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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/40 20110101AFI20240521BHJP
   H01R 13/6592 20110101ALI20240521BHJP
【FI】
H01R24/40
H01R13/6592
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022066797
(22)【出願日】2022-04-14
(65)【公開番号】P2023157109
(43)【公開日】2023-10-26
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】剱崎 真一
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-100604(JP,A)
【文献】特開2002-373743(JP,A)
【文献】特開昭59-207573(JP,A)
【文献】実開昭60-013684(JP,U)
【文献】中国実用新案第203734083(CN,U)
【文献】米国特許第06955562(US,B1)
【文献】米国特許第04285564(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/56-13/72
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルの端部に取り付けられる同軸コネクタであって、
前記同軸ケーブルは、
中心導体と、
前記中心導体の周囲を囲み、且つ、グランド電位に接続されている外部導体と、
を備えており、
前記同軸コネクタは、
上端及び下端が開口しており、且つ、内周面及び外周面を含んでいる筒形状であるハウジングと、
前記ハウジング内に位置しており、且つ、前記同軸ケーブルの周囲を囲んでいる導電体であって、前記外部導体と電気的に接続されている導電体と、
前記導電体と接触し、且つ、前記導電体及び前記ハウジングを位置決めする第1ピンと、
を備え、
前記外周面から前記内周面に向かう方向を外内方向と定義し、
前記ハウジングは、下方向を向くハウジング第1面を有しており、
前記導電体は、上方向を向く導電体第1面を有しており、
前記ハウジング第1面は、前記導電体第1面と接触しており、
前記ハウジングには、前記ハウジングの前記外周面から前記内周面までを貫通している第1貫通孔が設けられており、
前記第1ピンは、前記第1貫通孔内に位置しており、
前記第1ピンが前記導電体と接触することによって前記導電体に上方向の力が加わる、
同軸コネクタ。
【請求項2】
前記第1ピンは、第1ピン第1面を有しており、
前記第1ピン第1面は、前記外内方向、且つ、上方向を向く第1ピン第1部分を有しており、
前記第1ピン第1部分は、前記導電体と接触している、
請求項1に記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
前記同軸コネクタは、第2ピンを更に備えており、
前記第2ピンは、前記導電体と接触し、且つ、前記導電体及び前記ハウジングを位置決めし、
前記ハウジングには、前記ハウジングの前記外周面から前記内周面までを貫通している第2貫通孔が設けられており、
前記第2ピンは、前記第2貫通孔内に位置しており、
前記第1貫通孔が前記ハウジングを貫通している方向に見て、前記第1ピンは、前記第2ピンと重なっており、
前記第2ピンは、第2ピン第1面を有しており、
前記第2ピン第1面は、前記外内方向、且つ、上方向を向く第2ピン第1部分を有しており、
前記第2ピン第1部分は、前記導電体と接触している、
請求項2に記載の同軸コネクタ。
【請求項4】
前記導電体は、導電体第2面を有しており、
前記内周面から前記外周面に向かう方向を内外方向と定義し、
前記導電体第2面は、前記内外方向、且つ、下方向を向く導電体第1部分を有しており、
前記導電体第1部分は、前記第1ピンと接触している、
請求項1に記載の同軸コネクタ。
【請求項5】
前記同軸コネクタは、第2ピンを更に備えており、
前記第2ピンは、前記導電体と接触し、且つ、前記導電体及び前記ハウジングを位置決めし、
前記ハウジングには、前記ハウジングの前記外周面から前記内周面までを貫通している第2貫通孔が設けられており、
前記第2ピンは、前記第2貫通孔内に位置しており、
前記第1貫通孔が前記ハウジングを貫通している方向に見て、前記第1ピンは、前記第2ピンと重なっており、
前記導電体第2面は、前記内外方向、且つ、下方向を向く導電体第2部分を有しており、
前記導電体第2部分は、前記第2ピンと接触している、
請求項4に記載の同軸コネクタ。
【請求項6】
前記導電体の表面には、前記外内方向に窪んだ形状を有する窪みが設けられており、
前記第1ピンは、前記窪みの上端と接触しており、
前記第1ピンは、前記窪みの下端と接触していない、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の同軸コネクタ。
【請求項7】
前記導電体の表面には、前記外内方向に窪んだ形状を有する窪みが設けられており、
前記第1ピンは、前記窪みの上端と下端とに接触しており、
前記第1ピンが前記第1貫通孔へ挿入されるとき、前記第1ピンは、前記窪みの上端と接触した後に、前記窪みの下端と接触する、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の同軸コネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記ハウジングの前記内周面が前記外内方向に向かって突出している突起を有しており、
前記ハウジング第1面は、前記突起の下面である、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の同軸コネクタ。
【請求項9】
前記同軸コネクタは、プローブを更に備えており、
前記プローブは、前記導電体より上に位置しており、且つ、前記中心導体と電気的に接続されている、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の同軸コネクタ。
【請求項10】
前記同軸コネクタは、第1ブッシングを更に備えており、
前記第1ブッシングは、前記プローブの周囲を囲んでおり、
前記ハウジングは、前記第1ブッシングの周囲を囲んでおり、
前記第1ブッシングは、前記プローブと前記ハウジングとを絶縁している、
請求項9に記載の同軸コネクタ。
