(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】車載用制御装置
(51)【国際特許分類】
H02H 3/093 20060101AFI20240521BHJP
H02H 3/087 20060101ALI20240521BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H02H3/093 D
H02H3/087
B60R16/02 645D
(21)【出願番号】P 2023576378
(86)(22)【出願日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 JP2023021002
【審査請求日】2023-12-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉冨 嵩大
(72)【発明者】
【氏名】川上 貴史
(72)【発明者】
【氏名】藤村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】真野 辰也
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-123504(JP,A)
【文献】国際公開第2006/059646(WO,A1)
【文献】実開昭54-075347(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/093
H02H 3/087
H02J 7/00
H02J 1/00
B60R 16/02
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部から負荷へ電力を供給する電力路と、前記電力路に設けられるリレーと、前記電力路に設けられる遮断部と、を備える車載システムに含まれる車載用制御装置であって、
前記遮断部を制御する制御部を備え、
前記遮断部は、前記電源部側から前記負荷側へ電力が供給されることを許容する許容状態から遮断する遮断状態に切り替わるものであり、
前記制御部は、前記リレーを流れる電流値が閾値を超えた場合に、前記閾値を超えてからの経過時間と前記閾値を超えた後の前記電流値とに基づいて前記遮断部を前記遮断状態に切り替え、
前記閾値は、前記リレーがオン状態からオフ状態に切り替わることが可能な最大電流である遮断可能最大電流よりも小さい値である
車載用制御装置。
【請求項2】
電源部から負荷へ電力を供給する電力路と、前記電力路に設けられるリレーと、前記電力路に設けられる遮断部と、を備える車載システムに含まれる車載用制御装置であって、
前記遮断部を制御する制御部を備え、
前記遮断部は、前記電源部側から前記負荷側へ電力が供給されることを許容する許容状態から遮断する遮断状態に切り替わるものであり、
前記制御部は、前記リレーを流れる電流値が閾値を超えた場合に、前記閾値を超えてからの経過時間と前記閾値を超えた後の前記電流値とに基づいて前記遮断部を前記遮断状態に切り替え、
前記制御部は、前記電流値が前記閾値を超えた場合、前記閾値を超えてからの前記電流値の時間積分値が、前記経過時間に対応する対応値を超えたか否かを判定し、前記対応値を超えたと判定した場合に前記遮断部を前記遮断状態に切り替える
車載用制御装置。
【請求項3】
電源部から負荷へ電力を供給する電力路と、前記電力路に設けられるリレーと、前記電力路に設けられる遮断部と、を備える車載システムに含まれる車載用制御装置であって、
前記遮断部を制御する制御部を備え、
前記遮断部は、前記電源部側から前記負荷側へ電力が供給されることを許容する許容状態から遮断する遮断状態に切り替わるものであり、
前記制御部は、前記リレーを流れる電流値が閾値を超えた場合に、前記閾値を超えてからの経過時間と前記閾値を超えた後の前記電流値とに基づいて前記遮断部を前記遮断状態に切り替え、
前記制御部は、前記電流値が前記閾値を超えた場合、前記閾値を超えてからの前記電流値の2乗の時間積分値が、前記経過時間に対応する対応値を超えたか否かを判定し、前記対応値を超えたと判定した場合に前記遮断部を前記遮断状態に切り替える
車載用制御装置。
【請求項4】
電源部から負荷へ電力を供給する電力路と、前記電力路に設けられるリレーと、前記電力路に設けられる遮断部と、を備える車載システムに含まれる車載用制御装置であって、
前記遮断部を制御する制御部を備え、
前記遮断部は、前記電源部側から前記負荷側へ電力が供給されることを許容する許容状態から遮断する遮断状態に切り替わるものであり、
前記制御部は、前記リレーを流れる電流値が閾値を超えた場合に、前記閾値を超えてからの経過時間と前記閾値を超えた後の前記電流値とに基づいて前記遮断部を前記遮断状態に切り替え、
前記閾値よりも大きく、且つ前記リレーがオン状態を維持できる最大電流である通電可能最大電流よりも小さい遮断上限値が予め設定されており、
前記制御部は、前記電流値が前記遮断上限値を超えた場合、前記経過時間に関わらず前記遮断部を前記遮断状態に切り替える
車載用制御装置。
【請求項5】
前記通電可能最大電流は、前記電力路が地絡した場合に前記電力路に流れる飽和電流よりも小さく、
前記遮断上限値は、前記電流値が前記遮断上限値を超えたと判定されてから前記遮断部が前記遮断状態に切り替わるまでのタイムラグを考慮して、前記電流値が前記飽和電流に到達する前に前記遮断部が前記遮断状態に切り替わるように設定されている
