(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】車載装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
B60R11/02 W
(21)【出願番号】P 2021151515
(22)【出願日】2021-09-16
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 貴之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓真
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-133833(JP,A)
【文献】特開2008-168740(JP,A)
【文献】特開2005-349900(JP,A)
【文献】米国特許第05661811(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-0838245(KR,B1)
【文献】国際公開第2008/130167(WO,A1)
【文献】特開2003-301764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員に対
する情報提供を含む所定の機能を提供する車載装置であって、
ハードウェアインタフェースである操作子と、
前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記車両にアクセサリ電源を供給するための信号を出力する制御部と、
を有
し、
前記制御部は、前記信号を、前記車両に備えられた、前記車両にアクセサリ電源を供給するためのリレーに出力し、
前記車両のドアが開放されたか否かを判定し、
前記車両の前記ドアが開放されたと判定した場合、前記リレーに対する前記信号の供給を停止する、
車載装置。
【請求項2】
前記操作子は、前記所定の機能の提供を要求するためのボタンである、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記所定の機能は、オーディオ機能を少なくとも含む、
請求項1または2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記リレーは、前記車両が有する所定のアクセサリを稼働させるための電源系統に所定の電圧を印加するリレーである、
請求項
1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記リレーは、前記車両が有するスタートスイッチに対する操作に連動して前記車両にアクセサリ電源を供給するリレーである、
請求項
1または
4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記車両に既にアクセサリ電源が供給されており、かつ、前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記制御部は、前記所定の機能を提供する、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項7】
前記車両にアクセサリ電源が供給されておらず、かつ、前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記制御部は、前記信号を出力し、
前記車両に既にアクセサリ電源が供給されており、かつ、前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記制御部は、前記所定の機能を提供する、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項8】
前記所定の機能の提供中に、前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記制御部は、前記所定の機能の提供を終了する、
請求項
6または
7に記載の車載装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記アクセサリ電源によって前記所定の機能を提供する、
請求項
6から
8のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項10】
車両を制御する制御方法であって、
前記車両の乗員に対
する情報提供を含む所定の機能を提供する車載装置が有する、ハードウェアインタフェースである操作子に対する操作を取得するステップと、
前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記車両にアクセサリ電源を供給するための信号を
前記車両に備えられた、前記車両にアクセサリ電源を供給するためのリレーに出力する、ステップと、
前記車両のドアが開放されたか否かを判定するステップと、
前記車両の前記ドアが開放されたと判定した場合、前記リレーに対する前記信号の供給を停止するステップと、
を含む、
制御方法。
【請求項11】
前記操作子は、前記所定の機能の提供を要求するためのボタンである、
請求項
10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記所定の機能は、オーディオ機能を少なくとも含む、
請求項
10または
11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記リレーは、前記車両が有する所定のアクセサリを稼働させるための電源系統に所定の電圧を印加するリレーである、
請求項
10に記載の制御方法。
【請求項14】
前記リレーは、前記車両が有するスタートスイッチに対する操作に連動して前記車両にアクセサリ電源を供給するリレーである、
請求項
10または
13に記載の制御方法。
【請求項15】
前記車両に既にアクセサリ電源が供給されており、かつ、前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記所定の機能を提供する、
