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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】逆力機構
(51)【国際特許分類】
   F16F 3/04 20060101AFI20240521BHJP
   H01H 33/42 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
F16F3/04 Z
H01H33/42 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023043851
(22)【出願日】2023-03-20
【審査請求日】2024-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】錦織 祐市
(72)【発明者】
【氏名】下川 琢也
(72)【発明者】
【氏名】谷水 良行
(72)【発明者】
【氏名】谷水 徹
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6774102(JP,B2)
【文献】特開2014-177241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 3/04
H01H 33/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正力を有する機器と組み合わせて、同じ作用点に逆力を与え合計操作力を調整する逆力機構であって、
カム曲面が形成され、前記正力を有する機器から正力操作力が与えられて前記正力操作力が与えられた軸方向に移動可能な原動節と、
前記カム曲面に接して前記カム曲面に接圧を加えるローラを有する従属節と、
を備え、
前記カム曲面は、
前記カム曲面と前記ローラの接線と前記正力操作力の軸方向との角度である勾配角が前記原動節の位置により変化するように形成され、かつ、前記接圧により生じ前記勾配角によって変化する前記逆力と前記正力操作力とを合力した前記合計操作力がほぼ一定となるように形成されたことを特徴とする逆力機構。
【請求項2】
前記従属節は、
前記ローラを軸支する回転軸と、
前記カム曲面に対向する位置に固定されたばね軸と、
前記回転軸と前記ばね軸との間に設けられた調整ばねと、
を備え、
前記調整ばねの弾性力により前記ローラを前記カム曲面に接した状態で前記調整ばねの伸縮方向に移動させ、前記調整ばねの弾性力により前記接圧を生じさせることを特徴とする請求項1記載の逆力機構。
【請求項3】
前記従属節は、
前記原動節よりも前記正力操作力の軸方向の一方側に固定された主軸と、
前記原動節よりも前記正力操作力の軸方向の他方側に固定されたばね軸と、
前記主軸に一端が固定されたリンクと、
前記リンクの他端に設けられた回転軸と、
前記回転軸に軸支された前記ローラと、
前記回転軸と前記ばね軸との間に設けられた調整ばねと、
を備え、
前記調整ばねの弾性力により前記ローラを前記カム曲面に接した状態で前記主軸を中心とした円弧状に移動させ、前記調整ばねの弾性力により前記ばね軸と前記リンクの角度であるリンク角度と前記勾配角とによって変化する前記接圧を生じさせ、
前記カム曲面は、
前記リンク角度および前記勾配角が前記原動節の位置により変化するように形成されたことを特徴とする請求項1記載の逆力機構。
【請求項4】
前記カム曲面は、前記ローラをガイドするカム曲面溝であり、
前記従属節は、
前記原動節よりも、前記正力操作力の軸方向に対して前記勾配角側に直交する軸方向の一方側に固定された主軸と、
前記主軸に一端が接続されたリンクと、
前記リンクの他端に設けられた前記ローラと、
前記原動節よりも、前記正力操作力の軸方向に対して前記勾配角側に直交する軸方向の他方側に固定されたばね軸と、
前記ローラと前記ばね軸との間に設けられた調整ばねと、
を備え、
前記調整ばねの弾性力により前記ローラを前記カム曲面溝にガイドされた状態で前記主軸を中心とした円弧状に移動させ、前記調整ばねの弾性力により前記ばね軸と前記リンクの角度であるリンク角度と前記勾配角とによって変化する前記接圧を生じさせ、
前記カム曲面溝は、
前記リンク角度および前記勾配角が前記原動節の位置により変化するように形成されたことを特徴とする請求項1記載の逆力機構。
【請求項5】
前記正力を有する機器は可変真空コンデンサであり、
前記可変真空コンデンサの操作棒に前記原動節を固定し
前記可変真空コンデンサの可動側導体の前記正力操作力の軸方向に端子導体を介して前記逆力機構を直接固着したことを特徴とする請求項1~4のうち何れかに記載の逆力機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正のばね定数を有しある作用点にある向きに働く力(以下、単に正力という)を有する機器と組み合わせて、負のばね定数を有し同じ作用点に逆向きに働く力(以下、単に逆力という)を与え、操作力を調整する逆力機構に関する。
【背景技術】
【0002】
