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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】電装部品の組付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20240521BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20240521BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B60R16/02 610J
B60R7/04 C
B60R16/02 610C
H05K7/20 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021015798
(22)【出願日】2021-02-03
(65)【公開番号】P2022118938
(43)【公開日】2022-08-16
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅峰
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-051550(JP,A)
【文献】国際公開第2016/076097(WO,A1)
【文献】特開2008-254607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0327058(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 7/04
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電装部品が、センターコンソールの内部に収容された状態でブラケットを介して車両の組付部分に組み付けられている電装部品の組付構造において、
前記電装部品は、
ケースと、
前記ケースにおける前記車両の側方側の側壁に設けられ、前記ケースの内外を連通する排出口と、
前記ケースの内部に設けられ、前記排出口を介して前記ケースの強制排気を行うファンと、を有し、
前記ブラケットは、案内壁を有し、
前記案内壁は、
前記排出口に対向するように前記ケースの前記側壁と間隔を置いて設けられており、
前記排出口から排出されて前記案内壁に突き当たる空気の流れを前記車両の前方に向かう方向に偏向する形状をなしている、
ことを特徴とする電装部品の組付構造。
【請求項2】
前記案内壁における前記排出口に対向する部分においては、同案内壁と前記ケースの前記側壁との距離が前記車両の前方に向かうに連れて大きくなっている、
請求項1に記載の電装部品の組付構造。
【請求項3】
電装部品が、センターコンソールの内部に収容された状態でブラケットを介して車両の組付部分に組み付けられている電装部品の組付構造において、
前記電装部品は、
ケースと、
前記ケースにおける前記車両の側方側の側壁に設けられ、前記ケースの内外を連通する排出口と、
前記ケースの内部に設けられ、前記排出口を介して前記ケースの強制排気を行うファンと、を有し、
前記センターコンソールの内部における前記電装部品よりも前記車両の上方にはエアーコンディショナーのダクトが配置されており、
前記ブラケットは、案内壁を有し、
前記案内壁は、
前記排出口に対向するように前記ケースの前記側壁と間隔を置いて設けられており、
前記排出口から排出されて前記案内壁に突き当たる空気の流れを前記車両の上方に向かう方向に偏向する形状をなしている、
ことを特徴とする電装部品の組付構造。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記車両の側方側の側壁を有し、
前記ブラケットの前記側壁は、
車幅方向において前記案内壁との間に前記ケースを挟む位置に設けられており、
前記ケースにおける前記車両の側方側の側壁であって、且つ前記ブラケットの前記側壁が対向する側の側壁に沿って延びる形状をなしており、
前記ケースの前記側壁と前記案内壁との距離は、前記ケースの前記対向する側の前記側壁と前記ブラケットの前記側壁との距離よりも大きくなっている、
請求項に記載の電装部品の組付構造。
【請求項5】
前記ダクトの下部における前記案内壁によって偏向された前記空気の流れが指向する部分には、前記ダクトの内外を連通する貫通孔が形成されている、
