば、CB-839)、E3リガーゼ阻害剤(例えば、Avadomide)、Nrf2活性化剤(例えば、Omaveloxolone)、アルギナーゼ阻害剤(例えば、CB-1158)、細胞周期阻害剤(例えば、Trabectedin)、Ephrin B4阻害剤(例えば、sEphB4-HAS)、IAP拮抗剤(例えば、Birinapant)、抗Her2抗体(例えば、Trastuzumab、Trastuzumab emtansine、PertuzumabおよびMargetuximab)、抗EGFR抗体(例えば、Cetuximab、Panitumumab、NecitumumabおよびNimotuzumab)、抗VEGF抗体(例えば、Bevacizumab)、抗VEGFR2抗体(例えば、Ramucirumab)、抗CD20抗体(例えば、Rituximab、Ofatumumab、UblituximabおよびObinutuzumab)、抗CD30抗体(例えば、Brentuximab Vedotin)、抗CD38抗体(例えば、Daratumumab)、抗DR5抗体(例えば、DS-8273a)、抗CA125抗体(例えば、Oregovomab)、抗DLL4抗体(例えば、Demcizumab)、抗フコシルGM1抗体(例えば、BMS-986012)、抗gpNMB抗体(例えば、Glembatumumab vedotin)、抗Mesothelin抗体(例えば、BMS-986148)、抗MMP9抗体(例えば、Andecaliximab)、抗GD2抗体(例えば、Dinutuximab-β)、抗c-Met抗体(例えば、ABT-399)、抗FOLR1抗体(例えば、Mirvetuximab soravtansine)、抗Ang2-VEGF二重特異性抗体(例えば、Vanucizumab)、抗CD30-CD16A二重特異性抗体(例えば、AFM13)、抗CD79b抗体(例えば、Polatuzumab Vedotin)、抗FAP抗体/IL-2融合蛋白質(例えば、RO6874281)、抗CEA抗体/IL-2融合蛋白質(例えば、Cergutuzumab amunaleukin)、抗CEA-CD3二重特異性抗体(例えば、RO6958688)、抗DLL3抗体(例えば、Rovalpituzumab tesirine)、抗CD3-CD19二重特異性抗体(例えば、Blinatumomab)および抗CD20-CD3二重特異性抗体(例えば、REGN1979)などが挙げられる。
【0045】
また、他の抗がん薬として挙げられるがん免疫治療薬としては、本発明における免疫CP阻害薬の何れかと異なる作用機序を有するがん免疫治療薬であって、例えば、抗PD-1抗体(例えば、Nivolumab、Cemiplimab(REGN-2810)、Pembrolizumab(MK-3475)、Spartalizumab(PDR-001)、Tislelizumab(BGB-A317)、AMP-514(MEDI0680)、Dostarlimab(ANB011/TSR-042)、Toripalimab(JS001)、Camrelizumab(SHR-1210)、Genolimzumab(CBT-501)、Sintilimab(IBI308)、STI-A1110、ENUM 388D4、ENUM 244C8、GLS010、MGA012、AGEN2034、CS1003、BAT-1306、AK105、AK103、BI 754091、LZM009、CMAB819、Sym021、GB226、SSI-361、JY034、HX008、ISU106、ABBV181、BCD-100、PF-06801591、CX-188、JNJ-63723283およびAB122など)、抗PD-L1抗体(例えば、Atezolizumab(RG7446/MPDL3280A)、Avelumab(PF-06834635/MSB0010718C)、Durvalumab(MEDI4736)、BMS-936559、STI-1014、KN035、LY3300054、SHR-1316、CS1001(WBP3155)、MSB2311、BGB-A333、KL-A167、CK-301、AK106、AK104、ZKAB001、FAZ053、CBT-502(TQB2450)、JS003またはCX-072など)、PD-1拮抗剤(例えば、AUNP-12、BMS-M1~BMS-M10の各化合物、BMS-1、BMS-2、BMS-3、BMS-8、BMS-37、BMS-200、BMS-202、BMS-230、BMS-242、BMS-1001、BMS-1166、Incyte-1~Incyte-6の各化合物、CAMC-1~CAMC-4、RG_1およびDPPA-1など)、PD-L1/VISTA拮抗剤(例えば、CA-170など)、PD-L1/TIM3拮抗剤(例えば、CA-327など)、抗PD-L2抗体、PD-L1融合