(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】携帯型電子時計、表示方法および表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20240521BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240521BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20240521BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240521BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240521BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240521BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20240521BHJP
G06F 3/0482 20130101ALI20240521BHJP
【FI】
G01C21/36
G01C21/26 B
G08G1/005
G09B29/10 A
G09B29/00 A
G06F3/01 514
G06F3/04845
G06F3/0482
(21)【出願番号】P 2022145709
(22)【出願日】2022-09-14
(62)【分割の表示】P 2017186217の分割
【原出願日】2017-09-27
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 幸佑
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/038499(WO,A1)
【文献】特開2017-034478(JP,A)
【文献】特開2012-202894(JP,A)
【文献】特開2017-044873(JP,A)
【文献】特開2017-161533(JP,A)
【文献】特開2009-002664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G09B 29/10
G09B 29/00
G06F 3/01
G06F 3/04845
G06F 3/0482
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示可能な表示部と、
ユーザの移動ルートを表すルート情報を前記表示部に表示させる情報表示制御手段と、
前記ルート情報の前記表示部に表示される縮尺を複数段階にわたって切り替え可能な縮尺切替手段と、
を備え、
前記情報表示制御手段は、前記ルート情報を経路図で表示させているときに前記縮尺切替手段によって前記縮尺が所定段階以上大きくなるように切り替えられた場合に、前記表示部での表示態様を、前記経路図に代えて、ユーザの現在地点から所望の目的地までの方向情報が前記表示部に表示される表示態様に変更することを特徴とする携帯型電子時計。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型電子時計において、
前記情報表示制御手段は、前記表示態様
を変更する場合に、前記方向情報が矢印図形で表示される表示態様に変更することを特徴とする携帯型電子時計。
【請求項3】
請求項1または2に記載の携帯型電子時計において、
前記情報表示制御手段は、ユーザの操作に応じて、ユーザの現在地点から所望の目的地までの方向情報を含む特殊画面と、ユーザが現在向いている方角情報を含むコンパス画面と、を表示部に切替表示することを特徴とする携帯型電子時計。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の携帯型電子時計において、
前記情報表示制御手段は、ユーザの現在地点から所望の目的地までの距離が所望の距離以上である場合に、縮尺の切替判断を行うことを特徴とする携帯型電子時計。
【請求項5】
画像を表示可能な表示部を備える携帯型電子時計が実行する表示方法であって、
ユーザの移動ルートを表すルート情報を前記表示部に表示させる情報表示制御工程と、
前記ルート情報の前記表示部に表示される縮尺を複数段階にわたって切り替え可能な縮尺切替工程と、
を含み、
前記情報表示制御工程は、前記ルート情報を経路図で表示させているときに前記縮尺切替工程によって前記縮尺が所定段階以上大きくなるように切り替えられた場合に、前記表示部での表示態様を、前記経路図に代えて、ユーザの現在地点から所望の目的地までの方向情報が前記表示部に表示される表示態様に変更することを特徴とする表示方法。
【請求項6】
画像を表示可能な表示部を備える携帯型電子時計のコンピュータを、
ユーザの移動ルートを表すルート情報を前記表示部に表示させる情報表示制御手段、
前記ルート情報の前記表示部に表示される縮尺を複数段階にわたって切り替え可能な縮尺切替手段、
として機能させ、
前記情報表示制御手段は、前記ルート情報を経路図で表示させているときに前記縮尺切替手段によって前記縮尺が所定段階以上大きくなるように切り替えられた場合に、前記表示部での表示態様を、前記経路図に代えて、ユーザの現在地点から所望の目的地までの方向情報が前記表示部に表示される表示態様に変更することを特徴とする表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型電子時計、表示方法および表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、GPS(Global Positioning System;全地球測位システム)を利用して位置情報を取得する機能を有する、腕時計等の携帯型電子時計が普及している。また、従来から、カーナビゲーションシステムやスマートフォン等の端末装置において、遠隔地のサーバから所望のエリアの地形(地形図)を表す地形情報を取得し、その地形情報に対応付けて所望の目的地までのルートを表すルート情報を設定して、ルート情報等をナビゲーション情報として表示部に表示することが行われている(例えば、特許文献1参照)。そして、近年、カーナビゲーションシステムやスマートフォン等の端末装置と同様に、ナビゲーション情報を携帯型電子時計の表示部に表示させることが提案されている。このような携帯型電子時計は、例えば、ランニングやジョギング、登山といった移動を伴うスポーツにおいて、ユーザが移動した軌跡を取得したり、地形情報に対してユーザの移動ルートを表すルート情報を予め設定しておき、ユーザの移動時に、ルート情報を参照したりすることに用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ナビゲーション情報は、地形やその他の様々な情報を多数含んでいる。一方、腕時計等のような携帯型電子時計は、装置が小型で、かつ、表示部のサイズが小さいため、カーナビゲーションシステムやスマートフォン等の端末装置のように、ナビゲーション情報を詳細に表示したり、高度なユーザインタフェースを提供したりすることが困難である。カーナビゲーションシステムやスマートフォン等の端末装置は表示部が大型化されることもある。しかしながら、腕時計は、一般に軽量化することが望まれており、大型化に対してネガティブな印象が強いため、表示部を大型化し難い傾向にある。