請求項3または4に記載の電装部品の組付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両における電装部品の組付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両の高機能化によって、車両における電装部品の搭載数が増加している。そうした電装部品のうち、電子制御装置などの乗員によって直接操作されないものについては、コンソールなどの内装部品の内部に設けられている(特許文献1参照)。電装部品を車室内から見えない部分に配置することで、車両の見栄えが良くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-52957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、内装部品の内部において電装部品を配置可能なスペースは限られている。そうしたスペースに多数の電装部品を配置すると、電装部品の配置密度が高くなるため、それら電装部品の発する熱によって雰囲気温度が高くなるおそれがある。電装部品の信頼性の低下を抑えるうえでは、電装部品の雰囲気温度を所定レベル以下に抑える必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための電装部品の組付構造は、電装部品が、車両の内装部品の内部に収容された状態でブラケットを介して前記車両の組付部分に組み付けられている電装部品の組付構造において、前記電装部品は、内外を連通する排出口と、当該排出口を介して強制排気を行うファンとを有し、前記ブラケットは、前記排出口から排出される空気の流れを遮る位置に設けられて同空気の流れを案内する案内壁を有する。
【0006】
上記構成によれば、内装部品の内部の限られたスペースにおいて、電装部品の組み付けに用いるブラケット、詳しくは同ブラケットの一部をなす案内壁を利用して、同電装部品の排気の流れを任意の方向に偏向することができる。これにより、内装部品の内部の温度分布を高い自由度で管理することができるため、電装部品の雰囲気温度の上昇を抑えて同電装部品の信頼性の向上を図ることができる。
【0007】
上記組付構造において、前記内装部品は、センターコンソールであり、前記案内壁は、前記センターコンソールの内壁面に沿って延びていることが好ましい。
上記構成によれば、電装部品の排気口から排出される高温の空気がセンターコンソールの内壁面に直接吹き付けられることを回避できる。これにより、センターコンソールの壁部の温度上昇が抑えられるため、高温になった同壁部に触れることによって乗員が不快に感じることが抑えられるようになる。
【0008】
上記組付構造において、前記内装部品は、センターコンソールであり、前記案内壁は、前記空気の流れを前記車両の前方に向かう方向に偏向する形状をなしていることが好ましい。
【0009】
通常、センターコンソールの前部はダッシュボードに接続されている。このことから、センターコンソールの前方には、ダッシュボードの内部に区画形成された比較的大きなスペースが存在すると云える。
【0010】
上記構成によれば、電装部品の排出口から排出される高温の空気を、車両の前方側、すなわち比較的大きいスペースを有するダッシュボード側に送り出すことができる。これにより、センターコンソール内の狭いスペース内に高温の空気が溜まることが抑えられるため、電装部品の雰囲気温度の上昇を抑えることができる。
【0011】
上記組付構造において、前記内装部品の内部にはエアーコンディショナーのダクトが配設されており、前記案内壁は、前記空気の流れを前記ダクトに向かう方向に偏向する形状をなしていることが好ましい。
【0012】
エアーコンディショナーの作動中においては、ダクトの内部には車室内を快適に保つことの可能な温度の空気が流れている。このことから、ダクトの外壁の温度は、作動に伴い高温になった電装部品の排気の温度よりも低い温度で保持されると云える。
【0013】
上記構成によれば、電装部品から排出される空気を上記ダクトに吹き付けることができる。これにより、電装部品から排出される高温の空気を比較的低温のダクトによって冷却することができるため、電装部品の雰囲気温度の上昇を好適に抑えることができる。
【0014】
