(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
B65G1/04 555
B65G1/04 551A
(21)【出願番号】P 2021181421
(22)【出願日】2021-11-05
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】和田 吉成
(72)【発明者】
【氏名】田村 健二
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-079074(JP,A)
【文献】特開2008-044400(JP,A)
【文献】特許第7347695(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送車を備えた物品搬送設備であって、
第1走行面を備えた第1レールと、
第2走行面を備えた第2レールと、を備え、
前記第2レールは、前記第1レールに対して上側に離間して配置されていると共に、上下方向に沿う上下方向視で前記第1レールと交差するように配置され、
前記第1レールの延在方向を第1方向とし、前記第2レールの延在方向を第2方向として、
前記搬送車は、前記第1レールと前記第2レールとの上下方向の間に配置される車体と、前記車体を前記第1方向に沿って走行させる第1走行ユニットと、前記車体を前記第2方向に沿って走行させる第2走行ユニットと、前記第1走行ユニット及び前記第2走行ユニットの動作を制御する制御部と、を備え、
前記第1走行ユニットは、第1車輪と、前記車体に対する前記第1車輪の姿勢を変更する第1姿勢変更機構と、を備え、前記第1車輪が前記第1走行面に載置される第1車輪載置姿勢と、前記第1車輪が前記第1走行面から離間する第1車輪退避姿勢と、に姿勢変更するように構成され、
前記第2走行ユニットは、第2車輪と、前記車体に対する前記第2車輪の姿勢を変更する第2姿勢変更機構と、を備え、前記第2車輪が前記第2走行面に載置される第2車輪載置姿勢と、前記第2車輪が前記第2走行面から離間する第2車輪退避姿勢と、に姿勢変更するように構成され、
前記制御部は、前記第1走行ユニットを前記第1車輪載置姿勢とすると共に前記第2走行ユニットを前記第2車輪退避姿勢として前記車体を前記第1レールに沿って走行させる第1モードと、前記第2走行ユニットを前記第2車輪載置姿勢とすると共に前記第1走行ユニットを前記第1車輪退避姿勢として前記車体を前記第2レールに沿って走行させる第2モードと、にモード変更可能に構成されている、物品搬送設備。
【請求項2】
前記搬送車は、走行中に前記物品を収容する収容部を備え、
前記収容部は、前記車体に設けられている、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記第2姿勢変更機構は、前記車体に対して揺動可能に連結されると共に前記第2車輪を支持する第2支持アームと、前記第2支持アームを駆動する第2駆動部と、を備え、
前記第2駆動部は、前記第2方向に沿う第2揺動軸心回りに前記第2支持アームを揺動させて、前記車体に対する前記第2車輪の姿勢を変更する、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記第2姿勢変更機構が、前記第2走行ユニットを前記第2車輪退避姿勢から前記第2車輪載置姿勢に姿勢変更する場合に、前記第2車輪が、前記第2支持アームの揺動による前記第2車輪の移動軌跡の最上位置を過ぎた位置で前記第2走行面に載置されるように構成されている、請求項3に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記第1姿勢変更機構は、前記車体に対して揺動可能に連結されると共に前記第1車輪を支持する第1支持アームと、前記第1支持アームを駆動する第1駆動部と、を備え、
前記第1駆動部は、前記第2方向に沿う第1揺動軸心回りに前記第1支持アームを揺動させて、前記車体に対する前記第1車輪の姿勢を変更する、請求項3又は4に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記第1レールは、前記上下方向視で前記第1方向に直交する方向を向く第1案内面を備え、
前記第2レールは、前記上下方向視で前記第2方向に直交する方向を向く第2案内面を備え、
前記第1走行ユニットは、前記第1案内面に案内される第1案内輪を備え、
前記第1案内輪は、前記第1走行ユニットの前記第1車輪載置姿勢では前記第1案内面に接し、前記第1走行ユニットの前記第1車輪退避姿勢では前記第1案内面から離間するように構成され、
前記第2走行ユニットは、前記第2案内面に案内される第2案内輪を備え、
前記第2案内輪は、前記第2走行ユニットの前記第2車輪載置姿勢では前記第2案内面に接し、前記第2走行ユニットの前記第2車輪退避姿勢では前記第2案内面から離間するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
複数の前記第1レールが、前記上下方向視で前記第1方向に直交する方向に並んで配置され、
複数の前記第2レールが、前記上下方向視で前記第2方向に直交する方向に並んで配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項8】
前記搬送車は、前記車体に連結された昇降体と、前記車体に対して前記昇降体を昇降させる昇降装置と、前記昇降体に支持されて前記物品を保持する保持部と、を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送車を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備の一例が、特表2017-150005号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示される符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された物品搬送設備は、搬送車(8)が走行するための走行レール(4)を備えている。互いに異なる方向に延在する第1レール(9)と第2レール(11)とが、同一の水平面内において交差することにより、走行レール(4)が形成されている。搬送車(8)は、第1レール(9)に沿って走行可能であると共に、第2レール(11)に沿って走行可能に構成されている。すなわち、搬送車(8)は、異なる2つの方向に走行することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された物品搬送設備では、2つの走行経路、すなわち第1レール(9)と第2レール(11)とが同一の水平面内において交差しているため、両レールが交差する交差部分(14)では、段差が生じ易い。そのため、搬送車(8)が交差部分(14)を通過する際には振動を伴う可能性が高い。また、例えば、互いに交差する第1レール(9)と第2レール(11)との繋ぎ目が無いように走行レール(4)を一体的に形成する場合には、走行レール(4)の大型化を招く。この場合には、走行レール(4)を物品搬送設備に設置する場合の制約が大きくなる。
【0006】
上記実状に鑑みて、延在方向の異なる複数の経路が交差する走行経路を備えた物品搬送設備において、搬送車の振動を抑制すること、及び、走行経路の設置の自由度を確保することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
物品を搬送する搬送車を備えた物品搬送設備であって、
第1走行面を備えた第1レールと、
第2走行面を備えた第2レールと、を備え、
前記第2レールは、前記第1レールに対して上側に離間して配置されていると共に、上下方向に沿う上下方向視で前記第1レールと交差するように配置され、
前記第1レールの延在方向を第1方向とし、前記第2レールの延在方向を第2方向として、
前記搬送車は、前記第1レールと前記第2レールとの上下方向の間に配置される車体と、前記車体を前記第1方向に沿って走行させる第1走行ユニットと、前記車体を前記第2方向に沿って走行させる第2走行ユニットと、前記第1走行ユニット及び前記第2走行ユニットの動作を制御する制御部と、を備え、
前記第1走行ユニットは、第1車輪と、前記車体に対する前記第1車輪の姿勢を変更する第1姿勢変更機構と、を備え、前記第1車輪が前記第1走行面に載置される第1車輪載置姿勢と、前記第1車輪が前記第1走行面から離間する第1車輪退避姿勢と、に姿勢変更するように構成され、
前記第2走行ユニットは、第2車輪と、前記車体に対する前記第2車輪の姿勢を変更する第2姿勢変更機構と、を備え、前記第2車輪が前記第2走行面に載置される第2車輪載置姿勢と、前記第2車輪が前記第2走行面から離間する第2車輪退避姿勢と、に姿勢変更するように構成され、
前記制御部は、前記第1走行ユニットを前記第1車輪載置姿勢とすると共に前記第2走行ユニットを前記第2車輪退避姿勢として前記車体を前記第1レールに沿って走行させる第1モードと、前記第2走行ユニットを前記第2車輪載置姿勢とすると共に前記第1走行ユニットを前記第1車輪退避姿勢として前記車体を前記第2レールに沿って走行させる第2モードと、にモード変更可能に構成されている。
【0008】
本構成によれば、第1レールに沿って第1方向に搬送車を走行させることができると共に、第2レールに沿って第2方向に搬送車を走行させることができる。第2レールは、第1レールに対して上側に離間して配置されている。すなわち、第1レールと第2レールとは、上下方向の異なる位置に配置されている。これにより、第1レールに沿う走行経路と第2レールに沿う走行経路とを、上下方向視で交差させつつ異なる水平面内に配置することができる。従って、本構成によれば、第1レールと第2レールとの繋ぎ目は存在せず、繋ぎ目が存在することによる段差も生じないことから、両レールが交差する部分を搬送車が走行する際の振動が生じないようにすることができる。また、第1レールと第2レールとは物理的に離間しているため、第1レールと第2レールとを時期をずらして設置することができる。従って、第1レールと第2レールとにより構成される走行経路を物品搬送設備に設置する際の自由度を確保することができる。以上のように、本構成によれば、延在方向の異なる複数の経路が交差する走行経路を備えた物品搬送設備において、搬送車の振動を抑制することができると共に、走行経路の設置の自由度を確保することができる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第1モードの実行中における、搬送車の第1方向視図
【
図3】第2モードの実行中における、搬送車の第2方向視図
【
図4】移載対象箇所に対して移載動作を行う場合の説明図
【
