(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】放射線画像表示装置、放射線撮影システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/46 20240101AFI20240521BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240521BHJP
【FI】
A61B6/46 506B
A61B6/00 530A
A61B6/00 550Z
(21)【出願番号】P 2022187097
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2018076006の分割
【原出願日】2018-04-11
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 貴則
(72)【発明者】
【氏名】西島 裕一
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 健一
(72)【発明者】
【氏名】濱元 一朗
【審査官】後藤 昌夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-018681(JP,A)
【文献】特開2006-138957(JP,A)
【文献】特開2017-225475(JP,A)
【文献】特開2019-180883(JP,A)
【文献】特開2008-301984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
複数のフレーム画像で構成される動態画像、及び前記動態画像に対応するグラフを前記表示部に表示する表示制御手段と、を備え、
前記動態画像は、オリジナル動態画像、当該オリジナル動態画像の画像データに所定の画像処理を施して得られる解析動態画像、及び前記オリジナル動態画像と前記解析動態画像の少なくともいずれかに関連する関連動態画像のうちの少なくとも1つを含み、
前記表示制御手段は、前記オリジナル動態画像と前記解析動態画像と前記関連動態画像のうちの少なくとも2つを前記表示部に並べて表示し、前記動態画像、及び前記動態画像に対応する前記グラフに同一の印を付加して表示し、前記グラフ上に、前記表示部に表示するフレーム画像のフレーム情報を表示することを特徴とする放射線画像表示装置。
【請求項2】
前記フレーム情報は、前記フレーム画像のフレーム番号を示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像表示装置。
【請求項3】
前記グラフの横軸は、前記フレーム画像のフレーム番号を示し、
前記表示制御手段は、前記フレーム番号に対応する縦線を前記グラフ上に表示することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像表示装置。
【請求項4】
前記縦線を移動させるユーザー操作を受け付ける操作部を備え、
前記表示制御手段は、前記縦線が前記横軸と交差する点におけるフレーム番号に対応するフレーム画像を、前記表示部に表示することを特徴とする請求項3に記載の放射線画像表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記オリジナル動態画像と前記解析動態画像と前記関連動態画像のうちの少なくとも1つを動画再生することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記表示部に前記動態画像を再生表示することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像表示装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記動態画像の再生表示の指示をするためのアイコンを、前記グラフに重ならない位置に表示することを特徴とする請求項6に記載の放射線画像表示装置。
【請求項8】
複数のフレーム画像で構成される動態画像データに所定の画像処理を施して解析動態画像データを生成することが可能な放射線画像解析装置と、
請求項1から7のいずれか一項に記載の放射線画像表示装置と、を備えることを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項9】
表示部を備える放射線画像表示装置のコンピューターを、
複数のフレーム画像で構成される動態画像、及び前記動態画像に対応するグラフを前記表示部に表示する表示制御手段として機能させ、
前記動態画像は、オリジナル動態画像、当該オリジナル動態画像の画像データに所定の画像処理を施して得られる解析動態画像、及び前記オリジナル動態画像と前記解析動態画像の少なくともいずれかに関連する関連動態画像のうちの少なくとも1つを含み、
前記表示制御手段は、前記オリジナル動態画像と前記解析動態画像と前記関連動態画像のうちの少なくとも2つを前記表示部に並べて表示し、前記動態画像、及び前記動態画像に対応する前記グラフに同一の印を付加して表示し、前記グラフ上に、前記表示部に表示するフレーム画像のフレーム情報を表示するプログラム。
【請求項10】
表示部と、
複数のフレーム画像で構成される動態画像、及び前記動態画像に対応するグラフを前記表示部に表示する表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記グラフ上に、前記表示部に表示するフレーム画像のフレーム情報を表示し、前記動態画像を再生する際、
前記グラフが右肩下がりになる範囲、または右肩上がりになる範囲を部分的に再生することを特徴とする放射線画像表示装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記動態画像を再生する際、肺尖から横隔膜までの距離が最大のときに撮影されたフレームから最小のときに撮影されたフレームまで、又は肺尖から横隔膜までの距離が最小のときに撮影されたフレームから最大のときに撮影されたフレームまでを部分的に再生することを特徴とする請求項10に記載の放射線画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像表示装置、この装置を備える放射線撮影システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線画像の撮影手法の一つに、動画撮影(連続撮影ともいう)がある。