請求項
10から
14のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項16】
前記車両にアクセサリ電源が供給されておらず、かつ、前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記信号を出力し、
前記車両に既にアクセサリ電源が供給されており、かつ、前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記所定の機能を提供する、
請求項
10から
14のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項17】
前記所定の機能の提供中に、前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記所定の機能の提供を終了する、
請求項
15または
16に記載の制御方法。
【請求項18】
前記アクセサリ電源によって前記所定の機能を提供する、
請求項
15から
17のいずれか1項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の電源制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、押しボタンスイッチによってシステムの起動を行う車両が普及している。これに関して、例えば、特許文献1には、押しボタンスイッチを利用してエンジンのスタート、および、電源の供給を行う車両に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車両に乗車するユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態の一態様は、車両の乗員に対して所定の機能を提供する車載装置であって、ハードウェアインタフェースである操作子と、前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記車両にアクセサリ電源を供給するための信号を出力する制御部と、を有する、車載装置である。
【0006】
本開示の実施形態の一態様は、車両を制御する制御方法であって、前記車両の乗員に対して所定の機能を提供する車載装置が有する、ハードウェアインタフェースである操作子に対する操作を取得するステップと、前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記車両にアクセサリ電源を供給するための信号を出力するステップと、を含む、制御方法である。
【0007】
また、他の態様として、上記の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両に乗車するユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一の実施形態に係る車両システムの概要図。
【
図2】第一の実施形態に係る車両が有する構成要素を説明する図。
【
図3】制御装置201が有する機能モジュールを説明する概要図。
【
図4】乗車時における電源モードの遷移を説明する図。
【
図5】降車時における電源モードの遷移を説明する図。
【
図8】車載装置200が実行する処理のフローチャート。
【
図9】照合ECU300Aが実行する処理のフローチャート。
【
図10】車載装置200が実行する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般的な自動車では、電源モードとして、電源を遮断するモード、アクセサリ電源のみを投入するモード、全ての電源を投入するモードの三種類のモードが利用されている。アクセサリ電源は、車両の走行と直接の関係のない周辺機器を稼働させるための電源である。一般的に、これらの電源の供給は、車両のシステムを起動する操作(イグニッション操作)があった場合に開始される。
【0011】
一方、車両を走行させずに、当該車両が有する電装品(例えば、マルチメディア端末)を利用したいという要望がある。このような場合、アクセサリ電源のみを供給するモードを指定して車両システムを起動させる必要がある。しかし、アクセサリ電源のみを供給するための操作は、通常の起動操作とは異なるため、ユーザにとって煩わしさが伴うという課題がある。
本開示に係る情報処理装置は、かかる問題を解決する。
【0012】
本開示の一態様に係る車載装置は、車両の乗員に対して所定の機能を提供する車載装置であって、ハードウェアインタフェースである操作子と、前記操作子に対して操作が行われた場合に、前記車両にアクセサリ電源を供給するための信号を出力する制御部と、を有することを特徴とする。
【0013】
車載装置は、車両に搭載され、乗員に対して所定の機能を提供する装置である。車載装置は、典型的には、カーナビゲーション装置、マルチメディア端末、インフォテイメント端末、ヘッドユニット等と呼ばれる。所定の機能とは、例えば、カーナビゲーション機能、音楽再生機能、動画再生機能、ネットワーク機能、テレビ/ラジオ機能などである。これらの機能は、例えば、ソフトウェアによって実現される。
【0014】
車載装置は、ハードウェアインタフェースである操作子を有している。操作子は、例えば、車載装置に対してこれらの機能の提供を要求するための押しボタンである。機能がソフトウェアによって実現される場合、操作子に対して行われた操作に応じて、これらのソフトウェアを起動させてもよい。操作子は、例えば、車載装置が有する表示装置(画面)の近傍に配置されていてもよい。
【0015】
本実施形態に係る車載装置は、斯様な操作子に対して操作が行われたことを検出し、車両にアクセサリ電源を供給するための信号を出力する。例えば、車両システムが停止中に、ユーザが、操作子に対する操作を行った場合、車載装置は、車両にアクセサリ電源を供給するための電源リレーに動作信号を供給する。