請求項4に記載の車載用制御装置。
【請求項6】
前記遮断上限値は、前記電流値が前記遮断上限値を超えたと判定されてから前記遮断部が前記遮断状態に切り替わるまでのタイムラグを考慮して、前記電流値が前記通電可能最大電流に到達する前に前記遮断部が前記遮断状態に切り替わるように設定されている
請求項4に記載の車載用制御装置。
【請求項7】
電源部から負荷へ電力を供給する電力路と、前記電力路に設けられるリレーと、前記電力路に設けられる遮断部と、を備える車載システムに含まれる車載用制御装置であって、
前記遮断部を制御する制御部を備え、
前記遮断部は、前記電源部側から前記負荷側へ電力が供給されることを許容する許容状態から遮断する遮断状態に切り替わるものであり、
前記制御部は、前記リレーを流れる電流値が閾値を超えた場合に、前記閾値を超えてからの経過時間と前記閾値を超えた後の前記電流値とに基づいて前記遮断部を前記遮断状態に切り替え、
前記リレーは、前記制御部とは異なる第2制御部に制御され、
前記制御部は、前記電流値が前記閾値を超えた状態で、前記第2制御部が前記リレーをオフ状態に制御したと判定した場合に、前記経過時間に関わらず前記遮断部を前記遮断状態に切り替える
車載用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の背景技術には、負荷に電力を供給する負荷回路が開示されている。この負荷回路は、バッテリと、バッテリと負荷との間に設けられるリレー(半導体スイッチ)とを備えており、リレーがオンオフ動作することで、負荷の駆動、停止が切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リレーに過電流が流れ続けると、リレーの発煙等の異常が生じるおそれがある。そこで、リレーとは別に遮断部を設け、閾値を超える電流が一定時間流れ続けた場合に電力路を遮断することで、上記異常の発生を防止することが考えられる。しかし、上記異常が生じるまでの時間は、閾値を超えた後の電流値に応じて変化する。このため、リレーを流れる電流値が閾値を超えてからの経過時間と閾値を超えた後の電流値とを加味して電力路を遮断することが望ましい。
【0005】
本開示は、リレーを流れる電流値が閾値を超えてからの経過時間と閾値を超えた後の電流値とを加味して遮断部を遮断状態に切り替えることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載用制御装置は、
電源部から負荷へ電力を供給する電力路と、前記電力路に設けられるリレーと、前記電力路に設けられる遮断部と、を備える車載システムに含まれる車載用制御装置であって、
前記遮断部を制御する制御部を備え、
前記遮断部は、前記電源部側から前記負荷側へ電力が供給されることを許容する許容状態から遮断する遮断状態に切り替わるものであり、
前記制御部は、前記リレーを流れる電流値が閾値を超えた場合に、前記閾値を超えてからの経過時間と前記閾値を超えた後の前記電流値とに基づいて前記遮断部を前記遮断状態に切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術は、リレーを流れる電流値が閾値を超えてからの経過時間と閾値を超えた後の電流値とを加味して遮断部を遮断状態に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の車載用制御装置を含む車載用システムを概略的に示す構成図である。
【
図2】
図2は、グラフG1,G2を示す説明図である。
【
図3】
図3は、対応データDAを示す説明図である。
【
図4】
図4は、対応データDBを示す説明図である。
【
図5】
図5は、対応データDCを示す説明図である。
【
図6】
図6は、TC対応データDDを示す説明図である。
【
図7】
図7は、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
以下では、本開示に係る実施形態が列記されて例示される。
【0010】
〔1〕電源部から負荷へ電力を供給する電力路と、前記電力路に設けられるリレーと、前記電力路に設けられる遮断部と、を備える車載システムに含まれる車載用制御装置であって、
前記遮断部を制御する制御部を備え、
前記遮断部は、前記電源部側から前記負荷側へ電力が供給されることを許容する許容状態から遮断する遮断状態に切り替わるものであり、
前記制御部は、前記リレーを流れる電流値が閾値を超えた場合に、前記閾値を超えてからの経過時間と前記閾値を超えた後の前記電流値とに基づいて前記遮断部を前記遮断状態に切り替える
車載用制御装置。
【0011】
上記車載用制御装置は、リレーを流れる電流値が閾値を超えてからの経過時間と閾値を超えた後の電流値とに基づいて遮断部を遮断状態に切り替える。つまり、上記車載用制御装置は、リレーを流れる電流値が閾値を超えてからの経過時間と閾値を超えた後の電流値とを加味して遮断部を遮断状態に切り替えることができる。
【0012】
〔2〕前記閾値は、車両の最大定格電流よりも小さい値である
〔1〕に記載の車載用制御装置。
【0013】
上記車載用制御装置は、リレーを流れる電流値が車両の最大定格電流よりも小さい値に設定された閾値を超えた場合に、遮断部を遮断状態に切り替えることができる。
【0014】
