(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型接着剤および積層体
(51)【国際特許分類】
C09J 4/00 20060101AFI20240521BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240521BHJP
B32B 27/16 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C09J4/00
B32B27/00 C
B32B27/16
(21)【出願番号】P 2023198757
(22)【出願日】2023-11-24
【審査請求日】2023-12-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 大
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-168213(JP,A)
【文献】特開2016-175959(JP,A)
【文献】特開2015-174935(JP,A)
【文献】特開2015-174867(JP,A)
【文献】特開2015-108097(JP,A)
【文献】特開2015-098570(JP,A)
【文献】国際公開第2014/010627(WO,A1)
【文献】特開2011-076067(JP,A)
【文献】特開2010-282161(JP,A)
【文献】特開2017-134413(JP,A)
【文献】特開2018-104635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 4/00
B32B 27/00
B32B 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム(F1)を具備する積層体の製造に用いるフィルム貼合用の接着剤であって、
フィルム(F1)は、極性基を有するシクロオレフィンモノマーを構成単位として含む樹脂からなるフィルムであり、
接着剤100質量%中に、単官能モノマー(M1)を20~95質量%含有
し、
単官能モノマー(M1)が、炭素原子を7つ以上有し水酸基を含有しない単官能モノマー(M1-1)と
水酸基を含有する単官能モノマー(M1-2)とを含み、
更に重量平均分子量1000~60,000のオリゴマー(O)を含み、
オリゴマー(O)がウレタン(メタ)アクリレート(O-1)を含み、
ウレタン(メタ)アクリレート(O-1)が、ポリオールとポリイソシアネートと水酸基を含有する単官能モノマー(M1-2)との反応生成物であり、
ポリオールが、炭素数4以上のアルキレン構造を有するポリエーテルポリオール、単位構造の炭素数が12以上であるポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオールおよびポリオレフィンポリオールからなる群より選択されるいずれかである
活性エネルギー線硬化型接着剤。
【請求項2】
炭素原子を7つ以上有し水酸基を含有しない単官能モノマー(M1-1)が、脂肪族鎖式炭化水素基、脂肪族環式炭化水素基、芳香環、およびヘテロ環(芳香環を有するものを除く)からなる群より選択されるいずれかの構造を有する単官能モノマーを少なくとも1種以上含む請求項1記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
【請求項3】
炭素原子を7つ以上有し水酸基を含有しない単官能モノマー(M1-1)が、脂肪族環式炭化水素基および芳香環からなる群より選択されるいずれかの構造を有する単官能モノマーを少なくとも1種以上含む請求項2記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
【請求項4】
水酸基を含有する単官能モノマー(M1-2)が、炭素数1~6のジオールのアクリル酸エステルを含む請求項
1記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
【請求項5】
更に多官能モノマー(M2)を含有する請求項
1記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
【請求項6】
多官能モノマー(M2)が、炭素数7~20のアルキレン基、脂環構造およびヘテロ環構造のいずれかを有する2官能または3官能(メタ)アクリレートを含有する請求項5記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
【請求項7】
更にシラン化合物(S)を含有する請求項
5記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
【請求項8】
シラン化合物(S)が、反応性官能基を有する請求項
7記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
【請求項9】
シラン化合物(S)が、エポキシ基を有する請求項
8記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
【請求項10】
接着剤の全量100質量%中に、炭素原子を7つ以上有し水酸基を含有しない単官能モノマー(M1-1)を10~70質量%、水酸基を含有する単官能モノマー(M1-2)を10~70質量%、オリゴマー(O)を1~30質量%、多官能モノマー(M2)を1~50質量%およびシラン化合物(S)を1~30質量%含有する、請求項
7記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
【請求項11】
フィルム(F1)と、請求項1~10いずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型接着剤からなる接着剤層と、フィルム(F1)またはフィルム(F2)と、をこの順に備え、フィルム(F2)はポリビニルアルコール系フィルム、ポリアセチルセルロース系フィルム、極性基を有するモノマーを含まないシクロオレフィンポリマー、ポリプロピレン系フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリイミド系フィルムおよびガラスフィルムからなる群より選択されるいずれかである積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型接着剤およびそれを用いた積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化型接着剤は、重合速度が速く、また一般に無溶剤で使用できるため、作業性に優れ、さらに重合時に必要となるエネルギーが極めて低い等の優れた特性を有している。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、ラジカル系、カチオン系、またはラジカル系とカチオン系の併用系(ハイブリッド系)の活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられ、幅広い用途で使用されている。
【0003】
液晶表示関連分野などに用いられる偏光子は、通常ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素や染料を吸着させたものを一軸延伸して製造される。このポリビニルアルコール系偏光子は、熱や水分により収縮し、偏光性能の低下をきたす。そこで、PVA系偏光子の表面に保護フィルムを貼合せたものが偏光板として用いられている。
【0004】
PVA系偏光子と保護フィルムの貼り合わせには、水系接着剤や活性エネルギー線硬化型接着剤が使用されており、なかでも保護フィルムに用いられる基材の汎用性や、生産面における効率化や省エネルギー化の観点から、活性エネルギー線硬化型接着剤の利用が進んでいる。
活性エネルギー線硬化型接着剤には、PVA系偏光子と保護フィルムの貼り合わせに十分な接着性、PVA系偏光子の偏光性能低下を抑制するための耐熱性、耐湿性、耐水性などの性能が求められる。
【0005】
特許文献1には、ノルボルネン系樹脂フィルムなどのトリアセチルセルロースより透湿度の低いフィルムを保護フィルムに用いた偏光板の接着強度などの課題に対して、芳香環を含まないエポキシ樹脂を主成分とするカチオン系の活性エネルギー線硬化型接着剤が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ノルボルネン系樹脂のみならず、アクリル系樹脂やトリアセチルセルロースのフィルムにも強固に接合する接着剤として、2-ヒドロキシブチルアクリレートと1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを併用したハイブリッド系の活性エネルギー線硬化型接着剤が開示されている。
【0007】
特許文献3には、反り、偏光特性、耐久性の課題に対して、特定の範囲のSP値であるアクリル系モノマーを使用したラジカル系の活性エネルギー線硬化型接着剤が開示されている。
【0008】
一方、偏光板に用いられる保護フィルムは、以前はトリアセチルセルロースフィルムが用いられていたが、透湿度の高いトリアセチルセルロースフィルムを保護膜として貼合した偏光板は、温度60℃、相対湿度90%RHのような湿熱条件下で劣化を引き起こすことから、透湿度の低い樹脂フィルムとして、非晶性ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂などの使用が増えている。(特許文献1、2、3)
【0009】
また、近年では、これまで以上のフィルムの薄膜化が可能であり、アンチブロッキング、アンチグレア、UVカット等の機能付与しやすい非晶性ポリオレフィン系樹脂として、極性基を有するモノマーとシクロオレフィンモノマーとの共重合樹脂や、極性基を有するポリマーとシクロオレフィンポリマーの混合樹脂や、極性基を有するシクロオレフィン系樹脂が使用されてきている。特許文献4には、極性基を有するシクロオレフィン樹脂からなる光学フィルムとポリビニルアルコールからなる偏光子を、ジプロピレングリコールジアクリレートと複数のエポキシモノマーからなる紫外線硬化型接着剤で貼合して得られる偏光板が開示されている。
【0010】
しかし、極性基を有するモノマーとシクロオレフィンモノマーとの共重合樹脂や、極性基を有するポリマーとシクロオレフィンポリマーの混合樹脂や、極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなるフィルムに対して、従来の接着剤では、塗膜ヘイズが高い、製造後の偏光板の反りが大きい、接着力が低いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2004-245925号公報
【文献】特開2010-018722号公報
【文献】特開2013-210513号公報
【文献】国際公開第2023/276304号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム(F1)を含む積層体の製造において、透明性に優れ、硬化後の反りが小さく、優れた接着性及び優れた高温高湿耐性を有する積層体を形成可能な活性エネルギー線硬化型接着剤およびそれを用いた積層体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す活性エネルギー線硬化型組成物により前記目標達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明は、極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム(F1)を具備する積層体の製造に用いるフィルム貼合用の接着剤であって、
接着剤100質量%中に、単官能モノマー(M1)を20~95質量%含有する活性エネルギー線硬化型接着剤に関する。
【0015】
また、本発明は、単官能モノマー(M1)が、炭素原子を7つ以上有し水酸基を含有しない単官能モノマー(M1-1)を含む前記活性エネルギー線硬化型接着剤に関する。
【0016】
また、本発明は、単官能モノマー(M1)が、更に、水酸基を含有する単官能モノマー(M1-2)を含む前記活性エネルギー線硬化型接着剤に関する。
【0017】
また、本発明は、炭素原子を7つ以上有し水酸基を含有しない単官能モノマー(M1-1)が、脂肪族鎖式炭化水素基、脂肪族環式炭化水素基、芳香環、およびヘテロ環(芳香環を有するものを除く)からなる群より選択されるいずれかの構造を有する単官能モノマーを少なくとも1種以上含む前記活性エネルギー線硬化型接着剤に関する。
【0018】
また、本発明は、更に重量平均分子量1000~60,000のオリゴマー(O)を含有する前記活性エネルギー線硬化型接着剤に関する。
