(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】荷卸し装置、及び荷卸し方法
(51)【国際特許分類】
B65G 59/02 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
B65G59/02 Z
(21)【出願番号】P 2021088758
(22)【出願日】2021-05-26
【審査請求日】2023-01-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】水越 弘
(72)【発明者】
【氏名】東 昌輝
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-072244(JP,A)
【文献】特開平09-057704(JP,A)
【文献】特開2001-354322(JP,A)
【文献】特開平06-001446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 59/00 - 59/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し装置であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、
前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、
前記第1駆動機構、前記第2駆動機構、前記第3駆動機構、及び前記第4駆動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程を実行し、その後、前記第3駆動機構及び前記第4駆動機構を制御して、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程を実行し、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程を実行
し、前記ずらし工程の後であって前記クランプ工程の前に、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を非押圧位置に戻す戻し工程を実行する、荷卸し装置。
【請求項2】
載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し装置であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、
前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、
前記第1駆動機構、前記第2駆動機構、前記第3駆動機構、及び前記第4駆動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程を実行し、その後、前記第3駆動機構及び前記第4駆動機構を制御して、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程を実行し、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程を実行
し、
前記第1駆動機構は、前記段積み物品群から離間した位置に設定された第1基準位置から、前記第1方向に沿って前記段積み物品群の側へ向けて前記第1押圧部材を移動させることで前記ずらし工程及び前記クランプ工程を実行し、
前記第2駆動機構は、前記段積み物品群から離間した位置に設定された第2基準位置から、前記第2方向に沿って前記段積み物品群の側へ向けて前記第2押圧部材を移動させることで前記ずらし工程及び前記クランプ工程を実行し、
前記ずらし工程における前記第1押圧部材の前記第1方向の移動量は、前記クランプ工程における前記第1押圧部材の前記第1方向の移動量よりも大きく、
前記ずらし工程における前記第2押圧部材の前記第2方向の移動量は、前記クランプ工程における前記第2押圧部材の前記第2方向の移動量よりも大きい、荷卸し装置。
【請求項3】
載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し装置であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、
前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、
前記第1駆動機構、前記第2駆動機構、前記第3駆動機構、及び前記第4駆動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程を実行し、その後、前記第3駆動機構及び前記第4駆動機構を制御して、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程を実行し、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程を実行
し、
前記ずらし工程、前記クランプ工程、及び前記分離工程の組をずらし荷卸し工程として、前記制御装置は、複数段の前記部分物品群のうち、最上段の前記部分物品群から下側に向かって、最下段の直ぐ上の段の前記部分物品群まで、順に前記ずらし荷卸し工程を実行し、前記最下段の前記部分物品群に対しては、前記ずらし工程を実行せず、前記クランプ工程を実行し、その後、前記最下段の前記部分物品群を前記載置部と分離する最下段分離工程を実行する、荷卸し装置。
【請求項4】
載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し装置であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、
前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、
前記第1駆動機構、前記第2駆動機構、前記第3駆動機構、及び前記第4駆動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程を実行し、その後、前記第3駆動機構及び前記第4駆動機構を制御して、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程を実行し、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程を実行
し、
前記段積み物品群には複数の種類があり、
前記制御装置は、前記段積み物品群の種類と、前記ずらし工程の必要性の有無を示すずらし工程必要情報とを関連付けて記憶した記憶部を備え、
前記制御装置は、対象となっている前記段積み物品群の種類に関連付けられた前記ずらし工程必要情報を参照し、前記ずらし工程必要情報が必要性有りである場合には、前記ずらし工程を実行した後に前記クランプ工程及び前記分離工程を実行し、前記ずらし工程必要情報が必要性無しである場合には、前記ずらし工程を実行せずに前記クランプ工程及び前記分離工程を実行する、荷卸し装置。
【請求項5】
載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し方法であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、を備えた荷卸し装置を用い、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程と、
前記ずらし工程の後、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程と、
前記クランプ工程の後、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程と、
前記ずらし工程の後であって前記クランプ工程の前に、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を非押圧位置に戻す戻し工程と、を備えた、荷卸し方法。
【請求項6】
載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し方法であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、を備えた荷卸し装置を用い、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程と、
前記ずらし工程の後、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程と、
前記クランプ工程の後、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程と、を備え
、
前記ずらし工程及び前記クランプ工程では、
前記段積み物品群から離間した位置に設定された第1基準位置から、前記第1方向に沿って前記段積み物品群の側へ向けて前記第1押圧部材を移動させ、
前記段積み物品群から離間した位置に設定された第2基準位置から、前記第2方向に沿って前記段積み物品群の側へ向けて前記第2押圧部材を移動させ、
前記ずらし工程における前記第1押圧部材の前記第1方向の移動量は、前記クランプ工程における前記第1押圧部材の前記第1方向の移動量よりも大きく、
前記ずらし工程における前記第2押圧部材の前記第2方向の移動量は、前記クランプ工程における前記第2押圧部材の前記第2方向の移動量よりも大きい、荷卸し方法。
【請求項7】
載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し方法であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、を備えた荷卸し装置を用い、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程と、
前記ずらし工程の後、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程と、
前記クランプ工程の後、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程と、を備え
、
前記ずらし工程、前記クランプ工程、及び前記分離工程の組をずらし荷卸し工程として、複数段の前記部分物品群のうち、最上段の前記部分物品群から下側に向かって、最下段の直ぐ上の段の前記部分物品群まで、順に前記ずらし荷卸し工程を実行し、前記最下段の前記部分物品群に対しては、前記ずらし工程を実行せず、前記クランプ工程を実行し、その後、前記最下段の前記部分物品群を前記載置部と分離する最下段分離工程を実行する、荷卸し方法。
【請求項8】
載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し方法であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、
前記段積み物品群の種類とずらし工程の必要性の有無を示すずらし工程必要情報とを関連付けて記憶した記憶部と、を備えた荷卸し装置を用い、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧する
前記ずらし工程と、
前記ずらし工程の後、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程と、
前記クランプ工程の後、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程と、を備え
、
前記段積み物品群には複数の種類があり、