〔3〕前記閾値は、前記リレーがオン状態からオフ状態に切り替わることが可能な最大電流である遮断可能最大電流よりも小さい値である
〔1〕に記載の車載用制御装置。
【0015】
上記車載用制御装置は、リレーを流れる電流値が遮断可能最大電流よりも小さい値に設定された閾値を超えた場合に、遮断部を遮断状態に切り替えることができる。
【0016】
〔4〕前記制御部は、前記電流値が前記閾値を超えた場合、前記閾値を超えてからの前記電流値の時間積分値が、前記経過時間に対応する対応値を超えたか否かを判定し、前記対応値を超えたと判定した場合に前記遮断部を前記遮断状態に切り替える
〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載の車載用制御装置。
【0017】
上記車載用制御装置は、電流値の時間積分値が、経過時間に対応する対応値を超える程度に蓄積された場合に、遮断部を遮断状態に切り替えることができる。
【0018】
〔5〕前記制御部は、前記電流値が前記閾値を超えた場合、前記閾値を超えてからの前記電流値の2乗の時間積分値が、前記経過時間に対応する対応値を超えたか否かを判定し、前記対応値を超えたと判定した場合に前記遮断部を前記遮断状態に切り替える
〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載の車載用制御装置。
【0019】
上記車載用制御装置は、電流値の2乗の時間積分値が、経過時間に対応する対応値を超える程度に蓄積された場合に、遮断部を遮断状態に切り替えることができる。
【0020】
〔6〕前記閾値よりも大きく、且つ前記リレーがオン状態を維持できる最大電流である通電可能最大電流よりも小さい遮断上限値が予め設定されており、
前記制御部は、前記電流値が前記遮断上限値を超えた場合、前記経過時間に関わらず前記遮断部を前記遮断状態に切り替える
〔1〕から〔5〕のいずれか一つに記載の車載用制御装置。
【0021】
上記車載用制御装置は、リレーを流れる電流値が遮断上限値を超えた場合には、経過時間に関わらず遮断部を遮断状態に切り替えることで、リレーが発煙又は発火する前に、遮断部を遮断状態に切り替えやすい。
【0022】
〔7〕前記通電可能最大電流は、前記電力路が地絡した場合に前記電力路に流れる飽和電流よりも小さく、
前記遮断上限値は、前記電流値が前記遮断上限値を超えたと判定されてから前記遮断部が前記遮断状態に切り替わるまでのタイムラグを考慮して、前記電流値が前記飽和電流に到達する前に前記遮断部が前記遮断状態に切り替わるように設定されている
〔6〕に記載の車載用制御装置。
【0023】
上記車載用制御装置は、リレーを流れる電流値が飽和電流に到達する前に、遮断部を遮断状態に切り替えることができる。
【0024】
〔8〕前記遮断上限値は、前記電流値が前記遮断上限値を超えたと判定されてから前記遮断部が前記遮断状態に切り替わるまでのタイムラグを考慮して、前記電流値が前記通電可能最大電流に到達する前に前記遮断部が前記遮断状態に切り替わるように設定されている
〔6〕に記載の車載用制御装置。
【0025】
上記車載用制御装置は、リレーを流れる電流値が通電可能最大電流に到達する前に、遮断部を遮断状態に切り替えることができる。よって、上記車載用制御装置は、リレーに通電可能最大電流を超える電流が流れてリレーがオン状態を維持できなくなることを回避することができる。
【0026】
〔9〕前記リレーは、前記制御部とは異なる第2制御部に制御され、
前記制御部は、前記電流値が前記閾値を超えた状態で、前記第2制御部が前記リレーをオフ状態に制御したと判定した場合に、前記経過時間に関わらず前記遮断部を前記遮断状態に切り替える
〔1〕から〔8〕のいずれか一つに記載の車載用制御装置。
【0027】
第2制御部がリレーをオフ状態に切り替えようとしたにも関わらず、リレーの故障などに起因してオフ状態に切り替わらないことも想定される。このような事態が生じたとしても、上記車載用制御装置は、第2制御部がリレーをオフ状態に切り替えようとした場合に、遮断部を遮断状態に切り替えることで、より確実に電力路を流れる電流を遮断することができる。
【0028】
[本開示の実施形態の詳細]
<第1実施形態>
図1には、車載用制御装置10を含む車載システム100が示されている。車載システム100は、車両に搭載されるシステムである。車載システム100は、電源部90と、負荷91と、電力路80と、を備える。
【0029】
電源部90は、例えば直流電圧を生じる直流電源であり、例えばバッテリである。バッテリは、例えば鉛バッテリ、リチウムイオンバッテリなどである。負荷91は、車両に設けられる電子部品である。負荷91は、例えば、電動部品、ECU、ADAS対象部品などである。電力路80は、電源部90と負荷91との間に設けられる。電力路80は、電源部90から負荷91へ電力を供給する。電力路80の一端は、電源部90に電気的に接続され、他端は、負荷91に電気的に接続される。
【0030】
車載用制御装置10は、リレー11と、遮断部12と、電流検出部13と、制御部14と、第2制御部15と、を備える。
【0031】
リレー11は、電力路80に設けられる。リレー11がオン状態のときに、電力路80と負荷91との間が通電状態となる。リレー11がオフ状態のときに、電力路80と負荷91との間が非通電状態となる。リレー11は、第2制御部15によって制御される。リレー11は、本実施形態では、電磁リレーとして構成され、電磁力によって動作する接点を有する。
