IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水ハウス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図1
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図2
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図3
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図4
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図5
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図6
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図7
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図8
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図9
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図10
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図11
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図12
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図13
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図14
  • 特許-建築物の壁、および、目地部材 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】建築物の壁、および、目地部材
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/02 20060101AFI20240521BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
E04F19/02 T
E04F19/02 Q
E04F13/08 Y
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021044801
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022143978
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】林 仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 史人
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 克己
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-172909(JP,A)
【文献】特開平01-182455(JP,A)
【文献】実開平06-032559(JP,U)
【文献】実開平05-019404(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0010998(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0269130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/02
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁本体と、接着剤によって前記壁本体に取り付けられる複数の外装パネルと、壁の目地を構成する目地部材とを備え、
複数の前記外装パネルは、横縁が揃うように縦方向に整列され、
前記目地部材は、前記壁本体に固定される固定部と、前記固定部から延びる延長部と、前記延長部に設けられるカバー部とを備え、
前記延長部は、隣接する2列の前記外装パネルの間の隙間に配置され、前記カバー部は、2列の前記外装パネルにおいて互いに対向する前記横縁を覆い、
前記カバー部と前記外装パネルとの間には、隙間が設けられる
建築物の壁。
【請求項2】
前記目地部材として第1目地部材を有し、
前記第1目地部材の前記固定部は、板状に構成され、
前記カバー部は、前記固定部に平行な板状に構成される
請求項1に記載の建築物の壁。
【請求項3】
前記壁本体は、第1面と、前記第1面と交差する面であって入隅部を構成する第2面とを有し、
前記目地部材として第2目地部材を有し、
前記第2目地部材は、前記入隅部に取り付けられるように構成され、
前記第2目地部材の前記固定部は、前記第1面に固定される第1固定部と前記第2面に固定される第2固定部とを有し、
前記延長部は、前記第1固定部と前記第2固定部とを繋ぐ交差部から延び、