動画撮影においては、複数のフレーム画像を所定周期(例えば1秒間に15回)で繰り返し生成する。この動画撮影により得られる動態画像を表示装置で再生する(複数のフレーム画像を順次表示する)ことで、撮影対象部位(例えば肺野)の動作を観察することが可能となる。
近年では、動態画像の画像データに、例えば下記特許文献1~4に記載されたような各種画像処理を施すことにより、撮影対象部位の視認性を高めたり、撮影対象部位の動作を詳細な追跡を可能にしたりすることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-510427号公報
【文献】特開2016-002251号公報
【文献】特開2009-273671号公報
【文献】特開2017-200565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、動態画像に対応するグラフ上にフレーム画像のフレーム情報を表示することができる放射線画像表示装置、放射線撮影システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の問題を解決するために、本発明に係る放射線画像表示装置は、
表示部と、
複数のフレーム画像で構成される動態画像、及び前記動態画像に対応するグラフを前記表示部に表示する表示制御手段と、を備え、
前記動態画像は、オリジナル動態画像、当該オリジナル動態画像の画像データに所定の画像処理を施して得られる解析動態画像、及び前記オリジナル動態画像と前記解析動態画像の少なくともいずれかに関連する関連動態画像のうちの少なくとも1つを含み、
前記表示制御手段は、前記オリジナル動態画像と前記解析動態画像と前記関連動態画像のうちの少なくとも2つを前記表示部に並べて表示し、前記動態画像、及び前記動態画像に対応する前記グラフに同一の印を付加して表示し、前記グラフ上に、前記表示部に表示するフレーム画像のフレーム情報を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動態画像に対応するグラフ上にフレーム画像のフレーム情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成を表すブロック図である。
【
図2】
図1の放射線撮影システムが備える放射線画像表示装置の具体的構成を表すブロック図である。
【
図3】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図4】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図5】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図6】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図7】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図8】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図9】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図10】
図2の放射線画像表示装置が表示する印又はコメントを並べたものの一例である。
【
図11】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図12】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図13】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図14】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図15】
図2の放射線画像表示装置が行う波形近似を説明する図である。
【
図17】
図2の放射線画像表示装置の表示画面の一部を表す図である。
【
図18】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図19】付帯技術に係る放射線撮影システムと他の装置との接続を表す図である。
【
図20】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一部を表す図である。
【
図21】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図22】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図23】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図24】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図25】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図26】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図27】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図28】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図29】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図30】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図31】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図32】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図33】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図34】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図35】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図36】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図37】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図38】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図39】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一部を表す図である。