【0005】
そのような携帯型電子時計では、腕時計等のような小型な装置であっても、高度な情報提供性能を実現することが望まれる。特に、ユーザが疲労している場合に、ユーザの判断能力が低下しているため、ユーザが表示部を少し見るだけで、例えば、所望の目的地までの方向情報や距離情報等のユーザにとって利便性の高い情報を直感的に認識できる程度に、高度な情報提供性能を実現することが望まれている。
【0006】
本発明の課題は、ユーザにとって利便性の高い情報をナビゲーション情報として好適に表示することで、小型な装置であっても、高度な情報提供性能を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る携帯型電子時計は、画像を表示可能な表示部と、ユーザの移動ルートを表すルート情報を前記表示部に表示させる情報表示制御手段と、前記ルート情報の前記表示部に表示される縮尺を複数段階にわたって切り替え可能な縮尺切替手段と、を備え、前記情報表示制御手段は、前記ルート情報を経路図で表示させているときに前記縮尺切替手段によって前記縮尺が所定段階以上大きくなるように切り替えられた場合に、前記表示部での表示態様を、前記経路図に代えて、ユーザの現在地点から所望の目的地までの方向情報が前記表示部に表示される表示態様に変更することを特徴とする。
また、本発明に係る表示方法は、画像を表示可能な表示部を備える携帯型電子時計が実行する表示方法であって、ユーザの移動ルートを表すルート情報を前記表示部に表示させる情報表示制御工程と、前記ルート情報の前記表示部に表示される縮尺を複数段階にわたって切り替え可能な縮尺切替工程と、を含み、前記情報表示制御工程は、前記ルート情報を経路図で表示させているときに前記縮尺切替工程によって前記縮尺が所定段階以上大きくなるように切り替えられた場合に、前記表示部での表示態様を、前記経路図に代えて、ユーザの現在地点から所望の目的地までの方向情報が前記表示部に表示される表示態様に変更することを特徴とする。
また、本発明に係る表示プログラムは、画像を表示可能な表示部を備える携帯型電子時計のコンピュータを、ユーザの移動ルートを表すルート情報を前記表示部に表示させる情報表示制御手段、前記ルート情報の前記表示部に表示される縮尺を複数段階にわたって切り替え可能な縮尺切替手段、として機能させ、前記情報表示制御手段は、前記ルート情報を経路図で表示させているときに前記縮尺切替手段によって前記縮尺が所定段階以上大きくなるように切り替えられた場合に、前記表示部での表示態様を、前記経路図に代えて、ユーザの現在地点から所望の目的地までの方向情報が前記表示部に表示される表示態様に変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザにとって利便性の高い情報をナビゲーション情報として好適に表示することで、小型な装置であっても、高度な情報提供性能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る携帯型電子時計としての腕時計の外観を示す正面図である。
【
図2】実施形態に係る携帯型電子時計としての腕時計の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】ナビゲーション処理開始操作時における腕時計の動作を示すフローチャートである。
【
図4】ナビゲーション処理開始操作時における腕時計の表示画面の説明図である。
【
図5】ナビゲーション処理実行操作時における腕時計の動作を示すフローチャートである。
【
図6】変形例に係るナビゲーション処理実行操作時における腕時計の動作を示すフローチャートである。
【
図7】ナビゲーション処理実行操作時における腕時計の表示画面の説明図である。
【
図8】対象切替操作時における腕時計の表示画面の説明図である。
【
図9】変形例に係る腕時計の表示画面の説明図である。
【
図10】バックトラック画面表示操作時における腕時計の動作を示すフローチャートである。
【
図11】バックトラック画面表示操作時における腕時計の表示画面の説明図である。
【
図12】ナビゲーション処理終了操作時における腕時計の動作を示すフローチャートである。
【
図13】ナビゲーション処理終了操作時における腕時計の表示画面の説明図である。
【
図14】ゴール地点情報消去操作時における腕時計の動作を示すフローチャートである。
【
図15】ゴール地点情報消去操作時における腕時計の表示画面の説明図である。
【
図16】目的地方向画面・コンパス画面切替表示操作時における腕時計の表示画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
[実施形態]
<携帯型電子時計としての腕時計の構成>
以下、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る携帯型電子時計としての腕時計1の構成につき説明する。
図1は、本実施形態に係る携帯型電子時計としての腕時計1の外観を示す正面図である。
図2は、腕時計1の内部構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る携帯型電子時計としての腕時計1は、外観構成として、押下操作と回転操作とが可能なロータリースイッチRSWと、押下操作が可能なプッシュスイッチ1SW,2SW,3SW,4SWと、各種情報を表示する表示部11と、を有している。
【0013】
図2に示すように、腕時計1は、内部構成として、各部の動作を制御する制御部2と、各種プログラムや情報が記憶される記憶部3と、他の装置(例えば、スマートフォン等の端末装置101)と通信する通信部4と、GPS衛星から現在地点情報を取得するGPSレシーバ5と、地磁気を検知する磁気センサ6と、時間を計測する計時回路7と、を有している。
【0014】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)によって構成され、記憶部3のROM(Read Only Memory)(図示せず)に記憶された制御プログラムを実行することで、例えば、ユーザの移動ルートを表すルート情報を表示部11に表示するルート情報表示手段2a、ルート情報の表示部11に表示される縮尺を切り替える縮尺切替手段2b、表示部11(表示画面)の表示態様を変更する表示態様変更手段2cとして機能する。特に、本実施形態では、表示態様変更手段2cは、所望の縮尺のルート情報が表示部11(表示画面)から外れた場合に、表示部11(表示画面)の表示態様を、ルート情報を表示する表示態様と異なる表示態様に自動的に変更する機能を有している。ルート情報は、所望のエリアの地形を表す地形情報に対応付けて設定されている。
【0015】
記憶部3は、ROM(図示せず)とRAM(Radom Access Memory)(図示せず)等で構成され、制御部2をルート情報表示手段2aや縮尺切替手段2b、表示態様変更手段2cとして機能させる制御プログラムを予め記憶している。
【0016】
通信部4は、無線又は有線で他の装置(例えば、スマートフォン等の端末装置101)と通信する。本実施形態では、通信部4は、BLE(Bluetooth Low Energy)(登録商標)通信機能を有しており、BLE通信機能を利用して端末装置101に設けられた第2通信部104と通信するものとして説明する。そして、腕時計1は、通信部4でスマートフォン等の端末装置101と通信して、端末装置101からナビゲーション情報を取得するものとして説明する。