上記組付構造において、前記ダクトは、前記案内壁によって偏向された前記空気の流れが指向する部分に、前記ダクトの内外を連通する貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、エアーコンディショナーの作動中においてダクトの内部から外部に漏れ出す比較的低温の空気によって、作動に伴い高温になった電装部品の排気を冷却することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電装部品の雰囲気温度の上昇を抑えて同電装部品の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態の電装部品の組付構造が適用される車両の概略構成図。
図2】センターコンソールの内部構造を示す略図。
図3】DC-DCコンバータおよびブラケットの分解斜視図。
図4】DC-DCコンバータおよびブラケットの平面図。
図5】DC-DCコンバータの排出口の周辺を拡大して示す平面図。
図6】インバータおよびブラケットの分解斜視図。
図7】インバータおよびブラケットの平面図。
図8】センターコンソールの内部構造を示す斜視図。
図9】センターコンソールにおけるインバータの配設部分の断面構造を示す略図。
図10】インバータの排出口およびその周辺を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、電装部品の組付構造の一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両20にはダッシュボード21が設けられている。ダッシュボード21は車室22の前壁に設けられる内装部品である。ダッシュボード21は運転席23および助手席24の前方に設けられる。ダッシュボード21には、メータパネルなどの計器類が取り付けられている。
【0019】
車両20には、内装部品としてのセンターコンソール25が設けられている。センターコンソール25は運転席23と助手席24との間で車両20の前後方向において延びている。センターコンソール25は、車両20のフロアに立設されている。センターコンソール25の前部には、車両20のシフト位置を操作するためのシフト装置34が取り付けられている。またセンターコンソール25の後部には、開閉可能な蓋を有するコンソールボックス26が設けられている。
【0020】
センターコンソール25は、基本的に、車幅方向に間隔を置いて並ぶ一対の側壁部27と、それら側壁部27の上端を繋ぐ頂壁部28とを有する断面U字状をなしている。センターコンソール25の前端とダッシュボード21とは、それぞれの部品が組み合わせられて一体になっている。センターコンソール25の内部スペースは、上記ダッシュボードの内部スペース、詳しくは同ダッシュボード21によって覆われた部分である車体とダッシュボード21との隙間に繋がっている。
【0021】
図2に示すように、センターコンソール25の内部には空調ユニット30が設けられている。なお、センターコンソール25の内部とは、詳しくは車体に固定されたセンターコンソール25用のブラケット(以下、コンソールブラケット29)と同センターコンソール25の壁部27,28(図1参照)とによって区画形成されたスペースである。空調ユニット30は、センターコンソール25の内部における前端部分に配置されている。
【0022】
センターコンソール25の内部には、エアーコンディショナー用のダクト31が設けられている。ダクト31は、センターコンソール25の内部において前後方向に延びている。ダクト31の前端は空調ユニット30に接続されており、同ダクト31の後端は、センターコンソール25の後端において車室22に対して開口している。本実施形態では、空調ユニット30によって温度調節された空気は、前端からダクト31の内部に導入される。そして、この空気は、ダクト31を通過した後に同ダクト31の後端、詳しくはセンターコンソール25の後端の開口から車室22内に放出される。
【0023】
また、センターコンソール25の内部には、複数(本実施形態では、8つ)の電装部品32が設けられている。本実施形態では、上記電装部品32として、各種の電子制御装置や、オーディオアンプ、ブレーキシステムのキャパシタ、DC-DCコンバータ、インバータが設けられている。
【0024】
具体的には、センターコンソール25の内部における前部には、3つの電装部品32が上下方向に並ぶ態様で設けられている。
またセンターコンソール25の内部における前後方向の中央部分には、3つの電装部品32が上下方向に並ぶ態様で設けられている。3つの電装部品32のうちの最下方に配置されるものはDC-DCコンバータ40である。DC-DCコンバータ40は、ブラケット50を介して車両20の組付部分、詳しくはコンソールブラケット29の上面に組み付けられている。DC-DCコンバータ40は、その内部に対する空気の強制給排を行うファン(図示略)を有する空冷式のものである。
