(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】着床位置部材の位置保持治具および着床位置部材の取替方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
B66B7/00 K
(21)【出願番号】P 2022581092
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2021005065
(87)【国際公開番号】W WO2022172375
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 麦平
(72)【発明者】
【氏名】松岡 由香里
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-172392(JP,A)
【文献】特開2017-160016(JP,A)
【文献】特開2008-207901(JP,A)
【文献】特開平11-278767(JP,A)
【文献】特開2018-70312(JP,A)
【文献】特開2015-202958(JP,A)
【文献】特開2015-217992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかごが着床位置に着いたときに前記かごに設けられた着床装置が検出する着床位置部材を取り付ける腕部材に
対して、前記着床位置部材とは独立して着脱し得るよう固定される本体部と、
前記本体部に配置され、前記本体部が前記腕部材に固定されているときに、前記着床位置部材の基準線と鉛直方向において同じ位置に存在する指示部と、
を備えた着床位置部材の位置保持治具。
【請求項2】
エレベーターのかごが着床位置に着いたときに前記かごに設けられた着床装置が検出する着床位置部材を取り付ける腕部材に固定される本体部と、
前記本体部が前記腕部材に固定されているときに、前記着床位置部材
の基準線と鉛直方向において同じ位置に存在するよう前記本体部に固定される
指示部と、
を備えた着床位置部材の位置保持治具。
【請求項3】
前記指示部は、前記本体部に対する位置が変化しないよう前記本体部に設けられる請求項1に記載の着床位置部材の位置保持治具。
【請求項4】
前記本体部は、前記腕部材に固定された場合に前記腕部材に取り付けられた前記着床位置部材と鉛直方向に位置が異なる2箇所以上で接する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の着床位置部材の位置保持治具。
【請求項5】
エレベーターのかごが着床位置に着いたときに前記かごに設けられた着床装置が検出する旧着床位置部材の基準線と位置保持治具の指示部とが鉛直方向において同じ位置に存在するように、前記旧着床位置部材が取り付けられた腕部材に前記位置保持治具を固定する固定工程と、
前記固定工程の後に行われ、前記腕部材から前記旧着床位置部材を取り外す取外工程と、
前記取外工程の後に行われ、前記着床装置が検出する新着床位置部材の基準線と前記位置保持治具の前記指示部とが鉛直方向において同じ位置に存在するように前記新着床位置部材を前記腕部材に取り付ける取付工程と、
を備えた着床位置部材の取替方法。
【請求項6】
前記固定工程において、前記位置保持治具が前記腕部材に取り付けられた前記旧着床位置部材と鉛直方向に位置が異なる2箇所以上で接するように前記位置保持治具を前記腕部材に固定し、
前記取付工程において、前記位置保持治具が前記腕部材に固定された前記新着床位置部材と鉛直方向に位置が異なる2箇所以上で接するように前記新着床位置部材を前記腕部材に取り付ける請求項5に記載の着床位置部材の取替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、着床位置部材の位置保持治具および着床位置部材の取替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、着床位置部材の取替方法を開示する。当該取替方法において、新式の着床位置部材は、旧式の着床位置部材で使用される部材を着脱自在に備える。このため、新式の着床位置部材は、旧式の着床位置部材と取り替えられた後、旧式の着床位置部材を検出する旧式の着床装置に検出され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された着床位置部材の取替方法において、新式の着床位置部材が取り付けられる前に、旧式の着床位置部材は、取り付け位置から取り外される。このため、旧式の着床位置部材の鉛直方向における位置が分からなくなる。その結果、着床位置部材を容易に取り替えることができない。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、着床位置部材を容易に取り替えることができる着床位置部材の位置保持治具および着床位置部材の取替方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る着床位置部材の位置保持治具は、エレベーターのかごが着床位置に着いたときにかごに設けられた着床装置が検出する着床位置部材を取り付ける腕部材に対して、前記着床位置部材とは独立して着脱し得るよう固定される本体部と、本体部に配置され、本体部が腕部材に固定されているときに、着床位置部材の基準線と鉛直方向において同じ位置に存在する指示部と、を備えた。
