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  • 特許-燃焼システム 図1
  • 特許-燃焼システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】燃焼システム
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20240521BHJP
   F23C 1/12 20060101ALI20240521BHJP
   F23J 7/00 20060101ALI20240521BHJP
   F23J 15/06 20060101ALI20240521BHJP
   F23L 17/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
F23K5/00 302
F23C1/12
F23C99/00 317
F23J15/06
F23L17/00 601Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023560612
(86)(22)【出願日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2023014271
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2022108342
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔 原栄
(72)【発明者】
【氏名】藤森 俊郎
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-196882(JP,A)
【文献】特表2013-512769(JP,A)
【文献】国際公開第2020/174726(WO,A1)
【文献】実開平03-005041(JP,U)
【文献】特開平08-254397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/00
F23J 15/06
F23L 17/00
F23J 7/00
F23C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体によって液体アンモニアを加熱する気化器と、
前記気化器に接続され、前記気化器からのアンモニアを含む燃料を燃焼するボイラと、
前記ボイラに接続された煙道に配置され、前記ボイラからの排ガスを誘導する誘引通風機と、
前記煙道において前記誘引通風機の上流に配置される熱交換器であって、
当該熱交換器は、前記熱媒体が流れる循環流路によって、前記気化器に循環的に接続され、
当該熱交換器は、前記液体アンモニアから冷熱エネルギを受け取った前記熱媒体によって、前記煙道を流れる前記排ガスを冷却する、
熱交換器と、
前記冷却された排ガスから凝縮水を回収する回収器と、
を備え、
前記熱交換器は、前記ボイラに接続され
前記回収器は、前記熱交換器に設けられる、
燃焼システム。
【請求項2】
前記回収器は、前記ボイラに接続され、前記凝縮水を補給水として前記ボイラに供給する、請求項に記載の燃焼システム。
【請求項3】
前記煙道において前記熱交換器と前記誘引通風機との間に配置され、前記排ガスの温度を測定する第1センサ、および、前記煙道において前記熱交換器と前記誘引通風機との間に配置され、前記排ガスの流量を測定する第2センサ、の少なくとも一方と、
前記第1センサおよび前記第2センサの前記少なくとも一方からの測定値に基づいて、前記熱媒体の流量を調整する制御装置と、
を備える、請求項1または2に記載の燃焼システム。
【請求項4】
前記アンモニアの流量を測定する第3センサと、
前記第3センサからの測定値に基づいて、前記熱媒体の流量を調整する制御装置と、
を備える、請求項1または2に記載の燃焼システム。
【請求項5】
前記アンモニアの流量を測定する第3センサを備え、
前記制御装置は、前記第3センサからの測定値に基づいて、前記熱媒体の流量を調整する、
請求項に記載の燃焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃焼システムに関する。本出願は2022年7月5日に提出された日本特許出願第2022-108342号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
アンモニアは、COを放出しない燃料として知られている。例えば、特許文献1,2は、アンモニアを燃料として使用する設備を開示する。これらの文献では、アンモニアは、液体状態で貯蔵される。液体アンモニアは、燃焼される前に気化され、気体状態で燃焼される。これらの文献では、アンモニアを気化するために、燃焼後の排熱が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-139638号公報