【0019】
また、本発明は、オリゴマー(O)がウレタンアクリレート(O-1)、ポリエステルアクリレート(O-2)、エポキシアクリレート(O-3)からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である前記活性エネルギー線硬化型接着剤に関する。
【0020】
また、本発明は、オリゴマー(O)がウレタンアクリレート(O-1)を含む前記活性エネルギー線硬化型接着剤に関する。
【0021】
また、本発明は、ウレタンアクリレート(O-1)が、ポリオールとポリイソシアネートと水酸基を含有する単官能モノマー(M1-2)との反応生成物であり、
ポリオールが、炭素数4以上のアルキレン構造を有するポリエーテルポリオール、単位構造の炭素数が12以上であるポリエステルポリオールおよびポリオレフィンポリオールからなる群より選択されるいずれかである前記活性エネルギー線硬化型接着剤に関する。
【0022】
また、本発明は、更に多官能モノマー(M2)を含有する前記活性エネルギー線硬化型接着剤に関する。
【0023】
また、本発明は、更にシラン化合物(S)を含有する前記活性エネルギー線硬化型接着剤に関する。
【0024】
また、本発明は、接着剤の全量100質量%中に、炭素原子を7つ以上有し水酸基を含有しない単官能モノマー(M1-1)を10~70質量%、水酸基を含有する単官能モノマー(M1-2)を10~70質量%、オリゴマー(O)を1~30質量%、多官能モノマー(M2)を1~50質量%およびシラン化合物(S)を1~30質量%含有する前記活性エネルギー線硬化型接着剤に関する。
【0025】
また、本発明は、フィルム(F1)と、前記活性エネルギー線硬化型接着剤からなる接着剤層と、フィルム(F1)またはフィルム(F2)と、をこの順に備え、フィルム(F2)はポリビニルアルコール系フィルム、ポリアセチルセルロース系フィルム、極性基を有するモノマーを含まないシクロオレフィンポリマー、ポリプロピレン系フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリイミド系フィルムおよびガラスフィルムからなる群より選択されるいずれかである積層体に関する。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム(F1)を含む積層体の製造において、透明性に優れ、硬化後の反りが小さく、優れた接着性をする積層体を形成可能な活性エネルギー線硬化型接着剤およびそれを用いた積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。本明細書では、「(メタ)アクリル」、と表記した場合には、特に断りがない限り、それぞれ「アクリルまたはメタクリル」を表す。また、モノマーとはエチレン性不飽和二重結合基を有する単量体を指し、単官能モノマーとはエチレン性不飽和二重結合基を1つ有する単量体、多官能モノマーとはエチレン性不飽和二重結合基を2つ以上有する単量体を指す。
【0028】
また、単官能モノマー(M1)を化合物(M1)、炭素原子を7つ以上有し水酸基を含有しない単官能モノマー(M1-1)を化合物(M1-1)、水酸基を含有する単官能モノマー(M1-2)を化合物(M1-2)、重量平均分子量1000~60,000のオリゴマー(O)を化合物(O)、ウレタンアクリレート(O-1)を化合物(O-1)、ポリエステルアクリレート(O-2)を化合物(O-2)、エポキシアクリレート(O-3)を化合物(O-3)、多官能モノマー(M2)を化合物(M2)、シラン化合物(S)を化合物(S)、極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム(F1)をフィルム(F1)、活性エネルギー線硬化型接着剤を接着剤と略記する場合がある。
本明細書において、特に記載がない限り、「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
また、本明細書において重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量である。
【0029】
<単官能モノマー(M1)>
化合物(M1)はエチレン性不飽和二重結合基を1つ有する化合物である。接着剤に化合物(M1)を含むことで、透明性に優れた接着層が得られ、硬化後に積層体のカールが起こりにくく、接着剤硬化膜の架橋密度が高くなりすぎずフィルム(F1)に密着しやすくなる。
【0030】
化合物(M1)は、炭素原子を7つ以上有し水酸基を含有しない単官能モノマー(M1-1)、水酸基を含有する単官能モノマー(M1-2)、及びその他単官能モノマー(M1-3)に分類され、特に制限が無く使用できる。化合物(M1-1)を含むことが好ましく、化合物(M1-1)と化合物(M1-2)を併用することがより好ましい。
化合物(M1)は、質量平均分子量1000未満が好ましく500未満がより好ましい。化合物(M1)は質量平均分子量が1000未満であると樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず、塗工時の膜厚制御が容易になる。
【0031】
化合物(M1)の含有率は、接着剤100質量%中、20~95質量%である。化合物(M1)の含有率が20質量%未満では塗膜ヘイズとカール性が悪く、95質量%超であると硬化が不十分であり接着力、耐湿熱性が悪化する。
塗膜ヘイズ、カール性、接着力、耐湿熱性の点で、20~95質量%であることが好ましく、40~80質量%であると接着力、耐湿熱性が特に優れるためより好ましい。
【0032】
<炭素原子を7つ以上有し水酸基を含有しない単官能モノマー(M1-1)>
化合物(M1-1)は炭素原子を7つ以上有する構造を有し水酸基を含有しない単官能モノマーである。化合物(M1-1)を含むことで、接着剤がフィルム(F1)を侵食しやすくなり、接着力が向上する。また、耐湿熱性、カール性が改善する。
【0033】
化合物(M1-1)は、接着力が向上するため、脂肪族鎖式炭化水素基、脂肪族環式炭化水素基(シクロアルキル基にエポキシ構造を含むものは除く)、芳香環、および芳香環を含まないヘテロ環構造からなる群より選択される構造を有する単官能モノマーを含むことが好ましい。
これら構造は、1種だけ用いても良いし、複数種を併用しても良い。特に、脂肪族環式炭化水素基を含むと幅広い基材で接着力が向上するため好ましい。
また、化合物(M1-1)は、親水性の構造を含むとフィルム(F1)の侵食性が低下するため、有機酸、アミノ基、繰り返し単位が2以上のエチレンオキサイドを含まない構造が好ましい。
【0034】
化合物(M1-1)の含有率は、接着剤100質量%中、10~70質量%であることが好ましく、10~50質量%がより好ましい。10質量%以上であるとフィルム(F1)との接着力がより向上し、70質量%以下であると幅広い基材で接着力がより向上する。
【0035】
化合物(M1-1)は、例えば、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、2-メチルヘキシル(メタ)アクリレート、n―オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、1-メチルヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソパルミチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素原子を7つ以上有する脂肪族鎖式炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
【0036】
例えば、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-プロピル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、アクリル酸3-[2-(6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル)エトキシ]プロピル等の炭素原子を7つ以上有する脂肪族環式炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
【0037】
例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ化フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール変性o-フェニルフェノキシ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルフェノキシプロピルアクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2-ナフチルアクリレート、フルオレノール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-オキソ-1,2-ジフェニルエチル、2-アンスリル(メタ)アクリレート、アントリルメチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール-アクリル酸-安息香酸エステル等の炭素原子を7つ以上有する芳香環含有(メタ)アクリル酸エステル類;
【0038】
例えば、(2-メチル-2-エチル-1,3ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチル、プロポキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等の炭素原子を7つ以上有するヘテロ環含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0039】
<水酸基を含有する単官能モノマー(M1-2)>
化合物(M1-2)は、水酸基を含有する単官能モノマーである。樹脂組成物中に化合物(M1-2)を含むことで、基材の親水性官能基等と水素結合を形成し、接着力が向上する。
【0040】
化合物(M1-2)の含有率は、活性エネルギー線硬化型接着剤100質量%中、10~70質量%であることが好ましく、10~50質量%がより好ましい。10質量%以上であると接着力がより向上し、70質量%以下であると幅広い基材で接着力がより向上する。
【0041】
化合物(M1-2)としては、水酸基と、エチレン性不飽和二重結合基を1つ有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸エチル-α-(ヒドロキシメチル)、単官能(メタ)アクリル酸等の脂肪酸エステル系(メタ)アクリル酸エステル、あるいは、前記水酸基含有エチレン性不飽和二重結合基を有する化合物に対してε-カプロラクトンラクトンの開環付加により末端に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルや、前記水酸基含有エチレン性不飽和二重結合基を有する化合物に対してエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを繰り返し付加したアルキレンオキサイド付加(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基含有の脂肪族(メタ)アクリル酸エステル類;
【0042】
例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシオクチルビニルエーテル、ヒドロキシデシルビニルエーテル、ヒドロキシドデシルビニルエーテル、ヒドロキシオクタデシルビニルエーテル、グリセリルビニルエーテル、あるいはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの繰り返し付加した末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド付加系ビニルエーテル等の水酸基含有の脂肪族ビニルエーテル類;
【0043】
例えば、(メタ)アリルアルコール、イソプロペニルアルコール、ジメチル(メタ)アリルアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシヘキシル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシオクチル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシデシル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシドデシル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシオクタデシル(メタ)アリルエーテル、グリセリル(メタ)アリルエーテル、あるいはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの繰り返し付加した末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド付加系(メタ)アリルエーテル等の水酸基含有の脂肪族(メタ)アリルアルコール類ないしは(メタ)アリルエーテル類;