タンパク質、PD-L2融合タンパク質(例えば、AMP-224など)、抗CTLA-4抗体(例えば、Ipilimumab(MDX-010)、AGEN1884およびTremelimumabなど)、抗LAG-3抗体(例えば、Relatlimab(BMS-986016/ONO-4482)、LAG525、REGN3767およびMK-4280など)、LAG-3融合蛋白質(例えば、IMP321など)、抗Tim3抗体(例えば、MBG453およびTSR-022など)、抗KIR抗体(例えば、Lirilumab(BMS-986015/ONO-4483)、IPH2101、LY3321367およびMK-4280など)、抗BTLA抗体、抗TIGIT抗体(例えば、Tiragolumab(MTIG-7192A/RG-6058/RO-7092284)およびBMS-986207(ONO-4686))、抗VISTA抗体(例えば、JNJ-61610588など)、抗CD137抗体(例えば、Urelumab(ONO-4481/BMS-663513)およびUtomilumab(PF-05082566)など)、抗CSF-1R抗体もしくはCSF-1R阻害剤(例えば、Cabiralizumab(FPA008/BMS-986227/ONO-4687)、Emactuzumab(RG7155/RO5509554)、LY3022855、MCS-110、IMC-CS4、AMG820、Pexidartinib、BLZ945およびARRY-382など)、抗OX40抗体(例えば、MEDI6469、PF-04518600、MEDI0562、MEDI6383、Efizonerimod、GSK3174998、BMS-986178およびMOXR0916など)、抗HVEM抗体、抗CD27抗体(例えば、Varlilumab(CDX-1127)など)、抗GITR抗体(例えば、MK-4166、INCAGN01876、GWN323およびTRX-518など)、抗CD28抗体、抗CCR4抗体(例えば、Mogamulizumabなど)、抗B7-H3抗体(例えば、Enoblituzumabなど)、抗ICOSアゴニスト抗体(例えば、JTX-2011およびGSK3359609など)、抗CD4抗体(例えば、MTRX-1011A、TRX-1、Ibalizumab、huB-F5、Zanolimumab、4162W94、Clenoliximab、Keliximab、AD-519、PRO-542、Cedelizumab、TNX-355、Dacetuzumab、Tregalizumab、Priliximab、MDX-CD4、CAMPATH-9およびIT1208など)、抗DEC-205抗体/NY-ESO-1融合蛋白質(例えば、CDX-1401など)、抗SLAMF7抗体(例えば、Elotuzumabなど)、抗CD73抗体(例えば、OleclumabおよびBMS-986179など)、抗CD122抗体(例えば、NKTR-214など)、抗CD40アゴニスト抗体(例えば、ABBV-428、APX005MおよびRO7009789など)、IDO阻害剤(例えば、Epacadostat、IndoximodおよびBMS-986205など)、TLRアゴニスト(例えば、Motolimod、CMP-001、G100、IMO-2125、SD-101およびMEDI9197など)、アデノシンA2A受容体拮抗剤(例えば、Preladenant、AZD4635、PBF 509およびCPI-444など)、抗NKG2A抗体(例えば、Monalizumabなど)、抗CSF-1抗体(例えば、PD0360324など)、免疫増強剤(例えば、PV-10など)、IL-15スーパーアゴニスト(例えば、ALT-803など)、可溶性LAG3(例えば、IMP321など)、CD47拮抗剤(例えば、ALX148など)およびIL-12拮抗剤(例えば、M9241など)などが挙げられる。
【0046】
さらに、その他の抗体医薬としては、例えば、抗IL-1β抗体(例えば、Canakinumabなど)および抗CCR2抗体(例えば、Plozalizumabなど)などが挙げられる。
【0047】
他の薬剤の主な一例として挙げられる制吐薬としては、例えば、副腎皮質ステロイド(例えば、Dexamethasoneおよびmethylprednisolone)、5-HT受容体拮抗薬(例えば、Azasetron、Indisetron、Ondansetron、Granisetron、RamosetronおよびPalonosetron)、NK1受容体拮抗薬(例えば、AprepitantおよびFosaprepitant)、ドパミンD受容体拮抗薬(例えば、DomperidoneおよびMetoclopramide)、ベンゾジアゼピン系抗不安薬(例えば、AlprazolamおよびLorazepam)、フェノチアジン系抗精神病薬(例えば、:ProchlorperazineおよびChlorpromazine)、ブチロフェノン系抗精神病薬(例えば、Haloperidol)、ベンズイソオキサゾール系抗精神病薬(例えば、Risperidone)、多受容体作用抗精神病薬(例えば、Olanzapine)ならびにプロピルアミン系抗ヒスタミン薬(例えば、Chlorpheniramine)などが挙げられる。