図7】第2実施形態において、搬送車が第1モードを実行し、第2搬送車が第4モードを実行している状態を示す第1方向視図
【
図8】第2実施形態において、搬送車が第1モードを実行し、第2搬送車が第4モードを実行している状態を示す第2方向視図
【
図18】2つの交差エリアが接続された経路を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、物品搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1~
図3に示すように、物品搬送設備100は、物品Gを搬送する搬送車Vと、第1走行面Fr1を備えた第1レールR1と、第2走行面Fr2を備えた第2レールR2と、を備えている。搬送車Vは、第1レールR1に沿って走行可能であると共に、第2レールR2に沿って走行可能に構成されている。すなわち、第1レールR1及び第2レールR2のそれぞれに沿って、搬送車Vの走行経路が設定されている。
【0013】
以下、第1レールR1の延在方向を第1方向Xとし、第2レールR2の延在方向を第2方向Yとする。また、上下方向に沿う上下方向視で第1方向Xに直交する方向を第1幅方向Xwとし、上下方向視で第2方向Yに直交する方向を第2幅方向Ywとする。本実施形態では、第1方向Xと第2方向Yとは、上下方向視で直交している。すなわち本実施形態では、上下方向視で第1方向Xに直交する第1幅方向Xwは、第2方向Yに等しい。また、上下方向視で第2方向Yに直交する第2幅方向Ywは、第1方向Xに等しい。
【0014】
本実施形態では、搬送車Vとの間で物品Gが移載される箇所を移載対象箇所Sとして、物品搬送設備100は、複数の移載対象箇所Sを備えている(
図4及び
図5参照)。
図4に示すように、移載対象箇所Sには、載置台91が含まれる。物品Gは、特定の目的のために載置台91に搬送される。この特定の目的は、物品Gの種類や状態などにより異なる。また、
図5に示すように、物品搬送設備100は、物品Gを保持可能な保管棚8を備えている。本例では、移載対象箇所Sには、この保管棚8も含まれる。保管棚8は、物品Gが搬送される経路の途中に設けられる。これにより、搬送車Vによる物品Gの搬送の途中で、当該物品Gを、一時的または長期的に保管棚8に保管しておくことができる。なお、詳細な図示は省略するが、例えば、物品保管庫の入出庫用コンベア等も、移載対象箇所Sに含まれる。
【0015】
物品搬送設備100は、例えば、半導体製造工場に用いられる。
図4に示すように、本実施形態では、物品搬送設備100は、物品Gに対する処理を行う処理装置90を備えており、上述の載置台91は、処理装置90に隣接して配置されている。
【0016】
本実施形態では、搬送車Vは、処理装置90による処理が行われる前の物品Gを載置台91に搬送すると共に、処理装置90による処理が行われた後の物品Gを載置台91から指定された搬送先へ搬送する。例えば、物品Gは、処理装置90による処理の対象となる処理対象物を収容する容器であり、上述の「物品Gに対する処理」とは、物品Gに収容された処理対象物に対する処理を意味する。
【0017】
物品Gとして、ウェハを収容するウェハ収容容器(いわゆるFOUP:Front Opening Unified Pod)や、レチクルを収容するレチクル収容容器(いわゆるレチクルポッド)を例示することができる。物品GがFOUPである場合、処理対象物はウェハとされる。物品Gがレチクルポッドである場合、処理対象物はレチクルとされる。ここで例示する半導体製造工場においては、処理装置90は、半導体基板に対して、例えば、薄膜形成、フォトリソグラフィー、エッチングなどの種々の処理を行う。
【0018】
図2及び
図3に示すように、第2レールR2は、第1レールR1に対して上側に離間して配置されていると共に、上下方向視で第1レールR1と交差するように配置されている。すなわち、第1レールR1と第2レールR2とは、上下方向の異なる位置に配置されている。これにより、第1レールR1に沿う走行経路と第2レールR2に沿う走行経路とを、上下方向視で交差させつつ異なる水平面内に配置することができる。
【0019】
このような構成によれば、第1レールR1と第2レールR2とが接続されず、そのため第1レールR1と第2レールR2との繋ぎ目も存在しない。従って、繋ぎ目が存在することによる段差も生じないことから、両レール(R1、R2)が交差する部分を搬送車Vが走行する際の振動が生じないようにすることができる。また、第1レールR1と第2レールR2とは物理的に離間しているため、第1レールR1と第2レールR2とを時期をずらして設置することができる。従って、第1レールR1と第2レールR2とにより構成される走行経路を物品搬送設備100に設置する際の作業の自由度を確保することができる。
【0020】
図1に示すように、本実施形態では、物品搬送設備100は、第1レールR1に沿う走行経路と第2レールR2に沿う走行経路とが交差する交差エリアCAを備えている。本例では、第1レールR1と第2レールR2とは、上下方向視で直交している。そして、複数の第1レールR1が、上下方向視で第1方向Xに直交する方向(第1幅方向Xw、第2方向Y)に並んで配置され、複数の第2レールR2が、上下方向視で第2方向Yに直交する方向(第2幅方向Yw、第1方向X)に並んで配置されている。これにより、本例では、複数の第1レールR1と複数の第2レールR2とが上下方向視で格子状を成す走行経路が、交差エリアCAに設けられている。
【0021】
上述のように、第1レールR1は、搬送車Vが第1方向Xに沿って走行するための第1走行面Fr1を備えている。
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、第1レールR1は、上下方向視で第1方向Xに直交する方向(本例では第2方向Y)を向く第1案内面Fg1を備えている。換言すれば、第1レールR1は、第1幅方向Xwを向く第1案内面Fg1を備えている。第1案内面Fg1は、搬送車Vを第1方向Xに沿って案内するための面である。
【0022】
また、上述のように、第2レールR2は、搬送車Vが第2方向Yに沿って走行するための第2走行面Fr2を備えている。本実施形態では、第2レールR2は、上下方向視で第2方向Yに直交する方向(本例では第1方向X)を向く第2案内面Fg2を備えている。換言すれば、第2レールR2は、第2幅方向Ywを向く第2案内面Fg2を備えている。第2案内面Fg2は、搬送車Vを第2方向Yに沿って案内するための面である。
【0023】
図2に示すように、本実施形態では、第1レールR1は、第1幅方向Xwに離間して配置された一対の第1レール体RB1を含んでいる。本例では、第1幅方向Xwに並んで配置された複数の第1レールR1のそれぞれが、第1幅方向Xwに離間して配置された一対の第1レール体RB1を含んでいる。すなわち、第1幅方向Xwに離間して配置された一対の第1レール体RB1によって1つの第1レールR1が構成されており、複数の第1レールR1が、第1幅方向Xwに並んで配置されている。
【0024】
本実施形態では、第1幅方向Xwに隣り合う2つの第1レールR1が、1つの第1レール体RB1を共用しており、当該第1レール体RB1には、第1幅方向Xwに隣り合う2つの第1レールR1のそれぞれに属する一対の第1走行面Fr1が形成されている。これにより、設備全体として第1レール体RB1の設置数を少なく抑えることができる。よって、第1レールR1を設置する場合の工数を少なく抑え易い。
【0025】
本実施形態では、第1レール体RB1は、第1方向Xに沿って延在する第1本体部R11と、第1本体部R11から上方に突出すると共に第1方向Xに沿って延在する第1壁部R12と、を備えている。そして、第1本体部R11における上側を向く面により、第1走行面Fr1が形成されている。本例では、第1壁部R12に対して第1幅方向Xwの両側のそれぞれに、第1走行面Fr1が配置されている。そして、第1壁部R12における第1幅方向Xwの両側を向く面のそれぞれにより、第1案内面Fg1が形成されている。上記構成により、第1壁部R12に対して第1幅方向Xwの一方側を走行する搬送車Vと、第1壁部R12に対して第1幅方向Xwの他方側を走行する他の搬送車Vとの双方を、1つの第1レール体RB1に備えられた一対の第1走行面Fr1によって適切に走行させることができると共に、1つの第1レール体RB1に備えられた一対の第1案内面Fg1によって適切に案内することができる。本例では、第1レール体RB1の第1方向Xに直交する断面は、逆T字状に形成されている。
【0026】
図3に示すように、本実施形態では、第2レールR2は、第2幅方向Ywに離間して配置された一対の第2レール体RB2を含んでいる。本例では、第2幅方向Ywに並んで配置された複数の第2レールR2のそれぞれが、第2幅方向Ywに離間して配置された一対の第2レール体RB2を含んでいる。すなわち、第2幅方向Ywに離間して配置された一対の第2レール体RB2によって1つの第2レールR2が構成されており、複数の第2レールR2が、第2幅方向Ywに並んで配置されている。
【0027】
本実施形態では、第2幅方向Ywに隣り合う2つの第2レールR2が、1つの第2レール体RB2を共用しており、当該第2レール体RB2には、第2幅方向Ywに隣り合う2つの第2レールR2のそれぞれに属する一対の第2走行面Fr2が形成されている。これにより、設備全体として第2レール体RB2の設置数を少なく抑えることができる。よって、第2レールR2を設置する場合の工数を少なく抑え易い。
【0028】
本実施形態では、第2レール体RB2は、第2方向Yに沿って延在する第2本体部R21と、第2本体部R21から上方に突出すると共に第2方向Yに沿って延在する第2壁部R22と、を備えている。そして、第2本体部R21における上側を向く面により、第2走行面Fr2が形成されている。本例では、第2壁部R22に対して第2幅方向Ywの両側のそれぞれに、第2走行面Fr2が配置されている。そして、第2壁部R22における第2幅方向Ywの両側を向く面のそれぞれにより、第2案内面Fg2が形成されている。上記構成により、第2壁部R22に対して第2幅方向Ywの一方側を走行する搬送車Vと、第2壁部R22に対して第2幅方向Ywの他方側を走行する他の搬送車Vとの双方を、1つの第2レール体RB2に備えられた一対の第2走行面Fr2によって適切に走行させることができると共に、1つの第2レール体RB2に備えられた一対の第2案内面Fg2によって適切に案内することができる。本例では、第2レール体RB2の第2方向Yに直交する断面は、逆T字状に形成されている。
【0029】
図2及び