正力を有する機器は、ばねのごとく変位毎に復元力が生じる。ここで正力を有する機器として可変真空コンデンサがある。可変真空コンデンサは、内部にベローズを有し真空部を気密保持しながら電極の対向面積を変え、静電容量を変化させる。静電容量の変化時、ベローズのバネ定数に従う変位毎の復元力と真空圧が加わる。これにより、真空可変コンデンサは最も挿入された位置(可動電極が最も固定側導体に近づいた位置)で最も小さいプラスの引込力となり、挿出する程引込力が増加する正力の操作特性となる。
【0003】
正力を有する機器に合力させる逆力機構として、従来から、特許文献1に開示された逆力を得る弾性機構が知られている。この従来技術は、正のばね定数を有する正弾性機構と負のばね定数を有する負弾性機構の2組の機構を組合せ、更に負弾性機構では主副2種の負弾性部で構成されている。このような構成により、任意の正負両方のばね定数が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6774102号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
正力の操作特性を有する機器を高速で精密に操作するには、低操作力、定操作力で操作を行えることが望ましい。操作力を低減したい場合や操作力の変化を小さくしたい(定操作力にしたい)場合、装置自身が改善できないときは逆力機構と組み合わせる必要が生じる。しかし、従来の逆力機構は構成が複雑・大型であった。
【0006】
以上示したようなことから、逆力機構において、簡素化と小型化を図り、正力を有する機器の性能をさらに向上させることが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、正力を有する機器と組み合わせて、同じ作用点に逆力を与え合計操作力を調整する逆力機構であって、カム曲面が形成され、前記正力を有する機器から正力操作力が与えられて前記正力操作力が与えられた軸方向に移動可能な原動節と、前記カム曲面に接して前記カム曲面に接圧を加えるローラを有する従属節と、を備え、前記カム曲面は、前記カム曲面と前記ローラの接線と前記正力操作力の軸方向との角度である勾配角が前記原動節の位置により変化するように形成され、かつ、前記接圧により生じ前記勾配角によって変化する前記逆力と前記正力操作力とを合力した前記合計操作力がほぼ一定となるように形成されたことを特徴とする。
【0008】
また、その一態様として、前記従属節は、前記ローラを軸支する回転軸と、前記カム曲面に対向する位置に固定されたばね軸と、前記回転軸と前記ばね軸との間に設けられた調整ばねと、を備え、前記調整ばねの弾性力により前記ローラを前記カム曲面に接した状態で前記調整ばねの伸縮方向に移動させ、前記調整ばねの弾性力により前記接圧を生じさせることを特徴とする。
【0009】
また、他の態様として、前記従属節は、前記原動節よりも前記正力操作力の軸方向の一方側に固定された主軸と、前記原動節よりも前記正力操作力の軸方向の他方側に固定されたばね軸と、前記主軸に一端が固定されたリンクと、前記リンクの他端に設けられた回転軸と、前記回転軸に軸支された前記ローラと、前記回転軸と前記ばね軸との間に設けられた調整ばねと、を備え、前記調整ばねの弾性力により前記ローラを前記カム曲面に接した状態で前記主軸を中心とした円弧状に移動させ、前記調整ばねの弾性力により前記ばね軸と前記リンクの角度であるリンク角度と前記勾配角とによって変化する前記接圧を生じさせ、前記カム曲面は、前記リンク角度および前記勾配角が前記原動節の位置により変化するように形成されたことを特徴とする。
【0010】
また、他の態様として、前記カム曲面は、前記ローラをガイドするカム曲面溝であり、前記従属節は、前記原動節よりも、前記正力操作力の軸方向に対して前記勾配角側に直交する軸方向の一方側に固定された主軸と、前記主軸に一端が接続されたリンクと、前記リンクの他端に設けられた前記ローラと、前記原動節よりも、前記正力操作力の軸方向に対して前記勾配角側に直交する軸方向の他方側に固定されたばね軸と、前記ローラと前記ばね軸との間に設けられた調整ばねとを備え、前記調整ばねの弾性力により前記ローラを前記カム曲面溝にガイドされた状態で前記主軸を中心とした円弧状に移動させ、前記調整ばねの弾性力により前記ばね軸と前記リンクの角度であるリンク角度と前記勾配角とによって変化する前記接圧を生じさせ、前記カム曲面溝は、前記リンク角度および前記勾配角が前記原動節の位置により変化するように形成されたことを特徴とする。
【0011】
また、その一態様として、前記正力を有する機器は可変真空コンデンサであり、前記可変真空コンデンサの操作棒に前記原動節を固定し前記可変真空コンデンサの可動側導体の前記正力操作力の軸方向に端子導体を介して前記逆力機構を直接固着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、逆力機構において、簡素化と小型化を図り、正力を有する機器の性能をさらに向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係る逆力機構の原理を説明するための様式図。