【
図40】付帯技術に係る放射線画像表示装置が行う波形近似を説明する図である。
【
図41】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一部を表す図である。
【
図42】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図43】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図44】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【
図45】付帯技術に係る放射線画像表示装置の表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図面に記載されたものに限定されるものではない。
【0010】
〔放射線撮影システム〕
まず、本実施形態に係る放射線撮影システム(以下撮影システム100)の構成について説明する。
図1は撮影システム100の概略構成を表すブロック図である。
【0011】
本実施形態の撮影システム100は、
図1に示したように、放射線照射装置(以下、照射装置1)と、放射線撮影装置(以下、撮影装置2)と、放射線画像解析装置(以下、解析装置3)と、放射線画像表示装置(以下、表示装置4)と、を備えて構成されている。
【0012】
照射装置1は、制御装置11と、曝射スイッチ12と、放射線源(管球)13と、を備えて構成されている。
制御装置11は、曝射スイッチ12が押下されたことに基づいて、予め設定された放射線曝射条件(管電圧や管電流、照射時間(mAs値)等)に応じた電圧を放射線源13に印加することが可能に構成されている。
放射線源13は、図示しない回転陽極やフィラメント等を有している。そして、制御装置11から電圧が印加されると、フィラメントが印加された電圧に応じた電子ビームを回転陽極に向けて照射し、回転陽極が電子ビームの強度に応じた線量の放射線(X線等)を発生させるように構成されている。
【0013】
また、照射装置1は、一回の撮影操作(曝射スイッチ12の押下)に基づいて、所定時間幅のパルス放射線を所定周期で繰り返し照射することが可能に構成されている。
また、照射装置1は、放射線源13の放射線照射口の向きを変えることが可能となっており、立位の被検者にも臥位の被検者にも放射線を照射する(立位撮影も臥位撮影も行う)ことが可能となっている。
なお、照射装置1は、撮影室に据え付けられた固定型のものとしても、車輪を備えた移動型のものとしてもよい。
【0014】
撮影装置2は、照射装置1から受けた放射線に基づく放射線画像の画像データを所定周期で繰り返し生成することが可能に構成されており、解析装置3や表示装置4と有線又は無線で通信可能に接続されている。
また、撮影装置2は、図示しない放射線検出部や読出し部等を備えて構成されている。
【0015】
放射線検出部は、外部から放射線を受けることで放射線の線量に応じた量の電荷を直接的又は間接的に生成する放射線検出素子、及び各放射線検出素子と配線との間に設けられ放射線検出素子と配線との間の通電が可能なオン状態又は通電が不能なオフ状態に切り替え可能なスイッチ素子を有する画素が二次元状に複数配列された基板を有するものであればよく、従来公知のものを用いることができる。
すなわち、撮影装置2は、シンチレーターを備え、シンチレーターが放射線を受けることで発した光を検知するいわゆる間接型のものであってもよいし、シンチレーター等を介さずに放射線を直接検知するいわゆる直接型のものであってもよい。
【0016】
読出し部は、複数の放射線検知素子にそれぞれ蓄積された電荷の量を信号値として読み出し、各信号値を基に放射線画像の画像データを生成することが可能に構成されていればよく、従来公知のものを用いることができる。
【0017】
解析装置3は、PCや携帯端末、あるいは専用の装置によって画像データに各種画像処理を施し、複数種類の解析動態画像の画像データを生成することが可能に構成されており、撮影装置2や表示装置4と有線又は無線で通信可能に接続されている。
【0018】
表示装置4は、PCや携帯端末、あるいは専用の装置によって構成されており、撮影装置2や解析装置3と有線又は無線で通信可能に接続されている。この表示装置4の詳細については後述する。
【0019】
このように構成された本実施形態の撮影システム100は、照射装置1から、当該照射装置1と撮影装置2との間に配置された被検者へ放射線を照射することにより、被検者の放射線撮影を行うことが可能となっている。
特に、照射装置1から被検者へパルス放射線を繰り返し照射するとともに、撮影装置2において被検者の放射線画像を繰り返し生成することにより、被検者の動態画像を撮影することが可能となっている。以下、動態画像を撮影することを「動画撮影」、動態画像を構成する各放射線画像を「フレーム画像」と称する。
【0020】
また、撮影システム100は、図示しない放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)等と接続して用いることも可能となっている。
なお、
図1には、解析装置3と表示装置4が別々に設けられた場合を例示したが、解析装置3と表示装置4は一体に構成されていてもよい。すなわち、表示装置4の中に、解析装置3の機能(本発明における画像解析手段としての機能)を持たせるようにしてもよい。
【0021】
〔放射線画像表示装置〕
次に、上記撮影システム100が備える表示装置4の詳細について説明する。
図2は、表示装置4の具体的構成を表すブロック図である。
【0022】
表示装置4は、
図2に示したように、制御部41、通信部42、記憶部43、表示部44、操作部45、各部を接続するバス46を備えて構成されている。
【0023】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部41のCPUは、記憶部43に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、表示装置4各部の動作を集中制御する。