通常、電源リレーは、メインスイッチに対する操作に連動して、アクセサリ電源の供給を行う。これに対し、本実施形態では、車載装置が、当該電源リレーに対してアクセサリ電源の供給を指示する信号を供給することで、メインスイッチを介さずにアクセサリ電源を供給することを可能にしている。換言すると、車載装置が有する操作子に対して操作を行うことで、当該車載装置の電源を投入することができる。これにより、より直感的な操作で、車載装置の利用を開始することができるようになる。
【0016】
なお、アクセサリ電源が既に投入されている場合、操作子は、従来通り、所定の機能を起動させる(あるいは終了させる)ためのインタフェースとして機能させることができる。
【0017】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。各実施形態に記載されているハードウェア構成、モジュール構成、機能構成等は、特に記載がない限りは開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る車両システムの概要について、
図1を参照しながら説明する。本実施形態に係る車両システムは、車両10を含んで構成される。
【0019】
車両10は、外部ネットワークとの通信機能を有するコネクティッドカーである。車両10は、DCM(Data Communication Module)100と、車載装置200と、電子制御
ユニット300(Electronic Control Unit,ECUとも称する)を含んで構成される。
なお、
図1では、単一のECU300を例示しているが、車両10は、複数のECU300を含んでいてもよい。
【0020】
DCM100は、外部ネットワークと無線通信を行う装置である。DCM100は、車両10が有するコンポーネント(以下、車両コンポーネント)を、外部ネットワークに接続するためのゲートウェイとして機能する。例えば、DCM100は、車両10が有する車載装置200やECU300に対して、外部ネットワークへのアクセスを提供する。これにより、車載装置200およびECU300は、DCM100を介して、ネットワークに接続された外部装置と通信することができる。
【0021】
車載装置200は、車両の乗員に情報を提供する装置(例えば、カーナビゲーション装置)である。車載装置200は、カーナビゲーション装置、インフォテインメント装置、ヘッドユニットとも呼ばれる。車載装置200によって、車両の乗員に対して、ナビゲーションや娯楽の提供を行うことができる。車載装置200は、DCM100を介して、交通情報、道路地図データ、音楽や動画像などをダウンロードしてもよい。
【0022】
図2は、本実施形態に係る車両10が有する構成要素を説明する図である。本実施形態に係る車両10は、DCM100と、車載装置200と、複数のECU300A,300B…(以下、ECU300と総称する)を含んで構成される。
ECU300は、異なる車両コンポーネントを管轄する複数のECUを含んでいてもよい。複数のECUとして、例えば、ボディECU、エンジンECU、ハイブリッドECU、パワートレインECUなどが例示できる。また、ECU300は、機能単位で分割されていてもよい。例えば、セキュリティ機能を実行するECU、自動駐車機能を実行するECU、リモートコントロール機能を実行するECUといった区分けも可能である。
【0023】
本実施形態では、ECU300として、照合ECU300AおよびボディECU300Bを例示する。照合ECU300Aは、車両のセキュリティを管轄するECUである。照合ECU300Aは、車両のユーザが所持するスマートキー(キーフォブ)と通信を行うことで、車両の施解錠や、車両システムの起動を許可する信号を生成する。
ボディECU300Bは、車体が有する各種コンポーネントを管轄するECUである。本実施形態では、ボディECU300Bは、照合ECU300Aから送信された信号に基づいて、車両10が有するドアの施解錠を行うことができる。
【0024】
まず、DCM100について説明する。
DCM100は、制御装置101、記憶装置102、CAN通信モジュール103、入出力装置104、無線通信モジュール105、GPSモジュール106を有して構成される。
【0025】
制御装置101は、所定のプログラムを実行することで、DCM100の各種機能を実現する演算ユニットである。制御装置101は、例えば、CPU等によって実現されてもよい。
【0026】
制御装置101は、外部ネットワークと、車両10が有するコンポーネント(車両コンポーネント)との間でなされる通信を仲介する機能を実行する。例えば、ある車両コンポ
ーネントが、外部ネットワークとの通信を必要とする場合、制御装置101は、当該車両コンポーネントから送信されたデータを外部ネットワークに中継する機能を実行する。また、外部ネットワークから送信されたデータを受信し、当該データを適切な車両コンポーネントに転送する機能を実行する。
【0027】
さらに、制御装置101は、自装置に固有な機能を実行することができる。例えば、制御装置101は、セキュリティシステムの監視機能や通話機能を実行可能に構成されており、車内で発生したトリガに基づいて、セキュリティ通報や緊急通報等を行うことができる。
【0028】
ここで、制御装置101によって実行される機能について説明する。制御装置101は、以下に例示する機能を実行可能に構成される。各機能は、ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムを制御装置101によって実行することで実現することができる。
【0029】
(1)データ中継機能
制御装置101は、車両コンポーネント間で送受信されるデータの中継を行うことができる。例えば、車載ネットワークに接続された第一の装置によって送出されたメッセージを受信し、必要に応じて、当該メッセージを、車載ネットワークに接続された第二の装置に転送する処理を実行する。第一および第二の装置は、ECU300であってもよいし、他の車両コンポーネントであってもよい。