図2】実施形態1に係る逆力機構の原理を説明するためのベクトル図。
図3】実施形態2に係る逆力機構の原理を説明するための様式図。
図4】実施形態2に係る逆力機構の原理を説明するためのベクトル図。
図5】実施形態3の逆力機構と可変真空コンデンサの組合わせを示す正面図。
図6図5の逆力機構のA-A’断面図。
図7図6の逆力機構と可変真空コンデンサのB-B’断面図。
図8】実施形態3の逆力機構の原理を説明するための様式図。
図9】実施形態3の逆力機構の原理を説明するためのベクトル図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
カム機構は他のものを動かすものは原動節と呼ばれ、ローラのように他の原動節の動きによって動きを与えられるものは従動節と呼ばれ、これらを纏めてカム-ローラ機構と呼ばれる。原動節の操作力に対して従動節に大きな力を与えると原動節の操作力は大きく変わる。
【0015】
従動節に大きな力を与えると原動節の操作力が消耗(減少)することに着目する。この原動節の操作力を消耗させる力は逆力の定義(負のばね定数を有し同じ作用点に逆向きに働く力)に適合する。
【0016】
本願発明の逆力機構は、原動節の動きを抑える従属節のローラから原動節のカム曲面に従来より大きい制御した接圧を加え、原動節の位置(カム曲面とローラの接点の位置)に応じて原動節のカム曲面の勾配角を変化させ、原動節の正力操作力と逆力とを合力させて低操作力、定操作力の合計操作力を得るものである。
【0017】
以下、本願発明における逆力機構の実施形態1~3を図1図9に基づいて詳述する。
【0018】
[実施形態1]
図1において、Y軸は正力操作力が与えられる軸方向を示し、X軸はY軸に直交する軸方向(Y軸方向に対して後述する勾配角側に直交する軸方向)を示し、Z軸はX軸、Y軸に直交する軸方向を示す。
【0019】
図1に示すように、本実施形態1の逆力機構はX軸方向の両側の壁の間に設けられる。本実施形態1のカム-ローラの逆力機構は、原動節1と直動従属節2とを備える。
【0020】
原動節1は、摺動材12を介してX軸方向の一方の壁に接するカム11を備える。カム11には、カム曲面14が形成される。ここで、勾配角θ14はカム曲面14と後述するローラ13の接線と正力操作力F11の方向の角度である。カム曲面14はY軸方向上端がY軸と平行に最も近く、下に向かうに従い勾配角θ14を変化させていき、Y軸方向下端でX軸と平行に最も近くなる。カム11は、正力を有する機器から正力操作力F11がY軸方向に与えられ、摺動材12を介してY軸方向に移動する。
【0021】
直動従属節2は、ローラ13と、回転軸16と、ばね軸17と、調整ばね18と、摺動部19と、を備える。
【0022】
ローラ13は、回転軸16に回転自在に軸支され、カム11のカム曲面14に接する。X軸方向の他方の壁(カム11が設けられた壁の反対側の壁)にはばね軸17が固定される。すなわち、ばね軸17はカム曲面14に対向する位置に固定される。回転軸16とばね軸17との間には調整ばね18と摺動部19が設けられる。調整ばね18は弾性力を発生させる。摺動部19はローラ13を直線状(調整ばね18の伸縮方向)に動くようにガイドする。
【0023】
カム11がY軸方向上下に移動すると、調整ばね18の弾性力によりローラ13がカム曲面14に接した状態で調整ばね18の伸縮方向に移動する。この際、カム曲面14の範囲の中でローラ13が接する位置が変わる。これにより、ローラ13は直線状(調整ばね18の伸縮方向)に移動し、調整ばね18の弾性力が変わる。弾性力はローラ13とカム曲面14との接点に接圧を生じさせる。また、カム曲面14は、カム11の位置により勾配角θ14が変化するように形成される。接圧は勾配角θ14により変化する逆力を発生させる。
【0024】
カム11のY軸方向の動作領域において、正力操作力とカム曲面14とローラ13との接点に働く逆力との合計操作力がほぼ一定となるようにカム曲面14の勾配角θ14を設定する。
【0025】
以下、図2のベクトル図で説明する。
【0026】
カム11がY軸方向の動作領域において最も下方向に位置した時のカム曲面14とローラ13との接点を下接点14aと称する。カム11がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した時のカム曲面14とローラ13との接点を上接点14bと称する。
【0027】
カム11がY方向の動作領域において最も下方向に位置した場合、調整ばね18は最短となるため、図2(a)に示すように、弾性力F18aは大きくなる。弾性力F18aのベクトルと下接点14aに働く接圧F14aのベクトルが小角度差であるため、接圧F14aは弾性力F18aとほぼ等しく大きい。
【0028】
また、カム11がY方向の動作領域において最も下方向に位置した時、勾配角θ14は最小となる(最小勾配角θ14a)。図2(b)に示すように、接圧F14aは最小勾配角θ14aによりX軸の圧力F14haとY軸の逆力F14uaに分圧し、逆力F14uaが最小になる。
【0029】
