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特許7491440図面解析装置、図面解析方法、および図面解析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】図面解析装置、図面解析方法、および図面解析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/18 20200101AFI20240521BHJP
   G06F 113/14 20200101ALN20240521BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F113:14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023100332
(22)【出願日】2023-06-19
【審査請求日】2023-06-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年11月16日 パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい1丁目1番1号)において開催された、「YOKOGAWAみなとみらい展2022」にて公開。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅輪 智
(72)【発明者】
【氏名】神戸 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】安念 正人
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-080793(JP,A)
【文献】特開2000-311184(JP,A)
【文献】特開2014-126954(JP,A)
【文献】特開2004-234424(JP,A)
【文献】特開2005-293042(JP,A)
【文献】特開2011-090471(JP,A)
【文献】特開平06-083678(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0210638(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出する抽出部と、
前記設計図面の構成要素に含まれる配管の識別情報に基づいて、前記配管の識別情報のうち第1の配管の識別情報と第2の配管の識別情報との間で識別情報が異なり、かつ配管の区切り記号が存在しない場合には、該配管の区切り記号の入力対象位置を、前記配管の区切り記号の不備に該当する設定情報の設定位置として特定する特定部と、
を備える図面解析装置。
【請求項2】
プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出する抽出部と、
前記設計図面の構成要素に含まれる配管の区切り記号に基づいて、前記配管の区切り記号が存在するが、該配管の区切り記号に区切られる第1の配管の識別情報または第2の配管の識別情報の少なくともいずれか一方が存在しない場合には、当該存在しない配管の識別情報に応じた入力対象位置を、前記配管の識別情報の不備に該当する設定情報の設定位置として特定する特定部と、
を備える図面解析装置。
【請求項3】
プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出する抽出部と、
前記設計図面に設定された設定情報により特定される配管内の流動体の流れの方向と、設計図面に設定された設定情報により特定される流動体を動作させる設備により生じる流動体の流れの方向との間で前記流動体の流れ方向の矛盾を生じさせる箇所を、流動体の流れ方向記号の不備に該当する設定情報の設定位置として特定する特定部と、
を備える図面解析装置。
【請求項4】
前記特定部は、
配管の区切り記号の不備、配管の識別情報の不備および流動体の流れ方向記号の不備のうちの少なくとも1つを特定する特定条件に該当する前記設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容の少なくとも一方を特定する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の図面解析装置。
【請求項5】
前記特定部は、
文字種、文字数、並び順のうち少なくともいずれか1つを含む所定の特定条件を満たす配管の識別情報を、前記配管の識別情報の不備に該当する前記設定情報の設定内容として特定する、
請求項4に記載の図面解析装置。
【請求項6】
前記特定部は、
前記設計図面の構成要素に含まれる配管を示す線分に基づいて、前記設計図面において特定条件を満たす配管の識別情報または配管の区切り記号の入力候補位置を、前記設定情報の設定位置として特定する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の図面解析装置。
【請求項7】
前記抽出部は、
前記設計図面として、紙媒体の設計図面から画像解析によりデジタル化された設計図面、またはCADに基づき設計された設計図面から、前記設計図面の構成要素を抽出する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の図面解析装置。
【請求項8】
コンピュータが、
プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出し、
前記設計図面の構成要素に含まれる配管の識別情報に基づいて、前記配管の識別情報のうち第1の配管の識別情報と第2の配管の識別情報との間で識別情報が異なり、かつ配管の区切り記号が存在しない場合には、該配管の区切り記号の入力対象位置を、前記配管の区切り記号の不備に該当する設定情報の設定位置として特定する、
処理を実行する図面解析方法。
【請求項9】
コンピュータに、
プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出し、
前記設計図面の構成要素に含まれる配管の識別情報に基づいて、前記配管の識別情報のうち第1の配管の識別情報と第2の配管の識別情報との間で識別情報が異なり、かつ配管の区切り記号が存在しない場合には、該配管の区切り記号の入力対象位置を、前記配管の区切り記号の不備に該当する設定情報の設定位置として特定する、
処理を実行させる図面解析プログラム。
【請求項10】
コンピュータが、
プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出し、
前記設計図面の構成要素に含まれる配管の区切り記号に基づいて、前記配管の区切り記号が存在するが、該配管の区切り記号に区切られる第1の配管の識別情報または第2の配管の識別情報の少なくともいずれか一方が存在しない場合には、当該存在しない配管の識別情報に応じた入力対象位置を、前記配管の識別情報の不備に該当する設定情報の設定位置として特定する、
処理を実行する図面解析方法。
【請求項11】
コンピュータに、
プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出し、
前記設計図面の構成要素に含まれる配管の区切り記号に基づいて、前記配管の区切り記号が存在するが、該配管の区切り記号に区切られる第1の配管の識別情報または第2の配管の識別情報の少なくともいずれか一方が存在しない場合には、当該存在しない配管の識別情報に応じた入力対象位置を、前記配管の識別情報の不備に該当する設定情報の設定位置として特定する、
処理を実行させる図面解析プログラム。
【請求項12】
コンピュータが、
プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出し、
前記設計図面に設定された設定情報により特定される配管内の流動体の流れの方向と、設計図面に設定された設定情報により特定される流動体を動作させる設備により生じる流動体の流れの方向との間で前記流動体の流れ方向の矛盾を生じさせる箇所を、流動体の流れ方向記号の不備に該当する設定情報の設定位置として特定する、
処理を実行する図面解析方法。
【請求項13】
コンピュータに、
プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出し、
前記設計図面に設定された設定情報により特定される配管内の流動体の流れの方向と、設計図面に設定された設定情報により特定される流動体を動作させる設備により生じる流動体の流れの方向との間で前記流動体の流れ方向の矛盾を生じさせる箇所を、流動体の流れ方向記号の不備に該当する設定情報の設定位置として特定する、
処理を実行させる図面解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面解析装置、図面解析方法、および図面解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
P&ID(Piping & Instrumentation Diagram)等の設計図面中に含まれる欠陥または不備は、ユーザの目視により抽出および是正される。しかし、設計図面中に含まれる欠陥または不備を目視で抽出するには多くの工数がかかり、また、抽出漏れの発生や誤抽出が発生する場合がある。特に、プラント等の大規模なシステムの設計図面等の場合には、情報量が多く、かつ設計図面が複雑であることから、目視による欠陥または不備の抽出には莫大な工数や手間を要し、ミスが発生する可能性が高くなる。
【0003】
特許文献1には、欠陥または不備を抽出する技術の一つとして、複数の構成要素を含む要素群のうち基準の要素群を選択し、設計図面に含まれるその他複数の要素群を検索することで、基準の要素群と相違ある部分を含む要素群を抽出する技術が記載されている。例えば、この技術では、ユーザが設計図面の検証、校閲、編集、修正等を行う場合に、ユーザにより選択された構成要素についての設定情報が同一、または部分的に相違を含む要素群を抽出することで、作業効率の向上や図面の品質向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-080793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
