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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】自動車
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021138186
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023032202
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 洋介
(72)【発明者】
【氏名】小川 友希
(72)【発明者】
【氏名】青木 優和
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-010807(JP,A)
【文献】特開平11-144193(JP,A)
【文献】特開2018-120291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路上に交通を妨げる障害に関する交通障害情報を取得する交通障害情報取得装置と、
走行経路上における障害の発生箇所から自車までの間に存在する車両に関する障害間車両情報を取得する障害間車両情報取得装置と、
運転者に第1報知方法による報知と前記第1報知方法より報知機能の優れた第2報知方法による報知とが可能な報知装置と、
前記交通障害情報に基づいて走行経路上に障害が生じている際、前記障害間車両情報に基づいて運転者が障害を認識することが困難である所定条件が成立していないときには前記第1報知方法により前記交通障害情報を報知し、前記障害間車両情報に基づいて運転者が障害を認識することが困難である前記所定条件が成立しているときには前記第2報知方法により前記交通障害情報を報知する制御装置と、
を備え
前記制御装置は、前記障害間車両情報に基づいて障害の発生箇所から自車までの間の交通混雑程度が所定程度未満のときには、前記所定条件が成立しているとする、
自動車。
【請求項2】
走行経路上に交通を妨げる障害に関する交通障害情報を取得する交通障害情報取得装置と、
走行経路上における障害の発生箇所から自車までの間に存在する車両に関する障害間車両情報を取得する障害間車両情報取得装置と、
運転者に第1報知方法による報知と前記第1報知方法より報知機能の優れた第2報知方法による報知とが可能な報知装置と、
前記交通障害情報に基づいて走行経路上に障害が生じている際、前記障害間車両情報に基づいて運転者が障害を認識することが困難である所定条件が成立していないときには前記第1報知方法により前記交通障害情報を報知し、前記障害間車両情報に基づいて運転者が障害を認識することが困難である前記所定条件が成立しているときには前記第2報知方法により前記交通障害情報を報知する制御装置と、
を備え
前記制御装置は、運転者の年齢や運転経験、運転レベルなどの運転者属性を記憶しておき、運転者の運転者属性が前記第2報知方法による報知は不要である属性であると判定したときには、前記所定条件が成立しているときでも前記第1報知方法により前記交通障害情報を報知する、
自動車。
【請求項3】
走行経路上に交通を妨げる障害に関する交通障害情報を取得する交通障害情報取得装置と、
走行経路上における障害の発生箇所から自車までの間に存在する車両に関する障害間車両情報を取得する障害間車両情報取得装置と、
運転者に第1報知方法による報知と前記第1報知方法より報知機能の優れた第2報知方法による報知とが可能な報知装置と、
前記交通障害情報に基づいて走行経路上に障害が生じている際、前記障害間車両情報に基づいて運転者が障害を認識することが困難である所定条件が成立していないときには前記第1報知方法により前記交通障害情報を報知し、前記障害間車両情報に基づいて運転者が障害を認識することが困難である前記所定条件が成立しているときには前記第2報知方法により前記交通障害情報を報知する制御装置と、
を備え
前記制御装置は、運転者の疲労の有無を判定し、運転者が疲労していると判定したときには、前記所定条件が成立していないときでも前記第2報知方法により前記交通障害情報を報知する、
自動車。
【請求項4】
請求項2または3記載の自動車であって、
前記制御装置は、前記障害間車両情報に係る車両の車高が所定高さ以上のときには、前記所定条件が成立しているとする、
自動車。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれか1つの請求項に記載の自動車であって、
前記第2報知方法は、前記第1報知方法とは異なる報知方法と前記第1報知方法との双方によって報知する方法である、
自動車。
【請求項6】
請求項5記載の自動車であって、
表示装置を備え、
前記第1報知方法は、前記表示装置に表示する方法であり、
前記第2報知方法は、前記第1報知方法と音声による報知方法との双方による方法である、
自動車。
【請求項7】
請求項2または3記載の自動車であって、