図2(c)に示すように、カム11がY軸方向の動作領域において最も下方向に位置した場合、正力操作力F11aは小さい。カム11において、最小の逆力F14uaと小さい正力操作力F11aが合力され、合計操作力F1aとなる。合計操作力F1aは正力操作力F11aより減少した力となる。
【0030】
カム11がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した場合、調整ばね18は最長となるため、図2(d)に示すように、弾性力F18bは弾性力18aよりも小さくなる。弾性力F18bのベクトルと上接点14bに働く接圧F14bのベクトルが広角度差であるため、接圧F14bは弾性力F18bより減少する。
【0031】
また、カム11がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した時、勾配角θ14は最大となる(最大勾配角θ14b)。図2(e)に示すように、接圧F14bは最大勾配角θ14bによりX軸の圧力F14hbとY軸の逆力F14ubに分圧し、逆力F14ubが最大になる。
【0032】
図2(f)に示すように、カム11がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した場合、正力操作力F11bは大きい。カム11において、最大の逆力F14ubと大きい正力操作力F11bが合力され、合計操作力F1bとなる。合計操作力F1bは正力操作力F11bより減少した力となる。そして、合計操作力F1aと合計操作力F1bは等しく、合計操作力F1がほぼ一定となる。
【0033】
本実施形態1は、カム11の動作領域の各位置において、逆力(負のばね定数を有し同じ作用点に逆向きに働く力)を生じさせる。正力操作力F11と逆力F14uの合力である合計操作力F1がほぼ一定になるようにカム曲面14の曲線形状に勾配角θ14を設定している。
【0034】
すなわち、正力操作力F11は、カム11がY軸の動作領域において最も下方向に位置した場合に下方向に最小となり、カム11がY軸の上方向に移動するしたがって大きくなり、カム11がY軸の動作領域において最も上方向に位置した場合に下方向に最大となる。それに対し、逆力F14uは、カム11がY軸の動作領域において最も下方向に位置した場合に上方向に最小となり、カム11がY軸の上方向に移動するにしたがって大きくなり、カム11がY軸の動作領域において最も上方向に位置した場合に上方向に最大となる。これにより、合計操作力F1はほぼ一定となる。
【0035】
本実施形態1によれば、逆力機構は原動節1と直動従属節2で構成され、簡素化と小型化を図ることができる。
【0036】
しかしながら、使用する材料やローラ13の形状により機械的寿命に係る接圧F14(面圧)により、弾性力F18の大きさは制限される。また、勾配角θ14が大きすぎると、カム曲面14とローラ13の動作限界を超えて元に戻らなくなり不動作となるため勾配角θ14は制限される。更に、カム11の動作速度が速過ぎると直動従属節2が追従動作できなくなる。以上より、制御できる下接点14aから上接点14bの範囲を制限したり、正力操作力F11や弾性力F18を制限したり、動作速度を制限する必要がある。
【0037】
[実施形態2]
図3に示すように、本実施形態2の逆力機構は、X軸方向の一方の壁、X軸方向の他方の壁、Y軸方向の下部の壁の間に設けられる。本実施形態2のカム-ローラの逆力機構は、原動節3と揺動従属節4とを備える。
【0038】
原動節3は、摺動材22を介してX軸方向の一方の壁に接するカム21を備える。カム21には、カム曲面24が形成される。ここで、勾配角θ24は、カム曲面24と後述するローラ23の接線と正力操作力F21の軸方向の角度である。カム曲面24はY軸方向上端がY軸と平行に最も近く、下に向かうに従い勾配角θ24を変化させていき、Y軸方向下端でX軸と平行に最も近くなる。カム21は、正力を有する機器から正力操作力F21がY軸方向に与えられ、摺動材22を介してY軸方向に移動する。
【0039】
揺動従属節4は、ローラ23と、主軸25と、回転軸26と、ばね軸27と、調整ばね28と、リンク29と、を備える。
【0040】
Y軸方向の下部の壁に主軸25が固定され、X軸方向の他方の壁(カム21が設けられた壁の反対側の壁)にばね軸27が固定される。ここで、主軸25は原動節3(カム曲面24)よりもY軸方向下側に固定され、ばね軸27は原動節3(カム曲面24)よりもY軸方向上側に固定される。主軸25にリンク29の一端が固定される。リンク29の他端には揺動する(主軸25を中心として円弧状に移動する)回転軸26が設けられる。回転軸26にはローラ23が軸支され、ローラ23はカム曲面24に接する。回転軸26とばね軸27の間に調整ばね28が設けられる。調整ばね28は、弾性力を発生させる。リンク角度θ29は、調整ばね28とリンク29の角度である。
【0041】