【0044】
例えば、プロペンジオール、ブテンジオール、ヘプテンジオール、オクテンジオール、ジ(メタ)アクリル酸グルセロール等の複数の水酸基を有するエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物類;
例えば、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド〔N-ヒドロキシエチルアクリルアミドとN-ヒドロキシエチルメタクリルアミドとを併せて「N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド」と表記する。以下同様。〕、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有の(メタ)アクリルアミド類;
【0045】
例えば、ビニルアルコール等の水酸基とエテニル基を有する単量体類等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0046】
化合物(M1-2)としては、基材との密着性の面より、炭素数1~6のジオールのアクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルが特に好ましい。
【0047】
<その他単官能モノマー(M1-3)>
その他単官能モノマーは、上記(M1-1)および(M1-2)を除く単官能モノマーを指す。(M1-3)はエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物であれば何ら限定されない。(M1-3)の含有率は、幅広い基材との接着力の点で0~30質量%であることが好ましい。
【0048】
<オリゴマー(O)>
オリゴマー(O)は、重量平均分子量が1000~60,000であり、エチレン性不飽和二重結合基を含有する化合物である。オリゴマー(O)は、ウレタン(メタ)アクリレート(O-1)、ポリエステル(メタ)アクリレート(O-2)、及びエポキシ(メタ)アクリレート(O-3)、及びその他重量平均分子量が1000~60,000のエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物(O-4)に分類され、化合物(O-1)、化合物(O-2)、及び化合物(O-3)からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上のオリゴマーが好ましく、特に制限が無く使用できる。ただし、アルコキシシリル基を有する化合物の場合は、後述のシラン化合物(S)に分類する。
【0049】
オリゴマー(O)を用いることで、接着剤の硬化後に貼合物のカールが起きにくくなる。なかでもウレタン(メタ)アクリレート(O-1)は、硬化収縮を緩和しやすいため硬化後のカールが小さく、極性の大きいウレタン結合を有することから塗膜が破壊されづらくなり接着力も向上する。
【0050】
化合物(O)の重量平均分子量は、5000~50,000の範囲が好ましい。化合物(O)の重量平均分子量がこの範囲であると、接着力、塗膜ヘイズ、カール性が優れる。
【0051】
化合物(O)の含有率は、活性エネルギー線硬化型接着剤100質量%中、1~30質量%が好ましく、2~20質量%がより好ましい。1質量%以上であれば、硬化後のカールが改善し、30質量%以下であれば、粘度が高くなりすぎず、塗工時の膜厚の制御が容易になる。
【0052】
ウレタン(メタ)アクリレート(O-1)は、ポリイソシアネートと、化合物(M1-2)を反応させて得られる化合物、あるいはポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーと、化合物(M1-2)を反応させて得られる化合物、あるいはポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーと、2個以上のアミノ基を有する化合物と、を反応させて得られる末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーと、化合物(M1-2)と、を反応させて得られる化合物などが例として挙げられる。
【0053】
化合物(O-1)は、ポリイソシアネートとポリオールと化合物(M1-2)との反応生成物であることが好ましく、それぞれ2:1:2のモル比で反応させて得られる化合物であることがより好ましい。前記比率で反応させることで、理論的に1分子の両末端にアクリレート基を有する構造となるため、柔軟さと架橋密度のバランスがよく、硬化後の積層体のカールが小さく、基材密着性が良好になるためである。
【0054】
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0055】
芳香族ポリイソシアネートとしては、より具体的に、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
【0056】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0057】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0058】
脂環族ポリイソシアネートとしては、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:IPDI)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0059】
また一部上記ポリイソシアネートの2-メチルペンタン-2,4-ジオールアダクト体、イソシアヌレート環を有する3量体等も併用することができる。ポリフェニルメタンポリイソシアネート(別名:PAPI)、ナフチレンジイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート変性物等を使用し得る。なおポリイソシアネート変性物としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、水と反応したビュレット基、イソシアヌレート基のいずれかの基、またはこれらの基の2種以上を有する変性物を使用できる。ポリオールとジイソシアネートの反応物も少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物として使用することができる。
【0060】
イソシアネート基を有する化合物は脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネート化合物がカールの観点で好ましい。
また、ポリオールとしては、数平均分子量(Mn)が約50~500の低分子量のポリオール類や、数平均分子量(Mn)が500~30,000の高分子量のポリオール類が挙げられ、それぞれ、特に制限が無く使用できる。
【0061】
低分子量のポリオール類としては、より具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール(付加モル数10以下)、ポリオキシプロピレングリコール(付加モル数10以下)、プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール,トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、ダイマージオール等の脂肪族又は脂環式ジオール類;
1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’-メチレンジフェノール、4,4’-(2-ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’-ジヒドロキシビフェノール、o-,M-及びp-ジヒドロキシベンゼン、4,4’-イソプロピリデンフェノール、ビスフェノールにアルキレンオキサイドを付加させた付加型ビスフェノール等の芳香族ジオール類等を挙げることができる。
【0062】
付加型ビスフェノールの原料ビスフェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられ、原料アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。
高分子量のポリオール類としては、より具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール、ポリアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリウレタンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールは、後述するポリエステル(メタ)アクリレート(O-2)の合成で使用される分子末端に水酸基が残る比率で多塩基酸と多価アルコールを重縮合して得られるポリエステルであり、多塩基酸と多価アルコールはポリエステル(メタ)アクリレート(O-2)の合成と同じものを使用できる。
ポリカーボネートポリオールは、上記の低分子量のジオールと炭酸エステル又はホスゲンとの反応によって得られる。
【0063】
上記ポリエステルポリオールの市販品としては、例えば、東洋紡績社製のバイロンシリーズ、クラレ社製のクラレポリオールPシリーズ、協和発酵ケミカル社製のキョーワポールシリーズが挙げられる。
上記ポリアミドポリオールの市販品としては、富士化成工業社製のTPAE617等を使用できる。
上記ポリカーボネートポリオールの市販品としては、例えば、パーストープ社製のオキシマーN112、旭化成ケミカルズ社製のPCDLシリーズ、クラレ社製のクラレポリオールPMHCシリーズ、クラレポリオールCシリーズ等が挙げられる。
【0064】
上記ポリウレタンポリオールの市販品としては、例えば、東洋紡績社製のバイロンURシリーズ、三井化学ポリウレタン社製のタケラックE158(水酸基価=20,酸価<3)、タケラックE551T(水酸基価=30,酸価<3)、及び、タケラックY2789(水酸基価=10,酸価<2)等が挙げられる。
その他に、ポリカプロラクトンジオール、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)ジオール、ポリバレロラクトンジオール等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール等も、高分子量ポリオールに含まれる。
【0065】
ポリオールは高分子量ポリエーテルジオールまたは高分子量ポリエステルジオールが密着性の観点で好ましい。
【0066】
またアミノ基を有するアミン類としては、より具体的には、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、(2-ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシエチルエチレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(2-ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、ピペラジン等の脂肪族ポリアミン;
【0067】
イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン等の脂環式ポリアミン;
フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、2,4-トリレンジアミン、2,6-トリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン,3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ビス-(sec-ブチル)ジフェニルメタン等の芳香族ジアミン;
トリメチルシリルジメチルアミン等の単官能のシリルアミノ基を保有するシリルアミン類;
1,1,3,3-テトラメチルジシラザン等の2官能のシリルアミノ基を保有するシリルアミン類が使用できる。
【0068】