図3に示すように、搬送車Vは、車体Vaと、車体Vaを第1方向Xに沿って走行させる第1走行ユニットU1と、車体Vaを第2方向Yに沿って走行させる第2走行ユニットU2と、第1走行ユニットU1及び第2走行ユニットU2の動作を制御する制御部Cと、を備えている。車体Vaは、第1レールR1と第2レールR2との上下方向の間に配置されている。詳細には、車体Vaは、第1レール体RB1の上端(第1壁部R12の上端)と第2レール体RB2の下端(第2本体部R21の下端)との上下方向の間に配置されている。
【0030】
本実施形態では、搬送車Vは、走行中に物品Gを収容する収容部Vbを備えている。収容部Vbは、車体Vaに設けられている。また本例では、搬送車Vは、車体Vaに連結された昇降体Vcと、車体Vaに対して昇降体Vcを昇降させる昇降装置Vdと、昇降体Vcに支持されて物品Gを保持する保持部Veと、を備えている。
【0031】
本実施形態では、車体Vaは、収容部Vbに収容された物品Gを複数の方向から覆う形状とされている。本例では、車体Vaは、収容部Vbに収容された物品Gの上方と、第2方向Yの両側と、を覆う形状とされている。そのため、収容部Vbに収容された物品Gの下方と、第1方向Xの両側とは、開放されている。これらの開放部分は、載置台91又は保管棚8との間で物品Gが移載される場合に利用される。物品Gの移載について、詳細は後述する。
【0032】
第1走行ユニットU1は、第1車輪11と、車体Vaに対する第1車輪11の姿勢を変更する第1姿勢変更機構13と、を備え、第1車輪11が第1走行面Fr1に載置される第1車輪載置姿勢と、第1車輪11が第1走行面Fr1から離間する第1車輪退避姿勢と、に姿勢変更するように構成されている。本実施形態では、第1車輪11が回転駆動されるように構成されている。これにより、車体Vaが第1方向Xに沿って走行するための推進力が発生する。なお、
図2が、第1走行ユニットU1の第1車輪載置姿勢を示している。
図3が、第1走行ユニットU1の第1車輪退避姿勢を示している。
【0033】
本実施形態では、第1走行ユニットU1は、第1案内面Fg1に案内される第1案内輪12を備えている。第1案内輪12は、第1走行ユニットU1の第1車輪載置姿勢では第1案内面Fg1に接し、第1走行ユニットU1の第1車輪退避姿勢では第1案内面Fg1から離間するように構成されている。このような構成により、第1走行ユニットU1が、第1車輪載置姿勢において車体Vaを第1レールR1に沿って走行させる場合に、第1案内輪12によって、車体Vaを第1レールR1に沿って適切に案内することができる。
【0034】
本実施形態では、第1走行ユニットU1の第1車輪載置姿勢において、第1車輪11の回転軸が第1幅方向Xw(第2方向Y)を向いた状態で、当該第1車輪11が第1走行面Fr1に載置される。また、第1走行ユニットU1の第1車輪載置姿勢において、第1案内輪12の回転軸が上下方向を向いた状態で、当該第1案内輪12が第1案内面Fg1に接する。
【0035】
本実施形態では、搬送車Vは、複数の第1走行ユニットU1を備えている。搬送車Vは、複数の第1走行ユニットU1を用いて、第1レールR1に沿って走行するように構成されている。上述のように、搬送車Vが第1方向Xに沿って走行するための第1レールR1は、第1幅方向Xwに離間して配置される一対の第1レール体RB1を含んでいる。そして、本実施形態では、第1走行ユニットU1は、第1幅方向Xwに離間して配置される一対の第1レール体RB1のそれぞれに対応して設けられている。また本例では、車体Vaにおける第1幅方向Xw(第2方向Y)の両側部分のそれぞれにおいて、一対の第1走行ユニットU1が第1方向Xに分かれて配置されている(
図3参照)。すなわち本例では、搬送車Vは、合計で4つの第1走行ユニットU1を備えている。
【0036】
第2走行ユニットU2は、第2車輪21と、車体Vaに対する第2車輪21の姿勢を変更する第2姿勢変更機構23と、を備え、第2車輪21が第2走行面Fr2に載置される第2車輪載置姿勢と、第2車輪21が第2走行面Fr2から離間する第2車輪退避姿勢と、に姿勢変更するように構成されている。本実施形態では、第2車輪21が回転駆動されるように構成されている。これにより、車体Vaが第2方向Yに沿って走行するための推進力が発生する。なお、
図2が、第2走行ユニットU2の第2車輪退避姿勢を示している。
図3が、第2走行ユニットU2の第2車輪載置姿勢を示している。
【0037】
図3に示すように、本実施形態では、第2走行ユニットU2は、第2案内面Fg2に案内される第2案内輪22を備えている。第2案内輪22は、第2走行ユニットU2の第2車輪載置姿勢では第2案内面Fg2に接し、第2走行ユニットU2の第2車輪退避姿勢では第2案内面Fg2から離間するように構成されている。このような構成により、第2走行ユニットU2が、第2車輪載置姿勢において車体Vaを第2レールR2に沿って走行させる場合に、第2案内輪22によって、車体Vaを第2レールR2に沿って適切に案内することができる。
【0038】
本実施形態では、第2走行ユニットU2の第2車輪載置姿勢において、第2車輪21の回転軸が第2幅方向Yw(第1方向X)を向いた状態で、当該第2車輪21が第2走行面Fr2に載置される。また、第2走行ユニットU2の第2車輪載置姿勢において、第2案内輪22の回転軸が上下方向を向いた状態で、当該第2案内輪22が第2案内面Fg2に接する。
【0039】
本実施形態では、搬送車Vは、複数の第2走行ユニットU2を備えている。搬送車Vは、複数の第2走行ユニットU2を用いて、第2レールR2に沿って走行するように構成されている。上述のように、搬送車Vが第2方向Yに沿って走行するための第2レールR2は、第2幅方向Ywに離間して配置される一対の第2レール体RB2を含んでいる。そして、本実施形態では、第2走行ユニットU2は、第2幅方向Ywに離間して配置される一対の第2レール体RB2のそれぞれに対応して設けられている。また本例では、車体Vaにおける第1幅方向Xw(第2方向Y)の両側部分のそれぞれにおいて、一対の第2走行ユニットU2が第1方向Xに分かれて配置されている(
図3参照)。すなわち本例では、搬送車Vは、合計で4つの第2走行ユニットU2を備えている。
【0040】
制御部Cは、第1走行ユニットU1を第1車輪載置姿勢とすると共に第2走行ユニットU2を第2車輪退避姿勢として車体Vaを第1レールR1に沿って走行させる第1モードと、第2走行ユニットU2を第2車輪載置姿勢とすると共に第1走行ユニットU1を第1車輪退避姿勢として車体Vaを第2レールR2に沿って走行させる第2モードと、にモード変更可能に構成されている。
図2は、制御部Cが第1モードを実行している状態を示している。
図3は、制御部Cが第2モードを実行している状態を示している。
【0041】
本実施形態では、制御部Cは、第1モードと第2モードとの間でモード変更を行う前に、第1走行ユニットU1を第1車輪載置姿勢とすると共に第2走行ユニットU2を第2車輪載置姿勢とし、第1レールR1及び第2レールR2の双方に車体Vaを支持させた両支持状態とする。制御部Cは、第1モードを実行する場合には、上記の両支持状態から、第2走行ユニットU2を第2車輪退避姿勢に変更する。また、制御部Cは、第2モードを実行する場合には、上記の両支持状態から、第1走行ユニットU1を第1車輪退避姿勢に変更する。このような構成により、車体Vaを適切に支持しつつ、モード変更を行うことができる。なお、第1モードと第2モードとの間のモード変更は、車体Vaが、上下方向視で第1レールR1と第2レールR2とが交差する交差箇所に配置されている状態で実行される。
【0042】
本実施形態では、第1走行ユニットU1の第1車輪退避姿勢において、第1車輪11及び第1案内輪12が第1レールR1よりも上方に配置される(
図3参照)。これにより、制御部Cが第2モードを実行して、搬送車Vが第2方向Yに沿って走行する場合に、第1車輪11及び第1案内輪12が第1レールR1と干渉しないようにできる。従って、搬送車Vを第2方向Yに沿って適切に走行させることができる。
【0043】
本実施形態では、第2走行ユニットU2が第2車輪退避姿勢において、第2車輪21及び第2案内輪22が第2レールR2よりも下方に配置される(
図2参照)。これにより、制御部Cが第1モードを実行して、搬送車Vが第1方向Xに沿って走行する場合に、第2車輪21及び第2案内輪22が第2レールR2と干渉しないようにできる。従って、搬送車Vを第1方向Xに沿って適切に走行させることができる。
【0044】
本実施形態では、第1姿勢変更機構13は、車体Vaに対して揺動可能に連結されると共に第1車輪11を支持する第1支持アーム131と、第1支持アーム131を駆動する第1駆動部132と、を備えている。
【0045】
本実施形態では、第1支持アーム131は、第1車輪11に加えて、第1案内輪12を支持している。第1支持アーム131は、第1車輪11の回転軸と第1案内輪12の回転軸とが異なる方向に沿うように、第1車輪11と第1案内輪12との双方を回転自在に支持している。より詳細には、第1支持アーム131は、第1車輪11の回転軸に沿う方向と第1案内輪12の回転軸に沿う方向とが直交するように、第1車輪11と第1案内輪12とを支持している。
【0046】
本実施形態では、第1駆動部132は、第2方向Yに沿う第1揺動軸心Ax1回りに第1支持アーム131を揺動させて、車体Vaに対する第1車輪11の姿勢を変更するように構成されている。本例では、第1駆動部132は、第1揺動軸心Ax1回りに第1支持アーム131を揺動させることにより、車体Vaに対する第1案内輪12の姿勢も変更する。第1駆動部132は、例えばモータを含んで構成されている。
【0047】
本実施形態では、第1走行ユニットU1が第1車輪退避姿勢での第1車輪11及び第1案内輪12の位置(
図3において実線で示す)は、第1走行ユニットU1が第1車輪載置姿勢での第1車輪11及び第1案内輪12の位置(
図3において破線で示す)よりも、第1方向Xにおける車体Vaの中央側に配置されている。本例では、第1走行ユニットU1が第1車輪退避姿勢での第1車輪11及び第1案内輪12は、第2方向Y視において、車体Vaと重複した位置に配置されている。これにより、第1走行ユニットU1の第1車輪退避姿勢において、搬送車Vの第1方向Xの寸法の小型化が図り易くなっている。
【0048】
本実施形態では、第2姿勢変更機構23は、車体Vaに対して揺動可能に連結されると共に第2車輪21を支持する第2支持アーム231と、第2支持アーム231を駆動する第2駆動部232と、を備えている。
【0049】
本実施形態では、第2支持アーム231は、第2車輪21に加えて、第2案内輪22を支持している。第2支持アーム231は、第2車輪21の回転軸と第2案内輪22の回転軸とが異なる方向に沿うように、第2車輪21と第2案内輪22との双方を回転自在に支持している。より詳細には、第2支持アーム231は、第2車輪21の回転軸に沿う方向と第2案内輪22の回転軸に沿う方向とが直交するように、第2車輪21と第2案内輪22とを支持している。