カム21がY軸方向上下に移動すると、調整ばね28の弾性力によりローラ23がカム曲面24に接した状態で主軸25を中心とした円弧状に移動する。この際、カム曲面24の範囲の中でローラ23が接する位置が変わる。これにより、ローラ23は円弧状に移動し、調整ばね28の弾性力が変わる。また、カム曲面24はカム21の位置により勾配角θ24、リンク角度θ29が変化するように形成される。弾性力はローラ23とカム曲面24との接点に勾配角θ24とリンク角度θ29により変化する接圧を生じさせる。接圧は勾配角θ24により変化する逆力を発生させる。
【0042】
カム21のY軸方向の動作領域において、正力操作力F21とカム曲面24とローラ23との接点に働く逆力との合計操作力がほぼ一定となるようにカム曲面24の勾配角θ24、リンク角度θ29を設定する。
【0043】
以下、図4のベクトルで説明する。
【0044】
カム21がY軸方向の動作領域において最も下方向に位置した時のカム曲面24とローラ23との接点を下接点24aと称する。カム21がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した時のカム曲面24とローラ23との接点を上接点24bと称する。
【0045】
カム21がY軸方向の動作領域において最も下方向に位置した場合、調整ばね28は最短となるため、図4(a)に示すように、弾性力F28aは大きくなる。弾性力F28aはリンク角度θ29aと勾配角θ24aでリンク29への力F29aと接圧F24aに分力する。リンク角度θ29aと勾配角θ24aが小さいことでリンク29への力F29aが大きくなり、接圧F24aが小さくなる。
【0046】
また、カム21がY軸方向の動作領域において最も下方向に位置した時、勾配角θ24は最小となる(最小勾配角θ24a)。図4(b)に示すように、接圧F24aは最小勾配角θ24aによりX軸の圧力F24haとY軸の逆力F24uaとに分圧し、逆力F24uaが最小になる。
【0047】
図4(c)に示すように、カム21がY軸方向の動作領域において最も下方向に位置した場合、正力操作力F21aは小さい。カム21において、最小の逆力F24uaと小さい正力操作力F21aが合力され合計操作力F2aとなる。合計操作力F2aは、正力操作力F21aより減少した力となる。
【0048】
カム21がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した場合、調整ばね28は最長となるため、図4(d)に示すように、弾性力F28bは弾性力28aよりも小さくなる。弾性力F28bはリンク角度θ29bと勾配角θ24bにより、リンク29への力F29bと接圧F24bに分力する。リンク角度θ29bと勾配角θ24bが大きいことでリンク29への力F29bが小さくなり、接圧F24bが大きくなる。
【0049】
また、カム21がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した時、勾配角θ24は最大となる(最大勾配角θ24b)。図4(e)に示すように、接圧F24bは最大勾配角θ24bによりX軸の圧力F24hbとY軸の逆力F24ubに分圧し、逆力F24ubが最大になる。
【0050】
図4(f)に示すように、カム21がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した場合、正力操作力F21bは大きい。カム21において、最大の逆力F24ubと大きい正力操作力F21bが合力され、合計操作力F2bとなる。合計操作力F2bは、正力操作力F21bより減少した力となる。そして、合計操作力F2aと合計操作力F2bは等しく、合計操作力F2がほぼ一定となる。
【0051】
カム21のY軸方向の動作範囲において、調整ばね28の弾性力F28は最大から最小まで大きく変化する。しかし、弾性力F28から生じる接圧F24は、リンク角度θ29により小さい変化となる。接圧F24から生じる逆力F24uは勾配角θ24により変化するためカム曲面24の勾配角θ24の変化範囲を小さくできる。
【0052】
カム曲面24の勾配角θ24およびリンク29のリンク角度θ29の2条件を設定しているため、容易に合計操作力F2をほぼ一定にできる。
【0053】
すなわち、正力操作力F21は、カム21がY軸の動作領域において最も下方向に位置した場合に下方向に最小となり、カム21がY軸の上方向に移動するしたがって大きくなり、カム21がY軸の動作領域において最も上方向に位置した場合に下方向に最大となる。それに対し、逆力F24uは、カム21がY軸の動作領域において最も下方向に位置した場合に上方向に最小となり、カム21がY軸の上方向に移動するにしたがって大きくなり、カム21がY軸の動作領域において最も上方向に位置した場合に上方向に最大となる。これにより、合計操作力F2はほぼ一定となる。
【0054】
以上示したように、本実施形態2によれば、実施形態1と同様の作用効果を奏する。また、X軸方向の小型化を図ることが可能となる。
【0055】
本実施形態2の構成はローラ23の主軸25を中心とした円弧状に移動により接圧(面圧)F24を小さくすることができ機械的寿命を延ばすことができる。または弾性力F28の大きさの制限を不要とする。また、勾配角θ24をカム曲面24とリンク29の揺動運動の2条件を持って設定するので動作限界を回避することが容易になる。以上より、制御できる下接点24aから上接点24bの範囲を広くでき、正力操作力F21、弾性力F28の適用範囲を広くできる。