また、車両コンポーネントから、外部ネットワークを宛先とするメッセージを受信した場合に、当該メッセージを外部ネットワークに中継する。また、外部ネットワークから送信されたデータを受信し、当該データを適切な車両コンポーネントに転送する。
【0030】
(2)緊急通報機能
制御装置101は、車両10に異常事態が発生した場合に、車外のオペレータに対して緊急通報を行うことができる。異常事態の一例として、交通事故や車両故障の発生が挙げられる。制御装置101は、例えば、車内に設けられたコールボタンの押下、エアバッグの展開といった所定のトリガが発生した場合に、オペレータとの接続を開始し、車両の乗員とオペレータとの間での通話を可能にする。なお、緊急通報時に、制御装置101は、車両の位置情報をオペレータに送信してもよい。車両の位置情報は、GPSモジュール106から取得することができる。
【0031】
(3)セキュリティ監視機能
制御装置101は、セキュリティ監視処理を行うことができる。制御装置101は、例えば、車両の電子ロックを管轄するECU300から受信したデータに基づいて、正規の手順によらずに車両が解錠されたことを検知し、所定の装置に対してセキュリティ通報を送信する。なお、セキュリティ通報には、車両の位置情報が含まれていてもよい。車両の位置情報は、GPSモジュール106から取得することができる。
【0032】
なお、ここでは、DCM100が提供する機能として三種類の機能を例示したが、DCM100は、これ以外の機能を提供してもよい。
【0033】
記憶装置102は、主記憶装置および補助記憶装置を含むメモリ装置である。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶装置にロードして実行することによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。
【0034】
CAN通信モジュール103は、DCM100を車載ネットワークに接続するためのインタフェースユニットである。本実施形態では、車載装置200およびECU300を含
む複数の車両コンポーネントが、車載ネットワークのバスを介して相互に接続される。車載ネットワークの規格として、例えば、CAN(Controller Area Network)を例示する
ことができる。なお、車載ネットワークが、複数の規格を利用するものである場合、CAN通信モジュール103は、通信先の規格に合わせた複数のインタフェース装置を有していてもよい。CAN以外の通信規格として、例えば、イーサネット(登録商標)などを例示することができる。
【0035】
入出力装置104は、情報の入出力を行うユニットである。具体的には、緊急事態において押下されるヘルプボタン、マイク、スピーカなどを含んで構成される。
【0036】
無線通信モジュール105は、無線通信を行うためのアンテナと通信モジュールを含む。アンテナは、無線信号の入出力を行うアンテナ素子である。本実施形態では、アンテナは、移動体通信(例えば、3G、LTE、5G等の移動体通信)に適合したものである。なお、アンテナは、複数の物理的なアンテナを含んで構成されてもよい。例えば、マイクロ波やミリ波などの高周波帯の電波を利用した移動体通信を行う場合、通信の安定化を図るため、複数のアンテナを分散して配置してもよい。通信モジュールは、移動体通信を行うためのモジュールである。
【0037】
GPSモジュール106は、位置情報を測位するためのGPSアンテナと測位モジュールを含む。GPSアンテナは、測位衛星(GNSS衛星とも称する)から送信された測位信号を受信するアンテナである。測位モジュールは、GPSアンテナによって受信された信号に基づいて、位置情報を算出するモジュールである。
【0038】
なお、DCM100は、車両10が有する他のコンポーネントとは独立して動作可能に構成されてもよい。例えば、DCM100に補助バッテリを内蔵し、外部電源によらず単独で動作可能としてもよい。かかる構成によると、交通事故などに起因して、車両10の他のコンポーネントが動作不良(例えば、給電不良など)を起こした場合であっても、緊急通報などを行えるようになる。
【0039】
次に、車載装置200について説明する。
車載装置200は、車両10の乗員に情報を提供する装置であって、カーナビゲーションシステム、インフォテインメントシステム、ヘッドユニットとも呼ばれる。車載装置200は、車両の乗員に対して、ナビゲーションや娯楽の提供を行うことができる。また、車載装置200は、車両10の外部ネットワークと通信することで、交通情報、道路地図データ、音楽や動画像などをダウンロードする機能を有していてもよい。また、車載装置200は、スマートフォン等と連携する装置であってもよい。
【0040】
また、車載装置200は、DCM100のフロントエンドとしても機能する。例えば、車載装置200は、DCM100が所定の処理(例えば、緊急通報)を実行する際に、当該処理に関連した情報の入出力(例えば、オペレータの呼び出し状況の表示など)を行う。
【0041】
車載装置200は、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、車載装置200は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを実行することによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0042】
車載装置200は、制御装置201、記憶装置202、CAN通信モジュール203、入出力装置204、無線通信モジュール205、操作子206を有して構成される。
【0043】
制御装置201は、所定のプログラムを実行することで、車載装置200の各種機能を実現する演算ユニットである。制御装置201は、例えば、CPU等によって実現されてもよい。
【0044】
図3は、制御装置201が有する機能モジュールの構成を示した図である。