【0017】
なお、本実施形態では、スマートフォン等の端末装置101は、各種演算を実行する制御部102と、ネットを介して遠隔地のサーバ(図示せず)と通信する第1通信部103と、BLE通信機能を利用して腕時計1と通信する第2通信部104と、を有しているものとして説明する。
【0018】
ナビゲーション情報には、ユーザの移動ルートを表すルート情報や、1乃至複数の目的地を表す目的地情報等が含まれている。
【0019】
係る構成において、ユーザは、事前に、端末装置101を操作して、所望のナビゲーションシステム用のアプリケーションプログラム(図示せず)を起動し、遠隔地のサーバ(図示せず)から所望のエリアの地形(地形図)を表す地形情報を取得する。次に、ユーザは、端末装置101を操作して、ナビゲーション情報を作成する。ナビゲーション情報の作成は、ユーザが、ナビゲーションシステム用のアプリケーションプログラム(図示せず)の設定機能を利用して、ユーザの移動ルートを表すルート情報や、ユーザの目的地を表す目的地情報を、取得された地形情報に対応付けて設定することによって、行われる。なお、その際に、ユーザは、まず、移動ルートのスタート地点を設定して、次に、例えば、ゴール地点や、途中の経由地、その他の任意の地点を、目的地として設定する。
【0020】
この後、ユーザは、腕時計1(又は端末装置101)を操作して、ルート情報や目的地情報等の情報をナビゲーション情報として端末装置101から腕時計1に転送する。これにより、ナビゲーション情報が腕時計1の記憶部3に記憶される。
【0021】
後ほど、ユーザは、例えば、ランニングやジョギング、登山といった移動を伴うスポーツを行う場合に、所望のエリアに腕時計1を持って行く。そして、ユーザは、スタート地点で腕時計1を操作して、ナビゲーション用の画面(以下、「ナビゲーション画面」と称する)を腕時計1の表示部11に表示させて、ナビゲーション処理(ルート案内処理)を実行させる。ナビゲーション画面は、ナビゲーション情報として、ルート情報や目的地情報等の情報を含む画面である。
【0022】
<携帯型電子時計としての腕時計の動作>
以下、
図3乃至
図16を参照して、ナビゲーション処理に関する腕時計1の動作につき説明する。
【0023】
(ナビゲーション処理開始操作時の動作)
まず、
図3及び
図4を参照して、ナビゲーション処理開始操作時における腕時計1の動作につき説明する。
図3は、ナビゲーション処理開始操作時における腕時計1の動作を示すフローチャートである。
図4は、ナビゲーション処理開始操作時における腕時計1の表示画面の説明図である。
【0024】
図3に示す例では、ナビゲーション処理開始操作時の初期状態において、腕時計1の表示部11には、時刻表示画面IM11(
図4参照)が表示されている(ステップS105)。
【0025】
時刻表示画面IM11は、現在時刻を表示するための画面である。
図4に示す例では、時刻表示画面IM11には、日付情報や、現在時刻情報、バッテリ残量情報等の情報が表示されている。その中でも特に現在時刻情報が重要視される情報であるため、現在時刻情報が他の情報よりも大きなサイズで表示されている。
【0026】
時刻表示画面IM11が表示された状態において、ユーザは、例えばプッシュスイッチ1SWを押下する。すると、腕時計1の制御部2は、それを検知して、GPSメニュー画面IM12(
図4参照)を表示部11に表示する(ステップS110,S115)。
【0027】
GPSメニュー画面IM12は、GPS機能に関連する各種処理を選択するための画面である。
図4に示す例では、GPSメニュー画面IM12には、ナビゲーション処理を選択するためのナビゲーション(NAVIGATION)欄、各地点のメモ情報を読み出し処理を選択するためのポイントメモ(POINT MEMO)欄、各種情報のリコール処理を選択するためのリコール(RECALL)欄、各種設定処理を選択するためのセッティング(SETTING)欄等が選択可能な状態で表示されている。
【0028】
GPSメニュー画面IM12が表示された状態において、ユーザは、選択マーク(
図4に示す例では、白抜きされた三角形のマーク)でナビゲーション(NAVIGATION)欄を選択した状態で、ロータリースイッチRSWを押下する。すると、腕時計1の制御部2は、それを検知して、軌跡表示画面IM13(
図4参照)を表示部11に表示する(ステップS120,S125)。
【0029】
軌跡表示画面IM13は、ナビゲーション情報として、所望の目的地までのルートを表すルート情報等を表示するための画面(ナビゲーション画面)である。
【0030】
軌跡表示画面IM13は、予め設定された最大縮尺で、広い領域の地形図を概略的に表示する広域概略画面になっている。ただし、
図4に示す例では、画面の構成を分かり易く示すために、地形図そのものは省略され、その代わりに、地形図に対応付けて設定されたユーザの移動ルートが示されている。縮尺サイズが大きくなるほど、地形図の画面サイズは縮小される(小さくなる)。一方、縮尺サイズが小さくなるほど、地形図の画面サイズは拡大される(大きくなる)。
【0031】
なお、
図4に示す例では、軌跡表示画面IM13の縮尺(最大縮尺)として、40kmの値が設定されている。そして、縦横の寸法がその縮尺(最大縮尺)の数倍となる地形図が表示画面内に表示されている。ここで、40kmという最大縮尺の値は、ユーザが脚で1日に進むことが可能な最長移動距離(最長移動量)が100km程度であることを考慮し、その移動距離分のエリアが含まれる地形図を表示することができるようにするために設定されている。ただし、最大縮尺の値は、40kmに限らず、利用形態に応じて適宜変更することができる。例えば、最大縮尺の値は、40kmの代わりに、値を大きくして、50kmや60km等に設定することができるし、逆に、値を小さくして、30kmや20km等に設定することもできる。
【0032】
ナビゲーション情報は、事前に、端末装置101(
図2参照)で作成され、端末装置101から腕時計1に転送されている。
図4に示す例では、軌跡表示画面IM13には、ナビゲーション情報として、地形図に対応付けて設定されたユーザの移動ルートや、マーク「S」、マーク「G」、マーク「1」、マーク「2」、二重円状のマークMkPr等の情報が表示されている。
【0033】
マーク「S」は、スタート地点を表している。マーク「G」は、ゴール地点を表している。マーク「1」やマーク「2」は、第1経由地と第2経由地を表している。二重円状のマークMkPrは、ユーザの現在位置を表している。以下、二重円状のマークMkPrを「現在位置マークMkPr」と称する。
【0034】
ユーザは、前記した端末装置101(
図2参照)でのナビゲーション情報の作成時に、端末装置101を操作することで、任意の場所を、スタート地点やゴール地点、経由地として設定することができる。
【0035】
なお、
図4に示す例では、マーク「1」とマーク「2」の2箇所が経由地として設定されている。しかしながら、経由地の数や位置は、ナビゲーション情報の作成時に、利用形態に応じてユーザが適宜設定することができる。
【0036】