【0056】
しかしながら、Y軸方向の上部に固定したばね軸27を設けることにより、Y軸方向の寸法が大きい逆力機構になり、Y軸方向の空間確保が必要となる。また、カム21の動作速度が速過ぎると揺動従属節4が追従動作できなくなる。
【0057】
[実施形態3]
図5から図9に、可変真空コンデンサと本実施形態3の逆力機構7とを組み合わせた構成を示す。図5は本実施形態3の逆力機構と可変真空コンデンサの組合わせを示す逆力機構の正面図を示し、図6図5の逆力機構のA-A’断面図を示し、図7図6の逆力機構と可変真空コンデンサのB-B’断面図を示し、図8は本実施形態3の逆力機構の原理を説明するための様式図を示し、図9は本実施形態3の逆力機構の原理を説明するためのベクトル図を示す。
【0058】
図5~7に示すように、可変真空コンデンサ61は、少なくとも一部が絶縁性を有する筒状体(例えば、セラミック管)62の両端を固定側導体63と可動側導体64により閉塞して、真空容器を構成している。
【0059】
符号65は、固定側導体63の真空容器内側に設けられた固定電極を示すものである。固定電極65は、内径が異なる複数の略円筒状の電極部材を微小なギャップを持たせて構成される。
【0060】
符号67は、後述の可動電極66を支持する可動支持部67を示すものである。可動支持部67は、固定側導体63と対向して配置され、後述の可動ロッド68を介して、真空容器のY軸方向(筒状体62の両端方向)に移動自在となるように構成されている。図7に示す可動支持部67の場合、真空容器の径方向に延在した平板状を成している。
【0061】
可動電極66は、固定電極75と同様に内径が異なる複数の略円筒状の電極部材を微小なギャップを持たせて構成されたものである。この可動電極66の各電極部材は固定電極65と非接触状態で該固定電極65に挿出入(固定電極65の各電極部材間に挿出入して互いに交叉)できるように、可動支持部67の固定側導体63側において固定電極65に対向して設けられ、これにより、当該固定電極65との間に静電容量を形成できるように構成されている。
【0062】
符号68は、可動支持部67の背面側(可動電極66が設けられていない可動側導体64側)からY軸方向に延設された可動ロッドを示すものである。図7中では可動ロッド68が真空容器の可動側導体64側を突出するように延設されている。
【0063】
符号69は、可変真空コンデンサ61の通電路の一部として、可撓性の薄い軟質金属で筒状(例えば蛇腹状)のベローズを示すものである。このベローズ69は、真空容器内におけるベローズ69の外周側、すなわち筒状体62、固定側導体63、可動側導体64、可動支持部67,ベローズ69で囲まれた空間(以下、真空室と称する)51を気密(真空状態にできるように気密)に保持しながら、可動電極66、可動支持部67、可動ロッド68がY軸方向に移動できるように構成されている。そして、真空容器内におけるベローズ69の内周側(ベローズ69の可動ロッド68側)には、大気圧状態の空間(以下、大気室と称する)が形成されている。
【0064】
これにより、真空部51内に固定電極65と微小なギャップを持たせた可動電極66とが設けられる。可動ロッド68から操作棒31aを延設させる。操作棒31aは可動側導体64から突出させる。可変真空コンデンサ61の駆動源により操作棒31a、可動ロッド78、可動支持部77を介して可動電極76をY軸方向に移動させ、静電容量を可変とする。
【0065】
可動ロッド68を挿出入すると、ベローズ69の正のバネ定数に従い変位毎に復元力が生じ、更に、真空圧が加わる。これにより、可変真空コンデンサ61は最も挿入された位置でプラス値の最も小さい引込力のF31aとなり、挿出する程引込力が増加し、最も挿出された位置で最も大きい引込力のF31bとなる正力操作力F31が生じる。
【0066】
また、可変真空コンデンサ61の通電時の温度上昇はベローズ69の発熱の影響で端子導体52、可動側導体64が最高温になり、通電容量はこの温度に左右される。
【0067】
可変真空コンデンサ61の可動側導体64のY軸方向に端子導体52を介して逆力機構7の四角管外壁53を直接固着する。
【0068】
正力を有する可変真空コンデンサ61のY軸方向の正力操作力F31は可動ロッド68、操作棒31aを介してカム曲面溝34が形成されたカム31(原動節5)に伝わる。
【0069】
本実施形態3におけるカム-ローラの逆力機構は、図8に示すように、原動節5と揺動従属節6と、を備える。本実施形態3の逆力機構は四角管外壁53内に設けられる。本実施形態3のカム曲面はローラをガイドするカム曲面溝である。
【0070】
原動節5は、摺動材32を介してY軸方向の上下に移動するカム31を備える。カム31にはカム曲面溝34が形成される。ここで、勾配角θ34はカム曲面溝34と後述するローラ33の接線と正力操作力F31の軸方向の角度とする。カム曲面溝34のY軸方向上端はY軸と平行に最も近く、下に向かうに従い勾配角θ34を変えていき、Y軸方向下端でX軸と平行に最も近くなる。カム31は正力を有する可変真空コンデンサ61から正力操作力F31が与えられる。