【請求項11】
前記同軸コネクタは、第2ブッシングを更に備えており、
前記第2ブッシングは、前記導電体と前記プローブとの間に位置しており、
前記第2ブッシングは、前記プローブと前記導電体とを絶縁している、
請求項9に記載の同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号の測定に用いられる同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の検査用コネクタに関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の検査用プローブ装置が知られている。検査用プローブ装置は、高周波信号を伝送する。検査用プローブ装置は、外部接続用コネクタを備えている。外部接続用コネクタは、グランド電位に接続されるハウジング及び導電体を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2022/014435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の検査用プローブ装置において、外部接続用コネクタをグランド電位により確実に接続したいという要望がある。
【0005】
本発明の目的は、ハウジング及び導電体をグランド電位により確実に接続出来る同軸コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る同軸コネクタは、
同軸ケーブルの端部に取り付けられる同軸コネクタであって、
前記同軸ケーブルは、
中心導体と、
前記中心導体の周囲を囲み、且つ、グランド電位に接続されている外部導体と、
を備えており、
前記同軸コネクタは、
上端及び下端が開口しており、且つ、内周面及び外周面を含んでいる筒形状であるハウジングと、
前記ハウジング内に位置しており、且つ、前記同軸ケーブルの周囲を囲んでいる導電体であって、前記外部導体と電気的に接続されている導電体と、
前記導電体と接触し、且つ、前記導電体及び前記ハウジングを位置決めする第1ピンと、
を備え、
前記外周面から前記内周面に向かう方向を外内方向と定義し、
前記ハウジングは、下方向を向くハウジング第1面を有しており、
前記導電体は、上方向を向く導電体第1面を有しており、
前記ハウジング第1面は、前記導電体第1面と接触しており、
前記ハウジングには、前記ハウジングの前記外周面から前記内周面までを貫通している第1貫通孔が設けられており、
前記第1ピンは、前記第1貫通孔内に位置しており、
前記第1ピンが前記導電体と接触することによって前記導電体に上方向の力が加わる。
【0007】
以下に、本明細書における用語の定義について説明する。本明細書において、前後方向に延びる軸や部材は、必ずしも前後方向と平行である軸や部材だけを示すものではない。前後方向に延びる軸や部材とは、前後方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。同様に、上下方向に延びる軸や部材とは、上下方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。左右方向に延びる軸や部材とは、左右方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。
【0008】
以下に、本明細書における部材の位置関係について定義する。第1部材ないし第3部材は、同軸コネクタの構成である。本明細書において、前後方向に並ぶ第1部材及び第2部材とは、以下の状態を示す。前後方向に垂直な方向に第1部材及び第2部材を見たときに、第1部材及び第2部材の両方が前後方向を示す任意の直線上に配置されている状態である。本明細書において、上下方向に見たときに前後方向に並ぶ第1部材及び第2部材とは、以下の状態を示す。上下方向に第1部材及び第2部材を見たときに、第1部材及び第2部材の両方が前後方向を示す任意の直線上に配置されている。この場合、上下方向とは異なる左右方向から第1部材及び第2部材を見ると、第1部材及び第2部材のいずれか一方が前後方向を示す任意の直線上に配置されていなくてもよい。なお、第1部材と第2部材とが接触していてもよい。第1部材と第2部材とが離れていてもよい。第1部材と第2部材との間に第3部材が存在していてもよい。この定義は、前後方向以外の方向にも適用される。
【0009】
本明細書において、第1部材が第2部材の前に配置されるとは、以下の状態を指す。第1部材の少なくとも一部は、第2部材が前方向に平行移動するときに通過する領域内に配置されている。よって、第1部材は、第2部材が前方向に平行移動するときに通過する領域内に収まっていてもよいし、第2部材が前方向に平行移動するときに通過する領域から突出していてもよい。この場合、第1部材及び第2部材は、前後方向に並んでいる。この定義は、前後方向以外の方向にも適用される。
【0010】
本明細書において、左右方向に見たときに、第1部材が第2部材の前に配置されるとは、以下の状態を指す。左右方向に見たときに、第1部材と第2部材が前後方向に並んでおり、かつ、左右方向に見たときに、第1部材の第2部材と対向する部分が、第2部材の前に配置される。この定義において、第1部材と第2部材は、3次元では、前後方向に並んでいなくてもよい。この定義は、前後方向以外の方向も適用される。
【0011】
本明細書において、第1部材が第2部材より前に配置されるとは、以下の状態を指す。第1部材は、第2部材の前端を通り前後方向に直交する平面の前に配置される。この場合、第1部材及び第2部材は、前後方向に並んでいてもよく、並んでいなくてもよい。この定義は、前後方向以外の方向にも適用される。
【0012】
本明細書において、特に断りのない場合には、第1部材の各部について以下のように定義する。第1部材の前部とは、第1部材の前半分を意味する。第1部材の後部とは、第1部材の後半分を意味する。第1部材の左部とは、第1部材の左半分を意味する。第1部材の右部とは、第1部材の右半分を意味する。第1部材の上部とは、第1部材の上半分を意味する。第1部材の下部とは、第1部材の下半分を意味する。第1部材の前端とは、第1部材の前方向の端を意味する。第1部材の後端とは、第1部材の後方向の端を意味する。第1部材の左端とは、第1部材の左方向の端を意味する。第1部材の右端とは、第1部材の右方向の端を意味する。第1部材の上端とは、第1部材の上方向の端を意味する。第1部材の下端とは、第1部材の下方向の端を意味する。第1部材の前端部とは、第1部材の前端及びその近傍を意味する。第1部材の後端部とは、第1部材の後端及びその近傍を意味する。第1部材の左端部とは、第1部材の左端及びその近傍を意味する。第1部材の右端部とは、第1部材の右端及びその近傍を意味する。第1部材の上端部とは、第1部材の上端及びその近傍を意味する。第1部材の下端部とは、第1部材の下端及びその近傍を意味する。