[製剤]
本発明における免疫CP阻害薬は、注射剤または点滴のための輸液として製剤化されて用いられる場合、当該注射剤または輸液は、水溶液、懸濁液または乳濁液のいずれの形態であってもよく、また、用時に溶剤を加えることにより、溶解、懸濁または乳濁して使用されるように、薬学的に許容できる担体とともに、固形剤として製剤化されていてもよい。注射剤または点滴のための輸液に使用される溶剤として、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖溶液および等張液(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ホウ砂、プロピレングリコール等の溶液)等を用いることができる。
【0048】
ここで、薬学的に許容できる担体としては、例えば、安定剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤、防腐剤、pH調整剤および抗酸化剤等が挙げられる。安定剤としては、例えば、各種アミノ酸、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、マンニトール、グルコース、デキストラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等を用いることができる。溶解補助剤としては、例えば、アルコール(例えば、エタノール等)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20(登録商標)、ポリソルベート80(登録商標)、HCO-50等)等を用いることができる。懸濁化剤としては、例えば、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。乳化剤としては、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。緩衝剤としては、例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸緩衝液、イプシロンアミノカプロン酸緩衝液等を用いることができる。保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂等を用いることができる。防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等を用いることができる。pH調整剤としては、例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸等を用いることができる。抗酸化剤として、例えば、(1)アスコルビン酸、システインハイドロクロライド、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等のような水溶性抗酸化剤、(2)アスコルビルパルミテート、ブチル化ハイドロキシアニソール、ブチル化ハイドロキシトルエン、レシチン、プロピルガレート、α-トコフェロール等のような油溶性抗酸化剤および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ソルビトール、酒石酸、リン酸等のような金属キレート剤等を用いることができる。
【0049】
例えば、その有効成分がNivolumabである免疫CP阻害薬の場合、その製剤中の添加物として、例えば、D-マンニトール、クエン酸ナトリウム水和物、塩化ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ポリソルベート80およびpH調節剤が挙げられる。また、その有効成分がPembrolizumabである免疫CP阻害薬の場合、その製剤中の添加物として、例えば、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩水和物、精製白糖およびポリソルベート80が挙げられ、その有効成分がアベルマブである免疫CP阻害薬の場合、その製剤中の添加物として、例えば、D-マンニトール、ポリソルベート20、氷酢酸および水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0050】