現在位置マークMkPr(二重円状のマーク)は、ナビゲーション画面の中央付近に配置されている。ナビゲーション画面では、ユーザが移動した場合に、現在位置マークMkPrの表示位置が変わらずに、現在位置マークMkPr以外の地形図や移動ルート等の表示位置が、ユーザの移動距離(移動量)に応じた分だけ、ユーザの移動方向とは逆向きに移動する。
【0037】
軌跡表示画面IM13が表示された状態において、ユーザは、ロータリースイッチRSWを押下する。すると、腕時計1の制御部2は、それを検知して、軌跡表示画面IM14(
図4参照)を表示部11に表示する。
【0038】
軌跡表示画面IM14は、地形図の縮尺を変更する操作を行うことができるナビゲーション画面である。軌跡表示画面IM14は、軌跡表示画面IM13(
図4参照)と同様に、予め設定された最大縮尺で、広い領域の地形図を概略的に表示する広域概略画面になっている。軌跡表示画面IM14は、軌跡表示画面IM13と比較すると、マークMkUとマークMkDとが表示されている点で相違する。マークMkUは、上側が頂点で、かつ、下側が底辺になっている二等辺三角形状のマークである。マークMkDは、下側が頂点で、かつ、上側が底辺になっている二等辺三角形状のマークである。
【0039】
マークMkU及びマークMkDは、ロータリースイッチRSWの回転可能な方向を表している。マークMkUは、例えばマークの色が黒色である状態において、ロータリースイッチRSWが奥回し方向に回転可能であることを表している。一方、マークMkDは、例えばマークの色が黒色である状態において、変色時にロータリースイッチRSWが手前回し方向に回転可能であることを表している。以下、マークMkUを「奥回し方向マークMkU」と称し、マークMkDを「手前回し方向マークMkD」と称する。
【0040】
(ナビゲーション処理実行操作時の動作)
次に、
図5乃至
図8を参照して、ナビゲーション処理実行操作時における腕時計1の動作につき説明する。
図5は、ナビゲーション処理実行操作時における腕時計1の動作を示すフローチャートである。
図6は、変形例に係るナビゲーション処理実行操作時における腕時計1の動作を示すフローチャートである。
図7は、ナビゲーション処理実行操作時における腕時計1の表示画面の説明図である。
図8は、対象切替操作時における腕時計1の表示画面の説明図である。
【0041】
本実施形態では、腕時計1の表示部11に前記した軌跡表示画面IM14(
図4及び
図7参照)が表示された状態において、ユーザがロータリースイッチRSWを操作することにより、ナビゲーション処理実行操作が行われる場合を想定して説明する。
【0042】
図5に示すように、表示部11に前記した軌跡表示画面IM14(
図7参照)が表示された状態において、腕時計1の制御部2は、ロータリースイッチRSWの回転操作があるか否かを判定する(ステップS205)。ステップS205の判定で、ロータリースイッチRSWの回転操作があると判定された場合(“Yes”の場合)に、腕時計1の制御部2は、ロータリースイッチRSWの回転方向が奥回し方向であるか否かを判定する(ステップS210)。
【0043】
ステップS210の判定で、ロータリースイッチRSWの回転方向が奥回し方向であると判定された場合(“Yes”の場合)に、腕時計1の制御部2は、表示画面が狭い領域を拡大して表示する狭域拡大画面(本実施形態では、後記する軌跡表示画面IM22(
図7参照))であるか否かを判定する(ステップS215)。
【0044】
ステップS215の判定で、表示画面が狭域拡大画面(本実施形態では、軌跡表示画面IM22(
図7参照))であると判定された場合(“Yes”の場合)に、腕時計1の制御部2は、後記する目的地方向画面IM99(
図7参照)を表示部11に表示して(ステップS220)、一連のルーチンの処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS215の判定で、表示画面が狭域拡大画面(本実施形態では、軌跡表示画面IM22(
図7参照))でないと判定された場合(“No”の場合)に、腕時計1の制御部2は、地形図が現在表示中の画面よりも拡大されたナビゲート画面を表示部11に表示して(ステップS225)、一連のルーチンの処理を終了する。
【0046】
また、前記したステップS210の判定で、ロータリースイッチRSWの回転方向が手前回し方向であると判定された場合(“No”の場合)に、腕時計1の制御部2は、地形図が現在表示中の画面よりも縮小されたナビゲート画面を表示部11に表示して(ステップS230)、一連のルーチンの処理を終了する。
【0047】
また、前記したステップS205の判定で、ロータリースイッチRSWの回転操作がないと判定された場合(“No”の場合)に、腕時計1の制御部2は、直線距離表示切替操作があるか否かを判定する(ステップS255)。
【0048】
直線距離表示切替操作は、表示画面(ナビゲーション画面)を、例えば
図8のように切り替える操作である。ここでは、ユーザが例えばプッシュスイッチ2SWを押下することによって、直線距離表示切替操作が行われるものとして説明する。
【0049】
ステップS255の判定で、直線距離表示切替操作があると判定された場合(“Yes”の場合)に、腕時計1の制御部2は、例えば
図8のように表示対象を切り替える、対象切替処理を行う(ステップS260)。
【0050】
一方、ステップS255の判定で、直線距離表示切替操作がないと判定された場合(“No”の場合)に、一連のルーチンの処理を終了する。
【0051】
なお、
図5に示すフローは、例えば、
図6に示すフローのように変更することができる。
図6に示すフローは、任意の条件に応じてナビゲーション画面を自動的に切り替える画面自動切替機能を利用する場合のフローである。
【0052】
図6に示すフローは、
図5に示すフローと比較すると、ステップS215の処理の代わりに、ステップS212,S214,S216の処理を実行する点で相違している。
【0053】
例えば、
図6に示すように、ステップS210の判定で、ロータリースイッチRSWの回転方向が奥回し方向であると判定された場合(“Yes”の場合)に、腕時計1の制御部2は、画面自動切替機能が有効に設定されているか否かを判定する(ステップS212)。
【0054】
ステップS212の判定で、画面自動切替機能が有効に設定されていないと判定された場合(“No”の場合)に、処理はステップS225に進む。一方、ステップS212の判定で、画面自動切替機能が有効に設定されていると判定された場合(“Yes”の場合)に、腕時計1の制御部2は、表示画面が広い領域を概略的に表示する広域概略画面(本実施形態では、軌跡表示画面IM14(
図7参照))であるか否かを判定する(ステップS214)。
【0055】
ステップS214の判定で、表示画面が広域概略画面でないと判定された場合(“No”の場合)に、処理はステップS225に進む。一方、ステップS214の判定で、表示画面が広域概略画面であると判定された場合(“Yes”の場合)に、腕時計1の制御部2は、直線距離表示エリア内(表示画面内)にユーザによって指定された任意の対象地点があるか否かを判定する(ステップS216)。
【0056】
ここで、「対象地点」とは、例えば、ゴール地点や経由地等の、ナビゲーションの目印になり易い地点を意味している。「対象地点」は、ユーザの操作や制御プログラムの自動的な処理によって、1乃至複数の地点を任意に設定することができる。例えば、「対象地点」は、ユーザが未通過の地点としてもよいし、ユーザが次に通過する予定の地点でもよい。