設計図面の品質向上の観点では、上記技術には改善の余地もある。例えば、P&ID等の設計図面には、背景技術に記載した以外の欠陥または不備として、必要な情報が記載されていない、誤記等がある。このような、欠陥または不備がある場合、設計図面は参照するユーザによって異なる解釈が異なる場合があり、大きな問題につながる可能性がある。そのため、ユーザによって異なる解釈を防ぐために、設計図面をユーザが目視にて欠陥または不備を検出し、是正する必要があった。しかし、このような欠陥または不備を人で検出することは、莫大な工数又は手間を要し、欠陥または不備の検出漏れが発生する可能性が高く、設計図面の品質を向上させるには難しい側面がある。
【0006】
本発明は、設計図面の品質の向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決し目的を達成するために、本発明の図面解析装置は、プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出する抽出部と、前記設計図面の構成要素に基づいて、前記設計図面において特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容の少なくとも一方を特定する特定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、設計図面の品質の向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る図面解析処理を説明する図である。
図2】参考技術の問題点の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る図面解析処理を説明する図である。
図4】第1の実施形態に係る図面解析装置の構成の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る設計図面の一例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る特定条件の一例を示すテーブル図である。
図7】第1の実施形態に係る抽出された構成要素の一例を示すテーブル図である。
図8】第1の実施形態に係る不備の図面箇所の候補の一例を示すテーブル図である。
図9】第1の実施形態に係る図面解析処理手順についてのフローチャートである。
図10】第1の実施形態に係る図面解析処理の一例を示す図である。
図11】第1の実施形態に係る図面解析処理の一例を示す図である。
図12】第1の実施形態に係る図面解析処理の一例を示す図である。
図13】第1の実施形態に係る図面解析処理の一例を示す図である。
図14】第1の実施形態に係る図面解析処理の一例を示す図である。
図15】第2の実施形態に係る図面解析処理を説明する図である。
図16】第2の実施形態に係る特定条件の一例を示すテーブル図である。
図17】第2の実施形態に係る図面解析処理の一例を示す図である。
図18】第2の実施形態に係る図面解析処理手順についてのフローチャートである。
図19】本実施形態に係る図面解析装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係る図面解析装置、図面解析方法、および図面解析プログラムを、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0011】
<図面解析装置の説明>
図1は、本実施形態に係る図面解析処理を説明する図である。図1に示す図面解析装置100は、デジタル化されたプラント等の設計図面データ(以降は、単に「設計図面」と記載する場合がある)の入力を受け付け、入力された設計図面から配管の区切り記号の不備、配管の識別情報の不備および流動体の流れ方向記号の不備、入力候補位置等を特定する技術を提供するコンピュータの一例である。
【0012】
一般的に、プラント等におけるP&ID等の設計図面は、使用される機器、部品、配管等の構成要素、その組合せ方、配管内の流動体の流れ方向等を定義する設計図である。この設計図面は、複数のユーザが1つの設計図面の情報からエンジニアリング、組み立て、設定等の作業を行う等を実現するために、一意の情報であることが求められる。そのため、近年では、CAD(Computer-Aided Design)等に基づいて、デジタル化された設計図面が作成される。
【0013】
設計図面は、設計図面の作成者の認識漏れや記載漏れ等に起因して情報が不足すると、当該設計図面を参照するユーザによって異なる解釈がされる場合がある。例えば、複数の設計者により、設計図面が作成される場合、相互の設計内容の認識不足等により、記載の不足や不整合が発生する場合がある。
【0014】
特に情報量の多い複雑な設計図面の場合には、記載漏れや記載ミスが発生しやすい。そして、記載漏れや記載ミスを、設計者が探し出して修正等を行うとしても、手間がかかったり、修正作業の漏れやミスが生じたりする可能性がある。その結果、情報量の多い複雑な設計図面の場合には、検出漏れや修正漏れ等が発生しやすい。
【0015】
このような設計図面の情報の不足や表記の揺らぎは、プラント設計に関わる各ユーザが設計図面を一意に解釈できない事象を招き、設計図面に基づいて製造、組み立て、建築されるプラントや構造物の品質の低下や建設時の工程遅延の原因となることから、非常に重要な問題である。
【0016】
そのため、情報量の多いプラントの設計図面であっても、設計図面に記載されている各種情報について単一の解釈ができない等の不備が生じないように、ユーザが目視により当該不備を検出して、追記または修正しなければならない。しかしながら、ユーザの目視による作業は、類似する表記の構成要素を一つ一つ確認し、誤りを抽出することになるので、工数や手間が非常にかかる作業であり、現実的ではない。
【0017】
そこで、設計図面から複数の構成要素を含む要素群のうち基準の要素群を選択し、設計図面に含まれるその他の要素群を検索することで、基準の要素群と相違ある部分を含む要素群を抽出する参考技術が知られている。
【0018】
しかしながら、参考技術では、設計図面上の不備を抽出することが難しい場合がある。図2は、参考技術の問題点の一例を示す図である。図2に示すように、参考技術は、基準となる構成要素と比較対象の構成要素とが同一または部分的に相違を含む構成要素を抽出するのみであり、基準の構成要素を指定しなければ当該不備や欠陥を含む要素群を抽出することができない。
【0019】
具体的には、参考技術は、ユーザに選択より指定された要素群と比較して相違点を含む要素群を抽出する技術であることから、基準として指定された要素群以外の、設計図面上の不備を特定できない。例えば、図2の(1)に示すように、参考技術では、配管の切り替わり位置に区切り記号が存在しないことを特定できない。また、図2の(2)に示すように、参考技術では、本来バルブ配管の近傍に入力される「50A」等のバルブのサイズ情報が存在しないことを特定できない。また、例えば、図2の(3)に示すように、参考技術では、配管の識別情報に誤記載を含む場合に、当該配管の識別情報の誤記載を認識して特定できない。
【0020】
そこで、本実施形態に係る図面解析装置100は、プラントの設計図面から設計図面の構成要素を抽出する。そして、図面解析装置100は、設計図面の構成要素に基づいて、設計図面において特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容の少なくとも一方を特定する。
【0021】
図1を用いて具体的に説明する。図1の(1)に示すように、図面解析装置100は、紙媒体の設計図面、CAD等で設計されたP&ID等の設計図面等のプラントの設計図面を解析する。
【0022】
続いて、図面解析装置100は、プラントの設計図面から機器、計器、配管部品、配管、配管の識別情報、配管内の流動体の流れ方向等の設計図面の構成要素を抽出する。その後、図1の(2)に示すように、図面解析装置100は、抽出した情報に基づき、配管の区切り記号の不備、配管の識別情報の不備、流動体の流れ方向記号の不備、構成要素の入力候補位置等の特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容を特定する。
【0023】
その後、図1の(3)に示すように、図面解析装置100は、特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容を、設計図面上に重畳させる等してユーザに対して表示する。例えば、図面解析装置100は、「不足要素」、「要素の情報誤り」、「入力候補位置」等の情報を、P&ID等の設計図面上に重畳させて表示する(図1の(4-1))。なお、図面解析装置100は、設計図面の構成要素の一覧や材料集計表等の各種リスト(図1の(4-2))や設計図面の整合性等をまとめた各種レポート(図1の(4-3))を出力することができる。
【0024】
そして、ユーザは、表示された情報に基づいて、整合性確認を行う(図1の(5))。したがって、図面解析装置100は、設計図面の整合性確認を容易とし、設計図面の品質の向上を可能とする。
【0025】
なお、上述した「構成要素」とは、図面解析装置により設計図面より抽出された配管、バルブ、配管の識別情報、配管の区切り記号(以降、単に「区切り記号」と表記する場合がある)を含む。また、「特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容(以降は、「不備の図面箇所」と表記する場合がある)」とは、上記した配管、バルブ、配管の識別情報、区切り記号、配管内の流動体の流れ方向を示す記号等のうち配管の区切り記号の不備、配管の識別情報の不備および流動体の流れ方向記号の不備が含まれるもの、または構成要素の入力候補位置等を含む。また、「設定情報」とは、設計図面の構成要素に対して付与される材質、形状、機器や部品の種類、流動体の流れ方向等の属性情報を含む。また、「配管の識別情報」は、配管を識別する文字列の他に、配管の材質、サイズ等の属性情報を含んでよい。
【0026】
<第1の実施形態>
(図面解析装置100の説明)
第1の実施形態に係る図面解析装置100では、設計図面から抽出した設計図面の構成要素に基づき、配管の区切り記号の不備、配管の識別情報の不備、流動体の流れ方向記号の不備等を不備の図面箇所として特定して出力する例を説明する。
【0027】