【0032】
遮断部12は、電力路80に設けられる。遮断部12は、電源部90側から負荷91側へ電力が供給されることを許容する許容状態から遮断する遮断状態に切り替わる。遮断部12は、遮断状態となった後、許容状態に復帰可能な構成であってもよいし、復帰できない構成であってもよい。遮断部12は、例えば火工遮断器、半導体スイッチ、エレクトロマグネティックヒューズなどとして構成される。火工遮断器は、駆動信号が入力されることに応じて電力路80を物理的に切断する遮断器であり、例えばパイロヒューズ(PYROFUSE(登録商標)である。遮断部12は、制御部14によって制御される。
【0033】
電流検出部13は、例えば公知の電流センサとして構成される。電流検出部13は、リレー11を流れる電流を検出する。電流検出部13は、検出値を特定可能な信号を出力する。この信号は、制御部14及び第2制御部15にそれぞれ入力される。
【0034】
制御部14は、遮断部12を制御する。制御部14は、例えばMCU(Micro Controller Unit)として構成される。制御部14は、第2制御部15とは別の装置として構成される。制御部14は、電流検出部13から出力された信号に基づいてリレー11を流れる電流値を検出する。
【0035】
制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Aを超えた場合に、閾値Aを超えてからの経過時間EAと閾値Aを超えた後の電流値とに基づいて遮断部12を遮断状態に切り替える。閾値Aは、車両の最大定格電流IAよりも小さい値である。例えば、電源部90(具体的には、バッテリ)を管理するバッテリマネジメントシステムは、最大定格電流IAを超える電流をオーバーフローとして扱う。例えば、バッテリマネジメントシステムは、SOC(State Of Charge)の算出などにおいて、最大定格電流IAを超えているときの電流を、最大定格電流IAとして扱う。例えば、負荷91の消費電流は、最大定格電流IAを超えないように制限される。
【0036】
制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Aを超えた場合、閾値Aを超えてからの電流値の時間積分値ZAが、経過時間EAに対応する対応値CAを超えたか否かを判定し、対応値CAを超えたと判定した場合に遮断部12を遮断状態に切り替える。制御部14は、経過時間EAと対応値CAとの対応関係を示す対応データDAを予め記憶している。対応データDAは、経過時間EAと対応値CAとの対応関係を示す関数であってもよいし、経過時間EAと対応値CAとの対応関係を示すテーブルデータであってもよい。対応データDAは、
図2のグラフG1によって示される遮断特性を有するように設定されている。グラフG1は、所定の電流値範囲における各電流値について当該電流値の電流が流れ続けた場合に遮断するまでの時間を示す。グラフG1は、電流値が大きくなるほど短い時間で遮断する特性を示す。
【0037】
制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Aを超えた場合に、閾値Aを超えてからの電流値の時間積分値ZAを繰り返し算出する。例えば、制御部14は、
図3に示すように、まずZA1を時間積分値ZAとして算出する。制御部14は、次の周期において、前の周期で算出した時間積分値ZAにZA2を加算して、新たな時間積分値ZAとする。制御部14は、このような処理を繰り返すことで、時間積分値ZAを繰り返し算出する。制御部14は、対応データDAを用いて、経過時間EAに対応する対応値CAを導出する。制御部14は、時間積分値ZAが対応値CAを超えたか否かを繰り返し判定する。
図3に示す例では、ZA6が加算される6周期目の時間積分値ZAが対応値CAを超える。制御部14は、時間積分値ZAが対応値CAを超えたと判定した場合に遮断部12を遮断状態に切り替える。
【0038】
なお、時間積分値ZAは、第1リセット条件が成立した場合に、0にリセットされてもよい。第1リセット条件は、リレー11を流れる電流値が閾値Aを超えてからの経過時間が一定時間を経過したことであってもよいし、リレー11を流れる電流値が閾値Aを下回ったことであってもよいし、別の条件であってもよい。
【0039】
制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Bを超えた場合に、閾値Bを超えてからの経過時間と閾値Bを超えた後の電流値とに基づいて遮断部12を遮断状態に切り替える。閾値Bは、遮断可能最大電流IBよりも小さい値である。閾値Bは、本実施形態では、閾値Aと同じであるが、閾値Aよりも大きくてもよいし、閾値Aよりも小さくてもよい。遮断可能最大電流IBは、リレー11がオン状態からオフ状態に切り替わることが可能な最大電流である。
【0040】
制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Bを超えた場合、閾値Bを超えてからの電流値の時間積分値ZBが、経過時間EBに対応する対応値CBを超えたか否かを判定し、対応値CBを超えたと判定した場合に遮断部12を遮断状態に切り替える。制御部14は、経過時間EBと対応値CBとの対応関係を示す対応データDBを予め記憶している。対応データDBは、経過時間EBと対応値CBとの対応関係を示す関数であってもよいし、経過時間EBと対応値CBとの対応関係を示すテーブルデータであってもよい。対応データDBは、