【文献】特開2019-196882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような燃焼システムでは、エネルギ効率をさらに向上することが望まれている。
【0005】
本開示は、エネルギ効率を向上することができる燃焼システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る燃焼システムは、熱媒体によって液体アンモニアを加熱する気化器と、気化器に接続され、気化器からのアンモニアを含む燃料を燃焼するボイラと、ボイラに接続された煙道に配置され、ボイラからの排ガスを誘導する誘引通風機と、煙道において誘引通風機の上流に配置される熱交換器であって、当該熱交換器は、熱媒体が流れる循環流路によって、気化器に循環的に接続され、当該熱交換器は、液体アンモニアから冷熱エネルギを受け取った熱媒体によって、煙道を流れる排ガスを冷却する、熱交換器と、冷却された排ガスから凝縮水を回収する回収器と、を備え、熱交換器は、ボイラに接続され、回収器は、熱交換器に設けられる
【0008】
回収器は、ボイラに接続されてもよく、凝縮水を補給水としてボイラに供給してもよい。
【0009】
燃焼システムは、煙道において熱交換器と誘引通風機との間に配置され、排ガスの温度を測定する第1センサ、および、煙道において熱交換器と前記誘引通風機との間に配置され、排ガスの流量を測定する第2センサ、の少なくとも一方と、第1センサおよび第2センサの少なくとも一方からの測定値に基づいて、熱媒体の流量を調整する制御装置と、を備えてもよい。
また、燃焼システムは、アンモニアの流量を測定する第3センサを備えてもよく、制御装置は、第3センサからの測定値に基づいて、熱媒体の流量を調整してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、エネルギ効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る燃焼システムを示す概略図である。
図2図2は、温度と飽和水蒸気圧との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料および数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る燃焼システム100を示す概略図である。以下、燃焼システム100は、単に「システム」とも称され得る。例えば、システム100は、タンク1と、気化器(EVA)2と、ボイラ3と、熱交換器(HEX)4と、電気集じん機(ESP)5と、誘引通風機(IDF)6と、煙突7と、回収器8と、蒸気タービン50と、発電機60と、制御装置90と、を備える。システム100の構成要素はこれらに限定されず、システム100は、その他の構成要素をさらに備えてもよい。また、システム100は、上記の構成要素のうちの少なくとも1つを含んでなくともよい。
【0014】
タンク(アンモニア供給源)1は、液体アンモニアを気化器2に供給する。タンク1は、液体アンモニアを貯蔵する。タンク1は、流路L1によって気化器2に接続される。タンク1内の液体アンモニアは、流路L1を介して気化器2に供給される。例えば、流路L1には、液体アンモニアを送るためのポンプP1が設けられる。ポンプP1は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続されてもよく、制御装置90は、ポンプP1の動作を制御してもよい。
【0015】
気化器2は、熱交換器4によって加熱される後述の熱媒体によって、タンク1からの液体アンモニアを加熱する。加熱された液体アンモニアは、気体アンモニアへと気化する。別の観点では、熱媒体は、気化器2において、液体アンモニアによって冷却され、液体アンモニアから冷熱エネルギを受け取る。気化器2は、流路L2によってボイラ3に接続される。
【0016】
ボイラ3は、気化器2からの気体アンモニアを含む燃料を燃焼する燃焼器31を含む。例えば、燃焼器31は、アンモニアと、例えば微粉炭等の他の燃料と、を含む混合燃料を燃焼してもよい。また、例えば、燃焼器31は、アンモニアのみを燃焼してもよい。また、例えば、燃焼器31は、必要に応じて、アンモニア以外の他の燃料のみを燃焼してもよい。ボイラ3は、燃焼による熱によって水を加熱し、水蒸気を生成する。燃焼器31では、燃焼によって排ガスが発生する。
【0017】
蒸気タービン50は、流路L3によってボイラ3に接続される。ボイラ3で生成された水蒸気は、流路L3を介して蒸気タービン50に供給される。蒸気タービン50は、ボイラ3からの水蒸気によって回転させられる。発電機60は、蒸気タービン50と共に回転し、発電する。
【0018】