【0050】
本実施形態では、第2駆動部232は、第2方向Yに沿う第2揺動軸心Ax2回りに第2支持アーム231を揺動させて、車体Vaに対する第2車輪21の姿勢を変更するように構成されている。本例では、第2駆動部232は、第2揺動軸心Ax2回りに第2支持アーム231を揺動させることにより、車体Vaに対する第2案内輪22の姿勢も変更する。第2駆動部232は、例えばモータを含んで構成されている。
【0051】
本実施形態では、第2走行ユニットU2が第2車輪退避姿勢での第2車輪21及び第2案内輪22の位置(
図3において破線で示す)は、第2走行ユニットU2が第2車輪載置姿勢での第2車輪21及び第2案内輪22の位置(
図3において実線で示す)よりも、第1方向Xにおける車体Vaの中央側に配置されている。本例では、第2走行ユニットU2が第2車輪退避姿勢での第2車輪21及び第2案内輪22は、第2方向Y視において、車体Vaと重複した位置に配置されている。これにより、第2走行ユニットU2の第2車輪退避姿勢において、搬送車Vの第1方向Xの寸法の小型化が図り易くなっている。
【0052】
図3の部分拡大図に示すように、本実施形態では、第2姿勢変更機構23が、第2走行ユニットU2を第2車輪退避姿勢から第2車輪載置姿勢に姿勢変更する場合に、第2車輪21が、第2支持アーム231の揺動による第2車輪21の移動軌跡の最上位置Ptを過ぎた位置で第2走行面Fr2に載置されるように構成されている。これにより、第2車輪21を、第2走行面Fr2に対して上方から接近させて当該第2走行面Fr2に載置することができる。従って、第2車輪退避姿勢から第2車輪載置姿勢への姿勢変更を行う場合に、第2車輪21と第2走行面Fr2との摩擦を軽減しつつ、当該姿勢変更を適切に行うことができる。このようにすることにより、第2車輪21の摩耗や塵埃の発生を少なく抑えることができる。
【0053】
以上説明した構成により、第1レールR1に沿って第1方向Xに搬送車Vを走行させることができると共に、第2レールR2に沿って第2方向Yに搬送車Vを走行させることが可能となっている。
【0054】
次に、搬送車Vが物品Gを移載するための構成について、
図4及び
図5を主に参照して説明する。
【0055】
上述のように、本実施形態では、搬送車Vは、車体Vaに連結された昇降体Vcと、車体Vaに対して昇降体Vcを昇降させる昇降装置Vdと、昇降体Vcに支持されて物品Gを保持する保持部Veと、を備えており、載置台91及び保管棚8との間で物品Gを移載するように構成されている。
【0056】
本実施形態では、昇降装置Vdは、昇降体Vcに連結されたベルトVdaと、ベルトVdaを駆動する昇降駆動部Vdbと、を備えている。詳細な図示は省略するが、昇降駆動部Vdbは、ベルトVdaが巻回されたプーリと、プーリを回転駆動するモータと、を備えている。
【0057】
本実施形態では、保持部Veは、物品Gを保持する保持姿勢と、物品Gの保持を解除する保持解除姿勢と、に姿勢変更するように構成されている。本例では、保持部Veは、互いに接近または離間する一対の保持爪Veaと、一対の保持爪Veaを駆動する保持駆動部Vebと、を備えている。一対の保持爪Veaは、互いに接近することで保持姿勢となり、互いに離間することで保持解除姿勢となる。
【0058】
本実施形態では、昇降装置Vdは、上下方向視で第1幅方向Xwにおける一対の第1レール体RB1の間において、昇降体Vcを昇降させるように構成されている。本例では、制御部Cは、第1モードの実行中に、昇降装置Vdによる昇降体Vcの昇降を許容する。説明を加えると、制御部Cが第1モードを実行している場合には、車体Vaは、上下方向視で第1幅方向Xwにおける一対の第1レール体RB1の間に配置されることになる。すなわち、制御部Cが第1モードを実行している場合において、昇降体Vcは、上下方向視で第1レール体RB1と重複しない位置に配置される。この場合に、昇降体Vcを、第1レール体RB1と干渉しないように昇降させることができる。
【0059】
ここで、制御部Cは、第2モードの実行中には、昇降装置Vdによる昇降体Vcの昇降を禁止すると好適である。説明を加えると、制御部Cが第2モードを実行している場合には、第2方向Yにおける昇降体Vcの位置は、第2レールR2に沿って走行している車体Vaの現在位置によって定まる。そのため、第1レール体RB1が昇降体Vcの直下に配置される状態となり得る。この状態で昇降体Vcを下降させると、当該昇降体Vcと第1レール体RB1とが干渉することになる。しかしながら、制御部Cが、第2モードの実行中に昇降装置Vdによる昇降体Vcの昇降を禁止することで、上記のような昇降体Vcと第1レール体RB1とが干渉する事態を避けることができる。なお、第2モードの実行中であっても、第1レール体RB1が昇降体Vcの直下に配置されていないことを条件として昇降装置Vdによる昇降体Vcの昇降を許容するようにしても良い。この場合において、第1レール体RB1が昇降体Vcの直下に配置されていないことは、例えば、センサを用いて車体Vaに対する第1レール体RB1の位置を検知することで確認できる。
【0060】
搬送車Vは、保持部Veを昇降体Vcに対して水平方向に沿ってスライド移動させるスライド装置Vfと、昇降体Vcに支持された係合装置Vgと、を更に備えている。
【0061】
本実施形態では、スライド装置Vfは、保持部Veを支持すると共に水平方向に沿って出退するスライド体Vfaと、スライド体Vfaを出退駆動するスライド駆動部(不図示)と、を備えている。スライド体Vfaを出退させることで、当該スライド体Vfaに支持された保持部Veを水平方向に変位させることができる。本実施形態では、スライド装置Vfは、第2方向Yに沿って、保持部Veをスライド移動させるように構成されている。これにより、
図4に示すように、載置台91が、第1レールR1に対して第1幅方向Xw(第2方向Y)にずれた位置に配置されている場合であっても、当該載置台91との間で適切に物品Gを移載することが可能となっている。また、
図5に示すように、本実施形態では、保管棚8は、第1レールR1に対して第1幅方向Xw(第2方向Y)にずれた位置に配置されている。従って、スライド装置Vfにより、このような保管棚8との間でも適切に物品Gを移載することが可能となっている。なお、保管棚8は、第1レールR1よりも下側において、第1レールR1に支持されている。図示の例では、保管棚8は、搬送車Vが存在する第1レールR1に対して第1幅方向Xw(第2方向Y)に隣接する他の第1レールR1に属する一対の第1レール体RB1に支持されている。
【0062】
本実施形態では、搬送車Vは、スライド装置Vfよりも下側において保持部Veをスライド装置Vfに対して昇降させる第2昇降装置Vd2を更に備えている。昇降装置Vdと第2昇降装置Vd2とは、異なる装置である。第2昇降装置Vd2との区別のため、昇降装置Vdを「第1昇降装置Vd」と称しても良い。
【0063】
昇降装置Vdが昇降体Vcを昇降させることが可能な最大の昇降範囲を第1昇降範囲とし、第2昇降装置Vd2が保持部Veを昇降させることが可能な最大の昇降範囲を第2昇降範囲とすると、本実施形態では、第1昇降範囲と第2昇降範囲とは異なる。本例では、第1昇降範囲は、第2昇降範囲よりも短い。すなわち、昇降体Vcが昇降可能な範囲は、保持部Veが昇降可能な範囲よりも短い。
【0064】
本実施形態では、第2昇降装置Vd2は、保持部Veに連結されたベルトVd2aと、ベルトVd2aを駆動する昇降駆動部(不図示)と、を備えている。詳細な図示は省略するが、第2昇降装置Vd2の昇降駆動部は、ベルトVd2aが巻回されたプーリと、プーリを回転駆動するモータと、を備えている。
【0065】
ここで、第1レールR1は、被係合部Rgを備えている。本実施形態では、被係合部Rgは、第1方向Xにおける移載対象箇所Sに対応する位置に配置されている。本例では、被係合部Rgは、第1方向Xにおける載置台91に対応する位置、及び、第1方向Xにおける保管棚8に対応する位置に配置されている。
【0066】
被係合部Rgは、一対の第1レール体RB1の少なくとも一方に設けられている。本実施形態では、被係合部Rgは、一対の第1レール体RB1の双方に設けられている。一対の第1レール体RB1のそれぞれに設けられた被係合部Rg同士は、第1方向Xにおける同じ位置に配置されている。詳細には、一対の第1レール体RB1のそれぞれに設けられた被係合部Rg同士は、第1方向Xおよび上下方向において同じ位置に配置されている。換言すれば、一対の第1レール体RB1のそれぞれに設けられた被係合部Rg同士は、第2方向Yにおいて互いに対向するように配置されている。
【0067】
本実施形態では、被係合部Rgは、第1走行面Fr1よりも下側において、第1レールR1に固定されている。詳細には、第1幅方向Xwに離間して配置された一対の第1レール体RB1のそれぞれに、被係合部Rgが固定されている。そして、被係合部Rgは、第1レール体RB1から下方に突出するように設けられている。
【0068】
図6に示すように、本実施形態では、被係合部Rgは、ブロック状に形成されたブロック部Rgaと、ブロック部Rgaに形成された被係合穴Rgbと、を備えている。被係合穴Rgbは、ブロック部Rgaにおける第1幅方向Xw(第2方向Y)の内側を向く面に開放している。本例では、被係合穴Rgbは、第1幅方向Xw(第2方向Y)の内側から第1幅方向Xw(第2方向Y)の外側に向かうに従って開口面積が狭まるように形成されている。図示の例では、被係合穴Rgbは、円錐状に形成されている。
【0069】
図4及び
図5に示すように、係合装置Vgは、昇降体Vcに支持されている。係合装置Vgは、被係合部Rgに係合する係合部Vgaと、係合部Vgaを係合姿勢と解除姿勢とに姿勢変更する係合駆動部Vgbと、を備えている。
【0070】
本実施形態では、係合装置Vgは、一対の係合部Vgaを備えている。一対の係合部Vgaは、少なくとも係合姿勢において、昇降体Vcに対して第1幅方向Xw(第2方向Y)の外側に突出するように構成されている。本例では、一対の係合部Vgaのそれぞれは、棒状に形成され、第1幅方向Xw(第2方向Y)に沿う姿勢で昇降体Vcに支持されている。本例では、一対の係合部Vgaのそれぞれの先端は、第1幅方向Xw(第2方向Y)の外側(被係合穴Rgbの側)に向かうに従って細くなるように形成されている。図示の例では、係合部Vgaの先端は、半球面状に形成されている。
【0071】
係合駆動部Vgbは、係合部Vgaを、第1幅方向Xw(第2方向Y)に沿って出退させることで、係合姿勢と解除姿勢とに係合部Vgaの姿勢変更を行うように構成されている。本例では、係合駆動部Vgbは、一対の係合部Vgaの姿勢変更を行うように構成されている。係合駆動部Vgbは、例えばボールねじ機構やリンク機構などの、対象物(係合部Vga)を動作させるための周知の機構を備えていると良い。