【0025】
センターコンソール25の内部における後部には、2つの電装部品32が上下方向に並ぶ態様で設けられている。これら電装部品32は、コンソールボックス26の下方に配置されている。2つの電装部品32のうちの下方に配置されるものはインバータ60である。インバータ60は、ブラケット70を介して車両20の組付部分、詳しくはコンソールブラケット29の上面に組み付けられている。インバータ60は、その内部に対する空気の強制給排を行うファン(図示略)を有する空冷式のものである。
【0026】
ここで、センターコンソール25の内部において電装部品32を配置可能なスペースは限られている。そうしたスペースに多数の電装部品32を配置すると、電装部品32の配置密度が高くなるため、それら電装部品32の発する熱によって雰囲気温度が高くなるおそれがある。電装部品32の信頼性の低下を抑えるうえでは、電装部品32の雰囲気温度を所定レベル以下に抑える必要がある。
【0027】
この点をふまえて、本実施形態では、DC-DCコンバータ40用のブラケット50やインバータ60用のブラケット70に、前記ファンによって強制排出される空気の流れを偏向して案内する案内壁を設けるようにしている。
【0028】
以下、これらブラケット50,70について詳しく説明する。
ここでは先ず、DC-DCコンバータ40用のブラケット50について説明する。
図3および図4に示すように、DC-DCコンバータ40は略四角箱状のケース41を有している。ケース41の底壁には同ケース41の内部に空気を導入するための導入口(図示略)が形成されている。また、ケース41における車両左側の側壁42には、その前方側の位置に、同ケース41の内部から外部に空気を排出するための排出口43が形成されている。ケース41の内部には空気の強制給排を行うためのファン44が設けられている。このDC-DCコンバータ40は、ファン44の作動を通じて、冷却用の空気を導入口から吸入するとともに、図4中に黒塗りの矢印で示すように冷却に用いられた空気を排出口43から排出する構造になっている。
【0029】
DC-DCコンバータ40用のブラケット50は、車幅方向において分割された一対の部材(右側ブラケット50R、左側ブラケット50L)によって構成されている。
右側ブラケット50Rは、DC-DCコンバータ40の右側に取り付けられる。右側ブラケット50Rは、車幅方向および前後方向に延びる底壁51Rを有している。
【0030】
底壁51Rの前後方向の両端部分には、DC-DCコンバータ40の底面に沿って延びる態様で左側に突出する第1固定部52Rが設けられている。各第1固定部52Rには、DC-DCコンバータ40への固定に用いるねじ挿通孔53Rが設けられている。このねじ挿通孔53Rを利用して、右側ブラケット50RはDC-DCコンバータ40の右側にねじ締結固定される。
【0031】
また、底壁51Rの前後方向における中間部分には、コンソールブラケット29への固定に用いる固定足部54Rが2つ設けられている。これら固定足部54Rは底壁51Rの左側の端部から下方に向けて延びている。各固定足部54Rの下端部分にはねじ挿通孔55Rが設けられている。このねじ挿通孔55Rを利用して、右側ブラケット50Rはコンソールブラケット29(図2参照)の上部にねじ締結固定される。
【0032】
底壁51Rの右側の端部には上方に突出する側壁56が設けられている。側壁56は、前後方向および上下方向に延びている。側壁56は、右側ブラケット50RがDC-DCコンバータ40に取り付けられた状態では、同DC-DCコンバータ40のケース41の側壁と略平行に延びている。この側壁56の上端には、他の電装部品32を取り付けるための2つの取付部57Rが一体に設けられている。
【0033】
左側ブラケット50Lは、DC-DCコンバータ40の左側に取り付けられる。左側ブラケット50Lは、車幅方向および前後方向に延びる底壁51Lを有している。
底壁51Lの前後方向の両端部分には、DC-DCコンバータ40の底面に沿って延びる態様で右側に突出する第1固定部52Lが設けられている。各第1固定部52Lには、DC-DCコンバータ40への固定に用いるねじ挿通孔53Lが設けられている。このねじ挿通孔53Lを利用して、左側ブラケット50LはDC-DCコンバータ40の左側にねじ締結固定される。
【0034】