本実施形態では、ボイラ3と煙突7とを結ぶ煙道L4に、熱交換器4、電気集じん機5および誘引通風機6が、ボイラ3からこの順番で配置される。システム100は、煙道L4に不図示の他の設備をさらに備えてもよい。煙道L4には、ボイラ3から煙突7に向かって、ボイラ3で発生した排ガスが流れる。
【0019】
熱交換器4は、煙道L4において、ボイラ3の下流に配置され、ボイラ3に接続される。また、熱交換器4は、循環流路L5によって、気化器2と循環的に接続される。循環流路L5には、熱媒体が流れる。熱交換器4は、気化器2において液体アンモニアから冷熱エネルギを受け取った熱媒体によって、煙道L4を流れる排ガスを冷却する。これによって、排ガス中の水蒸気の一部が、水へと凝縮される。別の観点では、熱媒体は、熱交換器4において、排ガスによって加熱される。
【0020】
煙道L4を流れる排ガス中の水蒸気の量に関して、アンモニアの燃焼反応式は、2NH+1.5O→N+3HOで示される。当量比が1の場合、2分子のアンモニアから3分子の水が生成される。したがって、ボイラ3がアンモニアのみを燃焼する場合、体積比において、排ガスの70%超が水蒸気となり得る。例えば、ボイラ3が微粉炭のみを燃焼する場合には、排ガスの10~20%程度が水蒸気となり得る。
【0021】
このように、ボイラ3がアンモニアを含む燃料を燃焼する場合には、煙道L4を流れる排ガスは、より多くの水蒸気を含む。しかしながら、本実施形態では、排ガスは、熱交換器4において熱媒体によって冷却され、排ガス中の水蒸気の一部が水へと凝縮される。したがって、排ガスがより多くの水蒸気を含む場合にも、排ガス中の水蒸気を熱交換器4において低減することができる。
【0022】
循環流路L5を流れる熱媒体は、例えば、ブラインであってもよい。例えば、ブラインは、塩化ナトリウムまたは塩化カルシウム等を含む水溶液であってもよい。熱媒体はこれに限定されず、その他の流体が使用されてもよい。例えば、熱媒体は、液体アンモニアの沸点よりも低い凝固点を有する流体であってもよい。
【0023】
熱交換器4には、回収器8が設けられる。回収器8は、熱交換器4において、熱媒体によって冷却された排ガスから凝縮水を回収する。例えば、回収器8は、熱交換器4の底部に接続されるタンクまたはピットであってもよい。例えば、回収器8は、排ガスから熱交換器4の底部に落下する凝縮水を回収してもよい。回収器8が設けられる位置はこれに限定されず、回収器8は、煙道L4において、熱交換器4よりも下流の位置、例えば、熱交換器4と誘引通風機6との間の位置に設けられてもよい。
【0024】
回収器8は、流路L6によってボイラ3に接続される。回収器8で回収された凝縮水は、流路L6を介して、補給水としてボイラ3に供給される。したがって、アンモニアの燃焼によって生じる水を、ボイラ3において再利用することができる。例えば、流路L6には、凝縮水を送るためのポンプP2が設けられる。ポンプP2は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続されてもよく、制御装置90は、ポンプP2の動作を制御してもよい。また、流路L6には、凝縮水を浄化するための不図示のフィルタ、例えば逆浸透膜(RO)等が設けられてもよい。代替的にまたは追加的に、回収器8は、システム100中の不図示の他の設備に接続されてもよく、凝縮水は、これらにおいて工業用水として再利用されてもよい。また、例えば、凝縮水は、冷却塔において噴射用の水として再利用されてもよい。また、例えば、凝縮水は、浄化された後に農業用水または飲料用水として再利用されてもよい。
【0025】
電気集じん機5は、煙道L4において、熱交換器4の下流に配置され、熱交換器4に接続される。電気集じん機5は、排ガスから粒子(煤塵)を除去する。具体的には、電気集じん機5は、放電極と集じん極との間に高電圧をかけ、コロナ放電を生成する。コロナ放電によって、イオンが発生する。イオンによって帯電した排ガス中の粒子は、静電気引力によって集じん極へ引き付けられる。集じん極へ集められた粒子は、除去される。
【0026】
誘引通風機6は、煙道L4において、電気集じん機5の下流に配置され、電気集じん機5に接続される。誘引通風機6は、ボイラ3からの排ガスを煙突7に誘導する。誘引通風機6は、ボイラ3を負圧に維持する。誘引通風機6では、排ガスが加圧される。
【0027】
上記のように、ボイラ3がアンモニアを含む燃料を燃焼する場合には、煙道L4を流れる排ガスは、より多くの水蒸気を含む。水蒸気をより多く含む排ガスが誘引通風機6に流入する場合、誘引通風機6の負荷が増える。しかしながら、本実施形態では、熱交換器4において、排ガス中の水蒸気の一部は水へと凝縮され、排ガス中の水蒸気は低減される。したがって、ボイラ3がアンモニアを含む燃料を燃焼する場合にも、誘引通風機6の負荷の増加を抑えることができる。よって、システム100がアンモニアを燃料として使用する場合に、エネルギ効率を向上することができる。
【0028】