まず、第1の実施形態に係る図面解析装置100による処理を説明する。図3は、第1の実施形態に係る図面解析処理を説明する図である。
【0028】
例えば、図面解析装置100は、「設計図面に含まれる配管、配管の識別情報、区切り記号、バルブやポンプ等を表す記号」等の設計図面の構成要素に基づき、設計図面上で、区切り記号が不足する等の配管の区切り記号の不備を特定する。同様に、図面解析装置100は、設計図面上で、配管の識別情報の不足や誤記載等の配管の識別情報の不備を特定する。また、図面解析装置100は、設計図面上で、配管内の流動体の流れ方向の矛盾発生要因等の流動体の流れ方向記号の不備を特定する。
【0029】
一例を説明すると、図3に示すように、図面解析装置100は、設計図面から、設計図面の構成要素を抽出する(図3の(1))。次に、図面解析装置100は、抽出された設計図面の構成要素に基づき、設計図面において配管の区切り記号の不備、配管の識別情報の不備、流動体の流れ方向記号の不備等に該当する要素群M1を特定する(図3の(2))。例えば、図面解析装置100は、「配管の区切り記号の不備(図3の(2a))」を重畳した設計図面を特定する。
【0030】
このようにして、図面解析装置100は、抽出漏れや修正漏れ、修正間違い等が発生しやすい情報量の多い複雑な設計図面等において人の目では見つけることが難しい不備の図面箇所を特定する。
【0031】
(図面解析装置の構成)
次に、第1の実施形態に係る図面解析装置100の構成について説明する。図4は、第1の実施形態に係る図面解析装置100の構成の一例を示す図である。図4に示すように、図面解析装置100は、入力部110、表示部120、通信部130、記憶部140および制御部150を有する。
【0032】
(入力部110)
入力部110は、当該図面解析装置100への各種情報の入力を司る。例えば、入力部110は、マウスやキーボード等で実現され、当該図面解析装置100への設定情報、設計図面に関する情報等の入力を受け付ける。
【0033】
(表示部120)
表示部120は、当該図面解析装置100からの各種情報の表示を司る。例えば、表示部120は、後述する制御部150により特定された「配管の区切り記号の不備」、「配管の識別情報の不備」、「流動体の流れ方向記号の不備」等を、設計図面の修正、編集、作成等を行うユーザに対して表示する。なお、表示部120は、ディスプレイ等で実現することができる。
【0034】
(通信部130)
通信部130は、ルータ等を介して、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部130は、後述する制御部150により特定された「配管の区切り記号の不備」、「配管の識別情報の不備」、「流動体の流れ方向記号の不備」等を、上記ユーザの操作する端末装置等に対してデータ通信により出力する。なお、通信部130は、ネットワークインタフェースカード等により実現することができる。
【0035】
(記憶部140)
記憶部140は、後述の制御部150が動作する際に参照する各種情報や、制御部150が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部140は、図面DB141、特定条件DB142、抽出要素DB143および構成要素DB144を有する。ここで、記憶部140は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現することができる。
【0036】
(図面DB141)
図面DB141は、設計図面に関する情報を記憶するデータベースである。具体的には、図面DB141は、設計図面に関する情報として、デジタル化された設計図面、設計図面に関するリスト、設計図面に関する設計対象の機能構造図等を記憶する。
【0037】
ここで、図面DB141により記憶される設計図面に関する情報の一例を説明する。図5は、第1の実施形態に係る設計図面の一例を示す図である。図5に示す設計図面は、プラント等の施設についての構造や設計を、図または線図を用いて、所定の尺度に従って描写した技術情報である。例えば、図5に示した設計図面は、構成要素としてバルブ(図5の(1))や配管(図5の(2))を含む。
【0038】
このように、図面DB141は、設計図面を画像データ、PDF(Portable Document Format)データ、CADデータ、P&IDデータ等のデジタル化された設計図面として記憶する。
【0039】
また、図示していないが、図面DB141は、設計図面に関する情報として、設計図面の構成要素を一覧表形式で表現したリストデータや、設計図面の構成要素を構造情報として表現した機能構造図を記憶することができる。
【0040】
(特定条件DB142)
特定条件DB142は、後述の特定部153が、抽出された設計図面の構成要素に基づき不備の図面箇所を特定するための条件(以下では、単に「特定条件」と記載する場合がある)を記憶するデータベースである。具体的には、特定条件DB142は、設計図面の構成要素から「配管の区切り記号の不備」、「配管の識別情報の不備」、「流動体の流れ方向記号の不備」等を特定するための条件を記憶する。
【0041】
図6は、第1の実施形態に係る特定条件の一例を示すテーブル図である。図6に示すように、特定条件DB142は、特定条件として、「特定条件名」と「特定条件の内容」とを対応付けて記憶する。ここで、特定条件名は、特定条件を識別するための識別情報であり、自然言語で記載されるテキストや所定の規則に基づく文字列等である。また、特定条件の内容は、特定部153が特定処理に用いる条件を記載した情報である。以下、各特定条件についての一例を説明する。
【0042】
例えば、特定条件DB142は、特定条件名「区切り記号の不備判定」と、特定条件の内容「第1の配管の識別情報と第2の配管の識別情報とが異なり、かつ区切り記号が入力されていない」とを対応付けて記憶する。言い換えると、特定条件DB142は、配管の識別情報が入力されているにも関わらず、配管の切り替わる位置を示す「区切り記号」が入力されていない状態を「区切り記号の不備」として特定するための条件を記憶する。
【0043】
例えば、特定条件DB142は、特定条件名「配管の識別情報の不備判定(1)」と特定条件の内容「区切り記号が入力されており、かつ配管の識別情報が入力されていない」とを対応付けて記憶する。言い換えると、特定条件DB142は、配管の切り替わり位置を示す「区切り記号」が入力されているにも関わらず、第1の配管の識別情報または第2の配管の識別情報の少なくともいずれか一方が存在しない状態を「配管の識別情報の不備」として特定するための条件を記憶する。
【0044】
例えば、特定条件DB142は、特定条件名「配管の識別情報の不備判定(2)」と特定条件の内容「配管から既定の距離内に配管の識別情報が入力されていない」とを対応付けて記憶する。言い換えると、特定条件DB142は、配管の識別情報が入力されていない、または入力される位置が離れすぎている等の配管の識別情報が規定の距離内に入力されていない状態を「配管の識別情報の不備」として特定するための条件を記憶する。
【0045】
例えば、特定条件DB142は、特定条件名「配管の識別情報の不備判定(3)」と特定条件の内容「配管の識別情報が記載ルール(文字数、並び順、文字種)に従って記載されていない」とを対応付けて記憶する。言い換えると、特定条件DB142は、配管の識別情報が入力されているが、記載ルール逸脱している状態を「配管の識別情報の不備」として特定するための条件を記憶する。ここでいう、「文字数」は、識別情報を記載する文字数に過不足が存在するか否かを判定するための条件である。また、並び順は、識別情報を記載する文字列が、規定に沿っているか否かを判定するための条件である。また、文字種は、識別情報を記載する文字の種類が、規定に沿っているか否かを判定するための条件である。例えば、第1の実施形態において、記載ルールは「大文字2文字+小文字英字1文字+数字5文字 数字2文字+大文字英字2文字+数字2文字 数字2文字」等を含む。
【0046】
例えば、特定条件DB142は、特定条件名「流動体の流れ方向記号の不備判定」と特定条件の内容「配管内の流動体の流れ方向と、流動体を動作させる設備により生じる流動体の流れ方向との間で流動体の流れ方向に矛盾が生じる」とを対応付けて記憶する。言い換えると、特定条件DB142は、配管に配管内の流動体の流れ方向を示す記号が記載されているが、その他のポンプ等の構成要素により実現される流動体の流れ方向と矛盾が生じ得るため、「流動体の流れ方向記号の不備」があると特定するための条件を記憶する。
【0047】
例えば、特定条件DB142は、特定条件名「配管部品の情報不足判定」と特定条件の内容「バルブにサイズ情報が入力されていない」とを対応付けて記憶する。言い換えると、特定条件DB142は、バルブのサイズ情報が入力されていない、または入力される位置が離れすぎている等のバルブのサイズ情報が規定の距離内に入力されていない状態を「バルブのサイズ情報の不足」として特定するための条件を記憶する。
【0048】
(抽出要素DB143)
抽出要素DB143は、後述の抽出部152により抽出された設計図面の構成要素を記憶するデータベースである。例えば、抽出要素DB143は、設計図面の構成要素として、当該設計図面から抽出された設計図面に含まれる配管、配管の識別情報、区切り記号、バルブやポンプ等を表す記号等を、要素分類に対応付けて記憶する。
【0049】
図7は、第1の実施形態に係る抽出された構成要素の一例を示すテーブル図である。図7に示すように、抽出要素DB143は、抽出された設計図面の構成要素として、「要素分類」、「詳細」等を記憶する。ここでいう、要素分類は、抽出された構成要素を分類するための情報である。一例を挙げると、要素分類は、抽出された構成要素が設計図面のどの位置に入力された記号であるかを示す情報や、配管の識別情報等の設定情報を示す情報を含む。
【0050】
例えば、抽出要素DB143は、要素分類「区切り記号」と詳細「MNc47125 75HB13 50とMNc47126 75HB15 50との区切り記号」とを対応付けて記憶する。言い換えると、抽出要素DB143は、配管「MNc47125 75HB13 50」と配管「MNc47126 75HB15 50」との間に記載される区切り記号であると識別して記憶する。
【0051】