対象となっている前記段積み物品群の種類に関連付けられた前記ずらし工程必要情報を参照し、前記ずらし工程必要情報が必要性有りである場合には、前記ずらし工程を実行した後に前記クランプ工程及び前記分離工程を実行し、前記ずらし工程必要情報が必要性無しである場合には、前記ずらし工程を実行せずに前記クランプ工程及び前記分離工程を実行する、荷卸し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し装置、及び荷卸し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような荷卸し装置の一例が、特開平6-1446号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号又は名称は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1の荷卸し装置は、直方体状の枠体からなる主フレーム(2)と、主フレーム(2)に設けられた物品昇降装置(3)と、主フレーム(2)の上部に設けられた走行レール(4)と、走行レール(4)上を走行する走行台車(5)と、を備えている。走行レール(4)には、把持機構(6)が搭載されている。物品昇降装置(3)には、段積みされた複数の物品である段積み物品群が載置されている。把持機構(6)は、最上段の部分物品群を把持する押圧部材(押圧板32,33,34,35)と、上から2段目の部分物品群を把持する下段押圧体(49c)とを備えている。
【0004】
この荷卸し装置では、物品昇降装置(3)が所定の位置まで上昇すると、押圧部材(32,33,34,35)が、最上段の物品群を押圧把持する。その後、下段押圧体(49c)が、上から2段目の物品群を押圧把持すると、下段押圧体(49c)は、当該物品群を把持したまま下降する。すると、最上段の物品群と上から2段目の物品群とを接着している糊が剥がれるため、最上段の物品群が、上から2段目以降の物品群と分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の荷卸し装置では、最上段の物品群を、他の段の物品群から分離するために、上から2段目の物品群を把持する機構を別途設ける必要がある。そのため、荷卸し装置の機構が複雑化し、装置のコストが高くなり易い。また、上段と下段のそれぞれの押圧部材を動かす必要があるため、荷卸し動作が複雑化し易い。
【0007】
そこで、より簡易な装置構成で、段積み物品群から部分物品群を分離して移動させることができる荷卸し装置及び荷卸し方法の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みた、荷卸し装置の特徴構成は、載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し装置であって、水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、前記第1駆動機構、前記第2駆動機構、前記第3駆動機構、及び前記第4駆動機構を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程を実行し、その後、前記第3駆動機構及び前記第4駆動機構を制御して、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程を実行し、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程を実行し、前記ずらし工程の後であって前記クランプ工程の前に、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を非押圧位置に戻す戻し工程を実行する。
【0009】
ところで、段積み物品群を構成する複数段の部分物品群同士が、搬送中の荷崩れ防止などの目的で、互いに糊などで接着されている場合がある。このような場合、通常の荷卸し動作では、隣接する段の部分物品群同士の接着を適切に分離させることができず、適切に荷卸し動作を行うことができないことがある。
本構成によれば、ずらし工程を実行することで、一部の部分物品群のみに、それより下の段の部分物品群に対して水平方向にずらす力を作用させて、当該一部の部分物品群とその下側に隣接する段の部分物品群との間の糊などによる接着を剥がすことができる。そして、ずらし工程の実行後、クランプ工程と分離工程とを実行するため、一部の部分物品群をそれより下の段の部分物品群から分離させ、適切に荷卸し動作を行うことができる。
このように、本構成によれば、上下2段の押圧部材を備えた構成に比べて、より簡易な装置構成で、段積み物品群から部分物品群を適切に分離して移動させることができる。
更に本構成によれば、戻し工程を実行することで、クランプ工程において、第1押圧部材と第3押圧部材との間の第1方向の中央位置、及び、第2押圧部材と第4押圧部材との間の第2方向の中央位置のそれぞれの近い位置で部分物品群を挟み、分離工程で当該部分物品群を持ち上げることができる。従って、ずらし工程で押圧した後の第1押圧部材及び第2押圧部材の位置においてクランプ工程を開始することで部分物品群に対するクランプ位置が中央位置からずれた状態となる事態が生じることを回避できる。
【0010】
また、別の荷卸し装置の特徴構成は、載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し装置であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、
前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、
前記第1駆動機構、前記第2駆動機構、前記第3駆動機構、及び前記第4駆動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程を実行し、その後、前記第3駆動機構及び前記第4駆動機構を制御して、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程を実行し、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程を実行し、
前記第1駆動機構は、前記段積み物品群から離間した位置に設定された第1基準位置から、前記第1方向に沿って前記段積み物品群の側へ向けて前記第1押圧部材を移動させることで前記ずらし工程及び前記クランプ工程を実行し、
前記第2駆動機構は、前記段積み物品群から離間した位置に設定された第2基準位置から、前記第2方向に沿って前記段積み物品群の側へ向けて前記第2押圧部材を移動させることで前記ずらし工程及び前記クランプ工程を実行し、
前記ずらし工程における前記第1押圧部材の前記第1方向の移動量は、前記クランプ工程における前記第1押圧部材の前記第1方向の移動量よりも大きく、
前記ずらし工程における前記第2押圧部材の前記第2方向の移動量は、前記クランプ工程における前記第2押圧部材の前記第2方向の移動量よりも大きい。
【0011】
本構成によれば、ずらし工程を実行することで、一部の部分物品群のみに、それより下の段の部分物品群に対して水平方向にずらす力を作用させて、当該一部の部分物品群とその下側に隣接する段の部分物品群との間の糊などによる接着を剥がすことができる。そして、ずらし工程の実行後、クランプ工程と分離工程とを実行するため、一部の部分物品群をそれより下の段の部分物品群から分離させ、適切に荷卸し動作を行うことができる。
このように、本構成によれば、上下2段の押圧部材を備えた構成に比べて、より簡易な装置構成で、段積み物品群から部分物品群を適切に分離して移動させることができる。
更に本構成によれば、第1押圧部材及び第2押圧部材について、ずらし工程における移動量が、クランプ工程における移動量より大きい。これにより、部分物品群を、それより下の段の部分物品群に対して大きくずらすことができる。従って、部分物品群同士を適切に分離することができる。
【0012】
また、更に別の荷卸し装置の特徴構成は、載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し装置であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、
前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、
前記第1駆動機構、前記第2駆動機構、前記第3駆動機構、及び前記第4駆動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程を実行し、その後、前記第3駆動機構及び前記第4駆動機構を制御して、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程を実行し、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程を実行し、
前記ずらし工程、前記クランプ工程、及び前記分離工程の組をずらし荷卸し工程として、前記制御装置は、複数段の前記部分物品群のうち、最上段の前記部分物品群から下側に向かって、最下段の直ぐ上の段の前記部分物品群まで、順に前記ずらし荷卸し工程を実行し、前記最下段の前記部分物品群に対しては、前記ずらし工程を実行せず、前記クランプ工程を実行し、その後、前記最下段の前記部分物品群を前記載置部と分離する最下段分離工程を実行する。
【0013】
本構成によれば、ずらし工程を実行することで、一部の部分物品群のみに、それより下の段の部分物品群に対して水平方向にずらす力を作用させて、当該一部の部分物品群とその下側に隣接する段の部分物品群との間の糊などによる接着を剥がすことができる。そして、ずらし工程の実行後、クランプ工程と分離工程とを実行するため、一部の部分物品群をそれより下の段の部分物品群から分離させ、適切に荷卸し動作を行うことができる。
このように、本構成によれば、上下2段の押圧部材を備えた構成に比べて、より簡易な装置構成で、段積み物品群から部分物品群を適切に分離して移動させることができる。
ここで、通常、最上段から順に荷卸し工程を実行し、最下段の部分物品群まで到達した場合、最下段の部分物品群には糊などで接着された他の部分物品群が存在しない。そのため、最下段の部分物品群には、ずらし工程は不要である。本構成によれば、不要なずらし工程を省略できるので、その分、荷卸しに要する時間を短縮できる。そして、最下段の部分物品群に対しては、クランプ工程の実行後、最下段の部分物品群を載置部と分離する最下段分離工程が実行される。従って、最下段の部分物品群に対しても、適切に荷卸し動作を行うことができる。
【0014】
また、更に別の荷卸し装置の特徴構成は、載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し装置であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、
前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、
前記第1駆動機構、前記第2駆動機構、前記第3駆動機構、及び前記第4駆動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程を実行し、その後、前記第3駆動機構及び前記第4駆動機構を制御して、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程を実行し、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程を実行し、
前記段積み物品群には複数の種類があり、
前記制御装置は、前記段積み物品群の種類と、前記ずらし工程の必要性の有無を示すずらし工程必要情報とを関連付けて記憶した記憶部を備え、