【0024】
通信部42は、無線モジュール等で構成され、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークを介して接続された他の装置(撮影装置2や解析装置3等)との間で各種情報(信号やデータ)を送信することが可能となっている。
【0025】
記憶部43は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、制御部41が実行する各種プログラム(後述する撮影制御処理を行うためのプログラムを含む)やプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター等を記憶している。
【0026】
表示部44は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部41から入力される表示信号の指示に従って、画像や各種情報等を表示する。
【0027】
操作部45は、カーソルキーや、数字入力キー、各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、表示部44の表示画面に重ねられたタッチパネル等によってユーザーが操作可能に構成されている。
そして、操作部45は、ユーザーによってなされた操作に基づく指示信号を制御部41に出力する。
【0028】
このように構成された表示装置4の制御部41は、記憶部43に記憶されたプログラムにより以下のような機能を有する。
具体的には、制御部41は、複数のフレーム画像で構成される動態画像の画像データ、当該動態画像の画像データに所定の画像処理を施して得られる解析動態画像Iaの画像データ、及びオリジナル動態画像Io又は解析動態画像Iaと関連する関連動態画像Ipの画像データをそれぞれ取得する機能を有している。
オリジナル動態画像Ioの画像データや解析動態画像Iaの画像データの取得は、通信部42を介して他の装置(例えば解析装置3)から受信することにより取得してもよいし、記憶部43に記憶されているものを呼び出すことにより取得してもよい。
【0029】
ここで、「画像処理」には、例えば、特定成分差分処理、周波数強調処理、特定成分追跡処理、特定信号変化量抽出処理、特定類似波形パターン抽出処理等、複数種類の処理がある。これらの処理は一つだけ施される場合もあれば、複数組み合わせて施される場合もある。
特定成分差分処理は、撮影対象部位における特定領域(例えば肺野内の肋骨や鎖骨)の信号値を低減することにより、特定領域以外の領域の視認性を高める処理である。
周波数強調処理は、撮影対象部位における特定領域のエッジの周波数を強調することにより特定領域を鮮明にする処理である。
特定成分追跡処理は、撮影対処部位における特定領域(例えば横隔膜)の移動量や速度を算出したり、二つの異なる特定領域の間(例えば肺尖と横隔膜との間)の距離を算出したりする処理である。
特定信号変化量抽出処理は、信号値の変化量を色の違いにより可視化する処理である。
特定類似波形パターン抽出処理は、特定の信号変化との類似度を色の違いにより可視化する処理である。
【0030】
また、本実施形態においては、上述した処理の他、最大信号値の集積画像と最小信号値の集積画像の差分を表示することにより、撮影内での信号変化の総量を可視化する処理を施すことも可能である。
具体的には、全フレーム画像に対して、同一の座標を指定し、当該座標における各フレーム画像の信号値の中から最大の信号値を割り出すとともに、最小の信号値を割り出す。そして、最大の信号値を有するフレーム画像と最小の信号値を有するフレーム画像の差分を1枚の画像として表示する。
このようにすると、信号変化のあった部分、例えば横隔膜でいえば、横隔膜が上がったときと下がっているときの差等を可視化することができる。
【0031】
また、「関連動態画像」とは、主に、過去に同じ被写体を少なくとも1回撮影して得られた動態画像又は解析動態画像のことを指す。
関連動態画像の画像データの取得は、通信部42を介して他の装置(撮影装置2や解析装置3)から受信することにより取得してもよいし、記憶部43に記憶されているものを呼び出すことにより取得してもよい。
なお、オリジナル動態画像Ioと関連する関連動態画像Ipと、解析動態画像Iaと関連する関連動態画像Ipのいずれか一方のみを取得するのではなく、オリジナル動態画像Ioと関連する関連動態画像Ipと、解析動態画像Iaと関連する関連動態画像Ipの両方を取得するようにしてもよい。
このような機能を有する本実施形態の制御部41は、本発明における画像取得手段をなす。
【0032】
また、制御部41は、オリジナル動態画像Io及び解析動態画像Iaとともに関連動態画像を表示部44に表示させる機能を有している。
具体的には、例えば
図3に示したように、オリジナル動態画像Ioの他、当該オリジナル動態画像Ioに各種画像処理を施して得られた各種解析動態画像Iaを一覧表示することが可能である。この場合、オリジナル動態画像Io又は4種類ある解析動態画像Iaのうちの一部が関連動態画像Ipということになる。
このような機能を有する本実施形態の制御部41は、本発明における表示制御手段をなす。
【0033】
なお、本実施形態に係る制御部41は、上述した機能の他に、以下のような機能も有している。
具体的には、制御部41は、関連動態画像Ipを時系列に並べて表示部44に表示させる機能を有している。
具体的には、
図4,5に示したように、直近の撮影で得られたオリジナル動態画像Io及び解析動態画像Iaと、過去の撮影で得られたオリジナル動態画像及び解析動態画像を例えば新しい順に並べて表示する。この場合、過去のオリジナル動態画像や過去の解析動態画像が関連動態画像Ipということになる。また、この場合、
図4,5におけるオリジナル動態画像Io及び上段の関連動態画像Ipは互いに同種の動態画像ということになり、解析動態画像Iaと下段の関連動態画像Ipも互いに同種の動態画像ということになる。
【0034】
なお、
図4には、解析動態画像Iaの他に、対応するオリジナル動態画像Ioを併せて表示した場合を例示したが、他の解析動態画像Iaと併せて表示してもよいし、一種類の解析動態画像Iaのみを表示してもよい。
また、制御部41に、上述した複数種類の画像処理を組み合わせて施す機能とは別に、複数種類の画像処理を一種類ずつ施して得られる複数種類の解析動態画像を重ね合わせて表示する機能を持たせてもよい。この場合、制御部41に、アルファブレンディング(透過指定)を行う機能を更に持たせるようにするとよい。