図2のグラフG1によって示される遮断特性を有するように設定されている。
【0041】
制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Bを超えた場合に、閾値Bを超えてからの電流値の時間積分値ZBを繰り返し算出する。例えば、制御部14は、
図4に示すように、まずZB1を時間積分値ZBとして算出する。制御部14は、次の周期において、前の周期で算出した時間積分値ZBにZB2を加算して、新たな時間積分値ZBとする。制御部14は、このような処理を繰り返すことで、時間積分値ZBを繰り返し算出する。制御部14は、対応データDBを用いて、経過時間EBに対応する対応値CBを導出する。制御部14は、時間積分値ZBが対応値CBを超えたか否かを繰り返し判定する。
図4に示す例では、ZB6が加算される6周期目の時間積分値ZBが対応値CBを超える。制御部14は、時間積分値ZBが対応値CBを超えたと判定した場合に遮断部12を遮断状態に切り替える。
【0042】
なお、時間積分値ZBは、第2リセット条件が成立した場合に、0にリセットされてもよい。第2リセット条件は、リレー11を流れる電流値が閾値Bを超えてからの経過時間が一定時間を経過したことであってもよいし、リレー11を流れる電流値が閾値Bを下回ったことであってもよいし、別の条件であってもよい。
【0043】
第2制御部15は、リレー11を制御する。第2制御部15は、例えばMCU(Micro Controller Unit)として構成される。第2制御部15は、制御部14とは別の装置として構成される。第2制御部15は、予め定められた開始条件が成立した場合に、リレー11をオン状態に切り替える。開始条件は、例えば、車両の始動スイッチがオン状態に切り替わったことである。始動スイッチは、例えばエンジン車におけるイグニッションスイッチ、電気自動車におけるパワースイッチなどである。第2制御部15は、例えば車両の始動スイッチのオンオフ状態を示す信号を受信することで、始動スイッチのオンオフ状態を認識する。第2制御部15は、予め定められた停止条件が成立した場合に、リレー11をオフ状態に切り替える。停止条件は、例えば、車両の始動スイッチがオフ状態に切り替わったことである。第2制御部15は、予め定められた遮断条件が成立した場合に、リレー11をオフ状態に切り替える。遮断条件は、例えばリレー11を流れる電流値に基づいて成立し得る条件である。リレー11を流れる電流値に基づいて成立し得る条件は、例えば、リレー11を流れる電流値が基準値を超えるという条件である。第2制御部15は、電流検出部13から出力された信号に基づいてリレー11を流れる電流値を検出する。
【0044】
第2制御部15は、リレー11を流れる電流値が基準値を超えた場合に、基準値を超えてからの経過時間ECと基準値を超えた後の電流値とに基づいてリレー11をオフ状態に切り替える。
【0045】
第2制御部15は、リレー11を流れる電流値が基準値を超えた場合、基準値を超えてからの電流値の時間積分値ZCが、経過時間ECに対応する対応値CCを超えたか否かを判定し、対応値CCを超えたと判定した場合にリレー11をオフ状態に切り替える。第2制御部15は、経過時間ECと対応値CCとの対応関係を示す対応データDCを予め記憶している。対応データDCは、経過時間ECと対応値CCとの対応関係を示す関数であってもよいし、経過時間ECと対応値CCとの対応関係を示すテーブルデータであってもよい。対応データDCは、
図2のグラフG2によって示される遮断特性を有するように設定されている。グラフG2は、所定の電流値範囲(具体的には、グラフG1における電流値範囲の下限値よりも小さい電流値範囲)における各電流値について当該電流値の電流が流れ続けた場合に遮断するまでの時間を示す。グラフG2は、電流値が大きくなるほど短い時間で遮断する特性を示す。
【0046】
第2制御部15は、リレー11を流れる電流値が基準値を超えた場合に、基準値を超えてからの電流値の時間積分値ZCを繰り返し算出する。例えば、第2制御部15は、
図5に示すように、まずZC1を時間積分値ZCとして算出する。第2制御部15は、次の周期において、前の周期で算出した時間積分値ZCにZC2を加算して、新たな時間積分値ZCとする。第2制御部15は、このような処理を繰り返すことで、時間積分値ZCを繰り返し算出する。第2制御部15は、対応データDCを用いて、経過時間ECに対応する対応値CCを導出する。第2制御部15は、時間積分値ZCが対応値CCを超えたか否かを繰り返し判定する。
図5に示す例では、ZC9が加算される9周期目の時間積分値ZCが対応値CCを超える。第2制御部15は、時間積分値ZCが対応値CCを超えたと判定した場合に遮断部12を遮断状態に切り替える。
【0047】
なお、時間積分値ZCは、第3リセット条件が成立した場合に、0にリセットされてもよい。第3リセット条件は、リレー11を流れる電流値が基準値を超えてからの経過時間が一定時間を経過したことであってもよいし、リレー11を流れる電流値が基準値を下回ったことであってもよいし、別の条件であってもよい。
【0048】