前記制御装置は、対象となっている前記段積み物品群の種類に関連付けられた前記ずらし工程必要情報を参照し、前記ずらし工程必要情報が必要性有りである場合には、前記ずらし工程を実行した後に前記クランプ工程及び前記分離工程を実行し、前記ずらし工程必要情報が必要性無しである場合には、前記ずらし工程を実行せずに前記クランプ工程及び前記分離工程を実行する。
【0015】
本構成によれば、ずらし工程を実行することで、一部の部分物品群のみに、それより下の段の部分物品群に対して水平方向にずらす力を作用させて、当該一部の部分物品群とその下側に隣接する段の部分物品群との間の糊などによる接着を剥がすことができる。そして、ずらし工程の実行後、クランプ工程と分離工程とを実行するため、一部の部分物品群をそれより下の段の部分物品群から分離させ、適切に荷卸し動作を行うことができる。
このように、本構成によれば、上下2段の押圧部材を備えた構成に比べて、より簡易な装置構成で、段積み物品群から部分物品群を適切に分離して移動させることができる。
更に本構成によれば、制御装置は、ずらし工程の必要な部分物品群に対しては、ずらし工程を実行した後にクランプ工程及び分離工程を実行するが、ずらし工程の不要な部分物品群に対しては、ずらし工程を実行せずに、クランプ工程及び分離工程を実行することができる。すなわち、本構成によれば、ずらし工程が不要な場合には当該ずらし工程を省略できるので、その分、荷卸しに要する時間を短縮できる。
【0016】
上述した荷卸し装置の技術的特徴は、荷卸し方法にも適用可能である。この荷卸し方法は、上述した荷卸し装置の特徴を備えた各種のステップを有することができる。当然ながらこの荷卸し方法も、上述した荷卸し装置の作用効果を奏することができる。更に、荷卸し装置の好適な態様として、下記の実施形態の説明において例示する種々の付加的特徴も、荷卸し方法に組み込むことが可能であり、当該方法はそれぞれの付加的特徴に対応する作用効果も奏することができる。
【0017】
その場合における、荷卸し方法の特徴構成は、載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し方法であって、水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、を備えた荷卸し装置を用い、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程と、前記ずらし工程の後、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程と、前記クランプ工程の後、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程と、前記ずらし工程の後であって前記クランプ工程の前に、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を非押圧位置に戻す戻し工程と、を備えている。
【0018】
また、別の荷卸し方法の特徴構成は、載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し方法であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、を備えた荷卸し装置を用い、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程と、
前記ずらし工程の後、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程と、
前記クランプ工程の後、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程と、を備え、
前記ずらし工程及び前記クランプ工程では、
前記段積み物品群から離間した位置に設定された第1基準位置から、前記第1方向に沿って前記段積み物品群の側へ向けて前記第1押圧部材を移動させ、
前記段積み物品群から離間した位置に設定された第2基準位置から、前記第2方向に沿って前記段積み物品群の側へ向けて前記第2押圧部材を移動させ、
前記ずらし工程における前記第1押圧部材の前記第1方向の移動量は、前記クランプ工程における前記第1押圧部材の前記第1方向の移動量よりも大きく、
前記ずらし工程における前記第2押圧部材の前記第2方向の移動量は、前記クランプ工程における前記第2押圧部材の前記第2方向の移動量よりも大きい。
【0019】
また、更に別の荷卸し方法の特徴構成は、載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し方法であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、を備えた荷卸し装置を用い、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程と、
前記ずらし工程の後、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程と、
前記クランプ工程の後、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程と、を備え、
前記ずらし工程、前記クランプ工程、及び前記分離工程の組をずらし荷卸し工程として、複数段の前記部分物品群のうち、最上段の前記部分物品群から下側に向かって、最下段の直ぐ上の段の前記部分物品群まで、順に前記ずらし荷卸し工程を実行し、前記最下段の前記部分物品群に対しては、前記ずらし工程を実行せず、前記クランプ工程を実行し、その後、前記最下段の前記部分物品群を前記載置部と分離する最下段分離工程を実行する。
【0020】
また、更に別の荷卸し方法の特徴構成は、載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し方法であって、
水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、前記段積み物品群の種類とずらし工程の必要性の有無を示すずらし工程必要情報とを関連付けて記憶した記憶部と、を備えた荷卸し装置を用い、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧する前記ずらし工程と、
前記ずらし工程の後、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程と、
前記クランプ工程の後、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程と、を備え、
前記段積み物品群には複数の種類があり、
対象となっている前記段積み物品群の種類に関連付けられた前記ずらし工程必要情報を参照し、前記ずらし工程必要情報が必要性有りである場合には、前記ずらし工程を実行した後に前記クランプ工程及び前記分離工程を実行し、前記ずらし工程必要情報が必要性無しである場合には、前記ずらし工程を実行せずに前記クランプ工程及び前記分離工程を実行する。
【0021】
荷卸し装置、及び荷卸し方法のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】荷卸し装置、移載装置、搬送装置、昇降装置の側面図
【
図5】非押圧位置に位置する押圧部材及び部分物品群を模式的に示す平面図
【
図6】ずらし工程における押圧部材及び部分物品群を模式的に示す平面図
【
図7】ずらし工程における押圧部材及び部分物品群を模式的に示す平面図
【
図8】クランプ工程における押圧部材及び部分物品群を模式的に示す平面図
【
図9】押圧部材が非押圧位置に戻る工程を模式的に示す平面図
【
図10】別実施形態のずらし工程における押圧部材及び部分物品群を模式的に示す平面図
【
図11】ずらし工程における押圧部材、部分物品群、移動コンベヤを模式的に示す側面図
【
図12】クランプ工程における押圧部材、部分物品群、移動コンベヤを模式的に示す側面図
【
図13】分離工程における押圧部材、部分物品群、移動コンベヤを模式的に示す側面図
【
図14】分離工程後における押圧部材、部分物品群、移動コンベヤを模式的に示す側面図
【
図15】分離工程後における部分物品群の移動を模式的に示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.全体概要
以下に、荷卸し装置10を自動倉庫に適用した例について図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように、自動倉庫は、主要な構成として、荷卸し装置10と、昇降装置30と、移載装置50と、搬送装置90と、を備えている。本実施形態では、昇降装置30は、自動倉庫内の床部Fの上に設置されている。自動倉庫の床部Fと天井との間には、第2床部Gが設置されている。第2床部Gは、床部Fに対して上方に間隔を空けた位置に設置されている。本例では、荷卸し装置10と、移載装置50と、搬送装置90とは、この第2床部Gに設けられている。
【0024】
以下では、水平方向に沿うと共に、後述する段積み物品群WAの1つの側面に対向する方向を第1方向Xとし、水平方向に沿うと共に第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとする。また、第1方向Xの一方側を、第1方向第1側X1とし、他方側を第1方向第2側X2とする。同様に、第2方向Yの一方側を、第2方向第1側Y1とし、他方側を第2方向第2側Y2とする。
【0025】
2.搬送装置
搬送装置90は、荷卸し装置10によって荷卸しされた(分離された)部分物品群WBに係る物品Wを規定の搬送先へ搬送する装置である。
図1及び
図2に示すように、搬送装置90は、移載装置50に隣接して配置されている。本実施形態では、搬送装置90は、移載装置50に対して第1方向第2側X2に隣接している。本実施形態では、搬送装置90は、搬送コンベヤ91を備えている。搬送コンベヤ91は、物品Wを、第1方向第1側X1から第1方向第2側X2に向けて搬送する。本例では、搬送コンベヤ91はローラコンベヤである。
【0026】
3.移載装置
移載装置50は、荷卸し装置10から部分物品群WBを受け取って搬送装置90に引き渡す装置である。すなわち、移載装置50は、荷卸し装置10から搬送装置90に部分物品群WBを移載する。
図2及び
図3に示すように、移載装置50は、荷卸し装置10と搬送装置90との双方に隣接して配置されている。本実施形態では、移載装置50は、第1方向Xにおける荷卸し装置10と搬送装置90との間に配置されている。本例では、移載装置50は、第1方向Xにスライド移動自在な移動コンベヤ52を備えている。移動コンベヤ52は、第1方向Xに沿って、上下方向Zに沿う上下方向Z視で荷卸し装置10と重複する位置である受取位置(
図13~
図15に示す位置)と、搬送コンベヤ91に隣接する位置である引渡位置(
図1、
図2に示す位置)との間で移動する。受取位置では、移動コンベヤ52は、荷卸し装置10の下方に形成された空間E(
図4参照)に配置される。
本実施形態では、移動コンベヤ52は、受取位置において、荷卸し装置10から物品Wを受け取る。その後、移動コンベヤ52は、物品Wを第1方向第2側X2に向けて搬送しつつ第1方向第2側X2に移動する。そして、移動コンベヤ52は、引渡位置において物品Wを搬送コンベヤ91に引き渡す。
【0027】