その有効成分がAtezolizumabである免疫CP阻害薬の場合、その製剤中の添加物として、例えば、L-ヒスチジン、氷酢酸、精製白糖およびポリソルベート20が挙げられ、その有効成分がDurvalumabである免疫CP阻害薬の場合、その製剤中の添加物として、例えば、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩水和物、トレハロース水和物およびポリソルベート80が挙げられ、その有効成分がIpilimumabである免疫CP阻害薬の場合、その製剤中の添加物として、例えば、トロメタモール塩酸塩、塩化ナトリウム、D-マンニトール、ジエチレントリアミン五酢酸、ポリソルベート80およびその他pH調節剤が挙げられる。
【0051】
注射剤または点滴のための輸液は、その最終工程において滅菌するかあるいは無菌操作法、例えば、フィルター等で濾過して滅菌し、次いで無菌的な容器に充填することによって製造することができる。また、注射剤または点滴のための輸液は、真空乾燥および凍結乾燥による無菌粉末(薬学的に許容できる担体の粉末を含んでいてもよい。)を、適切な溶剤に用時溶解して使用することもできる。
【0052】
本明細書において、明示的に引用される全ての特許文献および非特許文献もしくは参考文献の内容は、すべて本明細書の一部としてここに引用し得る。
【0053】
本発明を以下の実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。本発明の記載に基づき種々の変更、修飾が当業者には可能であり、これらの変更、修飾も本発明に含まれる。
【実施例
【0054】
実施例1:膵がん患者を対象に、NivolumabとmFFX療法との併用時の有効性および安全性を評価する多施設共同非盲検試験
本治験は、化学療法歴がない遠隔転移を有する膵がん患者に対するNivolumabとmFFX療法との併用時の有効性および安全性を検討することを目的とする。当該治験により、NivolumabとmFFX療法との併用効果が評価できる。
[対象患者]
化学療法歴がない遠隔転移を有する膵がん患者
[患者選択基準]
登録時に、NivolumabおよびFFX療法もしくはmFFX療法に関して、これまでに実施された各々の治験における患者選択基準を考慮して決定された所定の患者選択基準のすべてを満たす患者を選択する。なお、登録からNivolumabの初回投与前までに当該基準を満たさないことが明らかとなった場合は、Nivolumabの投与を開始せず、治験中止とする。
[患者除外基準]
登録時に、NivolumabおよびFFX療法もしくはmFFX療法に関する各々の治験における患者除外基準、あるいはNivolumabおよびFFX療法に関して公表されている各々の適正使用ガイドあるいは適正使用情報における患者選択時の注意事項を考慮して決定された所定の患者除外基準のいずれかに該当すると考えられる患者は除外する。なお、登録からNivolumabの初回投与前までに当該基準のいずれかに抵触した場合は、Nivolumabの投与を開始せず、治験中止とする。
[用法・用量および投与期間]
〈Nivolumab〉
Nivolumab 480mgを4週間間隔で30分かけて静脈内投与し、Nivolumabに関する所定の投与中止基準に該当するまでNivolumabを継続投与した。Nivolumabの用量の変更は許容しない。なお、NivolumabとmFFX療法を同日に投与する場合、Nivolumabを最初に投与し、Nivolumabの投与終了後少なくとも30分経過した後に、mFFX療法の投与を開始した。
〈mFFX療法〉
オキサリプラチン85mg/mを2時間かけて静脈内投与したのち、レボホリナート200mg/mを2時間かけて静脈内投与した。レボホリナート投与開始30分後からイリノテカン150mg/mを1.5時間かけて静脈内投与した。また、レボホリナートの投与終了後にフルオロウラシル2400mg/mを46時間かけて静脈内投与した。これを1サイクルとし、2週間ごとに繰り返した。
【0055】
なお、本治験のmFFX療法で使用する治療薬(オキサリプラチン、レボホリナート、イリノテカンおよびフルオロウラシル)は、市販品を用いた。
[治験スケージュール]
本試験は、スクリーニング期、治療期および後観察期からなる。治験スケージュールの概要を図1に示す。
【0056】
スクリーニング期(治療開始前-7~-1日目)において、治験責任医師または治験分担医師は、上記選択基準を満たし、かつ上記除外基準に抵触せず、本治験の対象として適格と判断した患者を組み入れた。
【0057】
治療期において、登録された被験者に、Nivolumabについての上記「用法・用量および投与期間」およびmFFX療法についての上記「用法・用量および投与期間」に従って、併用投与を開始し、Nivolumabについての以下の投与基準ならびにmFFX法についての以下の投与基準、減量基準および減量時の投与量に従って投与を継続した。