前記カバー部は、前記カバー部と前記第1固定部とを交差させたときの角度と、前記カバー部と前記第2固定部とを交差させたときの角度とが等しくなるように構成される
請求項1または2に記載の建築物の壁。
【請求項4】
前記カバー部は、前記外装パネルの外面模様と同じ模様を有し、または、前記外装パネルの外面と同系統の色を有する
請求項1~3のいずれか一項に記載の建築物の壁。
【請求項5】
前記カバー部の外面が、前記外装パネルの外面よりも前記壁本体の近くに位置する
請求項1~4のいずれか一項に記載の建築物の壁。
【請求項6】
前記外装パネルは、前記外装パネルの前記横縁に沿う段差部と、前記段差部と前記横縁との間に設けられる縁面とを有し、前記目地部材の前記カバー部は、前記縁面を覆う
請求項5に記載の建築物の壁。
【請求項7】
壁本体の入隅部において隣接する2列の外装パネルの間に配置され、2列の前記外装パネルにおいて互いに対向する横縁を覆う目地部材であって、
前記壁本体に固定される固定部と、前記固定部から延びる延長部と、前記延長部に設けられるカバー部とを備え、
前記延長部は、隣接する2列の前記外装パネルの間の隙間に配置され、
前記カバー部は、2列の前記外装パネルにおいて互いに対向する前記横縁を覆うように構成され、
前記固定部は、前記入隅部の第1面に固定される第1固定部と、前記第1面に交差する第2面に固定される第2固定部とを有し、
前記延長部は、前記第1固定部と前記第2固定部とを繋ぐ交差部から延びるとともに、前記カバー部と前記固定部との間の距離が一定となるように一体物で構成され
前記カバー部は、平坦に構成され、かつ、前記交差部と平行になるように延び、
前記カバー部は、前記カバー部の端部の延びる方向に沿う第1直線と前記第1固定部に沿う第2直線とを交差させたときの角度と、前記第1直線と前記第2固定部に沿う第3直線とを交差させたときの角度とが等しくなるように構成される
目地部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁、および、目地部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タイル壁構造が開示されている。タイル壁構造は、タイルと、横方向に延びるレール状の横疑似目地部材と、棒状の縦疑似目地部材と、を備える。横疑似目地部材は、上下方向に間隔をあけて配置される。棒状の縦疑似目地部材は、2つの横疑似目地部材に架設される。2つの横疑似目地部材の間に配置される。タイルは、上下の2つの横疑似目地部材によって支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-140359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、目地部材を備える壁については、建築作業の効率化に改善の余地がある。また、目地部材についても、壁の建築作業の効率化に寄与できるように改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する建築物の壁は、壁本体と、接着剤によって前記壁本体に取り付けられる複数の外装パネルと、壁の目地を構成する目地部材とを備え、複数の前記外装パネルは、横縁が揃うように縦方向に整列され、前記目地部材は、隣接する2列の前記外装パネルの間に配置され、2列の前記外装パネルにおいて互いに対向する前記横縁を覆う。
【0006】
この構成によれば、外装パネルは、接着剤によって壁本体に取り付けられる。目地部材は、隣接する2列の外装パネルの間に配置される。このように、上記構成の壁において、外装パネルを2つの目地部材の間に嵌めるという作業が無く、目地部材に嵌める作業が必要な壁面構造に比べて、壁の建築の作業効率を向上できる。
【0007】
(2)上記(1)の壁において、前記目地部材は、前記壁本体に固定される固定部と、前記固定部から延びる延長部と、前記延長部に設けられるカバー部とを備え、前記延長部は、隣接する2列の前記外装パネルの間の隙間に配置され、前記カバー部は、2列の前記外装パネルにおいて互いに対向する前記横縁を覆う。この構成によれば、外装パネルの各列の横縁が目地部材によって覆われる。これによって、壁の外観を向上できる。
【0008】
(3)上記(2)の壁において、前記目地部材として第1目地部材を有し、前記第1目地部材の前記固定部は板状に構成され、前記カバー部は、前記固定部に平行な板状に構成される。この構成によれば、第1目地部材が壁本体の壁側面に取り付けられたときに、目地部材のカバー部を壁本体の壁側面に平行に配置できる。このような構造によって、壁の外観を向上できる。
【0009】
(4)上記(2)または(3)の壁において、前記壁本体は、第1面と、前記第1面と交差する面であって入隅部を構成する第2面とを有し、前記目地部材として第2目地部材を有し、前記第2目地部材は、前記入隅部に取り付けられるように構成され、前記第2目地部材の前記固定部は、前記第1面に固定される第1固定部と前記第2面に固定される第2固定部とを有し、前記延長部は、前記第1固定部と前記第2固定部とを繋ぐ交差部から延び、前記カバー部は、前記カバー部と前記第1固定部とを交差させたときの角度と、前記カバー部と前記第2固定部とを交差させたときの角度とが等しくなるように構成される。
【0010】