また、本実施形態では、排ガスは、熱交換器4において熱媒体によって冷却されるので、煙道L4を流れる排ガスの体積が減少する。したがって、誘引通風機6に流入する排ガスの体積が減少する。このことも、誘引通風機6の負荷を低減することができる。また、排ガスの体積の減少に伴って、ボイラ3が負圧に維持され易くなる。
【0029】
煙突7は、煙道L4において、誘引通風機6の下流に配置され、誘引通風機6に接続される。煙突7は、排ガスを外部に放出する。
【0030】
循環流路L5には、熱媒体を循環させるためのポンプP3が設けられる。ポンプP3は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続される。制御装置90は、ポンプP3の動作を制御する。
【0031】
循環流路L5には、バルブV1が設けられる。例えば、バルブV1は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続される。制御装置90は、バルブV1の開度を制御することによって、循環流路L5を流れる熱媒体の流量を調整する。
【0032】
システム100は、煙道L4に温度センサS1を備える。温度センサS1は、熱交換器4から流れ出る排ガスの温度を測定するように配置される。例えば、温度センサS1は、煙道L4において、熱交換器4の下流の位置に配置される。しかしながら、温度センサS1の位置はこれに限定されず、温度センサS1は、他の位置に配置されてもよい。
【0033】
システム100は、煙道L4に流量センサS2を備える。流量センサS2は、煙道L4を流れる排ガスの流量を測定するように配置される。例えば、流量センサS2は、煙道L4において、熱交換器4の下流の位置に配置される。しかしながら、流量センサS2の位置はこれに限定されず、流量センサS2は、他の位置に配置されてもよい。
【0034】
システム100は、流路L1に流量センサS3を備える。流量センサS3は、タンク1から気化器2に送られる液体アンモニアの流量を測定するように配置される。例えば、流量センサS3は、流路L1において、気化器2の上流かつポンプP1の上流の位置に配置される。しかしながら、流量センサS3の位置はこれに限定されず、流量センサS3は、他の位置に配置されてもよい。
【0035】
温度センサS1および流量センサS2,S3は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続され、測定されたデータを制御装置90に送信する。他の実施形態では、システム100は、他のセンサをさらに備えてもよい。また、他の実施形態では、システム100は、温度センサS1および流量センサS2,S3のうちの少なくとも1つを備えなくてもよい。
【0036】
制御装置90は、システム100の全体または一部を制御する。例えば、制御装置90は、1つまたは複数のコンピュータを含んでもよい。例えば、本開示で説明される制御装置90の動作は、1つのコンピュータによって実行されてもよく、または、複数のコンピュータによって分けて実行されてもよい。制御装置90は、例えば、プロセッサ90a、記憶装置90bおよびコネクタ90c等の構成要素を含み、これらの構成要素はバスを介して互いに接続される。例えば、プロセッサ90aは、CPU(Central Processing Unit)等を含む。例えば、記憶装置90bは、ハードディスク、プログラム等が格納されるROM、および、ワークエリアとしてのRAM等を含む。制御装置90は、コネクタ90cを介して、システム100の構成要素と有線でまたは無線で通信可能に接続される。例えば、制御装置90は、液晶ディスプレイまたはタッチパネル等の表示装置、および、キーボード、ボタンまたはタッチパネル等の入力装置等、他の構成要素を更に含んでもよい。例えば、本開示で説明される制御装置90の動作は、記憶装置90bに記憶されるプログラムをプロセッサ90aに実行することによって、実現されてもよい。
【0037】
続いて、制御装置90の動作について説明する。
【0038】
図2は、温度と飽和水蒸気圧との関係を示すグラフである。図2において、横軸は温度を示し、縦軸は飽和水蒸気圧を示す。
【0039】
1気圧は、約1000hPaである。例えば、1気圧下において、排ガス中の水蒸気の濃度を20%未満に制御する場合、飽和水蒸気圧を、約200hPa未満に調整する必要がある(200hPa=1000hPa×0.2)。図2に示されるように、排ガスの温度を約60℃未満に制御することによって、飽和水蒸気圧を約200hPa未満に調整することができる。したがって、例えば上記の条件では、制御装置90は、排ガスの温度の閾値として、60℃を記憶装置90bに記憶してもよい。閾値は60℃に限定されず、例えば誘引通風機6の性能等の様々な要因に応じて変化し得る。
【0040】