前記制御装置は、前記障害間車両情報に基づいて障害の発生箇所から自車までの間の交通混雑程度が所定程度未満のときには、前記所定条件が成立しているとする、
自動車。
【請求項8】
請求項1または3記載の自動車であって、
前記制御装置は、運転者の年齢や運転経験、運転レベルなどの運転者属性を記憶しておき、運転者の運転者属性が前記第2報知方法による報知は不要である属性であると判定したときには、前記所定条件が成立しているときでも前記第1報知方法により前記交通障害情報を報知する、
自動車。
【請求項9】
請求項1または2記載の自動車であって、
前記制御装置は、運転者の疲労の有無を判定し、運転者が疲労していると判定したときには、前記所定条件が成立していないときでも前記第2報知方法により前記交通障害情報を報知する、
自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に関し、詳しくは、走行経路上に交通を妨げる障害に関する交通障害情報を取得する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動車としては、ナビゲーション装置により受信した交通情報に渋滞情報が含まれていると、車両の進行方向の前方に上り坂があり、且つその上り坂の頂点から所定距離以内に渋滞個所があるか否かを調べ、ある場合は、音声によりユーザに渋滞があることを知らせるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車は、上記制御により、走行中の車両から見え難いところに渋滞やその他の通行障害がある場合に、音声で運転者に注意を促し、より一層安全な運転を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-144193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の自動車では、上り坂などの道路形状に基づいて走行中の車両から見え難いか否かを判断しているため、道路形状に基づくと走行中の車両から見えやすいと判断される場合でも、障害の発生箇所から自車までの間の車両の状態によっては、運転者が障害を認識することが困難である場合が生じる。
【0005】
本発明の自動車は、障害の発生箇所から自車までの間の車両の状態に応じて障害の発生の報知方法を変更することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の自動車は、
走行経路上に交通を妨げる障害に関する交通障害情報を取得する交通障害情報取得装置と、
走行経路上における障害の発生箇所から自車までの間に存在する車両に関する障害間車両情報を取得する障害間車両情報取得装置と、
運転者に第1報知方法による報知と前記第1報知方法より報知機能の優れた第2報知方法による報知とが可能な報知装置と、
前記交通障害情報に基づいて走行経路上に障害が生じている際、前記障害間車両情報に基づいて運転者が障害を認識することが困難である所定条件が成立していないときには前記第1報知方法により前記交通障害情報を報知し、前記障害間車両情報に基づいて運転者が障害を認識することが困難である前記所定条件が成立しているときには前記第2報知方法により前記交通障害情報を報知する制御装置と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の自動車では、交通障害情報取得装置により走行経路上に交通を妨げる障害に関する交通障害情報を取得し、障害間車両情報取得装置により走行経路上における障害の発生箇所から自車までの間に存在する車両に関する障害間車両情報を取得する。制御装置は、交通障害情報に基づいて走行経路上に障害が生じている際、障害間車両情報に基づいて運転者が障害を認識することが困難である所定条件が成立していないときには第1報知方法により報知装置を用いて交通障害情報を報知し、障害間車両情報に基づいて運転者が障害を認識することが困難である所定条件が成立しているときには第2報知方法により報知装置を用いて交通障害情報を報知する。即ち、走行経路上における障害の発生箇所から自車までの間に存在する車両に関する障害間車両情報に基づいて運転者が障害を認識することが困難であるか否かを区分して第1報知方法または第2報知方法により交通障害情報を報知する。これにより、障害の発生箇所から自車までの間の車両の状態に応じて障害の発生の報知方法を変更することができる。ここで、「走行経路」としては、目的地が設定されている場合には現在地から目的地までの経路だけでなく、目的地が設定されていない場合には車両の進行方向での右左折を含む一定の範囲までの経路も含まれる。
【0009】
本発明の自動車において、前記第2報知方法は、前記第1報知方法とは異なる報知方法と前記第1報知方法との双方によって報知する方法であるものとしてもよい。この場合、表示装置を備え、前記第1報知方法は、文字や記号、模式図などを前記表示装置に表示する方法であり、前記第2報知方法は、前記第1報知方法と音声による報知方法との双方による方法であるものとしてもよい。
【0010】