【0057】
ステップS216の判定で、直線距離表示エリア内に任意の対象地点(例えば、ゴール地点や経由地等)があると判定された場合(“Yes”の場合)に、処理はステップS225に進む。一方、ステップS216の判定で、直線距離表示エリア内に任意の対象地点(例えば、ゴール地点や経由地等)がないと判定された場合(“No”の場合)に、処理はステップS220に進む。なお、「直線距離表示エリア内に任意の対象地点(例えば、ゴール地点や経由地等)がない」場合(“No”の場合)とは、ルート情報に対応付けて設定された任意の対象地点が表示画面から外れた場合であることを意味している。
【0058】
以下、
図7を参照して、
図5(又は
図6)のステップS205乃至ステップS230の処理で表示部11に表示される表示画面(ナビゲーション画面)の一例について説明する。
【0059】
図7に示すように、表示部11に軌跡表示画面IM14が表示された状態において、
図5(又は
図6)のステップS205の処理で、ユーザが軌跡表示画面IM14の奥回し方向マークMkUを参照してロータリースイッチRSWを奥行き方向に回転させることにより、
図5(又は
図6)のステップS225の処理が実行される。これに応答して、
図7に示すように、表示画面(ナビゲーション画面)は、軌跡表示画面IM14から軌跡表示画面IM21に、軌跡表示画面IM21から軌跡表示画面IM22に順次切り替わる。
【0060】
また、
図7に示すように、表示部11に軌跡表示画面IM22が表示された状態において、
図5(又は
図6)のステップS225の処理が実行された後に、ユーザが軌跡表示画面IM22の手前回し方向マークMkDを参照してロータリースイッチRSWを手前方向に回転させることにより、
図5(又は
図6)のステップS230の処理が実行される。これに応答して、
図7に示すように、表示画面(ナビゲーション画面)は、軌跡表示画面IM22から軌跡表示画面IM21に、軌跡表示画面IM21から軌跡表示画面IM14に順次切り替わる。
【0061】
また、
図7に示すように、表示部11に軌跡表示画面IM22が表示された状態において、
図5のステップS215の判定において、表示画面が狭域拡大画面(軌跡表示画面IM22)であると判定された場合(“Yes”の場合)に、
図5のステップS220の処理が実行される。これに応答して、
図7に示すように、表示画面(ナビゲーション画面)は、軌跡表示画面IM22から目的地方向画面IM99に切り替わる。
【0062】
又は、
図7に示すように、表示部11に軌跡表示画面IM22が表示された状態において、
図6のステップS216の判定において、直線距離表示エリア内(表示画面内)に任意の対象地点(例えば、ゴール地点や経由地等)がないと判定された場合(“No”の場合)に、
図6のステップS220の処理が実行される。これに応答して、
図7に示すように、表示画面(ナビゲーション画面)は、軌跡表示画面IM22から目的地方向画面IM99に切り替わる。
【0063】
前記した軌跡表示画面IM14(
図7参照)は、軌跡表示画面IM13(
図4参照)と同様に、予め設定された最大縮尺で、広い領域の地形図を概略的に表示する広域概略画面である。
前記した軌跡表示画面IM21(
図7参照)は、予め設定された中程度の縮尺(図示例では、4kmの値の縮尺)で、中程度の領域の地形図を表示する中域画面である。
前記した軌跡表示画面IM22(
図7参照)は、予め設定された最小縮尺(図示例では、2kmの値の縮尺)で、狭い領域の地形図を拡大して詳細に表示する狭域拡大画面である。
【0064】
ここでは、ルート情報に対応付けて設定された任意の対象地点(例えば、ゴール地点や経由地等)が表示画面から外れる縮尺を最小縮尺とし、軌跡表示画面IM22がその最小縮尺のナビゲーション画面であるものとして説明する。したがって、本実施形態では、
図5のステップS215の判定において、表示画面が狭域拡大画面(軌跡表示画面IM22)であると判定された場合(“Yes”の場合)とは、所望の縮尺のルート情報に対応付けて設定された任意の対象地点が表示画面から外れた場合であることを意味している。
【0065】
前記した目的地方向画面IM99(
図7参照)は、ユーザの現在地点から所望の目的地(例えば、ゴール地点)までの方向情報や距離情報等の、ユーザにとって利便性の高い情報を優先的に特別に表示する特殊画面である。
【0066】
なお、ここでは、所望の目的地がゴール地点であり、目的地方向画面IM99(
図7参照)は、ナビゲーション情報として、ユーザの現在地点からゴール地点までの方向情報や距離情報等を表示する内容になっているものとして説明する。しかしながら、腕時計1は、ゴール地点以外に、使用状況に応じてその他の任意の地点(例えば、スタート地点や第1経由地、第2経由地、ユーザが次に通過する予定の地点等)を所望の目的地として設定することができる。
【0067】
本実施形態では、目的地方向画面IM99は、方向情報IF11、距離情報IF12、バッテリ残量情報IF13、現在時刻情報IF14、経過時間情報IF15等の情報を含む構成になっている。
【0068】
方向情報IF11は、所望の目的地(例えば、ゴール地点)までの方向を表している。
距離情報IF12は、所望の目的地(例えば、ゴール地点)までの距離を表している。
バッテリ残量情報IF13は、バッテリの残量を表している。
現在時刻情報IF14は、現在時刻を表している。
経過時間情報IF15は、移動を開始してからの経過時間を表している。
【0069】
前記した方向情報IF11は、矢印の向きで所望の目的地(例えば、ゴール地点)までの方向を示している。なお、本実施形態では、方向情報IF11の矢印の向きは、腕時計1の頂点方向(つまり、アナログ文字盤における0時方向)を北方向とし、その北方向を基準方向にして所望の目的地までの方向を指し示している。
【0070】
目的地方向画面IM99において、特に、方向情報IF11や距離情報IF12等のユーザにとって利便性の高い情報は、その他の利便性の低い情報よりも大きく拡大して表示されている。そのため、目的地方向画面IM99は、方向情報IF11や距離情報IF12等の利便性の高い情報を、ユーザに効率よく視認させることができる。
【0071】
なお、腕時計1は、利用形態に応じて、軌跡表示画面IM14と軌跡表示画面IM21との間で、それらの画面に用いられている2つの縮尺サイズの間となる縮尺のナビゲーション画面を表示させるように設定することができる。同様に、腕時計1は、利用形態に応じて、軌跡表示画面IM21と軌跡表示画面IM22との間で、それらの画面に用いられている2つの縮尺サイズの間となる縮尺のナビゲーション画面を表示させるように設定することもできる。
【0072】
腕時計1の制御部2(具体的には、表示態様変更手段2c(
図2参照))は、ルート情報に対応付けて設定された任意の対象地点(ゴール地点や経由地等)が表示部11(表示画面)内に入っている間は、軌跡表示画面IM14(軌跡表示画面IM13)、軌跡表示画面IM21、軌跡表示画面IM22を表示部11に表示する。
【0073】
しかしながら、腕時計1の制御部2(具体的には、表示態様変更手段2c(