制御装置201は、電源管理部2011、および、機能実行部2012の2つの機能モジュールを有して構成される。各機能モジュールは、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0045】
電源管理部2011は、電源供給に関する制御を行う。
ここで、電源供給に関する、従来技術の問題点と、本実施形態における解決法について説明する。なお、以降の説明において、アクセサリ電源とは、車両の走行と直接関係のない周辺機器を動作させるための電源を指す。アクセサリ電源は、例えば、エンジンの停止中において供給される。また、イグニッション電源とは、車両が稼働中(例えば、エンジンの稼働中)において供給される電源を指す。各電源は、それぞれ異なる系統の電源線によって供給される。
また、以降の説明において、電源モードとは、複数の車両コンポーネントに電源を供給するためのモードである。従来の車両における電源モードは、以下の3種類である。
1.駐車モード
2.アクセサリモード
3.通常モード
【0046】
駐車モードは、車両が駐車中、すなわち、車両の走行システムがシャットダウンされ、ドアが施錠されている状態における電源モードである。駐車モードでは、電源供給が常時必要な車両コンポーネント(例えば、メモリバックアップ用のDRAM、無線通信用のDCM、CAN通信を行うモジュール等)を除き、電源は供給されない。
アクセサリモードは、アクセサリ電源のみが供給される電源モードである。アクセサリモードには、例えば、車両のユーザが所定の操作を行うことによって移行することができる。
通常モードは、アクセサリ電源およびイグニッション電源の双方が供給される電源モードである。車両10が走行中である場合、電源モードは通常モードとなる。
【0047】
図4(A)は、従来技術に係る車両における電源供給制御を説明する図である。従来の車両では、乗員が乗車してから、車両システムの起動操作(例えば、イグニッションの点火操作、メインスイッチの押下操作など)を行うまで、電源モードは駐車モードのままである。すなわち、この期間において、大半の車両コンポーネントに電源は供給されない。
【0048】
乗員が車両システムの起動操作(例えば、ブレーキペダルを踏みながらメインスイッチを押下する操作)を行うと、電源モードが「通常モード」となる。このモードは、車両を走行させるためのモードである。一方、車両を走行させず、電装品のみを利用したい場合、アクセサリ電源のみを供給する電源モード(アクセサリモード)によって車両システムを起動させる必要がある。このような操作として、例えば、「ブレーキペダルを踏まずにメインスイッチを押下する」といったものがある。しかし、アクセサリ電源のみを投入する操作は、通常の操作とは異なるため、ユーザが操作方法を認識していない場合がある。
【0049】
そこで、本実施形態では、アクセサリ電源の供給を開始させるための機能を車載装置2
00にも持たせる。具体的には、「車両システムが停止中に、車載装置に対して所定の操作が行われた場合に、車両に対してアクセサリ電源の供給を開始する」構成を導入する。
図4(B)は、本実施形態における電源モードの遷移を説明する図である。本実施形態に係る車載装置200(電源管理部2011)は、自装置に対して操作があった場合に、アクセサリ電源を供給するための信号を出力し、車両が、これに応じてアクセサリ電源の供給を開始する。これにより、車両システムを起動する操作が行われるまでの期間において、車両10の電装品を利用することができるようになる。なお、車両システムの起動操作があった場合、従来通り、アクセサリ電源およびイグニッション電源の供給が行われる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る車載装置200は、乗員の降車時においてもアクセサリ電源の制御を行う。
図5(A)は、降車時における電源モードを説明する図である。
例えば、乗員が車両システムの電源を遮断する操作を行うと、電源モードが駐車モードに遷移し、大半の車両コンポーネントに対する電源供給が停止する。このため、車両システムを停止させてから、乗員が降車するまでの期間において、車載装置200を利用することができない。すなわち、車両システムが停止した後も、娯楽や情報の提供を受けたいというユーザの要望に応えることができない。
そこで、本実施形態では、車両システムの電源を遮断する操作があってから、乗員の降車に関するトリガが発生するまでの期間において、アクセサリ電源の供給を維持するよう、車載装置200が制御を行う。
【0051】
図5(B)は、本実施形態における電源モードの遷移を説明する図である。図示したように、本実施形態に係る車載装置200(電源管理部2011)は、乗員が車両システムの電源を遮断する操作を行った後も、アクセサリ電源の供給を維持する。アクセサリ電源の供給は、乗員が車両から降車するまで継続する。当該期間の終期は、例えば、車両のドアが開放されたタイミング(または、車両のドアを施錠する操作がなされたタイミング)とすることができる。
【0052】
なお、電源管理部2011は、アクセサリ電源を供給する電源系統とは別の電源系統(例えば、バッテリに直結されている電源系統)によって、低電力で動作可能に構成される。車載装置200は、車両システムが停止中であっても、当該バッテリ電源を用いて、アクセサリ電源を投入するための操作を受け付け、アクセサリ電源を供給するための信号の出力を行うことができる。なお、機能実行部2012の動作には、アクセサリ電源の供給が必要である。
【0053】
図3に戻り、説明を続ける。
機能実行部2012は、車載装置200によって提供される各種の機能を実行する。車載装置200によって提供される機能として、例えば、以下のようなものがある。
・端末リンク機能
車両の乗員が有する端末(スマートフォン等)と接続し、音楽や動画の再生、画面のミラーリング等を行う機能である。
・降車支援機能
車両10が有するセンサが出力したセンサデータに基づいて、車両後方から接近する他の車両を検知し、ドアを開ける際に警報を出力する機能である。センサは、例えば、車両後方に向けて設置されたレーダーセンサ等とすることができる。