本発明の自動車において、前記制御装置は、前記障害間車両情報に係る車両の車高が所定高さ以上のときには、前記所定条件が成立しているとするものとしてもよい。こうすれば、障害の発生箇所から自車までの間に存在する車両によって障害の認識が妨げられる場合でも、運転者により適正に障害を認識させることができる。また、本発明の自動車において、前記制御装置は、前記障害間車両情報に基づいて障害の発生箇所から自車までの間の交通混雑程度が所定程度未満のときには、前記所定条件が成立しているとするものとしてもよい。こうすれば、障害は発生しているが、まだ交通混雑に至っていない場合でも、運転者により適正に障害を認識させることができる。
【0011】
本発明の自動車において、前記制御装置は、運転者の年齢や運転経験、運転レベルなどの運転者属性を記憶しておき、運転者の運転者属性が前記第2報知方法による報知は不要である属性であると判定したときには、前記所定条件が成立しているときでも前記第1報知方法により前記交通障害情報を報知するものとしてもよい。こうすれば、運転者の障害などの認識能力が高い場合に、第2報知方法による報知が行なわれることによって運転者に与える煩わしさを抑制することができる。
【0012】
本発明の自動車において、前記制御装置は、運転者の疲労の有無を判定し、運転者が疲労していると判定したときには、前記所定条件が成立していないときでも前記第2報知方法により前記交通障害情報を報知するものとしてもよい。こうすれば、運転者が疲労しているときでも、運転者により適正に障害を認識させることができ、運転者の疲労による障害の発生の見落としを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例としての自動車20の構成の一例をメイン電子制御ユニット30を中心にブロックとして示すブロック図である。
図2】メイン電子制御ユニット30により実行される障害通知処理の一例を示すフローチャートである。
図3】変形例の障害通知処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例
【0015】
図1は、本発明の一実施例としての自動車20の構成の一例をメイン電子制御ユニット(以下、メインECUという。)30を中心にブロックとして示すブロック図である。実施例の自動車20は、図示するように、図示しない駆動輪に駆動力を出力する駆動装置62と、駆動装置62を駆動制御するための駆動用電子制御ユニット(以下、駆動ECUという)60とを備える。
【0016】
駆動装置62としては、エンジンと自動変速装置とを有するものや、エンジンとモータとバッテリとを有するハイブリッドシステム、燃料電池とバッテリとモータとを有する燃料電池駆動システム、バッテリとモータとを有する電動システムなどを用いることができる。
【0017】
駆動ECU60は、図示しないがCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他にROMやRAM、フラッシュメモリ、入力ポート、出力ポート、通信ポートなどを備える。駆動ECU60は、メインECU30からの駆動制御信号に基づいて駆動装置62を駆動制御する。
【0018】
実施例の自動車20は、駆動装置62や駆動ECU60の他に、イグニッションスイッチ32、シフトポジションセンサ34、アクセルポジションセンサ36、ブレーキポジションセンサ38、車速センサ40、加速度センサ42、勾配センサ44、ヨーレートセンサ46、自動運転スイッチ48、アクティブクルーズコントロールスイッチ(以下、ACCスイッチという。)50、周辺認識用電子制御ユニット(以下、周辺認識ECUという。)52、周辺認識装置54、室内カメラ55、空調装置用電子制御ユニット(以下、エアコンECUという。)56、空調装置58、ブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという。)64、ブレーキ装置66、操舵用電子制御ユニット(以下、操舵ECUという。)68、操舵装置70、センターディスプレイ72、ヘッドアップディスプレイ74、メーター76、GPS(Global Positioning System, Global Positioning Satellite)78、ナビゲーションシステム80、DCM(Data Communication Module)86などを備える。
【0019】
シフトポジションセンサ34は、シフトレバーのポジションを検出する。アクセルポジションセンサ36は、運転者のアクセルペダルの踏み込み量に応じたアクセル開度などを検出する。ブレーキポジションセンサ38は、運転者のブレーキペダルの踏み込み量としてのブレーキポジションなどを検出する。
【0020】
車速センサ30は、車輪速などに基づいて車両の車速を検出する。加速度センサ28は、例えば、車両の前後方向の加速度を検出する。勾配センサ44は、路面勾配を検出する。ヨーレートセンサ46は、旋回運動による左右方向の横加速度(ヨーレート)を検出する。
【0021】