制御部14は、リレー11を流れる電流値が予め設定された遮断上限値IDを超えた場合、上述した経過時間EA,EBに関わらず遮断部12を遮断状態に切り替える。遮断上限値IDは、閾値A,Bよりも大きい。遮断上限値IDは、遮断可能最大電流IBよりも大きい。遮断上限値IDは、通電可能最大電流ICよりも小さい。通電可能最大電流ICは、リレー11がオン状態を維持できる最大電流である。リレー11は、上述したように、電磁リレーである。電磁リレーに電流が流れるとき、電磁リレーには、オン状態からオフ状態に変化させるように電磁反発力が生じる。この電磁反発力は、電磁リレーに流れ込む電流の大きさが大きくなることに応じて大きくなる。電磁リレーに流れ込む電流が通電可能最大電流ICよりも大きくなると、電磁リレーをオン状態に維持する力よりも電磁反発力が大きくなり、電磁リレーがオフ状態に変化する。電磁リレーがオフ状態に変化した状態では、電磁リレー内にアークが発生し、電磁リレーが故障してしまうおそれがある。このため、制御部14は、リレー11を流れる電流値が通電可能最大電流ICよりも小さい値に設定された遮断上限値IDを超えた場合、上述した経過時間EA,EBに関わらず遮断部12を遮断状態に切り替える。
【0049】
上述した通電可能最大電流ICは、電力路80が地絡した場合に電力路80に流れる飽和電流ISよりも小さい。飽和電流ISは、例えば車載システム100が劣化していない状態において電源部90が満充電のときにリレー11と負荷91との間の経路が地絡したと仮定した場合の飽和電流である。遮断上限値IDは、リレー11を流れる電流値が遮断上限値IDを超えたと判定されてから遮断部12が遮断状態に切り替わるまでのタイムラグTLを考慮して、リレー11を流れる電流値が飽和電流ISに到達する前に遮断部12が遮断状態に切り替わるように設定されている。
【0050】
遮断上限値IDは、例えばタイムラグTLと、地絡してからの経過時間とリレー11を流れる電流値との対応関係を示すTC対応データDD(
図6参照)と、に基づいて設定される。
【0051】
タイムラグTLは、制御部14が遮断上限値IDを超えたと判定してから遮断部12を遮断状態に切り替える制御を開始するまでの時間と、遮断部12を遮断状態に切り替える制御が開始されてから遮断部12が遮断状態に切り替わるまでの時間と、によって生じる。タイムラグTLは、例えば試験結果やシミュレーション結果から得られる。
【0052】
TC対応データDDは、例えば試験結果やシミュレーション結果から得られる。試験結果又はシミュレーション結果は、例えば車載システム100が劣化していない状態で且つ電源部90が満充電の状態において、リレー11と負荷91との間の経路を地絡させたときの結果である。
【0053】
図6に示すTC対応データDDでは、タイミングT0が地絡したタイミングとなっている。その後、時間の経過に伴い、電流値が徐々に上昇している。タイミングT4は、リレー11を流れる電流値が飽和電流ISとなったタイミングとなっている。
【0054】
リレー11を流れる電流値が飽和電流ISに到達したと判断するタイミングは、例えば、地絡してからの経過時間が時定数τの3倍になったタイミングであってもよいし、地絡してから1ms経過したタイミングであってもよい。時定数τは、例えば、以下の式(1)によって算出される。
時定数τ=(L1+L2+L3)/(R1+R2+R3) ・・・式(1)
L1は、電源部90の内部インダクタンスである。L2は、電源部90と電力路80における地絡箇所との間の経路のインダクタンスである。L3は、地絡箇所のインダクタンスである。R1は、電源部90の内部抵抗値である。R2は、電源部90と電力路80における地絡箇所との間の経路の抵抗値である。R3は、地絡箇所の抵抗値である。なお、L3とR3は、地絡の仕方によって変化し得るため、例えば0としてもよい。
【0055】
例えば、タイムラグTLを考慮してもタイミングT4に到達しないタイミングT1に対応する電流値が、遮断上限値IDとして設定される。つまり、タイムラグTL経過後のタイミングT2がタイミングT4よりも早いタイミングとなるタイミングT1が特定され、このタイミングT1に対応する電流値が、遮断上限値IDとして設定される。
【0056】
遮断上限値IDは、リレー11を流れる電流値が遮断上限値IDを超えたと判定されてから遮断部12が遮断状態に切り替わるまでのタイムラグTLを考慮して、リレー11を流れる電流値が通電可能最大電流ICに到達する前に遮断部12が遮断状態に切り替わるように設定されている。遮断上限値IDは、例えばタイムラグTLと、上記TC対応データDDとに基づいて設定される。
【0057】
図6に示すTC対応データDDでは、リレー11を流れる電流値が通電可能最大電流ICに到達するタイミングは、タイミングT3となっている。例えば、タイムラグTLを考慮してもタイミングT3に到達しないタイミングT1に対応する電流値が、遮断上限値IDとして設定される。つまり、タイムラグTL経過後のタイミングT2がタイミングT3よりも早いタイミングとなるタイミングT1が特定され、このタイミングT1に対応する電流値が、遮断上限値IDとして設定される。
【0058】
遮断上限値IDは、電力路80の正常状態において、電力路80に流れ得る最大の電流値IEよりも大きい値が設定されている。電力路80の正常状態とは、電力路80が地絡していない状態のことであり、より具体的には、電力路80の電圧値が閾値電圧以上である状態のことである。閾値電圧は、0V以上の値である。電力路80に流れ得る最大の電流値IEは、例えば、電源部90の満充電時において車両におけるモータ等の負荷91を最大限動作させた場合に電力路80に流れる電流のことである。