図2参照))は、ルート情報に対応付けて設定された任意の対象地点(ゴール地点や経由地等)が表示部11(表示画面)から外れた場合に、目的地方向画面IM99を表示部11に表示する。
【0074】
以下、
図8を参照して、
図5(又は
図6)のステップS260の処理で表示部11に表示される表示画面(ナビゲーション画面)の一例について説明する。
【0075】
図8に示すように、表示部11に軌跡表示画面IM14が表示された状態において、ユーザが例えばプッシュスイッチ2SWを押下することにより、表示画面(ナビゲーション画面)は、軌跡表示画面IM14から対象画面IM31に、対象画面IM31から対象画面IM32に、対象画面IM32から対象画面IM33に順次切り替わる。
【0076】
対象画面IM31、対象画面IM32、対象画面IM33は、それぞれ、任意の対象地点(例えば、ゴール地点や経由地等)を含むナビゲーション画面である。
【0077】
腕時計1の制御部2(具体的には、表示態様変更手段2c(
図2参照))は、ルート情報に対応付けて設定された任意の対象地点(ゴール地点や経由地等)が表示画面内に入っている間は、軌跡表示画面IM14(軌跡表示画面IM13)、対象画面IM31、対象画面IM32、対象画面IM33を表示部11に表示する。この場合に、表示部11に対象画面IM33が表示された状態において、ユーザが例えばプッシュスイッチ2SWを押下することにより、表示画面(ナビゲーション画面)は、対象画面IM33から軌跡表示画面IM14に切り替わる。
【0078】
しかしながら、腕時計1の制御部2(具体的には、表示態様変更手段2c(
図2参照))は、ルート情報に対応付けて設定された任意の対象地点(ゴール地点や経由地等)が表示画面から外れた場合に、目的地方向画面IM99を表示部11に表示する。この場合に、表示部11に対象画面IM33が表示された状態において、ユーザが例えばプッシュスイッチ2SWを押下することにより、表示画面(ナビゲーション画面)は、対象画面IM33から目的地方向画面IM99に、目的地方向画面IM99から軌跡表示画面IM14に順次切り替わる。
【0079】
前記した対象画面IM31は、現在地点からスタート地点(マーク「S」が設定された地点)までの距離情報を表示するナビゲーション画面である。また、前記した対象画面IM32は、現在地点から第1経由地(マーク「1」が設定された地点)までの距離情報を表示するナビゲーション画面である。また、前記した対象画面IM33は、現在地点から第2経由地(マーク「2」が設定された地点)までの距離情報を表示するナビゲーション画面である。
【0080】
なお、
図7に示す軌跡表示画面IM21や軌跡表示画面IM22は、例えば、
図9(a)に示す軌跡表示画面IM21aや
図9(b)に示す軌跡表示画面IM22aのように変更してもよい。軌跡表示画面IM21aや軌跡表示画面IM22aは、
図7に示す軌跡表示画面IM21や軌跡表示画面IM22と比較すると、ナビゲーション画面の中央付近に、二重円状の現在位置マークMkPr(
図7参照)の代わりに、現在位置マークMkPr2が配置されている点で相違している。本実施形態では、現在位置マークMkPr2は、円環の内部に矢印が組み込まれた構造になっている。矢印は、所望の目的地(例えば、ゴール地点)までの方向を表す方向情報として機能する。
【0081】
(バックトラック画面表示操作)
腕時計1は、バックトラック画面表示機能を有している。「バックトラック画面表示機能」とは、現在地点からスタート地点に戻る場合のルートを表示する機能である。「バックトラック画面表示機能」では、腕時計1は、例えば、現在地点を新しいスタート地点とし、元のスタート地点を新しいゴール地点として表示する(
図11のバックトラック表示画面IM41参照)。
【0082】
以下、
図10を参照して、バックトラック画面表示操作時における腕時計1の動作につき説明する。
図10は、バックトラック画面表示操作時における腕時計1の動作を示すフローチャートである。
【0083】
図10に示す例では、バックトラック画面表示操作時の初期状態において、腕時計1の表示部11には、前記した軌跡表示画面IM14(
図11参照)が表示されている(ステップS605)。
【0084】
軌跡表示画面IM14が表示された状態において、ユーザは、例えばプッシュスイッチ1SWを押下する。すると、腕時計1の制御部2は、それを検知して、ナビゲーションメニュー画面IM15(
図11参照)を表示部11に表示する(ステップS610,S615)。
【0085】
ナビゲーションメニュー画面IM15は、ナビゲーション処理時において各種操作を選択可能に表示するための画面である。
図11に示す例では、ナビゲーションメニュー画面IM15には、バックトラック画面表示操作を選択するためのバックトラック(BACKTRACK)欄、ナビゲーション処理終了操作を選択するための終了(QUIT)欄、ゴール地点情報消去操作を選択するためのゴール地点情報消去(DELETE GOAL)欄等が選択可能な状態で表示されている。
【0086】
ナビゲーションメニュー画面IM15が表示された状態において、ユーザは、選択マーク(
図11に示す例では、白抜きされた三角形のマーク)でバックトラック(BACKTRACK)欄を選択した状態で、ロータリースイッチRSWを押下する。すると、腕時計1の制御部2は、それを検知して、バックトラック表示画面IM41(
図11参照)を表示部11に表示する(ステップS620,S625)。これにより、バックトラック画面表示操作が終了する。
【0087】
バックトラック表示画面IM41は、ナビゲーション情報として、現在地点からスタート地点に戻る場合に現在地点からスタート地点までのルートを表すルート情報等を表示するための画面(ナビゲーション画面)である。バックトラック表示画面IM41では、現在地点が新しいスタート地点として表示され(マーク「S」参照)、元のスタート地点が新しいゴール地点として表示される(マーク「G」参照)。
【0088】
(ナビゲーション処理終了操作)
腕時計1は、ナビゲーション処理を終了する場合に、以下のように動作する。以下、
図12を参照して、ナビゲーション処理終了操作時における腕時計1の動作につき説明する。
図12は、ナビゲーション処理終了操作時における腕時計1の動作を示すフローチャートである。
【0089】
図12に示す例では、ナビゲーション処理終了操作時の初期状態において、腕時計1の表示部11には、前記した軌跡表示画面IM14(
図13参照)が表示されている(ステップS705)。
【0090】
軌跡表示画面IM14が表示された状態において、ユーザは、例えばプッシュスイッチ1SWを押下する。すると、腕時計1の制御部2は、それを検知して、前記したナビゲーションメニュー画面IM15(
図13参照)を表示部11に表示する(ステップS710,S715)。
【0091】
ナビゲーションメニュー画面IM15が表示された状態において、ユーザは、ロータリースイッチRSWを手前回しして(すなわち、手前方向に回転させて)、ナビゲーションメニュー画面IM15a(すなわち、選択マーク(
図13に示す例では、白抜きされた三角形のマーク)で終了(QUIT)欄が選択された画面)を表示部11に表示させる。そして、ナビゲーションメニュー画面IM15aが表示された状態において、ユーザは、ロータリースイッチRSWを押下する。すると、腕時計1の制御部2は、それを検知して、前記した時刻表示画面IM11(