【0058】
治験薬を投与したすべての被験者のうち、Nivolumabについての以下の投与中止基準およびmFFX療法についての以下の投与中止基準のいずれにも該当する被験者は、治療期終了時(中止時)の評価を実施し、後観察期に移行する。後観察期では、治療期終了の28日後の評価および追跡調査を実施する。
〈Nivolumabの投与基準〉
被験者は、毎回の投与開始時において、Nivolumabに関してこれまでに実施された治験における投与基準を考慮して決定された所定の投与基準のすべてに合致しなければならない。当該基準のいずれかに合致しない場合、予定されたNivolumabの投与を延期する。ただし、当該基準のいずれかに合致しない場合でも、病勢進行によると判断される臨床症状の悪化を認めず、投与継続による臨床的ベネフィットが期待され、被験者のベースラインおよび併用薬の影響を考慮して安全にNivolumabの投与を継続可能と判断される場合に限り、Nivolumabの投与継続を可能とする。この場合はNivolumabの投与継続の前に被験者の治療継続の意思を確認した上で診療記録に記録を残し、治験依頼者に連絡する(早急にNivolumabの投与が必要と判断される場合に限り、治験依頼者への事後報告を許容する。)。
〈Nivolumabの投与中止基準〉
治療期において、Nivolumabに関してこれまでに実施された治験における投与中止基準を考慮して決定された所定の投与中止基準のいずれかに該当した被験者はNivolumabの投与を中止する。
〈mFFX療法の投与基準〉
被験者は、当該療法の1サイクル目において、FFX療法もしくはmFFX療法に関してこれまでに実施された各治験における投与基準を考慮して決定された所定の投与基準のすべてに合致しなければならない。
【0059】
また、被験者は、当該療法の2サイクル目以降において、同様に、FFX療法もしくはmFFX療法に関してこれまでに実施された各治験における投与基準を考慮して決定された所定の投与基準のすべてに合致しなければならない。投与予定日の臨床検査値が当該基準の条件を満たす状態へ回復するまで投与を延期し、各薬剤の禁忌に該当しないことを確認した上で投与する。
〈mFFX療法の減量基準および減量時の投与量〉
平成25年12月20日付、薬食審査発1220第7号、厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「治癒切除不能な膵癌を適応とする併用化学療法(FOLFIRINOX法)の使用に当たっての留意事項について」に記載される「減量基準」および「減量時の投与量」に準じて実施する。
〈mFFX療法の投与中止基準〉
治療期において、FFX療法もしくはmFFX療法に関してこれまでに実施された各治験における投与中止基準を考慮して決定された所定の投与中止基準のいずれかに該当した被験者はmFFX療法の投与を中止する。
[有効性の評価項目]
胸部、腹部および骨盤におけるCT/磁気共鳴画像(MRI)撮影による画像診断により行い、RECISTガイドライン1.1版に従って標的病変の腫瘍径を計測し、抗腫瘍効果を判定した。以下に示す時点において画像診断(腫瘍径の計測と抗腫瘍効果の判定)を行った。
〈スクリーニング期〉
治療開始前-7~-1日目
〈治療期〉
サイクル2以降のサイクル(初回のNivolumab投与日から8週間ごと(±7日))および治療期終了時(または中止時)
〈後期観察期〉
治療期終了の28日後および追跡調査期間中
〈主評価項目〉
奏効率
〈副次評価項目〉
(1)奏効率、(2)全生存期間、(3)無増悪生存期間、(4)奏効期間、(5)奏効に至るまでの期間、(6)最良総合効果、(7)病勢制御率、(8)標的病変の腫瘍径和の変化率、および(9)標的病変の腫瘍径和の最大変化率
[安全性の評価項目]
以下の項目について治験責任医師などにより、規定の時期に測定、検査および調査を実施した。
【0060】
(1)有害事象、(2)一般臨床検査(血液学的検査、血液生化学的検査、尿定性検査、免疫学的検査、ホルモン検査)、および(3)バイタルサイン(収縮期血圧/拡張期血圧、脈拍数、体温)
[有効性評価結果]
1例目の被験者が登録されてから6カ月が経過した時点において、治験実施計画書で定めた8週間ごとの画像診断が2回終了(治験薬投与開始16週後)している7例の有効性評価(中央判定)を得た。奏効率は42.9%(CR:0例、PR:3例)であった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の治療法は、特に既存療法では治療が困難であったがんに対する新たな治療法として有用である。
【0062】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。
図1