この構成によれば、第2目地部材が壁本体の入隅部に取り付けられたときに、目地部材のカバー部を入隅部の第1面に対する角度と第2面に対する角度とが等しくなるように配置できる。このような構造によって、壁の外観を向上できる。
【0011】
(5)上記(2)~(4)のいずれか1つの壁において、前記カバー部は、前記外装パネルの外面模様と同じ模様を有し、または、前記外装パネルの外面と同系統の色を有する。この構成によれば、外装パネルの外面模様と目地部材との間で連続性を持たせることができる。これによって、壁の外観を一体性がある意匠にすることができる。
【0012】
(6)上記(2)~(5)のいずれか1つの壁において、前記カバー部の外面が、前記外装パネルの外面よりも前記壁本体の近くに位置する。この構成によれば、目地部材を目立たなくすることができる。このような構造によって、壁の外観を向上できる。
【0013】
(7)上記(6)の壁において、前記外装パネルは、前記外装パネルの前記横縁に沿う段差部と、前記段差部と前記横縁との間に設けられる縁面とを有し、前記目地部材の前記カバー部は、前記縁面を覆う。この構成によれば、目地部材を目立たなくすることができる。
【0014】
(8)上記課題を解決する目地部材は、壁本体の入隅部において隣接する2列の外装パネルの間に配置され、2列の前記外装パネルにおいて互いに対向する横縁を覆うものであって、前記壁本体に固定される固定部と、前記固定部から延びる延長部と、前記延長部に設けられるカバー部とを備え、前記入隅部は、第1面と、前記第1面と交差する第2面とを有し、前記延長部は、隣接する2列の前記外装パネルの間の隙間に配置され、前記カバー部は、2列の前記外装パネルにおいて互いに対向する前記横縁を覆うように構成され、前記固定部は、前記入隅部の第1面に固定される第1固定部と、前記第1面に交差する第2面に固定される第2固定部とを有し、前記延長部は、前記第1固定部と前記第2固定部とを繋ぐ交差部から延び、前記カバー部は、前記カバー部と前記第1固定部とを交差させたときの角度と、前記カバー部と前記第2固定部とを交差させたときの角度とが等しくなるように構成される。
【0015】
この構成によれば、目地部材によって、壁本体の入隅部において隣接する2つの外装パネルの横縁を覆うことができる。このように、モルタルを使うことなく外装パネルの横縁を覆うことができるため、壁の建築作業を効率化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の建築物の壁によれば、壁の建築作業の効率化を向上できる。本開示の目地部材は、壁の建築作業の効率化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】建築物の壁の斜視図。
図2図1のII-II線に沿う壁の断面図。
図3図1のIII-III線に沿う壁の断面図。
図4】壁の斜視図。
図5】壁の入隅部の斜視図。
図6】第1目地部材の斜視図。
図7】第2目地部材の斜視図。
図8】外装パネルの正面図。
図9】外装パネルの側面図。
図10】外装パネルの底面において、端部の拡大図。
図11図2のC1部の拡大図。
図12図2のC2部の拡大図。
図13】壁面の拡大図。
図14】壁面部の第1変形例の断面図。
図15】壁面部の第2変形例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図13を参照して、建築物の壁1について説明する。本実施形態において、建築物の壁1は、建築物本体の外壁、建築物本体の周囲に設けられる外構を含む。外構の例として、塀、門塀、ポストまたはインターホンが設けられる壁が挙げられる。
【0019】
図1に示される壁1は、住宅2の周囲に設けられる塀である。壁1は、住宅2と道路3との間に設けられる。壁1は、直角に曲がる。
図2に示されるように、壁1は、構成要素として、複数の壁部を有する。一例では、壁1は、第1壁部5と、第2壁部6とを備える。第2壁部6は、第1壁部5に対して直交するように延びる。第1壁部5と第2壁部6とによって入隅部7が構成される。
【0020】
壁1は、壁本体10と、複数の外装パネル20と、目地部材30とを備える。本実施形態では、壁1は、目地部材30として、第1目地部材31と、第2目地部材32とを備える。
【0021】
本実施形態では、さらに、壁1は、笠木13を備える。笠木13は、壁本体10の上面を覆う。壁1は、壁面部11を有する。壁面部11は、壁本体10の壁側面15を覆う。壁面部11は、外装パネル20と目地部材30とを含む。外装パネル20の外面20aと、目地部材30のカバー部35の外面35aとによって、壁1の壁面8が構成される。
【0022】
図3に示されるように、壁本体10は、コンクリートブロック14を備える。コンクリートブロック14は、鉄筋によって支持されてもよい。コンクリートブロック14の中空部分には、モルタルが充填される。コンクリートブロック14は、モルタルを介して積み重ねられる。壁本体10は、FPR製のブロックまたはFPR製の板材によって構成されてもよい。FPRは、ガラス繊維強化プラスチックを示す。
【0023】