本例では、移動コンベヤ52は、搬送コンベヤ91と同様に、第2方向Yに沿う回転軸回りに回転するように支持された複数のローラ53を備えたローラコンベヤである。複数のローラ53は、第1方向Xにそれぞれ隙間を開けて、第1方向Xに並んで配置されている。本例では、複数のローラ53のうちの1つにローラ駆動モータ(不図示)が用いられており、当該1つのローラ53を回転させることによって、当該ローラ53とギヤやチェーン等で連結された複数のローラ53の全てを回転させることができるように構成されている。従って、物品Wを載置した移動コンベヤ52が、受取位置から引渡位置に移動する間に、物品Wは、移動コンベヤ52上を、第1方向第2側X2に向けて移動する。また、移動コンベヤ52の搬送面の高さは、搬送コンベヤ91の搬送面の高さと、同じに設定されている。このため、移動コンベヤ52は、引渡位置において、物品Wを、搬送コンベヤ91に引き渡すことができる。
【0028】
4.昇降装置
昇降装置30は、段積み物品群WAを昇降させる装置である。この昇降装置30により、荷卸し装置10による荷卸し動作に適した位置に段積み物品群WAが供給される。
図1に示すように、昇降装置30は、荷卸し装置10の真下に設けられている。換言すると、昇降装置30は、荷卸し装置10と上下方向Z視で重複する位置において、荷卸し装置10よりも下側に設けられている。本実施形態では、昇降装置30は、荷卸し装置10の床部Fの上に設置されている。昇降装置30は、上下方向Zに沿うように立設された支柱32と、支柱32に沿って昇降する昇降体35と、を備えている。昇降体35は、段積み物品群WAを載置した載置部34を下方から支持するように構成されている。本例では、載置部34は、パレットである。昇降体35が昇降することにより、載置部34及び当該載置部34の上に載置された段積み物品群WAが昇降する。そして、昇降装置30は、昇降体35を昇降させることにより、荷卸し装置10の設置高さに対応する高さに段積み物品群WAを配置することができる。本例では、支柱32は、床部Fに固定されて一対設けられている。支柱32の上端と、荷卸し装置10の下端との間には、上述した移動コンベヤ52が進入可能な空間Eが形成されている。
【0029】
5.荷卸し装置
荷卸し装置10は、段積み物品群WAから、一部の段の部分物品群WBを分離して移動させることで、荷卸しを行う装置である。
図2に示すように、荷卸し装置10は、昇降装置30よりも上側に、当該昇降装置30と上下方向Z視で重複するように配置されている。また、荷卸し装置10は、移載装置50に隣接して配置されている。本実施形態では、荷卸し装置10は、移載装置50に対し第1方向第1側X1に配置されている。また、荷卸し装置10は、移動コンベヤ52の搬送面よりも上方に位置している。
【0030】
図12及び
図13に示すように、荷卸し装置10は、載置部34の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品Wである段積み物品群WAから、一部の段に属する複数の前記物品Wである部分物品群WBを分離して移動させる装置である。本実施形態では、荷卸し装置10は、複数段に段積みされた段積み物品群WAから、最上段の部分物品群WBを分離して移動させる。
図3に示すように、荷卸し装置10は、段積み物品群WAを挟んで第1方向Xに対向する第1押圧部材11及び第3押圧部材13と、段積み物品群WAを挟んで第2方向Yに対向する第2押圧部材12及び第4押圧部材14と、を備えている。荷卸し装置10は、第1押圧部材11と第3押圧部材13とによって、部分物品群WBを第1方向Xに挟んで把持する。また、荷卸し装置10は、第2押圧部材12と第4押圧部材14とによって、部分物品群WBを第2方向Yに挟んで把持する。本実施形態では、第1押圧部材11は、第3押圧部材13に対し、第1方向第1側X1に配置されている。第2押圧部材12は、第4押圧部材14に対し、第2方向第2側Y2に配置されている。以下では、第1押圧部材11、第2押圧部材12、第3押圧部材13、及び第4押圧部材14の4つをまとめて、適宜「押圧部材15」と総称する場合がある。
【0031】
本実施形態では、第1押圧部材11及び第3押圧部材13は、第1方向Xに移動自在に構成されている。同様に、第2押圧部材12及び第4押圧部材14は、第2方向Yに移動自在に構成されている。そして、第1押圧部材11と第3押圧部材13とが、第1方向Xに互いに近づくように移動することで、部分物品群WBは、第1押圧部材11と第3押圧部材13とによって、第1方向Xに挟まれて押圧される。同様に、第2押圧部材12と第4押圧部材14とが、第2方向Yに互いに近づくように移動することで、部分物品群WBは、第2押圧部材12と第4押圧部材14とによって、第2方向Yに挟まれて押圧される。本実施形態では、荷卸し装置10は、第1直動案内機構41と、第2直動案内機構42と、第3直動案内機構43と、第4直動案内機構44とを備えている。第1押圧部材11は、第1直動案内機構41に案内されて、第1方向Xに往復移動する。第2押圧部材12は、第2直動案内機構42に案内されて、第2方向Yに往復移動する。第3押圧部材13は、第3直動案内機構43に案内されて、第1方向Xに往復移動する。第4押圧部材14は、第4直動案内機構44に案内されて、第2方向Yに往復移動する。以下では、第1直動案内機構41、第2直動案内機構42、第3直動案内機構43、及び第4直動案内機構44の4つをまとめて、適宜「直動案内機構40」と総称する場合がある。本例では、
図3に示すように、直動案内機構40は、後述する駆動機構20を挟んでそれぞれ一対ずつ設けられている。また、直動案内機構40には、リニアガイドが用いられている。
【0032】
本実施形態での押圧部材15の構成について、より詳しく説明する。
図3及び
図4に示すように、荷卸し装置10は、枠体7と、押圧部材15を支持する支持部材8と、を更に備えている。枠体7は、4つの支持部材8を支持している。これにより、枠体7は、押圧部材15、これらを案内する直動案内機構40、及び、後述する駆動機構20を支持している。また、本実施形態では、荷卸し装置10に対して下側に昇降装置30が配置されているため、枠体7は、この昇降装置30に対して適切な高さに荷卸し装置10が配置されるように、荷卸し装置10を支持する機能も果たす。本例では、枠体7は、複数の柱状部材及び梁状部材が互いに連結されて構成されている。支持部材8は、枠体7上に設けられている(
図4参照)。また、支持部材8は、4つの押圧部材15に対応して、4つ設けられている。支持部材8には、直動案内機構40及び後述する駆動機構20が支持されている。押圧部材15は、直動案内機構40に支持されていると共に、駆動機構20に連結されている。このように押圧部材15は、直動案内機構40及び駆動機構20を介して、支持部材8に支持されている。本例では、第1押圧部材11と、第2押圧部材12と、第4押圧部材14とに対応する支持部材8は、それぞれ枠体7に固定されている。これに対し、第3押圧部材13に対応する支持部材8は、枠体7には固定されておらず、後述する第5直動案内機構45によって昇降可能な状態で枠体7に支持されている。
【0033】
本実施形態では、第1押圧部材11は、第1直動案内機構41により、支持部材8に対して第1方向Xに沿って往復移動自在となるように支持されている。第2押圧部材12は、第2直動案内機構42により、支持部材8に対して第2方向Yに沿って往復移動自在となるように支持されている。第3押圧部材13は、第3直動案内機構43により、支持部材8に対して第1方向Xに沿って往復自在となるように支持されている。第4押圧部材14は、第4直動案内機構44により、支持部材8に対して第2方向Yに沿って往復移動自在となるように支持されている。本例では、第1直動案内機構41の案内体(本例ではレール)が、支持部材8の上面に固定されている。第1直動案内機構41の移動体(本例ではスライダ)は、案内体(レール)に沿って第1方向Xに往復移動自在に案内される。第1押圧部材11は、当該移動体に、L型部材19を介して固定されている(
図4参照)。
これにより、第1押圧部材11は、第1直動案内機構41に案内されて、第1方向Xに沿って往復移動する。なお、第2直動案内機構42と第3直動案内機構43と第4直動案内機構44とのそれぞれは、対応する押圧部材15及び当該押圧部材15を往復移動させる方向が異なる以外、第1直動案内機構41と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0034】
本実施形態では、押圧部材15は、段積み物品群WAのうち、最上段の部分物品群WBを押圧する部材である。具体的には、4つの押圧部材15は、最上段の部分物品群WBの側面のうち、それぞれの押圧部材15と対向する面を押圧する。そのため、押圧部材15の大きさは、部分物品群WBの4つの側面の大きさに応じて設定されている。本例では、第1押圧部材11及び第3押圧部材13は、部分物品群WBの上下方向Zの寸法と、第2方向Yの寸法とを有するように形成されている。本例では、第1押圧部材11及び第3押圧部材13は、第1方向Xに沿う第1方向X視で、矩形状に形成されている。第2押圧部材12及び第4押圧部材14は、部分物品群WBの上下方向Zの寸法と、第1方向Xの寸法とを有するように形成されている。本例では、第2押圧部材12及び第4押圧部材14は、第2方向Yに沿う第2方向Y視で、矩形状に形成されている。
【0035】
また、本実施形態では、押圧部材15は、干渉回避部5を更に備えている(
図4参照)。これにより、隣り合う押圧部材15が同時期に段積み物品群WAの側に接近した場合でも、互いに干渉することなく、部分物品群WBを押圧できようになっている。干渉回避部5は、それぞれの押圧部材15の長手方向の両端部に設けられている。ここで、長手方向とは、第1押圧部材11及び第3押圧部材13では第2方向Yであり、第2押圧部材12及び第4押圧部材14では第1方向Xである。本例では、干渉回避部5は、押圧部材15の長手方向両端側に向けて凹凸形状となるように形成されている。図示の例では、第1押圧部材11は、第2方向Yの両端部分の一部が第2方向Yに向けて開口すると共に第1方向Xに貫通するように切り欠かれている。これにより、第1押圧部材11の第2方向Yの両端部に、凹凸形状の干渉回避部5が形成されている。また、第2押圧部材12は、第1方向Xの両端部分の一部が第1方向Xに向けて開口すると共に第2方向Yに貫通するように切り欠かれている。これにより、第2押圧部材12の第1方向Xの両端部に、凹凸形状の干渉回避部5が形成されている。そして、第1押圧部材11の凸部分が、第2押圧部材12の凹部分に応じた位置となる、すなわち、第1押圧部材11の凸部分と第2押圧部材12の凹部分とが同じ高さに配置されるように、第1押圧部材11の干渉回避部5と第2押圧部材12の干渉回避部5との上下方向Zの位置が設定されている。これにより、第1押圧部材11と第2押圧部材12とが、同時期に部分物品群WBを押圧する位置に移動した状態では、第1押圧部材11の第2方向第2側Y2端部の凸部分が、第2押圧部材12の第1方向第1側X1端部の凹部分に進入する。なお、第3押圧部材13の干渉回避部5は、第1押圧部材11の干渉回避部5と同じ構成であり、第4押圧部材14の干渉回避部5は、第2押圧部材12の干渉回避部5と同じ構成であるため、説明を省略する。このような構成であるため、隣り合う押圧部材15同士が、段積み物品群WAの側へ接近しても、互いに干渉することなく、最上段の部分物品群WBを押圧できる。
【0036】
本実施形態では、第1押圧部材11、第2押圧部材12、第3押圧部材13、及び、第4押圧部材14によって囲まれた領域が、段積み物品群WAが配置されると共に、これらの押圧部材15によって当該段積み物品群WAから部分物品群WBを分離するための荷卸し作業が行われる作業領域9となる。作業領域9は、上下方向Z視で矩形状の領域であり、段積み物品群WAが上下方向Zに通過可能な大きさに形成されている。作業領域9の上下方向Zの範囲は、4つの押圧部材15の上下方向Zにおける配置領域に相当する。
【0037】