また、抽出要素DB143は、要素分類「配管の識別情報」と詳細「MNc47125 75HB13 50」とを対応付けて記憶する。他方、抽出要素DB143は、要素分類「配管の識別情報」と詳細「MNc47126 75HB15 50」とを対応付けて記憶する。言い換えると、抽出要素DB143は、それぞれ設計図面に含まれる配管が「MNc47125 75HB13 50」と、配管「MNc47126 75HB15 50」とであると識別して記憶する。
【0052】
(構成要素DB144)
構成要素DB144は、後述の特定部153により特定された「配管の区切り記号の不備」、「配管の識別情報の不備」、「流動体の流れ方向記号の不備」等の不備の図面箇所に関する情報を記憶するデータベースである。具体的には、構成要素DB144は、特定部153により特定された構成要素の詳細と状態とを要素分類に対応付けて記憶する。
【0053】
図8は、第1の実施形態に係る不備の図面箇所の候補の一例を示すテーブル図である。図8に示すように、構成要素DB144は、上記不備の図面箇所に関する情報として、「要素分類」、「詳細」、「状態」等を記憶する。ここでいう、要素分類は、不備の図面箇所を分類するための情報である。また、詳細は、「配管の区切り記号」、「配管の識別情報」等を識別するための情報である。また、状態は、不備を含むか否か、また不備を含む場合はその内容等を表す情報である。
【0054】
例えば、構成要素DB144は、要素分類「区切り記号」と詳細「MNc47125 75HB13 50とMNc47126 75HB15 50との区切り記号」と状態「無し」とを対応付けて記憶する。言い換えると、構成要素DB144は、配管の識別情報「MNc47125 75HB13 50」と「MNc47126 75HB15 50」との間に入力される区切り記号が存在しない、という情報を記憶する。
【0055】
例えば、構成要素DB144は、要素分類「配管の識別情報」と詳細「MNc47125 75HB13 50」と状態「正常」とを対応付けて記憶する。言い換えると、構成要素DB144は、配管の識別情報「MNc47125 75HB13 50」が正常に入力されている、という情報を記憶する。
【0056】
例えば、構成要素DB144は、要素分類「配管の識別情報」と詳細「MNc47126 75HB15 50」と状態「無し」とを対応付けて記憶する。言い換えると、構成要素DB144は、配管の識別情報「MNc47126 75HB15 50」が存在しない、という情報を記憶する。
【0057】
例えば、構成要素DB144は、要素分類「配管の識別情報」と詳細「MNc47126 75HB15 50」と状態「位置異常」とを対応付けて記憶する。言い換えると、構成要素DB144は、配管の識別情報「MNc47126 75HB15 50」が、存在するが所定の位置に存在しない、という情報を記憶する。
【0058】
例えば、構成要素DB144は、要素分類「配管の識別情報」と詳細「MNc47125 75HB15」と状態「記載ルール違反」とを対応付けて記憶する。言い換えると、構成要素DB144は、配管の識別情報「MNc47125 75HB15」が予め設定された記載ルールを逸脱して記載されている、という情報を記憶する。
【0059】
(制御部150)
図4に戻り説明を続ける。制御部150は、当該図面解析装置100全体の制御を司る。制御部150は、受付部151、抽出部152、特定部153および出力部154を有する。ここで、制御部150は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。
【0060】
(受付部151)
受付部151は、図面解析処理に用いる所定の情報を受け付ける。具体的には、受付部151は、入力部110を介して入力された設計図面に関する情報を受け付ける。そして、受付部151は、受け付けた設計図面に関する情報を図面DB141に格納する。設計図面に関する情報は、紙媒体の設計図面を画像解析等に基づきデジタル化した設計図面、CAD等に基づきコンピュータ上で設計されたP&ID等の設計図面等である。
【0061】
(抽出部152)
抽出部152は、受付部151により設計図面に関する情報として受け付けられた設計図面から、画像解析、文字認識、記号認識等の処理を行うことにより設計図面に記載された各種情報を抽出する。具体的には、抽出部152は、プラントの設計図面から設計図面の構成要素として、設計図面に含まれる配管、配管の識別情報、区切り記号、バルブやポンプ等を表す記号等を抽出する。そして、抽出部152は、抽出した情報を抽出要素DB143に格納する。
【0062】
例えば、抽出部152は、設計図面、および設計図面中に含まれる構成要素ならびに構成要素間の繋がりをパターンマッチングに基づいて認識し、設計図面の構成要素を抽出する。また、抽出部152は、設計図面に対して画像認識処理を行うことで外形や形状を認識し、設計図面の構成要素を抽出する。また、抽出部152は、意味モデル、グラフ理論、オントロジー等に基づいて構成要素の内容を認識して、設計図面の構成要素を抽出する。
【0063】
また、抽出部152は、予め登録された設計図面ごとの表記ルールに基づいて、設計図面内の構成要素を認識し、設計図面の構成要素を抽出する。ここでいう、表記ルールとは、例えば、「バルブは、○○という記号で表す」、「配管は、黒の実線で表す」、「区切り記号は、●●という記号で表す」等の所定の規則である。
【0064】
(特定部153)
特定部153は、抽出部152により抽出された設計図面の構成要素に基づき、特定条件DB142に記憶される特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容を特定する。なお、特定条件は、すべてを用いることもでき、ユーザが指定した特定条件だけを用いることもでき、使用する特定条件は任意に設定することができる。
【0065】
なお、特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容の特定方法の詳細については後述するが、ここでは、図6に示す特定条件を用いて、特定部153が実行する特定方法を簡単に説明する。
【0066】
例えば、特定部153は、図6の特定条件「区切り記号の不備判定」と対応付けられる特定条件の内容に該当する区切り記号等の設定位置を特定する。すなわち、特定部153は、設計図面から、必要な区切り符号が入力されているか否か、また当該区切り記号の入力対象位置等を特定する。
【0067】
また、特定部153は、図6の特定条件「配管の識別情報の不備判定(1)」と対応付けられる特定条件の内容に該当する配管の識別情報等の設定位置を特定する。すなわち、特定部153は、設計図面から、必要な配管の識別情報が入力されているか否か、また当該存在しない配管の識別情報の入力対象位置等を特定する。
【0068】
また、特定部153は、図6の特定条件「配管の識別情報の不備判定(2)」と対応付けられる特定条件の内容に該当する配管の識別情報等の設定位置を特定する。すなわち、特定部153は、設計図面から、配管の識別情報が正しい位置に入力されているか否か、また入力対象位置等を特定する。
【0069】
また、特定部153は、図6の特定条件「配管の識別情報の不備判定(3)」と対応付けられる特定条件の内容に該当する配管の識別情報等の設定内容を特定する。すなわち、特定部153は、設計図面から、記載ルールにしたがっていない配管の識別情報等が入力されているか否か等を特定する。
【0070】
また、特定部153は、図6の特定条件「流動体の流れ方向記号の不備判定」と対応付けられる特定条件の内容に該当する流動体の流れ方向を示す記号等の設定内容や設定位置を特定する。すなわち、特定部153は、設計図面に設定された設定情報により特定される配管内の流動体の流れ方向と、設定情報により特定される流動体を動作させる設備により生じる流動体の流れ方向との間での流動体の流れ方向に矛盾の箇所を特定し、特定された矛盾の箇所が生じる位置や矛盾の発生要因となっている箇所等を特定する。
【0071】
また、特定部153は、図6の特定条件「配管部品の情報不足判定」と対応付けられる特定条件の内容に該当する配管部品の情報等の設定位置を特定する。すなわち、特定部153は、設計図面から、必要な配管部品の情報が入力されているか否か、また入力対象位置等を特定する。
【0072】
(出力部154)
出力部154は、特定部153により特定された不備の図面箇所を、所定の形式で出力する。具体的には、出力部154は、図6の特定条件に該当する不備の図面箇所をユーザが視覚的に理解できる形式で強調表示される設計図面を表示部120に出力する。また、出力部154は、前述した理解できる形式で強調表示される設計図面を、通信部130を介してユーザの端末装置等に出力する。
【0073】
例えば、出力部154は、配管の区切り記号の不備、配管の識別情報の不備、流動体の流れ方向記号の不備、または当該不備の周辺を枠線で囲う形式、これらの該当する構成要素の背景色、字体、文字色等の書式を変更する形式、これらの該当する不備の図面箇所を点滅させる形式等の強調表示を行った設計図面を出力する。
【0074】
<図面解析処理の手順>
ここから、第1の実施形態に係る図面解析処理の流れを説明する。図9は、第1の実施形態に係る図面解析処理手順についてのフローチャートである。以下に記載する各ステップは、矛盾の無い範囲で異なる順序で実行されてもよいし、省略される処理があってもよい。
【0075】
図9に示すように、受付部151は、画像解析等に基づき紙媒体の設計図面をデジタル化した設計図面、CAD等に基づきコンピュータ上で設計された設計図面に関する情報を受け付ける(S101)。
【0076】
抽出部152は、パターンマッチング、画像認識処理等のアルゴリズム等を用いて、設計図面から、配管、配管の識別情報、区切り記号等の設計図面の構成要素を抽出する(S102)。
【0077】
特定部153は、設計図面の構成要素に基づいて、不足の区切り記号または不足の配管の識別情報、誤記載を含む配管の識別情報、流動体の流れ方向の矛盾の発生位置等に該当する不備の図面箇所を特定する(S103)。
【0078】
ここで、特定部153により不備の図面箇所が特定されない場合(S104のNo)、図面解析装置100は、処理を終了する。他方、特定部153により不備の図面箇所が特定された場合(S104のYes)、出力部154は、特定された不備の図面箇所を所定の形式で出力する(S105)。そして、図面解析装置100は、処理を終了する。