【0013】
本明細書において、「第1部材と第2部材とが電気的に接続される」とは、第1部材と第2部材との間で電気が導通していることを意味する。従って、第1部材と第2部材とが接触していてもよいし、第1部材と第2部材とが接触していなくてもよい。第1部材と第2部材とが接触していない場合には、第1部材と第2部材との間に導電性を有する第3部材が配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る同軸コネクタによれば、ハウジング及び導電体をグランド電位により確実に接続出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、検査用ユニット1の斜視図である。
図2図2は、同軸コネクタ10aの斜視図である。
図3図3は、図2におけるA-A断面図である。
図4図4は、同軸ケーブル20aの上端部を示す図である。
図5図5は、図3に示す領域ARの拡大図である。
図6図6は、同軸コネクタ10aとアダプタ40aとの接続の一例を示す図である。
図7図7は、変形例1に係る同軸コネクタ10a1のA-A断面図である。
図8図8は、変形例2に係る同軸コネクタ10a2のA-A断面図である。
図9図9は、同軸コネクタ10a2とアダプタ40a2との接続の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
[同軸コネクタ10a~10dの構造]
以下、本発明の一実施形態に係る同軸コネクタ10a~10dの構造について図面を参照しながら説明する。図1は、検査用ユニット1の斜視図である。図2は、同軸コネクタ10aの斜視図である。図3は、図2におけるA-A断面図である。図3において、同軸コネクタ10aの上端部の記載を省略している。図4は、同軸ケーブル20aの上端部を示す図である。図4において、導電体106の下部、プローブ101の上部及び同軸ケーブル20aの下部の記載を省略している。図5は、図3に示す領域ARの拡大図である。
【0017】
図1乃至図5に示すように上下方向、左右方向及び前後方向を定義する。具体的には、図3に示すように、プローブ101が延びる方向を上下方向と定義する。第1ピン105R、第2ピン105Lがこの順に並ぶ方向を左方向と定義し、第2ピン105L、第1ピン105Rがこの順に並ぶ方向を右方向と定義する。左右方向は、上下方向と直交している。左右方向及び上下方向に直交する方向を前後方向と定義する。
【0018】
但し、上下方向、左右方向及び前後方向は、説明のために定義した方向である。従って、検査用ユニット1の実際の使用時における上下方向、左右方向及び前後方向は、図1乃至図5の上下方向、左右方向及び前後方向と一致していなくてよい。例えば、上方向と下方向とが入れ替わってもよいし、左方向と右方向とが入れ替わっていてもよいし、前方向と後方向とが入れ替わっていてもよい。
【0019】
検査用ユニット1は、スマートフォン等の電子機器内を伝送される高周波信号の測定に用いられる。具体的には、検査用ユニット1は、外部導体及び中心導体を備えるコネクタ(以下、検査対象コネクタと称す)の検査に用いられる。高周波信号とは、例えば、18GHzの周波数を有する信号である。検査用ユニット1は、図1に示すように、同軸コネクタ10a~10d、同軸ケーブル20a~20d及び検査用コネクタ30を備えている。
【0020】
同軸ケーブル20aは、検査用コネクタ30と同軸コネクタ10aとを電気的に接続している。同軸ケーブル20bは、検査用コネクタ30と同軸コネクタ10bとを電気的に接続している。同軸ケーブル20cは、検査用コネクタ30と同軸コネクタ10cとを電気的に接続している。同軸ケーブル20dは、検査用コネクタ30と同軸コネクタ10dとを電気的に接続している。同軸ケーブル20a~20dは、図1に示すように、左から右へとこの順に一列に並んでいる。同軸ケーブル20a~20dは、同じ構造を有する。以下、同じ構造に関して、同軸ケーブル20aの構造を例に説明し、同軸ケーブル20b~20dの構造については説明を省略する。
【0021】
同軸ケーブル20aは、図2に示すように、中心導体201、外部導体202、絶縁体203及び被膜204を備えている。中心導体201は、同軸ケーブル20aの芯線である。従って、中心導体201は、同軸ケーブル20aの中心に位置している。中心導体201には、高周波信号が伝送される。中心導体201は、低い抵抗を有する導体により作製されている。中心導体201は、例えば、銅により作製されている。中心導体201は、同軸コネクタ10aと電気的に接続される。
【0022】
外部導体202は、中心導体201の周囲を囲んでいる。従って、外部導体202は、同軸ケーブル20aが延びる方向に直交する断面において、円環形状を有している。外部導体202は、例えば、細い導線が編まれることにより作製されている。外部導体202は、低抵抗な導体により作製されている。外部導体202は、例えば、銅により作製されている。外部導体202は、同軸コネクタ10aに電気的に接続される。外部導体202には、グランド電位が接続されている。
【0023】
絶縁体203は、中心導体201と外部導体202とを絶縁している。絶縁体203は、中心導体201と外部導体202との間に位置している。従って、絶縁体203は、中心導体201の周囲を囲んでいる。絶縁体203の周囲は、外部導体202により囲まれている。絶縁体203は、同軸ケーブル20aが延びる方向に直交する断面において、円環形状を有している。絶縁体203は、絶縁性を有する樹脂により作製されている。絶縁体203は、例えば、ポリエチレンにより作製されている。同軸ケーブル20aが、しなやかに変形出来るように、絶縁体203には、複数の孔が設けられている。
【0024】
被膜204は、外部導体202の周囲を囲んでいる。従って、被膜204は、同軸ケーブル20aが延びる方向に直交する断面において、円環形状を有している。被膜204は、絶縁性を有する樹脂により作製されている。被膜204は、例えば、ポリエチレンにより作製されている。但し、被膜204には、複数の孔が設けられていない、又は、絶縁体203より少ない孔が設けられている。そのため、被膜204は、絶縁体203より変形しにくい。
【0025】