壁本体10は、壁側面15と、壁天面16とを有する。壁本体10は、壁側面15として、第1面15aと、第2面15bとを有する。壁本体10は、さらに、第3面15cと、第4面15dとを有する。第1面15aは、第1壁部5の壁側面15である。第2面15bは、第2壁部6の壁側面15である。第2面15bは、第1面15aに交差する。第3面15cは、第1壁部5において第1面15aと反対側の壁側面15である。第4面15dは、第2壁部6において第2面15bと反対側の壁側面15である。第2面15bは、第1面15aに直交する。第1面15aと第2面15bとによって入隅部7が構成される。
【0024】
外装パネル20は、接着剤18によって壁本体10に取り付けられる。複数の外装パネル20は、横縁25が揃うように縦方向DVに整列される。本実施形態では、複数の外装パネル20は、下縁が揃うように横方向DH1,DH2に整列される。
【0025】
外装パネル20は、外装パネル20と壁本体10との間に隙間SAが設けられるように、接着剤18で固定される。接着剤18は、外装パネル20と壁本体10との間において、部分的に設けられる。一例では、接着剤18は、外装パネル20と壁本体10との間において、外装パネル20の6箇所に設けられる。外装パネル20と壁本体10との間において、接着剤18が無い部分の隙間SAは、雨水の排水路を構成する。
【0026】
図4および図5に示されるように、目地部材30は、壁1の目地を構成する。
目地部材30は、接着剤18によって壁本体10に取り付けられる。
目地部材30は、隣接する2列の外装パネル20の間に配置される。
【0027】
図4に示されるように、外装パネル20は、縦方向DVにおいて、他の外装パネル20に接触するように配置される。壁本体10の壁側面15において、外装パネル20は、横方向DH1,DH2において、第1目地部材31を介して他の外装パネル20に隣り合う。
【0028】
縦方向DVにおいて、最も下に配置される外装パネル20は、アングル21に接触する。アングル21は、縦方向DVにおいて、外装パネル20の位置を決める。アングル21は、隣接する2つの外装パネル20について互いに向かい合う2つの角部に対向するように配置される。このように、アングル21は、壁面部11の底辺において部分的に設けられる。2つのアングル21の間は、雨水の通路になる。外装パネル20と壁本体10との間の隙間SAに流れる雨水は、2つのアングル21の間を通って下方に流れる。
【0029】
図5に示されるように、入隅部7において、壁1の角に第2目地部材32が配置される。複数の外装パネル20は、第2目地部材32に沿うように配置される。第1面15aに配置される外装パネル20は、第2目地部材32を介して、第2面15bに配置される外装パネル20に隣り合う。
【0030】
図6および図7に示されるように、目地部材30は、固定部33と、延長部34と、カバー部35とを備える。固定部33は、壁本体10に固定される部分である。延長部34は、固定部33から延びる。カバー部35は、延長部34に設けられる。目地部材30のカバー部35は、縁面27aを覆うように構成される(図11図12参照)。カバー部35は、2列の外装パネル20において互いに対向する横縁25を覆う。目地部材30は、アルミニウム、またはアルミニウム合金によって構成される。一例では、目地部材30は、押出加工または引抜加工によって形成される。
【0031】
図6を参照して、目地部材30の一形態として、第1目地部材31を説明する。第1目地部材31は、壁本体10の壁側面15に取り付けられるように構成される。
具体的には、第1目地部材31の固定部33は板状に構成される。延長部34は、固定部33の幅方向DWにおいて中間部分から突出する。カバー部35は、固定部33に平行な板状に構成される。第1目地部材31は、断面において、延長部34を中心線として対称な構造を有する。第1目地部材31は、2つの第1凹部36を有する。第1凹部36は、固定部33と、延長部34と、カバー部35とによって囲まれる部分である。2つの第1凹部36は、互いに反対方向に開口する。
【0032】
図7を参照して、目地部材30の他の形態として、第2目地部材32を説明する。第2目地部材32は、入隅部7に取り付けられるように構成される。
具体的には、第2目地部材32の固定部33は、壁本体10の第1面15aに固定される第1固定部33aと第2面15bに固定される第2固定部33bとを有する。一例では、第2固定部33bは、交差部33cを介して第1固定部33aに直交する。延長部34は、第1固定部33aと第2固定部33bとを繋ぐ交差部33cから延びる。一例では、延長部34に対する第1固定部33aの角度A1は、延長部34に対する第2固定部33bの角度A2に等しい(図12参照)。カバー部35は、カバー部35と第1固定部33aとを交差させたときの角度A3と、カバー部35と第2固定部33bとを交差させたときの角度A4とが等しくなるように構成される。
【0033】
第2目地部材32は、2つの第2凹部37を有する。第2凹部37は、固定部33と、延長部34と、カバー部35とによって囲まれる部分である。一方の第2凹部37の開口の向きは、他方の互い第2凹部37の向きに対して直交する。一例では、カバー部35は、板状である。第2目地部材32は、断面において、延長部34を中心線として対称な構造を有する。
【0034】