また、底壁51Lの前後方向における中間部分には、コンソールブラケット29への固定に用いる固定足部54Lが設けられている。固定足部54Lは、底壁51Lの右側の端部から下方に向けて延びている。固定足部54Lの下端部分にはねじ挿通孔55Lが設けられている。このねじ挿通孔55Lを利用して、左側ブラケット50Lはコンソールブラケット29(図2参照)の上部にねじ締結固定される。
【0035】
底壁51Lの左側の端部には上方に突出する案内壁58が設けられている。案内壁58は、左側ブラケット50LがDC-DCコンバータ40に取り付けられた状態では、同DC-DCコンバータ40のケース41の側壁42に沿って延びている。案内壁58は、左側ブラケット50LをDC-DCコンバータ40に取り付けた状態で同DC-DCコンバータ40の排出口43から排出される空気の流れを遮る位置に設けられる。案内壁58における上記排出口43に対向する部分、詳しくは前方側の部分は、左側ブラケット50Lを取り付けた状態で、DC-DCコンバータ40のケース41の側壁42と案内壁58との距離が前方に向かうに連れて大きくなる態様で曲がっている。さらに上記案内壁58は、ブラケット50を介してDC-DCコンバータ40をコンソールブラケット29に組み付けた状態で、センターコンソール25の側壁部27の内面に沿って延びる位置に設けられる。案内壁58の上端には、他の電装部品32を取り付けるための取付部57Lが一体に設けられている。
【0036】
以下、DC-DCコンバータ40用のブラケット50に案内壁58を設けることによる作用効果について説明する。
図4および図5に示すように、DC-DCコンバータ40の排出口43から排出される空気の流れは、ブラケット50の案内壁58に突き当たる態様で遮られるようになる。本実施形態では、DC-DCコンバータ40の左側の側壁42とブラケット50の案内壁58との距離が車両20の前方に向かうに連れて大きくなる態様で、同案内壁58が曲がっている。これにより、DC-DCコンバータ40の排出口43から排出される空気は、同DC-DCコンバータ40の側壁42と案内壁58との間隔が広くなっている側、すなわち車両20の前側に流れ易くなっている。このように本実施形態では、ブラケット50の案内壁58が、DC-DCコンバータ40の排出口43から排出された空気の流れを車両20の前方に向かう方向に偏向する形状になっている。
【0037】
本実施形態の車両20では、センターコンソール25(図1参照)の前部がダッシュボード21に接続されている。そのため上記車両20は、ダッシュボード21の内部に区画形成された比較的大きなスペースがセンターコンソール25の前方に存在する構造になっている。本実施形態によれば、図2中に矢印Aで示すように、DC-DCコンバータ40の排出口43から排出される高温の空気を、車両20の前方側、すなわち比較的大きいスペースを有するダッシュボード21側に送り出すことができる。これにより、DC-DCコンバータ40の周辺に高温の空気が溜まることを抑えることができ、ひいてはセンターコンソール25内の狭いスペース内に高温の空気が溜まることを抑えることができる。そのため、DC-DCコンバータ40を含む電装部品32の雰囲気温度の上昇を抑えることができる。
【0038】
また本実施形態では、ブラケット50の案内壁58がセンターコンソール25の側壁部27の内面に沿って延びている。そして、この案内壁58によって、DC-DCコンバータ40の排出口43から排出された空気の流れが上記センターコンソール25の側壁部27に到達する前に遮られるようになっている。これにより、DC-DCコンバータ40の排出口43から流出する高温の空気がセンターコンソール25の側壁部27の内面に直接吹き付けられることが回避されるため、同センターコンソール25の側壁部27の温度上昇を抑えることができる。したがって、高温になったセンターコンソール25の側壁部27に触れることによって乗員が不快に感じることが抑えられるようになる。
【0039】
次に、インバータ60用のブラケット70について説明する。
図6および図7に示すように、インバータ60は略四角箱状のケース61を有している。ケース61の底壁には同ケース61の内部に空気を導入するための導入口(図示略)が形成されている。また、ケース61における車両左側の側壁62には、その前方側の位置に、同ケース61の内部から外部に空気を排出するための排出口63が形成されている。ケース61の内部には空気の強制給排を行うためのファン64が設けられている。このインバータ60は、ファン64の作動を通じて、冷却用の空気を導入口から吸入するとともに、図7中に黒塗りの矢印で示すように冷却に用いられた空気を排出口63から排出する構造になっている。
【0040】