【0059】
制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Aを超えた状態で、第2制御部15がリレー11をオフ状態に制御したと判定した場合に、経過時間EAに関わらず遮断部12を遮断状態に切り替える。制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Bを超えた状態で、第2制御部15がリレー11をオフ状態に制御したと判定した場合に、経過時間EBに関わらず遮断部12を遮断状態に切り替える。第2制御部15は、例えばリレー11をオフ状態に制御する制御信号を出力するとともに、制御部14に通知信号を出力する。制御部14は、通知信号を受信することで、第2制御部15がリレー11をオフ状態に制御したと判定する。
【0060】
制御部14は、例えば車両の始動スイッチがオフ状態に切り替わったことに伴い、
図7に示す処理を行う。制御部14は、ステップS11にて、リレー11を流れる電流値が閾値Aよりも大きいか否かを判定する。制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Aよりも大きくないと判定した場合、ステップS14にて、リレー11を流れる電流値が閾値Bよりも大きいか否かを判定する。制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Bよりも大きくないと判定した場合、ステップS11に戻る。制御部14は、リレー11を流れる電流値が正常な状態では、ステップS11及びステップS14の処理を繰り返す。
【0061】
例えばリレー11と負荷91との間に地絡すると、リレー11を流れる電流値が上昇する。制御部14は、ステップS11にてリレー11を流れる電流値が閾値Aよりも大きいと判定した場合、時間積分値ZAの算出を開始するとともに、ステップS12に移る。なお、制御部14は、既に時間積分値ZAの算出を行っている場合には、時間積分値ZAの算出を継続する。制御部14は、ステップS12にて、時間積分値ZAが当該時間積分値ZAに対応する対応値CAよりも大きいか否かを判定する。制御部14は、時間積分値ZAが対応値CAよりも大きいと判定した場合、ステップS13にて、遮断部12を遮断状態に切り替える。制御部14は、時間積分値ZAが対応値CAよりも大きくないと判定した場合、ステップS14に移る。
【0062】
制御部14は、ステップS14にてリレー11を流れる電流値が閾値Bよりも大きいと判定した場合、時間積分値ZBの算出を開始するとともに、ステップS15に移る。なお、制御部14は、既に時間積分値ZBの算出を行っている場合には、時間積分値ZBの算出を継続する。制御部14は、ステップS15にて、時間積分値ZBが当該時間積分値ZBに対応する対応値CBよりも大きいか否かを判定する。制御部14は、時間積分値ZBが対応値CBよりも大きくないと判定した場合、ステップS16にて、制御部14がリレー11をオフ状態に制御したか否かを判定する。制御部14は、制御部14がリレー11をオフ状態に制御していないと判定した場合、ステップS17にて、リレー11を流れる電流値が遮断上限値IDよりも大きいか否かを判定する。制御部14は、リレー11を流れる電流値が遮断上限値IDよりも大きくないと判定した場合、ステップS11に戻る。つまり、制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Bを超えると、ステップS14,S15,S16,S17の処理を繰り返す。
【0063】
制御部14は、ステップS15にて、時間積分値ZBが対応値CBよりも大きいと判定した場合、ステップS13にて、遮断部12を遮断状態に切り替える。制御部14は、ステップS16にて、制御部14がリレー11をオフ状態に制御したと判定した場合、ステップS13にて、遮断部12を遮断状態に切り替える。制御部14は、ステップS17にて、リレー11を流れる電流値が遮断上限値IDよりも大きいと判定した場合、ステップS13にて、遮断部12を遮断状態に切り替える。
【0064】
以下の説明は、車載用制御装置10の効果に関する。
車載用制御装置10は、リレー11を流れる電流値が閾値Aを超えてからの経過時間EAと閾値Aを超えた後の電流値とに基づいて遮断部12を遮断状態に切り替える。つまり、車載用制御装置10は、リレー11を流れる電流値が閾値Aを超えてからの経過時間EAと閾値Aを超えた後の電流値とを加味して遮断部12を遮断状態に切り替えることができる。また、車載用制御装置10は、電流値の時間積分値ZAが、経過時間EAに対応する対応値CAを超える程度に蓄積された場合に、遮断部12を遮断状態に切り替えることができる。
【0065】
車載用制御装置10は、リレー11を流れる電流値が閾値Bを超えてからの経過時間EBと閾値Bを超えた後の電流値とに基づいて遮断部12を遮断状態に切り替える。つまり、車載用制御装置10は、リレー11を流れる電流値が閾値Bを超えてからの経過時間EBと閾値Bを超えた後の電流値とを加味して遮断部12を遮断状態に切り替えることができる。また、車載用制御装置10は、電流値の時間積分値ZBが、経過時間EBに対応する対応値CBを超える程度に蓄積された場合に、遮断部12を遮断状態に切り替えることができる。