【0079】
<図面解析処理の一例>
ここで、図面解析装置100が、図6で説明した各特定条件を用いて設計図面の不備等を特定する具体例を説明する。図10から図14は、第1の実施形態に係る図面解析処理の一例を示す図である。
【0080】
(不足した区切り記号の特定)
図10を用いて、図6で説明した特定条件「区切り記号の不備判定」を用いた具体例を説明する。一例として、図面解析装置100による配管と配管との区切り位置を示す区切り記号の入力漏れの特定について説明する。図10には、配管の区切り位置に必要な区切り記号が入力されていない状態の設計図面から、区切り記号の入力漏れ位置を特定して設計図面上に強調表示する一例が示されている。
【0081】
まず、図10に示す「抽出および特定」のステップを説明する。図面解析装置100は、受け付けた設計図面から配管、バルブ10~12、配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)および配管の識別情報14(MNc47126 75HB15 50)を抽出する。なお、図面解析装置100は、設計図面の構成要素を抽出する順番を特に限定することなく、抽出できる。
【0082】
さらに、図面解析装置100は、バルブ10の右部およびバルブ11の左部に配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)により識別される配管が接続され、バルブ11の右部からバルブ12左部およびバルブ12の右部に配管の識別情報14(MNc47126 75HB15 50)により識別される配管が接続された構造を抽出する。
【0083】
次に、図面解析装置100は、抽出された配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)で識別される配管と配管の識別情報14(MNc47126 75HB15 50)で識別される配管とに設定された配管属性が異なることから、図10の(1)で示す範囲に配管の区切り位置と認識する。しかし、図面解析装置100は、認識した範囲に存在するべき区切り記号が抽出した構成要素の中に含まれていないことから、当該区切り位置に区切り記号が不足していると特定する。
【0084】
次に、図10に示す「強調表示」のステップを説明する。図面解析装置100は、特定された区切り記号の不足する位置候補を、図10の(2)から(5)に示すような破線枠で囲う等の強調表示された設計図面を出力する。
【0085】
その後、図10の「修正後」のステップに示すように、図面解析装置100は、強調表示された位置候補の中からユーザが選択した位置に対して、ユーザから区切り記号の入力を受け付ける。そして、図10の(6)に示すように、図面解析装置100は、当初受け付けられた設計図面を、不足する区切り記号が入力された設計図面に更新する。この結果、当該位置を区切り位置として「区間A」と「区間B」とが一意に認識可能となる。
【0086】
(不足した配管の識別情報の特定)
次に、図11を用いて、図6で説明した特定条件「配管の識別情報の不備判定(1)」を用いた具体例を説明する。一例として、図面解析装置100による配管の識別情報の入力漏れの特定について説明する。図11には、区切り記号が入力されているが、区切り位置に区切られる配管に識別情報が入力されていない状態の設計図面から、配管の識別情報の入力漏れ位置を特定して設計図面上に強調表示する一例が示されている。
【0087】
まず、図11に示す「抽出および特定」のステップを説明する。図面解析装置100は、受け付けた設計図面から配管、バルブ10~12、配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)、区切り記号15を抽出する。さらに、図面解析装置100は、バルブ10の右部およびバルブ11の左部に配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)により識別される配管が接続され、バルブ11の右部からバルブ12左部およびバルブ12の右部に配管の識別情報が不明の配管が接続された構造を抽出する。
【0088】
次に、図面解析装置100は、区切り記号が入力されていることから、バルブ11の左部の配管とバルブ11の右部の配管とが異なる配管であると認識する。さらに、図面解析装置100は、配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)が入力されていることを認識する。他方、図面解析装置100は、図11の(1)で示す範囲にあるバルブ11の右部からバルブ12左部およびバルブ12の右部に接続された配管を識別する配管の識別情報が存在しないことを認識する。このようにして、図面解析装置100は、認識した範囲(図11の(1))に存在するべき配管の識別情報が、抽出した構成要素の中に含まれていないことから、配管の識別情報が設計図面上から不足していると特定する。
【0089】
次に、図11に示す「強調表示」のステップを説明する。図面解析装置100は、特定された配管の識別情報の不足する位置候補を、図11の(2)に示すような、破線枠で囲う等の強調表示された設計図面を出力する。
【0090】
その後、図11の「修正後」のステップに示すように、図面解析装置100は、強調表示した範囲からユーザが選択した位置に対して、ユーザから配管の識別情報の入力を受け付ける。そして、図11の(3)に示すように、図面解析装置100は、当初受け付けられた設計図面を、不足する配管の識別番号が入力された設計図面に更新する。この結果、「区間B」の識別番号が認識可能となる。
【0091】
(入力位置が異常な配管の識別情報の特定)
次に、図12を用いて、図6で説明した特定条件「配管の識別情報の不備判定(2)」を用いた具体例を説明する。一例として、図面解析装置100による入力位置が異常な配管の識別情報の特定について説明する。図12には、配管から既定の距離内に配管の識別情報が入力されていない状態の設計図面から、配管の識別情報の入力位置の異常を特定して設計図面上に強調表示する一例が示されている。
【0092】
まず、図12に示す「抽出および特定」のステップを説明する。図面解析装置100は、受け付けた設計図面から配管、バルブ10~12、配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)および配管の識別情報14(MNc47126 75HB15 50)を抽出する。さらに、図面解析装置100は、バルブ10の右部およびバルブ11の左部に配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)により識別される配管が接続され、バルブ11の右部からバルブ12左部およびバルブ12の右部に配管の識別情報が不明の配管が接続された構造を抽出する。
【0093】
次に、図面解析装置100は、区切り記号が入力されていることから、バルブ11の左部の配管とバルブ11の右部の配管とが異なる配管であると認識する。さらに、図面解析装置100は、配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)が入力されていることを認識する。他方、図面解析装置100は、配管の識別情報14(MNc47126 75HB15 50)が入力されているものの、配管から所定の距離内である図12の(1)で示す位置に当該配管の識別情報が存在しないことを認識する。このようにして、図面解析装置100は、配管の識別情報14(MNc47126 75HB15 50)が抽出した構成要素の中に含まれているが、認識した位置(図12の(1))に存在しないことから、配管の識別情報の位置が正しくないことを特定する。
【0094】
次に、図12に示す「強調表示」のステップを説明する。図面解析装置100は、配管と結び付けられていない識別番号と特定された配管の識別情報が本来入力される位置を、図12の(2)に示すような破線枠で囲う等の強調表示された設計図面を出力する。
【0095】
その後、図12の「修正後」のステップに示すように、図面解析装置100は、強調表示された位置に対して、ユーザから配管の識別情報の入力(もしくは入力済みの識別番号の位置修正)等を受け付ける。そして、図12の(3)に示すように、図面解析装置100は、当初受け付けられた設計図面を、配管の識別情報が本来の位置に入力された設計図面に更新する。この結果、「区間B」の識別番号が認識可能となる。
【0096】
(誤記載を含む配管の識別情報の特定)
次に、図13を用いて、図6で説明した特定条件「配管の識別情報の不備判定(3)」を用いた具体例を説明する。一例として、図面解析装置100による誤記載を含む配管の識別情報の特定について説明する。図13に示す一例は、配管の識別情報が入力されているが、記載ルールを逸脱している状態の設計図面から、配管の識別情報の不備を特定して設計図面上に強調表示する一例が示されている。
【0097】
まず、図13に示す「抽出および特定」のステップを説明する。図面解析装置100は、受け付けた設計図面から配管、バルブ10~12、配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)および配管の識別情報14a(MNc47126 75HB15)を抽出する。さらに、図面解析装置100は、バルブ10の右部およびバルブ11の左部に配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)により識別される配管が接続され、バルブ11の右部からバルブ12左部およびバルブ12の右部に配管の識別情報14a(MNc47126 75HB15)により識別される配管が接続された構造を抽出する。
【0098】
次に、図面解析装置100は、区切り記号が入力されていることから、バルブ11の左部の配管とバルブ11の右部の配管とが異なる配管であると認識する。さらに、図面解析装置100は、配管の識別情報13(MNc47125 75HB13 50)が入力されていることを認識する。他方、図面解析装置100は、認識した配管の識別情報14a(MNc47126 75HB15)が入力されているものの、末尾の「50」の入力漏れ等のように記載ルールを逸脱しているため、配管の識別情報の記載に不備があると認識する。このようにして、図面解析装置100は、配管の識別情報14a(MNc47126 75HB15)が抽出した構成要素の中に含まれているが、記載ルールを逸脱して記載されていることから、配管の識別情報に誤記載が含まれていると特定する。なお、図面解析装置100は、記載ルールを逸脱しているか否かを、記載ルールと配管の識別情報を構成する文字数、並び順、文字種等との内容の一致度に基づき、誤記載が含まれているか否かを特定できる。