ウレタン(メタ)アクリレート(O-1)はポリオールと、ポリイソシアネートと、水酸基を有するアクリル酸エステルの反応生成物が好ましい。ポリオールは、炭素数4以上のアルキレン構造を有するポリエーテルポリオール、単位構造の炭素数が12以上であるポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオールを用いた場合が好ましく、特に、炭素数4以上のポリオールからなるポリエーテルポリオール、単位構造の炭素数が12以上であるポリエステルポリオールを用いた場合が好ましい。
【0069】
ポリエステル(メタ)アクリレート(O-2)は、分子末端に水酸基が残る比率で多塩基酸と多価アルコールを重縮合して得られるポリエステルの末端水酸基と(メタ)アクリル酸、マレイン酸などの分子内に1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和二重結合基含有化合物とのエステル化によって得られる化合物、あるいは、分子末端にカルボキシル基が残る比率で多塩基酸と多価アルコールを重縮合して得られるポリエステルの末端カルボキシル基と(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどの前述の化合物(M1-2)とのエステル化によって得られる化合物である。
その他、酸無水物と(メタ)アクリル酸グリシジルと少なくとも1個の水酸基を有する化合物とから得られるポリエステル(メタ)アクリレート等もポリエステル(メタ)アクリレート(O-2)として使用可能である。
【0070】
上記、多塩基酸としては、脂肪族系、脂環族系、及び芳香族系が挙げられ、それぞれ特に制限が無く使用できる。脂肪族系多塩基酸としては、より具体的には、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、スベリン酸、マレイン酸、クロロマレイン酸、フマル酸、ドデカン二酸、ピメリン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらの脂肪族ジカルボン酸及びその無水物が利用できる。又、無水コハク酸の誘導体(メチル無水コハク酸物、2,2-ジメチル無水コハク酸、ブチル無水コハク酸、イソブチル無水コハク酸、ヘキシル無水コハク酸、オクチル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、フェニル無水コハク酸等)、無水グルタル酸の誘導体(無水グルタル酸、3-アリル無水グルタル酸、2,4-ジメチル無水グルタル酸、2,4-ジエチル無水グルタル酸、ブチル無水グルタル酸、ヘキシル無水グルタル酸等)、無水マレイン酸の誘導体(2-メチル無水マレイン酸、2,3-ジメチル無水マレイン酸、ブチル無水マレイン酸、ペンチル無水マレイン酸、ヘキシル無水マレイン酸、オクチル無水マレイン酸、デシル無水マレイン酸、ドデシル無水マレイン酸、2,3-ジクロロ無水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、2,3-ジフェニル無水マレイン酸等)等の無水物誘導体も利用できる。
【0071】
脂環族系多塩基酸としては、より具体的には、例えば、脂環族ジカルボン酸としては、例えば、ダイマー酸、シクロプロパン-1α,2α-ジカルボン酸、シクロプロパン-1α,2β-ジカルボン酸、シクロプロパン-1β,2α-ジカルボン酸、シクロブタン-1,2-ジカルボン酸、シクロブタン-1α,2β-ジカルボン酸、シクロブタン-1α,3β-ジカルボン酸、シクロブタン-1α,3α-ジカルボン酸、(1R)-シクロペンタン-1β,2α-ジカルボン酸、trans-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸、(1β,2β)-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸、(1β,3β)-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸、(1S,2S)-1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,1-シクロヘプタンジカルボン酸、クバン-1,4-ジカルボン酸、2,3-ノルボルナンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の飽和脂環属ジカルボン酸や、1-シクロブテン-1,2-ジカルボン酸、3-シクロブテン-1,2-ジカルボン酸、1-シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸、4-シクロペンテン-1,3-ジカルボン酸、1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,3-ジカルボン酸、2,5-ヘキサジエン-1α,4α-ジカルボン酸等の環内に不飽和二重結合が1もしくは2個有した不飽和脂環属ジカルボン酸が挙げられ、これらの脂環族ジカルボン酸及びその無水物等が利用できる。
【0072】
また、ヘキサヒドロ無水フタル酸の誘導体((3-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸)、テトラヒドロ無水フタル酸の誘導体(1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、3-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、4-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニル-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸等)等の水素添化した無水フタル酸誘導体も脂環族ジカルボン酸無水物として利用できる。
【0073】
芳香族系多塩基酸としては、より具体的には、例えば、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、o-フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、2,5-ジメチルテレフタル酸、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、4,4-ビフェニルジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4´-ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、1,2-アズレンジカルボン酸、1,3-アズレンジカルボン酸、4,5-アズレンジカルボン酸、(-)-1,3-アセナフテンジカルボン酸、1,4-アントラセンジカルボン酸、1,5-アントラセンジカルボン酸、1,8-アントラセンジカルボン酸、2,3-アントラセンジカルボン酸、1,2-フェナントレンジカルボン酸、4,5-フェナントレンジカルボン酸、3,9-ペリレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、無水フタル酸、4-メチル無水フタル酸等の芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられ、これらの芳香族ジカルボン酸及びその無水物等が利用できる。
【0074】
さらに、無水クロレンド酸、無水ヘット酸、ビフェニルジカルボン酸無水物、無水ハイミック酸、エンドメチレン-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、メチル-3,6-エンドメチレン-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1-シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、1,8-ナフタレンジカルボン酸無水物、オクタヒドロ-1,3-ジオキソ-4,5-イソベンゾフランジカルボン酸無水物等の酸無水物類も多塩基酸として使用可能である。
【0075】
また、多価アルコールとしては、数平均分子量(Mn):約50~500の比較的低分子量のポリオール類や、数平均分子量(Mn):500~30,000の比較的高分子量のポリオール類が挙げられ、それぞれ、特に制限が無く使用できる。
【0076】
比較的低分子量のポリオール類としては、より具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール(付加モル数10以下)、ポリオキシプロピレングリコール(付加モル数10以下)、プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール,トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、ダイマージオール等の脂肪族又は脂環式ジオール類;
【0077】
1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’-メチレンジフェノール、4,4’-(2-ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’-ジヒドロキシビフェノール、o-,M-及びp-ジヒドロキシベンゼン、4,4’-イソプロピリデンフェノール、ビスフェノールにアルキレンオキサイドを付加させた付加型ビスフェノール等の芳香族ジオール類等を挙げることができる。
【0078】
付加型ビスフェノールの原料ビスフェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられ、原料アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。
比較的高分子量のポリオール類としては、より具体的には、例えば、高分子量ポリエステルポリオール、高分子量ポリアミドポリオール、高分子量ポリカーボネートポリオール及び高分子量ポリウレタンポリオールが挙げられる。高分子量ポリカーボネートポリオールは、上記の比較的低分子量のジオールと炭酸エステル又はホスゲンとの反応によって得られる。
【0079】
上記高分子量ポリエステルポリオールの市販品としては、例えば、東洋紡績社製のバイロンシリーズ、クラレ社製のクラレポリオールPシリーズ、協和発酵ケミカル社製のキョーワポールシリーズが挙げられる。
上記高分子量ポリアミドポリオールの市販品としては、富士化成工業社製のTPAE617等を使用できる。
上記高分子量ポリカーボネートポリオールの市販品としては、例えば、パーストープ社製のオキシマーN112、旭化成ケミカルズ社製のPCDLシリーズ、クラレ社製のクラレポリオールPMHCシリーズ、クラレポリオールCシリーズ等が挙げられる。
【0080】
上記高分子量ポリウレタンポリオールの市販品としては、例えば、東洋紡績社製のバイロンURシリーズ、三井化学ポリウレタン社製のタケラックE158(水酸基価=20,酸価<3)、タケラックE551T(水酸基価=30,酸価<3)、及び、タケラックY2789(水酸基価=10,酸価<2)等が挙げられる。
その他に、ポリカプロラクトンジオール、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)ジオール、ポリバレロラクトンジオール等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール等も、上記高分子量ポリオールとして使用できる高分子量ポリオールに含まれる。
【0081】
エポキシアクリレート(O-3)は、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物中のエポキシ基に対し、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート化合物中のカルボキシル基をほぼ等量反応させることにより得られる化合物である。あるいは、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物中のエポキシ基に対し、多塩基酸中のカルボキシル基を当量未満の割合で反応させ、エポキシ基を残し、その残りのエポキシ基に対して、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート化合物中のカルボキシル基をほぼ等量となるように反応させて得られる化合物である。いずれの場合においても、反応系全体の「カルボキシル基」と「エポキシ基」のバランスが等量±10%以内にすることにより、カルボキシル基、またはエポキシ基が本発明の接着剤中に残りにくくなり、接着剤の保存安定性が良好となるため好ましい。
【0082】