また、本開示に係る着床位置部材の位置保持治具は、エレベーターのかごが着床位置に着いたときにかごに設けられた着床装置が検出する着床位置部材を取り付ける腕部材に固定される本体部と、本体部が腕部材に固定されているときに、着床位置部材の基準線と鉛直方向において同じ位置に存在するよう本体部に固定される指示部と、を備えた。
【0007】
本開示に係る着床位置部材の取替方法は、エレベーターのかごが着床位置に着いたときにかごに設けられた着床装置が検出する旧着床位置部材の基準線と位置保持治具の指示部とが鉛直方向において同じ位置に存在するように、旧着床位置部材が取り付けられた腕部材に位置保持治具を固定する固定工程と、固定工程の後に行われ、腕部材から旧着床位置部材を取り外す取外工程と、取外工程の後に行われ、着床装置が検出する新着床位置部材の基準線と位置保持治具の指示部とが鉛直方向において同じ位置に存在するように新着床位置部材を腕部材に取り付ける取付工程と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、着床位置部材の位置保持治具は、本体部に配置され、本体部が腕部材に固定されているときに、着床位置部材の基準線と鉛直方向において同じ位置に存在する指示部を備える。このため、旧式の着床位置部材が取り外された後に、旧式の着床位置部材の基準線が存在していた鉛直方向における位置を把握できる。その結果、着床位置部材を容易に取り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用されるエレベーターシステムの概要図である。
【
図2】実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用されるエレベーターシステムの腕部材と着床位置部材と着床装置との上面図である。
【
図3】実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用されるエレベーターシステムの腕部材と着床位置部材と着床装置との側面図である。
【
図4】実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用された着床位置部材の取替方法の固定工程を示す概要図である。
【
図5】実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用された着床位置部材の取替方法の取外工程を示す概要図である。
【
図6】実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用された着床位置部材の取替方法の取付工程を示す概要図である。
【
図7】実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具の斜視図である。
【
図8】実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が固定された腕部材の側面図である。
【
図9】実施の形態1における位置保持治具の変形例を示す斜視図である。
【
図10】実施の形態2における着床位置部材の位置保持治具が適用された着床位置部材の取替方法の固定工程を示す概要図である。
【
図11】実施の形態2における着床位置部材の位置保持治具が適用された着床位置部材の取替方法の取付工程を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0011】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用されるエレベーターシステムの概要図である。
【0012】
図1のエレベーターシステムにおいて、昇降路1は、図示されない建築物の各階を貫く。機械室2は、昇降路1の直上に設けられる。複数の乗場3の各々は、建築物の各階に設けられる。複数の乗場3の各々は、昇降路1に対向する。
【0013】
巻上機4は、機械室2の内部に設けられる。主ロープ5は、巻上機4に巻き掛けられる。
【0014】
かご6は、昇降路1の内部に設けられる。かご6は、主ロープ5の一側に吊るされる。釣合おもり7は、昇降路1の内部に設けられる。釣合おもり7は、主ロープ5の他側に吊るされる。
【0015】