・オーディオ機能
記憶装置に保存された楽曲を再生する機能である。
・テレビ/ラジオ機能
ラジオ放送やデジタルテレビ放送を受信する機能である。
・ナビゲーション機能
記憶装置に記憶された地図データに基づいて、経路ナビゲーションを提供する機能である。
これらの機能は、例えば、操作子206および入出力装置204(タッチパネル)に対する操作に基づいて起動することができる。
【0054】
図2に戻り、説明を続ける。
記憶装置202は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。記憶装置202には、制御装置201にて実行される各種プログラム、当該プログラムが利用するデータ等が記憶される。
【0055】
CAN通信モジュール203は、車載装置200を車載ネットワークのバスに接続する通信インタフェースである。
【0056】
入出力装置204は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示する手段である。具体的には、タッチパネルとその制御手段、液晶ディスプレイとその制御手段から構成される。タッチパネルおよび液晶ディスプレイは、本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。
入出力装置204は、音声の出力を行うユニット(アンプやスピーカ)、音声の入力を行うユニット(マイク)等を含んでいてもよい。
【0057】
無線通信モジュール205は、車両の乗員が所持する携帯端末(スマートフォン等)との通信を行うモジュールである。無線通信モジュール205は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信規格を利用して通信を行うことができる。
【0058】
操作子206は、車載装置200に備えられたハードウェアスイッチ(物理的なスイッチ)である。本実施形態に係る車載装置200は、タッチパネルのほか、ハードウェアスイッチを利用して操作を行うことができる。操作子206は、例えば、キーボード、カーソルキー、ロータリーエンコーダ、リニアエンコーダなどを含む。
図6は、操作子206の配置を説明する図であって、車載装置200が有するパネルを正面から見た図である。
【0059】
符号601は、ダイヤル状の操作子を円周方向に操作する回転型セレクターである。セレクターにはエンコーダが接続されており、操作方向(回転の方向)と、操作量(例えば、回転角度やクリック数)を取得可能に構成される。当該構成によると、値の変更やカーソルの移動をスムーズに行うことができる。
【0060】
符号602は、状態のON/OFFを切り替えるためのトグルスイッチである。スイッチを移動させることで、例えば、デフロスタ、ミラーヒーター、ステアリングヒーター、シートヒーターなどの稼働状態の変更を行うことができる。
【0061】
符号603は、回転型セレクターとプッシュスイッチの双方の組み合わせたスイッチである。本実施形態では、符号603は、車載装置200に対して所定の機能の提供を要求するスイッチ(以下、機能スイッチ)である。例えば、機能スイッチは、オーディオ・ビジュアル機能を提供するソフトウェアを起動および終了させるスイッチとすることができる。例えば、機能スイッチを押下すると、音楽再生、映像再生、テレビ/ラジオの受信などを行うソフトウェアが起動する。
【0062】
さらに、機能スイッチは、円周方向に回転させることで、値の変更を制御装置201に通知することができる。これにより、例えば、機能スイッチを、音量を調整するためのインタフェースや、機能選択を行うためのインタフェースとして利用することができる。例
えば、機能スイッチを押下することで、オーディオ・ビジュアル機能を提供するソフトウェアを起動し、続けて機能スイッチを回転させることで、機能の切り替えを行う、といったことも可能である。
本開示における操作子とは、符号603で示したスイッチを指す。
【0063】
次に、ECU300とその周辺コンポーネントについて説明する。
ECU300は、車両10が有するコンポーネントを制御する電子制御ユニットである。車両10に含まれるECU300は複数あってもよい。複数のECU300は、例えば、エンジン系統、電装系統、パワートレイン系統など、それぞれ異なる系統のコンポーネントを制御する。ECU300は、規定されたメッセージを生成し、車載ネットワークを介して周期的に送受信する機能を有する。
【0064】
ECU300は、DCM100と同様に、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROMやディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。
【0065】
本実施形態に係る車両10は、照合ECU300AおよびボディECU300Bを含む。
【0066】
ボディECU300Bは、車両のボディ制御を行うコンピュータである。ボディECU300Bは、後述するドアロックモータ303を制御することで、車両のドアの解錠および施錠を行う機能を有している。なお、ボディECU300Bは、パワーウインドウ制御、シート調節、盗難防止、シートベルト制御、ヘッドライト制御など、車体に関連付いた要素の制御を行う機能をさらに有していてもよい。また、ボディECU300Bは、後述するドアセンサ304を介して、車両10が有するドアの開閉状態を取得することができる。
【0067】
ドアロックモータ303は、車両10のドア(乗降用ドアやリアゲートのほか、トランクも含む)を施錠および解錠するアクチュエータである。ドアロックモータ303は、ボディECU300Bから送信された信号に基づいて動作する。
ドアセンサ304は、車両10が有する複数のドアの開閉状態をセンシングするセンサである。
【0068】
照合ECU300Aは、車両の乗員が所持するスマートキー(キーフォブ)と通信を行い、正当な権限を持つ者が車両に乗車しようとしているか判定を行う。照合ECU300Aには、メインスイッチ301および送受信機302が接続されている。