図13に示されるように、カバー部35は、外装パネル20の外面模様と同じ模様を有してもよい。カバー部35は、外装パネル20の外面20aと同系統の色を有してもよい。例えば、外装パネル20およびカバー部35は、ともに、同種の石模様、同種のレンガ模様、同種の岩の模様、または、同種の木目模様を有する。カバー部35は、目地部材30の製造工場において予め所定の模様に塗装される。
【0035】
図8図10を参照して、外装パネル20を説明する。
外装パネル20は、壁本体10の壁側面15を覆う。第1形態の外装パネル20は、壁本体10において平坦な面を覆う(図2参照)。第1形態の外装パネル20は、板状に構成される。第2形態の外装パネル20は、壁本体10において出隅を覆う(図2参照)。第2形態の外装パネル20は、L字形状に構成される。第2形態の外装パネル20の横端部の構造は、第1形態の外装パネル20の横端部の構造と等しい。以下では、第1形態の外装パネル20について説明する。
【0036】
図8および図9に示されるように、外装パネル20は、裏面22と、表側にあるベース面23と、ベース面23から突出する凸部24とを有する。ベース面23および凸部24の表面は、外装パネル20の外面20aを構成する。凸部24は、外装パネル20の意匠を構成する。凸部24の形態は、様々である。一例では、凸部24は、レンガに疑似するように構成される。
【0037】
図10に示されるように、外装パネル20は、段差部26と、縁部27とを有する。縁部27は、縁面27aと端面27bとを有する。本実施形態において、外装パネル20の横縁25は、横幅方向DHWにおいて最も外側の縁と定義される。端面27bは、横縁25を含む面である。一例では、端面27bは、横幅方向DHWにおいて横縁25に向かって傾斜する。
【0038】
縁部27は、外装パネル20の横縁25に沿うように構成される。縁面27aは、段差部26と横縁25との間に設けられる。縁面27aは、平らに構成される。縁面27aは、端面27bに沿うように構成される。縁面27aは、横幅方向DHWにおいて端面27bに向かって傾斜する。縁面27aの一部は、目地部材30のカバー部35によって覆われる。
【0039】
段差部26は、外装パネル20の横縁25に沿うように構成される。一例では、縁面27aに隣接し、横縁25に沿うよう構成される。段差部26は、ベース面23の横縁25から裏面22に向かって延びる段差面26aを有する。
【0040】
図11は、壁面部11の断面構造を示す。
第1目地部材31は、横方向DH1,DH2に隣接する2列の外装パネル20の間に配置される。延長部34は、隣接する2列の外装パネル20の間の隙間SBに配置される。
【0041】
外装パネル20の縁部27は、第1目地部材31の第1凹部36内に挿し込まれる。外装パネル20の横縁25は、第1目地部材31のカバー部35によって覆われる。外装パネル20の段差部26は、第1目地部材31のカバー部35によって覆われない。カバー部35の外面35aは、外装パネル20の外面20aよりも壁本体10の近くに位置する。具体的には、カバー部35の外面35aは、外装パネル20のベース面23よりも壁本体10の近くに位置する。
【0042】
図12は、壁1の入隅部7において、壁面部11の断面構造を示す。
第2目地部材32は、壁本体10の入隅部7において隣接する2列の外装パネル20の間に配置される。延長部34は、隣接する2列の外装パネル20の間の隙間SBに配置される。
【0043】
外装パネル20の縁部27は、第2目地部材32の第2凹部37内に挿し込まれる。外装パネル20の横縁25は、第2目地部材32のカバー部35によって覆われる。外装パネル20の段差部26は、第2目地部材32のカバー部35によって覆われない。カバー部35の外面35aは、外装パネル20の外面20aよりも壁本体10の近くに位置する。具体的には、カバー部35の外面35aは、外装パネル20のベース面23よりも壁本体10の近くに位置する。
【0044】
本実施形態の作用を説明する。
目地をモルタルで形成する場合、手間を要し、壁面部11の形成に時間をかかる。本実施形態によれば、次のように、壁面部11を形成できる。縦1列に並ぶように外装パネル20を壁本体10に取り付ける。縦1列に並べられた外装パネル20に沿って目地部材30を配置する。さらに、目地部材30に沿って、縦1列に並ぶように外装パネル20を取り付ける。このようにして、2列の外装パネル20の間に簡単に目地を形成できる。目地部材30は、2列の外装パネル20において互いに対向する横縁25を覆う。目地部材30は、予め工場で形成される部材であり、所定の寸法精度を有する。目地部材30のカバー部35の両縁は、直線に近い。このため、本実施形態の目地は、モルタルで作られる目地に比べて、目地の幅寸法のばらつきが少なく、外観がよい。
【0045】
本実施形態の効果を説明する。
(1)壁1は、壁本体10と、接着剤18によって壁本体10に取り付けられる複数の外装パネル20と、壁1の目地を構成する目地部材30とを備える。複数の外装パネル20は、横縁25が揃うように縦方向DVに整列される。目地部材30は、隣接する2列の外装パネル20の間に配置される。目地部材30は、2列の外装パネル20において互いに対向する横縁25を覆う。
【0046】