図4に示すように、同軸ケーブル20aの上端部では、外部導体202、絶縁体203及び被膜204が除去されることにより、中心導体201が、外部導体202、絶縁体203及び被膜204から露出している。また、中心導体201が露出している部分より下において被膜204が除去されることにより、外部導体202が、被膜204から露出している。
【0026】
検査用コネクタ30は、図1に示すように、同軸ケーブル20a~20dの下端部に取り付けられる。検査用コネクタ30は、検査対象コネクタに接続される。検査用コネクタ30の下面が、検査対象コネクタに備わる外部導体及び中心導体に接触する。
【0027】
同軸コネクタ10a~10dのそれぞれは、同軸ケーブル20a~20dの端部に取り付けられる。図1乃至図3に示すように、同軸コネクタ10a~10dのそれぞれは、同軸ケーブル20a~20dの上端部に取り付けられる。同軸コネクタ10a~10dのそれぞれは、同軸ケーブル20a~20dに電気的に接続される。同軸コネクタ10a~10dは、同じ構造を有する。以下、同じ構造について、同軸コネクタ10aの構造を例に説明し、同軸コネクタ10b~10dの構造については説明を省略する。
【0028】
同軸コネクタ10aは、図3及び図5に示すように、プローブ101、第1ブッシング102、ハウジング103、第2ブッシング104、第1ピン105R、第2ピン105L及び導電体106を備えている。
【0029】
図3に示すように、ハウジング103は、内周面IF及び外周面OFを含んでいる筒形状である。ハウジング103は、上端及び下端が開口している。同軸ケーブル20aの上端部は、上下方向に見て、ハウジング103内に位置している。これにより、ハウジング103は、同軸ケーブル20aの上端部の周囲を囲んでいる。ハウジング103は、導電性を有する材料によって作製されている。ハウジング103は、例えば、SUS(Steel Use Stainless)によって作製されている。ハウジング103は、グランド電位に接続される。
【0030】
図3に示すように、ハウジング103には、ハウジング103の外周面OFから内周面IFまでを貫通している第1貫通孔HRが設けられている。より詳細には、図3及び図5に示すように、外周面OFから内周面IFに向かう方向を外内方向DOIと定義する。図3及び図5に示すように、前後方向に見て、外内方向DOIは、左右方向と平行であり、且つ、上下方向に直交している。第1貫通孔HRは、ハウジング103を外内方向DOIに貫通している。第1貫通孔HRは、ハウジング103の右部に位置している。また、ハウジング103には、ハウジング103の外周面OFから内周面IFまでを貫通している第2貫通孔HLが設けられている。第2貫通孔HLは、ハウジング103を外内方向DOIに貫通している。第2貫通孔HLは、ハウジング103の左部に位置している。第2貫通孔HLは、左右方向に見て、第1貫通孔HRと重なっている。以下、説明を分かりやすくするために、外内方向DOIと同様にして、内周面IFから外周面OFに向かう方向を内外方向DIOと定義する。
【0031】
図3に示すように、導電体106は、上下方向に延びる筒形状を有する。具体的には、導電体106は、同軸ケーブル20aが延びる方向に直交する断面において、円環形状を有している。導電体106は、同軸ケーブル20aの周囲を囲んでいる。導電体106は、ハウジング103によって囲まれている。具体的には、導電体106は、ハウジング103内に位置している。より詳細には、導電体106は、図3に示すように、ハウジング103の下端部においてハウジング103内に位置している。導電体106は、外部導体202と電気的に接続されている。より詳細には、導電体106は、外部導体202において被膜204から露出している部分に接触している。
【0032】
導電体106は、ハウジング103と電気的に接続される。具体的には、図5に示すように、導電体106は、上方向を向く導電体第1面SF1を有している。導電体第1面SF1は、図5に示すように、導電体106の上面である。ハウジング103は、下方向を向くハウジング第1面SF2を有している。具体的には、ハウジング103は、ハウジング103の内周面IFが外内方向DOIに向かって突出している突起を有している。ハウジング第1面SF2は、ハウジング103の突起の下面である。ハウジング第1面SF2は、導電体106よりも上に位置している。ハウジング第1面SF2が、導電体第1面SF1と接触している。導電体106は、グランド電位に接続される。このような導電体106は、例えば、黄銅により作製されている。
【0033】
図3及び図5に示すように、導電体106の表面には、窪みGが設けられている。窪みGは、導電体106の上端部に設けられている。窪みGは、外内方向DOIに向かって窪んでいる形状を有する。本実施形態において、窪みGは、外内方向DOIに向かって窪んでいる形状を有する溝である。本実施形態において、窪みGは、導電体106の外周面ОFを一周する環形状である。窪みGは、左右方向に見て、第1貫通孔HRと重なっている。また、窪みGは、左右方向に見て、第2貫通孔HLと重なっている。
【0034】
プローブ101は、図3に示すように、上下方向に延びる棒状の部材である。プローブ101は、導電体106より上に位置している。プローブ101は、中心導体201と電気的に接続される。より詳細には、プローブ101は、図3乃至図5に示すように、中心導体201における外部導体202、絶縁体203及び被膜204が除去されている部分と接触している。プローブ101には、高周波信号が伝送される。このようなプローブ101は、例えば、黄銅により作製されている。
【0035】
第1ブッシング102は、プローブ101とハウジング103とを絶縁している。図3に示すように、第1ブッシング102は、プローブ101とハウジング103との間に位置している。第1ブッシング102は、プローブ101の周囲を囲んでいる。ハウジング103は、第1ブッシング102の周囲を囲んでいる。第1ブッシング102は、例えば、絶縁性を有する樹脂等の部材によって作製されている。
【0036】
第2ブッシング104は、プローブ101と導電体106とを絶縁している。図3に示すように、第2ブッシング104は、導電体106とプローブ101との間に位置している。第2ブッシング104は、プローブ101の下に位置している。第2ブッシング104は、導電体106の上に位置している。第2ブッシング104は、例えば、絶縁性を有する樹脂等の部材によって作製されている。
【0037】