【0099】
次に、図13に示す「強調表示」のステップを説明する。図面解析装置100は、特定された誤記載を含む配管の識別情報を、図13の(2)に示すような破線枠で囲う等の強調表示された設計図面を出力する。
【0100】
その後、図13の「修正後」のステップに示すように、図面解析装置100は、強調表示された位置に対して、ユーザから誤記載を含む配管の識別情報の修正等を受け付ける。そして、図13の(3)に示すように、図面解析装置100は、当初受け付けられた設計図面を、正しい記載ルールで記載された配管の識別情報が入力された設計図面に更新する。この結果、「区間B」の識別番号が認識可能となる。
【0101】
(流動体の流れ方向の矛盾の発生に関わる構成要素の特定)
次に、図14を用いて、図6で説明した特定条件「流動体の流れ方向記号の不備」を用いた具体例を説明する。一例として、図面解析装置100による流動体の流れ方向の矛盾の発生に関わる構成要素の特定について説明する。図14には、配管内の流動体の流れ方向に矛盾が生じる位置が含まれる設計図面から、当該矛盾が生じる位置を流動体の流れ方向記号の不備として特定して設計図面上に強調表示する一例が示されている。
【0102】
まず、図面解析装置100は、受け付けた設計図面から配管、流動体の流れ方向を示す記号16、ポンプ17を抽出する。さらに、図面解析装置100は、流動体の流れ方向を示す記号16が図14の(1)に示す配管上に右から左の流れ方向を示すように記載され、配管がポンプ17の上および右に接続された構造を抽出する。なお、図14の(1)に示す流動体の流れ方向を示す記号16を含む配管は、図14の(1)の右から左に配管内の流動体が流れることを示す。また、図14の(1)に示すポンプ17は、図14の(1)の右から入力された流動体を上方向に流動させうる。そして、図面解析装置100は、図14の(2)に示すように、抽出された流動体の流れ方向を示す記号16が示す配管内の流動体の流れ方向を、矢印16aから16dの示す暫定的な方向として認識する。また、図面解析装置100は、図14の(3)に示すように、抽出されたポンプ17が発生させる配管内の流動体の流れ方向を、矢印17aから17cの示す暫定的な方向として認識する。
【0103】
次に、図面解析装置100は、認識された矢印16dが示す配管内の流動体の流れ方向が図面上の右から左の方向であることと、矢印17cが示す配管内の流動体の流れ方向が図面上の左から右の方向であることから、図14の(3-1)に示す設計図面上の位置に流動体の流れ方向に流動体の流れ方向の矛盾が生じていると特定する。
【0104】
次に、図面解析装置100は、特定された流動体の流れ方向の矛盾の発生位置について、正しい流動体の流れ方向を判定できる場合は、当該矢印の記号を自動で入力、または正しい矢印方向をユーザに出力する。他方、図面解析装置100は、正しい流動体の流れ方向が判定できない場合、図14の(3-1)に示すような、破線枠で囲う等の強調表示された設計図面を出力する。なお、図面解析装置100は、正しい流動体の流れ方向を決定できる場合でも、破線枠で囲う等の強調表示された設計図面を出力できる。
【0105】
その後、図14の(4)に示すように、図面解析装置100は、強調表示された位置に対して、ユーザから特定された流動体の流れ方向の矛盾を解消するための矢印記号の入力等を受け付ける。そして、図面解析装置100は、当初受け付けられた設計図面を、図14の(4)に示すように、流動体の流れ方向を示す記号が矛盾なく入力された設計図面に更新する。この結果、設計図面内の流動体の流れ方向の矛盾が解消する。
【0106】
<効果>
上述してきたように、第1の実施形態に係る図面解析装置100の抽出部152は、プラントの設計図面から設計図面の構成要素を抽出する。図面解析装置100の特定部153は、設計図面の構成要素に基づいて、設計図面において特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容の少なくとも一方を特定する。このため、第1の実施形態によれば、下記の効果を奏する。
【0107】
図面解析装置100は、設計図面上の不備の図面箇所を、予め登録された正しい設計図面等を用いることなく特定する。これにより、ユーザは、設計図面の修正箇所を抽出する工数、設計図面を修正する工数を削減し、かつ図面の品質を向上させることができる。そして、ユーザは、一意で正確な情報を当該設計図面から得られるようになる。
【0108】
すなわち、図面解析装置100は、人の目では見つけることが難しい設計図面の不備の検出を行うことで、不備がある設計図面の修正を容易とすることができる。これにより、ユーザは、検出漏れや修正漏れ、修正間違い等が発生しやすい情報量の多い複雑な設計図面の場合においても、修正等の効率的、かつ正確に実施できる。
【0109】
また、上述したように図面解析装置100は、予め登録された正しい設計図面等を用いることなく不備の図面箇所を抽出できる。これにより、図面解析装置100は、設計図面からの検出漏れや修正漏れ、修正間違い等の抽出のために正解情報を毎回受け付けることなく抽出および特定を可能とし、コンピュータによる処理の高速化が実現される。また、ユーザは、設計図面の修正の際に正しい図面を準備する、経験豊富な熟練ユーザがチェックするといった工数を削減されることで、より効率的に設計図面の修正の実施ができる。
【0110】
また、図面解析装置100は、上述してきた機能により、例えば、紙媒体の設計図面のデジタル化や、デジタル化された設計図面の変換等を行う際に情報が欠落したような場合においても、当該欠落個所を特定することができる。これにより、ユーザは、効率的に設計図面の検証や修正等を実施できる。
【0111】
また、特定部153は、配管の区切り記号の不備、配管の識別情報の不備および流動体の流れ方向記号の不備のうちの少なくとも1つを特定する特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容の少なくとも一方を特定する。具体的には、特定部153は、設計図面の構成要素に含まれる配管の識別情報または配管の区切り記号のうち少なくともいずれか一方に基づいて、不備の図面箇所を特定する。
【0112】
すなわち、特定部153は、設計図面の構成要素に含まれる配管の識別情報に基づいて、配管の識別情報のうち第1の配管の識別情報と第2の配管の識別情報との間で識別情報が異なり、かつ配管の区切り記号が存在しない場合には、配管の区切り記号の入力対象位置を、配管の区切り記号の不備に該当する設定情報の設定位置として特定する。このため、図面解析装置100は、設計図面内の配管の区切り位置を識別する区切り記号が存在しない場合においても、当該位置を特定できる。これにより、ユーザは、効率的に修正等を実施できる。
【0113】
また、特定部153は、設計図面の構成要素に含まれる配管の区切り記号に基づいて、配管の区切り記号が存在するが、配管の区切り記号に区切られる第1の配管の識別情報または第2の配管の識別情報の少なくともいずれか一方が存在しない場合には、当該存在しない配管の識別情報に応じた入力対象位置を、配管の識別情報の不備に該当する設定情報の設定位置として特定する。このため、図面解析装置100は、設計図面内の識別情報が存在しない場合においても、当該位置を特定できる。これにより、ユーザは、効率的に修正等を実施できる。
【0114】
また、特定部153は、設計図面に設定された設定情報により特定される配管内の流動体の流れの方向と、設計図面に設定された設定情報により特定される流動体を動作させる設備により生じる流動体の流れの方向との間で、流動体の流れ方向に矛盾を特定する。そして、特定部153は、流動体の流れ方向の矛盾を生じさせる流動体の流れ方向記号の不備に該当する設定情報の設定位置を特定する。このため、図面解析装置100は、設計図面の構成要素の不備により設計図面内の設定情報に矛盾が生じて、一意な解釈ができないような場合においても当該位置を特定できる。これにより、ユーザは、効率的に修正等を実施できる。
【0115】
また、特定部153は、文字種、文字数、並び順のうち少なくともいずれか1つを含む所定の特定条件を満たさない配管の識別情報を、配管の識別情報の不備に該当する設定情報の設定内容として特定する。これにより、図面解析装置100は、設計図面内の記載に誤記載がある配管の識別情報等を特定できる。これにより、ユーザは、効率的に修正等を実施できる。
【0116】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、配管の区切り記号の不備、配管の識別情報の不備、流動体の流れ方向記号の不備等を特定する例を説明したが、第2の実施形態では、図面解析装置100が、主導的に入力候補位置を特定してユーザに通知する例を説明する。具体的には、第2の実施形態に係る図面解析装置100は、設計図面から抽出した設計図面の構成要素に基づき、設計図面の構成要素が入力され得る候補となる位置を入力候補位置として特定する。第2の実施形態において、特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容は、配管の区切り記号または配管の識別情報等の設計図面の構成要素が入力され得る入力候補位置を含む。また、設計図面の構成要素は、第1の実施形態と同様である。
【0117】
ここで第2の実施形態に係る図面解析装置100による処理を説明する。図15は、第2の実施形態に係る図面解析処理を説明する図である。
【0118】
図15に示すように、図面解析装置100は、設計図面から、設計図面の構成要素を抽出する(図15の(1))。次に、図面解析装置100は、抽出された設計図面の構成要素に基づき、区切り記号または配管の識別情報の入力候補位置である候補位置C1からC6を特定する(図15の(2))。そして、例えば、図面解析装置100は、特定した候補位置C1からC6を重畳した設計図面を出力する(図15の(2))。
【0119】