【0071】
揺動従属節6は、ローラ33と、主軸35と、バネガイド36と、ばね軸37と、調整ばね38と、リンク39と、を備える。
【0072】
主軸35は、摺動材32(カム31)よりもX軸方向に一方側の四角管外壁53に固定する。ばね軸37は、摺動材32(カム31)よりもX軸方向に他方側の四角管外壁53に固定する。主軸35にリンク39の一端が接続される。リンク39の他端には揺動する(主軸35を中心とした円弧状に移動する)ローラ33が設けられる。ローラ33はカム曲面溝34に接する。ローラ33とばね軸37の間にバネガイド36と調整ばね38を設け、調整ばね38は弾性力を発生させる。リンク角度θ39はリンク39とバネガイド36間の角度である。
【0073】
Y軸方向の正力操作力F31はカム曲面溝34が形成されたカム31に伝わる。カム31は摺動材32を介してY軸方向上下に移動する。カム31をY軸方向の上下に移動すると、調整ばね38の弾性力によりローラ33がカム曲面溝34にガイドされた状態で主軸35を中心とした円弧状に移動する。この際、ローラ33とカム曲面溝34が接する位置が変化する。これにより、ローラ33は円弧状に移動し、調整ばね38の弾性力が変化する。また、カム曲面溝34はカム31の位置により勾配角θ34、リンク角度θ39が変化するように形成される。弾性力はローラ33とカム曲面溝34との接点に勾配角θ34、リンク角度θ39により変化する接圧を生じさせる。接圧は勾配角θ34により変化する逆力を発生させる。
【0074】
カム31のY軸方向の動作領域において、正力操作力F31とカム曲面溝34とローラ33との接点に働く逆力との合計操作力がほぼ一定となるようにカム曲面溝34の勾配角θ34、リンク角度θ39を設定する。
【0075】
以下、図9のベクトル図で説明する。
【0076】
カム31がY軸方向の動作領域において最も下方向に位置した時のカム曲面溝34とローラ33との接点を下接点34aと称する。カム31がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した時のカム曲面溝34とローラ33との接点を上接点34bと称する。
【0077】
カム31がY軸方向の動作領域において最も下方向に位置した場合、調整ばね38が最短となるため、図9(a)に示すように、弾性力F38aは大きくなる。弾性力F38aはリンク角度θ39aと勾配角θ34aでリンク39への力F39aと接圧F34aに分力する。リンク角度θ39aと勾配角θ34aが小さいことで、リンク39への力F39aがやや大きくなり接圧F34aが小さくなる。
【0078】
また、カム31がY軸方向の動作領域において最も下方向に位置した時、勾配角θ34aは最小となる(最小勾配角θ34a)。図9(b)に示すように、接圧F34aは最小勾配角θ34aによりX軸の圧力F34haとY軸の逆力F34uaとに分圧し、逆力F34uaは最小になる。
【0079】
図9(c)に示すように、カム31がY軸方向の動作領域において最も下方向に位置した場合、正力操作力F31aは小さい。カム31において、最小の逆力F34uaと小さい正力操作力F31aが合力され合計操作力F3aとなる。合計操作力F3aは、正力操作力F31aより減少した力となる。
【0080】
カム31がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した場合、調整ばね38が最長となるため、図9(d)に示すように、弾性力F38bが弾性力F38aより小さくなる。弾性力F38bはリンク角度θ39bと勾配角θ34bによりリンク39への力F39bと接圧F34bに分力する。リンク角度θ39bと勾配角θ34bが大きいことでリンク39への力F39bが小さくなり、接圧F34bが大きくなる。
【0081】
また、カム31がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した時、勾配角θ34bは最大となる(最大勾配角θ34b)。図9(e)に示すように、接圧F34bは最大勾配角θ34bによりX軸の圧力F34hbとY軸の逆力F34ubとに分圧し、逆力F34ubが最大になる。
【0082】
カム31がY軸方向の動作領域において最も上方向に位置した場合、正力操作力F31bが大きい。カム31において、最大の逆力F34ubと大きい正力操作力F31bが合力され、合計操作力F3bとなる。合計操作力F3bは、正力操作力F31bより減少した力となる。そして、合計操作力F3aと合計操作力F3bは等しく、合計操作力F3はほぼ一定となる。
【0083】
カム31のY軸方向の動作範囲において調整ばね38の弾性力F38は最大から最小まで大きく変化する。しかし、弾性力F38から生じる接圧F34はリンク角度θ39により小さい変化となる。接圧F34から生じる逆力F34uは勾配角θ34により変化するためカム曲面溝34の勾配角θ34の変化範囲を小さくできる。
【0084】
カム曲面溝34の勾配角θ34およびリンク39のリンク角度θ39の2条件を設定しているため、容易に合計操作力F3がほぼ一定にできる。