昇降体35は、段積み物品群WAのうち最上段の部分物品群WBが、作業領域9に対応する高さに配置されるように、段積み物品群WAを昇降させる。そして、当該最上段の部分物品群WBは、4つの押圧部材15により上から2段目以降の部分物品群WBと分離される。移動コンベヤ52は、受取位置(
図13~
図15に示す位置)に配置された状態では、上下方向Z視で作業領域9と重複する。従って、作業領域9において分離された最上段の部分物品群WBは、作業領域9の下側に配置された移動コンベヤ52に載置されて引き渡される。
【0038】
本例では、段積み物品群WAを構成する複数の物品Wは、それぞれ同じ形状及び大きさの直方体形状である。物品Wは、例えば、飲料水や食品等を収容した段ボール箱である。
図示の例では、1段の部分物品群WBが、8個の段ボール箱で構成されている(
図3参照)。そして、これら8個で1段の部分物品群WBが、複数段、
図2に示す例では5段、載置部34の上に載置されている。
【0039】
図3及び
図4に示すように、荷卸し装置10は、第1押圧部材11を第1方向Xに沿って往復移動させる第1駆動機構21と、第2押圧部材12を第2方向Yに沿って往復移動させる第2駆動機構22と、第3押圧部材13を第1方向Xに沿って往復移動させる第3駆動機構23と、第4押圧部材14を第2方向Yに沿って往復移動させる第4駆動機構24と、を備えている。以下では、第1駆動機構21、第2駆動機構22、第3駆動機構23、第4駆動機構24の4つをまとめて、適宜「駆動機構20」と総称する場合がある。
4つの駆動機構20のそれぞれは、対応する押圧部材15に連結されている。本実施形態では、第1押圧部材11及び第1駆動機構21は、作業領域9に対して第1方向第1側X1に配置されている。第3押圧部材13及び第3駆動機構23は、作業領域9に対して第1方向第2側X2に配置されている。第2押圧部材12及び第2駆動機構22は、作業領域9に対して第2方向第2側Y2に配置されている。第4押圧部材14及び第4駆動機構24は、作業領域9に対して第2方向第1側Y1に配置されている。つまり、4組の押圧部材15及び駆動機構20は、上下方向Z視で、作業領域9を囲むように配置されている(
図3参照)。そして、第1押圧部材11と第3押圧部材13とが第1方向Xに互いに近接するように移動することで、部分物品群WBが第1方向Xに把持される。また、第2押圧部材12と第4押圧部材14とが第2方向Yに互いに近接するよう移動することで、部分物品群WBが第2方向Yに把持される。
【0040】
本実施形態では、
図3に示すように、第1駆動機構21は、第1押圧部材11の第1方向第1側X1を向く面の中央部に連結されている。そして、第1駆動機構21は、第1押圧部材11を第1方向Xに往復移動させるように駆動する。本例では、第1駆動機構21は気圧又は液圧によりロッドを第1方向Xに沿って出退させるように動作するシリンダである。ここでは、当該シリンダのロッドの先端が、第1押圧部材11の固定部材17に連結されている。なお、このシリンダとしては、例えば空気圧シリンダが好適に用いられる。上記のとおり、第1押圧部材11は、第1直動案内機構41により第1方向Xに沿って往復移動自在な状態で支持部材8に対して支持されている。従って、第1駆動機構21の駆動力により、第1押圧部材11は、第1方向Xに沿って往復移動する。なお、第2駆動機構22と第3駆動機構23と第4駆動機構24とのそれぞれは、対応する押圧部材15及び当該押圧部材15を往復移動させる方向が異なる以外、第1駆動機構21と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0041】
本実施形態では、荷卸し装置10は、退避機構18を更に備えている。退避機構18は、後述する分離工程の後、部分物品群WBを、移動コンベヤ52によって第1方向Xに移動させる場合に、部分物品群WBが、押圧部材15及び駆動機構20と干渉しないように、押圧部材15及び駆動機構20を退避させる機構である。本実施形態では、退避機構18は、移動コンベヤ52による部分物品群WBの移動軌跡と重複する位置に配置された押圧部材15及び駆動機構20、具体的には、第3押圧部材13及び第3駆動機構23を、当該移動軌跡と重複しないように上昇させて退避させる(
図15参照)。そのため、退避機構18は、第3押圧部材13を上下方向Zに沿って往復移動自在に案内する第5直動案内機構45と、第3押圧部材13を上下方向Zに沿って往復移動させる第5駆動機構25と、を備えている。本例では、上記のとおり、第5直動案内機構45には、第3押圧部材13に対応する支持部材8が固定されている。第5直動案内機構45には、リニアガイドが用いられている。また、第5駆動機構25には、気圧又は液圧によりロッドを上下方向Zに沿って出退させるように動作するシリンダが用いられている。ここでは、当該シリンダのロッドの先端が、第3押圧部材13に連結されている。なお、このシリンダとしては、例えば空気圧シリンダが好適に用いられる。これにより、第3押圧部材13と、第3駆動機構23と、第3直動案内機構43と、これらを支持する支持部材8とが、一体として、上下方向Zに沿って往復移動する。
【0042】
図3及び
図16に示すように、荷卸し装置10は、第1駆動機構21、第2駆動機構22、第3駆動機構23、及び第4駆動機構24を制御する制御装置Hを備えている。制御装置Hは、それぞれの駆動機構20と信号(例えば電気信号)を送受信可能に接続されており、複数の駆動機構20(第1駆動機構21、第2駆動機構22、第3駆動機構23、第4駆動機構24)を制御することにより、複数の押圧部材15(第1押圧部材11、第2押圧部材12、第3押圧部材13、第4押圧部材14)の動作を制御する。
【0043】
6.制御
制御装置Hは、荷卸し作業を行う場合に、ずらし工程と、クランプ工程と、分離工程とを、記載の順に実行する。また本実施形態では、制御装置Hは、ずらし工程の後であってクランプ工程の前に、戻し工程を実行する。
【0044】
ずらし工程は、第1駆動機構21及び第2駆動機構22を制御して、第1押圧部材11と第2押圧部材12とを同時期に又は時期をずらして段積み物品群WAの側へ移動させて、第1押圧部材11と第2押圧部材12とにより部分物品群WBの側面を押圧する工程である。本実施形態では、ずらし工程を実行する場合、制御装置Hは、昇降装置30を制御して、段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBを作業領域9に対応する高さに配置する。その状態で、制御装置Hは、ずらし工程を実行する。本実施形態では、制御装置Hは、第1押圧部材11と第2押圧部材12とを、時期をずらして段積み物品群WAの側へ移動させて、ずらし工程を実行する。ここで、「時期をずらして」とは、1つの押圧部材15の移動期間と他の1つの押圧部材15の移動期間とが重複しないことを指す。一方、「同時期に」とは、1つの押圧部材15の移動期間と他の1つの押圧部材15の移動期間とが重複することを指す。なお、1つの押圧部材15の移動期間と他の1つの押圧部材15の移動期間とに、少しでも重なる期間があれば「重複」に該当するが、1つの押圧部材15の移動期間と他の1つの押圧部材15の移動期間とが完全に一致していても「重複」に該当する。
【0045】
具体的には、
図6に示すように、制御装置Hは、最初に、第2押圧部材12を段積み物品群WAの側へ移動させるように、第2駆動機構22を制御する。ここでは、制御装置Hは、第2押圧部材12を、非押圧位置(
図5及び
図6の2点鎖線)から距離Pだけ段積み物品群WAの側へ移動させることで、第2押圧部材12により、最上段の部分物品群WBの側面を、第2方向第1側Y1に向けて押圧する。これにより、最上段の部分物品群WBは、それより下段の部分物品群WB(
図6の破線)に対し、第2方向第1側Y1にずれる。ここで、非押圧位置とは、押圧部材15が段積み物品群WAから離間した位置である。
本実施形態では、非押圧位置は、押圧部材15の移動範囲における、段積み物品群WAから最も離れた位置である。本例では、4つの押圧部材15は、非押圧位置に配置されており、ずらし工程、クランプ工程が実行された場合に、非押圧位置から段積み物品群WAの側へ移動する。
【0046】
次に、
図7に示すように、制御装置Hは、第1押圧部材11を段積み物品群WAの側へ移動させるように、第1駆動機構21を制御する。ここでは、制御装置Hは、第1押圧部材11を、非押圧位置(
図5及び
図7の2点鎖線)から距離Qだけ段積み物品群WAの側へ移動させることで、第1押圧部材11により、最上段の部分物品群WBを、第1方向第2側X2に向けて押圧する。これにより、最上段の部分物品群WBは、それより下段の部分物品群WB(
図7の破線)に対し、第1方向第2側X2にずれる。このように、第1押圧部材11と第2押圧部材12とを時期をずらして段積み物品群WAの側へ移動させることで、部分物品群WBに対して一方向の押圧力を先に作用させ、その後それに直交する方向の押圧力を作用させることになる。よって、複数段の部分物品群WB同士が糊などで接着されている場合であって接着強度が比較的強い場合でも、当該接着を剥がして適切に部分物品群WB同士を分離することができる。
【0047】
本実施形態では、
図7及び
図11に示すように、ずらし工程において、第1押圧部材11が押圧する期間中、第3押圧部材13が、第1隙間Lを有して部分物品群WBの側面に対向する。ここで、第1隙間Lは、第3押圧部材13に対向する物品Wにおける第1方向Xの長さの半分以下である。このようにすることで、第1押圧部材11が押圧する期間中に、第3押圧部材13に対向する物品Wが、第3押圧部材13の側に落下しないように支えることができる。本例では、第1押圧部材11が押圧する期間中、第3押圧部材13は、非押圧位置に位置している。従って、第1隙間Lは、非押圧位置に位置している第3押圧部材13と、部分物品群WBとの間の隙間である。本例では、第1隙間Lの第1方向Xの長さは、第3押圧部材13に対向する物品Wにおける第1方向Xの長さの4分の1以下となるよう設定されている。
【0048】
本実施形態では、
図6に示すように、ずらし工程において、第2押圧部材12が押圧する期間中、第4押圧部材14が、第2隙間Mを有して部分物品群WBの側面に対向する。
ここで、第2隙間Mは、第4押圧部材14に対向する物品Wにおける第2方向Yの長さの半分以下である。このようにすることで、第2押圧部材12が押圧する期間中に、第4押圧部材14に対向する物品Wが、第4押圧部材14の側に落下しないように支えることができる。本例では、第2押圧部材12が押圧する期間中、第4押圧部材14は、非押圧位置に位置している。従って、第2隙間Mは、非押圧位置に位置している第4押圧部材14と、部分物品群WBとの間の隙間である。本例では、第2隙間Mの第2方向Yの長さは、第4押圧部材14に対向する物品Wにおける第2方向Yの長さの4分の1以下となるよう設定されている。
【0049】
本実施形態では、戻し工程は、ずらし工程の後であってクランプ工程の前に、第1駆動機構21及び第2駆動機構22を制御して、第1押圧部材11及び第2押圧部材12を非押圧位置に戻す工程である。本実施形態では、第1押圧部材11に対するずらし工程が完了すると、制御装置Hは、第1押圧部材11に対し、戻し工程を実行する。具体的には、制御装置Hは、押圧状態の第1押圧部材11を、第1方向第1側X1へ向けて移動させるよう第1駆動機構21を制御する。これにより、第1押圧部材11は、非押圧位置に戻る。また、第2押圧部材12に対するずらし工程が完了すると、制御装置Hは、第2押圧部材12に対し、戻し工程を実行する。具体的には、制御装置Hは、第2押圧部材12を、第2方向第2側Y2へ移動させるよう第2駆動機構22を制御する。これにより、第2押圧部材12は、非押圧位置に戻る。なお、本例では、制御装置Hが、ずらし工程及び戻し工程を実行する間、第3押圧部材13及び第4押圧部材14は、非押圧位置に配置されている。