図1を参照して、制御装置90のプロセッサ90aは、温度センサS1から受信する排ガスの温度が、上記の閾値未満になるように、システム100を制御する。例えば、プロセッサ90aは、温度センサS1から受信する排ガスの温度が閾値未満になるように、バルブV1を制御して、循環流路L5を流れる熱媒体の流量を調整する。例えば、温度センサS1から受信する排ガスの温度が増加すると、プロセッサ90aは、熱媒体の流量を増やすようにバルブV1を制御してもよい。反対に、温度センサS1から受信する排ガスの温度が低下すると、プロセッサ90aは、熱媒体の流量を減らすようにバルブV1を制御してもよい。
【0041】
代替的にまたは追加的に、プロセッサ90aは、熱媒体の流量を、排ガスの温度以外のパラメータに基づいて調整してもよい。
【0042】
例えば、プロセッサ90aは、流量センサS2から受信する排ガスの流量に基づいて、熱媒体の流量を調整してもよい。例えば、流量センサS2から受信する排ガスの流量が増加すると、プロセッサ90aは、熱媒体の流量を増やすようにバルブV1を制御してもよい。反対に、流量センサS2から受信する排ガスの流量が低下すると、プロセッサ90aは、熱媒体の流量を減らすようにバルブV1を制御してもよい。
【0043】
また、例えば、プロセッサ90aは、流量センサS3から受信する液体アンモニアの流量に基づいて、熱媒体の流量を調整してもよい。例えば、流量センサS3から受信する液体アンモニアの流量が増加すると、プロセッサ90aは、熱媒体の流量を増やすようにバルブV1を制御してもよい。反対に、流量センサS3から受信する液体アンモニアの流量が低下すると、プロセッサ90aは、熱媒体の流量を減らすようにバルブV1を制御してもよい。
【0044】
以上のようなシステム100は、熱媒体によって液体アンモニアを加熱する気化器2と、気化器2に接続され、気化器2からのアンモニアを含む燃料を燃焼するボイラ3と、ボイラ3に接続された煙道L4に配置され、ボイラ3からの排ガスを誘導する誘引通風機6と、煙道L4において誘引通風機6の上流に配置される熱交換器4と、を備える。熱交換器4は、熱媒体が流れる循環流路L5によって、気化器2に循環的に接続される。熱交換器4は、液体アンモニアから冷熱エネルギを受け取った熱媒体によって、煙道L4を流れる排ガスを冷却する。上記のように、ボイラ3がアンモニアを含む燃料を燃焼する場合、排ガスはより多くの水蒸気を含む。しかしながら、この構成によれば、排ガスがより多くの水蒸気を含む場合にも、熱交換器4において、排ガス中の水蒸気を低減することができる。したがって、誘引通風機6の負荷の増加を抑えることができる。また、排ガスから得られる熱を液体アンモニアの気化に使用することができる。よって、システム100がアンモニアを燃料として使用する場合に、エネルギ効率を向上することができる。
【0045】
また、システム100は、冷却された排ガスから凝縮水を回収する回収器8を備える。このような構成によれば、凝縮水を再利用のために貯留することができる。
【0046】
また、システム100では、回収器8は、ボイラ3に接続され、凝縮水を補給水としてボイラ3に供給する。このような構成によれば、ボイラ3の補給水として、システム100に新たに追加される水の量を低減することができる。
【0047】
また、システム100は、排ガスの温度、排ガスの流量、および、アンモニアの流量の少なくとも1つに基づいて、熱媒体の流量を調整する制御装置90を備える。このような構成によれば、システム100の運転状況に応じて、熱媒体の流量を適切に調整することができる。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0049】
例えば、上記の実施形態では、システム100は、煙道L4に電気集じん機5を備える。他の実施形態では、システム100は、電気集じん機5を備えなくてもよい。
【0050】
本開示は、CO放出の削減につながるアンモニアの使用を促進することができるので、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギへのアクセスを確保する」および目標13「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0051】
2 気化器
3 ボイラ
4 熱交換器
6 誘引通風機
8 回収器
90 制御装置
100 燃焼システム
L4 煙道
L5 循環流路
【要約】
燃焼システム100は、熱媒体によって液体アンモニアを加熱する気化器2と、気化器2に接続され、気化器2からのアンモニアを含む燃料を燃焼するボイラ3と、ボイラ3に接続された煙道L4に配置され、ボイラ3からの排ガスを誘導する誘引通風機6と、煙道L4において誘引通風機6の上流に配置される熱交換器4と、を備える。熱交換器4は、熱媒体が流れる循環流路L5によって、気化器2に循環的に接続される。熱交換器4は、液体アンモニアから冷熱エネルギを受け取った熱媒体によって、煙道L4を流れる排ガスを冷却する。
図1
図2