【0085】
すなわち、正力操作力F31は、カム31がY軸の動作領域において最も下方向に位置した場合に下方向に最小となり、カム31がY軸の上方向に移動するしたがって大きくなり、カム31がY軸の動作領域において最も上方向に位置した場合に下方向に最大となる。それに対し、逆力F34uは、カム31がY軸の動作領域において最も下方向に位置した場合に上方向に最小となり、カム31がY軸の上方向に移動するにしたがって大きくなり、カム31がY軸の動作領域において最も上方向に位置した場合に上方向に最大となる。これにより、合計操作力F3はほぼ一定となる。
【0086】
以上示したように、本実施形態3によれば、実施形態2と同様の作用効果を奏する。また、Y軸方向の小型化を図ることが可能となる。
【0087】
本実施形態3の構成はローラ33の主軸35を中心とした円弧状の移動により、接圧(面圧)F34を小さくすることができ機械的寿命を延ばすことができる。または弾性力F38の大きさの制限を不要とする。また、勾配角θ34をカム曲面溝34とリンク39の揺動運動の2条件を持って設定するので動作限界を回避することが容易になる。
【0088】
また、カム曲面溝34がローラ33をガイドするためカム31の動作速度が速くても揺動従属節6は追従動作が可能となる。以上により、制御できる下接点24aから上接点24bの範囲を広くでき、正力操作力F31、弾性力F38の適用範囲を広くでき、カム曲面溝34により動作速度の制限が不要となる。
【0089】
しかしながら、X軸の左右に主軸35とばね軸37を固定させていることにより、X軸の寸法が大きい逆力機構になり、X軸の空間確保が必要となる。
【0090】
また、可変真空コンデンサ61の可動側導体64のY軸方向に端子導体52を介して逆力機構7に直接固着しているため、可動側導体64の熱が端子導体52から逆力機構7に流れ、放熱面積が増加して放熱量が多くなり可動側導体64の温度が下がる。通電容量は温度に左右するため可変真空コンデンサ61の通電電流性能の向上が図れる。
【0091】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0092】
「他の実施形態」
図1図3は摺動部の片面にカム機構を記載しているが、摺動部の周囲に複数のカム機構を設けても実施形態1、2と同等の効果を得ることができる。
【0093】
カムの形状について、平面カムの直進板カム型を例に説明しているが、平面カムの回転型、立体カムの端面カム型、円筒カム型、円錐カム型、鼓カム型などがあるが、カム曲面を有する形状であれば実施形態1~3と同等の効果を得ることができる。
【0094】
本発明のカム曲面について、合力操作特性の振れ幅を大きくなることを認めるとき、角度を有するカム直線面でも実施形態1~3と同等の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0095】
1…原動節、2…直動従属節、3…原動節、4…揺動従属節、5…原動節、6…揺動従属節、7…逆力機構、11…カム、12…摺動材、13…ローラ、14…カム曲面、θ14…勾配角、14a…下接点、14b…上接点、16…回転軸、17…ばね軸、18…調整ばね、19…摺動部、F11…正力操作力、F14…接圧、F14u…逆力、F1…合計操作力、F18…弾性力、
21…カム、22…摺動材、23…ローラ、24…カム曲面、θ24…勾配角、24a…下接点、24b…上接点、25…主軸、26…回転軸、27…ばね軸、28…調整ばね、29…リンク、θ29…リンク角度、F21…正力操作力、F24…接圧、F24u…逆力、F2…合計操作力、F28…弾性力、
31…カム、32…摺動材、33…ローラ、34…カム曲面溝、θ34…勾配角、34a…下接点、34b…上接点、35…主軸、36…バネガイド、37…ばね軸、38…調整ばね、39…リンク、θ39…リンク角度、F31…正力操作力、F34…接圧、F34u…逆力、F3…合計操作力、F38…弾性力、
51…真空部、52…端子導体、53…四角管外壁、61…可変真空コンデンサ、62…セラミック管、63…固定導体、64…可動側導体、65…固定電極、66…可動電極、67…可動支持部、68…可動ロッド、69…ベローズ
【要約】
【課題】逆力機構において、簡素化と小型化を図り、正力を有する機器の性能をさらに向上させる。
【解決手段】逆力機構は、正力を有する機器と組み合わせて、同じ作用点に逆力を与え合計操作力を調整する。原動節1にはカム曲面14が形成され、正力を有する機器から正力操作力F11が与えられて正力操作力F11が与えられた軸方向に移動可能となる。従属節2は、カム曲面14に接してカム曲面14に接圧を加えるローラ13を有する。カム曲面14は、カム曲面14とローラ13の接線と正力操作力F11の軸方向との角度である勾配角θ14が原動節1の位置により変化するように形成される。また、カム曲面14は、接圧により生じ勾配角θ14によって変化する逆力と正力操作力F11とを合力した合力操作力がほぼ一定となるように形成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9