図3に示すように、第1ピン105Rは、第1貫通孔HR内に位置している。従って、第1ピン105Rは、導電体106の右に位置している。第1ピン105Rは、導電体106と接触している。これにより、第1ピン105Rは、導電体106及びハウジング103を位置決めしている。具体的には、第1ピン105Rは、例えば、第1ピン105Rの表面に螺旋状の溝が設けられているネジ等である。また、第1ピン105Rの左端部は、円錐形状を有している。これにより、図5に示すように、第1ピン105Rは、第1ピン第1面SF3Rを有している。第1ピン第1面SF3Rは、第1ピン第1部分Pt1を有している。第1ピン第1部分Pt1は、第1ピン第1面SF3Rの一部である。本実施形態において、第1ピン第1部分Pt1は、円錐形状である第1ピン105Rの左端部の一部である。第1ピン第1部分Pt1の法線方向は、上方向、且つ、左方向である。従って、第1ピン第1部分Pt1は、外内方向DOI、且つ、上方向を向いている。そして、第1ピン第1部分Pt1が、導電体106と接触している。換言すれば、第1ピン105Rは、導電体106の右端と接触している。これにより、第1ピン105Rは、導電体106をハウジング103に固定している。結果、導電体106が、左右方向又は上下方向に変位することなく固定される。
【0038】
上記の構成の場合、第1ピン105Rは、外内方向DOI、且つ、上方向に向かって導電体106を押す。これにより、図5に示すように、導電体106には、上方向に力PAが加わる。換言すれば、第1ピン105Rが導電体106と接触することによって導電体106に上方向の力PAが加わる。
【0039】
図3及び図5に示すように、窪みGは、左右方向に見て、第1貫通孔HRと重なっている。従って、第1ピン105Rを第1貫通孔HRに挿入した場合、第1ピン105Rの左端は、左右方向に見て窪みG内に位置する。第1ピン105Rは、窪みGの上端において導電体106と接触している。つまり、第1ピン105Rは、窪みGの上端と接触している。第1ピン105Rは、窪みGの下端において導電体106と接触していない。つまり、第1ピン105Rは、窪みGの下端と接触していない。このとき、第1ピン105Rの中心は、窪みGの中心よりも上に位置している。具体的には、図5に示すように、窪みGの上端と下端との中心を第1中心CT1と定義する。また、第1貫通孔HRがハウジング103を貫通している方向に見て、第1ピン105Rの中心を第2中心CT2と定義する。この場合、第2中心CT2は、第1中心CT1よりも上に位置している。
【0040】
図3に示すように、第2ピン105Lは、第2貫通孔HL内に位置している。従って、第2ピン105Lは、導電体106の左に位置している。第2ピン105Lは、導電体106と接触している。これにより、第2ピン105Lは、導電体106及びハウジング103を位置決めしている。具体的には、第2ピン105Lは、例えば、第2ピン105Lの表面に螺旋状の溝が設けられているネジ等である。また、第2ピン105Lの右端部は、円錐形状を有している。これにより、図3に示すように、第2ピン105Lは、第2ピン第1面SF3Lを有している。第2ピン第1面SF3Lは、第2ピン第1部分Pt2を有している。第2ピン第1部分Pt2は、第2ピン第1面SF3Lの一部である。本実施形態において、第2ピン第1部分Pt2は、円錐形状である第2ピン105Lの右端部の一部である。第2ピン第1部分Pt2の法線方向は、上方向、且つ、右方向である。従って、第2ピン第1部分Pt2は、外内方向DOI、且つ、上方向を向いている。そして、第2ピン第1部分Pt2が、導電体106と接触している。結果、第2ピン105Lは、導電体106をハウジング103に固定している。これにより、導電体106が、左右方向又は上下方向に変位することなく固定される。第1ピン105Rと同様にして、第2ピン105Lは、窪みGの上端において導電体106と接触している。第2ピン105Lは、窪みGの下端において導電体106と接触していない。第1ピン105Rと同様にして、第2ピン105Lの中心は、窪みGの中心よりも上に位置している。
【0041】
第2ピン105Lは、左右方向に見て、第1ピン105Rと重なっている。従って、第1貫通孔HRがハウジング103を貫通している方向に見て、第1ピン105Rは、第2ピン105Lと重なっている。
【0042】
[同軸コネクタ10aの接続の一例]
以下、同軸コネクタ10aと測定装置(図示せず)の接続の一例について図を参照しながら説明する。図6は、同軸コネクタ10aとアダプタ40aとの接続の一例を示す図である。
【0043】
図6に示す例において、同軸コネクタ10aは、18GHz程度の周波数を有する高周波信号を伝送されるSMAコネクタである。同軸コネクタ10aは、アダプタ40aを介して測定装置に接続される。アダプタ40aは、プローブ401と、ブッシング402とハウジング403とを備えている。プローブ401は、プローブ101と電気的に接続される。プローブ401の下端部が、プローブ101の上端部と接触している。図6に示す例において、プローブ101は、プローブ401の下端部の周囲を囲む形状である。ハウジング403は、プローブ401の周囲を囲んでいる。ハウジング403は、ハウジング103と電気的に接続される。ハウジング403の下端部が、ハウジング103の上端部と接触している。ブッシング402は、プローブ401とハウジング403との間に位置している。ブッシング402は、プローブ401とハウジング403とを絶縁している。
【0044】
なお、図6に示す、同軸コネクタ10aの構造乃至形状は一例である。同軸コネクタ10aの構造乃至形状は、図6に示す例のみに限定されない。従って、プローブ101の形状は、図6に示す例のみに限定されない。このため、プローブ101と電気的に接続されるプローブ401の形状は、図6に示す例のみに限定されない。
【0045】
[効果]
同軸コネクタ10aによれば、ハウジング103及び導電体106をグランド電位により確実に接続することが出来る。より詳細には、第1ピン第1部分Pt1は、外内方向DOI、且つ、上方向を向いている。第1ピン第1部分Pt1は、導電体106と接触している。この場合、第1ピン105Rは、外内方向DOI、且つ、上方向に向かって導電体106を押す。これにより、図5に示すように、導電体106には、上方向に力PAが、加わる。力PAによって、導電体第1面SF1が、ハウジング第1面SF2に押し付けられる。従って、導電体第1面SF1が、ハウジング第1面SF2から離れにくくなる。結果、ハウジング103及び導電体106がグランド電位に接続されないという状況が発生することを防止出来る。
【0046】