【0035】
また、制御部41は、表示部44に一度に表示できない数の関連動態画像Ipが取得されている場合に、操作部45になされた操作に基づいて、それまで表示されていなかった関連動態画像Ipが表示されるよう表示部44の表示を切り替える機能を有している。
例えば、
図6に示したような形で動態画像の表示を行う場合、一度に表示できる動態画像は4回分に限られる。そこで、取得された関連動態画像Ipが5回分以上ある場合には、マウスを(右)クリックしながら移動させる、マウスホイールを回転させる、タッチパネルの表面で指をスライドさせる、画像表示領域の所定箇所をクリックする等することにより、例えば
図6に示したように、画像表示領域をスクロールさせたり、未表示の解析動態画像Iaへジャンプさせたりする。
このような機能を有することにより、比較対象となる動態画像Io,Ia,Ipが多数存在しても比較を容易に行うことができる。
【0036】
また、制御部41は、操作部45になされた操作に基づいて、表示部44に表示されている動態画像Io,Ia、Ipのうちの一部の動態画像を指定する本発明における画像指定手段としての機能を有している。
具体的には、指定したい動態画像をタッチしたりクリックしたりすることにより指定する。指定された動態画像の近傍或いは周囲には、例えば
図7に示したように印m(ここでは、ピンの絵柄のアイコン)を表示したり、
図8に示したように枠fを表示したりしてもよい。
また、制御部41は、表示部44における指定された動態画像以外の動態画像が表示されている領域の表示を切り替える機能を有している。
具体的には、
図7,8に示したように、指定された動態画像を左端に固定表示し、その右側の領域において、他の動態画像をスクロール表示するようになっている。
このような機能を有することにより、比較元の動態画像を指定することで、比較元の動態画像と比較対象の多くの動態画像との比較を容易に行うことができる。
【0037】
また、制御部41は、操作部45になされた操作に基づいて、動態画像Io,Ia,Ipの撮影時期、又は撮影時期と撮影時期との間に所定の印m又はコメントCを紐づける本発明における紐づけ手段としての機能を有している。
紐づけられたコメントCは、例えば
図9に示したように、対応する動態画像の周りに表示される。
【0038】
また、制御部41は、紐づけられた印m又はコメントCを時系列に並べて表示部44に表示することが可能であり、操作部45になされた操作に基づいて印m又はコメントCのうちのいずれかが選択されることにより、選択された印m又はコメントCと紐づけられた関連動態画像Ipが表示されるよう表示部44の表示を切り替える機能を有している。
具体的には、例えば
図10に示したような年月を数直線Lで表したものを、
図9,11に示したように、表示部44の画像表示領域の外側に表示可能となっており、その数直線Lにおける、印やコメントが紐づけられた動態画像の撮影時期に対応する位置に印mやコメントCを表示する。そして、この数直線に表示された印mやコメントCのうちのいずれかが選択されることで、対応する動態画像Io,Ia,Ipが表示されるようになっている。
なお、印mを、例えば
図12に示したような仕切線とし、数直線Lに表示するとともに、動態画像と動態画像との間に表示するようにしてもよい。
このような機能を有することにより、過去のどの時期に撮影があったのかを容易に把握することができるし、所望の時期の動態画像を容易に表示することができる。
【0039】
また、制御部41は、関連動態画像が肺野を撮影対象部位としたものである場合に、解析動態画像Ia及び関連動態画像における、肺尖から横隔膜までの距離とフレーム画像数との関係を表すグラフを表示部44に表示させることが可能な本発明におけるグラフ描画手段としての機能を有している。
具体的には、例えば
図13に示したように、各オリジナル動態画像Ioに隣接するように、フレーム数を横軸、距離を縦軸とするグラフGを表示する。
なお、
図13には、グラフGを、対応する解析動態画像Iaや関連動態画像Ipの手前に表示する場合を例示したが、解析動態画像Iaや関連動態画像Ipを遮蔽しないようオリジナル動態画像Ioの手前に表示してもよいし、いずれの動態画像Io,Ia,Ipも遮蔽しないよう画像表示領域とは異なる箇所に表示してもよい。
【0040】
また、制御部41は、所定操作(例えば
図14に示したような動画の再生や停止を指示するためのボタン型のアイコンiを押す等)に基づいて動態画像を再生する際、解析動態画像Iaに対応するグラフと関連動態画像に対応するグラフのうちの一方のグラフの波形を他方のグラフの波形に近づける本発明における波形近似手段としての機能を有している。
具体的には、
図15(b)に示したようなグラフとなる検査B(一方)の動態画像を、
図15(c)に示したように、極大(極小)となるフレームが前(後)にずれるように加工することにより、
図15(a)に示したような検査A(他方)のグラフの波形に近づける。
呼吸に関する動態画像においては、過去に撮影した画像と同じ呼吸位相になるとは限らないため、画像の比較確認に手間を要するが、このような機能を有することにより、こうした手間を省くことができる。
【0041】
また、制御部41は、解析動態画像Ia又は関連動態画像を再生する際、肺尖から横隔膜までの距離が最大のときに撮影されたフレームから最小のときに撮影されたフレームまで、又は肺尖から横隔膜までの距離が最小のときに撮影されたフレームから最大のときに撮影されたフレームまでを部分的に再生する機能を有している。
具体的には、
図16(a)に示したようなグラフが右肩下がりになる範囲、又は
図16(b)に示したようなグラフが右肩上がりになる範囲を再生する。
なお、肺尖から横隔膜までの距離が最大のときに撮影されたフレームから次回以降の最大のときに撮影されたフレームまで、又は
図16(c)に示したような、肺尖から横隔膜までの距離が最小のときに撮影されたフレームから次回以降(図は2回後)の最小のときに撮影されたフレームまでを再生するようにしてもよい。
【0042】
また、制御部41は、解析動態画像Ia及び関連動態画像を同時に再生する機能を有している。
また、制御部41は、解析動態画像Ia及び関連動態画像の再生速度を変える機能を有している。
具体的には、