ブラケット70は、車幅方向において分割された一対の部材(右側ブラケット70R、左側ブラケット70L)によって構成されている。
右側ブラケット70Rは、インバータ60の右側に取り付けられる。右側ブラケット70Rは、車幅方向および前後方向に延びる底壁71Rを有している。
【0041】
底壁71Rの前後方向の両端部分には、インバータ60の底面に沿って延びる態様で左側に突出する第1固定部72Rが設けられている。各第1固定部72Rには、インバータ60への固定に用いるねじ挿通孔73Rが設けられている。このねじ挿通孔73Rを利用して、右側ブラケット70Rはインバータ60の右側にねじ締結固定される。
【0042】
また、底壁71Rの前後方向における中間部分には、コンソールブラケット29への固定に用いる固定足部74Rが2つ設けられている。これら固定足部74Rは、底壁71Rの左側の端部から下方に向けて延びている。各固定足部74Rの下端部分にはねじ挿通孔75Rが設けられている。このねじ挿通孔75Rを利用して、右側ブラケット70Rはコンソールブラケット29(図2参照)の上部にねじ締結固定される。
【0043】
底壁71Rの右側の端部には上方に突出する側壁76が設けられている。側壁76は、前後方向および上下方向に延びている。側壁76は、右側ブラケット70Rがインバータ60に取り付けられた状態では、同インバータ60のケース61の側壁と略平行に延びている。この側壁76の上端には、他の電装部品32を取り付けるための2つの取付部77Rが一体に設けられている。
【0044】
左側ブラケット70Lはインバータ60の左側に取り付けられる。左側ブラケット70Lは、車幅方向および前後方向に延びる底壁71Lを有している。
底壁71Lの前後方向の両端部分には、インバータ60の底面に沿って延びる態様で右側に突出する第1固定部72Lが設けられている。各第1固定部72Lには、インバータ60への固定に用いるねじ挿通孔73Lが設けられている。このねじ挿通孔73Lを利用して、左側ブラケット70Lはインバータ60の左側にねじ締結固定される。
【0045】
また、底壁71Lの前後方向における中間部分には、コンソールブラケット29への固定に用いる固定足部74Lが設けられている。固定足部74Lは、底壁71Lの右側の端部から下方に向けて延びている。固定足部74Lの下端部分にはねじ挿通孔75Lが設けられている。このねじ挿通孔75Lを利用して、左側ブラケット70Lはコンソールブラケット29(図2参照)の上部にねじ締結固定される。
【0046】
底壁71Lの左側の端部には上方に突出する案内壁78が設けられている。案内壁78は、左側ブラケット70Lがインバータ60に取り付けられた状態では、同インバータ60のケース61の側壁62と略平行に延びている。案内壁78は、左側ブラケット70Lをインバータ60に取り付けた状態で同インバータ60の排出口63から排出される空気の流れを遮る位置に設けられる。上記案内壁78は、左側ブラケット70Lを介してインバータ60をコンソールブラケット29に組み付けた状態で、センターコンソール25の内壁面に沿って延びる位置に設けられる。本実施形態では、左側ブラケット70Lの案内壁78と上記ケース61の左側の側壁62との距離が、右側ブラケット70Rの側壁76と上記ケース61の右側の側壁との距離よりも大きくなっている。案内壁78の上端には、他の電装部品32を取り付けるための取付部77Lが一体に設けられている。
【0047】
図8および図9に示すように、本実施形態では、センターコンソール25の内部において、左側ブラケット70Lの上方にエアーコンディショナー用の前記ダクト31が延設されている。
【0048】
図8に示すように、ダクト31はコンソールボックス26の前方において2本の分岐ダクト31R,31Lに分岐されている。そして、一方の分岐ダクト31Rは、コンソールボックス26の右側において同コンソールボックス26の側壁26Sとセンターコンソール25の側壁部27との間を通過している。他方の分岐ダクト31Lは、コンソールボックス26の左側において同コンソールボックス26の側壁26Sとセンターコンソール25の側壁部27との間を通過している。これら分岐ダクト31R,31Lは、コンソールボックス26の後方において合流している。本実施形態では、左側ブラケット70Lの案内壁78の上方において上記ダクト31、詳しくは分岐ダクト31Lが延びている。
【0049】