ハウジング103及び導電体106がグランド電位に確実に接続されることによって、電流の経路が変化することを防止出来る。ハウジング103及び導電体106がグランド電位に接続されている場合、電流は、導電体第1面SF1とハウジング第1面SF2とが接触している部分を経由して外部導体202に到達する。一方、ハウジング103及び導電体106がグランド電位に接続されていない場合、電流は、ハウジング103、第1ピン105R及び導電体106を経由して外部導体202に到達する。従って、同軸コネクタ10aによれば、ハウジング103及び導電体106を流れる電流が迂回することなく最短回路で外部導体202に到達する。
【0047】
同軸コネクタ10aによれば、同軸ケーブル20aの中心の位置にずれが生じにくくなる。導電体106には第1ピン105Rによって左方向に力が加わる。これにより、導電体106は、左方向に移動しようとする。従って、導電体106によって周囲を囲まれている同軸ケーブル20aが左方向に移動する可能性がある。この場合、上下方向に見て、同軸ケーブル20aの中心位置が左方向にずれる可能性がある。しかし、第1貫通孔HRがハウジング103を貫通している方向に見て、第1ピン105Rは、第2ピン105Lと重なっている。これにより、導電体106には、第2ピン105Lによって右方向に力が加わる。従って、第1ピン105Rによって導電体106に加わる左方向の力が、第2ピン105Lによって導電体106に加わる右方向の力によって相殺される。結果、同軸ケーブル20aの中心の位置にずれが生じにくくなる。
【0048】
同軸コネクタ10aによれば、ハウジング103及び導電体106を流れる電流の経路が変化することを防止出来る。具体的には、図5に示すように、第2中心CT2は、第1中心CT1よりも上に位置している。これにより、第1ピン105Rの第1貫通孔HR内への挿入時に、第1ピン105Rは、窪みGの下端において導電体106と接触するよりも前に、窪みGの上端において導電体106と接触する。そこで、第1ピン105Rを挿入する作業者又は機械は、以下の状態となるように、第1ピン105Rの挿入量を調整する。第1ピン105Rが、窪みGの上端において導電体106と接触する一方で、窪みGの下端において導電体106と接触しない状態。この場合、ハウジング103及び導電体106を流れる電流は、窪みGの下端と導電体106とが接触している部分を経由して外部導体202に到達することがない一方で、窪みGの上端と導電体106とが接触している部分を経由して外部導体202に到達する。つまり、ハウジング103及び導電体106を流れる電流が、迂回することなく最短回路で外部導体202に到達する。
【0049】
なお、第1ピン105Rは、窪みGの上端において導電体106と接触していれば、窪みGの下端において導電体106と接触していてもよい。つまり、第1ピン105Rが、窪みGの上端と下端とに接触していてもよい。ここで、同軸コネクタ10aでは、第1ピン105Rが第1貫通孔HRへ挿入されるとき、第1ピン105Rは、窪みGの上端と接触した後に、窪みGの下端と接触する。本実施形態では、図5に示すように、第2中心CT2は、第1中心CT1よりも上に位置している。これにより、第1ピン105Rの第1貫通孔HR内への挿入時、第1ピン105Rは、窪みGの下端において導電体106と接触した後に、窪みGの上端において導電体106と接触する。この場合、第1ピン105Rは、窪みGの下端において導電体106と接触した後、更に外内方向DOI(左方向)に向かって進まない。従って、第1ピン105Rは、更に外内方向DOI、且つ、上方向に向かって導電体106を押さない。これにより、導電体106が必要以上に変位しない。結果、第1ピン105Rによるハウジング103及び導電体106の位置決めの精度を向上させることが出来る。
【0050】
(変形例1)
以下、変形例1に係る同軸コネクタ10a1について図を参照しながら説明する。図7は、変形例1に係る同軸コネクタ10a1を示す図である。図7は、変形例1に係る同軸コネクタ10a1のA-A断面図である。説明を分かりやすくするため、図7において、第1ブッシング102及びハウジング103の記載を省略している。
【0051】
同軸コネクタ10a1は、第1ピン105Rと形状の異なる第1ピン105R2を備えている点、第2ピン105Lと形状の異なる第2ピン105L2を備えている点、及び、導電体106と形状の異なる導電体106aを備えている点で、同軸コネクタ10aと異なる。
【0052】
図7に示すように、第1ピン105R2の左端部は、円錐形状を有していない。第1ピン105R2の左端部は、左方向を向く円柱形状である。従って、第1ピン105R2は、外内方向DOI、且つ、上方向を向いている第1ピン第1面SF3Rを有していない。第1ピン105Rと同様にして、第2ピン105Lは、外内方向DOI、且つ、上方向を向いている第2ピン第1面SF3Lを有していない。
【0053】
同軸コネクタ10aと同様にして、同軸コネクタ10a1において、第1ピン105R2が導電体106aと接触することによって導電体106aに上方向の力PAが加わる。以下、詳細に説明する。
【0054】
図7に示すように、第1ピン105R2は、導電体106aと接触している。具体的には、導電体106aは、導電体第2面RFRを有している。導電体第2面RFRは、導電体106aの上端部に位置している。導電体第2面RFRは、窪みGの上端と繋がっている。導電体第2面RFRは、導電体第1部分Pt3を有している。導電体第1部分Pt3は、導電体第2面RFRの右端部に位置している。導電体第1部分Pt3は、内外方向DIO、且つ、下方向を向いている。そして、導電体第1部分Pt3が、第1ピン105R2と接触している。導電体第1部分Pt3は、第1ピン105R2の左端部と接触している。また、第2ピン105L2は、導電体106aと接触している。具体的には、導電体第2面RFRは、導電体第2部分Pt4を有している。導電体第2部分Pt4は、導電体第2面RFRの左端部に位置している。導電体第2部分Pt4は、内外方向DIO、且つ、下方向を向いている。導電体第2部分Pt4は、第2ピン105L2と接触している。導電体第2部分Pt4は、第2ピン105L2の右端部と接触している。
【0055】
(効果)
同軸コネクタ10a1は、同軸コネクタ10aと同様の効果を奏する。具体的には、同軸コネクタ10a1において、導電体第1部分Pt3は、内外方向DIO、且つ、下方向を向いている。導電体第1部分Pt3は、第1ピン105Rと接触している。これにより、図6に示すように、導電体106aには、上方向に力PAが加わる。力PAによって、導電体106aの上面が、ハウジング103の下面に押し付けられる。従って、同軸コネクタ10aと同様にして、同軸コネクタ10aによれば、ハウジング103及び導電体106をグランド電位により確実に接続することが出来る。