図17に示したように、動画の再生や停止を指示するためのボタン型のアイコンi1に、例えば二分の一倍速の再生や二倍速の再生を指示するためのアイコンi2が追加されている。このアイコンi2がタッチまたはクリックされた場合には、通常の二分の一又は2倍の速度で動態画像を再生する。
このような機能を有することにより、注意して観察したい範囲をゆっくり再生したり、あまり重要でない範囲の再生を早く終えることができる。
【0043】
以上、本実施形態に係る撮影システム100が備える表示装置4は、表示部44と、複数のフレーム画像で構成される動態画像の画像データ、当該動態画像の画像データに所定の画像処理を施して得られる解析動態画像Iaの画像データ、及び前記動態画像又は前記解析動態画像Iaと関連する関連動態画像Ipの画像データをそれぞれ取得し、オリジナル動態画像Io及び解析動態画像Iaとともに関連動態画像Ipを表示部44に表示させる制御部41(画像取得手段、表示制御手段)を備えたものとなっている。
このような機能を有することにより、オリジナル動態画像Io、解析動態画像Ia、及び関連動態画像が表示部44に同時に表示されるため、比較元となる動態画像と比較対象となる動態画像Io,Ia,Ipとの比較を容易に行うことができる。
【0044】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0045】
〔付帯技術〕
次に、上記実施形態に係る放射線撮影システム100を含む、画像解析機能や画像表示機能を有する放射線撮影システム全般に適用することが可能な付帯技術について説明する。
【0046】
〔解析動態画像の生成〕
放射線撮影システムにおいては、操作部45の操作に基づいて各種画像処理を行うのは手間がかかるという問題があった。
このような課題に鑑み、動態画像の画像データを取得したときに、所定条件(例えば撮影条件、疾病等)に基づいて、必要な動態解析や肺野内面積(
図18の符号Luが指す領域の面積)といった計測を自動的に実行し、表示部44に表示するようにしてもよい。
このようにすれば、ユーザーが実行する動態解析や面積計算の要否を選択する手間がかからなくなる。
また、動態解析や面積計算する条件を設定しておくことで、不要な動態解析を実施しなくてすむようになる。
【0047】
また、放射線撮影システムにおいては、救急患者等、優先度が高い被検者の動態解析を急いで行いたい場合であっても、既に他の被検者の動態画像の解析を行っている、あるいは未実施の動態解析が溜まっている場合、先の動態解析が終わるのを待たなければ、次の動態解析に移ることができないという問題があった。
このような課題に鑑み、優先度に応じて処理順序を変更したり、並列処理を行ったりすることを可能としてもよい。
このようにすれば、優先度が高い検査から動態解析を行うことができる。
また、並列処理によって、解析を早く終えることができる。
【0048】
また、放射線撮影システムを用いた診断においては、新たな動態解析で用いたパラメーターが、過去の動態解析で用いたパラメーターと異なると、新たな動態解析で得られた解析動態画像Iaと過去の動態解析で得られた解析動態画像Iaとの比較が行いにくいという問題があった。
このような課題に鑑み、新たな動態解析においても、過去画像のパラメーターを用いるようにしてもよい。
このようにすれば、新たな動態解析で得られた解析動態画像Iaと過去の動態解析で得られた解析動態画像Iaとの比較が行いやすくなる。
【0049】
また、放射線撮影システムにおいては、過去の動態解析で用いたパラメーターが、新たな動態解析に用いる解析装置に格納されているとは限らない。過去に用いたパラメーターが他の装置に格納されていると、ユーザーが過去に用いたパラメーターを見つけることができず、新たな動態解析に過去のパラメーターを用いることができないという問題があった。
このような課題に鑑み、例えば
図19に示したように、放射線撮影システムをサーバー、PACS、データベース、HIS、RIS等に接続し、過去の動態解析で用いたパラメーターを、これらのうちのいずれかの装置に保存しておくようにしてもよい。
このようにすれば、過去のパラメーターを、これらに接続された各装置で共有することができるため、過去のパラメーターを用いることができないという問題を解消することができる。
【0050】
また、放射線撮影システムにおいては、既に他の被検者の動態画像の解析を行っている、あるいは未実施の動態解析が溜まっている場合、新たな解析動態画像Iaをいつ確認することができるのか分からないという問題があった。
このような課題に鑑み、例えば
図20に示したような、実行すべき動態解析の内容や数、動態解析の進捗状況(グラフと数値の少なくともいずれか)、動態解析の終了までの残り時間等の情報Ifを表示するようにしてもよい。
なお、こうした情報の表示は、例えば
図21に示したように、検査の一覧に表示してもよい。
このようにすれば、新たな解析動態画像Iaをいつ確認することができるのか見当をつけることができるため、全体的な検査のスケジュールを立てやすくなる。
【0051】
〔画像表示/画像確認〕
また、放射線撮影システムにおいては、同一検査において複数種類の関連動態画像が存在していることが多く、場合によっては表示部に表示し切れない場合があった。その場合、表示されていない関連動態画像の中にどのような関連動態画像が存在しているかを一つ一つ確認しなければならず、手間がかかっていた。
このような課題に鑑み、関連動態画像の種類の数に応じて一度に表示するコマ数を変更するようにしてもよい。
具体的には、関連動態画像Ipの種類が少ない場合には、例えば
図22に示したようにコマ数を少なくして一つ一つを大きく表示し、種類が多い場合には、例えば
図23に示したようにコマ数を増やして一つ一つを小さく表示する。
このようにすれば、多くの関連動態画像が存在する場合であっても、それらの確認・把握を容易に行うことができる。
【0052】
また、放射線撮影システムにおいては、同一検査において複数のオリジナル動態画像Ioが存在していると、オリジナル動態画像Ioと解析動態画像Iaを一緒に表示する際、解析動態画像Iaがどのオリジナル動態画像Ioに対応するものであるのか分からなくなってしまうという問題があった。
このような課題に鑑み、例えば
図24に示したように、オリジナル動態画像Ioとその解析動態画像Iaを一列(ここでは横一列)に並べて配置したり、
図25に示したように、オリジナル動態画像Ioと対応する解析動態画像Iaに同一の印mを付加したりするようにしてもよい。