2つ以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物としては、エポキシ基を2個含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビフェノール・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、グリセリン・エピクロロヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ジヒドロキシアントラセン型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジフェニルスルホンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ジフェニルメタンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジルトルイジン、特開2004-156024号公報、特開2004-315595号公報、特開2004-323777号公報に開示されている柔軟性に優れたエポキシ化合物等が挙げられる。
【0083】
中でも、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェニル、フルオレン骨格を含有するエポキシ樹脂は、最終的に得られるエポキシ(メタ)アクリレート(O-3)の屈折率が高くなるため好ましい。
本発明において、2つ以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物は単独で使用しても良いし、複数を併用しても構わない。
【0084】
エポキシ(メタ)アクリレート(O-3)の製造の際に用い得るカルボキシル基含有(メタ)アクリレート化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、二塩基酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、コハク酸など)を水酸基含有アクリレート化合物でハーフエステル化したもの、または二塩基酸無水物を水酸基含有アクリレート化合物でハーフエステル化したもの、無水イタコン酸をアルキルアルコールでハーフエステル化したもの、および、これらの化合物にε-カプロラクトンを数Mol付加したもの等が挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレート(O-3)の製造の際に用い得る多塩基酸はポリエステル(メタ)アクリレート(O-2)の製造の際に用いられる多塩基酸として例示したものを使用できる。
【0085】
<多官能モノマー(M2)>
化合物(M2)はエチレン性不飽和二重結合基を2つ以上有する化合物である。化合物(M2)を含むことで、接着剤硬化膜の架橋密度が向上し、硬化膜の破壊が起きにくくなり接着力が向上する。化合物(M2)は、活性エネルギー線硬化型接着剤100質量%中、1~50質量%含むことが好ましく、1~30質量%がより好ましい。この範囲であると接着剤硬化膜の架橋密度が適度であり、硬化膜の破壊も起きにくく、基材界面からの剥がれが起きにくくなるため、接着力が向上する。化合物(M2)は、重量平均分子量1000未満が好ましく、500未満がより好ましい。化合物(M2)は重量平均分子量が1000未満であると樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず、塗工時の膜厚制御が容易になる。
【0086】
化合物(M2)としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸2,2-ジメチルプロピルジオール、ジ(メタ)アクリル酸2,5-ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,2-オクタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、およびジ(メタ)アクリル酸2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエトキシ変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエトキシ変性ジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ビスフェニルフルオレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エトキシ変性ジアクリレート等の2官能(メタ)アクリル酸エステル類;
【0087】
例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリル酸1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタン、イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)等の3官能(メタ)アクリル酸エステル類;
【0088】
例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)1,3-プロパンジオールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0089】
化合物(M2)は、炭素数7~20のアルキレン基、脂環構造およびヘテロ環構造のいずれかを有する2官能または3官能(メタ)アクリレートが、基材(F1)への密着に優れるため好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)が好ましい。化合物(M2)は、単独または2種類以上を併用できる。
【0090】
<シラン化合物(S)>
シラン化合物(S)は、アルコキシシリル構造を有する化合物であれば、特に制限が無く使用できる。本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、シラン化合物(S)を含むことで耐湿熱性が改善する。シラン化合物(S)は、反応性官能基を有すると接着力、耐湿熱性が優れるため好ましい。中でも化合物(S)の反応性官能基はエポキシ基、イソシアナト基がより好ましい。
【0091】
シラン化合物(S)は、例えば、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のメタクリロキシ基とアルキル基とアルコキシ基を2つ有するシラン化合物;、
γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアクリロキシ基とアルキル基とアルコキシ基を2つ有するシラン化合物;、
γ-メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシメチルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロキシアルキル基とアルコキシ基を3つ有するシラン化合物;、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン等のビニル基を有するアルコキシシラン;、
γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、β-メルカプトメチルフェニルエチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、6-メルカプトヘキシルトリメトキシシラン、10-メルカプトデシルトリメトキシシラン等のメルカプト基とアルコキシ基を有するシラン化合物;、
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基とアルコキシ基を有するシラン化合物;
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアナト基とアルコキシ基を有するシラン化合物が挙げられる。
シラン化合物は、単独または2種類以上を併用できる。
【0092】
上記シラン化合物のうち、エポキシ基、またはイソシアナト基を含むシラン化合物は耐湿性、親水性基材への接着性が向上するため好ましく、エポキシ基を含むシラン化合物がより好ましい。
【0093】
シラン化合物の含有率は、活性エネルギー線硬化型接着剤100質量%中に、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。1質量%以上であれば耐湿性がより向上し、30質量%以下であれば、接着力と耐湿性のバランスが良い。
【0094】
<ラジカル重合開始剤(E)>
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤には更に、ラジカル重合開始剤(E)を含むことが好ましい。ラジカル重合開始剤(E)を使用することによって、ラジカル重合反応を促進することができる。
【0095】
ラジカル重合開始剤(E)としては、公知のものから任意に選択し使用できるが、その具体例としては、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントフルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、3-メチルアセトフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、4-オキサントン、カンファーキノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、等が挙げられる。市販品としては、例えば、イルガキュア-184,907,651,1700,1800,819,369,261、ダロキュア-TPO(BASF社製 2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド)、OMnirad819(IGM ResinsB.V社製 ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド)ダロキュア-1173(メルク社製)、エザキュア-KIP150、TZT(日本シイベルヘグナー社製)、カヤキュアBMS、カヤキュアDMBI(日本化薬社製)等が挙げられる。
フォトブリーチング性を有することから2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドまたはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。
【0096】
ラジカル開始剤(E)の含有率は、活性エネルギー線硬化型接着剤100質量%中、0.01~20質量%が好ましい。
【0097】
<光酸発生剤(G)>
酸発生剤(G)は、可視光線、紫外線、X線、または電子線のような活性エネルギー線の照射によって、酸を発生し、触媒的に作用してシラン化合物、カチオン重合性化合物の重合反応を開始するものである。酸発生剤としては、例えば、スルホニウム塩系酸発生剤、ヨードニウム塩系酸発生剤、ジアゾニウム塩系酸発生剤、アンモニウム塩系酸発生剤、ホスホニウム塩系酸発生剤などのオニウム塩系酸発生剤等を挙げることができる。
【0098】
これらのなかでも、光分解効率に優れ、より硬化性に優れた活性エネルギー線硬化型接着剤とできる観点から、スルホニウム塩系酸発生剤、ヨードニウム塩系酸発生剤であることが好ましい。
【0099】
酸発生剤(G)の含有率は、活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化性の観点から、活性エネルギー線硬化型接着剤100質量%中、0.1質量%以上であることが好ましい。一方、耐湿熱性の観点から、20質量%以下であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましい。
【0100】
スルホニウム塩系酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、トリアリールスルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0101】
スルホニウム塩系酸発生剤の市販品としては、例えば、トリアリールスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(CPI-110P、サンアプロ製)、UVACURE1590(ダイセル・サイテック製)などが挙げられる。
【0102】