【0050】
図8及び
図12に示すように、クランプ工程は、第3駆動機構23及び第4駆動機構24を制御して、第3押圧部材13と第4押圧部材14とを同時期に又は時期をずらして段積み物品群WAの側へ移動させて、第1押圧部材11と第3押圧部材13との間に部分物品群WBを挟むと共に、第2押圧部材12と第4押圧部材14との間に部分物品群WBを挟む工程である。本実施形態では、上記のとおりクランプ工程の前に戻し工程を実行しているので、制御装置Hは、クランプ工程において、第3押圧部材13の移動と同時期に第1押圧部材11を段積み物品群WAの側へ移動させて、第1押圧部材11と第3押圧部材13との間に部分物品群WBを挟む。また、第4押圧部材14の移動と同時期に第2押圧部材12を段積み物品群WAの側へ移動させて、第2押圧部材12と第4押圧部材14との間に部分物品群WBを挟む。更に本実施形態では、制御装置Hは、クランプ工程において、第3押圧部材13と第4押圧部材14とを、同時期に段積み物品群WAの側へ移動させる。すなわち、制御装置Hは、クランプ工程において、非押圧位置に配置されている第1押圧部材11と第2押圧部材12と第3押圧部材13と第4押圧部材14とを同時期に段積み物品群WAの側へ移動させるよう、駆動機構20を制御する(
図8参照)。具体的には、制御装置Hは、第1押圧部材11及び第3押圧部材13を、非押圧位置から第1方向Xにおける段積み物品群WAの側へそれぞれ距離Sだけ移動させるように、第1駆動機構21と第3駆動機構23とを制御する(
図8参照)。同様に、制御装置Hは、第2押圧部材12及び第4押圧部材14を、非押圧位置から第2方向Yにおける段積み物品群WAの側へそれぞれ距離Rだけ移動させるよう、第2駆動機構22と第4駆動機構24とを制御する。これにより、第1押圧部材11及び第3押圧部材13が、部分物品群WBを第1方向Xに挟んで押圧すると共に、第2押圧部材12及び第4押圧部材14が、部分物品群WBを第2方向Yに挟んで押圧する。従って、部分物品群WBは、4つの押圧部材15によって把持される。
【0051】
本実施形態では、
図6~
図8に示すように、第1駆動機構21は、段積み物品群WAから離間した位置に設定された第1基準位置Uから、第1方向Xに沿って段積み物品群WAの側へ向けて第1押圧部材11を移動させることでずらし工程及びクランプ工程を実行し、ずらし工程における第1押圧部材11の第1方向Xの移動量は、クランプ工程における第1押圧部材11の第1方向Xの移動量よりも大きい。本例では、上述した第1押圧部材11の非押圧位置が第1基準位置Uである。ずらし工程では、第1押圧部材11は、第1基準位置Uから、距離Qだけ第1方向第2側X2に移動する。クランプ工程では、第1押圧部材11は、第1基準位置Uから、距離Sだけ第1方向第2側X2に移動する。そして、距離Qは、距離Sよりも大きく設定されている(Q>S)。なお、第1基準位置Uは、基準となる位置であれば良いため、第1押圧部材11の非押圧位置に一致している必要はない。
【0052】
本実施形態では、
図6~
図8に示すように、第2駆動機構22は、段積み物品群WAから離間した位置に設定された第2基準位置Vから、第2方向Yに沿って段積み物品群WAの側へ向けて第2押圧部材12を移動させることでずらし工程及びクランプ工程を実行し、ずらし工程における第2押圧部材12の第2方向Yの移動量は、クランプ工程における第2押圧部材12の第2方向Yの移動量よりも大きい。本例では、上述した第2押圧部材12の非押圧位置が第2基準位置Vである。ずらし工程では、第2押圧部材12は、第2基準位置Vから、距離Pだけ第2方向第1側Y1に移動する。クランプ工程では、第2押圧部材12は、第1基準位置Uから、距離Rだけ第2方向第1側Y1に移動する。そして、距離Pは、距離Rよりも大きく設定されている(P>R)。なお、第2基準位置Vは、基準となる位置であれば良いため、第2押圧部材12の非押圧位置に一致している必要はない。
【0053】
図13に示すように、分離工程は、第1押圧部材11と第3押圧部材13と第2押圧部材12と第4押圧部材14とにより挟んだ部分物品群WBを、それより下の段の部分物品群WBと分離する工程である。本実施形態では、分離工程は、第1押圧部材11と第3押圧部材13と第2押圧部材12と第4押圧部材14とにより押圧把持された最上段の部分物品群WBと、上から2段目以降の部分物品群WBとを上下方向Zに分離する工程である。本例では、分離工程を実行する場合、制御装置Hは、最上段の部分物品群WBを押圧部材15により押圧把持した状態で、昇降体35を下降させるように昇降装置30を制御する。これにより、押圧把持された最上段の部分物品群WBは、載置部34に載置された残りの部分物品群WB(上から2段目以降の部分物品群WB)に対して相対的に持ち上げられる。本例では、制御装置Hは、載置部34に載置された残りの段積み物品群WAのうち、最上段の部分物品群WB(分離工程の実行前は、上から2段目であった部分物品群WB)の上端が、空間Eに配置される移動コンベヤ52の下端よりも下に位置するように、昇降体35を下降させる。その後、制御装置Hは、移動コンベヤ52を引渡位置から受取位置に移動させるように、移載装置50を制御する(
図13参照)。そして、
図9及び
図14に示すように、制御装置Hは、第1押圧部材11と第3押圧部材13と第2押圧部材12と第4押圧部材14とのそれぞれを非押圧位置に戻すように、第1駆動機構21と第2駆動機構22と第3駆動機構23と第4駆動機構24とを制御する。これにより、部分物品群WBは、移動コンベヤ52の搬送面上に載置される。
【0054】
本実施形態では、ずらし工程、クランプ工程、及び分離工程の組をずらし荷卸し工程として、制御装置Hは、複数段の部分物品群WBのうち、最上段の部分物品群WBから下側に向かって、最下段の直ぐ上の段の部分物品群WBまで、順にずらし荷卸し工程を実行する。制御装置Hは、上述した分離工程を実行後、載置部34に載置された残りの段積み物品群WAにおける最上段の部分物品群WBを、作業領域9に対応する高さに配置するように、昇降装置30を制御する。具体的には、制御装置Hは、部分物品群WBを載置した移動コンベヤ52を引渡位置に移動させた後、昇降体35を上昇させて、載置部34上の段積み物品群WAのうち最上段の部分物品群WBを、作業領域9に対応する高さに配置させる。その後、制御装置Hは、ずらし工程、(本例では、戻し工程、)クランプ工程、及び分離工程を、各段の部分物品群WBに対して順次実行する。このようにして、制御装置Hは、最下段の直ぐ上の段の部分物品群WBまで、ずらし荷卸し工程を繰り返し実行する。
【0055】
そして、本実施形態では、制御装置Hは、最下段の部分物品群WBに対しては、ずらし工程を実行せず、クランプ工程を実行し、その後、最下段の部分物品群WBを載置部34と分離する最下段分離工程を実行する。最下段の部分物品群WBは、下側を向く面に糊等が付着していない。そのため、制御装置Hは、最下段の部分物品群WBに対しては、ずらし工程を実行しない。本例では、最下段の部分物品群WBが、作業領域9に対応する高さに配置されると、制御装置Hは、クランプ工程を実行する。その後、制御装置Hは、最下段分離工程を実行する。本例では、制御装置Hは、昇降装置30を制御して、載置部34の載置面が、空間Eに配置される移動コンベヤ52の下端よりも下に位置するように、昇降体35を下降させる。これにより、最下段の部分物品群WBが、載置部34と分離する。そして、制御装置Hは、第1押圧部材11と第3押圧部材13と第2押圧部材12と第4押圧部材14とのそれぞれを非押圧位置に戻すように、第1駆動機構21と第2駆動機構22と第3駆動機構23と第4駆動機構24とを制御する。これにより、最下段の部分物品群WBは、移動コンベヤ52の搬送面上に載置される。
【0056】
本実施形態では、段積み物品群WAには複数の種類があり、制御装置Hは、段積み物品群WAの種類と、ずらし工程の必要性の有無を示すずらし工程必要情報Bとを関連付けて記憶した記憶部Aを備えている(
図16参照)。本例では、段積み物品群WAには、収容されている製品(例えば、飲料水や食品等)ごとに複数の種類が存在する。そして、段積み物品群WAの種類ごとに、上下に隣接する部分物品群WB同士の接着力の強さが異なっている。また、段積み物品群WAの種類によっては、上下に隣接する部分物品群WB同士が接着されていない場合もある。記憶部Aには、自動倉庫に入庫されている複数の段積み物品群WAのそれぞれの種類を示す情報が記憶されている。また、記憶部Aには、自動倉庫に入庫されている段積み物品群WAの種類と、ずらし工程必要情報Bとが関連付けて記憶されている。なお、記憶部Aは、制御装置Hが備える記録媒体を用いて構成されている。例えば、上下に隣接する部分物品群WB同士が接着されていない種類の段積み物品群WAや、上下に隣接する部分物品群WB同士の接着力が非常に弱い種類の段積み物品群WAに対しては、ずらし工程を実行する必要がない。そこで、本実施形態では、制御装置Hは、対象となっている段積み物品群WAの種類に関連付けられたずらし工程必要情報Bを参照し、ずらし工程必要情報Bが必要性有りである場合には、ずらし工程を実行した後にクランプ工程及び分離工程を実行し、ずらし工程必要情報Bが必要性無しである場合には、ずらし工程を実行せずにクランプ工程及び分離工程を実行する。
【0057】
7.分離検知部
本実施形態では、
図4及び
図16に示すように、荷卸し装置10は、分離工程が適正に行われたか否かを検知する分離検知部70を更に備えている。本例では、分離検知部70は、制御装置Hが分離工程を実行した後、作業領域9の真下の空間Eに物品Wが存在しているか否かを検知する。ここで、分離工程が適正に行われなかった場合とは、制御装置Hが分離工程を実行後、最上段の部分物品群WBと、上から2段目以降の部分物品群WBとが完全に分離されていないことをいう。この場合、分離工程の実行後の空間Eに、少なくとも1つの物品Wが存在する。具体的には、分離工程の実行後、荷卸しされる部分物品群WB(最上段の部分物品群WB)に付着した状態の物品W(上から2段目の部分物品群WBを構成する物品W)が空間Eに存在する場合や、荷卸しされる部分物品群WBを構成する一部の物品Wが、載置部34に載置された段積み物品群WAの最上段に残った状態で、空間Eに存在する場合等がある。従って、分離検知部70は、空間Eに残存する物品Wを検出することで、分離工程が適正に行われていないことを検知する。本例では、分離検知部70は、反射型の光センサ72を備えている。図示の例では、光センサ72は、空間Eに対して第1方向Xの一方側に配置されている(
図4参照)。また、第2方向Yに複数の光センサ72が並んで配置されている。ここで、第2方向Yに並ぶ光センサ72の数は、部分物品群WBにおける第2方向Yに並ぶ物品Wの数と同数であると好適である。なお、複数の光センサ72が、空間Eに対して第2方向Yの一方側において第1方向Xに並んで配置されていても良い。
【0058】
8.荷卸し方法
以下では、本実施形態における荷卸し方法について、
図17に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0059】
制御装置Hは、先ず、
図5及び
図11に示すように、昇降体35を上昇させて、段積み物品群WAの最上段の部分物品群WBを、作業領域9に対応する高さに配置する(S1)。
【0060】