この構成によれば、外装パネル20は、接着剤18によって壁本体10に取り付けられる。目地部材30は、隣接する2列の外装パネル20の間に配置される。このように、上記構成の壁1において、外装パネル20を2つの目地部材30の間に嵌めるという作業が無く、目地部材30に嵌める作業が必要な壁面構造に比べて、壁1の建築の作業効率を向上できる。
【0047】
(2)目地部材30は、固定部33と、延長部34と、カバー部35とを備える。壁1において、延長部34は、隣接する2列の外装パネル20の間の隙間SBに配置される。カバー部35は、2列の外装パネル20において互いに対向する横縁25を覆う。この構成によれば、外装パネル20の各列の横縁25が目地部材30によって覆われる。これによって、壁1の外観を向上できる。
【0048】
(3)壁1は、目地部材30の一形態として第1目地部材31を有する。第1目地部材31の固定部33は、板状に構成される。カバー部35は、固定部33に平行な板状に構成される。この構成によれば、第1目地部材31が壁本体10の壁側面15に取り付けられたときに、目地部材30のカバー部35を壁本体10の壁側面15に平行に配置できる。このような構造によって、壁1の外観を向上できる。
【0049】
(4)第2目地部材32は、入隅部7に取り付けられるように構成される。第2目地部材32の固定部33は、第1固定部33aと、第2固定部33bとを有する。延長部34は、第1固定部33aと第2固定部33bとを繋ぐ交差部33cから延びる。カバー部35は、板状である。カバー部35は、カバー部35と第1固定部33aとを交差させたときの角度A3と、カバー部35と第2固定部33bとを交差させたときの角度A4とが等しくなるように構成される。
【0050】
この構成によれば、第2目地部材32が壁本体10の入隅部7に取り付けられたときに、目地部材30のカバー部35を、入隅部7の第1面15aに対する角度A3と第2面15bに対する角度A4とが等しくなるように配置できる。このような構造によって、壁1の外観を向上できる。
【0051】
(5)カバー部35の外面35aは、外装パネル20の外面模様と同じ模様を有し、または、外装パネル20の外面20aと同系統の色を有する。この構成によれば、外装パネル20の外面模様と目地部材30との間で連続性を持たせることができる。これによって、壁1の外観を一体性がある意匠にすることができる。
【0052】
(6)カバー部35の外面35aは、外装パネル20の外面20aよりも壁本体10の近くに位置する。この構成によれば、目地部材30を目立たなくすることができる。このような構造によって、壁1の外観を向上できる。
【0053】
(7)外装パネル20は、外装パネル20の横縁25に沿う段差部26と、段差部26と横縁25との間に設けられる縁面27aとを有する。壁1において、目地部材30のカバー部35は、縁面27aを覆う。この構成によれば、目地部材30を目立たなくすることができる。
【0054】
(8)第2目地部材32は、固定部33と、延長部34と、カバー部35とを備える。固定部33は、入隅部7の第1面15aに固定される第1固定部33aと、入隅部7の第2面15bに固定される第2固定部33bとを有する。延長部34は、第1固定部33aと第2固定部33bとを繋ぐ交差部33cから延びる。カバー部35は、カバー部35と第1固定部33aとを交差させたときの角度A3と、カバー部35と第2固定部33bとを交差させたときの角度A4とが等しくなるように構成される。
【0055】
この構成によれば、目地部材30によって、壁本体10の入隅部7において隣接する2つの外装パネル20の横縁25を覆うことができる。このように、モルタルを使うことなく外装パネル20の横縁25を覆うことができるため、壁1の建築作業を効率化することができる。
【0056】
<変形例>
上記実施形態は、壁1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。壁1は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0057】
図14に示されるように、外装パネル20は、段差部26を有しなくてもよい。外装パネル20は、横縁25を含む端面27bを有する。端面27bは傾斜する。外装パネル20において横縁25を含む部分が、第1目地部材31の第1凹部36または第2目地部材32の第2凹部37に挿し込まれる。
【0058】
図15に示されるように、外装パネル20の端面27bは、第1傾斜面27cと第2傾斜面27dを有してもよい。第1傾斜面27cは、外面20aから横縁25に向かって延びる。第2傾斜面27dは、裏面22から横縁25に向かって延びる。横縁25は、横幅方向DHWにおいて中央部から最も遠い位置にある。第1傾斜面27cと第2傾斜面27dとによって構成される部分であって横縁25を含む角部は、第1目地部材31の第1凹部36または第2目地部材32の第2凹部37に挿し込まれる。
【符号の説明】
【0059】
1…壁
7…入隅部
10…壁本体
15a…第1面
15b…第2面
18…接着剤
20…外装パネル
20a…外面
25…横縁
26…段差部
27a…縁面
30…目地部材
31…第1目地部材
32…第2目地部材
33…固定部
33a…第1固定部
33b…第2固定部
33c…交差部
34…延長部
35…カバー部
35a…外面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15