このようにすれば、オリジナル動態画像Ioとそれに対応する解析動態画像Iaが把握しやすくなる。
【0053】
また、放射線撮影システムにおいては、表示する動態画像を追加する際、例えばマウスを用いたドラッグ&ドロップにより行おうとすると、コマ数を増やす操作を行わなければならず、手間がかかっていた。
このような課題に鑑み、取得した解析動態画像Iaや関連動態画像のサムネイル画像の一覧を表示し、表示したい動態画像のサムネイル画像に所定の選択操作を行うことにより、動態画像の表示/非表示の切り替えを行えるようにするとともに、表示する動態画像の数(選択されたサムネイル画像の数)に応じて、画像数に応じて一度に表示するコマ数を変更するようにしてもよい。
【0054】
サムネイル画像の選択方法としては、例えば
図26に示したように、各サムネイル画像Itに設けられたチェックボックスにチェックを入れたり、サムネイル画像Itそのものをクリックしたりする等の方法が挙げられる。
そして、選択されたサムネイル画像Itに対応する動態画像を表示する。サムネイル画像の選択を増やせば、
図27に示したように、表示される動態画像も増えることとなる。
このようにすれば、コマ数を変更するための操作や、マウスの移動を行うことなく、表示する動態画像を追加することが可能となる。
また、動態画像の表示・非表示の操作をサムネイル領域で行うため、マウスの移動量を少なくすることができる。
【0055】
また、放射線撮影システムにおいては、一つの動態画像を表示部内の画像表示領域全体に大きく表示しているときに、別の動態画像を表示する必要が生じた場合、例えばマウスを用いてサムネイル画像をドラッグ&ドロップすることにより行おうとすると、マウスの移動量が大きくなってしまい操作性が低下する。
このような課題に鑑み、キーボードのキーやマウス等に取得した動態画像の各画像データのうちどの動態画像を表示するか(切り替えるか)を予め割り当てておき、所定のキーボード操作やマウス操作がなされたことにより対応する動態画像の表示に切り替えるようにしてもよい。
このようにすれば、例えば
図28に示したようなある動態画像(例えばオリジナル動態画像Io)が表示されている状態で特定のキー操作あるいはマウス操作をすることにより、
図29に示したように他の動態画像(例えば解析動態画像Ia)に表示が切り替わるため、マウスを大きく移動させることなく、所望の動態画像への切り替えを行うことができる。
【0056】
また、放射線撮影システムにおいては、取得した動態画像の全てのサムネイル画像が並べられていると、表示させたい動態画像のサムネイル画像に辿り着くまで一覧を大きくスクロールしなければならず、手間がかかっていた。
このような課題に鑑み、例えば
図30に示したように、同一患者が行った複数の検査の一覧Liを表示部44に表示し、一覧Liから選択された検査に対応する動態画像のサムネイル画像Itだけを表示するようにしてもよい。
このようにすれば、対象の検査を見つけやすく、さらにそのサムネイル画像を参照しやすくなる。
【0057】
また、放射線撮影システムにおいては、パラメーターを変えて同種の画像処理を施した同種の解析動態画像Iaが複数存在していると、どのパラメーターを用いて処理した解析動態画像Iaを診断用に決定したのか判断できないという問題があった。
このような課題に鑑み、例えば
図31に示したように、パラメーターが異なる同種の動態画像Io,Ia,Ipのうちの1つの画像の近傍(例えばタブt等)に、所定の印mを表示するようにしてもよい。この印mは、同一検査の動態画像Io,Ia,Ipのうちいずれか一つにのみ表示できるものとする。
また、パラメーターが異なる同種の動態画像Io,Ia,Ipを、
図32に示したようなタブt1,t2による切り替え表示と、並べて表示と、を切り替え可能としてもよい。
このようにすれば、マークの有無によりどの解析動態画像Iaが診断用のものかを判断することができる。
また、表示方法をタブ切り替えにすることで、診断用に決定した動態画像だけを表示することができる。
【0058】
また、放射線撮影システムにおいては、パラメーターを変えて同種の画像処理を施した同種の解析動態画像Iaが複数存在する場合、解析結果のどこに差があるのか把握するのに時間がかかるという問題があった。
このような課題に鑑み、パラメーターが異なる同種の解析動態画像Iaを重畳表示するとともに、両者の差分の程度を色分けするようにしてもよい。
このようにすれば、パラメーターの異なる同種の解析動態画像Iaが複数存在する場合に、それらの差を容易に把握することができる。
【0059】
〔動態画像の再生〕
また、放射線撮影システムにおいては、解析動態画像Iaと関連動態画像をそれぞれ再生しながら比較する際、呼吸のタイミングが合わないと比較しにくいという問題があった。
このような課題に鑑み、解析動態画像Iaと関連動態画像の各フレーム画像に基づいて、両者の再生タイミングを揃えるようにしてもよい。
具体的には、各動態画像について可動部位の状態変化(例えば横隔膜の上下動等)を調べ、それぞれの動態画像において可動部位の状態が略一致する(例えば横隔膜が最も上がった(下がった))ときのフレーム画像を揃えて再生するようにする。
このようにすれば、グラフを用いなくても呼吸状態が合った状態で解析動態画像Iaと関連動態画像との比較を行うことができる。
【0060】
また、放射線撮影システムにおいては、動態画像の再生中に、他の画像処理(例えば、階調処理、画像の拡大/縮小等)を行う必要が生じた場合、動態画像の再生を一旦停止させなければならず、手間がかかっていた。
このような課題に鑑み、再生中の動態画像の画像データに対し、特定の画像処理を施すことができるようにしてもよい。
このようにすれば、動態画像の再生を停止することなく他の画像処理を行うことができる。
【0061】
〔過去画像表示〕
また、放射線撮影システムにおいては、ユーザーが表示されたグラフに気になる点を見つけ、対応するフレーム画像を確認したいと思っても、例えば、近いと思われるフレーム画像を一枚一枚確認しながら探し出さなければならず、手間がかかっていた。
このような課題に鑑み、グラフ上の操作で、フレーム画像の切り替えを行えるようにしてもよい。
具体的には、
図33に示したように、グラフGと動態画像Io,Ia,Ipをそれぞれ表示する。また、グラフGには例えばドラッグ操作により移動させることのできる縦軸と平行な縦線lを表示できるようにする。また、縦線lが横軸と交差する点における番号のフレーム画像を表示するようにする。
このようにすれば、グラフGの気になる点に縦線lを移動させるだけで、例えば