図9および図10に示すように、分岐ダクト31Lにおける上記案内壁78の上方にあたる部分には、分岐ダクト31Lの内外を連通する貫通孔33が形成されている。本実施形態では、分岐ダクト31Lの内部を通過する空調用の空気の一部が、貫通孔33を介して、分岐ダクト31Lの外部、詳しくはセンターコンソール25の内部に漏れる構造になっている。
【0050】
以下、インバータ60用のブラケット70に案内壁78を設けることによる作用効果について説明する。
図10に示すように、本実施形態では、インバータ60の排出口63から排出される空気の流れ(図10中に黒塗りの矢印で示す)は、左側ブラケット70Lの案内壁78に突き当たるようになる。
【0051】
本実施形態では、左側ブラケット70Lにおける上記空気の流れが突き当たる部分が、前後方向および車幅方向に延びる底壁71Lと同底壁71Lの左端から上方に突出する案内壁78とからなる断面L字状になっている。これにより、インバータ60の排出口63から排出された空気の流れは、左側ブラケット70Lの案内壁78に突き当たった後に、案内壁78の内面に沿って上方に向かい易くなっている。このように本実施形態では、左側ブラケット70Lの案内壁78が、インバータ60の排出口63から排出された空気の流れを車両20の上方に向かう方向に偏向する形状になっている。
【0052】
本実施形態では、左側ブラケット70Lの上方に、エアーコンディショナー用のダクト31、詳しくは分岐ダクト31Lが延設されている。そのため、インバータ60の排出口63から排出される空気の流れの一部は、左側ブラケット70Lの案内壁78によって案内されて、上記ダクト31に向かうようになる。
【0053】
エアーコンディショナーの作動中においては、ダクト31の内部には車室22内を快適に保つことの可能な温度の空気が流れている。このことから、ダクト31の外壁の温度は、作動に伴い高温になったインバータ60の排気の温度よりも低い温度で保持されると云える。
【0054】
本実施形態によれば、インバータ60の排出口63から排出される高温の空気を、比較的低温の上記ダクト31に吹き付けることができる。これにより、インバータ60から排出される高温の空気を比較的低温のダクト31との熱交換を通じて冷却することができるため、インバータ60を含む電装部品32の雰囲気温度の上昇を抑えることができる。
【0055】
また本実施形態では、分岐ダクト31Lにおける上記案内壁78の上方にあたる部分、すなわちインバータ60から排出される空気の流れが案内壁78によって偏向されて指向する部分には貫通孔33が形成されている。これにより、空調ユニット30の作動中において、分岐ダクト31Lの内部を通過する空調用の空気の一部が上記貫通孔33を介して分岐ダクト31Lの外部、詳しくはセンターコンソール25の内部に漏れ出した状態にすることができる。そのため、インバータ60から排出される高温の空気を、分岐ダクト31Lの内部から外部に漏れ出す比較的低温の空気との熱交換を通じて冷却することができる。これによっても、インバータ60を含む電装部品32の雰囲気温度の上昇を抑えることができる。
【0056】
また本実施形態では、左側ブラケット70Lの案内壁78がセンターコンソール25の側壁部27の内面に沿って延びている。そして、この案内壁78によって、インバータ60の排出口63から排出された空気の流れが上記センターコンソール25の側壁部27に到達する前に遮られるようになっている。これにより、インバータ60の排出口63から流出する高温の空気がセンターコンソール25の側壁部27の内面に直接吹き付けられることが回避されるため、同センターコンソール25の側壁部27の温度上昇を抑えることができる。したがって、高温になったセンターコンソール25の側壁部27に触れることによって乗員が不快に感じることが抑えられるようになる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)センターコンソール25内の限られたスペースにおいて、DC-DCコンバータ40やインバータ60の組み付けに用いるブラケット50,70を利用して、DC-DCコンバータ40やインバータ60の排気の流れを任意の方向に偏向することができる。これにより、センターコンソール25の内部の温度分布を高い自由度で管理することができる。そのため、インバータ60やDC-DCコンバータ40を含む電装部品32の雰囲気温度の上昇を抑えて、同電装部品32の信頼性の向上を図ることができる。
【0058】
(2)DC-DCコンバータ40用のブラケット50の案内壁58やインバータ60用のブラケット70の案内壁78を、センターコンソール25の側壁部27の内面に沿うように延設した。これにより、高温になったセンターコンソール25の側壁部27に触れることによって乗員が不快に感じることが抑えられる。