図13参照)を表示部11に表示する(ステップS720,S725)。これにより、ナビゲーション処理終了操作が終了する。
【0092】
(ゴール地点情報消去操作)
腕時計1は、ゴール地点情報を消去する場合に、以下のように動作する。以下、
図14を参照して、ゴール地点情報消去操作時における腕時計1の動作につき説明する。
図14は、ゴール地点情報消去操作時における腕時計1の動作を示すフローチャートである。
【0093】
図14に示す例では、ゴール地点情報消去操作時の初期状態において、腕時計1の表示部11には、前記した軌跡表示画面IM14(
図15参照)が表示されている(ステップS805)。
【0094】
軌跡表示画面IM14が表示された状態において、ユーザは、例えばプッシュスイッチ1SWを押下する。すると、腕時計1の制御部2は、それを検知して、前記したナビゲーションメニュー画面IM15(
図15参照)を表示部11に表示する(ステップS810,S815)。
【0095】
ナビゲーションメニュー画面IM15が表示された状態において、ユーザは、ロータリースイッチRSWを2回手前回しして(すなわち、2回手前方向に回転させて)、ナビゲーションメニュー画面IM15b(すなわち、選択マーク(
図13に示す例では、白抜きされた三角形のマーク)でゴール地点情報消去(DELETE GOAL)欄が選択された画面)を表示部11に表示させる。そして、ナビゲーションメニュー画面IM15bが表示された状態において、ユーザは、ロータリースイッチRSWを押下する。すると、腕時計1の制御部2は、それを検知して、ゴール地点情報消去後画面IM51(
図15参照)を表示部11に表示する(ステップS820,S825)。これにより、ゴール地点情報消去操作が終了する。
【0096】
ゴール地点情報消去後画面IM51は、ナビゲーション情報として、現在地点からゴール地点までのルート情報を消去した画面(ナビゲーション画面)である。ゴール地点情報消去後画面IM51では、スタート地点から現在地点までのルート情報のみが表示される。
【0097】
(目的地方向画面・コンパス画面切替表示操作)
腕時計1は、目的地方向画面・コンパス画面切替表示機能を有している。「目的地方向画面・コンパス画面切替表示機能」とは、前記した目的地方向画面IM99(
図7及び
図16参照)と後記するコンパス画面IMCo(
図16参照)とを切替表示する機能である。
【0098】
前記した目的地方向画面IM99(
図16参照)とコンパス画面IMCo(
図16参照)とは、ユーザが予め定められた任意のスイッチ操作(例えば、プッシュスイッチ3SWとプッシュスイッチ4SWとを同時に押下する操作)を行うことによって、表示部11に切替表示される。
【0099】
ここで、コンパス画面IMCo(
図16参照)は、ユーザが現在向いている方角情報を含むナビゲーション画面である。
図16に示す例では、コンパス画面IMCoは、ユーザの進行方向を表す進行方向情報IF21と、東西南北(E、W、S、N)の四方向を表すコンパス情報IF22と、を含む画面になっている。コンパス画面IMCoは、腕時計1の頂点方向(つまり、アナログ文字盤における0時方向)をユーザが向いている方向とし、そのユーザが現在向いている方向と北(N)方向との間のずれ角度を指し示している。具体的には、
図16に示す進行方向情報IF21が表す線分とコンパス情報IF22が表すN方向の線分との間の角度ANが、そのずれ角度を表している。
【0100】
前記した目的地方向画面IM99(
図16参照)の方向情報IF11は、腕時計1の頂点方向(つまり、アナログ文字盤における0時方向)を北方向とし、その北方向を基準方向にして所望の目的地までの方向を指し示している。そのため、ユーザが北からずれた方向を向いている場合(ユーザが北からずれた方向に進んでいる場合)に、前記した目的地方向画面IM99(
図16参照)の方向情報IF11を見ただけでは、ユーザは、東西南北(E、W、S、N)の四方向において、所望の目的地がどちらの方向にあるのかが把握し難い。
【0101】
そこで、本実施形態では、まず、ユーザは、例えば、目的地方向画面IM99(
図16参照)からコンパス画面IMCo(
図16参照)にナビゲーション画面を切替表示させる。これによって、ユーザは、ユーザが向いている方向と北(N)方向との間のずれ角度ANを把握することができる。次に、ユーザは、ユーザが現在向いている方向(ユーザが現在進んでいる方向)から、ずれ角度AN分だけ、北方向に向きを変える。これによって、ユーザは、北方向に向くことができる。この後、ユーザは、その状態で、コンパス画面IMCo(
図16参照)から目的地方向画面IM99(
図16参照)にナビゲーション画面を切替表示させる。これによって、ユーザは、自身が北方向を向いているため、目的地方向画面IM99(
図16参照)の方向情報IF11を見ただけで、東西南北(E、W、S、N)の四方向において、所望の目的地がどちらの方向にあるのかを把握することができる。
【0102】
<携帯型電子時計としての腕時計の主な特徴>
(1)
図2に示すように、腕時計1は、画像を表示する表示部11と、ユーザの移動ルートを表すルート情報を表示部11に表示するルート情報表示手段2aと、ルート情報の表示部11に表示される縮尺を切り替える縮尺切替手段2bと、所望の縮尺のルート情報に対応付けて設定された任意の対象地点(例えば、ゴール地点や経由地等)が表示部11(表示画面)から外れた場合に、表示部11(表示画面)の表示態様を、ルート情報を表示する表示態様と異なる表示態様に変更する表示態様変更手段2cと、を有する。
【0103】
このような腕時計1は、所望の縮尺のルート情報に対応付けて設定された任意の対象地点が表示部11(表示画面)から外れた場合に、表示部11(表示画面)の表示態様を変更することができる。そのため、腕時計1は、ユーザにとって利便性の高い情報をナビゲーション情報として好適に表示することで、小型な装置であっても、高度な情報提供性能を実現することができる。
【0104】
(2)表示態様変更手段2cは、前記任意の対象地点(例えば、ゴール地点や経由地等)が表示部11(表示画面)から外れた場合に、ユーザの現在地点から所望の目的地(例えば、ゴール地点)までの方向情報と距離情報とを含む特殊画面を表示部11に表示することができる。具体的には、腕時計1は、例えば、
図7の軌跡表示画面IM22(狭域拡大画面)のように、任意の対象地点が表示部11(表示画面)から外れた場合に、
図7の目的地方向画面IM99のように、ユーザの現在地点から所望の目的地までの方向情報IF11と距離情報IF12とを含む特殊画面を表示部11に表示することができる。
【0105】
目的地方向画面IM99(特殊画面)では、特に、方向情報IF11や距離情報IF12等のユーザにとって利便性の高い情報が、その他の利便性の低い情報よりも大きく拡大して表示されている。そのため、目的地方向画面IM99(特殊画面)は、ユーザが少し見るだけで、方向情報IF11や距離情報IF12等のユーザにとって利便性の高い情報を、ユーザに効率よく視認させることができる。したがって、腕時計1は、目的地方向画面IM99(特殊画面)を表示部11に表示することにより、例えば、ユーザが疲労して、判断能力が低下している場合であっても、利便性の高い情報を直感的にユーザに認識させることができる。
【0106】
(3)