図34に示したように、移動先に対応するフレーム画像を瞬時に表示することができる。
【0062】
また、放射線撮影システムにおいては、検査が繰り返されると、表示部44に表示される動態画像の表示位置がずれていくため、グラフを前回の診断時に表示した位置に表示させると、画像を遮蔽してしまう場合がある。更に過去の診断時に表示したグラフも併せて表示させると、グラフ上にグラフが表示されることになり、グラフの移動操作が必要となってしまう。
このような課題に鑑み、動態画像Io,Ia,Ipと対応するグラフGを、例えば
図35に示したように、対応する動態画像Io,Ia,Ipの周辺(例えば下)に表示するようにしてもよい。
なお、
図36に示したように、動態画像Io,Ia,IpとグラフGの紐づきを示す印mや色、リンクを示す線を表示するようにしてもよい。
このようにすれば、初期表示時から、関連動態画像も含め、動態画像Io,Ia,IpとグラフGを並べて確認することができる。
また、グラフG同士の比較も行うことができる。
【0063】
また、放射線撮影システムにおいては、撮影対象部位における、最大・最小・平均信号値に該当する領域を視認することができない。すなわち、動態画像における信号マップが分からないという問題があった。
このような課題に鑑み、例えば
図37に示したように、信号値グラフで最大・最小・平均信号値又は所定範囲が指定されたときに、表示されたフレーム画像において、指定された信号値に該当するピクセルが特定の色で表示されるようにしてもよい。
このようにすれば、撮影対象部位における、最大・最小・平均信号値にあたっているところ該当する領域を視認することができる。
また、動態画像における信号マップを把握することができる。
【0064】
〔グラフ確認〕
また、放射線撮影システムにおいては、設定画面でパラメーター値を変更するのは手間がかかるという問題があった。
このような課題に鑑み、グラフ上でパラメーター値の変更を可能としてもよい。
このようにすれば、パラメーター値を容易に変更することができる。
【0065】
また、放射線撮影システムを用いた診断においては、指定したフレーム間において所定の追跡点が移動した距離が視認できないという問題があった。
このような課題に鑑み、例えば
図38に示したように、指定したフレーム間において所定の追跡点が移動した時間と距離、あるいは加速度等の数値NをグラフG上に表示できるようにしてもよい。
また、例えば
図39に示したような移動速度をグラフ等の形で表示するようにしてもよい。
このようにすれば、詳細な解析結果を把握することができる。
【0066】
また、放射線撮影システムにおいては、ある動態画像と過去の動態画像との差分を視認しにくいという問題があった。具体的には、過去の検査のときと比較して、症状がどの程度改善したのか等を把握しにくいという問題があった。
このような課題に鑑み、例えば
図40に示したように、関連動態画像のグラフG2の波形(破線)を、解析動態画像のグラフG1の波形(実線)に近似させることにより、過去との差分を表示するようにしてもよい。
このようにすれば、ある動態画像と過去の動態画像との差分を視認することができる。
【0067】
また、放射線撮影システムにおいては、動態画像のグラフだけでは、各種情報を把握できないという問題があった。
このような課題に鑑み、例えば
図41に示したようにグラフGと共に、各種計測結果の情報Ifを数値で表示するようにしてもよい。グラフGには、「原画像平均信号値」や、「追跡点移動量」、「追跡2点間距離」、「解析信号値」等を表すグラフがあるが、これらのいずれにも対応することができる。
なお、このグラフG及び計測結果の情報Ifは、例えば
図42,43に示したように、表示する動態画像Io.Ia,Ipのコマ数に応じて表示する位置や大きさを変更することが可能である。
このようにすれば、計測結果をグラフGと共に表示することで視認しやすくすることができる。
【0068】
また、動態画像を用いてある疾病の診断を行う際に、動態画像を参照せずに動態画像に基づく計測結果だけを素早く確認したい場合がある。
そこで、検査リストにグラフのサムネイル画像を表示したり、例えば
図44に示したように、計測結果M(最大最小幅等)を、検査情報(検査日時、患者ID等)と併せて一覧表示したりするようにしてもよい。
このようにすれば、計測結果Mだけを確認したい場合に、動態画像の表示を省略することができる。
また、計測結果が一覧表示されることで比較しやすくなる。
【0069】
〔対象患者の選択〕
また、動態画像を用いてある疾病の診断を行う際に、同じ疾病を有する他の患者と症状の比較を行いたい場合がある。
そこで、放射線撮影システムに、疾病を登録する手段や、及び患者名、疾病、撮影した動態画像の画像データ等を紐づけて管理するデータベースを備え、同じ疾病を有する別の患者の動態画像を関連動態画像として表示可能としてもよい。
具体的には、例えば
図45に示したように、疾病名のアイコンIdを表示し、ある疾病のアイコンIdを選択することで、選択された疾病を有する別の患者の動態画像が表示されるようにする。
このようにすれば、同じ疾病を有する他の患者との比較を行うことができる。
【0070】
〔解析動態画像の削除〕
また、動態画像を扱う放射線撮影システムにおいては、データ量が膨大になり記憶部等の容量を圧迫するため、不要な画像データについては削除する必要が生じる。
その際、生成日が古いものから順に削除するようにするとよい。更に、生成日が同じ又は近い画像データが複数存在する場合には、解析動態画像Ia(オリジナル動態画像Io以外)から順に削除するようにするとよい。
オリジナル動態画像Ioを残しておけば、当該オリジナル動態画像Ioから再び解析動態画像Iaを生成できるため、このようにすれば、記憶部等の容量圧迫を防ぎつつより多くの画像データを確保することができる。
【符号の説明】
【0071】
100 放射線撮影システム
1 放射線照射装置
11 制御装置
12 曝射スイッチ
13 放射線源
2 放射線撮影装置
3 放射線画像解析装置
4 放射線画像表示装置
41 制御部
42 通信部
43 記憶部
44 表示部
45 操作部
46 バス
C コメント
f 枠
G,G1,G2グラフ
i,i1,i2,Id アイコン
If 情報
Io オリジナル動態画像
Ia 解析動態画像
Ip 関連動態画像
It サムネイル画像
L 数直線
Li 一覧
Lu 符号
l 縦線
M 計測結果
m 印
N 数値
t,t1,t2タブ