このようにして、図面解析装置100は、未作成または作成途中の設計図面についても、入力されうる記号の入力候補位置を特定できる。
【0120】
<図面解析装置の構成>
次に、第1の実施形態とは異なる機能について具体的に説明する。第2の実施形態に係る図面解析装置100は、第1の実施形態に係る図面解析装置100と共通する機能部を有することから、本項目では差異ある特定条件DB142および特定部153について説明を行いその他は適宜省略する。
【0121】
(特定条件DB142)
第2の実施形態に係る特定条件DB142は、図6で説明した第1の実施形態に係る特定条件DB142が記憶する情報に加えて、区切り記号または配管の識別情報の入力候補位置等の所定の位置に入力され得る構成要素およびその位置を判定する条件等を記憶する。
【0122】
図16は、第2の実施形態に係る特定条件の一例を示すテーブル図である。図16に示すように、第2の実施形態に係る特定条件DB142は、第1の実施形態同様に特定条件として、「特定条件名」、「特定条件の内容」等を記憶する。
【0123】
例えば、特定条件DB142は、特定条件名「構成要素入力位置の判定(1)」と特定条件の内容「配管が入力されており、かつ所定の位置に配管の識別情報が入力されていない」とを対応付けて記憶する。言い換えると、特定条件DB142は、設計図面に入力された配管に識別される配管の識別情報を入力すべき位置に当該配管の識別情報が入力されていない場合、配管の識別情報の入力候補位置を特定するための条件として記憶する。
【0124】
例えば、特定条件DB142は、特定条件名「構成要素入力位置の判定(2)」と特定条件の内容「第1の配管の識別情報と第2の配管の識別情報とが入力されており、かつ区切り記号が入力されていない」とを対応付けて記憶する。言い換えると、特定条件DB142は、設計図面に入力された配管の識別情報に基づいて、当該配管の切り替わり位置を判定し、区切り記号の入力候補位置を特定するための条件として記憶する。
【0125】
(特定部153)
第2の実施形態に係る図面解析装置100の特定部153は、設計図面の構成要素に含まれる配管を示す線分に基づいて、設計図面において特定条件を満たす配管の識別情報または配管の区切り記号が入力候補位置を、設定情報の設定位置として特定する。具体的には、特定部153は、抽出された配管、配管の識別情報、区切り記号、バルブやポンプ等のうち、区切り記号または配管の識別情報等の入力候補の構成要素を特定する。そして、特定部153は、入力候補として特定された、区切り記号または配管の識別情報の入力候補位置等を特定する。
【0126】
例えば、特定部153は、図16の特定条件名「構成要素入力位置の判定(1)」と対応付けられる特定条件の内容に該当する配管や区切り記号等の入力候補位置を特定する。すなわち、特定部153は、未入力の配管の識別情報の入力候補位置を特定する。
【0127】
例えば、特定部153は、図16の特定条件名「構成要素入力位置の判定(2)」と対応付けられた特定条件の内容に該当する配管や区切り記号等の入力候補位置を特定する。すなわち、特定部153は、未入力の区切り記号の入力候補位置を特定する。
【0128】
<図面解析処理の一例>
(構成要素の入力候補位置の特定)
ここで、図面解析装置100が、図16で説明した「構成要素入力位置の判定(1)」、「構成要素入力位置の判定(2)」を用いて設計図面内の構成要素の入力候補位置を特定する具体例を説明する。図17は、第2の実施形態に係る図面解析処理の一例を示す図である。図17には、配管の識別情報や区切り記号が入力されていない状態の設計図面から、入力候補位置を特定して設計図面上に強調表示する一例が示されている。
【0129】
まず、図17に示す「抽出および特定」のステップを説明する。図面解析装置100は、受け付けた設計図面から配管、バルブ10~12、配管18~20を設計図面の構成要素として抽出する。さらに、図面解析装置100は、バルブ10の右部およびバルブ11の左部に配管18が接続され、バルブ11の右部およびバルブ12の左部に配管19が接続され、バルブ12の右部に配管20が接続された構造を抽出する。
【0130】
次に、図面解析装置100は、配管が入力されているが、当該配管の所定の位置に配管の識別情報が入力されていないことから、配管の識別情報が未入力であると認識する。そして、図面解析装置100は、未入力の配管の識別情報が入力可能な入力候補位置として、図17の(2)に示すような入力候補位置C11からC15を特定する。
【0131】
次に、図面解析装置100は、特定された入力候補位置C11からC15について、図17の(2)に示すような、破線枠で囲う等の強調表示された設計図面を出力する。その後、図面解析装置100は、強調表示された入力候補位置に対して、ユーザから配管の識別情報の入力等を受け付ける。そして、図面解析装置100は、図17の(3-1)および(3-2)に示すように、図面解析装置100は、図17の(1)に示す受け付けられた当初の設計図面を配管の識別記号が入力された設計図面に更新する。
【0132】
さらに、図面解析装置100は、配管の識別情報が入力されているが、当該配管の区切り位置に配管の区切り記号が入力されていないことから、配管の区切り記号が未入力であると認識する。そして、図面解析装置100は、未入力の配管の区切り記号が入力可能な入力候補位置として、図17の(2)に示すような入力候補位置C21からC23を特定する。
【0133】
次に、図面解析装置100は、特定された入力候補位置C21からC23について、図17の(2)に示すような、破線枠で囲う等の強調表示された設計図面を出力する。その後、図面解析装置100は、強調表示された入力候補位置に対して、ユーザから配管の区切り記号の入力等を受け付ける。そして、図面解析装置100は、図17の(3-3)に示すように、図面解析装置100は、図17の(1)に示す受け付けられた当初の設計図面を、区切り記号が入力された設計図面に更新する。
【0134】
このようにして、図面解析装置100は、ユーザが効率的、かつ正確に配管の識別情報や区切り記号を入力候補位置へ入力するための、入力補助を可能とする。
【0135】
<図面解析処理の手順>
ここから、第2の実施形態に係る図面解析処理の流れを説明する。図18は、第2の実施形態に係る図面解析処理手順についてのフローチャートである。以下に記載する各ステップは、矛盾の無い範囲で異なる順序で実行されてもよいし、省略される処理があってもよい。
【0136】
図18に示すように、受付部151は、画像解析等に基づき紙媒体の設計図面をデジタル化した設計図面、CAD等に基づきコンピュータ上で設計された設計図面に関する情報を受け付ける(S201)。
【0137】
抽出部152は、パターンマッチング、画像認識処理等のアルゴリズム等を用いて、設計図面から、配管、配管の識別情報、区切り記号等の設計図面の構成要素を抽出する(S202)。
【0138】
特定部153は、設計図面の構成要素に含まれる配管を示す線分等の設計図面における配管の設定情報を用いて、設計図面上で配管の識別情報または配管の区切り記号が入力候補位置を特定する(S203)。
【0139】
ここで、特定部153により入力候補位置が特定されない場合(S204のNo)、図面解析装置100は、処理を終了する。他方、特定部153により入力候補位置が特定された場合(S204のYes)、出力部154は、特定された入力候補位置を所定の形式で出力する(S205)。そして、図面解析装置100は、処理を終了する。
【0140】
<効果>
上述してきたように、第2の実施形態に係る図面解析装置100の抽出部152は、プラントの設計図面から設計図面の構成要素を抽出する。図面解析装置100の特定部153は、設計図面の構成要素に基づいて、設計図面において特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容の少なくとも一方を特定する。具体的には、特定部153は、設計図面の構成要素に含まれる配管を示す線分に基づいて、設計図面において特定条件を満たす配管の識別情報または配管の区切り記号が入力候補位置を、設定情報の設定位置として特定する。そのため、第2の実施形態によれば、下記の効果を奏する。
【0141】
図面解析装置100は、設計図面が未作成の段階または作成途中等の段階において、設計図面に記載されるべき情報の入力候補位置について、予め登録された正しい設計図面等を用いることなく抽出してユーザに出力する。これにより、ユーザは、設計図面の作成工数を削減し、かつ図面の品質を向上させることができる。そして、ユーザは、設計図面を作成したり、参照したりする際に、一意で正確な情報を当該設計図面から得ることができる。
【0142】
また、上述したように図面解析装置100は、予め登録された正しい設計図面等を用いることなく不備の図面箇所を抽出できる。このため、ユーザは、設計図面を作成する際に正解の図面が無い場合でも、より効率的に設計図面の作成や編を実施できる。
【0143】
<変形例>
以下に、第1の実施形態および第2の実施形態に係る図面解析装置100により実現される変形例を記載する。変形例については、それぞれ単独で実施されてもよいし、矛盾の無い範囲で複数を組み合わせ実施されてもよい。
【0144】
(数値等)
上記実施形態で用いた処理条件、構成要素の情報、各コンピュータの数、ユーザ、工程、工程の名前等は、あくまで一例であり、任意に変更することができる。また特定条件DB142に記憶される特定条件は、不足、不備、候補位置を判定するための閾値等でもよい。また、構成要素DB144に記憶される「状態」は、予め設定された状態を識別する数値であってもよい。
【0145】
(設計図面)
上述してきた図面解析装置100に関して、設計図面とは、P&ID(配管計装図)のみを意味せず、所定の図面であってよい。例えば、設計図面は、複数の情報処理装置等の構成を表すシステム構成図、制御盤と計器類の関係を表す計装配線系統図、機器の制御や機器の接点等を操作順序によって展開した展開接続図等も範疇に含んでよい。
【0146】
(配管の認識)
図面解析装置100は、設計図面に含まれる配管を認識する際に、配管の識別情報、または配管の材質、サイズ等の属性情報に基づいて、各配管を認識してよい。具体的には、図面解析装置100は、配管の識別情報「MNc47125 75HB13 50」等の文字列を認識して複数の配管を識別できる。また、図面解析装置100は、配管の識別情報「MNc47125 75HB13 50」に含まれる、型番、配管のサイズ、材質等の属性情報に基づいて、複数の配管を識別できる。