ヨードニウム塩系酸発生剤としては、ビス(4-ターシャリーブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、(4-メチルフェニル)[4(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、(4-メチルフェニル)(4-イソプロピルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロ)ボレート等が挙げられる。
【0103】
ヨードニウム塩系酸発生剤の市販品としては、例えば、ビス(4-ターシャリーブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート(WPI―170、和光純薬社製)、WPI-113(和光純薬社製)、IK-1(サンアプロ社製)、(4-メチルフェニル)[4(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート(OMnicat250、IGM resins)などが挙げられる。
【0104】
<活性エネルギー線増感剤(H)>
また、ラジカル開始剤(E)や酸発生剤(G)の反応性を向上させるために、活性エネルギー線増感剤(H)を併用しても良い。増感剤(H)は、例えばチオキサントン化合物、アントラセン化合物、ナフタレン化合物、アミノベンゾエート化合物、カルバゾール化合物、ペリレン、フェノチアジン、ローズベンガル等が挙げられる。
【0105】
増感剤(H)は、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-ヒドロキシチオキサントン、2-アセトキシチオキサントン、2-プロポキシチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-エトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン等のアントラセン系化合物;
1,4-ジメトキシナフタレン、1,4-ジエトキシナフタレン、1,4-ジプロポキシナフタレン、1,4-ジブトキシナフタレン等のナフタレン系化合物が挙げられる。
【0106】
<その他成分>
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤には、本発明の効果を損なわない範囲で有れば、前記したような成分の他に添加剤を適宜配合することが可能である。例えば、重合硬化収縮率低減、熱膨張率低減、寸法安定性向上、弾性率向上、粘度調整、熱伝導率向上、強度向上、靭性向上、着色向上等の観点から有機又は無機の充填剤を配合できる。このような充填剤としては、ポリマー、セラミックス、金属、金属酸化物、金属塩、染顔料等を用いることができ、形状については粒子状、繊維状等特に限定されない。なお、上記ポリマーの配合に当っては、柔軟性付与剤、可塑剤、難燃化剤、保存安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、チクソトロピー付与剤、分散安定剤、流動性付与剤、消泡剤等、充填剤としてではなくポリマーブレンド、ポリマーアロイとして、活性エネルギー線硬化型接着剤中に溶解、半溶解又はミクロ分散させることも可能である。
【0107】
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、実質的に水や有機溶剤を含まないことが乾燥設備や乾燥エネルギーの点で好ましい。しかし、ラジカル開始剤(E)、光酸発生剤(F)、及び増感剤(G)が化合物(M1)に難溶性になったり、高粘度となったりする場合は、ラジカル開始剤(E)、光酸発生剤(F)、及び増感剤(G)を溶解するため少量の水又は有機溶剤は含んでもよい。活性エネルギー線硬化型接着剤中の水又は有機溶剤の含有量は5質量%以内である。使用可能な有機溶剤として、特に限定はないが、具体的にはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサン、トルエン、キシレンその他の炭化水素系溶媒等の有機溶媒や、水をさらに添加して、活性エネルギー線硬化型接着剤の粘度を調整することもできるし、活性エネルギー線硬化型接着剤を加熱して粘度を低下させることもできる。
【0108】
<フィルム>
フィルムは、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、および等方性等に優れる熱可塑性樹脂が好ましい。フィルムは、極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム(F1)とそれ以外のフィルム(F2)がある。極性基とは、極性を持った官能基あるいは原子団を指す。例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、イミド基、シアノ基、または炭素原子よりも電気陰性度の高いハロゲン原子が直接結合した構造などが挙げられるが、オレフィン構造よりも極性が大きい官能基であれば制限されない。
【0109】
フィルム(F1)は、樹脂を構成するモノマー構造に極性構造とシクロオレフィン構造を有していれば制限されない。フィルム(F1)は、例えば、極性基を有するシクロオレフィンモノマーを構成単位として含む樹脂、または極性基を有さないシクロオレフィンモノマーとシクロオレフィンを含まずに極性基を有するモノマーとの共重合樹脂、または極性基を有さないシクロオレフィンポリマーとシクロオレフィンを含まずに極性基を有するモノマーからなる樹脂との混合樹脂などが挙げられ、これらの混合樹脂であっても良い。フィルム(F1)は、極性基を有するシクロオレフィンモノマーを構成単位として含む樹脂が好ましい。
【0110】
極性基を有するシクロオレフィン系樹脂は、極性基を有するシクロオレフィンモノマーと他のモノマーとの共重合樹脂でも良い。他のモノマーとしては、例えば、極性基を有さないシクロオレフィンモノマー、シクロオレフィン骨格を含まずに極性基を有するモノマー、シクロオレフィン以外のオレフィンなどがある。また、極性基を有するシクロオレフィン系樹脂と他の樹脂との混合樹脂を用いても良い。
【0111】
極性基を有するシクロオレフィンモノマーは、一般式(a-1)または(a-2)で表される。
【0112】
一般式(a-1)
一般式(a-1)中、R
1~R
4のうち少なくとも一つは、極性基を表し、その他は、各々独立して、水素原子又は炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。pは、0~2の整数を表す。ただし、R
1とR
2が同時に水素原子を表すことはなく、R
3とR
4が同時に水素原子を表すことはないものとする。
【0113】
炭素原子数1~30の炭化水素基は、例えばハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含む連結基を更に有していても良い。そのような連結基の例には、カルボニル基、イミノ基、エーテル結合、シリルエーテル結合、チオエーテル結合等の2価の極性基が含まれる。
【0114】
一般式(a-1)においてR1~R4で表される極性基の例には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基及びシアノ基が含まれる。
【0115】
一般式(a-2)
一般式(a-2)中、R
5は、水素原子、炭素数1~5の炭化水素基、又は炭素数1~5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。R
6は、極性基を表し、具体的には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子)を表す。pは、0~2の整数を表す。
【0116】
極性基を有さないシクロオレフィンモノマーは一般式(a-3)で表される。
一般式(a-3)
一般式(a-3)中、R
7~R
10は、各々独立して、水素原子又は炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。pは、0~2の整数を表す。
【0117】
極性基を有するモノマーとしては、エステル結合を有するメチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1~20のアルキル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系モノマー;
エーテル結合を有する2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテルモノマー;
エステル結合を有する酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステルモノマー;
アミド結合を有するビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルピロリドン等のビニルアミドモノマー;
極性基を有するオレフィン系化合物などが挙げられる。
【0118】
フィルム(F2)としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルム、ポリトリアセチルセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、極性基を有するモノマー単位を含まないシクロオレフィンポリマー、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム;ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリビニル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリイミド系フィルム、およびポリオキシラン系フィル等が挙げられる。
【0119】
フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの観点から、1~100μMが好ましく、5~50μMがより好ましい。
【0120】
<積層体>
本発明の積層体は、光学用積層体として使用することが好ましく、光学素子用積層体がより好ましい。本発明の積層体の積層構成は、フィルム(F1)と、本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤からなる接着剤層と、フィルム(F1)またはフィルム(F2)と、をこの順に備える。フィルム(F1)/接着剤層/フィルム(F2)/接着剤層/フィルム(F2)のように基材を3枚以上重ね合わせた積層体が好ましい。
【0121】
本発明の積層体を光学素子用に用いる場合は、透明フィルムや光学フィルムを使用することが好ましい。光学フィルムは、透明フィルムに光学機能を有する塗工液を塗布するなどして光学機能を付与したフィルムである。光学機能とは、位相差、光拡散、集光、屈折、散乱、HAZE等である。光学フィルムは、例えば、ハードコートフィルム、帯電防止コートフィルム、防眩コートフィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、輝度向上フィルム、プリズムフィルム(プリズムシートともいう)、および導光フィルム(導光板ともいう)等が挙げられる。これらは用途に応じて単独または2種類以上を併用できる。
【0122】
本発明の積層体を偏光板フィルムとすることもできる。この場合、積層体は例えば、フィルム(F1)/接着剤層/ポリビニルアルコール系偏光子(フィルム(F2))/接着剤層/フィルム(F2)のような積層体が好ましく、フィルム(F1)、フィルム(F2)は透明フィルムや光学フィルムを用いることが好ましい。
【0123】
積層体は、以下のようにして得ることができる。フィルム状基材である透明フィルムの片面に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工して形成した被膜に、別の透明フィルムを貼り合せ、更にこの積層体の片面や両面に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工し、更に別の透明フィルム、ガラス、あるいは透明成形体に積層することによって、積層体を得ることができる。
【0124】
本発明における活性エネルギー線硬化型接着剤から形成されてなる接着剤層の膜厚は特に制限されず、使用用途によって適宜調整できる。
【0125】
接着剤層の膜厚が、0.1~6μMの場合には、粘度は1~1000MPa・sであることが好ましく、10~500MPa・sであることがより好ましい。粘度が1000MPa・s以下であれば、基材に塗工した場合、0.1~6μMの薄膜塗工が可能であり、透過率等の光学的特性にも優れる。一方、粘度が1MPa・s以上であれば接着剤層の膜厚制御が容易になるために好ましい。
【0126】