その後、制御装置Hは、ずらし工程必要情報Bを参照して(S2)、段積み物品群WAに対するずらし工程を実行するか否かを判断する。ずらし工程必要情報Bが、必要性ありの場合はずらし工程を実行すると判断する(S3:YES)。その場合、制御装置Hは、ずらし工程及び戻し工程を実行するよう、第1駆動機構21と第2駆動機構22とを制御する(S4~S5)。具体的には、制御装置Hは、第1押圧部材11と第2押圧部材12とを、時期をずらして段積み物品群WAの側へ移動させて、ずらし工程を実行する(S4)。そして、第1押圧部材11に対するずらし工程の実行後、制御装置Hは、押圧状態の第1押圧部材11を、非押圧位置に移動させる戻し工程を実行する(S5)。同様に、第2押圧部材12に対するずらし工程の実行後、制御装置Hは、押圧状態の第2押圧部材12を、非押圧位置に移動させる戻し工程を実行する(S5)。
【0061】
その後、制御装置Hは、クランプ工程を実行するよう、第1駆動機構21と第2駆動機構22と第3駆動機構23と第4駆動機構24とを制御する(S6)。クランプ工程を実行することで、部分物品群WBは、第1押圧部材11と第3押圧部材13との間に挟まれる。同様に、部分物品群WBは、第2押圧部材12と第4押圧部材14との間に挟まれる。
【0062】
ここで、制御装置Hは、ずらし工程必要情報Bを参照して(S2)、ずらし工程必要情報Bが必要性なしであれば、段積み物品群WAに対するずらし工程を実行しないと判断する(S3:No)。この場合、制御装置Hは、ずらし工程及び戻し工程を実行せずに、クランプ工程を実行する(S6)。
【0063】
その後、制御装置Hは、分離工程を実行する(S7)。具体的には、制御装置Hは、昇降体35を下降させることで、分離工程を実行する(
図13参照)。このように、荷卸し方法は、ずらし工程と、クランプ工程と、分離工程とを備えている。また、荷卸し方法は、戻し工程を更に備えている。
【0064】
分離工程の完了後、制御装置Hは、分離検知部70を制御して、分離工程が適正に行われたか否かを判断する(S8)。制御装置Hは、分離工程の完了後、空間Eに物品Wの存在が検出されなければ、分離工程が適正に行われたと判断する(S8:YES)。その場合、制御装置Hは、移動コンベヤ52を引渡位置から受取位置へ移動させるように、移載装置50を制御する(S9)。その後、制御装置Hは、第1押圧部材11と第2押圧部材12と第3押圧部材13と第4押圧部材14とを非押圧位置に戻すよう、それぞれの駆動機構20を制御する(S10)。これにより、部分物品群WBは、移動コンベヤ52の搬送面上に載置される。その後、制御装置Hは、第3押圧部材13を退避させるよう、退避機構18を制御する(S11)。具体的には、制御装置Hは、
図15に示すように、第3押圧部材13と第3駆動機構23と第3直動案内機構43とを、これらを支持する支持部材8と共に上昇させる。その後、制御装置Hは、移動コンベヤ52を受取位置から引渡位置へ移動させるように、移載装置50を制御する(S12)。移動コンベヤ52が引渡位置に移動すると、制御装置Hは、移動コンベヤ52のローラ駆動モータを駆動して移載制御を実行する(s13)。これにより、移動コンベヤ52上の部分物品群WBが、搬送コンベヤ91に移載される。
【0065】
ここで、制御装置Hは、分離工程の終了後、空間Eに物品Wの存在が検出されれば、分離工程が適正に行われなかったと判断する(S8:No)。その場合、制御装置Hは、荷卸し動作を停止させる(S14)。具体的には、制御装置Hは、駆動機構20を制御して、押圧部材15の動作を停止させる。そして、制御装置Hは、移載装置50を制御して、移動コンベヤ52の動作を停止させる。本例では、制御装置Hは、報知部60を備えている(
図16参照)。このため、制御装置Hは、荷卸し動作を停止させると、自動倉庫内に設けられたランプ61及びブザー62の少なくとも1つを作動させて報知させるように、報知部60を制御する。次に、制御装置Hは、分離工程が適正に行われなかったと判断された段積み物品群WAの種類を判別する(S16)。そして、制御装置Hは、当該段積み物品群WAの種類に関連するずらし工程必要情報Bを必要性ありとして記憶部Aに記憶させる(S17)。本実施形態では、制御装置Hは、ずらし工程を実行せずにクランプ工程及び分離工程を実行した場合であって、分離検知部70により分離工程が適正に行われなかったことが検知された場合には、適正に行われなかった分離工程に係る段積み物品群WAの種類に関連付けられたずらし工程必要情報Bを必要性有りとして記憶部Aに記憶する。これにより、次回、当該段積み物品群WAと同じ種類の段積み物品群WAに対する荷卸しを行う場合に、制御装置Hは、当該段積み物品群WAに対するずらし工程を実行するよう、第1駆動機構21と第2駆動機構22とを制御することになる。
【0066】
次に、
図18に示すように、制御装置Hは、載置部34に載置された残りの段積み物品群WAが、最下段の部分物品群WBのみであるか否かを判断する(S18)。制御装置Hが、残りの段積み物品群WAについて最下段の部分物品群WBのみでないと判断した場合(S18:No)、上述した制御装置Hによる各工程(B:S1~S17)が繰り返される。制御装置Hが、残りの段積み物品群WAについて最下段の部分物品群WBのみであると判断した場合(S18:YES)、制御装置Hは、最下段の部分物品群WBに対し、ずらし工程を実行せずに、クランプ工程を実行する(S19)。その後、制御装置Hは、最下段分離工程を実行する(S20)。具体的には、制御装置Hは、昇降装置30を制御して、昇降体35を下降させる。このように、荷卸し方法は、最下段分離工程を更に備えている。
【0067】
最下段分離工程が完了すると、制御装置Hは、分離検知部70を制御して、最下段分離工程が適正に行われたか否かを判断する(S21)。制御装置Hは、最下段分離工程の完了後、空間Eに物品Wの存在が検出されなければ、分離工程が適正に行われたと判断する(S21:YES)。また、制御装置Hは、最下段分離工程の終了後、空間Eに物品Wの存在が検出されれば、最下段分離工程が適正に行われなかったと判断する(S21:No)。
【0068】
最下段分離工程におけるその後の工程(S22~S28)は、上述した最上段の部分物品群WBから最下段の直ぐ上の段の部分物品群WBまでの荷卸し工程(S9~15)と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
9.その他の実施形態
次に、荷卸し装置、及び荷卸し方法のその他の実施形態について説明する。
【0070】
(1)上記の実施形態では、制御装置Hは、ずらし工程において、第1押圧部材11と第2押圧部材12とを時期をずらして段積み物品群WAの側へ移動させるように制御する構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば、
図10に示すように、制御装置Hは、ずらし工程において、第1押圧部材11と第2押圧部材12とを同時期に段積み物品群WAの側へ移動させるように、第1駆動機構21と第2駆動機構22とを制御する構成としても良い。この場合、制御装置Hは、第1押圧部材11と第2押圧部材12とが、同時に段積み物品群WAへ向けて移動を開始し、同時に停止をしても良いし、第1押圧部材11と第2押圧部材12とが時間差を有して段積み物品群WAへ向けて移動を開始し、時間差を有して停止をしても良い。つまり、第1押圧部材11の移動期間と第2押圧部材12の移動期間とが重複するように制御されると良い。
【0071】
(2)上記の実施形態では、制御装置Hは、クランプ工程において、第1押圧部材11と第2押圧部材12と第3押圧部材13と第4押圧部材14とを同時期に段積み物品群WAの側へ移動させるように、駆動機構20を制御する構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば、制御装置Hは、最初に第1押圧部材11と第3押圧部材13とが同時期に段積み物品群WAの側へ移動するように、第1駆動機構21と第3駆動機構23とを制御し、その後、第2押圧部材12と第4押圧部材14とが同時期に段積み物品群WAの側へ移動するように、第2駆動機構22と第4駆動機構24とを制御する構成としても良い。
【0072】
(3)上記の実施形態では、ずらし工程において、第1隙間Lの第1方向Xの長さが、第3押圧部材13に対向する物品Wにおける第1方向Xの長さの半分以下となるよう設定し、第2隙間Mの第2方向Yの長さが、第4押圧部材14に対向する物品Wにおける第2方向Yの長さの半分以下となるよう設定した構成を例として説明した。しかしそのような構成には限定されない。例えば、第1隙間Lの第1方向Xの長さが、第3押圧部材13に対向する物品Wにおける第1方向Xの長さの半分より大きくても良く、例えば当該物品Wにおける第1方向Xの長さの3分の2程度でも良い。また、第2隙間Mの第2方向Yの長さが、第4押圧部材14に対向する物品Wにおける第2方向Yの長さの半分より大きくても良く、例えば当該物品Wにおける第2方向Yの長さの3分の2程度でも良い。第1隙間Lの第1方向Xの長さと第2隙間Mの第2方向Yの長さとのそれぞれは、物品Wが落下しない程度であれば、適宜変更可能である。
【0073】
(4)上記の実施形態では、制御装置Hは、第1押圧部材11に対するずらし工程の実行後、第1押圧部材11を非押圧位置に戻す戻し工程を実行し、第2押圧部材12に対するずらし工程の実行後、第2押圧部材12を非押圧位置に戻す戻し工程を実行する構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、制御装置Hは、ずらし工程の後、第1押圧部材11と第2押圧部材12とに対し、戻し工程を実行せずに、クランプ工程を実行しても良い。
【0074】
(5)上記の実施形態では、制御装置Hは、最上段の部分物品群WBから、最下段の直ぐ上の段の部分物品群WBまで、ずらし荷卸し工程を繰り返し実行し、最下段の部分物品群WBに対しては、ずらし工程を実行せず、クランプ工程及び最下段分離工程を実行する例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、制御装置Hは、最下段の部分物品群WBに対しても、ずらし荷卸し工程を実行しても良い。
【0075】
(6)上記の実施形態では、制御装置Hは、段積み物品群WAの種類と、ずらし工程の必要性の有無を示すずらし工程必要情報Bとを関連付けて記憶した記憶部Aを備える構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば、制御装置Hは、このような記憶部Aを備えなくても良い。この場合、例えば、ずらし工程が必要な段積み物品群WAには、バーコード等による被検知部を設け、荷卸し装置にバーコード読取り機等による検知部を設けて、検知部により検知された段積み物品群WAに対して、ずらし工程を実行すると好適である。或いは、制御装置Hは、ずらし工程の必要性の有無を判断せず、全ての種類の段積み物品群WAについてずらし工程を実行するようにしても良い。
【0076】
(7)上記の実施形態では、分離検知部70が光センサ72を備え、制御装置Hは、分離工程の実行後、光センサ72により空間Eに物品Wが存在するか否かを検出することで、分離工程が適切に行われたか否かを検知する構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されない。例えば、分離検知部70が、撮像装置を備えた構成としても良い。
この場合、作業領域9の下方の空間Eを撮像可能な位置に撮像装置を配置し、分離工程の実行後に空間Eを撮像することで、物品Wが空間Eに存在するか否かを検出する構成とすると好適である。
【0077】
(8)上記の実施形態では、移載装置50が、第1方向Xにスライド移動自在な移動コンベヤ52を用いて構成された例について説明したが、これには限定されない。移載装置50は、移動コンベヤ52に代えて、第1方向Xにスライド移動自在な載置板と、当該載置板に載置された部分物品群WB又は当該部分物品群WBを構成する物品Wを把持して搬送装置90に引き渡す移載機構等を備えた構成としても良い。或いは、移載装置50は、ロボットアーム等を備えて構成され、荷卸し装置10において分離された部分物品群WB又は当該部分物品群WBを構成する物品Wを保持して搬送装置90に移載する構成であっても良い。