自動運転スイッチ48は、運転支援制御の1つとしての自動運転を行なうか否かの選択用のスイッチである。ACCスイッチ50は、運転支援装置の1つとしてのアクティブクルーズコントロールを行なうか否かの選択用のスイッチである。自動運転スイッチ48やACCスイッチ50は、ステアリングや運転席の前方のインストールパネル或いはその近傍に取り付けられている。自動運転スイッチ48およびACCスイッチ50は、運転支援制御における運転モードとして、センターディスプレイ72を用いて車両運転に当たって運転者の嗜好を設定する運転者嗜好モードの設定を行なう運転嗜好設定処理に移行するスイッチも兼ねている。運転嗜好設定処理としては、前方車両との車間距離、加減速程度、車線変更程度、走行車線などの運転嗜好項目に対して、予め設定された選択肢をセンターディスプレイ72に表示して選択させる処理や、センターディスプレイ72を用いてマニュアルで具体的な数値等を入力することにより運転者の所望の値に設定する処理が含まれる。
【0022】
周辺認識ECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。周辺認識ECU52には、周辺認識装置54からの自車やその周囲の情報(例えば、自車の前方や後方の他車との車間距離D1,D2や他社の車速、路面の車線における自車の走行位置など)が入力ポートを介して入力されている。周辺認識装置54としては、前方カメラや後方カメラ、ミリ波レーダー、準ミリ波レーダー、赤外線レーザーレーダー、ソナーなどを挙げることができる。室内カメラ55は、運転席前方に配置されて運転者および乗員室内を撮影する。
【0023】
エアコンECU56は、図示しないがCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他にROMやRAM、フラッシュメモリ、入力ポート、出力ポート、通信ポートなどを備える。エアコンECU56は、乗員室を空気調和する空調装置58に組み込まれており、乗員室の温度が設定された温度となるように空調装置におけるエアコン用コンプレッサなどを駆動制御する。
【0024】
ブレーキECU64は、図示しないがCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他にROMやRAM、フラッシュメモリ、入力ポート、出力ポート、通信ポートなどを備える。ブレーキECU64は油圧駆動の周知のブレーキ装置66を駆動制御する。ブレーキ装置66は、ブレーキペダルを踏み込むことによるブレーキ踏力に起因する制動力と油圧調整に起因する制動力とが行なえるように構成されている。
【0025】
操舵ECU68は、図示しないがCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他にROMやRAM、フラッシュメモリ、入力ポート、出力ポート、通信ポートなどを備える。操舵ECU68は、図示しないステリングと駆動輪とがステアリングシャフトを介して機械的に接続された操舵装置28のアクチュエータを駆動制御する。操舵装置28は、運転者のステアリング操作に基づいて駆動輪を操舵すると共に、メイン電子制御ユニット30からの操舵制御信号に基づいて操舵ECU68によるアクチュエータの駆動により駆動輪を操舵する。
【0026】
センターディスプレイ72は、運転席および助手席の前方の中央に配置され、タッチパネルとしても機能し、車両の各種設定やオーディオや各種メディアのアプリケーションを実行したり、ナビゲーションシステムの表示部84として機能して地図ナビゲーションを行なったりする。なお、センターディスプレイ72には、スピーカーなどが付属している。
【0027】
ヘッドアップディスプレイ74は、フロントガラスに運転者向けの情報の(無限遠の点に結像するような)画像を提供するものであり、例えば、速度表示やナビゲーションガイド表示を行なう。メーター76は、例えば運転席前方のインストールパネルに組み込まれている。
【0028】
GPS78は、複数のGPS衛星から送信される信号に基づいて車両の位置を検出する装置である。
【0029】
ナビゲーションシステム80は、自車両を設定した目的地に誘導するシステムであり、地図情報82と表示部84とを備える。ナビゲーションシステム80は、交通情報管理センター100とDCM(Data Communication Module)86を介して通信しており、道路交通情報を取得したり、必要に応じて地図情報を取得して地図情報82を更新したりする。。ナビゲーションシステム80は、目的地が設定されると、目的地の情報とGPS78により取得した現在地(現在の自車両の位置)の情報と地図情報82とに基づいて経路を設定する。
【0030】