【0072】
係合姿勢では、係合部Vgaが被係合部Rgに係合して昇降体Vcの昇降及び傾動が規制され、解除姿勢では、係合部Vgaが被係合部Rgから離間して昇降体Vcの昇降が許容される。
図4及び
図5は、係合部Vgaの係合姿勢を示している。なお、
図2が、係合部Vgaの解除姿勢を示している。
【0073】
制御部Cは、昇降装置Vdにより昇降体Vcを昇降させる場合に係合部Vgaを解除姿勢とし、スライド装置Vfにより保持部Veを昇降体Vcに対して水平方向に突出させる場合に係合部Vgaを係合姿勢とする。本実施形態では、制御部Cは、係合部Vgaを係合姿勢として、スライド装置Vfによって保持部Veを昇降体Vcに対して第1幅方向Xw(第2方向Y)に突出させ、又は、保持部Veを昇降体Vcに対して第1幅方向Xw(第2方向Y)に引退させる。上記構成により、搬送車Vの直下から水平方向にずれた位置に物品Gを移載する場合に、係合部Vgaを係合姿勢とすることで、昇降体Vcの傾動を規制することができる。これにより、搬送車Vの直下から水平方向にずれた位置への物品Gの移載を適切に行うことが可能となる。なお、係合部Vgaは、係合姿勢において、昇降体Vcの第1方向Xの位置決めも行う。これにより、載置台91又は保管棚8との間で物品Gを移載する場合に、第1方向Xの位置合わせも容易に行うことができる。
【0074】
本実施形態では、搬送車Vは、スライド装置Vfによって保持部Veをスライド移動させることにより、載置台91に物品Gを引き渡す引渡動作及び載置台91から物品Gを受け取る受取動作を実行可能に構成されている。
【0075】
図4に示すように、制御部Cは、載置台91に対する物品Gの引渡動作を搬送車Vに実行させる場合には、昇降装置Vdにより昇降体Vcを下降させると共に、係合部Vgaを係合姿勢とする。そして、制御部Cは、スライド装置Vfによって保持部Veを昇降体Vcに対して第1幅方向Xw(第2方向Y)に突出させて、載置台91の直上に保持部Veを配置する。その後、制御部Cは、第2昇降装置Vd2によって保持部Veを下降させると共に保持部Veを保持解除姿勢として、物品Gを載置台91に載置する。制御部Cは、載置台91に対する物品Gの受取動作を搬送車Vに実行させる場合には、上記とは逆の動作を各装置に行わせる。
【0076】
なお、載置台91が、第1レールR1に対して第1幅方向Xw(第2方向Y)にずれた位置に配置されておらず、第1レールR1に対して上下方向視で重複する位置(搬送車Vの直下)に配置されている場合には、スライド装置Vfによって保持部Veをスライド移動させる必要は無い。この場合、制御部Cは、昇降装置Vd及び第2昇降装置Vd2の少なくとも一方を動作させることにより、搬送車Vの直下に配置された載置台91との間で物品Gを移載する。この場合には、状況に応じて、係合部Vgaを係合姿勢としても良いし、解除姿勢としても良い。
【0077】
上述のように、搬送車Vは、載置台91に加えて、保管棚8との間でも物品Gの移載を行うように構成されている。すなわち本実施形態では、搬送車Vは、スライド装置Vfによって保持部Veをスライド移動させることにより、保管棚8に物品Gを引き渡す引渡動作及び保管棚8から物品Gを受け取る受取動作を実行可能に構成されている。
【0078】
図5に示すように、制御部Cは、搬送車Vに、保管棚8に対する物品Gの引渡動作または受取動作を実行させる場合に、昇降装置Vdにより昇降体Vcを保管棚8に対応する高さに位置させ、且つ、係合部Vgaを係合姿勢とする。本実施形態では、制御部Cは、保管棚8に対する物品Gの引渡動作を搬送車Vに実行させる場合には、昇降装置Vdにより昇降体Vcを下降させると共に、係合部Vgaを係合姿勢とする。そして、制御部Cは、スライド装置Vfによって保持部Veを昇降体Vcに対して第1幅方向Xw(第2方向Y)に突出させて、保管棚8の直上に保持部Veを配置する。その後、制御部Cは、第2昇降装置Vd2によって保持部Veを下降させると共に保持部Veを保持解除姿勢として、物品Gを保管棚8に載置する。制御部Cは、保管棚8に対する物品Gの受取動作を搬送車Vに実行させる場合には、上記とは逆の動作を各装置に行わせる。
【0079】
〔第2実施形態〕
次に、物品搬送設備100の第2実施形態について、
図7及び
図8を参照して説明する。以下では、上記第1実施形態との相違点について主に説明する。特に説明しない点については、上記第1実施形態と同様である。
【0080】
図7及び
図8に示すように、本実施形態に係る物品搬送設備100は、第2搬送車V2と、第3走行面Fr3を備えた第3レールR3と、第4走行面Fr4を備えた第4レールR4と、を備えている。
【0081】
第2搬送車V2は、搬送車Vとは別の走行経路を走行するように構成されている。詳細には、第2搬送車V2は、第3レールR3に沿って走行可能であると共に、第4レールR4に沿って走行可能に構成されている。すなわち、第3レールR3及び第4レールR4のそれぞれに沿って、第2搬送車V2の走行経路が設定されている。
【0082】
第3レールR3は、第1レールR1に対して下側に離間して配置されていると共に、上下方向視で第1レールR1と交差するように配置されている。本例では、第3レールR3は、第2レールR2と平行に配置されている。すなわち本例では、第3レールR3は、第2方向Yに沿って延在しており、上下方向視で第1レールR1と直交するように配置されている。
【0083】
第4レールR4は、上下方向における第1レールR1と第3レールR3との間に配置されると共に、上下方向視で第1レールR1と平行に配置されている。すなわち本例では、第4レールR4は、第1方向Xに沿って延在しており、上下方向視で第2レールR2及び第3レールR3の双方と直交するように配置されている。
【0084】
このように、本実施形態では、第3レールR3が第2方向Yに沿って延在しており、第4レールR4が第1方向Xに沿って延在している。そのため、第3レールR3と第4レールR4とは、上下方向視で直交している。そして、複数の第3レールR3が、第2幅方向Yw(第1方向X)に並んで配置されている。また、複数の第4レールR4が、第1幅方向Xw(第2方向Y)に並んで配置されている。これにより、本例では、複数の第3レールR3と複数の第4レールR4とが上下方向視で格子状を成す走行経路が、交差エリアCAに設けられている。
【0085】
上述のように、第4レールR4は、第2搬送車V2が第1方向Xに沿って走行するための第4走行面Fr4を備えている。本実施形態では、第4レールR4は、上下方向視で第1方向Xに直交する方向(本例では第2方向Y)を向く第4案内面Fg4を備えている。換言すれば、第4レールR4は、第1幅方向Xwを向く第4案内面Fg4を備えている。第4案内面Fg4は、第2搬送車V2を第1方向Xに沿って案内するための面である。
【0086】
また、上述のように、第3レールR3は、第2搬送車V2が第2方向Yに沿って走行するための第3走行面Fr3を備えている。本実施形態では、第3レールR3は、上下方向視で第2方向Yに直交する方向(本例では第1方向X)を向く第3案内面Fg3を備えている。換言すれば、第3レールR3は、第2幅方向Ywを向く第3案内面Fg3を備えている。第3案内面Fg3は、第2搬送車V2を第2方向Yに沿って案内するための面である。
【0087】
図7に示すように、本実施形態では、第4レールR4は、第1幅方向Xwに離間して配置された一対の第4レール体RB4を含んでいる。本例では、第1幅方向Xwに並んで配置された複数の第4レールR4のそれぞれが、第1幅方向Xwに離間して配置された一対の第4レール体RB4を含んでいる。すなわち、第1幅方向Xwに離間して配置された一対の第4レール体RB4によって1つの第4レールR4が構成されており、複数の第4レールR4が、第1幅方向Xwに並んで配置されている。
【0088】
本実施形態では、第1幅方向Xwに隣り合う2つの第4レールR4が、1つの第4レール体RB4を共用しており、当該第4レール体RB4には、第1幅方向Xwに隣り合う2つの第4レールR4のそれぞれに属する一対の第4走行面Fr4が形成されている。これにより、設備全体として第4レール体RB4の設置数を少なく抑えることができる。よって、第4レールR4を設置する場合の工数を少なく抑え易い。
【0089】
本実施形態では、第4レール体RB4と、当該第4レール体RB4に対して上側に隣接する第1レール体RB1とが、一体的に形成されている。これにより、上下方向の異なる位置において搬送車Vと第2搬送車V2とを走行させる構成を実現しながらも、設備全体として第1レール体RB1及び第4レール体RB4の設置数を少なく抑えることができる。よって、第1レールR1及び第4レールR4を設置する場合の工数を少なく抑え易い。
【0090】
本実施形態では、第4レール体RB4は、第1方向Xに沿って延在する第4本体部R41と、第4本体部R41から上方に突出すると共に第1方向Xに沿って延在する第4壁部R42と、を備えている。そして、第4本体部R41における上側を向く面により、第4走行面Fr4が形成されている。本例では、第4壁部R42に対して第1幅方向Xwの両側のそれぞれに、第4走行面Fr4が配置されている。そして、第4壁部R42における第1幅方向Xwの両側を向く面のそれぞれにより、第4案内面Fg4が形成されている。上記構成により、第4壁部R42に対して第1幅方向Xwの一方側を走行する第2搬送車V2と、第4壁部R42に対して第1幅方向Xwの他方側を走行する他の第2搬送車V2(不図示)との双方を、1つの第4レール体RB4に備えられた一対の第4走行面Fr4によって適切に走行させることができると共に、1つの第4レール体RB4に備えられた一対の第4案内面Fg4によって適切に案内することができる。
【0091】
上述のように本実施形態では、第4レール体RB4と、当該第4レール体RB4に対して上側に隣接する第1レール体RB1とが、一体的に形成されている。本例では、第4レール体RB4の第4壁部R42が、第1レール体RB1の第1本体部R11に対して下方から連結されている。これにより、第4レール体RB4と第1レール体RB1とが一体的に形成されている。例えば、第4レール体RB4を構成する部材と、第1レール体RB1を構成する他の部材とが、互いに連結されることで、第4レール体RB4と第1レール体RB1とが一体的に形成されていても良い。或いは、第4レール体RB4と第1レール体RB1とが1つの同一部材により構成されていても良い。すなわち、当該同一部材の一部が第4レール体RB4を構成し、他の一部が第1レール体RB1を構成していても良い。
【0092】