また、接着剤層の膜厚が、6~300μMの場合には、粘度は1000~100,000MPa・sであることが好ましく、3,000~50,000MPa・sであることがより好ましい。
【0127】
<塗工方法>
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤の塗工方法は、例えばマイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、マイクログラビアコーター、リップコーター、コンマコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、リバースコ-ター、スピンコーター等公知の塗工方法を利用できる。
【0128】
積層体において、樹脂組成物と基材を接着させるためには活性エネルギー線照射による樹脂組成物の重合反応が必要である。活性エネルギー線重合反応は、樹脂組成物の塗工時、あるいは積層する際、さらには積層した後に活性エネルギー線を照射して進行するが、積層した後に活性エネルギー線を照射して重合反応を進めることが好ましい。
【0129】
<活性エネルギー線>
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、基材上に塗布し、形成した被膜に活性エネルギー線を照射することで、重合硬化する。活性エネルギー線の照射光源としては、150~550nM波長域の光を主体としたもので、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、LEDランプ、キセノンランプ等が挙げられる。その他、半導体レーザー、電子線等も活性エネルギー線として使用できる。
【0130】
紫外線の照射強度は、10~3000MW/cM2が好ましい。照射強度が前記範囲を満たすと迅速な硬化が容易になり、基材の劣化を最小限に抑制できる。照射強度と照射時間の積として表される積算照射量は、50~20,000MJ/cM2が好ましい。積算照射量が前記積算照射量を満たすと短時間硬化が容易になり、生産性もより向上する。
【0131】
活性エネルギー線硬化型接着剤を使用した偏光板(偏光フィルム)は、より具体的には、以下のようにして得ることができる。
【0132】
活性エネルギー線硬化型接着剤を使用した偏光板(偏光フィルム)は、例えば、以下の(I)~(III)のいずれかの方法で作成することが好ましい。
【0133】
(I)第1の透明フィルムである保護フィルムの一方の面に、活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工し、第1の重合性接着剤層を形成し、
透明フィルムである第2の保護フィルムの一方の面に、活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工し、第2の活性エネルギー線硬化型接着剤層を形成し、
次いで、ポリビニルアルコール系偏光子の各面に、第1の活性エネルギー線硬化型接着剤層面および第2の活性エネルギー線硬化型接着剤層面を、同時に/または順番に重ね合わせた後、活性エネルギー線を照射し、第1の活性エネルギー線硬化型接着剤層および第2の活性エネルギー線硬化型接着剤層を重合硬化することによって製造する方法、
【0134】
(II)ポリビニルアルコール系偏光子の一方の面に、活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工し、第1の活性エネルギー線硬化型接着剤層を形成し、形成された第1の活性エネルギー線硬化型接着剤層の表面を透明フィルムである第1の保護フィルムで覆い、次いでポリビニルアルコール系偏光子の他方の面に、活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工し、第2の活性エネルギー線硬化型接着剤層を形成し、形成された第2の活性エネルギー線硬化型接着剤層の表面を第2の保護フィルムで覆い、活性エネルギー線を照射し、第1の活性エネルギー線硬化型接着剤層および第2の活性エネルギー線硬化型接着剤層を重合硬化することによって製造する方法、および
【0135】
(III)第1の透明フィルムである保護フィルムとポリビニルアルコール系偏光子を重ねた端部および、ポリビニルアルコール系偏光子の第1の保護フィルムがない面に重ねた第2の保護フィルムの端部に活性エネルギー線硬化型接着剤をたらした後、ロールの間を通過させ各層間に接着剤を広げる。次に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化型接着剤を重合硬化させることによって製造する方法等があるが、特に限定するものではない。
【実施例】
【0136】
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例及び比較例中、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表し、「RH」は相対湿度を意味するものとする。
また、表中の配合量は、質量部であり、溶剤以外は、不揮発分換算値である。尚、表中の空欄は配合していないことを表す。
【0137】
<重量平均分子量の測定方法>
「重量平均分子量」は、東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー「HLC-8220GPC」を使用した測定した数値であり、分離カラム:東ソー株式会社製「TSK-GEL SUPER H5000」、「TSK-GEL SUPER H4000」、「TSK-GEL SUPER H3000」、及び「TSK-GEL SUPER H2000」を4本直列に繋ぎ、移動相に温度40℃のテトラヒドロフランを用いて、0.6Ml/分の流速で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0138】
<水酸基価の測定方法>
水酸基価の測定は以下のとおりである。共栓三角フラスコ中に試料、約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100Mlを加えて溶解したのち、更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100Mlとした溶液)を正確に5Ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間攪拌を持続した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、水酸基価を次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:MgKOH/g)。
水酸基価(MgKOH/g)=[{(b-a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(Ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(Ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(MgKOH/g)
【0139】
実施例および比較例に用いた材料は以下の通りである。
【0140】
<単官能モノマー(M1)>
・炭素原子を7つ以上有し水酸基を含有しない単官能モノマー(M1-1)
LA:ラウリルアクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
BzA:ベンジルアクリレート
MEDOLMA:(2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート
M5300:ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート
【0141】
・水酸基を含有する単官能モノマー(M1-2)
4HBA:アクリル酸4-ヒドロキシブチル
CHDMMA:シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート
・その他単官能モノマー(M1-3)
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
【0142】
<多官能モノマー(M2)>
1,9NDDA:1,9-ノナンジオールジアクリレート
DCPDA:ジシクロペンチルジメチレンジアクリラート
INANTA:イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート
【0143】
<オリゴマー(O)>
・ポリウレタンアクリレート(O-1):
<ウレタンアクリレート1の製造>
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロ-トを備えた5口セパラブルフラスコに、ポリプロピレングリコール(三洋化成株式会社製:サンニックス PP-1000、水酸基価112MgKOH/g)を200.0部、イソホロンジイソシアネートを49.5部仕込み乾燥空気を導入しながら60℃に昇温した。ここへジブチル錫ジラウレートを0.05部添加し、2時間反応させた。別途、滴下ロートに4-ヒドロキシブチルアクリレートを5.2部、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.05部仕込み、1時間かけてセパラブルフラスコへ滴下した。滴下終了後、3時間80℃で攪拌を続けた後、赤外線吸収スペクトルにてイソシアナト基の吸収ピークがないことを確認して反応を終了しウレタンアクリレート1を得た。その重量平均分子量は15,000であった。
【0144】
<ウレタンアクリレート2の製造>
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロ-トを備えた5口セパラブルフラスコに、ポリテトラメチレングリコール(保土ヶ谷化学株式会社製:PTG2000、水酸基価56.MgKOH/g)を222.2部、イソホロンジイソシアネートを28.0部仕込み乾燥空気を導入しながら60℃に昇温した。ここへジブチル錫ジラウレートを0.05部添加し、1時間反応させた。別途、滴下ロートに4-ヒドロキシブチルアクリレートを3.7部、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.05部仕込み、1時間かけてセパラブルフラスコへ滴下した。滴下終了後、3時間80℃で攪拌を続けた後、赤外線吸収スペクトルにてイソシアナト基の吸収ピークがないことを確認し反応を終了しウレタンアクリレート2を得た。その重量平均分子量は22,000であった。
【0145】
<ウレタンアクリレート3の製造>
撹拌機、蒸留管、ガス導入管、温度計を備えた5口セパラブルフラスコに、ネオペンチルグリコールを125.0部、アジピン酸を146.1部、酸化亜鉛0.01部を仕込み、常圧下、乾燥空気を通じながら210℃で、生成した縮合水を留去させながらエステル化を行った。酸価が2MgKOH/gになったことを確認した後に減圧を開始し、フラスコ内温度を260℃に昇温し10時間かけて脱グリコール反応を行った。OH価は8.9MgKOH/gであった。次いで、得られたポリエステルジオール250部に対して、イソホロンジイソシアネートを3.4部仕込み乾燥空気を導入しながら60℃に昇温した。ここへジブチル錫ジラウレートを0.05部添加し、1時間反応させた。別途、滴下ロートに4-ヒドロキシブチルアクリレートを1.7部、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.05部仕込み、1時間かけてセパラブルフラスコへ滴下した。滴下終了後、3時間80℃で攪拌を続けた後、赤外線吸収スペクトルにてイソシアナト基の吸収ピークがないことを確認し反応を終了しウレタンアクリレート3を得た。その重量平均分子量は49,000であった。
【0146】
<ウレタンアクリレート4の製造>
撹拌機、蒸留管、ガス導入管、温度計を備えた5口セパラブルフラスコに、1,6-ヘキサンジオールを118.2部、アゼライン酸を188.2部、酸化亜鉛0.01部を仕込み、常圧下、乾燥空気を通じながら210℃で、生成した縮合水を留去させながらエステル化を行った。酸価が2MgKOH/gになったことを確認した後に減圧を開始し、フラスコ内温度を260℃に昇温し10時間かけて脱グリコール反応を行った。OH価は7.2MgKOH/gであった。次いで、得られたポリエステルジオール250部に対して、イソホロンジイソシアネートを3.5部仕込み乾燥空気を導入しながら60℃に昇温した。ここへジブチル錫ジラウレートを0.05部添加し、1時間反応させた。別途、滴下ロートに4-ヒドロキシブチルアクリレートを2.4部、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.05部仕込み、1時間かけてセパラブルフラスコへ滴下した。滴下終了後、3時間80℃で攪拌を続けた後、赤外線吸収スペクトルにてイソシアナト基の吸収ピークがないことを確認し反応を終了しウレタンアクリレート4を得た。その重量平均分子量は34,000であった。