図16に示すように、表示態様変更手段2cは、ユーザの操作に応じて、ユーザの現在地点から所望の目的地までの方向情報を含む特殊画面(目的地方向画面IM99)と、ユーザが現在向いている方角情報を含むコンパス画面IMCoと、を表示部11に切替表示することができる。
【0107】
このような腕時計1は、特殊画面(目的地方向画面IM99)とコンパス画面IMCoとを表示部11に切替表示することにより、目的地方向画面IM99(
図16参照)の方向情報IF11を見ただけで、東西南北(E、W、S、N)の四方向において、所望の目的地がどちらの方向にあるのかをユーザに把握させることができる。
【0108】
(4)表示態様変更手段2cは、好ましくは、ユーザの現在地点から所望の目的地までの距離が所望の距離以上である場合に、縮尺の切替判断を行うようにするとよい。
【0109】
例えば、
図7に示す軌跡表示画面IM15(広域概略画面)、軌跡表示画面IM21(中域画面)、軌跡表示画面IM22(狭域拡大画面)の切替表示において、表示態様変更手段2cは、ユーザがロータリースイッチRSWの回転操作を行わなくても、縮尺の切替判断を行って、表示画面を自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0110】
このような腕時計1は、軌跡表示画面IM21(
図7参照)から軌跡表示画面IM22(
図7参照)等のように、自動的に縮尺を切り替えてナビゲーション画面を表示部11に表示させることができるため、使い勝手を向上させることができる。
【0111】
以上の通り、本実施形態に係る携帯型電子時計としての腕時計1によれば、ユーザにとって利便性の高い情報をナビゲーション情報として好適に表示することで、小型な装置であっても、高度な情報提供性能を実現することができる。
【0112】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、前記した実施形態は、本発明の要旨を分かり易く説明するために詳細に説明したものである。そのため、本発明は、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、本発明は、ある構成要素に他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に変更したりすることができる。また、本発明は、一部の構成要素を削除することもできる。
【0113】
また、例えば、前記した実施形態では、所望の目的地がゴール地点であり、目的地方向画面IM99(
図7参照)は、ナビゲーション情報として、ユーザの現在地点からゴール地点までの方向情報や距離情報等を表示する内容になっているものとして説明している。しかしながら、腕時計1は、ゴール地点以外に、使用状況に応じてその他の任意の地点(例えば、スタート地点や第1経由地、第2経由地等を所望の目的地として設定することができる。
【0114】
また、例えば、ロータリースイッチRSWの操作手順は、ほぼ前記した実施形態の通りだが、プッシュスイッチ1SW,2SW,3SW,4SWの操作手順は、利用形態に応じて、適宜変更することができる。
【0115】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
[付記]
《請求項1》
画像を表示する表示部と、
ユーザの移動ルートを表すルート情報を前記表示部に表示するルート情報表示手段と、
前記ルート情報の前記表示部に表示される縮尺を切り替える縮尺切替手段と、
所望の縮尺の前記ルート情報に対応付けて設定された任意の地点が前記表示部から外れた場合に、前記表示部の表示態様を、前記ルート情報を表示する表示態様と異なる表示態様に変更する表示態様変更手段と、を有することを特徴とする携帯型電子時計。
《請求項2》
請求項1に記載の携帯型電子時計において、
前記表示態様変更手段は、前記任意の地点が前記表示部から外れた場合に、ユーザの現在地点から所望の目的地までの方向情報と距離情報とを含む特殊画面を前記表示部に表示することを特徴とする携帯型電子時計。
《請求項3》
請求項2に記載の携帯型電子時計において、
前記表示態様変更手段は、ユーザの操作に応じて、ユーザの現在地点から所望の目的地までの方向情報を含む特殊画面と、ユーザが現在向いている方角情報を含むコンパス画面と、を表示部に切替表示することを特徴とする携帯型電子時計。
《請求項4》
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の携帯型電子時計において、
前記表示態様変更手段は、ユーザの現在地点から所望の目的地までの距離が所望の距離以上である場合に、縮尺の切替判断を行うことを特徴とする携帯型電子時計。
《請求項5》
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の携帯型電子時計において、
前記表示態様変更手段は、前記任意の地点のうち、ユーザが未通過である地点が前記表示部から外れた場合に、前記表示部の表示態様を前記ルート情報を表示する表示態様と異なる表示態様に変更することを特徴とする携帯型電子時計。
《請求項6》
画像を表示する表示部を備える携帯型電子時計が実行する表示方法であって、
ユーザの移動ルートを表すルート情報を前記表示部に表示するルート情報表示工程と、
前記ルート情報の前記表示部に表示される縮尺を切り替える縮尺切替工程と、
所望の縮尺の前記ルート情報に対応付けて設定された任意の地点が前記表示部から外れた場合に、前記表示部の表示態様を前記ルート情報を表示する表示態様と異なる表示態様に変更する表示態様変更工程と、を含む表示方法。
《請求項7》
画像を表示する表示部を備える携帯型電子時計のコンピュータを、
ユーザの移動ルートを表すルート情報を前記表示部に表示するルート情報表示手段、
前記ルート情報の前記表示部に表示される縮尺を切り替える縮尺切替手段、
所望の縮尺の前記ルート情報に対応付けて設定された任意の地点が前記表示部から外れた場合に、前記表示部の表示態様を前記ルート情報を表示する表示態様と異なる表示態様に変更する表示態様変更手段、として機能させるための表示プログラム。
【符号の説明】
【0116】
1 腕時計(携帯型電子時計)
2 制御部
2a ルート情報表示手段
2b 縮尺切替手段
2c 表示態様変更手段
3 記憶部
4 通信部
5 GPSレシーバ
6 磁気センサ
7 計時回路
11 表示部
101 端末装置
102 制御部
103 第1通信部
104 第2通信部
AN ずれ角度
IF11 方向情報
IF12 距離情報
IF13 バッテリ残量情報
IF14 現在時刻情報
IF15 経過時間情報
IF21 進行方向情報
IF22 コンパス情報
IM11 時刻表示画面
IM12 GPSメニュー画面
IM13,IM14 軌跡表示画面(広域概略画面)
IM15,IM15a,IM15b ナビゲーションメニュー画面
IM21,IM21a 軌跡表示画面(中域画面)
IM22,IM22a 軌跡表示画面(狭域拡大画面)
IM31,IM32,IM33 対象画面
IM41 バックトラック表示画面
IM51 ゴール地点情報消去後画面
IM99 目的地方向画面(特殊画面)
IMCo コンパス画面
MkPr,MkPr2 現在位置マーク
MkU 奥回し方向マーク
MkD 手前回し方向マーク
1SW,2SW,3SW,4SW プッシュスイッチ
RSW ロータリースイッチ