【0078】
(9)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0079】
10.上記実施形態の概要
以下では、上記において説明した荷卸し装置、及び荷卸し方法の概要について説明する。
【0080】
荷卸し装置は、載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し装置であって、水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、前記第1駆動機構、前記第2駆動機構、前記第3駆動機構、及び前記第4駆動機構を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程を実行し、その後、前記第3駆動機構及び前記第4駆動機構を制御して、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程を実行し、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程を実行する。
【0081】
ところで、段積み物品群を構成する複数段の部分物品群同士が、搬送中の荷崩れ防止などの目的で、互いに糊などで接着されている場合がある。このような場合、通常の荷卸し動作では、隣接する段の部分物品群同士の接着を適切に分離させることができず、適切に荷卸し動作を行うことができないことがある。
【0082】
本構成によれば、ずらし工程を実行することで、一部の部分物品群のみに、それより下の段の部分物品群に対して水平方向にずらす力を作用させて、当該一部の部分物品群とその下側に隣接する段の部分物品群との間の糊などによる接着を剥がすことができる。そして、ずらし工程の実行後、クランプ工程と分離工程とを実行するため、一部の部分物品群をそれより下の段の部分物品群から分離させ、適切に荷卸し動作を行うことができる。
【0083】
このように、本構成によれば、上下2段の押圧部材を備えた構成に比べて、より簡易な装置構成で、段積み物品群から部分物品群を適切に分離して移動させることができる。
【0084】
ここで、前記ずらし工程において、前記第1押圧部材が押圧する期間中、前記第3押圧部材が、第1隙間を有して前記部分物品群の側面に対向し、前記ずらし工程において、前記第2押圧部材が押圧する期間中、前記第4押圧部材が、第2隙間を有して前記部分物品群の側面に対向し、前記第1隙間は、前記第3押圧部材に対向する前記物品における前記第1方向の長さの半分以下であり、前記第2隙間は、前記第4押圧部材に対向する前記物品における前記第2方向の長さの半分以下であると好適である。
【0085】
本構成によれば、ずらし工程で押圧された部分物品群を構成する一部の物品が、押圧方向に落下しないように、第3押圧部材及び第4押圧部材により、押圧された物品を支えることができる。
【0086】
また、前記ずらし工程の後であって前記クランプ工程の前に、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御して、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を非押圧位置に戻す戻し工程を実行すると好適である。
【0087】
本構成によれば、戻し工程を実行することで、クランプ工程において、第1押圧部材と第3押圧部材との間の第1方向の中央位置、及び、第2押圧部材と第4押圧部材との間の第2方向の中央位置のそれぞれの近い位置で部分物品群を挟み、分離工程で当該部分物品群を持ち上げることができる。従って、ずらし工程で押圧した後の第1押圧部材及び第2押圧部材の位置においてクランプ工程を開始することで部分物品群に対するクランプ位置が中央位置からずれた状態となる事態が生じることを回避できる。
【0088】
また、前記第1駆動機構は、前記段積み物品群から離間した位置に設定された第1基準位置から、前記第1方向に沿って前記段積み物品群の側へ向けて前記第1押圧部材を移動させることで前記ずらし工程及び前記クランプ工程を実行し、前記第2駆動機構は、前記段積み物品群から離間した位置に設定された第2基準位置から、前記第2方向に沿って前記段積み物品群の側へ向けて前記第2押圧部材を移動させることで前記ずらし工程及び前記クランプ工程を実行し、前記ずらし工程における前記第1押圧部材の前記第1方向の移動量は、前記クランプ工程における前記第1押圧部材の前記第1方向の移動量よりも大きく、前記ずらし工程における前記第2押圧部材の前記第2方向の移動量は、前記クランプ工程における前記第2押圧部材の前記第2方向の移動量よりも大きいと好適である。
【0089】
本構成によれば、第1押圧部材及び第2押圧部材について、ずらし工程における移動量が、クランプ工程における移動量より大きい。これにより、部分物品群を、それより下の段の部分物品群に対して大きくずらすことができる。従って、部分物品群同士を適切に分離することができる。
【0090】
また、前記ずらし工程、前記クランプ工程、及び前記分離工程の組をずらし荷卸し工程として、前記制御装置は、複数段の前記部分物品群のうち、最上段の前記部分物品群から下側に向かって、最下段の直ぐ上の段の前記部分物品群まで、順に前記ずらし荷卸し工程を実行し、前記最下段の前記部分物品群に対しては、前記ずらし工程を実行せず、前記クランプ工程を実行し、その後、前記最下段の前記部分物品群を前記載置部と分離する最下段分離工程を実行すると好適である。
【0091】
通常、最上段から順に荷卸し工程を実行し、最下段の部分物品群まで到達した場合、最下段の部分物品群には糊などで接着された他の部分物品群が存在しない。そのため、最下段の部分物品群には、ずらし工程は不要である。本構成によれば、不要なずらし工程を省略できるので、その分、荷卸しに要する時間を短縮できる。そして、最下段の部分物品群に対しては、クランプ工程の実行後、最下段の部分物品群を載置部と分離する最下段分離工程が実行される。従って、最下段の部分物品群に対しても、適切に荷卸し動作を行うことができる。
【0092】
また、前記段積み物品群には複数の種類があり、前記制御装置は、前記段積み物品群の種類と、前記ずらし工程の必要性の有無を示すずらし工程必要情報とを関連付けて記憶した記憶部を備え、前記制御装置は、対象となっている前記段積み物品群の種類に関連付けられた前記ずらし工程必要情報を参照し、前記ずらし工程必要情報が必要性有りである場合には、前記ずらし工程を実行した後に前記クランプ工程及び前記分離工程を実行し、前記ずらし工程必要情報が必要性無しである場合には、前記ずらし工程を実行せずに前記クランプ工程及び前記分離工程を実行すると好適である。
【0093】
本構成によれば、制御装置は、ずらし工程の必要な部分物品群に対しては、ずらし工程を実行した後にクランプ工程及び分離工程を実行するが、ずらし工程の不要な部分物品群に対しては、ずらし工程を実行せずに、クランプ工程及び分離工程を実行することができる。すなわち、本構成によれば、ずらし工程が不要な場合には当該ずらし工程を省略できるので、その分、荷卸しに要する時間を短縮できる。
【0094】
また、前記分離工程が適正に行われたか否かを検知する分離検知部を更に備え、前記制御装置は、前記ずらし工程を実行せずに前記クランプ工程及び前記分離工程を実行した場合であって、前記分離検知部により前記分離工程が適正に行われなかったことが検知された場合には、適正に行われなかった前記分離工程に係る前記段積み物品群の種類に関連付けられた前記ずらし工程必要情報を必要性有りとして前記記憶部に記憶すると好適である。
【0095】
本構成によれば、制御装置は、段積み物品群の種類ごとに、ずらし工程の必要性の有無を自動的に学習することができる。従って、制御装置は、段積み物品群の種類に応じて、ずらし工程を実行するか否かを判断することができる。
【0096】
載置部の上に、全体として直方体状となるように段積みされた複数の物品である段積み物品群から、一部の段に属する複数の前記物品である部分物品群を分離して移動させる荷卸し方法であって、水平方向に沿うと共に前記段積み物品群の1つの側面に対向する方向を第1方向とし、水平方向に沿うと共に前記第1方向に直交する方向を第2方向として、前記段積み物品群を挟んで前記第1方向に対向する第1押圧部材及び第3押圧部材と、前記段積み物品群を挟んで前記第2方向に対向する第2押圧部材及び第4押圧部材と、前記第1押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第1駆動機構と、前記第2押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第2駆動機構と、前記第3押圧部材を前記第1方向に沿って往復移動させる第3駆動機構と、前記第4押圧部材を前記第2方向に沿って往復移動させる第4駆動機構と、を備えた荷卸し装置を用い、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とにより前記部分物品群の側面を押圧するずらし工程と、前記ずらし工程の後、前記第3押圧部材と前記第4押圧部材とを同時期に又は時期をずらして前記段積み物品群の側へ移動させて、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材との間に前記部分物品群を挟むと共に、前記第2押圧部材と前記第4押圧部材との間に前記部分物品群を挟むクランプ工程と、前記クランプ工程の後、前記第1押圧部材と前記第3押圧部材と前記第2押圧部材と前記第4押圧部材とにより挟んだ前記部分物品群を、それより下の段の前記部分物品群と分離する分離工程と、を備えている。
【0097】
ところで、段積み物品群を構成する複数段の部分物品群同士が、搬送中の荷崩れ防止などの目的で、互いに糊などで接着されている場合がある。このような場合、通常の荷卸し動作では、隣接する段の部分物品群同士の接着を適切に分離させることができず、適切に荷卸し動作を行うことができない場合がある。
【0098】
本構成によれば、ずらし工程を実行することで、一部の部分物品群のみに、それより下の段の部分物品群に対して水平方向にずらす力を作用させて、当該一部の部分物品群とその下側に隣接する段の部分物品群との間の糊などによる接着を剥がすことができる。そして、ずらし工程の実行後、クランプ工程と分離工程とを実行するため、一部の部分物品群をそれより下の段の部分物品群から分離させ、適切に荷卸し動作を行うことができる。
【0099】
このように、本構成によれば、上下2段の押圧部材を備える必要がない簡易な装置構成であっても、段積み物品群から部分物品群を適切に分離して移動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示に係る技術は、荷卸し装置、及び荷卸し方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
10 :荷卸し装置
11 :第1押圧部材
12 :第2押圧部材
13 :第3押圧部材
14 :第4押圧部材
15 :押圧部材
20 :駆動機構
21 :第1駆動機構
22 :第2駆動機構
23 :第3駆動機構
24 :第4駆動機構
34 :載置部
70 :分離検知部
A :記憶部
B :工程必要情報
H :制御装置
M :第2隙間
U :第1基準位置
V :第2基準位置
W :物品
WA :段積み物品群
WB :部分物品群
X :第1方向
Y :第2方向