【0147】
<ウレタンアクリレート5の製造>
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロ-トを備えた5口セパラブルフラスコに、両末端水酸基導入ポリブタジエン(日本曹達株式会社製:GI-1000、水酸基価67MgKOH/g、数平均分子量1500)を250部、イソホロンジイソシアネートを47.8部仕込み乾燥空気を導入しながら60℃に昇温した。ここへジブチル錫ジラウレートを0.05部添加し、1時間反応させた。別途、滴下ロートに4-ヒドロキシブチルアクリレートを13.2部、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.05部仕込み、1時間かけてセパラブルフラスコへ滴下した。滴下終了後、3時間80℃で攪拌を続けた後、赤外線吸収スペクトルにてイソシアナト基の吸収ピークがないことを確認し反応を終了しウレタンアクリレート5を得た。その重量平均分子量は8,200であった。
【0148】
・ポリエステルアクリレート(O-2):
<ポリエステルアクリレート1の製造>
撹拌機、蒸留管、ガス導入管、温度計を備えた5口セパラブルフラスコに、ネオペンチルグリコールを104.1部、アジピン酸を153.4部、酸化亜鉛0.01部を仕込み、常圧下、乾燥空気を通じながら210℃で、生成した縮合水を留去させながらエステル化を行い、酸価22.8MgKOH/gのポリエステルジカルボン酸を得た。次いで、得られたポリエステルジカルボン酸250gに対して、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル21.0部、テトラブチルアンモニウムボレート0.01部、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.05部を加え、酸価が1MgKOH/g以下になるまで100℃で付加反応を行ない、ポリエステルアクリレート1を得た。ポリエステルアクリレート1の質量平均分子量は5400であった。
【0149】
・エポキシアクリレート(O-3)
<エポキシアクリレート1の製造>
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計を備えた5口セパラブルフラスコに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製:JER4005P、エポキシ当量1075)を250.0部、アクリル酸を34.0部、ヒドロキノンモノメチルエーテルを0.05部、MEKを20部仕込み乾燥空気を導入しながら60℃に昇温し溶解した。ここへテトラブチルアンモニウムボレートを0.5部添加し、100℃に昇温し8時間反応させエポキシアクリレート1を得た。エポキシアクリレート1の重量平均分子量は2500であった。
【0150】
・アクリルアクリレート(O-4)
XMAP RC100C((株)カネカ社製アクリルアクリレート、Mw=25000)
【0151】
<シラン化合物(S)>
KBM-403:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)社製)
KBM-303:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)社製)
KBM-5103:3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)社製)
KBE-9007:3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)社製)
TEMS:テトラメトキシシラン
【0152】
<ラジカル開始剤(E)>
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイト゛ (IGM resins B.V.社製 OMnirad TPO)
【0153】
<光酸発生剤(G)>
CPI-110P:サンアプロ社製 トリアリールスルホニウム・PF6塩タイプの光酸発生剤
OMnicat250:4-イソブチルフェニル(4-メチルフェニル)
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ヘキサフルオロフォスフェート (IGM resins B.V.社製)
【0154】
<活性エネルギー線増感剤(H)>
ITX:2-イソプロピルチオキサントン
DBA:9,10-ジブトキシアントラセン
【0155】
<極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム(F1)>
8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]-3-ドデセン(一般式(2)のpが1、R5が炭素原子、R6がメトキシカルボニル基)を重合して得られる樹脂からなるフィルムを用いた。
[実施例1]
単官能モノマー(M1)としてIBXAを14部、BzAを30部、MEDOLMAを40部、M5300を10部、ラジカル重合開始剤(E)としてTPOを3部、活性エネルギー線増感剤(H)としてITX3部を、遮光された300Mlのガラス瓶に仕込み、ディスパーにて十分に攪拌後、十分に脱泡を行い、活性エネルギー線硬化型接着剤を得た。
【0156】
[実施例2~45、比較例1~3]
表1~3に示すように、組成および配合量(質量部)を変更した以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型接着剤を得た。
【0157】
《積層体の評価》
得られた活性エネルギー線硬化型接着剤を用いて下記積層体X1を作製し、積層体を下記の方法で評価した。結果を表1~3に示す。
【0158】
<積層体X1(偏光板)の製造>
フィルム(F1)として、厚み40μMの紫外線吸収剤を含有しない極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなるフィルムを用い、フィルム(F2)として、厚み50μMの紫外線吸収剤を含有したトリアセチルセルロースフィルム(以下TACと略す)を使用した。フィルム(F1)、(F2)の片側の表面に300W・Min/M2の放電量でコロナ処理を行い、その後1時間以内に、表1~3に示す活性エネルギー線硬化型接着剤を、各フィルムのコロナ処理面上に、ワイヤーバーコーターを用いて厚みが2μMとなるように塗工し、被膜を形成した。前記フィルム(F1)、(F2)に形成した活性エネルギー線硬化型接着剤層との間にポリビニルアルコール系(以下PVAと略す)偏光子(フィルム(F2))を挟み、極性基を有するシクロオレフィン系樹脂フィルム/接着剤層/PVA偏光子/接着剤層/TAC[フィルム(F1)/接着剤層/フィルム(F2)/接着剤層/フィルム(F2)]からなる積層体を得た。TACがブリキ板に接するように、この積層体の四方をセロハンテープで固定し、ブリキ板に固定した。
活性エネルギー線照射装置(東芝社製 高圧水銀灯)で最大照度300MW/cM2、積算光量300MJ/cM2の紫外線をフィルム(F1)側から照射して、積層体X1(偏光板)を作成した。
【0159】
<積層体X2の製造>
フィルム(F1)として、厚み40μMの紫外線吸収剤を含有しない極性基を有するシクロオレフィン系樹脂フィルムを用い、フィルム(F2)として、厚み60μMの紫外線吸収剤を含有したポリエステルフィルム(以下PETと略す)を使用した。フィルム(F1)、(F2)の片側の表面に300W・Min/M2の放電量でコロナ処理を行い、その後1時間以内に、表1~3に示す活性エネルギー線硬化型接着剤を、フィルム(F1)のコロナ処理面上に、ワイヤーバーコーターを用いて厚みが10μMとなるように塗工し、被膜を形成した。前記フィルム(F1)とフィルム(F2)を貼合し、極性基を有するシクロオレフィン系樹脂フィルム/接着剤層/PET[フィルム(F1)/接着剤層/フィルム(F2)]からなる積層体を得た。PETがブリキ板に接するように、この積層体の四方をセロハンテープで固定し、ブリキ板に固定した。
活性エネルギー線照射装置(東芝社製 高圧水銀灯)で最大照度300MW/cM2、積算光量300MJ/cM2の紫外線をフィルム(F1)側から照射して、積層体X2を作成した。
【0160】
<積層体X1接着力>
得られた積層体X1(偏光板)を、25MM×150MMのサイズにカッターを用いて裁断して測定用サンプルとした。サンプルの透明フィルム(1)の面に両面粘着テープ(トーヨーケム社製DF8712S)を貼り付け、ラミネータを用いて金属板上に貼り合わせて、偏光板と金属板との積層体を得た。得られた積層体を接着力測定用の積層体とした。偏光板には、フィルム(F1)と偏光子の間に予め剥離のキッカケを設けておき、この測定用の積層体を23℃、50%RHの条件下で、300MM/分の速度で90°の角度で引き剥がし、剥離力とした。この際、PVA偏光子とフィルム(F1)の剥離力を測定した。
【0161】
<積層体X2接着力>
得られた積層体X2を、25MM×150MMのサイズにカッターを用いて裁断して測定用サンプルとした。サンプルの透明フィルム(1)の面に両面粘着テープ(トーヨーケム社製DF8712S)を貼り付け、ラミネータを用いて金属板上に貼り合わせて、積層体X2と金属板との積層体を得た。得られた積層体を接着力測定用の積層体とした。積層体X2には、フィルム(F1)とPETの間に予め剥離のキッカケを設けておき、この測定用の積層体を23℃、50%RHの条件下で、300MM/分の速度で90°の角度で引き剥がし、剥離力とした。この際、フィルム(F1)とPETの剥離力を測定した。
積層体X1と積層体X2の剥離力を接着力として4段階で評価した。
[評価基準]
◎:剥離力が2.0(N/25MM)以上、非常に優れる
○:剥離力が1.5(N/25MM)以上、2.0(N/25MM)未満、優れる
△:剥離力が1.0(N/25MM)以上、1.5(N/25MM)未満、実用可
×:剥離力が1.0(N/25MM)未満、実用不可
【0162】
<湿熱試験>
積層体X1を温度60℃-90%RHの条件下で1000時間暴露した。暴露後に積層体X1端部を顕微鏡で観察してPVA偏光子の収縮幅を測定した。測定した収縮幅を4段階で評価した。
◎:収縮幅が0μM以上300μM未満、非常に優れる
○:収縮幅が300μM以上、600μM未満、優れる
△:収縮幅が600μM以上、1000μM未満、実用可
×:収縮幅が1000μM以上、実用不可
【0163】
<ヘイズ値の評価>
積層体X2を23℃、50%RHの環境下において、ヘイズメーター(日本電色工業社製、商品名「SH7000」)を用い、JIS K 7136に準じてヘイズ値を測定した。測定したヘイズ値を4段階で評価した。
[評価基準]
◎:0以上~0.3未満、非常に優れる
○:0.3 以上、0.6未満、優れる
△:0.6 以上、0.9未満、実用可
×:0.9 以上、実用不可
【0164】
<カール性評価>
【0165】
積層体X1および積層体X2の長辺が延伸方向となるように、50MM×150MMのサイズにカッターを用いて裁断して測定用サンプルとした。凸面を下にして水平面上に配置し、サンプルの端部4カ所の水平面からの距離を測定した。測定した値を4段階で評価した。
◎:0MM以上、10MM未満、非常に優れる
○:10MM以上、20MM未満、優れる
△:20MM以上、30MM未満、実用可
×:30MM以上、実用不可
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
表1~3に示すように、本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、接着性に優れ、かつ高い耐湿性、および優れたヘイズ、カール性を有することが確認できた。
【要約】
【課題】極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム(F1)を含む積層体の製造において、透明性に優れ、硬化後の反りが小さく、優れた接着性をする積層体を形成可能な活性エネルギー線硬化型接着剤およびそれを用いた積層体を提供すること。
【解決手段】本願の課題は、極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム(F1)を具備する積層体の製造に用いるフィルム貼合用の接着剤であって、接着剤100質量%中に、単官能モノマー(M1)を20~95質量%含有する活性エネルギー線硬化型接着剤によって解決される。
【選択図】なし