DCM(Data Communication Module)86は、自車両の情報を交通情報管理センター100に送信したり、交通情報管理センター100から他車両の情報や道路交通情報を受信したりする。自車両の情報としては、例えば、自車両の諸元や現在地、車速、走行パワー、走行モードなどを挙げることができる。他車両の情報としては、自車両の情報と同様に、他車両の諸元や現在地、車速、走行パワー、走行モードなどを挙げることができる。なお、自車両や他車両の諸元は、車両形態(電動車やハイブリッド車、燃料電池車など)やサイズ(車長、車幅、車高)などを挙げることができる。道路交通情報としては、例えば、現在や将来の渋滞に関する情報(渋滞の始点や終点の情報を含む)、事故に関する情報、落下物に関する情報、路面状態に関する情報(スリップしやすいか否かの情報を含む)、交通規制に関する情報、天候に関する情報、地図に関する情報、渋滞や事故,落下物などの交通を妨げる障害の発生位置から自車両までの間の他車両の情報などを挙げることができる。DCM86は、要求に応じて又は所定間隔毎(例えば、30秒毎や1分毎、2分毎など)に交通情報管理センター100と通信している。
【0031】
メイン電子制御ユニット30は、図示しないがCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他にROMやRAM、フラッシュメモリ、入力ポート、出力ポート、通信ポートなどを備える。メイン電子制御ユニット30には入力ポートを介して各種信号が入力されている。入力ポートを介して入力される情報としては、例えば、イグニッションスイッチ32からのイグニッションスイッチ信号や、シフトポジションセンサ34からシフトポジション、アクセルポジションセンサ36からのアクセル開度、ブレーキポジションセンサ38からのブレーキポジションなどを挙げることができる。また、車速センサ40からの車速Vや加速度センサ42からの加速度、勾配センサ44からの勾配、ヨーレートセンサ46からのヨーレートなども挙げることができる。更に、自動運転スイッチ48からの自動運転指示信号、ACCスイッチ50からのACC指示信号なども挙げることができる。メイン電子制御ユニット30からは出力ポートを介して各種信号が出力されている。出力ポートを介して出力される情報としては、例えば、センターディスプレイ72への表示制御信号や、ヘッドアップディスプレイ74への表示制御信号、メーター76への表示信号などを挙げることができる。
【0032】
メイン電子制御ユニット30は、周辺認識ECU52やエアコンECU56,駆動UECU60、ブレーキUEC64、操舵ECU68、ナビゲーションシステム80と通信しており、各種情報のやりとりを行なっている。
【0033】
メイン電子制御ユニット30は、アクセルポジションセンサ36からのアクセル開度や車速センサ40からの車速に基づいて要求駆動力や要求パワーを設定し、車両に要求駆動力や要求パワーが駆動装置62から出力されるように駆動ECU60に駆動制御信号を送信する。
【0034】
メイン電子制御ユニット30は、自動運転スイッチ48により自動運転の実行が指示されると、運転者嗜好モードが選択され、設定された前方車両との車間距離、加減速程度、車線変更程度、走行車線に基づいて自動運転が行なわれる。例えば、周辺認識装置54により第1所定距離(例えば200mや300mなど)内に前方車両が確認されていないときには、法定速度内の車速で走行するように駆動ECU60、ブレーキECU64、操舵ECU68に制御信号を送信し、周辺認識装置54により第1所定距離内に前方車両が確認されているときには、法定速度内の車速の範囲内で前方車両との車間距離で走行したり、前方車両を車線変更して追い越したりするように駆動ECU60、ブレーキECU64、操舵ECU68に制御信号を送信する。
【0035】
メイン電子制御ユニット30は、ACCスイッチ50によりアクティブクルーズコントロールの実行が指示されると、設定された車速や前方車両との車間距離等に基づいてアクティブクルーズコントロールが行なわれる。例えば、周辺認識装置54により第1所定距離(例えば200mや300mなど)内に前方車両が確認されていないときには、ACCスイッチ50により設定された車速で走行するように駆動ECU60およびブレーキECU64に制御信号を送信し、周辺認識装置54により第1所定距離内に前方車両が確認されているときには、ACCスイッチ50により設定された車速の範囲内で設定された前方車両との車間距離で前方車両に追従するように駆動ECU60およびブレーキECU64に制御信号を送信する。
【0036】
次に、こうして構成された自動車20の動作、特に走行経路上に交通を妨げる障害が発生しているときの動作について説明する。なお、走行経路としては、目的地が設定されているときには現在地から目的地までの経路が該当し、目的地が設定されていないときには車両の進行方向での右左折を含む一定の範囲(例えば5kmや10kmなど)までの経路も該当する。図2は、メイン電子制御ユニット30により実行される障害通知処理の一例を示すフローチャートである。
【0037】
障害通知処理が実行されると、メイン電子制御ユニット30は、まず、DCM86を介して交通情報管理センタ-100から走行経路上の道路交通情報(交通状況)を受信する(ステップS100)。続いて、受信した道路交通情報(交通状況)に基づいて走行経路上に交通を妨げる障害が生じているか否かを判定する(ステップS110)。交通を妨げる障害としては、渋滞や事故、落下物、交通規制、スリップしやすい路面状態などを挙げることができる。走行経路上に交通を妨げる障害が生じていないと判定したときには、障害の通知は不要であるから本処理を終了する。