図8に示すように、本実施形態では、第3レールR3は、第2幅方向Ywに離間して配置された一対の第3レール体RB3を含んでいる。本例では、第2幅方向Ywに並んで配置された複数の第3レールR3のそれぞれが、第2幅方向Ywに離間して配置された一対の第3レール体RB3を含んでいる。すなわち、第2幅方向Ywに離間して配置された一対の第3レール体RB3によって1つの第3レールR3が構成されており、複数の第3レールR3が、第2幅方向Ywに並んで配置されている。
【0093】
本実施形態では、第2幅方向Ywに隣り合う2つの第3レールR3が、1つの第3レール体RB3を共用しており、当該第3レール体RB3には、第2幅方向Ywに隣り合う2つの第3レールR3のそれぞれに属する一対の第3走行面Fr3が形成されている。これにより、設備全体として第3レール体RB3の設置数を少なく抑えることができる。よって、第3レールR3を設置する場合の工数を少なく抑え易い。
【0094】
本実施形態では、第3レール体RB3は、第2方向Yに沿って延在する第3本体部R31と、第3本体部R31から上方に突出すると共に第2方向Yに沿って延在する第3壁部R32と、を備えている。そして、第3本体部R31における上側を向く面により、第3走行面Fr3が形成されている。本例では、第3壁部R32に対して第2幅方向Ywの両側のそれぞれに、第3走行面Fr3が配置されている。そして、第3壁部R32における第2幅方向Ywの両側を向く面のそれぞれにより、第3案内面Fg3が形成されている。上記構成により、第3壁部R32に対して第2幅方向Ywの一方側を走行する第2搬送車V2と、第3壁部R32に対して第2幅方向Ywの他方側を走行する他の第2搬送車V2(不図示)との双方を、1つの第3レール体RB3に備えられた一対の第3走行面Fr3によって適切に走行させることができると共に、1つの第3レール体RB3に備えられた一対の第3案内面Fg3によって適切に案内することができる。本例では、第3レール体RB3の第2方向Yに直交する断面は、逆T字状に形成されている。
【0095】
第2搬送車V2は、第2車体V2aと、第2車体V2aを第3レールR3に沿って走行させる第3走行ユニットU3と、第2車体V2aを第4レールR4に沿って走行させる第4走行ユニットU4と、第3走行ユニットU3及び第4走行ユニットU4の動作を制御する第2制御部C2(
図8参照)と、を備えている。第2車体V2aは、第3レールR3と第4レールR4との上下方向の間に配置されている。詳細には、第2車体V2aは、第3レール体RB3の上端(第3壁部R32の上端)と第4レール体RB4の下端(第4本体部R41の下端)との上下方向の間に配置されている。第2搬送車V2のその他の構成(例えば物品Gを移載するための構成)は、上述した搬送車Vの構成と同様であっても良いし、一部が異なっていても良い。
【0096】
第3走行ユニットU3は、第3車輪31と、第2車体V2aに対する第3車輪31の姿勢を変更する第3姿勢変更機構33と、を備え、第3車輪31が第3走行面Fr3に載置される第3車輪載置姿勢と、第3車輪31が第3走行面Fr3から離間する第3車輪退避姿勢と、に姿勢変更するように構成されている。
図7及び
図8では、第3走行ユニットU3の第3車輪退避姿勢を示している。
【0097】
本実施形態では、第3走行ユニットU3は、第3案内面Fg3に案内される第3案内輪32を備えている。第3案内輪32は、第3走行ユニットU3の第3車輪載置姿勢では第3案内面Fg3に接し、第3走行ユニットU3の第3車輪退避姿勢では第3案内面Fg3から離間するように構成されている。このような構成により、第3走行ユニットU3が、第3車輪載置姿勢において第2車体V2aを第3レールR3に沿って走行させる場合に、第3案内輪32によって、第2車体V2aを第3レールR3に沿って適切に案内することができる。
【0098】
詳細な図示は省略するが、本実施形態では、第3走行ユニットU3の第3車輪載置姿勢において、第3車輪31の回転軸が第2幅方向Yw(第1方向X)を向いた状態で、当該第3車輪31が第3走行面Fr3に載置される。また、第3走行ユニットU3の第3車輪載置姿勢において、第3案内輪32の回転軸が上下方向を向いた状態で、当該第3案内輪32が第3案内面Fg3に接する。
【0099】
本実施形態では、第2搬送車V2は、複数の第3走行ユニットU3を備えている。第2搬送車V2は、複数の第3走行ユニットU3を用いて、第3レールR3に沿って走行するように構成されている。上述のように、第2搬送車V2が第2方向Yに沿って走行するための第3レールR3は、第2幅方向Ywに離間して配置される一対の第3レール体RB3を含んでいる(
図8参照)。そして、本実施形態では、第3走行ユニットU3は、第2幅方向Ywに離間して配置される一対の第3レール体RB3のそれぞれに対応して設けられている。また本例では、第2車体V2aにおける第2幅方向Yw(第1方向X)の両側部分のそれぞれにおいて、一対の第3走行ユニットU3が第2方向Yに分かれて配置されている(
図7参照)。すなわち本例では、第2搬送車V2は、合計で4つの第3走行ユニットU3を備えている。
【0100】
第4走行ユニットU4は、第4車輪41と、第2車体V2aに対する第4車輪41の姿勢を変更する第4姿勢変更機構43と、を備え、第4車輪41が第4走行面Fr4に載置される第4車輪載置姿勢と、第4車輪41が第4走行面Fr4から離間する第4車輪退避姿勢と、に姿勢変更するように構成されている。
図7及び
図8では、第4走行ユニットU4の第4車輪載置姿勢を示している。
【0101】
本実施形態では、第4走行ユニットU4は、第4案内面Fg4に案内される第4案内輪42を備えている。第4案内輪42は、第4走行ユニットU4の第4車輪載置姿勢では第4案内面Fg4に接し、第4走行ユニットU4の第4車輪退避姿勢では第4案内面Fg4から離間するように構成されている。このような構成により、第4走行ユニットU4が、第4車輪載置姿勢において第2車体V2aを第4レールR4に沿って走行させる場合に、第4案内輪42によって、第2車体V2aを第4レールR4に沿って適切に案内することができる。
【0102】
本実施形態では、第4走行ユニットU4の第4車輪載置姿勢において、第4車輪41の回転軸が第1幅方向Xw(第2方向Y)を向いた状態で、当該第4車輪41が第4走行面Fr4に載置される。また、第4走行ユニットU4の第4車輪載置姿勢において、第4案内輪42の回転軸が上下方向を向いた状態で、当該第4案内輪42が第4案内面Fg4に接する。
【0103】
本実施形態では、第2搬送車V2は、複数の第4走行ユニットU4を備えている。第2搬送車V2は、複数の第4走行ユニットU4を用いて、第4レールR4に沿って走行するように構成されている。上述のように、第2搬送車V2が第1方向Xに沿って走行するための第4レールR4は、第1幅方向Xwに離間して配置される一対の第4レール体RB4を含んでいる(
図7参照)。そして、本実施形態では、第4走行ユニットU4は、第1幅方向Xwに離間して配置される一対の第4レール体RB4のそれぞれに対応して設けられている。また本例では、第2車体V2aにおける第2幅方向Yw(第1方向X)の両側部分のそれぞれにおいて、一対の第4走行ユニットU4が第2方向Yに分かれて配置されている(
図7参照)。すなわち本例では、第2搬送車V2は、合計で4つの第4走行ユニットU4を備えている。
【0104】
第2制御部C2は、第3走行ユニットU3を第3車輪載置姿勢とすると共に第4走行ユニットU4を第4車輪退避姿勢として第2車体V2aを第3レールR3に沿って走行させる第3モードと、第4走行ユニットU4を第4車輪載置姿勢とすると共に第3走行ユニットU3を第3車輪退避姿勢として第2車体V2aを第4レールR4に沿って走行させる第4モードと、にモード変更可能に構成されている。
図7及び
図8は、第2制御部C2が第4モードを実行している状態を示している。なお、第3モードと第4モードとの間のモード変更は、第2車体V2aが、上下方向視で第3レールR3と第4レールR4との交差箇所に配置されている状態で実行される。
【0105】
本実施形態では、第3走行ユニットU3の第3車輪退避姿勢において、第3車輪31及び第3案内輪32が第3レールR3よりも上方に配置される。これにより、第2制御部C2が第4モードを実行して、第2搬送車V2が第1方向Xに沿って走行する場合に、第3車輪31及び第3案内輪32が第3レールR3と干渉しないようにできる。従って、第2搬送車V2を第1方向Xに沿って適切に走行させることができる。
【0106】
詳細な図示は省略するが、本実施形態では、第4走行ユニットU4が第4車輪退避姿勢において、第4車輪41及び第4案内輪42が第4レールR4よりも下方に配置される。これにより、第2制御部C2が第3モードを実行して、第2搬送車V2が第2方向Yに沿って走行する場合に、第4車輪41及び第4案内輪42が第4レールR4と干渉しないようにできる。従って、第2搬送車V2を第2方向Yに沿って適切に走行させることができる。
【0107】
本実施形態では、第3姿勢変更機構33は、第2車体V2aに対して揺動可能に連結されると共に第3車輪31を支持する第3支持アーム331と、第3支持アーム331を駆動する第3駆動部332と、を備えている。
【0108】
本実施形態では、第3支持アーム331は、第3車輪31に加えて、第3案内輪32を支持している。第3支持アーム331は、第3車輪31の回転軸と第3案内輪32の回転軸とが異なる方向に沿うように、第3車輪31と第3案内輪32との双方を回転自在に支持している。より詳細には、第3支持アーム331は、第3車輪31の回転軸に沿う方向と第3案内輪32の回転軸に沿う方向とが直交するように、第3車輪31と第3案内輪32とを支持している。
【0109】
本実施形態では、第3駆動部332は、第1方向Xに沿う第3揺動軸心Ax3回りに第3支持アーム331を揺動させて、第2車体V2aに対する第3車輪31の姿勢を変更するように構成されている。本例では、第3駆動部332は、第3揺動軸心Ax3回りに第3支持アーム331を揺動させることにより、第2車体V2aに対する第3案内輪32の姿勢も変更する。第3駆動部332は、例えばモータを含んで構成されている。
【0110】
本実施形態では、第4姿勢変更機構43は、第2車体V2aに対して揺動可能に連結されると共に第4車輪41を支持する第4支持アーム431と、第4支持アーム431を駆動する第4駆動部432と、を備えている。
【0111】
本実施形態では、第4支持アーム431は、第4車輪41に加えて、第4案内輪42を支持している。第4支持アーム431は、第4車輪41の回転軸と第4案内輪42の回転軸とが異なる方向に沿うように、第4車輪41と第4案内輪42との双方を回転自在に支持している。より詳細には、第4支持アーム431は、第4車輪41の回転軸に沿う方向と第4案内輪42の回転軸に沿う方向とが直交するように、第4車輪41と第4案内輪42とを支持している。