【0069】
メインスイッチ301は、車両システムを起動するためのハードウェアスイッチであって、典型的にはプッシュスイッチである。メインスイッチ301は、イグニッションスイッチとも呼ばれる。
送受信機302は、スマートキーから送信された高周波数帯(RF帯)の電波を受信する手段と、スマートキーを検索(ポーリング)するための低周波数帯(LF帯)の電波を送信する手段を含む。RF帯は、例えば、100MHz~1GHzの周波数である。また、LF帯は、例えば、100KHz~300KHzの周波数である。RF帯の電波を受信する手段は、車室内のいずれかの場所に内蔵される。また、LF帯の電波を送信する手段は、例えば、車室内のセンターコンソールやステアリングの近傍に内蔵される。
【0070】
スマートキーが、車両のドアを施解錠するための信号(施解錠信号)を送信した場合、照合ECU300Aは、送受信機302を介して施解錠信号を受信し、認証を行う。具体的には、施解錠信号に含まれるキーIDが、照合ECU300Aに予め記憶されたキーI
Dと一致するか否かを判定する。認証に成功した場合、照合ECU300Aは、施解錠信号に従って、ドアの施錠または解錠を行うための信号を、ボディECU200Bに送信する。
【0071】
また、車両10のドアに設けられた施解錠スイッチが押下された場合、照合ECU300Aは、送受信機302を介してポーリングを行ってキーの存在を確認し、認証を行う。認証に成功した場合、照合ECU300Aは、ドアの施錠または解錠を行うための信号を、ボディECU200Bに送信する。
【0072】
メインスイッチ301が押下された場合、照合ECU300Aは、送受信機302を介してポーリングを行ってキーの存在を確認し、認証を行う。認証に成功した場合、照合ECU300Aは、走行システムを管轄するECU(エンジンECU,ハイブリッドECU等。以下、メインECUと称する)に対して、システムの起動を指示する信号を送信する。これにより、ハイブリッドシステムの起動、エンジンの始動等が行われる。
【0073】
ネットワークバスは、車載ネットワークを構成する通信バスである。なお、本例では、一つのバスを例示しているが、車両10は、二つ以上の通信バスを有していてもよい。複数の通信バスは、DCM100や、複数の通信バスを取りまとめるゲートウェイによって互いに接続されていてもよい。
【0074】
次に、車載装置200(電源管理部2011)が、アクセサリ電源の制御を行う方法について説明する。
図7は、車両10が有する複数の電源系統と、これらの電源系統に電圧を印加するための構成を例示する図である。
車両10は、バッテリ電源、アクセサリ電源、イグニッション電源の三つの電源系統を有している。いずれの系統も、車両10に搭載されたバッテリ400によって電源が供給される。
【0075】
バッテリ電源系統は、バッテリ400からの電源が常時供給される系統である。
アクセサリ電源系統は、電源モードがアクセサリモードまたは通常モードである場合に電源が供給される系統である。アクセサリ電源系統に対する電源供給は、ACCリレー400Aによって制御される。
イグニッション電源系統は、電源モードが通常モードである場合に電源が供給される系統である。イグニッション電源系統に対する電源供給は、IGリレー400Bによって制御される。
【0076】
ACCリレー400AおよびIGリレー400Bを制御する方法について説明する。
前述したように、照合ECU300Aは、正当な権限を持つ者が車両に乗車しようとしているか判定を行う。メインスイッチ301が押下された場合、照合ECU300Aは、無線通信によってスマートキーを認証し、認証に成功した場合に、電源モードをアクセサリモードまたは通常モードのいずれかに切り替える。
【0077】
電源モードをアクセサリモードに切り替える場合、照合ECU300Aは、ACCリレー400Aに動作信号を供給し、当該リレーを動作させる。これにより、バッテリからの電源が、アクセサリ電源系統に供給される。
電源モードを通常モードに切り替える場合、照合ECU300Aは、ACCリレー400AおよびIGリレー400Bの双方に動作信号を供給し、これらのリレーを動作させる。これにより、バッテリからの電源が、アクセサリ電源系統およびイグニッション電源系統に供給される。
これらの動作は、従来技術に係る車両における動作である。
【0078】
一方、本実施形態では、図中の点線で示したように、車載装置200が、ACCリレー400Aに対して動作信号を供給できるように構成されている。
車載装置200は、操作子206に対して操作があった場合に、ACCリレー400Aに動作信号を供給し、当該リレーを動作させる。これにより、車載装置200に対して行った操作に応答して、アクセサリ電源を供給することが可能になる。なお、操作子206に対して行われた操作の検知、および、動作信号の出力は、バッテリ電源系統によって、低電力で行うことができる。
【0079】
次に、車載装置200および認証ECU300Aが行う処理について説明する。
図8は、車載装置200(電源管理部2011)が実行する処理のフローチャートである。図示した処理は、操作子206(機能スイッチ)が押下された場合に開始される。
【0080】
まず、ステップS11で、車両10が有するアクセサリ電源系統に電源が供給されているか否かを判定する。車載装置200にアクセサリ電源が供給されている場合、本ステップで肯定判定となる。車載装置200が、アクセサリ電源系統からの電力ではなく、バッテリ電源系統からの電力で動作している場合、本ステップは否定判定となる。
【0081】
ステップS12では、ACCリレー400Aに動作信号を供給し、当該リレーを動作させる。これにより、アクセサリ電源系統に電源が供給される。車載装置200にアクセサリ電源が供給されると、機能実行部2012が動作可能になり、各種の機能が提供可能になる。
【0082】