【0059】
(3)DC-DCコンバータ40用のブラケット50の案内壁58は、同DC-DCコンバータ40の排出口43から排出される空気の流れを車両20の前方に向かう方向に偏向する形状をなしている。これにより、DC-DCコンバータ40の排出口43から排出される高温の空気を、比較的大きいスペースを有するダッシュボード21側に送り出すことができる。そのため、電装部品32の雰囲気温度の上昇を抑えることができる。
【0060】
(4)インバータ60用のブラケット70の案内壁78は、同インバータ60の排出口63から排出される空気の流れを、エアーコンディショナーのダクト31に向かう方向に偏向する形状をなしている。これにより、インバータ60から排出される高温の空気を比較的低温のダクト31との熱交換を通じて冷却することができるため、インバータ60を含む電装部品32の雰囲気温度の上昇を抑えることができる。
【0061】
(5)分岐ダクト31Lにおける左側ブラケット70Lの案内壁78の上方にあたる部分、すなわちインバータ60から排出される空気の流れが案内壁78によって偏向されて指向する部分には貫通孔33が形成されている。そのため、インバータ60から排出される高温の空気を、分岐ダクト31Lの内部から外部に漏れ出す比較的低温の空気との熱交換を通じて冷却することができる。
【0062】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
・電装部品32の雰囲気の温度を所定レベル以下に抑えることができるのであれば、DC-DCコンバータ40用のブラケット50の案内壁58およびインバータ60用のブラケット70の案内壁78の一方を省略してもよい。
【0064】
・DC-DCコンバータ40用のブラケット50の案内壁58とインバータ60用のブラケット70の案内壁78とを共に、排出口43,63から排出される空気の流れを車両20の前方に向かう方向に偏向する形状にしてもよい。
【0065】
・DC-DCコンバータ40用のブラケット50の案内壁58とインバータ60用のブラケット70の案内壁78とを共に、排出口43,63から排出される空気の流れをエアーコンディショナーのダクト31に向かう方向に偏向する形状にしてもよい。
【0066】
・分岐ダクト31Lの貫通孔33を複数設けるようにしてもよい。
・分岐ダクト31Lの貫通孔33を省略してもよい。
・上記実施形態にかかる組付構造は、電装部品の内外を連通する排出口と同排出口を介して強制排気を行うファンとを有する電装部品であれば、画像処理を実行する電子制御装置など、インバータやDC-DCコンバータ以外の電装部品にも適用することができる。
【0067】
・上記実施形態にかかる組付構造は、車両の内装部品の内部に収容された状態でブラケットを介して車両の組付部分に組み付けられる電装部品であれば、センターコンソール以外の内装部品の内部に収容された電装部品にも適用することができる。そうした電装部品としては、車両のフロアを覆う内装部材としてのフロア部材の内部、詳しくはフロア部材と車体における同フロア部材によって覆われた部分との間に収容される電装部品を挙げることができる。
【0068】
・ブラケットの案内壁の形状としては、電装部品の排出口から排出される空気の流れを車体(例えばフレームやボディ)における同電装部品の近くに配置される部分に向かう方向に偏向する形状にするなど、任意の形状を採用することができる。こうした構成によれば、電装部品の排出口から排出される空気を、比較的低温であり且つ熱容量の大きい車体との熱交換を通じて冷却することができる。なお上記構成においては、電装部品の排出口から排出される空気の流れを車体における開口部分に向かう方向に偏向することで、同空気を車体内部のスペース、すなわち比較的低温のスペースに逃がすことなども可能になる。
【符号の説明】
【0069】
20…車両
21…ダッシュボード
25…センターコンソール
26…コンソールボックス
27…側壁部
28…頂壁部
29…コンソールブラケット
31…ダクト
31R,31L…分岐ダクト
32…電装部品
33…貫通孔
40…DC-DCコンバータ
43…排出口
44…ファン
50…ブラケット
50L…左側ブラケット
58…案内壁
60…インバータ
63…排出口
64…ファン
70…ブラケット
70L…左側ブラケット
78…案内壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10