【0056】
同軸コネクタ10a1は、同軸コネクタ10aと同様にして、ハウジング103及び導電体106をグランド電位により確実に接続することが出来る。従って、同軸コネクタ10a1よれば、同軸コネクタ10aと同様にして、ハウジング103及び導電体106を流れる電流が迂回することなく外部導体202に到達する。
【0057】
同軸コネクタ10a1は、同軸コネクタ10aと同じ理由により、同軸ケーブル20aの中心の位置にずれが生じにくくなる。具体的には、第1ピン105R2によって導電体106aに左方向の力が加わる。しかし、第1貫通孔HRがハウジング103を貫通している方向に見て、第1ピン105Rは、第2ピン105Lを重なっている。この場合、導電体106には、第2ピン105Lによって右方向に力が加わる。これにより、第1ピン105R2によって導電体106aに加わる左方向の力が、第2ピン105L2によって導電体106aに加わる右方向の力によって相殺される。従って、同軸コネクタ10aと同様にして、同軸ケーブル20aの中心の位置にずれが生じにくくなる。
【0058】
同軸コネクタ10a1は、同軸コネクタ10aと同様にして、第1ピン105R2によるハウジング103及び導電体106の位置決めの精度を向上させることが出来る。
【0059】
(変形例2)
以下、変形例2に係る同軸コネクタ10a2について図を参照しながら説明する。図8は、変形例2に係る同軸コネクタ10a2のA-A断面図である。図9は、同軸コネクタ10a2とアダプタ40a2との接続の一例を示す図である。
【0060】
同軸コネクタ10a2は、例えば、60GHz程度の周波数を有する高周波信号を伝送されるSMPMコネクタである。図8及び図9に示すように、同軸コネクタ10a2は、プローブ101と形状の異なるプローブ101bを備えている。プローブ101bの上端部は、上下方向に延びるピン形状である。
【0061】
図8に示すように、アダプタ40a2は、プローブ401と形状の異なるプローブ401bを備えている。プローブ401bの下端部は、プローブ101bの周囲を囲む形状である。
【0062】
このような同軸コネクタ10a2は、同軸コネクタ10aと同様の効果を奏する。
【0063】
(その他の実施形態)
本発明に係る同軸コネクタは、前記実施形態又は前記変形例に係る同軸コネクタ10a~10d,10a1,10a2に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
【0064】
なお、検査用ユニット1は、必ずしも4個の同軸ケーブルを備えなくてよい。検査用ユニット1は、3以下又は5以上の同軸ケーブルを備えていてもよい。
【0065】
なお、第1ピン105Rの形状は、図3乃至図5に示す例に限定されない。第1ピン105Rは、外内方向DOI、且つ、上方向を向く第1ピン第1部分Pt1を有する第1ピン第1面SF3Rを有していれば、どの様な形状であってもよい。従って、第1ピン105Rの左端部は、必ずしも、円錐形状を有していなくてもよい。例えば、第1ピン第1面SF3Rの左端部の形状は、前後方向に見て、曲線を有する半円形状、楕円形状等であってもよい。この場合も、第1ピン第1面SF3Rの一部は、外内方向DOI、且つ、上方向を向く。従って、第1ピン第1面SF3Rは、外内方向DOI、且つ、上方向を向く第1ピン第1部分Pt1を有することになる。同様にして、第2ピン105Lは、外内方向DOI、且つ、上方向を向く第2ピン第1部分Pt2を有している第2ピン第1面SF3Lを有していれば、どの様な形状であってもよい。
【0066】
なお、第1ピン105R2の形状は、図7に示す例のみに限定されない。同様にして、第2ピン105L2の形状は、図7に示す例のみに限定されない。
【0067】
なお、導電体106aの形状は、図7に示す例に限定されない。導電体106aは、内外方向DIO、且つ、下方向を向く導電体第1部分Pt3を有する導電体第2面RFRを有していれば、どの様な形状であってもよい。例えば、前後方向に見て、導電体第2面RFRの左端部又は右端部の形状は、例えば、曲線を有する楕円形状等であってもよい。この場合も、導電体第2面RFRの一部は、内外方向DIO、且つ、下方向を向く。従って、導電体第2面RFRは、内外方向DIO、且つ、下方向を向く導電体第1部分Pt3を有することになる。同様にして、導電体106aは、内外方向DIO、且つ、下方向を向く導電体第2部分Pt4を有している導電体第2面RFRを有していれば、どの様な形状であってもよい。
【0068】
なお、導電体106,106aには、必ずしも窪みGが設けられていなくてよい。
【0069】
なお、窪みGは、必ずしも、外内方向DOIに向かって窪んでいる形状を有する溝でなくてもよい。窪みGは、導電体106の表面の一部が、外内方向DOIに向かって窪んでいる穴形状であってもよい。
【0070】
なお、同軸コネクタ10aは、第1ピン105R又は第2ピン105Lの少なくとも1つを備えていればよい。同様にして、同軸コネクタ10a2は、第1ピン105R2又は第2ピン105L2の少なくとも1つを備えていればよい。
【0071】
なお、同軸ケーブル20aを伝送する高周波信号は、必ずしも、18GHzの周波数を有する信号でなくてよい。
【0072】
なお、同軸コネクタ10a2を伝送する高周波信号は、必ずしも、60GHzの周波数を有する信号でなくてよい。
【0073】
なお、第1ピン105Rは、必ずしも、第1ピン105Rの表面に螺旋状の溝が設けられているネジでなくてもよい。第1ピン105Rは、第1ピン105Rの表面が平坦なピン等であってもよい。この場合、第1ピン105Rは、第1貫通孔HR内に圧入されることよって、導電体106を固定する。同様にして、第2ピン105Lは、必ずしも、第2ピン105Lの表面に螺旋状の溝が設けられているネジでなくてもよい。同様にして、第1ピン105R2は、必ずしも、第1ピン105R2の表面に螺旋状の溝が設けられているネジでなくてもよい。同様にして、第2ピン105L2は、必ずしも、第2ピン105L2の表面に螺旋状の溝が設けられているネジでなくてもよい。
【0074】
なお、第1ピン105Rの中心とは、例えば、左右方向に見て、第1ピン105Rの重心である。
【0075】
なお、中心導体201は、必ずしも、銅により作製されていなくてよい。
【0076】
なお、外部導体202は、必ずしも、銅により作製されていなくてよい。
【0077】