【0112】
本実施形態では、第4駆動部432は、第1方向Xに沿う第4揺動軸心Ax4回りに第4支持アーム431を揺動させて、第2車体V2aに対する第4車輪41の姿勢を変更するように構成されている。本例では、第4駆動部432は、第4揺動軸心Ax4回りに第4支持アーム431を揺動させることにより、第2車体V2aに対する第4案内輪42の姿勢も変更する。第4駆動部432は、例えばモータを含んで構成されている。
【0113】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0114】
(1)上記の実施形態では、被係合部Rgが、ブロック部Rgaと、ブロック部Rgaに形成された被係合穴Rgbと、を備え、被係合穴Rgbが円錐状に形成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図9に示すように、被係合部Rgは、板状部材を貫通する貫通孔Rgcを備えていても良い。この場合、係合装置Vgの係合部Vgaは、例えば、被係合部Rgに係止されるフックVgaaを備えていると好適である。この場合には、係合部Vgaは、フックVgaaが被係合部Rgに係止されることで係合姿勢となる。
【0115】
また、係合部Vga及び被係合部Rgの他の例として、
図10に示すように、被係合部Rg及び係合部Vgaのうち一方が磁性部材により構成され、他方が磁石(永久磁石または電磁石)により構成されていても良い。この場合には、係合部Vgaは、磁力によって被係合部Rgに吸着されることで係合姿勢となる。
【0116】
また、係合部Vga及び被係合部Rgの他の例として、
図11に示すように、被係合部Rgは、係合部Vgaを吸着する吸着面Rgdを備えていても良い。この場合、係合部Vgaは、吸引力を発生させる吸引部Vgabを備えていると好適である。この場合には、係合部Vgaは、吸引部Vgabの吸引力によって被係合部Rgの吸着面Rgdに吸着されることで係合姿勢となる。吸引部Vgabとしては、例えば、負圧を発生するポンプ等を用いることができる。
【0117】
また、係合部Vga及び被係合部Rgの他の例として、
図12に示すように、係合部VgaがローラVgacを備え、被係合部Rgが当該ローラVgacを案内する開口部Rgeを備えていても良い。この場合には、係合部Vgaは、ローラVgacが開口部Rgeに挿入されることで係合姿勢となる。
【0118】
(2)上記の実施形態では、第2レールR2が、第2走行面Fr2と第2案内面Fg2とを備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第2レールR2は、第2案内面Fg2を備えていなくても良い。この場合、例えば
図13に示すように、第2走行面Fr2は、第2幅方向Ywの内側に向かうに従って下方に傾斜するように構成されていても良い。そして、第2レールR2は、第2走行面Fr2からの第2車輪21の脱落を防止する脱落防止部R23を備えていると好適である。
図13に示す例では、脱落防止部R23は、第2走行面Fr2における第2幅方向Ywの内側の端部から上方に立ち上がるように形成されている。なお、上記のような構成では、第2走行ユニットU2は、第2案内輪22を備えていなくても良い。上記は、第1レールR1及び第1走行ユニットU1についても同様である。すなわち、第1レールR1は、第1案内面Fg1を備えていなくても良いし、第1走行ユニットU1は、第1案内輪12を備えていなくても良い。この場合、第1走行面Fr1は、第1幅方向Xwに対して傾斜するように形成されており、第1レールR1は、第1車輪11の脱落を防止する脱落防止部を備えていると良い。
【0119】
(3)上記の実施形態では、第2幅方向Ywに離間して配置された一対の第2レール体RB2によって1つの第2レールR2が構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、1つの第2レール体RB2によって1つの第2レールR2が構成されていても良い。この場合、例えば
図14に示すように、第2レール体RB2の第2方向Yに直交する断面は、逆L字状に形成されていても良い。また、第2走行ユニットU2は、第2車輪載置姿勢において第2幅方向Yw(第1方向X)に並ぶ複数の第2車輪21(図示の例では2つの第2車輪21)を備え、これら複数の第2車輪21を第2走行面Fr2に載置するように構成されていると好適である。この構成によれば、第2走行ユニットU2の第2車輪載置姿勢において、1つの第2レール体RB2によって搬送車Vが吊下げ支持される構成でありながらも、搬送車Vの姿勢を安定させ易い。
【0120】
また、1つの第2レール体RB2によって構成された第2レールR2の他の例として、
図15に示すように、第2レール体RB2が、下方が開放した筒状に形成されると共に、第2幅方向Ywに離間して配置された一対の第2走行面Fr2を備えていても良い。この場合、第2走行ユニットU2は、第2幅方向Ywに離間して配置された一対の第2車輪21を備え、当該一対の第2車輪21を昇降させると共に、当該一対の第2車輪21を互いに第2幅方向Ywに沿って接近又は離間させるように構成されていると好適である。第2走行ユニットU2は、一対の第2車輪21を上昇させることで、一対の第2車輪21と一対の第2走行面Fr2との上下方向の位置合わせを行う。そして、第2走行ユニットU2は、一対の第2車輪21を互いに離間させることで、一対の第2車輪21と一対の第2走行面Fr2との第2幅方向Ywの位置合わせを行う。これにより、第2走行ユニットU2は第2車輪載置姿勢となる。なお、詳細な図示は省略するが、第1レールR1についても同様に、2つの第1レール体RB1ではなく、1つの第1レール体RB1により構成されていても良い。
【0121】
(4)上記の実施形態では、昇降装置Vdが、昇降体Vcに連結されたベルトVdaと、ベルトVdaを駆動する昇降駆動部Vdbとによって、昇降体Vcを昇降させる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図16に示すように、昇降装置Vdは、ボールねじ機構Vdcによって昇降体Vcを昇降させるように構成されていても良い。この場合、昇降装置Vdは、例えばボールねじ機構Vdcのねじ部を回転させるモータ等の駆動源を備えると好適である。
【0122】
また、昇降装置Vdの他の例として、
図17に示すように、昇降装置Vdは、パンタグラフVddを用いて昇降体Vcを昇降させるように構成されていても良い。詳細な図示は省略するが、その他にも、昇降装置Vdは、クロスリンク等を用いて昇降体Vcを昇降させるように構成されていても良い。
【0123】
(5)上記の実施形態では、物品搬送設備100が、第1レールR1に沿う走行経路と第2レールR2に沿う走行経路とが交差する交差エリアCAを備えている例について説明した。例えば
図18に示すように、物品搬送設備100は、複数の交差エリアCAを備えていても良い。この場合、物品搬送設備100は、複数の交差エリアCAを接続する接続経路CRを備えていると好適である。接続経路CRは、交差エリアCAに設けられた第1レールR1又は第2レールR2を延長させることにより構成されていても良い(図示の例では第1レールR1を延長させている。)。また、図示のように、接続経路CRは、直線区間やカーブ区間を備えていても良い。
【0124】
(6)上記の実施形態では、第1レールR1と第2レールR2とが、上下方向視で直交している例について説明した。しかし、第1レールR1と第2レールR2とは、上下方向視で交差していれば良く、直交していなくても良い。
【0125】
(7)上記の実施形態では、第1レール体RB1が、第1本体部R11と第1壁部R12とを備え、第1レール体RB1の第1方向Xに直交する断面が、逆T字状に形成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1レール体RB1は、搬送車Vが第1方向Xに沿って走行するための第1走行面Fr1を備えていれば良く、どのような断面形状であっても良い。
【0126】
(8)上記の実施形態では、第2レール体RB2が、第2本体部R21と第2壁部R22とを備え、第2レール体RB2の第2方向Yに直交する断面が、逆T字状に形成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第2レール体RB2は、搬送車Vが第2方向Yに沿って走行するための第2走行面Fr2を備えていれば良く、どのような断面形状であっても良い。
【0127】
(9)上記の実施形態では、第4レール体RB4と、当該第4レール体RB4に対して上側に隣接する第1レール体RB1とが、一体的に形成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第4レール体RB4と、当該第4レール体RB4に対して上側に隣接する第1レール体RB1とは、上下方向に分離していても良い。
【0128】
(10)上記の実施形態では、被係合部Rgが、第1走行面Fr1よりも下側において、第1レールR1に固定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、被係合部Rgは、第1走行面Fr1よりも下側ではなく、上側に配置されていても良い。また、被係合部Rgは、第1レールR1とは別の部材に固定されていても良い。別の部材としては、例えば、第1レールR1に連結されたフレームやブラケット等であって良い。
【0129】
(11)上記の実施形態では、第1駆動部132が、第2方向Yに沿う第1揺動軸心Ax1回りに第1支持アーム131を揺動させて、車体Vaに対する第1車輪11の姿勢を変更するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、車体Vaに対する第1車輪11の姿勢を変更する構成は、第1走行ユニットU1の第1車輪載置姿勢と第1車輪退避姿勢とを実現できるものであれば何でも良い。例えば、第1駆動部132は、第1車輪11を上下方向にスライド移動させたり、上記実施形態とは異なる軸心回りに揺動させたりすることで、車体Vaに対する第1車輪11の姿勢を変更するように構成されていても良い。
【0130】
(12)上記の実施形態では、第2駆動部232が、第2方向Yに沿う第2揺動軸心Ax2回りに第2支持アーム231を揺動させて、車体Vaに対する第2車輪21の姿勢を変更するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、車体Vaに対する第2車輪21の姿勢を変更する構成は、第2走行ユニットU2の第2車輪載置姿勢と第2車輪退避姿勢とを実現できるものであれば何でも良い。例えば、第2駆動部232は、第2車輪21を上下方向及び水平方向にスライド移動させたり、上記実施形態とは異なる軸心回りに揺動させたりすることで、車体Vaに対する第2車輪21の姿勢を変更するように構成されていても良い。