ガイドレール8は、図示されないが、複数のレールが複数の接続部材により接続されることで構成される。ガイドレール8は、複数のレールブラケット8aによって昇降路1の内部で固定される。ガイドレール8の長手方向は、鉛直方向を向く。ガイドレール8は、かご6に隣接する。
【0016】
複数の腕部材9の各々は、取り付け部材9aによってガイドレール8に取り付けられる。複数の腕部材9は、複数の乗場3ごとに取り付けられる。複数の腕部材9は、ガイドレール8の複数の接続部材の配置、複数のレールブラケット8aの配置、等に応じて、対応する乗場3に対する鉛直方向の距離がそれぞれ異なった位置に取り付けられる。例えば、複数の腕部材9の各々は、ガイドレール8から複数の乗場3の各々と反対の方向へ水平に延びる。
【0017】
複数の着床位置部材10は、複数の腕部材9の各々に設けられる。腕部材9と対応する乗場3との鉛直方向の距離が複数の腕部材9のそれぞれで異なるため、複数の着床位置部材10は、複数の乗場3ごとに対応する腕部材9に対して異なる位置に設けられる。
【0018】
着床装置11は、かご6の上部に設けられる。着床装置11は、かご6においてガイドレール8の側の端部に配置される。着床装置11は、ガイドレール8に対して、ガイドレール8から複数の腕部材9が延びる方向に配置される。
【0019】
制御装置12は、機械室2に設けられる。制御装置12は、巻上機4と着床装置11とに有線または無線によって電気的に接続される。
【0020】
制御装置12は、巻上機4に駆動の指令を送信する。巻上機4は、制御装置12からの指令に基づいて回転する。主ロープ5は、巻上機4の回転に追従して移動する。かご6と釣合おもり7とは、主ロープ5の移動に追従して互いに反対方向に昇降する。かご6は、昇降するときにガイドレール8に案内される。かご6は、目的とする階の着床位置において乗場3に停止する。
【0021】
かご6が目的とする乗場3の着床位置に近づいた場合、着床装置11は、当該乗場3に対応する着床位置部材10に近づく。この場合、着床装置11は、当該着床位置部材10に対するかご6の相対的な位置を検出する。着床装置11は、当該着床位置部材10に対するかご6の相対的な位置の情報を制御装置12に送信する。制御装置12は、当該着床位置部材10に対するかご6の相対的な位置の情報を用いてかご6の位置が当該乗場3の着床位置になるよう巻上機4を制御する。その結果、かご6は、当該乗場3の着床位置に到着する。
【0022】
次に、
図2と
図3とを用いて、着床装置11が着床位置部材10に対するかご6の相対的な位置を検出する方法を説明する。
図2は実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用されるエレベーターシステムの腕部材と着床位置部材と着床装置との上面図である。
図3は実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用されるエレベーターシステムの腕部材と着床位置部材と着床装置との側面図である。
【0023】
図2は、かご6が乗場3の着床位置に近づいたときの腕部材9と着床位置部材10と着床装置11とを示す。
【0024】
着床位置部材10は、板材である。着床位置部材10は、取付板13と基準板14と中心線15とを備える。
【0025】
取付板13は、腕部材9における昇降路1の内側を向く面に取り付けられる。
【0026】
基準板14は、取付板13の端部から腕部材9とは反対の方向に垂直に延びる。
【0027】
中心線15は、基準板14の表面において水平方向に沿って設けられる。中心線15は、基準板14において長手方向の中心位置に設けられる。
【0028】
着床装置11は、複数の検出器16を備える。複数の検出器16は、鉛直方向に並ぶ。
図2には、複数の検出器16のうちの1つが示される。複数の検出器16の各々は、基部16aと検出部16bと検出部16cとを備える。基部16aは、水平投影面上においてかご6からガイドレール8への側に突出するように設けられる。検出部16bは、基部16aの水平方向の一側の端部からかご6とは反対側に垂直に延びる。検出部16cは、基部16aの水平方向の他側の端部からかご6とは反対側に垂直に延びる。
【0029】
検出器16は、検出部16bと検出部16cとの間に磁界を発生させる。
【0030】
かご6が乗場3の着床位置に近づいた場合、着床装置11の検出器16は、乗場3に対応する着床位置部材10に対向する。基準板14において、着床装置11の側の端部は、検出部16bと検出部16cとの間に位置する。基準板14は、検出部16bと検出部16cとの間の磁界を変化させる。着床装置11は、当該磁界が変化したことを検出することで、着床装置11に対する基準板14の相対的な位置を検出する。着床装置11は、着床装置11に対する基準板14の相対的な位置に基づいて、着床位置部材10に対するかご6の相対的な位置を検出する。