【0066】
車載用制御装置10は、リレー11を流れる電流値が遮断上限値IDを超えた場合には、経過時間EBに関わらず遮断部12を遮断状態に切り替えることで、リレー11がオン状態を維持できなくなる前に、遮断部12を遮断状態に切り替えやすい。
【0067】
車載用制御装置10は、リレー11を流れる電流値が飽和電流ISに到達する前に、遮断部12を遮断状態に切り替えることができる。
【0068】
車載用制御装置10は、リレー11を流れる電流値が通電可能最大電流ICに到達する前に、遮断部12を遮断状態に切り替えることができる。よって、車載用制御装置10は、リレー11に通電可能最大電流ICを超える電流が流れてリレー11がオン状態を維持できなくなることを回避することができる。
【0069】
第2制御部15が経過時間ECと電流値とに基づいてリレー11をオフ状態に切り替えようとしたにも関わらず、リレー11の故障などに起因してオフ状態に切り替わらないことも想定される。このような事態が生じたとしても、車載用制御装置10は、第2制御部15がリレー11をオフ状態に切り替えようとした場合に、遮断部12を遮断状態に切り替えることで、より確実に電力路80を流れる電流を遮断することができる。
【0070】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0071】
上記実施形態では、制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Aを超えた場合、閾値Aを超えてからの電流値の時間積分値ZAが、経過時間EAに対応する対応値CAを超えたか否かを判定し、対応値CAを超えたと判定した場合に遮断部12を遮断状態に切り替える構成であった。これに対し、制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Aを超えた場合、閾値Aを超えてからの電流値の2乗の時間積分値が、経過時間EAに対応する対応値を超えたか否かを判定し、対応値を超えたと判定した場合に遮断部12を遮断状態に切り替える構成であってもよい。この場合、車載用制御装置は、電流値の2乗の時間積分値が、経過時間EAに対応する対応値を超える程度に蓄積された場合に、遮断部12を遮断状態に切り替えることができる。
【0072】
上記実施形態では、制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Bを超えた場合、閾値Bを超えてからの電流値の時間積分値ZAが、経過時間EBに対応する対応値CBを超えたか否かを判定し、対応値CBを超えたと判定した場合に遮断部12を遮断状態に切り替える構成であった。これに対し、制御部14は、リレー11を流れる電流値が閾値Bを超えた場合、閾値Bを超えてからの電流値の2乗の時間積分値が、経過時間EBに対応する対応値を超えたか否かを判定し、対応値を超えたと判定した場合に遮断部12を遮断状態に切り替える構成であってもよい。この場合、車載用制御装置は、電流値の2乗の時間積分値が、経過時間EBに対応する対応値を超える程度に蓄積された場合に、遮断部12を遮断状態に切り替えることができる。
【0073】
遮断上限値は、設定されなくてもよい。つまり、
図7のステップS16の処理は、省略されてもよい。
【0074】
閾値A及び閾値Bの一方は省略されてもよい。つまり、
図7のステップS11,S12及びステップS14,S15のうち一方は省略されてもよい。
【0075】
上記実施形態では、遮断上限値IDが、遮断可能最大電流IBよりも大きかったが、遮断可能最大電流IBより小さくてもよい。
【0076】
電源部90と電流検出部13との間に、ヒューズが設けられていてもよい。
【0077】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、請求の範囲によって示された範囲内又は請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
10…車載用制御装置
11…リレー
12…遮断部
13…電流検出部
14…制御部
15…第2制御部
80…電力路
90…電源部
91…負荷
100…車載システム
A…閾値
B…閾値
DA…対応データ
DB…対応データ
DC…対応データ
DD…TC対応データ
EA…経過時間
EB…経過時間
EC…経過時間
G1…グラフ
G2…グラフ
IB…遮断可能最大電流
IC…通電可能最大電流
ID…遮断上限値
IE…電力路に流れ得る最大の電流値
IS…飽和電流
TL…タイムラグ
ZA…時間積分値
ZB…時間積分値
ZC…時間積分値
【要約】
車載用制御装置(10)は、電源部(90)から負荷(91)へ電力を供給する電力路(80)と、電力路(80)に設けられるリレー(11)と、電力路(80)に設けられる遮断部(12)と、を備える車載システム(100)に含まれる。車載用制御装置(10)は、遮断部(12)を制御する制御部(14)を備える。遮断部(12)は、電源部(90)側から負荷(91)側へ電力が供給されることを許容する許容状態から遮断する遮断状態に切り替わる。制御部(14)は、リレー(11)を流れる電流値が閾値を超えた場合に、閾値を超えてからの経過時間と閾値を超えた後の電流値とに基づいて遮断部(12)を遮断状態に切り替える。