【0038】
ステップS110で走行経路上に交通を妨げる障害が生じていると判定したときには、運転者にとって走行経路上の障害の認識を困難なものとする条件(障害認識困難条件)が成立しているか否かを判定する(ステップS120)。障害認識困難条件としては、見通しの良くない先に障害が生じている条件、前方の車両の車高が所定高さ以上である条件、渋滞を生じていない事故が発生した条件、渋滞を生じていない落下物が生じた条件、高速道路などの自動車専用道路の出口レーンの渋滞が本線付近まで延伸している条件、スリップしやすい路面が発生している条件、渋滞を生じていない工事中の箇所が生じている条件、荒天などに起因して突発的に道路封鎖された箇所が発生している条件などを挙げることができる。ここで、前方の車両の車高が所定高さ以上である条件については、交通を妨げる障害の発生位置から自車両までの間の他車両の情報(特に車高)を用いて判断することができる。渋滞を生じていない事故が発生した条件や渋滞を生じていない落下物が生じた条件については、事故の発生の情報や落下物の発生の情報と共に障害の発生箇所から自車両までの間の他車両の情報(特に現在地と車速)を用いることにより判断することができる。高速道路などの自動車専用道路の出口レーンの渋滞が本線付近まで延伸している条件や渋滞を生じていない工事中の箇所が生じている条件についても障害の発生箇所から自車両までの間の他車両の情報(特に現在地と車速)を用いることにより判断することができる。
【0039】
ステップS120で障害認識困難条件のいずれかが成立していると判定したときには、センターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示することにより障害を運転者に報知すると共にセンターディスプレイ72に付属されているスピーカーから音声により障害を運転者に報知し(ステップS130)、本処理を終了する。一方、ステップS120で障害認識困難条件のいずれもが成立していないと判定したときには、音声による報知を行なうことなくセンターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示することにより運転者に障害を報知して(ステップS140)、本処理を終了する。
【0040】
以上説明した実施例の自動車20では、走行経路上に交通を妨げる障害が生じているときには、運転者にとって走行経路上の障害の認識を困難なものとする障害認識困難条件が成立しているか否かを障害の発生箇所から自車両までの間の他車両の情報を用いて判定する。そして、障害認識困難条件のいずれもが成立していないときには音声による報知を行なうことなくセンターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示することにより障害を運転者に報知し、障害認識困難条件のいずれかが成立しているときには、センターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示すると共にセンターディスプレイ72に付属されているスピーカーからこの障害を音声により報知する。これにより、障害の発生箇所から自車までの間の車両の状態に応じて障害の発生の報知方法を変更することができる。
【0041】
実施例の自動車20では、障害認識困難条件のいずれかが成立しているときには、センターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示すると共にセンターディスプレイ72に付属されているスピーカーからこの障害を音声により報知するものとした。しかし、障害認識困難条件のいずれかが成立しているときでも、運転者の年齢や運転経験、運転レベルなどの運転者属性により音声による報知が不要である場合には、音声による報知を行なうことなくセンターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示することにより障害を運転者に報知するものとしてもよい。また、実施例の自動車20では、障害認識困難条件のいずれもが成立していないときには音声による報知を行なうことなくセンターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示することにより障害を運転者に報知した。しかし、障害認識困難条件のいずれもが成立していないときでも、運転者が疲労していると判断したときには、センターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示すると共にセンターディスプレイ72に付属されているスピーカーからこの障害を音声により報知するものとしてもよい。これらを考慮した障害通知処理の一例を図3に示す。以下、図3の障害通知処理について説明する。
【0042】
図3の障害通知処理が実行されると、メイン電子制御ユニット30は、図2の障害通知処理のステップS100,S110と同様に、走行経路上の道路交通情報(交通状況)を受信すると共に(ステップS200)、受信した道路交通情報(交通状況)に基づいて走行経路上に交通を妨げる障害が生じているか否かを判定する(ステップS210)。