【0031】
図3に示されるように、かご6が乗場3の着床位置に停止した場合、基準板14の上端部は、着床装置11の上部に配置された検出器16において検出部16bと検出部16cとの間に位置する。また、基準板14の下端部は、着床装置11の下部に配置された検出器16において検出部16bと検出部16cとの間に位置する。また、基準板14の中心線15は、着床装置11の中間部に配置された検出器16において検出部16bと検出部16cとの間に位置する。
【0032】
次に、
図4から
図6を用いて、着床位置部材10の取替方法を説明する。例えば、着床位置部材10の取替方法において、固定工程と取外工程と取付工程とが行われる。
図4は実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用された着床位置部材の取替方法の固定工程を示す概要図である。
図5は実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用された着床位置部材の取替方法の取外工程を示す概要図である。
図6は実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が適用された着床位置部材の取替方法の取付工程を示す概要図である。
【0033】
図4において、旧着床位置部材10aは、取り替える前の着床位置部材10である。旧着床位置部材10aは、中心線15aを備える。
【0034】
位置保持治具20は、本体部である本体部材21と指示部である指示部材22とを備える。
【0035】
例えば、本体部材21は、鋼板である。本体部材21は、接触面21aを備える。接触面21aは、本体部材21の側面である。
【0036】
指示部材22は、磁力を帯びた板である。例えば、指示部材22の形状は、矢印である。指示部材22は、本体部材21の表面に磁力によって固定可能である。指示部材22は、指示点22aを有する。例えば、指示点22aは、矢印の先端である。ただし、指示部材22は、指示点22aを備えていれば、どのような形状であってもよい。
【0037】
固定工程において、本体部材21は、接触面21aが旧着床位置部材10aと隙間なく接する位置に配置される。本体部材21は、当該位置で腕部材9における旧着床位置部材10aが取り付けられた面に固定される。
【0038】
その後、腕部材9が取り付けられた面とは反対側の面において、指示部材22の指示点22aは、旧着床位置部材10aの基準線である中心線15aと鉛直方向に同じ高さになるように位置を合わせられる。指示部材22は、当該位置において本体部材21に貼り付けられることで本体部材21に固定される。
【0039】
その後、取外工程が行われる。
図5に示されるように、取外工程において、旧着床位置部材10aは、腕部材9から取り外される。
【0040】
その後、取付工程が行われる。
図6において、新着床位置部材10bは、取り替え後の着床位置部材10である。新着床位置部材10bは、中心線15bを備える。
【0041】
取付工程において、新着床位置部材10bは、腕部材9における位置保持治具20の本体部材21が固定された面において、本体部材21の接触面21aと隙間なく接するよう配置される。この際、新着床位置部材10bにおいて、基準線である中心線15bは、指示部材22の指示点22aと鉛直方向に同じ高さになるよう位置を合わせられる。新着床位置部材10bは、当該位置に取り付けられる。
【0042】
その後、位置保持治具20は、腕部材9から取り外される。
【0043】
次に、
図7を用いて、位置保持治具20の要部を説明する。
図7は実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具の斜視図である。
【0044】
図7に示されるように、位置保持治具20は、固定部23を備える。固定部23は、横板24と縦板25と把持板26と調整具27とを備える。
【0045】
横板24は、本体部材21における指示部材22が固定される面とは反対側の面から垂直に延びる。
【0046】
縦板25は、横板24の本体部材21と繋がる端部とは反対側の端部から本体部材21に平行になるよう下方に延びる。
【0047】
把持板26は、本体部材21と縦板25との間に配置される。
【0048】
例えば、調整具27は、雄ねじである。調整具27は、本体部材21に向かって縦板25を垂直に貫通する。調整具27において、本体部材21を向く端部は、把持板26に取り付けられる。調整具27は、把持板26に対してねじの回転方向へ自在に回転するよう設けられる。調整具27は、把持板26を支持する。
【0049】
次に、
図8を用いて、本体部材21を腕部材9に固定する方法を説明する。
図8は実施の形態1における着床位置部材の位置保持治具が固定された腕部材の側面図である。
【0050】