車両にアクセサリ電源が既に供給されている状況で機能スイッチが押下された場合、処理はステップS13に遷移し、車載装置200が、所定の機能(例えば、オーディオ・ビジュアル機能)のON/OFFを切り替える。
【0083】
図9は、メインスイッチ301が押下された場合に、照合ECU300Aが実行する処理のフローチャートである。
まず、ステップS21で、車両10が駐車中であるか(すなわち、車両システムが停止中であるか)を判定する。本ステップで否定判定となった場合(すなわち、車両システムが起動中である場合)、処理はステップS22に遷移する。
【0084】
ステップS22では、走行システムを管轄するメインECUに対して、走行システムのシャットダウンを指示し、IGリレー400Bに対する動作信号の供給を停止する。これにより、イグニッション電源が遮断される。
なお、本ステップでは、照合ECU300Aは、ACCリレー400Aに対する動作信号の供給も停止する。しかし、車載装置200が使用中である場合、車載装置200からACCリレー400Aに対して動作信号が供給されているため、結果的にアクセサリ電源の供給は維持される。アクセサリ電源は、乗員が降車するまで供給が継続される(後述)。
【0085】
ステップS21で肯定判定となった場合、処理はステップS23へ遷移する。
ステップS23では、照合ECU300Aが、車内にスマートキーを検知しているか否かを判定する。車内にスマートキーを検知していない場合、処理は終了する。車内にスマートキーを検知している場合、処理はステップS24へ遷移する。
【0086】
ステップS24では、アクセサリ電源が供給中であるか否かを判定する。照合ECU300Aにアクセサリ電源が供給されている場合、本ステップで肯定判定となり、処理はステップS25へ遷移する。照合ECU300Aが、アクセサリ電源系統からの電力ではなく、バッテリ電源系統からの電力で動作している場合、否定判定となり、処理はステップ
S26へ遷移する。
【0087】
ステップS25に遷移するケースは、アクセサリ電源が供給されている状況下で、メインスイッチ301を押下したケースである。かかる場合、照合ECU300Aは、メインECUに対して走行システムを起動する旨の指示を行い、同時に、IGリレー400Bに対して動作信号を供給する。これにより、イグニッション電源の供給が開始される。
【0088】
ステップS26に遷移するケースは、アクセサリ電源が供給されていない状況下で、メインスイッチ301を押下したケースである。かかる場合、照合ECU300Aは、メインECUに対して走行システムを起動する旨の指示を行う。また、同時に、ACCリレー400AおよびIGリレー400Bに対して動作信号を供給する。これにより、アクセサリ電源およびイグニッション電源の供給が開始される。
【0089】
一方、車載装置200は、所定の機能が稼働している期間において、アクセサリ電源の供給を継続(換言すると、ACCリレー400Aに対する動作信号の供給を継続)する。動作信号の供給は、(車載装置200の機能を停止するために)機能スイッチが押下されるか、乗員が降車するまで継続する。
図10は、アクセサリ電源のみが供給されている状況下において、車載装置200(電源管理部2011)が実行する処理のフローチャートである。
【0090】
ステップS31では、アクセサリ電源のみが供給されている状態のまま所定の時間(例えば、3分)が経過したか否かを判定する。本ステップで肯定判定となった場合、処理はステップS32へ遷移し、省電力モードへの移行を行う。省電力モードは、電力消費を抑えるためのモードである。省電力モードでは、例えば、アクセサリ電源の遮断を行う。アクセサリ電源のみが供給されている状態で一定の時間が経過した場合、バッテリの電力消費を抑えるため、アクセサリ電源の供給を停止することが好ましいためである。
【0091】
ステップS33では、車両のドアが開放されたか否かを判定する。車両のドアが開放されたことは、ボディECU300Bが出力するドア開閉信号に基づいて判定することができる。本ステップで肯定判定となった場合、処理はステップS34へ遷移する。否定判定となった場合、処理はステップS31へ戻る。
【0092】
ステップS34では、ACCリレー400Aに対する動作信号の供給を停止する。これにより、アクセサリ電源の供給が終了する。
【0093】
以上説明したように、本実施形態に係る車載装置200は、車両にアクセサリ電源を供給するための信号を、メインスイッチ301を介さずに、ACCリレー400Aに供給することができる。これにより、車両の乗員は、車載装置200が有するスイッチを押下する操作のみで、車両のアクセサリ電源を投入することが可能になる。例えば、車載装置200のオーディオ・ビジュアル機能を起動するためのスイッチを押下することで、アクセサリ電源の投入を行うことができるため、直感的な操作を行うことが可能になる。
【0094】
(第一の実施形態の変形例)
第一の実施形態では、車両10のドアが開放された場合に、乗員が降車すると判定したが、他の方法によって、乗員が降車することを検知してもよい。例えば、センサやカメラ等によって、乗員が車両から降車したこと、または、降車しようとしていることを検知してもよい。さらに、車両10のドアが施錠された場合に、乗員が降車したと判定してもよい。
【0095】
(他の変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0096】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0097】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0098】
10・・・車両
100・・DCM
200・・・車載装置
300A・・・照合ECU
300B・・・ボディECU
101,201・・・制御装置
102,202・・・記憶装置
103,203・・・CAN通信モジュール
104,204・・・入出力装置
105,205・・・無線通信モジュール
106・・・GPSモジュール
206・・・操作子