【0043】
ステップS220で障害認識困難条件のいずれかが成立していると判定したときには、運転者属性を照会し(ステップS230)、運転者属性により音声通知が必要か否かを判定する(ステップS240)。運転者属性は、運転者の年齢や運転経験、運転レベルが含まれる。音声通知が必要な運転者属性としては、運転者が高齢者の場合、運転者が若年者の場合、運転経験年数が所定年数(例えば1年や2年)未満の場合、運転が苦手であると登録されている運転者である場合などを挙げることができる。運転者属性により音声通知が必要であると判定したときには、センターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示することにより障害を運転者に報知すると共にセンターディスプレイ72に付属されているスピーカーから音声により障害を運転者に報知し(ステップS250)、本処理を終了する。一方、運転者属性により音声通知が不要であると判定したときには、音声による報知を行なうことなくセンターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示することにより運転者に障害を報知して(ステップS260)、本処理を終了する。これにより、運転者属性として音声通知が不要である運転者、即ち、走行経路上の障害などの認識能力が高い運転者に音声通知を行なうことに起因して運転者に煩わしさ感じさせるのを抑制することができる。
【0044】
ステップS220で障害認識困難条件のいずれもが成立していないと判定したときには、運転者の疲労の有無を照会し(ステップS270)、運転者に疲労が生じているか否かを判定する(ステップS280)。運転者に疲労の有無の判定は、運転時間や運転者の動作の解析により行なうことができる。例えば、運転時間が一定時間(2時間など)以上のときには疲労していると判定したり、室内カメラ55で撮影した運転者の目の動きに基づいて疲労していると判定することができる。運転者に疲労が生じていると判定したときには、センターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示することにより障害を運転者に報知すると共にセンターディスプレイ72に付属されているスピーカーから音声により障害を運転者に報知し(ステップS290)、本処理を終了する。一方、運転者に疲労は生じていないと判定したときには、音声による報知を行なうことなくセンターディスプレイ72に走行経路上の交通を妨げる障害を表示することにより運転者に障害を報知して(ステップS260)、本処理を終了する。これにより、運転者が疲労しているときでも、運転者により適正に障害を認識させることができ、運転者の疲労による障害の発生の見落としを抑制することができる。
【0045】
実施例の自動車20では、メイン電子制御ユニット30や周辺認識ECU52、駆動ECU60、ブレーキECU64、操舵ECU68などの複数の電子制御ユニットにより各装置を制御するものとしたが、単一の電子制御ユニットで各装置を制御するものとしたり、これらの一部を兼ねる複数の電子制御ユニットを用いて各装置を制御するものとしてもよい。
【0046】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、メイン電子制御ユニット30やナビゲーションシステム80、DCM86が「交通障害情報取得装置」に相当し、メイン電子制御ユニット30やナビゲーションシステム80、DCM86が「障害間車両情報取得装置」に相当し、センターディスプレイ72が「報知装置」に相当し、メイン電子制御ユニット30が「制御装置」に相当する。
【0047】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0048】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
20 自動車、30 メイン電子制御ユニット、32 イグニッションスイッチ、34 シフトポジションセンサ、36 アクセルポジションセンサ、38 ブレーキポジションセンサ、40 車速センサ、42 加速度センサ、44 勾配センサ、46 ヨーレートセンサ、48 自動運転スイッチ、50、アクティブクルーズコントロールスイッチ(ACCスイッチ)、52 周辺認識用電子制御ユニット(種辺認識ECU)、54 周辺認識装置、55 室内カメラ、56 空調装置用電子制御ユニット(エアコンECU)、58 空調装置、60 駆動装置用電子制御ユニット(駆動ECU)、62 駆動装置、64 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、66 ブレーキ装置、68 操舵用電子制御ユニット(操舵ECU)、70 操舵装置、72 センターディスプレイ、74 ヘッドアップディスプレイ、76 メーター、78 GPS、80 ナビゲーションシステム、82 地図情報、84 表示部、86 DCM、90 停止予定位置、100 交通情報管理センター。
図1
図2
図3