図8に示されるように、腕部材9は、本体部材21と把持板26との間に配置される。調整具27は、ねじ込み方向に回転される。調整具27がねじ込み方向に回転した場合、調整具27は、把持板26と共に縦板25に対して本体部材21の方向に移動する。この場合、本体部材21と把持板26とは、腕部材9を水平方向に挟む。その結果、本体部材21は、腕部材9に固定される。
【0051】
以上で説明した実施の形態1によれば、位置保持治具20は、本体部と指示部を備える。本体部が腕部材9に固定されているときに、指示部は、鉛直方向において旧着床位置部材10aの基準線と同じ位置に存在する。このため、位置保持治具20は、鉛直方向における旧着床位置部材10aの基準線の位置を保持することができる。旧着床位置部材10aが取り外された後に、鉛直方向において旧着床位置部材10aの基準線が存在していた位置を把握することができる。その結果、着床位置部材を容易に取り替えることができる。
【0052】
また、指示部は、指示部材22である。指示部材22は、本体部が腕部材9に固定された状態で、旧着床位置部材10aの基準線と同じ位置に存在するよう本体部に固定される。このため、指示部材22の位置を旧着床位置部材10aの基準線の位置に容易に合わせることができる。
【0053】
また、位置保持治具20は、腕部材9に取り付けられるときに旧着床位置部材10aと隙間なく接する。この場合、腕部材9の旧着床位置部材10aが取り付けられた面への投影面において、位置保持治具20と腕部材9とのなす角度は、旧着床位置部材10aと腕部材9とのなす角度に等しい。このため、位置保持治具20は、当該投影面における旧着床位置部材10aと腕部材9とがなす角度を保持することができる。
【0054】
なお、鉛直方向への投影面において、着床位置部材10と腕部材9とがなす角度は、常に同じ角度になる。ガイドレール8から腕部材9が伸びる方向への投影面において、着床位置部材10と腕部材9とがなす角度は、常に同じ角度になる。このため、位置保持治具20は、腕部材9に取り付けられるときに旧着床位置部材10aと鉛直方向に位置が異なる2箇所以上で接すればよい。この場合、位置保持治具20は、腕部材9の旧着床位置部材10aが取り付けられた面への投影面における旧着床位置部材10aと腕部材9とがなす角度を保持することができる。
【0055】
また、着床位置部材の取替方法は、固定工程と取外工程と取付工程とを備える。このため、新着床位置部材10bの基準線の鉛直方向の位置が固定工程における旧着床位置部材10aの基準線の鉛直方向の位置に等しくなるように、新着床位置部材10bを腕部材9に取り付けることができる。その結果、着床位置部材を容易に取り替えることができる。
【0056】
また、固定工程において、位置保持治具20は、旧着床位置部材10aと隙間なく接するように腕部材9に取り付けられる。取付工程において、新着床位置部材10bは、位置保持治具20と隙間なく接するように取付けられる。このため、腕部材9の旧着床位置部材10aが取り付けられた面への投影面において、新着床位置部材10bと腕部材9とがなす角度が旧着床位置部材10aと腕部材9とがなす角度に等しくなるように、新着床位置部材10bを腕部材9に取り付けることができる。なお、位置保持治具20は、旧着床位置部材10aと鉛直方向に位置が異なる2箇所以上で接すればよい。位置保持治具20は、新着床位置部材10bと鉛直方向に位置が異なる2箇所以上で接すればよい。
【0057】
なお、機械室2がなく巻上機4と制御装置12とが昇降路1の下部または上部に設けられているエレベーターに位置保持治具20および着床位置部材の取替方法を適用してもよい。
【0058】
なお、例えば、着床装置11は、光センサを用いて着床装置11に対する基準板14の相対的な位置を検出してもよい。
【0059】
なお、着床位置部材の取替方法において、着床位置部材10の下面を構成する辺、または着床位置部材10の上面を構成する辺が着床位置部材10の基準線として用いられてもよい。
【0060】
次に、
図9を用いて、実施の形態1における位置保持治具20の変形例を説明する。
図9は実施の形態1における位置保持治具の変形例を示す斜視図である。
【0061】
図9に示されるように、本体部材21は、長孔30を備える。長孔30は、本体部材21の長手方向に沿うよう設けられる。
【0062】
指示部材22は、ボルト31を備える。ボルト31は、ネジ部を有する。ボルト31のネジ部は、指示部材22を貫通する。ボルト31のネジ部は、長孔30の内側に挿入される。例えば、ボルト31は、ネジ部が長孔30の内部にある状態で、図示されないナットによって長孔30に固定される。
【0063】
指示部材22は、長孔30とボルト31とを介して本体部材21に固定される。
【0064】
変形例に示されるように、指示部材22は、ボルト31およびナット等の工具によって本体部材21に固定されてもよい。
【0065】
実施の形態2.