【0131】
(13)上記の実施形態では、第1駆動部132が第1支持アーム131を揺動させることにより、車体Vaに対する第1車輪11の姿勢及び第1案内輪12の姿勢を変更する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1案内輪12の姿勢変更は、第1駆動部132とは別の駆動源や第1支持アーム131とは別の部材を用いて行っても良い。
【0132】
(14)上記の実施形態では、第2駆動部232が第2支持アーム231を揺動させることにより、車体Vaに対する第2車輪21の姿勢及び第2案内輪22の姿勢を変更する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第2案内輪22の姿勢変更は、第2駆動部232とは別の駆動源や第2支持アーム231とは別の部材を用いて行っても良い。
【0133】
(15)上記の実施形態では、第1車輪11が回転駆動されるように構成されていることで、車体Vaが第1方向Xに沿って走行するための推進力を発生させる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、車体Vaが第1方向Xに沿って走行するための推進力は、その他の構成によって発生させても良い。例えば、第1レールR1に沿って設けられたラックと車体Vaに設けられたギヤとの噛合いを利用して、当該ギヤの駆動により、上記推進力を発生させても良い。或いは、リニアモータを利用して上記推進力を発生させても良い。車体Vaが第2方向Yに沿って走行するための推進力を発生させる場合についても同様の構成を利用できる。
【0134】
(16)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0135】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備について説明する。
【0136】
物品を搬送する搬送車を備えた物品搬送設備であって、
第1走行面を備えた第1レールと、
第2走行面を備えた第2レールと、を備え、
前記第2レールは、前記第1レールに対して上側に離間して配置されていると共に、上下方向に沿う上下方向視で前記第1レールと交差するように配置され、
前記第1レールの延在方向を第1方向とし、前記第2レールの延在方向を第2方向として、
前記搬送車は、前記第1レールと前記第2レールとの上下方向の間に配置される車体と、前記車体を前記第1方向に沿って走行させる第1走行ユニットと、前記車体を前記第2方向に沿って走行させる第2走行ユニットと、前記第1走行ユニット及び前記第2走行ユニットの動作を制御する制御部と、を備え、
前記第1走行ユニットは、第1車輪と、前記車体に対する前記第1車輪の姿勢を変更する第1姿勢変更機構と、を備え、前記第1車輪が前記第1走行面に載置される第1車輪載置姿勢と、前記第1車輪が前記第1走行面から離間する第1車輪退避姿勢と、に姿勢変更するように構成され、
前記第2走行ユニットは、第2車輪と、前記車体に対する前記第2車輪の姿勢を変更する第2姿勢変更機構と、を備え、前記第2車輪が前記第2走行面に載置される第2車輪載置姿勢と、前記第2車輪が前記第2走行面から離間する第2車輪退避姿勢と、に姿勢変更するように構成され、
前記制御部は、前記第1走行ユニットを前記第1車輪載置姿勢とすると共に前記第2走行ユニットを前記第2車輪退避姿勢として前記車体を前記第1レールに沿って走行させる第1モードと、前記第2走行ユニットを前記第2車輪載置姿勢とすると共に前記第1走行ユニットを前記第1車輪退避姿勢として前記車体を前記第2レールに沿って走行させる第2モードと、にモード変更可能に構成されている。
【0137】
本構成によれば、第1レールに沿って第1方向に搬送車を走行させることができると共に、第2レールに沿って第2方向に搬送車を走行させることができる。第2レールは、第1レールに対して上側に離間して配置されている。すなわち、第1レールと第2レールとは、上下方向の異なる位置に配置されている。これにより、第1レールに沿う走行経路と第2レールに沿う走行経路とを、上下方向視で交差させつつ異なる水平面内に配置することができる。従って、本構成によれば、第1レールと第2レールとの繋ぎ目は存在せず、繋ぎ目が存在することによる段差も生じないことから、両レールが交差する部分を搬送車が走行する際の振動が生じないようにすることができる。また、第1レールと第2レールとは物理的に離間しているため、第1レールと第2レールとを時期をずらして設置することができる。従って、第1レールと第2レールとにより構成される走行経路を物品搬送設備に設置する際の自由度を確保することができる。以上のように、本構成によれば、延在方向の異なる複数の経路が交差する走行経路を備えた物品搬送設備において、搬送車の振動を抑制することができると共に、走行経路の設置の自由度を確保することができる。
【0138】
前記搬送車は、走行中に前記物品を収容する収容部を備え、
前記収容部は、前記車体に設けられている、と好適である。
【0139】
本構成によれば、第1レールと第2レールとの上下方向の間に配置される車体に、物品を収容する収容部が設けられている。これにより、制御部が、車体を第1レールに沿って走行させる第1モードを実行している場合、及び、車体を第2レールに沿って走行させる第2モードを実行している場合の何れの場合であっても、車体を支持する車輪から物品までの距離を同程度にすることができる。従って、本構成によれば、物品を安定的に保持しながら搬送することができる。
【0140】
前記第2姿勢変更機構は、前記車体に対して揺動可能に連結されると共に前記第2車輪を支持する第2支持アームと、前記第2支持アームを駆動する第2駆動部と、を備え、
前記第2駆動部は、前記第2方向に沿う第2揺動軸心回りに前記第2支持アームを揺動させて、前記車体に対する前記第2車輪の姿勢を変更する、と好適である。
【0141】
本構成によれば、車体よりも上側に配置された第2レールの第2走行面に対して、第2車輪を適切に載置することができると共に、当該第2走行面から適切に離間させることができる。
【0142】
前記第2姿勢変更機構が、前記第2走行ユニットを前記第2車輪退避姿勢から前記第2車輪載置姿勢に姿勢変更する場合に、前記第2車輪が、前記第2支持アームの揺動による前記第2車輪の移動軌跡の最上位置を過ぎた位置で前記第2走行面に載置されるように構成されている、と好適である。
【0143】
本構成によれば、第2車輪を、第2走行面に対して上方から接近させて当該第2走行面に載置することができる。従って、本構成によれば、第2車輪退避姿勢から第2車輪載置姿勢への姿勢変更を行う場合に、第2車輪と第2走行面との摩擦を軽減しつつ、当該姿勢変更を適切に行うことができる。
【0144】
前記第1姿勢変更機構は、前記車体に対して揺動可能に連結されると共に前記第1車輪を支持する第1支持アームと、前記第1支持アームを駆動する第1駆動部と、を備え、
前記第1駆動部は、前記第2方向に沿う第1揺動軸心回りに前記第1支持アームを揺動させて、前記車体に対する前記第1車輪の姿勢を変更する、と好適である。
【0145】
本構成によれば、第1支持アームの揺動中心となる第1揺動軸心と、第2支持アームの揺動中心となる第2揺動軸心とを、第2方向に沿って平行に配置することができる。そのため、第1支持アーム及び第2支持アームの双方の動作範囲を第2方向に広がり難くすることができる。また、第1揺動軸心と第2揺動軸心とが平行に配置されていることにより、例えば、第1駆動部と第2駆動部とを共通化し易いという利点もある。
【0146】
前記第1レールは、前記上下方向視で前記第1方向に直交する方向を向く第1案内面を備え、
前記第2レールは、前記上下方向視で前記第2方向に直交する方向を向く第2案内面を備え、
前記第1走行ユニットは、前記第1案内面に案内される第1案内輪を備え、
前記第1案内輪は、前記第1走行ユニットの前記第1車輪載置姿勢では前記第1案内面に接し、前記第1走行ユニットの前記第1車輪退避姿勢では前記第1案内面から離間するように構成され、
前記第2走行ユニットは、前記第2案内面に案内される第2案内輪を備え、
前記第2案内輪は、前記第2走行ユニットの前記第2車輪載置姿勢では前記第2案内面に接し、前記第2走行ユニットの前記第2車輪退避姿勢では前記第2案内面から離間するように構成されている、と好適である。
【0147】
本構成によれば、第1走行ユニットが、第1車輪載置姿勢において車体を第1レールに沿って走行させる場合に、第1案内輪によって、車体を第1レールに沿って適切に案内することができる。また、第2走行ユニットが、第2車輪載置姿勢において車体を第2レールに沿って走行させる場合に、第2案内輪によって、車体を第2レールに沿って適切に案内することができる。
【0148】
複数の前記第1レールが、前記上下方向視で前記第1方向に直交する方向に並んで配置され、
複数の前記第2レールが、前記上下方向視で前記第2方向に直交する方向に並んで配置されている、と好適である。
【0149】
本構成によれば、搬送車の走行範囲を、第1方向及び第2方向に沿う範囲に亘って広く確保することができる。
【0150】
前記搬送車は、前記車体に連結された昇降体と、前記車体に対して前記昇降体を昇降させる昇降装置と、前記昇降体に支持されて前記物品を保持する保持部と、を備える、と好適である。
【0151】
本構成によれば、搬送車に対して上下方向に離間した位置に物品を移載することができる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本開示に係る技術は、物品を搬送する搬送車を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0153】
100 :物品搬送設備
V :搬送車
Va :車体
Vb :収容部
Vc :昇降体
Vd :昇降装置
Ve :保持部
U1 :第1走行ユニット
11 :第1車輪
12 :第1案内輪
13 :第1姿勢変更機構
131 :第1支持アーム
132 :第1駆動部
U2 :第2走行ユニット
21 :第2車輪
22 :第2案内輪
23 :第2姿勢変更機構
231 :第2支持アーム
232 :第2駆動部
C :制御部
R1 :第1レール
R2 :第2レール
Fg1 :第1案内面
Fg2 :第2案内面
Fr1 :第1走行面
Fr2 :第2走行面
G :物品
Pt :最上位置
X :第1方向
Y :第2方向