なお、絶縁体203は、必ずしも、絶縁性を有する樹脂により作製されていなくてよい。絶縁体203は、絶縁性を有している材料であれば、どの様な材料によって作製されていてもよい。
【0078】
なお、ハウジング103は、必ずしも、SUSによって作製されていなくてよい。
【0079】
なお、導電体106は、必ずしも、黄銅により作製されていなくてよい。
【0080】
なお、プローブ101は、必ずしも、黄銅により作製されていなくてよい。
【0081】
なお、検査用コネクタ30は、一般的な構造乃至形状を有するため詳細な説明を省略している。しかし、検査用コネクタ30の構造乃至形状は、図1に示す構造乃至形状の例のみに限定されない。
【0082】
なお、アダプタ40a~40dは、一般的な構造乃至形状を有するため詳細な説明を省略している。しかし、アダプタ40a~40dの構造乃至形状は、図4に示す構造乃至形状の例のみに限定されない。
【0083】
なお、本発明に係る同軸コネクタは、以下に示す<1>から<11>に示すいずれかの構造を有することが可能である。
<1>
同軸ケーブルの端部に取り付けられる同軸コネクタであって、
前記同軸ケーブルは、
中心導体と、
前記中心導体の周囲を囲み、且つ、グランド電位に接続されている外部導体と、
を備えており、
前記同軸コネクタは、
上端及び下端が開口しており、且つ、内周面及び外周面を含んでいる筒形状であるハウジングと、
前記ハウジング内に位置しており、且つ、前記同軸ケーブルの周囲を囲んでいる導電体であって、前記外部導体と電気的に接続されている導電体と、
前記導電体と接触し、且つ、前記導電体及び前記ハウジングを位置決めする第1ピンと、
を備え、
前記外周面から前記内周面に向かう方向を外内方向と定義し、
前記ハウジングは、下方向を向くハウジング第1面を有しており、
前記導電体は、上方向を向く導電体第1面を有しており、
前記ハウジング第1面は、前記導電体第1面と接触しており、
前記ハウジングには、前記ハウジングの前記外周面から前記内周面までを貫通している第1貫通孔が設けられており、
前記第1ピンは、前記第1貫通孔内に位置しており、
前記第1ピンが前記導電体と接触することによって前記導電体に上方向の力が加わる、
同軸コネクタ。
<2>
前記第1ピンは、第1ピン第1面を有しており、
前記第1ピン第1面は、前記外内方向、且つ、上方向を向く第1ピン第1部分を有しており、
前記第1ピン第1部分は、前記導電体と接触している、
<1>に記載の同軸コネクタ。
<3>
前記同軸コネクタは、第2ピンを更に備えており、
前記第2ピンは、前記導電体と接触し、且つ、前記導電体及び前記ハウジングを位置決めし、
前記ハウジングには、前記ハウジングの前記外周面から前記内周面までを貫通している第2貫通孔が設けられており、
前記第2ピンは、前記第2貫通孔内に位置しており、
前記第1貫通孔が前記ハウジングを貫通している方向に見て、前記第1ピンは、前記第2ピンと重なっており、
前記第2ピンは、第2ピン第1面を有しており、
前記第2ピン第1面は、前記外内方向、且つ、上方向を向く第2ピン第1部分を有しており、
前記第2ピン第1部分は、前記導電体と接触している、
<2>に記載の同軸コネクタ。
<4>
前記導電体は、導電体第2面を有しており、
前記内周面から前記外周面に向かう方向を内外方向と定義し、
前記導電体第2面は、前記内外方向、且つ、下方向を向く導電体第1部分を有しており、
前記導電体第1部分は、前記第1ピンと接触している、
<1>に記載の同軸コネクタ。
<5>
前記同軸コネクタは、第2ピンを更に備えており、
前記第2ピンは、前記導電体と接触し、且つ、前記導電体及び前記ハウジングを位置決めし、
前記ハウジングには、前記ハウジングの前記外周面から前記内周面までを貫通している第2貫通孔が設けられており、
前記第2ピンは、前記第2貫通孔内に位置しており、
前記第1貫通孔が前記ハウジングを貫通している方向に見て、前記第1ピンは、前記第2ピンと重なっており、
前記導電体第2面は、前記内外方向、且つ、下方向を向く導電体第2部分を有しており、
前記導電体第2部分は、前記第2ピンと接触している、
<4>に記載の同軸コネクタ。
<6>
前記導電体の表面には、前記外内方向に窪んだ形状を有する窪みが設けられており、
前記第1ピンは、前記窪みの上端と接触しており、
前記第1ピンは、前記窪みの下端と接触していない、
<1>から<5>のいずれかに記載の同軸コネクタ。
<7>
前記導電体の表面には、前記外内方向に窪んだ形状を有する窪みが設けられており、
前記第1ピンは、前記窪みの上端と下端とに接触しており、
前記第1ピンが前記第1貫通孔へ挿入されるとき、前記第1ピンは、前記窪みの上端と接触した後に、前記窪みの下端と接触する、
<1>から<5>のいずれかに記載の同軸コネクタ。
<8>
前記ハウジングは、前記ハウジングの前記内周面が前記外内方向に向かって突出している突起を有しており、
前記ハウジング第1面は、前記突起の下面である、
<1>から<7>のいずれかに記載の同軸コネクタ。
<9>
前記同軸コネクタは、プローブを更に備えており、
前記プローブは、前記導電体より上に位置しており、且つ、前記中心導体と電気的に接続されている、
<1>から<8>のいずれかに記載の同軸コネクタ。
<10>
前記同軸コネクタは、第1ブッシングを更に備えており、
前記第1ブッシングは、前記プローブの周囲を囲んでおり、
前記ハウジングは、前記第1ブッシングの周囲を囲んでおり、
前記第1ブッシングは、前記プローブと前記ハウジングとを絶縁している、
<9>に記載の同軸コネクタ。
<11>
前記同軸コネクタは、第2ブッシングを更に備えており、
前記第2ブッシングは、前記導電体と前記プローブとの間に位置しており、
前記第2ブッシングは、前記プローブと前記導電体とを絶縁している、
<9>又は<10>に記載の同軸コネクタ。
【符号の説明】
【0084】
1:検査用ユニット
10a~10d,10a1,10a2:同軸コネクタ
20a~20d:同軸ケーブル
101,101b:プローブ
102:第1ブッシング
103:ハウジング
104:第2ブッシング
105R,105R2:第1ピン
105L,105L2:第2ピン
106,106a:導電体
201:中心導体
202:外部導体
HR:第1貫通孔
IF:内周面
OF:外周面
DIO:内外方向
DOI:外内方向
SF1:導電体第1面
RFR:導電体第2面
Pt3:導電体第1部分
Pt4:導電体第2部分
SF2:ハウジング第1面
SF3R:第1ピン第1面
Pt1:第1ピン第1部分
SF3L:第2ピン第1面
Pt2:第2ピン第1部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9