【0147】
(不備の図面箇所抽出の処理の別形態)
図面解析装置100は、上述した不備の図面箇所の特定および出力の際に、複数の不備の図面箇所について一覧表示、連続表示を行うことができる。例えば、図面解析装置100は、特定された複数の不備の図面箇所を設計図面上に一斉表示して出力することができる。また、例えば、図面解析装置100は、特定された複数の不備の図面箇所を、ユーザの所定のボタンの押下等の操作に基づいて、第1の位置から第2の位置といった具合に連続して遷移しながら表示することができる。これにより、図面解析装置100は、ユーザが設計図面における不備の図面箇所の検証、修正等を行う際の操作をより簡便にし、作業効率を向上させる効果を提供する。
【0148】
(不備の図面箇所の修正処理)
図面解析装置100は、上述した不備の図面箇所の特定および出力の際に、ユーザの操作に基づいて、不備の図面箇所の追加、削除、編集等の処理を受け付けることができる。例えば、図面解析装置100は、「区切り記号が存在しない」場合に該当する位置を強調表示するが、更に「当該位置への区切り記号の追加」という情報の変更を受け付け、設計図面に反映させることができる。これにより、図面解析装置100は、ユーザが設計図面における不備の図面箇所の検証、修正等を行う際の操作をより簡便にし、作業効率を向上させる効果を提供する。
【0149】
(不備の図面箇所の強調表示)
図面解析装置100は、上述した不備の図面箇所の特定し、所定の形式でユーザに対して出力する。その場合、図面解析装置100は、同じ属性の配管区間ごとに違う色でハイライト表示できる。例えば、図面解析装置100は、第1の配管と第2の配管とで配管の種類が異なる場合には、第1の配管を「赤」、第2の配管を「青」等と配管の色を変更して表示する。これにより、図面解析装置100は、ユーザの視認、ユーザの理解を助け、設計図面の検証や修正作業の作業性を向上させる効果を提供する。
【0150】
図面解析装置100は、上述した不備の図面箇所を特定し、所定の形式でユーザに対して出力する。その場合、図面解析装置100は、不備の図面箇所が入力されうる位置を強調表示するのではなく、その周囲の構成要素を強調して表示することができる。例えば、図面解析装置100は、「区切り記号が不足する」場合において、当該区切り記号の挿入位置を強調するのではなく、当該区切り記号に区切られる配管の線種や色、太さ等で変化点を表現できる。これにより、図面解析装置100は、ユーザの視認、ユーザの理解を助け、設計図面の検証や修正作業の作業性を向上させる効果を提供する。
【0151】
(システム)
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0152】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0153】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0154】
<ハードウェア構成>
次に、図面解析装置100のハードウェア構成例を説明する。図19は、本実施形態に係る図面解析装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。図19に示すように、図面解析装置100は、入力装置100a、表示装置100b、通信装置100c、メモリ100d、プロセッサ100e、HDD(Hard Disk Drive)100f、を有する。また、図19に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0155】
入力装置100aは、マウスやキーボード等であり、ユーザ等の操作に基づいて情報の入力を受け付ける。表示装置100bは、ディスプレイやプリンタ等であり、図面解析装置100により解析された情報をユーザ等に対して出力する。
【0156】
通信装置100cは、ネットワークインタフェースカード等であり、他のサーバとの通信を行う。HDD100fは、図19に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0157】
プロセッサ100eは、図19に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD100f等から読み出してメモリ100dに展開することで、図19等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、図面解析装置100が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ100eは、受付部151、抽出部152、特定部153、出力部154等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0158】
このように、図面解析装置100は、プログラムを読み出して実行することで解析方法を実行する情報処理装置として動作する。また、図面解析装置100は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、図面解析装置100によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0159】
このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0160】
<その他>
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0161】
(1)プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出する抽出部と、前記設計図面の構成要素に基づいて、前記設計図面において特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容の少なくとも一方を特定する特定部と、を備える図面解析装置。
【0162】
(2)前記特定部は、配管の区切り記号の不備、配管の識別情報の不備および流動体の流れ方向記号の不備のうちの少なくとも1つを特定する前記特定条件に該当する前記設定情報の設定位置、または前記設定情報の設定内容の少なくとも一方を特定する、(1)に記載の図面解析装置。
【0163】
(3)前記特定部は、前記設計図面の構成要素に含まれる配管の識別情報に基づいて、前記配管の識別情報のうち第1の配管の識別情報と第2の配管の識別情報との間で識別情報が異なり、かつ前記配管の区切り記号が存在しない場合には、該配管の区切り記号の入力対象位置を、前記配管の区切り記号の不備に該当する前記設定情報の設定位置として特定する、(2)に記載の図面解析装置。
【0164】
(4)前記特定部は、前記設計図面の構成要素に含まれる配管の区切り記号に基づいて、前記配管の区切り記号が存在するが、該配管の区切り記号に区切られる第1の配管の識別情報または第2の配管の識別情報の少なくともいずれか一方が存在しない場合には、当該存在しない配管の識別情報に応じた入力対象位置を、前記配管の識別情報の不備に該当する前記設定情報の設定位置として特定する、(2)に記載の図面解析装置。
【0165】
(5)前記特定部は、前記設計図面に設定された設定情報により特定される配管内の流動体の流れの方向と、設計図面に設定された設定情報により特定される流動体を動作させる設備により生じる流動体の流れの方向との間で、前記流動体の流れ方向の矛盾を生じさせる箇所を、流動体の流れ方向記号の不備に該当する前記設定情報の設定位置として特定する、(2)から(4)のいずれか1つに記載の図面解析装置。
【0166】
(6)前記特定部は、文字種、文字数、並び順のうち少なくともいずれか1つを含む所定の特定条件を満たす配管の識別情報を、前記配管の識別情報の不備に該当する前記設定情報の設定内容として特定する、(2)から(4)のいずれか1つに記載の図面解析装置。
【0167】
(7)前記特定部は、前記設計図面の構成要素に含まれる配管を示す線分に基づいて、前記設計図面において前記特定条件を満たす配管の識別情報または配管の区切り記号の入力候補位置を、前記設定情報の設定位置として特定する、(1)に記載の図面解析装置。
【0168】
(8)前記抽出部は、前記設計図面として、紙媒体の設計図面から画像解析によりデジタル化された設計図面、またはCADに基づき設計された設計図面から、前記設計図面の構成要素を抽出する、(1)から(7)のいずれか1つに記載の図面解析装置。
【0169】
(9)コンピュータが、プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出し、前記設計図面の構成要素に基づいて、前記設計図面において特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容の少なくとも一方を特定する、処理を実行する図面解析方法。
【0170】
(10)コンピュータに、プラントの設計図面から前記設計図面の構成要素を抽出し、前記設計図面の構成要素に基づいて、前記設計図面において特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容の少なくとも一方を特定する、処理を実行させる図面解析プログラム。
【符号の説明】
【0171】
100 図面解析装置
110 入力部
120 表示部
130 通信部
140 記憶部
141 図面DB
142 特定条件DB
143 抽出要素DB
144 構成要素DB
150 制御部
151 受付部
152 抽出部
153 特定部
154 出力部
【要約】
【課題】設計図面の品質の向上させることができる。
【解決手段】図面解析装置100は、プラントの設計図面から設計図面の構成要素を抽出する。図面解析装置100は、設計図面の構成要素に基づいて、設計図面において特定条件に該当する設定情報の設定位置、または設定情報の設定内容の少なくとも一方を特定する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
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