図10は実施の形態2における着床位置部材の位置保持治具が適用された着床位置部材の取替方法の固定工程を示す概要図である。
図11は実施の形態2における着床位置部材の位置保持治具が適用された着床位置部材の取替方法の取付工程を示す概要図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0066】
図10に示されるように、位置保持治具40は、本体部として本体部材41と指示部42とを備える。
【0067】
例えば、本体部材41は、実施の形態1における本体部材21と同様の構成を備える。
【0068】
例えば、指示部42は、本体部材41の端部である。指示部42は、指示点42aを備える。例えば、指示点42aは、指示部42の下面における角部である。ただし、例えば、指示点42aは、指示部42の上面における角部であってもよい。
【0069】
実施の形態2において、着床位置部材の取替方法は、固定工程と取外工程と取付工程とを備える。
【0070】
固定工程において、本体部材41は、旧着床位置部材10aと隙間なく接するように配置される。この際、本体部材41の指示点42aは、旧着床位置部材10aの中心線15aと鉛直方向に同じ高さになるように位置を合わせられる。本体部材41は、当該位置においてボルトによって腕部材9に固定される。
【0071】
その後、図示されないが、実施の形態1と同様に、取外工程が行われる。
【0072】
その後、取付工程が行われる。
図11に示されるように、取付工程において、新着床位置部材10bは、本体部材41と隙間なく接するよう配置される。この際、新着床位置部材10bの中心線15bは、指示点42aと鉛直方向に同じ高さになるよう位置を合わせられる。新着床位置部材10bは、当該位置において腕部材9に取り付けられる。
【0073】
その後、位置保持治具40は、腕部材9から取り外される。
【0074】
以上で説明した実施の形態2によれば、指示部42は、本体部に対する位置が変化しないよう本体部に設けられる。位置保持治具40は、鉛直方向において指示部42が旧着床位置部材10aの基準線と同じ位置に存在するよう腕部材9に固定される。このため、簡易な構成で旧着床位置部材10aの基準線の位置を保持することができる。
【0075】
なお、本体部材41は、C字クランプ等の工具によって腕部材9に固定されてもよい。
【0076】
なお、指示部42は、本体部材41の中間部に設けられてもよい。指示点42aは、本体部材41に設けられた溝でもよい。指示点42aは、本体部材41に設けられた突起でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本開示に係る位置保持治具および着床位置部材の取替方法は、エレベーターの着床位置部材を取り替える作業に利用できる。
【符号の説明】
【0078】
1 昇降路、 2 機械室、 3 乗場、 4 巻上機、 5 主ロープ、 6 かご、 7 釣合おもり、 8 ガイドレール、 8a レールブラケット、 9 腕部材、 9a 取り付け部材、 10 着床位置部材、 10a 旧着床位置部材、 10b 新着床位置部材、 11 着床装置、 12 制御装置、 13 取付板、 14 基準板、 15,15a,15b 中心線、 16 検出器、 16a 基部、 16b,16c 検出部、 20 位置保持治具、 21 本体部材、 21a 接触面、 22 指示部材、 22a 指示点、 23 固定部、 24 横板、 25 縦板、 26 把持板、 27 調整具、 30 長孔、 31 ボルト、 40 位置保持治具、 41 本体部材、 41a 接触面、 42 指示部、 42a 指示点